実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置について説明する。本実施の形態では、冷凍サイクル装置の一例として、空気調和機を例示している。図1は、本実施の形態に係る空気調和機の概略構成を示す冷媒回路図である。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の寸法の関係や形状等が実際のものとは異なる場合がある。
図1に示すように、空気調和機は、冷媒を循環させる冷媒回路40を有している。冷媒回路40は、圧縮機3、冷媒流路切替装置4、熱源側熱交換器5(例えば、室外熱交換器)、減圧装置6、及び負荷側熱交換器7(例えば、室内熱交換器)が冷媒配管を介して順次環状に接続された構成を有している。また、空気調和機は、熱源ユニットとして、例えば室外に設置される室外機2を有している。さらに、空気調和機は、負荷ユニットとして、例えば室内に設置される室内機1(熱交換器ユニットの一例)を有している。室内機1と室外機2との間は、冷媒配管の一部である延長配管10a、10bを介して接続されている。
冷媒回路40を循環する冷媒としては、例えば、HFO−1234yf、HFO−1234ze等の微燃性冷媒、又は、R290、R1270等の強燃性冷媒が用いられる。これらの冷媒は単一冷媒として用いられてもよいし、2種以上が混合された混合冷媒として用いられてもよい。以下、微燃レベル以上(例えば、ASHRAE34の分類で2L以上)の可燃性を有する冷媒のことを「可燃性冷媒」という場合がある。また、冷媒回路40を循環する冷媒としては、不燃性(例えば、ASHRAE34の分類で1)を有するR22、R410A等の不燃性冷媒を用いることもできる。これらの冷媒は、例えば、大気圧下において空気よりも大きい密度を有している。
圧縮機3は、吸入した低圧冷媒を圧縮し、高圧冷媒として吐出する流体機械である。冷媒流路切替装置4は、冷房運転時と暖房運転時とで冷媒回路40内の冷媒の流れ方向を切り替えるものである。冷媒流路切替装置4としては、例えば四方弁が用いられる。熱源側熱交換器5は、冷房運転時には放熱器(例えば、凝縮器)として機能し、暖房運転時には蒸発器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器5では、内部を流通する冷媒と、後述する室外送風ファン5fにより送風される室外空気との熱交換が行われる。減圧装置6は、高圧冷媒を減圧して低圧冷媒とするものである。減圧装置6としては、例えば開度を調節可能な電子膨張弁などが用いられる。負荷側熱交換器7は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には放熱器(例えば、凝縮器)として機能する熱交換器である。負荷側熱交換器7では、内部を流通する冷媒と、後述する室内送風ファン7fにより送風される空気との熱交換が行われる。ここで、冷房運転とは、負荷側熱交換器7に低温低圧の冷媒を供給する運転のことであり、暖房運転とは、負荷側熱交換器7に高温高圧の冷媒を供給する運転のことである。
室外機2には、圧縮機3、冷媒流路切替装置4、熱源側熱交換器5及び減圧装置6が収容されている。また、室外機2には、熱源側熱交換器5に室外空気を供給する室外送風ファン5fが収容されている。室外送風ファン5fは、熱源側熱交換器5に対向して設置されている。室外送風ファン5fを回転させることで、熱源側熱交換器5を通過する空気流が生成される。室外送風ファン5fとしては、例えばプロペラファンが用いられている。室外送風ファン5fは、当該室外送風ファン5fが生成する空気流において、例えば熱源側熱交換器5の下流側に配置されている。
室外機2には、冷媒配管として、冷房運転時にガス側となる延長配管接続バルブ13aと冷媒流路切替装置4とを繋ぐ冷媒配管、圧縮機3の吸入側に接続されている吸入配管11、圧縮機3の吐出側に接続されている吐出配管12、冷媒流路切替装置4と熱源側熱交換器5とを繋ぐ冷媒配管、熱源側熱交換器5と減圧装置6とを繋ぐ冷媒配管、及び、冷房運転時に液側となる延長配管接続バルブ13bと減圧装置6とを繋ぐ冷媒配管、が配置されている。延長配管接続バルブ13aは、開放及び閉止の切替えが可能な二方弁で構成されており、その一端にフレア継手が取り付けられている。また、延長配管接続バルブ13bは、開放及び閉止の切替えが可能な三方弁で構成されている。延長配管接続バルブ13bの一端には、冷媒回路40に冷媒を充填する前作業である真空引きの際に使用するサービス口14aが取り付けられ、他の一端にはフレア継手が取り付けられている。
吐出配管12には、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、圧縮機3で圧縮された高温高圧のガス冷媒が流れる。吸入配管11には、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、蒸発作用を経た低温低圧のガス冷媒又は二相冷媒が流れる。吸入配管11には、低圧側のフレア継手付きのサービス口14bが接続されており、吐出配管12には、高圧側のフレア継手付きのサービス口14cが接続されている。サービス口14b、14cは、空気調和機の据付け時や修理時の試運転の際に圧力計を接続して、運転圧力を計測するために使用される。
室内機1には、負荷側熱交換器7が収容されている。また、室内機1には、負荷側熱交換器7に空気を供給する室内送風ファン7fが設置されている。室内送風ファン7fを回転させることで、負荷側熱交換器7を通過する空気流が生成される。室内送風ファン7fとしては、室内機1の形態によって、遠心ファン(例えば、シロッコファン、ターボファン等)、クロスフローファン、斜流ファン、軸流ファン(例えば、プロペラファン)などが用いられる。本例の室内送風ファン7fは、当該室内送風ファン7fが生成する空気流において負荷側熱交換器7の上流側に配置されているが、負荷側熱交換器7の下流側に配置されていてもよい。
室内機1の冷媒配管のうちガス側の室内配管9aにおいて、ガス側の延長配管10aとの接続部には、延長配管10aを接続するための継手部15a(例えば、フレア継手)が設けられている。また、室内機1の冷媒配管のうち液側の室内配管9bにおいて、液側の延長配管10bとの接続部には、延長配管10bを接続するための継手部15b(例えば、フレア継手)が設けられている。
また、室内機1には、室内から吸い込まれる室内空気の温度を検出する吸込空気温度センサ91、負荷側熱交換器7の冷房運転時の入口部(暖房運転時の出口部)の冷媒温度を検出する熱交換器入口温度センサ92、負荷側熱交換器7の二相部の冷媒温度(蒸発温度又は凝縮温度)を検出する熱交換器温度センサ93等が設けられている。さらに、室内機1には、後述する冷媒検知手段99(例えば、半導体式ガスセンサ)が設けられている。これらのセンサ類は、室内機1又は空気調和機全体を制御する制御部30に検出信号を出力するようになっている。
