JPWO2018123524A1 - 動力発生装置 - Google Patents

動力発生装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018123524A1
JPWO2018123524A1 JP2018558984A JP2018558984A JPWO2018123524A1 JP WO2018123524 A1 JPWO2018123524 A1 JP WO2018123524A1 JP 2018558984 A JP2018558984 A JP 2018558984A JP 2018558984 A JP2018558984 A JP 2018558984A JP WO2018123524 A1 JPWO2018123524 A1 JP WO2018123524A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
phase
speed
electromotive force
power generation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018558984A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7108834B2 (ja
Inventor
和彦 麻田
光英 東
元 野嶋
晃史 亀田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Publication of JPWO2018123524A1 publication Critical patent/JPWO2018123524A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7108834B2 publication Critical patent/JP7108834B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P1/00Arrangements for starting electric motors or dynamo-electric converters
    • H02P1/16Arrangements for starting electric motors or dynamo-electric converters for starting dynamo-electric motors or dynamo-electric converters
    • H02P1/46Arrangements for starting electric motors or dynamo-electric converters for starting dynamo-electric motors or dynamo-electric converters for starting an individual synchronous motor
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P21/00Arrangements or methods for the control of electric machines by vector control, e.g. by control of field orientation
    • H02P21/34Arrangements for starting

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Control Of Stepping Motors (AREA)
  • Motor And Converter Starters (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

第1の物体と第2の物体と永久磁石と巻線(15、16、17)を有し、第1の物体と第2の物体の相対運動によって巻線に起電力を発生する電動機(18)と、巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路(19)を有する。電源回路(19)は、脱調時に電流の周波数を脱調前に対して変化させた後、電動機(18)の再起動を行う。これにより、脱調状態を適切に判断して本来の機能を回復できる動力発生装置を提供する。

