JPWO2018105216A1 - 信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラム - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラム Download PDF

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Abstract

本発明は、移動物体の速度に影響されず、正確に移動物体を検出する信号処理装置に関するものである。本信号処理装置は、周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算部と、少なくとも2つの相互相関計算部からの少なくとも2つの相互相関関数を、周波数偏移方向に離間しないように合成する合成部と、合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出部と、を備える。

Description

本発明は、信号処理装置、信号処理方法および信号処理プログラムに関する。
上記技術分野において、非特許文献1には、対象物体までの距離を測定するために、電波を送信し、対象物体から反射した電波を受信し、受信した電波の波形と送信した電波の波形との相互相関関数により距離を測定する技術が開示されている。また、特許文献1には、音波信号の送信波形としてSFM波形の周波数変調の正弦波を変調した波形(いわゆる、ASFM(Accelerated Sinusoidal Frequency Modulation)波形を使用することによって、対象物体までの距離および移動速度の少なくともいずれかを検知する技術が開示されている。
国際公開第WO2013/128878号公報
伊藤信一 レーダシステムの基礎理論 コロナ社 2015年 第8章 パルス圧縮技術 横田康成 講義資料 信号処理 第三部 非定常信号解析・ケプストラム解析(http://www.ykt.info.gifu-u.ac.jp/sp3.pdf)
しかしながら、上記文献に記載の技術では、特定の速度に対しては移動物体を検出できるが、移動物体の速度に影響されず、正確に移動物体を検出することができなかった。
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る信号処理装置は、
周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算手段と、
前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、周波数偏移方向に離間しないように合成する合成手段と、
合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出手段と、
を備える。
上記目的を達成するため、本発明に係る信号処理方法は、
周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を合成する合成ステップと、
合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出ステップと、
を含む。
上記目的を達成するため、本発明に係る信号処理プログラムは、
周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を合成する合成ステップと、
合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出ステップと、
をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、移動物体の速度に影響されず、正確に移動物体を検出することができる。
本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 前提技術に係る信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る相関処理部の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る相関波形生成部の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る送信波形のスペクトログラムを示す図である。 本発明の第2実施形態に係る自己曖昧度関数を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る相互曖昧度関数を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る合成した相互曖昧度関数と合成状態とを示す図である。 本発明の第2実施形態に係る合成した相互曖昧度関数と出力される相互相関関数との関係を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る信号処理装置の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る相関波形生成処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る合成した相互曖昧度関数を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る相互曖昧度関数を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る合成した相互曖昧度関数を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第5実施形態に係る合成した相互曖昧度関数を示す図である。 本発明の第6実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。 本発明の第6実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第6実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。 本発明の第7実施形態に係る送信波形のスペクトログラムを示す図である。 本発明の第7実施形態に係る自己曖昧度関数を示す図である。 本発明の第7実施形態に係る相互曖昧度関数を示す図である。 本発明の第8実施形態に係る信号処理装置の処理概要を説明する図である。 本発明の第8実施形態に係る信号処理装置の他の処理概要を説明する図である。 本発明の第8実施形態に係る信号処理装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第8実施形態に係る相関波形生成テーブルの構成を示す図である。 本発明を利用可能な他の分野について示す図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下、本明細書において、対象物体の検出にため受信波形と相互相関をとるための波形を、相関波形と呼ぶ。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての信号処理装置100について、図1を用いて説明する。信号処理装置100は、反射信号により移動物体を検出する装置である。
