JPWO2018151334A1 - キサンチンオキシダーゼ阻害剤及びその製造方法 - Google Patents

キサンチンオキシダーゼ阻害剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

安全で効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤及びその製造方法を提供する。新規なキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、カモミール(Matricaria recutita)の地上部から抽出することで得られる。花部がハーブとして利用され、安全であることが知られている身近な植物のカモミールを用いて、安全で効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤を得ることができる。キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法は、カモミールの地上部を水もしくは親水性有機溶媒又はその混合溶媒で抽出し、抽出された抽出物から水層を分離する。そして、分離させた水層に対して、水と親水性有機溶剤の混合溶媒で溶出する。溶出画分の主成分を濃縮し結晶化することにより製造できる。

Description

本発明は、新規なキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関し、安全であることが良く知られた身近な植物からその有効成分を効率的に抽出を行うことが可能であり、効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤とその製造方法に関し、さらにそれを利用した、医薬品、食品などへの利用方法に関する。
生体内において核酸塩基であるプリン体の代謝は、キサンチンオキシダーゼ(キサンチンオキシダーゼとキサンチンデヒドロゲナーゼは互いに可逆的に構造変換する酵素であり、両者を総称してキサンチンオキシドレダクダーゼと称されるが、以下では従来の慣習に従い、キサンチンオキシダーゼとして該酵素の尿酸代謝における酸化機能を表すものとする)の働きによって最終的に尿酸へと酸化されることが知られている。尿酸自体は、血液中に存在する場合には酸化防止剤として機能し、活性酸素の除去に有効に作用するが、これが細胞内に取り込まれた場合には、逆に細胞内で活性酸素を発生し、炎症反応を惹起するようになることが知られている。従って、生体内における尿酸濃度は好ましい範囲に維持される必要がある。
しかしながら、代謝経路の異常や、腎臓からの尿酸の排泄に異常を来たすこと等により血中尿酸値が持続的に7mg/dLを越えるようになると高尿酸血症として診断され、様々な病態の発現に結び付く原因となる。尿酸の溶解性はpHに大きく依存し、例えば、弱酸性状態では溶解性が低下し、痛風の発症過程においては、関節液中において尿酸塩結晶が析出し、これがマクロファージなどに貪食され自然免疫機構を惹起することが知られている。
マクロファージ内では、NLRP3インフラマソームが活性化されることで、IL−1βなどの炎症性サイトカインを産生し、これが周辺の滑膜細胞などを刺激することでケモカインを産生し、これに遊走した好中球が関節組織を損傷することで痛風の病態を発現することが知られている。
さらに、尿酸の過剰な産生と排出の低下は腎不全の要因と密接に相関し、更には心不全と高尿酸血症との間にも相関が認められている。血中の高尿酸値は様々な症状を伴うメタボリックシンドロームの発症と密接に結びついていることが明らかとなり、血中尿酸値の適度な範囲での維持は健康を維持する上で極めて重要であることが指摘されている。
血中尿酸値を制御するのはキサンチンオキシダーゼによる尿酸の産生と、URAT1などの輸送体を経由した尿酸の再取り込みの両方で、健康体においては好ましい濃度範囲に制御されている。従って、高尿酸血症に対しては、尿酸の産生を抑制するキサンチンオキシダーゼ阻害剤の使用と、URAT1阻害剤による尿酸の排出促進の両方の手段が基本的には利用可能である。現状では、アロプリノールやフェブキソスタット等のキサンチンオキシダーゼ阻害剤が主として高尿酸血症の治療に用いられ、URAT1阻害剤としてはベンズブロマロンなどが知られているが、後者では尿酸産生が亢進している場合には尿酸結石が生じる恐れがあり、使用には注意が必要とされる。
キサンチンオキシダーゼは体内において肝臓、小腸において顕著に発現しているが、これら以外に脂肪組織、血管などにおいても高発現していることが知られている。尿酸には活性酸素を失活させる抗酸化作用があり、これにより体内の様々な箇所で発生する活性酸素による細胞、組織の障害を防止する機能を有するが、キサンチンオキシダーゼの活性が亢進すると、例えば血管平滑筋を弛緩させる一酸化窒素の作用を減弱し、高血圧症の誘因となるなど、キサンチンオキシダーゼの作用を適度に阻害することで体内の様々な機能を正常に維持することが可能となる。
キサンチンオキシダーゼの活性を阻害し、血中尿酸値を正常値に保つ作用を有する様々なキサンチンオキシダーゼ阻害剤が知られ、特に高尿酸血症の治療を目的とする医薬品としては、アロプリノールが第一選択薬として市場を席巻しているが、これがキサンチンオキシダーゼ以外の核酸代謝に係る酵素の働きを阻害することから様々な副作用の発現が問題となり、また腎機能への負荷が問題になるケースが多いことが問題である。別の骨格を有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤としてフェブキソスタットが挙げられ、腎機能への負担が軽減されることで広範囲な適用が期待されるが、一方で肝機能障害を引き起こす懸念も挙げられ、効果と安全性を両立出来る、より安心して用いることのできるキサンチンオキシダーゼ阻害剤が求められている。
上述するようにキサンチンオキシダーゼは、体内でヒポキサンチンをキサンチンに酸化し、さらにキサンチンを尿酸に酸化する過程において活性酸素種を発生するため、キサンチンオキシダーゼ活性が亢進すると、体内で尿酸濃度が増大するのみならず、発生する活性酸素の影響で様々な障害を来たす要因ともなる。そのため活性酸素を失活させる目的でカテキン類などのポリフェノールをはじめとする様々な抗酸化作用物質が、サプリメントなど健康補助食品分野等で好んで用いられる。しかしながら、それらの効果としては、バイオアベイラビリティの低さと薬理作用を示すための有効濃度まで体内循環系に導入することが困難であるなどの問題が指摘されている。
これについて、体内で活性酸素の産生に大きく関わっているキサンチンオキシダーゼの活性を阻害することで活性酸素の発生を低減できることから、キサンチンオキシダーゼ阻害剤の利用は、尿酸値の低下のみならず、様々な臓器障害の原因ともなる活性酸素の発生を低減させる効果も併せ持つことから、メタボリックシンドロームの発症を予防する上でも大変その効果が期待されている。
古くよりハーブ類や様々な薬用植物のなかに好ましい薬理活性を示す成分が含有されることが知られており、キサンチンオキシダーゼ阻害作用を有し、痛風を予防する上で有用であるとされる多種多様な植物資源が報告されている(例えば、非特許文献1,2を参照。)。非特許文献1には、甘草に含まれるフェノール成分にキサンチンオキシダーゼ阻害活性が認められることが報告されている。また、非特許文献2には、ローズマリー、クローブ、セージの3種類にキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示すフェノール性成分が含まれることが報告されている。
しかしながら、いずれの場合も植物中に含まれる阻害成分の割合が小さく、多量の原料を用いて有効成分を抽出し濃縮しない限り阻害活性は不十分であり、実用上これを利用することは極めて困難であった。
キサンチンオキシダーゼ阻害剤として医薬品としての利用以外に、日常のサプリメント或いは健康食品、健康飲料などの利用により、日頃からの高尿酸血症の予防並びにこれに関連するメタボリックシンドロームに対する予防効果を発揮することが期待される。こうした目的で利用するためには、キサンチンオキシダーゼ阻害剤としての効果以外に、日常的摂取に伴う体内への蓄積性や代謝への影響、肝機能、腎機能などへの負担が少ないこと、副作用のないこと、薬物相互作用を示さないこと等の様々な安全性に関する懸念の無い材料が求められている。ハーブ類や様々な薬用植物には有効成分以外に様々な生理活性成分が含まれているため、これらの影響も含めて安全性の高い成分を、効率的かつ高純度に抽出できることが重要であり、さらに他の成分が混入しても、生体に対する安全性に問題のない成分であることが好ましい。