制御部30は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えたマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という場合がある。)を有している。制御部30は、不図示の操作部との間で相互にデータ通信を行うことができるようになっている。操作部は、ユーザによる操作を受け付け、操作に基づく操作信号を制御部30に出力するものである。本例の制御部30は、操作部からの操作信号やセンサ類からの検出信号等に基づき、室内送風ファン7fの動作を含む室内機1又は空気調和機全体の動作を制御する。また、本例の制御部30は、冷媒検知手段99への通電及び非通電を切り替えることができるようになっている。制御部30は、室内機1の筐体内に設けられていてもよいし、室外機2の筐体内に設けられていてもよい。また、制御部30は、室外機2に設けられる室外機制御部と、室内機1に設けられ、室外機制御部とデータ通信可能な室内機制御部と、により構成されていてもよい。
次に、空気調和機の冷媒回路40の動作について説明する。まず、冷房運転時の動作について説明する。図1において、実線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れ方向を示している。冷房運転では、冷媒流路切替装置4によって冷媒流路が実線で示すように切り替えられ、負荷側熱交換器7に低温低圧の冷媒が流れるように冷媒回路40が構成される。
圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒は、冷媒流路切替装置4を経てまず熱源側熱交換器5へと流入する。冷房運転では、熱源側熱交換器5は凝縮器として機能する。すなわち、熱源側熱交換器5では、内部を流通する冷媒と、室外送風ファン5fにより送風される室外空気との熱交換が行われ、冷媒の凝縮熱が室外空気に放熱される。これにより、熱源側熱交換器5に流入した冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、減圧装置6に流入し、減圧されて低圧の二相冷媒となる。低圧の二相冷媒は、延長配管10bを経由して室内機1の負荷側熱交換器7に流入する。冷房運転では、負荷側熱交換器7は蒸発器として機能する。すなわち、負荷側熱交換器7では、内部を流通する冷媒と、室内送風ファン7fにより送風される空気(例えば、室内空気)との熱交換が行われ、冷媒の蒸発熱が送風空気から吸熱される。これにより、負荷側熱交換器7に流入した冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒又は二相冷媒となる。また、室内送風ファン7fにより送風される空気は、冷媒の吸熱作用によって冷却される。負荷側熱交換器7で蒸発した低圧のガス冷媒又は二相冷媒は、延長配管10a及び冷媒流路切替装置4を経由して圧縮機3に吸入される。圧縮機3に吸入された冷媒は、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となる。冷房運転では、以上のサイクルが繰り返される。
次に、暖房運転時の動作について説明する。図1において、点線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れ方向を示している。暖房運転では、冷媒流路切替装置4によって冷媒流路が点線で示すように切り替えられ、負荷側熱交換器7に高温高圧の冷媒が流れるように冷媒回路40が構成される。暖房運転時には、冷媒は冷房運転時とは逆方向に流れ、負荷側熱交換器7は凝縮器として機能する。すなわち、負荷側熱交換器7では、内部を流通する冷媒と、室内送風ファン7fにより送風される空気との熱交換が行われ、冷媒の凝縮熱が送風空気に放熱される。これにより、室内送風ファン7fにより送風される空気は、冷媒の放熱作用によって加熱される。
図2は、本実施の形態に係る空気調和機の室内機1の内部構造を模式的に示す正面図である。図3は、本実施の形態に係る空気調和機の室内機1の内部構造を模式的に示す側面図である。図3における左方は、室内機1の前面側(すなわち、室内空間側)を示している。本実施の形態では、室内機1として、空調対象空間となる室内空間の床面上に設置される床置形の室内機1を例示している。なお、以下の説明における各構成部材同士の位置関係(例えば、上下関係等)は、原則として、室内機1を使用可能な状態に設置したときのものである。
図2及び図3に示すように、室内機1は、縦長の直方体状の形状を有する筐体111を備えている。筐体111の前面下部には、室内空間の空気を吸い込む吸込口112が形成されている。本例の吸込口112は、筐体111の上下方向において中央部よりも下方であり、床面近傍の位置に設けられている。筐体111の前面上部、すなわち吸込口112よりも高さの高い位置(例えば、筐体111の上下方向における中央部よりも上方)には、吸込口112から吸い込まれた空気を室内に吹き出す吹出口113が形成されている。筐体111の前面のうち、吸込口112よりも上方で吹出口113よりも下方には、不図示の操作部が設けられている。操作部では、ユーザの操作により空気調和機の運転開始操作、運転終了操作、運転モードの切替え、設定温度及び設定風量の設定などが行われる。操作部には、情報をユーザに報知する表示部や音声出力部等が設けられていてもよい。
筐体111は中空の箱体であり、筐体111の前面には前面開口部が形成されている。筐体111は、前面開口部に対して着脱可能に取り付けられる第1前面パネル114a、第2前面パネル114b及び第3前面パネル114cを備えている。第1前面パネル114a、第2前面パネル114b及び第3前面パネル114cは、いずれも略長方形平板状の外形状を有している。第1前面パネル114aは、筐体111の前面開口部の下部に対して着脱可能に取り付けられている。第1前面パネル114aには、上記の吸込口112が形成されている。第2前面パネル114bは、第1前面パネル114aの上方に隣接して配置されており、筐体111の前面開口部の上下方向における中央部に対して着脱可能に取り付けられている。第2前面パネル114bには、上記の操作部が設けられている。第3前面パネル114cは、第2前面パネル114bの上方に隣接して配置されており、筐体111の前面開口部の上部に対して着脱可能に取り付けられている。第3前面パネル114cには、上記の吹出口113が形成されている。
筐体111の内部空間は、送風部となる空間115aと、空間115aの上方に位置し、熱交換部となる空間115bと、に大まかに分けられている。空間115aと空間115bとの間は、仕切部20によって仕切られている。仕切部20は、例えば、平板状の形状を有しており、概ね水平に配置されている。仕切部20には、空間115aと空間115bとの間の風路となる風路開口部20aが少なくとも形成されている。空間115aは、第1前面パネル114aを筐体111から取り外すことによって前面側に露出するようになっており、空間115bは、第2前面パネル114b及び第3前面パネル114cを筐体111から取り外すことによって前面側に露出するようになっている。すなわち、仕切部20が設置されている高さは、第1前面パネル114aの上端又は第2前面パネル114bの下端の高さと概ね一致している。ここで、仕切部20は、後述するファンケーシング108と一体的に形成されていてもよいし、後述するドレンパンと一体的に形成されていてもよいし、ファンケーシング108及びドレンパンとは別体として形成されていてもよい。
