JPWO2018168748A1 - 乳化調味料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、糊化された澱粉を含有する第一の水相と、食用油脂および乳化剤を含有する油相を混合して乳化し、次いで、得られた油中水型乳化物を第二の水相と混合する工程を含む乳化調味料の製造方法に関する。本発明によれば、食用油脂の含有量が低減された場合にも、望ましいコク、食感および保存安定性を備える乳化調味料を提供することができる。

Description

本発明は、油脂が低減された乳化調味料、およびその製造方法に関する。
近年、消費者の食品に対する低カロリー化志向が進む中、マヨネーズ等の乳化調味料も、食用油脂含有量を低下させた低カロリータイプのものが求められるようになってきた。しかし、食用油脂含有量を低下させると、食用油脂由来のコク感が失われるという問題があった。また、一般的に乳化食品の粘度は食用油脂含有量に依存するため、該油脂含有量を低下させると、乳化調味料の粘度が低下し、それに伴うコク感の低下も生じるという問題もあった。これらの問題に対し、一般的には食用油脂代替物として各種増粘剤等を添加することにより粘度の低下を抑制し、コク感の維持が図られていた。しかし、増粘剤の添加量が多くなると、増粘剤由来の粘つきや口どけの悪さが目立つようになり、食感が好ましくなくなるという問題があった。
上記問題に対し、近年、乳化構造をW1/O/W2型、いわゆる複合乳化とすることによって、見かけの食用油脂含有量を維持し、コク感を維持したまま低カロリー化を実現する方法がとられている。この方法によって、食用油脂含有量を20重量%程度まで低下させた場合でも、品質および保存安定性において、消費者のニーズを満たす乳化調味料を製造することが可能である。
たとえば、特許文献1では、食用油脂、乳化剤、増粘剤、卵黄および食塩を含有するW/O/W型の乳化調味料であって、粘度および食用油脂等の含有量を一定範囲とするとともに、W/O/W型乳化粒子の平均粒子径を一定の値に調整し、さらに離水率を制限した乳化調味料が提案されている。
しかし、乳化調味料において、さらに食用油脂含有量を低下させようとすると、以下に述べる課題が発生してしまう。
W1/O/W2型複合乳化調味料の食用油脂(O)含有量を減らすには、W1/O型乳化物中のW1の比率を増やす方法と、乳化物全量に対するW2の比率を増やす方法が考えられる。
W2の比率を増やす場合には、粘度の低下を補うため、増粘多糖類や澱粉を配合する必要があり、W2の比率の増加に比例して、乳化物中の増粘多糖類や澱粉の配合量が増えてしまうため、糊っぽさ、べとつきが強くなってしまう。
また、W1/O型乳化物中のW1の比率を増やす方法をとる場合には、W1を増やすほどW1/O型乳化物を調製する際の乳化が不安定となり、W1の量が一定の比率を超えると、転相してO/W型乳化物となってしまう。また、かろうじて高いW1比のW1/O型乳化物を調製できたとしても、W2を配合して二次乳化を行う過程で粘度が著しく低下し、または粘度が著しく上昇するなどして、乳化調味料として望ましい物性を得ることは困難であった。
それゆえ、W1の比率を高めることにより、従来以上に油脂の含有量を低減することは、極めて難しかった。
これらの事情から、W1/O/W2型乳化技術をもってしても、油脂含有量が更に低く、かつ高品質の乳化調味料の開発は困難であった。
また、特許文献2には、冷凍耐性を向上させるという観点から、食用油脂の含有量を低減した酸性O/W型乳化食品において、水相に澱粉を非溶解状態で特定の粒子径にて分散させると、食感に影響を与えないことが開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された技術は、冷凍耐性の向上を目的とするものであり、良好な食感および乳化安定性を保ちながら、食用油脂の含有量を低減するという課題を十分に解決できるものではない。
特開2013−106612号公報 特許第5783176号公報
そこで、本発明は、食用油脂の含有量が低減された場合にも、望ましいコク、食感および保存安定性を備える乳化調味料を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、糊化された澱粉を含有する第一の水相と、食用油脂および乳化剤を含有する油相を混合して乳化し、次いで、得られた油中水型乳化物を第二の水相と混合することにより、糊っぽさの増大を回避しつつ、これまで以上に食用油脂の含有量を低減しながら、調味料として望ましいコクおよび食感を有し、かつ保存安定性の良好な乳化調味料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1](1)糊化された澱粉を含有する第一の水相と、食用油脂および乳化剤を含有する油相を混合して乳化し、油中水型乳化物を調製する工程、ならびに、(2)前記油中水型乳化物を第二の水相と混合する工程を含む、乳化調味料の製造方法。
