後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
光ファイバと光学結合する光素子を実装し、前記光ファイバの光軸に対して垂直な基板を備える光電変換ユニットに設けられ、前記光ファイバの端部を保持する光ファイバガイドであって、前記光軸に平行な前記光ファイバガイドの面において開口する、凹状に形成された接着剤充填部と、前記接着剤充填部より前記基板側に設けられ、前記接着剤充填部の底面から凸状に形成された土手部とを有することを特徴とする光ファイバガイドが明らかとなる。このような光ファイバガイドによれば、光ファイバガイドに対して光ファイバを接着剤で固定する際に、硬化する前の接着剤が光素子や光素子を実装する基板に付着することを抑制することができる。
前記土手部より前記基板側に設けられ、凹状に形成された接着剤溜まり部を有することが望ましい。これにより、光ファイバガイドに対して光ファイバを接着剤で固定する際に、硬化する前の接着剤が光素子や光素子を実装する基板に付着することを抑制することができる。
前記ファイバガイドは、複数の光ファイバを保持し、前記複数の光ファイバは、前記接着剤充填部を横切るように並んで配置されることが望ましい。これにより、複数の光ファイバに対して、ほぼ均等な接着強度で確実に接着固定できる。
前記光ファイバガイドと、前記基板とを固定する接着剤を充填する基板固定部が、前記接着剤充填部の開口面と対向する面側において開口するように設けられていることが望ましい。これにより、接着剤充填部とは別の面において開口する接着剤充填部を設けることができるので、光ファイバガイドを小型化することができる。
前記開口面及び前記対向する面とは異なる前記光ファイバガイドの面において、前記基板固定部と連通する開口を有することが望ましい。これにより、基板固定部に接着剤を充填する際に、空気を抜きながら確実に接着剤を充填することができる。
前記接着剤充填部の底面は、徐々に開口が広がる湾曲面を有することが望ましい。これにより、接着剤の充填が容易になるとともに、接着剤充填時に接着剤に気泡が巻き込まれにくくなる。
光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する光ファイバガイドと、前記光ファイバと光学結合する光素子を実装し、前記光ファイバの光軸に対して垂直な基板とを有する光ファイバ付き光電変換ユニットであって、前記光ファイバガイドは、前記光軸に平行な前記光ファイバガイドの面において開口する、凹状に形成された接着剤充填部と、前記接着剤充填部より前記基板側に設けられ、前記接着剤充填部の底面から凸状に形成された土手部とを有することを特徴とする光ファイバ付き光電変換ユニットが明らかとなる。このような光ファイバ付き光電変換ユニットによれば、光ファイバガイドに対して光ファイバを接着剤で固定する際に、硬化する前の接着剤が光素子や光素子を実装する基板に付着することを抑制することができる。
前記基板に垂直に配置され、前記基板の第1接続端子に半田付けされる第2接続端子を有するフレキシブル基板を備えることが望ましい。これにより、フレキシブル基板のたわみによって、半田付け部にかかる力を吸収でき、半田付け部の損傷を抑制できる。
前記フレキシブル基板の端部には、両面に形成された前記第2接続端子と、両面に形成された前記第2接続端子を導通させる半割スルーホールとが形成されていることが望ましい。これにより、半割スルーホールに溶融半田を流入させることができ、電気的・機械的な接続強度を向上させることができる。
前記光ファイバガイド及び前記基板の外周を囲繞する保護カバーを有することが望ましい。これにより、光素子と光ファイバとの位置ずれを抑制できる。
光ファイバを備えるケーブルと、前記光ファイバの端部を保持する光ファイバガイドと、前記光ファイバと光学結合する光素子とをハウジング内に備えるコネクタとを有するコネクタ付きケーブルであって、前記光ファイバガイドは、前記光ファイバの光軸に平行な前記光ファイバガイドの面において開口する、凹状に形成された接着剤充填部と、前記接着剤充填部より前記基板側に設けられ、前記接着剤充填部の底面から凸状に形成された土手部とを有することを特徴とするコネクタ付きケーブルが明らかとなる。このようなコネクタ付きケーブルによれば、光ファイバガイドに対して光ファイバを接着剤で固定する際に、硬化する前の接着剤が光素子や光素子を実装する基板に付着することを抑制することができる。
前記ハウジングは、前記光ファイバを保持する台座を備え、前記光軸に平行な方向において、前記光ファイバガイドからみて前記光素子とは逆側に前記台座が設けられていることが望ましい。これにより、ケーブルの引張力が光ファイバの端部に加わることで、光素子と光ファイバ端面との位置合わせ部分の位置ずれや損傷を抑制することができる。
前記台座には凹部が形成され、前記凹部の内面に前記光ファイバを固定するようにして前記光ファイバを保持することが望ましい。これにより、台座に光ファイバを接着固定する強度を増加させることができる。
前記ケーブルは、メタル線を備え、前記メタル線は、前記凹部の外側に配置されていることが望ましい。これにより、台座により光ファイバを保持すると共に、メタル線が光ファイバと干渉することによる光ファイバの損傷を抑制することができる。
光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する光ファイバガイドと、前記光ファイバと光学結合する光素子を実装し、前記光ファイバの光軸に対して垂直な基板とを有する光ファイバ付き光電変換ユニットの製造方法であって、前記光ファイバガイドは、前記光軸に平行な前記光ファイバガイドの面において開口する、凹状に形成された接着剤充填部と、前記接着剤充填部より前記基板側に設けられ、前記接着剤充填部の底面から凸状に形成された土手部とを有し、前記基板に前記光ファイバガイドを固定すること、前記基板に設けられたファイバ穴に前記光ファイバを挿入すること、前記開口から前記接着剤充填部に接着剤を充填することを特徴とする光ファイバ付き光電変換ユニットの製造方法が明らかとなる。このような光ファイバ付き光電変換ユニットの製造方法によれば、光ファイバガイドに対して光ファイバを接着剤で固定する際に、硬化する前の接着剤が光素子や光素子を実装する基板に付着することを抑制することができる。
前記基板の第1接続端子に接続される第2接続端子を有するフレキシブル基板を備え、前記基板に対して前記フレキシブル基板を垂直に配置した状態で、前記基板の前記第1接続端子と、前記フレキシブル基板の第2接続端子とを半田付けすることが望ましい。これにより、フレキシブル基板のたわみによって、半田付け部にかかる力を吸収でき、半田付け部の損傷を抑制できる。
前記基板に垂直に配置され、前記基板の第1接続端子に接続される別の基板を備え、前記別の基板の両面には、前記第1接続端子に電気的に接続するための前記第2接続端子が形成されており、前記別の基板の端部には、両面に形成された前記第2接続端子を導通させる半割スルーホールが形成されており、前記別の基板の一方の側から前記第1接続端子と前記第2接続端子とを半田付けし、前記半割スルーホールを介して前記別の基板の前記一方の側から他方の側へ溶融半田を流入させることによって、前記別の基板の両面において前記第1接続端子と前記第2接続端子とを半田によって電気的に接続することが望ましい。これにより、前記別の基板の両面において、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを半田付けすることができる。
前記別の基板から見て、前記一方の側は、前記光素子の実装された前記基板の端部の側であり、前記他方の側は、前記光素子の側であることが望ましい。これにより、半田付け時にフラックスが飛散しても、フラックスが光素子に付着することを抑制できる。
前記別の基板の前記他方の側に予備半田を形成しておき、前記半割スルーホールを通過した前記溶融半田によって前記予備半田を一部溶融して結合させることが望ましい。これにより、前記第1接続端子と前記第2接続端子との電気的な結合を向上させることができる。
===第1実施形態===
<コネクタ付きケーブル1の基本構造>
図1は、第1実施形態のコネクタ付きケーブル1の平面図である。コネクタ付きケーブル1は、複合ケーブル2と、複合ケーブル2の両端に設けられた2つのコネクタ(ホスト側コネクタ10A及びデバイス側コネクタ10B)とを有する。
第1実施形態のコネクタ付きケーブル1は、アクティブ光ケーブルである。アクティブ光ケーブルとは、アクティブ素子である光素子を備え、電気信号を光信号に変換してデータを伝送するケーブルである。具体的には、本実施形態のコネクタ付きケーブル1は、USB3 Vision用アクティブ光ケーブルであり、一方のコネクタは、ホストとなるパーソナルコンピュータに接続されるホスト側コネクタ10Aであり、他方のコネクタは、周辺機器(例えば、カメラ)に接続されるデバイス側コネクタ10B(例えばカメラ側コネクタ)である。
以下の説明では、ホスト側コネクタ10Aの部材・部位には、符号に添え字「A」を付け、デバイス側コネクタ10Bの部材・部位には、符号に添え字「B」を付けている。また、ホスト側コネクタ10A及びデバイス側コネクタ10Bに共通の部材・部位を指すときには、添え字を付けないことがある。例えば、ホスト側コネクタ10A及びデバイス側コネクタ10Bの両方のことを指して単に「コネクタ10」と呼ぶことがある。
2つのコネクタ間において電気信号によって信号伝送を行う場合には、信号劣化の問題があるため、伝送距離を長くすることが難しい。これに対し、本実施形態のコネクタ付きケーブル1は、光信号によって信号伝送を行うため、電気信号によって信号伝送を行う場合よりも伝送距離を長く(例えば50m程度)することが可能である。また、本実施形態では、光信号による信号伝送を実現するため、ホスト側コネクタ10A及びデバイス側コネクタ10Bにおいて、光信号と電気信号との変換処理が行われている。
・複合ケーブル
図2は、第1実施形態の複合ケーブル2の断面図である。複合ケーブル2は、ケーブルシース3と、編組4と、2本の光ファイバコード5と、2本の電源線6とを有する。2本の光ファイバコード5及び2本の電源線6は編組4に包まれており、編組4の周囲はケーブルシース3によって被覆されている。ケーブルシース3は、複合ケーブル2における最も外側の被膜である。ケーブルシース3の材料としては、ポリエチレン等の樹脂が選択可能である。編組4は、電磁波ノイズの影響を抑制するための遮蔽材である。編組4の材料としては、銅やニッケル等の金属が選択可能である。なお、複合ケーブル2が、光ファイバコード5や電源線6とは異なる線を有しても良い。例えば、電源線6に限られず、制御信号線などのメタル線を有しても良い。
