JPWO2018135668A1 - リチウムイオン組電池 - Google Patents

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Abstract

鉛蓄電池の代わりに用いることができ、従来提案されているリチウムイオン組電池とは異なるリチウムイオン組電池を提供する。リチウムイオン組電池(10)は、直列に接続された第1〜第4のリチウムイオンセル(121〜124)を備える。第1のリチウムイオンセル(121)の充電率が100%の状態の電圧(FV1)は、第2のリチウムイオンセル(122)の充電率が100%の状態の電圧(FV2)と異なる。リチウムイオン組電池(10)の初期電圧は、14〜15Vの範囲内に設定されている。

Description

本発明は、複数のリチウムイオンセルが直列に接続されたリチウムイオン組電池に関する。
自動二輪車等の鞍乗型車両には、二次電池として、鉛蓄電池が搭載されている。鉛蓄電池は、例えば、エンジンを始動するためのセルモータや、ヘッドライト等の電装品に電力を供給する。
鉛蓄電池は、重量エネルギー密度および体積エネルギー密度が小さい。そのため、鞍乗型車両に必要な電力を確保するために、鉛蓄電池の重量および体積は大きい。重量および体積の大きい鉛蓄電池を鞍乗型車両に搭載すると、鞍乗型車両の重量が増加する。鞍乗型車両の重量が増加すると、鞍乗型車両の燃費が低下する。
このような問題を解決するために、鉛蓄電池の代わりに、リチウムイオン電池を用いることが検討されている。リチウムイオン電池は、鉛蓄電池と比べて、重量エネルギー密度および体積エネルギー密度が大きい。そのため、鞍乗型車両に必要な電力を確保するために、複数のリチウムイオンセルを直列に接続して組電池を構成しても、当該組電池の重量および体積を、鉛蓄電池よりも小さくすることができる。
車両用の鉛蓄電池を充電するための充電器として、DC12V用の充電器が汎用されている。このDC12V用の充電器を用いて充電されるリチウムイオン組電池が、例えば、国際公開公報第2011/096469号に記載されている。この公報に記載されている組電池は、4つのリチウムイオンセルを直列に接続したものである。各リチウムイオンセルの正極活物質は、鉄成分を含むリチウム化合物(具体的には、リチウム金属酸化物)と、特定のリチウム化合物とを含む。特定のリチウム化合物は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、Li−Co−Ni−Mn系酸化物(いわゆる三元系酸化物)である。鉄成分を含むリチウム化合物は、熱安定性が高い。そのため、正極活物質が、鉄成分を含むリチウム化合物を含むことで、動作の安定性が向上する。
正極活物質が、上述の特定のリチウム化合物を含むことで、充電末期の電圧が急激に上昇する領域において、電圧が段階的に上昇する。つまり、電圧の上昇が一時的に鈍化する。そのため、複数のリチウムイオンセルの充電の進み度合にばらつきが生じていても、電圧の上昇が鈍化している間に、充電率の低いセルの電圧が上昇して、他のセルの電圧に追いつく場合がある。よって、複数のリチウムイオンセルの充電のばらつきを抑制できる。それにより、過充電を防止することができる。
国際公開公報第2011/096469号
本発明の目的は、鉛蓄電池の代わりに用いることができ、従来提案されているリチウムイオン組電池とは異なるリチウムイオン組電池を提供することである。
従来、複数のリチウムイオンセルを直列に接続する場合、同じ種類の複数のリチウムイオンセル、つまり、充電率が100%の状態での電圧が同じである複数のリチウムイオンセルを用いるのが一般的であった。このように、同じ種類の複数のリチウムイオンセルを用いる場合、例えば、各リチウムイオンセルの正極活物質の材料を調整して、リチウムイオン組電池の充放電特性を調整することが考えられる。しかしながら、リチウムイオン組電池の特性には、充放電特性だけでなく、例えば、長寿命特性や、低温放電特性等もある。これらの特性についても、調整できることが望まれている。そこで、本願発明者らは、リチウムイオン組電池の特性のうち、充放電特性以外の特性を調整することについて、検討を進めた。その結果、同じ種類の複数のリチウムイオンセルを用い、且つ、各リチウムイオンセルの正極活物質の材料を調整して、充放電特性を調整すると、充放電特性以外の特性を調整することが難しいとの知見を得るに至った。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
(1)本発明のリチウムイオン組電池は、直列に接続された第1のリチウムイオンセル、第2のリチウムイオンセル、第3のリチウムイオンセル、および第4のリチウムイオンセルを備えるリチウムイオン組電池であって、前記第1のリチウムイオンセルの充電率が100%の状態の前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、第2のリチウムイオンセルの充電率が100%の状態の前記第2のリチウムイオンセルの電圧と異なり、前記リチウムイオン組電池の初期電圧が14〜15Vの範囲内に設定されている。
この構成によると、リチウムイオン組電池は、直列に接続された4つのリチウムイオンセルを有する。4つのリチウムイオンセルのうち、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルは、充電率が100%の状態の電圧が異なる。リチウムイオンセルの充電率が100%の状態の電圧は、リチウムイオンセルが有する正極活物質、負極活物質および電解質の材質の組み合わせ等によって決まる。例えば、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルは、正極活物質の種類が異なっていてもよい。リチウムイオン組電池は、充電率が100%の状態の電圧の異なるリチウムイオンセルを含むため、リチウムイオン組電池の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整しやすい。
リチウムイオン電池は、鉛蓄電池に比べて、重量エネルギー密度および体積エネルギー密度が小さい。そのため、本発明のリチウムイオン組電池は、鉛蓄電池の代わりに用いることができる。リチウムイオン組電池の初期電圧は、14〜15Vの範囲内に設定されている。そのため、リチウムイオン組電池は、例えば、鞍乗型車両用の蓄電池として用いることができる。
(2)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、以下の構成を有することが好ましい。前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、充電率が100%の状態の電圧よりも低い。
この構成によると、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第1のリチウムイオンセルの充電率は100%よりも小さい。そのため、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のときの第1のリチウムイオンセルの過充電を防止できる。それにより、リチウムイオン組電池のサイクル寿命を向上できる。つまり、リチウムイオン組電池の長寿命特性を調整できる。なお、リチウムイオンセルの満充電電圧は、例えば、正極活物質および負極活物質の組み合わせ等を変更することで変更される。
(3)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(1)または(2)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第1のリチウムイオンセルは、前記第1〜第4のリチウムイオンセルのなかで、充電率が100%の状態の電圧が最も高い。
(4)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(1)〜(3)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、前記第1〜第4のリチウムイオンセルの電圧のなかで最も高い。
(5)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(4)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、前記第2〜第4のリチウムイオンセルの電圧の合計よりも低い。
この構成によると、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第1のリチウムイオンセルの電圧は、第2〜第4のリチウムイオンセルの各々の電圧よりも高いものの、第2〜第4のリチウムイオンセルの電圧の合計よりも低い。そのため、第1のリチウムイオンセルの初期電圧が高すぎない。そのため、第1のリチウムイオンセルの満充電電圧が同じであれば、第1のリチウムイオンセルの初期電圧が低い方が、第1のリチウムイオンセルの劣化を抑制できる。よって、リチウムイオン組電池のサイクル寿命を向上できる。
(6)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(2)〜(5)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの充電率は、前記第2のリチウムイオンセルの充電率よりも低く、前記第1〜第4のリチウムイオンセルの充電率のなかで最小である。
この構成によると、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第1のリチウムイオンセルは、4つのリチウムイオンセルのなかで充電率が最小である。リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第1のリチウムイオンセルが4つのリチウムイオンセルのなかで電圧が最も高い場合、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のときの第1のリチウムイオンセルの充電率が低くても、リチウムイオン組電池の放電特性が良好である。また、第1のリチウムイオンセルは、充電率100%の状態の電圧が、4つのリチウムイオンセルのなかで最も高い場合、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のときの第1のリチウムイオンセルの充電率が低くても、リチウムイオン組電池の放電特性が良好である。
(7)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(2)〜(6)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第2のリチウムイオンセルの電圧は、充電率が100%の状態の電圧以下である。
(8)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(1)〜(7)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。充電率が100%の状態の前記第1のリチウムイオンセルを放電させた場合の放電容量が、環境温度とCレートが同じ条件において充電率が100%の状態の前記第2のリチウムイオンセルを放電させた場合の放電容量よりも大きい。
(9)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(2)〜(8)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第1のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含む。
この構成によると、充電率が100%の状態での第1のリチウムイオンセルの電圧を高くできる。また、充電率が100%の状態の第1のリチウムイオンセルを放電させた場合の第1のリチウムイオンセルの放電容量を高くできる。
(10)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(2)〜(9)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第2のリチウムイオンセルは、前記第1〜第4のリチウムイオンセルのなかで、充電率が100%の状態の電圧が最も低い。
(11)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(10)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第2のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、オリビン構造を有する物質を含む。
この構成によると、第2のリチウムイオンセルは、劣化しにくい。よって、リチウムイオン組電池のサイクル寿命を向上できる。
(12)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(10)または(11)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第3のリチウムイオンセルは、前記第2のリチウムイオンセルと同じ種類の正極活物質を有し、充電率が100%の状態の電圧が、前記第2のリチウムイオンセルと同じである。
この構成によると、充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が2つ以上である。充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が1だけの場合に比べて、リチウムイオン組電池の放電容量を高くできる。
