JPWO2018123563A1 - ポリアミド樹脂組成物、その製造方法およびそれからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの部品の中でも、電気・電子部品を構成するポリアミドには、高度な難燃性が要求される。樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤を用いることが通常である。近年は、環境意識の高まりから、ハロゲン系難燃剤が避けられ、非ハロゲン系難燃剤の使用が一般的である。
しかしながら、ホスフィン酸塩は、ポリアミドと溶融混練して樹脂組成物を製造する際に、分解することがあり、その際に発生するガスによって、ポリアミドも分解し、ポリアミドの分子量が低下することで、得られる樹脂組成物は、耐熱性や機械的特性、難燃性などが低下するという問題があり、また、ポリアミドが熱劣化、酸化劣化することで、熱変色し、黄色度(イエローインデックス、YI)が上昇することがあった。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)融点が270〜350℃のポリアミド(A)100質量部と、リン系難燃剤(B)10〜80質量部とを含有し、黄色度(YI0)が3.0以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)265℃でのリフロー処理後の黄色度変化値(ΔYI)が12.0以下であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)リン系難燃剤(B)が、ホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)ホスフィン酸塩が下記一般式(I)で表される化合物であり、ジホスフィン酸塩が下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする(3)記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)さらに繊維状強化材(C)5〜140質量部を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)さらにタルク(F)0.1〜20質量部を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド(A)とリン系難燃剤(B)の溶融混練において、溶融混練機に1以上のサイドフィーダーを設置し、サイドフィーダー1箇所あたりのリン系難燃剤(B)の添加量が、ポリアミド(A)100質量部に対して20質量部以下となるように、リン系難燃剤(B)をサイドフィーダーから添加することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(8)上記(5)記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、樹脂組成物の溶融混練において、繊維状強化材(C)を複数回に分けて添加することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(9)溶融混練の前にポリアミド(A)を重合し、その重合を、不活性ガス雰囲気下にて実施することを特徴とする(7)または(8)記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(10)ポリアミド(A)とリン系難燃剤(B)の溶融混練を、不活性ガス雰囲気下にて実施することを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(11)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)およびリン系難燃剤(B)を含有する。
脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリアミド46などが挙げられる。
半芳香族ポリアミドとしては、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから構成されるポリアミドが挙げられ、具体例として、ポリアミド4I(I:イソフタル酸)、ポリアミド6I、ポリアミド7T(T:テレフタル酸)、ポリアミド8T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド12Tなどが挙げられる。
脂環族ポリアミドの具体例として、ポリアミド6C(C:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、ポリアミド7C、ポリアミド8C、ポリアミド9C、ポリアミド10C、ポリアミド11C、ポリアミド12Cなどが挙げられる。
さらに、共重合体としては、例えばジアミンの炭素数が6の場合、PA6T/6、PA6T/12、PA6T/66、PA6T/610、PA6T/612、PA6T/6I、PA6T/6I/66、PA6T/M5T(M5:メチルペンタジアミン)、PA6T/TM6T(TM6:2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン)、PA6T/MMCT(MMC:4,4′−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン))などが挙げられる。
ポリアミド(A)として、これらポリアミドを単独で使用してもよいし、共重合体や2種類以上のポリアミドの混合物を使用してもよい。
本発明において、ポリアミド(A)としては、工業的な汎用性が高いことから、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、およびそれらの共重合体が好適な例として挙げられる。さらに、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、およびそれらの共重合体は、高耐熱性や低吸水率の観点から、耐リフロー性に特に優れるためさらに好ましく、中でもポリアミド10Tおよびその共重合体が特に好ましい。
モノカルボン酸成分としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸が挙げられ、中でも、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられる。中でも、汎用性が高いことから、ステアリン酸が好ましい。
分子量が140以上の脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
分子量が140以上の芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸およびそれらの誘導体が挙げられる。
モノカルボン酸成分は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、分子量が140以上のモノカルボン酸と分子量が140未満のモノカルボン酸を併用してもよい。
なお、本発明において、モノカルボン酸の分子量は、原料のモノカルボン酸の分子量を指す。
R3は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、アルキルアルキレン基、または、アルキルアリーレン基であることが必要である。直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、イソプロピリデン基、n−ブチレン基、tert−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−オクチレン基、n−ドデシレン基が挙げられる。炭素数6〜10のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。アルキルアリーレン基としては、例えば、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、tert−ブチルフェニレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基、tert−ブチルナフチレン基が挙げられる。アリールアルキレン基としては、例えば、フェニルメチレン基、フェニルエチレン基、フェニルプロピレン基、フェニルブチレン基が挙げられる。
