JPWO2018181131A1 - トナー - Google Patents
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Abstract
定着部材からの印刷紙の離型性と多層剥がれ抑制のバランスに優れるトナーを提供する。結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、前記離型剤の含有量が前記結着樹脂100質量部に対し3〜20質量部であり、前記トナーの印刷表面から0.4μmまでの深さ領域に存在する前記離型剤の量を規定する指標として、全反射吸収赤外分光法により求められる、前記結着樹脂由来の吸光度IBに対する前記離型剤由来の吸光度Iwのピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5であり、特定の試験条件下において、直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを備えるタッキング試験機を用いて行われるタッキング試験により求められる前記トナーの粘着力が5〜32gfであることを特徴とするトナー。
Description
本開示は、電子写真法、静電記録法、及び静電印刷法等において静電潜像を現像するために用いられるトナーに関する。
トナーにより可視化された静電潜像を定着するために、加熱した定着ローラを用いる方式が広く採用されている。トナー定着時には、剥離部材等により定着ロールから印刷紙面を剥がすことにより、印刷紙面の定着ロールへの付着を防ぐのが一般的である。
例えば、特許文献1には、着色剤により画像保持体上に形成された画像に、剥離部材を密着させた後に加熱することにより、画像形成物質を除去する方法が開示されている。当該文献には、剥離部材を当該画像に重ね、加熱することにより、画像形成材料を軟化させると共に、剥離部材との接着力を発生させる結果、画像形成材料と画像保持体との接着力を低減させる旨の記載がある。
特許文献2には、表面に付着した紙の填料やトナーの外添剤が脱離しやすく、性能が変化し難い電子写真用部材の提供を目的とした技術が開示されている。
特許文献2には、表面に付着した紙の填料やトナーの外添剤が脱離しやすく、性能が変化し難い電子写真用部材の提供を目的とした技術が開示されている。
また、定着ローラ等を用い加熱により定着したトナーの剥離性を評価する技術も知られている。特許文献3には、トナー画像の像形成支持部材への接着力を測定するに当たり、トナーを当該部材上に加熱定着させた後、当該部材を定着用加熱ユニットから剥離させ、剥離時の剥離力を計測する接着力測定装置が開示されている。
しかし、特許文献1及び特許文献2においては、トナーではなく、剥離部材側の剥離性が主な検討対象となっている。また、特許文献3に記載の接着力測定装置も、トナーの剥離性を直接向上させる技術とは言えない。
本開示の課題は、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれの抑制との両立である。
本開示の課題は、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれの抑制との両立である。
本発明者らは、トナー印刷の際、その印刷紙面に、剥離部材に起因する傷(いわゆる、剥離爪の跡)がつくことに着目した。また、トナーの粘着力が高いほど、剥離爪の跡が発生する温度が低くなることを見出した。これらの知見から、本発明者らは、トナーからの離型剤の染み出しやすさを制御することにより、定着部材から印刷紙面を離型しやすく出来ることを見出した。
すなわち本開示のトナーは、結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、前記離型剤の含有量が前記結着樹脂100質量部に対し3〜20質量部であり、前記トナーの印刷表面から0.4μmまでの深さ領域に存在する前記離型剤の量を規定する指標として、全反射吸収赤外分光法により求められる、前記結着樹脂由来の吸光度IBに対する前記離型剤由来の吸光度Iwのピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5であり、下記試験条件下において、直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを備えるタッキング試験機を用いて行われるタッキング試験により求められる前記トナーの粘着力が5〜32gfであることを特徴とするトナーである。
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
本開示においては、前記結着樹脂が、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマー、及びメタクリル酸エステルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体であることが好ましい。
本開示においては、前記離型剤がエステルワックスであることが好ましい。
上記の如き本開示によれば、トナー中の離型剤含有量、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量、及びトナーの粘着力をそれぞれ特定の範囲内とすることにより、定着部材からの印刷紙の離型性と多層剥がれ抑制のバランスに優れるトナーが提供される。
本開示のトナーは、結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、前記離型剤の含有量が前記結着樹脂100質量部に対し3〜20質量部であり、前記トナーの印刷表面から0.4μmまでの深さ領域に存在する前記離型剤の量を規定する指標として、全反射吸収赤外分光法により求められる、前記結着樹脂由来の吸光度IBに対する前記離型剤由来の吸光度Iwのピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5であり、下記試験条件下において、直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを備えるタッキング試験機を用いて行われるタッキング試験により求められる前記トナーの粘着力が5〜32gfであることを特徴とするトナーである。
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
以下、本開示のトナーについて説明する。本開示のトナーは、結着樹脂及び離型剤を含有する。
以下、本開示の着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本開示のトナーの製造方法及び本開示のトナーについて、順に説明する。
以下、本開示の着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本開示のトナーの製造方法及び本開示のトナーについて、順に説明する。
1.着色樹脂粒子の製造方法
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印刷特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
一般に、着色樹脂粒子の製造方法は、粉砕法等の乾式法、並びに乳化重合凝集法、懸濁重合法、及び溶解懸濁法等の湿式法に大別され、画像再現性等の印刷特性に優れたトナーが得られ易いことから湿式法が好ましい。湿式法の中でも、ミクロンオーダーで比較的小さい粒径分布を持つトナーを得やすいことから、乳化重合凝集法、及び懸濁重合法等の重合法が好ましく、重合法の中でも懸濁重合法がより好ましい。
上記乳化重合凝集法は、乳化させた重合性単量体を重合し、樹脂微粒子エマルションを得て、着色剤分散液等と凝集させ、着色樹脂粒子を製造する。また、上記溶解懸濁法は、結着樹脂や着色剤等のトナー成分を有機溶媒に溶解又は分散した溶液を水系媒体中で液滴形成し、当該有機溶媒を除去して着色樹脂粒子を製造する方法であり、それぞれ公知の方法を用いることができる。
本開示に用いられる着色樹脂粒子は、湿式法、または乾式法を採用して製造することが出来る。湿式法の中でも好ましい懸濁重合法を採用し、以下のようなプロセスにより行われる。
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体及び離型剤、さらに必要に応じて添加される着色剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体及び離型剤、さらに必要に応じて添加される着色剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。
本開示で重合性単量体は、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。
モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の二トリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の二トリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。したがって、得られる結着樹脂は、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマー、及びメタクリル酸エステルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体であることが好ましい。
結着樹脂がこれらのモノマーの共重合体である場合には、当該共重合体中における、スチレン単量体単位、アクリル酸エステル単量体単位、及びメタクリル酸エステル単量体単位の比は、特に限定されない。これら3種類の単量体単位の比は、共重合体合成時のモノマー添加量の質量比により調節することができる。当該添加量の質量比としては、例えば、(スチレン):(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル)=65:35〜85:15であってもよく、(スチレン):(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル)=70:30〜80:20であることが好ましい。
