JPWO2018164051A1 - 全固体二次電池及びその製造方法、並びに全固体二次電池用固体電解質膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような状況下、有機電解液に代えて、不燃性の無機固体電解質を用いた全固体二次電池の開発が進められている。全固体二次電池は負極、電解質及び正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。
デンドライトによる内部短絡の問題に対処すべく特許文献1には、固体電解質層中に単体硫黄を過剰に添加し、デンドライトの成長を単体硫黄によりブロックする技術が記載されている。特許文献1記載の技術では、固体電解質粉末に単体硫黄を均一に分散させた混合物を用いて固体電解質層を形成しているため、この固体電解質層は単体硫黄粉末と固体電解質粉末との混合物からなる形態である。
〔1〕
固体電解質層が、無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
上記充填材領域が、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料の熱溶融物を用いて形成されたものである、全固体二次電池。
〔2〕
固体電解質層が、無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
上記充填材領域が、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料を含み、
1辺が5μmの正方領域内に収まる充填材領域FRを平面視観察した場合に、FRの面積FAと、FRの外周長さFLとの比が、FL/FA≧0.81を満たす、全固体二次電池。
〔3〕
上記電子絶縁性材料が硫黄及び/又は改質硫黄である、〔1〕又は〔2〕記載の全固体二次電池。
〔4〕
上記充填材領域が、アルカリ金属を含む化合物及び/又はアルカリ土類金属を含む化合物を含有する、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔5〕
上記充填材領域が有機バインダーを含有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔6〕
上記無機固体電解質材料が硫化物系無機固体電解質及び/又は酸化物系無機固体電解質である、〔1〕〜〔5〕のいずれか1つ記載の全固体二次電池。
〔7〕
上記充填材領域が、上記固体電解質層と正極活物質層との界面には存在しない、〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔8〕
上記無機固体電解質材料が大粒径の粒子と小粒径の粒子とを有し、[大粒径粒子の粒子径]>4×[小粒径粒子の粒子径]を満たす粒度分布を有する、〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔9〕
上記固体電解質層中、無機固体電解質材料の含有量100体積%に対し、上記電子絶縁性材料の含有量が15体積%未満である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
〔10〕
無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
上記充填材領域は、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料の熱溶融物を用いて形成されたものである、全固体二次電池用固体電解質膜。
〔11〕
無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
上記充填材領域が、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料を含み、
1辺が5μmの正方領域内に収まる充填材領域FRを平面視観察した場合に、FRの面積FAと、FRの外周長さFLとの比が、FL/FA≧0.81を満たす、全固体二次電池用固体電解質膜。
〔12〕
上記電子絶縁性材料が硫黄及び/又は改質硫黄である、〔10〕又は〔11〕記載の全固体二次電池用固体電解質膜。
〔13〕
上記無機固体電解質材料が硫化物系無機固体電解質及び/又は酸化物系無機固体電解質である、〔10〕〜〔12〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池用固体電解質膜。
〔14〕
上記無機固体電解質材料が大粒径の粒子と小粒径の粒子とを有し、[大粒径粒子の粒子径]>4×[小粒径粒子の粒子径]を満たす、〔10〕〜〔13〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池用固体電解質膜。
〔15〕
無機固体電解質材料と硫黄及び/又は改質硫黄とを含有する無機固体電解質組成物を用いて形成した層を加熱し、この層中の硫黄及び/又は改質硫黄を熱溶融させ、次いで冷却して固体電解質層を形成することを含む、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池の製造方法。
〔16〕
無機固体電解質材料を用いて形成した層中に、熱溶融状態にある硫黄及び/又は改質硫黄を含浸させ、次いで冷却して固体電解質層を形成することを含む、〔1〕〜〔9〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池の製造方法。
〔17〕
無機固体電解質材料と硫黄及び/又は改質硫黄とを含有する無機固体電解質組成物を用いて形成した膜を加熱し、この膜中の硫黄及び/又は改質硫黄を熱溶融させ、次いで冷却することを含む、〔10〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池用固体電解質膜の製造方法。
〔18〕
無機固体電解質材料を用いて形成した膜中に、熱溶融状態にある硫黄及び/又は改質硫黄を含浸させ、次いで冷却することを含む、〔10〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の全固体二次電池用固体電解質膜の製造方法。