光ファイバコード5は、コードシース5Xと、抗張力繊維5Yと、光ファイバ5Cとを有する。光ファイバ5Cは抗張力繊維5Yに包まれており、抗張力繊維5Yの周囲はコードシース5Xによって被覆されている。抗張力繊維5Yの材料としては、パラ系アラミド繊維等が選択可能である。また、抗張力繊維5Yは、ケブラー(登録商標)であっても良い。また、ここでは、光ファイバ5Cとして、グレーデッドインデックス(GI)型光ファイバ(例えば、GI50/125)が使用されており、通常のシングルモード光ファイバのコア径(約10μm)と比べてコア径が大きいため(約50μm)、光素子との光学結合が容易である。但し、信号をより長距離まで伝送させたい場合は、光ファイバ5Cとしてシングルモード光ファイバを使用しても良い。なお、複合ケーブル2の光ファイバコード5の本数は、2本に限られるものではない。また、光ファイバコード5を構成する光ファイバ5Cは、単心の光ファイバの他、多心(例えば4心)の光ファイバであっても良い。
電源線6は、ホスト側コネクタ10Aからデバイス側コネクタ10Bに電力を供給するための線であり、メタル線から構成されている。また、電源線6は不図示の被覆を有している。ここでは、一方の電源線6の電位は例えば16Vであり、他方の電源線6の電位はGNDである。なお、複合ケーブル2の電源線6の本数は、2本に限られるものではない。また、デバイス側コネクタ10Bが外部若しくはデバイスから給電される構成であれば、電源線6は無くても良い。
・コネクタ
図3は、第1実施形態のコネクタ付きケーブル1の機能ブロック図である。図4Aは、ホスト側コネクタ10Aの内部構造を示す斜視図である。図4Bは、デバイス側コネクタ10Bの内部構造を示す斜視図である。図5は、ホスト側コネクタ10Aの分解斜視図である。図6Aは、光ファイバ付き光電変換ユニットがメイン基板21に接続された状態の左側面図である。図6Bは、光ファイバ付き光電変換ユニットがメイン基板21に接続された状態の底面図である。図7Aは、光素子用基板40及びフレキシブル基板50の分解斜視図である。図7Bは、光素子用基板40の後側斜視図である。なお、図4A及び図4Bでは、ハウジング11のカバー部12が外された状態のコネクタ10が示されている。また、図6A及び図6Bでは、光ファイバ付き光電変換ユニットの形状を示すために、電源線6は不図示としている(実際には、電源線6はメイン基板21の電源端子24(図5参照)に接続されている)。
以下の説明では、図に示すように各方向を定義する。すなわち、複合ケーブル2の長手方向を「前後方向」とし、各コネクタにおいて端子部22の側を「前」とし、各コネクタから複合ケーブル2の延び出る側を「後」とする。また、メイン基板21の基板面に垂直な方向を「上下方向」とし、ハウジング11のベース部13から見てメイン基板21の側(カバー部12の側)を「上」とし、逆側を「下」とする。また、前後方向及び上下方向に垂直な方向を「左右方向」とし、後側から前側を見たときの右側を「右」とし、左側を「左」とする。左右方向のことを「幅方向」と呼ぶこともある。
ホスト側コネクタ10Aは、ハウジング11Aと、メイン基板21Aと、光電変換ユニット31とを有する(図4A参照)。
ハウジング11Aは、メイン基板21A及び光電変換ユニット31を収容する部材である(図5参照)。ハウジング11Aの材質としては、例えば、金属や樹脂を選択可能であるが、耐ノイズ性、放熱性、加工性を考慮すると金属が好ましい。なお、本実施形態では、ハウジング11Aの材質として、放熱性および加工性を考慮してアルミが採用されている。ハウジング11Aは、カバー部12Aとベース部13Aとを有する。ハウジング11Aの前端部には、端子部22Aが保持されている。ハウジング11Aの後端部には、複合ケーブル2の端部(口出し部2X)が、ケーブルクランプ7Aによりベース部13Aに固定されている。
ベース部13Aは、支持部14Aと、保持部15Aと、台座18Aとを有する。支持部14Aは、メイン基板21Aを下側から支持する部位である。
保持部15Aは、光電変換ユニット31の光素子用基板40を保持する部位である。保持部15Aは、ベース部13Aの底面から上側に立設した一対の保持片151A(保持部材)を有する。一対の保持片151Aは、左右方向に対向して配置されている。一対の保持片151Aの内側の面には、溝部152Aが形成されている。溝部152Aは、上下方向に沿って形成されており、後述する光素子用基板40の左右の縁を挿入する部位である。上下方向に沿って形成された一対の溝部152Aに光素子用基板40の左右の縁が挿入されることによって、光素子用基板40が前後方向に垂直に保持される。溝部152Aの下端は、係止部153Aになっている。係止部153Aは、光素子用基板40の上下方向の位置を合わせるための部位である。光素子用基板40の下縁が係止部153Aに突き当たるまで、光素子用基板40の左右の縁を溝部152Aに挿入させている。
保持部15Aは、光電変換ユニット31の光素子用基板40の熱をベース部13Aに伝える機能も有する。保持部15Aと光素子用基板40との熱抵抗を低減させるため、保持部15Aと光素子用基板40との間に放熱シート(放熱部材)を介在させても良い。なお、光素子用基板40の熱をカバー部12Aに伝えるために、カバー部12Aと光素子用基板40の上縁との間に放熱シートを挟み込んでも良い。
保持片151Aの外面とベース部13Aの側壁面との間には隙間が形成されており、この隙間が挿通部16Aとなっている。挿通部16Aに電源線6が挿通されることによって(図4A参照)、ハウジング11A内での電源線6の動きを規制することができる。挿通部16Aの幅(保持片151Aの外面とベース部13Aの側壁面との間隔)を電源線6の外径よりも若干小さく設定して、電源線6の被覆を左右から押圧させながら挿通部16Aに電源線6を挿通させれば、ケーブルの引っ張りや振動・衝撃等に対して、電源線6をより安定的に保持できる。
挿通部16Aは、一対の保持片151Aのそれぞれの外側に形成されている。このため、一対の挿通部16Aは、光素子用基板40や保持部15Aを挟むように、左右に互いに離れて配置されている。これにより、挿通部16Aに挿通された2本の電源線6を左右に離して配線することができる。また、これにより、メイン基板21Aの一対の電源端子24Aも、左右に離して配置できる。このため、電位差の大きい2本の電源線6を離してメイン基板21に接続することができる。なお、電位差の大きい2本の電源線6を離して接続することは、絶縁の観点から望ましい。
なお、本実施形態では、一対の保持片151Aの内側の面(詳しくは溝部152A)において、光素子用基板40の左右の両縁が保持されていると共に、光素子用基板40の下縁において、光素子用基板40が後述するフレキシブル基板50と電気的に接続されている。このように、一対の保持片151Aに保持された光素子用基板40の両縁の間において、光素子用基板40がフレキシブル基板50と接続されているため、保持片151Aが保持できる光素子用基板40の縁を長くでき、保持片151Aと光素子用基板40との接触面積を広くすることができるので、光素子用基板40の熱をベース部13Aに伝え易くなり、放熱に有利になる。
台座18Aは、光ファイバ5Cを保持する部位である。光ファイバ5Cは、台座18Aと、後述する光電変換ユニット31の光ファイバガイド70との2か所で保持されることになる。光ファイバガイド70が光ファイバ5Cを光素子用基板40側で保持するのに対し、台座18Aは、光ファイバ5Cを口出し部2X側で保持する。すなわち、台座18Aは、光ファイバ5Cの光軸と平行な方向において、光ファイバガイド70からみて光素子41(光素子用基板40)とは逆側に設けられる。これにより、複合ケーブル2に引張力が加わった際に、光ファイバガイド70よりも複合ケーブル2の延び出る側に位置する台座18Aにおいても光ファイバ5Cを保持することができる。したがって、複合ケーブル2の引張力が光ファイバ5Cの端部に加わることで、光素子41と光ファイバ5Cの端面との位置合わせ部分の位置ずれや損傷を抑制することができる。
台座18Aは左右両側に凸部が立設するU字状の部材で形成されている。但し、台座18Aは、左右両側に凸部が立設するU字状に限定されず、左右方向における中央部分に凹部が形成された部材であればよい。台座18Aには、凹部の底面部分に台座面181Aが形成されている。この台座面181Aに光ファイバ5Cが接着固定されることによって保持される。また、台座面181Aへの接着固定に加え、台座18Aの左右両側の凸部の内側の側面に光ファイバ5Cが接着固定されることによっても保持される。これにより、台座18Aに光ファイバ5Cを接着固定する強度を増加させることができる。なお、光ファイバ5Cを台座18Aに接着固定するにあたっては、台座18Aの凹部に接着剤が塗布されてもよい。
図4Aに示すように、電源線6は、台座18Aを挟むように、左右に互いに離れて配置されている。すなわち、電源線6は、光ファイバ5Cが固定された台座18Aの凹部の外側に配置されている。これにより、電源線6と光ファイバ5Cとの干渉を抑制することで、電源線6が光ファイバ5Cと干渉することによる光ファイバ5Cの損傷を抑制することができる。
メイン基板21Aは、後述する光電変換ユニット31と、ホスト側に接続するための端子部22Aとを接続する基板である。メイン基板21Aの前端には、端子部22Aが取り付けられている。端子部22Aは、ホスト側に接続するための端子であり、ここではUSB3.1 Standard Aプラグとして構成されている(非特許文献1参照)。端子部22Aのピンは左右方向(幅方向)に並んで配置されている。また、メイン基板21A後端には、電源線6の端部が接続される電源端子24Aが設けられている(図4A及び図5参照)。
メイン基板21Aは、MCU211Aと、接続部23Aとを備えている(図3、図6A及び図6B参照)。MCU211Aは、メイン基板21Aの制御を司る制御回路である。MCU211Aは、例えば、ホスト側コネクタ10Aから供給する電圧を検知し、検知結果に基づいて電源線6の電圧を制御する。また、MCU211Aは、光電変換ユニット31の制御も行う。メイン基板21Aの実装面には、MCU211Aが実装されている。
接続部23Aは、メイン基板21Aと、後述するフレキシブル基板50とを電気的に接続可能にしつつ、フレキシブル基板50を保持する部材である(図6A及び図6B参照)。接続部23Aは、メイン基板21Aの下側に実装されている面実装タイプの電気コネクタである。接続部23Aは、挿入部231と、端子部232とを有する。挿入部231は、後述するフレキシブル基板50のメイン側接続端子52の上下両面を挟みつつ保持する部位である。端子部232は、挿入部231に差し込まれたフレキシブル基板50の端部(メイン側接続端子52)とメイン基板21Aとを電気的に接続可能にする端子である。
