《画像形成装置の全体的な概略構成》
本実施例における画像形成装置は、複数の画像形成ユニット、ここでは4つの画像形成ユニットを有する電子写真フルカラープリンタである。図1はその画像形成装置の縦断正面模式図である。図2は画像形成装置の外観斜視図である。図3は開閉扉を開いて、1つの画像形成ユニットを挿入又は抜き出している途中状態を示した画像形成装置の外観斜視図である。
この画像形成装置1は、該装置の制御手段である制御回路部(CPU)Aと通信可能に接続した外部のホスト装置Bから入力する電気的画像情報に対応したフルカラー画像又はモノクロ画像を記録媒体としての記録材Pに形成して出力することができる。ホスト装置Bはコンピュータ・イメージリーダー等である。制御回路部Aは、ホスト装置Bとの電気的信号の授受、画像形成プロセス機器との電気的信号の授受をして、作像シーケンス制御を実行する。
ここで、画像形成装置1に関して、正面又は手前側(前側)とは開閉扉2を配設した側である。奥側(後側)とはそれとは反対側である。左右とは装置を正面から見て左又は右である。装置本体とは、画像形成ユニットを除いた画像形成装置部分である。
図1において、4は中間転写ベルトユニット(ベルト状の転写手段、転写搬送手段)である。このユニット4は、装置内の右側に配設した2次転写内ローラ5と、装置内の左側に配設した従動ローラ6と、従動ローラ寄りに配設したテンションローラ7と、この3本のローラ間に掛け回した中間転写ベルト8と、を有する。中間転写ベルト(以下、ベルトと略記する)8は、誘電体製で、フレキシブルなエンドレスベルトである。上記3本のローラ5・6・7は回転軸線方向を前後方向にして並行に配設されている。テンションローラ7は上方へ移動付勢されていてベルト8に張りを与えている。ベルト8は2次転写内ローラ5が回転駆動されることで、矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。従動ローラ6と2次転写内ローラ5との間の下行側のベルト部分の内側にはベルト移動方向に沿って左側から右側に順に所定の間隔をあけて第1から第4の4本の1次転写ローラ(1次転写手段)9が回転軸線方向を前後方向にして並行に配設されている。従動ローラ6のベルト懸回部の外側にはベルト8の外面を清掃するベルトクリーニング器10が配設されている。
ベルト8の下側には、複数の画像形成ユニットが並列に配設されている。本実施例の装置では、従動ローラ6と2次転写内ローラ5との間の下行側のベルト部分の移動方向に沿って左側から右側に順に4つの画像形成ユニット11Y・11M・11C・11Kが配設されている。
画像形成ユニット11Yを第一の画像形成ユニット、画像形成ユニット11Mを第二の画像形成ユニット、画像形成ユニット11Cを第三の画像形成ユニット、画像形成ユニット11Kを第四の画像形成ユニットとする。各画像形成ユニットは、それぞれ、トナー像が形成される像担持体を有しており、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジである。以下、カートリッジと略記する。各カートリッジの装置本体3に対する着脱構成については後述する。
中間転写ベルトユニット4は、第一、第二、第三、第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kに渡って配置されていて、各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kの像担持体と接触して画像を転写するベルト状の転写手段である。各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kは画像形成装置の鉛直方向において、上記の中間転写ベルトユニット4の下方に配置されている。
各カートリッジは何れも同様の構成を有する電子写真プロセス機構であり、像担持体(画像形成媒体)としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと略記する)12を有する。また、ドラム12に作用する画像形成プロセス手段である、1次帯電器13、現像器14、ドラムクリーニング器15を有する。1次帯電器13は、ドラム12の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する帯電手段であり、帯電ローラを用いている。現像器14はドラム12に現像剤を供給してのドラム面に形成された静電像をトナー像として顕像化する現像手段である。ドラムクリーニング器15はドラム12の表面を清掃するクリーニング手段であり、クリーニングブレードを用いている。
第一のカートリッジ11Yは、ドラム12にイエロー(Y)色のトナー像を形成するものであり、現像器14には現像剤としてY色のトナーを収容してある。第二のカートリッジ11Mは、ドラム12にマゼンタ(M)色のトナー像を形成するものであり、現像器14には現像剤としてM色のトナーを収容してある。第三のカートリッジ11Cは、ドラム12にシアン(C)色のトナー像を形成するものであり、現像器14には現像剤としてC色のトナーを収容してある。第四のカートリッジ11Kは、ドラム12にブラック(K)色のトナー像を形成するものであり、現像器14には現像剤としてK色のトナーを収容してある。
各カートリッジはドラム12の回転軸線方向を前後方向にして並行に配設されており、それぞれ、ドラム12の上面が、ベルト8の、従動ローラ6と2次転写内ローラ5との間の下行側のベルト部分の下面に対して接触している。前記の第1から第4の1次転写ローラ9は、それぞれ、対応するカートリッジのドラム12の上面に対してベルト8の下行側のベルト部分を挟んで対向する。各カートリッジにおいて、ドラム12とベルト8との接触部が1次転写部位T1である。
第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kの下側には、各カートリッジのドラム12に対する露光手段であるレーザスキャナユニット16が配設されている。このユニット16は、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調発光を行うレーザ発光手段、ポリゴンミラー、結像光学系、反射ミラー等で構成されている。
レーザスキャナユニット16の下側には、記録材Pを積載して収容した用紙カセット17が配設されている。この用紙カセット17は画像形成装置の正面側から挿脱操作される(フロントローデング)。17a(図2)は用紙カセット17の正面板に設けたカセット挿脱操作用の取手部である。
2次転写内ローラ5のベルト懸回部の外側には、2次転写外ローラ(2次転写手段)22が配設されている。ベルト8と2次転写外ローラ22との接触部が2次転写部位T2である。