また本発明の全固体二次電池の製造方法によれば、充電時に負極から成長するデンドライトを効果的にブロックすることができ、内部短絡を十分に抑制することができる全固体二次電池を得ることができる。また本発明の全固体二次電池用固体電解質膜の製造方法によれば、全固体二次電池の固体電解質層として用いることにより全固体二次電池の充電時に負極から成長するデンドライトを効果的にブロックすることができ、電池の内部短絡を十分に抑制することを可能とする全固体二次電池用固体電解質膜を得ることができる。
本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の全固体二次電池の一実施形態について、電池を構成する各層の積層状態を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に積層してなる構造を有しており、隣接する層同士は直に接触している。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e−)が供給され、同時に正極活物質を構成するアルカリ金属又はアルカリ土類金属がイオン化して固体電解質層3を通過(伝導)して移動し、負極に蓄積される。例えばリチウムイオン二次電池であれば、負極にリチウムイオン(Li+)が蓄積されることになる。
一方、放電時には、負極に蓄積された上記のアルカリ金属イオンないしアルカリ土類金属イオンが正極側に戻され、作動部位6に電子を供給することができる。図示した全固体二次電池の例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。
また、負極活物質層を取り除いた形態の全固体二次電池は、電池の厚さが薄くなるために、電池をロール状に巻いた形態とする場合には、固体電解質層の亀裂等の発生をより抑えることが可能になる利点もある。
なお、本明細書において負極活物質層を有しない形態の全固体二次電池とは、あくまで電池製造における層形成工程において負極活物質層を形成しないことを意味し、上記の通り、充電により固体電解質層と負極集電体との間に負極活物質層が形成されるものである。
図2に示すような積層構造とすることにより、電池を高出力化することが可能となる。
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層が無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、この無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有する。この充填材領域は、デンドライトが貫通可能な固体電解質層中の亀裂ないしピンホール等を塞いでデンドライトの成長をブロックするものである。本発明において「無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域を有する」とは、固体電解質層中に存在する無機固体電解質材料間の空隙のうち少なくとも一部が特定の充填材により塞がれ、この充填材により埋められた充填材領域がデンドライトの成長をブロック可能な状態にあることを意味する。
本発明において充填材領域は、単に粒子状の充填材が存在しているのではなく、無機固体電解質材料間の形状に沿って、事実上隙間なく、充填材である電子絶縁性材料が存在している。このような電子絶縁性材料の充填を実現するために、上記電子絶縁性材料としては、100℃において固体(すなわち融点が100℃越え)である一方、200℃以下の温度領域において熱溶融する物性のものを用いる。「200℃以下の温度領域で熱溶融する」とは、1気圧下において、200℃以下の温度領域で熱溶融することを意味する。このような電子絶縁性材料を用いることにより、無機固体電解質粉末と電子絶縁性材料とを含む混合物を用いて層を形成した後、電子絶縁性材料が溶融する温度まで容易に加熱することができ、この加熱により、溶融した充填材を毛細管現象によって無機固体電解質材料間の空隙へと移動させることができる。その後冷却して充填材を固化させることにより、無機固体電解質材料間の形状に沿って事実上隙間なく、充填材を埋め込んだ状態を作り出すことができる。
すなわち、本発明の全固体二次電池において、固体電解質層の充填材領域は、100℃において固体状でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料の熱溶融物を用いて形成されたもの(すなわち熱溶融凝固物で形成されたもの)である。
ここで「電子絶縁性」とは、電子を通過させない性質をいう。本発明において「電子絶縁性材料」という場合、測定温度25℃において導電率が10−9S/cm以下の材料であることが好ましい。
充填材領域が電子絶縁性材料に加えて他の材料を含む場合、固体電解質層中において、無機固体電解質材料の含有量100質量部に対し、他の材料の含有量を15質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることがより好ましい。
この平面視観察では、固体電解質層を、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法(SEM−EDX)を用いて倍率5000倍で観察して、1辺が5μmの正方領域内に収まる充填材領域FRを無作為に10個選抜する。これら10個の各充填材領域FRにおけるFL/FAを決定し、決定した10個のFL/FAの平均が0.81以上である場合に、FL/FA≧0.81を満たすものとする。なお、1つの、1辺が5μmの正方領域内において、測定する充填材領域の数は1つとする。FL/FA≧0.81を満たすことは、充填材領域が単なる粒子(球状)ではなく、充填材領域の外周が無機固体電解質材料間の形状に追従していることを示す指標となる。
FL/FAは1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。また、FL/FAは通常は100以下であり、50以下であってもよく、20以下であってもよく、10以下であってもよい。
上記電子絶縁性材料としては、硫黄、改質硫黄、ヨウ素、硫黄とヨウ素の混合物等を挙げることができ、なかでも硫黄及び/又は改質硫黄を好適に用いることができる。充填材として用いうる硫黄は単体硫黄(硫黄そのもののほか多量体で存在するものも含む。)を意味する。
