JPWO2018147443A1 - 調理関連器具汚染度測定用キット及び調理関連器具洗浄プログラム評価方法 - Google Patents

調理関連器具汚染度測定用キット及び調理関連器具洗浄プログラム評価方法 Download PDF

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Abstract

調理関連器具の洗浄プログラムを評価又は改善する方法を提供すること。ATP及びADP測定キットを使用した、洗浄プログラム評価方法及び改善方法を提供する。この方法は、(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価するか、或いは(i)の洗浄工程を修正する、並びに(v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、工程を含む。用いるキットは、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含みうる。用いるキットは、AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含みうる。

Description

本発明は、調理関連器具の汚染度を測定するためのキット、及びこれを用いた汚染度測定方法に関する。また本発明は、このキットを用いた調理関連器具洗浄プログラムの評価方法に関する。
食品を清潔で衛生的に提供するには、食品の製造環境や加工環境の衛生を管理する必要がある。これは通常、一般的衛生管理プログラムと呼ばれる。一般的衛生管理プログラムのうち、食品の製造又は加工に用いる設備や調理関連器具、取り扱い器具の保守管理の手順を決定し、正常に作動させ、食品への微生物汚染及び異物混入を防止するために、通常、標準作業手順書(Standard Operating Procedure、SOP)が作成される。SOPのうち、使用する機器や手指の洗浄又は殺菌、或いは機器の衛生管理など、食品の取扱環境から危害要因の汚染や混入を防ぐための手順書を、特に衛生標準作業手順書(Sanitation Standard Operating Procedure、SSOP)という。
食品加工についてのSOPやSSOPの策定にあたっては、調理関連器具の汚染度評価や洗浄確認が必要となる。SSOPの対象には、例えば(A)機械器具の洗浄・殺菌や、(B)従事者の手指の洗浄及び殺菌が挙げられる。
従来のSSOPには、例えば(A)機械器具の洗浄殺菌において、取り決めた洗浄及び殺菌作業後、ライン監督者は、作業台の状態を目視点検し、目視結果の洗浄が不十分な箇所があれば作業をやり直す、としているものがある。さらに品質管理担当者が定期的にラインの拭き取り検査を実施し、洗浄及び殺菌の結果を検証する、としているものがある。また従来のSSOPには、例えば(B)従事者の手指の洗浄殺菌において、洗浄殺菌方法を取り決めた上で、ライン監督者が従事者の手指洗浄及び殺菌の様子を始業時、休憩後などのタイミングで観察し、日次衛生点検表に記録し、洗浄及び殺菌の手順を守らない従事者がいた場合には指導又は訓練を行う、としているものがある。このようなプログラムの場合、衛生的な状態が実現できているか否かは、監督者の目視判断に依存したり、監督者による従業者の観察が必要となる。また定期的に確認検査を行っても、定期検査を行わなかったロットについては、突発的な変化に対応できない。
従来のルシフェラーゼを用いたATP測定に対し、特許文献1(特開平9−234099、特許第3409962号)は、AMPをATPに変換するピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)を組み合わせたATP+AMP測定法を記載している。
特許文献2(特開平11-069997)は、清浄度検査試薬およびその試薬を用いる清浄度検査法を記載している。
非特許文献1(鈴木ら、日本食品微生物学会、2007年、講演要旨)はアデニンヌクレオチドを指標とした高感度清浄度検査法の開発を記載している。
従来の調理関連器具洗浄方法では、目視による定性的な評価はできても、どの程度の洗剤濃度でどの程度洗浄を行えば肉や魚類等の食品に由来する汚染が安全基準まで除去できるか、定量的に把握することは容易ではなかった。過剰な合成洗剤の使用は環境に負担となる。また定性的な判断だけでは、洗浄工程を必要十分な条件に最適化することも容易ではなかった。特に食品加工施設や大規模調理現場で、策定した衛生管理プログラムやSSOPが機能しているかどうか、評価するのは時間と労力を要し、個別の施設や現場を評価することは費用面、経済面から現実的でなかったり、完全に実行されないことがある。また評価した場合にも、プログラムが機能していなかったり不十分と判断された場合には、どの程度工程数を増したり改変すれば、十分な洗浄が実現でき衛生環境が実現できるか、決定するのは容易ではなかった。
特開平9−234099(特許第3409962号) 特開平11−069997
鈴木繁哉、原田靖広、第28回日本食品微生物学会学術総会講演要旨集,アデニンヌクレオチドを指標とした高感度清浄度検査法の開発(2007)
従来の衛生管理方法では、検査を行う者の目視判断に依存したり、監督者による従業者の手指の洗浄殺菌の観察が必要であった。また定期検査を行っても、定期検査を行わなかったロットについては、突発的な変化に対応できないという問題があった。
ATP、ADP、AMPというヌクレオチドを測定する酵素試薬は知られており、これらは実験室や研究室では入手可能であったが、個別の調理施設のサンプルを、逐一、実験施設、研究施設に搬送して測定を行い、その結果を調理現場に伝え洗浄プログラムを修正することは高コストであり時間がかかる。また、食器洗浄機は、開発時には製造業者により評価されるが、その評価方法は定性的であったり、目視によるものであるなど、定量的ではないものもあった。またこれが各事業所や調理現場で使用された場合の汚染度の評価を正確かつ簡便に行う手段はこれまでになかった。また、ATP分解酵素を多く含む汚染されたサンプルについては、洗浄直後のサンプル測定中にも、サンプルに含まれるATP分解酵素によりATPがADPへと分解するなどして、洗浄プログラムが実行できているか正確に評価したり、適正な基準値を設けたり、洗浄プログラムを的確に修正することは困難であった。
本発明は、従来の問題を解決する調理関連器具汚染度測定用キット及び調理関連器具洗浄プログラム評価方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記の問題に鑑み、調理関連器具について迅速に汚染を検出することのできるATP及びADP測定キット、又はATP、ADP及びAMP測定キットを提供するとともに、このキットを用いた洗浄プログラム評価方法を提供する。
本発明は以下の実施形態を含む:
[1] 以下の工程を含む、ATP及びADP測定キットを使用した、洗浄プログラム評価方法、(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
ここで該ATP及びADP測定キットは、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用のATP及びADP測定キットである、前記方法。
[2] 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、1に記載の方法。
[3] 以下の工程を含む、ATP及びADP測定キットを使用した、洗浄プログラム改善方法、(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
(v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
ここで該ATP及びADP測定キットは、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用のATP及びADP測定キットである、前記方法。
[4] さらに工程(i)の前に、
(o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
を含む、1〜3のいずれかに記載の方法。
[5] ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルビン酸キナーゼ(PK)、酢酸キナーゼ(AK)、クレアチンキナーゼ(CK)、ポリリン酸キナーゼ(PPK)、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、グリセロールキナーゼ、フルクトキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、リボフラビンキナーゼ、及びフルクトースビスホスファターゼからなる群より選択される、1〜4のいずれかに記載の方法。
[6] 前記ATP及びADP測定キットが、さらにAMP測定試薬を含む、1〜5のいずれかに記載の方法。
[7] AMP測定試薬が、AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素を含む、6に記載の方法。
[8] AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)、アデニル酸キナーゼ(ADK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)を含む、7に記載の方法。
[9] 以下の工程を含む、ATP、ADP及びAMP測定キットを使用した、洗浄プログラム評価方法、
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
ここで該測定キットは、AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用の測定キットである、前記方法。
[10] 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、9に記載の方法。
[11] 以下の工程を含む、ATP、ADP及びAMP測定キットを使用した、洗浄プログラム改善方法、
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
(v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
ここで該測定キットは、AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用の測定キットである、前記方法。
[12] さらに工程(i)の前に、
(o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