特許文献1には、セイヨウナツユキソウ、シナモン、セドロン、ブドウなどの植物またはプロポリスを含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤が開示されている。特許文献2には、ドコウジュ、セキコウジュ、レモンバーム、ローズマリー、スペアミント、ペパーミントなどから抽出されるキサンチンオキシダーゼ阻害剤が開示されている。特許文献3には、カホクザンショウ、コウリャン、クミン及びバラからの抽出物であるキサンチンオキシダーゼ阻害剤が開示され、特許文献4にはさらにピメンタ、マジョラム、グアバなどから抽出されるキサンチンオキシダーゼ阻害剤が示されている。これら様々な植物から目的とするキサンチンオキシダーゼ阻害剤として作用する有効成分を抽出する方法としては、熱水或いはアルコール類等の有機溶剤を含む水溶液を用いて常温付近の温度で抽出が行われる。その際、抽出の過程で目的物若しくは同伴して含まれる他の成分が酸化されることで変性し、キサンチンオキシダーゼ阻害活性が損なわれ、或いは好ましくない副作用を示す化合物に変性する問題があった。従って、阻害活性に影響を与えず、変性を伴わない簡便な条件で容易に抽出が可能である製造方法と、これにより得られる、効果と安全性の両方を満足するキサンチンオキシダーゼ阻害剤とその製造方法が求められている。
上述するように、従来から知られている多種多様な植物資源から抽出し製造される様々なキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、実際には多種類の化合物の混合物として得られるものであり、個々の成分について有効性と安全性などの知見が得られていない場合が多いことが挙げられる。
例えば、特許文献5には、黒ウコンから抽出されるキサンチンオキシダーゼ阻害剤として作用する様々な有効成分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果を示しているが、多数の成分から成る混合物であり、これらの各成分について有効性と副作用、安全性の全てについて検証を行うことは容易ではなく、実際に利用するには問題があった。
植物資源からキサンチンオキシダーゼ阻害剤として作用する有効成分を単離して、その効果を示した例も挙げられる。例えば、特許文献6にはケルセチン配糖体が、特許文献7にはイソケルセチン配糖体が、それぞれキサンチンオキシダーゼ阻害剤としてアロプリノールに匹敵する高い活性を有することが示されている。こうしたケルセチン配糖体は野菜や果物などに豊富に含まれるフラボノイドの一種であり、日本人のケルセチン平均摂取量として、性別年齢を問わず一日当たり10〜35mg程度であるとの報告がある。従って、既に日常的にこの程度のケルセチン配糖体を摂取していることから、改めて同じ化合物を同程度の量を摂取してもその効果が発揮できるとは期待されない。さらに、ケルセチンはマウスに対して160mgで致死的に作用する報告があることから、過剰摂取は危険である。また、ある種の抗生物質と相互作用し、その作用を減弱させることからも使用方法に注意が必要である。
従って、キサンチンオキシダーゼ阻害剤としては、医薬品としての利用方法に加えて、日常的に摂取可能な健康食品や健康飲料、サプリメントなどを通してその効果を享受できる利用方法が好ましい。そのためには、安全であることが良く知られた身近な植物から安価で簡便に抽出が可能なキサンチンオキシダーゼ阻害剤が好ましい。
以上のような従来技術とそれらの問題点から、現状では、安全であることが良く知られた身近な植物から、効率的にその有効成分を抽出することが可能であり、効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤とその製造方法が求められており、さらにそれを利用した、医薬品、食品などへの利用方法が求められている。
特開2002−121145号公報 特開2003−252776号公報 特開2010−37334号公報 特開2010−37335号公報 特開2011−236133号公報 特開2002−145875号公報 特開2003−171283号公報
波多野力ら、「薬学雑誌」111(6)、311-321(1991) 増田勝巳ら、「仁愛女子短期大学研究紀要」、第41号、29-35(2008)
本発明は、安全で効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、例えば、カモミール(Matricaria recutita)の地上部から抽出することで製造される。花部及びこれを含む地上部全草がハーブとして利用され、安全であることが知られている身近な植物のカモミールを用いて、安全で効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤を得ることができる。従来、カモミールの花部はハーブとして広く利用されているが、茎部及び葉部は殆ど利用されていないのが現状である。本発明者らは、花部以外にも、茎部及び葉部において、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として有効に作用する有効成分が高濃度に含まれていることの知見を得、さらにこれからの該有効成分の抽出を効率的に行う製造方法を見出したのである。
カモミールの系統の中では、好適に、ジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla L.)から、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として有効に作用する有効成分を効率良く抽出できる。また、ジャーマンカモミール由来のキサンチンオキシダーゼ阻害剤に、ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)の地上部から抽出されるキサンチンオキシダーゼ阻害活性を有する有効成分が含まれることでもよい。ジャーマンカモミール由来の有効成分と、ローマンカモミール由来の有効成分は、薬効が共通し併せてキサンチンオキシダーゼ阻害剤として利用できる。
ここで、カモミールの花部を除く茎部及び葉部から抽出されることが好ましい。従来、カモミールの花部はハーブとして広く利用されている一方で、カモミールの茎部及び葉部は殆ど利用されていないが、カモミールの茎部及び葉部には、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として有効に作用する化合物が高濃度に含まれているのである。
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、下記化学式(1)で表される(E)−2−β−D−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸((E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-3-methoxycinnamic acid)を有効成分として含有する。ここで、化学式(1)の化合物は、人工的に合成してもよいが、安全性が確保できることから、上記のカモミール(Matricaria recutita)の地上部の抽出物由来であることが好ましい。
上記化学式(1)の有効成分は、桂皮酸の骨格の二重結合に結合するカルボキシル基とフェニル基の相対的配置に関して、両者がトランス位にあるE体を表し、両者がシス位にあるZ体とは区別される。本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての効果は、E体において顕著に発揮され、これに対してZ体では、その効果の程度はE体に比べてはるかに劣る。本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、化学式(1)で表されるE体が少なくとも含まれている場合であり、更にE体と共にZ体が併せて含まれている場合であっても良い。
本発明の医薬品及び食品は、上記の本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む。
次に、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法について説明する。
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法は、カモミール(Matricaria recutita)の地上部から抽出するステップを備えることを特徴とする。
具体的には、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法は、下記1)〜3)のステップを備える。
1)カモミール(Matricaria recutita)の地上部を水もしくは親水性有機溶媒又はその混合溶媒で抽出するステップ。
2)抽出された抽出物から水層を分離し、水と親水性有機溶媒の混合溶媒で溶出するステップ。
3)溶出画分を濃縮し結晶化するステップ。
上記1)の抽出するステップは、カモミールに含まれる精油成分を取り除いた後に、カモミールの地上部から抽出することが好ましく、また、カモミールとしてジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla L.)を用いることが好ましい。ジャーマンカモミール由来のキサンチンオキシダーゼ阻害剤に、ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)の地上部を水と親水性有機溶媒の混合溶媒で抽出した有効成分を混合してもよい。