Description

本発明は、一般家庭で使用される電気洗濯機、エアコン、冷蔵庫などの家電製品や、事務所、業務用、交通機関などの動力源として使用される動力発生装置に関する。
従来、第1の速度推定部と、第1の速度推定部と異なる推定方法を備える第2の速度推定部を設けて、脱調を検出する動力発生装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。第1の速度推定部は、永久磁石を用いた電動機の回転子の軸誤差ΔθもしくはΔθmがゼロに収束するように回転速度を推定し、第1の推定回転速度を出力する。第2の速度推定部は、第1の推定回転速度が速度指令に追従するように電動機を制御するとともに、異なる推定方法で推定した第2の推定回転速度を出力する。
図13は、特許文献1に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。
図13に示すように、特許文献1の動力発生装置は、永久磁石を有する電動機1、PWMインバータ2、座標変換器3、4、電流制御部5、速度制御部6、磁束制御部7、第1速度推定部8、積分器9、第2速度推定部10、脱調判断部11を有する。第1速度推定部8は、電動機1の回転子の回転速度を推定し、得られた第1推定回転速度ωeが速度指令ω*に追従するように電動機1を制御する。第2速度推定部10は、第1速度推定部8とは異なる推定方式を用いて、電動機1の回転子の回転速度を推定する。脱調判断部11は、推定された第2速度推定部10が得る第2推定回転速度ω2eと、第1推定回転速度ωeまたは速度指令ω*と、を比較する。そして、比較結果に基づいて、電動機1の脱調を検出し、電動機1の回転を制御する。
また、電動機の起動時に、電流検出部から入力される電流値の相関値と、電動機に印加する電圧指令値に基づいて入力有効電力を算出し、入力有効電力が所定の閾値より小さい場合に、軸ロック(すなわち脱調)を検知する動力発生装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
図14は、特許文献2に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。
図14に示すように、特許文献2の動力発生装置は、電動機の起動時に、電動機の電流値の相関値であるIdc、Iqc、および電動機に印加する電圧に対応する電圧指令値V*dc、V*qcを、入力有効電力演算部12で演算する。入力有効電力演算部12は、得られた入力有効電力値Piを、軸ロック判定部13に出力する。軸ロック判定部13には、速度指令値ω1*も入力される。そして、軸ロック判定部13は、入力された入力有効電力値Piが速度指令値ω1*の条件での閾値より小さい場合、電動機の軸ロックが発生していると判断し、電動機の駆動を停止させる。これにより、特許文献2の動力発生装置は、軸ロック検出部14を構成している。
つまり、上記従来の動力発生装置は、永久磁石を有する電動機の速度がかなり高い状態で、巻線に発生する誘導起電力が十分に高く、また巻線抵抗や誘導係数がある程度小さい場合における、脱調検知を目的としている。そのため、上述の条件が満たされない場合、脱調検知において、誤った判断をする虞がある。例えば、誤った判断として、実際には脱調していない正常な運転状態にも係わらず、脱調であると判断する場合がある。また、逆に、実際は脱調の状態にも係わらず、正常な運転状態であると判断する場合などがある。
しかしながら、従来の動力発生装置は、誤った判断に対応できる脱調検知の構成を備えていない。
つまり、特許文献1の動力発生装置は、電動機の低速回転で発生する誘導起電力が小さい条件の場合、軸誤差ΔθもしくはΔθmがゼロ付近の微小な値となっている状態と算出しても、実際の軸誤差が大きい場合がある。また、巻線抵抗が大きく、トルクを要する運転中(力行)の場合、巻線抵抗による電圧降下は大で、かつ巻線抵抗のバラツキや温度による巻線抵抗の変化による変動も大となる。そのため、第2速度推定部10で推定される第2推定回転速度の信頼性が低くなる。具体的には、例えばδ軸成分の電圧からの判断が不可能となる。
つまり、低速でトルクを要する運転中(力行)の場合、電動機の回転によって発生する誘導起電力が小さく、巻線抵抗による電圧降下は大きくなる。さらに、巻線抵抗のバラツキや温度による巻線抵抗の変化による変動も大きくなる。これにより、第2速度推定部10で推定される第2推定回転速度の信頼性が低くなるため、例えばδ軸成分の電圧からの判断が困難となる。
また、特許文献2の動力発生装置は、上記と同様に、巻線抵抗が大きい設計仕様の場合、軸ロック検出の信頼性が低下する。さらに、起動直後に必要なトルクが大きい場合、軸ロックの有/無に係わらず、巻線抵抗で消費される電力(銅損)が大きくなる。そのため、入力有効電力演算部12の出力差に基づいた軸ロックの有/無の判断が難しくなる。
一方、逆に、必要なトルクが小さい場合、軸ロックしていない状態における電動機への入力電力も小さい。そのため、小さい入力電力よりも、さらに小さい閾値に基づいて、軸ロックの状態を判断することは困難である。
また、近年、巻線に使用されていた銅線を、アルミ線に替えた電動機も多くなっている。そのため、巻線抵抗が、さらに増大する傾向にある。これにより、上記脱調の判断が、さらに困難になっている。
また、電動機に発光素子、受光素子、ホール素子などを設けて、適宜、永久磁石の速度および位置に関する信号を利用する動力発生装置も存在する。つまり、上記動力発生装置は、離散的な速度・位置情報を補間する推定を行う。しかし、補間しながら推定する場合、電動機の脱調の検出遅れや、検出が困難となることがある。そのため、上記動力発生装置においても、同様に、脱調の判断が困難となる。
特開2007−282389号公報 特開2013−146162号公報
本発明は、電動機の脱調状態を適切に判断し、脱調状態と検知した場合、早期に、再起動可能な動力発生装置を提供する。
本発明の動力発生装置は、電動機の巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると、永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路を有し、電源回路は、脱調時に電流の周波数を変化させた後、再起動を行うように構成される。
この構成によれば、電動機の巻線抵抗が大きい仕様や、低速で誘導起電力が低い駆動条件などの場合においても、脱調の誤検知を低減できる。また、脱調状態から、電動機を適切で迅速に再起動できる。これにより、電気エネルギー、および時間の無駄が抑制可能な動力発生装置を提供できる。
図1は、本発明の実施の形態1における動力発生装置のブロック図である。 図2は、同実施の形態における動力発生装置のインバータ回路の回路図である。 図3は、同実施の形態における電動機と負荷の構成図である。 図4は、同実施の形態における動力発生装置のベクトル図である。 図5Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。 図5Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。 図6Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。 図6Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。 図7は、同実施の形態における動力発生装置のベクトル図である。 図8は、本発明の実施の形態2における動力発生装置のベクトル図である。 図9Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。 図9Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。 図10Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。 図10Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。 図11は、本発明の実施の形態3における動力発生装置のブロック図である。 図12は、同実施の形態における動力発生装置のベクトル図である。 図13は、特許文献1に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。 図14は、特許文献2に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1における動力発生装置の構成について、図1を参照しながら、説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における動力発生装置のブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態の動力発生装置は、巻線15、16、17を有する電動機18と、巻線15、16、17に電流を供給する電源回路19などから構成される。
電源回路19は、巻線15、16、17の電流を制御する巻線電流制御部20、第1の起電力計算部21、加算器22、第1の所定値発生部23、速度信号発生部24、積分部25、速度指令部26、減算器27、電流指令値発生部28、再起動信号発生部29などを含む。巻線電流制御部20は、減算器30、31、電圧信号出力部32、2相3相変換部33、電流信号出力部34、インバータ回路35など含む。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置は構成される。
つぎに、本実施の形態の動力発生装置のインバータ回路35について、図2を参照しながら、説明する。
図2は、同実施の形態の動力発生装置のインバータ回路35の回路図である。
インバータ回路35は、図2に示すように、直流電源37と、スイッチング素子38、39、40、41、42、43と、駆動回路44と、PWM変調部45aと、電流検知部46などを含む。直流電源37は、交流100Vの商用電源を倍電圧整流する回路などで構成され、例えば280V程度の直流電圧をスイッチング素子38、39、40、41、42、43に出力する。スイッチング素子38、39、40、41、42、43は、コレクタ端子−エミッタ端子間にダイオードが接続された、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)で構成される。スイッチング素子38と41、スイッチング素子39と42、およびスイッチング素子40と43は、それぞれ直列に接続される。さらに、直列に接続された、一対のスイッチング素子38、41、一対のスイッチング素子39、42および一対のスイッチング素子40、43は、互いに並列に接続される。スイッチング素子38、39、40のそれぞれのエミッタ端子は、対応するスイッチング素子41、42、43のコレクタ端子と接続される。そして、接続された、それぞれの接続点からU、V、Wの3相の電圧VU、VV、VWが、電動機18に出力される。
駆動回路44は、スイッチング素子38、39、40、41、42、43の、それぞれのゲート端子と接続される。駆動回路44は、マイクロコンピュータ45に含まれるPWM変調部45aからの、駆動信号UP、UN、VP、VN、WP、WNに基づいて、スイッチング素子38、39、40、41、42、43を、所定の順序に従ってオン・オフ駆動する。
電流検知部46は、低電位側となるスイッチング素子41、42、43のそれぞれのエミッタ端子に接続されるシャント抵抗47、48、49と、増幅器50などを含む。電流検知部46は、駆動回路44がスイッチング素子41、42、43をオンしている期間中に、シャント抵抗47、48、49に生じる電圧を検知する。増幅器50は、検知された電圧を増幅する。そして、3相のそれぞれの相を流れる電流に相当する、アナログ電圧信号およびそのデジタル変換値に対応するIU、IV、IWを、マイクロコンピュータ45に出力する。入力されたIU、IV、IWに基づいて、マイクロコンピュータ45は、PWM変調部45aから、駆動信号UP、UN、VP、VN、WP、WNを駆動回路44に出力する。
なお、電流検知部46は、上記の構成以外に、直流からの電流値を、3相巻線のうちの2相以上の巻線から、コアと磁気検知素子などで検知する、例えばDCCT(DC Current Transformer)と呼ばれる方法で検知する構成としてもよい。
また、電流検知部46として、上述のシャント抵抗を1本のみで構成してもよい。この場合、それぞれの相の低電位側のスイッチング素子のオン時間との対応関係に基づいて、オン時間中において、個別に電流値を検知する。これにより、3相の全ての電流値を、1本のシャント抵抗のみで検知できる。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置のインバータ回路35は構成される。
つぎに、本実施の形態の動力発生装置の電動機18と負荷63の構成について、図3を参照しながら、説明する。
図3は、同実施の形態における電動機18と負荷63の構成図である。
図3に示すように、電動機18は、第1の物体51と、第2の物体52などを含む。第1の物体51は、一般にステータ(固定子)と称され、巻線15、16、17で構成される。第2の物体52は、一般にロータ(回転子)と称され、第1の物体51に対して、回転自在に支持される。第2の物体52は、例えば鉄芯55の表面に永久磁石56、57、58、59が接着された状態で形成される。本実施の形態において、第2の物体52は、永久磁石56、58の外側がN極、永久磁石57、59の外側がS極となるように着磁され、4極の極数で構成される。
つまり、電動機18は、第1の物体51に対して、第2の物体52が回転自在に配設され、回転方向に相対運動が可能な状態で構成される。そのため、第1の物体と第2の物体の相対運動(すなわち回転運動)により、永久磁石56、57、58、59からの磁束と、巻線15、16、17との鎖交する状態が、回転の角度によって変化する。これにより、第1の物体51である巻線15、16、17に、起電力(あるいは誘導起電力と称される)が発生する。
軸60は、第2の物体52と一体的に構成され、回転自在に設けられる。軸60は、クラッチ65、66を有するカップリング61および軸62を介して、負荷63に接続される。このとき、カップリング61のクラッチ65、66が噛み合うことにより、第2の物体52のトルクが負荷63に伝達される。
なお、上記実施の形態では、第1の物体51が固定され、第2の物体52が相対運動(回転運動)する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、第2の物体52を固定し、第1の物体51の相対運動が可能な構成としてもよい。この場合、軸60は、第1の物体51に設けることが好ましい。さらに、相対運動は、上記回転運動以外に、直線運動を行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、第1の物体51に3相の巻線15、16、17、第2の物体52に4つの永久磁石56、57、58、59を設ける構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、第1の物体51あるいは第2の物体52のいずれか一方に、巻線と永久磁石の両方を設ける構成としてもよい。この場合、他方は、巻線も永久磁石も設けない構成となる。しかし、例えば磁気回路を構成するクローポールなどを有する構成とすればよい。この構成によれば、第1の物体51と第2の物体52との相対運動により、永久磁石から発せられる磁束と、巻線との鎖交する度合いが変化する構成が実現される。つまり、相対運動によって起電力を発生させることができるため、上記構成も有効な構成となる。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置の電動機18と負荷63は構成される。
つぎに、上記構成の動力発生装置の巻線電流制御部20の制御動作について、図1を参照しながら、説明する。
電源回路19の巻線電流制御部20は、一般にベクトル制御と呼ばれる方法で制御を行う。
つまり、電動機18の巻線15、16、17に供給するアナログ電圧信号およびそのデジタル変換値に対応するIU、IV、IWは、電流信号出力部34によって、推定d軸(γ軸)と推定q軸(δ軸)の直交座標に3相2相変換される。そして、電圧のγ軸とδ軸での値を、2相3相変換部33を通じて変換し、電動機18を制御するように構成される。
具体的には、2相3相変換部33は、以下に示す式(1)を用いて、推定d軸電圧Vγ(以下、Vγと略記する場合がある)、推定q軸電圧Vδ(以下、Vδと略記する場合がある)、および後述する積分部25から出力される推定位相である位相信号θに基づいて、Vu、Vv、Vwに変換する。なお、Vγは、巻線の電圧の第1の位相成分に対応する。また、式(1)のVu、Vv、Vwは、上述VU、VV、VWと同義である。
電流信号出力部34は、式(2)を用いて、Iu、Iv、Iwと位相信号θから、推定d軸電流Iγ(以下、Iγと略記する場合がある)、推定q軸電流Iδ(以下、Iδと略記する場合がある)への変換、すなわち3相2相変換を行う。なお、Iγは巻線の電流の第1の位相成分、Iδは巻線の電流の第2の位相成分に対応する。また、式(2)のIu、Iv、Iwは、上述IU、IV、IWと同義である。
上記のように、ベクトル制御は、まず、電流を直交座標の2つの成分に分ける。そして、2つの電流成分のそれぞれが所定の値となるように、直交座標の電圧成分を加減して制御する。そのため、本実施の形態の電源回路19の巻線電流制御部20は、上記ベクトル制御構成との適用性が高い。これにより、位相のズレを適切にゼロ近くに抑えながら、動力発生装置の運転が可能となる。
Figure 2018123524
Figure 2018123524
具体的には、巻線電流制御部20は、電流指令値発生部28から、推定d軸電流指令値Iγr(以下、Iγrと略記する場合がある)と、推定q軸電流指令値Iδr(以下、Iδrと略記する場合がある)と、を受ける。なお、Iγrは、第1の電流指令値、Iδrは第2の電流指令値に対応する。
そして、巻線電流制御部20は、電流信号出力部34から出力されるIγおよびIδと、受け付けたIγrおよびIδrとの誤差がゼロとなるようにVγ、Vδを加減する。つまり、巻線電流制御部20は、誤差増幅器として、動作する。
なお、本実施の形態においては、推定d軸電流指令値Iγrを、ゼロとしている。これにより、例えば鉄芯55の表面に永久磁石56、57、58、59を接着して構成される表面磁石モータ(SPM)において、トルク発生(動力発生)に関与しないd軸電流をゼロ(流さない)の状態で制御できる。これにより、最小の電流値で必要なトルクを確保することができる。そのため、巻線での電流による損失、すなわち銅損を最小限に抑えることができる。その結果、表面磁石モータの高効率の運転が可能になる。このとき、推定d軸電流Iγは、ほぼゼロになる。その結果、必要なトルクに応じて加減された推定q軸電流Iδの値で、電動機18の運転制御が可能となる。
つまり、本実施の形態においては、位相信号θに同期して回転する直交座標γδの2つの成分であるIγおよびIδが、それぞれIγrおよびIδrと、等しくなるように、VγとVδが加減される。そして、最終的に、インバータ回路35から、電動機18の第1の物体51を構成する巻線15、16、17に印加される3相の電圧VU、VV、VWが加減される。
以上のように、動力発生装置の巻線電流制御部20は動作する。
つぎに、電動機18の速度信号ω1、ω2、および位相信号θの生成動作について、説明する。
まず、図1に示す第1の起電力計算部21は、上記Vγ、Iγ、Iδから、式(3)を用いて、γ軸成分の起電力に相当する第1の起電力εγ(以下、εγと略記する場合がある)を計算する。なお、εγは、起電力の第1の位相成分に対応する。
Figure 2018123524
ここで、Raは巻線15、16、17の抵抗値、Lは巻線15、16、17のインダクタンス値(誘導係数)である。このとき、抵抗値Raおよびインダクタンス値Lは、いずれも直交座標上での値である。
本実施の形態の電動機18は、鉄芯55の表面に永久磁石56、57、58、59を有するように構成される。そのため、インダクタンス値Lは、一定値で表すことができる。しかし、永久磁石を鉄芯の奥深くに埋め込むタイプの電動機構成の場合、インダクタンス値Lは、dq座標での位相(角度)によって変化する。この場合、上記式(3)のインダクタンス値Lの代わりに、q軸でのインダクタンス値Lqを用いて、γ軸成分の第1の起電力εγが計算される。
なお、式(3)において、Iγをゼロに設定し、かつその指令値に近い値で、電動機18を制御する場合、右辺第2項を省略することができるケースがある。また、時間微分を示すpは、必要がなければ省略してもよい。さらに、ωが小さい低速の条件の場合、式(3)の第3項を省いてもよい。つまり、式(3)において、十分な位相ズレに収まる範囲であれば、適宜、要素を選択して計算し、第1の起電力εγを求めればよい。
ここで、動力発生装置の動作時における電流および電圧の位相関係について、図4を用いて、説明する。
図4は、同実施の形態の動力発生装置において、正常な運転状態におけるベクトル図である。
図4において、ベクトルAは起電力が大きい場合の起電力ベクトル、ベクトルBは起電力が小さい場合の起電力ベクトルを、ベクトルIは電流ベクトルを示している。
本実施の形態において、図1に示す速度信号発生部24は、入力値μが正の場合、速度信号ω1およびω2を減少させる。一方、入力値μが負の場合、速度信号発生部24は、速度信号ω1およびω2を増加させるように機能する。そして、積分部25は、速度信号発生部24からの速度信号ω1を時間積分して、位相信号θを生成する。位相信号θは、2相3相変換部33および電流信号出力部34に入力される。その結果、定常状態において、速度信号発生部24は、入力値μをほぼゼロに近い微小な値に保つように動作する。
なお、本実施の形態において、速度信号ω1とω2は、センサレス制御のため、推定の速度信号である。具体的には、速度信号ω1は、速度制御を行う目的の値である。一方、速度信号ω2は、積分部25の積分値である位相信号θを安定に保つ目的の値である。つまり、速度信号ω1とω2は、互いに目的が異なるため、入力値μを入力とした誤差増幅ゲインおよび応答性を最適化できるように、若干の違いを設けている。このとき、速度信号ω1とω2の下限値は、ゼロに設定している。
また、上記入力値μは、第1の所定値発生部23の出力Vbと、第1の起電力計算部21の出力値εγ(式(3)の第1の起電力に相当)が、加算器22で加算された値である。そのため、電動機18が脱調せずに、正常に運転される定常状態において、図4に示すベクトルAとベクトルBのγ成分(すなわち出力値εγ)が、−Vbとなるようにフィードバック制御がなされた状態となる。
なお、本実施の形態においては、第1の所定値として、第1の所定値発生部23の出力Vb=+0.5Vという正の値に設定している。そのため、図4に示すベクトルAとベクトルBは、いずれも左に傾いたベクトルとなる。このとき、起電力が大きいベクトルAと比較し、起電力が小さいベクトルBは、より左に傾いたベクトルとなる。
この場合、起電力のベクトルAとベクトルBは、電動機18の第1の物体51と第2の物体52との相対運動(回転運動)によって、永久磁石56、57、58、59と巻線15、16、17との鎖交磁束の時間的変化によって発生する。つまり、ベクトルAとベクトルBは、常に、q軸上に発生する。
このとき、ベクトルAとベクトルBに対するq軸は、それぞれqA軸とqB軸となる。一方、ベクトルAとベクトルBに対するd軸は、q軸に対して90度遅れたdA軸とdB軸となる。
図4に示すように、ベクトルAとベクトルBのどちらも、δ軸より、矢印Gで示す反時計回り方向となる。つまり、q軸は、δ軸よりも、位相が進んでいる。言い方を変えると、δ軸が、q軸より、矢印Hで示す時計回り方向に、位相が遅れている状態である。そのため、推定している位相信号θが、遅れているという表現もできる。さらに、ベクトルBは、ベクトルAよりも、より反時計回り方向にある。そのため、ベクトルBは、ベクトルAよりも、位相信号θの遅れが大きくなる。
一方、電流のベクトルI(以下、電流Iと記す場合がある)は、上述したようにIγr=0としている。そのため、電流のベクトルIは、常に、δ軸上で制御される。つまり、起電力が小さいベクトルBでの直交座標(dB、qB)は、起電力が大きいベクトルAでの直交座標(dA、qA)よりも、電流のベクトルIの位相が遅れることになる。
ここで、永久磁石の回転によって巻線に発生する起電力E[V]の大きさは、式(4)で示される。つまり、起電力E[V]は、第1の物体51と第2の物体52との相対運動の速度、すなわち電動機18の運転速度(回転速度)を電気角速度ω[rad/s]で表した値と、永久磁石56、57、58、59の磁束Ψa[Wb]との積に比例する。
Figure 2018123524
したがって、電源回路19は、起電力Eが異なると、永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を備えることになる。
ここで、電源回路19において、起電力Eが異なると、電流の位相が異なることを確認する方法として、下記の3つの確認方法が例示される。