空間115aには、吸込口112から吹出口113に向かう空気の流れを筐体111内の風路81に生じさせる室内送風ファン7fが配置されている。本例の室内送風ファン7fは、不図示のモータと、モータの出力軸に接続され、複数の翼が周方向に例えば等間隔で配置された羽根車107と、を備えたシロッコファンである。羽根車107の回転軸は、筐体111の奥行方向とほぼ平行になるように配置されている。室内送風ファン7fの回転速度は、ユーザに設定された設定風量等に基づいた制御部30の制御により、多段階(例えば、2段階以上)又は連続的に可変に設定される。
室内送風ファン7fの羽根車107は、渦巻状のファンケーシング108で覆われている。ファンケーシング108は、例えば筐体111とは別体で形成されている。ファンケーシング108の渦巻中心付近には、吸込口112を介してファンケーシング108内に室内空気を吸い込む吸込開口部108bが形成されている。吸込開口部108bは、吸込口112に対向するように配置されている。また、ファンケーシング108の渦巻の接線方向には、送風空気を吹き出す吹出開口部108aが形成されている。吹出開口部108aは、上方を向くように配置されており、仕切部20の風路開口部20aを介して空間115bに接続されている。言い換えれば、吹出開口部108aは、風路開口部20aを介して空間115bと連通している。吹出開口部108aの開口端と風路開口部20aの開口端との間は、直接繋がっていてもよいし、ダクト部材等を介して間接的に繋がっていてもよい。
また、空間115aには、例えば制御部30を構成するマイコン、各種電気部品、基板などが収容される電気品箱25が設けられている。
空間115b内の風路81には、負荷側熱交換器7が配置されている。負荷側熱交換器7の下方には、負荷側熱交換器7の表面で凝縮した凝縮水を受けるドレンパン(図示せず)が設けられている。ドレンパンは、仕切部20の一部として形成されていてもよいし、仕切部20とは別体として形成されて仕切部20上に配置されていてもよい。
空間115aの下方寄りの位置には、冷媒検知手段99が設けられている。冷媒検知手段99としては、半導体式ガスセンサ又は熱線型半導体式ガスセンサ等の通電式ガスセンサを含む通電式の冷媒検知手段が用いられる。冷媒検知手段99は、例えば、当該冷媒検知手段99の周囲の空気中における冷媒濃度を検知し、検知信号を制御部30に出力する。制御部30では、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき、冷媒の漏洩の有無が判定される。
室内機1において冷媒漏洩のおそれがあるのは、負荷側熱交換器7のろう付け部及び継手部15a、15bである。また、本実施の形態で用いられる冷媒は、大気圧下において空気よりも大きい密度を有している。したがって、本実施の形態の冷媒検知手段99は、筐体111内において負荷側熱交換器7及び継手部15a、15bよりも高さが低い位置に設けられている。これにより、少なくとも室内送風ファン7fの停止時において、冷媒検知手段99では、漏洩した冷媒を確実に検知することができる。なお、本実施の形態では、冷媒検知手段99が空間115aの下方寄りの位置に設けられているが、冷媒検知手段99の設置位置は他の位置であってもよい。
図4は、本実施の形態に係る空気調和機の制御部30で実行される冷媒漏洩検知処理の一例を示すフローチャートである。この冷媒漏洩検知処理は、空気調和機の運転中及び停止中を含む常時、空気調和機の停止中のみ、又は後述する正常状態Aのみに、所定の時間間隔で繰り返して実行されるものである。
図4のステップS1では、制御部30は、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき、冷媒検知手段99の周囲の冷媒濃度の情報を取得する。
次に、ステップS2では、冷媒検知手段99の周囲の冷媒濃度が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。冷媒濃度が閾値以上であると判定した場合にはステップS3に進み、冷媒濃度が閾値未満であると判定した場合には処理を終了する。
ステップS3では、室内送風ファン7fの運転を開始する。室内送風ファン7fが既に運転している場合には、そのまま運転を継続する。また、ステップS3では、室内送風ファン7fの回転速度を、冷媒漏洩量が最大であっても十分に冷媒を拡散できる回転速度(例えば、後述する閾値R1以上の回転速度)に設定するようにしてもよい。この回転速度は、通常運転中に使用される回転速度には限られない。ステップS3では、操作部に設けられている表示部や音声出力部等を用いて、冷媒の漏洩が生じたことをユーザに報知するようにしてもよい。なお、報知については、図5で詳しく説明する。
以上のように、この冷媒漏洩検知処理では、冷媒の漏洩が検知された場合(すなわち、冷媒検知手段99で検知される冷媒濃度が閾値以上である場合)、室内送風ファン7fの運転が開始される。これにより、漏洩冷媒を拡散させることができるため、冷媒濃度が室内で局所的に高くなってしまうのを抑制することができる。
上述のとおり、本実施の形態では、冷媒回路40を循環する冷媒として、例えば、HFO−1234yf、HFO−1234ze、R290、R1270等の可燃性冷媒が用いられている。このため、万一室内機1で冷媒の漏洩が生じた場合、室内の冷媒濃度が上昇して可燃濃度域(例えば、冷媒濃度が燃焼下限濃度(LFL)以上となる領域)が形成されてしまうおそれがある。
これらの可燃性冷媒は、大気圧下において空気よりも大きい密度を有している。したがって、室内の床面からの高さが比較的高い位置で冷媒の漏洩が生じた場合には、漏洩した冷媒は下降中に拡散し、冷媒濃度が室内空間で均一化するため、冷媒濃度は高くなりにくい。これに対し、室内の床面からの高さが低い位置で冷媒の漏洩が生じた場合には、漏洩した冷媒が床面付近の低い位置に留まるため、冷媒濃度が局所的に高くなりやすい。これにより、可燃濃度域が形成される可能性が相対的に高まってしまう。
空気調和機の運転中には、室内機1の室内送風ファン7fの運転によって空気が室内に吹き出される。このため、万一可燃性冷媒が室内に漏洩したとしても、漏洩した可燃性冷媒は、吹き出される空気によって室内で拡散する。これにより、室内に可燃濃度域が形成されるのを抑制することができる。しかしながら、空気調和機の停止中には、室内機1の室内送風ファン7fも停止しているため、吹き出される空気によって漏洩冷媒を拡散させることはできない。したがって、漏洩冷媒の検知は、空気調和機の停止中にこそ必要となる。本実施の形態では、冷媒の漏洩が検知された場合に室内送風ファン7fの運転が開始されるため、空気調和機の停止中に可燃性冷媒が室内に漏洩したとしても、室内に可燃濃度域が形成されるのを抑制することができる。
ここで、図4のステップS3で運転が開始された室内送風ファン7fは、予め設定された所定時間が経過した後に停止されるようにしてもよい。
図5は、本実施の形態に係る空気調和機の状態遷移の一例を示す状態遷移図である。図5に示すように、空気調和機の状態には、少なくとも正常状態Aと正常状態Bとがある。本例の正常状態A及び正常状態Bは、いずれも冷媒の漏洩が生じていない状態である。正常状態A又は正常状態Bにある空気調和機では、操作部によるユーザの操作等に基づき、通常の運転動作及び停止動作が行われる。空気調和機の状態は、室内送風ファン7fの回転速度に基づき、制御部30の制御によって正常状態A及び正常状態Bの間で相互に遷移するようになっている。状態遷移の判断に用いられる回転速度の閾値は、予め制御部30のROMに記憶されている。