親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコールが好ましく、特に、メタノールまたはエタノール、及びこれらを含む水との混合溶媒がさらに好ましい。
また、上記2)の分離させた水層に対しては、ゲル分離操作し、水による溶出後に、水−アルコール−有機溶剤の混合溶媒で溶出する。また、得られた溶出物をゲル濾過用担体で分離精製してもよい。
また、上記の抽出は、10〜40℃の緩和な条件で行う。10℃未満の温度で抽出を行った場合、成分抽出に極めて長時間を要し、十分な収率で得られないからであり、一方、40℃を超える温度で抽出を行った場合、抽出物が熱により変性しキサンチンオキシダーゼ阻害活性が失われるからである。
また、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法では、上記化学式(1)で表される(E)−2−β−D−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸((E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-3-methoxycinnamic acid)を有効成分として含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤が得られる。
本発明によれば、安全であることが良く知られた身近なカモミールの地上部を抽出することで、安全で効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤が得られ、それを利用した医薬品や食品などへの利用ができるといった効果がある。
カモミールの地上部から目的成分を抽出するフロースキーム キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造フローチャート 化学式(1)で示される化合物のナトリウム塩のpositive ionモード質量分析チャート 化学式(1)で示される化合物のnegative ionモード質量分析チャート 化学式(1)で示される化合物の1H−NMRチャート 化学式(1)で示される化合物の13C−NMRチャート 化学式(1)で示される化合物のFT−IRチャート 抽出成分CPPGの1H-NMRスペクトルチャート CPPGを経口投与する前のマウスから採血した試料のHPLC分析チャート CPPGを経口投与後のマウスから採血した試料のHPLC分析チャート 経口投与後に血中に移行したCAの血中濃度の時間変化を示すグラフ
本発明は、身近な植物であるカモミール(Matricaria recutita)について、通常ハーブとして利用される花部以外にも、これまで殆ど利用されることのなかった地上部である茎部及び葉部に、新たにキサンチンオキシダーゼ阻害剤として有効に作用する化合物が高濃度に含まれていることを見出したものである。本発明で用いることのできるカモミールとしては、所謂、ジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla L.;和名カミツレ)であるが、これとは系統の異なるローマンカモミール(Chamaemelum nobile)についても同様な成分が地上部に含まれることが知られており、その薬効は共通していることからジャーマンカモミールと併せて用いることも出来る。
カモミールは、南欧及び東欧が原産のキク科に属する1年生草本である。その分布は世界中に広がり、ヨーロッパ各国をはじめ、アジア、北アフリカ、南米、北米及びオーストラリア、ニュージーランドに広く分布している。生産地としてはハンガリーが主要生産地であり、花部がドイツに輸出され、そこで精油などの成分が抽出され流通している。生育に最適な温度としては10〜20℃前後が好ましく、またこれより低い温度でも生育が可能であることが知られている。生育のための土壌としては比較的栄養分の少ない土壌でも生育が可能であり、さらにアルカリ性土壌でも良好な生育が可能であるため、それらの栽培は比較的容易である。カモミールは古くからその地上部の花部について様々な薬理効果を示す化合物が含まれることが知られている。代表的な成分として、(1)精油成分、(2)フェノール性成分、及び(3)クマリン類が挙げられる。
(1)の精油成分として、α-ビサボノール(bisabolol)、cis-スピロエーテル、カマズレン(chamazulene)等のアズレン類やそれらの酸化物等及び多種多様な揮発性成分が挙げられ、エッセンシャルオイルとしての利用が代表的である。その香りは、精神抑制、鎮静作用を示すことが知られ、アロマセラピーや化粧品に利用されており、さらには消炎剤、殺菌剤、消毒剤としての利用や、消化器系統の疾患や炎症、或いは各種アレルギー症状に対する消炎作用を目的に利用されている。カモミールの花部の乾燥品をお湯に浸して上記精油成分を抽出したカモミール茶や、水蒸気蒸留などの方法で上記精油成分を濃縮したオイル成分は鎮静作用とともに抗炎症作用を有することから、例えば痛風などに由来する痛みの症状を緩和させる効果が利用されてきた。こうした精油成分は主に花部に含まれ、地上部全草もしくは花部のみから水蒸気蒸留等の方法を利用して製造されている。本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤をカモミールから抽出して得る場合に、こうした精油成分が含まれている場合に抽出物中からキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての有効成分である上述の化学式(1)の化合物を得る際に、これの抽出物からの分離が困難となり収率が低下する場合があるため、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤には上記精油成分は含まれていない場合が好ましい。
(2)フェノール性成分としては、アピゲニン(apigenin)、ケルセチン、パツレチン(patuletin)、ルテオリン(luteolin)及びそれらの配糖体が挙げられ、これらの薬理作用として、鼓腸、不安障害、不眠などの緩和作用が挙げられる。これらのフェノール性成分の内、特にケルセチンについてはキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有することが知られているが、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤にはこれらフェノール性成分は含まない。
(3)クマリン類としては、ヘルニアリン(herniarin)やウンベリフェロン(umbelliferone)等が代表的成分として知られている。これらのクマリン化合物は植物の代謝経路においてフェニルアラニンを元に、これが酵素PAL(phenylalanine ammonia lyase)の作用で桂皮酸に変換され、さらに酸化酵素の作用によりp-クマル酸に酸化され、次いで中間体として2-グルコピラノシロキシ-p-クマル酸を経て環化してクマリン化合物であるウンベリフェロンに変換されることが知られている。また、p-クマル酸から2−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸(GMCA)を経てヘルニアリンが生合成されることが知られている。一方、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤にはこれらクマリン化合物は含まない。
特に、カモミールの花部や葉部にGMCAが生成し、様々なストレスの影響でGMCAからヘルニアリンが生成することが報告されている(Repcak M et al, Journal of Plant Physiology, Volume 158, Issue 8, 2001, Pages 1085-1087)。これらのクマリン類は、従来からカモミールの生薬成分として利用されているものの、本発明のようにキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての作用は有さない。そのため、カモミールにおいてクマリン類の生成を抑制し、化学式(1)の有効成分の含有量を高めることが好ましい。
カモミールの花部から抽出される精油が、現在最も利用される成分であるが、花部以外の地上部や根についても、これらの部位に含まれる様々な成分についての研究が報告されている。花部以外の地上部や根にも精油成分が存在することが知られているが、花部に含まれる成分とは異なり、これらが抽出されるなどして成分としての利用は、従来から行われることはなく、一部、入浴剤として利用される以外はもっぱら廃棄処分されていた。また、従来から花部以外にも葉部においてクマリン類やその前駆体であるGMCAなどが存在することは分析的に知られていたが、これらにおいてキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有する有効成分が存在することは全く知られていなかった。