[2]乳化調味料全量に対する澱粉の含有量が1重量%〜20重量%である、[1]に記載の製造方法。
[3]乳化調味料全量に対する食用油脂の含有量が20重量%以下である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]乳化剤が、その構造中に縮合した脂肪酸を有しない乳化剤である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]乳化剤のHLB値が7以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]第一の水相が、澱粉を分散した水相を加熱して調製される、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]食用油脂を含有する油滴および澱粉のゲルの水分散物を含有する、乳化調味料。
[8]食用油脂を含有する油滴で、その平面形状の面積が1μm以上である油滴において、その平面形状の円形度が0〜0.5である油滴の割合が5%以上である、[7]に記載の乳化調味料。
[9]食用油脂を含有する油滴で、その平面形状の面積が1μm以上である油滴において、その平面形状の円形度が0〜0.8である油滴の割合が40%以上である、[7]に記載の乳化調味料。
[10]乳化調味料全量に対する澱粉の含有量が1重量%〜20重量%である、[7]〜[9]のいずれかに記載の乳化調味料。
[11]乳化調味料全量に対する食用油脂の含有量が20重量%以下である、[7]〜[10]のいずれかに記載の乳化調味料。
本発明によれば、食用油脂含有量が低減された場合であっても、コクのある好ましい油脂感および食感、ならびに良好な保存安定性を有し、これまでにない低カロリーの乳化調味料として使用し得る乳化調味料を提供することができる。
図1は、本発明の実施例16で製造された乳化ドレッシングおよび従来のW1/O/W2複合乳化型マヨネーズタイプドレッシングについて、共焦点蛍光顕微鏡による観察画像を示す図である。 図2は、本発明の実施例16で製造された乳化ドレッシングを保存した際の、粘度の変化を示す図である。 図3は、本発明の実施例16で製造された乳化ドレッシングおよび従来のO/W乳化型マヨネーズタイプドレッシングについて、共焦点蛍光顕微鏡観察にて得られた油滴の染色画像より抽出された油滴領域を示す図である。
本発明は、乳化調味料の製造方法を提供する。
本発明の乳化調味料の製造方法は、(1)糊化された澱粉を含有する第一の水相と、油および乳化剤を含有する油相を混合して乳化し、油中水型乳化物を調製する工程、ならびに、(2)前記油中水型乳化物を第二の水相と混合する工程を含む。
本発明の乳化調味料の製造においては、W1/O/W2型乳化調味料を製造する場合と同様に、まず第一の水相(W1)、油相(O)、第二の水相(W2)がそれぞれ調製される。
第一の水相(W1)は、糊化された澱粉を含有する。
本発明において用い得る澱粉としては、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、とうもろこし澱粉(コーンスターチ)等の各種澱粉が挙げられる。これらは、未加工の状態で用いることもでき、また、物理的な加工または化学的な修飾を施した加工澱粉として用いることもできる。
物理的な加工を施した加工澱粉としては、アルファー化澱粉が挙げられる。
アルファー化澱粉は、未加工澱粉、または下記の化学的修飾による加工澱粉をあらかじめ加熱処理し、糊化させた後に、急速乾燥等により水を除去して調製される。
化学的な修飾を施した加工澱粉としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム等が挙げられる。
上記澱粉および加工澱粉としては、食品用として市販されている製品を利用することができる。
本発明において澱粉は、1種または2種以上を選択して用いることができる。中でも、滑らかで、糊っぽさの少ない、優れた食感が得られる点で、未加工の小麦澱粉および各種の加工小麦澱粉ならびにリン酸架橋米澱粉を用いることが好ましく、未加工の小麦澱粉、アルファー化小麦澱粉、アセチル化小麦澱粉、リン酸架橋小麦澱粉およびリン酸架橋米澱粉を用いることがより好ましく、リン酸架橋小麦澱粉を用いることが特に好ましい。
本発明の製造方法において、澱粉の含有量は、乳化調味料の全量に対し、1重量%〜20重量%であることが好ましく、4重量%〜12重量%であることがより好ましく、6重量%〜10重量%であることが特に好ましい。澱粉の含有量が、前記範囲内の量である場合、食用油脂摂取量の低減を実現しながら、コクのある良好な食感を有する乳化調味料とすることができる。
本発明の製造方法において、上記澱粉は糊化された状態でW1中に含有される。本発明においては、糊化された澱粉を含有する水溶液(糊液)が、常温以下に冷却された際にざらつきのないゲルを形成し得る程度に、糊化されていることを要する。