停止中の空気調和機は正常状態Aにある。正常状態Aでは、制御部30の制御によって冷媒検知手段99に通電される。これにより、冷媒検知手段99は、冷媒を検知できる動作状態となる。すなわち、正常状態Aは、冷媒検知手段99によって冷媒の漏洩を検知できる状態である。そして、制御部30は、正常状態Aであるときに、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知すると、室内送風ファン7fを運転させ、冷媒の漏洩を報知する。報知は、文字及び画像の少なくとも1つによる表示、音声及びブザーの少なくとも1つによる発報によって行えばよい。報知は、操作部及びリモコン(実施の形態4で説明するリモコン27)の少なくとも1つを用いて行うことができる。なお、報知については、以下の実施の形態についても同様であるものとする。
ユーザの操作等に基づいて空気調和機の運転が開始されると、室内送風ファン7fは、制御部30によって所定の回転速度に制御される。制御部30は、室内送風ファン7fの回転速度が予め設定された閾値R1以上になった場合、空気調和機の状態を正常状態Aから正常状態Bに遷移させる。正常状態Bでも、冷媒検知手段99によって冷媒の漏洩を検知ができる状態になっている。ただし、制御部30は、正常状態Bであるときに、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段99からの検知信号を無効にする。つまり、制御部30は、正常状態Bでは、冷媒が漏洩したことを報知しない。
制御部30は、正常状態Bにおいて室内送風ファン7fの回転速度が閾値R1よりも小さくなった場合、空気調和機の状態を正常状態Bから再び正常状態Aに遷移させる。
通常運転中における室内送風ファン7fの最大回転速度をRmaxとし、最小回転速度をRminとすると、閾値R1は、例えば0以上Rmax以下の回転速度範囲内(0≦R1≦Rmax)、好ましくは0よりも大きくRmax以下の回転速度範囲内(0<R1≦Rmax)、さらに好ましくはRminよりも大きくRmax以下の回転速度範囲内(Rmin<R1≦Rmax)で設定される。可燃性冷媒が用いられる場合には、閾値R1は、室内への冷媒漏洩量が最大であっても室内に可燃濃度域が形成されないような回転速度以上に設定されるのが望ましい。閾値R1は、制御公差を見込んで設定される。また、モータの負荷によって室内送風ファン7fの回転速度が変動する場合には、閾値R1は最大負荷を考慮して設定される。
冷媒検知手段99は、半導体式ガスセンサ等のガスセンサであり、大気中に含まれている水素及び炭素などに反応する特性がある。これに対し、本実施の形態では、室内送風ファン7fの回転速度が閾値R1以上である正常状態Bにおいては、冷媒検知手段99からの検知信号が無効にされる。すなわち、正常状態Bにおいては、室内送風ファン7fの回転速度が閾値R1以上で回転しているため、可燃域が生じえない。そのため、本実施の形態では、正常状態Bという条件下において、冷媒検知手段99からの検知信号を無効にし、冷媒検知手段99の誤検知を防止している。仮に、正常状態Bにおいて冷媒の漏洩が生じたとしても、冷媒検知手段99からの検知信号を無効にしてしまうが、正常状態Bでは室内送風ファン7fが閾値R1以上の回転速度で回転しているため、漏洩した冷媒を室内に拡散させることができる。
なお、正常状態Aにおいて冷媒が漏洩した場合には、冷媒の漏洩を検知し、室内送風ファン7fを運転させる。
以上のように、本実施の形態では、正常状態A及び正常状態Bのいずれの状態で冷媒が漏洩した場合にも、室内送風ファン7fを確実に運転させることができる。したがって、本実施の形態によれば、万一、冷媒が漏洩したとしても、冷媒濃度が局所的に高くなってしまうのを抑制することができる。これにより、例えば可燃性冷媒が用いられる場合であっても、より安全を確保した空気調和機を実現できる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置について説明する。本実施の形態では、冷凍サイクル装置の一例として、空気調和機を例示している。なお、本実施の形態に係る空気調和機の基本的な構成については、上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。図6は、本実施の形態に係る空気調和機における室内送風ファン7fの回転速度と空気調和機の状態との関係を示す図である。図6の横軸は室内送風ファン7fの回転速度を表しており、縦軸は空気調和機の状態を表している。図6に示すように、正常状態Bから正常状態Aに遷移するときの閾値R1と、正常状態Aから正常状態Bに遷移するときの閾値R2との間には、制御上の不感帯となるディファレンシャルが設定されている。ここで、閾値R2は閾値R1よりも大きい値である(R2>R1)。閾値R1及び閾値R2は、例えば0以上Rmax以下の回転速度範囲内(0≦R1<R2≦Rmax)、好ましくは0よりも大きくRmax以下の回転速度範囲内(0<R1<R2≦Rmax)、さらに好ましくはRminよりも大きくRmax以下の回転速度範囲内(Rmin<R1<R2≦Rmax)で設定される。
空気調和機が正常状態Aにある場合において、室内送風ファン7fの回転速度が閾値R2以上になったときには、空気調和機が正常状態Aから正常状態Bに遷移する。一方、空気調和機が正常状態Bにある場合において、室内送風ファン7fの回転速度が閾値R1よりも小さくなったときには、空気調和機が正常状態Bから正常状態Aに遷移する。正常状態Aでは冷媒の漏洩を報知し、正常状態Bでは冷媒の漏洩を報知しない点は、上記実施の形態1と同様である。
上記実施の形態1では、室内送風ファン7fが閾値R1付近の回転速度で運転している場合、正常状態A及び正常状態Bが頻繁に切り替えられる可能性がある。これに対し、本実施の形態では、正常状態Aから正常状態Bに遷移するときの閾値R2と、正常状態Bから正常状態Aに遷移するときの閾値R1との間にディファレンシャルが設定されている。このため、本実施の形態によれば、正常状態A及び正常状態Bが頻繁に切り替えられるのを防止することができる。
以上説明したように、上記実施の形態1及び2に係る空気調和機は、冷媒を循環させる冷媒回路40と、冷媒回路40の負荷側熱交換器7を収容し、室内に設置される室内機1と、室内機1を制御する制御部30と、を有し、室内機1は、室内送風ファン7fと、冷媒検知手段99と、を備えており、制御部30は、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知したときに、室内送風ファン7fを運転させるように構成されており、制御部30は、室内送風ファン7fの回転速度が第1の閾値以上(例えば、実施の形態1の閾値R1、又は実施の形態2の閾値R2)であるときに、冷媒検知手段99からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段99からの検知信号を無効にするように構成されているものである。
この構成によれば、正常状態Bという条件下においては、冷媒検知手段99からの検知信号を無効にしているので、冷媒検知手段99の誤検知を防止することができる。