本発明者らは、これまで多種多様な資源植物に含まれる有用成分の分析とその作用について長年研究を行い、その研究の過程で従来詳細な検討が行われることのなかったカモミールの地上部、特に花部以外にも地上茎部及び葉部に顕著なキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示す成分が極めて高濃度で含まれることを見出し、キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法として、その成分の抽出と精製方法を検討し、さらにそのキサンチンオキシダーゼ阻害活性について詳細に検討を行った結果、本発明に至った。
従来利用されているカモミールの花部以外に、従来利用されることのなかった地上茎部及び葉部を用いて、これから抽出される成分について、本発明の目的とするキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有する成分を有効に利用するための製造方法とその利用方法を見出したのである。後述する実施例において示すように、カモミールの花部以外に、地上部である茎部及び葉部を原料に用いて、これに抽出媒体を加えて緩和な条件で抽出することで高い収率で得られる抽出成分が、顕著なキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示すことを見出した。さらに該抽出成分中に前述の化学式(1)で示す構造を有する2−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸((E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acid)が高濃度で含有されており、これがキサンチンオキシダーゼ阻害剤として顕著な作用を示すことを見出した。
上述の如く、上記化学式(1)の化合物は、桂皮酸の骨格の二重結合に結合するカルボキシル基とフェニル基の相対的配置に関して両者がトランス位にあるE体を表し、両者がシス位にあるZ体とは区別される。本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての効果は、E体において顕著に発揮され、これに対してZ体では、その効果の程度はE体に比べてはるかに劣る。本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、化学式(1)で表されるE体が少なくとも含まれている場合であり、更にE体と共にZ体が併せて含まれている場合であっても良い。
桂皮酸およびその誘導体については光照射や触媒等の作用でE体とZ体の間で異性化を生じることが知られている。熱力学的にはE体がZ体に比べて安定状態であるが、カミツレなど様々な植物において、日光にあたることでE体からZ体に異性化を行い、これがさらに環化してクマリン誘導体としてヘルニアリン(7-methoxy coumarin)を生成することが知られている(“The variability of (Z)- and (E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acids and apigenin glucosides in diploid and tetraploid Chamomilla recutita”、Food Chemistry, Volume 111, Issue 3, 1 December 2008, Pages 755-757)。上述の化学式(1)の化合物と共に、これの幾何異性体であるZ体が含まれていても良い。好ましい態様として、化学式(1)の化合物であるE体が少なくとも1質量%以上の比率で含まれている場合であり、Z体やそれ以外の種の成分が含まれる場合であっても、これらの総和におけるE体の比率が少なくとも1質量%以上である場合が好ましい。さらに、化学式(1)の化合物は、光照射によりZ体に変化することが知られており、光にさらされた状態で化学式(1)の化合物が利用もしくは保管された場合に、次第にZ体がこれに含まれるようになる。後述する実施例において示すように、該Z体にはキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての効果は無いか、もしくは極めて弱いが、化学式(1)の化合物とともに用いても悪影響はなく、むしろ両者がともに含まれていることでE体とZ体の間に平衡状態が成立し、両者の比率が安定した状態に保たれることから極めて好ましく用いることが出来る。
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を製造する目的で用いることのできる原料はカモミールとして、ジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla L.;和名カミツレ)を挙げることが出来、これの花部を除く、若しくは花部とともに地上部である葉及び茎を原料として用いることが出来る。これらに下記で示す抽出媒体を作用させることで、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として有効に作用する抽出物を効率的に得ることが出来る。
花部に含まれる成分については文献(“Quantitative determination of phenolic compounds by UHPLC-UV–MS and use of partial least-square discriminant analysis to differentiate chemo-types of Chamomile/Chrysanthemum flower heads”、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, Volume 88, 25 January 2014, Pages 278-288)に報告されているように、本発明に関わる化学式(1)の化合物と共に、これに対するZ体やフェノール性成分としてのアピゲニン誘導体などが含まれていることが知られている。
一方、花部以外の地上部として葉や茎部において、化学式(1)の化合物が極めて高濃度で含まれていることが本発明で明らかとなり、その抽出方法および精製方法を見出したことでこれを商業的に利用することが可能となり、さらにキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての顕著な作用を見出した。
ここで、カモミールとしてローマンカモミール(Chamaemelum nobile)を利用する場合は、これの花部には化学式(1)の化合物は殆ど含まれておらず、花部以外の地上部から抽出、精製して得られる化学式(1)の化合物の収量も比較的少ないことから、本発明の目的としては、ジャーマンカモミールを主に用いる方が好ましい。
本発明において上記カモミールの地上部として葉及び茎とともに花部を用いて、これらから抽出される抽出物をキサンチンオキシダーゼ阻害剤として用いることも出来る。この場合、前述の化学式(1)で示す化合物やアピゲニン誘導体等とともに、主として花部に含まれる精油成分が抽出物中に化学式(1)の化合物と共に含まれることで、これらの分離が著しく困難となり、本発明の目的とするキサンチンオキシダーゼ阻害活性以外の効果(香りや味)が付加されることで、利用形態として食品や医薬品に適用する場合には問題になる場合がある。従って、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤においては、花部を利用することなく、もっぱらカモミールの葉及び茎部を原料に用いてこれらから得られる抽出物を用いることが好ましく、精油成分を取り除いた後に、カモミールの葉及び茎部から抽出することが好ましい。商業的な観点からは、従来から工業的に利用されている精油成分の抽出もしくは水蒸気蒸留の工程を経て残された残渣から、上述の化学式(1)の化合物を抽出してこれを用いることができることから、従来の廃棄物の有効利用に繋がり極めて好ましい。
本発明で用いることのできる抽出媒体としては、水あるいは親水性有機溶媒、若しくはこれらの混合溶媒であり、親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコールが好ましく、特に、メタノールまたはエタノール、及びこれらを含む水との混合溶媒を最も好ましく用いることが出来る。これらの抽出溶媒を用いてカモミールの地上茎部及び葉部から抽出する際の条件としては緩和な条件であることが好ましく、温度としては、10〜40℃の範囲の温度であることが好ましく、これ以下の温度で抽出を行った場合、本発明の成分を抽出するために極めて長時間を要し、また、目的とする本発明において、化学式(1)の化合物が十分な収率で得られない場合がある。あるいは、40℃を超える温度で抽出を行った場合、抽出物が熱により変性することでその効果が失われる場合がある。
