JPWO2018155200A1 - 移動体の往復機構、清掃機構、光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

移動体の往復機構、清掃機構、光走査装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

移動体の往復機構(C)は、回転軸(50)と、この回転軸の螺旋状山部(52)と係合し軸方向に沿って往復移動する移動体(60)とを備える。前記移動体(60)は、第1移動方向に移動する第1状態と、前記第1移動方向に移動した後、前記係合を解消する第2状態と、螺旋状山部(52)に再係合して係合状態を形成し、第2移動方向に移動する第3状態との間で状態変更する。回転軸(50)は、周面のみからなる平坦部(55)と、前記周面から径方向外側に突設された筒状突起部(54)とを備える。移動体の筒部(61)は、前記第2状態において、筒状突起部(54)に嵌り込む前記第1移動方向側の第1端部(61F)、及び、前記螺旋状山部の外周面と径方向に対向する前記第2移動方向側の第2端部(61B)を備える。

Description

本発明は、回転軸の回転に伴って往復移動する移動体の往復機構、その往復機構を利用した清掃機構、その清掃機構を備えた光走査装置、及びその光走査装置を備えた画像形成装置に関する。
走査光を発生する光走査装置は、光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系と、この走査光学系を収容し塵埃から保護する筐体とを含む。走査光は、前記筐体に備えられた透明ガラスからなる窓部を通して、所定の走査対象物に照射される。画像形成装置の場合、前記走査対象物は感光体ドラムであり、前記走査光の照射によって前記感光体ドラムの周面に静電潜像が形成される。
前記窓部が汚濁した場合、走査光が適正に走査対象物へ照射されなくなる。このため、前記窓部を自動清掃することが求められる。この自動清掃には、清掃部材を保持した移動体を前記窓部に沿って往復移動させる移動体の往復機構が適用されている。前記移動体の往復機構として、螺旋状山部を周面に備えた回転軸と、この回転軸が挿通され前記螺旋状山部と係合する係合部を有する筒部を含む移動体とを備えるものが知られている(例えば特許文献1、2)。前記回転軸が正回転及び逆回転されることで、前記移動体は前記回転軸に沿って往復動し、前記移動体に保持された清掃部材が前記窓部を清掃する。
前記移動体は、前記回転軸が正回転されることによって前記回転軸の一端側まで移動した後、一旦は前記係合部と前記螺旋状山部との係合が外れ、回転軸は空転状態となる。その後、前記回転軸が逆回転されることによって両者は再係合し、前記移動体は、前記回転軸の他端側に向けて移動を開始する。しかし、前記再係合が良好に行われず、前記移動体の動作不良が生じることがあった。例えば、前記係合部と前記螺旋状山部とが再係合(再噛み合い)せず、両者が当止してしまって前記移動体が動かなくなるといった不具合が生じることがあった。
特開2011−158566号公報 特開2012−234012号公報
本発明の目的は、移動体の往復移動を確実に実行させることができる移動体の往復機構を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記往復機構を利用した清掃機構、前記清掃機構を備えた光走査装置、さらには前記光走査装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明の一局面に係る移動体の往復機構は、回転軸、前記回転軸を回転させる駆動源及び移動体を備える。回転軸は、周面と、前記周面上に突設され軸方向に螺旋状に延びる螺旋状山部とを有し、第1回転方向と、前記第1回転方向とは逆の第2回転方向とに回転可能である。移動体は、前記回転軸が挿通される筒部と、該筒部の内周面に突設され前記螺旋状山部と係合する係合部とを含み、前記螺旋状山部に前記係合部が係合した係合状態で前記回転軸の回転に伴って前記軸方向に沿って往復移動する。
前記移動体は、前記係合状態で前記回転軸の前記第1回転方向への回転に伴って第1移動方向に移動する第1状態と、前記第1移動方向に移動した後、前記係合状態を解消する第2状態と、前記回転軸の前記第2回転方向への回転に伴い、前記係合部が前記螺旋状山部に再係合して前記係合状態を形成し、前記第1移動方向とは逆の第2移動方向に移動する第3状態との間で状態変更する。前記回転軸は、前記螺旋状山部の前記第1移動方向側の端部に隣接して順次配置された、前記周面のみからなる平坦部、及び、前記周面から径方向外側に突設された筒状突起部を備える。前記移動体の前記筒部は、前記第2状態において、前記筒状突起部に嵌り込む前記第1移動方向側の第1端部、及び、前記螺旋状山部の外周面と径方向に対向する前記第2移動方向側の第2端部を備える。
本発明の他の局面に係る清掃機構は、被清掃物を清掃する清掃部材と、上記の移動体の往復機構とを含み、前記回転軸は前記被清掃物に沿って配設され、前記移動体は前記清掃部材を保持していることを特徴とする。
本発明のさらに他の局面に係る光走査装置は、窓部を有する筐体と、前記筐体内に配置され、前記窓部を介して走査光を所定の走査対象物に照射する走査光学系と、上記の清掃機構とを備え、前記被清掃物が前記窓部であることを特徴とする。