(13)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(12)の構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第4のリチウムイオンセルは、前記第2のリチウムイオンセルと同じ正極活物質を有し、充電率が100%の状態の電圧が、前記第2のリチウムイオンセルと同じである。
この構成によると、充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が3つである。充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルが2つだけの場合に比べて、リチウムイオン組電池の放電容量を高くできる。
(14)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(1)〜(13)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第1のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、前記第2のリチウムイオンセルが有する正極活物質と異なる種類である。
この構成によると、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルの正極活物質の組み合わせによって、リチウムイオン組電池の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整できる。
(15)他の観点によれば、本発明のリチウムイオン組電池は、上記(1)〜(15)の何れかの構成に加えて、以下の構成を有することが好ましい。前記第1のリチウムイオンセルが有する電解質および負極活物質の少なくとも一方は、前記第2のリチウムイオンセルが有する電解質および負極活物質の前記少なくとも一方と異なる種類である。
この構成によると、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルの電解質の組み合わせ、または/および、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルの負極活物質の組み合わせによって、リチウムイオン組電池の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整できる。
<用語の定義>
リチウムイオン組電池の初期電圧とは、リチウムイオン組電池の充電終止電圧である。リチウムイオン組電池の初期電圧は、組電池の設計者が任意で決めた値である。リチウムイオン組電池の充電終止電圧とは、定電流定電圧方式で充電する場合に、定電流充電から定電圧充電に切り換えるときの電圧である。リチウムイオン組電池の充電終止電圧とは、過充電にならずにリチウムイオン組電池の充電を行える電圧の上限値である。厳密には、定電圧充電時に初期電圧より若干高い電圧になる場合もある。
本発明において、「リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき」とは、リチウムイオン組電池を定電流で初期電圧まで充電した時点、または、その時点から定電圧充電に切り換えて充電しているときである。リチウムイオン組電池の初期電圧が14〜15Vの範囲内であるかどうか否かは、例えば、以下の方法で判断できる。リチウムイオン組電池が12V級の鉛蓄電池の代替品として問題なく使用できる場合は、リチウムイオン組電池の初期電圧が14〜15Vの範囲内であるといえる。また、リチウムイオン組電池が12V用充電器を用いて問題なく充電できる場合、リチウムイオン組電池の初期電圧は14〜15Vの範囲内であるといえる。
したがって、4つのリチウムイオンセルからなる組電池が本願の請求項1の構成を満たすかどうかの判断は、上述したようにリチウムイオン組電池の初期電圧が14〜15Vの範囲内であることを確認すると共に、例えば以下の方法を実施することで可能である。その方法とは、4つのセルをそれぞれ個別に充電率100%まで充電して、4つのセルのうち2つのセルの充電率が100%の状態の電圧が異なるかどうかを確認することである。
セルの充電率(SOC:State of charge)とは、リチウムイオンセルの電気容量に対して、充電している電気量を比率で表したものである。セルの放電容量とは、放電によりセルから取り出された電気量、もしくは、セルから取り出すことができる電気量である。本発明において、リチウムイオンセルの充電率が100%の状態とは、リチウムイオンセルを充電率が100%になるまで充電した状態をいう。
リチウムイオンセルの充電率が100%の状態のリチウムイオンセルの電圧は、例えば、測定により導出されたリチウムイオンセルの充電特性(または放電特性)を示すグラフに基づいて特定されてもよい。
本発明において、第1のリチウムイオンセル、第2のリチウムイオンセル、第3のリチウムイオンセル、および第4のリチウムイオンセルが直列に接続されるとは、この順番に接続される場合に限らない。
本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルに直列に接続されたリチウムイオンセルは含まない。つまり、本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルが直列に接続されるとは、第1〜第4のリチウムイオンセルのいずれか2つのリチウムイオンセルの間に、第1〜第4のリチウムイオンとは異なるリチウムイオンセルが直列に接続される場合を含まない。
本発明において、正極活物質の種類が異なるとは、正極活物物質の材料、形状、寸法のいずれかが異なる場合を含む。正極活物質の材料が異なるとは、成分の含有率が異なる場合を含む。負極活物質の種類が異なるという表現も、同様の定義が適用される。電解質の種類が異なるという表現も、同様の定義が適用される。
本発明において、第1のリチウムイオンセルが有する電解質および負極活物質の少なくとも一方が、第2のリチウムイオンセルが有する電解質および負極活物質の前記少なくとも一方と異なる種類であるとは、以下のいずれであってもよい。第1のリチウムイオンセルが有する電解質が、第2のリチウムイオンセルが有する電解質と異なる種類であってもよい。第1のリチウムイオンセルが有する負極活物物質が、第2のリチウムイオンセルが有する負極活物質と異なる種類であってもよい。
本明細書において、例えば「1〜10」および「1から10」のように、数値範囲を「〜」または「から」を用いて表す場合がある。本明細書において、「1〜10」および「1から10」は、いずれも、1以上10以下を意味する。
本明細書において、含む(including)、有する(comprising)、備える(having)およびこれらの派生語は、列挙されたアイテム及びその等価物に加えて追加的アイテムをも包含することが意図されて用いられている。
本発明において、取り付けられた(mounted)、接続された(connected)、結合された(coupled)、支持された(supported)という用語は、広義に用いられている。具体的には、直接的な取付、接続、結合、支持だけでなく、間接的な取付、接続、結合および支持も含む。さらに、接続された(connected)および結合された(coupled)は、物理的又は機械的な接続/結合に限られない。それらは、直接的なまたは間接的な電気的接続/結合も含む。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはない。
本明細書において、「好ましい」という用語は非排他的なものである。「好ましい」は、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。本明細書において、「好ましい」と記載された構成は、少なくとも、請求項1の構成により得られる上記効果を奏する。また、本明細書において、「してもよい」という用語は非排他的なものである。「してもよい」は、「してもよいがこれに限定されるものではない」という意味である。本明細書において、「してもよい」と記載された構成は、少なくとも、請求項1の構成により得られる上記効果を奏する。
本発明では、上述した好ましい構成を互いに組み合わせることを制限しない。本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されたまたは図面に図示された構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことが理解されるべきである。本発明は、後述する実施形態以外の実施形態でも可能である。本発明は、後述する実施形態に様々な変更を加えた実施形態でも可能である。また、本発明は、後述する変更例を適宜組み合わせて実施することができる。
本発明のリチウムイオン組電池は、従来提案されているリチウムイオン組電池とは異なる構成であるとともに、鉛蓄電池の代わりに用いることができる。
本発明の実施形態のリチウムイオン組電池の模式図である。 リチウムイオンセルの初期電圧を14.5Vに設定する場合において、4V級のリチウムイオンセルの電圧と、3V級のリチウムイオンセルの電圧との関係を示すグラフである。 4V級のリチウムイオンセルの初期電圧を満充電電圧に設定し、且つ、3V級のリチウムイオンセルの初期電圧を満充電電圧よりも低い電圧に設定する場合における、リチウムイオン組電池の充電特性を示すグラフである。 4V級のリチウムイオンセルの初期電圧を満充電電圧に設定し、且つ、3V級のリチウムイオンセルの初期電圧を満充電電圧よりも低い電圧に設定する場合における、リチウムイオン組電池の放電特性を示すグラフである。 4V級のリチウムイオンセルの初期電圧を満充電電圧よりも低い電圧に設定し、且つ、3V級のリチウムイオンセルの初期電圧を満充電電圧に設定する場合における、リチウムイオン組電池の放電特性を示すグラフである。 4V級のリチウムイオンセルの放電特性に対する、3V級のリチウムイオンセルの放電特性およびリチウムイオン組電池の放電特性の関係性を説明するグラフである。 実施例のリチウムイオン組電池の充電特性を示すグラフである。 実施例のリチウムイオン組電池の放電特性を示すグラフである。 25℃の環境下での重量エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。 25℃の環境下での体積エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。 10℃の環境下での重量エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。 10℃の環境下での体積エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。 25℃の環境下での電圧上昇量と放電容量との関係を示すグラフである。 10℃の環境下での電圧上昇量と放電容量との関係を示すグラフである。 重量エネルギー密度とサイクル数との関係を示すグラフである。 体積エネルギー密度とサイクル数との関係を示すグラフである。
<本発明の実施形態>
以下、本発明の実施形態のリチウムイオン組電池10について図1を参照しつつ説明する。リチウムイオン組電池10は、第1のリチウムイオンセル121、第2のリチウムイオンセル122、第3のリチウムイオンセル123、および第4のリチウムイオンセル124を備える。これら4つのリチウムイオンセル121〜124は、直列に接続されている。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、14〜15Vの範囲内に設定されている。第1のリチウムイオンセル121の充電率が100%の状態の第1のリチウムイオンセル121の電圧FV1は、第2のリチウムイオンセル122の充電率が100%の状態の第2のリチウムイオンセル122の電圧FV2と異なる。リチウムイオンセルの充電率が100%の状態の電圧は、リチウムイオンセルが有する正極活物質、負極活物質および電解質の材質の組み合わせ等によって決まる。例えば、第1のリチウムイオンセル121と第2のリチウムイオンセル122は、正極活物質の種類が異なっていてもよい。
このように、リチウムイオン組電池10は、充電率が100%の状態の電圧の異なるリチウムイオンセル121、122を含むため、リチウムイオン組電池10の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整しやすい。
リチウムイオン電池は、鉛蓄電池に比べて、重量エネルギー密度および体積エネルギー密度が小さい。そのため、リチウムイオン組電池10は、鉛蓄電池の代わりに用いることができる。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、14〜15Vの範囲内に設定されている。そのため、リチウムイオン組電池10は、例えば、鞍乗型車両用の蓄電池として用いることができる。
<本発明の実施形態の具体例>
次に、本発明の実施形態の具体例のリチウムイオン組電池10について説明する。基本的に、本発明の実施形態の具体例は、上述した本発明の実施形態の特徴を全て有している。上述した本発明の実施形態と同じ部位についての説明は省略する。以下、上述した本発明の実施形態と異なる構成について説明する。
リチウムイオン組電池10は、4つのリチウムイオンセル121、122、123、124で構成される。4つのリチウムイオンセル121〜124は、直列に接続されている。リチウムイオン組電池10は、いわゆる12V級の蓄電池(二次電池)である。リチウムイオン組電池10は、12V級の鉛蓄電池の代替品として用いることができる。リチウムイオン組電池10は、充電器(図示せず)に接続された場合に充電される。充電器としては、例えば、鉛蓄電池用として汎用されている12V用充電器を用いることができる。リチウムイオン組電池10は、例えば、鞍乗型車両(図示せず)に接続されて、鞍乗型車両に電力を供給する。鞍乗型車両は、ライダーが鞍にまたがるような状態で乗車する車両全般を指す。鞍乗型車両は、例えば、自動二輪車である。なお、リチウムイオン組電池10が電力を供給する装置は、鞍乗型車両に限定されない。
