JPWO2018216632A1 - 圧電式センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

センサ1は、順に積層されている第1電極、第1圧電体、第2電極、第2圧電体および第3電極を有している。第1圧電体および第2圧電体は、同一の材料の単結晶からなり、かつ積層方向と結晶軸とが成す角度が同一である。圧電体を構成する単結晶は、積層方向に直交する面内の線膨張係数に関して異方性を有している。第1電極〜第3電極の厚さをt1〜t3とし、第2電極および第3電極の線膨張係数をα2およびα3とし、単結晶の、積層方向に直交する面内における、線膨張係数の最大値および最小値をαmaxおよびαminとしたときに、α2>αmax>α3>αmin、かつt2>t3>t1である。

Description

本開示は、圧力または力を検出する圧電式センサおよびその製造方法に関する。
圧電体を利用して圧力または力(荷重)を検出するセンサが知られている。特許文献1の圧力センサは、積層された複数の圧電体と、この複数の圧電体からなる積層体の積層方向両端に位置する1対の電極とを有している。特許文献1において、複数の圧電体は、その間に介在する導電性接着剤によって接着されている。また、特許文献2の圧力センサは、交互に積層された円盤状の水晶と円盤状の電極とを有している。電極は、蒸着によって水晶に設けられている。
特開平5−99775号公報 特開2008−8873号公報
本開示の一態様に係る圧電式センサは、第1電極、第1圧電体、第2電極、第2圧電体および第3電極を、この列挙順を積層方向における順番として積層的に、かつ互いに重なるもの同士で接着された状態で有している。前記第1圧電体および前記第2圧電体は、互いに同一の材料の単結晶からなり、かつ前記積層方向と結晶軸とが成す角度が互いに同一である。前記単結晶は、前記積層方向に直交する面内の線膨張係数に関して異方性を有する。前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極の厚さをそれぞれt1、t2およびt3とし、前記第2電極および前記第3電極の線膨張係数をそれぞれα2およびα3とし、前記単結晶の、前記積層方向に直交する面内における、最も大きい線膨張係数および最も小さい線膨張係数をそれぞれαmaxおよびαminとしたときに、
α2>αmax>α3>αmin、かつ
t2>t3>t1、である。
本開示の一態様に係る圧電式センサの製造方法は、積層工程と、加熱工程と、冷却工程と、を備えている。前記積層工程では、第1電極、第1圧電体、第2電極、第2圧電体および第3電極を、この列挙順を積層方向における順番として積層的に有しており、かつ互いに重なるもの同士の間それぞれに導電性の接合材が配置されている積層体を構成する。前記加熱工程では、前記積層体を加熱して前記接合材を溶融させる。前記冷却工程では、前記加熱工程の後に前記積層体を冷却して前記接合材を固化させる。前記第1圧電体および前記第2圧電体は、互いに同一の材料の単結晶からなり、かつ前記積層方向と結晶軸とが成す角度が互いに同一である。前記単結晶は、前記積層方向に直交する面内の線膨張係数に関して異方性を有する。前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極の厚さをそれぞれt1、t2およびt3とし、前記第2電極および前記第3電極の線膨張係数をそれぞれα2およびα3とし、前記単結晶の、前記積層方向に直交する面内における、最も大きい線膨張係数および最も小さい線膨張係数をそれぞれαmaxおよびαminとしたときに、
α2>αmax>α3>αmin、かつ
t2>t3>t1、である。
図1(a)は実施形態に係る圧電式センサの構成を示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)の領域Ibの拡大図である。 図1の圧電式センサの製造方法の手順を示すフローチャート。 図3(a)〜図3(f)は図1の圧電式センサの作用を説明するための模式図である。 図4(a)〜図4(e)は図1の圧電式センサの作用を説明するための模式図である。 比較例および実施例に係るセンサ素子の構成および熱応力を示す図表である。
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態を説明する。なお、以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがあり、また、寸法比率等は現実のものと必ずしも一致しない。また、複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。
寸法および物性値(例えば線膨張係数)は温度に依存する。寸法および物性値が本開示に係る要件を満たすか否かを判定する場合において、温度を限定する必要があるときは、例えば、常温の値を基準としてよい。常温は、例えば、日本工業規格(JIS)が定義する20±15℃とされてよい。より詳細に常温の値を定義する必要があるときは、例えば、常温は20℃とされてよい。
(センサの全体構成)
図1(a)は、実施形態に係るセンサ1の構成を示す斜視図である。
センサ1は、例えば、圧力(別の観点では力)を電気信号(別の観点では電荷または電圧)に変換するセンサ素子3と、センサ素子3に電気的に接続された配線部4と、配線部4を介してセンサ素子3に電気的に接続され、センサ素子3からの信号に対して所定の処理を施す処理部5とを有している。なお、センサ素子3がセンサ(狭義)と捉えられてもよいし、センサ素子3と配線部4との組み合わせがセンサと捉えられてもよい。
(センサ素子の全体構成)
センサ素子3は、例えば、概略円柱状に構成されており、その円柱の軸方向D1(便宜的に軸D1ということもある。)において受けた圧力に応じた電気信号を出力する。円柱の直径および高さは適宜に設定されてよい。例えば、直径は、高さよりも大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。寸法の一例を示すと、直径は、3mm以上10mm以下であり、高さは、1mm以上4mm以下である。また、例えば、直径は、高さの2倍以上5倍以下である。
