ところで、配管の内周面には、使用に伴う汚れや異物が付着してしまいやすい。そのため、衛生性や美観の低下が容易に生じてしまうおそれがある。また、良好な衛生性や美観を維持するためには、清掃を頻繁に行わなければならない場合がある。しかし、従前の栓蓋ユニットは、衛生性等の維持や使い勝手の向上に貢献するような機能を特段持つものとはなっていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な衛生性や美観をより長期間に亘って維持することができるとともに、使い勝手の向上を図ることができる栓蓋ユニットを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.槽体の排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋を備えた栓蓋ユニットであって、
前記栓蓋の下方において前記栓蓋に直接又は間接的に取付けられるともに、少なくとも前記排水口を開状態としたときに、前記排水口を通過した排水の流路を構成する配管の内部に配置され、かつ、排水の流れ方向を変化させることで前記配管の内周面に向けて流れる外向き水流を生じさせるように構成された外向き水流発生部材を備えることを特徴とする栓蓋ユニット。
上記手段1によれば、外向き水流発生部材によって配管の内周面に向けた外向き水流を生じさせることができるため、排水を配管の内周面に対し押し当てるようにして流すことができる。従って、配管の内周面に対する汚れや異物の付着を効果的に抑制することができ、また、仮に配管の内周面に汚れや異物が付着したとしても、これらを効果的に洗い流すことができる。その結果、良好な衛生性や美観をより長期間に亘って維持することができる。また、清掃に係る頻度や手間を減らすことができ、使い勝手を向上させることができる。
さらに、外向き水流発生部材は、栓蓋に直接又は間接的に取付けられているため、栓蓋が引き上げ可能である場合には、栓蓋を引き上げることで、外向き水流発生部材を配管から容易に引き抜くことができる。これにより、外向き水流発生部材の清掃などを容易に行うことが可能となる。
手段2.前記外向き水流発生部材は、排水が前記配管の内周面を回転する方向に流れるように前記外向き水流を生じさせることを特徴とする手段1に記載の栓蓋ユニット。
上記手段2によれば、外向き水流発生部材によって、排水は、単に配管の内周面に向けて流れるだけでなく、配管の内周面を回転するようにして流れることになる。つまり、排水は、例えば、配管の内周面を流れる螺旋流などになる。従って、配管の内周面に対する汚れや異物の付着を一層効果的に抑制することができ、また、仮に配管の内周面に汚れや異物が付着したとしても、これらを非常に効果的に洗い流すことができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一層図ることができる。
手段3.前記外向き水流発生部材は、上方から下方に向けて前記配管の周方向一方側に向けて徐々に変位するように構成された傾斜状の羽根を備えていることを特徴とする手段2に記載の栓蓋ユニット。
上記手段3によれば、排水が羽根に当たることで、配管の内周面に向けて流れるとともに、配管の内周面を回転する方向に流れる外向き水流を容易に生じさせることができる。従って、栓蓋ユニットの複雑化をより確実に防止することができ、コストの低減及び生産や使用に係る利便性の向上を図ることができる。
また、上記手段3によれば、羽根の角度を調節したり、配管に対する外向き水流発生部材の相対回転のしやすさなどを調節したりすることで、単位時間当たりの排水量(排水能力)を変更することも可能となる。
手段4.前記外向き水流発生部材は、有底筒状をなすとともに、側面部に前記配管の内周面に向けて開く流出貫通孔が形成されてなるドラム部を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の栓蓋ユニット。
尚、ドラム部の底面部には、通水用の孔が形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。底面部に通水用の孔を形成する場合には、当該孔の大きさを調節することで、外向き水流の流量や排水能力の調節を行うことができる。
上記手段4によれば、ドラム部内に流入した排水が、側面部に形成された流出貫通孔から流れ出ることで、外向き水流を生じさせることができる。従って、簡易な構成によって外向き水流を容易に生じさせることができ、栓蓋ユニットの複雑化をより確実に防止することができる。その結果、コストの低減や利便性の向上を図ることができる。
手段5.前記外向き水流発生部材は、円錐状又は円錐台状をなすとともに、上部が前記配管の中心側に位置するとともに、上方から下方に向けて徐々に前記配管の内周面に接近するように構成された傘状部を備えていることを特徴とする手段1に記載の栓蓋ユニット。
上記手段5によれば、傘状部を伝うように排水が流れることで、傘状部の下部において外向き水流を生じさせることができる。従って、簡易な構成によって外向き水流を生じさせることができ、栓蓋ユニットの複雑化をより確実に防止することができる。その結果、コストの低減や利便性の向上を図ることができる。
尚、配管の周方向に沿って、傘状部の構成部が断続的に(隙間をあけて)設けられるように構成してもよい。勿論、傘状部に通水用の孔を設けてもよい。さらに、配管の周方向に沿って、傘状部の下部の高さが変化するように構成してもよい。
手段6.前記配管の中心に配置され、上端部が前記栓蓋に固定された軸部を備え、
前記軸部の外周において、前記軸部に対し前記外向き水流発生部材が相対回転するように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段6によれば、軸部に対し外向き水流発生部材を相対回転させることができる。そして、外向き水流発生部材の相対回転により、配管の内周面にぶつかる水流の向きを、一定ではなく、多様に変化させることができる。これにより、配管の内周面におけるより広範囲に対し水流をランダムに当てることができる。また、軸部の外周において、軸部に対し外向き水流発生部材が相対回転するため、外向き水流発生部材が相対回転したときに、軸部表面の汚れを外向き水流発生部材によってこすり落とすことができる。これらの結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一段と図ることができる。
また、上記手段6によれば、外向き水流発生部材が排水から受ける力により、外向き水流発生部材とともに軸部や栓蓋が容易に回転してしまうことを抑制できる。これにより、栓蓋の回転に伴う不具合の発生(例えば、排水時における美観の低下など)をより確実に防止することができる。
手段7.前記軸部に対する前記外向き水流発生部材の相対回転を抑制する回転抑制手段を備えることを特徴とする手段6に記載の栓蓋ユニット。