本発明で用いることのできるカモミールの地上部は、乾燥させることなく採取後にそのままの状態で抽出に用いることも出来る。カモミールの栽培に用いる土壌中の窒素肥料に関しては、窒素分が欠乏した状態あるいは相対的に少ない場合に、化学式(1)の化合物がカモミールの地上部に含まれる割合が高くなる。採取の時期に関しては、若葉の状態で採取する場合に、化学式(1)の化合物の含量が比較的高い。化学式(1)の化合物において、これが異性化して生成するZ体の割合が乾燥の過程で変化する場合があり、乾燥させることなく新鮮な状態の地上部から得られる抽出物においてはE体の含量が比較的高い。あるいは、カモミールの地上部は、採取後に乾燥させて用いることも出来るが、乾燥の際には90℃を超える温度で乾燥を行うことは好ましくなく、90℃以下の温度で乾燥を行った場合には、未乾燥の場合と同様に好ましく用いることが出来る。さらに、地上部に前述した抽出媒体を加えて、そのまま静置した状態で抽出を行ってもよいが、或いはミキサーやホモジナイザーにより細かく裁断、或いは微粉砕し、抽出を行うことで、抽出に要する時間を短縮させることも好ましく行うことが出来る。前述したように、化学式(1)の化合物は光にさらされることでZ体に異性化することが知られている。さらに、カモミールの栽培においても日中の日差しの影響で化学式(1)の化合物がZ体に異性化し、これがさらに環化してヘルニアリンに変化する割合が増加することが知られている。従って、カモミールの栽培や収穫に際しては日中の日差しを避けることが好ましく、刈り取った後も直射日光を避けて冷暗所において保管し、これから抽出を行う場合においても可能な限り光に晒されないよう取り扱うことが好ましい。
上記の抽出工程において、抽出溶媒により得られた抽出物は更にクロロホルム/メタノール/水の三種類の溶媒を好ましい比率で混合した溶媒を加えて、上層の親水性層と下層の疎水性層の2層に分離することが可能であり、化学式(1)の化合物は、上層の親水性層に選択的に含まれることで、有効成分以外のその他の成分と有効に分離することが出来る。後述する実施例において示すように、上記のクロロホルム/メタノール/水の三種類の溶媒の好ましい比率として、それぞれの比率がこの順で、4:2:3で含まれる場合が最も好ましく、この比率を離れて例えば1:1:1〜1:2:1の範囲で用いた場合、上記の親水性層と疎水性層の分離が困難となり、これから得られる抽出物の純度及び収率が低下し、さらに抽出に要する時間が増大することがある。
上記のクロロホルム/メタノール/水の混合溶媒を用いて親水性層として分離された画分は、さらに吸着用担体を用いて、その表面に化学式(1)の化合物を吸着分離することでさらにその純度を高めることが出来る。この際、用いることのできる吸着担体としては、活性炭や各種シリカゲルなどを用いることも出来るが、合成吸着材として架橋ポリマービーズからなる微細な細孔を有する有機物に対する吸着能力の優れた吸着担体が最も好ましく用いることが出来る。こうした目的で用いることのできる合成吸着材の例として、ダイヤイオンHP20あるいはHP21(三菱化学製)を挙げることが出来、これはスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤で、細孔径の大きな細孔を持ち、化学式(1)の化合物に対して吸着精製に好ましく用いることが出来る。
上記の吸着担体上に吸着担持された化学式(1)の化合物は、さらに水及びアルコールによりそれぞれ洗浄操作を行うことで成分である化学式(1)以外の抽出成分を分離精製し、続いて水/アルコール混合溶媒により吸着担体から分離溶出することが出来る。この際用いることのできる水/アルコール混合溶媒としては、水及びメタノールを等量混合した混合溶媒を好ましく用いることが出来る。
上記混合溶媒により吸着担体から溶出した化学式(1)の化合物を含む溶液は、さらにゲル濾過クロマトグラフィーにより精製を行うことが可能であり、この際好ましく用いることのできるゲル濾過クロマトグラフィー用担体としてはセファデックス(GEヘルスケア・ジャパン製)を挙げることが出来る。
上記のゲル濾過クロマトグラフィーにより精製された画分は、アルコールを蒸発することにより、化学式(1)の化合物が結晶として析出し、高純度の無色結晶として得ることが出来る。このようにして精製された高純度の成分である化学式(1)の化合物は、後述する実施例において示すように、質量分析計、NMR及びFT−IRなどを利用した構造解析により先に示した化学式(1)の構造を有する、(E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acidであることが明らかとなった。
最終的な収率として、最初に用いた原材料である未乾燥状態のカモミールの地上部に対して、質量部で0.02〜0.04%の間であり、未乾燥の原料1キログラムから約0.2〜0.4グラムの収量で、化学式(1)の化合物を高純度で得ることが出来た。但し、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む食品などの用途に対しては、必ずしも上記のような工程を全て経ることなく、途中段階の工程において得られる画分から濃縮して得られる化学式(1)の化合物を含む混合物の状態で用いることも可能である。
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤における化学式(1)の化合物は、熱に対して極めて安定であることが後述する実施例において確認された。即ち、化学式(1)の化合物を溶解した水溶液に対して、例えば90℃の温度で加熱を行っても何ら成分の性状に変化がなく、熱に対して極めて安定であることが確認された。但し、長期の保存が必要である場合に於いては、化学式(1)の化合物単独、及びこれを含んでなる食品や原料などにおいては冷暗所において保管することが好ましい。
上記のようにして得られた化学式(1)の化合物及びこれを含む抽出物について、そのキサンチンオキシダーゼ阻害作用は以下のようにして評価することが可能である。即ち、キサンチンを溶解したリン酸緩衝液に一定濃度の試料溶液を加え37℃で15分間プレインキュベーションを行い、これを所定量とり、キサンチンオキシダーゼを溶解したリン酸緩衝液に加えて37℃で40分間インキュベーションを行い反応させることで、試料溶液を加えない場合のキサンチンの濃度変化に対するキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む試料溶液の添加によるキサンチン濃度の変化の割合から、その阻害効果を定量的に見積もることが可能である。このようにして求めた化学式(1)の化合物の阻害効果は、量依存的に作用の増強が認められ、粗抽出物の状態で、比較とするアロプリノールと同等以上の作用を示すことが明らかとなった。詳細は後述する実施例で説明する。
さらに化学式(1)の化合物は、後述する実施例において示すように、経口投与され消化管に至る過程で体内に極めて効率よく吸収され、体循環の流れに乗り高いバイオアベイラビリティを示すことが特徴である。吸収の過程において様々な酵素の作用により、化学式(1)の化合物は化学変化を受ける場合があるが、経口投与された後、全体の凡そ70〜80%以上の部分は化学変化を受けることなくそのままの形で体循環に乗り、血管の内皮細胞表面や体内の様々な臓器に存在するキサンチンオキシダーゼに作用し、これを有効に阻害することで体内の過剰な尿酸濃度を低下させる。しかもその効果は適度に緩和に発現し、例えば高尿酸血症に対する治療薬として用いられるアロプリノールの作用と比較した場合、アロプリノールを投与した場合には、血中の尿酸濃度は正常範囲を大きく下回り顕著に低下する場合があるが、化学式(1)の化合物を含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤を投与した場合には、その効果は過度に発現することなく、血中尿酸濃度は正常範囲を下回ることが回避できる。体内において尿酸は顕著な還元作用を示し、適度な濃度範囲において血中濃度が維持されることで体内における活性酸素による様々なダメージを防止することが知られている。このため、アロプリノールなどの強力な尿酸値低下作用を示す薬剤を無暗に用いることは厳禁であり、特に血中尿酸値が正常範囲にある場合にこうした薬剤を用いることは好ましくない。本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を用いた場合には、その薬理作用は限定的であることから、通常の使用において正常値を下回る血中尿酸値を来すことがないため、安全に用いることができる。