結着樹脂がこれらのモノマーの共重合体である場合には、当該共重合体中における、スチレン単量体単位、アクリル酸エステル単量体単位、及びメタクリル酸エステル単量体単位の比は、特に限定されない。これら3種類の単量体単位の比は、共重合体合成時のモノマー添加量の質量比により調節することができる。当該添加量の質量比としては、例えば、(スチレン):(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル)=65:35〜85:15であってもよく、(スチレン):(アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル)=70:30〜80:20であることが好ましい。
ホットオフセット改善及び保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。
架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本開示では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールに炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本開示では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。
さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いる。
製造されるトナーが、優れた耐熱保存性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性を有し、且つ、印刷面を平滑にでき、さらに高いグロスの印刷物を与えることを目的として、重合性単量体組成物には、スチレン70〜95質量%と(メタ)アクリル酸アルキル5〜30質量%との共重合体であり、且つ当該共重合体のガラス転移温度が5〜60℃である定着助剤をさらに使用することが好ましい。なお、本願明細書において、「(メタ)アクリル酸」との表現は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を総称するものとする。
本開示では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等の染料及び顔料が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料、染料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、213、及び214、並びにC.I.ソルベントイエロー98等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料、染料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本開示では、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。
定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善する観点から、重合性単量体組成物には、離型剤を添加する。離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。
上記離型剤は、エステルワックス及び炭化水素系ワックスの少なくともいずれか1つを含有することが好ましい。これらのワックスを離型剤として使用することにより、低温定着性と保存性とのバランスを好適にすることができる。この中でも、上記離型剤がエステルワックスであることが好ましい。
本開示において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘプタベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもグリセリンエステル化合物、及び、ペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、また、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、テトラグリセリンヘプタベヘネートがより好ましく、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、及びペンタエリスリトールテトラステアレートが特に好ましい。
本開示において離型剤として好適に用いられるエステルワックスは、多官能エステルワックスがより好適であり、例えば、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のペンタエリスリトールエステル化合物;ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘプタベヘネート、トリグリセリンペンタベヘネート、ジグリセリンテトラベヘネート、グリセリントリベヘネート等のグリセリンエステル化合物;ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート等のジペンタエリスリトールエステル化合物;等が挙げられ、中でもグリセリンエステル化合物、及び、ペンタエリスリトールエステル化合物が好ましく、また、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、テトラグリセリンヘプタベヘネートがより好ましく、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、及びペンタエリスリトールテトラステアレートが特に好ましい。
上記エステルワックスの酸価は、2mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることがより好ましく、0.5mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。なお、エステルワックスの酸価は、日本油化学協会(JOCS)制定の規準油脂分析法を用いて、JOCS 2.3.1−96に準拠して測定される値である。
上記エステルワックスの酸価が、上記上限以下である場合には、当該エステルワックス中に残存する未反応の1価の脂肪酸由来のカルボン酸基が少ないことから、液滴形成工程において、重合性単量体組成物の液滴を安定して形成することが容易となり、着色樹脂粒子の粒径特性への悪影響も少なく、カブリ等による画質の劣化が起り難くなる他、定着時における揮発性物質の発生も少なく臭気の原因になりにくい。
本開示において、エステルワックスの水酸基価は、15mgKOH/g以下であることが好ましく、10mgKOH/g以下であることがより好ましく、5mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。なお、エステルワックスの水酸基価は、日本油化学協会(JOCS)制定の基準油脂分析試験法を用いて、JOCS 2.3.6.2−96に準拠して測定される値である。
上記エステルワックスの水酸基価が、上記上限以下である場合には、当該エステルワックス中に残存する未反応の原料由来の水酸基が少ないことから、液滴形成工程において、重合性単量体組成物の液滴を安定して形成することが容易となり、着色樹脂粒子の粒径特性への悪影響も少なく、カブリ等による画質の劣化が起り難い。
本開示において離型剤として好適に用いられる炭化水素系ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
炭化水素系ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素系ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。
上記「石油系ワックス」とは、石油の精製工程から製造され、側鎖を有する飽和炭化水素を主成分とする常温で固体のものをいい、JIS K 2235では、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、及びペトラタムの3種に大別している。本開示では、これらの3種の中から少なくとも1種を選択して離型剤の成分として用いることが好ましい。また、石油系ワックスの中でも、トナーの低温定着性、及び保存性のバランスを好適にする観点から、パラフィンワックス、及びマイクロクリスタリンワックスがより好ましい。
上記離型剤の他にも、例えば、ホホバ等の天然ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;等を用いることができる。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
離型剤は、上述した1種又は2種以上のワックスを組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し2〜25質量部であり、好適には8〜18質量部であり、より好適には10〜15質量部である。離型剤の当該含有量は、後述する印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量と相関があるため、離型剤の当該含有量を適切に調整することによって、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を後述する範囲内に収めることができる。