また、改質硫黄は、硫黄と改質剤とを混練して得られるものである。例えば、純硫黄と改質添加剤であるオレフィン系化合物とを混練し、硫黄の一部を硫黄ポリマーに改質した改質硫黄を得ることができる。充填材領域に硫黄ないし改質硫黄が存在することにより、この充填材領域へと成長してきたデンドライト(アルカリ金属ないしアルカリ土類金属)を物理的にブロックすることができる。
また、デンドライトと硫黄とが接触することにより、デンドライトと硫黄との反応も生じ得る。例えば金属リチウムのデンドライトと硫黄とが接触すると、2Li+S→Li2Sの反応が生じ、デンドライトの成長が止まる。このような反応が生じると、充填材領域中には反応生成物も共存した状態となる。この反応生成物はデンドライト金属よりも硬い電子絶縁性の化合物であるため、デンドライトの成長をブロックすることができる。すなわち、上記充填材領域は、上記の反応により生じたアルカリ金属を含む化合物及び/又はアルカリ土類金属を含む化合物を含有する形態であることも好ましい。このような形態をとることにより、充填材領域の体積が広がり、充填材領域と電解質領域との間にわずかに残っていた空隙をより確実に塞ぐ効果も期待できる。
上記有機バインダーとしては有機ポリマーが挙げられる。例えば、以下に述べる樹脂からなる有機バインダーが好ましく使用される。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。
アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリルモノマー類、(メタ)アクリルアミドモノマー類、およびこれら樹脂を構成するモノマーの共重合体(好ましくは、アクリル酸とアクリル酸メチルとの共重合体)が挙げられる。
また、そのほかのビニル系モノマーとの共重合体(コポリマー)も好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチルとスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとアクリロニトリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ブチルとアクリロニトリルとスチレンとの共重合体が挙げられる。本願明細書において、コポリマーは、統計コポリマーおよび周期コポリマーのいずれでもよく、ブロックコポリマーが好ましい。
その他の樹脂としては例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記充填材領域が有機バインダーを含む場合、固体電解質層中の有機バインダーの含有量として、1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
本発明において、充填材領域が固体電解質層と正極活物質層との界面に存在しない、とは、充填材領域が固体電解質層と正極活物質層との界面に事実上存在しないことを意味する。すなわち、電池容量を大きく低下させないレベルで、充填材領域が固体電解質層と正極活物質層との界面に存在する形態を排除するものではない。
本発明の固体電解質層を構成する無機固体電解質材料は、無機固体電解質であるか、あるいは無機固体電解質と活物質との混合物であり、通常は無機固体電解質からなる。無機固体電解質の好ましい形態について以下に説明する。なお、活物質については後述する。
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば下記式(I)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
La1Mb1Pc1Sd1Ae1 式(I)
式中、LはLi、NaおよびKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜7.5がより好ましい。b1は0〜3が好ましい。d1はさらに、2.5〜10が好ましく、3.0〜8.5がより好ましい。e1はさらに、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(Li2S)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS2、SnS、GeS2)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
上記正極活物質層4は、上述した無機固体電解質と、正極活物質とを含有する。
正極活物質の好ましい形態について説明する。
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物や、有機物、硫黄などのLiと複合化できる元素や硫黄と金属の複合物などでもよい。
中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、CuおよびVから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、PまたはBなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素Maの量(100mol%)に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物および(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiMn2O4(LMO)、LiCoMnO4、Li2FeMn3O8、Li2CuMn3O8、Li2CrMn3O8およびLi2NiMn3O8が挙げられる。 (MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO4およびLi3Fe2(PO4)3等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP2O7等のピロリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類ならびにLi3V2(PO4)3(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、Li2FePO4F等のフッ化リン酸鉄塩、Li2MnPO4F等のフッ化リン酸マンガン塩およびLi2CoPO4F等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4およびLi2CoSiO4等が挙げられる。