本発明のさらに他の局面に係る画像形成装置は、像担持体と、画像情報に基づいて前記像担持体に対して走査光を照射する、上記の光走査装置とを備えることを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略的な断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る光走査装置を示す斜視図である。 図3は、前記光走査装置の上壁後端付近の部分斜視図であって、前記光走査装置の筐体に回転軸及び清掃ユニット(移動体)が組み付けられた状態を示す図である。 図4は、図3から清掃ユニットを取り除いた状態の部分斜視図である。 図5は、図4から回転軸を取り除いた状態の部分斜視図である。 図6は、回転軸の一部及び清掃ユニットの斜視図である。 図7は、清掃ユニットを上方から見た斜視図である。 図8は、清掃ユニットを下方から見た斜視図である。 図9(A)は、比較例の第2状態における回転軸と清掃ユニットとの係合関係を示す一部破断上面図、図9(B)は、図9(A)の要部拡大図である。 図10(A)は、本実施形態の第2状態における回転軸と清掃ユニットとの係合関係を示す一部破断上面図、図10(B)は、図10(A)の要部拡大図である。 図11は、比較例に係る清掃ユニットの係合部のスパイラル始端部への当接角を説明するための模式図である。 図12は、本実施形態に係る清掃ユニットの係合部のスパイラル始端部への当接角を説明するための模式図である。 図13(A)は、好ましいスパイラル始端部を示す回転軸の断面図、図13(B)は、一般的なスパイラル始端部を示す回転軸の断面図である。 図14は、画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
[画像形成装置の全体構成]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳述する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す概略的な断面図である。ここでは、画像形成装置1の一例として、カラープリンターを例示している。画像形成装置1は、モノクロプリンター、ファクシミリ装置、或いは複合機等であっても良い。
画像形成装置1は、略直方体のハウジングからなる本体ハウジング10と、この本体ハウジング10に収容された、画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bk、光走査ユニット23、中間転写ユニット28及び定着ユニット30とを含む。本体ハウジング10の上面には排紙トレイ11が備えられている。排紙トレイ11に対向して、シート排出口12が開口している。また、本体ハウジング10の側壁には、手差しトレイ13が開閉自在に取り付けられている。本体ハウジング10の下部には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット14が、着脱自在に装着されている。
画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー像を、コンピューター等の外部機器から伝送された画像情報に基づき形成するもので、水平方向に所定の間隔でタンデムに配置されている。各画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、静電潜像及びトナー像を担持する感光体ドラム21(像担持体)、感光体ドラム21の周面を帯電させる帯電器22、感光体ドラム21の周面上に静電潜像を形成する光走査ユニット23、前記静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像器24、この現像器24に各色のトナーを供給するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナーコンテナ25Y、25C、25M、25Bk、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる一次転写ローラー26、及び感光体ドラム21の周面の残留トナーを除去するクリーニング装置27を含む。
本実施形態では光走査ユニット23は、各色の感光体ドラム21に対応して配置された、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの光走査装置23Y、23C、23M、23Bkを備えている。各光走査装置23Y〜23Bkは、レーザー光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系を含み、外部機器から与えられる画像情報に基づいて各々の感光体ドラム21の周面に走査光を照射する。
中間転写ユニット28は、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる。中間転写ユニット28は、各感光体ドラム21の周面に接触しつつ周回する転写ベルト281と、転写ベルト281が架け渡される駆動ローラー282および従動ローラー283とを含む。転写ベルト281は、一次転写ローラー26によって各感光体ドラム21の周面に押し付けられている。各色の感光体ドラム21上のトナー像は転写ベルト281上の同一箇所に重ね合わせて一次転写される。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト281上に形成される。
駆動ローラー282に対向して、転写ベルト281を挟んで二次転写ニップ部Tを形成する二次転写ローラー29が配置されている。転写ベルト281上のフルカラートナー像は、二次転写ニップ部Tにおいてシート上に二次転写される。シート上に転写されずに転写ベルト281の周面に残留したトナーは、従動ローラー283に対向して配置されたベルトクリーニング装置284によって回収される。
定着ユニット30は、熱源が内蔵された定着ローラー31と、定着ローラー31と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラー32とを含む。定着ユニット30は、二次転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシートを、定着ニップ部Nにおいて加熱及び加圧することで、トナーをシートに溶着させる定着処理を施す。定着処理が施されたシートは、シート排出口12から排紙トレイ11に向けて排出される。