第1の確認方法は、電気角速度ωを変化させる試験を行い、電動機18の運転速度を変化させる。この場合、永久磁石の着磁状態が一定でも、運転速度を高/低と変化させると、電気角速度ωに比例して起電力Eが変化する条件となる。そこで、dq平面上での電流Iの位相、すなわち永久磁石に対する電流Iの位相の変化を確認する。このとき、電流の位相の変化が確認されると、本実施の形態の電源回路19の構成が、有効に機能していると判断できる。
第2の確認方法は、まず、永久磁石の着磁の強さが異なり、磁束Ψaの値が異なる2台の電動機を用意する。そして、電動機を、同一速度、すなわち同一の電気角速度ω、かつ同一負荷で試験を行う確認方法である。
第3の確認方法は、第2の確認方法と同様に、まず、磁束Ψaの値が異なる2台の電動機を用意する。そして、電動機を、同一速度、すなわち同一の電気角速度ωとする一方で、電流の大きさが一定となるように負荷トルクを調整して試験を行う確認方法である。
つまり、第2と第3の確認方法の場合、どちらも磁束Ψaの値が異なる分、同一の電気角速度ωでも、起電力Eが異なる条件となる。このとき、永久磁石に対する電流Iの位相の変化を確認できれば、本実施の形態の電源回路19の構成が、有効に機能していると判断できる。
また、第2と第3の確認方法の場合、上述したように、同一速度(ω値)で、起電力Eの大きさが異なる条件で確認を行う。そのため、例えば電気角速度ωの関数として推定座標上での電流Iの位相が変化する要素を、さらに加えた構成の場合、本実施の形態の電源回路19の構成要素が有効に機能する状態かどうかの確認が困難な場合がある。しかし、電流Iの位相が変化する要素を加えた構成の場合でも、起電力Eの大きさが異なる条件での試験により、確実に、本実施の形態の電源回路19の構成が機能していることを確認するのに有効である。
また、第2の確認方法において、永久磁石の着磁の強さの程度が異なる場合、Iq値の変化が発生する現象、すなわち負荷トルクが一定条件で現れる、磁束ΨaとIqの反比例関係から生ずる影響が発生する。つまり、第2の確認方法は、同一負荷としているため、着磁の強さの違い(電流に対するトルクの大きさ、すなわちトルク定数が異なる)により、電流Iの大きさ(ベクトルの絶対値)が異なる値となる。そのため、第1の起電力の計算に誤差を起こすなどの影響が発生する。しかし、第3の確認方法によれば、上記影響を除去することができるため、適切な確認が可能となる。
なお、第2および第3の確認方法において、永久磁石の着磁の強さは、以下の方法により確認できる。
まず、駆動用の電動機と、試験する電動機の軸を、カップリングなどを介して接続する。接続した状態で、同一の速度で2つの電動機をそれぞれ回転させる。このとき、開放状態とした入力端子間の電圧を、電圧計、デジタルパワーメータ、オシロスコープなどの計測器で、測定あるいは観測する。これにより、永久磁石の着磁の強さを確認できる。
また、第1から第3の確認方法において、永久磁石に対する電流Iの位相は、以下の方法により確認できる。
まず、例えば光学式のABZロータリエンコーダを電動機の軸などに取り付ける。このとき、ABZロータリエンコーダの原点を、電気角θ=0、すなわちN極とU相から供給される起磁力による磁束と同方向となる位相に一致させる。そして、1つの相の電流波形、あるいは3相の電流値からの電流のベクトルIの位相を解析する。これにより、永久磁石に対する電流Iの位相の確認が可能となる。
なお、第1から第3の確認方法において、電流の周波数はオシロスコープなどで確認できる。確認される電流の周波数は、電源回路19内部での推定速度ω2である速度信号となる。
以上のように、第1から第3の確認方法のいずれかにより、起電力Eの違いによる電流Iの位相の違いが確認されれば、本実施の形態の電源回路19の構成が機能していることを確認できる。
つまり、脱調時において、電動機18の回転がゼロに低下する過程で、永久磁石に対する電流Iの位相は、脱調前に対して変化する。これにより、電流の周波数の変動(すなわち、推定速度の低下または上昇)が発生する。その結果、推定速度の変化から、適切な電動機18の脱調検知が可能となる、本発明の効果が得られる。
また、本実施の形態において、永久磁石の着磁が弱い方の電動機は、図4に示すベクトルBのように、dq軸が進み位相(矢印G)となる。そのため、dq座標に対する電流Iの位相は、より遅れ位相(矢印H)の傾向が現れる。
これにより、本実施の形態の電源回路19の構成が、正常に成り立っているかどうかを、以下で示すように、適切に確認できる。
具体的には、永久磁石56、57、58、59が標準的な着磁状態の場合、電動機18を、例えば35r/minの速度で回転させると、例えば5Vの起電力Eが発生する。この場合、電流Iの位相のq軸からの遅れは、5.7度となる。一方、標準的な着磁状態に対して、例えば永久磁石の着磁の強さを30%減少した状態で、電動機18を同じ条件で回転させると、例えば3.5Vの起電力Eが発生する。この場合、電流Iの位相のq軸からの遅れは、8.2度となる。つまり、電流Iの位相は、起電力Eの30%の低下により、さらに2.5度遅れる。これにより、本実施の形態の電源回路19の構成が、正常に成り立っていることが確認できる。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の速度制御について、図5Aおよび図5Bを用いて、説明する。
図5Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。図5Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。つまり、図5Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における速度波形を示す。一方、図5Bは、例えば過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における速度波形を示す。なお、図5Aおよび図5Bにおいて、指令速度を一点鎖線、推定速度である速度信号ω2を実線で示している。
図5Aに示す動力発生装置は、十分な速度制御が実行されている。そのため、速度信号ω2は、指令速度とほぼ一致した35r/min付近に保たれていることが分かる。
一方、図5Bに示す動力発生装置は、t=t1時点で過負荷がかかり、電動機18の速度がゼロになる。このとき、速度信号ω2は、次第に下降し、t=t2時点で、下限値のゼロまで低下する。そして、t=t2時点のタイミングで、電源回路19は、電動機18が脱調状態であることを検知する。
脱調状態を検知すると、図1に示す再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、一旦、速度をゼロとする命令を出力する。その後、t=t2時点以降の所定の時間内に、再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、再起動する命令を出力する。これにより、脱調状態にあった電動機18は、改めて速度ゼロからの起動動作が行われ、正常な速度に復帰する。
ここで、電動機18の速度がゼロとなる脱調時において、速度信号ω2が低下する理由について、以下で説明する。
まず、起電力がゼロとなると、図4のベクトルAやベクトルBで示すような起電力Eのγ成分(Vb)を−0.5Vに保つ速度信号ω2の解が無くなる。なお、解が無いとは、γδ平面上でいかなる起電力Eの位相においても、そのγ成分(第1の起電力εγ)が−0.5Vになる位相が存在しない状態を意味する。そのため、図4に示す矢印Gの向き、すなわちq軸からの電流Iの位相が、どんどん遅れる。これにより、最終的に、推定速度である速度信号ω2がゼロとなる。
また、本実施の形態の電動機18は、実際の運転速度が4r/minにおいて、起電力Eが0.5Vとなる。そのため、脱調により、運転速度が4r/minから、さらに低下した段階においては、確実に、上述した「解無し」の状態となる。
このとき、速度信号ω2に相当する推定速度は、上述したように、外部から、電流の周波数として観測される。そのため、脱調の発生を判定する閾値として、例えば3r/min以下の運転速度の状態が、0.5秒間、継続した時点などと設定できる。
なお、閾値は、上記に限られず、任意に設定可能である。例えば、指令速度と推定速度ω2との差、あるいは差の絶対値が大きくなった時点を閾値として設定してもよい。つまり、符号を問わず指令速度と推定速度ω2との差が、ゼロから閾値分以上、離れた状態となった場合、脱調検知を実行する。また、指令速度に所定の比率を乗じた閾値速度の範囲を脱した時点、またはそれらの状態の継続時間が所定時間となった時点を閾値として設定してもよい。さらに、指令速度と推定速度の差の時間積分などを閾値として設定してもよい。つまり、応用される動力発生装置の状態に応じて、さまざまな閾値の設定が可能である。
また、上記実施の形態では、推定速度である速度信号ω2の下限をゼロとし、ゼロになった時点で脱調を検知する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、推定速度の正負を共に有効な値とし、回転の向きに応じて正負の値が取り得るように構成する。そして、推定速度の正負の符号が変わった時点で、脱調を検知してもよい。この場合でも、推定速度と反対の符号となることを禁止する制限を設ける構成として、脱調を検知してもよい。さらに、推定速度と逆の符号となった時点、あるいはその状態が所定時間、継続した時点で、脱調を検知する構成としてもよい。つまり、上記構成でも、本実施の形態における脱調の検知として、有効となる。
また、上記実施の形態では、推定速度である速度信号ω2を、外部から、電流の周波数として測定する構成を例に説明した。具体的には、例えば3相の電動機18の線電流の少なくとも1つを、カレントプローブとオシロスコープなどの計測器を用いて測定する。これにより、測定された線電流の推定周波数を、推定速度である速度信号ω2として用いることができる。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の位相波形について、図6Aおよび図6Bを用いて、説明する。
図6Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。図6Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。つまり、図6Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における位相波形を示す。一方、図6Bは、例えば過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における位相波形を示す。具体的には、図6Aおよび図6Bは、q軸に対する電流Iの位相の波形図を示している。
図6Aに示すように、動力発生装置は、定常状態において、電流Iの位相の遅れが、ほぼ5.7度の一定の遅れを持つ状態となる。
一方、図6Bに示すように、t=t1時点で脱調が発生すると、t=t1時点以降、次第に電流Iの位相の遅れが増大する。そして、速度信号ω2=0となるt=t2時点で、電流Iの位相の遅れは、以下に示すように、例えば85度遅れの一定値の状態で落ち着く。電流Iの位相遅れは、上述したように、実際の速度と推定速度ω2の差(速度差)を時間積分した値である。つまり、脱調すると、実際の速度と推定速度ω2がゼロとなるため、上記速度差がゼロとなる。これにより、速度差の時間積分もゼロとなる。その結果、時間とともに位相が変化するような現象は起こらず、一定の位相差に収束する。
つまり、本実施の形態の動力発生装置は、正常動作時および脱調時においても、q軸からの電流Iの位相の遅れが一定値に落ち着く。つまり、例えば図6Bに示すt=t2以降に速度信号ω2=0の状態が継続しているかどうかの監視時間を設ける場合でも、監視時間中におけるq軸に対する電流Iの位相の遅れが一定となる。そのため、監視時間として、例えば0.2秒間などの十分な時間を設けることができる。これにより、より確実な脱調の検知が可能となる。また、電流Iの位相の遅れが一定値に落ち着くため、騒音の発生が抑制される。
なお、騒音は、例えば電流ベクトルの回転が継続すること、すなわちdq面上での回転がある場合に発生する正負の交番トルクが機構に作用することで発生する。そのため、位相の遅れを一定の状態にすれば、交番トルクの発生はなく、静止(直流)トルクで済む。これにより、騒音の発生要素の一つを無くすことができる。その結果、騒音の発生を抑制できる。
以下に、本実施の形態の動力発生装置の制御動作の別の例について、図7を用いて説明する。
図7は、同実施の形態の動力発生装置において、正常な運転状態におけるベクトル図である。具体的には、図1に示す電流指令値発生部28の設定を、図4から若干変化させた状態におけるベクトル図である。
つまり、図7に示すように、電流指令値発生部28は、電流Iを、δ軸上に一致させず、γδ座標上の第2象限に設定する。具体的には、例えば、推定d軸電流指令値Iγr値を−0.1A、推定q軸電流指令値Iδr=+1.0Aに設定する。つまり、δ軸に対して、電流Iが、5.7度の進み位相となるように設定する。これにより、電流Iの位相は、ほぼq軸と一致する。すなわち、起電力Eの位相と電流Iの位相とが一致する。このとき、電流Iの位相は、γδ座標では、dq座標に対して5.7度の遅れを有する状態となる。一方、電流Iの位相は、電動機18の起電力Eの位相が合致する。この場合、電流Iの大きさ(ベクトルの長さ)が最小となるため、銅損などの損失が最小となる。これにより、電動機18を、高効率で駆動することができる。
つまり、図4に示すベクトル制御と比較して、電流Iの位相の遅れによる効率低下、脱調耐量の低下などが抑制される。その結果、さらに高効率で、安定性の高い動力発生装置を実現できる。
この場合でも、同一速度での起電力に違いを設けると、δ軸に対する電流Iの位相の進み角が同一であれば、永久磁石56、57、58、59で定まるq軸に対する電流Iの位相は、起電力が小さくなるほど、遅れる。つまり、起電力の低下と電流Iの位相の遅れの変化については、図4の場合と同等となる。
また、電動機18が脱調した場合の動作に関しても、図5Aおよび図5Bで説明した動作と同様である。つまり、速度信号ω2がゼロとなった時点で、脱調が検知される。そして、図1に示す再起動信号発生部29などを介して、電動機18を再起動することができる。これにより、騒音、不必要な電流、または不必要な時間の発生を低減できる。
なお、上記実施の形態では、εγにVbを加算した上で、入力値μ=0となるようにフィードバック制御する構成を例で説明したが、これに限られない。例えば、εγと−0.5Vとの差を誤差電圧とし、誤差電圧が0Vになるようにフィードバック制御する構成としてもよい。この場合でも、上記実施の形態と同等の動作で制御できる。そのため、どちらもフィードバック制御の構成として有効である。
以上で説明したように、本実施の形態の動力発生装置は、第1の物体51を構成する巻線15、16、17と、第2の物体52を構成する永久磁石56、57、58、59を有する。さらに、動力発生装置は、第1の物体51と第2の物体52の相対運動によって巻線に起電力を発生する電動機18と、巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路19を有する。そして、電源回路19は、脱調時に電流の周波数(推定速度ω2)を脱調前に対して変化させた後、電動機18の再起動を行うように構成される。これにより、巻線抵抗が大きく、速度が低速の条件においても、脱調状態の発生を、短時間で適切に判断できる。そして、脱調状態と検知した場合、早期に再起動を行って動力発生装置本来の機能を回復させることができる。
一方、低速の条件において、脱調状態の検知に時間がかかる場合、動力発生装置の停止時間が長くなる。そのため、動力発生装置の動作完了が、停止時間に応じて遅れ、さらに、再起動までの時間が長くなる。その結果、電気エネルギー、時間の損失が発生する。
つまり、本実施の形態の構成によれば、低速の条件においても、脱調状態の発生を短時間で判断して、再起動できるため、電気エネルギー、時間の損失を抑制できる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における動力発生装置について、図1を参照しながら、図8を用いて、説明する。
図8は、本発明の実施の形態2における動力発生装置の正常な運転状態におけるベクトル図である。
本実施の形態の動力発生装置は、第1の所定値発生部23の出力Vb=−0.5V(第1の所定値の相当)、すなわち負の値としている点で、実施の形態1と異なる。他の部分は、実施の形態1の構成要素と同等である。
図8において、ベクトルAは起電力が大きい場合の起電力ベクトル、ベクトルBは起電力が小さい場合の起電力ベクトルを、ベクトルIは電流ベクトルを示している。
本実施の形態において、図1に示す速度信号発生部24は、入力値μが正の場合、速度信号ω1およびω2を減少させる。一方、入力値μが負の場合、速度信号発生部24は、速度信号ω1およびω2を増加させるように機能を有する。そして、図1に示す積分部25は、速度信号発生部24からの速度信号ω1を時間積分して、位相信号θを生成する。位相信号θは、2相3相変換部33および電流信号出力部34に入力される。その結果、定常状態において、速度信号発生部24は、入力値μをほぼゼロに近い微小な値に保つように動作する。
なお、本実施の形態においては、第1の所定値として、第1の所定値発生部23の出力Vb=−0.5Vという負の値に設定している。このとき、−Vb=+0.5Vとなる。そのため、図8に示すベクトルAとベクトルBは、いずれも右に傾いたベクトルとなる。このとき、起電力が大きいベクトルAと比較し、起電力が小さいベクトルBは、より右に傾いたベクトルとなる。つまり、ベクトルBは、ベクトルAよりも、より矢印H方向の遅れ側にある。そのため、ベクトルBは、ベクトルAよりも、位相信号θの進みが大きくなる。
一方、電流のベクトルI(以下、電流Iと記す場合がある)は、本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、Iγr=0としている。そのため、電流のベクトルIは、常に、δ軸上で制御される。つまり、起電力が小さいベクトルBでの直交座標(dB、qB)は、起電力が大きいベクトルAでの直交座標(dA、qA)よりも、電流のベクトルIの位相が進むことになる。
なお、本実施の形態のベクトル制御の構成が正しいかどうかの確認は、実施の形態1で説明した、永久磁石の着磁の強さが異なる電動機18を用いた試験で、同様に確認できるため、説明は省略する。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の速度制御について、図9Aおよび図9Bを用いて、説明する。
図9Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。図9Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。つまり、図9Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における速度波形を示す。一方、図9Bは、過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における速度波形を示す。なお、図9Aおよび図9Bにおいて、指令速度を一点鎖線、推定速度である速度信号ω2を実線で示している。
図9Aに示す動力発生装置は、十分な速度制御が実行されている。そのため、推定速度ω2は、指令速度とほぼ一致した35r/min付近に保たれていることが分かる。
一方、図9Bに示す動力発生装置は、t=t1時点で過負荷がかかり、電動機18の速度がゼロになる。このとき、速度信号ω2は、次第に上昇し、t=t2時点で、脱調検知の閾値である、例えば150r/minに達する。そして、t=t2時点のタイミングで、電源回路19は、電動機18が脱調状態であることを検知する。
脱調状態を検知すると、図1に示す再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、一旦、速度をゼロとする命令を出力する。その後、t=t2時点以降の所定の時間内に、再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、再起動する命令を出力する。これにより、脱調状態にあった電動機18は、改めて速度ゼロからの起動動作が行われ、正常な速度に復帰する。
ここで、電動機18の速度がゼロとなった脱調時において、速度信号ω2が上昇する理由について、以下で説明する。
まず、起電力Eがゼロとなると、図8のベクトルAやベクトルBで示すような起電力のγ成分(Vb)を+0.5Vに保つ速度信号ω2の解が無くなる。なお、解が無いとは、γδ平面上でいかなる起電力の位相においても、そのγ成分(第1の起電力εγ)が+0.5Vになる位相が存在しない状態を意味する。そのため、図8に示す矢印Hの向き、すなわちq軸からの電流Iの位相が、どんどん進んでいく。これにより、推定速度である速度信号ω2が上昇を続ける。そして、最終的に、脱調有無の判断である閾値(150r/min)まで、速度信号ω2が上昇することになる。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の位相波形について、図10Aおよび図10Bを用いて、説明する。
図10Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。図10Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。つまり、図10Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における位相波形を示す。一方、図10Bは、過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における位相波形を示す。具体的には、図10Aおよび図10Bは、q軸に対する電流Iの位相の波形図を示している。
図10Aに示すように、動力発生装置は、定常状態において、電流Iの位相が、ほぼ5.7度の一定の進みを持つ状態となる。
一方、図10Bに示すように、t=t1時点で脱調が発生すると、t=t1時点以降、電流Iの位相の進みが次第に増大する。
なお、本実施の形態の電力発生装置は、脱調が発生すると、q軸からの電流Iの位相進みが限りなく増大する。そのため、推定速度である速度信号ω2、あるいはω1が所定値(例えば、閾値に相当する150r/min)を超えた時点で、脱調と判断する。
このとき、推定速度>指令速度となるため、電流Iの絶対値は、抑えられた状態となる。そのため、電流Iの位相の面において、図10Bの、t2以降の破線で示すように、位相の変動が激しくなっても、騒音が問題となることは少ない。つまり、小さい電流値の期間内で、脱調を検知できる。本実施の形態の場合、実施の形態1とは異なり、位相差が発散する状態となるが、騒音に関係するもう一つの要素である電流ベクトルIの絶対値(長さ)が、ゼロ付近に収束する。そのため、騒音が小さくなる。
なお、上記実施の形態では、推定速度である速度信号ω2、あるいはω1の閾値の所定値として150r/minを設定し、所定値を超えた時点で、すぐに脱調と判断する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、式(5)に示す起電力Eの第2の位相成分εδを計算し、その値が第2の所定値以下である場合、脱調を検知するように構成してもよい。
Figure 2018123524
つまり、推定速度がある程度、高速となった状態においては、起電力の第2の位相成分εδで脱調しているかどうかを判断する。これにより、脱調を、十分に高い精度で判断できる。その結果、非常に信頼性の高い脱調検知を実現できる。なお、上記ある程度の推定速度とは、式(5)の右辺の各要素の誤差(検知誤差やパラメータの設定誤差、バラツキ)があっても、確実に起電力Eとして検知が可能となる速度である。具体的には、例えばE=10Vとなる速度である。
なお、式(5)についても、実施の形態1の式(3)で説明したように、時間微分を示すpの項を省いてもよい。さらに、低速回転時において、ω項の比率が低い場合、式(5)の第3項を省いて、計算式を簡略化してもよい。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3における動力発生装置の構成について、図11を用いて、説明する。
図11は、本発明の実施の形態3における動力発生装置のブロック図である。
図11に示すように、本実施の形態の動力発生装置は、電源回路69において、主に、電圧信号出力部74および電流信号出力部75が、巻線電流制御部70に含まれない構成とした点で実施の形態1と異なる。他の構成要素は、実施の形態1の構成要素と同等であるので、同じ符号を付して説明する。
つまり、本実施の形態の動力発生装置は、実施の形態1と同等の電動機18と、電動機18に電流を供給する電源回路69などから構成される。
電源回路69は、巻線電流制御部70などを含み、巻線電流制御部70は電流誤差増幅器71および3相2相変換部72を含む。なお、電流誤差増幅器71は、実施の形態1の電圧信号出力部32と同等である。また、3相2相変換部72は、実施の形態1の電流信号出力部34と同等である。
つまり、本実施の形態の電源回路69は、上述のように、電圧信号出力部74および電流信号出力部75を、巻線電流制御部70とは別の場所に設けている。そのため、電流誤差増幅器71および3相2相変換部72を異なる名称に変更し、新たな符号を付している。
