JPWO2018147289A1 - 連続発酵によるアルコールの製造方法およびそれに用いる連続発酵装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造する方法であって、複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を発酵槽に供給しながら、前記発酵槽において前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、前記得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる工程を含み、前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有し、前記複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を供給する際、前記発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムが、前記複数の発酵原料供給システムから交代で選択される、製造方法を提供する。
Description
本発明は、連続発酵によるアルコールの製造方法およびそれに用いる連続発酵装置に関するものである。
微生物や培養細胞の培養を伴う物質生産方法である発酵法は、大きく(1)回分発酵法(Batch発酵法)および流加発酵法(Fed-Batch発酵法)と(2)連続発酵法に分類することができる。
回分および流加発酵法は、設備的には簡素であり、短時間で培養が終了し、雑菌汚染による被害が少ないというメリットがある。しかし、時間経過とともに培養液中の生産物濃度が高くなり、浸透圧あるいは生産物阻害等の影響により生産性及び収率が低下してくる。このため、長時間にわたり安定して高収率かつ高生産性を維持するのが困難である。
一方で、連続発酵法では、連続的に培地を供給した発酵槽において微生物や培養細胞を連続的に培養する。例えば、L-グルタミン酸やL-リジンの発酵に用いられる連続培養法が開示されている(非特許文献1)。
このような連続発酵法によれば、理論的には目的物質を長時間にわたって効率良く得ることができるはずである。しかしながら、このような利点にもかかわらず、従来の連続発酵では、発酵槽等において雑菌汚染のリスクが高まることから、長期間の連続稼働を工業スケールで実現することは事実上困難とされていた(非特許文献1)。
さらに、連続培養法には、発酵槽に発酵原料を連続的に供給するとともに、発酵に使用する微生物を含んだ培養液を発酵槽から抜き出すために、培養液中の微生物が希釈されることから、生産効率の向上は限定されるという問題もあった。そこで、連続発酵法において、培養液中の微生物濃度を高く維持することは、連続発酵分野において重要な課題であった。
本発明者らは、上記課題を解決する手段として、連続発酵法において、微生物を含む発酵液を分離膜で濾過し、濾液から生産物を回収すると共に濾過された微生物を培養液に保持または還流させ、発酵槽中の微生物濃度を高く維持する方法およびそれに用いる連続発酵装置を提案している(特許文献1)。
Toshihiko Hirao et. al.、 Appl. Microbiol. Biotechnol., 32, 269- 273
「発酵工学の基礎 実験室から工場まで」 P.F. Strambury, A.Whitaker著、1998年9月1日(初版発行)、学会出版センター
分離膜を用いて発酵槽に微生物等を保持または還流させることを特徴とする連続発酵装置によれば、微生物を効率的に利用しうることから、従来の連続発酵装置より連続発酵を長期間実施しうるものと期待される。そこで、本発明者らは、後述する試験例1および2に示されるように、分離膜を用いて発酵槽に微生物等を保持または還流させることを特徴とする連続発酵装置を用い、原料および装置を滅菌せずに実施した場合にどの程度の期間継続して連続発酵によりアルコールを製造することができるか検討したところ、約300時間前後で雑菌の混入に起因する発酵効率の低下が認められることが明らかとなった。したがって、分離膜を用いて発酵槽に微生物等を保持または還流させることを特徴とする連続発酵装置においても、雑菌の混入を防止し、連続発酵によるアルコール製造を長期間継続することは重要な課題といえる。
本発明らは、今般、当該課題を解決するために鋭意検討した結果、分離膜を用いて微生物を発酵槽に保持または還流させることを特徴とする連続発酵装置において、複数の独立した発酵原料供給システムを交代で用いて発酵原料を発酵槽に供給すると、雑菌の混入を効果的に防止し、長期間にわたり連続発酵によりアルコールを効率的に製造しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
本発明によれば、以下が提供される。
(1)発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造する方法であって、
複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を発酵槽に供給しながら、前記発酵槽において前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、前記得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる工程を含み、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有し、
前記複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を供給する際、前記発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムが、前記複数の発酵原料供給システムから交代で選択される、製造方法。
(2)前前記発酵原料は滅菌処理されていない、(1)に記載の製造方法。
(3)各発酵原料供給システムは、1〜6日間に亘って前記発酵原料を供給する毎に、前記発酵原料の供給を休止する、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)各発酵原料供給システムは、前記発酵原料の供給を休止している間に、洗浄される、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記発酵原料の供給を休止した発酵原料供給システムは、洗浄後に、前記発酵原料の供給を再開する、(4)に記載の製造方法。
(6)前記発酵原料供給システムを洗浄して得られる液体を発酵槽に供給する、(4)または(5)に記載の製造方法。
(7)前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールからなる群から選択される少なくとも1つのものである、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)前記発酵原料が糖蜜である、(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造するための連続発酵装置であって、