本体ハウジング10の内部には、シートを搬送するためのシート搬送路が設けられている。シート搬送路は、本体ハウジング10の下部付近から上部付近まで、二次転写ニップ部T及び定着ユニット30を経由して、上下方向に延びるメイン搬送路P1を含む。メイン搬送路P1の下流端は、シート排出口12に接続されている。両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路P2が、メイン搬送路P1の最下流端から上流端付近まで延設されている。また、手差しトレイ13からメイン搬送路P1に至る手差しシート用搬送路P3が、給紙カセット14の上方に配置されている。
給紙カセット14は、シートの束を収容するシート収容部を備える。給紙カセット14の右上付近には、シート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すピックアップローラー151と、そのシートをメイン搬送路P1の上流端に送り出す給紙ローラー対152とが備えられている。手差しトレイ13に載置されたシートも、手差しシート用搬送路P3を通して、メイン搬送路P1の上流端に送り出される。メイン搬送路P1の二次転写ニップ部Tよりも上流側には、所定のタイミングでシートを転写ニップ部に送り出すレジストローラー対153が配置されている。
シートに片面印刷(画像形成)処理が行われる場合、給紙カセット14又は手差しトレイ13からシートがメイン搬送路P1に送り出され、該シートに二次転写ニップ部Tにおいてトナー像の転写処理が、定着ユニット30において転写されたトナーをシートに定着させる定着処理が、各々施される。その後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。一方、シートに両面印刷処理が行われる場合、シートの片面に対して転写処理及び定着処理が施された後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に一部が排紙される。その後、該シートはスイッチバック搬送され、反転搬送路P2を経て、メイン搬送路P1の上流端付近に戻される。しかる後、シートの他面に対して転写処理及び定着処理が施され、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。
[清掃機構付き光走査装置の概要]
図2は、イエロー用の光走査装置23Yを示す斜視図(他色の光走査装置23C、23M、23Bkも同じ)である。図2及び以下の図において、前後左右及び上下の方向表示を付している。これら方向表示は説明の便宜のためであり、実機における方向を限定するものではない。
光走査装置23Yは、前後方向に長い略直方体の形状を有する筐体40を備える。筐体40は、上述のレーザー光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系(図略)を収容し、当該走査光学系を塵埃から保護する。筐体40の上壁40Tの右端側には、前後方向に延びる窓部41(被清掃物)が配置されている。窓部41には、ガラス42が嵌め込まれている。ガラス42は、前後方向に長尺の矩形形状を有し、走査光の進行を阻害しない特性(透明性)を有する。走査光学系によって生成される走査光は、ガラス42を介して筐体40の外部へ取り出され、感光体ドラム21へ照射される。
筐体40の上壁40Tには、清掃機構C(移動体の往復機構)が組み付けられている。清掃機構Cは、窓部41のガラス42の上面を清掃するものであって、回転軸50、清掃ユニット60(移動体)及び駆動モーター70(駆動源)を含む。
回転軸50は、清掃ユニット60を後方向F1(第1移動方向)及び前方向F2(第2移動方向)に往復移動させるものであって、窓部41(ガラス42)の左側に沿うように、窓部41と平行に配設されている。ガラス42は、筐体40の前壁40Fと後壁40Bとの間のほぼ全長に亘る前後長さを有しており、回転軸50も前壁40Fから後壁40Bに至る前後長さを有している。回転軸50は、筐体40によって時計方向R1(第1回転方向)及び反時計方向R2(第2回転方向)に回転自在に支持されている。すなわち、回転軸50の前端部50Fは筐体40の前壁40Fで軸支され、後端部50Bは後壁40Bで軸支されている。駆動モーター70は、正逆回転が可能なモーターであり、回転軸50を時計方向R1又は反時計方向R2に回転させる回転駆動力を発生する。
清掃ユニット60は、駆動モーター70により回転軸50が回転駆動されることに伴って、回転軸50の軸方向(前後方向)に往復移動する。清掃ユニット60は、ガラス42の上面とスライド接触することによって当該上面の汚れを拭き取る清掃部材6(図6、図8参照)を保持している。ここでは、回転軸50が時計方向R1に回転駆動されることによって、清掃ユニット60は後方向F1に移動し、反時計方向R2に回転駆動されることによって、清掃ユニット60は前方向F2に移動するものとする。
図2では、清掃ユニット60が前壁40Fに近接した位置にある状態が示されている。前記往復移動は、清掃ユニット60が、前壁40Fに隣接する位置から後壁40Bに隣接する位置まで後方向F1へ移動し、その後、後壁40Bに隣接する位置から前壁40Fに隣接する位置まで戻る移動を意味する。すなわち、清掃ユニット60は、回転軸50の時計方向R1への回転に伴って後方向F1に移動する状態(第1状態)と、回転軸50との係合が解消されて後壁40B付近で滞留する状態(第2状態)と、回転軸50の反時計方向R2への回転に伴って前方向F2に移動する状態(第3状態)と、再び回転軸50との係合が解消されて前壁40F付近で滞留する状態との間で状態変更する。このような清掃ユニット60往復移動により、ガラス42の上面が清掃部材6によって複数回払拭されるものである。
[清掃機構の各部の詳細]