電源回路69の電圧信号出力部74は、実施の形態1で説明した式(2)とほぼ同等の計算式を用いて、3相1相変換を行う。式(2)と異なる点は、入力が電流Iu、Iv、Iwの代わりに電圧信号Vu、Vv、Vwとする。これにより、左辺の計算結果は、IγおよびIδの代わりに、VγおよびVδとなる。このとき、電圧信号出力部74は3相1相変換を行うため、左辺の計算結果として、利用しないVδが不要で、Vγのみが計算される。
なお、電源回路69の電流信号出力部75の構成は、実施の形態1の電流信号出力部34および3相2相変換部72と同等である。
また、本実施の形態の電源回路69は、加算器76および位相値源77を含む。
そして、電流誤差増幅器71および3相2相変換部72は、上記加算器76と位相値源77によって、積分部25の出力値である位相信号θ1にΔθ(=+5.7度)を加算した位相信号θ2が入力される。
なお、上記で説明した以外の構成要素は、実施の形態1と同様に機能する。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置は構成される。
以下に、動力発生装置の動作時における電流および電圧の位相関係および制御動作について、図12を用いて、説明する。
図12は、同実施の形態の動力発生装置において、正常な運転状態におけるベクトル図である。
なお、本実施の形態の動力発生装置は、電源回路69内での推定位相となる値として、第1の推定位相である位相信号θ1と、第2の推定位相である位相信号θ2の2値が存在する。位相信号θ2の値は、位相信号θ1の値に対して、位相値源77の出力値Δθに相当する5.7度が加算され、大きい値となる。そのため、位相信号θ2は、位相信号θ1より進んだ値となっている。
そこで、図12のベクトル図においては、位相信号θ1での直交座標をγ1、δ1とし、位相信号θ2での直交座標をγ2、δ2としている。
この場合、位相信号θ1に関しては、実施の形態1で説明した動作が行われる。そのため、Vb=+0.5Vとした場合、標準的な着磁の強さを備える永久磁石56、57、58、59の起電力のベクトルAの、35r/minにおけるγ1、δ1の座標軸は、実施の形態1でのγ、δ軸と全く同等の状態となる。つまり、推定位相である位相信号θ1は、実施の形態1と同様に、5.7度の位相遅れを有する状態となる。
一方、第2の推定位相である位相信号θ2は、位相値源77の出力値Δθである+5.7度が加算器76によって加算される。そのため、位相信号θ2は、位相信号θ1が有する5.7度の位相遅れがキャンセルされる。
これにより、図12に示すように、γ2は真のd軸であるdA軸と等しく、δ2は真のq軸であるqA軸と等しくなる。
なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、電流指令値発生部28の出力である推定d軸電流指令値Iγrをゼロとし、トルクに比例する電流設定値として推定q軸電流指令値Iδrを出力するように構成している。そのため、電流Iはδ2軸上に乗るとともに、同時にqA軸上に乗る。
これにより、電動機18から見た場合、電源回路69内に存在する遅れた位相信号θ1に影響されず、磁束と電流の直交性を保つことができる。この場合、電流Iの大きさ(ベクトルの長さ)が最小となる。そのため、銅損などの損失が最小となる。その結果、電動機18を高い効率で駆動できる、動力発生装置を実現できる。
つまり、本実施の形態によれば、電源回路69の内部に2つの推定位相を設ける。これにより、推定d軸となるγ2軸における電流成分がゼロとなる。その結果、位相の遅れを持つ位相信号θ1の影響を受けずに、電流Iの制御が可能となる。
本実施の形態の電源回路69によるベクトル制御は、以下の場合、特に有効である。
例えば、リラクタンストルクを有効に使用できる永久磁石埋込型の電動機の場合、意図的に電流Iの位相を進ませた状態になるように制御する場合がある。この場合、起電力の大小のいずれの条件においても、電流進み角βなどと称される、永久磁石に対して、進んだ電流Iの位相となることが起こり得る。
このとき、起電力が小さい電動機と、起電力が大きい電動機とを、電流Iの位相を利用して、以下の方法で判別できる。
まず、起電力の異なる電動機の電流Iの位相を、それぞれ永久磁石に対する位相を測定して比較する。このとき、電流進み角βの変化が観測された電動機を、「起電力の大きさが異なると、永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電動機」と、判定できる。
なお、上記実施の形態では、3相2相変換と、2相3相変換を多用した構成を例に説明したが、これに限られない。2つの推定位相を用いた構成の場合、変換は、2相(γ1、δ1)から2相(γ2、δ2)への変換となる。そのため、より簡単な、例えば2行2列の一次変換で構成してもよい。これにより、簡単な変換構成で、十分な機能が得られる。
以上のように、実施の形態1から3の構成によれば、電源回路は、内部に、実際の電動機18内の位相と異なった推定位相を有する。そして、電源回路は、推定位相での第1の起電力の成分を、ゼロから、ずれた所定値となるように制御する。このとき、脱調して電動機18が停止した場合、第1の起電力を所定値に保つことができなくなる。つまり、推定速度がゼロまで低下、あるいは逆に上昇する動作となる。これにより、推定速度を用いて、電動機18の脱調の検知が可能となる。その結果、電動機18を適切に再起動することができる。
しかしながら、各実施の形態において、推定位相を電源回路内に設けることは必須ではない。例えば、まず、同一速度で起電力を大および小とした試験を行う。このとき、電流の位相が変化する特性を有する電源回路の場合、脱調によって起電力がほぼゼロとなると、試験において、起電力が小となった方向と同じ方向に電流の位相が変化する。その変化が遅れ方向であれば、推定速度がゼロとなる。一方、変化が進み方向であれば、推定速度が高速に跳ね上がるという動作を行わせることが可能となる。
また、実施の形態1から3によれば、電源回路内にインバータ回路35を備える。そのため、例えば15.625kHzなどの十分に高いキャリア周波数で、インバータ回路35の半導体素子をスイッチング(ONとOFF)できる。これにより、インバータ回路35から、高効率で電動機18への電力供給が可能となる。しかしながら、スイッチング動作をインバータ回路で実現することは、必須ではない。例えば、能動状態でトランジスタを働かせるA級増幅器またはB級(プッシュプル)増幅器などで構成してもよい。これにより、脱調の検知の性能に関して、同等の効果が得られる。
また、実施の形態1〜3によれば、3相構成の電動機18を例に説明したが、これに限られない。例えば、電流Iの位相を確認できる構成の電動機であれば、2相以上のいかなる相の構成を有する電動機でもよい。そのため、相数に係わらず、本発明の効果を得ることができる。
また、実施の形態1から3によれば、図3に示すカップリング61のようにバックラッシュを有する動力伝達経路を有する構成を例に説明したが、これに限られない。上記動力伝達経路の場合、脱調状態でも、バックラッシュが動く際に、電動機に微小な起電力が発生することがある。さらに、動力伝達経路の弾性要素が、機構的に共振すると、同様に、電動機に微小な起電力が発生することがある。そこで、各実施の形態において、例えば第1の所定値となるVb値の絶対値を、上記現象により発生する微小な起電力よりも大きくなるように設定する。これにより、バックラッシュなどによる動力発生装置の誤動作を、未然に防止できる。
また、実施の形態1から3によれば、上述したように、電動機の脱調状態を的確に検知する。そして、再起動信号発生部から出力される再起動信号により、電動機を、再度、起動し直すことができる。このとき、再起動信号は、動力発生装置を、仕事ができる正常な運転状態に戻すように作用する。これにより、動力発生装置の正常な動作を、早期に回復できる。
なお、実施の形態1〜3では、再起動信号による動力発生装置の動作について、特に言及しなかったが、以下の構成により、動作させることができる。
具体的には、例えば電動機18の位相と関係なく、固定の電流と位相の関数を供給する、強制同期、あるいは同期運転と称される構成を用いてもよい。
また、高周波状の電流に対する応答から、インダクタンスの違いによる位相検知を行って、動作させる構成などがある。この場合、永久磁石が埋め込み構造など、インダクタンスの違いがある電動機に、より適している。
つまり、上記いずれの構成でも、電動機を再起動させて、起電力の値が十分な値となった段階で、上記実施の形態で説明した力行運転に戻すことができる。そして、それ以降に発生する脱調に関しては、同様に、適切な検知を行って、再起動を実行できる。
以上で説明したように、本発明の動力発生装置は、第1の物体と第2の物体と永久磁石と巻線とを有し、第1の物体と第2の物体の相対運動によって巻線に起電力を発生する電動機と、巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路を有する。電源回路は、脱調時における電流の周波数を、脱調前に対して変化させた後、電動機の再起動を行うように構成される。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、起電力の大きさが小さい場合、永久磁石に対する電流の位相が進む特性を有し、電動機の速度がゼロとなる脱調時において、巻線の電流の周波数が所定値を超えた後、電動機の再起動を行うように構成してもよい。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、起電力の大きさが小さい場合、永久磁石に対する電流の位相が遅れる特性を有し、電動機の速度がゼロとなる脱調時において、巻線の電流の周波数が所定値以下になった後、電動機の再起動を行うように構成してもよい。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、速度信号を出力する速度信号発生部と、速度信号を時間積分した位相信号を出力する積分部と、電圧信号出力部と、電流信号出力部と、第1の起電力計算部とを有する。電圧信号出力部は、位相信号が入力されると、巻線の電圧の第1の位相成分を出力する。電流信号出力部は、位相信号が入力されると、巻線の電流の第1の位相成分と、巻線の電流の第1の位相成分と直交する巻線の電流の第2の位相成分を出力する。第1の起電力計算部は、電圧信号出力部と電流信号出力部の出力の基づいて、起電力の第1の位相成分を計算して出力する。さらに、速度信号発生部は、第1の起電力計算部の出力が第1の所定値となるように速度信号を加減するように構成してもよい。これにより、一般にベクトル制御などと呼ばれる、電流を直交座標上の2つの成分に分けて制御する構成に、容易に適用できる。これにより、巻線の電流を応答性よく制御できる。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、巻線電流制御部を有する。巻線電流制御部は、巻線の電流の位相信号に同期して回転する直交座標の2つの成分である第1の電流指令値と第2の電流指令値が等しくなるように、巻線の電圧を加減するように構成してもよい。
これらの動力発生装置の構成によれば、電動機の巻線抵抗が大きく、速度が低い条件の場合でも、脱調状態を適切に判断できる。そして、電源回路は、脱調状態と検知した場合、早期に再起動を行って、動力発生装置の本来の機能を回復できる。これらにより、機能回復までの電気エネルギー、および時間の損失を抑制できる。
本発明の動力発生装置は、適切な脱調状態の検知を行い、脱調時に電流の周波数を脱調前に対して変化させた後、電動機の再起動を行うことが可能となる。そのため、電気エネルギー、および時間の無駄の抑制など優れた性能が要望される動力源として使用される動力発生装置に適用できる。
1,18 電動機
2 PWMインバータ
3,4 座標変換器
5 電流制御部
6 速度制御部
7 磁束制御部
8 第1速度推定部
9 積分器
10 第2速度推定部
11 脱調判断部
12 入力有効電力演算部
13 軸ロック判定部
14 軸ロック検出部
15,16,17 巻線
19,69 電源回路
20,70 巻線電流制御部
21 第1の起電力計算部
22,76 加算器
23 第1の所定値発生部
24 速度信号発生部
25 積分部
26 速度指令部
27,30,31 減算器
28 電流指令値発生部
32,74 電圧信号出力部
33 2相3相変換部
34,75 電流信号出力部
35 インバータ回路
37 直流電源
38,39,40,41,42,43 スイッチング素子
44 駆動回路
45 マイクロコンピュータ
45a PWM変調部
46 電流検知部
47,48,49 シャント抵抗
50 増幅器
51 第1の物体
52 第2の物体
55 鉄芯
56,57,58,59 永久磁石
60,62 軸
61 カップリング
63 負荷
65,66 クラッチ
71 電流誤差増幅器
72 3相2相変換部
77 位相値源
本発明は、一般家庭で使用される電気洗濯機、エアコン、冷蔵庫などの家電製品や、事務所、業務用、交通機関などの動力源として使用される動力発生装置に関する。
従来、第1の速度推定部と、第1の速度推定部と異なる推定方法を備える第2の速度推定部を設けて、脱調を検出する動力発生装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。第1の速度推定部は、永久磁石を用いた電動機の回転子の軸誤差ΔθもしくはΔθmがゼロに収束するように回転速度を推定し、第1の推定回転速度を出力する。第2の速度推定部は、第1の推定回転速度が速度指令に追従するように電動機を制御するとともに、異なる推定方法で推定した第2の推定回転速度を出力する。
図13は、特許文献1に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。
図13に示すように、特許文献1の動力発生装置は、永久磁石を有する電動機1、PWMインバータ2、座標変換器3、4、電流制御部5、速度制御部6、磁束制御部7、第1速度推定部8、積分器9、第2速度推定部10、脱調判断部11を有する。第1速度推定部8は、電動機1の回転子の回転速度を推定し、得られた第1推定回転速度ωeが速度指令ω*に追従するように電動機1を制御する。第2速度推定部10は、第1速度推定部8とは異なる推定方式を用いて、電動機1の回転子の回転速度を推定する。脱調判断部11は、推定された第2速度推定部10が得る第2推定回転速度ω2eと、第1推定回転速度ωeまたは速度指令ω*と、を比較する。そして、比較結果に基づいて、電動機1の脱調を検出し、電動機1の回転を制御する。
また、電動機の起動時に、電流検出部から入力される電流値の相関値と、電動機に印加する電圧指令値に基づいて入力有効電力を算出し、入力有効電力が所定の閾値より小さい場合に、軸ロック(すなわち脱調)を検知する動力発生装置が開示されている(例えば、
特許文献2参照)。
図14は、特許文献2に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。
図14に示すように、特許文献2の動力発生装置は、電動機の起動時に、電動機の電流値の相関値であるIdc、Iqc、および電動機に印加する電圧に対応する電圧指令値V*dc、V*qcを、入力有効電力演算部12で演算する。入力有効電力演算部12は、得られた入力有効電力値Piを、軸ロック判定部13に出力する。軸ロック判定部13には、速度指令値ω1*も入力される。そして、軸ロック判定部13は、入力された入力有効電力値Piが速度指令値ω1*の条件での閾値より小さい場合、電動機の軸ロックが発生していると判断し、電動機の駆動を停止させる。これにより、特許文献2の動力発生装置は、軸ロック検出部14を構成している。
つまり、上記従来の動力発生装置は、永久磁石を有する電動機の速度がかなり高い状態で、巻線に発生する誘導起電力が十分に高く、また巻線抵抗や誘導係数がある程度小さい場合における、脱調検知を目的としている。そのため、上述の条件が満たされない場合、脱調検知において、誤った判断をする虞がある。例えば、誤った判断として、実際には脱調していない正常な運転状態にも係わらず、脱調であると判断する場合がある。また、逆に、実際は脱調の状態にも係わらず、正常な運転状態であると判断する場合などがある。
しかしながら、従来の動力発生装置は、誤った判断に対応できる脱調検知の構成を備えていない。
つまり、特許文献1の動力発生装置は、電動機の低速回転で発生する誘導起電力が小さい条件の場合、軸誤差ΔθもしくはΔθmがゼロ付近の微小な値となっている状態と算出しても、実際の軸誤差が大きい場合がある。また、巻線抵抗が大きく、トルクを要する運転中(力行)の場合、巻線抵抗による電圧降下は大で、かつ巻線抵抗のバラツキや温度による巻線抵抗の変化による変動も大となる。そのため、第2速度推定部10で推定される第2推定回転速度の信頼性が低くなる。具体的には、例えばδ軸成分の電圧からの判断が不可能となる。
つまり、低速でトルクを要する運転中(力行)の場合、電動機の回転によって発生する誘導起電力が小さく、巻線抵抗による電圧降下は大きくなる。さらに、巻線抵抗のバラツキや温度による巻線抵抗の変化による変動も大きくなる。これにより、第2速度推定部10で推定される第2推定回転速度の信頼性が低くなるため、例えばδ軸成分の電圧からの判断が困難となる。
また、特許文献2の動力発生装置は、上記と同様に、巻線抵抗が大きい設計仕様の場合、軸ロック検出の信頼性が低下する。さらに、起動直後に必要なトルクが大きい場合、軸ロックの有/無に係わらず、巻線抵抗で消費される電力(銅損)が大きくなる。そのため、入力有効電力演算部12の出力差に基づいた軸ロックの有/無の判断が難しくなる。
一方、逆に、必要なトルクが小さい場合、軸ロックしていない状態における電動機への入力電力も小さい。そのため、小さい入力電力よりも、さらに小さい閾値に基づいて、軸ロックの状態を判断することは困難である。
また、近年、巻線に使用されていた銅線を、アルミ線に替えた電動機も多くなっている。そのため、巻線抵抗が、さらに増大する傾向にある。これにより、上記脱調の判断が、さらに困難になっている。
また、電動機に発光素子、受光素子、ホール素子などを設けて、適宜、永久磁石の速度および位置に関する信号を利用する動力発生装置も存在する。つまり、上記動力発生装置は、離散的な速度・位置情報を補間する推定を行う。しかし、補間しながら推定する場合、電動機の脱調の検出遅れや、検出が困難となることがある。そのため、上記動力発生装置においても、同様に、脱調の判断が困難となる。
特開2007−282389号公報 特開2013−146162号公報
本発明は、電動機の脱調状態を適切に判断し、脱調状態と検知した場合、早期に、再起動可能な動力発生装置を提供する。
本発明の動力発生装置は、電動機の巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると、永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路を有し、電源回路は、脱調時に電流の周波数を変化させた後、再起動を行うように構成される。
この構成によれば、電動機の巻線抵抗が大きい仕様や、低速で誘導起電力が低い駆動条件などの場合においても、脱調の誤検知を低減できる。また、脱調状態から、電動機を適切で迅速に再起動できる。これにより、電気エネルギー、および時間の無駄が抑制可能な動力発生装置を提供できる。
図1は、本発明の実施の形態1における動力発生装置のブロック図である。 図2は、同実施の形態における動力発生装置のインバータ回路の回路図である。 図3は、同実施の形態における電動機と負荷の構成図である。 図4は、同実施の形態における動力発生装置のベクトル図である。 図5Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。 図5Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。 図6Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。 図6Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。 図7は、同実施の形態における動力発生装置のベクトル図である。 図8は、本発明の実施の形態2における動力発生装置のベクトル図である。 図9Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。 図9Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。 図10Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。 図10Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。 図11は、本発明の実施の形態3における動力発生装置のブロック図である。 図12は、同実施の形態における動力発生装置のベクトル図である。 図13は、特許文献1に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。 図14は、特許文献2に記載の従来の動力発生装置のブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1における動力発生装置の構成について、図1を参照しながら、説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における動力発生装置のブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態の動力発生装置は、巻線15、16、17を有する電動機18と、巻線15、16、17に電流を供給する電源回路19などから構成される。
電源回路19は、巻線15、16、17の電流を制御する巻線電流制御部20、第1の起電力計算部21、加算器22、第1の所定値発生部23、速度信号発生部24、積分部25、速度指令部26、減算器27、電流指令値発生部28、再起動信号発生部29などを含む。巻線電流制御部20は、減算器30、31、電圧信号出力部32、2相3相変換部33、電流信号出力部34、インバータ回路35など含む。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置は構成される。
つぎに、本実施の形態の動力発生装置のインバータ回路35について、図2を参照しながら、説明する。
図2は、同実施の形態の動力発生装置のインバータ回路35の回路図である。
インバータ回路35は、図2に示すように、直流電源37と、スイッチング素子38、39、40、41、42、43と、駆動回路44と、PWM変調部45aと、電流検知部46などを含む。直流電源37は、交流100Vの商用電源を倍電圧整流する回路などで構成され、例えば280V程度の直流電圧をスイッチング素子38、39、40、41、42、43に出力する。スイッチング素子38、39、40、41、42、43は、コレクタ端子−エミッタ端子間にダイオードが接続された、例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)で構成される。スイッチング素子38と41、スイッチング素子39と42、およびスイッチング素子40と43は、それぞれ直列に接続される。さらに、直列に接続された、一対のスイッチング素子38、41、一対のスイッチング素子39、42および一対のスイッチング素子40、43は、互いに並列に接続される。スイッチング素子38、39、40のそれぞれのエミッタ端子は、対応するスイッチング素子41、42、43のコレクタ端子と接続される。そして、接続された、それぞれの接続点からU、V、Wの3相の電圧VU、VV、VWが、電動機18に出力される。
駆動回路44は、スイッチング素子38、39、40、41、42、43の、それぞれのゲート端子と接続される。駆動回路44は、マイクロコンピュータ45に含まれるPWM変調部45aからの、駆動信号UP、UN、VP、VN、WP、WNに基づいて、スイッチング素子38、39、40、41、42、43を、所定の順序に従ってオン・オフ駆動する。
電流検知部46は、低電位側となるスイッチング素子41、42、43のそれぞれのエミッタ端子に接続されるシャント抵抗47、48、49と、増幅器50などを含む。電流検知部46は、駆動回路44がスイッチング素子41、42、43をオンしている期間中に、シャント抵抗47、48、49に生じる電圧を検知する。増幅器50は、検知された電圧を増幅する。そして、3相のそれぞれの相を流れる電流に相当する、アナログ電圧信号およびそのデジタル変換値に対応するIU、IV、IWを、マイクロコンピュータ45に出力する。入力されたIU、IV、IWに基づいて、マイクロコンピュータ45は、PWM変調部45aから、駆動信号UP、UN、VP、VN、WP、WNを駆動回路44に出力する。
なお、電流検知部46は、上記の構成以外に、直流からの電流値を、3相巻線のうちの2相以上の巻線から、コアと磁気検知素子などで検知する、例えばDCCT(DC Current Transformer)と呼ばれる方法で検知する構成としてもよい。
また、電流検知部46として、上述のシャント抵抗を1本のみで構成してもよい。この場合、それぞれの相の低電位側のスイッチング素子のオン時間との対応関係に基づいて、オン時間中において、個別に電流値を検知する。これにより、3相の全ての電流値を、1本のシャント抵抗のみで検知できる。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置のインバータ回路35は構成される。