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。ホスト装置Bから制御回路部Aにフルカラー画像に関する電気的な記録画像信号が入力する。制御回路部Aは、入力した記録画像信号を所要に画像処理するとともに、第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kを所定の制御タイミングで駆動する。その駆動により各ドラム12が矢印の時計方向に所定の同じ速度で回転駆動される。1次帯電器としての帯電ローラ13はドラム12の回転に従動して回転する。ベルト8は駆動ローラである2次転写内ローラ5の回転駆動により矢印の反時計方向にドラム12の回転速度と同じ速度で回転される。回転するドラム12の表面が帯電ローラ13により所定の極性・電位に一様に帯電される。そのドラム12の帯電面がレーザスキャナユニット16により画像露光される。ユニット16は、制御回路部Aから入力する画像処理された記録画像信号に対応して変調したレーザ光Lを出力して、ドラム12の帯電面を走査露光する。これにより、ドラム面に走査露光パターンに対応した静電像が形成される。形成された静電像は現像器14の現像ローラ14a(図5)によりトナー像として現像される。
上記のような電子写真プロセスにより、第一のカートリッジ11Yでは、ドラム12の面にフルカラー画像のY色成分像に対応したY色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。第二のカートリッジ11Mでは、ドラム12の面にフルカラー画像のM色成分像に対応のM色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。第三のカートリッジ11Cではドラム12の面にフルカラー画像のC色成分像に対応のC色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。また、第四のカートリッジKでは、ドラム12の面にフルカラー画像のK色成分像に対応のK色トナー像が所定の制御タイミングで形成される。
そして、第一のカートリッジ11Yの1次転写部位T1において、該カートリッジ11Yのドラム12に形成されたY色トナー像が回転駆動されているベルト8上に1次転写されていく。次いで、第二のカートリッジ11Mの1次転写部位T1において、該カートリッジ11Mのドラム12に形成されたM色トナー像が、ベルト8上の上記Y色トナー像に重ねられて1次転写される。更に、同様にして、第三のカートリッジ11Cと第四のカートリッジ11Kの各1次転写部位T1において、ベルト8上にM色トナー像とK色トナー像が順次に1次転写される。すなわち、ベルト8上に、Y色+M色+C色+K色の4色のトナー像が順次に所定に重ね合わされて転写(重畳転写・多重転写)されて、フルカラーの未定着トナー像が合成形成される。なお、ベルト8上に重畳転写する色トナー像の形成順序は上記の色順に限定されるものではない。
各1次転写部位T1において、ドラム12からベルト8へのトナー像の1次転写は、各1次転写ローラ9に対して電源部から所定の1次転写バイアスが印加されて、ドラム12からベルト8へトナー像が静電転写されることでなされる。
また、各カートリッジにおいて、1次転写部位通過後のドラム12の面はドラムクリーニング器15により1次転写残トナーの除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
上記のようにしてベルト8上に合成形成されたフルカラー画像の未定着トナー像は、ベルト8の引き続く回転により搬送されて2次転写部位T2に至る。
一方、所定の制御タイミングにてピックアップローラ18が駆動されて、分離パッド19との協働で、カセット17から記録材Pが一枚分離給紙される。給紙された記録材Pは縦方向の搬送路20により上方に案内されてレジストローラ21に至る。そして、レジストローラ21で、ベルト8上のトナー像とタイミング合わせされた後、2次転写部位T2へと搬送される。記録材Pが2次転写部位T2を挟持搬送されていく過程において、2次転写外ローラ22に対して電源部から所定の2次転写バイアスが印加されて、ベルト8上のフルカラーの未定着トナー像が記録材Pに対して一括して2次転写される。
2次転写部位T2を出た記録材Pは、ベルト8から分離されて搬送ガイド23に案内されて定着ユニット24に導入される。本実施例における定着ユニット24は、ヒートローラ24aと加圧ローラ24bのローラ対を基本構成部材とする熱圧定着装置であり、記録材Pは上記ローラ対の圧接部である定着ニップ部に導入されて挟持搬送されることで、熱と圧力を受ける。これにより、各色トナー像のトナーが溶融混色してフルカラープリント画像として記録材の表面に定着(固着画像化)される。
定着ユニット24を出た記録材Pは、第1排紙ローラ対25、搬送路26、第2排紙ローラ対27の経路を通って、排紙口28から、装置上面の排紙トレイ29に排出される。
また、記録材分離後のベルト8の面は、引き続くベルト8の回転過程でベルトクリーニング器10によって2次転写残トナーの除去を受けてクリーニングされ、次の作像工程に備える。
モノクロプリントモードの場合は、K色のトナー像を形成する第四のカートリッジ11Kだけが作像動作制御される。第一から第三のカートリッジ11Y・11M・11Cはそれぞれドラム12の回転駆動はなされるが、作像動作されない。
本実施例の画像形成装置は、中間転写ベルトユニット4の下方に第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kを配置することで、上方に配置する場合と比較して、K色トナー像の1次転写部位T1と2次転写部位T2との距離を短縮している。これにより、記録材Pをピックアッツプしてから排紙するまでの時間を短縮している。
《カートリッジとカートリッジ保持構成》
装置本体に装着されている第一から第四の各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、画像形成に使用されるにつれて、それぞれ、現像器14に収容されている現像剤(トナー)が消費される。そこで、例えば、個々のカートリッジの現像剤の残量を検知する検知手段(不図示)をカートリッジに設ける。そして、制御回路部Aにおいて、前記検知手段で検知した残量値を、予め設定したカートリッジ寿命予告や寿命警告のための閾値と比較させる。そして、前記残量値が前記閾値よりも少ない残量値まで現像剤が減少したカートリッジについては、表示部30に、そのカートリッジについての寿命予告或いは寿命警告を表示させる。これにより使用者に、交換用のカートリッジの準備を促す、或いはカートリッジの交換を促して、出力画像の品質を維持している。
本実施例の画像形成装置において、カートリッジの交換は、図2のように画像形成装置の前面側に配設した開閉扉2を図3のように開いてフロントアクセスにより交換する方式である。2aは開閉扉2に配設した開閉操作用の取手部である。