化学式(1)の化合物が、カモミールの地上部から上記のように比較的簡単な方法を用いて、効率的に抽出が可能であることは従来知られておらず、さらにこの成分が顕著なキサンチンオキシダーゼ阻害作用を示すことが、本発明者らにより初めて明らかにされたものである。本発明の目的として、安全であることが良く知られた身近な植物から、効率的にその有効成分を抽出することが可能であり、効果に優れたキサンチンオキシダーゼ阻害剤とその製造方法を見出すことを挙げており、こうした観点から、カモミールは極めて身近な植物であり、その栽培も容易であることから、本発明で明らかとなった化学式(1)の化合物の構造で表される新規なキサンチンオキシダーゼ阻害剤を、カモミールの地上部から簡便な方法で、効率的に抽出することが明らかとなり、これまで利用されていなかった資源を有効利用できる点においても本発明の利用価値は高いと言える。
本発明で得られるカモミールの地上部を用いた抽出物は、これをキサンチンオキシダーゼ阻害剤としてヒトに対して用いる場合は、その投与については経口投与により利用することが好ましく、その投与量は一般に一日当たり0.01mg〜50mg/体重1kg当たり用いることが好ましく、一日に1回もしくは数回に分けて用いることが好ましい。この範囲を下回る量を用いた場合には、本発明の目的とするキサンチンオキシダーゼ阻害効果が認められない場合がある。また、上記範囲を上回る量を用いた場合、体内に吸収されず排泄される割合が高くなることでバイオアベイラビリティが低下する場合がある。
本発明で得られるカモミールの地上部を用いた抽出物は、これをキサンチンオキシダーゼ阻害剤として含む医薬品として利用することが可能である。その場合の剤形としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、或いは溶液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、噴霧剤などの液剤として用いることが可能である。製剤に当たり用いることのできる医薬品用製剤担体としては、グルコース、ショ糖、乳糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、アルブミン、ポリエチレングリコール、アミノ酸、水、生理食塩水などを挙げることが出来る。さらに、必要に応じてpH調整剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、滑剤、等張化剤などを併せて用いても良い。
本発明で得られるカモミールの地上部を用いた抽出物は、これをキサンチンオキシダーゼ阻害剤として含む食品として利用することが可能である。その場合、食品としての形態は、通常食される様々な食品中に添加剤として加えて用いることが可能である。例えば食品として飲料品の形態で用いる場合には、通常流通する各種飲料品に対して、1リットル当たり0.01mg〜100mgの範囲で添加して用いることが可能である。飲用に際しては加熱して飲用することも可能であるが、好ましくは室温以下の温度で保管され飲用に給されることが好ましい。好ましい例として、牛乳、炭酸飲料、或いはヨーグルトなどの半固形系食品などへの添加を行い、高尿酸血症の予防効果を有する飲料品としての提供が可能である。他の食品への利用として、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品中や、ちくわ、かまぼこなどの水産加工食品、パン、菓子などに添加して利用しても良い。更には、サプリメント、健康補助食品として上記抽出物を含む錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、或いは溶液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、噴霧剤などの液剤の形状で提供することが可能である。
本発明で得られるキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む食品として特に飲料品としての利用が好ましい。キサンチンオキシダーゼ阻害剤を好ましい量範囲で体内に摂取することでプリン体の代謝による尿酸の生成を適正な範囲に抑制し、高尿酸血症の発症を未然に防止することが可能である。高尿酸血症は特に成人男性に特徴的に認められ、加えてアルコール飲料を好む層において尿酸値が高めである場合が多く、成人男性の20%以上、特に30〜40代男性の30%以上が高尿酸血症を示すという統計データが報告されている。高尿酸血症は放置した場合、痛風発作に至る可能性が高くなり、痛風患者数は2016年時点で年間100万人を超えている。さらに、痛風予備軍として全国で1000万人規模の高尿酸血症該当者が存在するとされており、これに対する改善策としての生活指導として、プリン体の摂取制限、アルコールの摂取制限などがガイドラインに挙げられている。しかしながら現状ではこうした摂取制限の効果には限界があり、医療的介入以外に尿酸値を低下させる有効な手法が無いため、医師により高尿酸血症と診断されるまでは積極的な対応は困難である問題がある。本発明により得られるキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む飲料の例としてアルコール飲料に本発明による化学式(1)の化合物を添加した飲料は、血中の尿酸値を低下する効果を有するため、こうした高尿酸血症を予防する手段として好適に用いられる。さらに、前述したように、キサンチンオキシダーゼの働きを阻害することで、尿酸だけでなく活性酸素の発生も抑制することから、体内の様々な臓器において活性酸素の影響による様々な障害を抑制、防止することが可能である。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の百分率は断りのない限り質量基準である。
(カモミールの地上部を用いた抽出方法とそれにより得られたキサンチンオキシダーゼ阻害剤の構造解析)
摂南大学薬用植物園内で栽培したカミツレ(Matricaria chamomilla L.)の新鮮地上部を収穫し、地上茎部及び葉部の新鮮状態(未乾燥)で1520グラムを5リットルガラス容器内に投入した。これにメタノール3.9リットルを投入し、室温で2日間静置することでメタノール可溶性成分を抽出した。メタノールを減圧下に溜去し、56.2グラム(原料に対して3.7%)の粗抽出物を得た。粗抽出物の内28.0グラムを用いて、これをさらにクロロホルム−メタノール−水(4:2:3)(体積比)の混合溶媒を用いて有機層(クロロホルム-メタノール層)と親水層(メタノール-水層)に分離を行い、後者の親水層(約25.0グラム)を回収した。親水層から回収したものに対して、さらにブタノール-水(1:1)(体積比)の混合溶媒を用い分配し、水溶性粗抽出物(MR)として22.0グラムを得た。この粗抽出物(MR)に含まれる成分として、化学式(1)の化合物は全体に対して2.3質量%含まれており、さらにZ体は9.5質量%含まれていた。MRにはこれら以外の成分として、糖類およびアミノ酸化合物が主として含まれており、精油成分やフェノール類などの化合物は実質的に含まれていなかった。この粗抽出物(MR)について後述するようにキサンチンオキシダーゼ阻害活性を測定し、極めて優れた阻害活性を示すことが明らかとなった。
粗抽出物は、さらに吸着用ポリスチレン系ゲル(三菱化学製DIAION(登録商標) HP−20)(φ45mm×270mm)を利用してゲル分離操作を行い、溶離液として最初に水で溶出を行い、次いで水-メタノール(1:1)(容積比)混合溶媒で溶出し、最後にメタノール単独で溶出を行った。化学式(1)の成分は、これらの内、水−メタノール(1:1)混合溶媒で溶出される画分に選択的に含まれることが確認された。このようにして分離された画分の一部を用いて、さらにゲル濾過用担体(SEPHADEX(登録商標) LH−20)(φ30mm×360mm)を用いて分離精製を行い、分離精製後の溶出画分として、淡褐色粉末1.1グラムを得た。このものは水-メタノール溶液として、メタノールを蒸散させ、濃縮することにより、TLC(Thin-Layer Chromatography)上で単独のスポットを示す無色結晶0.2グラムを与えた。以上の分離工程を図1で示した。図1は、カモミールの地上茎部及び葉部から化学式(1)の成分を抽出するフロースキームを表す。
図2は、キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造フローチャートを表す。図2に示すように、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は、まず、カモミールの地上部に対するメタノールによる抽出工程を行う(ステップS01)。次に、クロロホルムとメタノールと水の混合溶媒により、ステップ01で抽出された抽出物に対して分離精製工程を行う(ステップS02)。次に、ブタノールと水の混合溶媒を用いて、ステップS02により有機層と親水層(メタノール−水層)に分離された親水層に対して分離精製工程を行う(ステップS03)。そして、水層に対するゲル分離精製工程を行った後(ステップS04)、最初に水による溶出、次に、水とメタノールによる溶出、再度にメタノールによる溶出、といった溶出工程を行う(ステップS05)。そして、ゲル濾過用担体による水とメタノールによる溶出画分に対する分離精製工程を行い(ステップS06)、溶出画分を濃縮し結晶化させる濃縮工程を行う(ステップS07)。蒸散により結晶化が進み、目的とするキサンチンオキシダーゼ阻害の効能を有する活性体化合物の結晶物としての化学式(1)の化合物が生成される(ステップS08)。