つぎに、本実施の形態の動力発生装置の電動機18と負荷63の構成について、図3を参照しながら、説明する。
図3は、同実施の形態における電動機18と負荷63の構成図である。
図3に示すように、電動機18は、第1の物体51と、第2の物体52などを含む。第1の物体51は、一般にステータ(固定子)と称され、巻線15、16、17で構成される。第2の物体52は、一般にロータ(回転子)と称され、第1の物体51に対して、回転自在に支持される。第2の物体52は、例えば鉄芯55の表面に永久磁石56、57、58、59が接着された状態で形成される。本実施の形態において、第2の物体52は、永久磁石56、58の外側がN極、永久磁石57、59の外側がS極となるように着磁され、4極の極数で構成される。
つまり、電動機18は、第1の物体51に対して、第2の物体52が回転自在に配設され、回転方向に相対運動が可能な状態で構成される。そのため、第1の物体と第2の物体の相対運動(すなわち回転運動)により、永久磁石56、57、58、59からの磁束と、巻線15、16、17との鎖交する状態が、回転の角度によって変化する。これにより、第1の物体51である巻線15、16、17に、起電力(あるいは誘導起電力と称される)が発生する。
軸60は、第2の物体52と一体的に構成され、回転自在に設けられる。軸60は、クラッチ65、66を有するカップリング61および軸62を介して、負荷63に接続される。このとき、カップリング61のクラッチ65、66が噛み合うことにより、第2の物体52のトルクが負荷63に伝達される。
なお、上記実施の形態では、第1の物体51が固定され、第2の物体52が相対運動(回転運動)する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、第2の物体52を固定し、第1の物体51の相対運動が可能な構成としてもよい。この場合、軸60は、第1の物体51に設けることが好ましい。さらに、相対運動は、上記回転運動以外に、直線運
動を行う構成としてもよい。
また、上記実施の形態では、第1の物体51に3相の巻線15、16、17、第2の物体52に4つの永久磁石56、57、58、59を設ける構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、第1の物体51あるいは第2の物体52のいずれか一方に、巻線と永久磁石の両方を設ける構成としてもよい。この場合、他方は、巻線も永久磁石も設けない構成となる。しかし、例えば磁気回路を構成するクローポールなどを有する構成とすればよい。この構成によれば、第1の物体51と第2の物体52との相対運動により、永久磁石から発せられる磁束と、巻線との鎖交する度合いが変化する構成が実現される。つまり、相対運動によって起電力を発生させることができるため、上記構成も有効な構成となる。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置の電動機18と負荷63は構成される。
つぎに、上記構成の動力発生装置の巻線電流制御部20の制御動作について、図1を参照しながら、説明する。
電源回路19の巻線電流制御部20は、一般にベクトル制御と呼ばれる方法で制御を行う。
つまり、電動機18の巻線15、16、17に供給するアナログ電圧信号およびそのデジタル変換値に対応するIU、IV、IWは、電流信号出力部34によって、推定d軸(γ軸)と推定q軸(δ軸)の直交座標に3相2相変換される。そして、電圧のγ軸とδ軸での値を、2相3相変換部33を通じて変換し、電動機18を制御するように構成される。
具体的には、2相3相変換部33は、以下に示す式(1)を用いて、推定d軸電圧Vγ(以下、Vγと略記する場合がある)、推定q軸電圧Vδ(以下、Vδと略記する場合がある)、および後述する積分部25から出力される推定位相である位相信号θに基づいて、Vu、Vv、Vwに変換する。なお、Vγは、巻線の電圧の第1の位相成分に対応する。また、式(1)のVu、Vv、Vwは、上述VU、VV、VWと同義である。
電流信号出力部34は、式(2)を用いて、Iu、Iv、Iwと位相信号θから、推定d軸電流Iγ(以下、Iγと略記する場合がある)、推定q軸電流Iδ(以下、Iδと略記する場合がある)への変換、すなわち3相2相変換を行う。なお、Iγは巻線の電流の第1の位相成分、Iδは巻線の電流の第2の位相成分に対応する。また、式(2)のIu、Iv、Iwは、上述IU、IV、IWと同義である。
上記のように、ベクトル制御は、まず、電流を直交座標の2つの成分に分ける。そして、2つの電流成分のそれぞれが所定の値となるように、直交座標の電圧成分を加減して制御する。そのため、本実施の形態の電源回路19の巻線電流制御部20は、上記ベクトル制御構成との適用性が高い。これにより、位相のズレを適切にゼロ近くに抑えながら、動力発生装置の運転が可能となる。
Figure 2018123524
Figure 2018123524
具体的には、巻線電流制御部20は、電流指令値発生部28から、推定d軸電流指令値Iγr(以下、Iγrと略記する場合がある)と、推定q軸電流指令値Iδr(以下、Iδrと略記する場合がある)と、を受ける。なお、Iγrは、第1の電流指令値、Iδrは第2の電流指令値に対応する。
そして、巻線電流制御部20は、電流信号出力部34から出力されるIγおよびIδと、受け付けたIγrおよびIδrとの誤差がゼロとなるようにVγ、Vδを加減する。つまり、巻線電流制御部20は、誤差増幅器として、動作する。
なお、本実施の形態においては、推定d軸電流指令値Iγrを、ゼロとしている。これにより、例えば鉄芯55の表面に永久磁石56、57、58、59を接着して構成される表面磁石モータ(SPM)において、トルク発生(動力発生)に関与しないd軸電流をゼロ(流さない)の状態で制御できる。これにより、最小の電流値で必要なトルクを確保することができる。そのため、巻線での電流による損失、すなわち銅損を最小限に抑えることができる。その結果、表面磁石モータの高効率の運転が可能になる。このとき、推定d軸電流Iγは、ほぼゼロになる。その結果、必要なトルクに応じて加減された推定q軸電流Iδの値で、電動機18の運転制御が可能となる。
つまり、本実施の形態においては、位相信号θに同期して回転する直交座標γδの2つの成分であるIγおよびIδが、それぞれIγrおよびIδrと、等しくなるように、VγとVδが加減される。そして、最終的に、インバータ回路35から、電動機18の第1の物体51を構成する巻線15、16、17に印加される3相の電圧VU、VV、VWが加減される。
以上のように、動力発生装置の巻線電流制御部20は動作する。
つぎに、電動機18の速度信号ω1、ω2、および位相信号θの生成動作について、説明する。
まず、図1に示す第1の起電力計算部21は、上記Vγ、Iγ、Iδから、式(3)を用いて、γ軸成分の起電力に相当する第1の起電力εγ(以下、εγと略記する場合がある)を計算する。なお、εγは、起電力の第1の位相成分に対応する。
Figure 2018123524
ここで、Raは巻線15、16、17の抵抗値、Lは巻線15、16、17のインダクタンス値(誘導係数)である。このとき、抵抗値Raおよびインダクタンス値Lは、いずれも直交座標上での値である。
本実施の形態の電動機18は、鉄芯55の表面に永久磁石56、57、58、59を有するように構成される。そのため、インダクタンス値Lは、一定値で表すことができる。しかし、永久磁石を鉄芯の奥深くに埋め込むタイプの電動機構成の場合、インダクタンス値Lは、dq座標での位相(角度)によって変化する。この場合、上記式(3)のインダクタンス値Lの代わりに、q軸でのインダクタンス値Lqを用いて、γ軸成分の第1の起電力εγが計算される。
なお、式(3)において、Iγをゼロに設定し、かつその指令値に近い値で、電動機18を制御する場合、右辺第2項を省略することができるケースがある。また、時間微分を示すpは、必要がなければ省略してもよい。さらに、ωが小さい低速の条件の場合、式(3)の第3項を省いてもよい。つまり、式(3)において、十分な位相ズレに収まる範囲であれば、適宜、要素を選択して計算し、第1の起電力εγを求めればよい。
ここで、動力発生装置の動作時における電流および電圧の位相関係について、図4を用いて、説明する。
図4は、同実施の形態の動力発生装置において、正常な運転状態におけるベクトル図である。
図4において、ベクトルAは起電力が大きい場合の起電力ベクトル、ベクトルBは起電力が小さい場合の起電力ベクトルを、ベクトルIは電流ベクトルを示している。
本実施の形態において、図1に示す速度信号発生部24は、入力値μが正の場合、速度信号ω1およびω2を減少させる。一方、入力値μが負の場合、速度信号発生部24は、速度信号ω1およびω2を増加させるように機能する。そして、積分部25は、速度信号発生部24からの速度信号ω1を時間積分して、位相信号θを生成する。位相信号θは、2相3相変換部33および電流信号出力部34に入力される。その結果、定常状態において、速度信号発生部24は、入力値μをほぼゼロに近い微小な値に保つように動作する。
なお、本実施の形態において、速度信号ω1とω2は、センサレス制御のため、推定の速度信号である。具体的には、速度信号ω1は、速度制御を行う目的の値である。一方、速度信号ω2は、積分部25の積分値である位相信号θを安定に保つ目的の値である。つまり、速度信号ω1とω2は、互いに目的が異なるため、入力値μを入力とした誤差増幅ゲインおよび応答性を最適化できるように、若干の違いを設けている。このとき、速度信号ω1とω2の下限値は、ゼロに設定している。
また、上記入力値μは、第1の所定値発生部23の出力Vbと、第1の起電力計算部21の出力値εγ(式(3)の第1の起電力に相当)が、加算器22で加算された値である。そのため、電動機18が脱調せずに、正常に運転される定常状態において、図4に示す
ベクトルAとベクトルBのγ成分(すなわち出力値εγ)が、−Vbとなるようにフィードバック制御がなされた状態となる。
なお、本実施の形態においては、第1の所定値として、第1の所定値発生部23の出力Vb=+0.5Vという正の値に設定している。そのため、図4に示すベクトルAとベクトルBは、いずれも左に傾いたベクトルとなる。このとき、起電力が大きいベクトルAと比較し、起電力が小さいベクトルBは、より左に傾いたベクトルとなる。
この場合、起電力のベクトルAとベクトルBは、電動機18の第1の物体51と第2の物体52との相対運動(回転運動)によって、永久磁石56、57、58、59と巻線15、16、17との鎖交磁束の時間的変化によって発生する。つまり、ベクトルAとベクトルBは、常に、q軸上に発生する。
このとき、ベクトルAとベクトルBに対するq軸は、それぞれqA軸とqB軸となる。一方、ベクトルAとベクトルBに対するd軸は、q軸に対して90度遅れたdA軸とdB軸となる。
図4に示すように、ベクトルAとベクトルBのどちらも、δ軸より、矢印Gで示す反時計回り方向となる。つまり、q軸は、δ軸よりも、位相が進んでいる。言い方を変えると、δ軸が、q軸より、矢印Hで示す時計回り方向に、位相が遅れている状態である。そのため、推定している位相信号θが、遅れているという表現もできる。さらに、ベクトルBは、ベクトルAよりも、より反時計回り方向にある。そのため、ベクトルBは、ベクトルAよりも、位相信号θの遅れが大きくなる。
一方、電流のベクトルI(以下、電流Iと記す場合がある)は、上述したようにIγr=0としている。そのため、電流のベクトルIは、常に、δ軸上で制御される。つまり、起電力が小さいベクトルBでの直交座標(dB、qB)は、起電力が大きいベクトルAでの直交座標(dA、qA)よりも、電流のベクトルIの位相が遅れることになる。
ここで、永久磁石の回転によって巻線に発生する起電力E[V]の大きさは、式(4)で示される。つまり、起電力E[V]は、第1の物体51と第2の物体52との相対運動の速度、すなわち電動機18の運転速度(回転速度)を電気角速度ω[rad/s]で表した値と、永久磁石56、57、58、59の磁束Ψa[Wb]との積に比例する。
Figure 2018123524
したがって、電源回路19は、起電力Eが異なると、永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を備えることになる。
ここで、電源回路19において、起電力Eが異なると、電流の位相が異なることを確認する方法として、下記の3つの確認方法が例示される。
第1の確認方法は、電気角速度ωを変化させる試験を行い、電動機18の運転速度を変化させる。この場合、永久磁石の着磁状態が一定でも、運転速度を高/低と変化させると、電気角速度ωに比例して起電力Eが変化する条件となる。そこで、dq平面上での電流Iの位相、すなわち永久磁石に対する電流Iの位相の変化を確認する。このとき、電流の位相の変化が確認されると、本実施の形態の電源回路19の構成が、有効に機能している
と判断できる。
第2の確認方法は、まず、永久磁石の着磁の強さが異なり、磁束Ψaの値が異なる2台の電動機を用意する。そして、電動機を、同一速度、すなわち同一の電気角速度ω、かつ同一負荷で試験を行う確認方法である。
第3の確認方法は、第2の確認方法と同様に、まず、磁束Ψaの値が異なる2台の電動機を用意する。そして、電動機を、同一速度、すなわち同一の電気角速度ωとする一方で、電流の大きさが一定となるように負荷トルクを調整して試験を行う確認方法である。
つまり、第2と第3の確認方法の場合、どちらも磁束Ψaの値が異なる分、同一の電気角速度ωでも、起電力Eが異なる条件となる。このとき、永久磁石に対する電流Iの位相の変化を確認できれば、本実施の形態の電源回路19の構成が、有効に機能していると判断できる。
また、第2と第3の確認方法の場合、上述したように、同一速度(ω値)で、起電力Eの大きさが異なる条件で確認を行う。そのため、例えば電気角速度ωの関数として推定座標上での電流Iの位相が変化する要素を、さらに加えた構成の場合、本実施の形態の電源回路19の構成要素が有効に機能する状態かどうかの確認が困難な場合がある。しかし、電流Iの位相が変化する要素を加えた構成の場合でも、起電力Eの大きさが異なる条件での試験により、確実に、本実施の形態の電源回路19の構成が機能していることを確認するのに有効である。
また、第2の確認方法において、永久磁石の着磁の強さの程度が異なる場合、Iq値の変化が発生する現象、すなわち負荷トルクが一定条件で現れる、磁束ΨaとIqの反比例関係から生ずる影響が発生する。つまり、第2の確認方法は、同一負荷としているため、着磁の強さの違い(電流に対するトルクの大きさ、すなわちトルク定数が異なる)により、電流Iの大きさ(ベクトルの絶対値)が異なる値となる。そのため、第1の起電力の計算に誤差を起こすなどの影響が発生する。しかし、第3の確認方法によれば、上記影響を除去することができるため、適切な確認が可能となる。
なお、第2および第3の確認方法において、永久磁石の着磁の強さは、以下の方法により確認できる。
まず、駆動用の電動機と、試験する電動機の軸を、カップリングなどを介して接続する。接続した状態で、同一の速度で2つの電動機をそれぞれ回転させる。このとき、開放状態とした入力端子間の電圧を、電圧計、デジタルパワーメータ、オシロスコープなどの計測器で、測定あるいは観測する。これにより、永久磁石の着磁の強さを確認できる。
また、第1から第3の確認方法において、永久磁石に対する電流Iの位相は、以下の方法により確認できる。
まず、例えば光学式のABZロータリエンコーダを電動機の軸などに取り付ける。このとき、ABZロータリエンコーダの原点を、電気角θ=0、すなわちN極とU相から供給される起磁力による磁束と同方向となる位相に一致させる。そして、1つの相の電流波形、あるいは3相の電流値からの電流のベクトルIの位相を解析する。これにより、永久磁石に対する電流Iの位相の確認が可能となる。
なお、第1から第3の確認方法において、電流の周波数はオシロスコープなどで確認できる。確認される電流の周波数は、電源回路19内部での推定速度ω2である速度信号と
なる。
以上のように、第1から第3の確認方法のいずれかにより、起電力Eの違いによる電流Iの位相の違いが確認されれば、本実施の形態の電源回路19の構成が機能していることを確認できる。
つまり、脱調時において、電動機18の回転がゼロに低下する過程で、永久磁石に対する電流Iの位相は、脱調前に対して変化する。これにより、電流の周波数の変動(すなわち、推定速度の低下または上昇)が発生する。その結果、推定速度の変化から、適切な電動機18の脱調検知が可能となる、本発明の効果が得られる。
また、本実施の形態において、永久磁石の着磁が弱い方の電動機は、図4に示すベクトルBのように、d軸およびq軸が進み位相(矢印G)となる。そのため、dq座標に対する電流Iの位相は、より遅れ位相(矢印H)の傾向が現れる。
これにより、本実施の形態の電源回路19の構成が、正常に成り立っているかどうかを、以下で示すように、適切に確認できる。
具体的には、永久磁石56、57、58、59が標準的な着磁状態の場合、電動機18を、例えば35r/minの速度で回転させると、例えば5Vの起電力Eが発生する。この場合、電流Iの位相のq軸からの遅れは、5.7度となる。一方、標準的な着磁状態に対して、例えば永久磁石の着磁の強さを30%減少した状態で、電動機18を同じ条件で回転させると、例えば3.5Vの起電力Eが発生する。この場合、電流Iの位相のq軸からの遅れは、8.2度となる。つまり、電流Iの位相は、起電力Eの30%の低下により、さらに2.5度遅れる。これにより、本実施の形態の電源回路19の構成が、正常に成り立っていることが確認できる。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の速度制御について、図5Aおよび図5Bを用いて、説明する。
図5Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。図5Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。つまり、図5Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における速度波形を示す。一方、図5Bは、例えば過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における速度波形を示す。なお、図5Aおよび図5Bにおいて、指令速度を一点鎖線、推定速度である速度信号ω2を実線で示している。
図5Aに示す動力発生装置は、十分な速度制御が実行されている。そのため、速度信号ω2は、指令速度とほぼ一致した35r/min付近に保たれていることが分かる。
一方、図5Bに示す動力発生装置は、t=t1時点で過負荷がかかり、電動機18の速度がゼロになる。このとき、速度信号ω2は、次第に下降し、t=t2時点で、下限値のゼロまで低下する。そして、t=t2時点のタイミングで、電源回路19は、電動機18が脱調状態であることを検知する。
脱調状態を検知すると、図1に示す再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、一旦、速度をゼロとする命令を出力する。その後、t=t2時点以降の所定の時間内に、再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、再起動する命令を出力する。これにより、脱調状態にあった電動機18は、改めて速度ゼロからの起動動作が行われ、正常な速度に復帰する。
ここで、電動機18の速度がゼロとなる脱調時において、速度信号ω2が低下する理由について、以下で説明する。
まず、起電力がゼロとなると、図4のベクトルAやベクトルBで示すような起電力Eのγ成分(Vb)を−0.5Vに保つ速度信号ω2の解が無くなる。なお、解が無いとは、γδ平面上でいかなる起電力Eの位相においても、そのγ成分(第1の起電力εγ)が−0.5Vになる位相が存在しない状態を意味する。そのため、図4に示す矢印Gの向き、すなわちq軸からの電流Iの位相が、どんどん遅れる。これにより、最終的に、推定速度である速度信号ω2がゼロとなる。
また、本実施の形態の電動機18は、実際の運転速度が4r/minにおいて、起電力Eが0.5Vとなる。そのため、脱調により、運転速度が4r/minから、さらに低下した段階においては、確実に、上述した「解無し」の状態となる。
このとき、速度信号ω2に相当する推定速度は、上述したように、外部から、電流の周波数として観測される。そのため、脱調の発生を判定する閾値として、例えば3r/min以下の運転速度の状態が、0.5秒間、継続した時点などと設定できる。
なお、閾値は、上記に限られず、任意に設定可能である。例えば、指令速度と推定速度ω2との差、あるいは差の絶対値が大きくなった時点を閾値として設定してもよい。つまり、符号を問わず指令速度と推定速度ω2との差が、ゼロから閾値分以上、離れた状態となった場合、脱調検知を実行する。また、指令速度に所定の比率を乗じた閾値速度の範囲を脱した時点、またはそれらの状態の継続時間が所定時間となった時点を閾値として設定してもよい。さらに、指令速度と推定速度の差の時間積分などを閾値として設定してもよい。つまり、応用される動力発生装置の状態に応じて、さまざまな閾値の設定が可能である。
また、上記実施の形態では、推定速度である速度信号ω2の下限をゼロとし、ゼロになった時点で脱調を検知する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、推定速度の正負を共に有効な値とし、回転の向きに応じて正負の値が取り得るように構成する。そして、推定速度の正負の符号が変わった時点で、脱調を検知してもよい。この場合でも、推定速度と反対の符号となることを禁止する制限を設ける構成として、脱調を検知してもよい。さらに、推定速度と逆の符号となった時点、あるいはその状態が所定時間、継続した時点で、脱調を検知する構成としてもよい。つまり、上記構成でも、本実施の形態における脱調の検知として、有効となる。
また、上記実施の形態では、推定速度である速度信号ω2を、外部から、電流の周波数として測定する構成を例に説明した。具体的には、例えば3相の電動機18の線電流の少なくとも1つを、カレントプローブとオシロスコープなどの計測器を用いて測定する。これにより、測定された線電流の推定周波数を、推定速度である速度信号ω2として用いることができる。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の位相波形について、図6Aおよび図6Bを用いて、説明する。
図6Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。図6Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。つまり、図6Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における位相波形を示す。一方、図6Bは、例えば過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼ
ロに抑えられ、脱調した状態における位相波形を示す。具体的には、図6Aおよび図6Bは、q軸に対する電流Iの位相の波形図を示している。
図6Aに示すように、動力発生装置は、定常状態において、電流Iの位相の遅れが、ほぼ5.7度の一定の遅れを持つ状態となる。
一方、図6Bに示すように、t=t1時点で脱調が発生すると、t=t1時点以降、次第に電流Iの位相の遅れが増大する。そして、速度信号ω2=0となるt=t2時点で、電流Iの位相の遅れは、以下に示すように、例えば85度遅れの一定値の状態で落ち着く。電流Iの位相遅れは、上述したように、実際の速度と推定速度ω2の差(速度差)を時間積分した値である。つまり、脱調すると、実際の速度と推定速度ω2がゼロとなるため、上記速度差がゼロとなる。これにより、速度差の時間積分もゼロとなる。その結果、時間とともに位相が変化するような現象は起こらず、一定の位相差に収束する。
つまり、本実施の形態の動力発生装置は、正常動作時および脱調時においても、q軸からの電流Iの位相の遅れが一定値に落ち着く。つまり、例えば図6Bに示すt=t2以降に速度信号ω2=0の状態が継続しているかどうかの監視時間を設ける場合でも、監視時間中におけるq軸に対する電流Iの位相の遅れが一定となる。そのため、監視時間として、例えば0.2秒間などの十分な時間を設けることができる。これにより、より確実な脱調の検知が可能となる。また、電流Iの位相の遅れが一定値に落ち着くため、騒音の発生が抑制される。
なお、騒音は、例えば電流ベクトルの回転が継続すること、すなわちdq面上での回転がある場合に発生する正負の交番トルクが機構に作用することで発生する。そのため、位相の遅れを一定の状態にすれば、交番トルクの発生はなく、静止(直流)トルクで済む。これにより、騒音の発生要素の一つを無くすことができる。その結果、騒音の発生を抑制できる。
以下に、本実施の形態の動力発生装置の制御動作の別の例について、図7を用いて説明する。
図7は、同実施の形態の動力発生装置において、正常な運転状態におけるベクトル図である。具体的には、図1に示す電流指令値発生部28の設定を、図4から若干変化させた状態におけるベクトル図である。