上記手段7によれば、回転抑制手段によって、外向き水流発生部材の相対回転を抑制することができる。従って、外向き水流発生部材が軽く回転しないようにする(相対回転がやや生じにくいように調整する)ことができる。これにより、外向き水流発生部材によって排水に対し配管の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をより一層図ることができる。
手段8.前記外向き水流発生部材は、前記軸部が挿通される円筒部を有し、
前記円筒部の内周に、前記円筒部の軸方向又は当該軸方向に対し斜めに延びる凸部が設けられることを特徴とする手段6又は7に記載の栓蓋ユニット。
尚、凸部は、直線状であってもよいし、螺旋状やねじ山形状であってもよい。
上記手段8によれば、凸部の存在により、軸部に対し円筒部が密着し、ひいては軸部に対する外向き水流発生部材の相対回転が阻害されてしまうことをより確実に防止できる。
また、上記手段8によれば、軸部に対し外向き水流発生部材が相対回転したときに、凸部によって軸部表面の汚れを効果的にこすり落とすことができる。これにより、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をより図ることができる。
手段9.前記外向き水流発生部材は、前記軸部の軸方向に沿って前記軸部に対し相対移動可能に構成されていることを特徴とする手段6乃至8のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段9によれば、外向き水流発生部材が軸部の軸方向に沿って移動可能となる。従って、例えば、外向き水流発生部材が比較的軽い(比重の小さい)ものである場合や、上下方向に伸縮可能なばね等により外向き水流発生部材を支持した場合(ばね等の伸縮変形により外向き水流発生部材が容易に上下動するような場合)には、排水の水流が速いときに外向き水流発生部材を下方に沈ませ、一方、排水の水流が遅いときに外向き水流発生部材を上方に浮かせるといったことが可能になる。そのため、配管の内周面にぶつかる水流の向きや高さをより多様に変化させることができるとともに、軸部表面における汚れをより広範囲に亘って落とすことができる。これにより、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をさらに図ることができる。
手段10.前記外向き水流発生部材は、上下対称の形状であることを特徴とする手段3、手段3に従属する手段6、又は、当該手段6に従属する手段7乃至9のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段10によれば、外向き水流発生部材は上下対称の形状であるため、軸部の外周に外向き水流発生部材を配置する際に、外向き水流発生部材の向きを特に気にすることなく、単に軸部の外周に外向き水流発生部材を配置すればよくなる。従って、外向き水流発生部材の誤組付などを防ぐことができ、生産や使用に係る利便性をより高めることができる。
手段11.前記配管の中心に配置され、上端部が前記栓蓋に固定された軸部を備え、
前記外向き水流発生部材の上下を反転させることで、前記軸部に対する前記外向き水流発生部材の相対回転の可否が切換えられる、又は、前記相対回転のしやすさが変化するように構成されていることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
尚、上記手段6及び上記手段11における軸部はそれぞれ同じものを指しており、上記手段6又はこれに従属する手段に対し、上記手段11が従属する場合に、軸部が複数存在することを意図するものではない。
上記手段11によれば、外向き水流発生部材の上下を反転させることで、軸部に対する外向き水流発生部材の相対回転を可能又は不可とすることや、軸部に対する外向き水流発生部材の相対回転のしやすさを変化させることができる。例えば、配管の内周面に向けた水流を積極的に発生させ、配管の汚れ等をより落としたい場合には、外向き水流発生部材を正方向で用いることにより、軸部に対し外向き水流発生部材が容易に相対回転しないもの(全く相対回転しないものも含む)とすることができる。一方、軸部の表面汚れ等を積極的に落としたい場合には、外向き水流発生部材を上下反転させた上で用いることにより、軸部に対し外向き水流発生部材が容易に相対回転しやすいものとすることができる。これにより、外向き水流発生部材などを交換することなく、相対回転の可否や容易さを選択することができる。その結果、コストの低減や利便性の向上を一層図ることができる。
尚、上記手段11を実現する具体的な構成としては、例えば、次の構成を挙げることができる。すなわち、外向き水流発生部材が軸部の挿通される円筒部を有し、かつ、円筒部の下端面を所定部位によって支持する構成において、円筒部の一端面を比較的大きな表面粗さを有するものとする一方、円筒部の他端面を平滑面とした構成である。この構成によれば、円筒部の下端面を表面粗さの大きな一端面とすることで、軸部に対し外向き水流発生部材が容易に相対回転しないものとすることができる。一方、外向き水流発生部材を上下反転させ、円筒部の下端面を平滑な他端面とすることで、軸部に対し外向き水流発生部材が容易に相対回転するものとすることができる。
手段12.前記外向き水流発生部材に対する前記軸部の挿抜により、前記軸部に対する前記外向き水流発生部材の取付・取外を可能としたことを特徴とする手段6乃至11のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段12によれば、軸部に対し外向き水流発生部材を容易に取付・取外することができる。そのため、外向き水流発生部材の清掃などを容易に行うことができ、使い勝手を一段と高めることができる。
手段13.前記外向き水流発生部材は、前記栓蓋に対し相対回転不能な状態で、前記栓蓋に対し直接又は間接的に取付けられていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段13によれば、外向き水流発生部材が、配管内において容易に回転してしまうことを抑制できる。これにより、排水に対し、配管の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。その結果、配管の内周面に対する汚れ等の付着抑制効果や、汚れ等の除去効果をより高めることができ、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をさらに図ることができる。
尚、排水に対し配管の内周面に向けた勢いを一層確実に付与するという点では、栓蓋を槽体に対し相対回転不能とし、ひいては外向き水流発生部材を槽体に対し相対回転不能とすることが好ましい。