なお、センサ素子3は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下の説明では、便宜上、図示の軸方向D1の矢印が指す方向(紙面上方)を上方として、上面または下面等の語を用いることがある。
センサ素子3は、例えば、軸方向D1において積層された複数の層状部材から構成されている。複数の層状部材は、例えば、上方から順に、第1電極7A、第1圧電体9A、第2電極7B、第2圧電体9Bおよび第3電極7Cである。これらの層状部材のうち、互いに重なるもの同士(7Aと9A、9Aと7B、7Bと9B、および9Bと7C)は、その対向面において接着されている。
なお、以下では、第1電極7A〜第3電極7Cを区別せずに、単に「電極7」ということがある。また、第1圧電体9Aおよび第2圧電体9Bを区別せずに、単に「圧電体9」ということがある。
センサ素子3に軸方向D1における圧力が加えられ、ひいては、各圧電体9に軸方向D1における圧力が加えられると、各圧電体9においては圧力値に応じた強度(例えば電圧値または電荷量)の電気信号が生じる。この信号は、各圧電体9の両側に重なる1対の電極7によって取り出される。
なお、センサ素子3は、他の適宜な部材と組み合わされてよい。例えば、センサ素子3は、その下面の概ね全体に当接する部材によって支持され、上面に加えられる圧力を検出するように構成されてよい。ただし、センサ素子3は、例えば、上面の全体において支持されたり、上面、下面および/または側面の一部において支持されたり、軸方向D1の圧力によって撓み変形可能に支持されたりしてもよい。
また、例えば、センサ素子3は、気体または液体の圧力を検出することに利用されてもよいし、力(荷重)を検出することに利用されてもよい。センサ素子3を含むセンサは、用途に応じて適宜な構造とされてよい。例えば、センサ素子3は、上面および/または下面を外部(気体中または液体中)に露出させてもよいし、2つの剛体部材に軸方向D1において挟まれてもよいし、上面および/または下面が適宜な厚さの絶縁膜に覆われてもよい。前記の剛体部材は、上面および/または下面に対してその全体に当接してもよいし、一部に当接してもよい。
(層状部材の形状および寸法)
3つの電極7および2つの圧電体9それぞれは、例えば、一様な厚さの層状である。3つの電極7および2つの圧電体9の平面形状は、例えば、互いに同一であり、本実施形態では円形である。
3つの電極7の厚さは、互いに異なっている。具体的には、第1電極7Aの厚さをt1、第2電極7Bの厚さをt2、第3電極7Cの厚さをt3とすると、t1〜t3は、下記の(1)式を満たす。
t2>t3>t1 (1)
2つの圧電体9の厚さtp1およびtp2(以下、両者を区別せずに「厚さtp」ということがある。)は、例えば、互いに同一である。ただし、これらの厚さtpは互いに異なっていてもよい。また、各圧電体9の厚さtpは、例えば、3つの電極7のいずれの厚さよりも厚い。換言すれば、tp>t2である。ただし、圧電体9の厚さは、3つの電極7のうち最も厚い第2電極7Bの厚さt2よりも薄くてもよい。
厚さt1〜t3およびtpの具体的な寸法は適宜に設定されてよい。一例を示すと、以下のとおりである。
t1≦10μm
50μm≦t2≦800μm
20μm≦t3≦40μm
400μm≦tp≦1600μm
また、別の観点で、寸法の一例を示すと、以下のとおりである。
t1≦0.2×t2
0.025×t2≦t3≦0.8×t2
t2≦tp≦16×t2
なお、上記の絶対値(μm)で示された範囲と、他の厚さとの大小関係で示された範囲とは適宜に組み合わされてよい。
(層状部材の材料(線膨張係数))
各電極7は、導電体からなり、例えば、金属によって構成されている。各電極7を構成する金属は、線膨張係数(熱膨張係数)およびヤング率等の力学的な性質に関して概ね等方性を有している。第1電極7Aを構成する材料は、適宜に設定されてよく、第2電極7Bまたは第3電極7Cを構成する材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。第2電極7Bまたは第3電極7Cを構成する材料は互いに異なっており、ひいては、その線膨張係数は互いに異なっている。
各圧電体9は、例えば、圧電性を有する単結晶からなる。圧電体9を構成する単結晶は、線膨張係数およびヤング率等の力学的な性質に関して異方性を有している。具体的には、例えば、圧電体9は、軸方向D1に直交する面に平行な方向における線膨張係数に関して異方性を有している。2つの圧電体9は、例えば、互いに同一の材料の単結晶からなり、かつ軸方向D1と結晶軸とが成す角度が互いに同一である。
圧電体9を構成する単結晶は、例えば、水晶(SiO)である。その他、圧電体9を構成する単結晶の材料は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、四ほう酸リチウム(Li)、ニオブ酸カリウム(KNbO)またはランガサイト系化合物であってもよい。ただし、以下では、圧電体9が水晶からなることを前提として説明を行うことがある。
第2電極7B、第3電極7Cおよび圧電体9の材料は、これらの線膨張係数が、下記の(2)式を満たす限り、適宜に選択されてよい。
α2>αmax>α3>αmin (2)
ただし、α2は第2電極7Bの線膨張係数であり、α3は第3電極7Cの線膨張係数である。また、αmaxは、圧電体9の軸方向D1に直交する面内における最も大きい線膨張係数であり、αminは、圧電体9の軸方向D1に直交する面内における最も小さい線膨張係数である。
既述の(1)を満たすように層状部材(7および9)の厚さを設定し、かつ上記の(2)式を満たすように層状部材(7および9)の材料を選択することによって、例えば、後に詳述するように、熱応力に起因する圧電体9の破損のおそれを低減できる。