つまり、図7に示すように、電流指令値発生部28は、電流Iを、δ軸上に一致させず、γδ座標上の第2象限に設定する。具体的には、例えば、推定d軸電流指令値Iγr値を−0.1A、推定q軸電流指令値Iδr=+1.0Aに設定する。つまり、δ軸に対して、電流Iが、5.7度の進み位相となるように設定する。これにより、電流Iの位相は、ほぼq軸と一致する。すなわち、起電力Eの位相と電流Iの位相とが一致する。このとき、電流Iの位相は、γδ座標では、dq座標に対して5.7度の遅れを有する状態となる。一方、電流Iの位相は、電動機18の起電力Eの位相が合致する。この場合、電流Iの大きさ(ベクトルの長さ)が最小となるため、銅損などの損失が最小となる。これにより、電動機18を、高効率で駆動することができる。
つまり、図4に示すベクトル制御と比較して、電流Iの位相の遅れによる効率低下、脱調耐量の低下などが抑制される。その結果、さらに高効率で、安定性の高い動力発生装置を実現できる。
この場合でも、同一速度での起電力に違いを設けると、δ軸に対する電流Iの位相の進
み角が同一であれば、永久磁石56、57、58、59で定まるq軸に対する電流Iの位相は、起電力が小さくなるほど、遅れる。つまり、起電力の低下と電流Iの位相の遅れの変化については、図4の場合と同等となる。
また、電動機18が脱調した場合の動作に関しても、図5Aおよび図5Bで説明した動作と同様である。つまり、速度信号ω2がゼロとなった時点で、脱調が検知される。そして、図1に示す再起動信号発生部29などを介して、電動機18を再起動することができる。これにより、騒音、不必要な電流、または不必要な時間の発生を低減できる。
なお、上記実施の形態では、εγにVbを加算した上で、入力値μ=0となるようにフィードバック制御する構成を例で説明したが、これに限られない。例えば、εγと−0.5Vとの差を誤差電圧とし、誤差電圧が0Vになるようにフィードバック制御する構成としてもよい。この場合でも、上記実施の形態と同等の動作で制御できる。そのため、どちらもフィードバック制御の構成として有効である。
以上で説明したように、本実施の形態の動力発生装置は、第1の物体51を構成する巻線15、16、17と、第2の物体52を構成する永久磁石56、57、58、59を有する。さらに、動力発生装置は、第1の物体51と第2の物体52の相対運動によって巻線に起電力を発生する電動機18と、巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路19を有する。そして、電源回路19は、脱調時に電流の周波数(推定速度ω2)を脱調前に対して変化させた後、電動機18の再起動を行うように構成される。これにより、巻線抵抗が大きく、速度が低速の条件においても、脱調状態の発生を、短時間で適切に判断できる。そして、脱調状態と検知した場合、早期に再起動を行って動力発生装置本来の機能を回復させることができる。
一方、低速の条件において、脱調状態の検知に時間がかかる場合、動力発生装置の停止時間が長くなる。そのため、動力発生装置の動作完了が、停止時間に応じて遅れ、さらに、再起動までの時間が長くなる。その結果、電気エネルギー、時間の損失が発生する。
つまり、本実施の形態の構成によれば、低速の条件においても、脱調状態の発生を短時間で判断して、再起動できるため、電気エネルギー、時間の損失を抑制できる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における動力発生装置について、図1を参照しながら、図8を用いて、説明する。
図8は、本発明の実施の形態2における動力発生装置の正常な運転状態におけるベクトル図である。
本実施の形態の動力発生装置は、第1の所定値発生部23の出力Vb=−0.5V(第1の所定値の相当)、すなわち負の値としている点で、実施の形態1と異なる。他の部分は、実施の形態1の構成要素と同等である。
図8において、ベクトルAは起電力が大きい場合の起電力ベクトル、ベクトルBは起電力が小さい場合の起電力ベクトルを、ベクトルIは電流ベクトルを示している。
本実施の形態において、図1に示す速度信号発生部24は、入力値μが正の場合、速度信号ω1およびω2を減少させる。一方、入力値μが負の場合、速度信号発生部24は、速度信号ω1およびω2を増加させるように機能を有する。そして、図1に示す積分部25は、速度信号発生部24からの速度信号ω1を時間積分して、位相信号θを生成する。
位相信号θは、2相3相変換部33および電流信号出力部34に入力される。その結果、定常状態において、速度信号発生部24は、入力値μをほぼゼロに近い微小な値に保つように動作する。
なお、本実施の形態においては、第1の所定値として、第1の所定値発生部23の出力Vb=−0.5Vという負の値に設定している。このとき、−Vb=+0.5Vとなる。そのため、図8に示すベクトルAとベクトルBは、いずれも右に傾いたベクトルとなる。このとき、起電力が大きいベクトルAと比較し、起電力が小さいベクトルBは、より右に傾いたベクトルとなる。つまり、ベクトルBは、ベクトルAよりも、より矢印H方向の遅れ側にある。そのため、ベクトルBは、ベクトルAよりも、位相信号θの進みが大きくなる。
一方、電流のベクトルI(以下、電流Iと記す場合がある)は、本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、Iγr=0としている。そのため、電流のベクトルIは、常に、δ軸上で制御される。つまり、起電力が小さいベクトルBでの直交座標(dB、qB)は、起電力が大きいベクトルAでの直交座標(dA、qA)よりも、電流のベクトルIの位相が進むことになる。
なお、本実施の形態のベクトル制御の構成が正しいかどうかの確認は、実施の形態1で説明した、永久磁石の着磁の強さが異なる電動機18を用いた試験で、同様に確認できるため、説明は省略する。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の速度制御について、図9Aおよび図9Bを用いて、説明する。
図9Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の速度波形図である。図9Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の速度波形図である。つまり、図9Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における速度波形を示す。一方、図9Bは、過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における速度波形を示す。なお、図9Aおよび図9Bにおいて、指令速度を一点鎖線、推定速度である速度信号ω2を実線で示している。
図9Aに示す動力発生装置は、十分な速度制御が実行されている。そのため、推定速度ω2は、指令速度とほぼ一致した35r/min付近に保たれていることが分かる。
一方、図9Bに示す動力発生装置は、t=t1時点で過負荷がかかり、電動機18の速度がゼロになる。このとき、速度信号ω2は、次第に上昇し、t=t2時点で、脱調検知の閾値である、例えば150r/minに達する。そして、t=t2時点のタイミングで、電源回路19は、電動機18が脱調状態であることを検知する。
脱調状態を検知すると、図1に示す再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、一旦、速度をゼロとする命令を出力する。その後、t=t2時点以降の所定の時間内に、再起動信号発生部29は、速度指令部26に対して、再起動する命令を出力する。これにより、脱調状態にあった電動機18は、改めて速度ゼロからの起動動作が行われ、正常な速度に復帰する。
ここで、電動機18の速度がゼロとなった脱調時において、速度信号ω2が上昇する理由について、以下で説明する。
まず、起電力Eがゼロとなると、図8のベクトルAやベクトルBで示すような起電力の
γ成分(Vb)を+0.5Vに保つ速度信号ω2の解が無くなる。なお、解が無いとは、γδ平面上でいかなる起電力の位相においても、そのγ成分(第1の起電力εγ)が+0.5Vになる位相が存在しない状態を意味する。そのため、図8に示す矢印Hの向き、すなわちq軸からの電流Iの位相が、どんどん進んでいく。これにより、推定速度である速度信号ω2が上昇を続ける。そして、最終的に、脱調有無の判断である閾値(150r/min)まで、速度信号ω2が上昇することになる。
つぎに、動力発生装置の動作時における電動機18の位相波形について、図10Aおよび図10Bを用いて、説明する。
図10Aは、同実施の形態における動力発生装置の正常動作時の位相波形図である。図10Bは、同実施の形態における動力発生装置の動作時に脱調が発生した状態の位相波形図である。つまり、図10Aは、正常時、すなわち脱調していない定常状態における位相波形を示す。一方、図10Bは、過負荷などによって、電動機18の速度が、動作途中でゼロに抑えられ、脱調した状態における位相波形を示す。具体的には、図10Aおよび図10Bは、q軸に対する電流Iの位相の波形図を示している。
図10Aに示すように、動力発生装置は、定常状態において、電流Iの位相が、ほぼ5.7度の一定の進みを持つ状態となる。
一方、図10Bに示すように、t=t1時点で脱調が発生すると、t=t1時点以降、電流Iの位相の進みが次第に増大する。
なお、本実施の形態の電力発生装置は、脱調が発生すると、q軸からの電流Iの位相進みが限りなく増大する。そのため、推定速度である速度信号ω2、あるいはω1が所定値(例えば、閾値に相当する150r/min)を超えた時点で、脱調と判断する。
このとき、推定速度>指令速度となるため、電流Iの絶対値は、抑えられた状態となる。そのため、電流Iの位相の面において、図10Bの、t2以降の破線で示すように、位相の変動が激しくなっても、騒音が問題となることは少ない。つまり、小さい電流値の期間内で、脱調を検知できる。本実施の形態の場合、実施の形態1とは異なり、位相差が発散する状態となるが、騒音に関係するもう一つの要素である電流ベクトルIの絶対値(長さ)が、ゼロ付近に収束する。そのため、騒音が小さくなる。
なお、上記実施の形態では、推定速度である速度信号ω2、あるいはω1の閾値の所定値として150r/minを設定し、所定値を超えた時点で、すぐに脱調と判断する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、式(5)に示す起電力Eの第2の位相成分εδを計算し、その値が第2の所定値以下である場合、脱調を検知するように構成してもよい。
Figure 2018123524
つまり、推定速度がある程度、高速となった状態においては、起電力の第2の位相成分εδで脱調しているかどうかを判断する。これにより、脱調を、十分に高い精度で判断できる。その結果、非常に信頼性の高い脱調検知を実現できる。なお、上記ある程度の推定速度とは、式(5)の右辺の各要素の誤差(検知誤差やパラメータの設定誤差、バラツキ)があっても、確実に起電力Eとして検知が可能となる速度である。具体的には、例えば
E=10Vとなる速度である。
なお、式(5)についても、実施の形態1の式(3)で説明したように、時間微分を示すpの項を省いてもよい。さらに、低速回転時において、ω項の比率が低い場合、式(5)の第3項を省いて、計算式を簡略化してもよい。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3における動力発生装置の構成について、図11を用いて、説明する。
図11は、本発明の実施の形態3における動力発生装置のブロック図である。
図11に示すように、本実施の形態の動力発生装置は、電源回路69において、主に、電圧信号出力部74および電流信号出力部75が、巻線電流制御部70に含まれない構成とした点で実施の形態1と異なる。他の構成要素は、実施の形態1の構成要素と同等であるので、同じ符号を付して説明する。
つまり、本実施の形態の動力発生装置は、実施の形態1と同等の電動機18と、電動機18に電流を供給する電源回路69などから構成される。
電源回路69は、巻線電流制御部70などを含み、巻線電流制御部70は電流誤差増幅器71および3相2相変換部72を含む。なお、電流誤差増幅器71は、実施の形態1の電圧信号出力部32と同等である。また、3相2相変換部72は、実施の形態1の電流信号出力部34と同等である。
つまり、本実施の形態の電源回路69は、上述のように、電圧信号出力部74および電流信号出力部75を、巻線電流制御部70とは別の場所に設けている。そのため、電圧信号出力部32および電流信号出力部34を異なる名称に変更し、新たな符号を付して、電流誤差増幅器71および3相2相変換部72としている。
電源回路69の電圧信号出力部74は、実施の形態1で説明した式(2)とほぼ同等の計算式を用いて、3相1相変換を行う。式(2)と異なる点は、入力が電流Iu、Iv、Iwの代わりに電圧信号Vu、Vv、Vwとする。これにより、左辺の計算結果は、IγおよびIδの代わりに、VγおよびVδとなる。このとき、電圧信号出力部74は3相1相変換を行うため、左辺の計算結果として、利用しないVδが不要で、Vγのみが計算される。
なお、電源回路69の電流信号出力部75の構成は、実施の形態1の電流信号出力部34および3相2相変換部72と同等である。
また、本実施の形態の電源回路69は、加算器76および位相値源77を含む。
そして、電流誤差増幅器71および3相2相変換部72は、上記加算器76と位相値源77によって、積分部25の出力値である位相信号θ1にΔθ(=+5.7度)を加算した位相信号θ2が入力される。
なお、上記で説明した以外の構成要素は、実施の形態1と同様に機能する。
以上のように、本実施の形態の動力発生装置は構成される。
以下に、動力発生装置の動作時における電流および電圧の位相関係および制御動作について、図12を用いて、説明する。
図12は、同実施の形態の動力発生装置において、正常な運転状態におけるベクトル図である。
なお、本実施の形態の動力発生装置は、電源回路69内での推定位相となる値として、第1の推定位相である位相信号θ1と、第2の推定位相である位相信号θ2の2値が存在する。位相信号θ2の値は、位相信号θ1の値に対して、位相値源77の出力値Δθに相当する5.7度が加算され、大きい値となる。そのため、位相信号θ2は、位相信号θ1より進んだ値となっている。
そこで、図12のベクトル図においては、位相信号θ1での直交座標をγ1、δ1とし、位相信号θ2での直交座標をγ2、δ2としている。
この場合、位相信号θ1に関しては、実施の形態1で説明した動作が行われる。そのため、Vb=+0.5Vとした場合、標準的な着磁の強さを備える永久磁石56、57、58、59の起電力のベクトルAの、35r/minにおけるγ1、δ1の座標軸は、実施の形態1でのγ、δ軸と全く同等の状態となる。つまり、推定位相である位相信号θ1は、実施の形態1と同様に、5.7度の位相遅れを有する状態となる。
一方、第2の推定位相である位相信号θ2は、位相値源77の出力値Δθである+5.7度が加算器76によって加算される。そのため、位相信号θ2は、位相信号θ1が有する5.7度の位相遅れがキャンセルされる。
これにより、図12に示すように、γ2は真のd軸であるdA軸と等しく、δ2は真のq軸であるqA軸と等しくなる。
なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、電流指令値発生部28の出力である推定d軸電流指令値Iγrをゼロとし、トルクに比例する電流設定値として推定q軸電流指令値Iδrを出力するように構成している。そのため、電流Iはδ2軸上に乗るとともに、同時にqA軸上に乗る。
これにより、電動機18から見た場合、電源回路69内に存在する遅れた位相信号θ1に影響されず、磁束と電流の直交性を保つことができる。この場合、電流Iの大きさ(ベクトルの長さ)が最小となる。そのため、銅損などの損失が最小となる。その結果、電動機18を高い効率で駆動できる、動力発生装置を実現できる。
つまり、本実施の形態によれば、電源回路69の内部に2つの推定位相を設ける。これにより、推定d軸となるγ2軸における電流成分がゼロとなる。その結果、位相の遅れを持つ位相信号θ1の影響を受けずに、電流Iの制御が可能となる。
本実施の形態の電源回路69によるベクトル制御は、以下の場合、特に有効である。
例えば、リラクタンストルクを有効に使用できる永久磁石埋込型の電動機の場合、意図的に電流Iの位相を進ませた状態になるように制御する場合がある。この場合、起電力の大小のいずれの条件においても、電流進み角βなどと称される、永久磁石に対して、進んだ電流Iの位相となることが起こり得る。
このとき、起電力が小さい電動機と、起電力が大きい電動機とを、電流Iの位相を利用
して、以下の方法で判別できる。
まず、起電力の異なる電動機の電流Iの位相を、それぞれ永久磁石に対する位相を測定して比較する。このとき、電流進み角βの変化が観測された電動機を、「起電力の大きさが異なると、永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電動機」と、判定できる。
なお、上記実施の形態では、3相2相変換と、2相3相変換を多用した構成を例に説明したが、これに限られない。2つの推定位相を用いた構成の場合、変換は、2相(γ1、δ1)から2相(γ2、δ2)への変換となる。そのため、より簡単な、例えば2行2列の一次変換で構成してもよい。これにより、簡単な変換構成で、十分な機能が得られる。
以上のように、実施の形態1から3の構成によれば、電源回路は、内部に、実際の電動機18内の位相と異なった推定位相を有する。そして、電源回路は、推定位相での第1の起電力の成分を、ゼロから、ずれた所定値となるように制御する。このとき、脱調して電動機18が停止した場合、第1の起電力を所定値に保つことができなくなる。つまり、推定速度がゼロまで低下、あるいは逆に上昇する動作となる。これにより、推定速度を用いて、電動機18の脱調の検知が可能となる。その結果、電動機18を適切に再起動することができる。
しかしながら、各実施の形態において、推定位相を電源回路内に設けることは必須ではない。例えば、まず、同一速度で起電力を大および小とした試験を行う。このとき、電流の位相が変化する特性を有する電源回路の場合、脱調によって起電力がほぼゼロとなると、試験において、起電力が小となった方向と同じ方向に電流の位相が変化する。その変化が遅れ方向であれば、推定速度がゼロとなる。一方、変化が進み方向であれば、推定速度が高速に跳ね上がるという動作を行わせることが可能となる。
また、実施の形態1から3によれば、電源回路内にインバータ回路35を備える。そのため、例えば15.625kHzなどの十分に高いキャリア周波数で、インバータ回路35の半導体素子をスイッチング(ONとOFF)できる。これにより、インバータ回路35から、高効率で電動機18への電力供給が可能となる。しかしながら、スイッチング動作をインバータ回路で実現することは、必須ではない。例えば、能動状態でトランジスタを働かせるA級増幅器またはB級(プッシュプル)増幅器などで構成してもよい。これにより、脱調の検知の性能に関して、同等の効果が得られる。
また、実施の形態1〜3によれば、3相構成の電動機18を例に説明したが、これに限られない。例えば、電流Iの位相を確認できる構成の電動機であれば、2相以上のいかなる相の構成を有する電動機でもよい。そのため、相数に係わらず、本発明の効果を得ることができる。
また、実施の形態1から3によれば、図3に示すカップリング61のようにバックラッシュを有する動力伝達経路を有する構成を例に説明したが、これに限られない。上記動力伝達経路の場合、脱調状態でも、バックラッシュが動く際に、電動機に微小な起電力が発生することがある。さらに、動力伝達経路の弾性要素が、機構的に共振すると、同様に、電動機に微小な起電力が発生することがある。そこで、各実施の形態において、例えば第1の所定値となるVb値の絶対値を、上記現象により発生する微小な起電力よりも大きくなるように設定する。これにより、バックラッシュなどによる動力発生装置の誤動作を、未然に防止できる。
また、実施の形態1から3によれば、上述したように、電動機の脱調状態を的確に検知
する。そして、再起動信号発生部から出力される再起動信号により、電動機を、再度、起動し直すことができる。このとき、再起動信号は、動力発生装置を、仕事ができる正常な運転状態に戻すように作用する。これにより、動力発生装置の正常な動作を、早期に回復できる。
なお、実施の形態1〜3では、再起動信号による動力発生装置の動作について、特に言及しなかったが、以下の構成により、動作させることができる。
具体的には、例えば電動機18の位相と関係なく、固定の電流と位相の関数を供給する、強制同期、あるいは同期運転と称される構成を用いてもよい。
また、高周波状の電流に対する応答から、インダクタンスの違いによる位相検知を行って、動作させる構成などがある。この場合、永久磁石が埋め込み構造など、インダクタンスの違いがある電動機に、より適している。
つまり、上記いずれの構成でも、電動機を再起動させて、起電力の値が十分な値となった段階で、上記実施の形態で説明した力行運転に戻すことができる。そして、それ以降に発生する脱調に関しては、同様に、適切な検知を行って、再起動を実行できる。
以上で説明したように、本発明の動力発生装置は、第1の物体と第2の物体と永久磁石と巻線とを有し、第1の物体と第2の物体の相対運動によって巻線に起電力を発生する電動機と、巻線に電流を供給し、起電力の大きさが異なると永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路を有する。電源回路は、脱調時における電流の周波数を、脱調前に対して変化させた後、電動機の再起動を行うように構成される。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、起電力の大きさが小さい場合、永久磁石に対する電流の位相が進む特性を有し、電動機の速度がゼロとなる脱調時において、巻線の電流の周波数が所定値を超えた後、電動機の再起動を行うように構成してもよい。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、起電力の大きさが小さい場合、永久磁石に対する電流の位相が遅れる特性を有し、電動機の速度がゼロとなる脱調時において、巻線の電流の周波数が所定値以下になった後、電動機の再起動を行うように構成してもよい。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、速度信号を出力する速度信号発生部と、速度信号を時間積分した位相信号を出力する積分部と、電圧信号出力部と、電流信号出力部と、第1の起電力計算部とを有する。電圧信号出力部は、位相信号が入力されると、巻線の電圧の第1の位相成分を出力する。電流信号出力部は、位相信号が入力されると、巻線の電流の第1の位相成分と、巻線の電流の第1の位相成分と直交する巻線の電流の第2の位相成分を出力する。第1の起電力計算部は、電圧信号出力部と電流信号出力部の出力に基づいて、起電力の第1の位相成分を計算して出力する。さらに、速度信号発生部は、第1の起電力計算部の出力が第1の所定値となるように速度信号を加減するように構成してもよい。これにより、一般にベクトル制御などと呼ばれる、電流を直交座標上の2つの成分に分けて制御する構成に、容易に適用できる。これにより、巻線の電流を応答性よく制御できる。
また、本発明の動力発生装置の電源回路は、巻線電流制御部を有する。巻線電流制御部は、巻線の電流の位相信号に同期して回転する直交座標の2つの成分である第1の電流指令値と第2の電流指令値が等しくなるように、巻線の電圧を加減するように構成してもよい。
これらの動力発生装置の構成によれば、電動機の巻線抵抗が大きく、速度が低い条件の場合でも、脱調状態を適切に判断できる。そして、電源回路は、脱調状態と検知した場合、早期に再起動を行って、動力発生装置の本来の機能を回復できる。これらにより、機能回復までの電気エネルギー、および時間の損失を抑制できる。
本発明の動力発生装置は、適切な脱調状態の検知を行い、脱調時に電流の周波数を脱調前に対して変化させた後、電動機の再起動を行うことが可能となる。そのため、電気エネルギー、および時間の無駄の抑制など優れた性能が要望される動力源として使用される動力発生装置に適用できる。
1,18 電動機
2 PWMインバータ
3,4 座標変換器
5 電流制御部
6 速度制御部
7 磁束制御部
8 第1速度推定部
9 積分器
10 第2速度推定部
11 脱調判断部
12 入力有効電力演算部
13 軸ロック判定部
14 軸ロック検出部
15,16,17 巻線
19,69 電源回路
20,70 巻線電流制御部
21 第1の起電力計算部
22,76 加算器
23 第1の所定値発生部
24 速度信号発生部
25 積分部
26 速度指令部
27,30,31 減算器
28 電流指令値発生部
32,74 電圧信号出力部
33 2相3相変換部
34,75 電流信号出力部
35 インバータ回路
37 直流電源
38,39,40,41,42,43 スイッチング素子
44 駆動回路
45 マイクロコンピュータ
45a PWM変調部
46 電流検知部
47,48,49 シャント抵抗
50 増幅器
51 第1の物体
52 第2の物体
55 鉄芯
56,57,58,59 永久磁石
60,62 軸
61 カップリング
63 負荷
65,66 クラッチ
71 電流誤差増幅器
72 3相2相変換部
77 位相値源