図1に示すように、信号処理装置100は、少なくとも2つの相互相関計算部101と、合成部102と、検出部103と、を含む。少なくとも2つの相互相関計算部101は、周波数が変化する送信信号111が対象物体110で反射されたことにより得られる反射信号112の波形と、送信信号111の波形から生成した異なる相関波形113との相互相関関数をそれぞれ計算する。合成部102は、少なくとも2つの相互相関計算部101からの少なくとも2つの相互相関関数を、周波数偏移方向に離間しないように合成する。検出部103は、合成結果の相互相関関数に基づいて、対象物体110を検出する。
本実施形態によれば、反射信号と、送信信号から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算し、少なくとも2つの相互相関関数を合成することにより、移動物体の速度に影響されず、正確に移動物体を検出することができる。さらに、演算量を削減して移動物体を検出することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、異なる相関波形として、送信波形に対して異なる周波数補正をした波形を加算した波形、または、送信波形に対して時間軸で異なる伸縮をさせた波形を加算した波形を用いる。それは、送信波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数が離間し、かつ、合成した場合の相互曖昧度関数が連続するような波形である。ここで、相互曖昧度関数は、異なる相関波形による相互相関関数が最大値の半分で重なることにより連続させる。また、少なくとも2つの相互相関関数の構成においては、それぞれの絶対値を加算する。なお、本実施形態で使用される送信信号は、自己曖昧度関数の値が遅延時間ゼロおよび周波数偏移ゼロの周辺で大きくなる波形であって、SFM(Sinusoidal Frequency Modulation)波形の周波数変化の速度を変調した波形、またはSFM波形の周波数変調の帯域幅を変調した波形を含む。本明細書では、前者としてASFM、後者としてBM−SFMを使用する。なお、ASFMは、GSFM(Generalized SFM)とも称される。
《前提技術》
本実施形態の信号処理装置を説明する前に、信号処理装置の前提技術について説明する。
非特許文献1では、送信波形としてLFM(Linear Frequency Modulation)と呼ばれる波形を用いている。図3Bは、前提技術に係る信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3Bに示すように、信号処理装置350は、送信波形生成部351と、相関計算部354とを含む。送信波形生成部351は、送信波形を生成し、無線送信部352へと送るとともに、相関計算部354へ、送信波形を送る。無線送信部352は送信波形に周波数変換などを行い、無線信号へと変換して、送信アンテナ356から送信する。無線受信部353は、送信信号331が対象物体330で反射することによって得られた反射信号332を、受信アンテナ357を経由して受信し、受信した無線信号の周波数変換などを行い、所望の周波数帯域の受信波形として相関計算部354へと送る。相関計算部354は、送信波形と受信波形との相互相関関数を計算し、絶対値355へと送る。絶対値355が出力する相互相関関数から、対象物体330の存在、および、対象物体330までの距離を検出する。
(曖昧度関数について)
距離の検出能力について、曖昧度関数(ambiguity function)とよばれる表示で確認する。曖昧度関数は、非特許文献2に記載されるように、数式1で定義される。
ここでA(τ,ν)は曖昧度関数、τは時間差、νは周波数偏移量(ドップラー効果)、U(t)は波形を時刻tについて表現したものである。*は複素共役、eは自然対数の底、iは虚数単位、πは円周率をそれぞれ表す。
数式1による曖昧度関数は、自己曖昧度関数とも呼ばれる。これを一般化して2つの関数の関係としたものが、数式2の相互曖昧度関数(Cross ambiguity function)である。
ここでU1(t)とU2(t)は相互相関をとる波形である。U1(t)とU2(t)が同一である場合が自己曖昧度関数である。曖昧度関数は、時間の軸(time)と周波数偏移量(doppler)の軸を有する。
なお、本実施形態においては、これらの曖昧度関数を使って、送信波形と相関波形にLFMを用いた場合の距離の検出能力を説明する。
(LFMによる相互曖昧度関数)
LFMのスペクトログラムは、時間の軸と周波数の軸を有し、波形を正弦波周波数の時間変化としてあらわすものである。このLFMでは、変調帯域幅の範囲内で、直線状に周波数が変化している。相関波形として送信波形を用いた場合には、その相互曖昧度関数は自己曖昧度関数と同じであり、直線状になる。ここで、縦軸のdopplerを、反射物体の移動速度に変換して表わすと、たとえば、反射物体が移動しないことが明らかなのであれば、doppler=ゼロ(m/s)の軸を見ればよい。時間遅延Time=0の狭い付近のみで相互曖昧度関数が大きくなり、時間、すなわち反射物体までの距離が正確にわかる。しかし、反射物体の速度が分からないときには、相互曖昧度関数の値が大きい場所は直線上に無数に存在し、dopplerとtimeとの組み合わせは不定ということになる。したがって、doppler=0を仮定すると、timeに誤りが発生することになる。
(ASFMによる相互曖昧度関数)
特許文献1に開示された送信波形(以下、ASFM波形)のスペクトログラムを図24に、その自己曖昧度関数(相関波形として送信波形自身を用いた場合の相互曖昧度関数)を図25に示す。
図24に示すように、ASFM波形では、周波数が、変調帯域幅の範囲内で正弦波的に変化し、しかもその正弦波の周波数が変化している。この複雑な変調により、自己曖昧度関数は図25のように中央にのみ値が大きい島状の狭い領域がある。以下、このような曖昧度関数の値が大きくなる狭い領域を「島」と表現する。この自己曖昧度関数から、dopplerがゼロである場合には、timeが高精度に求まるが、dopplerがゼロから大きく外れると、相互相関関数の値が大きくならない、すなわち、物体の有無の検知もできないことになる。
《本実施形態》
