[画像形成装置の全体構成]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳述する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す概略的な断面図である。ここでは、画像形成装置1の一例として、カラープリンターを例示している。画像形成装置1は、モノクロプリンター、ファクシミリ装置、或いは複合機等であっても良い。
画像形成装置1は、略直方体のハウジングからなる本体ハウジング10と、この本体ハウジング10に収容された、画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bk、光走査ユニット23、中間転写ユニット28及び定着ユニット30とを含む。本体ハウジング10の上面には排紙トレイ11が備えられている。排紙トレイ11に対向して、シート排出口12が開口している。また、本体ハウジング10の側壁には、手差しトレイ13が開閉自在に取り付けられている。本体ハウジング10の下部には、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット14が、着脱自在に装着されている。
画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナー像を、コンピューター等の外部機器から伝送された画像情報に基づき形成するもので、水平方向に所定の間隔でタンデムに配置されている。各画像形成ユニット2Y、2C、2M、2Bkは、静電潜像及びトナー像を担持する感光体ドラム21(像担持体)、感光体ドラム21の周面を帯電させる帯電器22、感光体ドラム21の周面上に静電潜像を形成する光走査ユニット23、前記静電潜像に現像剤を付着させてトナー像を形成する現像器24、この現像器24に各色のトナーを供給するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナーコンテナ25Y、25C、25M、25Bk、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる一次転写ローラー26、及び感光体ドラム21の周面の残留トナーを除去するクリーニング装置27を含む。
本実施形態では光走査ユニット23は、各色の感光体ドラム21に対応して配置された、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの光走査装置23Y、23C、23M、23Bkを備えている。各光走査装置23Y〜23Bkは、レーザー光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系を含み、外部機器から与えられる画像情報に基づいて各々の感光体ドラム21の周面に走査光を照射する。
中間転写ユニット28は、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を一次転写させる。中間転写ユニット28は、各感光体ドラム21の周面に接触しつつ周回する転写ベルト281と、転写ベルト281が架け渡される駆動ローラー282および従動ローラー283とを含む。転写ベルト281は、一次転写ローラー26によって各感光体ドラム21の周面に押し付けられている。各色の感光体ドラム21上のトナー像は転写ベルト281上の同一箇所に重ね合わせて一次転写される。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト281上に形成される。
駆動ローラー282に対向して、転写ベルト281を挟んで二次転写ニップ部Tを形成する二次転写ローラー29が配置されている。転写ベルト281上のフルカラートナー像は、二次転写ニップ部Tにおいてシート上に二次転写される。シート上に転写されずに転写ベルト281の周面に残留したトナーは、従動ローラー283に対向して配置されたベルトクリーニング装置284によって回収される。
定着ユニット30は、熱源が内蔵された定着ローラー31と、定着ローラー31と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラー32とを含む。定着ユニット30は、二次転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシートを、定着ニップ部Nにおいて加熱及び加圧することで、トナーをシートに溶着させる定着処理を施す。定着処理が施されたシートは、シート排出口12から排紙トレイ11に向けて排出される。
本体ハウジング10の内部には、シートを搬送するためのシート搬送路が設けられている。シート搬送路は、本体ハウジング10の下部付近から上部付近まで、二次転写ニップ部T及び定着ユニット30を経由して、上下方向に延びるメイン搬送路P1を含む。メイン搬送路P1の下流端は、シート排出口12に接続されている。両面印刷の際にシートを反転搬送する反転搬送路P2が、メイン搬送路P1の最下流端から上流端付近まで延設されている。また、手差しトレイ13からメイン搬送路P1に至る手差しシート用搬送路P3が、給紙カセット14の上方に配置されている。