Claims (5)

  1. 第1の物体と第2の物体と永久磁石と巻線とを有し、前記第1の物体と前記第2の物体の相対運動によって前記巻線に起電力を発生する電動機と、
    前記巻線に電流を供給し、前記起電力の大きさが異なると前記永久磁石に対する電流の位相が異なる特性を有する電源回路と、を有し、
    前記電源回路は、脱調時における前記電流の周波数を、脱調前に対して変化させた後、前記電動機の再起動を行うように構成される動力発生装置。
  2. 前記電源回路は、前記起電力の大きさが小さい場合、前記永久磁石に対する電流位相が進む特性を有し、
    前記電動機の速度がゼロとなる脱調時において、前記巻線の前記電流の周波数が所定値を超えた後、前記電動機の再起動を行うように構成される請求項1に記載の動力発生装置。
  3. 前記電源回路は、前記起電力の大きさが小さい場合、前記永久磁石に対する電流位相が遅れる特性を有し、
    前記電動機の速度がゼロとなる脱調時において、前記巻線の前記電流の周波数が所定値以下になった後、前記電動機の再起動を行うように構成される請求項1に記載の動力発生装置。
  4. 前記電源回路は、速度信号を出力する速度信号発生部と、前記速度信号を時間積分した位相信号を出力する積分部と、電圧信号出力部と、電流信号出力部と、第1の起電力計算部と、を有し、
    前記電圧信号出力部は、前記位相信号が入力されると、前記巻線の電圧の第1の位相成分を出力し、
    前記電流信号出力部は、前記位相信号が入力されると、前記巻線の電流の第1の位相成分と、前記巻線の電流の第1の位相成分と直交する前記巻線の電流の第2の位相成分を出力し、
    前記第1の起電力計算部は、前記電圧信号出力部と前記電流信号出力部の出力に基づいて、前記起電力の第1の位相成分を計算して出力し、
    前記速度信号発生部は、前記第1の起電力計算部の出力が第1の所定値となるように前記速度信号を加減するように構成される請求項1に記載の動力発生装置。
  5. 前記電源回路は、巻線電流制御部を有し、
    前記巻線電流制御部は、前記巻線の電流の位相信号に同期して回転する直交座標の2つの成分である第1の電流指令値と第2の電流指令値が等しくなるように、前記巻線に印加する電圧を加減するように構成される請求項1に記載の動力発生装置。
JP2018558984A 2016-12-26 2017-12-11 動力発生装置 Active JP7108834B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016250332 2016-12-26
JP2016250332 2016-12-26
PCT/JP2017/044292 WO2018123524A1 (ja) 2016-12-26 2017-12-11 動力発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018123524A1 true JPWO2018123524A1 (ja) 2019-10-31
JP7108834B2 JP7108834B2 (ja) 2022-07-29