互いに同一の前記発酵原料を供給する複数の発酵原料供給システムと、
前記複数の発酵原料供給システムから供給される前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得る発酵槽と、
前記発酵槽で得られた発酵液を濾過する分離膜モジュールと、
前記発酵槽と前記分離膜モジュールとを接続し、前記発酵槽で得られた前記発酵液を前記分離膜モジュールへ送液する第1ラインと、
前記分離膜モジュールと前記発酵槽とを接続し、前記分離膜モジュールにおいて前記発酵液を濾過することにより得られる未濾過液を前記発酵槽へ送液する第2ラインと、を備え、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、糖を含む互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有する、アルコール製造用の連続発酵装置。
(10)前記供給ラインはラインミキサを含む、(9)に記載の連続発酵装置。
(11)前記発酵原料供給システムは発酵原料滅菌装置を含まない、(9)または(10)に記載の連続発酵装置。
(12)複数の発酵原料供給システムに接続した洗浄タンクをさらに備えている、(9)から(11)のいずれかに記載の連続発酵装置。
(13)前記複数の発酵原料供給システムのそれぞれに接続した洗浄タンクをさらに備える、(12)に記載の連続発酵装置。
(1)発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造する方法であって、
複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を発酵槽に供給しながら、前記発酵槽において前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、前記得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる工程を含み、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有し、
前記複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を供給する際、前記発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムが、前記複数の発酵原料供給システムから交代で選択される、製造方法。
(2)前前記発酵原料は滅菌処理されていない、(1)に記載の製造方法。
(3)各発酵原料供給システムは、1〜6日間に亘って前記発酵原料を供給する毎に、前記発酵原料の供給を休止する、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)各発酵原料供給システムは、前記発酵原料の供給を休止している間に、洗浄される、(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記発酵原料の供給を休止した発酵原料供給システムは、洗浄後に、前記発酵原料の供給を再開する、(4)に記載の製造方法。
(6)前記発酵原料供給システムを洗浄して得られる液体を発酵槽に供給する、(4)または(5)に記載の製造方法。
(7)前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールからなる群から選択される少なくとも1つのものである、(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)前記発酵原料が糖蜜である、(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9)発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造するための連続発酵装置であって、
互いに同一の前記発酵原料を供給する複数の発酵原料供給システムと、
前記複数の発酵原料供給システムから供給される前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得る発酵槽と、
前記発酵槽で得られた発酵液を濾過する分離膜モジュールと、
前記発酵槽と前記分離膜モジュールとを接続し、前記発酵槽で得られた前記発酵液を前記分離膜モジュールへ送液する第1ラインと、
前記分離膜モジュールと前記発酵槽とを接続し、前記分離膜モジュールにおいて前記発酵液を濾過することにより得られる未濾過液を前記発酵槽へ送液する第2ラインと、を備え、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、糖を含む互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有する、アルコール製造用の連続発酵装置。
(10)前記供給ラインはラインミキサを含む、(9)に記載の連続発酵装置。
(11)前記発酵原料供給システムは発酵原料滅菌装置を含まない、(9)または(10)に記載の連続発酵装置。
(12)複数の発酵原料供給システムに接続した洗浄タンクをさらに備えている、(9)から(11)のいずれかに記載の連続発酵装置。
(13)前記複数の発酵原料供給システムのそれぞれに接続した洗浄タンクをさらに備える、(12)に記載の連続発酵装置。
本発明によれば、分離膜を用いて発酵槽に微生物等を保持または還流させることを特徴とする連続発酵装置において、雑菌の混入を効果的に防止し、長期間にわたり連続発酵により効率的にアルコールを製造することができる。
連続発酵によるアルコールの製造方法
本発明の発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造する方法は、
複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を発酵槽に供給しながら、前記発酵槽において前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、前記得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる工程を含み、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有し、
前記複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を供給する際、前記発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムが、前記複数の発酵原料供給システムから交代で選択されることを特徴としている。
本発明の発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造する方法は、
複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を発酵槽に供給しながら、前記発酵槽において前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、前記得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる工程を含み、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有し、