第一から第四の各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、何れも同様の構成・形状をとっている。図4の(a)はカートリッジを非駆動側から見た斜視図、(b)は駆動側から見た斜視図である。カートリッジは、ドラム12の回転軸線方向O−Oを長手とするアセンブリであり、カートリッジ枠体31内に、図1・図5のように、ドラム12、一次帯電器としての帯電ローラ13、現像器14、ドラムクリーニング器15が所定の組み込まれている。ドラム12はその長手方向の一端側と他端側をカートリッジ枠体31の一端側(非駆動側)と他端側(駆動側)に配設した軸受け部32と33との間に回転可能に支持させて配設されている。カートリッジ枠体31の駆動側の端面には、ドラム駆動カップリング34と、現像駆動カップリング35と、第1と第2の電気接点部36・37を有する。ドラム駆動カップリング34は、装置本体側からドラム12を回転するための駆動力を受けるドラム駆動力受け部である。現像駆動カップリング35は、装置本体側から現像器14の現像ローラ14a(図5)を回転するための駆動力を受ける現像ローラ駆動力受け部である。第1の電気接点部36は装置本体側から帯電ローラ13へ供給する帯電バイアスを受ける電気接点である。第2の電気接点部37は装置本体側から現像ローラ14aへ供給する現像バイアスを受ける電気接点である。カートリッジ枠体31の底面には、底面短手方向のほぼ中央部に底面長手方向に沿ってレーザ光入射開口部としてのスリット開口38(図5)が形成されている。
第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、それぞれ、装置本体内において、各カートリッジを個々に保持する保持部材(保持フレーム)としての第1から第4のトレイ41Y・41M・41C・41Kの上に載置されている。
そして、各トレイは、それぞれ、次に説明する移動手段であるトレイ昇降機構(駆動手段)50により、カートリッジを装置本体に対して画像形成可能部位(画像形成位置)に位置付けた第1の位置に上昇移動される。また、カートリッジを画像形成可能部位から退避(離間)させて装置本体に対して着脱可能部位(装着位置)に位置付けた第2の位置に下降移動される。即ち、トレイは、カートリッジを装置本体に装着されるときの装着位置から画像形成が行われるときの画像形成位置へ、また逆に画像形成位置から装着位置へ移動させる。
図7は第1から第4のトレイ41Y・41M・41C・41Kとトレイ昇降機構50の斜視図、図8は図7からトレイを省いたトレイ昇降機構50だけの斜視図である。
各トレイ41Y・41M・41C・41Kは、それぞれ、カートリッジの底面形状に略対応した形状・大きさを有する板状部材であり、中間転写ベルトユニット4の下方において、長手方向を前後方向にして並行に水平に配列されている。各トレイ41Y・41M・41C・41Kは、それぞれ、縦方向ガイド部材(不図示)に沿って上下方向に水平を保って並行移動可能に配設されている。
各トレイにおいて、42はトレイ面の短手方向のほぼ中央部にトレイ長手方向に沿って形成したレーザ光入射開口部としてのスリット開口である。トレイ上にカートリッジが所定に載置された状態において、カートリッジ枠体31の底面側のスリット開口38が、図5のように、トレイ側のスリット開口42に対応して位置する。そして、トレイよりも下側のレーザスキャナユニット16から上向きに出射されるレーザ光Lが上記のスリット開口42・38を通ってカートリッジ内に下から上に入射する。
また、各トレイにおいて、43と44はトレイ上面の手前側と奥側とにそれぞれ配設した、カートリッジを弾性的に受け止めて支持する付勢部材(付勢手段)である。この手前側と奥側の付勢部材43・44は、それぞれ、図6のように、トレイに形成した縦穴45内にコイルバネ46と押子47をこの順に嵌入したものである。押子47の上部はトレイの上面から突出させてある。トレイ上に載置されたカートリッジはその底面の手前側と奥側がそれぞれ手前側と奥側の付勢部材43・44のコイルバネ46の弾性力と押子47によりトレイの上面から弾性的に持ち上げられた状態に支持される。
各トレイ41Y・41M・41C・41Kの下側にはそれぞれ軸線方向を前後方向にして第1から第4の4本の回転軸(リンク軸)51Y・51M・51C・51Kが並行に配列されている。各回転軸はそれぞれ装置本体3の骨格を成す本体フレームの手前側フレーム61(図13)と奥側フレーム62との間に軸受け部材(不図示)を介して回転可能に支持されている。また、各回転軸の手前側と奥側にはそれぞれトレイ昇降カム(偏心カム)52と53が固定されて配設されている。各昇降カムは同形・同大であり、手前側の昇降カム52と奥側の昇降カム53は同じ位相で回転軸に固着されている。
そして、各回転軸の手前側の昇降カム52と奥側の昇降カム53の上に、それぞれ、対応するトレイの下面側に下方に突出させて設けた、手前側と奥側のカムフォロワー部47・48(図9)が当接している。したがって、各トレイは、それぞれ、対応する回転軸が回転駆動されることで、昇降カム52・53の大隆起部(大径部)で上昇移動され、小隆起部(小径部)で下降移動される。
なお、本実施例においては、上記の手前側と奥側のカムフォロワー部47・48の内部に、トレイ上面側の、前述した手前側と奥側の付勢部材43・44を配設してある(図9)。
第1から第4の各回転軸51Y・51M・51C・51Kの手前側の端部には、それぞれ、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kが配設されている。これらの電磁クラッチは、それぞれ、通電されることでクラッチ−オンとなり、回転軸と同軸のクラッチギア55を回転軸に対して一体に連結させる。また、通電が断たれるとクラッチ−オフとなり、クラッチギア55の回転軸に対する連結を解除する。これにより、クラッチギア55は回転軸に対して空転可能(回転フリー)になる。
第1の電磁クラッチ54Yのクラッチギア55には、アイドラギア57aを介して、駆動源(1つの駆動源)である駆動モータMの出力ギア56を噛合させてある。第1の電磁クラッチ54Yのクラッチギア55と第2の電磁クラッチ54Mのクラッチギア55はアイドラギア57bを介して噛合させてある。第2の電磁クラッチ54Mのクラッチギア55と第3の電磁クラッチ54Cのクラッチギア55はアイドラギア57cを介して噛合させてある。第3の電磁クラッチ54Cのクラッチギア55と第4の電磁クラッチ54Kの各クラッチギア55はアイドラギア57dを介して噛合させてある。したがって、駆動モータMの出力ギア56の回転力が第1から第4の各電磁クラッチ54Y・54M・54C・54のクラッチギア55に対してアイドラギア57a〜57dを介して伝達される。そして、駆動モータMがオンされている状態において、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kのどれかに通電がなされると、通電によりクラッチ−オンとなった電磁クラッチに対応する回転軸即ち昇降カム52・53が回転する。また、その電磁クラッチに対する通電が断たれると、駆動モータMがオンされても、クラッチギア55が回転フリーになり、この電磁クラッチに対応する回転軸即ち昇降カム52・53が回転を停止する。このようにして、回転軸即ち昇降カム52・53は電磁クラッチを介して駆動モータMから回転力が伝達されて回転制御される。各クラッチギア55は互いに同径・同歯数である。また、アイドラギア57a〜57dは互いに同径・同歯数である。