ここで、メイン基板の接続端子とフレキシブル基板の接続端子とが半田付けによって接続されることによっても、メイン基板とフレキシブル基板とを電気的に接続することができる。一方、本実施形態では、フレキシブル基板50のメイン側接続端子52をメイン基板21の接続部23(挿入部231)に差し込むことによって、メイン基板21に電気的に接続可能な構成になっている。挿入部231が、メイン側接続端子52の上下両面を挟みつつ保持するので、半田付けが不要である。これにより、メイン基板とフレキシブル基板(光電変換ユニット)との組み立てが容易になる。また、フレキシブル基板を容易に着脱することができるため、光電変換ユニットが故障した際に光電変換ユニットを交換することが容易になる。
デバイス側コネクタ10Bは、ハウジング11Bと、メイン基板21Bと、光電変換ユニット31とを有する(図4B参照)。
ハウジング11Bは、メイン基板21B及び光電変換ユニット31を収容する部材である。ハウジング11Bの材質としては、例えば、金属や樹脂を選択可能であるが、耐ノイズ性、放熱性、加工性を考慮すると金属が好ましい。なお、本実施形態では、ハウジング11Bの材質として、放熱性および加工性を考慮してアルミが採用されている。ハウジング11Bは、カバー部12Bとベース部13Bとを有する。ハウジング11Bの前端部には、端子部22Bが保持される。ハウジング11Bの後端部には、複合ケーブル2の端部(口出し部2X)が、ケーブルクランプ7Bによりベース部13Bに固定されている。なお、デバイス側コネクタ10Bのベース部13Bも、ホスト側コネクタ10Aのベース部13Aと同様に、支持部14Bと、保持部15Bと、台座18Bとを有する。デバイス側コネクタ10Bのベース部13Bの支持部14B、保持部15B及び台座18Bについては、説明を省略する。また、ハウジング11Bには、ロックねじ17が設けられている。
メイン基板21Bは、後述する光電変換ユニット31と、デバイス側に接続するための端子部22Bとを接続する基板である。メイン基板21Bの前端には、端子部22Bが取り付けられている。端子部22Bは、デバイス側に接続するための端子であり、ここではUSB3 Vision Micro Bプラグとして構成されている(非特許文献2参照)。端子部22Bのピンは左右方向(幅方向)に並んで配置されている。また、メイン基板21B後端には、電源線6の端部が接続される電源端子24Bが設けられている(図4B参照)。
メイン基板21Bは、MCU211Bと、接続端子23Bとを備えている(図3、図6A及び図6B参照)。MCU211Bは、メイン基板21Bの制御を司る制御回路である。MCU211Bは、例えばホスト側コネクタ10Aから供給された電圧を検知し、検知結果に基づいて端子部22Bから供給する出力電圧を制御する。また、MCU211Bは、光電変換ユニット31の制御も行う。メイン基板21Bの実装面には、MCU211Bが実装されている。接続端子23Bは、メイン基板21Bと、後述するフレキシブル基板50とを電気的に接続可能にする端子である。また、接続端子23Bも、ホスト側コネクタ10Aの接続部23Aと同様に、メイン基板21Bの下側に実装されている面実装タイプの電気コネクタである。接続端子23Bについては、説明を省略する。
ホスト側コネクタ10A及びデバイス側コネクタ10Bは、それぞれ光電変換ユニット31を有する。本実施形態では、ホスト側コネクタ10Aとデバイス側コネクタ10Bの光電変換ユニット31が共通の構成になっている。光電変換ユニット31を共通化させることによって、製造コストを低減させることが可能になる。
光電変換ユニット31は、発光素子411と、受光素子412と、制御IC42とを備えている(図3参照)。
発光素子411は、光信号を出力する光素子41(電気信号を光信号に変換する光電変換素子)である。発光素子411は、例えばレーザーダイオードである。本実施形態では、発光素子411として、基板に垂直な光を出射するVCSEL(垂直共振器面発光レーザー)が採用されている。受光素子412は、光信号を受信する光素子41(光信号を電気信号に変換する光電変換素子)である。受光素子412は、例えばフォトダイオードである。複合ケーブル2の光ファイバ5Cの一端側には発光素子411が光学的に接続されており、複合ケーブル2の光ファイバ5Cの他端側には受光素子412が光学的に接続されている。なお、本実施形態の光電変換ユニット31では、光ファイバ5Cの端面を受発光素子(発光素子411・受光素子412)に近づけることで、レンズを用いずに光学接続できる構造となっている。これにより、光電変換ユニット31を小型化することができる。
制御IC42は、発光素子411や受光素子412を制御する回路である。具体的には、制御IC42は、発光素子411を駆動するためのレーザドライバや、受光素子412の光電流を電圧信号に変換するためのトランスインピーダンスアンプや、そのトランスインピーダンスアンプの後段にある差動アンプである。
発光素子411及び受光素子412などの光素子41を実装した光素子用基板40は、光ファイバ5Cの光軸に対して垂直に配置される。一方、メイン基板21は、光ファイバ5Cの光軸に対して平行に配置される。つまり、光素子用基板40とメイン基板21は、互いに直交して配置されることになる。本実施形態では、このように直交配置された光素子用基板40とメイン基板21とを電気的に接続するために、フレキシブル基板50を介在させている。
以下、共通化させた光電変換ユニット31の構成について更に詳述する。光電変換ユニット31は、光素子用基板40と、フレキシブル基板50と、光ファイバガイド70とを有する(図6A〜図7B参照)。複合ケーブル2の光ファイバ5Cは、光素子用基板40に固定された光ファイバガイド70を介して光電変換ユニット31に接続されている。
光素子用基板40は、発光素子411及び受光素子412などの光素子41を実装する基板である。ここでは、光素子用基板40は、セラミック基板が採用されている。セラミック基板は精密加工が可能なため、高い位置精度及び寸法精度を必要とする光ファイバ5Cとの光学結合に有利となる。また、セラミック基板は、一般的なプリント基板の材質であるガラスエポキシと比べて熱伝導率が高いため、ハウジング11へ放熱しやすい。具体的には、セラミック基板(アルミナ)の熱伝導率は例えば32W/m・kであるのに対し、ガラスエポキシ基板の熱伝導率は0.3〜0.4W/m・kであり、フレキシブル基板(ポリイミド)の熱伝導率は約0.3W/m・kであるため、セラミック基板は、他の基板と比べて約100倍ほど熱伝導率が高く、放熱に有利である。
ところで、セラミック基板は、ガラスエポキシ基板やフレキシブル基板と比べてインピーダンス整合が難しく、高速信号の長距離伝送には不向きである。このため、本実施形態では、セラミック基板である光素子用基板40に制御IC42と光素子41(発光素子411及び受光素子412)を近づけて配置して、光素子用基板40上の信号線を短くしている。また、他の基板(メイン基板21など)をセラミック基板とすることはインピーダンス整合が難しいことに加えて製造コストの観点からも好ましくないため、光素子用基板40だけをセラミック基板にすると共に、光素子用基板40の小型化を図っている。ここで、制御IC42は、コネクタ10内で特に発熱する部材であるのに対し、制御IC42に近接配置される光素子41(発光素子411及び受光素子412)は、特に熱を回避したい部材である。そのため、光素子用基板40に的を絞って熱を効率的に放熱することは、本実施形態では特に有効となる。
光素子用基板40の前側の面は、光素子41及び制御IC42を実装する実装面になっている。発光素子411及び受光素子412は、フリップチップ実装により、バンプを介して光素子用基板40に電気的に接続されている。制御IC42は、ワイヤボンディングにより光素子用基板40に電気的に接続された上で、封止用樹脂423によって封止されて保護されている。発光素子411の発光面や受光素子412の受光面は、後側(光素子用基板40の側)を向いている。また、発光素子411の発光面や受光素子412の受光面は光ファイバ5Cの端面と対向することになり、これにより、光素子41と光ファイバ5Cとが光接続されることになる。なお、光素子41と光ファイバ5Cとの光接続は、光素子41の受発光面と光ファイバ5Cの端面との対向以外の光学結合によっても良い。例えば、光素子41の受発光面と光ファイバ5Cの端面との間にレンズが挿入されても良い。また、光結合効率の向上や異物混入防止を目的として、光素子41と光ファイバ5Cの端面との間に光透過性のアンダーフィル材が充填されることもある。2つの光素子41(発光素子411及び受光素子412)は、左右方向(幅方向)に並んで配置されている。
光素子用基板40は、基板側ファイバ穴43と、位置決め穴44とを有する。基板側ファイバ穴43は、光ファイバ5Cの裸光ファイバ部分を挿入するための穴であり、前後方向に光素子用基板40を貫通する貫通穴になっている。基板側ファイバ穴43は、光ファイバ5Cの端面の位置決めを行う機能も果たすため、光ファイバ5Cの外径に適合した大きさになっている。具体的には、光ファイバ5Cの裸光ファイバ部分が直径約0.125mmであるのに対し、基板側ファイバ穴43は直径約0.130mmである。基板側ファイバ穴43に挿入された光ファイバ5Cの端面と、光素子用基板40に実装された光素子41(発光素子411及び受光素子412)との間で光信号が入出力することになる。位置決め穴44は、後述する光ファイバガイド70の位置決めピン711を挿入するための穴であり、光ファイバガイド70との位置合わせに用いられる穴である。
光素子用基板40には、フレキシブル基板50と接続するためのくし歯状の接続端子45が形成されている。光素子用基板40の接続端子45は、光素子用基板40の前側の面に形成されている。すなわち、光素子用基板40の接続端子45は、メイン基板21側と同じ側の面に形成されている。仮にメイン基板21側とは反対側の面に光素子用基板40の接続端子45を形成した場合、実装面となる前側の面と接続端子45のある後側の面との間を配線するための貫通ビアが必要になる。したがって、光素子用基板40の接続端子45を光素子用基板40の前側の面に形成すれば、光素子41(及び制御IC42)を実装する実装面と同一の面となるため、この貫通ビアが不要となり、光素子用基板40の製造コストを下げることができる。
ところで、コネクタ内において光ファイバ5Cはできる限り曲げずに配線することが好ましい。このため、光素子用基板40の発光素子411及び受光素子412や基板側ファイバ穴43の位置は、複合ケーブル2から口出しされた光ファイバ5Cをそのまま延長させた位置にあることが好ましい。一方、電気信号のノイズを抑制するためには、光素子用基板40の配線(特に受光素子412と制御IC42との配線)をできる限り短くすることが好ましい。これらの制約があるため、光素子用基板40の上側に発光素子411や受光素子412が配置されると共に、光素子41と接続端子45との間に制御IC42が配置され、光素子用基板40の下側に接続端子45が配置されている。