給紙カセット14は、シートの束を収容するシート収容部を備える。給紙カセット14の右上付近には、シート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すピックアップローラー151と、そのシートをメイン搬送路P1の上流端に送り出す給紙ローラー対152とが備えられている。手差しトレイ13に載置されたシートも、手差しシート用搬送路P3を通して、メイン搬送路P1の上流端に送り出される。メイン搬送路P1の二次転写ニップ部Tよりも上流側には、所定のタイミングでシートを転写ニップ部に送り出すレジストローラー対153が配置されている。
シートに片面印刷(画像形成)処理が行われる場合、給紙カセット14又は手差しトレイ13からシートがメイン搬送路P1に送り出され、該シートに二次転写ニップ部Tにおいてトナー像の転写処理が、定着ユニット30において転写されたトナーをシートに定着させる定着処理が、各々施される。その後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。一方、シートに両面印刷処理が行われる場合、シートの片面に対して転写処理及び定着処理が施された後、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に一部が排紙される。その後、該シートはスイッチバック搬送され、反転搬送路P2を経て、メイン搬送路P1の上流端付近に戻される。しかる後、シートの他面に対して転写処理及び定着処理が施され、該シートは、シート排出口12から排紙トレイ11上に排紙される。
[清掃機構付き光走査装置の概要]
図2は、イエロー用の光走査装置23Yを示す斜視図(他色の光走査装置23C、23M、23Bkも同じ)である。図2及び以下の図において、前後左右及び上下の方向表示を付している。これら方向表示は説明の便宜のためであり、実機における方向を限定するものではない。
光走査装置23Yは、前後方向に長い略直方体の形状を有する筐体40を備える。筐体40は、上述のレーザー光源、ポリゴンミラー及び走査レンズ等の走査光学系(図略)を収容し、当該走査光学系を塵埃から保護する。筐体40の上壁40Tの右端側には、前後方向に延びる窓部41(被清掃物)が配置されている。窓部41には、ガラス42が嵌め込まれている。ガラス42は、前後方向に長尺の矩形形状を有し、走査光の進行を阻害しない特性(透明性)を有する。走査光学系によって生成される走査光は、ガラス42を介して筐体40の外部へ取り出され、感光体ドラム21へ照射される。
筐体40の上壁40Tには、清掃機構C(移動体の往復機構)が組み付けられている。清掃機構Cは、窓部41のガラス42の上面を清掃するものであって、回転軸50、清掃ユニット60(移動体)、駆動モーター70(駆動源)及び電流計71(検知部)を含む。
回転軸50は、清掃ユニット60を後方向F1(第1移動方向)及び前方向F2(第2移動方向)に往復移動させるものであって、窓部41(ガラス42)の左側に沿うように、窓部41と平行に配設されている。ガラス42は、筐体40の前壁40Fと後壁40Bとの間のほぼ全長に亘る前後長さを有しており、回転軸50も前壁40Fから後壁40Bに至る前後長さを有している。回転軸50は、筐体40によって時計方向R1(第1回転方向)及び反時計方向R2(第2回転方向)に回転自在に支持されている。すなわち、回転軸50の前端部50Fは筐体40の前壁40Fで軸支され、後端部50Bは後壁40Bで軸支されている。
駆動モーター70は、正逆回転が可能なモーター、例えばDCモーターであり、回転軸50を時計方向R1又は反時計方向R2に回転させる回転駆動力を発生する。電流計71は、駆動モーター70の駆動電流(モーター電流)をモニターするものであって、駆動モーター70の動作状態の異常の有無を検知するために配置されている。
清掃ユニット60は、駆動モーター70により回転軸50が回転駆動されることに伴って、回転軸50の軸方向(前後方向)に往復移動する。清掃ユニット60は、ガラス42の上面とスライド接触することによって当該上面の汚れを拭き取る清掃部材6(図6、図8参照)を保持している。ここでは、回転軸50が時計方向R1に回転駆動されることによって、清掃ユニット60は後方向F1に移動し、反時計方向R2に回転駆動されることによって、清掃ユニット60は前方向F2に移動するものとする。
図2では、清掃ユニット60が前壁40Fに近接した位置にある状態が示されている。前記往復移動は、清掃ユニット60が、前壁40Fに隣接する位置から後壁40Bに隣接する位置まで後方向F1へ移動し、その後、後壁40Bに隣接する位置から前壁40Fに隣接する位置まで戻る移動を意味する。すなわち、清掃ユニット60は、回転軸50の時計方向R1への回転に伴って後方向F1に移動する状態(第1状態)と、回転軸50との係合が解消されて後壁40B付近で滞留する状態(第2状態)と、回転軸50の反時計方向R2への回転に伴って前方向F2に移動する状態(第3状態)と、再び回転軸50との係合が解消されて前壁40F付近で滞留する状態との間で状態変更する。このような清掃ユニット60往復移動により、ガラス42の上面が清掃部材6によって複数回払拭されるものである。
[清掃機構の各部の詳細]
図3は、清掃機構Cが組み付けられた状態の、光走査装置23Yの筐体40の後端付近の部分斜視図である。図4は、図3から清掃ユニット60を取り除いた状態、図5は、さらに図4から回転軸50を取り除いた状態を各々示している。図5は、清掃機構Cが取り除かれた状態の、筐体40の上壁40Tが示されている。図6は、回転軸50の後端部50B付近及び清掃ユニット60の斜視図である。図7、図8は、清掃ユニット60(移動フレーム600)を上方、下方から各々見た斜視図である。