第1から第4の各トレイ41Y・41M・41C・41Kは、それぞれ、図11のように、昇降カム52・53の大隆起部が上向きとなって回転軸51Y・51M・51C・51Kが停止している状態時の最大上昇移動位置が第1の位置である。この第1の位置に上昇移動したトレイによって、トレイ上に載置されているカートリッジが装置本体に対して画像形成位置に位置付けられた装着状態に保持される。
即ち、カートリッジの非駆動側と駆動側の軸受け部32・33の上側部が、それぞれ、装置本体の骨格を成す本体フレームの手前側と奥側のフレーム61・62(図13)の突き当て部63・64に突き当って受け止められる。位置決め部としての突き当て部63・64は山形の切り欠き凹部であり、被位置決め部としての軸受け部32・33の上側部は円弧面の凸部である。上記の凸部が上記凹部に嵌り込むことで突き当て面の2点で相互接触する。そして、トレイに設けた前記の付勢部材43・44の付勢力F(図6)により軸受け部32・33がそれぞれ突き当て部63・64に弾性的に押し付けられる。これにより、カートリッジがフレーム61・62に対して位置決め固定されて、ドラム12の上面がベルト8に接触した画像形成位置に位置付けられる。また、この装着状態のカートリッジの駆動側においては、ドラム駆動カップリング34(図4)に対して装置本体側の第1駆動出力部(不図示)が機械的に結合される。また、現像駆動カップリング35に対して装置本体側の第2駆動出力部(不図示)が機械的に結合される。また、第1と第2の電気接点部36・37に対して装置本体側の第1と第2の本体電気接点部が電気的に結合される。
中間転写ベルトユニット4は、フレーム61・62に対して位置決めされて配置されている。即ちベルト8は、装置本体のフレーム61・62に対して位置決めされて配置されている。したがって、各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、上記のようにフレーム61・62の突き当て部63・64に対して突き当てられて位置決め固定されることで、ベルト8に対してドラム11が所定に接触した状態位置に位置決め固定される。即ち、各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、それぞれ、画像形成位置に移動したとき上記フレーム61・62の突き当て部63・64に当接して位置決めされた状態になっている。
また、図11の状態時から回転軸51Y・51M・51C・51Kが半回転駆動されて、図12のように、昇降カム52・53の小隆起部が上向きとなって回転軸が停止している状態時の各トレイの最下降移動位置が第2の位置である。この第2の位置に下降移動したトレイによって、トレイ上に載置されているカートリッジが、画像形成位置から退避(離間)させて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態に保持される。即ち、トレイの下降とともにカートリッジが下降して、軸受け部32・33の突き当て部63・64に対する押し付けによる位置決めが解除されるとともに、ドラム12の上面がベルト8から離間した状態の装着位置に位置付けられる。このように、各カートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、装着位置に移動したとき、上記の突き当て部63・64から離間している。
ここで、本実施例の画像形成装置は、小型化のために、第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kを各カートリッジのドラム間の間隔Pdrmを狭くしつつ、隣り合うカートリッジに積み重なるようにオーバーラップさせた配置にしている。即ち、第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kは、その配列の一方側から他方側に順に画像形成位置(図11)から装着位置(図12)に移動する方向に対してオーバーラップしている配置になっている。本実施例においては、第一のカートリッジ11Yの一部は、画像形成装置の鉛直方向において、第二のカートリッジ11Mの一部に対して上方に位置するようにオーバーラップしている。第二のカートリッジ11Mの一部は、画像形成装置の鉛直方向において、第三のカートリッジ11Cの一部に対して上方に位置するようにオーバーラップしている。第三のカートリッジ11Cの一部は、画像形成装置の鉛直方向において、第四のカートリッジ11Kの一部に対して上方に位置するようにオーバーラップしている。
《トレイの昇降移動制御》
本実施例においては、画像形成装置の正面側に設けた開閉扉2が開かれたこと、及び閉じられたことを検知する扉開閉手段としてドアスイッチD−SW(図3・図10)を配設してある。ドアスイッチD−SWは開閉扉2が閉じられるとオンして、制御回路Aに閉信号が入力する。また、ドアスイッチD−SWは開閉扉2が閉じられるとオフして、制御回路Aに開信号が入力する。
そして、制御回路Aは、開信号の入力に基づいて、図11のように、全て第1の位置に保持されている4つのトレイを各トレイ間(各保持部材間)において時間差をつけて順に第1の位置から第2の位置へ移動開始させるようにトレイ昇降機構を制御する。また、制御回路Aは、閉信号の入力に基づいて、図12のように、全て第2の位置に保持されている4つのトレイを各トレイ間(各保持部材間)において時間差をつけて順に第2の位置から第1の位置へ移動開始させるようにトレイ昇降機構を制御する。即ち、制御回路部Aは、第1から第4のトレイ41Y・41M・41C・41Kが上記のように昇降動作するように、トレイ昇降機構50の第1から第4の電磁クラッチY・54M・54C・54Kをそれぞれ異なるタイミングで連係的に連結・解除制御する。つまり、各カートリッジ間で移動(昇降動作)の開始タイミングを異ならせるのである。