フレキシブル基板50は、メイン基板21と光素子用基板40との間を電気的に接続する柔軟性のある基板である。
フレキシブル基板50は、第1折れ部501及び第2折れ部502を有する(図6A及び図6B参照)。折り曲げ後のフレキシブル基板50には、第1折れ部501及び第2折れ部502によって、基板側平面部53、接続側平面部54及び中間部55の領域が形成される。また、フレキシブル基板50の一方(基板側平面部53側)の端部には光素子側接続端子51が形成されており、光素子用基板40の接続端子45と半田接続されている。フレキシブル基板50の他方(接続側平面部54側)の端部には、メイン基板21(接続部23)と接続するためのメイン側接続端子52が形成されている。
基板側平面部53は、光素子用基板40の側に位置する平面状の部位である。基板側平面部53は、光素子用基板40と平行な基板面となるため、前後方向(光ファイバ5Cの光軸方向)に垂直な基板面となる。基板側平面部53は、光素子用基板40に接続するための光素子側接続端子51を有する(図7A参照)。光素子用基板40の前側の面に接続端子45が形成されているため、基板側平面部53の後側の面が光素子用基板40の接続端子45に接合されている。
接続側平面部54は、メイン基板21(接続部23)に接続される平面状の部位である。接続側平面部54は、メイン基板21と平行な基板面となるため、上下方向に垂直な基板面(前後方向及び左右方向に平行な基板面)となる。接続側平面部54は、基板側平面部53に対して、垂直な面となる。接続側平面部54の端部には、メイン基板21の接続部23と接続するためのメイン側接続端子52が形成されている(図7A参照)。前述したように、本実施形態では、メイン側接続端子52をメイン基板21の接続部23に差し込むことによって、メイン基板21に電気的に接続可能な構成になっている。
中間部55は、基板側平面部53と接続側平面部54との間の部位である。基板側平面部53が前後方向に垂直な面であるのに対し、接続側平面部54が前後方向に平行な面であるため、基板側平面部53と接続側平面部54とを連結する中間部55は、前後方向に対して傾斜した面となる。また、中間部55は、メイン基板21や光素子用基板40などに拘束されないため、湾曲可能である。
第1折れ部501は、基板側平面部53及び中間部55を区画する折れ部である。第1折れ部501は、上側から見たとき、谷折り状に折り曲げられている。第1折れ部501は、基板側平面部53に対して中間部55を鋭角状に折り曲げる部位である。第1折れ部501によってフレキシブル基板50が鋭角状に折り曲げられることによって、接続側平面部54及び中間部55が光素子用基板40や基板側平面部53よりも前側に位置することになる。第1折れ部501の折り曲げ角(第1折れ部501における基板側平面部53の延長面に対する中間部55の角度)が大きくなるため、第1折れ部501の曲率半径を大きく設定することによって、フレキシブル基板50の損傷を抑制することが望ましい。
第2折れ部502は、接続側平面部54及び中間部55を区画する折れ部である。第2折れ部502は、上側から見たとき、山折り状に折り曲げられている。第2折れ部502は、中間部55に対して接続側平面部54を鈍角状に折り曲げる部位である。第2折れ部502の折り曲げ角(第2折れ部502における中間部55の延長面に対する接続側平面部54の角度)は、第1折れ部501の折り曲げ角よりも小さい。
なお、フレキシブル基板50が光素子用基板40から剥離することを防止するため、光素子用基板40の後下縁と基板側平面部53の後面との境界部には、保護用樹脂56が形成されている。保護用樹脂56は、光素子用基板40の下縁と基板側平面部53の後面との間の角状隙間に形成されているため、光素子用基板40の後下縁の角(かど)によるフレキシブル基板50の損傷を抑制する機能も有する。なお、メイン基板21の接続部23(挿入部231)が接続側平面部54の上下両面を挟みつつ保持することで、フレキシブル基板50がメイン基板21から脱離することを防止している。
本実施形態では、ホスト側コネクタ10Aの側のフレキシブル基板50の折り曲げ方(折れ部の角度)と、デバイス側コネクタBのフレキシブル基板50の折り曲げ方が共通になっている。これにより、フレキシブル基板50を折り曲げる処理に用いられる治具や型などを共通化させることができる。なお、直交配置された光素子用基板40とメイン基板21とを電気的に直接接続可能であれば、フレキシブル基板50は設けられなくても良い。
光ファイバガイド70は、光素子用基板40に固定される部材であり、光ファイバ5Cの端部を保持するガイド保持部材である(図5、図6A及び図6B参照)。図5に示す位置決めピン711は、光素子用基板40の位置決め穴44に挿入されることで、光素子用基板40との位置合わせに用いられる。
<光ファイバガイド70>
図8Aは、光ファイバガイド70の斜視図である。図8Bは、光ファイバガイド70の平面図である。図8Cは、図8BのA−A線における光ファイバガイド70の断面図である。図9Aは、接着剤を充填する前の基板固定部75の状態を示す光ファイバガイド70の斜視図である。図9Bは、接着剤を充填した後の基板固定部75の状態を示す光ファイバガイド70の斜視図である。なお、図8A〜図9Bにおいては、光素子用基板40の図示を透過させている。
光ファイバガイド70は、接続端面71と、接着剤充填部72と、土手部73と、接着剤溜まり部74と、基板固定部75とを有する。
接続端面71は、光ファイバガイド70が光素子用基板40に固定される際に、光素子用基板40と当接する面である。光素子用基板40に接続端面71が当接することによって、光素子用基板40に対する光ファイバガイド70が前後方向に保持される。また、接続端面71には、幅方向に複数本(本実施形態では、2本)の位置決めピン711が突出している。位置決めピン711は、光素子用基板40の位置決め穴44に挿入されることによって、光素子用基板40に対する光ファイバガイド70が上下方向及び左右方向(位置決め穴44に垂直な方向)に保持される。
接着剤充填部72は、光ファイバ5Cを光ファイバガイド70に固定するための接着剤を充填する部位である。接着剤充填部72は、光ファイバガイド70の上面に設けられた凹状に形成された部位である。言い換えれば、接着剤充填部72は、光ファイバ5Cの光軸に平行な光ファイバガイド70の面において開口する凹状の部位である。つまり、接着剤充填部72は、光ファイバ5Cの光軸に平行な底面と、底面から立設された壁面とによって囲まれた凹状の部位である。光ファイバ5Cが接着剤充填部72を横切るように配置されるため、凹状の接着剤充填部72に接着剤を充填することにより、光ファイバ5Cへの接着面積を増大することができる。これにより、光ファイバ5Cの光ファイバガイド70に対する接合強度を向上させることができる。また、接着剤充填部72の前後方向の寸法によって光ファイバ5Cに対する接着剤の塗布長さを一定にできるため、光ファイバガイド70に対して光ファイバ5Cが常に一定の接着面積を確保できるので、光ファイバ5Cにおける接合強度のばらつきを抑制することができる。
本実施形態では、光ファイバガイド70は、左右方向に並ぶ2本の光ファイバ5Cの端部を保持している。つまり、本実施形態では、複数(ここでは2本)の光ファイバ5Cが接着剤充填部72の底面に沿って並んで配置された状態で、複数の光ファイバ5Cが接着剤充填部72に充填された接着剤によって接着固定されることになる。言い換えると、本実施形態では、複数(ここでは2本)の光ファイバ5Cが接着剤充填部72を横切るように並んで配置された状態で、複数の光ファイバ5Cが接着剤充填部72に充填された接着剤によって接着固定されることになる。これにより、どの光ファイバ5Cに対してもほぼ均等な接着強度で確実に接着固定することができる。
なお、接着剤充填部72に充填される接着剤は、UV硬化樹脂である。UV硬化樹脂は紫外線(UV)を照射することにより硬化する。このため、接着剤充填部72に充填した接着剤を硬化する際に、接着剤充填部72が光ファイバガイド70の上面において開口しているので、UVを照射しやすくなっている。
土手部73は、接着剤充填部72に充填された接着剤が、光ファイバ5Cの光素子41側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に流れ込むことを抑制する部位である。仮に接着剤が光素子41の側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に流れ込むと光ファイバ5Cと光素子41との光学結合を阻害するおそれがあるが、土手部73を設けることにより、接着剤が光ファイバ5Cの光素子41の側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に流れ込むことを抑制できる。土手部73は、接着剤充填部72よりも光素子41側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に設けられ、接着剤充填部72に連続した部位である。土手部73は、接着剤充填部72の底面から上方(光ファイバガイド70の上面側)に凸状に形成された部位である。なお、土手部73は、光ファイバ5Cが横切る部分は切り欠かれている(切り欠き部731)。切り欠き部731の内面は、光ファイバ5Cに接しないように設けられている。したがって、この土手部73の切り欠き部731の内面と光ファイバ5Cの隙間にも、接着剤が充填されるようになっている。なお、充填される接着剤がある程度の粘度を持っていれば、切り欠き部731があっても全ての接着剤が切り欠き部731を越えて光ファイバ5Cの光素子41側(光ファイバ5Cの端面側)に流れ出ることはない。また、治具等により一時的に土手部を形成するか、更に粘度の高い接着剤を用いる場合は、土手部73は設けられなくても良い。
接着剤溜まり部74は、土手部73を越えて光ファイバ5Cの光素子41側(光ファイバ5Cの端面側)に侵入してきた接着剤を溜める部位である。接着剤溜まり部74は、土手部73よりも光素子41側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に設けられ、土手部73に連続した部位である。接着剤溜まり部74は、光ファイバガイド70の上面に設けられた凹状に形成された部位である。土手部73の切り欠き部731を通過した接着剤が接着剤溜まり部74に溜まることで、光素子用基板40の光素子41の側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に接着剤が流れ込むことを抑制することができる。これにより、接着剤が光素子用基板40の光素子41の側に付着することが抑制でき、接着剤が光ファイバ5Cと光素子41との光学結合を阻害することが抑制される。なお、接着剤溜まり部74の底面は、接着剤充填部72の底面より下側(深く)設けられても良い。但し、接着剤溜まり部74の底面は、接着剤充填部72の底面と同程度でも良い。また、接着剤溜まり部74は、設けられなくても良い。