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本開示では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部以上であれば、カブリ発生のおそれが少ない。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部以下であれば、印刷汚れ発生のおそれが少ない。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく、さらに、正帯電性トナーを得る観点からは、正帯電性の帯電制御樹脂がより好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御剤としては、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、トリアミノトリフェニルメタン化合物及びイミダゾール化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのポリアミン樹脂、並びに4級アンモニウム基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御剤としては、Cr、Co、Al、及びFe等の金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物及びアルキルサリチル酸金属化合物、並びに、好ましく用いられる帯電制御樹脂としてのスルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体及びカルボン酸塩基含有共重合体等が挙げられる。
本開示では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.03〜8質量部の割合で用いることが望ましい。帯電制御剤の添加量が、0.01質量部以上であれば、カブリ発生のおそれが少ない。一方、帯電制御剤の添加量が10質量部以下であれば、印刷汚れ発生のおそれが少ない。
その他の添加物として、重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本開示では、少なくとも重合性単量体及び離型剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
本開示では、少なくとも重合性単量体及び離型剤を含む重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジエチルアセテート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印刷耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。
有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。
本開示において、水系媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。
本開示において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られる重合トナーが画像を鮮明に再現することができ、更に環境安定性を悪化させない。
(A−3)重合工程
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
上記(A−2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色樹脂粒子は、そのまま外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
着色樹脂粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
(A−4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂及び離型剤、さらに必要に応じて添加される着色剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂及び離型剤、さらに必要に応じて添加される着色剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、ヘンシェルミキサー(:商品名)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー、フォールバーグ等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕した後、風力分級機、気流式分級機等の分級機により、所望の粒径に分級して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
なお、粉砕法で用いる結着樹脂及び離型剤、さらに必要に応じて添加される着色剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
結着樹脂としては、他にも、従来からトナーに広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
2.着色樹脂粒子
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上述の(A)懸濁重合法、又は(B)粉砕法等の製造方法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、より好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm以上であれば、トナーの流動性が高く、優れた転写性を維持でき、高い画像濃度を保つことができる。Dvが12μm以下であれば、画像の解像度を高く維持できる。
また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3以下であれば、転写性、画像濃度及び解像度をいずれも高く維持できる。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
本開示の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96以上であれば、印刷の細線再現性が悪化するおそれが少ない。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96以上であれば、印刷の細線再現性が悪化するおそれが少ない。
本開示において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本開示における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
3.トナーの製造方法
本開示においては、上記着色樹脂粒子を、そのままでトナーとすることもできるが、トナーの定着部材に対する剥離性を向上させ、かつ多層剥がれを回避する観点から、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)としてもよい。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
本開示においては、上記着色樹脂粒子を、そのままでトナーとすることもできるが、トナーの定着部材に対する剥離性を向上させ、かつ多層剥がれを回避する観点から、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)としてもよい。
なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
本開示では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部以上であれば転写残が発生するおそれが少ない。外添剤の添加量が6質量部以下であればカブリが発生するおそれが少ない。
4.本開示のトナー
本開示のトナーは、結着樹脂100質量部に対する離型剤含有量を3〜20質量部とした上で、さらに、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量の指標となる吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5の範囲内であり、かつトナーの粘着力が5〜32gfの範囲内である結果、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれの抑制とを両立させることができる。ここで、「多層剥がれ」とは重ねあわせて印刷されたトナー層が、紙面との界面又はトナー層内部で剥がれる現象をいう。
本開示のトナーは、結着樹脂100質量部に対する離型剤含有量を3〜20質量部とした上で、さらに、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量の指標となる吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5の範囲内であり、かつトナーの粘着力が5〜32gfの範囲内である結果、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれの抑制とを両立させることができる。ここで、「多層剥がれ」とは重ねあわせて印刷されたトナー層が、紙面との界面又はトナー層内部で剥がれる現象をいう。
ここでいう「印刷表面」とは、トナーにより印刷された印刷対象物表面の印刷部分を意味する。したがって、例えば、印刷対象物が紙の場合には、トナーにより印刷されたその紙の表面の印刷部分が「印刷表面」となる。