従ってW1の調製にあたっては、澱粉を水に添加混合して、粘性が発生し、かつ澱粉粒由来のざらつきがなくなる程度にまで加熱することが好ましい。本発明においては、澱粉の種類にもよるが60℃〜95℃で1分〜120分程度加熱すればよく、5分〜60分加熱することが好ましい。
なお、本発明において、上記したアルファ化澱粉を用いる場合には、アルファ化澱粉を水に添加混合することにより、粘性を有し、上記ゲル化能を有する糊液が得られる場合があるため、必ずしも加熱処理は必要でない。
W1に含有される澱粉が未糊化の状態である場合、または澱粉の糊化が不十分で、上記ゲル化能を有さない場合には、最終製造物である乳化調味料の粘性が不十分となり、さらには分離しやすくなる。
なお、第一の水相(W1)には、さらに、食塩、食酢、その他の水溶性調味料を加えることもできる。W1に前記調味料を添加する場合は、澱粉の糊化処理前および糊化処理後のいずれにおいて添加してもよい。
本発明において、油相(O)は食用油脂と乳化剤を含有する。
食用油脂としては、可食性の油脂であればいずれも使用できるが、例えば、菜種油、大豆油、ベニ花油(サフラワー油)、ヒマワリ油、トウモロコシ油、パーム油、パーム核油、コメ油、オリーブ油、ヤシ油、ゴマ油、綿実油等が挙げられ、食品用として市販されている製品を利用することができる。これら食用油脂は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上を混合して用いる場合、それらの混合比は、通常使用される場合に準じて適宜定めることができる。
本発明において、食用油脂の含有量は、乳化調味料全量に対し、20重量%以下であることが好ましく、5重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。食用油脂の含有量が前記範囲内の量である場合、食用油脂摂取量の低減を実現しながら、コクのある良好な食感を有する乳化調味料とすることができる。
本発明において、油相(O)に含有される乳化剤としては、食品に利用可能な乳化剤であれば、特に制限なく用いることができ、たとえば、グリセリンモノ脂肪酸エステル(グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル等)、有機酸モノグリセリド(酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド等)、ジグリセリン脂肪酸エステル(ジグリセリンモノパルミチン酸エステル、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンジパルミチン酸エステル、ジグリセリンジステアリン酸エステル、ジグリセリンジオレイン酸エステル等)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(テトラグルセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル等)等のグリセリン脂肪酸エステル;ショ糖イソ酪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル;プロピレングリコールモノステアリン酸エステル等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等のステアロイル乳酸塩;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;大豆レシチン、卵黄レシチン等のレシチン;キラヤ抽出物、大豆サポニン、チャ種子サポニン等のサポニン等が挙げられ、食品用として市販されている製品を利用することができる。これらは1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルなど、その構造中に縮合した脂肪酸を有する乳化剤は、非常に安定な複合乳化構造を形成するため、複合乳化において多用されるが、本発明においては、乳化調味料の物性を非常に硬いものとすることがある。従って、本発明においては、乳化剤として、その構造中に縮合した脂肪酸を有しないものを用いることが好ましい。
本発明においては、乳化剤としては、HLB値(親水性親油性バランス、Hydrophile- Lipophile Balance)が7以下の乳化剤を用いることが、安定な油中水型乳化物が得られるため、好ましい。本発明の目的には、HLB値が7以下のショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等がより好ましく使用できる。
乳化剤は、油相(O)成分として食用油脂と混合することが好ましいが、W1と食用油脂を混合した後に乳化剤を加えてもよいし、W1と乳化剤を混合した後に食用油脂を混合してもよい。