4つのリチウムイオンセル121〜124は、この順番で直列に接続されている。リチウムイオンセル121の正極端子は、リチウムイオン組電池10の正極端子に接続されている。リチウムイオンセル121の負極端子は、リチウムイオンセル122の正極端子に接続されている。リチウムイオンセル122の負極端子は、リチウムイオンセル123の正極端子に接続されている。リチウムイオンセル123の負極端子は、リチウムイオンセル124の正極端子に接続されている。リチウムイオンセル124の負極端子は、リチウムイオン組電池10の負極端子に接続されている。なお、4つのリチウムイオンセル121〜124の接続の順番は、この順番に限らない。
リチウムイオン組電池10の正極端子は、例えば、鞍乗型車両における12V級の電源回路に接続される。この12V級の電源回路は、例えば、ACジェネレータと、レギュレートレクチファイアとを含む。リチウムイオン組電池10の負極端子は、例えば、鞍乗型車両における電装品に接続される。
4つのリチウムイオンセル121〜124は、互いに異なる種類の2つのリチウムイオンセルを含む。リチウムイオンセル121は、他の3つのリチウムイオンセル122、123、124と異なる種類のリチウムイオンセルである。リチウムイオンセル122〜124は、互いに同じ種類のリチウムイオンセルで構成される。つまり、4つのリチウムイオンセル121〜124は、2種類のリチウムイオンセルからなる。
リチウムイオンセル121は、本発明の第1のリチウムイオンセルに相当する。リチウムイオンセル122〜124は、本発明の第2〜第4のリチウムイオンセルに相当する。但し、リチウムイオンセル122〜124と、本発明の第2〜第4のリチウムイオンセルとの組み合わせは、特に限定されない。例えば、リチウムイオンセル122は、第2のリチウムイオンセルに相当してもよく、第3のリチウムイオンセルに相当してもよく、第4のリチウムイオンセルに相当してもよい。
4つのリチウムイオンセル121〜124の各々は、円筒型セルであってもよいし、角型セルであってもよいし、ラミネート型セルであってもよい。角型セルは、ボックス型セルともいう。いずれのセルも、積層された正極シートと負極シートを有する。円筒型セルおよび角型セルにおいて、正極シートおよび負極シートは複数周にわたって巻かれている。円筒型セルの場合、巻かれた状態の電極シートの全体の形状が、円筒形である。角型セルの場合、巻かれた状態の電極シートの全体の形状が、略直方体状である。ラミネート型セルにおいて、正極シートおよび負極シートは、ほぼ平坦である。
4つのリチウムイオンセル121〜124の各々は、正極活物質と、負極活物質と、電解質を有する。正極活物質は、上述の正極シートに含まれる。負極活物質は、上述の負極シートに含まれる。4つのリチウムイオンセル121〜124の各々は、上記以外に、例えば、セパレータや、集電体を備えていてもよい。
リチウムイオンセル122〜124が有する正極活物質の種類は、互いに同じである。リチウムイオンセル121が有する正極活物質は、リチウムイオンセル122〜124の各々が有する正極活物質と種類が異なる。つまり、4つのリチウムイオンセル121〜124が有する正極活物質は2種類である。リチウムイオンセル121〜124が有する正極活物質は、それぞれ、リチウムを含む。リチウムイオンセル121が有する正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物である。リチウムイオンセル122〜124が有する正極活物質は、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)である。なお、リチウムイオンセル122〜124が有する正極活物質は、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)であってもよく、ケイ酸マンガンリチウム(Li2MnSiO4)であってもよい。リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、ケイ酸マンガンリチウムは、いずれもオリビン構造を有する物質である。
4つのリチウムイオンセル121〜124が有する負極活物質の種類は、互いに同じである。つまり、4つのリチウムイオンセル121〜124が有する負極活物質は1種類である。4つのリチウムイオンセル121〜124が有する負極活物質は、炭素を含む。炭素を含む負極活物質は、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボンの少なくとも1つを含む。負極活物質は、炭素以外の材質を含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、ケイ素の酸化物を含んでいてもよい。
4つのリチウムイオンセル121〜124が有する電解質の種類は、互いに同じである。つまり、4つのリチウムイオンセル121〜124が有する電解質は1種類である。電解質は、例えば、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液であってもよい。有機溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。リチウム塩は、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ホウフッ化リチウム、過塩素酸リチウムである。電解質は、上記の有機電解液に対して、ポリマーを加えることにより、ゲル化したものであってもよい。ポリマーは、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフッ化ビニリデンである。電解質は、固体電解質であってもよい。固体電解質は、例えば、導電性ポリマーを含む。
リチウムイオンセル121の充電率が100%の状態におけるリチウムイオンセル121の電圧を、リチウムイオンセル121の満充電電圧という。リチウムイオンセル122〜124の満充電電圧も同様の意味である。リチウムイオンセル122〜124の満充電電圧は互いに同じである。リチウムイオンセル121の満充電電圧は、リチウムイオンセル122〜124の満充電電圧と異なる。リチウムイオンセル121は、リチウムイオンセル121〜124のなかで、満充電電圧が最も高い。つまり、リチウムイオンセル121の満充電電圧FV1(図1参照)は、リチウムイオンセル122〜124の各々の満充電電圧FV2(図1参照)より高い。
リチウムイオンセル121の満充電電圧FV1は、4.2Vである。つまり、リチウムイオンセル121は、4V級のリチウムイオンセルである。以下の説明において、リチウムイオンセル121を、4V級のリチウムイオンセル121と称することがある。リチウムイオンセル122〜124の各々の満充電電圧FV2は、3.6Vである。つまり、リチウムイオンセル122〜124の各々は、いわゆる3V級のリチウムイオンセルである。以下の説明において、リチウムイオンセル122〜124を、3V級のリチウムイオンセル122〜124と称することがある。なお、リチウムイオンセル121の満充電電圧FV1および3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の満充電電圧FV2は、上述の値に限定されない。
リチウムイオンセル121〜124の各々は、以下の方法によって、充電率が100%の状態にすることができる。先ず、リチウムイオンセルを完全に放電する。続いて、リチウムイオンセルを定電流定電圧方式で充電する。充電の初期の段階では、リチウムイオンセルの電圧が低いので、定電流充電となる。定電流充電時には、充電が進むと、リチウムイオンセルの充電量が次第に増加する。リチウムイオンセルの電圧が所定の電圧(充電終止電圧)に達したときに、定電圧充電に切り替える。定電圧充電時には、リチウムイオンセルの電圧が充電終止電圧を超えないように、電流を調整する。定電圧充電時の電圧は、充電終止電圧よりも若干高くなったり、若干低くなったりすることもある。定電圧充電によって、リチウムイオンセルの充電率が100%になるまで充電する。リチウムイオンセルの充電率が100%に達したか否かは、充電時間、または、充電電流の減少に基づいて判断される。
リチウムイオンセルの満充電電圧は、上述の充電終止電圧と同じである。つまり、リチウムイオンセルの満充電電圧は、リチウムイオンセルを充電率100%まで充電するときの充電終止電圧である。充電終止電圧とは、過充電にならずに充電を行える電圧の上限値である。リチウムイオンセルの充電を終了して、リチウムイオンセルを開放すると、リチウムイオンセルの電圧は若干低下する。したがって、リチウムイオンセルを充電率100%に充電した後、放電を開始するときの電圧は、満充電電圧(充電終止電圧)より若干低い。充電率100%まで充電した後に放電を開始する時の電圧と、充電終止電圧との差は、環境温度によって若干異なる場合がある。なお、リチウムイオンセルを充電率100%に充電した後、放電を開始するときの電圧は、満充電電圧(充電終止電圧)と同じであってもよい。
充電率100%に充電したリチウムイオンセル121だけを放電した場合に、リチウムイオンセル121から取り出される電気量を、リチウムイオンセル121の固有の放電容量という。リチウムイオンセル122〜124の固有の放電容量も同様の意味である。リチウムイオンセル121〜124の各々の固有の放電容量は、環境温度やCレートなどの放電条件によって異なる。なお、Cレート(放電レート)は、電流の大きさを示す指標であり、1Cは、定電流で放電した場合に1時間で放電終了となる電流値である。リチウムイオンセル122〜124の各々の固有の放電容量は、互いに同じである。リチウムイオンセル121の固有の放電容量は、リチウムイオンセル122〜124の各々の固有の放電容量と異なる。リチウムイオンセル121の固有の放電容量は、環境温度とCレートが同じ条件においてリチウムイオンセル122〜124の各々の固有の放電容量よりも大きいことが好ましい。
リチウムイオン組電池10の初期電圧IV(図1参照)は、14〜15Vの範囲内に設定される。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、例えば、14.5Vである。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、14〜15Vの範囲内であれば、14.5Vでなくてもよい。リチウムイオン組電池10が上述の12V級の電源回路に接続される場合、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、12V級の電源回路に接続することでリチウムイオン組電池10に印加される最高の電圧を考慮して設定される。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、リチウムイオン組電池10の充電終止電圧と同じである。
リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVであるときのリチウムイオンセル121〜124の各々の電圧を、リチウムイオンセル121〜124の各々の初期電圧という。リチウムイオンセル121〜124の初期電圧は、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVに応じて設定される。但し、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の初期電圧は、同じ電圧に設定される。4つのリチウムイオンセル121〜124は直列に接続されているため、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、リチウムイオンセル121〜124の初期電圧の合計とほぼ同じである。4つのリチウムイオンセル121〜124の満充電電圧の合計は、15Vである。そのため、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVが15Vより低い場合、4V級のリチウムイオンセル121および/または3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の初期電圧は、満充電電圧よりも低い電圧に設定される。
図2を参照しながら、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVが14.5Vに設定された場合に、4つのリチウムイオンセル121〜124の各々の初期電圧を設定する方法について説明する。図2のグラフG1は、リチウムイオン組電池10の電圧が14.5Vの場合における1つの4V級のリチウムイオンセル121の電圧と3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の電圧との関係を示す。つまり、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧と、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧は、図2のグラフG1が示す関係を満たすように設定される。
一例として、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が4.2Vに設定された場合、つまり、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1に設定された場合を想定する。この場合、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧は、3.43Vに設定される(図2のグラフG1参照)。つまり、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧は、それぞれの満充電電圧(3.6V)よりも低い電圧に設定される。したがって、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVであるとき、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の充電率は、4V級のリチウムイオンセル121の充電率(100%)よりも小さい。