本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO、LMO、NCA又はNMCがより好ましい。
正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm2)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
上記負極活物質層2は、上述した無機固体電解質と、負極活物質とを含有する。なお、上述した通り、本発明の全固体二次電池は負極活物質層を予め形成しない形態とすることも好ましい。
負極活物質の好ましい形態について説明する。
負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入および放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫等の金属酸化物、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体およびリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、並びに、Sn、Si、AlおよびIn等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵および放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm2)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金またはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金およびステンレス鋼がより好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
本発明において、全固体二次電池は、固体電解質層を本発明で規定する形態とすること以外は、常法により製造することができる。本発明の全固体二次電池の製造方法の一例を以下に示すが、本発明の全固体二次電池の製造方法はこれらの形態に限定されるものではない。
その後、冷却して充填材を固化することにより、無機固体電解質材料間の空隙の少なくとも一部が塞がれた固体電解質層を形成することができる。
こうして、正極活物質層と負極集電体との間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。また、固体電解質層の上に、負極活物質層と負極集電体と順次重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層との間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることもできる。
また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。また、基材/負極活物質層からなる2層構造の積層体と、基材/正極活物質層/固体電解質層からなる3層構造の積層体とを調製し、これらを重ねあわせて本発明の全固体二次電池を得ることもできる。また基材/正極活物質層からなる2層構造の積層体と、基材/負極活物質層/固体電解質層からなる3層構造の積層体とを調製し、これらを重ねあわせて本発明の全固体二次電池を得ることもできる。
また、少なくとも無機固体電解質材料を塗布して形成した層に、熱溶融状態にある硫黄及び/又は改質硫黄を含浸させ、次いで冷却して固体電解質層を形成することもできる。
本発明の全固体二次電池の製造において、各層の形成方法は特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布およびバーコート塗布が挙げられる。
各層形成用の塗布液を塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、(C)分散媒を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性を得ることができる。
また、塗布した固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱することが好ましい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒が残存している状態で行ってもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化の方法は特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより行うことができる。
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
本発明の全固体二次電池用固体電解質膜(以下、単に「本発明の電解質膜」という。)は、本発明の全固体二次電池の固体電解質層として好適に用いることができる。すなわち、本発明の電解質膜は、無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、無機固体電解質材料の間を埋める充填材領域とを有し、この充填材領域を構成する上記電子絶縁性材料は、固体電解質膜形成時に熱溶融状態として充填されたもの(固体電解質膜形成時における熱溶融履歴を有するもの)である。
また、本発明の電解質膜は、無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、無機固体電解質材料の間を埋める充填材領域とを有し、上記充填材領域のうち一辺が5μmの正方領域内に収まる充填材領域FRを平面視観察した場合に、FRの面積FAと、FRの外周長さFLとの比が、FL/FA≧0.81を満たすことが好ましい。