図3は、清掃機構Cが組み付けられた状態の、光走査装置23Yの筐体40の後端付近の部分斜視図である。図4は、図3から清掃ユニット60を取り除いた状態、図5は、さらに図4から回転軸50を取り除いた状態を各々示している。図5は、清掃機構Cが取り除かれた状態の、筐体40の上壁40Tが示されている。図6は、回転軸50の後端部50B付近及び清掃ユニット60の斜視図である。図7、図8は、清掃ユニット60(移動フレーム600)を上方、下方から各々見た斜視図である。
<筐体の上壁>
図5を主に参照して、筐体40の上壁40Tには、上述の窓部41に加え、軸収容部43、右レール44、左レール45、バネ受け壁46及び軸受け部47が備えられている。窓部41は、上壁40Tを上下方向に貫通する開口部411と、この開口部411の周縁に配置された枠部412とを含む。開口部411は、前後方向に長い矩形の開口であり、前記走査光の光路となる開口である。枠部412は、ガラス42の下面を受ける部分であり、シールを兼ねる。ガラス42は、開口部411の上方を塞ぐように、枠部412の上に載置される。
軸収容部43は、回転軸50と清掃ユニット60の一部とを収容するための、前後方向に延びる凹溝である。軸収容部43の底面431は水平な面であるが、その右方端付近には、前後方向に延びる狭幅の凹溝からなる案内溝432が形成されている。案内溝432は、清掃ユニット60の往復移動を案内するために設けられている。軸収容部43の後端には、半円柱型のキャビティを備える軸端受け部433が連設されている。
右レール44及び左レール45もまた、清掃ユニット60の往復移動を案内するために設けられている。右レール44は、上壁40Tの右端付近において前後方向に延びている。左レール45は、上壁40Tの左右方向中央付近において前後方向に延び、右レール44に対して窓部41及び軸収容部43を挟んで平行に配設されている。
バネ受け壁46は、後述する清掃ユニット60が備えるバネ69が当接される壁である。バネ受け壁46は、軸収容部43の後端において、底面431から鉛直上方に立ち上がっている垂直壁である。軸受け部47は、軸端受け部433よりもさらに後方に配置され、回転軸50を軸支する部分である。なお、図5では上壁40Tの後端付近を示しているので図示されていないが、バネ受け壁46及び軸受け部47は、上壁40Tの前端付近にも備えられている。
<回転軸>
図4を主に参照して、回転軸50は、前後方向に直線状に延びる軸体であって、周面51Sを備えたシャフト51と、シャフト51の周面51S上から径方向外側に突設されたスパイラル52(螺旋状山部)とを備えている。シャフト51は、所定の外径を有する円柱型のシャフトであり、筐体40の前壁40Fから後壁40Bに至る前後長さを有している。周面51Sは、円柱型の周面である。
スパイラル52は、シャフト51の軸方向に所定の螺旋ピッチで螺旋状に延びる山部である。スパイラル52は、回転軸50の前端部50F及び後端部50Bを除く範囲において、シャフト51上に突設されている。スパイラル52の最も径方向に突出した頂面52Sは、略平坦な面とされている。つまり、帯状の平坦な頂面52Sが、シャフト51の周面51Sの周囲に、螺旋状に形成されている。スパイラル52の螺旋ピッチ間には、シャフト51の周面51Sが表出している。換言すると、周面51Sと、周面51Sを挟む一対のスパイラル52の立ち上がり側壁とで形成されるスパイラル凹溝51Gが、回転軸50の軸方向に延びている。
回転軸50(シャフト51)は、後端部50Bに、軸端部53、円柱部54(筒状突起部)及び平坦部55を備えている。軸端部53は、シャフト51の後端に同軸に連なる軸部分であって、シャフト51よりもやや外径が小さく、軸受け部47で軸支されている。軸端部53の後端には、入力ギア531が取り付けられている。入力ギア531には、駆動モーター70の駆動力が与えられる駆動ギアが歯合され、前記駆動力によって回転軸50が軸回りに回転される。軸端部53の前端側には、抜け止め環532が突設されている。抜け止め環532は軸端部53より径大の部分であり、軸受け部47の壁面と干渉することにより、回転軸50の軸収容部43からの抜け止めが図られている。
円柱部54は、シャフト51の後端の所定位置(後記で詳述する)において、周面51Sから径方向外側に突設されている。円柱部54は、最も突出した外周部分に、平坦な円柱周面54Sを有している。本実施形態では、周面51Sからのスパイラル52の径方向突出高さと、周面51Sからの円柱部54の径方向突出高さとが、同一に設定されている。つまり、スパイラル52の頂面52Sと、円柱部54の円柱周面54Sとは、径方向に同じ高さ位置にある。なお、頂面52Sと円柱周面54Sとの高さ位置は厳密に一致していなくとも良く、若干の高さ位置の相違があっても構わない。
平坦部55は、シャフト51の後端に配置された、スパイラル52が存在しない部分である。つまり平坦部55は、周面51Sのみからなる平坦な円柱領域である。ここで、「周面51Sのみからなる」とは、周面51Sに次述の清掃ユニット60が備える係合部66が係合する部分が存在しないことを意味し、前記係合が生じない程度の小突起等が存在していても良い。平坦部55は、スパイラル52の後端部(第1移動方向の端部)と円柱部54との間に挟まれている。すなわち、平坦部55及び円柱部54は、スパイラル52の後端部に隣接して順次配置されている。
<清掃ユニット>
図3、図6〜図8を参照して、清掃ユニット60は、移動フレーム600、清掃部材6及びバネ69(付勢部材)を含む。移動フレーム600は、一体的に成型された、筒部61、右アーム62、左アーム63、右ガイド部64、左ガイド部65、係合部66、円柱突起67及びバネ保持部68を備えている。右アーム62により清掃部材6が支持され、バネ保持部68によりバネ69が保持されている。
清掃ユニット60は、筒部61の筒心が前後方向に配向し、筒部61の外周面から右水平方向に右アーム62が、左水平方向に左アーム63が各々延び出した形状を備える。右ガイド部64は右アーム62の右端に、左ガイド部65は左アーム63の左端に各々配置されている。係合部66及び円柱突起67は筒部61に付設され、バネ保持部68は筒部61の左隣に配置されている。