手段14.前記外向き水流発生部材の上方であり、かつ、前記栓蓋の下方に空間が存在するように構成されていることを特徴とする手段1乃至13のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段14によれば、外向き水流発生部材及び栓蓋間に位置する空間から外向き水流発生部材に向けて、排水を流れ落ちるようにすることが可能となる。これにより、排水に対し、配管の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。そのため、配管の内周面に対する汚れ等の付着抑制効果や、汚れ等の除去効果を一層高めることができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一層図ることができる。
手段15.前記外向き水流発生部材の下方において前記配管の内周面に沿って配置されるとともに、前記配管内において上下動可能に構成された支持部により支持され、かつ、前記栓蓋に対し直接又は間接的に取付けられた通水部材を備え、
前記支持部の上下動に伴い、前記通水部材が前記配管の内周面に沿って上下動することで、前記栓蓋が上下動するように構成されていることを特徴とする手段1乃至14のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段15によれば、外向き水流発生部材によって配管の内周面に向けて排水を流すことができるため、結果的に、外向き水流発生部材の下方に位置する通水部材の外周側へと排水を積極的に流すことができる。従って、通水部材の外周に対し汚れや異物を付着しにくいものとすることができ、また、仮に汚れ等が付着しても、この汚れ等を効果的に洗い流すことができる。これにより、配管の内周面に沿った通水部材の上下動をより円滑なものとすることができる。その結果、栓蓋をよりスムーズに移動させることができ、排水口の開閉に係る操作性や動作安定性の向上を図ることができる。
手段16.前記外向き水流発生部材は、前記配管又は前記槽体に載置される載置部を備えるとともに、前記配管に対し相対回転可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至15のいずれかに記載の栓蓋ユニット。
上記手段16によれば、載置部を配管(例えば、配管の内周に設けられた段部や傾斜部)又は槽体(例えば、槽体の底面を構成する底壁部)に載置することで、外向き水流発生部材をより安定した状態で配管内に配置することができる。
また、上記手段16によれば、配管に対し外向き水流発生部材を相対回転可能としつつ、載置部と配管又は槽体との間で摩擦力を生じさせることができる。従って、配管の内周面にぶつかる水流の向きを多様に変化させることを可能としつつ、外向き水流発生部材が配管に対し容易に相対回転してしまうことを防止でき、ひいては外向き水流発生部材によって排水に対し配管の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。これにより、配管の内周面のより広範囲に対し、勢いよく水流を当てることができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一層図ることができる。
尚、載置部における配管又は槽体に載置される部位や配管又は槽体における載置部の被載置部は、平坦状であってもよいし、凹凸形状(例えば、回転を阻害しない程度の比較的浅い凹凸形状)であってもよい。平坦状とした場合には、外向き水流発生部材を相対回転しやすい状態とすることができ、配管の内周面にぶつかる水流の向きをより素早く変化させることができる。一方、凹凸形状とした場合には、外向き水流発生部材をやや相対回転しにくい状態とすることができ、外向き水流発生部材をある程度一定の位置に配置させ続けることができる。そのため、水流の向きを多様に変化させることを担保しつつ、配管の内周面に対し一層勢いよく水流を当てることができる。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられており、配管2と、駆動部材3と、栓蓋ユニット5とを備えている。尚、浴槽100は、その底部分を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。
配管2は、排水口102を通過した排水の流路を構成する管体であり、直列的に接続された排水口部材21と排水管22とを備えている。
排水口部材21は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と前記排水口102の中心軸とがほぼ一致するように排水口102に挿設されている。また、排水口部材21は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21Aと、当該鍔部21Aよりも下方側の外周に形成された雄ねじ部21Bとを備えている。
排水管22は、筒状をなし、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部21Bを螺合可能な雌ねじ部22Aを備えている。そして、鍔部21Aを前記底壁部101上に配置した状態で、雄ねじ部21Bを雌ねじ部22Aに螺合し、鍔部21A及び排水管22の上端面により底壁部101を挟み込むことで、排水口部材21及び排水管22が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
尚、本実施形態において、鍔部21Aと底壁部101の表面との間には、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材11が配置されている。また、排水管22の上端面と底壁部101の裏面との間には、シール部材11と同様に、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材12が配置されている。両シール部材11,12によって、配管2及び浴槽100間からの漏水防止が図られている。
また、排水管22には、その内周から外周に連通する円形状の連通孔22Bが形成されている。この連通孔22Bは、駆動部材3の配置空間として機能する。
駆動部材3は、栓蓋ユニット5を上下動させる機能を有する。駆動部材3は、円柱状をなす円柱部31と、当該円柱部31の一端面(配管2の内部空間側の端面)の外周側から突出した状態で設けられた支持部32とを備えている。
円柱部31は、一端面が配管2の内周面から突出しない状態で配設されており、水平方向に延びる回動軸を中心に回動可能となっている。円柱部31は、図示しない所定の操作部材(例えば、操作ボタンや操作ハンドル)の変位に伴い往復移動する図示しない伝達部材(例えばワイヤー等)と接続されている。円柱部31は、前記操作部材の変位に伴い前記伝達部材が往復運動することで回動する。
支持部32は、連通孔22Bを通って配管2内に突出しており、栓蓋ユニット5を支持する役割を有する。支持部32は、円柱部31の回動に伴い上下動する。また、支持部32は、配管2(排水管22)の中心軸に至らない程度の短いものとされている。