基板固定部75は、光ファイバガイド70と、光素子用基板40とを固定する接着剤が充填される部位である(図9A参照)。基板固定部75は、光素子用基板40との間に挟まれる空間に接着剤を充填することで、光ファイバガイド70と、光素子用基板40とを接合固定する。接着剤は、光ファイバガイド70の下側に位置する接着剤充填口751から充填する。接着剤充填口751は、接着剤溜まり部74の開口面とは対向する面、光ファイバガイド70の下面に形成されている。これにより、接着剤充填部72とは別の面において開口する接着剤の充填部を設けることができるので、光ファイバガイド70を小型化することができる。
光ファイバガイドの左右両面には、基板固定部75の空間と連通する開口752が設けられている。開口752は接着剤を充填する際の空気抜き用の開口である。これにより、接着剤充填口751から接着剤を充填する際に、空気を抜きながら基板固定部75に確実に接着剤を充填することができる。
なお、図8A〜図8Cに示す光ファイバガイド70によって保持される光ファイバ5Cは、光ファイバ素線(0.25mm)である。但し、基板側ファイバ穴43に挿入される光ファイバ5Cの端部は、光ファイバ素線の被覆が除去された裸光ファイバ(0.125mm)となっている。つまり、光ファイバガイド70によって保持される光ファイバ5Cは、光ファイバ心線(0.9mm)から被覆が除去された光ファイバ素線となっている。これにより、光ファイバ心線の被覆の伸びにより、光ファイバ5Cの端面がずれてしまうことを抑制することができる。但し、光ファイバガイド70によって光ファイバ心線を保持しても良い。
<光ファイバ付き光電変換ユニットの製造方法>
図10は、光ファイバ付き光電変換ユニットの製造方法のフロー図である。
まず、光素子用基板40を準備し、光素子用基板40に光素子41(発光素子411及び受光素子412)や制御IC42などを実装する処理が行われる(S001)。発光素子411及び受光素子412は、フリップチップ実装により、バンプを介して光素子用基板40に実装される。このとき、バンプの厚みの分だけ、発光素子411の発光面や受光素子412の受光面が、光素子用基板40の実装面から離れて配置されている(後述)。制御IC42は、ワイヤボンディングにより光素子用基板40に実装された後、封止用樹脂423によって封止される。
次に、フレキシブル基板50を準備し、フレキシブル基板50と光素子用基板40とを接続する処理が行われる(S002)。光素子用基板40の接続端子45と、フレキシブル基板50の光素子側接続端子51とが半田付けによって接続される。半田付け後、フレキシブル基板50が光素子用基板40から剥離することを防止するため、光素子用基板40の後下縁と基板側平面部53の前面との境界部に保護用樹脂56が形成される。
次に、光ファイバガイド70を光素子用基板40に固定する処理が行われる(S003)。作業者は、光ファイバガイド70の前側に突出した位置決めピン711の先端部を光素子用基板40の位置決め穴44に挿入する(図8A〜図8C参照)。これにより、光素子用基板40が、光ファイバガイド70に対し、上下方向及び左右方向(位置決め穴44に垂直な方向)に位置決めされる。また、このとき、作業者は、光ファイバガイド70の接続端面71を光素子用基板40の後側の面に接触させる。これにより、光ファイバガイド70が、光素子用基板40に対して前後方向に位置決めされる。
次に、複合ケーブル2の口出しが行われる(S004)。作業者は、複合ケーブル2を準備し、光ファイバ5C及び電源線6の口出しをする。また、作業者は、光ファイバ5C(光ファイバ素線)の端部の被覆を除去し、光ファイバ5C(裸光ファイバ)の端面をカットする。複合ケーブル2の口出しの後処理については、後述する。
その後、作業者は、位置決めピン711を用いて光素子用基板40と光ファイバガイド70との位置決めを行った状態で、光ファイバガイド70の接着剤充填口751から基板固定部75に基板固定用接着剤(熱硬化型樹脂)を充填し、基板固定用接着剤を加熱して光ファイバガイド70を光素子用基板40に固定する。なお、上記のS001〜S004の工程により、光電変換ユニット31が製造される。また、前述した基板固定用接着剤は、UV硬化樹脂よりも熱硬化型樹脂が望ましい。基板固定用接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合、基板固定部75に近接する光素子用基板40や、光ファイバガイド70そのものに遮られてUVを照射しづらいことがある。この結果、基板固定部75のうち、接着剤充填口751から深い箇所等では、基板固定用接着剤が硬化不足になる可能性があるからである。
次に、光素子用基板40の基板側ファイバ穴43に光ファイバ5Cを挿入する処理が行われる(S005)。被覆の除去された光ファイバ5Cの端部(裸光ファイバ部分)が光素子用基板40の基板側ファイバ穴43に挿入され、アクティブ調心により所望の位置に位置決めされる。具体的には、光ファイバ5Cを基板側ファイバ穴43に挿入し、光ファイバ5Cを伝送する光信号の強度を測定しながら、光信号の強度が最大の位置を所望の位置とすることで調心が行われる。これにより、光素子用基板40に実装された光素子41と光ファイバ5Cとの位置合わせが行われるため、光素子41と光ファイバ5Cとの調心を行うことができる。S005の処理により、光ファイバ5Cの端面が、発光素子411の発光面や受光素子412の受光面と対向して配置されることになる。なお、光結合効率の向上や異物混入防止を目的として、光素子41と光ファイバ5Cの端面との間に光透過性のアンダーフィル材が充填されても良い。
光ファイバ5Cの端部を光素子用基板40の基板側ファイバ穴43に挿入したとき、図8A〜図8Cに示すように、光ファイバ5Cの被覆の端部(裸光ファイバと被覆との段差部)は、接着剤充填部72の底面上に位置する。言い換えると、作業者は、光ファイバ5Cの端部の被覆を除去するとき、図8A〜図8Cに示すように光ファイバ5Cの被覆の端部(裸光ファイバと被覆との段差部)が接着剤充填部72の底面上に位置するように、所定長さの被覆を除去する。
発光素子411の発光面や受光素子412の受光面は、バンプの厚みの分だけ、光素子用基板40の実装面から離れて配置されている。このため、発光素子411の発光面や受光素子412の受光面と、光素子用基板40の実装面との間に隙間が形成されている。この隙間は、およそ30μm程度である。本実施形態では、光素子用基板40の実装面に平行な方向からカメラで光素子用基板40の実装面との間に隙間を撮影し、光ファイバ5Cの端面が光素子用基板40の基板側ファイバ穴43の開口から突出することをカメラが検出するまで、光ファイバ5Cを光素子用基板40の基板側ファイバ穴43に挿入する。望ましくは、カメラからの画像データに基づいて、光ファイバ5Cの端面が光素子用基板40の基板側ファイバ穴43の開口から突出した突出量を検出し、所定の突出量になるまで、光ファイバ5Cを光素子用基板40の基板側ファイバ穴43に挿入する。これにより、本実施形態では、発光素子411の発光面や受光素子412の受光面に光ファイバ5Cの端面を近接させることができるため、光ファイバ5Cの端部が光素子用基板40や、発光素子411の発光面、受光素子412の受光面等と衝突することを抑制することができる。なお、左右方向に並ぶ他方の光ファイバ5Cが撮影の邪魔にならないようにするため、また、光素子41が光素子用基板40の上側に配置されているため、カメラは、上から下に向かって光素子用基板40の実装面との間に隙間を撮影することが望ましい。
次に、光ファイバ5Cを光ファイバガイド70に固定する処理が行われる(S006)。光ファイバガイド70の接着剤充填部72にファイバ固定用接着剤(UV硬化樹脂)を充填し、ファイバ固定用接着剤に紫外線を照射して、光ファイバ5Cを光ファイバガイド70に固定する。なお、光ファイバ5Cの段差部分(光ファイバ素線と裸光ファイバとの境界部分)にファイバ固定用接着剤を充填することによって、段差部分における光ファイバ5Cの断線を抑制することができる。
図11Aは、接着剤充填部72に接着剤を充填する前の状態を示す光ファイバガイド70の断面図である。図11Bは、接着剤充填部72に接着剤を充填する途中の状態を示す光ファイバガイド70の断面図である。図11Cは、接着剤充填部72に接着剤を充填した後の状態を示す光ファイバガイド70の断面図である。
図11A〜図11Cに示すように、本実施形態の光ファイバガイド70では、光ファイバ5Cを収容した接着剤充填部72に接着剤Aを充填し、接着剤Aを硬化させることで光ファイバ5Cと光ファイバガイド70とを固定する。また、接着剤充填部72は、光ファイバガイド70の上面に設けられた凹状に形成された部位であるため、図11A〜図11Cに示す通りに接着剤充填部72の開口を上側にした状態で、接着剤を滴下することができる。
図11Bに示す硬化前の接着剤は、図中前後方向に流れることになる。本実施形態の光ファイバガイド70では、接着剤充填部72よりも光素子41側に土手部73が設けられているので、土手部73が接着剤Aを堰き止めるようにして接着剤Aが光素子41側に付着することを抑制することができる。
また、前述したように、土手部73は、光ファイバ5Cが横切る部分は切り欠き部731となっているので、切り欠き部731を接着剤Aが通過して光素子41側に流れ込むことも考えられる。本実施形態の光ファイバガイド70では、土手部73よりも光素子41側に接着剤溜まり部74が設けられているので、接着剤Aが接着剤溜まり部74に溜まることになる。これにより、接着剤Aが光素子41側に付着することが抑制される。
上記の製造工程により、光ファイバ付き光電変換ユニットが製造される。本実施形態の光ファイバ付き光電変換ユニットは、様々な形状のメイン基板21に適用できるように共通化させた構成であるため、この光ファイバ付き光電変換ユニットをコネクタの製造業者に出荷・納品することも可能である。
<光ファイバガイド70の変形例>
図12Aは、変形例に係る光ファイバガイド70の平面図である。図12Bは、図12AのA−A線における光ファイバガイド70の断面図である。変形例に係る光ファイバガイド70では、光ファイバ5Cの下部に土手部73が形成されている。土手部73は、接着剤充填部72の底面から光ファイバ5Cの下部まで盛り上がるように形成された土手状となっており、切り欠き部731を有さない。変形例においても、土手部73は、接着剤充填部72の底面から凸状に形成されているため、接着剤充填部72に接着剤が充填されたときに、接着剤を堰き止めることができ、接着剤が光素子41側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板40の側)に流れ込むことを抑制することができる。このため、土手部73は、変形例のように高さが均一であっても良い。また、土手部73の高さが、光ファイバ5Cの位置に達しない程度の高さでも良い。