を含む、9〜11のいずれかに記載の方法。
[13] 前記AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)であり、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素が、ADP依存性ヘキソキナーゼ又はアピラーゼである、9〜12のいずれかに記載の方法。
[14] ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム評価方法に用いるためのATP及びADP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム評価方法は、
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、並びに
(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
を含む方法である、前記キット。
[15] 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、14に記載のキット。
[16] ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善方法に用いるためのATP及びADP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム改善方法は、
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
(v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
を含む方法である、前記キット。
[17] さらに工程(i)の前に、
(o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
を含む、14〜16のいずれかに記載のキット。
[18] ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルビン酸キナーゼ(PK)、酢酸キナーゼ(AK)、クレアチンキナーゼ(CK)、ポリリン酸キナーゼ(PPK)、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、グリセロールキナーゼ、フルクトキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、リボフラビンキナーゼ、及びフルクトースビスホスファターゼからなる群より選択される、14〜17のいずれかに記載のキット。
[19] 前記キットが、さらにAMP測定試薬を含む、14〜18のいずれかに記載のキット。
[20] AMP測定試薬が、AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素を含む、19に記載のキット。
[21] AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)、アデニル酸キナーゼ(ADK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)を含む、20に記載のキット。
[22] AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム評価方法に用いるためのATP、ADP及びAMP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム評価方法は、
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、並びに
(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
を含む方法である、前記キット。
[23] 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、22に記載のキット。
[24] AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善方法に用いるためのATP、ADP及びAMP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム改善方法は、
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
(v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
を含む方法である、前記キット。
[25] さらに工程(i)の前に、
(o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
を含む、22〜24のいずれかに記載のキット。
[26] 前記AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)であり、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素が、ADP依存性ヘキソキナーゼ又はアピラーゼである、22〜25のいずれかに記載のキット。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2017-021952号、2017-058940号、2017-192606号の開示内容を包含する。
本発明の効果として、目視に依存することなく調理関連器具の汚染度を測定することができる。また、定期検査以外にも、特に安全確認が必要とされるロットについては特別検査を簡便かつ迅速に行うことができる。さらに本発明の方法により、従来の衛生管理プログラムの問題点をより正確に特定することができ、効果的にプログラム評価を行うことができる。また本発明によれば、熱やpHや時間の経過やATP分解酵素によりATPが分解されたり、ATP分解が進行している、汚染された調理関連器具の試料についても、ATP及びADP、或いは、ATP、AMP、及びADPを正確に測定することができ、効果的に洗浄プログラムを評価したり、基準値を設けたり、洗浄プログラムを修正することができる。
また本発明の方法は、試薬類がキット化されていることから、研究施設に逐一サンプルを搬送する必要がなく、各調理現場や調理施設において(in situ)、迅速に汚染を検出することができ、洗浄プログラムを素早く評価することができる。
洗浄評価試験に用いたまな板の区画図である。 拭き取りサンプルを培養したプレートの図である。 検量線の図である。 検量線の図である。 検量線の図である。 検量線の図である。 検量線の図である。 検量線の図である。
ある実施形態において、本発明は、調理関連器具汚染度測定キット及びこれを用いる調理関連器具汚染度測定法を提供する。ある実施形態において、この方法は、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を使用するか、又はこれらを含むキットを使用する。該ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素は、ピルビン酸キナーゼ(PK)、酢酸キナーゼ(AK)、クレアチンキナーゼ(CK)、ポリリン酸キナーゼ(PPK)、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、グリセロールキナーゼ、フルクトキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、リボフラビンキナーゼ、及びフルクトースビスホスファターゼからなる群より選択され得る。別の実施形態において、この方法はさらにピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)、アデニル酸キナーゼ又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)を使用するか、或いはこれらを含むキットを使用する。別の実施形態では、AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を使用するか、又はこれらを含むキットを使用する。該AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素は、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)及びピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)からなる群より選択され得るものであり、該ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素は、ADP依存性ヘキソキナーゼ及びアピラーゼからなる群より選択され得る。
試料にATPが含まれると、これはルシフェラーゼによりAMPに変換されるとともに発光が生じる。試料にADPが含まれると、これはADPからATPを生成する反応を触媒する酵素によりATPに変換され、その後ATPが発光反応に供される。これにより系に存在するATP及びADPの総量を測定することができる。さらにPPDKが存在する系において、試料にAMPが含まれると、これはPPDK、PEP、PPiによりATPに変換される。或いはPWDKが存在する系において、試料にAMPが含まれると、これはPWDK、PEP、リン酸によりATPに変換される。生成したATPは再度、ルシフェラーゼにより発光する。発光は安定して維持され、発光量は系に存在するATP及びAMPの総量と相関することから、ATP及びAMPの定量が可能となる。ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素とPPDK、ADK又はPWDKが存在すると、ATP、ADP及びAMPの総量を測定することができる。PPDK等を用いる方法の利点は、低感度の装置でも、ルシフェラーゼで生成したAMPもATPに変換するため発光量が減衰することなく、安定して発光を測定できることである。
試料にAMP及びATPが含まれると、これはアデニル酸キナーゼにより2分子のADPに変換される。次いで、生じたADP分子は、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素によりATPに変換され得る。生じたATPは、次にルシフェラーゼにより検出され得る。
AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を用いる実施形態において、試料にADPが含まれると、ADPはADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素によりAMPに変換され得る。生じたAMPは、次にAMPからATPを生成する反応を触媒する酵素によりATPに変換され得る。ATPはルシフェラーゼによりAMPに変換されるとともに発光が生じ、検出され得る。試料にはATP及び/又はAMPが含まれてもよい。
本明細書においてプログラムとは、洗浄プログラムを意味する。洗浄プログラムは、食品の製造環境や加工環境の衛生を管理するための一般的衛生管理プログラム、SOP、及びSSOPを包含する。洗浄プログラムを洗浄プロトコルということもある。
ある実施形態において、本発明は調理関連器具洗浄プログラムを評価する方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む:
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具ついて、本発明のキットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、並びに
(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する。
ある実施形態において、上記工程(iv)において汚染が十分に除去されていない、と評価された場合には、工程(i)の洗浄方法と同一又は異なる洗浄方法をさらに行うことができる。
ある実施形態において、本発明は調理関連器具洗浄プログラムを改善する方法を提供する。この方法は、以下の工程を含む:
(i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
(ii) 洗浄した調理関連器具について、本発明のキットを使用し、汚染度を測定する、
(iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
(v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す。
これらの実施形態につき、さらに工程(i)の前に、工程(o)として、調理関連器具の洗浄プログラムを作成することもできる。
本明細書において、調理関連器具とは、調理器具、及び調理現場の環境若しくは該環境にあるものであって、汚染されている可能性があるものをいう。調理器具としては、例えばまな板、鍋、フライパン、圧力釜、鉄板、皿、包丁、菜箸、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、杓文字、こしとり網、ザル、ラック、まな板立て、調理器具を保管する容器、包装容器、包装シート、などの調理をするための器具及びこれに関連する器具が挙げられるがこれに限らない。調理現場の環境とは調理現場、食品加工場、食品提供施設などの環境をいい、該環境にあるものとしては、食品加工場などにおける調合タンク、配管、充填ノズル、ベルトコンベアなどの設備、容器、ドアノブ、冷蔵庫やオーブン等の器具の取っ手、スイッチ、受話器など人の手によく触れる部位又は場所が挙げられるがこれに限らない。汚染には、ATP、ADP又はAMPのみならず、場合によりATP分解酵素等(例えばATP分解酵素、ADP分解酵素、ATP及びADPを分解する酵素が挙げられる)が含まれうる。このような汚染は、洗浄直後であっても、あるいは清浄度測定中であってもATP分解酵素等の作用によりATPがADPへと、あるいはADPへと分解する可能性がある。本発明のキット及び方法は、このような汚染された調理器具にも適用可能である。
参照は、食品加工の安全管理に求められる基準に基づき、予め決定することができる。本明細書において「参照」とは、汚染度又は清浄度に関連付けることのできる各種指標をいう。例えば参照は、検査対象サンプルに見いだされる、閾値又はそれより高い値が汚染の指標となり、一方、閾値未満の値が汚染の不在または清浄状態指標となるある指標についての閾値でありうる。指標の例としては微生物数が挙げられる。微生物数は通常、mL当たりの数で表される(細胞/mL)。また微生物数は、1mL当たりの、適当な条件で培養したときに形成されるコロニー数(cfu)で評価することができる(cfu/mL)。
例えば検査対象サンプルが食器や調理器具であれば、参照は、当該食器又は調理器具から拭き取り等で取得された試験サンプルについて、一定の条件下で微生物のコロニーが形成される単位(cfu/mL)に対応する汚染度として表現し得る。例えば許容できるcfu/mLが、1 cfu/mLであれば、1 cfu/mLが検出されたサンプルは汚染されていると判断することができ、1cfu/mL未満のサンプルは清浄であると判断できる。そして1 cfu/mLに対応する汚染について、本発明のキットを用いて汚染サンプルの発光量を調べることで、参照を決定することができる。
例えば欧州及び米国のミルクについての大腸菌群検査ガイドラインの検査基準は5〜10 cfu/mLであり、日本の食品衛生検査法の検査基準は0.45cfu/mLである。ミルク製造に関連する施設の洗浄プログラムであれば、こうした基準を参考に参照を決定することができる。本発明の方法は、基準が特定のcfu/mLである食品そのものを測定するのではなく、食品を取り扱った調理関連器具について洗浄を行った後に汚染の有無の測定を行う。調理関連器具について、どの程度の汚染が検出されれば、特定の基準(例えばcfu/mL)に対応するかを予め調べておき、当該基準に対応する汚染度を決定しておく。そしてその汚染度を閾値として、参照とすることができる。参照を導出するための指標は、cfu/mLに限られず、目的に応じた種々の指標であり得る。
調理関連器具の洗浄は、水洗い、流水洗浄、つけ置き洗い、洗剤での洗浄、超音波洗浄、煮沸消毒、加熱加圧滅菌、洗浄器具での洗浄、食器洗浄機での洗浄、乾燥機での乾燥、食品工場の製造ラインにおけるCIP(定置洗浄)、COP(分解洗浄)等の工程を含み得る。洗剤は、石けんや合成洗剤、界面活性剤であってもよく、界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。洗浄には、スポンジ、ブラシ、たわし、布巾、ペーパータオル等慣用される器具を使用しうる。
汚染度の測定は、サンプルのATP及びADPの量、又はATP、ADP及びAMPの量を定量することにより行うことができる。サンプルは、調理関連器具を拭き取りしたものや、調理関連器具を水洗いした水であり得る。評価試験のためにサンプルを濃縮してもよい。
測定された汚染度と、参照の比較は、手動で行ってもよく、機器により自動化してもよい。機器は、予め参照を記録した、記録媒体を備え得る。
測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、洗浄プログラムが十分でない可能性があり、したがってそのプログラムを改善しうる。改善は、洗浄工程を修正することを含む。本明細書において、洗浄工程を修正する、とは洗浄に用いる洗剤の種類を変更する、洗剤の濃度又は使用量を変更する、洗浄時間又は回数を変更する、洗浄作業を監督者に監督させる若しくは監督を強化する、プログラムどおりの洗浄作業が行われることを徹底する、等が挙げられるがこれに限らない。
プログラムの修正は複数回反復してもよく、汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで繰り返すことができる。複数回のプログラムの修正は、同じ工程や同じ項目についての修正であってもよく、異なる工程や異なる項目についての修正であってもよい。
洗浄プログラムは、例えば、調理現場において使用されるまな板や皿のような調理関連器具を水洗い又は洗剤洗いする工程を含みうる。このとき、洗浄が十分でないと調理関連器具に汚染が残留する。本発明の方法により、洗浄された調理関連器具が汚染されているかや、洗浄が十分であるか否か、評価することができ、適切に洗浄プログラムを修正し得る。
洗浄プログラムは、例えば、調理現場において使用済みの皿や調理器具を洗剤の入った洗浄槽に一定時間浸ける工程を含みうる。このとき、汚れた食器を追加して浸けると洗浄槽中の洗浄液は次第に汚染される。そしてある水準を超えると、洗浄槽から取り出した食器や調理器具は、十分に洗浄されておらず、汚染が残留する。本発明の方法により、どの程度頻繁に洗浄槽の洗浄液を交換することで汚染を防止できるか評価することができる。
本発明の方法は、食器洗浄機の洗浄力評価にも使用しうる。食器洗浄機に汚染された食器及び規定の洗剤を投入し洗浄させる。洗浄後、食器の汚染度を測定し、参照と比較する。汚染が参照を超える場合は、食器洗浄機に用いる洗剤(種類、濃度)や運転条件(温度、時間、水圧、工程の反復等)を修正し得る。
本発明の方法は、洗剤の洗浄力評価にも使用しうる。洗剤を用いて洗浄を行い、その後食器等の汚染度を測定し、参照と比較する。汚染が参照を超える場合は、洗剤の使用態様(濃度、量、時間、回数、温度、工程の反復等)を修正し得る。
本発明の方法は、調理関連器具洗浄プログラムの改善のみならず、正しく策定された洗浄プログラムが適切に実行されているか、あるいは実行されたかの検証に用いることができる。例えば食中毒が発生した施設について、当該施設のプログラムに従った洗浄条件下での汚染検査を行うことができる。プログラムどおりの洗浄で汚染が検出されなければ、プログラム自体には問題がないが、その実行面に問題があった可能性がある、と特定し得る。そして実行面を改善しうる。こうした検証及び実行面の改善も広く、本発明のプログラム改善方法に含まれるものとする。
[ルシフェラーゼ]
ある実施形態において、本発明のキットは、ルシフェラーゼ及びルシフェリンを含む。この場合、マグネシウム、マンガン、カルシウムなどの金属イオンも含まれうる。当業者であれば用いる酵素に応じて金属イオンの濃度を決定することができる。必要なルシフェラーゼによりATP、O2及びルシフェリンはAMP、ピロリン酸、CO2及びオキシルシフェリンに変換され、このとき発光がもたらされる。ルシフェラーゼは、天然ルシフェラーゼでもよく、遺伝子工学的に操作された組換えルシフェラーゼ変異体であってもよい。ルシフェラーゼ変異体は、部位特異的突然変異導入又はランダム突然変異導入されたものであってもよい。他の機能を有するタンパク質との融合タンパク質でもよい。ルシフェラーゼ変異体は、耐熱性が向上したもの、界面活性剤耐性が向上したもの等、所望の性質を有するものでありうる。
ルシフェラーゼの発光量は、適当な発光測定装置、例えば、ルミノメーター(ベルトールド社製、Centro LB960或いはLumat3 LB9508、キッコーマンバイオケミファ社製、ルミテスターC-110、ルミテスターC-100、ルミテスターPD-30、ルミテスターPD-20等)を用いて得られる相対発光強度(RLU)を指標に評価することができる。通常、ルシフェリンからオキシルシフェリンへの変換の際に生じる発光を測定する。発光測定装置としては、高感度測定が可能であり、光電子増倍管を備えた装置(3M社製等)、フォトダイオードを備えた装置(ハイジーナ社製、ネオジェン社製等)を使用することもできる。