その他の一例として、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧が3.6Vに設定された場合、つまり、3つのリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧が満充電電圧FV2に設定された場合を想定する。この場合、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧は、3.7Vに設定される(図2のグラフG1参照)。つまり、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧は、満充電電圧(4.2V)よりも低い電圧に設定される。したがって、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVであるとき、4V級のリチウムイオンセル121の充電率は、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の充電率(100%)よりも小さい。
図2のグラフG1に基づいて初期電圧が設定される場合、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1より低く、かつ、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の初期電圧が満充電電圧FV2より低くてもよい。図2のグラフG1に基づいて初期電圧が設定される場合、常に、リチウムイオンセル121の初期電圧は、リチウムイオンセル122〜124の初期電圧の合計よりも小さい。図2のグラフG1に基づいて初期電圧が設定される場合、常に、リチウムイオンセル121の初期電圧は、リチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧よりも大きい。
図3を参照しつつ、リチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1(4.2V)に設定され、3つのリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧が満充電電圧FV2(3.6V)よりも低い電圧(3.43V)に設定された場合におけるリチウムイオン組電池10の充電特性について説明する。図3に示す曲線CL03は、リチウムイオン組電池10の充電特性を模式的に示す。
図3に示す曲線CL01は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の4V級のリチウムイオンセル121の充電特性を模式的に示す。図3に示す曲線CL02は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3V級のリチウムイオンセル122の充電特性を模式的に示す。リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3V級のリチウムイオンセル123、124の充電特性は、それぞれ、曲線CL03と同じかほぼ同じである。図3の横軸は、充電時間を示す。図3の右側の縦軸は、リチウムイオン組電池の電圧を示し、図3の左側の縦軸は、リチウムイオンセルの電圧を示す。曲線CL01、CL02、CL03は、リチウムイオン組電池10を25℃の環境下において定電流定電圧方式で充電した場合の充電特性を示す。
曲線CL03の定電圧充電領域における電圧は、14.5Vであり、曲線CL01の定電圧充電領域における電圧は、4.2Vであり、曲線CL02の定電圧充電領域における電圧は、3.43Vである。曲線CL03の定電圧充電領域における電圧は、リチウムイオン組電池10の充電終止電圧であって、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVでもある。曲線CL01の定電圧充電領域における電圧は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル121の初期電圧である。曲線CL02の定電圧充電領域における電圧は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル122の初期電圧である。
次に、リチウムイオン組電池10の放電特性について説明する。図4を参照しつつ、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1(4.2V)に設定され、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧が満充電電圧FV2(3.6V)よりも低い電圧(3.43V)に設定された場合におけるリチウムイオン組電池10の放電特性について説明する。
図4に示す曲線CL3aは、この例におけるリチウムイオン組電池10の放電特性を示す。図4に示す曲線CL1aは、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電特性を示す。曲線CL1aは、実線部と破線部からなる。曲線CL1aの実線部は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル121の放電特性を示す。図4に示す曲線CL2aは、直列に接続された3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合の3つのリチウムイオンセル122〜124全体の放電特性を示す。曲線CL2aは、実線部と破線部からなる。曲線CL2aの実線部は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性を示す。
図4の縦軸は電圧を示す。図4の上側の横軸は、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124のそれぞれの放電容量を示す。ここでの放電容量とは、電池から取り出された電気量であって、経過時間と放電電流の積により算出される。図4の下側の横軸は、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電容量と、リチウムイオン組電池10を放電した場合のリチウムイオン組電池10の放電容量を示す。リチウムイオン組電池10の放電容量とは、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の4つのリチウムイオンセル121のそれぞれの放電容量と同じである。曲線CL2aの電圧は、3つのリチウムイオンセル122〜124の電圧の合計である。曲線CL1a、CL2a、CL3aは、所定の環境温度において、定電流で所定の電圧まで放電した場合の電圧と放電容量との関係を示す。曲線CL1aは、リチウムイオンセル121を充電率100%まで充電した後に放電した場合の放電特性を示す。曲線CL2aは、3つのリチウムイオンセル122〜124を充電率100%まで充電した後に放電した場合の放電特性を示す。曲線CL1a、CL2a、CL3aの環境温度およびCレートは同じである。
曲線CL1aの図中の左端の電圧は、リチウムイオンセル121の満充電電圧FV1より若干低い。リチウムイオンセル121の満充電電圧FV1は、リチウムイオンセル121だけを充電した場合のリチウムイオンセル121の充電終止電圧と同じである。曲線CL1aの図中の右端の電圧は、リチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電終止電圧である。なお、放電終止電圧とは、過放電にならずに放電を行える電圧の下限値である。曲線CL2aの図中の左端の電圧は、リチウムイオンセル122〜124の満充電電圧FV2の合計より若干低い。リチウムイオンセル122〜124の満充電電圧FV2の合計は、3つのリチウムイオンセル122〜124だけを充電した場合のリチウムイオンセル122〜124の充電終止電圧の合計と同じである。曲線CL2aの図中の右端の電圧は、3つのリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124の放電終止電圧の合計である。曲線CL1aの図中の右端の放電容量は、リチウムイオンセル121の固有の放電容量である。曲線CL2aの図中の右端の放電容量は、直列に接続された3つのリチウムイオンセル122〜124全体の固有の放電容量である。直列に接続された3つのリチウムイオンセル122〜124全体の固有の放電容量は、3つのリチウムイオンセル122〜124の各々の放電容量と同じである。
曲線CL1aの図中の左端の電圧は、曲線CL2aの図中の左端の電圧よりも低い。曲線CL1aの図中の右端の電圧は、曲線CL2aの図中の右端の電圧よりも低い。つまり、リチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電終止電圧は、3つのリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124の放電終止電圧の合計よりも小さい。リチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電終止電圧は、3つのリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124の各々の放電終止電圧よりも大きい。上述したように、リチウムイオンセル121の固有の放電容量は、リチウムイオンセル122〜124の各々の固有の放電容量よりも大きい。そのため、曲線CL1aは、曲線CL2aよりも横軸方向の長さが長い。
曲線CL2aは、放電開始直後に電圧が急激に低下する。一方、曲線CL1aは、放電開始直後における電圧の低下が緩やかである。つまり、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電させた場合のリチウムイオンセル122〜124の放電特性は、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電させた場合のリチウムイオンセル121の放電特性に比べて、放電開始直後の電圧の減少率が大きい。3つの3V級のリチウムイオンセルの各々の放電特性も、4V級のリチウムイオンセル121の放電特性に比べて、放電開始直後の電圧の減少率が大きい。リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル121の初期電圧は満充電電圧FV1に設定されている。一方、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3つのリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧は、満充電電圧FV2よりも低い3.43Vに設定されている。そのため、曲線CL2aの図中の左端は、曲線CL1aの図中の左端より左側に位置する。より詳細には、曲線CL1aの左端と同じ横軸方向の位置において、曲線CL2aの電圧が10.29V(=3.43V×3)より若干低い値となるように、曲線CL1aと曲線CL2aは配置される。曲線CL1aの実線部は、曲線CL1aのうち、曲線CL2aと横軸方向範囲がオーバーラップする領域である。
上述したように、曲線CL3aは、リチウムイオン組電池10の放電特性を示す。曲線CL3aの横軸方向の範囲は、曲線CL1aの横軸方向の範囲と曲線CL2aの横軸方向の範囲がオーバーラップした範囲である。曲線CL3aの電圧は、放電容量ごとの曲線CL1aの実線部の電圧と曲線CL2aの実線部の電圧の和とほぼ同じである。
曲線CL3aの図中の左端の電圧は、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVより若干低い。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、リチウムイオン組電池10の充電終止電圧でもある。曲線CL3aの図中の右端の電圧は、リチウムイオン組電池10の放電終止電圧である。
曲線CL2aの一部(破線部)は、曲線CL1aよりも図中の右側にある。したがって、曲線CL2aの一部(破線部)は、曲線CL3aよりも図中の右側にある。そのため、リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、4V級のリチウムイオンセル121の電圧は、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電終止電圧よりも高い。リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、3V級のリチウムイオンセル122〜124の電圧の合計は、直列に接続された3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124の放電終止電圧の合計と同じである。
曲線CL1aの実線部の図中の右端の電圧は、曲線CL2aの実線部の図中の右端の電圧よりも低い。つまり、リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、4V級のリチウムイオンセル121の電圧は、3V級のリチウムイオンセル122〜124の電圧の合計よりも低い。リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、4V級のリチウムイオンセル121の電圧は、3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の電圧よりも高い。