栓蓋ユニット5は、主として排水口102の開閉を行うためのユニットであるが、排水の流れ方向を変化させることで配管2の内周面に向けて流れる外向き水流を生じさせるという機能をも有するユニットである。栓蓋ユニット5は、配管2の上方から、配管2内に設置可能とされるとともに配管2から取外可能とされている。具体的には、配管2の上方から配管2内に栓蓋ユニット5を投入することで、配管2内に栓蓋ユニット5を配置することができる。一方、配管2の上方から栓蓋ユニット5を引上げることで、配管2から栓蓋ユニット5を取外すことができる。
栓蓋ユニット5は、図2に示すように、通水部材51と、軸部としての支持軸52と、栓蓋53と、外向き水流発生部材54とを備えている。
通水部材51は、少なくとも支持部32が上動したときに、支持部32によって持ち上げられる部材である。通水部材51は、円環状をなすとともに、配管2(排水管22)の内周面に沿って配置されている。また、通水部材51は、その径方向に沿って延びる複数のアーム部55を介して支持軸52の下端部に対し取付けられている。結果的に、通水部材51は、アーム部55及び支持軸52を介して栓蓋53に対し間接的に取付けられた状態となっている。尚、通水部材を栓蓋に対し直接取付けてもよい。
支持軸52は、配管2のほぼ中心に配置されており、鉛直方向に延びる棒状をなしている。また、支持軸52の上端部に対し栓蓋53の背面中央部が取付けられており、支持軸52によって栓蓋53が支持された状態となっている。
さらに、支持軸52の下端部には、径方向外側に膨出形成された大径部52Aが設けられており、当該大径部52Aに対し外向き水流発生部材54が載置された状態となっている。
尚、本実施形態では、支持軸52における大径部52Aに相当する部分と通水部材51とアーム部55とは一体化されており、当該一体化された部品が支持軸52から着脱可能となっている。
栓蓋53は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部53Aと、当該栓蓋本体部53Aに取付けられたパッキン部53Bとを備えている。パッキン部53Bは、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成されており、栓蓋本体部53Aの背面の外周側に取付けられている。
そして、前記操作部材の変位に伴い前記伝達部材が往動し、円柱部31が一方側に回動することで、支持部32が上動し、通水部材51が配管2の内周面に沿って上動する。その結果、栓蓋53が上動し、パッキン部53Bが排水口部材21から離間することで、排水口102が開放される。一方、前記操作部材の変位に伴い前記伝達部材が復動し、円柱部31が他方側に回動することで、支持部32が下動し、通水部材51が配管2の内周面に沿って下動する。その結果、栓蓋53が下動し、パッキン部53Bの外周部分全域が排水口部材21に接触することで、排水口102が閉鎖される。
尚、本実施形態において、排水口102が開状態であるときには、支持部32に対し通水部材51が載置された状態となる一方、支持部32が最も下方に配置されているとき(排水口102が閉状態であるとき)には、支持部32から通水部材51が離間した状態(浮いた状態)となるように構成されている。これにより、排水口102の閉鎖時において、パッキン部53Bをより確実に排水口部材21へと接触させることができ、良好な水密性を得ることができるようになっている。
外向き水流発生部材54は、栓蓋53の下方において栓蓋53に対し支持軸52を介して間接的に取付けられている。外向き水流発生部材54の少なくとも一部は、少なくとも排水口102を開状態としたときに、配管2の内部に配置されるように構成されている。また、本実施形態において、外向き水流発生部材54は、上下対称の形状とされ、さらに、所定の樹脂により形成されることで、比較的軽い(比重が1未満の)ものとされている。
尚、本実施形態において、外向き水流発生部材54の少なくとも一部は、少なくとも排水口102を開状態としたときに、配管2のうち排水口102を閉鎖したときに栓蓋53(パッキン部53B)と接触する部位よりも下方に位置する部分の内部に配置されるように構成されている。つまり、外向き水流発生部材54の少なくとも一部は、配管2のうち、排水口102を閉状態としたときに水が溜まり得る部位ではなく、排水の流路として専ら機能する部分の内部に配置されている。特に本実施形態では、外向き水流発生部材54のその高さ方向(上下方向)に沿った半分以上の部分が、少なくとも排水口102を開状態としたときに、配管2のうち排水口102を閉鎖したときに栓蓋53(パッキン部53B)と接触する部位よりも下方に位置する部分の内部に配置されるように構成されている。
さらに、外向き水流発生部材54は、円筒部54Aと、当該円筒部54Aの外周から外側に向けて突出形成された複数枚(本実施形態では、3枚)の羽根54Bとを備えている。尚、羽根54Bの枚数は適宜変更可能である。
円筒部54Aは、支持軸52が挿通されるとともに、支持軸52に対し相対回転可能な状態とされている。支持軸52に対し円筒部54Aが相対回転することで、支持軸52に対し外向き水流発生部材54が相対回転するようになっている。
加えて、円筒部54Aは、その下端部が支持軸52の大径部52Aに載置される一方、その上端部が栓蓋53との間で間隔をあけた状態で配置されている。これにより、外向き水流発生部材54は、支持軸52の軸方向に沿って支持軸52に対し相対移動可能となっている。さらに、外向き水流発生部材54の上方であり、かつ、栓蓋53の下方に空間が存在する状態となっている。
さらに、図3に示すように、円筒部54Aの内周には、円筒部54Aの軸方向に沿って延びる複数の凸部54Cが設けられている。各凸部54Cは、直線状をなしており、円筒部54Aの周方向に沿って相互に間隔をあけた状態で配置されている。
羽根54Bは、上方から下方に向けて(円筒部54Aの一端側から他端側に向けて)配管2の周方向一方側に向けて徐々に変位するように構成された傾斜状をなしている。羽根54Bは、円筒部54Aの周方向に沿って等間隔に設けられている。尚、羽根54Bの傾斜角度は、適宜変更可能である。
上記のように構成された外向き水流発生部材54によって、排水口102が開状態であるとき、すなわち配管2内に排水が流れ込むときには、排水が羽根54Bに当たることになる。そのため、単に鉛直下方に向けて流れていた排水に対し、配管2の内周面に対する接線方向にほぼ沿った向きの勢いが付与され、排水の流れ方向が変化する。その結果、配管2の内周面に向けて流れる外向き水流を生じさせることができる。特に本実施形態では、外向き水流発生部材54によって、排水が配管2の内周面を回転する方向に向けて流れるように外向き水流を生じさせることができる。これにより、配管2の内部において、排水は、例えば、配管2の内周面を流れる螺旋流などになる。
また、本実施形態では、外向き水流発生部材54のその高さ方向(上下方向)に沿った半分以上の部分が、少なくとも排水口102を開状態としたときに、配管2のうち排水口102を閉鎖したときに栓蓋53(パッキン部53B)と接触する部位よりも下方に位置する部分の内部に配置されるため、排水に対し、配管2の内周面に向けた勢いをより効果的に付与することができる。