本発明において、乳化剤の含有量は、食用油脂の含有量が20重量%以下である場合、乳化調味料の全量に対し、0.1重量%〜5重量%であることが好ましく、0.5重量%〜3重量%であることがより好ましい。
油相(O)には、本発明の特徴を損なわない範囲で、さらに酸化防止剤(トコフェロール等)、着色料(β−カロテン、トウガラシ色素等)等の油溶性の食品添加物を添加することができる。
本発明において、第二の水相(W2)には、本発明の特徴を損なわない範囲で、タンパク質(卵黄、全卵等)、糖類(ショ糖等)、食塩、食酢、その他の調味料(L−グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸二ナトリウム、5’−グアニル酸二ナトリウム等)、酸味料(クエン酸、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−リンゴ酸等)、香辛料、着色料、増粘多糖類(カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、タマリンドシードガム、ペクチン等)、酸化防止剤(L−アスコルビン酸等)、香料等、水溶性または水分散性の栄養成分または食品添加物を含有させることができる。
続いて、第一の水相(W1)と油相(O)を混合して油中水型乳化物(W1/O)を調製し、次に前記乳化物(W1/O)を第二の水相(W2)と混合して、目的の乳化調味料を得る。
本発明においては、必要最小限の油相(O)および第二の水相(W2)を含有し、かつ乳化調味料に十分な粘度を与えるという観点から、第一の水相(W1)は、好ましくは、乳化調味料の全量に対し60重量%〜90重量%含有される。
十分な油脂感を与え、かつ低カロリーの乳化型調味料とするという観点から、油相(O)の乳化調味料全量に対する含有量は、好ましくは5重量%〜20重量%である。
また、調味料等を含有させ、かつ十分な粘度を与えるという観点から、第二の水相(W2)の含有量は、好ましくは、乳化調味料の全量に対し5重量%〜20重量%である。
上記において、W1とOとの混合およびW1/OとW2との混合には、ホモミキサーやコロイドミル等の一般的な乳化装置を用いることができる。
本発明の製造方法により、食用油脂の含有量が低減された場合においても、良好な油脂感および食感を有し、かつ安定性に優れた乳化調味料を提供することができる。
従って、本発明の製造方法は、低カロリーのマヨネーズタイプドレッシング、クリーム状ドレッシング等、半固形状の乳化調味料の製造において、好適に用いることができる。
本発明はまた、上記製造方法により製造される、新規な乳化調味料を提供する。
上述したように、本発明の乳化調味料は、W1/O/W2型複合乳化物の調製方法とほぼ同様の製造方法により調製されるが、その乳化組成物としての構造は、一般的な複合乳化物とは大きく異なる。
すなわち、本発明の乳化調味料は、食用油脂を含有する油滴(O)が水相(W2)に分散され、該油滴の中に、澱粉のゲルである水相(W1)が分散されたW1/O/W2型複合乳化物である構造や、糊化された澱粉を含有する連続的な水性のゲル(W)に、食用油脂を含有する油滴(O)が分散されたO/W型乳化物である構造を有するのではなく、食用油脂を含有する油滴および澱粉のゲルの水分散物を含有し、外水相中に、食用油脂の油滴と澱粉のゲル粒子が混在して分散された構造を有すると推定される。
本発明の乳化調味料に含有される食用油脂および澱粉ならびにこれらの含有量等については、上記した通りである。
また、本発明の乳化調味料において、食用油脂を含有する油滴および澱粉ゲルの粒子を水に安定に分散させるために用いられる乳化剤およびその含有量等についても、上記した通りである。
さらに、本発明の乳化調味料に含有され得る栄養成分、食品添加物等についても、上記した通りである。
本発明の乳化調味料を、たとえば共焦点蛍光顕微鏡下で観察すると、真球状でなくいびつな球状を呈する油滴の存在が認められ、前記顕微鏡下に観察される油滴の平面形状の円形度は、通常の乳化物における油滴の平面形状の円形度に比べて低い。
かかる観察結果から、本発明の乳化調味料においては、水相中に、油滴と澱粉ゲル粒子が混在して分散されているため、澱粉ゲル粒子の存在により、油滴はいびつな球状を呈するものと推定される。
本発明の乳化調味料では、水相に分散された食用油脂を含有する油滴で、その平面形状の面積が1μm以上である油滴において、その平面形状の円形度が0〜0.5である油滴の割合(平面形状の面積が1μm以上である油滴において、平面形状の円形度が0〜0.5である油滴の個数の全油滴の個数に対する割合)が5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、13%以上であることが特に好ましい。また、その平面形状の円形度が0〜0.8である油滴の割合が40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