3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧が満充電電圧FV2よりも低いほど、3V級のリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線CL2aは、4V級のリチウムイオンセル121の放電特性曲線CL1aに対して相対的に図中の左方向に移動する。曲線CL2aは、曲線CL1aよりも横軸方向長さが短い。そのため、曲線CL2aを曲線CL1aに対して相対的に左方向に移動させると、曲線CL2aの横軸方向の範囲と曲線CL1aの横軸方向の範囲とのオーバーラップが小さくなる。つまり、リチウムイオン組電池10の放電容量が低下する。しかし、曲線CL2aは、3V級のリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線であるため、放電初期の電圧の減少率が大きい。そのため、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧を満充電電圧FV2よりも低い電圧に設定しても、曲線CL2aが曲線CL1aに対して相対的に図中の左方向に移動する量は小さい。したがって、リチウムイオン組電池10の放電容量の低下を抑制できる。
3V級のリチウムイオンセル122〜124の初期電圧が満充電電圧FV2よりも低い場合、リチウムイオン組電池10の使用時に、3V級のリチウムイオンセル122〜124は満充電電圧FV2まで充電されることはない。つまり、3V級のリチウムイオンセル122〜124の過充電を防止できる。よって、3V級のリチウムイオンセル122〜124の劣化を抑制できる。それにより、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。
図4には、曲線CL1a、曲線CL2a、および曲線CL3aの他に、曲線CL11a、曲線CL21a、および曲線CL31aが表示されている。曲線CL1a、CL2a、CL3aの放電特性の環境温度を、第1温度とする。曲線CL11a、曲線CL21aおよび曲線CL31aは、第1温度よりも低い第2温度における放電特性を示す。曲線CL11aは、実線部と破線部からなる。曲線CL11aの実線部は、曲線CL1aの実線部と同様に、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル121の放電特性を示す。曲線CL21aは、曲線CL2aの実線部と同様に、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性を示す。曲線CL31aは、リチウムイオン組電池10の放電特性を示す。曲線CL11a、CL21a、CL31aは、曲線CL1a、CL2a、CL3aと同じCレートにおける放電特性を示す。
曲線CL11aの左端は、曲線CL1aの左端とほぼ同じ位置にある。曲線CL11aの横軸方向長さは、曲線CL1aの実線部の横軸方向の長さより短い。曲線CL11aは、曲線CL1aの図中の下側にある。つまり、曲線CL11aの電圧の減少率は、曲線CL1aの電圧の減少率よりも若干大きい。曲線CL11aの右端の電圧は、曲線CL1aの右端の電圧とほぼ同じである。
曲線CL21aの左端は、曲線CL2aの実線部の左端とほぼ同じ位置にある。曲線CL21aの横軸方向長さは、曲線CL2aの実線部の横軸方向の長さより短い。曲線CL21aの放電初期において電圧が急激に下降した直後の電圧は、曲線CL2aの放電初期において電圧が急激に下降した直後の電圧よりも低い。曲線CL21aは、曲線CL2aの図中の下側にある。曲線CL21aの右端の電圧は、曲線CL2aの右端の電圧とほぼ同じである。
曲線CL31aの左端は、曲線CL3aの左端とほぼ同じ位置にある。曲線CL31aの横軸方向長さは、曲線CL3aの横軸方向の長さより短い。曲線CL31aの放電初期において電圧が急激に下降した直後の電圧は、曲線CL3aの放電初期において電圧が急激に下降した直後の電圧よりも低い。曲線CL31aは、曲線CL3aの図中の下側にある。曲線CL31aの右端の電圧は、曲線CL3aの右端の電圧とほぼ同じである。
上記のように、環境温度が低下すると、リチウムイオンセル121〜124の放電容量が低下するため、リチウムイオン組電池10の放電容量も低下する。環境温度が低下すると、リチウムイオンセル121〜124の出力が低下するため、リチウムイオン組電池10の出力も低下する。なお、出力とは、電流と電圧の積である。
図5を参照しつつ、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1(4.2V)よりも低い電圧(3.7V)に設定され、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧が満充電電圧FV2(3.6V)に設定された場合におけるリチウムイオン組電池10の放電特性について説明する。
図5に示す曲線CL3bは、この例におけるリチウムイオン組電池10の放電特性を示す。図5に示す曲線CL1bは、図4に示す曲線CL1aと同じく、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電特性を示す。曲線CL1bは、実線部と破線部からなる。曲線CL1bの実線部は、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル121の放電特性を示す。図5に示す曲線CL2bは、図4に示す曲線CL2aと同じく、直列に接続された3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合の3つのリチウムイオンセル122〜124全体の放電特性を示す。曲線CL2bは、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性も示す。
図5の縦軸は電圧を示す。図5の下側の横軸は、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電容量を示す。図4の上側の横軸は、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124のそれぞれの放電容量と、リチウムイオン組電池10を放電した場合のリチウムイオン組電池10の放電容量を示す。曲線CL1b、CL2b、CL3bは、図4の曲線CL1a、CL2a、CL3aと同じ環境温度およびCレートにおける放電特性を示す。
リチウムイオンセル121の初期電圧は、満充電電圧FV1よりも低い3.7Vに設定されている。一方、リチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧は、満充電電圧FV2に設定されている。そのため、曲線CL1bの図中の左端は、曲線CL2bの図中の左端より左側に位置する。より詳細には、曲線CL2bの左端と同じ横軸方向の位置において、曲線CL1bの電圧が3.7Vより若干低い値となるように、曲線CL1bと曲線CL2bは配置される。曲線CL1bの電圧3.7Vの位置から下限電圧(放電終止電圧)までの横軸方向の長さは、曲線CL2bの横軸方向の長さとほぼ同じである。曲線CL1bの実線部は、曲線CL1bのうち、曲線CL2bと横軸方向範囲がオーバーラップする領域である。
なお、曲線CL1bの電圧3.7Vの位置から下限電圧(放電終止電圧)までの横軸方向の長さは、曲線CL2bの横軸方向の長さより短くてもよい。その場合、曲線CL2bのうち、曲線CL1bと横軸方向範囲がオーバーラップする領域が、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態の3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性を示す。また、曲線CL1bの電圧3.7Vの位置から下限電圧(放電終止電圧)までの横軸方向の長さは、曲線CL2bの横軸方向の長さより長くてもよい。その場合、曲線CL1bのうち、曲線CL2bと横軸方向範囲がオーバーラップする領域が、リチウムイオン組電池10に組み込まれた状態のリチウムイオンセル121の放電特性を示す。
上述したように、曲線CL3bは、リチウムイオン組電池10の放電特性を示す。曲線CL3bの横軸方向の範囲は、曲線CL1bの横軸方向の範囲と曲線CL2bの横軸方向の範囲がオーバーラップした範囲である。曲線CL3bの電圧は、放電容量ごとの曲線CL1bの実線部の電圧と曲線CL2bの電圧の和とほぼ同じである。
曲線CL3bの図中の左端の電圧は、リチウムイオン組電池10の初期電圧IVより若干低い。リチウムイオン組電池10の初期電圧IVは、リチウムイオン組電池10の充電終止電圧でもある。曲線CL3bの図中の右端の電圧は、リチウムイオン組電池10の放電終止電圧である。
曲線CL1bの図中の右端と、曲線CL2bの図中の右端は、横軸方向に関してほぼ同じ位置にある。そのため、リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、4V級のリチウムイオンセル121の電圧は、4V級のリチウムイオンセル121だけを放電した場合のリチウムイオンセル121の放電終止電圧とほぼ同じである。また、リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、3V級のリチウムイオンセル122〜124の電圧の合計は、直列に接続された3V級のリチウムイオンセル122〜124だけを放電した場合のリチウムイオンセル122〜124の放電終止電圧の合計とほぼ同じである。
曲線CL1bの実線部の図中の右端の電圧は、曲線CL2bの図中の右端の電圧よりも低い。つまり、リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、4V級のリチウムイオンセル121の電圧は、3V級のリチウムイオンセル122〜124の電圧の合計よりも低い。リチウムイオン組電池10の電圧が放電終止電圧のとき、4V級のリチウムイオンセル121の電圧は、3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の電圧よりも高い。
4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1よりも低いほど、4級のリチウムイオンセル121の放電特性曲線CL1bは、3V級のリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線CL2bに対して相対的に図中の左方向に移動する。曲線CL1bは、4V級のリチウムイオンセル121の放電特性曲線であり、曲線CL2bは、3V級のリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線である。そのため、曲線CL1bは、曲線CL2bよりも横軸方向長さが短い。したがって、曲線CL1bが曲線CL2bに対して相対的に図中の左方向に移動しても、曲線CL1bの横軸方向の範囲と曲線CL2bの横軸方向の範囲とのオーバーラップは小さくならない。つまり、リチウムイオン組電池10の放電容量が低下しない。
4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧が満充電電圧FV1よりも低い場合、リチウムイオン組電池10の使用時に、4V級のリチウムイオンセル121は満充電電圧FV1まで充電されることはない。つまり、4V級のリチウムイオンセル121の過充電を防止できる。よって、4V級のリチウムイオンセル121の劣化を抑制できる。それにより、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。
曲線CL1a、CL1bは、4V級のリチウムイオンセル121の放電特性曲線であり、曲線CL2a、CL2bは、3V級のリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線である。そのため、曲線CL1a、CL1bは、曲線CL2a、CL2bに比べて、放電初期の電圧の減少率が小さい。そのため、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧と満充電電圧との差が、3V級のリチウムイオンセル122の初期電圧と満充電電圧との差と同じであっても、4V級のリチウムイオンセル121の放電特性曲線CL1a、CL1bが曲線CL2a、CL2bに対して相対的に図中の左方向に移動する量は、3V級のリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線CL2aが曲線CL1a、CL1bに対して相対的に図中の左方向に移動する量に比べて大きい。したがって、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧を満充電電圧より低くする場合に比べて、3V級のリチウムイオンセル122の初期電圧を満充電電圧より低くする方が、過電流を防止する効果が高い。また、3V級のリチウムイオンセル122〜124の正極活物質は、オリビン構造を有し、4V級のリチウムイオンセル121の正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含むため、4V級のリチウムイオンセル121の正極活物質は、3V級のリチウムイオンセル122〜124に比べて劣化しやすい。したがって、4V級のリチウムイオンセル121の初期電圧を満充電電圧よりも低くするほど、劣化しやすい4V級のリチウムイオンセル121の過充電を効果的に防止することができる。よって、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命をより向上できる。