以下、これについて詳述する。開閉扉2が閉じられている状態時には、第1から第4のトレイ41Y・41M・41C・41Kの全てが、図11のように、第1の位置に上昇移動されて停止状態に保持されている。即ち、第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kの全てが装置本体に対して画像形成位置に位置付けられた状態に保持されている。また、トレイ昇降機構のモータMはオフ状態に保持されており、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kは全てクラッチ−オフの状態に保持されている。この状態において、画像形成装置は画像形成を実行可能である。
制御回路Aは、上記の状態から開閉扉2が開かれて開信号が入力すると、各カートリッジの駆動側のドラム駆動カップリング34と現像駆動カップリング35に対する装置本体側の第1駆動出力部と第2駆動出力部の結合を解除する動作を実行する。また、制御回路Aは、各カートリッジの駆動側の第1と第2の電気接点部36・37に対する装置本体側の第1と第2の本体電気接点部の結合を解除する動作を実行する。
また、制御回路Aは、トレイ昇降機構のモータMをオンにする。モータMがオンされても、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kが全てクラッチ−オフの状態に保持されている限りは、各電磁クラッチのクラッチギア55は空転するだけである。したがって、第1から第4の各回転軸51Y・51M・51C・51Kは回転駆動されない。
次に、制御回路Aは前記のように順次にオーバーラップさせて配列してある第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kの最も下側のカートリッジである第四のカートリッジ11Kに対応する第4の電磁クラッチ54Kに0.5秒間通電する。ここで、本実施例のトレイ昇降機構は、各電磁クラッチに1秒間通電したとき、即ち、1秒間だけクラッチ−オンしたとき、対応の回転軸即ちカム52・53が1回転(360度回転)する設計構成にしてある。したがって、第4の電磁クラッチ54Kに0.5秒間通電がなされることで、第4の回転軸51Kが半回転(180度回転)して停止する。これにより、第4のトレイ41Kが、図14のように、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第四のカートリッジ11Kが画像形成位置から退避されて装置本体に対して着脱可能な装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。
次に、制御回路Aは、第三のカートリッジ11Cに対応する第3の電磁クラッチ54Cに0.5秒間通電する。したがって、第3の回転軸51Cが半回転して停止する。これにより、第3のトレイ41Cが、図15のように、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第三のカートリッジ11Cが画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。
次に、制御回路Aは、第二のカートリッジ11Mに対応する第2の電磁クラッチ54Mに0.5秒間通電する。したがって、第2の回転軸51Mが半回転して停止する。これにより、第2のトレイ41Mが、図16のように、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第二のカートリッジ11Mが画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。
次に、制御回路Aは、第一のカートリッジ11Yに対応する第1の電磁クラッチ54Yに0.5秒間通電する。したがって、第1の回転軸51Yが半回転して停止する。これにより、第1のトレイ41Yが、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第一のカートリッジ11Yが画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。その後に、モータMはオフにされる。
このように、第4の電磁クラッチ51K→第3の電磁クラッチ51C→第2の電磁クラッチ51M→第1の電磁クラッチ51Yの順番に0.5秒間ずつ通電する。つまり、各カートリッジが下降する移動開始タイミングが、カートリッジ11K→11C→11M→11Yの順番に遅い。これにより、約2秒間で、カートリッジを1つずつ順次に下降移動させて、最終的に、全てのカートリッジを図11の画像形成位置から図12の装着位置への移動させる動作が完了する。
図17は上記のように制御回路部Aが開信号の入力に基いて実行する制御フロー図である。
図12のように、装着位置に位置付けられた状態に保持されている第一から第四のカートリッジは、その非駆動側(手前側)が、開閉扉2が開かれて露呈している手前側フレーム61の開口部61a(図3・図13)から外部に臨んでいる。そこで、交換すべき旧カートリッジをそれを載置しているトレイ上から手前側に引き出して機外に取り出す。このカートリッジの取り出しは、カートリッジの装置本体に対する位置決め(押え込み)が解除されているので、容易に行うことができる。そして、旧カートリッジを取り出した後のトレイ上に新カートリッジを載置する。このカートリッジの載置は、カートリッジの駆動側を先にしてトレイ上に載せ、トレイに設けた前後方向のガイドリブ(側壁)41aに沿わせてトレイ上を滑らせて、装置内の奥側に押し込むことでなされる。カートリッジ押し込みは、その奥側がトレイの奥側ストッパリブ(奥壁)41bに受け止められて、それ以上の押し込みが阻止されるまで十分に行う。
上記のようにして、交換すべきカートリッジの新旧交換した後、開閉扉2を閉じ込む。制御回路Aは、閉信号が入力すると、トレイ昇降機構のモータMをオンにする。モータMがオンされても、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kが全てクラッチ−オフの状態に保持されている限りは、各電磁クラッチのクラッチギア55は空転するだけである。したがって、第1から第4の各回転軸51Y・51M・51C・51Kは回転駆動されない。
次に、制御回路Aは前記のように順次にオーバーラップさせて配列してある第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kの最も上側のカートリッジであるカートリッジ11Yへの第1の電磁クラッチ54Yに0.5秒間の通電を開始する。したがって、第1の回転軸51Yが半回転して停止する。これにより、第1のトレイ41Yが、図18のように、第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第一のカートリッジ11Yが、装置本体に対して装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。