ルシフェラーゼは、ATPを基質とするものであれば、特に限定されないが細菌、原生動物、動物、軟体動物、昆虫由来のものを用いることができる。昆虫由来としては甲虫ルシフェラーゼが挙げられ、例えばフォーチヌス(Photinus)属、例えば北米ボタル(Photinus pyralis)、フォーツリス(Photuris)属、例えばPhoturis lucicrescens、Photuris pennsylvanica、ルシオラ(Luciola)属、例えばゲンジボタル(Luciola cruciata)、ヘイケボタル(Luciola lateralis)、ヒメボタル(Luciola parvula)、マドボタル(Pyrocoelia)属、オバボタル(Lucidina biplagiata)のホタルやピロフォールス(Pyrophorus)属のコメツキムシ由来のものが挙げられる。ルシフェラーゼ遺伝子は多数報告されており、GeneBankなどの公知のデータベースよりその塩基配列及びアミノ酸配列を取得することができる。
ルシフェラーゼ遺伝子は、野生型のものでもよく、変異を有するものでもよい。変異は、部位特異的に導入されたものでもよく、ランダム変異でもよい。公知の変異としては、特開2011−188787号公報に記載されるような発光量を向上させる変異、特開2000−197484号公報に記載されるような発光持続性を高める変異、特許第2666561号公報又は特表2003−512071号公報に記載されるような発光波長を変化させる変異、特開平11−239493号公報に記載されるような界面活性剤耐性を高める変異、国際公開第99/02697号パンフレット、特表平10−512750号公報又は特表2001−518799号公報に記載されるような基質親和性を高める変異、特許第3048466号公報、特開2000−197487号公報、特表平9−510610号公報及び特表2003−518912号公報に記載されるような、安定性を高める変異等が挙げられるがこれに限らない。
ルシフェラーゼ遺伝子及びその組換え体DNAは慣用法により調製できる。例えば、特公平7−112434号公報はヘイケボタルルシフェラーゼ遺伝子を記載している。また特開平1−51086号公報はゲンジボタルルシフェラーゼ遺伝子を記載している。
ルシフェラーゼ遺伝子は、プラスミド、バクテリオファージ、コスミド等のベクターに組み入れ、これで適当な宿主を形質転換する又は形質導入することができる。宿主は微生物、大腸菌等の細菌、酵母等でありうる。形質転換されルシフェラーゼ産生能を有する宿主は各種公知の方法で培養することができる。
培地としては、トリプトン、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、コーンスティープリカー、或いはダイズ若しくは小麦ふすまの浸出液等の1以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸マグネシウム、若しくは硫酸マンガン等の無機塩類を1種以上添加し、必要により糖質原料、ビタミン等を添加したものが挙げられる。
培地の初期pHは例えば7〜9とすることができる。培養は例えば30〜40℃で2〜24時間、通気撹拌培養、振とう培養、静置培養等により行うことができる。培養後、公知の手法により培養物からルシフェラーゼを回収する。
具体的には、慣用法により菌体を超音波破砕処理、磨砕処理等に供するか、又はリゾチーム等の溶菌酵素を用いてルシフェラーゼを抽出する。得られた抽出液を濾過、遠心分離等し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩等により核酸を除去し、これに硫酸アンモニウム、アルコール、アセトン等を加えて分画し、粗酵素を得ることができる。
粗酵素はさらに各種のゲルろ過やクロマトグラフィー手法により精製してもよい。市販されているルシフェラーゼを用いることもでき、例えばキッコーマンバイオケミファ社、カタログ番号61314のルシフェラーゼを使用しうる。このルシフェラーゼは特開平11−239493号公報(特許第3749628号)に記載されているものである(当該文献における配列番号1)。また市販されているシグマ・アルドリッチ社、プロメガ社、ライフテクノロジー社のモレキュラープローブ(登録商標)のルシフェラーゼを用いることもできる。
[ルシフェリン]
ルシフェリンは、用いるルシフェラーゼにより基質として認識されるものであればどのようなものでもよく、天然のもの又は化学合成されたものでもよい。また任意の公知のルシフェリン誘導体を用いることもできる。ルシフェリンの基本骨格はイミダゾピラジノンであり、多くの互変異性体がある。ルシフェリンとしては、ホタルルシフェリンが挙げられる。ホタルルシフェリンはホタルルシフェラーゼ(EC 1.13.12.7)の基質である。ルシフェリン誘導体は特開2007−91695、特表2010−523149(国際公開2008/127677号)等に記載されているものであり得る。
ある実施形態においてルシフェラーゼの測定系における終濃度は、280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)としたときに0.001μg protein/mL以上、0.01μg protein/mL以上、0.02μg protein/mL以上、0.05μg protein/mL以上、0.10μg protein/mL以上、0.20μg protein/mL以上、又は0.25μg protein/mL以上とすることができる。ある実施形態においてルシフェラーゼの測定系における終濃度は、280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)としたときに1μg protein/mL以下、0.5μg protein/mL以下、0.3μg protein/mL以下とすることができる。ある実施形態においてルシフェリン又はルシフェリン誘導体の測定系における終濃度は0.01mM〜20mM、0.05mM〜20mM、0.1mM〜20mM、0.5mM〜10mM、例えば0.75mM〜5mMとすることができる。
ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素
ある実施形態において、本発明の方法は、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素を使用する。ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素により、系に存在するADPはATPに変換される。次いで、ATPがルシフェラーゼによりAMPに変換されるとともに発光が生じる。
ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素としては、任意の公知のものを用いることができ、例えばATP生成能を有するキナーゼが挙げられる。ATP生成能を有するキナーゼとしては、例えばピルビン酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、クレアチンキナーゼ、ポリリン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、グリセロールキナーゼ、フルクトキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、リボフラビンキナーゼ、フルクトースビスホスファターゼ及びその組み合わせが挙げられるがこれに限らない。
[ピルビン酸キナーゼ(PK)]
ピルビン酸キナーゼ(EC 2.7.1.40)は、解糖系においてホスホエノールピルビン酸をピルビン酸に変換し、その際、ADPがATPに変換される。この反応はギブスエネルギーが負の発エルゴン反応であり、天然の条件下では不可逆的である:
PEP+ADP→ピルビン酸+ATP
逆方向の反応は、糖新生において、ピルビン酸カルボキシラーゼ及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼが触媒し、ATP及びピルビン酸からPEP及びADPを生じる。細胞抽出を行うと、系には種々の酵素が混在し、上記反応は両方向進行しうる。その際、ホスホエノールピルビン酸が高濃度に存在するとADPがATPに変換され得る。また、ホスホエノールピルビン酸のみならずピルビン酸キナーゼが系に存在すれば、よりADPがATPに変換されると考えられる。特に限定されないが、例えば、ウサギ、ラット、ニワトリ等の動物、酵母、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)などの微生物由来のものを用いることができる。
[酢酸キナーゼ(AK)]
酢酸キナーゼ(EC 2.7.2.1)は陽イオンの存在下で、ATP及び酢酸と、ADP及びアセチル化リン酸との間の変換を触媒する:
ATP+酢酸←→ADP+アセチル化リン酸
酢酸キナーゼ(AK)は別名をATP:酢酸ホスホトランスフェラーゼ、アセチルキナーゼともいう。本明細書ではこれらの用語は互いに置き換えることができる。生体内ではATP及び酢酸から、ADP及びアセチル化リン酸を生じ、最終的にはアセチルCoAを生成する反応を促進する。系にアセチルCoAから生じたアセチル化リン酸及びADPが存在する場合、これを酢酸及びATPに変換しうる。特に限定されないが、微生物由来の例えばエシェリシア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、コストリジウム・パスツーリアナム(Costridium pasteurianum)、ラクトバチルス・デリュブルッキー(Lactobacillus delbruckii)、ヴェイロネラ・アルカレッセンス(Veillonella alcalescence)由来のものを用いることができる。
[クレアチンキナーゼ(CK)]
クレアチンキナーゼ(EC 2.7.3.2)は、クレアチン及びATPと、クレアチンリン酸及びADPとの間の変換反応を媒介する:
クレアチン+ATP←→クレアチンリン酸+ADP