以上説明したように、リチウムイオンセル121の初期電圧と、3つのリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧とを適当に設定することで、図6に示すように、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線(CL2a、CL2b)を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線(CL1a、CL1b)に対して相対的に左右方向に移動させることができる。そのため、リチウムイオン組電池10の放電特性曲線(CL3a、CL3b)を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線(CL1a、CL1b)に対して相対的に左右方向に移動させることができる。
3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線に対して相対的に右方向に移動させた場合は、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を逆方向に移動させた場合に比べて、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。
3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線に対して相対的に左方向に移動させた場合、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を逆方向に移動させた場合に比べて、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線とオーバーラップするリチウムイオンセル121の放電特性曲線の電圧が高い。そのため、リチウムイオン組電池10の出力を向上できる。
図4を用いて説明したように、環境温度が低下すると、リチウムイオン組電池10の出力が低下する。3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線に対して相対的に左方向に移動させた場合、リチウムイオン組電池10の出力を向上できる。したがって、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線に対して相対的に左方向に移動させた場合、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を逆方向に移動させた場合に比べて、低温時もリチウムイオン組電池10の出力が優れている。
本実施形態の具体例においては、3つのリチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線を、リチウムイオンセル121の放電特性曲線に対して相対的に左右方向のどちらに移動させた場合も、リチウムイオン組電池10の放電容量は同程度である。
このように、リチウムイオンセル121の初期電圧と、3つのリチウムイオンセル122〜124の各々の初期電圧とを適当に設定することで、リチウムイオン組電池10の充放電特性等を調整できる。具体的には、リチウムイオン組電池10の出力やサイクル寿命を調整できる。
また、4V級のリチウムイオンセル121の内部抵抗が3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の内部抵抗以下である場合、或いは、リチウムイオン組電池10が任意の電圧であるときに、4V級のリチウムイオンセル121の出力が3V級のリチウムイオンセル122〜124の各々の出力以上である場合、リチウムイオン組電池10の出力(電圧)は、3V級のリチウムイオンセルを4つ直列に接続したリチウムイオン組電池の出力(電圧)よりも向上する。
リチウムイオン組電池10は、3V級のリチウムイオンセル122に加えて、3V級のリチウムイオンセル122よりも満充電電圧の大きい4V級のリチウムイオンセルを備えている。そのため、リチウムイオン組電池10が3V級のリチウムイオンセルだけで構成される場合に比べて、リチウムイオン組電池10の電圧を増加させて出力を増大できる。
3V級のリチウムイオンセル122〜124の正極活物質は、オリビン構造を有するため、4V級のリチウムイオンセル121よりも劣化しにくい。リチウムイオン組電池10は、劣化しにくい3V級のリチウムイオンセル122〜124を備えているため、リチウムイオン組電池10が4V級のリチウムイオンセルだけで構成されている場合に比べて、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。
例えば図5の場合、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのとき、リチウムイオンセル121の電圧は、充電率が100%の状態の電圧よりも低い。つまり、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのとき、リチウムイオンセル121の充電率は100%よりも小さい。そのため、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのときのリチウムイオンセル121の過充電を防止できる。それにより、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。つまり、リチウムイオン組電池10の長寿命特性を調整できる。
リチウムイオンセル121は、4つのリチウムイオンセル121〜124のなかで、充電率が100%の状態の電圧が最も高い。そのため、例えば図5の場合のように、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのときのリチウムイオンセル121の電圧が、充電率が100%の状態の電圧FV1より低くても、リチウムイオン組電池10の放電特性が良好である。
図4および図5の場合とも、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのとき、リチウムイオンセル121は、4つのリチウムイオンセル121〜124のなかで、電圧が最も高い。そのため、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧のとき、リチウムイオンセル121の電圧が、充電率が100%の状態の電圧FV1より低くても、リチウムイオン組電池10の放電特性が良好である。
図4および図5の場合とも、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのとき、リチウムイオンセル121の電圧は、リチウムイオンセル122〜124の各々の電圧よりも高いものの、リチウムイオンセル122〜124の電圧の合計よりも低い。そのため、リチウムイオンセル121の初期電圧が高すぎない。そのため、リチウムイオンセル121の満充電電圧が同じであれば、リチウムイオンセル121の初期電圧が低い方が、リチウムイオンセル121の劣化を抑制できる。よって、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。
例えば図5のように、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのとき、リチウムイオンセル121は、4つのリチウムイオンセル121〜124のなかで充電率が最小となる場合がある。このような場合であっても、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのとき、リチウムイオンセル121は、4つのリチウムイオンセル121〜124のなかで、電圧が最も高い。そのため、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧のときのリチウムイオンセル121の充電率が低くても、リチウムイオン組電池10の放電特性が良好である。
充電率が100%の状態のリチウムイオンセル121を放電させた場合の放電容量は、環境温度とCレートが同じ条件において充電率が100%の状態のリチウムイオンセル122を放電させた場合の放電容量よりも大きい。そのため、例えば図5の場合のように、リチウムイオン組電池10の電圧が初期電圧IVのときのリチウムイオンセル121の電圧が、充電率が100%の状態の電圧FV1より低くても、リチウムイオン組電池10の放電容量が良好である。
リチウムイオンセル121が有する正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含む。そのため、充電率が100の状態でのリチウムイオンセル121の電圧FV1を高くできる。また、充電率が100%の状態のリチウムイオンセル121を放電させた場合のリチウムイオンセル121の放電容量を高くできる。
リチウムイオンセル122が有する正極活物質は、オリビン構造を有する。そのため、リチウムイオンセル122は、劣化しにくい。よって、リチウムイオン組電池10のサイクル寿命を向上できる。
リチウムイオンセル123は、リチウムイオンセル122と同じ種類の正極活物質を有し、充電率が100%の状態の電圧が、リチウムイオンセル122と同じである。つまり、充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が2つ以上である。充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が1つだけの場合に比べて、リチウムイオン組電池10の放電容量を高くできる。
さらに、リチウムイオンセル124は、リチウムイオンセル122と同じ正極活物質を有し、充電率が100%の状態の電圧が、リチウムイオンセル122と同じである。つまり、充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が3つである。充電率が100%の状態の電圧が最も低いリチウムイオンセルの数が2つだけの場合に比べて、リチウムイオン組電池10の放電容量を高くできる。
リチウムイオンセル121が有する正極活物質は、リチウムイオンセル122が有する正極活物質と異なる種類である。そのため、リチウムイオンセル121とリチウムイオンセル122の正極活物質の組み合わせによって、リチウムイオン組電池10の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整できる。
リチウムイオンセル121が有する電解質は、リチウムイオンセル122が有する電解質と異なる種類である。そのため、リチウムイオンセル121とリチウムイオンセル122の電解質の組み合わせによって、リチウムイオン組電池10の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整できる。
リチウムイオンセル121が有する負極活物質は、リチウムイオンセル122が有する負極活物質と異なる種類である。そのため、リチウムイオンセル121とリチウムイオンセル122の負極活物質の組み合わせによって、リチウムイオン組電池10の充放電特性と充放電特性以外の特性を調整できる。
<本発明の実施形態の変更例>
本発明は、上述した実施形態およびその実施形態の具体例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。以下、本発明の実施形態の変更例について説明する。なお、上述した構成と同じ構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。上述した実施形態の具体例および後述する変更例は、適宜組み合わせて実施可能である。なお、以下の説明において、リチウムイオンセルの満充電電圧とは、リチウムイオンセルの充電率が100%の状態のリチウムイオンセルの電圧のことである。リチウムイオンセルの初期電圧とは、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のときのリチウムイオンセルの電圧のことである。
◆4V級セルと3V級セルの組み合わせに関連する変更例
上記実施形態の具体例のリチウムイオン組電池10は、1つの4V級のリチウムイオンセル121と、3つの3V級のリチウムイオンセル122〜124を備える。しかし、4V級のリチウムイオンセルと3V級のリチウムイオンセルとの組み合わせは、この態様に限定されない。本発明のリチウムイオン組電池は、2つの4V級のリチウムイオンセルと2つの3V級のリチウムイオンセルを備えていてもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、3つの4V級のリチウムイオンセルと1つの3V級のリチウムイオンセルを備えていてもよい。
リチウムイオン組電池が、2つの4V級のリチウムイオンセルと2つの3V級のリチウムイオンセルを備える場合、2つの4V級のリチウムイオンセルの各々の初期電圧と、2つの3V級のリチウムイオンセルの各々の初期電圧とは、図2のグラフG2が示す関係を満たせばよい。
リチウムイオン組電池が、4V級のリチウムイオンセルを3つ備え、且つ、3V級のリチウムイオンセルを1つ備える場合、3つの4V級のリチウムイオンセルの各々の初期電圧と、1つの3V級のリチウムイオンセルの初期電圧とは、図2のグラフG3が示す関係を満たせばよい。
上記実施形態の具体例のように、本発明の第3のリチウムイオンセルは、第2のリチウムイオンセルと同じ構造であってもよい。この場合、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第3のリチウムイオンセルの電圧が第2のリチウムイオンセルの電圧と同じであってもよい。
また、本発明の第3のリチウムイオンセルは、第1のリチウムイオンセルと同じ構造であってもよい。この場合、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第3のリチウムイオンセルの電圧が第1のリチウムイオンセルの電圧と同じであってもよい。
上記実施形態の具体例のように、本発明の第3および第4のリチウムイオンセルは、第2のリチウムイオンセルと同じ構造であってもよい。この場合、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第3および第4のリチウムイオンセルの電圧が第2のリチウムイオンセルの電圧と同じであってもよい。また、本発明の第3および第4のリチウムイオンセルは、第1のリチウムイオンセルと同じ構造であってもよい。この場合、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第3および第4リチウムイオンセルの電圧が第1のリチウムイオンセルの電圧と同じであってもよい。