前記複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を供給する際、前記発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムが、前記複数の発酵原料供給システムから交代で選択されることを特徴としている。
発酵原料の準備工程
本発明のアルコールの製造方法では、まず、発酵原料を準備する。
本発明の発酵原料は、炭素源、窒素源、無機塩類等の有機微量栄養素を適宜含有する通常の液体培地が好ましい。炭素源としては、グルコース、シユークロース、フラクトース、ガラクトース、ラタトース等の糖類、これら糖類を含有する澱粉糖化液、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、糖蜜(モラセス)、ハイテストモラセス、ケーンモラセス、有機酸、グリセリン等を使用することができる。窒素源としては、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩類、尿素、硝酸塩類、その他補助的に使用される有機窒素源、例えば油粕類、大豆加水分解液、カゼイン分解物、その他のアミノ酸、ビタミン類、コーンスティープリカ一、酵母または酵母エキス、肉エキス、ペプトン等のペプチド類、各種発酵菌体およびその加水分解物等を使用することができる。無機塩類としては、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等を適宜添加することができる。
本発明のアルコールの製造方法では、まず、発酵原料を準備する。
本発明の発酵原料は、炭素源、窒素源、無機塩類等の有機微量栄養素を適宜含有する通常の液体培地が好ましい。炭素源としては、グルコース、シユークロース、フラクトース、ガラクトース、ラタトース等の糖類、これら糖類を含有する澱粉糖化液、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、糖蜜(モラセス)、ハイテストモラセス、ケーンモラセス、有機酸、グリセリン等を使用することができる。窒素源としては、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩類、尿素、硝酸塩類、その他補助的に使用される有機窒素源、例えば油粕類、大豆加水分解液、カゼイン分解物、その他のアミノ酸、ビタミン類、コーンスティープリカ一、酵母または酵母エキス、肉エキス、ペプトン等のペプチド類、各種発酵菌体およびその加水分解物等を使用することができる。無機塩類としては、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等を適宜添加することができる。
また、本発明の発酵原料としては、発酵原料の栄養成分を熱で破壊しないようにするため、滅菌処理されていない無滅菌の発酵原料を使用することが好ましい。ここで、滅菌処理とは、増殖性を持つ微生物を完全に殺菌または除去する処理であり、具体的には、発酵原料を100℃以上の高温条件または高温高圧条件に保ち微生物を死滅させる方法、発酵原料をフィルターでろ過し微生物を除去する方法、発酵原料にUVやγ線などを照射して微生物の増殖能力を喪失させる方法などが挙げられるが、本発明の無滅菌の発酵原料は上述のような滅菌処理をしていない発酵原料が好適に用いられ、増殖性を持つ微生物が完全に殺菌または除去されていない状態であってもよい。かかる無滅菌の発酵原料は、好ましくは糖を含む発酵原料であり、より好ましくは糖蜜(モラセス)を主成分として含む発酵原料である。なお、本発明において糖蜜を主成分として含む発酵原料とは、発酵原料に含まれる物質(水を除く)のうち50重量パーセント以上が糖蜜であることを意味する。本発明のように無滅菌の発酵原料を使用して連続発酵を長期間実施することは、工業生産効率の観点から有利である。特に、糖蜜をはじめとする高濃度の糖を含有する発酵原料は、発酵原料中で微生物が繁殖しにくいことから、長期間にわたり連続発酵を継続する上で好ましい。
アルコール製造工程
本発明のアルコールの製造方法では、上述のような発酵原料を複数の発酵原料供給システムを用いて発酵槽に供給しながら、発酵槽において発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる。以下、本発明のアルコール製造方法を図1に基づいてより具体的に説明する。
本発明のアルコールの製造方法では、上述のような発酵原料を複数の発酵原料供給システムを用いて発酵槽に供給しながら、発酵槽において発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる。以下、本発明のアルコール製造方法を図1に基づいてより具体的に説明する。
図1は、本発明のアルコール製造方法に用いられる連続発酵装置の一実施態様の模式図である。図1に示す連続発酵装置1は、複数の発酵原料供給システム2、発酵槽3、および分離膜モジュール4を備えている。
[複数の発酵原料供給システムを用いた発酵原料の供給]
本発明のアルコールの製造方法では、発酵原料を複数の発酵原料供給システム2a、2bを用いて発酵槽3に供給する。複数の発酵原料供給システム2a、2bは、それぞれ独立して、発酵原料を収容する発酵原料タンク5と、発酵原料タンク5と発酵槽3との間を接続する供給ライン6とを有している。供給ライン6には、発酵原料を発酵槽3へ送液するためのポンプ7が好ましくは配置されている。また、複数の発酵原料供給システム2a、2bは、互いに同一の前記発酵原料を発酵槽3へ供給する。ここで、本発明において、発酵原料供給システムの数は、2個以上であれば特に限定されず、例えば、3個〜5個としてもよく、発酵効率等を勘案して当業者は適宜設定することができる。
本発明のアルコールの製造方法では、発酵原料を複数の発酵原料供給システム2a、2bを用いて発酵槽3に供給する。複数の発酵原料供給システム2a、2bは、それぞれ独立して、発酵原料を収容する発酵原料タンク5と、発酵原料タンク5と発酵槽3との間を接続する供給ライン6とを有している。供給ライン6には、発酵原料を発酵槽3へ送液するためのポンプ7が好ましくは配置されている。また、複数の発酵原料供給システム2a、2bは、互いに同一の前記発酵原料を発酵槽3へ供給する。ここで、本発明において、発酵原料供給システムの数は、2個以上であれば特に限定されず、例えば、3個〜5個としてもよく、発酵効率等を勘案して当業者は適宜設定することができる。
本発明の製造方法において、複数の発酵原料供給システム2a、2bを用いて発酵原料を供給する際、発酵原料供給システム2a、2bのいずれかは、発酵原料の供給を休止する。