クレアチンキナーゼ(CK)は別名をクレアチンホスホキナーゼ(CPK)又はホスホクレアチンキナーゼともいう。本明細書ではこれらの用語は互いに置き換えることができる。通常、動物の筋肉などではクレアチン及びATPからクレアチンリン酸及びADPを生じる。しかしながらこの反応は可逆反応であり、系にクレアチンリン酸及びADPが高濃度で存在すると、反応は逆方向に進行し、クレアチン及びATPが生じうる。生体内では細胞質性クレアチンキナーゼは2つのサブユニットB又はMから構成される。したがってサブユニットの組み合わせにより3種のアイソザイム、CK-MM、CK-BB及びCK-MBが存在しうる。アイソザイムパターンは組織によって異なるが、本発明ではどのような組み合わせも使用可能である。特に限定されないが、動物由来のものが使用でき、例えば、ウサギ、ニワトリ、ウシ、ブタ、コイ、ナマズ、カエル由来のものが挙げられる。
[ポリリン酸キナーゼ(PPK)]
ポリリン酸キナーゼ(EC 2.7.4.1)は、ポリリン酸(PolyPn)及びADPを、ポリリン酸(PolyPn-1)及びATPに変換する反応を触媒する:
ADP+PolyPn←→ATP+PolyPn-1
ポリリン酸キナーゼ(PPK)は別名をATP:ポリリン酸ホスホトランスフェラーゼともいう。本明細書ではこれらの用語は互いに置き換えることができる。PPKは生体内では酸化的リン酸化に関与する。系にポリリン酸(n)及びADPが存在する場合、これをポリリン酸(n-1)及びATPに変換しうる。特に限定されないが、例えば、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、酵母、コリネバクテリウム・ゼロシス(Corynebacterium xerosis)等の微生物由来のものが使用できる。
[リボフラビンキナーゼ(FMNK)]
リボフラビンキナーゼ(EC 2.7.1.26)は、FMNKとも記載され、リボフラビン及びATPを、リン酸リボフラビン(FMN)及びADPに変換する反応を触媒する:
ATP+リボフラビン←→ADP+FMN
リボフラビンキナーゼはATP:リボフラビン5'-ホスホトランスフェラーゼ(フラボキナーゼともいう)に属する。特に限定されないが、例えば、微生物や動物由来のものを用いることができ、例えば、酵母、ラット、マメ(Phaseolus radiatus)由来のものが挙げられる。
[ホスホフルクトキナーゼ1(PFK1)]
ホスホフルクトキナーゼ1(EC 2.7.1.11)は、PFK1とも記載され、フルクトース-6-リン酸(Fru6P)及びATPを、フルクトース-1,6-ビスリン酸(Fru1,6-BP)及びADPに変換する反応を触媒する:
Fru6P+ATP←→Fru1,6-BP+ADP
ホスホフルクトキナーゼ1はホスホフルクトキナーゼに属する。本明細書ではホスホフルクトキナーゼ1をFru-1,6BPKと記載することがある。特に限定されないが、動物や微生物由来のものを用いることができ、例えば微生物由来のものは、パン酵母、ビール酵母、クロストリジウム・パスツーリアナム(Clostridium pasteurianum)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、バチルス・リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のものが挙げられる。
[フルクトースビスホスファターゼ(FBPase)]
フルクトースビスホスファターゼ(EC 3.1.3.11)は、FBPaseとも記載され、フルクトース-1,6-ビスリン酸(Fru1,6-BP)及びADPをフルクトース-6-リン酸(Fru6P)及びATPに変換する反応を触媒する:
Fru1,6-BP+ADP←→Fru6P+ATP
フルクトースビスホスファターゼはFBP、FBP1とも記載されることがある。特に限定されるものではないが、動物、植物、微生物由来のものを用いることができ、例えば、ウサギやニワトリ由来のものが挙げられる。
[ピルビン酸−リン酸ジキナーゼ(PPDK)]
ピルビン酸−リン酸ジキナーゼ(EC 2.7.9.1)はATP、ピルビン酸、及びオルトリン酸と、アデノシン一リン酸(AMP)、ホスホエノールピルビン酸(PEP)及びピロリン酸(PPi)との間の反応を触媒する:
ATP+ピルビン酸+リン酸←→AMP+PEP+PPi
ピルビン酸−リン酸ジキナーゼ(PPDK)は別名をATP:ピルビン酸,リン酸ホスホトランスフェラーゼ、ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ、ピルビン酸リン酸リガーゼともいう。本明細書ではこれらの用語は互いに置き換えることができる。PPDKは通常、ピルビン酸をPEPに変換し、そのプロセスでATPが1分子消費されAMPに変換される。反応は次の3つの可逆反応に分けられる。
1.酵素PPDKがATPに結合し、AMPに変換と二リン酸化PPDKを生じる。
2.二リン酸化PPDKが無機リン酸に結合し、二リン酸と一リン酸化PPDKを生じる。
3.一リン酸化PPDKがピルビン酸に結合し、PEPを生じるとともにPPDKを再び生じる。
このとき、系に存在するPEP濃度が高いと反応は以下のように逆方向に進行する。
Figure 2018147443
便宜上、反応段階は上と同じ番号で説明する。
3.PEPがPPDKに結合し、一リン酸化PPDK及びピルビン酸を生じる。
2.二リン酸と一リン酸化PPDKから二リン酸化PPDKと無機リン酸が生じる。
1.二リン酸化PPDKとAMPからPPDKとATPが生じる。
PPDKは、特に限定されるものではないが、例えば、特開平8−168375(特許第3181801号)に記載のミクロビスポーラ・サーモローザ(Microbispora thermorosea)、Propionibacterium shremanii、Bacteroides symbiosus、Entamoeba histolytica、Acetobacter xylinum、Propionibacter shermaniiなどの微生物由来のものや、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来のものが挙げられる。
[アデニル酸キナーゼ(ADK)]
アデニル酸キナーゼ(EC 2.7.4.3)は、アデニレートキナーゼとも呼ばれ、金属イオンの存在下で、以下の反応を触媒する:
ATP+AMP←→2ADP
この反応は可逆的である。ADKは、AMPからADPを生成する反応を触媒する酵素の一例である。ADKをPK等と組み合わせると、ADPはATPに変換されるため、結果としてATP及びADP及びAMPを測定することができる。ADKは特に限定されるものではないが、例えば酵母などの微生物由来のものや、ウサギ、ブタ、ウシ、ラット、ブタなどの動物由来のものが挙げられる。
[ピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)]
ピルビン酸ウォータージキナーゼ(EC 2.7.9.2)は次の反応を触媒する:
ATP+ピルビン酸+H2O←→AMP+ホスホエノールピルビン酸(PEP)+リン酸(P)
ピルビン酸ウォータージキナーゼは別名を、ホスホエノールピルビン酸シンターゼ;ピルビン酸ウォータージキナーゼ(リン酸化);PEPシンテターゼ; ホスホエノールピルビン酸シンテターゼ;ホスホエノールピルビックシンテターゼ;ホスホピルベートシンテターゼともいう。本明細書ではこれらの用語は互いに置き換えることができる。
PWDKをPEPと共に使用することで、AMP及びPEPからATP生成を促進することができる。PWDKをPK等と組み合わせると、ADPはATPに変換されるため、結果としてATP及びADP及びAMPを測定することができる。PWDKは特に限定されるものではないが、例えば大腸菌、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、ピュロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、スタフィロテルムス・マリヌス(Staphylothermus marinus)、スルホロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、サーモコッカス・コダカレンシス(Thermococcus kodakarensis)、サーモプロテウス・テナックス(Thermoproteus tenax)、トウモロコシ(Zea mays)由来のものが挙げられる。
[RNA分解酵素]
ある実施形態において、本発明のキットはRNA分解酵素を含んでもよい。またある実施形態において、本発明の方法は、RNA分解酵素を使用してもよい。なお、ここでいうRNA分解酵素は、サンプルに由来しないRNA分解酵素を意味する。
本明細書において、RNA分解酵素とは、RNAから5'-モノヌクレオチド(AMP、GMP、CMP、及びUMP)を生成する反応を触媒する酵素を意味し、例えば以下に記載のものが挙げられる:(1)エンドヌクレアーゼ・エス・ワン(Endonuclease S1)(EC3.1.30.1)、(2)ベノム・エキソヌクレアーゼ(Venom exonuclease)(EC3.1.15.1)、(3)ホスホ・ジエステラーゼ・ワン(Phospho diesterase 1)(EC3.1.4.1)。なお、上記エンドヌクレアーゼ・エス・ワンには、ヌクレアーゼ・ピイ・ワン(Nuclease P1)、マング・ビーン・ヌクレアーゼ(Mung beans nuclease)、ニューロスポラ・クラッサ・ヌクレアーゼ(Neurospora crassa nuclease)が含まれる。
別の実施形態において、本発明のキットはRNA分解酵素を含まないか、又は実質的な量のRNA分解酵素を含まない。またある実施形態において、本発明の方法は、RNA分解酵素を使用しないか、又は実質的な量のRNA分解酵素を使用しない。この実施形態において、サンプルに由来するRNA分解酵素が反応系に含まれてもよい。本明細書において、「実質的な量のRNA分解酵素」とは、本発明のキット又は方法の効果(例えばATP分解活性の影響を受けにくい、正確な汚染の検出方法を提供するという効果)に影響を与えない量のRNA分解酵素を意味する。実質的なRNA分解酵素の量を含まない例として、例えば反応系での終濃度として0.3U/mL以下、0.15U/mL以下、0.1U/mL以下、0.05U/mL以下、0.01U/mL以下、又は0.001U/mL以下のRNA分解酵素を含むキット、又はこのような量のRNA分解酵素を用いる方法が挙げられる。本明細書において、RNA分解酵素の酵素単位は、酵素のRNA分解能に着目し、RNA分解能を有する酵素の活性単位(U)を37℃にて、1分当たり1.0μモルの基質を酸可溶性のヌクレオチドに変換する酵素量と定義する。例えば、Nuclease P1の酵素単位は、37℃にて、pH5.3で、1分当たり1.0μモルの基質を酸可溶性のヌクレオチドに変換する酵素量と定義される(Nuclease P1の酵素活性の定義の詳細については、Merck社のカタログ(http://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/Sigma/General_Information/nuclease_p1.pdf)を参照されたい)。