◆セルの接続順序についての変更例
上記実施形態の具体例において、4つのリチウムイオンセル121〜124の接続の順番は、図1に示す順番に限定されない。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルは、直列に接続されていれば、接続の順番は特に限定されない。
◆組電池の構成についての変更例
本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルのうち第1のリチウムイオンセルのみに並列に接続された、第1のリチウムイオンセルと同じ構成の少なくとも1つのリチウムイオンセルを含んでいてもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルのうち第2のリチウムイオンセルに並列に接続された、第2のリチウムイオンセルと同じ構成の少なくとも1つのリチウムイオンセルを含んでいてもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルのうち第3のリチウムイオンセルに並列に接続された、第3のリチウムイオンセルと同じ構成の少なくとも1つのリチウムイオンセルを含んでいてもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルのうち第4のリチウムイオンセルに並列に接続された、第4のリチウムイオンセルと同じ構成の少なくとも1つのリチウムイオンセルを含んでいてもよい。つまり、本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルのうちのいずれか1つのリチウムイオンに並列に接続された、少なくとも1つのリチウムイオンセルを含んでいてもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルの各々に、それぞれ並列に接続された、4つのリチウムイオンセルを含んでいてもよい。
本発明のリチウムイオン組電池は、直列に接続された第1〜第4のリチウムイオンセルのうち隣り合ういずれか2つのリチウムイオンセルからなる第1セル群のみに並列に接続された、第2セル群を有していてもよい。第2セル群は、第1セル群を構成する2つのリチウムイオンセルと同じ構成の2つのリチウムイオンセルだけが直列に接続されたものであることが好ましい。本発明のリチウムイオン組電池は、このような第2セル群を、1つだけ備えていてもよく、複数備えていてもよい。例えば、本発明のリチウムイオン組電池は、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルからなる第1セル群に接続された2つの第2セル群を有していてもよい。例えば、本発明のリチウムイオン組電池は、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルからなる第1セル群に接続された第2セル群と、第3のリチウムイオンセルと第4のリチウムイオンセルからなる第1セル群に接続された第2セル群とを有していてもよい。
本発明のリチウムイオン組電池は、直列に接続された第1〜第4のリチウムイオンセルのうち隣り合ういずれか3つのリチウムイオンセルからなる第3セル群のみに並列に接続された、第4セル群を有していてもよい。第4セル群は、第3セル群を構成する3つのリチウムイオンセルと同じ構成の3つのリチウムイオンセルだけが直列に接続されたものであることが好ましい。本発明のリチウムイオン組電池は、このような第4セル群を、1つだけ備えていてもよく、複数備えていてもよい。
本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルからなる第5セル群に並列に接続された、第6セル群を有していてもよい。第6セル群は、本発明の第1〜第4のリチウムイオンセルと同じ構成の4つのリチウムイオンセルだけが直列に接続されたものであることが好ましい。第6セル群は、これ以外の構成であってもよい。第6セル群は、本発明の第1〜第4のリチウムイオンセルと異なる構成のリチウムイオンセルを含んでいてもよい。第6セル群を構成する複数のセルの接続形態は、直列でもよく、並列でもよく、直接と並列の両方の組み合わせであってもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、このような第6セル群を、1つだけ備えていてもよく、複数備えていてもよい。つまり、第1〜第4のリチウムイオンセルからなる第5セル群に、複数の第6セル群が並列に接続されていてもよい。複数の第6セル群は、互いに同じ構成であってもよく、異なっていてもよい。
本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルからなっていてもよい。つまり、本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルのみを有していてもよい。本発明のリチウムイオン組電池は、第1〜第4のリチウムイオンセルに直列に接続されたリチウムイオンセルは含まない。
◆初期電圧と満充電電圧に関連する変更例
本発明において、第1のリチウムイオンセルの初期電圧が、第1のリチウムイオンセルの満充電電圧より低く、かつ、第2のリチウムイオンセルの初期電圧が、第2のリチウムイオンセルの満充電電圧より低くてもよい。この場合、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルの両方の過充電を防止できる。そのため、第1のリチウムイオンセルと第2のリチウムイオンセルの少なくとも一方の初期電圧が満充電電圧と同じ場合に比べて、リチウムイオン組電池のサイクル寿命を向上できる。
本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルの初期電圧が、それぞれの満充電電圧より低くてもよい。この場合、第1〜第4のリチウムイオンセルの全ての過充電を防止できる。そのため、第1〜第4のリチウムイオンセルのいずれかの初期電圧が満充電電圧と同じ場合に比べて、リチウムイオン組電池のサイクル寿命を向上できる。
本発明において、第1のリチウムイオンセルの初期電圧は、第1のリチウムイオンセルの満充電電圧と同じであってもよい。第1〜第4のリチウムイオンセルの初期電圧が、それぞれの満充電電圧と同じであってもよい。
◆満充電電圧に関連する変更例
本発明において、第1のリチウムイオンセルの満充電電圧は、第2〜第4のリチウムイオンセルのいずれかの満充電電圧よりも低くてもよい。例えば、第2のリチウムイオンセルの満充電電圧が、第1のリチウムイオンセルの満充電電圧よりも高くてもよい。
本発明において、第2のリチウムイオンセルの満充電電圧は、第3のリチウムイオンセルの満充電電圧より低くてもよく、それより高くてもよい。本発明において、第2のリチウムイオンセルの満充電電圧は、第4のリチウムイオンセルの満充電電圧より低くてもよく、それより高くてもよい。本発明において、第3のリチウムイオンセルの満充電電圧は、第4のリチウムイオンセルの満充電電圧より低くてもよく、それより高くてもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルの満充電電圧は、2種類より多くてもよい。
◆初期電圧に関連する変更例
本発明において、第1のリチウムイオンセルの初期電圧は、第2〜第4のリチウムイオンセルのいずれかの初期電圧より低くてもよい。例えば、第2のリチウムイオンセルの初期電圧が、第1のリチウムイオンセルの初期電圧よりも高くてもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルの初期電圧は、2種類より多くてもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルの初期電圧は、1種類であってもよい。
本発明において、第1のリチウムイオンセルの初期電圧は、第2〜第4のリチウムイオンセルの初期電圧の合計と同じかそれよりも高くてもよい。第1〜第4のリチウムイオンセルのうち、満充電電圧が互いに異なる2つのリチウムイオンセルの初期電圧が、互いに同じであってもよい。
本発明において、リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、第1のリチウムイオンセルの充電率は、第2〜第4のリチウムイオンセルのいずれかの充電率と同じまたはそれよりも高くてもよい。
◆放電容量に関連する変更例
本発明において、充電率が100%の状態の第1のリチウムイオンセルを放電させた場合の放電容量が、環境温度とCレートが同じ条件において充電率が100%の状態の第2のリチウムイオンセルを放電させた場合の放電容量と同じかそれよりも小さくてもよい。本発明において、充電率が100%の状態の第1〜第4のリチウムイオンを、それぞれ、環境温度とCレートが同じ条件で放電させた場合の放電容量は、2種類より多くてもよい。
◆正極活物質に関連する変更例
本発明において、第1のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、第2のリチウムイオンセルが有する正極活物質と同じ種類であってもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、1種類であってもよい。
本発明において、第3のリチウムイオンセルの正極活物質は、第2のリチウムイオンセルの正極活物質と異なる種類であってもよい。第4のリチウムイオンセルの正極活物質は、第2のリチウムイオンセルの正極活物質と異なる種類であってもよい。第3のリチウムイオンセルの正極活物質は、第4のリチウムイオンセルの正極活物質と異なる種類であってもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルのうちいずれか3つのリチウムイオンセルが有する正極活物質は、互いに異なっていてもよい。
本発明において、第1のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含まなくてもよい。本発明において、第1のリチウムイオンセルは、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物に加えて、他の物質を含んでいてもよい。第1〜第4のリチウムイオンセルのうち少なくとも2つのリチウムイオンセルの正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含んでいてもよい。第1〜第4のリチウムイオンセルは、いずれも、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含まなくてもよい。
本発明において、第2のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、オリビン構造を有する物質を含まなくてもよい。第2のリチウムイオンセルは、オリビン構造を有する物質に加えて、他の物質を含んでいてもよい。第1〜第4のリチウムイオンセルのうち少なくとも2つのリチウムイオンセルの正極活物質は、オリビン構造を有する物質を含んでいてもよい。第1〜第4のリチウムイオンセルは、いずれも、オリビン構造を有する物質を含んでいなくてもよい。
上記実施形態の具体例において、リチウムイオンセル121の正極活物質を変えた場合であっても、リチウムイオンセル121が4V級のセルであれば、リチウムイオンセル121の放電特性曲線の形状は、曲線CL1a、CL1bと類似する。
上記実施形態の具体例において、リチウムイオンセル122〜124の正極活物質を変えた場合であっても、リチウムイオンセル122〜124が3V級のセルであれば、リチウムイオンセル122〜124の放電特性曲線の形状は、曲線CL2a、CL2bと類似する。
◆負極活物質に関連する変更例
上記実施形態の具体例において、リチウムイオンセル121の負極活物質は、リチウムイオンセル122〜124の負極活物物質と異なる種類であってもよい。リチウムイオンセル122〜124の負極活物物質は、互いに同じ種類であることが好ましい。本発明において、第1のリチウムイオンセルの負極活物質は、第2のリチウムイオンセルの負極活物物質と異なる種類であってもよい。例えば、ハードカーボン系とグラファイト系の2種類の負極活物質を用いてもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルのうちいずれか3つのリチウムイオンセルが有する負極活物質が互いに異なっていてもよい。
本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルのうちの少なくとも1つの負極活物質は、炭素を含まなくてもよい。炭素を含まない負極活物質は、例えば、チタン酸リチウムであってもよい。
◆電解質に関連する変更例
上記実施形態の具体例において、リチウムイオンセル121の電解質は、リチウムイオンセル122〜124の電解質と異なる種類であってもよい。リチウムイオンセル122〜124の電解質は、互いに同じ種類であることが好ましい。本発明において、第1のリチウムイオンセルの電解質は、第2のリチウムイオンセルの電解質と異なる種類であってもよい。本発明において、第1〜第4のリチウムイオンセルのうちいずれか3つのリチウムイオンセルが有する電解質が互いに異なっていてもよい。
◆ 実施例のリチウムイオン組電池