また、ここでいう「印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量」とは、具体的には、トナーの印刷表面から0.4μmまでの深さ領域に存在する離型剤の量を意味する。このような離型剤の量を直接測定したり、評価したりすることは困難であるため、当該離型剤の量を規定する指標として、全反射吸収赤外分光法により測定した吸光度のピーク強度比を用いる。具体的には、全反射吸収赤外分光法により求められる、結着樹脂由来の吸光度IBに対する離型剤由来の吸光度Iwのピーク強度比(Iw/IB)をもって、離型剤の量を規定する指標とする。当該ピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5の範囲内であり、好適には4.0〜7.5の範囲内である場合には、印刷表面及びその近傍に適量の離型剤が染み出ていることとなり、その結果、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれの抑制との両立を図ることが出来る。さらに、後述するトナーの粘着力が後述する数値範囲内であることにより、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれ抑制とのバランスが保たれる。具体的には、後述するトナーの粘着力が32gf以下であれば定着部材からの印刷紙の剥離性に優れる傾向にあり、後述するトナーの粘着力が5gf以上であれば多層剥がれを抑えられる傾向にある。このように、トナーの粘着力についても後述する条件を満たす必要がある。
また、ここでいう「印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量」とは、具体的には、トナーの印刷表面から0.4μmまでの深さ領域に存在する離型剤の量を意味する。このような離型剤の量を直接測定したり、評価したりすることは困難であるため、当該離型剤の量を規定する指標として、全反射吸収赤外分光法により測定した吸光度のピーク強度比を用いる。具体的には、全反射吸収赤外分光法により求められる、結着樹脂由来の吸光度IBに対する離型剤由来の吸光度Iwのピーク強度比(Iw/IB)をもって、離型剤の量を規定する指標とする。当該ピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5の範囲内であり、好適には4.0〜7.5の範囲内である場合には、印刷表面及びその近傍に適量の離型剤が染み出ていることとなり、その結果、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれの抑制との両立を図ることが出来る。さらに、後述するトナーの粘着力が後述する数値範囲内であることにより、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれ抑制とのバランスが保たれる。具体的には、後述するトナーの粘着力が32gf以下であれば定着部材からの印刷紙の剥離性に優れる傾向にあり、後述するトナーの粘着力が5gf以上であれば多層剥がれを抑えられる傾向にある。このように、トナーの粘着力についても後述する条件を満たす必要がある。
本開示において、前記ピーク強度比(Iw/IB)の算出方法の例は以下の通りである。
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットする。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷する。得られた未定着画像の用紙を、定着温度と定着速度を調整可能な、表面がフッ素系樹脂の定着ロールを有する定着器を通して、定着設定温度を180℃、定着速度(A4、20ppm相当)の条件で、定着し印刷画像を得る。
印刷画像中の印刷表面を全反射吸収赤外分光法により測定し、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定する。測定装置等の詳細は以下の通りとする。
FTIR装置:低入射角ATR、例えば、Nicolet−6700(製品名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にGATR用ユニットを併設したもの
分析深さ:印刷表面から約0.4μm
赤外線の入射角:65°
分解能:4cm−1
積算回数:256
測定により得られた離型剤由来の吸光度Iwを、同じく測定により得られた結着樹脂由来の吸光度IBにより除し、ピーク強度比(Iw/IB)を算出する。測定場所を変えて3回測定し、得られた3つのピーク強度比(Iw/IB)の平均を、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定する指標とする。
結着樹脂や離型剤の種類が異なれば、吸光度ピークの波長も異なる。例えば、結着樹脂としてメチレン鎖を主骨格とするポリマーを用いる場合には、そのメチレン鎖中のC−H結合の伸縮振動に対応する吸光度ピークの波長は3025cm−1となる。このようなポリマーの例としては、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマー、及びメタクリル酸エステルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体が挙げられる。
また、例えば、離型剤としてエステルワックスを用いる場合には、その主骨格であるエステル部分のメチレン鎖(C=H)の伸縮振動に対応する吸光度ピークの波長は2920cm−1となる。
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットする。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷する。得られた未定着画像の用紙を、定着温度と定着速度を調整可能な、表面がフッ素系樹脂の定着ロールを有する定着器を通して、定着設定温度を180℃、定着速度(A4、20ppm相当)の条件で、定着し印刷画像を得る。
印刷画像中の印刷表面を全反射吸収赤外分光法により測定し、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定する。測定装置等の詳細は以下の通りとする。
FTIR装置:低入射角ATR、例えば、Nicolet−6700(製品名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にGATR用ユニットを併設したもの
分析深さ:印刷表面から約0.4μm
赤外線の入射角:65°
分解能:4cm−1
積算回数:256
測定により得られた離型剤由来の吸光度Iwを、同じく測定により得られた結着樹脂由来の吸光度IBにより除し、ピーク強度比(Iw/IB)を算出する。測定場所を変えて3回測定し、得られた3つのピーク強度比(Iw/IB)の平均を、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定する指標とする。
結着樹脂や離型剤の種類が異なれば、吸光度ピークの波長も異なる。例えば、結着樹脂としてメチレン鎖を主骨格とするポリマーを用いる場合には、そのメチレン鎖中のC−H結合の伸縮振動に対応する吸光度ピークの波長は3025cm−1となる。このようなポリマーの例としては、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマー、及びメタクリル酸エステルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体が挙げられる。
また、例えば、離型剤としてエステルワックスを用いる場合には、その主骨格であるエステル部分のメチレン鎖(C=H)の伸縮振動に対応する吸光度ピークの波長は2920cm−1となる。
本開示において、トナーの粘着力は、下記試験条件下において、直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを備えるタッキング試験機を用いて行われるタッキング試験により求められる値である。
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
タッキング試験の手順は以下の通りである。
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットする。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷する。
次に、タッキング試験機のステージ温度及びプローブ温度を上記温度まで上げる。続いて、印刷表面に上記フッ素系樹脂製プローブを上記圧力及び接触速度で押し付ける。上記押圧時間後に、上記退避速度で当該プローブを印刷表面から離す。
上記退避速度で当該プローブを印刷表面から引き離す際、印刷表面にかかるプローブ圧力が0となったところで、当該プローブと印刷表面とは離れるはずである。しかし、印刷表面が粘着性を有する場合、当該プローブにより印刷表面が引っ張られる。その引っ張りによって、印刷表面にかかるプローブ圧力が負の値となる。
本開示においては、この引っ張りによるプローブ圧力の絶対値を、そのトナーの粘着力とする。
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットする。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷する。
次に、タッキング試験機のステージ温度及びプローブ温度を上記温度まで上げる。続いて、印刷表面に上記フッ素系樹脂製プローブを上記圧力及び接触速度で押し付ける。上記押圧時間後に、上記退避速度で当該プローブを印刷表面から離す。
上記退避速度で当該プローブを印刷表面から引き離す際、印刷表面にかかるプローブ圧力が0となったところで、当該プローブと印刷表面とは離れるはずである。しかし、印刷表面が粘着性を有する場合、当該プローブにより印刷表面が引っ張られる。その引っ張りによって、印刷表面にかかるプローブ圧力が負の値となる。
本開示においては、この引っ張りによるプローブ圧力の絶対値を、そのトナーの粘着力とする。
タッキング試験により測定されるトナーの粘着力が5〜32gfの範囲内であり、好適には8〜18gfの範囲内である場合には、トナーのロール剥離性が適切に保たれているため、定着部材からの印刷紙の剥離性に優れる。さらに、上記ピーク強度比(Iw/IB)が上述した数値範囲内であることにより、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれ抑制とのバランスが保たれる。具体的には、上記ピーク強度比(Iw/IB)が8.5以下であれば、離型剤が印刷表面から染み出し過ぎていないことを意味するため、多層剥がれを抑えられる傾向にある。一方、上記ピーク強度比(Iw/IB)が2.0以上であれば、離型剤が印刷表面に十分な量現れていることを意味するため、定着部材からの印刷紙の剥離性に優れる傾向にある。このように、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量についても上記ピーク強度比(Iw/IB)の条件を満たす必要がある。