上記図25のような自己曖昧度関数を有する波形で、dopplerが大きい場合に検知するためには、dopplerを考慮した波形を相関波形として用いることが考えられる。dopplerを考慮した波形としては、送信波形の周波数補正を行った波形、あるいは、送信波形の時間軸を伸縮した波形を用いる。しかしながら、相関波形の数だけ相関処理部が必要になり、反射物体の速度が不要である場合には演算量が無駄に大きくなる。また、相関波形を累積加算した波形を使用した場合に、相関波形間で相互相関関数に干渉が現われて正確な対象物体の検出ができなくなる。
本実施形態においては、受信波形と相関をとる相関波形として、送信波形を伸縮した波形を累積した波形を2種類用い、それぞれの相互相関関数を合成することにより、移動物体の速度に影響されず、正確に移動物体を検出することができると共に、演算量を削減し、かつ、相互相関関数の計算における干渉を抑制することができる。
《信号処理装置の処理概要》
図2は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要200を説明する図である。図2においては、送信波形と2つの相関波形との関係について、曖昧度関数を模式的に表して説明する。
送信波形として、図2の左図(a)に示すように、自己曖昧度関数210の値が大きい領域がdoppler=0、time=0に集中して島を形成する波形を用いる。たとえば、図6に示す波形が該当する。
自己曖昧度関数は、相関波形として送信波形を用いた場合の相互曖昧度関数であるが、相関波形として、送信波形にドップラー効果を施した周波数補正を行った波形を用いる場合には、島は施したドップラー効果の分だけシフトした場所に形成される。相関波形の生成においては、このシフトした場所に形成された島が複数表れるような相関波形を生成する。補正波形を生成する場合に、ドップラーシフトの量が十分に離れていないと補正波形同士が干渉し、島を並べた形にならない。そこで、周波数補正の量を適切に設計すれば、図2の中央図(b)および(c)に示すように、離れた島が並んだ形の相互曖昧関数が得られる。
本実施形態においては、交互にドプラーシフトの量が異なる位置に離れた島が並んだ形の相互曖昧関数が得られる、2つの相関波形を生成する。その2つの相関波形と受信波形との相互曖昧度関数22Aおよび22Bが、図2の中央の2つの図(b)および(c)である。周波数補正の量を適切に設計すれば、図2の中央図(b)および(c)のように、お互いに補い合うような場所に島を形成することができる。
続いての図2の右図(d)を用いて、本実施形態の合成の処理と効果を説明する。本実施形態の合成処理では、受信波形と2つの相関波形とから計算された2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値をとり、加算する。相互相関関数は複素数なので、そのまま加算すると干渉するが、絶対値を加算することで、干渉の問題を低減できる。その結果、図2の右図(d)に示すように、図2の中央図(b)と(c)とを単純に加算したような曖昧度関数230が得られる。この図2の右図(d)の曖昧度関数230は、縦にほぼまっすぐであり、縦軸、すなわちドップラー効果の影響を受けにくいことがわかる。これは、ドップラー効果がある場合であっても横軸の時間timeすなわち距離を正しく検出できるということを示している。
《信号処理装置の機能構成》
図3Aは、本実施形態に係る信号処理装置310の機能構成を示すブロック図である。図3Aにおいては、本実施形態に係る信号処理装置310を受信機として示している。なお、本実施形態に係る信号処理装置310が送信機320を含む構成であってもよい。
送信機320は、送信波形生成部321と、無線送信部322と、送信アンテナ323と、を備える。送信波形生成部321は、送信波形を生成し、無線送信部322へと送信波形を送る。無線送信部352は、送信波形に周波数変換などを行い、無線信号へと変換して、送信アンテナ323から送信信号331として、対象物体330に向けて送信する。
信号処理装置310は、無線受信部311と、相関処理部312と、相関処理部313と、合成部314と、受信アンテナ315と、を備える。無線受信部311は、対象物体330からの反射信号332を、受信アンテナ315を経由して受信し、受信した無線信号の周波数変換などを行い、所望の周波数帯域の受信波形として相関処理部312および313へと送る。相関処理部312と313とでは、送信波形または送信波形の情報を基に、それぞれ異なる相関波形を生成し、受信波形とそれぞれの相関波形との相互相関関数を算出し、合成部314へと送る。それぞれの相関波形は送信波形から生成されており、サンプリングなどは同期している。合成部314は、絶対値生成部341および342と、加算部343とを有し、相関処理部312と313とからの相互相関関数を受けてそれぞれの絶対値を取って、合成された相互相関関数を出力部316から出力する。
なお、図3Aには、対象物体の検出については図示されていないが、出力部316からの相互相関関数の出力から、移動速度に影響されずに対象物体の位置や移動速度が検出される。
(相関処理部)
図4は、本実施形態に係る相関処理部312,313の機能構成を示すブロック図である。
相関処理部312,313は、相関波形生成部401と相関計算部402とを含む。相関波形生成部401は、送信波形または送信波形の情報を受けて、送信波形を一定の伸縮を行った波形を2つ以上加算した波形を相関波形として生成する。相関計算部402は、受信波形と相関波形との相互相関を計算する。相関処理部312と313とは構成として同様であるが、相関波形生成部401が生成する相関波形がそれぞれ異なる。
(相関波形生成部)
図5は、本実施形態に係る相関波形生成部401の機能構成を示すブロック図である。
相関波形生成部401は、補正波形生成部501n(n=1,2,…N)と、加算部502と、を有する。送信波形または送信波形情報は、補正波形生成部501n(n=1,2,…N)へと分配される。補正波形生成部501nは、送信波形にドップラー効果を施したことと等価な周波数補正した波形を生成し、加算部502へと送る。加算部502は、補正波形生成部501n(n=1,2,…N)から受けた波形を加算した波形を、相関波形として出力する。補正波形生成部501におけるドップラー効果を施したことと等価な周波数補正された波形の生成としては、送信波形を周波数シフトさせた波形の生成、あるいは、送信波形を時間方向に伸縮させた波形の生成、を行えばよい。
《スペクトログラムおよび曖昧度関数》
以下、本実施形態の各部における特徴の観測表示例を、図6乃至図9に示す。なお、曖昧度関数は複素数であるが、図面を見やすくするためにその絶対値を濃度で示している。
(送信波形のスペクトログラム)