筒部61は、前後方向に所定の長さを有する円筒体であり、回転軸50が挿通される挿通孔61Hを有している。挿通孔61Hの内径は、スパイラル52の頂面52Sの外径よりもやや大きく設定されている。係合部66は、筒部61の内周面611から、径方向内側に突設されている(図8)。係合部66は、筒部61に回転軸50が挿通された状態において、スパイラル52と係合することが可能である。また、係合部66がスパイラル52と係合した係合状態において、回転軸50が正回転及び逆回転されると、移動フレーム600(清掃ユニット60)は軸方向に往復移動する。すなわち、係合部66がスパイラル凹溝51Gに嵌り込み、回転軸50が軸回りに回転すると係合部66がスパイラル52から軸方向へ移動する推進力を受ける。この推進力により清掃ユニット60は、後方向F1又は前方向F2に移動する。
右アーム62は、筐体40の窓部41と上下方向に対向する位置に配置され、窓部41を跨ぐ左右方向の長さを有している。右アーム62には、清掃部材6の保持のため、当該右アーム62を上下方向に貫通するスリット621が備えられている。スリット621は、清掃部材6を挿通することが可能なサイズを有する、左右方向に長い断面矩形のスリットである。スリット621の左右方向の中央部には、清掃部材6を固定するための係止部622が備えられている。清掃部材6は短冊型の形状を有する部材であり、例えばスポンジや不織布からなる部材を清掃部材6として用いることができる。
左アーム63は、筐体40の軸収容部43と上下方向に対向する位置に配置されている。左アーム63の下面の左右方向の幅は、案内溝432を除いた、底面431の左右方向の幅とほぼ等しい。左アーム63の上面に、バネ保持部68が配置されている。バネ保持部68は、前後方向に延びる小円柱体である。
バネ69は、バネ保持部68よりも前後方向に長尺のコイルバネであり、コイル延伸方向の中央部が拡開される態様で、バネ保持部68に取り付けられている(図6)。バネ69の、バネ保持部68の前端よりも突出した部分がバネ前端部69F、後端よりも突出した部分がバネ後端部69Bである。バネ前端部69Fの前端縁は筒部61の前端縁よりも前方へ、また、バネ後端部69Bの後端縁は筒部61の後端縁よりも後方へ、各々突出している。
右ガイド部64は、右アーム62の右端に連設されたフック形状を有する部分である。右ガイド部64は、筐体40の右レール44に嵌め込まれ、右レール44にガイドされて前後方向へスライド移動する。左ガイド部65は、左アーム63の左端に連設されたフック形状を有する部分である。左ガイド部65は、左レール45に嵌め込まれ、左レール45にガイドされて前後方向へスライド移動する。円柱突起67は、筒部61の下面から下方に突設された一対の突起である。円柱突起67は、軸収容部43の底面431に凹設された案内溝432に嵌め込まれ、この案内溝432にガイドされて前後方向へスライド移動する。
清掃ユニット60は、移動フレーム600が清掃部材6及びバネ69を装備し、筒部61が回転軸50に挿通された状態で(図6)、筐体40の上壁40Tの上に組み付けられる(図3)。詳しくは、右ガイド部64が右レール44に、左ガイド部65が左レール45に各々嵌め込まれると共に、筒部61及び左アーム63が上壁40Tの軸収容部43に収容される。この組み付けにより、右アーム62に保持された清掃部材6はガラス42の上面に一部が接面し、左アーム63の下面は底面431と対向し、円柱突起67は案内溝432に嵌り込む。
<清掃ユニットの往復移動動作>
清掃ユニット60のホームポジションは、図2に示されている通り、筐体40の前壁40Fに近接した位置である。つまり、回転軸50の前端部50Fの位置である。清掃ユニット60がホームポジションにある状態において、回転軸50が時計方向R1(第1回転方向)へ回転されると、回転軸50のスパイラル52と清掃ユニット60の係合部66との係合によって、清掃ユニット60は後方向F1へ移動を開始する。前端部50Fにおいてシャフト51にはスパイラル52が形成されていないが、バネ前端部69Fの付勢力によって移動フレーム600が後方向F1へ付勢されるので、スパイラル52と係合部66とは係合することができる。
回転軸50の時計方向R1への回転が継続されることで、清掃ユニット60は後方向F1(第1移動方向)への移動を続ける(第1状態)。やがて清掃ユニット60は、後壁40Bに近接した位置(回転軸50の後端部50B)へ至る。これにて、清掃ユニット60の往路の移動は終わる。既述の通り、回転軸50は、後端部50Bにスパイラル52が突設されていない平坦部55を有する。このため、清掃ユニット60が平坦部55に至ると、スパイラル52と係合部66との係合状態は解消される(第2状態)。従って、この第2状態で回転軸50が時計方向R1へ回転されても、後方向F1への推進力は清掃ユニット60に与えられず、回転軸50は空回りする状態となる。このとき、バネ69のバネ後端部69Bがバネ受け壁46に当接し、圧縮された状態となる。
前記第2状態に続いて、清掃ユニット60の復路の移動が開始される。具体的には、回転軸50が反時計方向R2(第2回転方向)へ回転され、スパイラル52と係合部66とが再係合し、清掃ユニット60は前方向F2へ移動を開始する。この際、バネ後端部69Bの付勢力がスパイラル52と係合部66との再係合をアシストする。すなわち、清掃ユニット60が前記第2状態を取っているとき、バネ後端部69Bは圧縮された状態となっているので、移動フレーム600には前方向F2への付勢力が作用しており、回転軸50が反時計方向R2へ回転されると、係合部66をスパイラル52に再係合させることができる。
回転軸50の反時計方向R2への回転が継続されることで、清掃ユニット60は前方向F2(第2移動方向)への移動を続ける(第3状態)。やがて清掃ユニット60は、前壁40Fに近接した位置(回転軸50の前端部50F)へ戻る。これにて、清掃ユニット60の復路の移動(往復移動)は終わる。上述の往復動作を、複数回繰り返すように設定することもできる。