上記タッキング試験は、印刷表面と定着ロールとの付着性を評価することにより、トナーのロール剥離性を評価する新しい試験法である。
トナー印刷の際、その印刷表面に、剥離部材に起因する傷(剥離爪の跡)がつくことがある。上記タッキング試験によれば、トナーの粘着力が高いほど、剥離爪の跡が発生する温度が低くなる傾向にあることが分かる。
トナー印刷の際、その印刷表面に、剥離部材に起因する傷(剥離爪の跡)がつくことがある。上記タッキング試験によれば、トナーの粘着力が高いほど、剥離爪の跡が発生する温度が低くなる傾向にあることが分かる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本開示を更に具体的に説明するが、本開示は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
1.トナーの製造
[実施例1]
(1)コア用重合性単量体組成物の調製
重合性単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.25部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.9部、ブラック着色剤としてカーボンブラック12部を、メディア型乳化分散機を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
湿式粉砕により得られた上記混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−676P)4.3部、離型剤としてワックスa(ペンタエリスリトールテトラステアレート、酸価:0.1(mgKOH/g)、水酸基価:3(mgKOH/g))6部及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
[実施例1]
(1)コア用重合性単量体組成物の調製
重合性単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.25部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.9部、ブラック着色剤としてカーボンブラック12部を、メディア型乳化分散機を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
湿式粉砕により得られた上記混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−676P)4.3部、離型剤としてワックスa(ペンタエリスリトールテトラステアレート、酸価:0.1(mgKOH/g)、水酸基価:3(mgKOH/g))6部及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
(2)水系分散媒体の調製
他方、イオン交換水280部に塩化マグネシウム10.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム7.3部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
他方、イオン交換水280部に塩化マグネシウム10.4部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム7.3部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド分散液を調製した。
(3)造粒工程
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量:5.3部)に、上記重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部を添加した。重合開始剤を添加した分散液を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)により、回転数15,000rpmにて分散を行い、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量:5.3部)に、上記重合性単量体組成物を投入し、さらに攪拌して、そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部を添加した。重合開始剤を添加した分散液を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)により、回転数15,000rpmにて分散を行い、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
(4)懸濁重合工程
重合性単量体組成物の液滴を含有する分散液を、反応器に入れ、90℃に昇温して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性開始剤)0.1部を溶解したものを反応器に添加した。次いで、95℃で4時間維持して、重合を更に継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
重合性単量体組成物の液滴を含有する分散液を、反応器に入れ、90℃に昇温して重合反応を行った。重合転化率がほぼ100%に達した後、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性開始剤)0.1部を溶解したものを反応器に添加した。次いで、95℃で4時間維持して、重合を更に継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型着色樹脂粒子の水分散液を得た。
(5)後処理工程
着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下となるまで硫酸を添加して酸洗浄を行った後(25℃、10分間)、濾別した着色樹脂粒子を、水で洗浄し、洗浄水を濾過した。この際の濾液の電気伝導度は、20μS/cmであった。さらに洗浄・ろ過工程後の着色樹脂粒子を脱水・乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子100部に、疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、製品名:TG820F)0.7部と、疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名:NEA50)1.5部を添加してFMミキサー(:製品名、日本コークス工業社製)を用いて混合し、実施例1のトナーを製造した。
着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、pHが4.5以下となるまで硫酸を添加して酸洗浄を行った後(25℃、10分間)、濾別した着色樹脂粒子を、水で洗浄し、洗浄水を濾過した。この際の濾液の電気伝導度は、20μS/cmであった。さらに洗浄・ろ過工程後の着色樹脂粒子を脱水・乾燥し、乾燥した着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子100部に、疎水化処理されたシリカ微粒子(キャボット社製、製品名:TG820F)0.7部と、疎水化処理されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名:NEA50)1.5部を添加してFMミキサー(:製品名、日本コークス工業社製)を用いて混合し、実施例1のトナーを製造した。
[実施例2]
上記「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から14部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
上記「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から14部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナーを得た。
[実施例3]
上記「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
上記「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のトナーを得た。
[実施例4]
上記「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から3部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のトナーを得た。
上記「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から3部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4のトナーを得た。
[実施例5]
(1)コア用重合性単量体組成物の調製
重合性単量体としてスチレン73部及びn−ブチルアクリレート27部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、マゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 122)8部を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−161P)1部、離型剤としてワックスb(ペンタエリスリトールテトラパルミテート、酸価:0.1(mgKOH/g)、水酸基価:3(mgKOH/g))とワックスc(ヘキサグリセリンオクタベヘネート、酸価:0.5(mgKOH/g)、水酸基価:8(mgKOH/g))とを合わせて14部、及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