また、上記実施の形態に係る空気調和機において、制御部30は、正常状態Bにおいて室内送風ファン7fの回転速度が第2の閾値(例えば、実施の形態1及び2の閾値R1)よりも小さくなった場合には、冷媒の漏洩を報知するように構成されており、第2の閾値は、第1の閾値と同一又はそれより小さいものであってもよい。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る冷凍サイクル装置について説明する。本実施の形態では、冷凍サイクル装置の一例として、空気調和機を例示している。図7は、本実施の形態に係る空気調和機の室外機2(熱交換器ユニットの一例)の構成を模式的に示す図である。既に述べたように、室外機2には、例えば、圧縮機3、冷媒流路切替装置4、熱源側熱交換器5、減圧装置6及び室外送風ファン5f等が収容されている。図7では、これらのうち圧縮機3及び室外送風ファン5fを図示している。室外送風ファン5fの回転速度は、制御部30の制御により、多段階(例えば、2段階以上)又は連続的に可変に設定される。また、室外機2には、延長配管10a、10bが接続されている。延長配管10a、10bと室外機2内の冷媒配管との間は、継手部16a、16b(例えば、フレア継手)を介して接続されている。継手部16a、16bは、室外機2の内部に配置されている。継手部16a、16bは、室外機2の外部に配置されていてもよい。
本実施の形態の室外機2(熱交換器ユニットの一例)は、冷媒検知手段98を備えている。冷媒検知手段98は、例えば、室外機2の内部であって継手部16a、16bの下方に配置されている。冷媒検知手段98は、熱源側熱交換器5のろう付け部の下方に配置されていてもよい。冷媒検知手段98としては、例えば、半導体式ガスセンサ、熱線型半導体式ガスセンサ等の通電式のガスセンサが用いられる。冷媒検知手段98は、例えば、当該冷媒検知手段98の周囲の空気中における冷媒濃度を検知し、検知信号を制御部30に出力する。制御部30では、冷媒検知手段98からの検知信号に基づき、冷媒の漏洩の有無が判定される。
制御部30で実行される本実施の形態の冷媒漏洩検知処理は、例えば、図4〜図6等を用いて説明した実施の形態1又は2のいずれかの冷媒漏洩検知処理において、「冷媒検知手段99」及び「室内送風ファン7f」をそれぞれ「冷媒検知手段98」及び「室外送風ファン5f」に読み替えたものとなる。すなわち、本実施の形態の冷媒漏洩検知処理では、冷媒検知手段98からの検知信号によって冷媒の漏洩が検知された場合、室外送風ファン5fの運転が開始される。このため、漏洩した冷媒を室外機2の設置空間(例えば、屋外空間又は機械室空間等)に拡散させることができる。したがって、本実施の形態によれば、万一、室外機2で冷媒が漏洩したとしても、室外機2の設置空間における冷媒濃度が局所的に高くなってしまうのを抑制することができる。
また、本実施の形態では、室外送風ファン5fの回転速度が閾値R1以上である正常状態Bにおいては、冷媒検知手段98からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段98からの検知信号を無効にする。これにより、正常状態Bという条件下においては、冷媒検知手段98の誤検知を防止することができる。仮に、正常状態Bにおいて冷媒の漏洩が生じたとしても、冷媒検知手段98からの検知信号を無効にしてしまうが、正常状態Bでは室外送風ファン5fが閾値R1以上の回転速度で回転しているため、漏洩した冷媒を室外機2の設置空間に拡散させることができる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る冷凍サイクルシステムについて説明する。図8は、本実施の形態に係る冷凍サイクルシステムの概略の全体構成を示す図である。本実施の形態では、冷凍サイクルシステムに含まれる冷凍サイクル装置として、セパレート形のショーケースを例示している。図8に示すように、ショーケースは、例えば、店舗内などの室内空間に設置される室内機601(負荷ユニットの一例でかつ熱交換器ユニットの一例)と、例えば機械室空間に設置される室外機602(熱源ユニットの一例でかつ熱交換器ユニットの一例)と、を有している。室内機601と室外機602との間は、延長配管10a、10bを介して接続されている。本例の室内機601には、設置空間の空気を攪拌するような送風ファンは設けられていない。室外機602には、室外送風ファン5fが設けられている。
図8では図示を省略しているが、制御部30は、室内機601に設けられる室内機制御部と、室外機602に設けられ、室内機制御部と通信可能な室外機制御部と、を有している。室内機制御部と室外機制御部との間は、制御線603を介して接続されている。
室内空間には、ショーケースとは別に、室内空間の空気を攪拌する送風ファン604が設けられている。送風ファン604は、ショーケースの室内機601の筐体の外部に設けられている。送風ファン604は、例えばショーケースとは独立した動作が可能である。送風ファン604は、不図示の制御線を介して制御部30(例えば、室内機制御部)と接続されている。送風ファン604の回転速度は、制御部30の制御により、多段階(例えば、2段階以上)又は連続的に可変に設定される。室内空間に冷媒が漏洩した場合において、送風ファン604が動作すると、室内空間の空気が漏洩冷媒と共に攪拌される。これにより、漏洩冷媒が室内空間に拡散するため、室内空間で冷媒濃度が局所的に高くなってしまうことが抑制される。すなわち、送風ファン604は、室内空間に漏洩した冷媒を希釈する漏洩冷媒希釈手段として機能する。
また、室内空間には、ショーケースとは別に、冷媒を検知する冷媒検知手段605が設けられている。冷媒検知手段605は、ショーケースの室内機601の筐体の外部に設けられている。冷媒は大気圧下において空気よりも大きい密度を有しているため、冷媒検知手段605は、例えば室内空間の床面近傍に設けられている。冷媒検知手段605は、通信線606を介して制御部30(例えば、室内機制御部)と接続されている。冷媒検知手段605としては、例えば、半導体式ガスセンサ、熱線型半導体式ガスセンサ等の通電式のガスセンサが用いられる。冷媒検知手段605は、当該冷媒検知手段605の周囲の空気中における冷媒濃度を検知し、検知信号を制御部30に出力する。制御部30では、冷媒検知手段605からの検知信号に基づき、冷媒の漏洩の有無が判定される。
実施の形態1と同様に、制御部30は、正常状態Aにおいて、冷媒検知手段605からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知すると、送風ファン604を運転させ、冷媒の漏洩を報知するように構成されている。また、制御部30は、正常状態Bにおいて、冷媒検知手段605からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段605からの検知信号を無効にするように構成されている。例えば可燃性冷媒が用いられる場合には、閾値R1は、室内空間への冷媒漏洩量が最大であっても室内空間に可燃濃度域が形成されないような回転速度以上に設定されるのが望ましい。また、実施の形態2と同様に、正常状態Bから正常状態Aに遷移するときの閾値R1と、正常状態Aから正常状態Bに遷移するときの閾値R2との間に、ディファレンシャルが設定されていてもよい。