本発明の電解質膜の好ましい形態は、上述した本発明の全固体二次電池を構成する固体電解質層の好ましい形態と同じである。
本発明の電解質膜は、無機固体電解質材料と硫黄及び/又は改質硫黄とを含有する無機固体電解質組成物を用いて形成した膜を加熱し、この膜中の硫黄及び/又は改質硫黄を溶融させ、次いで冷却して硫黄及び/又は改質硫黄を固化することにより形成することができる。
また、本発明の電解質膜は、無機固体電解質材料を用いて形成した膜中に、熱溶融状態にある硫黄及び/又は改質硫黄を含浸させ、次いで冷却して硫黄及び/又は改質硫黄を固化することにより形成することができる。
本発明の電解質膜は、例えば、基材上に形成された状態で得ることができる。また、基材上に電解質膜を形成した後、基材を剥離して電解質膜単体としてもよい。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S、Aldrich社製、純度>99.98%)4.84g、五硫化二リン(P2S5、Aldrich社製、純度>99%)7.80gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入した。Li2S及びP2S5はモル比でLi2S:P2S5=75:25である。メノウ製乳鉢上において、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、上記混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li/P/Sガラス、以下「LPS」ともいう。)12.4gを得た。
得られたLPSの体積平均粒子径を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて測定した結果、8μmであった。また、このLPSは、大粒径の粒子の粒子径と、それより小粒径の粒子の粒子径との関係が、[大粒径粒子の粒子径]>4×[小粒径粒子の粒子径]を満たす関係にある粒子を有するものであった。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫黄(S、Aldrich社製、純度>99.98%)を0.8g、上記LPSを6.2g、それぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入した。硫黄及びLPSは質量比でLPS:S=88:12、体積比でLPS:S=100:11である。メノウ製乳鉢上において、メノウ製乳棒を用いて、10分間混合した。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫黄(S、Aldrich社製、純度>99.98%)1.2g、酸化アルミニウムナノ粒子(Al2O3、純度>99%、粒子サイズ500nm、EMジャパン社製)0.6gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて10分間混合した。次いで、上記LPSを8.2g秤量し、上記乳鉢に投入して、メノウ製乳棒を用いて10分間混合した。LPS:アルミナ:硫黄は質量比で82:6:12、LPS:Sは体積比で100:11である。
<全固体二次電池用正極シートの作製>
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLPS2.0gと、スチレンブタジエンゴム(商品コード182907、アルドリッチ社製)0.1gと、分散媒としてオクタン22gとを投入した。その後に、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP−7にセットし、温度25℃で、回転数300rpmで2時間攪拌した。その後、正極活物質LiNi0.85Co0.10Al0.05O2(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム)7.9gを容器に投入し、再びこの容器を遊星ボールミルP−7にセットし、温度25℃、回転数100rpmで15分間混合を続けた。このようにして、正極用組成物を得た。
次に、集電体となる厚み20μmのアルミ箔状に、上記で得られた正極用組成物をベーカー式アプリケーターにより塗布し、80℃2時間加熱して、正極用組成物を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、所定の密度になるように乾燥させた正極層用組成物を加熱(120℃)しながら加圧(600MPa、1分)した。このようにして、膜厚110μmの正極活物質層を有する全固体二次電池用正極シートを作製した。
上記参考例2又は3で調製した混合物を、常温トルエン中で分散し固形分20質量%の塗布液を得た。この塗布液を、常温で上記の正極シート上にバーコート塗布し、120℃で乾燥して、膜厚100μmの固体電解質層を得た。
次いで、負極集電体となるSUS箔を固体電解質層の上に重ね、全固体二次電池用積層体を形成した。
この積層体に、拘束部材となる拘束板とネジを使い、トルクレンチでネジの締付力を調整し、所定の拘束圧を印加した。
その後、拘束圧のかかった状態の積層体を、ホットプレート上で150℃、1時間の加熱処理に付し、充填材である硫黄を熱溶融させた。
その後、自然冷却して、拘束圧を8MPaに調整して、実施例1の全固体二次電池とした。
上記の固体電解質層を、SEM−EDX装置を用い、クライオホルダーを用いることで凍結し、冷却した状態で測定を行った。
まず断面SEM像を倍率5000倍で撮影した。
次に、同じ断面のEDX像を元素Pと元素Sについて取得した。電解質領域と充填材領域(硫黄)の対応づけを、下記のようにP(リン)とS(硫黄)の有無で実施した。
電解質領域:P有り、S有り
充填材領域:P無し、S有り
断面SEM画像において、充填材領域として同定された各領域のうち、5μmの正方領域内(5μm×5μm)に収まる領域(充填材領域として同定された領域のうち、外周(電解質領域との境界)がすべて、5μmの正方領域内に収まる領域)を無作為に10領域選抜し、それらの領域のFL(周長)とFA(面積)を測定した。これらの測定値に基づき決定した各領域のFL/FAの平均(10領域のFL/FAの平均)を算出した。