あとは、実施例1の(2)〜(5)と同様の工程を行い、実施例5のトナーを得た。
(1)コア用重合性単量体組成物の調製
重合性単量体としてスチレン73部及びn−ブチルアクリレート27部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、マゼンタ着色剤(C.I.Pigment Red 122)8部を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて分散させて、重合性単量体混合物を得た。
湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−161P)1部、離型剤としてワックスb(ペンタエリスリトールテトラパルミテート、酸価:0.1(mgKOH/g)、水酸基価:3(mgKOH/g))とワックスc(ヘキサグリセリンオクタベヘネート、酸価:0.5(mgKOH/g)、水酸基価:8(mgKOH/g))とを合わせて14部、及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
あとは、実施例1の(2)〜(5)と同様の工程を行い、実施例5のトナーを得た。
[実施例6]
(1)コア用重合性単量体組成物の調製
重合性単量体としてスチレン73部及びn−ブチルアクリレート27部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.1部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.7部、イエロー着色剤としてC.I.ピグメントイエロー214 10.0部及びC.I.ソルベントトイエロー98 2.0部を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて湿式分散し、重合性単量体混合物を得た。
湿式粉砕により得られた上記混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−161P)0.6部、離型剤としてワックスa 14部及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
あとは、実施例1の(2)〜(5)と同様の工程を行い、実施例6のトナーを得た。
(1)コア用重合性単量体組成物の調製
重合性単量体としてスチレン73部及びn−ブチルアクリレート27部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、Tg=94℃)0.1部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.7部、イエロー着色剤としてC.I.ピグメントイエロー214 10.0部及びC.I.ソルベントトイエロー98 2.0部を、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて湿式分散し、重合性単量体混合物を得た。
湿式粉砕により得られた上記混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−161P)0.6部、離型剤としてワックスa 14部及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1.0部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を調製した。
あとは、実施例1の(2)〜(5)と同様の工程を行い、実施例6のトナーを得た。
[実施例7]
上記実施例5の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例7のトナーを得た。
上記実施例5の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例7のトナーを得た。
[実施例8]
上記実施例6の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を14部から4部に変更したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例8のトナーを得た。
上記実施例6の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を14部から4部に変更したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例8のトナーを得た。
[実施例9]
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン80部及びn−ブチルアクリレート20部を用い、かつワックスaの添加量を6部から3部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のトナーを得た。
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン80部及びn−ブチルアクリレート20部を用い、かつワックスaの添加量を6部から3部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のトナーを得た。
[比較例1]
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ジビニルベンゼンの添加量を0.9部から0.7部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ジビニルベンゼンの添加量を0.9部から0.7部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。
[比較例2]
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から25部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。
[比較例3]
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、ワックスaの添加量を6部から1部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。
[比較例4]
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン85部及びn−ブチルアクリレート15部を用い、かつワックスaの添加量を6部から20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン85部及びn−ブチルアクリレート15部を用い、かつワックスaの添加量を6部から20部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。
[比較例5]
上記実施例5の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン65部及びn−ブチルアクリレート35部を用い、かつ離型剤としてワックスbとワックスcとを合わせて23部用い、かつブラック着色剤としてカーボンブラック12部を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例5のトナーを得た。
上記実施例5の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン65部及びn−ブチルアクリレート35部を用い、かつ離型剤としてワックスbとワックスcとを合わせて23部用い、かつブラック着色剤としてカーボンブラック12部を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例5のトナーを得た。
[比較例6]
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン90部及びn−ブチルアクリレート10部を用い、かつワックスaの添加量を6部から0.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6のトナーを得た。
上記実施例1の「(1)コア用重合性単量体組成物の調製」において、重合性単量体としてスチレン90部及びn−ブチルアクリレート10部を用い、かつワックスaの添加量を6部から0.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6のトナーを得た。
2.トナーの評価
実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例6の各トナーについて、全反射吸収赤外分光法(FTIR−ATR法)による測定、及びタッキング試験を行った。詳細は以下の通りである。
実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例6の各トナーについて、全反射吸収赤外分光法(FTIR−ATR法)による測定、及びタッキング試験を行った。詳細は以下の通りである。
(1)全反射吸収赤外分光法による測定
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷した。得られた未定着画像の用紙を、定着温度と定着速度を調整可能な、表面がフッ素系樹脂の定着ロールを有する定着器を通して、定着設定温度を180℃、定着速度(A4、20ppm相当)の条件で、定着し印刷画像を得た。
印刷画像中の印刷表面(トナーにより印刷されたその紙の表面の印刷部分)を全反射吸収赤外分光法(FTIR−ATR法)により測定し、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定した。測定装置等の詳細は以下の通りである。