本発明のキット若しくは方法が、RNA分解酵素を含む若しくは使用する、又は実質的に含む若しくは使用するある実施形態において、RNA分解酵素はルシフェラーゼによる発光反応に寄与しなくともよいか、又は実質的に寄与しなくともよい。
本発明のキットが、RNA分解酵素を実質的に含むある実施形態において、本発明のキットはAMPからATPを生成する酵素を含まなくともよいか、又は実質的に含まなくともよい。本発明の方法がRNA分解酵素を実質的に使用するある実施形態において、本発明の方法はAMPからATPを生成する酵素を使用しなくともよいか、または実質的に使用しなくともよい。
本発明のキット若しくは方法が、RNA分解酵素を含む若しくは使用するある実施形態において、本発明はRNA分解酵素が完全に作用する前、例えばRNAに由来するATPが、RNAに由来しないATP、ADP、及びAMPの測定に影響を与える前に発光量の測定を行う。例えば、RNA分解酵素を含む場合の発光量が、RNA分解酵素を含まない場合の発光量に対して2倍以下、1.8倍以下、1.5倍以下、1.2倍以下、1.1倍以下、又は同等となるような時点で測定を行うことができる。測定時間はRNA分解酵素の量に応じて適宜設定可能であり、例えば10分以内、5分以内、4分以内、好ましくは3分以内、2分以内、又は1分以内、30秒以内、又は10秒以内とすることができる。多量のRNA分解酵素が含まれていても、反応時間を短くすることで、RNA分解酵素の作用を低減できる。
本発明のキット若しくは方法が、RNA分解酵素を含む若しくは使用するある実施形態において、本発明はRNAを含まないか、又はRNAを実質的に含まないサンプルに対して用いられてもよい。そのような例として、RNA分解酵素を含む場合の発光量が、RNA分解酵素を含まない場合の発光量に対して2倍以下、1.8倍以下、1.5倍以下、1.2倍以下、1.1倍以下、又は同等となるようなサンプルが挙げられる。
本明細書の開示に基づき、種々の変法が可能となる。ある実施形態において、本発明はADPからAMPを生成する酵素、AMPからATPを生成する酵素(例えばPPDK)、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含むキット並びにこれを用いる測定方法を提供する。ADPからAMPを生成する酵素及びAMPからATPを生成する酵素(例えばPPDK)を組み合わせると、ADPがAMPに変換され、AMPはATPに変換されるため、結果としてATP及びADP及びAMPを測定することができる。本キットは、さらにPEP及びPPiを含み得る。AMPからATPを生成する酵素については上記のとおりであり、ADPからAMPを生成する酵素としては、ADP依存性ヘキソキナーゼ、及びアピラーゼが挙げられる。
[ADP依存性ヘキソキナーゼ]
ADP依存性ヘキソキナーゼ(EC 2.7.1.147)は、ADP特異的ヘキソキナーゼとも呼ばれ、以下の反応を触媒する:
D-グルコース+ADP←→D-グルコース-6-リン酸+AMP
[アピラーゼ]
アピラーゼ(EC 3.6.1.5)は、アデノシンジホスファターゼ、ADPアーゼ、ATPジホスファターゼ、又はATPジホスホヒドロラーゼとも呼ばれ、以下の2つの反応を触媒する:
ATP+H2O←→ADP+リン酸(P)
ADP+H2O←→AMP+リン酸(P)
本明細書において、上記のADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、PPDK、PWDK及びADK並びにADPからAMPを生成する酵素を、ATP生成能を有する酵素と総称することがある。
ATP生成能を有する酵素は、微生物由来、細菌由来、真核生物由来、原生生物由来、植物由来、動物由来のもの等、任意の公知のものを用いることができ、例えば市販されているものを用いることができる。酵素の添加量は、目的の濃度や反応系に応じて適宜設定することができる。
ATP生成能を有する酵素としては種々のものが知られている。本明細書では酵素のATP生成能に着目し、ATP生成能を有する酵素の活性単位(U)を37℃でpH 7.8にて、1分当たり1.0μモルの基質をATPに変換する酵素量と定義する(1U=1μmol ATP/min, pH7.8, 37℃)。ある実施形態においてATP生成能を有する酵素は、測定系における活性単位が0.001U以上、0.01U以上、0.1U以上、1U以上、2U以上、3U以上、4U以上、又は5U以上となるよう添加することができる。ある実施形態においてATP生成能を有する酵素は、測定系における活性単位が10000U以下、1000U以下、100U以下、50U以下、10U以下、9U以下、8U以下、7U以下、又は6U以下となるよう添加することができる。当業者であれば該酵素の添加量を適宜決定することができる。
ATP生成能を有する酵素を使用する場合は、それぞれの酵素の基質を添加することができ、特に限定をされるものではないが、例えば、PPDKに対してはホスホエノールピルビン酸及びピロリン酸を、PK、AK、CK、PPK、FMNK、PFK1、FBPase、に対してはそれぞれ、ホスホエノールピルビン酸、アセチルリン酸、クレアチンリン酸、ポリリン酸、リン酸リボフラビン、フルクトース-1,6-ビスリン酸を使用できる。例えばPWDKに対してはホスホエノールピルビン酸及びリン酸を使用できる。また、例えばADP依存性ヘキソキナーゼに対してはグルコースを使用できる。ある実施形態において、本発明のキットはこれらの基質をさらに含む。ある実施形態において、本発明の方法はこれらの基質をさらに使用しうる。
[ホスホエノールピルビン酸(PEP)]
本発明の方法は、ホスホエノールピルビン酸(PEP)を使用しうる。場合により系に過剰量のPEPを添加することで、系に存在するATPやAMPの測定を促進しうる。使用するPEPの濃度としては、終濃度として、0.001mM〜4500mM、例えば2.1mMが挙げられる。
[ピロリン酸(PPi)]
本発明の方法は、ピロリン酸(PPi)を使用しうる。場合により系に過剰量のPPiを添加することで、系に存在するATPやAMPの測定を促進しうる。使用するPPiの濃度としては、終濃度として、0.001mM〜2000mM、例えば0.2mMが挙げられる。
反応試薬はまた、ルシフェラーゼ等のレポーター分子を分解から保護するウシ血清アルブミン又はゼラチンのような酵素安定化剤を含みうる。反応試薬はまた、pH調整や保存性を向上させる物質を添加してもよい。例えば適当なpH緩衝剤(HEPES、Tricine、Tris、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液等)、還元剤(ジチオトレイトール(DTT)、2-メルカプトエタノール等)、糖(グルコース、スクロース、トレハロース等)等が挙げられる。
ある実施形態において、本発明のキットは、使用説明書を含み得る。使用説明書は、本発明の洗浄プログラム評価方法、洗浄プログラム改善方法の手順や本発明のキットの使用方法が記載されたものであり得る。
[ルシフェラーゼを用いたATPアッセイ方法]
以下にルシフェラーゼを用いたアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。 以下を含むATP測定試薬を調製する。
MES 1 mM
酢酸マグネシウム 5.1mM
ピロリン酸カリウム 0.15mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1mM
ルシフェリン 0.8mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 12.5μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
上記のATP測定試薬0.1mLにATPを含む試料溶液0.1mLを添加し発光を測定する。発光量の測定は、既知のルミノメーター(ベルトールド社Centro LB960或いはLumat3 LB9508や、キッコーマンバイオケミファ社ルミノメーター等)を用いて測定しうる。
発光は、ある基準を定めて、それに対する相対発光単位(RLU)と記載することができる。ATP濃度が既知の基質溶液を用いて検量線を作成する。次いで、ATP濃度未知の試料溶液に上記のATP測定試薬を添加し同じ条件で発光を測定する。
[ATP+ADPアッセイ方法1(ルシフェラーゼ+PK)]
以下にATP+ADPのアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。
以下を含むATP+ADP測定試薬を調製する。
MES 1 mM
酢酸マグネシウム 5.1mM
ピロリン酸カリウム 0.15mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1mM
ルシフェリン 0.8mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 12.5 μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
PK 25U/mL
[ATP+ADPアッセイ方法2(ルシフェラーゼ+AK)]
以下にATP+ADPのアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。
以下を含むATP+ADP測定試薬を調製する。
MES 1 mM
酢酸マグネシウム 5.1mM
ピロリン酸カリウム 0.15mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1mM
ルシフェリン 0.8mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 12.5 μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
AK 25U/mL
[ATP+AMPアッセイ方法(ルシフェラーゼ+PPDK)]
以下にATP+AMPアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。
以下を含むATP+AMP測定試薬を調製する。
MES 1 mM
酢酸マグネシウム 5.1 mM
ピロリン酸カリウム 0.15 mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1 mM
ルシフェリン 0.8 mM
トリシン 25 mM