なお、下表中、「SEM−EDX観察によるFRの状態」のカラムにおいて、「空隙」とは、断面SEM画像内に観察される、P無しかつS無しの領域を意味する。
上記で作製した各全固体二次電池を用いて、下記条件により充放電を行い、充放電サイクル特性試験を実施した。
(条件)
30℃、電流密度0.09mA/cm2(0.05Cに相当)、4.2V、一定電流条件で充放電
下記評価基準に基づき、充放電サイクル特性を評価した。
−充放電サイクル特性評価基準−
A:3サイクル以上でも短絡なし
B:2サイクル以上3サイクル未満で短絡
C:1サイクル以上2サイクル未満で短絡
D:1サイクル未満で短絡
結果を下表に示す。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
21a 固体電解質層
21b 正極集電体
21c 正極活物質層
21d 負極集電体
21e 負極活物質層
22 軸心
23 電池カバー
Claims (18)
- 固体電解質層が、無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、該無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
該充填材領域が、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料の熱溶融物を用いて形成されたものである、全固体二次電池。 - 固体電解質層が、無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、該無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
前記充填材領域が、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料を含み、
1辺が5μmの正方領域内に収まる充填材領域FRを平面視観察した場合に、FRの面積FAと、FRの外周長さFLとの比が、FL/FA≧0.81を満たす、全固体二次電池。 - 前記電子絶縁性材料が硫黄及び/又は改質硫黄である、請求項1又は2記載の全固体二次電池。
- 前記充填材領域が、アルカリ金属を含む化合物及び/又はアルカリ土類金属を含む化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の全固体二次電池。
- 前記充填材領域が有機バインダーを含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の全固体二次電池。
- 前記無機固体電解質材料が硫化物系無機固体電解質及び/又は酸化物系無機固体電解質である、請求項1〜5のいずれか1項記載の全固体二次電池。
- 前記充填材領域が、前記固体電解質層と正極活物質層との界面には存在しない、請求項1〜6のいずれか1項記載の全固体二次電池。
- 前記無機固体電解質材料が大粒径の粒子と小粒径の粒子とを有し、[大粒径粒子の粒子径]>4×[小粒径粒子の粒子径]を満たす粒度分布を有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の全固体二次電池。
- 前記固体電解質層中、無機固体電解質材料の含有量100体積%に対し、前記電子絶縁性材料の含有量が15体積%未満である、請求項1〜8のいずれか1項記載の全固体二次電池。
- 無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、該無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
該充填材領域は、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料の熱溶融物を用いて形成されたものである、全固体二次電池用固体電解質膜。 - 無機固体電解質材料に占有された電解質領域と、該無機固体電解質材料間の空隙を塞ぐ充填材領域とを有し、
前記充填材領域が、100℃において固体でかつ200℃以下の温度領域で熱溶融する電子絶縁性材料を含み、
1辺が5μmの正方領域内に収まる充填材領域FRを平面視観察した場合に、FRの面積FAと、FRの外周長さFLとの比が、FL/FA≧0.81を満たす、全固体二次電池用固体電解質膜。 - 前記電子絶縁性材料が硫黄及び/又は改質硫黄である、請求項10又は11記載の全固体二次電池用固体電解質膜。
- 前記無機固体電解質材料が硫化物系無機固体電解質及び/又は酸化物系無機固体電解質である、請求項10〜12のいずれか1項記載の全固体二次電池用固体電解質膜。
- 前記無機固体電解質材料が大粒径の粒子と小粒径の粒子とを有し、[大粒径粒子の粒子径]>4×[小粒径粒子の粒子径]を満たす、請求項10〜13のいずれか1項記載の全固体二次電池用固体電解質膜。
- 無機固体電解質材料と硫黄及び/又は改質硫黄とを含有する無機固体電解質組成物を用いて形成した層を加熱し、該層中の硫黄及び/又は改質硫黄を熱溶融させ、次いで冷却して固体電解質層を形成することを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の全固体二次電池の製造方法。
- 無機固体電解質材料を用いて形成した層中に、熱溶融状態にある硫黄及び/又は改質硫黄を含浸させ、次いで冷却して固体電解質層を形成することを含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の全固体二次電池の製造方法。
- 無機固体電解質材料と硫黄及び/又は改質硫黄とを含有する無機固体電解質組成物を用いて形成した膜を加熱し、該膜中の硫黄及び/又は改質硫黄を熱溶融させ、次いで冷却することを含む、請求項10〜14のいずれか1項記載の全固体二次電池用固体電解質膜の製造方法。
- 無機固体電解質材料を用いて形成した膜中に、熱溶融状態にある硫黄及び/又は改質硫黄を含浸させ、次いで冷却することを含む、請求項10〜14のいずれか1項記載の全固体二次電池用固体電解質膜の製造方法。
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