また、支持軸52に対し外向き水流発生部材54が相対回転可能であるため、排水の水流が速い場合などには、外向き水流を発生させる際に、外向き水流発生部材54が支持軸52に対し相対回転する。
さらに、支持軸52の軸方向に沿って外向き水流発生部材54が相対移動可能であるため、排水の勢いなどによっては、外向き水流発生部材54が上下動する。
加えて、支持軸52における大径部52Aに相当する部分や通水部材51等が一体化されてなる上述の部品を支持軸52から外した状態において、外向き水流発生部材54(円筒部54A)に対する支持軸52の挿抜により、支持軸52に対し外向き水流発生部材54を取付・取外可能となっている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、外向き水流発生部材54によって配管2の内周面に向けた外向き水流を生じさせることができる。そのため、排水を配管2の内周面に対し押し当てるようにして流すことができる。従って、配管2の内周面に対する汚れや異物の付着を効果的に抑制することができ、また、仮に配管2の内周面に汚れや異物が付着したとしても、これらを効果的に洗い流すことができる。その結果、良好な衛生性や美観をより長期間に亘って維持することができる。また、清掃に係る頻度や手間を減らすことができ、使い勝手を向上させることができる。
特に本実施形態では、外向き水流発生部材54によって、排水は配管2の内周面を回転するようにして流れる。従って、配管2の内周面に対する汚れや異物の付着を一層効果的に抑制することができ、また、仮に配管2の内周面に汚れや異物が付着したとしても、これらを非常に効果的に洗い流すことができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一層図ることができる。
また、排水が羽根54Bに当たることで、上述した外向き水流を容易に生じさせることができる。従って、栓蓋ユニット5の複雑化をより確実に防止することができ、コストの低減や生産や使用に係る利便性の向上を図ることができる。
加えて、外向き水流発生部材54は、栓蓋55に対し間接的に取付けられているため、栓蓋55を引き上げることで、外向き水流発生部材54を配管2から容易に引き抜くことができる。これにより、外向き水流発生部材54の清掃などを容易に行うことが可能となる。
さらに、羽根54Bの角度を調節したり、配管2に対する外向き水流発生部材54の相対回転のしやすさなどを調節したりすることで、単位時間当たりの排水量(排水能力)を変更することも可能となる。尚、配管2に対し外向き水流発生部材54が相対回転しやすいものとすれば、排水能力は比較的高いものとなり、配管2に対し外向き水流発生部材54が相対回転しにくいものとすれば、排水能力は比較的低いものとなる。
加えて、支持軸52の外周において、支持軸52に対し外向き水流発生部材54が相対回転可能であるため、外向き水流発生部材54の回転により、配管2の内周面にぶつかる水流の向きを、一定ではなく、多様に変化させることができる。これにより、配管2の内周面におけるより広範囲に対し水流をランダムに当てることができる。また、支持軸52に対し外向き水流発生部材54が相対回転したときに、支持軸52表面の汚れを外向き水流発生部材54(円筒部54A)によってこすり落とすことができる。これらの結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一段と図ることができる。
また、支持軸52に対し外向き水流発生部材54を相対回転可能とすることで、外向き水流発生部材54が排水から受ける力により、外向き水流発生部材54とともに支持軸52や栓蓋53が容易に回転してしまうことを抑制できる。これにより、栓蓋53の回転に伴う不具合の発生(例えば、排水時における美観の低下など)をより確実に防止することができる。
併せて、凸部54Cの存在により、支持軸52に対し円筒部54Aが密着し、ひいては支持軸52に対する外向き水流発生部材54の相対回転が阻害されてしまうことをより確実に防止できる。これにより、上述した、支持軸52に対し外向き水流発生部材54を相対回転可能とすることによる作用効果を一層確実に発揮させることができる。
また、支持軸52に対し円筒部54Aが相対回転したときに、凸部54Cによって支持軸52表面の汚れを効果的にこすり落とすことができる。これにより、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をより図ることができる。
加えて、本実施形態では、外向き水流発生部材54が支持軸52の軸方向に沿って移動可能とされている。そのため、本実施形態のように、外向き水流発生部材54を比較的軽い(比重の小さい)ものとした場合には、排水の水流が速いときに外向き水流発生部材54を下方に沈ませ、一方、排水の水流が遅いときに外向き水流発生部材54を上方に浮かせるといったことが可能になる。そのため、配管2の内周面にぶつかる水流の向きや高さをより多様に変化させることができるとともに、支持軸52表面における汚れをより広範囲に亘って落とすことができる。これにより、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をさらに図ることができる。
さらに、外向き水流発生部材54は上下対称の形状であるため、支持軸52の外周に外向き水流発生部材54を配置する(外向き水流発生部材54に対し支持軸52の挿入する)際に、外向き水流発生部材54の向きを特に気にすることなく、単に外向き水流発生部材54に対し支持軸52を挿通すればよくなる。従って、外向き水流発生部材54の誤組付などを防ぐことができ、生産や使用に係る利便性をより高めることができる。
併せて、外向き水流発生部材54の上方であり、かつ、栓蓋53の下方には空間が存在するため、当該空間から外向き水流発生部材54に向けて、排水を流れ落ちるようにすることが可能となる。これにより、排水に対し、配管2の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。そのため、配管2の内周面に対する汚れ等の付着抑制効果や、汚れ等の除去効果を一層高めることができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一層図ることができる。
また、本実施形態によれば、外向き水流発生部材54の下方に位置する通水部材51の外周側へと排水を積極的に流すことができる。従って、通水部材51の外周に対し汚れや異物を付着しにくいものとすることができ、また、仮に汚れ等が付着しても、この汚れ等を効果的に洗い流すことができる。これにより、配管2の内周面に沿った通水部材51の上下動をより円滑なものとすることができる。その結果、栓蓋53をよりスムーズに移動させることができ、排水口102の開閉に係る操作性や動作安定性の向上を図ることができる。