機械室空間には、ショーケースとは別に、機械室空間の空気を屋外空間に排出する換気用の送風ファン607が設けられている。送風ファン607は、ショーケースの室外機602の筐体の外部(例えば、機械室空間のうち屋外空間に面した壁部)に設けられている。送風ファン607は、例えばショーケースとは独立した動作が可能である。送風ファン607は、不図示の制御線を介して制御部30(例えば、室外機制御部)と接続されている。送風ファン607の回転速度は、制御部30の制御により、多段階(例えば、2段階以上)又は連続的に可変に設定される。機械室空間に冷媒が漏洩した場合において、送風ファン607が動作すると、機械室空間の空気が漏洩冷媒と共に屋外空間に排出される。これにより、漏洩冷媒が屋外空間に排出されるため、機械室空間で冷媒濃度が局所的に高くなってしまうことが抑制される。すなわち、送風ファン607は、機械室空間に漏洩した冷媒を希釈する漏洩冷媒希釈手段として機能する。
また、機械室空間には、ショーケースとは別に、冷媒を検知する冷媒検知手段608が設けられている。冷媒検知手段608は、例えば、ショーケースの室外機602の筐体の外部に設けられている。冷媒は大気圧下において空気よりも大きい密度を有しているため、冷媒検知手段608は、機械室空間の床面近傍に設けられている。冷媒検知手段608は、通信線609を介して制御部30(例えば、室外機制御部)と接続されている。冷媒検知手段608としては、例えば、半導体式ガスセンサ、熱線型半導体式ガスセンサ等の通電式のガスセンサが用いられる。冷媒検知手段608は、当該冷媒検知手段608の周囲の空気中における冷媒濃度を検知し、検知信号を制御部30に出力する。制御部30では、冷媒検知手段608からの検知信号に基づき、冷媒の漏洩の有無が判定される。
実施の形態1と同様に、制御部30は、正常状態Aにおいて、冷媒検知手段608からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知すると、送風ファン607を運転させ、冷媒の漏洩を報知するように構成されている。また、制御部30は、正常状態Bにおいて、冷媒検知手段608からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段608からの検知信号を無効にするように構成されている。例えば可燃性冷媒が用いられる場合には、閾値R1は、機械室空間への冷媒漏洩量が最大であっても機械室空間に可燃濃度域が形成されないような回転速度以上に設定されるのが望ましい。また、実施の形態2と同様に、正常状態Bから正常状態Aに遷移するときの閾値R1と、正常状態Aから正常状態Bに遷移するときの閾値R2との間に、ディファレンシャルが設定されていてもよい。
図9は、本実施の形態に係る冷凍サイクルシステムの制御部30の構成を示すブロック図である。図9に示すように、制御部30は、室内機601に搭載されて室内機601を制御する室内機制御部610と、室外機602に搭載されて室外機602を制御する室外機制御部611と、リモコン27(例えば、室内機601に設けられた操作部)に搭載されてリモコン27を制御するリモコン制御部612と、を有している。
室内機制御部610は、各制御線を介して、室外機制御部611及びリモコン制御部612と通信可能に接続されている。室内機制御部610は、制御基板610aを有している。制御基板610aには、マイコン620が実装されている。
室外機制御部611は、制御基板611aを有している。制御基板611aには、マイコン621が実装されている。
リモコン制御部612は、制御基板612aを有している。制御基板612aには、マイコン622が実装されている。
また、本例の送風ファン604には、送風ファン604を制御する送風ファン制御部613が搭載されている。本例の送風ファン607には、送風ファン607を制御する送風ファン制御部614が搭載されている。
送風ファン制御部613は、制御線を介して室内機制御部610と通信可能に接続されている。送風ファン制御部613は、制御基板613aを有している。制御基板613aには、マイコン623が実装されている。
送風ファン制御部614は、制御線を介して室外機制御部611と通信可能に接続されている。送風ファン制御部614は、制御基板614aを有している。制御基板614aには、マイコン624が実装されている。
また、制御部30は、冷媒検知手段605を制御するセンサ制御部615と、冷媒検知手段608を制御するセンサ制御部616と、を有している。
センサ制御部615は、室内機制御部610と通信可能に接続されている。センサ制御部615は、制御基板615aを有している。制御基板615aには、マイコン625及び冷媒検知手段605がそれぞれ着脱不能に実装されている。本例の冷媒検知手段605は制御基板615aに直接実装されているが、冷媒検知手段605は、制御基板615aに着脱不能に接続されていればよい。例えば、冷媒検知手段605を制御基板615aから離れた位置に設け、冷媒検知手段605からの配線をはんだ付け等により制御基板615aに接続するようにしてもよい。また、本例では制御基板615aが制御基板610aとは別に設けられているが、制御基板615aを省略し、冷媒検知手段605を制御基板610aに着脱不能に接続するようにしてもよい。
センサ制御部616は、室外機制御部611と通信可能に接続されている。センサ制御部616は、制御基板616aを有している。制御基板616aには、マイコン626及び冷媒検知手段608がそれぞれ着脱不能に実装されている。本例の冷媒検知手段608は制御基板616aに直接実装されているが、冷媒検知手段608は、制御基板616aに着脱不能に接続されていればよい。例えば、冷媒検知手段608を制御基板616aから離れた位置に設け、冷媒検知手段608からの配線をはんだ付け等により制御基板616aに接続するようにしてもよい。また、本例では制御基板616aが制御基板611aとは別に設けられているが、制御基板616aを省略し、冷媒検知手段608を制御基板611aに着脱不能に接続するようにしてもよい。
センサ制御部615、616のマイコン625、626は、書換え可能な不揮発性メモリをそれぞれ有している。それぞれの不揮発性メモリには、冷媒漏洩の履歴を記憶する漏洩履歴ビット(漏洩履歴記憶領域の一例)が設けられている。漏洩履歴ビットは「0」又は「1」に設定可能である。漏洩履歴ビットの「0」は冷媒漏洩履歴のない状態を表すものであり、「1」は冷媒漏洩履歴のある状態を表すものである。漏洩履歴ビットの初期値は「0」である。すなわち、新品状態のマイコン625、626や、冷媒漏洩履歴のないマイコン625、626の場合、漏洩履歴ビットは「0」に設定されている。マイコン625の漏洩履歴ビットは、冷媒検知手段605で冷媒の漏洩を検知した場合、「0」から「1」に書き換えられる。マイコン626の漏洩履歴ビットは、冷媒検知手段608で冷媒の漏洩を検知した場合、「0」から「1」に書き換えられる。マイコン625、626の漏洩履歴ビットは、いずれも「0」から「1」への一方向にのみ不可逆に書換え可能である。また、マイコン625、626の漏洩履歴ビットは、当該マイコン625、626への電力供給の有無に関わらず維持される。