<コネクタ付きケーブル1の後処理行程>
以下では、コネクタ付きケーブル1の後処理行程について説明する。コネクタ付きケーブル1の後処理行程とは、複合ケーブル2及び2つのコネクタ(ホスト側コネクタ10A及びデバイス側コネクタ10B)を準備した後の、コネクタ付きケーブル1を組み立てる行程である。コネクタ付きケーブル1の後処理行程は、複合ケーブル2の口出し部2Xの処理の行程と、メイン基板21、光電変換ユニット31と共にハウジング11に収納する行程とを有する。
・口出し部2Xの処理
図13Aは、口出し部2Xの状態を示す複合ケーブル2の長手方向における断面図である。図13Bは、口出し部2Xの状態を示す複合ケーブル2の正面図である。図13A及び図13Bでは、口出し部2Xの形状を示すために、光ファイバコード5の一部及び電源線6は不図示としている。
図13A及び図13Bに示すように、本実施形態の複合ケーブル2の口出し部2Xにおいては、編組4及び抗張力繊維5Yが一定の余長を残して光ファイバ5C及び電源線6の口出しが行われる。
ケーブルシース3内の編組4は、インナーリング5Dの外側に配置され、編組4の余長部分が複合ケーブル2の上部に束ねられ、口出し部2Xの端部から後方に折り曲げて配置されている。なお、編組4の余長部分は、ケーブルシース3(後述する補修テープ9)の外側(上側)に折り曲げて配置されている。そして、折り曲げられた編組4の外側から、金属テープ5Eが周囲に巻かれている構成となっている。口出し部2Xは、金属テープ5E部分の上からケーブルクランプ7によりベース部13に固定されることになる。これにより、編組4から金属テープ5Eを介してハウジング11に対して導通させることができる。
ケーブルシース3内の抗張力繊維5Yは、インナーリング5Dの内側に配置され、抗張力繊維5Yの余長部分が複合ケーブル2の下部に束ねられ、口出し部2Xの端部から後方に折り曲げて配置されている。なお、抗張力繊維5Yの余長部分は、インナーリング5Dの外側、ケーブルシース3(後述する補修テープ9)の内側(上側)に折り曲げて配置されている。これにより、抗張力繊維5Yの余長部分が解れてしまっても、抗張力繊維5Yの余長部分をケーブルシース3内に収容することができるので、後述する補修テープ9を巻くことが容易になる。
図13Bに示すように、口出しの際、編組4の余長部分及び抗張力繊維5Yの余長部分の折り返しは、口出しの際に形成された切り込み部2Yの上下にそれぞれ設けられる。これにより、抗張力繊維5Yが、編組4とコネクタ10のハウジング11との導通を妨げることを抑制することができる。また、切り込み部2Yを介して編組4又は抗張力繊維5Yが飛び出ることを抑制することができる。ケーブルシース3の切り込み部2Yは開かないように補修テープ9で巻かれている。また、補修テープ9は、抗張力繊維5Yの外側、編組4の内側で巻かれている。なお、補修テープ9の材料としては、ポリエステル等を使用することができる。
また、口出し部2Xは、ケーブルクランプ7によりベース部13に固定される際に、ケーブルクランプ7とベース部13とに上下方向から挟まれることにより、複合ケーブル2は、ハウジング11に保持される(図4A〜図5参照)。この際、図13Bに示すように、切り込み部2Yは、横に配置されている。これは、ケーブルクランプ7とベース部13とに上下方向から挟まれることにより、切り込み部2Yが上下に開かないように挟んで保持することができる。これにより、ケーブルシース3内の部材(例えば編組4や抗張力繊維5Y)が切り込み部2Yを介してケーブルシース3外に飛び出ることを抑制することができる。
図13Cは、口出し部2Xの状態の別の例を示す複合ケーブル2の正面図である。図13Bに示す抗張力繊維5Yの余長部分は、インナーリング5Dの外側、ケーブルシース3(後述する補修テープ9)の内側(上側)に折り曲げて配置されていた。しかし、図13Cに示す抗張力繊維5Yの余長部分は、ケーブルシース3(補修テープ9)の外側(下側)に折り曲げて配置されてもよい。なお、補修テープ9を巻く際に、抗張力繊維5Yの余長部分が解れないように一時的に留め具等でケーブルシース3に留めておいてもよい。
・メイン基板21及び光電変換ユニット31の組み立て工程
次に、メイン基板21及び光電変換ユニット31の組み立てを行う。まず、前述したように、フレキシブル基板50(光電変換ユニット31)のメイン側接続端子52をメイン基板21の接続部23に差し込むことによって、光電変換ユニット31とメイン基板21とを電気的に接続する。
メイン基板21と光電変換ユニット31とを接続した後、これらをハウジング11に収納する。光電変換ユニット31、複合ケーブル2の口出し部2X、メイン基板21の端子部22の順番にハウジング11に収納していく。ここで、前述したように、複合ケーブル2の口出し部2Xをハウジング11に収納する際、ケーブルクランプ7によりベース部13に固定されることになる。
ベース部13の複合ケーブル2の口出し部2Xが当接する部分には、突起131が設けられている(図5参照)。突起131は、左右方向に延在する凸状部であり、複合ケーブル2の前後方向の滑りを抑制するように設けられている。抗張力繊維5Yの余長部分を折り曲げた部分を押圧するように設けられている。これにより、複合ケーブル2の長手方向の引張力に対して抗張力繊維5Yで負担することができるので、光ファイバ5C等に過度な引張力が付与されることを抑制することができる。
なお、ケーブルシース3は、複合ケーブル2内で連続して(途中で切断されずに)ケーブルクランプ7によりベース部13に固定されている。また、抗張力繊維5Yについても、複合ケーブル2内で連続して(途中で切断されずに)ケーブルクランプ7によりベース部13に固定されている。これにより、複合ケーブル2のベース部13(ハウジング11)における保持部分にかかる引張力に抵抗することができる。さらに、電源線6についても、複合ケーブル2内で連続して(途中で切断されずに)メイン基板21の電源端子24に接続されている。これにより、複合ケーブル2の引張強度を向上させることができる。
===第2実施形態===
第1実施形態で説明した光電変換ユニット31では、光素子用基板40がコネクタ10のベース部13に設けられた保持部15によって保持されていた。また、光ファイバガイド70の前側に突出した位置決めピン711の先端部を光素子用基板40の位置決め穴44に挿入することによって、光素子用基板40が光ファイバガイド70に対して位置決めされていた。しかし、光ファイバガイドが光素子用基板を保持しても良い。また、光素子用基板が光ファイバガイドに対して位置決めされても良い。
<光電変換ユニット32の基本構造>
図14は、第2実施形態において、メイン基板26に実装されている光電変換ユニット32の斜視図である。光電変換ユニット32は、光ファイバ5Cの端部を保持した状態で、メイン基板26に固定されている。光電変換ユニット32は、光素子用基板46と、光ファイバガイド90とを有する。
光素子用基板46は、光素子41を実装する基板である。ここでは、光素子用基板46は、セラミック基板が採用されている。光素子用基板46の前側の面は、光素子41を実装する実装面になっている。光素子41の受発光面は、後側(光素子用基板46の側)を向いている。光素子用基板46には、光素子41の受発光面と対向する位置にファイバ穴462(図17参照)が設けられている。このファイバ穴462に光ファイバ5Cの端部が挿入されており、光ファイバ5Cの端面が光素子41の受発光面と対向している。光素子用基板46の下縁には、くし歯状に複数の接続端子461が左右方向に並んで形成されている。メイン基板26の実装面には左右方向に沿って複数の接続端子261が形成されており、光素子用基板46の接続端子461とメイン基板26の接続端子261は、半田によって接続されている。
光素子用基板46は、光ファイバ5Cの光軸に対して垂直に配置される。一方、メイン基板26は、光ファイバ5Cの光軸に対して平行に配置される。つまり、光素子用基板46とメイン基板26は、互いに直交して配置されることになる。本実施形態では、光素子用基板46を光ファイバ5Cの光軸に対して垂直に保持する光ファイバガイド90が、メイン基板26に直接固定され、光素子用基板46の下縁がメイン基板26に直接接続される。仮に光素子用基板46の左右方向の位置がずれてしまうと、光素子用基板46の接続端子461とメイン基板26の接続端子261との位置が合わなくなるおそれがある。このため、本実施形態の光ファイバガイド90は、光素子用基板46を所定の位置に保持するように構成されている。
図15A〜図15Dは、第2実施形態における光ファイバガイド90の説明図である。図15Aは、光ファイバガイド90を斜め上側から見た斜視図である。図15Bは、光ファイバガイド90を斜め下側から見た斜視図である。図15Cは、光ファイバガイド90の上面図である。図15Dは、光ファイバガイド90の断面図である。
光ファイバガイド90は、光ファイバ5Cを保持する保持部材であると共に、光素子用基板46を光ファイバ5Cの光軸に対して垂直に保持する部材でもある。光ファイバガイド90は、本体部91と、基板保持部93とを有する。
本体部91は、光ファイバ5Cを保持する部位である。本体部91は、接続端面911と、接着剤充填部912と、土手部913と、接着剤溜まり部915と、凹部922と、突起部923とを有する。
接続端面911は、光ファイバガイド90が光素子用基板46を保持する際に、光素子用基板46と当接する面である。光素子用基板46に接続端面911が当接することによって、光素子用基板46に対する光ファイバガイド90が前後方向に保持される。
接着剤充填部912は、光ファイバ5Cを光ファイバガイド90に固定するための接着剤を充填する部位である。本実施形態では、光ファイバガイド90は、左右方向に並ぶ4本の光ファイバ5Cを保持している。つまり、本実施形態では、複数(ここでは4本)の光ファイバ5Cが接着剤充填部912の底面に沿って並んで配置された状態で、複数の光ファイバ5Cが接着剤充填部912に充填された接着剤によって接着固定されることになる。接着剤充填部912のその他の説明については、第1実施形態の光ファイバガイド70における接着剤充填部72と同様である。これにより、どの光ファイバ5Cに対してもほぼ均等な接着強度で確実に接着固定することができる。
