JPWO2018163303A1 - 土木工事用袋体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】袋本体20が中詰材の収容部22と、吊りロープ取付部24と、余長部26とを有し、吊りロープ取付部に多段的に形成された複数の縦長網目25の縦ピッチが収容部22に形成された基準網目23の縦ピッチより大きい寸法関係にある。
【選択図】図1
Description
従来の土木工事用袋体91は、少なくともメッシュ構造の袋本体92と、袋本体92の開口部の近くに取り付けられた吊りロープ93とを具備する。
袋本体92は繊維製の編地が用いられていて、中詰材95の漏出を規制するために、網目96の開口寸法が50mm前後に形成されている。
吊りロープ93は一本のロープ材で構成され、ロープ材の一端を複数の網目に挿通しながら袋本体92を周回させた後に、ロープ材の両端を結んで無端構造としている。
土木工事用構造体90を所定場所へ移動する場合は、袋本体92の複数箇所(例えば6箇所)の網目から吊りロープ93を引き出し、引き出した複数のループ部94をひとまとめにしてクレーン機能を有するフック96等で吊り上げている。
<1>図8(a)は袋本体92の網目96を通じて隣り合うループ部94a,94bを引き出した形態を示し、同図の(b)は2つのループ部94a,94bを吊上げた形態を示している。
ループ部94a,94bを吊上げると、各ループ部94a,94bが係留する網目96a,96bが互いに離隔する方向へ引っ張られる。
網目96a,96bの開口は中詰材95の漏出を考慮して小さい寸法50mm前後に形成されているため、各網目96a,96bが拡開できる距離が比較的短い。
そのため、網目96a,96bの一部の編糸が切れて編地が引き裂かれてしまうといった問題がある。
<2>網目26の引き裂きを防止する方法のひとつとして、袋本体92を構成する網地全体の網目96の開口寸法を大きく形成することが考えられるが、網目96の開口寸法を大きくすると、袋本体92の網目96を通じて中詰材95が抜け出すといった問題が生じる。
<3>複数のループ部94の引出間隔に大きな差があると、吊上げたときに袋本体92に不均一な張力がはたらいて網目96が裂け易い。
<4>網目26の引き裂きを防止する他の方法として、網目96の目数を1つ以上飛ばして吊りロープ93を引き出す方法がある。
この方法では、吊りロープ93の取付時に網目96の数(ロープ材を通す網目数と、ロープ材を通さずに飛ばす網目数)を正確に数えなければならず、ロープ材の挿通作業に多くの時間と労力がかかるだけでなく、目数の数え間違いを生じ易い。
<5>さらに網目96の目数を飛ばしてロープ材を挿通した場合の他の問題点としては、吊りロープ93の引出位置が非常に分かりにくい。
引出位置を視認し易くするために、吊りロープ93の引出位置に合せて編地に複数のマーキングテープを貼り付ける方法があるが、袋体の製造工程が余分に増える。
本発明の他の形態において、多段的に形成された前記複数の縦長網目が、前記収容部の最上位の基準網目と隣接して形成された吊りロープ挿通網目と、前記吊りロープ挿通網目の上位で吊りロープ挿通網目と隣接して形成された中間網目と、前記中間網目と余長部の最下位の基準網目と隣接して形成された緩和網目の組み合せである。
本発明の他の形態において、前記基準網目および複数の縦長網目の展開形状が多角形を呈している。
本発明の他の形態において、前記袋本体の基準網目および吊りロープ挿通用網目の展開形状が四角形または六角形を呈している。
本発明の他の形態において、前記基準網目の開口寸法が中詰材の抜け出しを規制できる寸法である。
本発明の他の形態において、前記袋本体が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されている。
<1>吊りロープが挿通された吊りロープ取付部の複数の縦長網目に引き裂き方向へ向けた引張力が作用しても、ループ部の変位に追従するように複数の縦長網目が横長に拡開して変形するので、袋本体の編地の引き裂き防止効果が格段に高くなる。
<2>袋本体に形成された吊りロープ取付部の縦長網目の変形量が袋本体に形成された収容部の基準網目よりも大きいので、吊りロープを網目に挿通させる際に、面倒な目飛ばしを行う必要がなく、さらにロープ材の引出位置にマーキングテープを貼り付ける必要もなくなる。
そのため、吊りロープの挿通作業と吊りロープの引出し作業を簡単、かつ短時間に行うことができる。