<筐体の上壁>
図5を主に参照して、筐体40の上壁40Tには、上述の窓部41に加え、軸収容部43、右レール44、左レール45、バネ受け壁46及び軸受け部47が備えられている。窓部41は、上壁40Tを上下方向に貫通する開口部411と、この開口部411の周縁に配置された枠部412とを含む。開口部411は、前後方向に長い矩形の開口であり、前記走査光の光路となる開口である。枠部412は、ガラス42の下面を受ける部分であり、シールを兼ねる。ガラス42は、開口部411の上方を塞ぐように、枠部412の上に載置される。
軸収容部43は、回転軸50と清掃ユニット60の一部とを収容するための、前後方向に延びる凹溝である。軸収容部43の底面431は水平な面であるが、その右方端付近には、前後方向に延びる狭幅の凹溝からなる案内溝432が形成されている。案内溝432は、清掃ユニット60の往復移動を案内するために設けられている。軸収容部43の後端には、半円柱型のキャビティを備える軸端受け部433が連設されている。
右レール44及び左レール45もまた、清掃ユニット60の往復移動を案内するために設けられている。右レール44は、上壁40Tの右端付近において前後方向に延びている。左レール45は、上壁40Tの左右方向中央付近において前後方向に延び、右レール44に対して窓部41及び軸収容部43を挟んで平行に配設されている。
バネ受け壁46は、後述する清掃ユニット60が備えるバネ69が当接される壁である。バネ受け壁46は、軸収容部43の後端において、底面431から鉛直上方に立ち上がっている垂直壁である。軸受け部47は、軸端受け部433よりもさらに後方に配置され、回転軸50を軸支する部分である。なお、図5では上壁40Tの後端付近を示しているので図示されていないが、バネ受け壁46及び軸受け部47は、上壁40Tの前端付近にも備えられている。
<回転軸>
図4を主に参照して、回転軸50は、前後方向に直線状に延びる軸体であって、周面51Sを備えたシャフト51と、シャフト51の周面51S上から径方向外側に突設されたスパイラル52(螺旋状山部)とを備えている。シャフト51は、所定の外径を有する円柱型のシャフトであり、筐体40の前壁40Fから後壁40Bに至る前後長さを有している。周面51Sは、円柱型の周面である。
スパイラル52は、シャフト51の軸方向に所定の螺旋ピッチで螺旋状に延びる山部である。スパイラル52は、回転軸50の前端部50F及び後端部50Bを除く範囲において、シャフト51上に突設されている。スパイラル52の最も径方向に突出した頂面52Sは、略平坦な面とされている。つまり、帯状の平坦な頂面52Sが、シャフト51の周面51Sの周囲に、螺旋状に形成されている。スパイラル52の螺旋ピッチ間には、シャフト51の周面51Sが表出している。換言すると、周面51Sと、周面51Sを挟む一対のスパイラル52の立ち上がり側壁とで形成されるスパイラル凹溝51Gが、回転軸50の軸方向に延びている。
回転軸50(シャフト51)は、後端部50Bに、軸端部53、円柱部54(筒状突起部)及び平坦部55を備えている。軸端部53は、シャフト51の後端に同軸に連なる軸部分であって、シャフト51よりもやや外径が小さく、軸受け部47で軸支されている。軸端部53の後端には、入力ギア531が取り付けられている。入力ギア531には、駆動モーター70の駆動力が与えられる駆動ギアが歯合され、前記駆動力によって回転軸50が軸回りに回転される。軸端部53の前端側には、抜け止め環532が突設されている。抜け止め環532は軸端部53より径大の部分であり、軸受け部47の壁面と干渉することにより、回転軸50の軸収容部43からの抜け止めが図られている。
円柱部54は、シャフト51の後端の所定位置において、周面51Sから径方向外側に突設されている。円柱部54は、最も突出した外周部分に、平坦な円柱周面54Sを有している。本実施形態では、周面51Sからのスパイラル52の径方向突出高さと、周面51Sからの円柱部54の径方向突出高さとが、同一に設定されている。つまり、スパイラル52の頂面52Sと、円柱部54の円柱周面54Sとは、径方向に同じ高さ位置にある。なお、頂面52Sと円柱周面54Sとの高さ位置は厳密に一致していなくとも良く、若干の高さ位置の相違があっても構わない。
平坦部55は、シャフト51の後端に配置された、スパイラル52が存在しない部分である。つまり平坦部55は、周面51Sのみからなる平坦な円柱領域である。ここで、「周面51Sのみからなる」とは、周面51Sに次述の清掃ユニット60が備える係合部66が係合する部分が存在しないことを意味し、前記係合が生じない程度の小突起等が存在していても良い。平坦部55は、スパイラル52の後端部(第1移動方向の端部)と円柱部54との間に挟まれている。すなわち、平坦部55及び円柱部54は、スパイラル52の後端部に隣接して順次配置されている。
<清掃ユニット>
図3、図6〜図8を参照して、清掃ユニット60は、移動フレーム600、清掃部材6及びバネ69を含む。移動フレーム600は、一体的に成型された、筒部61、右アーム62、左アーム63、右ガイド部64、左ガイド部65、係合部66、円柱突起67及びバネ保持部68を備えている。右アーム62により清掃部材6が支持され、バネ保持部68によりバネ69が保持されている。