FTIR装置:低入射角ATR、Nicolet−6700(製品名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にGATR用ユニットを併設したもの
分析深さ:印刷表面から約0.4μm
赤外線の入射角:65°
分解能:4cm−1
積算回数:256
測定により得られた離型剤由来の吸光度Iw(2920cm−1)を、同じく測定により得られた結着樹脂由来の吸光度IB(3025cm−1)により除し、ピーク強度比(Iw/IB)を算出した。測定場所を変えて3回測定し、得られた3つのピーク強度比(Iw/IB)の平均を、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定する指標とした。
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷した。得られた未定着画像の用紙を、定着温度と定着速度を調整可能な、表面がフッ素系樹脂の定着ロールを有する定着器を通して、定着設定温度を180℃、定着速度(A4、20ppm相当)の条件で、定着し印刷画像を得た。
印刷画像中の印刷表面(トナーにより印刷されたその紙の表面の印刷部分)を全反射吸収赤外分光法(FTIR−ATR法)により測定し、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定した。測定装置等の詳細は以下の通りである。
FTIR装置:低入射角ATR、Nicolet−6700(製品名、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にGATR用ユニットを併設したもの
分析深さ:印刷表面から約0.4μm
赤外線の入射角:65°
分解能:4cm−1
積算回数:256
測定により得られた離型剤由来の吸光度Iw(2920cm−1)を、同じく測定により得られた結着樹脂由来の吸光度IB(3025cm−1)により除し、ピーク強度比(Iw/IB)を算出した。測定場所を変えて3回測定し、得られた3つのピーク強度比(Iw/IB)の平均を、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量を規定する指標とした。
(2)タッキング試験
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷した。
未定着画像中の印刷表面(トナーにより印刷されたその紙の表面の印刷部分)について、室温下でタッキング試験を行った。詳細な試験条件は以下の通りである。
[試験条件]
タッキング試験機:TAC−1000(製品名、レスカ社製)に直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを取り付けたもの
ロードセル定格容量:5kgf
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
まず、タッキング試験機のステージ温度及びプローブ温度を上記温度まで上げた。次に、印刷表面に上記フッ素系樹脂製プローブを上記圧力及び接触速度で押し付けた。上記押圧時間後に、上記退避速度で当該プローブを印刷表面から離した。
上記退避速度で当該プローブを印刷表面から引き離す際、印刷表面にかかるプローブ圧力が0となったところで、当該プローブと印刷表面とは離れるはずである。しかし、印刷表面が粘着性を有する場合、当該プローブにより印刷表面が引っ張られる。その引っ張りによって、印刷表面にかかるプローブ圧力が負の値となる。
本実施例においては、この引っ張りによるプローブ圧力の絶対値を、そのトナーの粘着力とした。
まず、市販の非磁性一成分現像方式プリンターを、未定着画像が得られるように改造し、改造したプリンターに、各トナーを充填したトナーカートリッジ、及び印刷用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で24時間放置した後、同環境下にて、正方形(5cm×5cm)のベタ画像(100%印刷濃度)を未定着画像として1枚印刷した。
未定着画像中の印刷表面(トナーにより印刷されたその紙の表面の印刷部分)について、室温下でタッキング試験を行った。詳細な試験条件は以下の通りである。
[試験条件]
タッキング試験機:TAC−1000(製品名、レスカ社製)に直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを取り付けたもの
ロードセル定格容量:5kgf
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃
まず、タッキング試験機のステージ温度及びプローブ温度を上記温度まで上げた。次に、印刷表面に上記フッ素系樹脂製プローブを上記圧力及び接触速度で押し付けた。上記押圧時間後に、上記退避速度で当該プローブを印刷表面から離した。
上記退避速度で当該プローブを印刷表面から引き離す際、印刷表面にかかるプローブ圧力が0となったところで、当該プローブと印刷表面とは離れるはずである。しかし、印刷表面が粘着性を有する場合、当該プローブにより印刷表面が引っ張られる。その引っ張りによって、印刷表面にかかるプローブ圧力が負の値となる。
本実施例においては、この引っ張りによるプローブ圧力の絶対値を、そのトナーの粘着力とした。
(3)剥離性と多層剥がれの評価
下記の方法により、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれを評価する。評価方法はA、B、Fの3段階とする。A、Bの順でトナー特性に優れると評価でき、Fは不合格とする。
<剥離性評価>
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、転写紙上において通紙方向先端から0.5cmの位置に5cm×20cmの長方形となるような黒ベタ画像を印刷し、定着ロールの温度を変化させて、剥離爪跡(排紙された定着画像が剥離爪に接触することで発生する定着画像上の傷跡)が発生する温度を目視評価した。
A:剥離爪跡発生温度 200℃以上
B:剥離爪跡発生温度 180℃以上200℃未満
F:剥離爪跡発生温度 180℃未満
<多層剥がれ評価>
上記剥離性評価の場合と同様の条件下で黒ベタ画像を印刷し、定着ロールの温度を変化させて、多層剥がれ(重ね合わせて印刷したトナー層が紙面との界面あるいはトナー層内部で剥がれる現象)が発生する温度を目視評価した。
A:多層剥がれ発生温度 160℃以下
B:多層剥がれ発生温度 160超過、170℃以下
F:多層剥がれ発生温度 170℃超過
下記の方法により、定着部材からの印刷紙の剥離性と多層剥がれを評価する。評価方法はA、B、Fの3段階とする。A、Bの順でトナー特性に優れると評価でき、Fは不合格とする。
<剥離性評価>
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度:20枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、転写紙上において通紙方向先端から0.5cmの位置に5cm×20cmの長方形となるような黒ベタ画像を印刷し、定着ロールの温度を変化させて、剥離爪跡(排紙された定着画像が剥離爪に接触することで発生する定着画像上の傷跡)が発生する温度を目視評価した。
A:剥離爪跡発生温度 200℃以上
B:剥離爪跡発生温度 180℃以上200℃未満
F:剥離爪跡発生温度 180℃未満
<多層剥がれ評価>
上記剥離性評価の場合と同様の条件下で黒ベタ画像を印刷し、定着ロールの温度を変化させて、多層剥がれ(重ね合わせて印刷したトナー層が紙面との界面あるいはトナー層内部で剥がれる現象)が発生する温度を目視評価した。
A:多層剥がれ発生温度 160℃以下
B:多層剥がれ発生温度 160超過、170℃以下
F:多層剥がれ発生温度 170℃超過
実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例6の各トナーの測定及び評価結果を、離型剤の情報等と併せて下記表1及び表2に示す。なお、下記表1及び表2中、重合性単量体の組成について、「St:BA」とは「スチレン:n−ブチルアクリレート」を意味する。下記表1及び表2中、着色剤について、「CB」とは「カーボンブラック」を、「PR122」とは「C.I.Pigment Red 122」を、「PY214」とは「C.I.Pigment Yellow 214」を、「SY98」とは「C.I.Solvent Yellow 98」を、それぞれ意味する。
3.考察
以下、表1及び表2を参照しながら、トナー評価結果について検討する。
表2より、比較例1のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し6部である。また、比較例1のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0であり、粘着力が35gfである。
表2より、比較例1の多層剥がれ評価はAである一方、剥離性評価はFである。したがって、粘着力が32gfを超える比較例1のトナーは、剥離性に劣ることが分かる。その要因の1つとして、比較例1のトナーは、架橋性の重合性単量体の添加割合が実施例1〜実施例4及び実施例9(ブラックトナー)よりも少ないため、これら実施例1〜実施例4及び実施例9よりも、粘着力が高くなり、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量も減ることにより、剥離性が悪化したことが考えられる。
以下、表1及び表2を参照しながら、トナー評価結果について検討する。
表2より、比較例1のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し6部である。また、比較例1のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0であり、粘着力が35gfである。