図1を参照して説明すると、土木工事用袋体10(以下「袋体10」)は内部に石等の中詰材40を充填して土木工事用構造体60を構成するためのものである。
土木工事用袋体10は、中詰材40を充填するメッシュ構造の袋本体20と、袋本体20の開口部21の近くに取り付けられた無端構造の吊りロープ30と、袋本体20の開口部21により近い位置に取り付けられた口縛りロープ32とを具備する。
袋本体20は巾着袋状に形成された有底袋体であり、中詰材40を直接収容する袋状の収容部22と、吊りロープ30を取付ける部位であって、収容部22の上端に収容部22と隣接して一体に形成された筒状の吊りロープ取付部24と、口縛りロープ32を取付ける部位であって、吊りロープ取付部24の上端に吊りロープ取付部24と隣接して一体に形成された筒状の余長部26とを具備する。
本例では袋本体20の全体形状が開口部21から閉鎖された底部28へ向けて縮径したテーパ形状を呈する形態について示すが、開口部21から底部22へ向けて均一径に形成した筒状の形態でもよい。
収容部22、ロープ取付部24および余長部26は公知の編機により連続した編地として編成可能である。
袋本体20の容積は使途に応じて適宜選択するが、実用上は1m3〜4m3の範囲が好適である。
袋本体20の編地素材としては、例えば編糸を一重又は二重以上に編成した無結節編地(例えばラッセル網、無結節網等)を使用できる。
編地の編糸としては、例えばポリエステル繊維糸、ポリアミド繊維糸、ポリアクリル繊維糸等の合繊繊維糸、又は綿糸、麻糸等の天然繊維糸等を単独又は混繊して使用できる。
実用上はポリエチレン(400d/90本、強度140kgf/2脚)等の合成繊維糸を二重に編成したラッセル網を使用できる。
袋本体20の網目は中詰材40を漏出しない寸法に設定してある。
袋本体20は六角形または菱形形の網目を有する。本例では網目が六角形を呈する場合について説明する。
袋本体20は全体の網目が均一ではなく、吊りロープ取付部24の網目が収容部22および余長部26の網目に対して縦長に形成されている。以下に詳述する。
図2を参照して袋本体20の網目について説明する。
収容部22および余長部26は、共に全辺が均等長の六角形を呈した基準網目23,27で構成されている。
収容部22の基準網目23は中詰材40を漏出しない寸法であり、中詰材40の寸法により若干異なるが、実用上基準網目23,27の目合い寸法は25〜50mmの範囲が好ましい。
余長部26の基準網目27については特別な制約がなく、本例では収容部22の基準網目23と同じ目合い寸法で形成されている。
吊りロープ取付部24は、基準網目23,27と比べて斜辺の長さが長い六角形を呈した複数の縦長網目25で構成されている。
さらに吊りロープ挿通網目25aの上方斜辺と、中間網目25bの下方斜辺は共通し、中間網目25bの上方斜辺と緩和網目25cの下方斜辺も共通する。
編地を展張した状態における基準網目23,27と縦長網目25の縦横方向へ向けたピッチについて説明する。
横ピッチについては、基準網目23,27と縦長網目25が共に等しい関係にある。
縦ピッチについては、吊りロープ挿通網目25aが基準網目23より大きい寸法関係にある。
すなわち、基準網目23,27の縦ピッチをそれぞれP1,P5、吊りロープ挿通網目25aの縦ピッチをP2、中間網目25bの縦ピッチをP3、緩和網目25cの縦ピッチをP4とした場合、縦長の吊りロープ挿通網目25a、中間網目25b、緩和網目25cの各縦ピッチ(P2、P3、P4)は基準網目23,27の縦ピッチ(P1,P5)より大きい寸法関係にある。
吊りロープ30は土木工事用構造体60の吊上げに用いるロープ材であり、袋本体20の開口部21の近く吊りロープ取付部24に周回して取り付けられている。
より具体的には、吊りロープ30のロープ材の一端を図2に示した吊りロープ挿通網目25aに目飛ばしを行わずに挿通されていて、その両端を結んで無端構造になっている。
口縛りロープ32は袋本体20の開口部21を閉じるためのロープ材であり、余長部26に周回して取り付けられている。
口縛りロープ32はその両端を結んで無端構造とすることの他に、ロープ材の両端を結ばずにおいてもよい。
口縛りロープ32は吊りロープ30に対して上位(開口部21により近い側)に位置していて、基準網目27に挿通して取り付けられている。
口縛りロープ32を吊りロープ30の上位に位置させたのは、吊りロープ30の影響を受けずに袋本体20の開口部21を閉じるためと、開口部21の封鎖箇所が上方へ出っ張るのを回避するためである。