本発明の乳化調味料において、水相に分散された食用油脂を含有する油滴の平面形状の円形度は、油滴の平面形状の面積(S)および周囲長(L)から下記式により算出することができる。
円形度=4πS/L
円形度の算出に必要なデータは、たとえば、油脂を蛍光染色した乳化調味料の共焦点蛍光顕微鏡等による観察画像から、画像解析・計測ソフトウェア「ウィンルーフ(WinRoof)2015」(三谷商事株式会社製)等を用いて油滴の領域を抽出し、各油滴領域の面積および周囲長の測定を行うことによって、得ることができる。油滴の領域抽出のためのアルゴリズムには、ウォーターシェッド(Watershed)アルゴリズムを用いることが好ましい。このアルゴリズムは輝度勾配の情報を元に領域分割を行うため、個々の油滴の領域を高精度で分離することが可能である。
本発明の乳化調味料は、食用油脂の含有量が低減されている場合においても、良好な油脂感および食感を有し、かつ安定性に優れるため、低カロリーのマヨネーズタイプドレッシング、クリーム状ドレッシング等の半固形状乳化調味料として、好適に提供され得る。
また、後述する実施例にて示されるように、本発明の乳化調味料が卵黄リポタンパク質等のリポタンパク質を含有する場合、該タンパク質は、水相中に分散された油滴および澱粉ゲル粒子の周囲に、これらを被覆するように存在するものと推定される。その結果、リポタンパク質を含有する本発明の乳化調味料は、油脂含有量の多い乳化調味料と同様の食感を示し得る。
従って、本発明の乳化調味料は、油脂含有量が低く、タンパク質を含有する乳化調味料、たとえば低カロリーのマヨネーズタイプドレッシング等として、特に好適である。
本発明について、実施例によりさらに詳細に説明する。
以下において、特に表記しない限り、「部」は「重量部」を、「%」は重量%を表し、「W1」は第一の水相を、「W2」は第二の水相を、「O」は油相を示す。
また、以下に示す実施例および比較例で使用した原材料は、次の通りである。
(1)寒天;「イナショクS−7」(伊那食品工業株式会社製)
(2)ショ糖オレイン酸エステル;「リョートーシュガーエステルO−170」(三菱化学フーズ株式会社製)
(3)ソルビタンモノオレイン酸エステル;「サンソフトNo.81S」(太陽化学株式会社製)
(4)ジグリセリンモノ・ジオレイン酸エステル;「サンソフトQ−17B」(太陽化学株式会社製)
(5)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル;「エマゾールO120V」(花王株式会社製)
上記の他は、それぞれ食品用として市販されている原材料および添加物を用いた。
[実施例1〜8]澱粉を用いた乳化ドレッシングの製造
表1に示す各澱粉12部と水93.06部を混合し、攪拌しながら95℃で30分間加熱し、蒸発分の水、食用酢(酸度=15%)6.84部、食塩8.04部、L−グルタミン酸ナトリウム0.06部を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部とショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、乳化ドレッシングを得た。
[比較例1]澱粉以外のゲル化剤を用いた乳化ドレッシングの製造
アルギン酸2部と水106部を混合し、W1(合計108部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部とショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ108部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続け、1%塩化カルシウム12gを加えて2分間攪拌し、乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、乳化ドレッシングを得た。
[比較例2]澱粉以外のゲル化剤を用いた乳化ドレッシングの製造
寒天2部と水118部を混合し、攪拌しながら85℃で10分間加熱し、蒸発分の水を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部とショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、乳化ドレッシングを得た。
上記実施例1〜8および比較例1、2において用いたゲル化剤、乳化剤および食用油脂について、表1にまとめて示した。
実施例1〜8および比較例1、2で製造された各乳化ドレッシングについて、粘性ならびに外観および状態を観察し、下記評価基準に従って評価した(評価者数=3名)。
<評価基準>
適度な粘性を有し、分離がなく、滑らかできわめて良好な外観および状態を示す;5点
粘性ならびに外観および状態(分離のなさ、滑らかさ)がおおむね良好である;4点