上記の(2)式に代えて、以下の(2)′式が満たされるように材料の選択がなされてもよい。
α2>αmax>α3>α90 (2)′
ただし、α90は、軸方向D1に直交する面内の、αmaxとなる方向に直交する方向における圧電体9の線膨張係数である。なお、αminの定義に照らしてαmin≦α90が当然に成り立つから、(2)′式は(2)式の下位概念である。
具体的な材料を例示すると、以下のとおりである。
例えば、圧電体9が水晶からなり、X軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸、c軸)のうち、X軸が軸方向D1に平行であるものとする。ここで、X軸方向における線膨張係数とY軸方向における線膨張係数とは同等であり、Z軸方向の線膨張係数は、X軸方向における線膨張係数およびY軸方向における線膨張係数よりも大きい。従って、圧電体9は、軸方向D1に直交する面内において、線膨張係数に関して異方性を有している。
X軸方向に直交する種々の方向における線膨張係数は十分に公開されていないが、実務上、Z軸方向における線膨張係数を最小値とし、Z軸に直交する方向(X軸またはY軸)における線膨張係数を最大値として扱うことが行われている。これに倣い、Z軸方向における線膨張係数をαzとし、Z軸に直交する方向(X軸またはY軸)における線膨張係数をαxyとしたときに、αmax=αxy、αmin=αzとしてよい。
換言すれば、(2)式または(2)′に代えて、以下の(2)″式が満たされるように材料の選択がなされてもよい。
α2>αxy>α3>αz (2)″
なお、αmaxおよびαminの定義に照らしてαmax≧αxyおよびαmin≦αzが当然に成り立つから、(2)″式は(2)式の下位概念である。
αzは、約7.97ppm/℃である。αxyは、約13.4ppm/℃である。なお、水晶のヤング率は、方向等によるが、概ね、80GPa以上100GPa以下である。
従って、α2>αxyを満たす第2電極7Bの材料としては、例えば、以下のものを挙げることができる。なお、以下の括弧内において、αは線膨張係数を示し、Eはヤング率を示す(以下、同様。)。JISのC5210(りん青銅、α=約18ppm、E=約110GPa)、銅(α=約16.5ppm、E=約120GPa)、アルミニウム(α=約23ppm、E=約70GPa)、銀(α=約19ppm、E=約80GPa)、金(α=約14ppm、E=約80GPa)、およびJISのSUS304(ステンレス鋼、α=約18ppm、E=約200GPa)。
また、αxy>α3>αzを満たす第3電極7Cの材料としては、例えば、以下のものを挙げることができる。JISのSUS430(ステンレス鋼、α=約12ppm、E=約200GPa)、鉄(α=約12ppm、E=約210GPa)、チタン(α=約8.5ppm、E=約110GPa)、白金(α=約9ppm、E=約160GPa)、パラジウム(α=約11ppm、E=約110GPa)、およびコバルト(α=約13ppm、E=約210GPa)。
なお、線膨張係数等の物性値は、不純物の混入量および結晶の均一性(不均一性)等によってばらつく。従って、(2)式(または(2)′式もしくは(2)″式)が満たされるか否かは、あくまで線膨張係数の値によって決定されるのであり、例えば、上記で例示した材料であるか否かによって決定されるのではない。ただし、上記のような材料であれば、(2)式等が満たされ易い。また、上記のような材料であるか否かに基づいて、(2)式等が満たされるか否か推定されても構わない。
寸法または線膨張係数の測定方法は、従来から種々のものが提案されており、そのいずれが用いられてもよい。例えば、その測定精度として、0.1ppm/℃が保証されている(0.01ppm/℃以下の誤差は存在し得る)測定方法および機器が使用されてよい。各層状部材の厚さ(t1〜t3等)は、完成後のセンサ素子3において測定されてもよいし、接着される前の状態で測定されてもよい。同様に、各層状部材の線膨張係数は、完成後のセンサ素子3を分解して測定されてもよいし、接着される前の状態で測定されてもよい。
既に言及したように、第1電極7Aの材料は、適宜に設定されてよい。すなわち、第1電極7Aの線膨張係数α1は適宜に設定されてよい。例えば、α1<αminであってもよいし、α1>α2であってもよいし、α2≧α1≧αminであってもよい。
(層状部材同士の接着)
図1(b)は、図1(a)の領域Ibの拡大図である。なお、図1(b)は、第2電極7Bと第2圧電体9Bとの間の構成を示しているが、他の互いに重なる電極7と圧電体9との間の構成も同様である。
互いに重なる電極7と圧電体9とは、例えば、その間に介在する導電性の接合材11によって接着されている。接合材11の材料は、例えば、狭義のはんだ(Sn−Pb系)または鉛フリーはんだである。鉛フリーはんだとしては、例えば、Au−Sn系、Au−Si系、Au−Ge系、Sn−Cu系、Sn−Ag系、およびSn−Ag−Cu系を挙げることができる。
接合材11の厚さtjは、電極7の厚さおよび圧電体9の厚さに比較して薄くされている。例えば、第2電極7Bの厚さt2が50μm以上、かつ第3電極7Cの厚さt3が20μm以上であるのに対して、接合材11の厚さtjは10μm未満である。別の観点では、例えば、接合材11の厚さtjは、0.2×t2未満および/または0.5×t3未満である。従って、軸方向D1に直交する方向の熱応力に関して接合材11の影響は小さい。
(配線部4および処理部5)
配線部4は、例えば、第1電極7Aと第3電極7Cとを接続している。そして、第1電極7Aおよび第3電極7Cとの組み合わせと、第2電極7Bとを処理部5の不図示の互いに異なる端子に接続している。すなわち、第1圧電体9Aおよびその両側の電極7(7Aおよび7B)からなるセンサ素子(符号省略)と、第2圧電体9Bおよびその両側の電極7(7Bおよび7C)からなるセンサ素子(符号省略)とは、処理部5に対して並列接続されている。