清掃ユニット60は、筒部61の筒心が前後方向に配向し、筒部61の外周面から右水平方向に右アーム62が、左水平方向に左アーム63が各々延び出した形状を備える。右ガイド部64は右アーム62の右端に、左ガイド部65は左アーム63の左端に各々配置されている。係合部66及び円柱突起67は筒部61に付設され、バネ保持部68は筒部61の左隣に配置されている。
筒部61は、前後方向に所定の長さを有する円筒体であり、回転軸50が挿通される挿通孔61Hを有している。挿通孔61Hの内径は、スパイラル52の頂面52Sの外径よりもやや大きく設定されている。係合部66は、筒部61の内周面611から、径方向内側に突設されている(図8)。係合部66は、筒部61に回転軸50が挿通された状態において、スパイラル52と係合することが可能である。また、係合部66がスパイラル52と係合した係合状態において、回転軸50が正回転及び逆回転されると、移動フレーム600(清掃ユニット60)は軸方向に往復移動する。すなわち、係合部66がスパイラル凹溝51Gに嵌り込み、回転軸50が軸回りに回転すると係合部66がスパイラル52から軸方向へ移動する推進力を受ける。この推進力により清掃ユニット60は、後方向F1又は前方向F2に移動する。
右アーム62は、筐体40の窓部41と上下方向に対向する位置に配置され、窓部41を跨ぐ左右方向の長さを有している。右アーム62には、清掃部材6の保持のため、当該右アーム62を上下方向に貫通するスリット621が備えられている。スリット621は、清掃部材6を挿通することが可能なサイズを有する、左右方向に長い断面矩形のスリットである。スリット621の左右方向の中央部には、清掃部材6を固定するための係止部622が備えられている。清掃部材6は短冊型の形状を有する部材であり、例えばスポンジや不織布からなる部材を清掃部材6として用いることができる。
左アーム63は、筐体40の軸収容部43と上下方向に対向する位置に配置されている。左アーム63の下面の左右方向の幅は、案内溝432を除いた、底面431の左右方向の幅とほぼ等しい。左アーム63の上面に、バネ保持部68が配置されている。バネ保持部68は、前後方向に延びる小円柱体である。
バネ69は、バネ保持部68よりも前後方向に長尺のコイルバネであり、コイル延伸方向の中央部が拡開される態様で、バネ保持部68に取り付けられている(図6)。バネ69の、バネ保持部68の前端よりも突出した部分がバネ前端部69F、後端よりも突出した部分がバネ後端部69Bである。バネ前端部69Fの前端縁は筒部61の前端縁よりも前方へ、また、バネ後端部69Bの後端縁は筒部61の後端縁よりも後方へ、各々突出している。
右ガイド部64は、右アーム62の右端に連設されたフック形状を有する部分である。右ガイド部64は、筐体40の右レール44に嵌め込まれ、右レール44にガイドされて前後方向へスライド移動する。左ガイド部65は、左アーム63の左端に連設されたフック形状を有する部分である。左ガイド部65は、左レール45に嵌め込まれ、左レール45にガイドされて前後方向へスライド移動する。円柱突起67は、筒部61の下面から下方に突設された一対の突起である。円柱突起67は、軸収容部43の底面431に凹設された案内溝432に嵌め込まれ、この案内溝432にガイドされて前後方向へスライド移動する。
清掃ユニット60は、移動フレーム600が清掃部材6及びバネ69を装備し、筒部61が回転軸50に挿通された状態で(図6)、筐体40の上壁40Tの上に組み付けられる(図3)。詳しくは、右ガイド部64が右レール44に、左ガイド部65が左レール45に各々嵌め込まれると共に、筒部61及び左アーム63が上壁40Tの軸収容部43に収容される。この組み付けにより、右アーム62に保持された清掃部材6はガラス42の上面に一部が接面し、左アーム63の下面は底面431と対向し、円柱突起67は案内溝432に嵌り込む。
[清掃ユニットの揺動防止構造]
上述の第2状態から第3状態への遷移時において、スパイラル52と係合部66との再係合が良好に行われず、清掃ユニット60の動作不良が生じることがある。動作不良の主な原因は、係合部66がスパイラル凹溝51Gに嵌り込まずに、係合部66がスパイラル52に乗り上げる等して両者が当止することにある。この場合、清掃ユニット60が動かなくなってしまう。本実施形態では、このような不具合を回避するために、清掃ユニット60(筒部61)の揺動を防止できる工夫を施している。
図9(A)は、本実施形態に係る回転軸50と清掃ユニット60の筒部61との、第2状態における係合関係を示す一部破断上面図、図9(B)は、図9(A)の要部拡大図である。回転軸50は、後端部50Bに円柱部54を具備しており、平坦部55はスパイラル52の後端部と円柱部54との間に存在している。平坦部55の前後方向の長さは、筒部61の前後方向の長さよりもやや短い。
筒部61は、その筒心方向において、後端部61B(第1移動方向側の第1端部)と前端部61F(第2移動方向側の第2端部)とを有する。前記第2状態において、筒部61の後端部61Bは、円柱部54の前端付近に嵌り込み、前端部61Fはスパイラル52の後端部付近の頂面52S(外周面)と径方向に対向している。要するに、後端部61Bが円柱部54で支持され、前端部61Fがスパイラル52で支持されている。