次に、制御回路Aは、第二のカートリッジ11Mに対応する第2の電磁クラッチ54Mに0.5秒間の通電を他のカートリッジよりも早く開始する。したがって、第2の回転軸51Mが半回転して停止する。これにより、第2のトレイ41Mが、図19のように、第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第二のカートリッジ11Mが、装置本体に対して装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。
次に、制御回路Aは、第三のカートリッジ11Cに対応する第3の電磁クラッチ54Cに0.5秒間の通電を開始する。したがって、第3の回転軸51Cが半回転して停止する。これにより、第3のトレイ41Cが、図20のように、第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第三のカートリッジ11Cが、装置本体に対して装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。
次に、制御回路Aは、第四のカートリッジ11Kに対応する第4の電磁クラッチ54Kに0.5秒間の通電を開始する。したがって、第4の回転軸51Kが半回転して停止する。これにより、第4のトレイ41Kが第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第四のカートリッジ11Kが、装置本体に対して装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。その後に、モータMはオフにされる。
このように、第1の電磁クラッチ51Y→第2の電磁クラッチ51M→第3の電磁クラッチ51C→第4の電磁クラッチ51Kの順番に通電開始タイミングをずらして0.5秒間ずつ通電する。つまり、各カートリッジが上昇する移動開始タイミングが、カートリッジ11Y→11M→11C→11Kの順番に速い。これにより、約2秒間で、カートリッジを1つずつ順次に上昇移動させて、最終的に、全てのカートリッジを図12の装着位置から図11の画像形成位置へ移動させる動作が完了する。
次に、制御回路Aは、各カートリッジの駆動側のドラム駆動カップリング34と現像駆動カップリング35に対する装置本体側の第1駆動出力部と第2駆動出力部を結合させる動作を実行する。また、制御回路Aは、各カートリッジの駆動側の第1と第2の電気接点部36・37に対する装置本体側の第1と第2の本体電気接点部を結合させる動作を実行する。これにより、画像形成装置は画像形成実行可能な状態になっている。
図21は上記のように制御回路部Aが閉信号の入力に基いて実行する制御フロー図である。
ここで、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kは、クラッチの連結時間に数ミリ秒の微小な連結誤差があるため累積で、第1から第4の回転軸51Y・51M・51C・51K間で昇降カムの位相がずれてしまう可能性がある。また装置に衝撃を受ける事で第1から第4の回転軸51Y・51M・51C・51K間で昇降カムの位相がずれてしまう可能性もある。そこで、第1から第4の回転軸51Y・51M・51C・51K又は昇降カムにフラグ(不図示)を設けてセンサ(不図示)によりフラグ位置を検知することで、第1から第4の回転軸51Y・51M・51C・51K間での昇降カムの位相がずれを防止しても良い。また、第1から第4の電磁クラッチ54Y・54M・54C・54Kに間欠半回転クラッチを用いることもできる。
画像形成装置を小型化と中間転写ベルト8へのトナー像形成に必要な時間の短縮(高い生産性)を両立するには、各カートリッジのドラム間の間隔Pdrmをなるべく短くする事が望ましい。しかし、カートリッジは1次転写部位を挟んで、ドラム回転方向の上流側に現像手段・帯電手段、下流側にクリーニング手段を配置する必要があるので、ドラムに対してカートリッジの左右に所定の配置空間が必要になる。左右の配置空間を確保しつつ、間隔Pdrmを短くするために、本実施例に於いては、前述のように、隣り合うプロセスカートリッジが積み重なるようにオーバーラップさせて配置している。
そのため、オーバーラップ配列のカートリッジのトレイを第2の位置から第1の位置に移動させる場合にはオーバーラップの上側のカートリッジ11Yを保持するトレイ41Yから時間差をつけてトレイ41Y→41M→41C→41Kの順に移動させている。即ち、移動開始タイミングを異ならせている。逆に、オーバーラップ配列のカートリッジのトレイを第1の位置から第2の位置に移動させる場合にはオーバーラップの下側のカートリッジ11Kを保持するトレイ41Kから移動開始の時間差をつけてトレイ41K→41C→41M→41Yの順に移動させている。即ち、トレイ41Yは逆に遅く移動開始する。
また、各カートリッジの装着位置から画像形成位置に移動させる際に、カートリッジ11Y→11M→11C→11Kの順序で行うと、初めに第一のカートリッジ11Yのドラム12とベルト8とが接触する。そして、ベルト8はドラム12と第1の1次転写ローラ9で挟持される。続いて、ベルト8に所定のテンションをかけた状態で第二のカートリッジ11Mのドラム12が接触する。そして、ベルト8はドラム12と第2の1次転写ローラ9で挟持される。そのため、隣り合うドラム間のベルト8の状態が安定し、ベルト8の弛みが抑えられる。これにより、ベルト8のシワや、ベルト8の弛みが解消される際にドラムと擦れる事を防止する効果がある。第二と第三のカートリッジ11Mと11Cのドラム間、第三と第四のカートリッジ11Cと11Kのドラム間においても同様の効果を発揮する。
本発明の第一の実施例では、カートリッジがオーバーラップしているため、カートリッジの移動はカートリッジ11Y→11M→11C→11Kの順序で行っている。しかし、オーバーラップしていない構成であれば、11M→11C→11K→11Yや11C→11M→11Y→11Kや11C→11K→11M→11Y等の順序でも構わない。
4つのカートリッジを一度に昇降させる場合と比べて大幅に駆動力を軽減できる。
図22は、第一から第四のカートリッジ11Y・11M・11C・11Kを、装置本体に対する装着位置から画像形成位置に移動させて位置決め固定するために必要な駆動モータMのトルクを時間差の有無で比較したものである。4つのカートリッジを一度に移動させる場合と比べて、最大トルクがΔT1(N・m)だけ軽減できている事が分かる。
本実施例にて採用した突き当てによるカートリッジの位置決めは、穴による嵌合での位置決めと比較して、カートリッジ11Y・11M・11C・11Kをフレーム61・62に対してガタの少ない高精度な位置決めが可能となる。カートリッジ11Y・11M・11C・11Kの相対的な位置ズレは1次転写される画像のズレに直結するためカラー画質に多大な影響を与える。そのため、突き当てによるガタの少ない位置決めはカラー画質の向上に大変有効な手段と言える。