配線部4は、各電極7の適宜な位置に対して接続されてよい。例えば、配線部4は、第1電極7Aに対しては、その上面に接続されており、第2電極7Bおよび第3電極7Cに対しては、その側面に接続されている。ただし、例えば、配線部4は、第1電極7Aの側面に接続されたり、第3電極7Cの下面に接続されたりしてもよい。
配線部4の構造は、適宜なものとされてよい。例えば、配線部4は、ケーブル、ボンディングワイヤーおよび/または回路基板に形成された導体パターンによって構成されてよい。その材料も適宜であるし、電極7または処理部5の端子との接続方法も適宜である。
処理部5は、例えば、IC(Integrated Circuit)によって構成されている。特に図示しないが、例えば、処理部5は、センサ素子3からの信号を増幅する増幅器、センサ素子3からの信号をフィルタリングするフィルタ、センサ素子3からの信号を他の形式の信号に変換する変換部(例えばAD変換器および/または変調器)、および/またはセンサ素子3からの信号に含まれる情報に対して所定の演算を施す演算部を有している。また、処理部5は、例えば、前記のような処理(増幅、フィルタリング、形式変換および/または演算)が施された信号を他の機器へ出力する出力部を有している。
(センサ素子の製造方法)
図2は、センサ素子3の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS1では、センサ素子3を構成する複数の層状部材(7A〜7C、9Aおよび9B)それぞれを形成する。例えば、各電極7は、圧延加工された金属板に対して打ち抜きまたはエッチングを行うことによって作製される。また、例えば、圧電体9は、人工水晶を所定のカット角でスライスして得られたウェハに対してエッチングを行うことによって作製される。
ステップS2では、圧電体9および/または電極7に接合材11を配置する。例えば、接合材11となる金属ペーストをスクリーン印刷によって圧電体9の上下面に印刷する。
ステップS3では、センサ素子3を構成する全ての圧電体9および電極7を積層する。このときの圧電体9および電極7の軸方向D1に直交する方向の位置決めは、例えば、従来公知の積層機によって、圧電体9および電極7の側面(外縁)に位置決め部材を当接させることなどにより行われる。なお、軸D1回りの位置合わせは、例えば、行われない。
ステップS4では、圧電体9および電極7からなる積層体を加熱する。これにより、接合材11が溶融される。積層体の加熱は、例えば、リフロー炉によってなされてよい。
ステップS5では、圧電体9および電極7からなる積層体を冷却する。これにより、溶融していた接合材11が固化し、互いに重なっている圧電体9と電極7とが接着される。なお、冷却は、例えば、常温においてなされてよく、特別な装置は必ずしも必要ではない。
上記のステップS5において、接合材11は、その温度が凝固点に到達すると固化する。通常、接合材11の凝固点は常温よりも高いから、比較的高い温度で圧電体9と電極7とは接着されることになる。例えば、Au−Sn(20wt%Sn)の場合、凝固点は約280℃である。そして、センサ素子3は、ステップS5において、またはその後において、常温に晒されるから、センサ素子3においては、凝固点から常温になるまでの温度変化によって熱応力が生じることになる。
(圧電体に生じる熱応力)
(1)式を満たすように層状部材(7および9)の厚さを設定し、かつ上記の(2)式、(2)′式または(2)″式を満たすように層状部材(7および9)の材料を選択することによって、例えば、熱応力に起因する圧電体9の破損のおそれを低減できる。この作用について以下に説明する。
ここでは、図2を参照して説明したように、比較的高い温度(例えば常温よりも高い温度)で圧電体9と電極7とが接着され、その後、これらの部材が相対的に低い温度(例えば常温)とされた場合を想定する。
(電極と圧電体との間の熱応力)
図3(a)〜図3(f)は、電極7の厚さおよび線膨張係数が電極7と圧電体9との間に生じる熱応力に及ぼす影響を説明するための模式図である。ここでは、1つの圧電体9と、その両側に位置する2つの電極7とからなる構成を想定する。従って、例えば、2つの圧電体9間の力学的な相互影響は考慮しない。
図3(a)、図3(c)および図3(e)は、圧電体9およびその両側の電極7を示す斜視図である。これらの図は、電極7の厚さおよび線膨張係数が互いに異なる態様を示している。具体的には、図3(a)では電極7が比較的薄くされているのに対して、図3(c)および図3(e)では電極7が比較的厚くされている。また、図3(c)では、電極7の線膨張係数(αe)が比較的大きくされている(例えばαe>αmax)のに対して、図3(e)では、電極7の線膨張係数(αe)が比較的小さくされている(例えばαe<αmin(α90))。
図3(b)、図3(d)および図3(f)は、圧電体9と電極7との線膨張係数の相違に起因して圧電体9に生じる熱応力を説明するための模式図であり、それぞれ、図3(a)、図3(c)および図3(e)の態様に対応している。これらの図においては、圧電体9が示されているとともに、熱応力のうち引張応力が大きい領域にハッチングが付されている。なお、図3(b)、図3(d)および図3(f)は、シミュレーション計算結果に基づいている。
図3(a)および図3(b)に示すように、電極7の厚さが比較的薄い場合においては、圧電体9に生じる熱応力は小さい。このことは、電極7の線膨張係数が圧電体9の線膨張係数に対して大きくても、小さくても同様である。
図3(c)および図3(d)に示すように、電極7の厚さが比較的厚く、かつ電極7の線膨張係数αeが圧電体9の線膨張係数(例えばαmax)よりも大きい場合においては、温度が低下するときの収縮量は、圧電体9よりも電極7の方が大きい。従って、基本的には、圧電体9は、電極7から圧縮力を受けることになる。すなわち、基本的には、圧電体9において引張応力は小さい。
ただし、圧電体9は、その上下面が当該上下面に沿う方向の圧縮力を電極7から受けることから、その側面に引張応力が生じる。別の観点では、ポアソン効果が生じる。より具体的には、圧電体9は、軸方向D1に直交する方向における線膨張係数に関して異方性を有していることから、その側面のうち、線膨張係数が相対的に小さい方向の両側となる領域R1においては、他の領域R2に比較して相対的に引張応力が大きくなる。