粘性が低めだが、分離がなく滑らかで、商品として提供できる;3点
粘性が低く、または部分的な分離やざらつきが認められ、商品としては提供しにくい;2点
粘性がきわめて低いまたは粘性がきわめて高い、あるいは明瞭な分離が認められるため、商品としては提供できない;1点
また、「ARESレオメーター」(TAインスツルメント社製)を用いて、コーンプレート法、周波数=1Hz、歪率=10%にて動的複素粘度(η)を測定した。
粘性ならびに外観および状態の評価結果および動的複素粘度の測定結果を、表1に併せて示した。粘性等の評価結果については、評価者の総意により定めた評価点および評価者のコメントを示した。
表1に示されるように、ゲル化剤として各種澱粉を、乳化ドレッシングの全量に対し7.7%用いた場合には、商品として提供し得る粘性ならびに外観および状態を示す乳化ドレッシングを得ることができた。特に、未加工の小麦澱粉、およびアルファー化小麦澱粉、アセチル化小麦澱粉、リン酸架橋小麦澱粉ならびにリン酸架橋米澱粉をそれぞれ用いた実施例1〜5の乳化ドレッシングは、状態および外観がきわめて良好であった。
これに対し、ゲル化剤としてアルギン酸を用いた場合および寒天を用いた場合には、粘性を有する組成物を得ることができなかった。
[実施例9〜13、比較例3]乳化ドレッシングの製造:澱粉含有量の影響
表2に示す量の未加工小麦澱粉と水を混合し、攪拌しながら95℃で30分間加熱し、蒸発分の水、食用酢(酸度=15%)6.84部、食塩8.04部、L−グルタミン酸ナトリウム0.06部を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部とショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、乳化ドレッシングを得た。
実施例9〜13および比較例3で得られた各乳化ドレッシングについて、上記実施例1〜8および比較例1、2の場合と同様に、粘性ならびに外観および状態を観察、評価し、動的複素粘度(η)を測定した。評価結果および測定結果は、表3に示した。
表3に示されるように、乳化ドレッシングの全量に対する含有量が4.6%〜10.7%の未加工小麦澱粉を用いた実施例9〜13において、商品として提供し得る乳化ドレッシングが得られた。特に、未加工小麦澱粉の乳化ドレッシングの全量に対する含有量を6.1%〜9.2%とした実施例10〜12において、適度な粘性を有し、良好な外観および状態を有する乳化ドレッシングが得られた。
一方、未加工小麦澱粉を用いずにW1を調製した比較例3では、相分離および含有成分の凝集が観察され、滑らかで均質な乳化組成物は得られなかった。
[実施例14]乳化ドレッシングの製造:油脂含有量の影響
未加工小麦澱粉12部と水93.06部を混合し、攪拌しながら95℃で30分間加熱し、蒸発分の水、食用酢(酸度=15%)6.84部、食塩8.04部、L−グルタミン酸ナトリウム0.06部を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部とショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、乳化ドレッシングを得た。
[実施例15]乳化ドレッシングの製造:油脂含有量の影響
上記実施例14において、菜種油を32部とし、Oに添加するW1を106部とした他は、実施例14と同様に乳化ドレッシングを調製した。
実施例14および15で得られた乳化ドレッシングにおける未加工小麦澱粉、乳化剤および食用油脂の含有量を、表4に示した。
実施例14および15で得られた各乳化ドレッシングについて、上記実施例1〜8および比較例1、2の場合と同様に、粘性ならびに外観および状態を観察、評価し、動的複素粘度(η)を測定した。評価結果および測定結果は、表4に併せて示した。
表4に示されるように、食用油脂の含有量が乳化ドレッシングの全量に対し11.5%である場合には、適度な粘性を有し、滑らかで分離のない乳化ドレッシングが得られた(実施例14)。
また、食用油脂の含有量が乳化ドレッシングの全量に対し20.0%である場合においても、適度な粘性を有し、滑らかで、商品として提供可能な乳化ドレッシングが得られたが、ドレッシングの表面にやや分離が認められた(実施例15)。
以上の結果から、本発明においては、食用油脂の含有量は、乳化調味料の全量に対し20%以下とすることが好ましいことが示唆された。
[実施例16〜19、比較例4]乳化ドレッシングの製造:乳化剤の影響
未加工小麦澱粉12部と水93.06部を混合し、攪拌しながら95℃で30分間加熱し、蒸発分の水、食用酢(酸度=15%)6.84部、食塩8.04部、L−グルタミン酸ナトリウム0.06部を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部と表5に示す各乳化剤3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、実施例16〜19の乳化ドレッシングを得た。