発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムは、複数の発酵原料供給システム2a、2bから交代で選択される。例えば、発酵原料供給システム2aが休止している場合には発酵原料供給システム2bが稼働して発酵原料を供給し、発酵原料供給システム2bが休止している場合には発酵原料供給システム2aが稼働して発酵原料を供給する。連続発酵において発酵原料の供給速度は一定であることが好ましいため、稼働している発酵原料供給システムがいくつであっても、各発酵原料供給システムから供給される発酵原料の供給速度の合算が一定となるように制御することが好ましい。そのため制御を簡便にするためには稼働している発酵原料供給システムは1つであることが好ましい。また、発酵原料タンク5には高濃度の発酵原料が仕込まれていることが好ましく、そのため発酵槽に供給される直前で水により適切な糖濃度に希釈されることが好ましい。そのため発酵原料供給システム2a、2bにおける供給ライン6にはそれぞれ、ラインミキサ17a、17bを配置することが好ましい。また、ラインミキサ17a、17bに水を供給するため、水タンク14’をさらに設置することが好ましい。水タンク14’は、例えば、図1に示される通り、T字型の分岐を有するライン18を介してラインミキサ17a、17bに接続していてもよい。また、ライン18には連結弁19a、19bを設置し、その開閉により、水の供給先を選択できるようにしてもよい。また、水をラインミキサ17a、17bへ送液するため、ポンプ7をさらに設置してもよい。
発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムは、複数の発酵原料供給システム2a、2bから交代で選択される。例えば、発酵原料供給システム2aが休止している場合には発酵原料供給システム2bが稼働して発酵原料を供給し、発酵原料供給システム2bが休止している場合には発酵原料供給システム2aが稼働して発酵原料を供給する。連続発酵において発酵原料の供給速度は一定であることが好ましいため、稼働している発酵原料供給システムがいくつであっても、各発酵原料供給システムから供給される発酵原料の供給速度の合算が一定となるように制御することが好ましい。そのため制御を簡便にするためには稼働している発酵原料供給システムは1つであることが好ましい。また、発酵原料タンク5には高濃度の発酵原料が仕込まれていることが好ましく、そのため発酵槽に供給される直前で水により適切な糖濃度に希釈されることが好ましい。そのため発酵原料供給システム2a、2bにおける供給ライン6にはそれぞれ、ラインミキサ17a、17bを配置することが好ましい。また、ラインミキサ17a、17bに水を供給するため、水タンク14’をさらに設置することが好ましい。水タンク14’は、例えば、図1に示される通り、T字型の分岐を有するライン18を介してラインミキサ17a、17bに接続していてもよい。また、ライン18には連結弁19a、19bを設置し、その開閉により、水の供給先を選択できるようにしてもよい。また、水をラインミキサ17a、17bへ送液するため、ポンプ7をさらに設置してもよい。
また、各発酵原料供給システム2a、2bは、発酵原料の供給を休止している間に洗浄される。このように発酵原料システムを後述する適切な間隔で交代で休止させて洗浄することにより、発酵原料を滅菌処理しなくとも、連続発酵を長期間継続しうることは意外な事実である。
本発明の発酵原料供給システム2a、2bにおいて、発酵原料の供給を休止する間隔は、雑菌の種類、温度、湿度、スケール等に応じて当業者により適宜決定することができるが、例えば、1〜10日間、好ましくは1〜6日間であり、より好ましくは1〜2日間である。
[複数の発酵原料供給システムの洗浄]
[複数の発酵原料供給システムの洗浄]
また、図1に示される通り、複数の発酵原料供給システム2a、2bはそれぞれ、システム内の洗浄のための洗浄液(水等)を含有する洗浄タンク14にラインを介して接続していることが好ましい。図1において、洗浄タンク14は、T字型の分岐を有するライン15を介して発酵原料供給システム2a、2b中の発酵原料タンク5に接続している。発酵原料タンク5はタンク内部の天板部に設置したスプレーボールに接続することが好ましい。
ライン15は連結弁16a、16bを有しており、洗浄液を発酵槽2へ送液するためのポンプ7を備えている。
ライン15は連結弁16a、16bを有しており、洗浄液を発酵槽2へ送液するためのポンプ7を備えている。
発酵原料供給システム2aを休止させる際には、連結弁16aを開き、発酵原料供給システム2aにおける発酵原料タンク5およびライン6を洗浄液により洗浄することができる。また、発酵原料供給システム2bを休止させる際には、連結弁16bを開き、発酵原料供給システム2bにおける発酵原料タンク5に原料およびライン6を洗浄液により洗浄することができる。なお、発酵槽と接続する洗浄タンクの数は、特に限定されず、1つであってもよく、複数であってもよいが、設備コストの観点からは図1に示されるように1つであることが好ましい。
また、発酵原料供給システム2a、2bを洗浄する際に、発酵原料供給システム2a、2bを洗浄して得られる液体は、発酵槽3に供給することが好ましい。かかる洗浄により得られる液体には、発酵原料タンク5ないし供給ライン6に残存している発酵原料が溶解していることから、発酵原料の効率的な利用の観点から発酵槽に供給することが好ましい。
また、発酵原料供給システム2a、2bにおける供給ライン6にはそれぞれ、発酵原料が設定どおりラインミキサにより希釈されているか否かを確認するか、または洗浄液中に残存している発酵原料の濃度を測定する観点から、糖濃度測定計9を備えることが好ましい。供給ライン6における糖濃度測定計9の具体的な位置は、特に限定されないが、発酵原料の糖濃度を正確に測定する観点からは、供給ライン6と、発酵槽3との接続部位の近傍であることが好ましい。
[発酵槽および分離膜モジュールを用いた発酵]
本発明のアルコールの製造方法では、上述のように複数の発酵原料供給システムから供給される発酵原料を用い、発酵槽において発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を発酵槽に保持または還流させる。
本発明のアルコールの製造方法では、上述のように複数の発酵原料供給システムから供給される発酵原料を用い、発酵槽において発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を発酵槽に保持または還流させる。
図1に示される通り、発酵槽3は、発酵槽3中の発酵原料と微生物を攪拌する攪拌機8を有している。発酵槽3では、複数の発酵原料供給システム2から供給される発酵原料中で微生物を培養して発酵液を得る。
本発明の製造方法では、本発明の効果を妨げない限り、発酵槽の数は問わない。本発明の製造方法では、連続培養操作は、通常、図1に示される通り、単一の発酵槽で行うのが、培養管理上好ましい。しかしながら、発酵槽の容量が小さい等の理由から、複数の発酵槽を用いることも可能である。例えば、複数の発酵槽を配管で並列または直列に接続して連続培養を行ってもよい。
本発明の製造方法では、培養液中の糖類濃度は5g/L以下に保持されるのが好ましい。培養液中の糖類濃度は5g/L以下に保持することが好ましい理由は、培養液の引き抜きによる糖類の流失を最小限にするためである。培養液中の糖類濃度は、発酵原料供給システムから供給される発酵原料の組成、供給速度によって適宜調節することができる。