図3(e)および図3(f)に示すように、電極7の厚さが比較的厚く、かつ電極7の線膨張係数αeが圧電体9の線膨張係数(例えばαmin(α90))よりも小さい場合においては、温度が低下するときの収縮量は、電極7よりも圧電体9の方が大きい。従って、基本的に、圧電体9は、電極7から引張力を受けることになる。より具体的には、圧電体9の上下面に相対的に高い引張応力が生じる。なお、図3(f)におけるハッチングと応力の大きさとの相対関係では、図に現れていないが、より具体的には、圧電体9の線膨張係数に関する異方性に起因して、引張応力は、線膨張係数が相対的に大きい方向の両側において相対的に高くなる。
(圧電体間の熱応力)
図4(a)は、2つの圧電体9間において熱応力が生じる理由を説明するための模式図である。
この図において、各圧電体9に付されたX軸、Y軸およびZ軸は、水晶のX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸、c軸)を示している。2つの圧電体9は、いずれも水晶から構成されており、互いに同一のカット角で(ここではX軸に直交する角度で)切り出されている。
ここで、既に述べたように、水晶は、YZ平面において、線膨張係数に関して異方性を有している。従って、2つの圧電体9を互いに貼り合わせるときに、図示の例のようにX軸回りの位置が互いにずれると、XZ平面内の任意の方向における温度低下に対する縮小量が互いに異なることになる。その結果、2つの圧電体9が互いに同一のカット角の水晶から構成されていても(軸D1と結晶軸との成す角度が2つの圧電体9間で同一であっても)、2つの圧電体9間において熱応力が生じる。
図4(b)〜図4(e)は、電極7の厚さが2つの圧電体9間に生じる熱応力に及ぼす影響を説明するための模式図である。ここでは、図4(a)に示されているように、2つの圧電体9間において、X軸回りの回転位置が互いに90°ずれている場合を想定する。また、ここでは、2つの圧電体9と、その間の第2電極7Bとからなる構成を想定する。従って、第1電極7Aおよび第3電極7Cが熱応力に及ぼす影響は考慮しない。
図4(b)および図4(d)は、2つの圧電体9およびその間の第2電極7Bを示す斜視図である。これらの図は、第2電極7Bの厚さが互いに異なる態様を示している。具体的には、図4(b)では第2電極7Bが比較的薄くされているのに対して、図4(d)では第2電極7Bが比較的厚くされている。なお、これらの図において、第2電極7Bの線膨張係数は、αminよりも大きく、αmaxよりも小さい。
図4(c)および図4(e)は、圧電体9(ここでは第2圧電体9Bを図示)に生じる熱応力を説明するための模式図であり、それぞれ、図4(b)および図4(d)の態様に対応している。これらの図においては、圧電体9が示されているとともに、熱応力のうち引張応力が大きい領域にハッチングが付されている。なお、図4(c)および図4(e)は、シミュレーション計算結果に基づいている。
図4(b)および図4(c)に示すように、第2電極7Bの厚さが比較的薄い場合においては、圧電体9の他の圧電体9側の面において比較的高い引張応力が比較的広い範囲に亘って生じる。なお、図4(c)におけるハッチングと応力の大きさとの相対関係では、図に現れていないが、より具体的には、各圧電体9において、引張応力は、線膨張係数が相対的に大きい方向の両側において相対的に高くなる。また、特に図示しないが、圧縮応力は、各圧電体9の側面付近、かつ線膨張係数が相対的に小さい方向の両側において大きくなる。
図4(d)および図4(e)に示すように、第2電極7Bの厚さが比較的厚い場合においては、圧電体9に生じる引張応力(および圧縮応力)は比較的小さい。
上記のことから、第2電極7Bが比較的薄い場合においては、2つの圧電体9間の熱応力によって引張応力が比較的大きくなり、第2電極7Bが比較的厚い場合においては、2つの圧電体9間の引張応力が緩和されることがわかる。
(実施形態における熱応力)
本実施形態では、(1)式に示されているように、2つの圧電体9間に位置する第2電極7Bの厚さt2が他の電極7の厚さt1およびt3よりも厚い。従って、例えば、図4(b)〜図4(d)を参照して説明したように、圧電体9の軸方向D1に直交する面内における線膨張係数に関する異方性および2つの圧電体9間の軸D1回りの位置ずれに起因して圧電体9に生じる引張応力を緩和することができる。
この厚くされた第2電極7Bの線膨張係数α2は、(2)式(または(2)′もしくは(2)″式)に示されているように、圧電体9の軸方向D1に直交する面内における最大の線膨張係数αmaxよりも大きい。従って、例えば、図3(c)および図3(d)の説明からも理解されるように、圧電体9が第2電極7Bから受ける力は、基本的には圧縮力となる。その結果、例えば、第2電極7Bが厚くされることに起因して圧電体9に生じる引張応力が大きくなるおそれは低減される。
また、図3(a)〜図3(f)を参照して説明したように、圧電体9の両側の電極7が厚くなると、電極7の線膨張係数αeが圧電体9の線膨張係数に比較して大きくても、小さくても、引張応力が大きくなる。一方、本実施形態では、(1)式に示されているように、第1電極7Aの厚さt1および第3電極7Cの厚さt3を第2電極7Bの厚さt2よりも薄くして、圧電体9の両側の電極7の双方が厚くされないようにしている。さらに、(2)(または(2)′もしくは(2)″式)に示されているように、3つの電極7のうち2番目の厚さの第2電極7Bの線膨張係数α2を圧電体9の線膨張係数の最大値と最小値との間の値となるようにしている。従って、圧電体9に生じる引張応力を更に低減することができる。
ここで、圧電体9は、一般に、圧縮力による破損よりも引張力による破損が生じやすい。従って、上記のように圧電体9に生じる引張応力を低減することによって、圧電体9の破損のおそれを低減することができる。