このような支持態様を実現するために必要な構成は次の通りである。まず、平坦部55は、スパイラル52に対する係合部66の係合を外すことができるスパンが少なくとも必要である(係合が外れないと、清掃ユニット60が後方向F1へ押され続けてしまう)。すなわち、スパイラル52の後端縁、つまりスパイラル始端部521に係合部66が干渉しないようなポジションを取れるだけの前後方向の長さを、少なくとも平坦部55は要する。筒部61は、筒心方向の中央に係合部66を有し、スパイラル52上を安定的に移動させるためには係合部66の前後に相応の長さが必要である。この点を考慮して、係合部66から後端部61B及び前端部61Fまでの長さが設定される。円柱部54は、スパイラル52と係合部66との係合が解消された状態(第2状態)において、上記の通り設定された後端部61Bがシャフト51と径方向に対向する位置をカバーするように配置される。これにより、図9(B)に示すように、円柱部54と後端部61Bとを径方向に重畳させることができる。なお、スパイラル52の後端部も、前端部61Fと頂面52Sの少なくとも一部とが径方向に重畳するように形成される。
以上の通り、本実施形態によれば、筒部61の後端部61B及び前端部61Fの双方が、シャフト51の周面51Sから径方向に突出した部分である円柱部54及びスパイラル52の後端部で支持される。これにより、筒部61は、スパイラル52と係合部66との係合状態が解消されている前記第2状態においても、回転軸50の軸方向に対して大きく傾くことはなくなり、概ね回転軸50と筒部61とは同軸の関係を維持できる。
筒部61が回転軸50の軸方向に対して傾きを持ってしまうと、係合部66とスパイラル52との再係合は失敗し易くなる。例えば、係合部66がスパイラル52の頂面に乗り上げ、両者が互いに食い込むような状態となって、清掃ユニット60が動けなくなる。この場合、清掃ユニット60の動作不良の問題だけでなく、前記食い込みによって係合部660及びスパイラル52に損傷が生じたり、駆動モーター70に過負荷が加わったりする不具合も生じることになる。
一方、回転軸50と筒部61とが同軸の状態であれば、前記第2状態から前記第3状態への移行時における再係合の際、スパイラル52と係合部66との食い込み等は生じ難くなり、両者をスムースに噛み合わせることができる。つまり、バネ69の付勢力のアシストを受けて、スパイラル凹溝51Gへ係合部66をスムースに入り込ませることができる。
また、周面51Sからのスパイラル52の径方向突出高さと、周面51Sからの円柱部54の径方向突出高さとが同一とされている。このため、筒部61の後端部61Bと前端部61Fとを、回転軸50に対して同一の高さで保持させることができる。従って、回転軸50と筒部61とをより一層同軸の関係に近付けることが可能となり、よりスパイラル52と係合部66とを再係合させ易くすることができる。なお、円柱部54は、筒部61の揺動を抑制できる限りにおいて、スパイラル52よりも径方向突出高さが小さいものであっても良い。
さらに、本実施形態では、係合部66の形状についても、スパイラル52と係合部66との再係合を容易とする工夫が施されている。図9(B)を参照して、係合部66は、係合始端部661と、係合始端部661において交差する左側壁662及び前側壁663と、前側壁663と対向する後側壁664とを含む。係合始端部661は最も前端側に位置し、前記第2状態から前記第3状態の移行時にスパイラル始端部521と干渉する部分である。左側壁662もまた、前記移行時にスパイラル始端部521と干渉する部分であり、係合始端部661から後方へ概ね軸方向に延びる側壁である。前側壁663及び後側壁664は、係合部66がスパイラル52の谷部(スパイラル凹溝51G)に入り込む係合状態となったとき、スパイラル52の側壁と摺接して推進力を受け取る部分である。
そして、左側壁662が、回転軸50の軸方向に対してスパイラル52の螺旋方向に沿う(近づく)方向に、所定の傾き角αを具備している。左側壁662が傾き角αを持つので、スパイラル始端部521に対する左側壁662の当接角は、傾き角αを持たない場合(軸方向に延びる左側壁の場合)に比べて鋭角となる。このため、回転軸50が回転してスパイラル始端部521が左側壁662に衝突した際、係合部66は前後方向に逃げ易い。つまり、係合部66の下にスパイラル始端部521が挟まり難くなる。むしろ、前記衝突が生じると、係合始端部661及び左側壁662がスパイラル始端部521に誘い込まれるようになり、前記再係合がスムースに行われるものである。
[電気的構成]
図10は、本実施形態に係る画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部80を備えている。制御部80は、画像形成制御部81及び駆動制御部82(制御部)を含む。
画像形成制御部81は、画像形成装置1における画像形成動作を制御する。具体的には画像形成制御部81は、画像形成ユニット2Y〜2Bk、光走査装置23Y〜23Bk及び定着ユニット30の動作を制御して、感光体ドラム21への静電潜像の形成、前記静電潜像のトナーによる現像、転写ベルト281へのトナー像の一次転写、フルカラートナー像の転写ベルト281からシートへの二次転写、及び定着動作などを制御する。
駆動制御部82は、清掃ユニット60による窓部41の清掃動作を実行させるために、駆動モーター70の動作を制御する。清掃ユニット60は、非動作時にはホームポジション(筐体40の前壁40Fに近接した位置)に位置している。駆動制御部82は、所定の清掃タイミング、例えば画像形成装置1の起動時、所定枚数の画像形成が行われた後、或いは所定の駆動時間が経過した後などに、駆動モーター70を動作させる。