上記で得られた結晶はさらに質量分析により解析を行い、図3に示すpos ion FAB−MSにより、m/z:379[M+Na]+ である化学式(1)で示される化合物のナトリウム塩の質量分析チャートを与えた。図3は化学式(1)で示される化合物のナトリウム塩のpositive ionモード質量分析チャートを表す。
同様に、質量分析においてnegモードでの解析結果は、図4に示すように、m/z:355[M−H]- のピークを与え、化学式(1)の構造と矛盾しない結果であった。図4は化学式(1)で示される化合物のnegative ionモード質量分析チャートを表す。
上記で得られた結晶はさらに1H−NMRを用いて解析を行い、各々のピークの帰属から化学式(1)で示す構造を有することが確認された。図5は化学式(1)で示される化合物の1H−NMRチャートを示す。
同様に、上記の結晶を13C−NMRを用いて解析を行い、各々のピークの帰属から化学式(1)で示す構造を有することが確認された。図6は化学式(1)で示される化合物の13C−NMRチャートを示す。
同様に、上記の結晶をFT−IRを用いて解析を行い、各々のピークの帰属から化学式(1)で示す構造を有することが確認された。図7は化学式(1)で示される化合物のFT−IRチャートを示す。以上の結果より、本実施例においてカモミールの花部を除く地上茎部及び葉部から最終的に結晶の形で高純度の化合物として化学式(1)で示される構造の化合物を収率良く得ることが出来た。化合物は(E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acidが主成分であり、これに(Z)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acidがわずかに含まれることが明らかとなった。
(粗抽出物のキサンチンオキシダーゼ阻害活性の評価)
上記した抽出工程において、ブタノール−水(1:1)(体積比)の混合溶媒で分離された水溶性粗抽出物(MR)22.0グラムの一部を用いて以下の方法で、キサンチンオキシダーゼ阻害活性を評価した。用いた粗抽出物には化学式(1)の成分が2.3質量%含まれており、さらにZ体が9.5質量%含まれ、これら以外の成分としては糖類やアミノ酸などが含まれていた。
市販されるキサンチンオキシダーゼを0.1モルリン酸緩衝液(pH7.8)に溶解し、キサンチンオキシダーゼ緩衝液(3.2 units/mL)を調製した。基質として、キサンチンを同じくリン酸緩衝液に溶解したキサンチンリン酸緩衝液(65.7μM)を調整した。比較として、市販されるキサンチンオキシダーゼ阻害剤であるアロプリノールを用いて、これをリン酸緩衝液に溶解し、アロプリノール緩衝液(11.9μM)を調製した。本実施例で評価を行う試料として、上記したブタノール−水(1:1)(体積比)で分離された水溶性粗抽出物をリン酸緩衝液に溶解し、1.12mg/mLの濃度に調製を行い、試料溶液として用いた。該試料溶液中に含まれる化学式(1)の化合物の濃度としては、51.3μMであった。
上記で調製した試料溶液及びアロプリノール緩衝液を用いて、各々キサンチンリン酸緩衝液に添加し、37℃で15分間プレインキュベーションを行った。これらにさらにキサンチンオキシダーゼ緩衝液を添加し、37℃で40分間インキュベーションを行った。得られた反応液をメンブランフィルターでろ過を行い、試料の吸光度を紫外可視分光光度計を用いて、波長280nmにおける吸光度を測定した。キサンチンオキシダーゼ阻害率として、各々の試料の吸光度からブランクの吸光度を差し引き、阻害剤を加えない場合の吸光度に対する割合を求めて阻害率とした。その結果、アロプリノールでは阻害率は72%であったが、本発明の試料溶液では阻害率は99%と極めて高い阻害率を示すことが分かった。以上のことから、本実施例により、カモミールの地上部茎部及び葉部から高収率で得られた粗抽出物が、市販薬であるアロプリノールを上回る高いキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示すことが明らかとなった。
(化学式(1)を用いたキサンチンオキシダーゼ阻害作用の評価)
実施例1で最終的に精製し結晶の状態で得られた化学式(1)の化合物を用いて、純粋な状態でのキサンチンオキシダーゼ阻害剤としての効果を調べた。即ち、化学式(1)の化合物を3.25μMの濃度でリン酸緩衝液に溶解し、比較としてアロプリノールをそのIC50である3.51μMの濃度で溶解したリン酸緩衝液を比較に用いて実施例1と同様にしてキサンチンオキシダーゼ阻害活性を調べた。その結果、化学式(1)の化合物は阻害率として15%の結果であり、アロプリノールは55%であった。この結果より、本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法で得られた化学式(1)の化合物は、極めて顕著なキサンチンオキシダーゼ阻害活性を示すことが明らかとなった。
(化学式(1)の熱に対する安定性の評価)
実施例1で最終的に精製し結晶の状態で得られた化学式(1)の化合物を用いて、熱に対する安定性を調べた。即ち、化学式(1)の化合物を蒸留水に溶解し、これを90℃で1時間加熱したが、化合物の紫外可視吸収スペクトルには変化が認められず、熱に対しても極めて安定であることが確認された。
(本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む医薬品)
実施例1で得られた結晶である化学式(1)の化合物を用いて、例えば、以下のようにして錠剤を作製した。即ち、化学式(1)の化合物を質量比で23%、乳糖60%、コーンスターチ15%、グアーガム1%、ステアリン酸マグネシウム1%を均一に混合して常法に従い錠剤を製造した。
(本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む食品)
実施例1で得られた粗抽出物(MR)を用いて、例えば、以下のようにしてジュースを作製した。即ち、粗抽出物(MR)1質量%に対して、バナナ熟成分(1%)、オリゴ糖(10%)、生レモン果汁(1%)、生グレープ果汁(1%)、天然水(86%)を添加して、総量200Lの溶液を調製した。この溶液(200L)をステンレス製容器(内径567mm、外高890mm)に入れ、攪拌装置によって90℃で30分間の攪拌処理(食品衛生法に準じた殺菌処理)を施して、機能性飲料として調製した。
(本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含む飲料物)
市販される日本酒(月桂冠(登録商標)「糖質ゼロ」)100mLに対して実施例1で得られた化学式(1)の化合物を10mg添加して、本発明によるキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含むアルコール飲料を作製した。化学式(1)の化合物の添加による味や香り、風味などへの影響は認められず日本酒としての品質への悪影響は見出されなかった。
実施例1においてカミツレ(Matricaria chamomilla L.)の新鮮地上部からメタノールを用いて抽出した成分をクロロホルム-メタノール-水(4:2:3)(体積比)の混合溶媒を用いて有機層(クロロホルム-メタノール層)と親水層に分離し、この親水層をさらに、ブタノール-水(1:1)混合溶媒による精製を経て、吸着用ポリスチレン系ゲル(三菱化学製DIAION(登録商標) HP−20)(φ45mm×270mm)を利用したゲル分離操作を行い、水-メタノール(1:1)(容積比)混合溶媒で溶出した成分CPPG2.7グラムを得た。これを用いて以下の試験を行った。
得られた抽出成分CPPGを1H-NMRにより解析した結果、図8のスペクトルが得られた。図8は、本実施例で用いた抽出成分CPPGの1H-NMRスペクトルチャートを表す。図8のスペクトル上に現れるシグナルのピーク面積比から化学式(1)の化合物とともに含まれるこれ以外の成分の割合を解析したところ、CPPGには化学式(1)の化合物が約16質量%の濃度で含まれ、さらにZ体が約74質量%含まれており、これら以外の成分としては芳香族成分を含まない炭化水素化合物として約10%程度含まれていることが明らかとなった。
(マウスによる経口投与試験結果について)
抽出成分CPPGを用いて、以下の様にしてマウスへの経口投与と血中移行性に関する動物実験を実施した。マウスとして日本エスエルシー社から入手したICR系マウス(雄)7週齢を使用した。
上記CPPGを30mg若しくは60mgを0.5%濃度カルボキシメチルセルロース溶液300マイクロリッターに溶解した飼料を作製し、これらをそれぞれ一匹当たりの投与量としてマウスに経口投与した(各郡n=3で実施し、各群における平均値を用いて比較を行った)。