なお、第1電極7Aの厚さt1は、3つの電極7のうち最も薄いことから((1)式)、圧電体9との間で生じる熱応力が最も小さい。従って、第2電極7Bおよび第3電極7Cの線膨張係数α2およびα3に比較して、第1電極7Aの線膨張係数α1の設計の自由度は高く、適宜に設定されてよい。
また、第3電極7Cが第1電極7Aよりも厚いことによって((1)式)、例えば、配線部4を第1電極7Aの上面に接続する一方で、配線部4を第3電極7Cの側面に接続することができる。従って、例えば、センサ素子3の下面を支持するようにセンサ素子3を配置することが容易化される。
(実施例)
図5は、比較例および実施例に係るセンサ素子の構成および熱応力を示す図表である。
比較例1〜8および実施例1〜18は、センサ素子3について、具体的な材料および寸法が設定されたものである。そして、その材料および寸法に基づいて、シミュレーション計算によって、圧電体9等に生じる熱応力を求めた。
(比較例および実施例に共通の条件)
全ての比較例および実施例に共通する条件は、以下のとおりである。
センサ素子3の直径:4mm
第1電極7A:
材料:Au
厚さt1:5μm
圧電体9:
材料:水晶(X軸と軸方向D1とが平行)
厚さtp:700μm
2つの圧電体間におけるX軸回りのずれ量:90°
接合材11:
材料:AuSn
厚さ:5μm
水晶の弾性定数はテンソル量で考慮し、以下のように設定した。なお、以下において単位はGPaである。c11=86.72、c12=6.89、c13=11.88、c14=−17.92、c15=0、c16=0、c22=86.72、c23=11.88、c24=17.92、c25=0、c26=0、c33=107.12、c34=0、c35=0、c36=0、c44=57.89、c45=0、c46=0、c55=57.89、c56=−17.92、c66=39.92。
水晶の線膨張係数は、Z軸方向を7.97ppm/℃とし、Z軸に直交する方向を13.4ppm/℃とした。また、その他の方向における線膨張係数については、上記のZ軸方向およびこれに直交する方向の線膨張係数に基づく補間によって算出した。
接合材11は、280℃で固化するものとした。すなわち、280℃から常温(20℃)まで温度が低下することを想定して、熱応力を算出した。
なお、第1電極7Aの厚さt1および接合材11の厚さは、圧電体9の厚さtpに比較して十分に薄く、第1電極7Aおよび接合材11が熱応力に及ぼす影響は十分に小さい。また、センサ素子3の直径は、センサ素子3内の各層の厚さおよび線膨張係数が軸方向D1に直交する方向における熱応力に及ぼす定性的な影響とは基本的に独立している。
(比較例および実施例毎の条件)
比較例および実施例間では、第2電極7Bの材料(線膨張係数α2)および厚さt2、ならびに第3電極7Cの材料(線膨張係数α3)および厚さt3に係る条件を互いに異ならせた。
具体的には、大きな分類として、(1)式が満たされている条件と満たされていない条件との2種と、(2)′式が満たされている条件と満たされていない条件との2種との組み合わせの合計4種(2種×2種)を設定した。
図5の「(2)′」の欄において、「Y」は(2)′式が満たされていることを示し、「N」は(2)′式が満たされていないことを示している。同様に、図5の「(1)」の欄において、「Y」は(1)式が満たされていることを示し、「N」は(1)式が満たされていないことを示している。従って、実施例においては、「(2)′」および「(1)」の双方が「Y」であり、比較例においては、「(2)′」および「(1)」の少なくとも一方が「N」である。
図5の「α2」は、第2電極7Bの線膨張係数α2と、圧電体9の線膨張係数αmaxおよびα90との大小関係を示している。同様に、図5の「α3」は、第3電極7Cの線膨張係数α3と、圧電体9の線膨張係数αmaxおよびα90との大小関係を示している。
これらの欄から理解されるように、(2)′式が満たされない条件としては、より具体的には、α2およびα3の双方がαmaxよりも大きくなるもの(比較例1および5)、α2およびα3の双方がα90よりも小さくなるもの(比較例3)、α2およびα3の双方がαmaxとα90との間の大きさとなるもの(比較例2および6)を設定した。
比較例および実施例において、α(α2またはα3)がαmaxよりも大きくなる電極7(7Bまたは7C)の材料としては、C5210(α=18.2、E=110GPa、ν=0.33)を想定した。なお、νはポアソン比である(以下、同様。)。αがαminよりも小さくなる電極7の材料としては、JISの42alloy(42wt%NiのNiFe合金、α=5.5、E=144GPa、ν=0.25)を想定した。αがαmaxとα90との間の大きさとなる電極7の材料としては、SUS430(α=11.9、E=200GPa、ν=0.3)を想定した。
図5の「t2」および「t3」の欄は、厚さt2およびt3の値を示している。(1)式が満たされない条件としては、より具体的には、t2=t3を設定した。比較例および実施例において、t2は30μm以上800μm以下の範囲で設定した。t3は30μm以上200μm以下の範囲で設定した。なお、t2/t3は、1以上26.7未満となっている。
(熱応力の計算結果)
図5の「σ1」の欄は、シミュレーション計算によって得られた、第1圧電体9Aに生じる引張応力(熱応力)の最大値を示している。同様に、図5の「σ2」の欄は、シミュレーション計算によって得られた、第2圧電体9Bに生じる引張応力(熱応力)の最大値を示している。
この欄に示されているように、全ての実施例は、σ1およびσ2の双方が48MPa以下となっている。一方、全ての比較例は、σ1およびσ2の少なくとも一方が49MPa以上となっている。この結果から、(1)式および(2)′式が満たされることによって、2つの圧電体9の双方に生じる引張応力の最大値を低下させることができることが確認できる。