駆動制御部82は、例えば、回転軸50を時計方向R1に回転させるために駆動モーター70を正回転させ、反時計方向R2に回転させるために駆動モーター70を逆回転させるよう、駆動モーター70の動作を制御する。制御ロジックとしては、予め清掃ユニット60が前壁40Fと後壁40Bとの間の移動に要する時間を把握しておき、単純に駆動モーター70を正回転及び逆回転させる時間を適宜設定する方法を例示することができる。勿論、センサー類を使用して清掃ユニット60の位置を検知し、駆動モーター70の正回転及び逆回転を切り換えるようにしても良い。
また、駆動制御部82は、駆動モーター70の駆動電流を検知(動作状態の異常の有無を検知)する電流計71の出力値をモニターする。駆動モーター70の駆動電流が過大となった場合、駆動制御部82は、清掃ユニット60の往復移動動作に異常が発生したものと判定し、所定のリカバリー動作を行う。とりわけ本実施形態では、前記第3状態において電流計71が駆動モーター70の駆動電流の異常を検知したとき、駆動制御部82は、回転軸50の回転方向を前記第2回転方向から前記第1回転方向へ一時的に切り換えるリトライ制御を実行する。この点については、図12〜図15に基づき、後記で詳述する。
<清掃ユニットの往復移動動作>
図11(A)〜(E)は、清掃ユニットの往復移動動作を順次説明するための模式図である。図11(A)は、清掃ユニット60がホームポジションに位置している状態を示している。ホームポジションは、筐体40の前壁40Fに近接した位置(図2)、つまり、回転軸50の前端部50Fの位置である。駆動制御部82は、清掃機構Cによる清掃動作を実行させないとき、清掃ユニット60をホームポジションに位置させる。
図11(B)は、清掃ユニット60が往路を移動している状態を示している。清掃ユニット60がホームポジションにある状態において、駆動制御部82は駆動モーター70を正回転させる。これにより、回転軸50が時計方向R1(第1回転方向)へ回転され、回転軸50のスパイラル52と清掃ユニット60の係合部66との係合によって、清掃ユニット60は後方向F1(第1移動方向)へ移動を開始する。前端部50Fにおいてシャフト51にはスパイラル52が形成されていないが、バネ前端部69Fの付勢力によって移動フレーム600が後方向F1へ付勢されるので、スパイラル52と係合部66とは係合することができる。回転軸50の時計方向R1への回転が継続されることで、清掃ユニット60は後方向F1への移動を続ける(第1状態)。
図11(C)に示すように、やがて清掃ユニット60は、後壁40Bに近接した位置(回転軸50の後端部50B)へ至る。これにて、清掃ユニット60の往路の移動は終わる。既述の通り、回転軸50は、後端部50Bにスパイラル52が突設されていない平坦部55を有する。このため、清掃ユニット60が平坦部55に至ると、スパイラル52と係合部66との係合状態は解消される(第2状態)。駆動制御部82は、この第2状態に至ってもしばらくは駆動モーター70を正回転させるが、この第2状態で回転軸50が時計方向R1へ回転されても、後方向F1への推進力は清掃ユニット60に与えられず、回転軸50は空回りする状態となる。このとき、バネ69のバネ後端部69Bがバネ受け壁46に当接し、圧縮された状態となる。
図11(D)は、清掃ユニット60が復路を移動している状態を示している。復路への移動に際し、駆動制御部82は駆動モーター70を逆回転させる。これにより、回転軸50が反時計方向R2(第2回転方向)へ回転され、スパイラル52と係合部66とが再係合し、清掃ユニット60は前方向F2(第2移動方向)へ移動を開始する。この際、バネ後端部69Bの付勢力がスパイラル52と係合部66との再係合をアシストする。すなわち、清掃ユニット60が前記第2状態を取っているとき、バネ後端部69Bは圧縮された状態となっているので、移動フレーム600には前方向F2への付勢力が作用しており、回転軸50が反時計方向R2へ回転されると、係合部66をスパイラル52に再係合させることができる。回転軸50の反時計方向R2への回転が継続されることで、清掃ユニット60は前方向F2への移動を続ける(第3状態)。
図11(E)は、清掃ユニット60がホームポジションに位置している状態を示している。前方向F2への移動が継続されると、やがて清掃ユニット60は、前壁40Fに近接した位置(回転軸50の前端部50F)へ戻る。これにて、清掃ユニット60の復路の移動(往復移動)は終わる。上述の往復動作を、複数回繰り返すように設定することもできる。
[駆動モーターの回転制御の詳細]
続いて、図12〜図14に基づいて、駆動モーター70の回転制御の詳細について説明する。本実施形態では、前記第3状態において電流計71が駆動モーター70の動作状態の異常を示す駆動電流を検知した場合に、駆動制御部82は、回転軸50の回転方向を反時計方向R2(第2回転方向)から時計方向R1(第1回転方向)へ一時的に切り換えるリトライ制御を実行する。
図12は、正常時、つまり前記第2状態から前記第3状態への移行時に異常が生じない場合における、駆動モーター70の回転制御例を示すタイムチャートである。時刻T1は、駆動制御部82が駆動モーター70を正回転させ、回転軸50が時計方向R1への回転を開始させた時刻である。このとき、駆動モーター70にはプラス極性の所定のモーター電流(駆動電流)が流れる。電流計71は、このモーター電流を検出する。これにより、ホームポジションにある清掃ユニット60が、後方向F1への移動を開始する(第1状態)。