さらに、外向き水流発生部材54に対する支持軸52の挿抜により、支持軸52に対し外向き水流発生部材54を取付・取外可能となっている。従って、支持軸52に対し外向き水流発生部材54を容易に取付・取外することができる。そのため、外向き水流発生部材54の清掃などを容易に行うことができ、使い勝手を一段と高めることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態において、栓蓋ユニット5は、軸部としての支持軸52が通水部材51に取付けられるとともに、支持軸52によって栓蓋53を支持するように構成されている。これに対し、本第2実施形態における栓蓋ユニット6は、図4に示すように、栓蓋63の背面中心部から垂れ下がるようにして軸部62が延びており、かつ、当該軸部62が通水部材61から離間した状態となっている。すなわち、軸部62は、通水部材61に取付けられることなく、また、栓蓋63を支持する役割を備えないものとなっている。
そして、軸部62の外周に対し、外向き水流発生部材64が配設されている。つまり、本第2実施形態における軸部62は、外向き水流発生部材64を支持するという役割のみを担うものとされている。
尚、外向き水流発生部材64は、上記第1実施形態における外向き水流発生部材54と同様の構成を有しており、円筒部64A及び羽根64Bを備えたものである。また、本第2実施形態において、通水部材61及び栓蓋63は、棒状をなす複数の支持軸65によって連結されている。支持軸65は、栓蓋63を支持するという点において、上記第1実施形態における支持軸52と同様の役割を有する。支持部32の上下動に伴い通水部材61ひいては栓蓋63が上下動する点は、上記第1実施形態と同様である。
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)外向き水流発生部材は、外向き水流を発生可能なものであればよく、上記実施形態で挙げた構成を有するものに限定されない。
従って、例えば、図5に示すように、外向き水流発生部材74が、有底筒状をなすドラム部74Aを有し、当該ドラム部74Aの側面部に配管2の内周面に向けて開く流出貫通孔74Bが形成されるように構成してもよい。この場合には、ドラム部74A内に流入した排水が、流出貫通孔74Bから流れ出ることで、外向き水流を生じさせることができる。従って、簡易な構成によって外向き水流を容易に生じさせることができ、栓蓋ユニットの複雑化をより確実に防止することができる。その結果、コストの低減や利便性の向上を図ることができる。
さらに、図6に示すように、ドラム部74Aの底面部74Cを中心側から外周側に向けて徐々に下方に傾斜するテーパ状としてもよい。この場合には、流出貫通孔74Bからより勢いよく排水が流出させることができる。
また、図7に示すように、流出貫通孔74Bを、ドラム部74Aの内周面に対する接線方向に沿って延びるように構成することで、排水が配管2の内周面を回転する方向に流れるように外向き水流を生じさせることとしてもよい。但し、流出貫通孔の延びる方向は適宜変更可能であり、例えば、流出貫通孔がドラム部の径方向に沿って延びていてもよい。
加えて、底面部74Cに傾斜を設けることなく、平坦面状としてもよい。また、底面部74Cに対し、通水用の孔を適宜形成することとしてもよい。底面部74Cに通水用の孔を形成する場合には、当該孔の大きさを調節することで、外向き水流の流量や排水能力の調節を行うことができる。
さらに、図8及び図9に示すように、外向き水流発生部材84が、円錐台状をなすとともに、上部が配管2の中心側に位置し、かつ、上方から下方に向けて徐々に配管2の内周面に接近するように構成された傘状部84Aを有するものであってもよい。この場合には、傘状部84Aを伝うように排水が流れることで、傘状部84Aの下部において外向き水流を生じさせることができる。従って、簡易な構成によって外向き水流を生じさせることができ、栓蓋ユニットの複雑化をより確実に防止することができる。その結果、コストの低減や利便性の向上を図ることができる。
尚、図10に示すように、下方に向かうにつれて傾斜が徐々に緩やかになるように傘状部84Bを構成してもよい。
また、傘状部84A,84Bに対し、通水用の孔を適宜形成してもよい。加えて、配管2の周方向に沿って、傘状部84A,84Bの構成部が断続的に(隙間をあけて)設けられるように構成してもよい。さらに、配管2の周方向に沿って、傘状部84A,84Bの下部の高さが変化するように構成してもよい。
加えて、配管2の中心に軸部が配置されない構成(例えば、軸部を省略し、傘状部の下部であって配管2の内周面側に位置する部分と栓蓋53とを棒状の連結部により連結した構成)を採用した場合には、傘状部を円錐状としてもよい。
また、傘状部の下部であって配管2の内周面側に位置する環状部分を通水部材(支持部32により支持される部分)として利用してもよい。すなわち、外向き水流発生部材及び通水部材を一体化してもよい。この場合には、部品点数の削減を図ることができ、コストの増大抑制を図ることができる。
(b)上記実施形態において、外向き水流発生部材54,64は、支持軸52や軸部62を介して栓蓋53,63に対し間接的に取付けられているが、外向き水流発生部材を栓蓋に対し直接取付けることとしてもよい。
(c)上記実施形態において、凸部54Cは、円筒部54Aの軸方向に沿って延びる形状とされているが、円筒部54Aの軸方向に対し斜めに延びるように凸部を構成してもよい。例えば、凸部を螺旋状やねじ山形状としてもよい。
(d)上記実施形態において、外向き水流発生部材54,64は、軸部(支持軸52や軸部62)に対し相対回転可能とされているが、外向き水流発生部材を軸部に対し相対回転不能とし、外向き水流発生部材が栓蓋に対し相対回転不能な状態で直接又は間接的に取付けられるように構成してもよい。この場合には、外向き水流発生部材が、配管2内において容易に回転してしまうことを抑制できる。これにより、排水に対し、配管2の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。その結果、配管2の内周面に対する汚れ等の付着抑制効果や、汚れ等の除去効果をより高めることができ、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をさらに図ることができる。
また、栓蓋を浴槽100に対し相対回転不能とし、ひいては外向き水流発生部材を浴槽100に対し相対回転不能とすることで、排水に対し配管2の内周面に向けた勢いが一層確実に付与されるように構成してもよい。