室内機601、室外機602及びリモコン27のマイコン620、621、622のメモリには、マイコン625の漏洩履歴ビットに対応する第1漏洩履歴ビットと、マイコン626の漏洩履歴ビットに対応する第2漏洩履歴ビットと、がそれぞれ設けられている。これらの漏洩履歴ビットは、「0」又は「1」に設定可能であり、「0」及び「1」の間で双方向に書換え可能である。マイコン620、621、622のそれぞれの第1漏洩履歴ビットの値は、通信により取得されるマイコン625の漏洩履歴ビットと同じ値に設定される。マイコン620、621、622のそれぞれの第2漏洩履歴ビットの値は、通信により取得されるマイコン626の漏洩履歴ビットと同じ値に設定される。マイコン620、621、622の第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩ビットは、電力供給が遮断されて初期値(例えば「0」)に戻ったとしても、電力供給が再開されると再びマイコン625、626の漏洩履歴ビットと同じ値に設定される。
室内機制御部610は、マイコン620の第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩履歴ビットがいずれも「0」に設定されているときには、室内機601の通常制御を行う。この状態の室内機601は、リモコン27等の操作に基づき通常の運転動作及び停止動作を行う。マイコン620の第1漏洩履歴ビットが「1」に設定されると、室内機制御部610は、例えば、送風ファン制御部613を介して送風ファン604を強制運転させる制御を行う。
室外機制御部611は、マイコン621の第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩履歴ビットがいずれも「0」に設定されているときには、室外機602の通常制御を行う。マイコン621の第1漏洩履歴ビット又は第2漏洩履歴ビットが「1」に設定されると、室外機制御部611は、例えば、圧縮機3を停止させる制御を行う。圧縮機3の停止は、マイコン621の第1漏洩履歴ビット又は第2漏洩履歴ビットが「1」に設定され続ける限り継続される。また、マイコン621の第2漏洩履歴ビットが「1」に設定されると、室外機制御部611は、例えば、送風ファン制御部614を介して送風ファン607を強制運転させる制御を行う。このとき、室外機制御部611は、室外送風ファン5fを強制運転させる制御を併せて行ってもよい。
リモコン制御部612は、マイコン622の第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩履歴ビットがいずれも「0」に設定されているときには、リモコン27の通常制御を行う。マイコン622の第1漏洩履歴ビット又は第2漏洩履歴ビットが「1」に設定されると、リモコン制御部612は、例えば、リモコン27に設けられた表示部に、異常種別又は処置方法を含む情報を表示する。このとき、リモコン制御部612は、第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩履歴ビットのいずれが「1」に設定されたかに基づき、冷媒漏洩箇所の情報を表示部に表示してもよい。例えば、第1漏洩履歴ビットが「1」に設定された場合には、室内機601で冷媒の漏洩が生じた旨の情報を表示し、第2漏洩履歴ビットが「1」に設定された場合には、室外機602で冷媒の漏洩が生じた旨の情報を表示する。また、リモコン制御部612は、リモコン27に設けられた音声出力部に、異常種別、処置方法又は冷媒漏洩箇所の情報を音声で報知させるようにしてもよい。
本実施の形態によれば、冷媒の漏洩履歴が制御基板615a、616aの不揮発性メモリに不可逆に書き込まれる。冷媒の漏洩履歴をリセットするためには、制御基板615a、616aを漏洩履歴のない別の制御基板に交換する必要がある。制御基板615a、616aを交換する際には、着脱不能に接続された冷媒検知手段605、608も交換されることになる。したがって、冷媒雰囲気に曝露されて検知特性の変化した冷媒検知手段605、608が継続して用いられるのを防止できる。また、本実施の形態では、制御基板615a、616aが交換されない限りショーケースの運転を再開できないため、冷媒漏洩箇所の修理が行われていないショーケースの運転をヒューマンエラー又は故意により再開してしまうのを防ぐことができる。
また、本実施の形態では、送風ファン604の回転速度が閾値R1以上である正常状態Bにおいては、冷媒検知手段605からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段605からの検知信号を無効にされる。これにより、正常状態Bという条件下においては、冷媒検知手段605の誤検知を防止することができる。仮に、正常状態Bにおいて冷媒の漏洩が生じたとしても、冷媒検知手段605からの検知信号を無効にしてしまうが、正常状態Bでは送風ファン604が閾値R1以上の回転速度で回転しているため、漏洩した冷媒を室内空間に拡散させることができる。
また、本実施の形態では、送風ファン607の回転速度が閾値R1以上である正常状態Bにおいては、冷媒検知手段608からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段608からの検知信号を無効にされる。これにより、正常状態Bという条件下においては、冷媒検知手段608の誤検知を防止することができる。仮に、正常状態Bにおいて冷媒の漏洩が生じたとしても、冷媒検知手段608からの検知信号を無効にしてしまうが、正常状態Bでは送風ファン607が閾値R1以上の回転速度で回転しているため、機械室空間に漏洩した冷媒を屋外空間に排出することができる。
なお、本実施の形態では、室内機601、室外機602及びリモコン27のマイコン620、621、622のメモリにのみ、第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩履歴ビットが設けられているが、送風ファン604、607のマイコン623、624のメモリにも第1漏洩履歴ビット及び第2漏洩履歴ビットが設けられていてもよい。
また、本実施の形態では、送風ファン604、607がそれぞれ送風ファン制御部613、614を有しているため、送風ファン604と室内機601との間、及び、送風ファン607と室外機602との間はそれぞれ制御線を介して接続されている。しかしながら、送風ファン604、607は必ずしも制御部を有している必要はない。送風ファン604、607が制御部を有していない場合には、例えば、送風ファン604と室内機601との間、及び、送風ファン607と室外機602との間はそれぞれ電源線を介して接続される。この場合、送風ファン604の運転及び停止の制御は、室内機制御部610の制御基板610aにおけるリレー制御によって行われ、送風ファン607の運転及び停止の制御は、室外機制御部611の制御基板611aにおけるリレー制御によって行われる。