また、例えば、比較例1〜7および実施例1の比較から、第2電極7B(厚さt2)および第3電極7C(厚さt3)の双方を厚くすると(比較例1〜4)、その間に挟まれている第2圧電体9Bの引張応力σ2が大きくなってしまうことが確認できる。また、第2電極7B(厚さt2)および第3電極7C(厚さt3)の双方を薄くすると(比較例5〜7)、2つの圧電体9間の熱応力が大きくなり、2つの圧電体9の双方の引張応力(σ1およびσ2)が大きくなってしまうことが確認できる。
なお、このシミュレーション計算では、t2<t3の場合について示されていない。ただし、この場合、t2が薄くなることによって比較例5〜7のように2つの圧電体9の双方の引張応力が大きくなり、かつt3が厚くなることによって第2圧電体9Bの引張応力が大きくなるから、実施例の方が引張応力を小さくできることは明らかである。
また、例えば、比較例1〜4の比較から、第2電極7Bおよび第3電極7Cの双方の線膨張係数(α2およびα3)を小さくすると(比較例3)、圧電体9の方がこれらの電極7よりも収縮量が大きいから引張応力が大きくなってしまうことが確認できる。第2電極7Bおよび第3電極7Cの双方の線膨張係数を大きくすると(比較例1)、その間に挟まれた第2圧電体9Bにおいて大きな引張応力が生じてしまうことが確認できる。
また、例えば、第2電極7Bおよび第3電極7Cの双方が厚い場合においては(比較例1〜比較例4)、第2電極7Bおよび第3電極7Cの双方の線膨張係数(α2およびα3)をαmaxとα90との間の大きさとすると(比較例2)、(2)′式が満たされる場合(比較例4)よりも、σ1およびσ2の双方に関する最大値は小さくなる(比較例2のσ2が78MPaであるのに対して比較例4のσ4は81MPa)。このことから、(2)′式は、(1)式との組み合わせによってその作用効果が顕著になるものであることが確認できる。
なお、第2電極7Bおよび第3電極7Cの双方が薄い場合においては(比較例5〜比較例7)、2つの圧電体9間の熱応力が大きくなるから、α2およびα3をαmaxとα90との間の大きさとしても(比較例6)、(2)′式が満たされる場合(比較例7)よりも、σ1およびσ2の双方に関する最大値は小さくなるとは限らない。
以上のとおり、センサ1(センサ素子3)は、第1電極7A、第1圧電体9A、第2電極7B、第2圧電体9Bおよび第3電極7Cを、この列挙順を積層方向(軸方向D1)における順番として積層的に、かつ互いに重なるもの同士が接着された状態で有している。第1圧電体9Aおよび第2圧電体9Bは、同一の材料の単結晶からなり、かつ軸方向D1と結晶軸とが成す角度が同一である。圧電体9を構成する単結晶は、軸方向D1に直交する面内の線膨張係数に関して異方性を有している。そして、センサ1では、上述の(1)式および(2)式が満たされる。
従って、図3および図4を参照して説明したように、例えば、電極7と圧電体9とが比較的高温で接着されて冷却されるときに(ステップS4およびS5)、両者の線膨張係数の差に起因して圧電体9に大きな引張応力が加えられるおそれが低減される。ひいては、圧電体9が破損するおそれが低減される。また、例えば、製造後においても、センサ素子3の温度変化が繰り返されたときに圧電体9に大きな引張応力が繰り返し加えられるおそれが低減されるから、耐久性が向上する。
なお、α2およびα3等の線膨張係数の設定は、実際には、具体的な材料の選択によって実現される。従って、例えば、α2およびα3に係る条件の相違は、第2電極7Bおよび第3電極7Cのヤング率に係る条件の相違も伴っている。一方、熱応力には、線膨張係数だけでなく、ヤング率も影響している。しかし、図3および図4を参照して説明した、電極3の線膨張係数と圧電体9の線膨張係数との大小関係と、圧電体9における応力分布との定性的な関係は、ヤング率に依存しない。従って、ヤング率を考慮しなくても、(2)式(または(2)′式もしくは(2)″式)を満たすように材料を選択することによって、圧電体9に生じる引張応力(その最大値)を低減できることに変わりはない。
また、比較例1〜4を参照して既に述べたように、電極7が比較的厚く、電極7の熱膨張係数が圧電体9に生じる熱応力に及ぼす影響が相対的に大きい場合においては、線膨張係数が水晶(圧電体9)の線膨張係数αmaxとα90との間の大きさであるときにσ1およびσ2の双方に関する最大値が小さくなった(比較例4)。ここで、比較例1〜4において、線膨張係数が水晶(圧電体9)の線膨張係数αmaxとα90との間の大きさとなる電極7の材料は、他の電極7の材料に比較して最もヤング率が大きく、ヤング率の観点からは圧電体9に及ぼす熱応力が大きくなりやすいものである。すなわち、ヤング率の観点からは圧電体9に及ぼす熱応力が最も大きくなりやすい比較例3において引張応力が小さかったことになる。従って、図5のシミュレーション結果においてヤング率の影響は小さいと考えてもよいし、あるいはヤング率を考慮しても、(1)式および(2)式(または(2)′式もしくは(2)″式)を満たすように材料を選択することによって引張応力を小さくすることがシミュレーション計算によって確認されたと考えてもよい。
また、本実施形態では、第1圧電体9Aおよび第2圧電体9Bは、電気軸(X軸)が積層方向(軸方向D1)に平行な水晶からなる。
従って、例えば、圧電体9が水晶である場合における第2電極7Bおよび第3電極7Cの材料の例示(既述)から理解されるように、(2)式(または(2)′式もしくは(2)″式)を満たす材料として、電子部品に一般的に用いられている材料を選択しやすい。
また、本実施形態では、第1圧電体9Aおよび第2圧電体9Bの厚さをtp1およびtp2としたときに、
t2≦tp1≦16×t2、
t2≦tp2≦16×t2、
50μm≦t2≦800μm、かつ
20μm≦t3≦40μm、である
このような範囲であれば、実施形態の効果をより確実に奏することができる。なお、t2≦tp(tp1、tp2)≦16×t2および50μm≦t2≦800μmは、実施例1〜18におけるtpおよびt2の範囲である。t3については、実施例1〜18では、30μmまたは40μmであるが、t2とは異なり、t3が小さいほど圧電体9の引張応力が小さくなることは明らかである。ただし、t3が20μm以上であれば、例えば、取り扱いが容易である。