(e)外向き水流発生部材の相対回転を抑制するための回転抑制手段を設けることとしてもよい。例えば、図11に示すように、円筒部54Aの一部により構成され、円筒部54Aの径方向に沿って弾性変形可能な弾性変形部57Aと、当該弾性変形部57Aの内側面から突出する圧接突起部57Bとによって回転抑制手段57を構成してもよい。この場合、円筒部54Aに対し支持軸52が挿通されると、弾性変形部57Aが外側に弾性変形し、その結果、圧接突起部57Bが支持軸52に圧接した状態になる。これにより、外向き水流発生部材54の相対回転を抑制することができる。尚、回転抑制手段57を複数設けてもよいし、1の弾性変形部57Aに対し複数の圧接突起部57Bを設けてもよい。回転抑制手段57によって、外向き水流発生部材54の相対回転を抑制することができ、外向き水流発生部材54が軽く回転しないようにする(相対回転がやや生じにくいように調整する)ことができる。これにより、外向き水流発生部材54によって排水に対し配管2の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をより一層図ることができる。
(f)上記実施形態において、円筒部54Aの一端面及び他端面はそれぞれ平滑面とされている。これに対し、図12及び図13に示すように、円筒部94Aにおける一端面に複数の突起94Bなどを設けることで、当該一端面を比較的大きな表面粗さを有するものとする一方、円筒部94Aの他端面が平滑面をなすように外向き水流発生部材94を構成してもよい。この場合には、円筒部94Aの下端面を表面粗さの大きな一端面とすることで、支持軸52に対し外向き水流発生部材94が容易に相対回転しないものとすることができる。つまり、円筒部94Aの一端面に設けられた複数の突起94Bによって回転抑制手段が構成される。一方、外向き水流発生部材94を上下反転させ、円筒部94Aの下端面を平滑な他端面とすることで、支持軸52に対し外向き水流発生部材94が容易に相対回転するものとすることができる。すなわち、上記の構成によれば、外向き水流発生部材94の上下を反転させることによって、支持軸52に対する外向き水流発生部材94の相対回転のしやすさを変化させることができる。
尚、図14に示すように、大径部52Aにおける円筒部94Aの下端面が載置される被載置面に複数の突起52Bなどを設けることで、前記被載置面を比較的大きな表面粗さを有するものとし、円筒部94Aの下端面を表面粗さの大きい一端面としたときに、外向き水流発生部材94がより相対回転しにくくなるように構成してもよい。この場合、突起94B及び突起52Bによって回転抑制手段が構成される。
さらに、図15に示すように、円筒部104Aにおける一端面に複数の嵌入突起104Bを設ける一方、円筒部104Aにおける他端面が平滑面となるように外向き水流発生部材104を構成し、かつ、大径部52Aにおける円筒部104Aが載置される被載置面に前記嵌入突起104Bが嵌入される穴部52Cを設けることとしてもよい。この場合には、円筒部104Aの下端面を一端面とし、穴部52Cに対し嵌入突起104Bを嵌入することで、支持軸52に対し外向き水流発生部材104を相対回転不能とすることができる。一方、外向き水流発生部材104を上下反転させ、円筒部104Aの下端面を平滑な他端面とすることで、支持軸52に対し外向き水流発生部材104が容易に相対回転するものとすることができる。すなわち、上記の構成によれば、外向き水流発生部材104の上下を反転させることによって、支持軸52に対する外向き水流発生部材104の相対回転の可否を切換えることができる。
このように、上記の各構成を採用することで、外向き水流発生部材94,104などを交換することなく、相対回転の可否や容易さを選択することができる。その結果、コストの低減や利便性の向上を一層図ることができる。
(g)上記実施形態において、外向き水流発生部材は円筒部を備えているが、必ずしも円筒部を備える必要はない。従って、例えば、図16に示すように、羽根114B同士の外側部分を環状部114Aによって連結し、各羽根114Bの内側に位置する空間に対し支持軸52が挿通されるように、外向き水流発生部材114を構成してもよい。
(h)支持軸52に対し栓蓋53を着脱可能に構成してもよい。この場合、支持軸52から栓蓋53を取外した状態において、支持軸52に対し外向き水流発生部材を挿抜することで、支持軸52に対し外向き水流発生部材を取付・取外可能としてもよい。
(i)上記第1実施形態において、外向き水流発生部材54は、大径部52Aに対し直接載置されることで、大径部52Aによって支持されている。これに対し、大径部52A及び円筒部54A間に、上下方向に沿って比較的容易に伸縮変形可能な弾性部材(例えば、ばね等)を配置し、外向き水流発生部材54が前記弾性部材によって支持されるように構成してもよい。この場合には、弾性部材の伸縮変形により外向き水流発生部材54が容易に上下動する。従って、外向き水流発生部材54を支持軸52の軸方向に沿って移動可能とすることで、排水の水流が速いときに外向き水流発生部材54を下方に沈ませ、一方、排水の水流が遅いときに外向き水流発生部材54を上方に浮かせるといったことがより容易に可能になる。その結果、配管2の内周面にぶつかる水流の向きや高さをより多様に変化させることができるとともに、支持軸52表面における汚れをより広範囲に亘って落とすことができる。尚、弾性部材によって外向き水流発生部材54を支持する場合、必ずしも外向き水流発生部材54を軽いものとする必要はない。従って、例えば、外向き水流発生部材をステンレスや真鍮などの金属、セラミックなどにより形成してもよい。
(j)上記実施形態において、軸部(支持軸52や軸部62)は比較的長いものとされているが、軸部を比較的短いものとしてもよい。例えば、軸部を、栓蓋53,63の下面から若干だけ突出するとともに、外周に鍔状の被係止部が形成されたものとしてもよい。そして、当該被係止部に対し外向き水流発生部材の所定部位が係止されるように構成してもよい。
また、外向き水流発生部材は、必ずしも軸部によって支持されている必要はない。例えば、通水部材51の内側面から突出するリブ(例えば、平面視したときに十字状に交差するリブなど)を設け、当該リブに対し外向き水流発生部材が載置されるように構成してもよい。
(k)図17に示すように、外向き水流発生部材75が、配管2に対し相対回転可能であるとともに、配管2の内周面における下方に向けて徐々に縮径する傾斜部2Aに載置される載置部75Cを備えるように構成してもよい。この場合には、配管2に対し外向き水流発生部材75を相対回転可能としつつ、載置部75Cと配管2(傾斜部2A)との間で摩擦力を生じさせることができる。従って、配管2の内周面にぶつかる水流の向きを多様に変化させることを可能としつつ、外向き水流発生部材75が配管2に対し容易に相対回転してしまうことを防止でき、ひいては外向き水流発生部材75によって排水に対し配管2の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができる。これにより、配管2の内周面のより広範囲に対し、勢いよく水流を当てることができる。その結果、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上を一層図ることができる。