また、突き当て面の2点と付勢部材43・44の付勢力Fによる位置決めであるため、付勢部材43・44を設けたトレイを退避させることでカートリッジを位置決め部から離間させる事ができる。本実施例のように、付勢部材43・44をカートリッジの下に配置することで、カートリッジを交換する際の装置本体の開口部を広く確保する事ができ、挿抜時に障害物のないユーザビリティに優れた配置が可能となる。
本実施例は、カートリッジ11Y・11M・11C・11Kをベルト8の下方に配置し、カートリッジを上へ移動してフレーム61・62に突き当てて位置決めする構成について説明した。本発明は、この構成に限られるものではなく、フレームの所定位置にカートリッジを移動させて突き当てる構成であれば広く応用が可能である。例えば、プカートリッジをベルト8の上方に配置してカートリッジを下へ移動しフレームに突き当てる構成でも良い。
本実施例は、隣り合うカートリッジが重なり合うオーバーラップ配置である構成で説明を行ったが、カートリッジが重なり合わない配置である場合も、フレーム61・62に突き当てる順番をどちらか一方から順にする事で適用可能である。また、カートリッジが重なり合わない配置である場合は、各カートリッジの上昇移動又は下降移動の順番は任意に設定できる。
本実施例は、トレイ昇降機構(駆動機構)の他の例を示すものである。図23は、本実施例におけるトレイ昇降機構70の要部の斜視図である。71と72は長手方向を左右方向にして手前側と奥側に並行に水平に配置した、往復移動される往復動作部材としての一対のスライドレールである。このスライドレール71・72は、それぞれ、ガイド部材(不図示)に保持されて左右方向にスライド移動可能である。各スライドレール71・72の右端部側には、それぞれ、ラックギア部73・73を具備させてある。そして、その各ラックギア部73・73に、それぞれ、駆動モータMの出力軸に固着させたレール駆動ギア74・74を噛合させてある。したがって、駆動モータMが正転駆動されると、手前側と奥側のスライドレール71・72が一緒に左方(一方向)に移動する。本実施例においては、この左方へのレールの移動を往動移動とする。また、駆動モータMが逆転駆動されると、手前側と奥側のスライドレール71・72が一緒に右方(逆方向)に移動する。本実施例においては、この右方へのレールの移動を復動移動とする。
手前側と奥側のスライドレール71・72の上面には、それぞれ、長手に沿って、鏡面対称に、第1から第4のトレイ41Y・41M・41C・41Kに対応する第1から第4のカム形状部75Y・75M・75C・75Kが設けられている。各カム形状部は、それぞれ、トレイを前記の第1の位置に保持する第1の保持面aと、前記の第2の位置に保持する第2の保持面cと、第1の保持面aと第2の保持面cを繋いだ斜面bとを有する。即ち、各カム形状部はトレイを昇降動させる昇降部である。
また、第1から第4のトレイ41Y・41M・41C・41Kの下面側には、手前側と奥側に、それぞれ、回転自在のコロ76(図24)が配設されている。この手前側と奥側のコロ76は、それぞれ、手前側と奥側のスライドレール71・72の上に乗っている。
コロ76は、スライドレール71・72の往動移動過程では、カム形状部の第2の保持面cから斜面bを上って第1の保持面aに移行する。したがって、トレイは第2の位置から第1の位置に移動する。また、コロ76は、スライドレール71・72の復動移動過程では、カム形状部の第1の保持面aから斜面bを下って第2の保持面cに移行する。したがって、トレイは第1の位置から第2の位置に移動する。
この場合、レールの往動移動過程では、各トレイが時間差をつけて順に第2の位置から第1の位置に移動するように、復動移動過程では、各トレイが時間差をつけて順に第1の位置から第2の位置へ移動するように、各カム形状部が構成されている。
以下、これについて詳述する。開閉扉2が閉じられている状態時には、スライドレール71・72は往動移動終点位置で停止していて、トレイ41Y・41M・41C・41Kの全てが、図24のように、第1の位置に上昇移動されて停止状態に保持されている。即ち、全てのトレイのコロ76が対応するカム形状部の第1の保持面aの上にあり、全てのカートリッジ11Y・11M・11C・11Kが装置本体に対して画像形成位置に位置付けられた装着状態に保持されている。
また、開閉扉2が開かれている状態時には、スライドレール71・72は復動移動終点位置で停止していて、トレイ41Y・41M・41C・41Kの全てが、図25のように、第2の位置に下降移動されて停止状態に保持されている。即ち、全てのトレイのコロ76が対応するカム形状部の第2の保持面cの上にあり、全てのカートリッジ11Y・11M・11C・11Kが装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態に保持されている。
制御回路部Aは、図24の状態から開閉扉2が開かれて開信号が入力すると、各カートリッジの駆動側のドラム駆動カップリング34と現像駆動カップリング35に対する装置本体側の第1駆動出力部と第2駆動出力部の結合を解除する動作を実行する。また、制御回路Aは、各カートリッジの駆動側の第1と第2の電気接点部36・37に対する装置本体側の第1と第2の本体電気接点部の結合を解除する動作を実行する。
次に、制御回路部Aは、モータMを所定の回転角度だけ所定の回転速度で逆転駆動する。これにより、スライドレール71・72が往動移動終点位置から所定のストローク分だけ復動移動して所定の復動移動終点位置に停止する。
上記のスライドレール71・72の復動移動過程において、最初に、第4のトレイ41Kのコロ76が対応するカム形状部75Kの第1の保持面aから斜面bを下って第2の保持面cに移行する。これにより、第4のトレイ41Kが、図26のように、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第四のカートリッジ11Kが、画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。次に、第3のトレイ41Cのコロ76が対応するカム形状部75Cの第1の保持面aから斜面bを下って第2の保持面cに移行する。これにより、第3のトレイ41Cが、図27のように、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第三のカートリッジ11Cが、画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。次に、第2のトレイ41Mのコロ76が対応するカム形状部75Mの第1の保持面aから斜面bを下って第2の保持面cに移行する。これにより、第2のトレイ41Mが、図28のように、第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第二のカートリッジ11Mが、画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。そして、最後に、第1のトレイ41Yのコロ76が対応するカム形状部75Yの第1の保持面aから斜面bを下って第2の保持面cに移行する。これにより、第1のトレイ41Yが第1の位置から第2の位置に移動される。即ち、第一のカートリッジ11Yが、画像形成位置から退避されて装置本体に対して装着位置に位置付けられた状態にされて保持される。