中詰材40は、例えば玉石等の自然骨材、コンクリートガラ、各種廃棄物の焼成体等を使用できる。
つぎに図4を参照しながら袋体10を使用した土木工事用構造体60の製作方法について説明する。
上下を開放し、逆円錐台形(すり鉢形)を呈する型枠50を準備する。
型枠50の内部に袋本体20を収容する。大きく口開きした袋本体20の開口部近くを外方へ折り返して型枠50の上口へ被せる。
バックホウ等の重機を用いて袋本体20の収容部22内に所定量の中詰材40を投入する。
収容部22の基準網目23が中詰材40の抜け出ない開口寸法にしてあるので、投入された中詰材40は袋本体20から抜け出ない。
袋本体20の複数箇所(例えば6箇所)から吊りロープ30を引出して複数のループ部31を形成する。
吊りロープ30が変形量の大きなロープ挿通網目25aに挿通してあることから、従来のように目数を正確に数えたり、引出位置にマーキングテープを貼り付けたりする必要がなく、吊りロープ30の引出間隔は大まかでよい。
引き出した複数のループ部31を集めてクレーン機能を有するフック95に吊り掛けて僅かに吊上げる。
袋本体20の底部が地上から僅かに浮上する程度まで複数のループ部32を吊り上げて袋本体20の編地の弛みをなくす。
吊りロープ30の張力は、吊りロープ30の内方に位置する袋本体20の余長部26に作用しないので、余長部26は弛んだままである(図5)。
つぎに袋本体20の余長部26に挿通されている口縛りロープ32を絞り込み、袋本体20の開口部21を閉じることで土木工事用構造体60の製作を完了する。
例えば、口縛りロープ32を2箇所から引き出して袋本体20を絞込んだ後に、ロープが解けないように口縛りロープ32の引き出し部分を互いに結び合う。
複数のループ部31を吊上げて型枠50から取出した土木工事用構造体60を所定の位置へ移動する。
複数のループ部31の吊上げに伴い、吊りロープ30の全体に張力が付与され、その結果、袋本体30の吊りロープ取付部24が縮径方向に絞り込まれる。
図2に張力作用前における編地のモデル図を示し、図3に張力作用時における編地のモデル図を示し、図6に吊上げ時における土木工事用構造体60の上部の斜視図を示す。
これらの図2,3,6を参照して吊りロープ取付部24の網目の変形について詳しく説明する。
図2に示した左右2つのループ部31,31に引張力が作用して、2つのループ部31,31は互いに離隔する方向に引っ張られると、図3にみられるように吊りロープ取付部24に多段的に形成された各網目25a〜25cが縦長から横長へと大きく変形して、左右2つのループ部31,31の離隔を許容する。
その結果、左右2つのループ部31,31が大きく離間しても、左右2つのループ部31,31の離間に追従して各網目25a〜25cが左右方向へ向けて大きく拡開する。
このとき、編糸に過大な張力が作用しないので、吊りロープ取付部24の各網目25a〜25cの引き裂きを確実に防止することができる。
図2,3を参照しながら、左右2つのループ部31,31を通じて吊りロープ挿通網目25a,25aに引き裂き方向へ向けて引張力が作用した場合における各網目25a〜25cの形状変化について説明する。
吊りロープ挿通網目25a,25aではその頂点位置が左右2つのループ部31,31に引っ張られて左右方向に拡開する。縦長の六角形を呈していた吊りロープ挿通網目25aは左右2つのループ部31,31の離間を許容しながら横長の傾倒した六角形に変形する。吊りロープ挿通網目25aは基準網目23より大きい寸法関係にあるため、吊りロープ挿通網目25aの変形が基準網目23によって阻害されることはない。
吊りロープ挿通網目25aおよび緩和網目25cと斜辺を共有する中間網目25bは、各吊りロープ挿通網目25aの拡開変位に引き摺られて縦長の六角形から横長の略菱形に変形する。
中間網目25bが変形することで、吊りロープ挿通網目25aの変形が阻害されない。
中間網目25bと斜辺を共有する緩和網目25cは、中間網目25bの拡開変位に引き摺られて左右方向に拡開する。縦長の六角形を呈していた緩和網目25cは中間網目25bの変形を許容しながら横長の傾倒した六角形に変形する。
緩和網目25cが基準網目27より大きい寸法関係にあるため、緩和網目25cの変形が基準網目27によって阻害されることはない。