図6は、本実施形態に係る送信波形のスペクトログラム610および620を示す図である。本実施形態における送信波形は、特に優れた波形として、新規に考案したBM−SFM(Bandwidth Modulator-Sinusoidal Frequency Modulation)波形である。BM−SFMは、周波数帯域幅(Bandwidth)を変調した波形であり、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する波形である。
図6には、2種のBM−SFM波形例のスペクトログラム610および620を示す。この波形は、図6からわかるように、周波数が正弦波状に振動するFM変調波(SFM)であり、さらにSFMのFM変調の帯域幅が増減するような変調が施されている。波形例の違いは、SFMの正弦波状の振動回数(周期)の違いである。スペクトログラム610の波形では1ミリ秒の間に10.5回振動しているのに対し、スペクトログラム620の波形では15.5回振動している。
(自己曖昧度関数)
図7は、本実施形態に係る自己曖昧度関数710および720を示す図である。なお、図7におけるドップラー偏移の最大値は、人工衛星やロケットの速度に相当する。
自己曖昧度関数710は、スペクトログラム610のBM−SFM波形例の自己曖昧度関数であり、自己曖昧度関数720は、スペクトログラム620のBM−SFM波形例の自己曖昧度関数である。図7からわかるように、これらの波形の自己曖昧度関数は、複雑な変調により、中央付近に集中する島が形成される。自己曖昧度関数710では、離れたところに島があるが、ここまでの速度の物体は人工衛星やロケットくらいしかないので、実用的には困らない。さらに振動回数を増やすと、自己曖昧度関数720のように、離れた島をさらに遠ざけて実質見えなくすることができる。
(相互曖昧度関数)
図8は、本実施形態に係る相互曖昧度関数810および820を示す図である。
相互曖昧度関数810は、スペクトログラム610のBM−SFM波形例に対して、周波数補正0.00075%、0.00375%、0.00675%、0.00975%、−0.00225%、−0.00525%、−0.00825%、を行った波形を加算して生成した相関波形と、送信波形との相互曖昧度関数である。
相互曖昧度関数820は、同じスペクトログラム610のBM−SFM波形例に対して、周波数補正0.00225%、0.00525%、0.00825%、−0.00075%、−0.00375%、−0.00675%、−0.00975%、を行った波形を加算して生成した相関波形と、送信波形との相互曖昧度関数である。
いずれの相互曖昧度関数810と820も、time=0の軸に沿って、曖昧度関数の値が大きい島が干渉少なく並んでおり、かつ、相互曖昧度関数810と820とで、島が相補的であり、加算すると互いに離間部を補って、ドップラー偏移方向に連続となる。
(合成した相互曖昧度関数)
図9Aは、本実施形態に係る合成した相互曖昧度関数900と合成状態910とを示す図である。
相互曖昧度関数810と820との絶対値を取った上で加算しているので、干渉は少なく、time=0の軸に沿って、曖昧度関数の値が大きい島が隙間なく並んでいる。これはtimeの検出において、dopplerに影響を受けにくい、すなわち、反射物体の速度に影響されにくい距離の検出が行えることを意味する。
曖昧度関数の値が大きい島が隙間なく並んでいる合成状態910としては、たとえば、相互曖昧度関数810と820との相互相関関数の値が、最大値の半分ほどで重なった状態とする。なお、かかる合成状態は一例に過ぎず、信号処理装置310の他の条件により適切に調整されてよい。
(対象物体の検出)
図9Bは、本実施形態に係る合成した相互曖昧度関数900と出力される相互相関関数920との関係を示す図である。
図9Bには、一例として、2つの異なる移動速度の物体が存在する場合の、相互相関関数920を示している。相互曖昧度関数900が、相互相関関数の値が所定の値以上の結果が、ドップラー偏移方向に接続しているので、移動物体の移動速度の切れ目無く、かつ、静止物体から人工衛星やロケットなどの高速物体までの範囲を、正確に検出することができる。
《信号処理装置のハードウェア構成》
図10は、本実施形態に係る信号処理装置310のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10で、CPU(Central Processing Unit)1010は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3A、図4および図5の機能構成部を実現する。なお、CPU1010は、それぞれの機能に対応して複数あってもよい。ROM(Read Only Memory)1020は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース1030は、ネットワークを介して、他の装置との通信を制御する。
RAM(Random Access Memory)1040は、CPU1010が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1040には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。送信波形1041は、使用する、あるいは使用された送信信号の送信波形を記憶する。反射信号1042は、対象物体から反射されて受信された反射信号を記憶する。相関波形A1043は、本実施形態において、送信波形1041を元に生成された一組の相関波形を記憶する。相関波形B1044は、本実施形態において、送信波形1041を元に生成された他組の相関波形を記憶する。相関波形A1043と相関波形B1044とは、相互曖昧度関数が1つ置きに離間して合成すると連続する相互曖昧度関数となるように生成される。
離間した相互相関関数A1045は、相関波形Aと反射信号1042の受信波形との相互相関計算結果である。離間した相互相関関数B1046は、相関波形Bと反射信号1042の受信波形との相互相関計算結果である。合成した相互相関関数1047は、離間した相互相関関数B1046と離間した相互相関関数B1046とを合成して得た、連続した相互相関計算結果である。対象物体の位置1048は、合成した相互相関関数1047に基づいて、取得した対象物体までの距離あるいは対象物体の移動速度などを含む情報である。入出力データ1049は、入出力インタフェース1060を介して、無線受信部311を含む入出力機器と入出力するデータである。
ストレージ1050は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。送信波形データベース1051は、使用される送信波形を格納するデータベースである。相関波形生成テーブル1052は、使用した送信波形1041を補正して加算し、相関波形A1043および相関波形B1044を生成するためのテーブルである。対象物体認識アルゴリズム1053は、本実施形態において対象物体を検出するアルゴリズムである。