また、外向き水流発生部材75の中心に位置する円筒部に対し支持軸52が挿通された状態とすることで、外向き水流発生部材75によって支持軸52ひいては栓蓋53の傾きをより確実に防止できるように構成してもよい。栓蓋53の傾き防止が図られることで、排水口102の開放時において良好な美観を得ることができる。
さらに、外向き水流発生部材75を、配管2に対し載置部75Cが載置されることで配管2内にて支持され、かつ、栓蓋53の上下動に関わらず、配管2に対し載置部75Cを載置した状態で維持されるように構成してもよい。この場合には、栓蓋53を上下動させる際に、栓蓋53とともに外向き水流発生部材75を上下動させなくて済む。従って、外向き水流発生部材75を安定的な姿勢で維持することができ、ひいては栓蓋53の傾き防止をより効果的に図ることができる。また、栓蓋53の移動に要する操作力をより小さなものとすることができ、操作性の向上を図ることができる。
尚、図17に示す例において、外向き水流発生部材75は、複数の羽根75Bを備えたものとされ、載置部75Cは、各羽根75Bの上端外周部分を繋ぐ環状のものとされているが、外向き水流発生部材は羽根を備えたものである必要はなく、また、載置部は環状である必要はない。
従って、例えば、外向き水流発生部材を、配管2の内周面に向けて開く流出貫通孔が形成されたドラム部を備えたものとし、当該ドラム部の上端部から外側に突出する突起部によって載置部を構成することとしてもよい。
また、例えば、外向き水流発生部材を、円錐台状をなすとともに、上部が配管2の中心側に位置し、かつ、上方から下方に向けて徐々に配管2の内周面に接近するように構成された傘状部を備えたものとし、当該傘状部の上端から外側に突出する複数の棒状部(例えば、配管2の周方向に沿って等間隔に設けられた複数の棒状部)によって載置部を構成することとしてもよい。
さらに、配管2における載置部が載置される部位は傾斜部である必要はなく、配管2の内周面に形成された段部(例えば、水平方向に延びる面)であってもよいし、配管2の内周にて内側に突出する突出部であってもよい。また、載置部が、配管2ではなく、浴槽100(底壁部101)に対し載置されるように構成してもよい。
加えて、載置部における配管2又は浴槽100に載置される部位や配管2又は浴槽100における載置部の被載置部は、平坦状であってもよいし、凹凸形状(例えば、回転を阻害しない程度の比較的浅い凹凸形状)であってもよい。平坦状とした場合には、外向き水流発生部材を相対回転しやすい状態とすることができ、配管2の内周面にぶつかる水流の向きをより素早く変化させることができる。一方、凹凸形状とした場合には、外向き水流発生部材をやや相対回転しにくい状態とすることができ、外向き水流発生部材をある程度一定の位置に配置させ続けることができる.そのため、水流の向きを多様に変化させることを担保しつつ、配管2の内周面に対し一層勢いよく水流を当てることができる。
(l)図18に示すように、浴槽100に、底壁部101から下方に向けて内径が徐々に縮小するようにして垂下する縮径部103と、当該縮径部103の下端部から下方に向けて延びるほぼ一定の内径を有する垂下部104と、当該垂下部104の下端部から内向きに突出する内鍔部105とを設け、内鍔部105の内周に排水口102が形成されるように構成してもよい。この場合、配管2は、排水口部材21及び排水管22に加えて、縮径部103及び垂下部104を備えたものとされる。
また、この場合には、内鍔部105上に排水口部材21の鍔部21Aが配置されるように構成するとともに、外向き水流発生部材76が、配管2に対し相対回転可能であるとともに、垂下部104の内周において、垂下部104に近接した状態で鍔部21Aに載置される環状の載置部76Cを備えるように構成してもよい。
このように構成することで、配管2に対し外向き水流発生部材76を相対回転可能としつつ、載置部76Cと排水口部材21や垂下部104との間で摩擦力を生じさせることができる。従って、配管2の内周面にぶつかる水流の向きを多様に変化させることを可能としつつ、外向き水流発生部材76が配管2に対し容易に相対回転してしまうことをより確実に防止できる。その結果、外向き水流発生部材76によって排水に対し配管2の内周面に向けた勢いをより確実に付与することができ、衛生性等の維持効果や使い勝手の向上をより一層図ることができる。
また、載置部76Cが垂下部104に近接した状態で配置されるため、外向き水流発生部材76における円筒部76Aの軸をほぼ一定位置に保ち続けることができる。従って、円筒部76Aに挿通される支持軸52の水平方向に沿った移動や傾きを効果的に抑制することができ、支持軸52や栓蓋53の水平方向に沿った位置ずれや傾きをより確実に防止することができる。
尚、図18に示す例において、外向き水流発生部材76は、複数の羽根76Bを備えたものとされ、載置部76Cは、各羽根76Bの外周上端部分を繋ぐものとされている。
(m)上記実施形態において、駆動部材3は、円柱部31及び当該円柱部31の一端面から突出する支持部32を備えたものとされているが、駆動部材は、栓蓋ユニットを上下動させるものであればよく、上記実施形態で挙げた構成に限定されるものではない。従って、駆動部材を、水平方向に沿って延びる回動軸にて回動可能な棒状部と、当該棒状部の外周面から突出し、棒状部の回動に伴い先端部が上下動する支持部とによって構成してもよい。当該支持部は、通水部材を支持するものであってもよいし、軸部(支持軸52など)を支持するものであってもよい。
また、駆動部材を、支持軸52の下方に配置されるとともに、前記伝達部材の往復移動に伴い上下動可能な棒状部とし、当該棒状部の上下動によって、軸部(支持軸52など)を上下動させるように構成してもよい。
(n)上記実施形態では、栓蓋53(パッキン部53B)が排水口部材21に接触することで排水口102が閉鎖されるように構成されているが、栓蓋53(パッキン部53B)が底壁部101に接触することで排水口102が閉鎖されるように構成してもよい。また、栓蓋53(パッキン部53B)が配管2における排水口部材21以外の部位(例えば、図18における縮径部103など)に接触することで排水口102が閉鎖されるように構成してもよい。
これらの場合、外向き水流発生部材の少なくとも一部が、少なくとも排水口102を開状態としたときに、配管2のうち、槽体及び栓蓋53(パッキン部53B)の接触部位よりも下方に位置する部分(つまり、配管2のうち特に排水の流路を構成する部分)の内部に配置されるように構成される。尚、外向き水流発生部材のその高さ方向(上下方向)に沿った半分以上の部分が、配管2のうち、槽体及び栓蓋53(パッキン部53B)の接触部位よりも下方に位置する部分の内部に配置されるように構成してもよい。
(o)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面器やキッチンの流し台などに対して本発明の技術思想を適用することとしてもよい。