[清掃ユニットの揺動防止構造]
上述の第2状態から第3状態への遷移時において、スパイラル52と係合部66との再係合が良好に行われず、清掃ユニット60の動作不良が生じることがある。動作不良の主な原因は、係合部66がスパイラル凹溝51Gに嵌り込まずに、係合部66がスパイラル52に乗り上げる等して両者が当止することにある。この場合、清掃ユニット60が動かなくなってしまう。本発明者らは、このような不具合は、清掃ユニット60(筒部61)の揺動に起因することを知見した。比較例を挙げて、この不具合を説明する。
図9(A)は、比較例に係る回転軸500と清掃ユニット60の筒部610との、第2状態における係合関係を示す一部破断上面図、図9(B)は、図9(A)の要部拡大図である。これらの図において、筒部610だけを断面で示し、筒部610の内周面から径方向内側に突出する係合部660を点線で描いている。
回転軸500は、シャフト51及びスパイラル52と、平坦部550とを有するが、後端部50Bにおいて円柱部54を具備していない。すなわち、平坦部550は、上記の回転軸50の平坦部55が、スパイラル52の後端部から抜け止め環532まで連続した態様のものである。つまり、平坦部550の前後方向の長さは、筒部610の前後方向の長さよりも相当長くなっている。
筒部610の内周面と平坦部550(シャフト51)の周面との間には、少なくともスパイラル52の径方向高さに相当するギャップが存在する。このため、清掃ユニット60が第2状態にあるとき、筒部610の前端側はスパイラル52の頂面で支持されるとしても、後端側は支持する部材が存在しない。これにより、図9(B)に仮想線で示すように、筒部610は前記ギャップの分だけ揺動し得る状態となってしまう。
筒部610が回転軸50の軸方向に対して傾きを持ってしまうと、係合部660とスパイラル52との再係合は失敗し易くなる。例えば、係合部660がスパイラル52の頂面に乗り上げ、両者が互いに食い込むような状態となって、清掃ユニット60が動けなくなる。この場合、清掃ユニット60の動作不良の問題だけでなく、前記食い込みによって係合部660及びスパイラル52に損傷が生じたり、駆動モーター70に過負荷が加わったりする不具合も生じることになる。
本実施形態によれば、上記の比較例の不具合を解消することができる。図10(A)は、本実施形態に係る回転軸50と清掃ユニット60の筒部61との、第2状態における係合関係を示す一部破断上面図、図10(B)は、図10(A)の要部拡大図である。本実施形態の回転軸50は、後端部50Bに円柱部54を具備しており、平坦部55はスパイラル52の後端部と円柱部54との間に存在している。平坦部55の前後方向の長さは、筒部61の前後方向の長さよりもやや短い。
筒部61は、その筒心方向において、後端部61B(第1移動方向側の第1端部)と前端部61F(第2移動方向側の第2端部)とを有する。前記第2状態において、筒部61の後端部61Bは、円柱部54の前端付近に嵌り込み、前端部61Fはスパイラル52の後端部付近の頂面52S(外周面)と径方向に対向している。要するに、後端部61Bが円柱部54で支持され、前端部61Fがスパイラル52で支持されている。
このような支持態様を実現するために必要な構成は次の通りである。まず、平坦部55は、スパイラル52に対する係合部66の係合を外すことができるスパンが少なくとも必要である(係合が外れないと、清掃ユニット60が後方向F1へ押され続けてしまう)。すなわち、スパイラル52の後端縁、つまりスパイラル始端部521(螺旋始端部)に係合部66が干渉しないようなポジションを取れるだけの前後方向の長さを、少なくとも平坦部55は要する。筒部61は、筒心方向の中央に係合部66を有し、スパイラル52上を安定的に移動させるためには係合部66の前後に相応の長さが必要である。この点を考慮して、係合部66から後端部61B及び前端部61Fまでの長さが設定される。円柱部54は、スパイラル52と係合部66との係合が解消された状態(第2状態)において、上記の通り設定された後端部61Bがシャフト51と径方向に対向する位置をカバーするように配置される。これにより、図10(B)に示すように、円柱部54と後端部61Bとを径方向に重畳させることができる。なお、スパイラル52の後端部も、前端部61Fと頂面52Sの少なくとも一部とが径方向に重畳するように形成される。
以上の通り、本実施形態によれば、筒部61の後端部61B及び前端部61Fの双方が、シャフト51の周面51Sから径方向に突出した部分である円柱部54及びスパイラル52の後端部で支持される。これにより、筒部61は、スパイラル52と係合部66との係合状態が解消されている前記第2状態においても、回転軸50の軸方向に対して大きく傾くことはなくなり、概ね回転軸50と筒部61とは同軸の関係を維持できる。従って、前記第2状態から前記第3状態への移行時における再係合の際、比較例で示したようなスパイラル52と係合部66との食い込み等は生じ難くなり、両者をスムースに噛み合わせることができる。つまり、バネ69の付勢力のアシストを受けて、スパイラル凹溝51Gへ係合部66をスムースに入り込ませることができる。
また、周面51Sからのスパイラル52の径方向突出高さと、周面51Sからの円柱部54の径方向突出高さとが同一とされている。このため、筒部61の後端部61Bと前端部61Fとを、回転軸50に対して同一の高さで保持させることができる。従って、回転軸50と筒部61とをより一層同軸の関係に近付けることが可能となり、よりスパイラル52と係合部66とを再係合させ易くすることができる。なお、円柱部54は、筒部61の揺動を抑制できる限りにおいて、スパイラル52よりも径方向突出高さが小さいものであっても良い。
[係合部の形状について]