Family

ID=62709957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018558984A Active JP7108834B2 (ja) 2016-12-26 2017-12-11 動力発生装置

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP7108834B2 (ja)
CN (1) CN110114969B (ja)
MY (1) MY197536A (ja)
PH (1) PH12019501465A1 (ja)
WO (1) WO2018123524A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111404434B (zh) * 2020-03-24 2022-01-07 华中科技大学 一种变磁通永磁电机带速重投控制方法及系统

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007282367A (ja) * 2006-04-06 2007-10-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd モータ駆動制御装置
JP2013207973A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Hitachi Ltd 同期モータの駆動装置、および、これを用いた送風装置
WO2015097734A1 (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 株式会社日立産機システム 電力変換装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3742291B2 (ja) * 2000-09-26 2006-02-01 株式会社荏原製作所 ブラシレスモータ装置
US7436139B2 (en) * 2003-01-29 2008-10-14 Matra Manufacturing & Services Sas Phase advance angle optimization for brushless motor control
CN100463354C (zh) * 2004-03-24 2009-02-18 三菱电机株式会社 永磁式同步电动机的控制装置
JP2005312227A (ja) * 2004-04-23 2005-11-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd ポンプあるいはファンのモータ駆動装置
JP2005348569A (ja) * 2004-06-07 2005-12-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd モータ駆動装置
JP5150585B2 (ja) * 2009-08-28 2013-02-20 株式会社日立産機システム 永久磁石同期電動機の駆動装置
JP5748051B2 (ja) * 2011-05-10 2015-07-15 サンデンホールディングス株式会社 同期モータの印加電圧電気角設定方法とモータ制御装置
JP6015486B2 (ja) * 2013-02-20 2016-10-26 株式会社明電舎 同期電動機の可変速制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007282367A (ja) * 2006-04-06 2007-10-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd モータ駆動制御装置
JP2013207973A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Hitachi Ltd 同期モータの駆動装置、および、これを用いた送風装置
WO2015097734A1 (ja) * 2013-12-24 2015-07-02 株式会社日立産機システム 電力変換装置

Also Published As

Publication number Publication date
PH12019501465A1 (en) 2020-02-24
CN110114969B (zh) 2022-09-13
JP7108834B2 (ja) 2022-07-29
CN110114969A (zh) 2019-08-09
MY197536A (en) 2023-06-21
WO2018123524A1 (ja) 2018-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100423715B1 (ko) 동기전동기 제어장치, 동기전동기의 제어방법
JP6158115B2 (ja) 磁石磁束量推定装置、異常減磁判定装置、同期電動機駆動装置および電動車両
US8988027B2 (en) Motor control apparatus and motor control method
JP6868772B2 (ja) モータ制御装置およびモータ制御方法
WO2011145334A1 (ja) 回転センサレス制御装置
JP4928855B2 (ja) 同期機のセンサレス制御装置
JP3894286B2 (ja) 永久磁石同期電動機の制御装置
JP6241460B2 (ja) 電動機の制御装置
JP5509167B2 (ja) 同期電動機の制御システム
JP4652176B2 (ja) 永久磁石型回転電機の制御装置
KR100921115B1 (ko) 영구자석 동기 모터 제어시스템 및 제어방법
US7161324B1 (en) Device for estimating pole position of synchronous motor
JP7108834B2 (ja) 動力発生装置
JP2009290962A (ja) 永久磁石形同期電動機の制御装置
Leppanen et al. Speed-sensorless induction machine control for zero speed and frequency
JP4899788B2 (ja) 永久磁石同期電動機の駆動制御方法
JP2007282319A (ja) 同期モータ制御装置
US20230142956A1 (en) Motor controller, motor system and method for controlling motor
JP6806272B1 (ja) モータの減磁診断装置およびモータ制御装置の減磁診断方法
JP2019062661A (ja) 同期電動機の制御装置
JP2018023208A (ja) インバータ装置
KR102359356B1 (ko) 삼상 동기 전동기의 제어 장치, 및 그것을 사용하는 전동 파워 스티어링 장치
JP2014057385A (ja) 回転電機の制御装置及びその制御装置を備えた回転電機駆動システム
EP2919378B1 (en) Synchronous motor drive system
JP2018023182A (ja) 永久磁石同期モータの定数同定装置及び定数同定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190522

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220411

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7108834

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151