上記製造方法において、乳化剤を菜種油に代替した他は同様に調製し、比較例4の乳化ドレッシングを得た。
実施例16〜19および比較例4で得られた各乳化ドレッシングについて、上記実施例1〜8および比較例1、2の場合と同様に、粘性ならびに外観および状態を観察、評価し、動的複素粘度(η)を測定した。評価結果および測定結果は、表5に併せて示した。
表5に示されるように、O成分として、HLB値が7以下の親油性の乳化剤を用いて製造した場合(実施例16〜18)に、粘性ならびに外観および状態の良好な乳化ドレッシングが得られ、特に、HLB値が1である乳化剤を用いた実施例16では、非常に良好な乳化ドレッシングが得られた。
一方、O成分として乳化剤を用いずに製造した場合(比較例4)、得られた乳化ドレッシングには相分離が見られ、商品として提供するに足る十分な安定性は得られなかった。
[比較例5]乳化ドレッシングの製造
未加工小麦澱粉12部と水93.06部を混合し、加熱処理をせずに、食用酢(酸度=15%)6.84部、食塩8.04部、L−グルタミン酸ナトリウム0.06部を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部と、乳化剤としてショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をディスパーサーで混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加えて1分間攪拌し、比較例5の乳化ドレッシングを得た。
上記比較例5で得られた乳化ドレッシングについて、上記実施例1〜8および比較例1、2の場合と同様に、粘性ならびに外観および状態を観察、評価し、動的複素粘度(η)を測定した。評価結果および測定結果は、表6に示した。
表6に示されるように、澱粉の水分散液を加熱処理せず、澱粉を糊化させずにW1を調製した場合、粘性を有し、かつ安定な乳化ドレッシングは得られなかった。
以上の結果より、本発明の乳化調味料の調製に際し、W1に含有される澱粉が糊化されていることを要することが確認された。
[実施例20]乳化ドレッシングの製造
未加工小麦澱粉12部と水93.06部を混合し、攪拌しながら95℃で30分間加熱し、蒸発分の水、食用酢(酸度=15%)6.84部、食塩8.04部、L−グルタミン酸ナトリウム0.06部を加えてW1(合計120部)を調製した。
加熱加塩卵黄(卵黄を61℃で30分加熱し、食塩含有量を10%としたもの)54部、食用酢(酸度=15%)5部、L−グルタミン酸ナトリウム0.05部、水40.95部を混合して、W2(合計100部)を調製した。
菜種油18部とショ糖オレイン酸エステル(HLB値=1)3部(O)をユニバーサルミキサー(ステファン社製)で混合し、前記Oを攪拌しつつ、そこへ120部のW1を少しずつ加えて、10分間攪拌を続けて乳化物を調製した。
続いて15.7部のW2を加え、ホバートミキサー(ホバート社製)で5分間攪拌して予備乳化を行った後、コロイドミルで乳化し、乳化ドレッシングを得た。
実施例20で得られた乳化ドレッシングについて、(1)共焦点蛍光顕微鏡による観察、(2)保存安定性の評価、および(3)油滴の円形度の測定を行った。
(1)共焦点蛍光顕微鏡による観察
実施例20で得られた乳化ドレッシングを、ナイルレッド(Nile Red)とファストグリーン(Fast Green) FCFにより染色し、観察用の試料を作成して、下記条件下にて共焦点蛍光顕微鏡により観察した。なお、比較のため、従来のW1/O/W2複合乳化型マヨネーズタイプドレッシング(「ピュアセレクトコクうま」(味の素株式会社製)についても、同様に観察した。
(1)使用機器:「オリンパス倒立型リサーチ顕微鏡 PowerIX71」(オリンパス株式会社製)
(2)観察条件:100倍の油浸対物レンズを用い、油脂については543nm、タンパク質については633nmを励起波長とするレーザーを使用して観察した。
共焦点蛍光顕微鏡による観察画像を図1に示す。
図1に示されるように、従来のW1/O/W2複合乳化型マヨネーズタイプドレッシングにおいては、外水相中に分散された油滴中に、水相成分の粒子が分散して存在することが確認された。
一方、本発明の実施例20で得られた乳化ドレッシングにおいては、小さな油滴の分散が観察されるとともに、粒状の黒っぽい画像が観察され、これらの周囲にタンパク質の画像が認められた。
(2)保存安定性
実施例20で得られた乳化ドレッシングを透明なチューブ状容器に充填し、24℃および34℃にて3か月間保存した後、外観の変化を観察した。
また、保存2日目、1か月目、2か月目および3か月目に、乳化ドレッシングの粘度を測定した。粘度は、測定用試料を24℃にて24時間静置した後、ブルックフィールド粘度計(ヘリパススタンド、T字型スピンドル)を用いて、5rpmの回転速度で測定した。