ルシフェラーゼ 12.5 μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
PPDK 2 U/mL
[ATP+AMP+ADPアッセイ方法1(ルシフェラーゼ+PK+PPDK)]
以下にATP+AMP+ADPアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。
以下を含むATP+AMP+ADP測定試薬を調製する。
MES 1 mM
酢酸マグネシウム 5.1mM
ピロリン酸カリウム 0.15mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1 mM
ルシフェリン 0.8mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 12.5 μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
PK 25U/mL
PPDK 2U/mL
代替法として、上記において、PPDKに代えて、PWDKを使用しうる(2U/mL)。この場合、ピロリン酸カリウムの代わりにリン酸を使用する。
[ATP+ADP+AMPアッセイ方法2(ルシフェラーゼ+PK+ADK)]
以下にATP+AMP+ADPアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。
以下を含むATP、AMP+ADP測定試薬を調製する。
酢酸マグネシウム 5.1mM
ピロリン酸カリウム 0.15mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1 mM
ルシフェリン 0.8mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 12.5μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
PK 25U/mL
ADK 500U/mL
[ATP+ADP+AMPアッセイ方法3(ルシフェラーゼ+PPDK+ADP依存性ヘキソキナーゼ又はアピラーゼ)]
以下にATP+AMP+ADPアッセイ方法を説明する。条件は例示的なものである。
以下を含むATP、AMP+ADP測定試薬を調製する。
MES 1 mM
酢酸マグネシウム 5.1 mM
ピロリン酸カリウム 0.15 mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 2.1 mM
ルシフェリン 0.8 mM
トリシン 25 mM
ルシフェラーゼ 12.5 μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
ADP依存性ヘキソキナーゼ 30 U/mL+グルコース 10 mM又はアピラーゼ 1 U/mL
PPDK 2U/mL
[実施例1]
[測定試薬]
ヌクレオチド測定は、以下の試薬を用いて行った。これらはあくまで例示であり、他の試薬類で代替可能である。ATP(従来1成分)には、ルシパックII(キッコーマンバイオケミファ社製)、ATP+AMP(従来2成分)には、ルシパックPen(キッコーマンバイオケミファ社製)、ATP+ADP(本発明2成分)には、ルシパックIIにホスホエノールピルビン酸(PEP)を0.1mg、ピルビン酸キナーゼ(Lee Biosolutions Inc. カタログ番号500-20) を5U添加した試薬、ATP+ADP+AMP(本発明3成分)にはルシパックPenにピルビン酸キナーゼを5U加えた試薬を使用し、ATP(従来1成分)、ATP+ADP(本発明2成分)はルミテスターC-110(キッコーマンバイオケミファ社製)を用いて、ATP+AMP(従来2成分)、ATP+ADP+AMP(本発明3成分)にはルミテスターPD-30(キッコーマンバイオケミファ社製)を用いて発光量を測定した。尚、本試薬では同じ濃度のATP溶液を測定した場合、同程度の発光量が表示される。
ルシパックII及びルシパックPenは以下を含む組成で代替できる。ルシフェラーゼはキッコーマンバイオケミファ社製(カタログ番号:61314)を用い、PPDKは特開平8−168375(特許第3181801号)に記載のものを用いた。
<ルシパックII組成>
酢酸マグネシウム 7mM
ルシフェリン 0.5mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 0.7 μg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
<ルシパックPen組成>
酢酸マグネシウム 7mM
ルシフェリン 0.5mM
トリシン 25mM
ルシフェラーゼ 0.2 mg protein/mL(280nmにおける吸光度をルシフェラーゼ濃度(mg protein/mL)とする。)
ピロリン酸カリウム 0.2mM
ホスホエノールピルビン酸カリウム 1.4mM
PPDK 1.3U/mL
[調理関連器具の汚染度評価]
調理関連器具の洗浄方法の違いによる清浄度評価は以下の方法により行った。
図1の写真のようにまな板を格子状に区切った。1マスは6.5cm×6.8cmである。まな板の上面全体に均一になるように豚肉をこすりつけることで肉を付着させた。
次いで、下記1〜5の条件でまな板を処理し、格子状に区切った一番上の段の一マスごとに綿棒で拭き取りATP(従来1成分)、ATP+AMP(従来2成分)、ATP+ADP+AMP(本発明3成分)、ATP+ADP(本発明2成分)を測定した:
洗浄条件
1.肉の付着無し、洗浄処理を行わない(ネガティブコントロール)
2.肉を付着させ、洗浄処理を行わない(ポジティブコントロール)
3.肉を付着させ、その後、流水で約10秒流す(流水洗浄)
4.肉を付着させ、その後、スポンジで軽くこすり、流水で約10秒程度洗浄する(スポンジ+流水洗浄)
5.肉を付着させ、その後、洗剤をつけたスポンジでこすり流水で洗浄(洗剤洗浄+流水洗浄)
測定終了後、霧吹きで滅菌超純水をまな板上面全面に噴霧し、水を張った密閉プラスチック容器にまな板を入れ、その際、まな板をラックに載せて、張った水にまな板が接触しないようにし、密閉プラスチック容器の蓋をして、30℃で2日間保存した。保存後、まな板上面の格子状に区切った下段4マス分の表面を綿棒で拭き取り、1mLの滅菌超純水に溶解し、その溶解液を滅菌超純水で100倍希釈し、トリプトソイ寒天培地に50μL撒き、30℃で20時間培養し(図2)、コロニー数をカウントした。菌数は、希釈倍率(100倍)と塗布量(50μL)を考慮し、得られたコロニー数に2000倍した値をcfu/mLとして算出した。
[結果]
結果は次のとおりである。発光単位はRLUであり、菌数計測単位はcfu/mLである。
Figure 2018147443
表1のとおり、洗浄方法による清浄度評価結果は、測定する成分の数及び種類によって分かれた。ATPのみ測定した場合は、3.流水洗浄した場合の方が、4.スポンジ+流水洗浄を行った場合よりも発光が低かった。この傾向はATP+AMPの2成分を測定した場合と一致しなかった。したがってATPのみ測定したのでは、清浄度評価が安定しない可能性がある。2成分測定では、ATP+AMPを測定した場合の総発光量は、ATP+ADPのそれよりも低かった。3成分測定での総発光量が最も多かったが、ATP+ADPを測定した場合がこれに準じる発光量であり、ATP+ADPの2成分を測定すれば、ATP+ADP+AMPの3成分を測定した場合とほぼ同じ評価を行うことができることが示された。
菌数計測では、「2.ポジティブコントロール」及び「3.流水洗浄」では、生育菌数が多すぎてカウント不能であった。「4.スポンジ+流水洗浄」では菌数は96000cfu/mLであり汚染が残留していることが確認できるが、このサンプルについての発光量は、測定する成分によって異なった。「4.スポンジ+流水洗浄」に関し、表1では測定する成分によって、5〜10倍程度の感度差が出ている。拭き取り面がより小さい場合には、ATPのみ又はATP+AMP測定では発光値がさらに低くなり、実際には汚染が残留しており菌が増殖する可能性があるにも関わらず、清浄であると判断される可能性がある。また「4.スポンジ+流水洗浄」の場合の残留汚染について、ATP+ADP又はATP+ADP+AMPを測定すればより正確に汚染を検出し得る。
本試験は、菌の生育に適した条件を用いた一種の加速試験であるが、実際の調理現場等では、より生育菌数が少なくなるよう洗浄が行われると考えられる。その場合、ATP+AMPを測定した場合の発光量では汚染を検出できないが、ATP+ADP又はATP+ADP+AMPを測定すれば検出できる可能性がある。同様に、ATP分解酵素等を含むサンプルについて、ATP+AMPを測定した場合の発光量では汚染を検出できないが、ATP+ADP又はATP+ADP+AMPを測定すれば検出できる可能性があると考えられる。
上記の例はあくまでモデル系であるが、4.の洗浄方法では汚染が残留するため不十分であり、5.の洗浄方法へプログラムを修正することが必要と分かる。当業者であれば、こうした知見に基づいて、洗浄プログラムを実行した場合の清浄度を評価したり汚染の在留を測定し、必要に応じてプログラムを修正したり改善することができる。
[実施例2]
ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素を用いるATP+ADP+AMPの測定系の構築
ATP+AMP測定用発光試薬に、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素であるADP依存性ヘキソキナーゼ(旭化成ファーマ、T-93 ADP-HKTII)とグルコースを加え、ATP+ADP+AMPの測定が可能かを調べた。発光試薬の組成は以下の通りである。
Figure 2018147443
ATP、ADP、又はAMPの各種濃度の標準品(1×10-9M〜1×10-6M)を作製し、上記発光試薬に対し、以下の比率で発光試薬と混合し、ルミテスターC-110(キッコーマンバイオケミファ社)を用いて測定した(n=2):
0.1mL 発光試薬
0.01mL 種々の濃度のATP、ADP、又はAMP溶液
発光時の溶液中のATP、ADP、及びAMPのmol量を計算し、検量線を作成した。結果を図3−1〜3−3に示す。
続いて、同組成のATP+AMP測定用発光試薬に、ヘキソキナーゼの代わりにADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素であるアピラーゼ(Sigma A6536)を加え、上記と同様にATP+ADP+AMPの測定が可能かを調べた。発光試薬の組成は以下の通りである。
Figure 2018147443
発光時の溶液中のATP、ADP、及びAMPのmol量を計算し、検量線を作成した。結果を図4−1〜4−3に示す。