Mは、金属イオンを表す。金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオンが挙げられ、アルミニウムイオン、亜鉛イオンが好ましく、アルミニウムイオンがより好ましい。
m、nは、金属イオンの価数を表す。mは、2または3である。aは、金属イオンの個数を表し、bは、ジホスフィン酸イオンの個数を表す。n、a、bは、「2×b=n×a」を満たす整数である。
他の亜鉛の塩としては、例えば、Zn3(PO4)2・ZnO等のリン酸亜鉛、ZnSn(OH)6、ZnSnO3等のスズ酸亜鉛、その他モリブデン酸カルシウム亜鉛が挙げられ、中でも、リン酸亜鉛が好ましい。
ホウ酸亜鉛とリン酸亜鉛を併用する場合、ホウ酸亜鉛とリン酸亜鉛の含有割合は、質量比で、1:0.1〜1:5であることが好ましく、1:2〜1:4であることがより好ましく、1:2.5〜1:3.5であることがさらに好ましい。
また本発明のポリアミド樹脂組成物を成形して得られた成形体は、優れた耐熱変色性を有し、成形体を加熱してもポリアミドの分解が抑制されるので、黄変が抑制されたものであり、265℃でのリフロー処理後の黄色度変化値(ΔYI)は12.0以下であることが好ましい。樹脂組成物は、265℃でのリフロー処理後の黄色度変化値(ΔYI)が12.0以下であると、電気・電子部品の実装工程中における変色を抑制することが可能となる。
ポリアミド(A)に供給するリン系難燃剤(B)の量を制限する方法としては、例えば、連続式の溶融混練機を使用する場合、溶融混練機に1以上のサイドフィーダーを設置し、サイドフィーダー1箇所当たりのリン系難燃剤(B)の添加量を制限する方法が挙げられる。本発明においては、サイドフィーダー1箇所当たりのリン系難燃剤(B)の添加量が、ポリアミド(A)100質量部に対して20質量部以下となるように、リン系難燃剤(B)をサイドフィーダーから添加することが必要である。
また、ポリアミド(A)に供給するリン系難燃剤(B)の量を制限する方法としては、溶融混練機としてバッチ式のミキサーを使用する場合は、複数回に分けて供給する方法が挙げられ、1回当たりのリン系難燃剤(B)の添加量は、ポリアミド(A)100質量部に対して20質量部以下であることが好ましい。
繊維状強化材(C)を含有する樹脂組成物の製造においても、樹脂組成物の溶融混練において、繊維状強化材(C)を複数回に分けて添加することが好ましく、1回当たりの繊維状強化材(C)の添加量は、ポリアミド(A)100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。
リン系難燃剤(B)あるいは繊維状強化材(C)の添加量を制限してポリアミド(A)に供給することにより、樹脂組成物の実温度の過度な上昇を抑え、溶融混練中の熱劣化、酸化劣化による変色を抑制することができ、また樹脂組成物から得られた成形体においても、熱劣化、酸化劣化による変色を抑制することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、焼結成形法が挙げられ、機械的特性、成形性の向上効果が大きいことから、射出成形法が好ましい。
射出成形機としては、特に限定されるものではないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、ポリアミド樹脂(A)の融点(Tm)以上、(Tm+50℃)未満であることが好ましい。
ポリアミド樹脂組成物を成形する時においても、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガスを、機台の原料供給部から加熱部までの全体に封入して、不活性ガス雰囲気下で成形することが好ましい。それにより、成形中のポリアミド(A)および各種表面処理剤等の有機成分の酸化劣化による変色が抑えられると同時に、成形工程以後の工程においても変色を抑えることができる。
なお、ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、用いるポリアミド樹脂組成物ペレットは十分に乾燥されたものを用いることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.3質量部未満とすることが好ましく、0.1質量部未満とすることがより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物の物性測定は以下の方法によりおこなった。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC−7型)用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。
JIS K7210に従い、ポリアミド樹脂組成物ペレットを用い、340℃、1.2kgの荷重で測定した。
MFRは、成形流動性の指標とすることができ、MFRの値が高いほど流動性が高いことを示す。
ポリアミド樹脂組成物を、射出成形機(ファナック社製 S2000i−100B型)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)の条件で射出成形し、試験片(ダンベル片)を作製した。
得られた試験片を用いて、ISO178に準拠して曲げ強度や曲げ弾性率を測定した。
曲げ強度や曲げ弾性率は、数値が大きいほど機械的特性が優れていることを示す。
射出成形機(ニイガタマシンテクノ社製 CND15)を用いて、シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)の条件で、5インチ(127mm)×1/2インチ(12.7mm)×1/32インチ(0.79mm)の試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の基準に従って評価した。いずれの基準にも満たない場合は、「not V−2」とした。
総残炎時間が短い方が、難燃性が優れていることを示す。
上記(4)と同じ方法で得られた試験片を、85℃×85%RHにて168時間吸湿処理を行った後、赤外線加熱式のリフロー炉中にて、150℃で1分間加熱し、100℃/分の速度で265℃まで昇温し、10秒間保持した。
熱処理後の成形体の黄色度(YI1)と、熱処理前の成形体の黄色度(YI0)とを、分光色差計(日本電色社製 SE6000)により、C光源、2度視野における三刺激値XYZの値を求め、JIS K7313にしたがって、次式により算出した。
YI=100(1.2769X−1.0592Z)/Y
また、黄色度変化値(ΔYI)を、次式により算出した。
ΔYI=YI1−YI0
上記(5)で得られたリフロー処理後の試験片について、ブリスター(水ぶくれ)発生、溶融の有無などを観察し、以下の基準で評価した。
○:ブリスターの発生や試験片の溶融がなかった。
△:ブリスターが発生したが、その面積は、試験片の面積の50%以下であり、試験片の溶融がなかった。
×:試験片の面積の50%を超える面積のブリスターが発生するか、または、試験片が溶融した。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
・ポリアミド(A−1)
ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.70kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.32kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)4.98kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応生成物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=48.5:49.6:1.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.0:50.0:1.0)であった。
続いて、得られた反応生成物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、ポリアミドの粉末を作製した。
その後、得られたポリアミドの粉末を、二軸混練機を用いてストランド状とし、ストランドを水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド(A−1)ペレットを得た。
樹脂組成を表2に示すように変更した以外は、ポリアミド(A−1)と同様にして、ポリアミド(A−2)〜(A−4)を得た。
・B−1:ホスフィン酸塩(クラリアント社製 Exolit OP1230)
・B−2:ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン(伏見製薬所社製 ラビトルFP−100)
・C−1:ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT692)、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
・D−1:ポリリン酸メラミン(BASF社製 Melapur 200/70)
・D−2:ホウ酸亜鉛 4ZnO・B2O3・H2O(Borax社製 Firebrake415)
・E−1:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト(Clariant社製 ホスタノックスP−EPQ)
・F−1:タルク(日本タルク社製 MSZ−C、平均粒径11μm、表面処理品)
ポリアミド(A−1)100質量部、ポリリン酸メラミン(D−1)3質量部、ホウ酸亜鉛(D−2)3質量部、リン系酸化防止剤(E−1)0.4質量部をドライブレンドし、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製 CE−W−1型)を用いて計量し、スクリュー径26mm、L/C50の同方向二軸押出機(東芝機械社製 TEM26SS型)の主供給口(基部)に供給して、溶融混練を行った。そして、サイドフィーダー1より、リン系難燃剤(B−1)17.0質量部、ガラス繊維(C−1)30質量部を供給し、さらに混練を行い、その後、さらに、サイドフィーダー1よりも下流側に設置したサイドフィーダー2より、リン系難燃剤(B−1)17.0質量部、ガラス繊維(C−1)30質量部を供給した。なお、いずれのサイドフィーダーも、同方向二軸押出機においてポリアミド(A−1)を溶融させる第一ニーディング部より下流側に設置した。また、定量供給装置、押出機の主供給口およびサイドフィーダーから窒素ガスを導通し、酸素濃度が1%以下となるように維持した。ダイスからポリアミド樹脂組成物をストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。押出機のバレル温度設定は、(融点−5℃)〜(融点+15℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hとした。
樹脂組成物の組成、サイドフィーダーの設置数、1箇所当たりのリン系難燃剤(B)や繊維状強化材(C)の添加量を表3、4に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなってポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例1、2の樹脂組成物は、実施例3、比較例1に比較して、ポリアミド(A)の融点が高いため、耐リフロー性に優れ、ブリスターが発生することがなく、リフロー工程後も成形体形状を保っていた。
実施例3の樹脂組成物にタルク(F)を含有させた実施例4では、ブリスターの発生が抑制され、リフロー工程後も成形体形状を保っていた.
実施例1の樹脂組成物は、リン系難燃剤(B)が、ホスフィン酸塩であり、実施例8(ホスファゼン化合物)に比較して、難燃性に優れていた。
比較例2の樹脂組成物は、リン系難燃剤(B)を含有しないため、難燃性に劣るものであった。
比較例3〜6の樹脂組成物は、サイドフィーダー1箇所当たりのリン系難燃剤(B)の添加量が、ポリアミド(A)100質量部に対して20質量部を超えて製造されたため、ポリアミドの劣化が引き起こされ、黄色度が高いものとなり、また耐熱変色性に劣り、リフロー処理後の黄色度変化値が大きいものであった。
Claims (11)
- 融点が270〜350℃のポリアミド(A)100質量部と、リン系難燃剤(B)10〜80質量部とを含有し、黄色度(YI0)が3.0以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- 265℃でのリフロー処理後の黄色度変化値(ΔYI)が12.0以下であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- リン系難燃剤(B)が、ホスフィン酸塩および/またはジホスフィン酸塩であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- ホスフィン酸塩が下記一般式(I)で表される化合物であり、ジホスフィン酸塩が下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項3記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに繊維状強化材(C)5〜140質量部を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらにタルク(F)0.1〜20質量部を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、ポリアミド(A)とリン系難燃剤(B)の溶融混練において、溶融混練機に1以上のサイドフィーダーを設置し、サイドフィーダー1箇所当たりのリン系難燃剤(B)の添加量が、ポリアミド(A)100質量部に対して20質量部以下となるように、リン系難燃剤(B)をサイドフィーダーから添加することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 請求項5記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、樹脂組成物の溶融混練において、繊維状強化材(C)を複数回に分けて添加することを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 溶融混練の前にポリアミド(A)を重合し、その重合を、不活性ガス雰囲気下にて実施することを特徴とする請求項7または8記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- ポリアミド(A)とリン系難燃剤(B)の溶融混練を、不活性ガス雰囲気下にて実施することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
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