このようにして、スライドレール71・72の復動移動過程において、カートリッジを1つずつ移動開始タイミングを異ならせて順次に下降移動させている。そして、最終的に、全てのカートリッジを図24の画像形成位置から図25の装着位置に移動させる動作が完了する。
また、制御回路部Aは、図25の状態から開閉扉2が閉じられて閉信号が入力すると、モータMを所定の回転角度だけ所定の回転速度で正転駆動する。これにより、スライドレール71・72が復動移動終点位置から所定のストローク分だけ往動移動して所定の往動移動終点位置に停止する。
上記のスライドレール71・72の往動移動過程において、最初に、第1のトレイ41Yのコロ76が対応するカム形状部75Yの第2の保持面cから斜面bを上って第1の保持面aに移行する。これにより、第1のトレイ41Yが、図29のように、第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第一のカートリッジ11Yが、装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。次に、第2のトレイ41Mのコロ76が対応するカム形状部75Mの第2の保持面cから斜面bを上って第1の保持面aに移行する。これにより、第2のトレイ41Mが、図30のように、第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第二のカートリッジ11Mが、装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。次に、第3のトレイ41Cのコロ76が対応するカム形状部75Cの第2の保持面cから斜面bを上って第1の保持面aに移行する。これにより、第3のトレイ41Cが、図31のように、第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第三のカートリッジ11Cが、装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。そして、最後に、第4のトレイ41Kのコロ76が対応するカム形状部75Kの第2の保持面cから斜面bを上って第1の保持面aに移行する。これにより、第4のトレイ41Kが第2の位置から第1の位置に移動される。即ち、第四のカートリッジ11Kが、装着位置から画像形成位置に位置付けられた状態にされて保持される。
このようにして、スライドレール71・72の往動移動過程において、カートリッジが1つずつ移動開始タイミングを異ならせて順次に上昇移動させている。そして、最終的に、全てのカートリッジを図25の装着位置から図24の画像形成可能部に移動させる動作が完了する。
この動作の完了後に、制御回路部Aは、各カートリッジの駆動側のドラム駆動カップリング34と現像駆動カップリング35に対する装置本体側の第1駆動出力部と第2駆動出力部を結合させる動作を実行する。また、制御回路Aは、各カートリッジの駆動側の第1と第2の電気接点部36・37に対する装置本体側の第1と第2の本体電気接点部を結合させる動作を実行する。これにより、画像形成装置は画像形成実行可能な状態になっている。
コロ76はスライドレール71・72が往動動作する際に回転して摩擦負荷を軽減している。
各トレイに対応させてスライドレール71・72に具備させた第1から第4のカム形状部(昇降部)75Y・75M・75C・75Kは、互いに、斜面bの開始タイミングと終了タイミングが所定に異なるように設計されている。また、第1の保持面aの長さ、第2の保持面cの長さが、互いに、所定に異なるように設計されている。これにより、スライドレール71・72の復動移動過程で、4つのトレイを11K→11C→11M→11Yの順に時間差をつけて第1の位置から第2の位置に移動させることができる。また、スライドレール71・72の往動移動過程で、4つのトレイを11Y→11M→11C→11Kの順に時間差をつけて第2の位置から第1の位置に移動させることができる。
図32は、スライドレール71・72の往動移動過程で上記4つのカートリッジを順次に装置本体に対する装着位置から画像形成位置に移動させて位置決め固定するために必要なレール駆動ギア74の駆動トルクを時間差の有無で比較したものである。4つのカートリッジを一度に移動させる場合と比べて、最大トルクがΔT2(N・m)だけ軽減できている事が分かる。
本実施例は、スライドレール71・72を用いて、開始時間差をつけたトレイの順次昇降を行う。このトレイ昇降機構は、実施例1のトレイ昇降機構と比較して、電磁クラッチを廃止し、制御をレール駆動ギア74の正逆回動制御のみのシンプルな構成にして、更なる低コストを達成している。ただし、省スペースで十分な時間差を設けることができないため、実施例1と比較してトルクの軽減率は低くなっている。
レール駆動ギア74は駆動モータMにより回動を制御しているが、これはモータを用いた正逆転制御や、クランクによる制御などレール駆動ギア74を正逆回動する機構であれば特に限定しない。レバーを用いて手動によりレール駆動ギア74を正逆回動する機構でも構わない。手動にて行う場にはトルクの軽減はユーザの操作力軽減になるためユーザ操作性の向上にも寄与する。
上記の実施例では、画像形成ユニットは画像形成装置の鉛直方向において一部がオーバーラップする構成であったが、オーバーラップしない構成であっても同様の効果を得ることができる。
画像形成装置の画像形成プロセスは、電子写真プロセスに限られない。像担持体として誘電体を用いる静電記録プロセスや、像担持体として磁性体を用いる磁気記録プロセスなどであってもよい。
また、画像形成ユニットとしてのカートリッジの数は実施例の4つに限られるものではない。本発明は、少なくとも第一と第二の2つ以上複数個のカートリッジを装着して使用する画像形成装置に対して適用して効果を得ることができる。
4・・中間転写ベルトユニット(ベルト状の転写手段)、11(Y・M・C・K)・・プロセスカートリッジ、12・・電子写真感光体ドラム(像担持体)、13〜15・・画像形成プロセス手段、41(Y・M・C・K)・・プロセスカートリッジトレイ(保持部材)、50・70・・駆動機構、52・53・・昇降カム、54(Y・M・C・K)・・電磁クラッチ、71・72・・スライドレール(往復動作部材)、75(Y・M・C・K)・・カム形状部、a・・第1の保持面、b・・斜面、c・・第2の保持面、61・62・・本体フレーム、63・64・・カートリッジ突き当て部