微生物の培養は、通常、pH4-8、温度20-40℃の範囲で行うことができる。培養液のpHは、無機あるいは有機の酸、アルカリ性物質、さらには尿素、炭酸カルシウム、アンモニアガスなどによって、通常、PH4-8範囲内のあらかじめ定められた値に調節することができる。また、必要に応じて通気を行っても良い。
本発明の製造方法では、培養初期にBatch培養またはFed-Batch培養を行って、微生物濃度を高くした後に、連続培養を開始してもよい。本発明の製造方法では、微生物濃度を高くした後に、高濃度の菌体をシードし、培養開始とともに連続培養を行ってもよい。本発明の製造方法では、適当な時期から発酵原料の供給および培養物の連続培養を行うことが可能である。発酵原料供給と連続培養の開始時期は必ずしも同じである必要はない。
発酵槽の培養液中の微生物(培養細胞を含む)の濃度は、培養液の環境が微生物胞の増殖にとって不適切となって死滅する比率が高くならない範囲で、高い状態で維持することが、効率よい生産性を得るのに好ましい。培養液中の微生物の濃度は、一例として、乾燥重量として、5g/L以上に維持することで良好な生産効率が得られる。
本発明の製造方法では、必要に応じて発酵槽内から微生物を引き抜くことができる。例えば、発酵槽内の微生物濃度が高くなりすぎると、分離膜の閉塞が発生しやすくなることから、引き抜くことで、閉塞から回避することができる。
次に、本発明の製造方法に用いることができる微生物について説明する。本発明の製造方法で使用される微生物については、アルコールの生産に用いることができる限り特に制限はない。アルコールの生産に用いることができる微生物としては、例えば、サッカロミセス属(Genus Saccharomyces)、クノレべロマイセス属(Genus Kluyveromyces)、シゾサッカロミセス属(Genus Schizosaccharomyces)に属する酵母を用いることができる。このうちサッカロミセス ・セレビセ (Saccharomyces cerevisiae)、クノレべロマイセス ・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、シゾサッカロセス ・ポンへ(Schizosaccharomyces pombe)を好適に用いることができる。
本発明におけるアルコールの生産に用いることができる微生物は 人為的にアルコール生産能力を高めた微生物あるいは培養細胞であってもよい。本発明におけるアルコールの生産に用いることができる微生物は、具体的には、突然変異や遺伝子組換えによって一部性質が改変されたものであってもよい。一部性質が改変されたものの一例としては、リゾパス属に属するカビのダルコアミラーゼ遺伝子を組み込み生でんぷんの資化能力を獲得した酵母を挙げることができる(微生物、3: 555-564(1987))。
[分離膜モジュールにおけるアルコール含有濾液と未濾過液の分離]
本発明では、上述のようにして得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を発酵槽に保持または還流させる。このように未濾過液中に含まれる微生物等を発酵槽に保持または還流させることにより、効率的にアルコール発酵を実施することができる。
本発明では、上述のようにして得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を発酵槽に保持または還流させる。このように未濾過液中に含まれる微生物等を発酵槽に保持または還流させることにより、効率的にアルコール発酵を実施することができる。
図1に示される通り、発酵槽3は、分離膜モジュール4と、第1ライン10を介して接続しており、発酵槽3で得られた発酵液は第1ライン10を介して分離膜モジュール4へ送液される。第1ライン10には、発酵槽3で得られた発酵液を分離膜モジュール4へ送液するためのポンプ7が配置されていてもよい。
また、発酵槽3は、分離膜モジュール4と、第2ライン11を介して接続しており、分離膜モジュール4において発酵液を濾過することにより得られる未濾過液(例えば、微生物等の多孔質膜12の細孔径より大きい物質)は、第2ライン11を介して発酵槽3へ送液される。第2ライン11には、発酵槽3で得られた発酵液を分離膜モジュール4へ送液するためのポンプ7が配置されていてもよい。
分離膜モジュール4は略筒状をなし、多孔質膜12を内部に有する。多孔質膜12は、分離膜モジュール4の内部空間を分割して二つの領域R1、R2を形成するように設けられている。すなわち、分離膜モジュール4は、多孔質膜12によって内部空間が分割された状態となっており、分けられた空間同士は、細孔によってのみ連通している。また、分離膜モジュール4において、第1ライン10および第2ライン11は領域R1と連通するように接続され、第3ライン13は領域R2に連通するように接続されている。
分離膜モジュール4では、発酵槽3から送り込まれた発酵液を多孔質膜12により濾過し、アルコール含有濾液と未濾過液に分離する。具体的には、多孔質膜12の細孔を通過するアルコール含有濾液が領域R2に入り、第3ライン13を介して外部に送られる。また、多孔質膜12の細孔を通過できなかった未濾過液は領域R1に留まり、第2ライン11を介して発酵槽3に還流され、発酵槽3に保持される。このように、発酵槽3では、原料供給タンク5からの発酵原料の供給と、分離膜モジュール4からの微生物等の還流を繰り返し受けるため、連続的な発酵処理を効率的に行うことができる。
なお、分離膜モジュール4は、上述した多孔質膜12により内部空間を分割するものであってもよいし、複数の中空糸膜によりなる中空糸分離膜モジュールを用いるものであってもよい。中空糸分離膜モジュールを用いる場合、例えば、外圧式の中空糸膜モジュールでは第1ライン10および第2ライン12は、中空糸膜の外表面がなす空間(領域R1に相当)に連通するようにそれぞれ接続され、第3ライン13は、中空糸膜の内表面がなす空間(領域R2に相当)に連通するように接続される。また、内圧式の中空糸膜モジュールでは、第1ライン10および第2ライン12は、中空糸膜の内表面がなす空間に連通するように接続され、第3ライン13は、中空糸膜の外表面がなす空間に連通するように接続される。
本発明の製造方法により得られるアルコール含有濾過液からのアルコールの分離精製は、例えば、蒸留法による精製法や、NF膜、RO膜、あるいはゼオライト製の分離膜を用いた濃縮精製法を好適に用いることにより実施することができる。
アルコール含有濾過液中のアルコール濃度は、特に限定されず、発酵条件、濾過速度等に応じて調節することができ、例えば、30〜120g/Lの範囲とすることができる。
また、本発明の製造方法により得られるアルコールの好適な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはそれらの組合せが挙げられるが、好ましくはエタノールである。
また、本発明の製造方法は、雑菌汚染を防止し、発酵槽中の培養液pH低下を抑制する上でも有利である。連続発酵中の発酵槽中の培養液pHは、例えば、約3〜8であり、好ましくは約4〜6である。