経口投与前、及び経口投与後15分、60分、及び180分が経過した時点でマウス尾静脈より60マイクロリッターを採血し、これを遠心分離により除タンパク処理し血漿上清に含まれるCPPG及びこれの代謝物濃度をHPLCにより(定量)分析した。
HPLC測定には、ポンプ(JASCO PU-2080 Plus)及びカラム(ガスクロ工業 ODS-3 4.6×100 mm)、カラムオーブン(30℃、JASCO CO-2067 Plus)を用い、検出器にはUV検出器(JASCO UV-4075)を用いて波長315nmにおける吸光度を測定した。移動相にはアセトニトリル/水/リン酸 = 150/850/1を使用した。経口投与前にマウスから採血したサンプルを上記の条件でHPLCにより分析した結果を図9に示した。図9はCPPGを経口投与する前にマウスから採血した試料をHPLCにより分析した場合のチャートを示す。
次いで、経口投与後に採血したサンプルからHPLCによる分析で得られたチャートを図10に示した。図10は経口投与後(60mg投与群、投与後60分後)にマウスから採血した試料をHPLCにより分析した場合のチャートを示す。このチャートよりCPPGを経口投与した後に、マウス血中に含まれるCPPG由来の成分は、溶出時間が3.4分、4.7分及び5.9分に現れる3つのピークが主で、これ以外の成分は認められなかった。この内溶出時間が4.7分のピーク成分は3つの成分全体に対して70〜80%の比率で含まれ、これは代謝されずに血中に移行している化学式(1)の化合物とZ体の両者(以後、両者を含めた成分をCAと称する。)であることが、実施例1で得られた結晶が与える保持時間との同定とpos-, neg- 両モードによるFAB−MSから確認されたが(分子量356)、これ以外の2つのピーク成分は血中のCA成分と比較して少量であり、構造解析は困難であった。
上記のようにして得られたHPLCチャートから血中に含まれるCPPGに由来する成分の濃度を定量し、投与後のCAの血中濃度を時間に対してプロットした結果を図11に示した。図11は経口投与後に血中に移行したCAの血中濃度の時間変化を示す。これより、この実験においていずれの経口投与量においても投与後60分付近で血中濃度は最高値に達し、それ以降減少する結果が得られた。この場合、血中における化学式(1)の化合物の最高到達濃度は6.3μMと極めて高い値を示した。この数値に対して、実施例2で用いた化学式(1)の化合物の濃度である3.25μMと同程度の数値であり、このことから血中に移行した化学式(1)の化合物の濃度は、比較とするアロプリノールに匹敵する有効性を示すことが明らかとなった。即ち、本実施例から、本発明により得られたカモミール地上部からの抽出物は、マウスに経口投与した場合、高い濃度で化学式(1)の化合物の形で血中に移行し、その血中濃度は比較とするアロプリノールの有効濃度に匹敵する数値であることが明らかとなった。
(化学式(1)の化合物に対するZ体のキサンチンオキシダーゼ阻害作用に関する比較評価)
実施例1において、ゲル濾過用担体による水とメタノールによる溶出画分に対する分離精製工程を行い(ステップS06)、溶出画分を濃縮し結晶化させる濃縮工程を行なった(ステップS07)後、蒸散により結晶化が進行し化学式(1)の化合物を得たが、この最終工程において結晶を除く上清からZ体を主として含み、化学式(1)の化合物を実質的に含まない溶液(比較例)を作製した。作製した比較例について実施例1と同様にしてキサンチンオキシダーゼ阻害率を評価した結果、0%であり、阻害効果は認められなかった。
本発明のキサンチンオキシダーゼ阻害剤は高尿酸血症を予防或いは治療する目的で医薬品、食品(炭酸飲料やアルコール飲料などの各種飲料品を含む)、サプリメント等として利用が可能である。さらに体内の様々な臓器において過剰な活性酸素の発生を抑止し、高血圧、糖尿病、肥満などの症状を未然に防止するための健康食品としての利用も可能である。

Claims (16)

  1. 下記化学式(1)で表される(E)−2−β−D−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸((E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acid)を有効成分として含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  2. 前記有効成分は、更に、(Z)−2−β−D−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸((Z)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acid)を含有する請求項1のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  3. 前記有効成分は、カモミール(Matricaria recutita)の地上部の抽出物由来である請求項1又は2のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  4. 前記有効成分は、カモミール(Matricaria recutita)の花部を除く茎部及び葉部の抽出物由来である請求項1又は2のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  5. 前記カモミールは、ジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla L.)である請求項3又は4のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  6. ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)の地上部の抽出物由来の化合物を更に含有する請求項5のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  7. 請求項1〜6の何れかのキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含んでなる医薬品。
  8. 請求項1〜6の何れかのキサンチンオキシダーゼ阻害剤を含んでなる食品。
  9. カモミール(Matricaria recutita)の地上部から抽出するステップを備えるキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
  10. 上記の抽出するステップは、カモミールの花部を除く茎部及び葉部から抽出することを特徴とする請求項9のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
  11. カモミールの地上部を水もしくは親水性有機溶媒又はその混合溶媒で抽出するステップと、
    抽出物から水層を分離し、水と親水性有機溶媒の混合溶媒で溶出するステップと、
    溶出画分の主成分を濃縮し結晶化するステップ、
    を備える請求項9又は10のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
  12. 上記の抽出するステップは、カモミールに含まれる精油成分を取り除いた後に、カモミールの地上部から抽出する請求項9〜11の何れかのキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
  13. 上記の抽出するステップは、カモミールとしてジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla L.)を用いる請求項9〜12の何れかのキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
  14. ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)の地上部を水と親水性有機溶媒の混合溶媒で抽出した化合物を混合するステップを更に備えた請求項13のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
  15. 前記抽出は、10〜40℃で行われることを特徴とする請求項9〜14の何れかのキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
  16. 下記化学式(1)で表される(E)−2−β−D−グルコピラノシロキシ−4−メトキシ桂皮酸((E)-2-β-D-glucopyranosyloxy-4-methoxycinnamic acid)を有効成分として含有することを特徴とする請求項9〜15の何れかのキサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法。
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