ストレージ1050には、以下のプログラムが格納される。対象物検出プログラム1054は、本実施形態の信号処理装置310の全体の処理を制御するプログラムである。信号送受信モジュール1055は、送信信号の送信および反射信号の受信を制御するモジュールである。なお、本信号処理装置310が反射信号の受信による対象物体の検出機能のみを有する装置の場合は、信号受信モジュールとしてのみ動作する。相関波形生成モジュール1056は、相関波形生成テーブル1052を用いて、送信波形1041に基づき相関波形A1043および相関波形B1044を生成するモジュールである。相互相関計算モジュール1057は、反射信号の受信波形とそれぞれの相関波形との相互相関を計算するモジュールである。相互相関合成モジュール1058は、相互相関計算モジュール1057で計算されたそれぞれの相互相関関数を構成するモジュールである。対象物検出モジュール1059は、相互相関合成モジュール1058で合成された相互相関関数から対象物体を検出するモジュールである。
入出力インタフェース1060は、入出力デバイスとのデータ入出力を制御するためのインタフェースを行なう。本実施形態においては、入出力インタフェース1060には、受信アンテナ315からの信号を受信する無線受信部311と、送信アンテナ323に信号を送信する無線送信部322と、が接続される。なお、本信号処理装置310が反射信号の受信による対象物体の検出機能のみを有する装置の場合は、送信アンテナ323および無線送信部322は要らない。入出力インタフェース1060には、さらに、表示部861と、操作部862と、音声入出力部863と、が接続されてもよい。
なお、図10のRAM1040やストレージ1050には、信号処理装置310が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
(相関波形生成テーブル)
図11は、本実施形態に係る相関波形生成テーブル1052の構成を示す図である。相関波形生成テーブル1052は、送信波形に基づいて波形を微妙に補正することにより、複数の補正波形を生成し、その複数の補正波形を加算して相関波形を生成するために使用される。
相関波形生成テーブル1052は、送信波形1101に対応付けて、本実施形態の相関波形Aを生成するためのデータ1102と、相関波形Bを生成するためのデータ1103と、を記憶する。データ1102としては、相関波形Aを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Aとが記憶される。データ1103としては、相関波形Bを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Bとが記憶される。なお、相関波形Aのデータ1102を、第1補正波形、第3補正波形、…で示し、相関波形Bのデータ1103を、第2補正波形、第4補正波形、…で示したが、相互曖昧度関数において互いに間を埋めるように補正されていることを示している。
また、複数の送信波形1101が選択して使用される場合は、各送信波形1101に対応する適切な補正波形と相関波形とを記憶する。複数の送信波形1101としては、たとえば、図6に示した周波数変化の周期が異なるBM−SFM波形や、ASFM波形が含まれるが、これらに限定されない。
《信号処理装置の処理手順》
図12Aは、本実施形態に係る信号処理装置310の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図10のCPU1010がRAM1040を使用して実行し、図3A、図4および図5の機能構成部を実現する。
信号処理装置310は、ステップS1201において、送信波形を取得する。なお、送信波形の取得は、本信号処理装置310が送信機能を有しない場合、送信機320から取得する、あるいは、あらかじめ送信波形が記憶された記憶部(図示せず)から取得する。本信号処理装置310が送信機能を有する場合、送信波形生成部321から取得する。信号処理装置310は、ステップS1203において、送信波形に基づいて受信波形との相互相関関数を計算するための少なくとも2つの相関波形(本例では2つの相関波形)を生成する相関波形生成処理を実行する。
信号処理装置310は、ステップS1205において、対象物体からの反射信号を受信して、受信波形を生成する。信号処理装置310は、ステップS1207において、受信波形と、ステップS1203で生成された2つの相関波形とから2つの相互相関関数を計算する。信号処理装置310は、ステップS1209において、2つの相互相関関数の絶対値を合成する。そして、信号処理装置310は、ステップS1211において、合成された相互相関関数から対象物体を検出する。
(相関波形生成処理)
図12Bは、本実施形態に係る相関波形生成処理の手順を示すフローチャートである。
信号処理装置310は、ステップS1221において、送信波形に基づいて、相関波形生成テーブルから、それぞれの相互曖昧度関数がドップラー効果方向(=移動速度方向)に離間し、合成すると相互相関関数が高い島部分が連続するような周波数補正の組を取得する。かかる周波数補正の組の生成方法については、図9Aにおいて説明した。
信号処理装置310は、ステップS1223において、送信波形をステップS1221で取得した周波数補正の組で補正して、複数の補正波形の組を生成する。そして、信号処理装置310は、ステップS1225において、生成された複数の補正波形をそれぞれの組で加算して、相関波形を生成する。
本実施形態によれば、相互曖昧度関数において相互相関関数が高い島部分が連続するように、相互相関関数が計算されるので、移動物体の速度に影響されず正確に移動物体を検出することができる。また、あらかじめ複数の補正波形を加算した2つの相関波形を用いて、相互相関関数を計算するので、演算量を削減して移動物体を検出することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第2実施形態と比べると、相互相関関数の絶対値を加算するのでなく、その最大値を出力する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《信号処理装置の機能構成》
図13は、本実施形態に係る信号処理装置1310の機能構成を示すブロック図である。なお、図13において、図3Aと同様の機能構成図には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
図13の合成部1314は、図3Aの加算部343に代わりに、最大値出力部1343を有する。すなわち、合成部1314は、合成を加算演算でなく最大値演算で行っている。最大値演算であっても、相互相関関数の大きい島を干渉なく連ねることができるため、第2実施形態と同様の効果が得られる。