本発明の製造方法によれば、無滅菌の発酵原料を使用しても、連続発酵を長期間にわたり実施することができる。本発明の連続発酵の実施期間は、特に限定されず、好適な下限は、100時間、200時間、300時間、400時間、900時間または1000時間等から選択することができる。また、連続発酵の実施期間の好適な上限は、例えば、1000時間、1500時間、2000時間等から選択することができる。特に好適な連続発酵の実施期間は、例えば、100〜2000時間とすることができる。
連続発酵装置
本発明によれば、図1に例示されるような連続発酵装置を用いてアルコールを効率的に製造することができる。したがって、本発明の別の態様によれば、発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造するための連続発酵装置であって、
互いに同一の前記発酵原料を供給する複数の発酵原料供給システムと、
前記複数の発酵原料供給システムから供給される前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得る発酵槽と、
前記発酵槽で得られた発酵液を濾過する分離膜モジュールと、
前記発酵槽と前記分離膜モジュールとを接続し、前記発酵槽で得られた前記発酵液を前記分離膜モジュールへ送液する第1ラインと、
前記分離膜モジュールと前記発酵槽とを接続し、前記分離膜モジュールにおいて前記発酵液を濾過することにより得られる未濾過液を前記発酵槽へ送液する第2ラインと、を備え、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、糖を含む互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有する、アルコール製造用の連続発酵装置が提供される。
本発明によれば、図1に例示されるような連続発酵装置を用いてアルコールを効率的に製造することができる。したがって、本発明の別の態様によれば、発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造するための連続発酵装置であって、
互いに同一の前記発酵原料を供給する複数の発酵原料供給システムと、
前記複数の発酵原料供給システムから供給される前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得る発酵槽と、
前記発酵槽で得られた発酵液を濾過する分離膜モジュールと、
前記発酵槽と前記分離膜モジュールとを接続し、前記発酵槽で得られた前記発酵液を前記分離膜モジュールへ送液する第1ラインと、
前記分離膜モジュールと前記発酵槽とを接続し、前記分離膜モジュールにおいて前記発酵液を濾過することにより得られる未濾過液を前記発酵槽へ送液する第2ラインと、を備え、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、糖を含む互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有する、アルコール製造用の連続発酵装置が提供される。
本発明の連続発酵装置は、図1にも示される通り、洗浄タンクおよび/またはラインミキサを備えていることが好ましい。好ましい態様によれば、ラインミキサは供給ラインに備えられている。また、本発明の連続発酵装置においては、効率的な洗浄の観点からは、1つの洗浄タンクが、複数の発酵原料供給システムにラインを介して接続していることが好ましい。
本発明の連続発酵装置において、洗浄タンク、ライン(供給ライン、第1ライン、第2ライン等)および発酵槽はそれぞれ、所望のサイズ、発酵原料の性質に応じた公知のタンク、配管および発酵槽を使用することができる。
また、本発明の連続発酵装置において、分離膜モジュールは、図1において説明の通り、略筒状をなし、例えば平均径が0.01μm以上1.00μm未満の細孔が複数形成された多孔質膜を内部に有している。ここで、平均細孔径は、倍率10,000倍の走査型電子顕微鏡観察における、9.2μm×10.4μmの範囲内で観察できる細孔すべての直径を測定し、平均することにより求めることができる。平均細孔径は、あるいは、膜表面を走査型電子顕微鏡を用いて倍率10,000倍で写真撮影し、10個以上、好ましくは20個以上の細孔を無作為に選び、それら細孔の直径を測定し、数平均して求めることができる。細孔が円状でない場合、画像処理装置等によって、細孔が有する面積と等しい面積を有する円(等価円)を求め、等価円直径を細孔の直径とする方法により求められる。分離膜モジュールの構成は、上述の通り、内部空間を分割して二つの領域R1,R2を形成するように設けられていてもよく、中空糸膜を用いてもよい。
多孔質膜または中空糸膜は、有機材料および/または無機材料から構成されていてもよい。有機材料としてはポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、セルロース系樹脂およびセルローストリアセテート系樹脂などに例示されるような有機高分子化合物等が好ましい。とりわけ、溶液による製膜が容易で物理的耐久性や耐薬品性にも優れているポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂およびポリアクリロニトリル系樹脂が好ましく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂またはそれを主成分とする樹脂が特に好ましく用いられる。無機膜としてはセラミックスが好ましい。
また、本発明の連続発酵装置では、発酵および洗浄の進行状況をモニターする観点から、発酵槽、各ライン等の所望の位置に糖濃度測定計、温度計、pH測定装置を設置してもよい。また、各ラインには、送液方向、洗浄方向を制御するための弁を所望の位置に設定してもよい。
また、本発明の連続発酵装置では、発酵原料供給システムの休止期間、洗浄期間、各送液速度等を制御するための制御部を設けていてもよい。例えば、制御部では、連続発酵装置に設置された糖濃度測定計、温度計、pH測定装置からの情報を記憶し、これらの情報に基づいて、発酵原料供給システムの休止期間、洗浄期間、各送液速度等を制御することができる。制御部は、例えばフラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現することができる。
また本発明では、発酵原料滅菌装置を含まない発酵原料供給システムを用いることができる。発酵原料滅菌装置を含まない発酵原料供給システムとは、上述の発酵原料を滅菌処理するための装置を備えていない発酵原料供給システムである。発酵原料滅菌装置としては、発酵原料を高温または高温高圧に保持できるタンクや、連続的に高温処理や、高圧処理可能な連続滅菌装置、発酵原料から微生物を除去するフィルター装置、発酵原料にUVやγ線を照射できる装置などが挙げられる。発酵原料滅菌装置を含まない発酵原料供給システムは、発酵原料滅菌装置を含む発酵原料供給システムよりも装置が簡便かつ安価であるとともに、発酵原料供給システムの滅菌管理が不要であることから、管理負担を低減する上で有利である。
以下、実施例により本発明の方法を更に詳細に説明する。なお、特段の記載がない限り、単位および測定方法は、日本工業規格(JIS)の規定に従う。