また、本実施形態では、第1圧電体9Aおよび第2圧電体9Bは、積層方向(軸方向D1)に見て、互いに同一の形状であるとともに、nを3以上としたときにn回対称の形状(360°/nで回転させたときに自らと重なる回転対称の形状、本実施形態では円形)である。
すなわち、2つの圧電体9は、軸D1回りに位置ずれが生じやすい形状である。このような場合においては、2つの圧電体9間で軸D1に直交する方向において線膨張係数が互いに異なりやすい。従って、例えば、第2電極7Bを厚くすることによって2つの圧電体9間の熱応力を緩和する効果が奏され易い。なお、2つの圧電体9が回転対称の形状でなくても、例えば、製造誤差によって結晶軸の方向と形状とのずれが生じるから、本開示に係る効果は奏される。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
センサ素子の形状は円柱状に限定されない。例えば、センサ素子の積層方向に直交する断面の形状は、回転対称の形状でなくてもよいし、2回対称の形状であってもよいし、正多角形のようにn回対称の形状(nは2以上または3以上)であってもよいし、環状であってもよい。また、センサ素子の積層方向に直交する断面の形状は、積層方向において一定でなくてもよい。
圧電体の材料は、実施形態においても例示したように水晶でなくてもよい。また、カット角も適宜に設定されてよい。例えば、圧電体は、いわゆるATカットの水晶板であってもよい。
1つの電極(第1電極〜第3電極のそれぞれ)は、多層の導電層(金属層)から構成されていてもよい。また、実施形態の接合材11は、電極の一部として捉えられてもよい。このような場合、電極の線膨張係数は、電極として捉えられる層の全体としての値を用いて、本開示の要件が満たされるか否か判定すればよい。
接合材11は、必須の要件ではなく、例えば、電極(接合材11を除く)が直接的に圧電体に接着され、また、これにより圧電体同士が接着されていてもよい。また、例えば、2つの圧電体の互いに対向する面それぞれに金属層が形成され、シーム溶接または原子拡散接合によって2つの金属層が接合され、この2つの金属層が電極を構成してもよい。
電極は、圧電体に蒸着等によって金属層が形成されることによって設けられてもよい。実施形態では、センサ素子3を構成する全ての層状部材を一括して接着したが、段階的に接着されてもよい。例えば、第1圧電体に第1電極および第2電極を接着し、第2圧電体に第3電極を接着し、その後、両者を接着してもよい。
実施形態では、圧電体とその両側の電極とからなる2組の構成が並列接続されたが、これらは直列接続とされてもよい。
1…センサ(圧電式センサ)、3…センサ素子、7A…第1電極、7B…第2電極、7C…第3電極、9A…第1圧電体、9B…第2圧電体。

Claims (5)

  1. 第1電極、第1圧電体、第2電極、第2圧電体および第3電極を、この列挙順を積層方向における順番として積層的に、かつ互いに重なるもの同士で接着された状態で有しており、
    前記第1圧電体および前記第2圧電体は、互いに同一の材料の単結晶からなり、かつ前記積層方向と結晶軸とが成す角度が互いに同一であり、
    前記単結晶は、前記積層方向に直交する面内の線膨張係数に関して異方性を有し、
    前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極の厚さをそれぞれt1、t2およびt3とし、
    前記第2電極および前記第3電極の線膨張係数をそれぞれα2およびα3とし、
    前記単結晶の、前記積層方向に直交する面内における、最も大きい線膨張係数および最も小さい線膨張係数をそれぞれαmaxおよびαminとしたときに、
    α2>αmax>α3>αmin、かつ
    t2>t3>t1、である
    圧電式センサ。
  2. 前記第1圧電体および前記第2圧電体は、電気軸が前記積層方向に平行な水晶からなる
    請求項1に記載の圧電式センサ。
  3. 前記第1圧電体および第2圧電体の厚さをtp1およびtp2としたときに、
    t2≦tp1≦16×t2、
    t2≦tp2≦16×t2、
    50μm≦t2≦800μm、かつ
    20μm≦t3≦40μm、である
    請求項1または2に記載の圧電式センサ。
  4. 前記第1圧電体および前記第2圧電体は、前記積層方向に見て、互いに同一の形状であるとともに、nを3以上としたときにn回対称の形状である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電式センサ。
  5. 第1電極、第1圧電体、第2電極、第2圧電体および第3電極を、この列挙順を積層方向における順番として積層的に有しており、かつ互いに重なるもの同士の間それぞれに導電性の接合材が配置されている積層体を構成する積層工程と、
    前記積層体を加熱して前記接合材を溶融させる加熱工程と、
    前記加熱工程の後に前記積層体を冷却して前記接合材を固化させる冷却工程と、
    を備えており、
    前記第1圧電体および前記第2圧電体は、互いに同一の材料の単結晶からなり、かつ前記積層方向と結晶軸とが成す角度が互いに同一であり、
    前記単結晶は、前記積層方向に直交する面内の線膨張係数に関して異方性を有し、
    前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極の厚さをそれぞれt1、t2およびt3とし、
    前記第2電極および前記第3電極の線膨張係数をそれぞれα2およびα3とし、
    前記単結晶の、前記積層方向に直交する面内における、最も大きい線膨張係数および最も小さい線膨張係数をそれぞれαmaxおよびαminとしたときに、
    α2>αmax>α3>αmin、かつ
    t2>t3>t1、である
    圧電式センサの製造方法。
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