第2実施形態では、加算によって相互相関関数をdoppler方向に見たときに凹凸が発生しにくく、島の間隔、すなわち周波数補正量を注意深く設計する必要があるが、本実施形態では、島の間隔を詰めておけば、凹凸は大きくならないという利点もある。
(合成した相互曖昧度関数)
図14は、本実施形態に係る合成した相互曖昧度関数1400を示す図である。
相互曖昧度関数1400は、相関波形として第2実施形態と同じ波形(図6参照)を用い、図13の合成部1314が出力する相関関数の相互曖昧度関数である。合成部1314の出力を最大値にしても、図9Aの第2実施形態の結果と同様に、相互相関関数が大きな領域がtime=0の軸に沿ってdoppler方向に隙間なく並んでいることがわかる。すなわち第2実施形態と同様の効果が得られる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第2実施形態と比べると、生成する相関波形が異なる。すなわち、一方の相関波形は送信波形自身を使用する。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《信号処理装置の処理概要》
図15は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要1500を説明する図である。なお、図15において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
送信波形自身を含む相関波形による相互相関関数においては、図15の中央図(b)のような相互曖昧度関数152Cが得られる。この波形では、送信波形そのもの(周波数補正を行わない)も加算された波形に含まれている。その結果、自己曖昧度関数210にある島を中心に、島が間隔を開けて並んでいる。一方、図15の中央図(c)に示すように、相互曖昧度関数152Dは、自己曖昧度関数210の島を外して、相互曖昧度関数152Cの島の隙間を埋めるように島が並ぶ形になっている。図15の中央図(b)および(c)ともに、島の間隔を空けることによって干渉が少なくなっている。この隙間を埋める関係、すなわち相補的な関係は、第2実施形態と同様であり、相互相関関数を合成した効果は、第2実施形態と同様である。
《信号処理装置の機能構成》
図16Aは、本実施形態に係る信号処理装置1610の機能構成を示すブロック図である。なお、図16Aにおいて、図3Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
信号処理装置1610は、相関処理部1612と相関処理部1613とを有する。相関処理部1612は、送信波形そのものを含む相関波形を生成して相互相関関数を計算し、合成部314に出力する。相関処理部1613は、相関処理部1612の計算範囲の島の隙間を埋める関係、すなわち相補的な関係の相関波形を生成して、相互相関関数を計算し、合成部314に出力する。
(相関波形生成テーブル)
図16Bは、本実施形態に係る相関波形生成テーブル1652の構成を示す図である。相関波形生成テーブル1652は、送信波形に基づいて波形を微妙に補正することにより、複数の補正波形を生成し、その複数の補正波形を加算して相関波形を生成するために使用される。なお、図16Bにおいて、図11と同様の構成要素には同じ参照番番号を付して、重複する説明は省略する。
相関波形生成テーブル1652は、送信波形1101に対応付けて、本実施形態の相関波形Cを生成するためのデータ1602と、相関波形Dを生成するためのデータ1603と、を記憶する。データ1602としては、相関波形Cを生成する非補正の送信波形を含む複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Cとが記憶される。データ1603としては、相関波形Dを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Dとが記憶される。なお、相関波形Cのデータ1602を、第0補正波形、第2補正波形、…で示し、相関波形Dのデータ1603を、第1補正波形、第3補正波形、…で示したが、相関波形Cが送信波形を含み相互曖昧度関数において互いに間を埋めるように補正されていることを示している。
また、複数の送信波形1101が選択して使用される場合は、各送信波形1101に対応する適切な補正波形と相関波形とを記憶する。複数の送信波形1101としては、たとえば、図6に示した周波数変化の周期が異なるBM−SFM波形や、ASFM波形が含まれるが、これらに限定されない。
(相互曖昧度関数)
図17は、本実施形態に係る相互曖昧度関数1710および1720を示す図である。
相互曖昧度関数1710は、スペクトログラム610のBM−SFM波形例に対して、送信波形(周波数補正ゼロに相当)と、周波数補正0.003%、0.006%、0.009%、−0.003%、−0.006%、−0.009%を行った波形とを加算して生成した相関波形と、送信波形との相互曖昧度関数である。
相互曖昧度関数1720は、同じスペクトログラム610のBM−SFM波形例に対して、周波数補正0.0015%、0.0045%、0.0075%、−0.0015%、−0.0045%、−0.0075%を行った波形を加算して生成した相関波形と、送信波形との相互曖昧度関数である。
いずれの相互曖昧度関数1710と1720も、time=0の軸に沿って、曖昧度関数の値が大きい島が干渉少なく並んでおり、かつ、相互曖昧度関数1710と1720とで、島が相補的であり、加算すると互いに離間部を補って、ドップラー偏移方向に連続となる。
(合成した相互曖昧度関数)
図18は、本実施形態に係る合成した相互曖昧度関数1800を示す図である。
相互曖昧度関数1800は、相関波形として第2実施形態と同じ波形(図6参照)を用い、図16Aの合成部314が出力する相関関数の相互曖昧度関数である。第2実施形態および第3実施形態と同様に、time=0の軸上に、曖昧度関数が大きい領域が隙間なく並んでいることが分かる。
本実施形態によれば、上記実施形態による効果に加えて、周波数補正ゼロの送信は系による自己相関関数を使用できるので、静止物体の正確な検出ができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第4実施形態と比べると、相互相関関数の絶対値を加算するのでなく、その最大値を出力する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《信号処理装置の機能構成》
図19は、本実施形態に係る信号処理装置1910の機能構成を示すブロック図である。なお、図19において、図16Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