試験例1:無滅菌の場合の連続発酵可能期間の検討
発酵原料および各設備を滅菌しない状態で分離膜モジュールを備えた連続発酵装置を用いてアルコールの製造を実施する場合の連続発酵が継続可能な期間を確認するため、図2に示される連続発酵装置1を497時間稼働した。発酵原料として糖蜜(生和糖業株式会社製)にWO2013/172446に記載される方法により調製したバガス由来の糖液を5%添加したものを使用した。また、連続発酵効率の指標としては、分離膜モジュールから得られる濾液中のエタノール濃度、グルコール濃度(発酵原料)、フルクトース濃度(発酵原料)、乳酸および発酵槽内の培養液pHを採用し、試験中は経時的に各濃度を測定した。
発酵原料および各設備を滅菌しない状態で分離膜モジュールを備えた連続発酵装置を用いてアルコールの製造を実施する場合の連続発酵が継続可能な期間を確認するため、図2に示される連続発酵装置1を497時間稼働した。発酵原料として糖蜜(生和糖業株式会社製)にWO2013/172446に記載される方法により調製したバガス由来の糖液を5%添加したものを使用した。また、連続発酵効率の指標としては、分離膜モジュールから得られる濾液中のエタノール濃度、グルコール濃度(発酵原料)、フルクトース濃度(発酵原料)、乳酸および発酵槽内の培養液pHを採用し、試験中は経時的に各濃度を測定した。
[連続発酵装置]
図2の連続発酵装置1は、発酵原料供給システム以外の発酵槽3および分離膜モジュール4の構成は、図1に示される連続発酵装置と同様である。図1の連続発酵装置1において、発酵原料供給システムは、1つの発酵原料タンク5と、供給ライン6とから構成されており、発酵原料タンク5と供給ライン6との接続部分、および発酵槽3と供給ライン6との接続部分にはそれぞれ、連結弁20a、20bが配置されており、供給ライン6は連結弁20a、20bにおいて取り外し可能となっている。
図2の連続発酵装置1は、発酵原料供給システム以外の発酵槽3および分離膜モジュール4の構成は、図1に示される連続発酵装置と同様である。図1の連続発酵装置1において、発酵原料供給システムは、1つの発酵原料タンク5と、供給ライン6とから構成されており、発酵原料タンク5と供給ライン6との接続部分、および発酵槽3と供給ライン6との接続部分にはそれぞれ、連結弁20a、20bが配置されており、供給ライン6は連結弁20a、20bにおいて取り外し可能となっている。
[連続発酵条件]
上記連続発酵装置1を用いた連続発酵条件は、以下の通りとした。
発酵原料供給速度:2L/day
発酵用微生物:Schizosaccharomyces pombe NBRC1628
発酵微生物植菌量: 5%植菌
発酵条件:30℃、無中和、無通気
攪拌速度:300rpm
分離膜使用条件:膜面線速度30cm/s、ろ過フラックス0.1m/d、9minろ過、1minろ過休止のサイクルで実施
上記連続発酵装置1を用いた連続発酵条件は、以下の通りとした。
発酵原料供給速度:2L/day
発酵用微生物:Schizosaccharomyces pombe NBRC1628
発酵微生物植菌量: 5%植菌
発酵条件:30℃、無中和、無通気
攪拌速度:300rpm
分離膜使用条件:膜面線速度30cm/s、ろ過フラックス0.1m/d、9minろ過、1minろ過休止のサイクルで実施
連続発酵の結果、濾液中のエタノール濃度は、図3に示される通りであった。発酵開始後276時間の時点から、濾液中のエタノール濃度は低下していた。
また、濾液中のグルコール濃度、フルクトース濃度、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHは、図4に示される通りであった。発酵原料由来のグルコール濃度およびフルクトース濃度は、連続発酵開始後64時間の時点でほぼゼロとなったものの試験開始から約300時間を超えてから上昇していた。乳酸濃度も、グルコース濃度およびフルクトース濃度と同様に試験開始から約300時間を超えてから上昇していた。さらに、発酵槽中の培養液pHについても試験開始から約300時間を超えてから低下していた。
以上の結果から、図2の連続発酵装置1では、発酵原料および各設備を滅菌しない状態で連続発酵が可能な時間は約300時間前後であり、それ以降は雑菌汚染に起因した、乳酸濃度の上昇、pHの低下、発酵原料由来のグルコースおよびフルクトースの残存が生じることが確認された。
また、濾液中のグルコール濃度、フルクトース濃度、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHは、図4に示される通りであった。発酵原料由来のグルコール濃度およびフルクトース濃度は、連続発酵開始後64時間の時点でほぼゼロとなったものの試験開始から約300時間を超えてから上昇していた。乳酸濃度も、グルコース濃度およびフルクトース濃度と同様に試験開始から約300時間を超えてから上昇していた。さらに、発酵槽中の培養液pHについても試験開始から約300時間を超えてから低下していた。
以上の結果から、図2の連続発酵装置1では、発酵原料および各設備を滅菌しない状態で連続発酵が可能な時間は約300時間前後であり、それ以降は雑菌汚染に起因した、乳酸濃度の上昇、pHの低下、発酵原料由来のグルコースおよびフルクトースの残存が生じることが確認された。
試験例2:発酵装置を滅菌する場合の発酵
特許文献1において記載の通り連続発酵においては発酵槽等において雑菌汚染のリスクが高いことが知られている。そこで、図2の連続発酵装置1の21の点線で囲まれる発酵槽3を含む領域を121℃、20分間の条件でオートクレイブ滅菌した後に、試験例1と同様にして連続発酵を行った。試験中、雑菌汚染の指標として、濾液中のグルコール濃度、フルクトース濃度、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHを測定した。
特許文献1において記載の通り連続発酵においては発酵槽等において雑菌汚染のリスクが高いことが知られている。そこで、図2の連続発酵装置1の21の点線で囲まれる発酵槽3を含む領域を121℃、20分間の条件でオートクレイブ滅菌した後に、試験例1と同様にして連続発酵を行った。試験中、雑菌汚染の指標として、濾液中のグルコール濃度、フルクトース濃度、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHを測定した。
結果は、図5に示される通りであった。発酵原料由来のグルコール濃度およびフルクトース濃度は、試験例1と同様に、試験開始後300時間を超えてから上昇していた。乳酸濃度も、グルコース濃度およびフルクトース濃度と同様に試験開始後300時間を超えてから上昇していた。さらに、発酵槽中の培養液pHについても試験開始後300時間を超えてから低下していた。この結果から、21の点線で囲まれる発酵槽3を含む領域を滅菌したにもかかわらず、雑菌汚染が生じたことが確認された。
試験例3:発酵原料供給ラインを定期的に洗浄する場合の発酵