本発明の実施例のリチウムイオン組電池は、1つの4V級のリチウムイオンセルと、3つの3V級のリチウムイオンセルを直列に接続することで作製した。4V級のリチウムイオンセルとしては、充電率が100%の状態の電圧が4.2Vであって、公称容量(放電容量)が2.0Ahのものを用いた。3V級のリチウムイオンセルとしては、充電率が100%の状態の電圧が3.625Vであって、公称容量(放電容量)が1.1Ahのものを用いた。公称容量とは、リチウムイオンセルの製造者が指定する設計上の中心容量である。
実施例のリチウムイオン組電池の初期電圧は、14.5Vに設定した。4V級のリチウムイオンセルの初期電圧は、4.141Vに設定した。3つの3V級のリチウムイオンセルの各々の初期電圧は、3.454Vに設定した。つまり、4V級のリチウムイオンセルの初期電圧は、充電率が100%の状態の電圧より小さい。3つの3V級のリチウムイオンセルの各々の初期電圧も、充電率が100%の状態の電圧より小さい。リチウムイオン組電池の電圧が初期電圧のとき、4V級のリチウムイオンセルの充電率は、3V級のリチウムイオンセルの充電率よりも大きい(図2のグラフG1参照)。
図7に、実施例のリチウムイオン組電池の充電特性と、リチウムイオン組電池に組み込まれた状態の4V級のリチウムイオンセルの充電特性と、リチウムイオン組電池に組み込まれた状態の3V級のリチウムイオンセルの充電特性を示す。図7の横軸は、充電時間を示す。図7の右側の縦軸は、リチウムイオン組電池の電圧を示し、図7の左側の縦軸は、リチウムイオンセルの電圧を示す。図7に示す3つの充電特性曲線は、リチウムイオン組電池を25℃の環境下において定電流定電圧方式で充電した場合の充電特性を示す。定電流充電での充電電流は、0.5Aとした。リチウムイオン組電池の充電終止電圧は、14.5Vとした。定電流充電を定電圧充電に切り換えるときの4つのリチウムイオンセルの各々の電圧は、4つのリチウムイオンセルの各々の初期電圧と同じである。定電圧充電を終了するときの充電電流は、0.05Aとした。定電圧充電を終了するときの充電電流は、リチウムイオン組電池の充電終止電流である。
実施例のリチウムイオン組電池を組み立てる前に、4V級のリチウムイオンセルは、図7に示す4V級のリチウムイオンセルの充電特性と同じ充電条件で充電される。また、実施例のリチウムイオン組電池を組み立てる前に、3つの3V級のリチウムイオンセルは、図7に示す3V級のリチウムイオンセルの充電特性と同じ充電条件で充電される。このように充電された4つのリチウムイオンセルを直列に接続することで、実施例のリチウムイオン組電池は作製される。
図8に、実施例のリチウムイオン組電池の放電特性と、リチウムイオン組電池に組み込まれた状態の4V級のリチウムイオンセルの放電特性と、リチウムイオン組電池に組み込まれた状態の3V級のリチウムイオンセルの放電特性を示す。図8の横軸は、放電時間を示す。図8の右側の縦軸は、リチウムイオン組電池の電圧を示し、図8の左側の縦軸は、リチウムイオンセルの電圧を示す。図8に示す3つの放電特性曲線は、リチウムイオン組電池を25℃の環境下において定電流で放電した場合の放電特性を示す。放電電流は、1.5Aとした。3V級のリチウムイオンセルの電圧が、3V級のリチウムイオンセルの放電終止電圧である2.0Vまで低下したときに、放電を終了した。
◆ 比較例のリチウムイオン組電池
比較例のリチウムイオン組電池は、4つの3V級のリチウムイオンセルを直列に接続することで作製した。3V級のリチウムイオンセルは、実施例と同じものを用いた。比較例のリチウムイオン組電池の初期電圧は、実施例と同じく、14.5Vに設定した。4つの3V級のリチウムイオンセルの各々の初期電圧は、3.625Vに設定した。3V級のリチウムイオンセルの初期電圧は、充電率が100%の状態の電圧と同じである。
<第1の試験>
まず、実施例のリチウムイオン組電池を、25℃の環境下において定電流定電圧方式で充電した。充電条件は、図7の充電特性の充電条件と同じとした。また、比較例のリチウムイオン組電池も、25℃の環境下において定電流定電圧方式で充電した。充電条件(定電流充電での充電電流、リチウムイオン組電池の充電終止電圧、および、リチウムイオン組電池の充電終止電流)は、実施例と同じとした。
充電された実施例のリチウムイオン組電池を、25℃の環境下において、定電流5.0Aで10秒間放電した。放電容量0.2Ahごとに、リチウムイオン組電池から取り出されたエネルギー(電力量)を測定した。測定された放電エネルギーとリチウムイオン組電池の重量に基づいて、重量エネルギー密度を算出した。測定された放電エネルギーとリチウムイオン組電池に基づいて、体積エネルギー密度を算出した。また、10℃の環境下においても、同様の測定を行った。また、充電された比較例のリチウムイオン組電池についても、実施例と同様に測定を行った。これらの測定結果を表1、図9、図10、図11および図12に示す。なお、図9は、25℃の環境下での重量エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。図10は、25℃の環境下での体積エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。図11は、10℃の環境下での重量エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。図12は、10℃の環境下での体積エネルギー密度と放電容量との関係を示すグラフである。
これらの測定結果から明らかなように、実施例のリチウムイオン組電池は、比較例のリチウムイオン組電池よりも、エネルギー密度が高い。
<第2の試験>
まず、第1の試験と同様に、実施例のリチウムイオン組電池と比較例のリチウムイオン組電池をそれぞれ充電した。充電された実施例のリチウムイオン組電池を、25℃の環境下において、所定の放電容量になるまで放電した後、定電流1.0Aで10秒間充電した。この充電による電圧上昇量を測定した。所定の放電容量を、0.2Ah、0.4Ah、0.6Ah、0.8hと変えて、それぞれ、電圧上昇量を測定した。また、10℃の環境下においても、同様の測定を行った。また、充電された比較例のリチウムイオン組電池についても、実施例と同様に測定を行った。これら測定結果を表2、図13および図14に示す。なお、表2において、V1は、充電開始前の電圧であり、V2は充電終了時の電圧である。図13は、25℃の環境下での電圧上昇量と充電開始前の放電容量との関係を示すグラフである。図14は、10℃の環境下での電圧上昇量と充電開始前の放電容量との関係を示すグラフである。
これらの測定結果から明らかなように、実施例のリチウムイオン組電池は、比較例のリチウムイオン組電池に比べて、充電による電圧上昇量が抑制される。
<第3の試験>
実施例のリチウムイオン組電池を、45℃の環境下において、1回の充電と1回の放電からなる充放電サイクルを200回繰り返した。充電は、定電流定電圧方式で行った。定電流充電での充電電流は、1.0Aとした。リチウムイオン組電池の充電終止電圧、および、リチウムイオン組電池の充電終止電流は、図7の充電特性の充電条件と同じとした。放電は、定電流10Aで、3V級のリチウムイオンセルまたは4V級のリチウムイオンセルが、各々の放電終止電圧になるまで行った。1サイクル目、100サイクル目、および、200サイクル目のそれぞれの放電容量と放電電圧に基づいて、放電エネルギーの重量密度と体積密度を測定した。比較例のリチウムイオン組電池も同様に、45℃の環境下において、充放電サイクルを200回繰り返した。充電条件および放電条件は、実施例と同じとした。これら測定結果を表3、図15および図16に示す。なお、図15は、重量エネルギー密度とサイクル数との関係を示すグラフである。図16は、体積エネルギー密度とサイクル数との関係を示すグラフである。
これらの測定結果から明らかなように、実施例のリチウムイオン組電池は、比較例のリチウムイオン組電池よりも大きなエネルギー密度を確保しつつ、サイクル劣化の進行度合が比較例のリチウムイオン組電池とほぼ同じである。
10 リチウムイオン組電池
121 リチウムイオンセル(第1のリチウムイオンセル)
122 リチウムイオンセル(第2〜第4のリチウムイオンセル)
123 リチウムイオンセル(第2〜第4のリチウムイオンセル)
124 リチウムイオンセル(第2〜第4のリチウムイオンセル)
IV リチウムイオン組電池の初期電圧
FV1 第1のリチウムイオン電池の充電率が100%の状態の電圧
FV2 第2〜第4のリチウムイオン電池の充電率が100%の状態の電圧

Claims (15)

  1. 直列に接続された第1のリチウムイオンセル、第2のリチウムイオンセル、第3のリチウムイオンセル、および第4のリチウムイオンセルを備えるリチウムイオン組電池であって、
    前記第1のリチウムイオンセルの充電率が100%の状態の前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、第2のリチウムイオンセルの充電率が100%の状態の前記第2のリチウムイオンセルの電圧と異なり、
    前記リチウムイオン組電池の初期電圧が14〜15Vの範囲内に設定されている、リチウムイオン組電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、充電率が100%の状態の電圧よりも低いことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第1のリチウムイオンセルは、前記第1〜第4のリチウムイオンセルのなかで、充電率が100%の状態の電圧が最も高いことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、前記第1〜第4のリチウムイオンセルの電圧のなかで最も高いことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  5. 請求項4に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの電圧は、前記第2〜第4のリチウムイオンセルの電圧の合計よりも低いことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第1のリチウムイオンセルの充電率は、前記第2のリチウムイオンセルの充電率よりも低く、前記第1〜第4のリチウムイオンセルの充電率のなかで最小であることを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記リチウムイオン組電池の電圧が前記初期電圧のとき、前記第2のリチウムイオンセルの電圧は、充電率が100%の状態の電圧以下であることを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    充電率が100%の状態の前記第1のリチウムイオンセルを放電させた場合の放電容量が、環境温度とCレートが同じ条件において充電率が100%の状態の前記第2のリチウムイオンセルを放電させた場合の放電容量よりも大きいことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  9. 請求項2〜8の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第1のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、リチウムとニッケルとマンガンとコバルトとを含む酸化物を含むことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  10. 請求項2〜9の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第2のリチウムイオンセルは、前記第1〜第4のリチウムイオンセルのなかで、充電率が100%の状態の電圧が最も低いことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  11. 請求項10に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第2のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、オリビン構造を有する物質を含むことを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  12. 請求項10または11に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第3のリチウムイオンセルは、前記第2のリチウムイオンセルと同じ種類の正極活物質を有し、充電率が100%の状態の電圧が、前記第2のリチウムイオンセルと同じであることを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  13. 請求項12に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第4のリチウムイオンセルは、前記第2のリチウムイオンセルと同じ正極活物質を有し、充電率が100%の状態の電圧が、前記第2のリチウムイオンセルと同じであることを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  14. 請求項1〜13の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第1のリチウムイオンセルが有する正極活物質は、前記第2のリチウムイオンセルが有する正極活物質と異なる種類であることを特徴とする、リチウムイオン組電池。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載のリチウムイオン組電池であって、
    前記第1のリチウムイオンセルが有する電解質および負極活物質の少なくとも一方は、前記第2のリチウムイオンセルが有する電解質および負極活物質の前記少なくとも一方と異なる種類であることを特徴とする、リチウムイオン組電池。
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