本実施形態では、係合部66の形状についても、スパイラル52と係合部66との再係合を容易とする工夫が施されている。先ず、比較例を説明する。図11は、先に図9において示した比較例に係る係合部660の、スパイラル始端部521への当接角θ1を説明するための模式図である。
係合部660は、係合始端部661Aと、係合始端部661Aにおいて交差する左側壁662A及び前側壁663Aと、前側壁663Aと対向する後側壁664Aとを含む。係合始端部661Aは最も前端側に位置し、前記第2状態から前記第3状態の移行時(回転軸50の反時計方向R2への回転開始時)にスパイラル始端部521と干渉する部分である。左側壁662Aもまた、前記移行時にスパイラル始端部521と干渉する部分である。前側壁663A及び後側壁664Aは、係合部660がスパイラル52間のスパイラル谷部522(スパイラル凹溝51G)に入り込む係合状態となったとき、スパイラル52の側壁と摺接する部分、つまり推進力を受け取る部分である。従って、前側壁663Aと後側壁664Aとの間の前後方向長さは、スパイラル谷部522の幅よりやや短く、前側壁663A及び後側壁664Aの傾きは、スパイラル52の螺旋角度に合致している。
前記第2状態から前記第3状態への移行時に、バネ69の付勢力を受けている係合部660はスパイラル始端部521をスムースに通過し、スパイラル谷部522へ嵌り込む必要がある。これにより、前記再係合が実現される。しかし、左側壁662Aは、回転軸50の軸方向と平行な線分aに概ね倣った壁である。このため、スパイラル始端部521に対する左側壁662Aの当接角θ1は鈍角となる。従って、回転軸50が回転してスパイラル始端部521が左側壁662Aに突き当たった際に、当該突き当たり力を逃がすことができず、つまり係合部660は前後方向に逃げにくく、係合部660の下にスパイラル始端部521が挟まり、当止し易くなる。
これに対し、図12は、本実施形態に係る係合部66のスパイラル始端部521への当接角θ2を説明するための模式図である。上記比較例と同様に、係合部66は、係合始端部661と、係合始端部661において交差する左側壁662(側壁)及び前側壁663と、前側壁663と対向する後側壁664とを含む。係合始端部661は最も前端側に位置し、前記第2状態から前記第3状態の移行時にスパイラル始端部521と干渉する部分である。左側壁662もまた、前記移行時にスパイラル始端部521と干渉する部分であり、係合始端部661から後方へ概ね軸方向に延びる側壁である。前側壁663及び後側壁664は、係合部66がスパイラル谷部522に入り込む係合状態となったとき、スパイラル52の側壁と摺接して推進力を受け取る部分である。前側壁663と後側壁664との間の前後方向長さは、スパイラル谷部522の幅よりやや短く、前側壁663及び後側壁664の傾きは、スパイラル52の螺旋角度b(螺旋方向)に概ね合致している。
上記比較例と相違する点は、左側壁662が、回転軸50の軸方向と平行な線分aに対してスパイラル52の螺旋方向に沿う(近づく)方向に、所定の傾き角αを具備している点である。左側壁662が傾き角αを持つので、スパイラル始端部521に対する左側壁662の当接角θ2は、上記比較例に比べて鋭角となる。このため、回転軸50が回転してスパイラル始端部521が左側壁662に衝突した際、係合部66は前後方向に逃げ易い。つまり、係合部66の下にスパイラル始端部521が挟まり難くなる。
むしろ、前記衝突が生じると、係合始端部661及び左側壁662がスパイラル始端部521に誘い込まれるようにして、係合部66がスパイラル谷部522へ入り込むようになる。つまり、傾き角αを持つ左側壁662によって当接角θ2が鋭角となり、また、円柱部54の存在によって回転軸50と筒部61とが同軸状に維持されることも相俟って、係合部66がスパイラル始端部521に誘い込まれ易くなり、前記再係合がスムースに行われるものである。傾き角αは適宜決定することができるが、10°〜40°程度の範囲から選択することができる。
[好ましいスパイラル始端部について]
図13(A)は、好ましいスパイラル始端部521を示す回転軸50の断面図、図13(B)は、一般的なスパイラル始端部521を示す回転軸500の断面図である。図13(A)のスパイラル始端部521は、シャフト51の周面51Sの法線nの方向に立ち上がる始端面521Aを備えている。すなわち、始端面521Aは周面51Sから急峻に立ち上がる面である。
これに対し、図13(B)のスパイラル始端部521は、周面51Sの法線nに対して傾き角βを持つ始端面521Bである。始端面521Bは周面51Sに対して緩やかに立ち上がる面である。一般に、シャフト上にスパイラル突起が形成された構造物の場合、スパイラル始端部に急峻なエッジが立つような設計はなされず、始端面521Bのようになだらかな斜面とされる。
しかし、本実施形態において好ましいのは、始端面521Aのような、法線nの方向若しくは法線nに対して若干の傾きを持つ程度の急峻な始端面を有するスパイラル始端部521である。急峻な始端面521Aであると、係合部66の左側壁662が当該スパイラル始端部521に突き当たった際に押し戻され易くなる。すなわち、緩やかに立ち上がる始端面521Bであると、左側壁662が始端面521Bの傾斜に呼び込まれ、係合部66がスパイラル52の上へ乗り上げ、両者が当止され易い傾向が出る。
しかし、急峻に立ち上る始端面521Aであると、左側壁662はスパイラル52の上へ呼び込まれ難く、反発するようになる。従って、前記第2状態から前記第3状態への移行時における、回転軸50の反時計方向R2への1回転目において、スパイラル52への係合部66の係合に失敗したとしても、それは係合始端部661乃至は左側壁662がスパイラル始端部521の始端面521Aに突き当たって押し戻されるだけである。このため、反時計方向R2への2回転目において両者の係合にリトライさせることができる。
[電気的構成]
図14は、本実施形態に係る画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部80を備えている。制御部80は、画像形成制御部81及び駆動制御部82を含む。