土手部913は、接着剤充填部912に充填された接着剤が、光ファイバ5Cの光素子41の側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板46の側)に流れ込むことを抑制する部位である。なお、土手部913についても、光ファイバ5Cが横切る部分は切り欠かれている(切り欠き部914)。切り欠き部914の底面は、接着剤充填部912の底面よりも高い位置(上側)に形成されている。これにより、接着剤が切り欠き部914を越えて光ファイバ5Cの光素子41の側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板46の側)に流れ出ることを抑制できる。土手部913のその他の説明については、第1実施形態の光ファイバガイド70における土手部73と同様である。
接着剤溜まり部915は、土手部913よりも光素子41の側(光ファイバ5Cの端面側、光素子用基板46の側)に設けられ、土手部913に連続した部位である。接着剤溜まり部915は、土手部913の前側の面と、光素子用基板46の後側の面で構成される空間である。また、接着剤溜まり部915は、上下方向に貫通する空間でもある。土手部913の切り欠き部914を通過した接着剤が接着剤溜まり部915の後側の内面(土手部913の前側の面)を伝って流れることで、光素子用基板46の光素子41の側に接着剤が流れ込むことを抑制することができる。これにより、接着剤が光素子用基板46の光素子41の側に付着することが抑制でき、接着剤が光ファイバ5Cと光素子41との光学結合を阻害することが抑制される。但し、接着剤溜まり部915は、上下方向に貫通する空間ではなく、光ファイバガイド90の上面に設けられた凹状に形成された部位であっても良い。
凹部922は、本体部91の下面921に設けられた凹状の部位である。メイン基板26に光ファイバガイド90を取り付ける際に光ファイバガイド90の下面921を接触させたとき、下面921に凹部922が形成されることによって、光ファイバガイド90とメイン基板26との間に隙間が形成される。後述するように、この隙間に接着剤が浸透し、光ファイバガイド90がメイン基板26に接着固定されることになる。なお、光ファイバガイド90とメイン基板26との間に接着剤が浸透するのであれば、凹部922は形成されなくても良い。なお、凹部922は、本体部91と基板保持部93との間の隙間97と連通している。これにより、隙間97に接着剤を充填したときに、凹部922によって形成された空間(光ファイバガイド90とメイン基板26との間の空間)に接着剤を浸透させることができ、光ファイバガイド90とメイン基板26とを接着固定させることができる。
突起部923は、メイン基板26との位置を合わせるための部位(位置決め部)である。突起部923は、光ファイバガイド90の下部から下方に突出して形成されている。突起部923がメイン基板26の位置決め穴262(位置決め部:図19A参照)に挿入されることにより、光ファイバガイド90がメイン基板26に対して位置合わせされる。このように、突起部923と位置決め穴262は、光ファイバガイド90とメイン基板26との位置を合わせるための位置決め部を構成している。なお、本実施形態では、光ファイバガイド90に位置決めピンとして機能する突起部923を設け、メイン基板26に位置決め穴262が設けられているが、光ファイバガイド90とメイン基板26との位置を合わせる位置決め部の構成は、これに限られるものではない。例えば、光ファイバガイド90に位置決め穴を設け、メイン基板26に位置決めピンを設けても良い。
突起部923の側面には、溝924が形成されている。ここでは、溝924は、突起部923の左右側面にそれぞれ形成されている。溝924は、上下方向に沿って形成されており、突起部923の根元部分(本体部91の下面921の凹部922)まで形成されている。溝924に接着剤が充填されると(図19C参照)、光ファイバガイド90とメイン基板26との間の隙間に接着剤が浸透し、これにより、光ファイバガイド90とメイン基板26とを接着固定することができる。
基板保持部93は、光素子用基板46を保持する部位である。本実施形態では、基板保持部93は、光素子用基板46が光ファイバ5Cの光軸に対して垂直になるように、光素子用基板46を保持する。
本実施形態では、基板保持部93は、本体部91の後側端部から前方(光素子用基板46の側)に延び出るように片持ち梁状に形成されている。これにより、本実施形態の基板保持部93は、左右方向に弾性変形可能に構成されている。
<光電変換ユニット32の製造方法>
図16A〜図16Dは、光ファイバガイド90に光素子用基板46を取り付ける様子を示す図である。
まず、作業者は、光素子41を実装した光素子用基板46と、前述の光ファイバガイド90とを用意する。そして、図16Aに示すように、作業者は、光ファイバガイド90に光素子用基板46を取り付ける。具体的には、作業者は、光ファイバガイド90を逆さまにして作業台(不図示)の上に載置し、光ファイバガイド90の一対の基板保持面961の間に光素子用基板46(逆さまにした光素子用基板46)を挿入して、光ファイバガイド90に光素子用基板46を取り付ける。
図16Aに示すように逆さまにした状態で光ファイバガイド90に光素子用基板46を取り付けるため、図16Bに示すように、光素子用基板46の上面と、光ファイバガイド90の上面とが揃えられる。つまり、光素子用基板46と光ファイバガイド90との上下方向の位置合わせが行われる。
なお、光ファイバガイド90に光素子用基板46を取り付けるときに光ファイバガイド90を逆さまにするのではなく、図16Cに示すように、光ファイバガイド90の一対の基板保持面961の間に光素子用基板46を上側から挿入して、光ファイバガイド90に光素子用基板46を取り付けても良い。
光素子用基板46と光ファイバガイド90との上下方向の位置合わせが行われた後(図16B参照)、図16Dに示すように、作業者は、基板保持部93の上部と光素子用基板46の上部との間に接着剤を塗布し、基板保持部93と光素子用基板46とを接着固定する。この接着剤が硬化して、基板保持部93と光素子用基板46とが接着固定されれば、光素子用基板46と光ファイバガイド90とを備えた光電変換ユニット32が完成する。
図17A及び図17Bは、光電変換ユニット32に光ファイバ5Cを取り付ける様子を示す図である。
まず、図17Aに示すように、作業者は、光ファイバ5Cの端部の被覆を除去し、被覆の除去された光ファイバ5C(裸光ファイバ)の端部を光素子用基板46のファイバ穴462に挿入する。光ファイバ5Cの端部が、光素子用基板46のファイバ穴462に挿入されることによって、上下方向及び左右方向に位置合わせされる。また、光ファイバ5Cが光素子用基板46のファイバ穴462に挿入されることによって光ファイバ5Cの端面が、光素子41の受発光面と対向して配置されることになる。なお、作業者は、光ファイバ5Cの端部を光素子用基板46のファイバ穴462に挿入するとき、アクティブ調心により、光ファイバ5Cの端部の前後方向の位置合わせを行う。次に、図17Bに示すように、作業者は、接着剤を接着剤充填部912に充填し、光ファイバガイド90に光ファイバ5Cの端部を接着固定する。
接着剤充填部912に充填された接着剤が硬化して、光ファイバ5Cの端部が光ファイバガイド90に接着固定されれば、光ファイバ5Cを取り付けた光電変換ユニット32(光電変換ユニット付き光ファイバ、光ファイバ付き光電変換ユニット)が完成する。
図18A〜図18Cは、メイン基板26に光電変換ユニット32を取り付ける様子を示す図である。
まず、図18Aに示すように、作業者は、光ファイバガイド90の突起部923をメイン基板26の位置決め穴262に挿入し、光ファイバガイド90とメイン基板26との位置合わせを行う。突起部923の外形形状が位置決め穴262の外形形状とほぼ同形状に設けられており、突起部923を位置決め穴262に挿入することにより、メイン基板26に対する光ファイバガイド90の前後方向及び左右方向の位置決めが行われる。また、光ファイバガイド90の本体部91の下面921をメイン基板26の上面に当接することにより、メイン基板26に対する光ファイバガイド90の上下方向の位置決めが行われる。
次に、図18Bに示すように、作業者は、光ファイバガイド90の本体部91と基板保持部93のアーム部との間の隙間97に接着剤を充填し、メイン基板26に光電変換ユニット32を接着固定する。
次に、図18Cに示すように、作業者は、光電変換ユニット32を取り付けたメイン基板26を逆さまにして、メイン基板26の下側からも光ファイバガイド90とメイン基板26との間の隙間に接着剤を充填する。
===第3実施形態===
<コネクタ10の基本構造>
図19は、第3実施形態のコネクタ10の分解斜視図である。
第3実施形態においても、コネクタ10は、複合ケーブル2の端部に設けられている。コネクタ10は、ハウジング11と、メイン基板21と、光電変換ユニット31とを有する。
第1実施形態では、ハウジング11とは別部材のケーブルクランプ7により、複合ケーブル2の口出し部2Xが固定されていた。これに対し、第3実施形態では、ケーブルクランプ7がベース部13及びカバー部12のそれぞれに一体的に形成されている(図中ではカバー部12のケーブルクランプ7は不図示)。ベース部13とカバー部12とがネジ留めされると、ベース部13及びカバー部12のそれぞれのケーブルクランプ7によって複合ケーブル2の口出し部2Xが挟持されることになる。第3実施形態では、複合ケーブル2を保持するためのケーブルクランプ7を別部品として用意せずに済むため、部品点数を削減でき、ハウジング11の小型化を図ることができる。
第3実施形態では、ハウジング11(カバー部12)に開口部が形成されており、この開口部に取り外し可能な蓋111が設けられている。これにより、ハウジング11に複合ケーブル2を固定した後においても、作業者は、ハウジング11の内部にアクセスすることができる。このように、複合ケーブル2を保持するケーブルクランプ7がハウジング11に形成されている場合には、ハウジング11に取り外し可能な蓋111を設けることが有効である。
メイン基板21の中央部には、矩形上の穴25(窓)が形成されている。この穴25に光電変換ユニット31が配置されている。メイン基板21の中央部の穴25に光電変換ユニット31を配置することによって、メイン基板21の後端と複合ケーブル2の口出し部2Xとの間の距離を短縮させることができるため、ハウジング11の前後方向の寸法を短縮させることができる。なお、フレキシブル基板50と接続するための接続部23(図19では不図示)は、穴25よりも前側のメイン基板21の下面に配置されている。
<光電変換ユニット31の基本構造>
図20A及び図20Bは、第3実施形態の光電変換ユニット31の斜視図である。なお、図20A及び図20Bでは、光ファイバガイド70の接着剤充填部72に充填された接着剤は不図示としている。図21は、第3実施形態の光電変換ユニット31の分解斜視図である。図に示す通り、光電変換ユニット31は、光素子用基板40と、フレキシブル基板50と、光ファイバガイド70とを有するとともに、保護カバー80を有する。