以降、駆動モーター70の正回転が所定時間だけ継続される。時刻T2は、清掃ユニット60が回転軸50の後端部50Bへ至り、スパイラル52と係合部66との係合状態が解消される(第2状態)と想定される時刻である。この時刻T2を超過しても、駆動制御部82は駆動モーター70をしばらくは正回転させ続ける。想定通りに時刻T2で前記係合状態が解消されたならば、時刻T2以降は、回転軸50は空転することになる。想定よりも清掃ユニット60の往路移動が遅延したとしても、時刻T2以降の余裕時間で吸収することができる。
時刻T3は、駆動制御部82が駆動モーター70を逆回転させ、回転軸50が反時計方向R2への回転を開始させた時刻である。このとき、モーター電流はマイナス極性に反転する。スパイラル52と係合部66との再係合がスムースに行われれば、駆動モーター70の負荷が過大になることはなく、電流計71は所定のモーター電流を検出することになる。これにより、清掃ユニット60が、前方向F2への移動を開始する(第3状態)。電流計71が異常なモーター電流を検知しない限り、駆動モーター70の逆回転が所定時間だけ継続される。時刻T4は、清掃ユニット60が回転軸50の前端部50F、つまりホームポジションへ戻ると想定される時刻である。
図13は、異常検知時における駆動モーター70の回転制御例を示すタイムチャートである。時刻T3までは、図12のタイムチャートと同じである。前記第2状態から前記第3状態への移行時(第3状態の初期)に、スパイラル52と係合部66との再係合が良好に行われなかった場合、例えば係合部66がスパイラル52の上に乗り上げてしまって当止状態となった場合、駆動モーター70の負荷が通常時よりも大きくなり、モーター電流が異常に高くなる。
時刻T31は、電流計71が異常に高いモーター電流を所定時間(1〜2秒程度)継続して検出した時刻である。この場合、駆動制御部82は、逆回転させている駆動モーター70を正回転に反転させ、回転軸50の回転方向を反時計方向R2から時計方向R1へ一時的に切り換える。そして、時刻T32で、駆動モーター70を正回転から逆回転に戻し、回転軸50を反時計方向R2に回転させる(リトライ制御)。その後、電流計71が異常なモーター電流を検知しない限り、駆動モーター70の逆回転が時刻T4まで継続される。
従来の清掃機構では、電流計71が異常電流を検知した場合、駆動モーター70への通電を遮断し、エラー停止させていた。従って、清掃機構の動作を再開させるのに、相当の手間を要していた。また、直ちにエラー停止させるのではなく、5秒程度は通電を継続させていた。これにより、スパイラル52と係合部66とが強固に圧接されて、両者に圧接キズが発生する場合があった。これに対し、本実施形態のようにリトライ制御を実行させることで、当止したスパイラル52と係合部66とを一旦離間させ、その後に前記再係合にリトライさせることができる。また、電流計71が異常電流を検知すると、短時間で駆動モーター70の回転方向を反転させるので、スパイラル52と係合部66とが強固に圧接される時間を短くなり、両者の圧接キズの発生を抑止することができる。
図14は、異常検知時における駆動モーター70の他の回転制御例を示すタイムチャートである。ここでは、リトライ制御が続けて2回実行されている例を示している。時刻T32までは、図13のタイムチャートと同じである。時刻T33は、時刻T32で1回目のリトライ制御を終えた後、電流計71が異常に高いモーター電流を所定時間(1〜2秒程度)継続して検出した時刻である。この場合、駆動制御部82は、逆回転に戻した駆動モーター70を、再び正回転に反転させる。つまり、駆動制御部82は、前記リトライ制御を再度実行させる。その後、電流計71が異常なモーター電流を検知しない限り、駆動モーター70の逆回転が時刻T4まで継続される。電流計71が再び異常電流を検出すれば、前記リトライ制御をさらに複数回実行させても良い。
[動作フローの一例]
図15は、清掃ユニット60の往復移動制御の一例を示すフローチャートである。清掃ユニット60は、ホームポジションに位置している。駆動制御部82は、予め定められた清掃タイミングが到来したか否かを確認する(ステップS1)。清掃タイミングが到来していない場合(ステップS1でNO)、駆動制御部82は処理を保留する。
清掃タイミングが到来した場合(ステップS1でYES)、駆動制御部82は、回転軸50の回転方向=R1(時計方向)に設定し、駆動モーター70を正回転させる。これにより、回転軸50が時計方向R1へ回転し、清掃ユニット60は後方向F1へ移動を開始する(第1状態)。同時に、駆動制御部82は、制御部80が保有するタイマー機能を利用して、清掃ユニット60の往路移動時間を計測する往路タイマーK1をスタートさせる(ステップS2)。往路タイマーK1の設定計時時間(駆動モーター70を正回転させる時間)は、ここでは20secとする。
駆動制御部82は、往路タイマーK1の計時時間が20secに達したか否か(K1≧20sec)を確認する(ステップS3)。K1≧20secの条件を満たさない場合(ステップS3でNO)、駆動制御部82は回転方向=R1での駆動を継続する。なお、ステップS3の条件を満たす前に、清掃ユニット60が回転軸50の後端部50Bへ至り、スパイラル52と係合部66との係合状態が解消された第2状態となるよう、往路タイマーK1の計時時間が設定されている。