なお、吊りロープ挿通網目25aおよび緩和網目25cの寸法(縦ピッチP2,P4)が小さくなると、吊りロープ挿通網目25a,25aの開き量が小さくなるので、吊りロープ挿通網目25aおよび緩和網目25cの寸法は基準網目23,27の寸法(縦ピッチP1,P5)の2倍程以上の寸法関係とすることが望ましい。
例えば中間網目25bと緩和網目25cの省略を想定した場合には、吊りロープ挿通網目25aの上部の斜辺を余長部26の基準網目27の斜辺と共有させようとしても、斜辺の長さが相違するために編地そのものを編成することができない。
仮に編地を編成できたとしても、各基準網目23,27の影響を受けて吊りロープ挿通網目25aが左右方向へ向けて大きく拡開変形させることができない。換言すれば、中間網目25bと緩和網目25cを省略すると、吊りロープ挿通網目25aの変形量が小さくなって、編地が引き裂かれ易い。
20・・・・・袋本体
21・・・・・袋本体の開口部
22・・・・・袋本体の収容部
23・・・・・収容部の基準網目
24・・・・・袋本体の吊りロープ取付部
25・・・・・吊りロープ取付部の縦長網目
25a・・・・吊りロープ挿通網目
25b・・・・中間網目
25c・・・・緩和網目
26・・・・・袋本体の余長部
27・・・・・余長部の基準網目
28・・・・・袋本体の底部
30・・・・・吊りロープ
31・・・・・ループ部
32・・・・・口縛りロープ
40・・・・・中詰材
50・・・・・型枠
60・・・・・土木工事用構造体
本発明の他の形態において、多段的に形成された前記複数の縦長網目が、前記収容部の最上位の基準網目と隣接して形成された吊りロープ挿通網目と、前記吊りロープ挿通網目の上位で吊りロープ挿通網目と隣接して形成された中間網目と、前記中間網目と余長部の最下位の基準網目と隣接して形成された緩和網目の組み合せである。
本発明の他の形態において、前記基準網目および複数の縦長網目の展開形状が多角形を呈している。
本発明の他の形態において、前記袋本体の基準網目および吊りロープ挿通用網目の展開形状が四角形または六角形を呈している。
本発明の他の形態において、前記袋本体が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されている。
Claims (6)
- 内部に中詰材を収容可能なメッシュ状の袋本体と、前記袋本体の開口部から離隔した位置に取り付けられた吊りロープと、前記袋本体の開口部の近傍に取り付けられ口縛りロープとを具備し、袋本体の複数箇所から吊りロープの一部が引き出されて形成された複数のループ部を介して袋本体を吊り上げる土木工事用袋体であって、
前記袋本体が複数の基準網目を有する中詰材の収容部と、吊りロープを取付ける部位であって、前記収容部の上端に収容部と隣接して一体に形成された吊りロープ取付部と、口縛りロープを取付ける部位であって、該吊りロープ取付部の上端に吊りロープ取付部と隣接して一体に形成された余長部とを有し、
前記吊りロープ取付部に複数の縦長網目が多段的に形成され、
前記吊りロープ取付部に形成された複数の縦長網目の縦ピッチが前記収容部に形成された基準網目の縦ピッチより大きい寸法関係にあることを特徴とする、
土木工事用袋体。 - 多段的に形成された前記複数の縦長網目が、前記収容部の最上位の基準網目と隣接して形成された吊りロープ挿通網目と、前記吊りロープ挿通網目の上位で吊りロープ挿通網目と隣接して形成された中間網目と、前記中間網目と余長部の最下位の基準網目と隣接して形成された緩和網目の組み合せであることを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用袋体。
- 前記基準網目および複数の縦長網目の展開形状が多角形を呈することを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用袋体。
- 前記袋本体の基準網目および吊りロープ挿通用網目の展開形状が四角形または六角形を呈することを特徴とする、請求項3に記載の土木工事用袋体。
- 前記基準網目の開口寸法が中詰材の抜け出しを規制できる寸法であることを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用袋体。
- 前記袋本体が編糸を一重又は二重以上に編成したラッセル網で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用袋体。
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