供給ライン6を72時間毎に取り外して洗浄する以外、試験例2と同様にして図2の連続発酵装置1を用いて発酵を行った。供給ライン6の洗浄は、水の通液により供給ラインに付着している糖類がすべて洗い流せるまでおこなった。試験中は濾液中のエタノール濃度を測定した。また、雑菌汚染の指標として、濾液中のグルコール濃度(発酵原料)、フルクトース濃度(発酵原料)、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHを測定した。
供給ライン6を72時間毎に取り外して洗浄する以外、試験例2と同様にして図2の連続発酵装置1を用いて発酵を行った。供給ライン6の洗浄は、水の通液により供給ラインに付着している糖類がすべて洗い流せるまでおこなった。試験中は濾液中のエタノール濃度を測定した。また、雑菌汚染の指標として、濾液中のグルコール濃度(発酵原料)、フルクトース濃度(発酵原料)、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHを測定した。
エタノール濃度の結果は、図6に示される通りであった。濾液中のエタノール濃度は300時間を超えても低下せず、試験開始後100時間〜900時間の期間にわたり、濾液は約60g/L程度のエタノール濃度を維持されることを確認した。
また、グルコール濃度(発酵原料)、フルクトース濃度(発酵原料)、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHの結果は、図7に示される通りであった。発酵槽中の培養液pHについても一定の値で維持していた。 また、試験開始後100時間〜900時間の期間において、濾液中のグルコール濃度、フルクトース濃度および乳酸濃度はいずれもほぼゼロのレベルを維持していた。
また、グルコール濃度(発酵原料)、フルクトース濃度(発酵原料)、乳酸濃度および発酵槽中の培養液pHの結果は、図7に示される通りであった。発酵槽中の培養液pHについても一定の値で維持していた。 また、試験開始後100時間〜900時間の期間において、濾液中のグルコール濃度、フルクトース濃度および乳酸濃度はいずれもほぼゼロのレベルを維持していた。
以上の結果から、分離膜モジュールを備えた連続発酵装置において、供給ラインが連続発酵の妨げとなる雑菌汚染の原因部位であることが確認された。この事実から、発酵原料タンクおよび供給ラインを備えた複数の発酵原料供給システムを準備し、連続発酵を妨げる雑菌汚染が生じない所定の間隔で複数の発酵原料供給システムを交代で使用し、使用を休止している発酵原料供給システムを洗浄することを繰り返すことにより、雑菌汚染を生じさせずに長期間の連続発酵が可能となることが判る。本発明らは、図1に記載の連続発酵装置によれば、試験例3と同様の試験において設定された長期間の連続発酵を実施しうることを確認した。
1 連続発酵装置
2a,2b 発酵原料供給システム
3 発酵槽
4 分離膜モジュール
5 発酵原料タンク
6 供給ライン
7 ポンプ
8 攪拌機
9 糖濃度測定計
10 第1ライン
11 第2ライン
12 多孔質膜
13 第3ライン
14 洗浄タンク
14’ 水タンク
15,18 ライン
16a,16b,19a,19b,20a,20b 連結弁
17a,17b ラインミキサ
21 滅菌領域
2a,2b 発酵原料供給システム
3 発酵槽
4 分離膜モジュール
5 発酵原料タンク
6 供給ライン
7 ポンプ
8 攪拌機
9 糖濃度測定計
10 第1ライン
11 第2ライン
12 多孔質膜
13 第3ライン
14 洗浄タンク
14’ 水タンク
15,18 ライン
16a,16b,19a,19b,20a,20b 連結弁
17a,17b ラインミキサ
21 滅菌領域
Claims (13)
- 発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造する方法であって、
複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を発酵槽に供給しながら、前記発酵槽において前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得、前記得られた発酵液を分離膜モジュールで濾過してアルコール含有濾過液と未濾過液を得、さらに、得られた未濾過液を前記発酵槽に保持または還流させる工程を含み、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有し、
前記複数の発酵原料供給システムを用いて前記発酵原料を供給する際、前記発酵原料の供給を休止する発酵原料供給システムが、前記複数の発酵原料供給システムから交代で選択される、製造方法。 - 前記発酵原料は滅菌処理されていない、請求項1に記載の製造方法。
- 各発酵原料供給システムは、1〜6日間に亘って前記発酵原料を供給する毎に、前記発酵原料の供給を休止する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 各発酵原料供給システムは、前記発酵原料の供給を休止している間に、洗浄される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記発酵原料の供給を休止した発酵原料供給システムは、洗浄後に、前記発酵原料の供給を再開する、請求項4に記載の製造方法。
- 前記発酵原料供給システムを洗浄して得られる液体を発酵槽に供給する、請求項4または5に記載の製造方法。
- 前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールからなる群から選択される少なくとも1つのものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記発酵原料が糖蜜である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 発酵原料を連続発酵させてアルコールを製造するための連続発酵装置であって、
互いに同一の前記発酵原料を供給する複数の発酵原料供給システムと、
前記複数の発酵原料供給システムから供給される前記発酵原料中で微生物を培養することにより発酵液を得る発酵槽と、
前記発酵槽で得られた発酵液を濾過する分離膜モジュールと、
前記発酵槽と前記分離膜モジュールとを接続し、前記発酵槽で得られた前記発酵液を前記分離膜モジュールへ送液する第1ラインと、
前記分離膜モジュールと前記発酵槽とを接続し、前記分離膜モジュールにおいて前記発酵液を濾過することにより得られる未濾過液を前記発酵槽へ送液する第2ラインと、を備え、
前記複数の発酵原料供給システムは、それぞれ独立して、糖を含む互い同一の前記発酵原料を収容する発酵原料タンクと、前記発酵原料タンクと前記発酵槽との間を接続する供給ラインと、を有する、アルコール製造用の連続発酵装置。 - 前記供給ラインはラインミキサを含む、請求項9に記載の連続発酵装置。
- 前記発酵原料供給システムは発酵原料滅菌装置を含まない、請求項9または10に記載の連続発酵装置。
- 前記複数の発酵原料供給システムのそれぞれに接続した洗浄タンクをさらに備える、請求項9〜11のいずれか一項に記載の連続発酵装置。
- 1つの洗浄タンクが前記複数の発酵原料供給システムに接続している、請求項12に記載の連続発酵装置。
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