K1≧20secの条件を満たした場合(ステップS3でYES)、駆動制御部82は回転軸50の回転方向=R2(反時計方向)に設定し、駆動モーター70を逆回転させる。これにより、回転軸50が反時計方向R2へ回転し、清掃ユニット60は前方向F2へ移動を開始する(第3状態)。同時に、駆動制御部82は、清掃ユニット60の復路移動時間を計測する復路タイマーK2をスタートさせる(ステップS4)。復路タイマーK2の設定計時時間(駆動モーター70を逆回転させる時間)も、20secとする。
続いて駆動制御部82は、電流計71が異常なモーター電流を検知しているか否かを確認する(ステップS5)。異常なモーター電流が検知されていない場合(ステップS5でNO)、さらに駆動制御部82は、復路タイマーK2の計時時間が20secに達したか否か(K2≧20sec)を確認する(ステップS6)。K2≧20secの条件を満たさない場合(ステップS6でNO)、駆動制御部82は回転方向=R2での駆動を継続する。K2≧20secの条件を満たした場合(ステップS6でYES)、駆動制御部82は駆動モーター70を停止させ(ステップS7)、処理を終える。
異常なモーター電流が検知された場合(ステップS5でYES)、駆動制御部82は、復路タイマーK2の計時時間をリセットする(ステップS8)と共に、上述のリトライ制御として、回転方向=R1で所定時間だけ回転軸50を駆動させる(ステップS9)。前記所定時間は適宜決定されるが、例えば数sec程度に設定することができる。
リトライ制御を終えると、駆動制御部82は、リトライ制御の実行回数が予め設定されたMax値(例えば5〜6回)を超過しているか否かを確認する(ステップS10)。リトライ回数がMax値を超過していない場合(ステップS10でNO)、駆動制御部82はステップS4に戻って処理を繰り返す。一方、リトライ回数がMax値を超過した場合(ステップS10でYES)、駆動制御部82は駆動モーター70をエラー停止させ(ステップS11)、処理を中断する。この往復移動制御の一例によれば、清掃ユニット60の移動を、センサー類を用いることなく、往路、復路タイマーK1、K2だけで管理することができるので、制御の簡素化、コストダウンを図ることができる利点がある。
[作用効果]
以上説明した清掃機構Cによれば、前記第3状態において電流計71が駆動モーター70の動作状態の異常を検知した場合に、前記リトライ制御が実行される。前記異常は、主に前記第2状態から前記第3状態への移行する、前記第3状態の初期に生じる。前記リトライ制御によって回転軸50の回転方向が一時的に反時計方向R2から時計方向R1へ切り換えられることで、スパイラル52と係合部66との当止状態を解消させると共に、再度第3状態への移行を行わせることが可能となる。すなわち、スパイラル52と係合部66との再係合の失敗を抑止し、両者をスムースに噛み合わせることができる。また、前記当止状態に至った状態で、回転軸50の反時計方向R2の回転が継続されないので、スパイラル52及び係合部66の圧接による損傷を回避することができる。
とりわけ、本実施形態の回転軸50は円柱部54を備え、スパイラル52と係合部66との係合状態が解消されている前記第2状態においても、筒部61の後端部61B及び前端部61Fの双方が、円柱部54及びスパイラル52の後端部で各々支持される。これにより、回転軸50と筒部61とは同軸の関係を維持でき、本来的にスパイラル52と係合部66との再係合が行われ易い構成である。従って、電流計71が異常なモーター電流を検知するようなスパイラル52と係合部66との当止が発生するケース自体が少なく、仮に前記当止が発生したとしても両者が強固に固着されてしまうことはなく、前記リトライ制御により容易に再係合させることができる。よって、清掃ユニット60(移動体)の往復移動を確実に実行させることができる。
また、図14に例示した回転制御例によれば、前記リトライ制御を一度実行しても駆動モーター70の動作状態の異常が解消されていない場合は、再度リトライ制御が実行される。これにより、スパイラル52と係合部66との再係合の失敗を確実に防止することができる。
以上説明した通り、本発明によれば、清掃ユニット60のような移動体の往復移動を確実に実行させることができる移動体の往復機構、この往復機構を利用した清掃機構Cを提供することができる。さらに、清掃機構Cを光走査装置23Y〜23Bkへ適用することで、窓部41の自動清掃を確実に実行させることができ、窓部41の汚濁に伴う画像劣化の生じることがない光走査装置23Y〜23Bk並びに画像形成装置1を提供することができる。
上述の実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の実施形態においては、清掃機構Cを、光走査装置23Yの窓部41を清掃するために適用したが、これに限られるものではない。例えば、帯電器22として帯電ワイヤのものが採用されている場合、清掃機構Cを前記帯電ワイヤの清掃のために適用することもできる。また、画像形成装置1以外の各種機器にも清掃機構Cを適用することができる。さらに、清掃機構C以外に、往復動作を行う各種の移動体に対して、本発明を適用することができる。
さらに、上記実施形態では、回転軸50が円柱部54(筒状突起部)を具備している例を示したが、円柱部54を具備しない回転軸であっても本発明を適用することができる。