これらの結果は、AMPからATPを生成する反応を触媒するPPDKと、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素を併用することで、ATP+ADP+AMPの測定が可能であることを示している。これらの方法を用いて上記の調理関連器具の汚染度評価を行うことができる。
本願発明のキットを用いることにより、調理関連器具の汚染度を測定することができる。また汚染度に応じて、調理関連器具の洗浄方法や洗浄プログラムを修正又は改変することができる。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (26)

  1. 以下の工程を含む、ATP及びADP測定キットを使用した、洗浄プログラム評価方法、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
    ここで該ATP及びADP測定キットは、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用のATP及びADP測定キットである、前記方法。
  2. 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、請求項1に記載の方法。
  3. 以下の工程を含む、ATP及びADP測定キットを使用した、洗浄プログラム改善方法、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
    (v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
    ここで該ATP及びADP測定キットは、ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用のATP及びADP測定キットである、前記方法。
  4. さらに工程(i)の前に、
    (o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
    を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルビン酸キナーゼ(PK)、酢酸キナーゼ(AK)、クレアチンキナーゼ(CK)、ポリリン酸キナーゼ(PPK)、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、グリセロールキナーゼ、フルクトキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、リボフラビンキナーゼ、及びフルクトースビスホスファターゼからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記ATP及びADP測定キットが、さらにAMP測定試薬を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. AMP測定試薬が、AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素を含む、請求項6に記載の方法。
  8. AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)、アデニル酸キナーゼ(ADK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 以下の工程を含む、ATP、ADP及びAMP測定キットを使用した、洗浄プログラム評価方法、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
    ここで該測定キットは、AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用の測定キットである、前記方法。
  10. 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、請求項9に記載の方法。
  11. 以下の工程を含む、ATP、ADP及びAMP測定キットを使用した、洗浄プログラム改善方法、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
    (v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
    ここで該測定キットは、AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善用の測定キットである、前記方法。
  12. さらに工程(i)の前に、
    (o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
    を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)であり、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素が、ADP依存性ヘキソキナーゼ又はアピラーゼである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム評価方法に用いるためのATP及びADP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム評価方法は、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、並びに
    (iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
    を含む方法である、前記キット。
  15. 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、請求項14に記載のキット。
  16. ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善方法に用いるためのATP及びADP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム改善方法は、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
    (v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
    を含む方法である、前記キット。
  17. さらに工程(i)の前に、
    (o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
    を含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載のキット。
  18. ADPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルビン酸キナーゼ(PK)、酢酸キナーゼ(AK)、クレアチンキナーゼ(CK)、ポリリン酸キナーゼ(PPK)、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、グリセロールキナーゼ、フルクトキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、リボフラビンキナーゼ、及びフルクトースビスホスファターゼからなる群より選択される、請求項14〜17のいずれか1項に記載のキット。
  19. 前記キットが、さらにAMP測定試薬を含む、請求項14〜18のいずれか1項に記載のキット。
  20. AMP測定試薬が、AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素を含む、請求項19に記載のキット。
  21. AMPからADP又はATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)、アデニル酸キナーゼ(ADK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)を含む、請求項20に記載のキット。
  22. AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム評価方法に用いるためのATP、ADP及びAMP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム評価方法は、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、並びに
    (iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程では汚染が十分に除去されない、と評価する、
    を含む方法である、前記キット。
  23. 工程(iv)において汚染が十分に除去されないと評価された場合、工程(i)と同一又は異なる方法により調理関連器具をさらに洗浄する、請求項22に記載のキット。
  24. AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び金属塩を含む、調理関連器具洗浄プログラム改善方法に用いるためのATP、ADP及びAMP測定キット、ここで該調理関連器具洗浄プログラム改善方法は、
    (i) プログラムに従い調理関連器具を洗浄する、
    (ii) 洗浄した調理関連器具について、該キットを使用し、汚染度を測定する、
    (iii) 工程(ii)で測定された汚染度と、プログラムで規定されている参照を比較する、(iv) 測定された汚染度が、プログラムで規定されている参照を超える場合には、(i)の洗浄工程を修正する、並びに
    (v) 汚染度がプログラムで規定されている参照以下となるまで、工程(i)〜(iv)を繰り返す、
    を含む方法である、前記キット。
  25. さらに工程(i)の前に、
    (o) 調理関連器具の洗浄プログラムを作成する工程、
    を含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載のキット。
  26. 前記AMPからATPを生成する反応を触媒する酵素が、ピルベートオルトホスフェートジキナーゼ(PPDK)又はピルビン酸ウォータージキナーゼ(PWDK)であり、ADPからAMPを生成する反応を触媒する酵素が、ADP依存性ヘキソキナーゼ又はアピラーゼである、請求項22〜25のいずれか1項に記載のキット。
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