画像形成制御部81は、画像形成装置1における画像形成動作を制御する。具体的には画像形成制御部81は、画像形成ユニット2Y〜2Bk、光走査装置23Y〜23Bk及び定着ユニット30の動作を制御して、感光体ドラム21への静電潜像の形成、前記静電潜像のトナーによる現像、転写ベルト281へのトナー像の一次転写、フルカラートナー像の転写ベルト281からシートへの二次転写、及び定着動作などを制御する。
駆動制御部82は、清掃ユニット60による窓部41の清掃動作を実行させるために、駆動モーター70の動作を制御する。清掃ユニット60は、非動作時にはホームポジション(筐体40の前壁40Fに近接した位置)に位置している。駆動制御部82は、所定の清掃タイミング、例えば画像形成装置1の起動時、所定枚数の画像形成が行われた後、或いは所定の駆動時間が経過した後などに、駆動モーター70を動作させる。
駆動制御部82は、例えば、回転軸50を時計方向R1に回転させるために駆動モーター70を正回転させ、反時計方向R2に回転させるために駆動モーター70を逆回転させる。制御ロジックとしては、予め清掃ユニット60が前壁40Fと後壁40Bとの間の移動に要する時間を把握しておき、単純に駆動モーター70を正回転及び逆回転させる時間を適宜設定する方法を例示することができる。勿論、センサー類を使用して清掃ユニット60の位置を検知し、駆動モーター70の正回転及び逆回転を切り換えるようにしても良い。
以上説明した通り、本発明によれば、清掃ユニット60のような移動体の往復移動を確実に実行させることができる移動体の往復機構、この往復機構を利用した清掃機構Cを提供することができる。さらに、清掃機構Cを光走査装置23Y〜23Bkへ適用することで、窓部41の自動清掃を確実に実行させることができ、窓部41の汚濁に伴う画像劣化の生じることがない光走査装置23Y〜23Bk並びに画像形成装置1を提供することができる。
上述の実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の実施形態においては、清掃機構Cを、光走査装置23Yの窓部41を清掃するために適用したが、これに限られるものではない。例えば、帯電器22として帯電ワイヤのものが採用されている場合、清掃機構Cを前記帯電ワイヤの清掃のために適用することもできる。また、画像形成装置1以外の各種機器にも清掃機構Cを適用することができる。さらに、清掃機構C以外に、往復動作を行う各種の移動体に対して、本発明を適用することができる。

Claims (7)

  1. 周面と、前記周面上に突設され軸方向に螺旋状に延びる螺旋状山部とを有し、第1回転方向と、前記第1回転方向とは逆の第2回転方向とに回転可能な回転軸と、
    前記回転軸を回転させる駆動源と、
    前記回転軸が挿通される筒部と、該筒部の内周面に突設され前記螺旋状山部と係合する係合部とを含み、前記螺旋状山部に前記係合部が係合した係合状態で前記回転軸の回転に伴って前記軸方向に沿って往復移動する移動体と、を備え、
    前記移動体は、前記係合状態で前記回転軸の前記第1回転方向への回転に伴って第1移動方向に移動する第1状態と、前記第1移動方向に移動した後、前記係合状態を解消する第2状態と、前記回転軸の前記第2回転方向への回転に伴い、前記係合部が前記螺旋状山部に再係合して前記係合状態を形成し、前記第1移動方向とは逆の第2移動方向に移動する第3状態との間で状態変更するものであって、
    前記回転軸は、前記螺旋状山部の前記第1移動方向側の端部に隣接して順次配置された、前記周面のみからなる平坦部、及び、前記周面から径方向外側に突設された筒状突起部を備え、
    前記移動体の前記筒部は、前記第2状態において、前記筒状突起部に嵌り込む前記第1移動方向側の第1端部、及び、前記螺旋状山部の外周面と径方向に対向する前記第2移動方向側の第2端部を備える、移動体の往復機構。
  2. 請求項1に記載の移動体の往復機構において、
    前記周面からの前記螺旋状山部の径方向突出高さと、前記周面からの前記筒状突起部の径方向突出高さとが同一である、移動体の往復機構。
  3. 請求項1に記載の移動体の往復機構において、
    前記移動体が前記第2状態を取っているとき、前記移動体を前記第2移動方向に付勢し、前記回転軸の前記第2回転方向への回転によって、前記係合部を前記螺旋状山部に再係合して前記第3状態に至らせる付勢部材を備え、
    前記筒部の前記係合部は、前記第2移動方向側の係合始端部と、この係合始端部から前記第1移動方向側へ軸方向に沿って延びる側壁とを含み、
    前記第2状態から前記第3状態への移行時に、前記係合始端部及び前記側壁が前記螺旋状山部の前記第1移動方向側における螺旋始端部に誘い込まれることによって、前記再係合が実現されるものであって、
    前記側壁は、軸方向に対して前記螺旋状山部の螺旋方向に所定の傾きを具備している、移動体の往復機構。
  4. 請求項3に記載の移動体の往復機構において、
    前記螺旋始端部は、前記周面の法線方向に立ち上がる始端面を備える、移動体の往復機構。
  5. 被清掃物を清掃する清掃部材と、
    請求項1に記載の移動体の往復機構と、を含み、
    前記回転軸は前記被清掃物に沿って配設され、
    前記移動体は前記清掃部材を保持している、清掃機構。
  6. 窓部を有する筐体と、
    前記筐体内に配置され、前記窓部を介して走査光を所定の走査対象物に照射する走査光学系と、
    請求項5に記載の清掃機構と、を備え、
    前記被清掃物が前記窓部である、光走査装置。
  7. 像担持体と、
    画像情報に基づいて前記像担持体に対して走査光を照射する、請求項6に記載の光走査装置と、
    を備える画像形成装置。
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