表2より、比較例1の多層剥がれ評価はAである一方、剥離性評価はFである。したがって、粘着力が32gfを超える比較例1のトナーは、剥離性に劣ることが分かる。その要因の1つとして、比較例1のトナーは、架橋性の重合性単量体の添加割合が実施例1〜実施例4及び実施例9(ブラックトナー)よりも少ないため、これら実施例1〜実施例4及び実施例9よりも、粘着力が高くなり、印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量も減ることにより、剥離性が悪化したことが考えられる。
表2より、比較例2のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し25部である。また、比較例2のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が9.1であり、粘着力が1gfである。
表2より、比較例2の剥離性評価はAである一方、多層剥がれ評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が20部を超え、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が8.5を超え、粘着力が5gf未満である比較例2のトナーは、多層剥がれが生じやすいことが分かる。
表2より、比較例2の剥離性評価はAである一方、多層剥がれ評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が20部を超え、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が8.5を超え、粘着力が5gf未満である比較例2のトナーは、多層剥がれが生じやすいことが分かる。
表2より、比較例3のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し1部である。また、比較例3のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が1.7であり、粘着力が35gfである。
表2より、比較例3の多層剥がれ評価はAである一方、剥離性評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が3部未満であり、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0未満であり、粘着力が32gfを超える比較例3のトナーは、剥離性に劣ることが分かる。
表2より、比較例3の多層剥がれ評価はAである一方、剥離性評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が3部未満であり、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0未満であり、粘着力が32gfを超える比較例3のトナーは、剥離性に劣ることが分かる。
表2より、比較例4のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し20部である。また、比較例4のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が8.0であり、粘着力が1gfである。
表2より、比較例4の剥離性評価はAである一方、多層剥がれ評価はFである。したがって、粘着力が5gf未満である比較例4のトナーは、多層剥がれが生じやすいことが分かる。
表2より、比較例4の剥離性評価はAである一方、多層剥がれ評価はFである。したがって、粘着力が5gf未満である比較例4のトナーは、多層剥がれが生じやすいことが分かる。
表2より、比較例5のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し23部である。また、比較例5のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が9.0であり、粘着力が5gfである。
表2より、比較例5の剥離性評価はAである一方、多層剥がれ評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が20部を超え、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が8.5を超える比較例5のトナーは、多層剥がれが生じやすいことが分かる。
表2より、比較例5の剥離性評価はAである一方、多層剥がれ評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が20部を超え、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が8.5を超える比較例5のトナーは、多層剥がれが生じやすいことが分かる。
表2より、比較例6のトナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し0.5部である。また、比較例6のトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が1.5であり、粘着力が32gfである。
表2より、比較例6の多層剥がれ評価はAである一方、剥離性評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が3部未満であり、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0未満である比較例6のトナーは、剥離性に劣ることが分かる。
表2より、比較例6の多層剥がれ評価はAである一方、剥離性評価はFである。したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が3部未満であり、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0未満である比較例6のトナーは、剥離性に劣ることが分かる。
一方、表1より、実施例1〜実施例9の各トナーは、離型剤の含有量が結着樹脂100部に対し3〜20部である。また、これらのトナーは、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.0であり、粘着力が7〜32gfである。
表1より、実施例1〜実施例9の剥離性評価及び多層剥がれ評価は、いずれもA又はBである。
したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が3〜20質量部であり、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5であり、粘着力が5〜32gfである実施例1〜実施例9のトナーは、定着部材からの印刷紙の離型性と多層剥がれ抑制のバランスに優れるトナーであることが分かる。特に、ブラックトナー(実施例1−実施例4及び実施例9)、マゼンタトナー(実施例5及び実施例7)、イエロートナー(実施例6及び実施例8)といった各種トナーについて、定着部材からの印刷紙の離型性と多層剥がれ抑制のバランスに優れる効果が得られており、これら3つのパラメータ(すなわち、離型剤の含有量、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)(印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量)、及び粘着力)は、トナーの上記バランスを示すための共通した指標であるといえる。
表1より、実施例1〜実施例9の剥離性評価及び多層剥がれ評価は、いずれもA又はBである。
したがって、結着樹脂100部に対する離型剤の含有量が3〜20質量部であり、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5であり、粘着力が5〜32gfである実施例1〜実施例9のトナーは、定着部材からの印刷紙の離型性と多層剥がれ抑制のバランスに優れるトナーであることが分かる。特に、ブラックトナー(実施例1−実施例4及び実施例9)、マゼンタトナー(実施例5及び実施例7)、イエロートナー(実施例6及び実施例8)といった各種トナーについて、定着部材からの印刷紙の離型性と多層剥がれ抑制のバランスに優れる効果が得られており、これら3つのパラメータ(すなわち、離型剤の含有量、吸光度のピーク強度比(Iw/IB)(印刷表面及びその近傍に存在する離型剤の量)、及び粘着力)は、トナーの上記バランスを示すための共通した指標であるといえる。
Claims (3)
- 結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、
前記離型剤の含有量が前記結着樹脂100質量部に対し3〜20質量部であり、
前記トナーの印刷表面から0.4μmまでの深さ領域に存在する前記離型剤の量を規定する指標として、全反射吸収赤外分光法により求められる、前記結着樹脂由来の吸光度IBに対する前記離型剤由来の吸光度Iwのピーク強度比(Iw/IB)が2.0〜8.5であり、
下記試験条件下において、直径10mmのフッ素系樹脂製プローブを備えるタッキング試験機を用いて行われるタッキング試験により求められる前記トナーの粘着力が5〜32gfであることを特徴とするトナー。
[試験条件]
圧力:0.2MPa
押圧時間:0.04秒間
接触速度:1mm/秒
退避速度:1mm/秒
ステージ温度:50℃
プローブ温度:160℃ - 前記結着樹脂が、スチレンモノマー、アクリル酸エステルモノマー、及びメタクリル酸エステルモノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマーの重合体又は共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記離型剤がエステルワックスであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
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