図19の合成部1314は、図16Aの加算部343に代わりに、最大値出力部1343を有する。すなわち、合成部1314は、合成を加算演算でなく最大値演算で行っている。最大値演算であっても、相互相関関数の大きい島を干渉なく連ねることができるため、第2実施形態と同様の効果が得られる。
第4実施形態では、加算によって相互相関関数をdoppler方向に見たときに凹凸が発生しにくく、島の間隔、すなわち周波数補正量を注意深く設計する必要があるが、本実施形態では、島の間隔を詰めておけば、凹凸は大きくならないという利点もある。
(合成した相互曖昧度関数)
図20は、本実施形態に係る合成した相互曖昧度関数2000を示す図である。
相互曖昧度関数2000は、相関波形として第4実施形態と同じ波形(図6参照)を用い、図19の合成部1314が出力する相関関数の相互曖昧度関数である。合成部1314の出力を最大値にしても、図18の第4実施形態の結果と同様に、相互相関関数が大きな領域がtime=0の軸に沿ってdoppler方向に隙間なく並んでいることがわかる。すなわち第4実施形態と同様の効果が得られる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第2実施形態乃至第5実施形態と比べると、3つの相関波形により相互相関係数を算出する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第5実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《信号処理装置の処理概要》
図21は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要2100を説明する図である。なお、図21には、自己曖昧度関数を図示していないが、上記実施形態と同様の送信波形(図6参照)を用い、自己曖昧度関数210である。
相関波形の生成においては、島が複数表れるような相関波形を生成する。補正波形を生成する場合に、ドップラーシフトの量が十分に離れていないと補正波形同士が干渉し、島を並べた形にならない。そこで、周波数補正の量を適切に設計すれば、図21の212X、212Yおよび212Zに示すように、離れた島が並んだ形の3つの相互曖昧関数が得られる。
本実施形態においては、交互にドプラーシフトの量が異なる位置に離れた島が並んだ形の3つの相互曖昧関数が得られる、3つの相関波形を生成する。その3つの相関波形と受信波形との相互曖昧度関数が、相互曖昧度関数212X、212Yおよび212Zである。周波数補正の量を適切に設計すれば、3つの相互曖昧度関数212X、212Yおよび212Zが、お互いに補い合うような場所に島を形成することができる。
続いての図21の右図(d)を用いて、本実施形態の合成の処理と効果を説明する。本実施形態の合成処理では、受信波形と3つの相関波形とから計算された3つの相互相関関数のそれぞれの絶対値をとり、加算する。相互相関関数は複素数なので、そのまま加算すると干渉するが、絶対値を加算することで、干渉の問題を低減できる。その結果、図21の右図(d)に示すように、相互曖昧度関数212X、212Yおよび212Zを単純に加算したような曖昧度関数2130が得られる。この図21の右図(d)の曖昧度関数2130は、縦にほぼまっすぐであり、縦軸、すなわちドップラー効果の影響を受けにくいことがわかる。これは、ドップラー効果がある場合であっても横軸の時間timeすなわち距離を正しく検出できるということを示している。
《信号処理装置の機能構成》
図22は、本実施形態に係る信号処理装置2210の機能構成を示すブロック図である。なお、図22において、図3Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
信号処理装置2210は、相関処理部2212と、相関処理部2213と、相関処理部2215と、合成部2214と、を備える。相関処理部2212は、第1の相関波形Xを生成して相互相関係数を計算する。相関処理部2213は、第2の相関波形Yを生成して相互相関係数を計算する。相関処理部2215は、第3の相関波形Zを生成して相互相関係数を計算する。合成部2214は、第3の絶対値生成部2244と、3つの相互相関係数の絶対値を加算する加算部2243と、を有する。
(相関波形生成テーブル)
図23は、本実施形態に係る相関波形生成テーブル2352の構成を示す図である。相関波形生成テーブル2352は、送信波形に基づいて波形を微妙に補正することにより、複数の補正波形を生成し、その複数の補正波形を加算して相関波形を生成するために使用される。なお、図23において、図11と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
相関波形生成テーブル2352は、送信波形1101に対応付けて、本実施形態の相関波形Xを生成するためのデータ2302と、相関波形Yを生成するためのデータ2303と、相関波形Zを生成するためのデータ2304と、を記憶する。データ2302としては、相関波形Xを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Xとが記憶される。データ2303としては、相関波形Yを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Yとが記憶される。データ2304としては、相関波形Zを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Zとが記憶される。なお、相関波形Xのデータ2302を、第1補正波形、第4補正波形、…で示し、相関波形Yのデータ2303を、第2補正波形、第5補正波形、…で示、相関波形Zのデータ2304を、第3補正波形、第6補正波形、…で示したが、相互曖昧度関数において互いに間を埋めるように補正されていることを示している。
また、複数の送信波形1101が選択して使用される場合は、各送信波形1101に対応する適切な補正波形と相関波形とを記憶する。複数の送信波形1101としては、たとえば、図6に示した周波数変化の周期が異なるBM−SFM波形や、ASFM波形が含まれるが、これらに限定されない。
本実施形態によれば、それぞれの相互曖昧度関数における島を適切に配置することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。また、それぞれの相互曖昧度関数における島の間隔は、図8よりも広い。これにより、周波数補正の量を大きくすることで、相関処理部における干渉を少なくし、誤検出の可能性を減らすことができる。なお、相関処理部を3つでなくさらに大きな数にしてもよいのは明らかである。同様に相関波形を設計しなおせば、より干渉を少なくすることができる。