24℃および34℃のいずれの温度で保存した場合にも、離油、離水等の相分離等、外観の変化は見られなかった。
また、粘度の測定結果を図2に示した。図2に示されるように、24℃および34℃のいずれの温度で保存した場合にも、3か月間にわたり、粘度の変化もほとんど見られなかった。
(3)油滴の円形度の測定
実施例20の製造方法により乳化ドレッシングを2回調製し、それぞれを油滴の円形度測定用試料とした。なお、比較のため、食用油脂含有量の低い(油脂含有量=約13%)市販のマヨネーズタイプドレッシング(従来のO/W乳化型)についても、2個の製品について油滴の円形度の測定を行った。
油滴の円形度の測定は、下記により行った。
上記(1)に記載した方法および観察条件にて、共焦点蛍光顕微鏡による観察を行い、油滴の染色画像(励起波長を543nmとしたときの画像)を取得した。前記画像を、画像解析・計測ソフトウェア「ウィンルーフ(WinRoof)2015」(三谷商事株式会社製)に取り込み、ウォーターシェッド(Watershed)アルゴリズムを適用して油滴領域を抽出し(図3)、面積が1μm以上の個々の油滴について面積(S)および周囲長(L)を計測して、下記式により円形度を求めた。
円形度=4πS/L
測定結果を表7に示した。
表7に示されるように、実施例20で製造された本発明の乳化ドレッシングでは、円形度が0〜0.5である油滴の割合は14.56%および16.10%であり、円形度が0〜0.8である油滴の割合は53.29%および62.38%であった。これに対し、従来のO/W乳化型マヨネーズタイプドレッシングでは、円形度が0〜0.5である油滴の割合は1.93%および1.89%であり、円形度が0〜0.8である油滴の割合は37.54%および30.55%であった。
すなわち、実施例20で製造された本発明の乳化ドレッシングでは、従来のO/W乳化型マヨネーズタイプドレッシングに比べて円形度の低い油滴の含有率が高く、いびつな球状の油滴が多く含まれることが示唆された。
以上の結果から、本発明の乳化調味料は、澱粉ゲル粒子が外水相中に油滴と混在して分散する構造を有するものと推測された。
以上詳述したように、本発明により、油脂含有量が低減された場合であっても、望ましい油脂感、食感および安定性を有し、これまでにない低カロリーの乳化調味料として使用し得る乳化調味料を提供することができる。
本願は、日本国で出願された特願2017−047900を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

Claims (11)

  1. (1)糊化された澱粉を含有する第一の水相と、食用油脂および乳化剤を含有する油相を混合して乳化し、油中水型乳化物を調製する工程、ならびに、(2)前記油中水型乳化物を第二の水相と混合する工程を含む、乳化調味料の製造方法。
  2. 乳化調味料全量に対する澱粉の含有量が1重量%〜20重量%である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 乳化調味料全量に対する食用油脂の含有量が20重量%以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 乳化剤が、その構造中に縮合した脂肪酸を有しない乳化剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 乳化剤のHLB値が7以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 第一の水相が、澱粉を分散した水相を加熱して調製される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 食用油脂を含有する油滴および澱粉のゲルの水分散物を含有する、乳化調味料。
  8. 食用油脂を含有する油滴で、その平面形状の面積が1μm以上である油滴において、その平面形状の円形度が0〜0.5である油滴の割合が5%以上である、請求項7に記載の乳化調味料。
  9. 食用油脂を含有する油滴で、その平面形状の面積が1μm以上である油滴において、その平面形状の円形度が0〜0.8である油滴の割合が40%以上である、請求項7に記載の乳化調味料。
  10. 乳化調味料全量に対する澱粉の含有量が1重量%〜20重量%である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の乳化調味料。
  11. 乳化調味料全量に対する食用油脂の含有量が20重量%以下である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の乳化調味料。
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