また、本実施の形態では、不揮発性メモリに設けられる漏洩履歴記憶領域として、漏洩履歴の有無を1ビットで記憶する漏洩履歴ビットを例示したが、これには限られない。不揮発性メモリには、例えば、2ビット以上の漏洩履歴記憶領域が設けられていてもよい。漏洩履歴記憶領域は、冷媒漏洩履歴のない状態を表す第1の情報と、冷媒漏洩履歴のある状態を表す第2の情報と、のいずれか一方を選択的に記憶する。また、漏洩履歴記憶領域に記憶される情報は、第1の情報から第2の情報への一方向にのみ変更可能である。制御部30(例えば、センサ制御部615、616)は、冷媒の漏洩を検知したときに、漏洩履歴記憶領域に記憶される情報を第1の情報から第2の情報に変更するように構成される。
本実施の形態で説明したように、冷媒検知手段及び送風ファンは、必ずしも、冷凍サイクル装置の室内機又は室外機の筐体に内蔵されている必要はない。冷媒検知手段及び送風ファンは、制御線等を介して冷凍サイクル装置と通信可能に接続されているか、又は電源線を介して冷凍サイクル装置と遠隔操作可能に接続されていれば、冷凍サイクル装置とは別に設けられていてもよい。
また、本実施の形態で説明したように、室内機の設置場所及び室外機の設置場所のそれぞれに冷媒検知手段及び送風ファンが設置される場合には、冷媒の漏洩が検知された空間の送風ファンのみを運転させればよい。すなわち、室内機の設置場所に設けられた冷媒検知手段で冷媒の漏洩が検知された場合、室内機の設置場所に設けられた送風ファンのみを運転させればよい。室外機の設置場所に設けられた冷媒検知手段で冷媒の漏洩が検知された場合、室外機の設置場所に設けられた送風ファンのみを運転させればよい。
また、本実施の形態では、室内空間の空気を攪拌する送風ファン604が室内空間に設けられており、機械室空間の空気を屋外空間に排出する換気用の送風ファン607が機械室空間に設けられているが、これに限られない。例えば、室内空間の空気を屋外空間に排出する換気用の送風ファンが室内空間に設けられていてもよいし、機械室空間の空気を攪拌する送風ファンが機械室空間に設けられていてもよい。
以上説明したように、上記実施の形態に係る冷凍サイクル装置は、冷媒を循環させる冷媒回路40と、冷媒回路40の熱交換器(例えば、負荷側熱交換器7、熱源側熱交換器5)を収容する熱交換器ユニット(例えば、室内機1、室外機2)と、熱交換器ユニットを制御する制御部30と、を有し、熱交換器ユニットは、送風ファン(例えば、室内送風ファン7f、室外送風ファン5f)と、冷媒検知手段(例えば、冷媒検知手段98、99)と、を備えており、制御部30は、冷媒検知手段からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知したときに、送風ファンを運転させるように構成されており、制御部30は、送風ファンの回転速度が第1の閾値以上(例えば、実施の形態1の閾値R1、又は実施の形態2の閾値R2)であるときに、冷媒検知手段からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段からの検知信号を無効にするように構成されているものである。
この構成によれば、正常状態Bという条件下においては、冷媒検知手段からの検知信号を無効にしているので、冷媒検知手段の誤検知を防止することができる。
また、上記実施の形態に係る冷凍サイクル装置において、制御部30は、正常状態Bにおいて送風ファンの回転速度が第2の閾値(例えば、実施の形態1及び2の閾値R1)よりも小さくなった場合には、冷媒の漏洩を報知するように構成されており、第2の閾値は、第1の閾値と同一又はそれより小さいものであってもよい。
また、上記実施の形態に係る冷凍サイクル装置において、熱交換器は、冷媒回路40の負荷側熱交換器7であってもよいし、熱源側熱交換器5であってもよい。
また、上記実施の形態に係る冷凍サイクルシステムは、冷媒を循環させる冷媒回路40と冷媒回路40を制御する制御部30とを有する冷凍サイクル装置と、制御部30により制御される送風ファン(例えば、送風ファン604、607)と、冷媒を検知して制御部30に検知信号を出力する冷媒検知手段(例えば、冷媒検知手段605、608)と、を有し、制御部30は、冷媒検知手段からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知したときに、送風ファンを運転させるように構成されており、制御部30は、送風ファンの回転速度が第1の閾値以上(例えば、実施の形態1の閾値R1、又は実施の形態2の閾値R2)であるときに、冷媒検知手段からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、冷媒検知手段からの検知信号を無効にするように構成されているものである。
この構成によれば、正常状態Bという条件下においては、冷媒検知手段からの検知信号を無効にしているので、冷媒検知手段の誤検知を防止することができる。
また、上記実施の形態に係る冷凍サイクルシステムにおいて、制御部30は、正常状態Bにおいて送風ファンの回転速度が第2の閾値(例えば、実施の形態1及び2の閾値R1)よりも小さくなった場合には、冷媒の漏洩を報知するように構成されており、第2の閾値は、第1の閾値と同一又はそれより小さいものであってもよい。
その他の実施の形態.
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、室内機1として床置形の室内機を例に挙げたが、本発明は、天井カセット形、天井埋込形、天吊形、壁掛形等の他の室内機にも適用できる。
また、上記実施の形態では、冷凍サイクル装置として空気調和機又はショーケースを例に挙げたが、本発明は、ヒートポンプ給湯機(例えば、特開2016−3783号公報に記載のヒートポンプ装置)、又は機械室に設置されることが多いチラー等の他の冷凍サイクル装置にも適用できる。
また、上記実施の形態では、冷媒検知手段として半導体式ガスセンサ又は熱線型半導体式ガスセンサを例に挙げたが、これに限られない。冷媒検知手段としては、例えば赤外線式などの他の冷媒検知手段を用いることができる。
また、上記の各実施の形態や変形例は、互いに組み合わせて実施することが可能である。
本発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒を循環させる冷媒回路と、前記冷媒回路の熱交換器を収容する熱交換器ユニットと、前記熱交換器ユニットを制御する制御部と、を有し、前記熱交換器ユニットは、送風ファンと、通電式の冷媒検知手段と、を備えており、前記制御部は、前記送風ファンを運転させるとともに前記冷媒検知手段によって冷媒の漏洩を検知できる状態にするように構成されており、前記送風ファンの回転速度が第1の閾値以上であるときに、前記冷媒検知手段からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、前記冷媒検知手段からの検知信号を無効にするように構成されているものである。
本発明に係る冷凍サイクルシステムは、冷媒を循環させる冷媒回路と前記冷媒回路を制御する制御部とを有する冷凍サイクル装置と、前記制御部により制御される送風ファンと、前記制御部に検知信号を出力する通電式の冷媒検知手段と、を有し、前記制御部は、前記送風ファンを運転させるとともに前記冷媒検知手段によって冷媒の漏洩を検知できる状態にするように構成されており、前記送風ファンの回転速度が第1の閾値以上であるときに、前記冷媒検知手段からの検知信号に基づき冷媒の漏洩を検知しても、前記冷媒検知手段からの検知信号を無効にするように構成されているものである。