第3実施形態の光ファイバガイド70の接着剤充填部72は、上側ほど徐々に開口が広がるように、底面が傾斜している。これにより、接着剤の充填が容易になる。また、接着剤充填部72の底面が湾曲面になっているため、第1、第2実施形態のような箱状の凹部として形成された接着剤充填部と比べて、接着剤充填部72に角が無いため、接着剤充填時に接着剤に気泡が巻き込まれにくくなるという利点がある。
また、第3実施形態のフレキシブル基板50は、前後方向に平行なシート状の部材であり、第1実施形態のフレキシブル基板50のような折り曲げ部が無い形状である。これにより、第3実施形態では、フレキシブル基板50を折り曲げる工程が不要となる。また、フレキシブル基板50を折り曲げる工程が不要となるため、折り曲げ工程時の光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51との半田付け部の損傷を回避できる。また、第3実施形態では、フレキシブル基板50とメイン基板21とが平行になるため、狭い場所にフレキシブル基板50を配置可能になる。一方、第3実施形態では、光素子用基板40に対して、フレキシブル基板50を垂直に配置した状態で、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51とを半田付けして、光素子用基板40にフレキシブル基板50を接続することになる。
ところで、フレキシブル基板50は、第1実施形態と同様に、接続端子51を光素子用基板40の接続端子45に半田付けした後に、接続端子52をメイン基板21の接続端子23(電気コネクタ)に差し込むことになる。このため、接続端子52をメイン基板21の接続端子23に差し込むときに、接続端子51と光素子用基板40の接続端子45との半田付け部に力がかかりやすい。特に第3実施形態では、フレキシブル基板50と光素子用基板40とが垂直に配置された状態で両基板が半田付けされるため、接続端子52をメイン基板21の接続端子23に差し込むときに、半田付け部に力がかかりやすい構造になっている。そして、半田付け部にかかる力が大きい場合には、接続端子51と光素子用基板40の接続端子45との半田付け部が損傷するおそれがある。但し、柔軟なフレキシブル基板50が採用されているため、接続端子52をメイン基板21の接続端子23に差し込むときに、フレキシブル基板50がたわむことによって、接続端子51と光素子用基板40の接続端子45との半田付け部にかかる力を緩和させることができる。この結果、本実施形態では、半田付け部の損傷を抑制することができる。
図22Aは、第3実施形態のフレキシブル基板50の光素子側接続端子51の説明図である。フレキシブル基板50の光素子側接続端子51には、半割スルーホール51Aが形成されている。つまり、フレキシブル基板50の端部の両面には、くし歯状の光素子側接続端子51が形成されており、その両面の光素子側接続端子51を電気的に導通させるように半割スルーホール51Aが形成されている。これにより、フレキシブル基板50の端部には、半割スルーホール51Aによって、厚み方向に溝が形成されている。
図22Bは、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51とを半田付けするときの様子の説明図である。本実施形態では、まず、作業者は、光素子用基板40の基板面に対してフレキシブル基板50を垂直に配置させた状態で、光素子用基板40のくし歯状の接続端子45とフレキシブル基板50のくし歯状の光素子側接続端子51との位置を合わせる。なお、図22Aに示すようにフレキシブル基板50の端部には半割スルーホール51Aが形成されており、フレキシブル基板50の半割スルーホール51Aが光素子用基板40の接続端子45の上に配置されるように、光素子用基板40の基板面に対してフレキシブル基板50を垂直に配置させる。次に、作業者は、光素子用基板40の基板面に対してフレキシブル基板50を垂直に配置させた状態で、フレキシブル基板50から見て光素子用基板40の端部の側(光素子41の側とは反対側)において、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51とを半田付けする。これにより、半田付け時にフラックスが飛散しても、フラックスが光素子41(若しくは光素子41の実装面)に付着することを抑制できる。
図22Cは、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51との半田による接続状態の説明図である。図22Bに示すように、本実施形態ではフレキシブル基板50から見て光素子用基板40の端部の側(光素子41の側とは反対側)から半田付けが行われるが、図22Aに示すようにフレキシブル基板50の端部に半割スルーホール51Aが形成されているため、溶融半田が、フレキシブル基板50の半割スルーホール51Aと光素子用基板40の接続端子45との間の隙間に流入する。この結果、図22Cに示すように、フレキシブル基板50から見て光素子用基板40の端部の側(光素子41の側とは反対側)において光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51とが半田付けされるだけでなく、フレキシブル基板50から見て光素子41の側においても、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51とが半田付けされることになる。つまり、フレキシブル基板50の両面において、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51とが半田付けされることになる。これにより、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51との電気的な接続が強固になる。また、本実施形態では半割スルーホール51Aによる隙間に溶融半田を流入させることによって、図22Cに示すようにフレキシブル基板50の両面に半田のフィレットを形成できるため、機械的な強度も向上させることができる。
図23A及び図23Bは、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51との半田付け方法の変形例の説明図である。図23Aは、半田付け前の状態の説明図である。図23Bは、変形例における半田付け後の状態の説明図である。変形例では、図23Aに示すように、フレキシブル基板50の上面側(光素子41の側)の光素子側接続端子51に、予備半田(補充用半田)が予め形成されている。このような予備半田の形成されたフレキシブル基板50と光素子用基板40を同様に半田付けすると、半割スルーホール51Aを通過した溶融半田によって予備半田が一部溶融して結合する。この結果、半割スルーホール51Aを通過する半田の量が少量であっても、図23Bに示すように、フレキシブル基板50から見て光素子41の側において、光素子用基板40の接続端子45とフレキシブル基板50の光素子側接続端子51との電気的な結合を向上させることができる。また、変形例では予備半田を予め形成しておくことによって、中継基板50から見て光素子41の側に形成される半田のフィレットは、図22Cに示す場合の半田のフィレットと比べて大きく形成させることができるため、機械的な強度を更に向上させることができる。
第3実施形態の光電変換ユニット31は、保護カバー80を有する。保護カバー80は、光素子用基板40及び光ファイバガイド70を保護する部材である。光素子用基板40及び光ファイバガイド70の外周を保護カバー80で囲繞して保護することによって、光素子用基板40と光ファイバガイド70との位置ずれを抑制し、これにより、光素子用基板40の光素子41と光ファイバガイド70に保持された光ファイバ5Cとの位置ずれを抑制する。
保護カバー80は、基板収容部81と、ファイバガイド収容部82と、押圧部83とを有する。基板収容部81は、光素子用基板40を収容する部位である。ファイバガイド収容部82は、光ファイバガイド70を収容する部位である。押圧部83は、光ファイバガイド70を前側に押圧する部位である。光素子用基板40及び光ファイバガイド70が保護カバー80に収容されると、基板収容部81の前側の面と押圧部83との間で光素子用基板40及び光ファイバガイド70が挟持されることになる。
保護カバー80の前壁部(ファイバガイド収容部82を構成する前側の壁部)には、上側凹部811と、前側凹部812とが形成されている。
上側凹部811は、ファイバガイド収容部82を構成する内壁面から凹んだ凹部である。保護カバー80に上側凹部811が形成されることによって、保護カバー80の前壁部の内壁面と、光素子用基板40及び光素子41との間に、隙間を形成することができる。上側凹部811は、光素子用基板40の光素子41が保護カバー80に接触することを防止する機能を有する。また、上側凹部811は、保護カバー80に光素子用基板40(及び光ファイバガイド70)を取り付けた状態で、光素子用基板40の実装面や光素子41の上側からの視認を容易にする機能を有する。
前側凹部812は、保護カバー80の前壁部(ファイバガイド収容部82を構成する前側の壁部)の下面から凹んだ凹部である。保護カバー80に前側凹部812が形成されることによって、保護カバー80の前壁部と制御IC42(詳しくは、制御IC42を封止する封止用樹脂)との間に、隙間を形成することができる。前側凹部812は、光素子用基板40の制御ICが保護カバー80に接触することを防止する機能を有する。また、前側凹部812は、保護カバー80に光素子用基板40(及び光ファイバガイド70)を取り付けた状態で、光素子用基板40の実装面、光素子41及び制御IC42の前側からの視認を容易にする機能を有する。
<光ファイバガイド70の変形例>
図に示す光ファイバガイド70の接着剤充填部72の底面は、光ファイバ5Cに対して平行な傾斜面(前後方向に平行な傾斜面)によって構成されている。但し、接着剤充填部72の形状は、これに限られるものではない。
図24は、第3実施形態の変形例の光ファイバガイド70の斜視図である。変形例では、接着剤充填部72の底面は、球面状に形成されている。このため、変形例では、接着剤充填部72の底面は、光ファイバ5Cに対して平行な面ではない。但し、変形例の光ファイバガイド70においても、接着剤充填部72の底面は、上側ほど徐々に開口が広がるように、底面が傾斜している。このため、変形例の光ファイバガイド70においても、接着剤の充填が容易になる。また、変形例では、接着剤充填部72の底面が球面状になっているため、前述の第3実施形態と比べても、接着剤充填時に接着剤に気泡が巻き込まれにくくなるという利点を更に得ることができる。
===その他の実施形態===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。