なお、上記実施形態においては、送信波形として図6のスペクトログラム610のBM−SFM波形例を用いて説明してきたが、これに限定されるものではない。とにかく、送信波形との相互曖昧度関数において、中央部以外に高いピークが発生しないような波形であればよい。また、無線送信部に負担をかけないためには、電力および波形振幅と、周波数が一定範囲内に収まっていることが望ましい。以下の第7実施形態には、その一例を示す。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る噛合処理装置は、上記第2実施形態乃至第6実施形態と比べると、送信波形として、特許文献1で用いたASFMを用いる点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第6実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
(送信波形のスペクトログラム)
図24は、本実施形態に係る送信波形のスペクトログラム2400を示す図である。本実施形態における送信波形は、特許文献1で用いられたASFM波形である。
図24からわかるように、周波数が正弦波状に振動するFM変調波(SFM)であり、さらにSFMのFM変調の変化速度が増加するような変調が施されている。
(自己曖昧度関数)
図25は、本実施形態に係る自己曖昧度関数2500を示す図である。
ASFM波形の自己曖昧度関数2500は、BM−SFMの自己曖昧度関数710および720と比較すると、少し斜めに傾いているが、本実施形態の相互曖昧度関数による加算に十分使用することができる。
(相互曖昧度関数)
図26は、本実施形態に係る相互曖昧度関数2610および2620を示す図である。
相互曖昧度関数2610および2620においても、島が、time=0の軸上に補完的な関係で並んでいる。第2実施形態よりも細かい干渉が多く表れているが、time=0の軸上よりは低い。この2つの相互相関関数を合成することで、上記実施形態と同様の効果が得られることは明らかである。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る信号処理装置について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、上記第2実施形態乃至第7実施形態と比べると、0付近を含む周波数領域に亘って相互曖昧度関数を連続させるのではなく、所望の周波数領域において相互曖昧度関数を離間させることによって、離間した周波数領域にある物体は検出対象から排除して、効率的に対象物体を検出する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第7実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
《信号処理装置の処理概要》
図27は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要2700を説明する図である。なお、図27において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
図27の中央図(b)に示すように、相関処理部における相関波形生成部の所望の補正波形生成部を選択することによって、自己曖昧度関数210の島を外した、相互曖昧度関数272Eを得ることができる。一方、相関処理部における相関波形生成部の異なる補正波形生成部を選択することによって、図27の中央図(c)に示すように、相互曖昧度関数272Fは、自己曖昧度関数210の島およびマイナス周波数領域を外して、相互曖昧度関数272Fの島の隙間を埋めるように島が並ぶ形になっている。図27の中央図(b)および(c)ともに、島の間隔を空けることによって干渉が少なくなっている。しかし、相互相関関数を合成した効果は第2実施形態と異なり、図27の右図(d)のように周波数0を含むマイナス周波数領域には離間部が生成される。かかる相互曖昧度関数の場合には、静止物体や遠ざかる物体は検出の対象外となり、一定速度以上で近付く物体だけを効率良く検出できる。
図28は、本実施形態に係る信号処理装置の処理概要2800を説明する図である。なお、図28において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
図28の中央図(b)に示すように、相関処理部における相関波形生成部の所望の補正波形生成部を選択することによって、自己曖昧度関数210の島を外した、相互曖昧度関数282Eを得ることができる。一方、相関処理部における相関波形生成部の異なる補正波形生成部を選択することによって、図28の中央図(c)に示すように、相互曖昧度関数282Fは、自己曖昧度関数210の島を外して、相互曖昧度関数282Fの島の隙間を埋めるように島が並ぶ形になっている。図28の中央図(b)および(c)ともに、島の間隔を空けることによって干渉が少なくなっている。しかし、相互相関関数を合成した効果は第2実施形態と異なり、図28の右図(d)のように周波数0を含む周波数領域に離間部が生成される。かかる相互曖昧度関数の場合には、静止物体や所定速度以下の移動物体は検出の対象外となり、一定速度以上の移動物体だけを効率良く検出できる。
なお、相関処理部における相関波形生成部の補正波形生成部の選択を組み合わせることによって、相関処理部では島の間隔を空けることによって干渉が少なくなると共に、所望の周波数領域に離間部を生成することで、所望の速度(静止を含む)を検出対象から外す、逆に所定速度範囲だけの移動物体を選別して検出することが可能になる。
《信号処理装置の機能構成》
図29は、本実施形態に係る信号処理装置2910の機能構成を示すブロック図である。なお、図29において、図3Aと同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
信号処理装置2910は、相関処理部2912と相関処理部2913とを有する。相関処理部2912は、自己曖昧度関数210の島を外して、図27または図28の図(b)の相関波形を生成して相互相関関数を計算し、合成部314に出力する。相関処理部2913は、自己曖昧度関数210の島を外して、図27または図28の図(c)の相関処理部2912の計算範囲の島の隙間を埋める関係、すなわち相補的な関係の相関波形を生成して、相互相関関数を計算し、合成部314に出力する。共に、自己曖昧度関数210の島を外しているので、周波数0の付近の離間部が生成される。
(相関波形生成テーブル)
図30は、本実施形態に係る相関波形生成テーブル3052の構成を示す図である。相関波形生成テーブル3052は、送信波形に基づいて波形を微妙に補正することにより、複数の補正波形を生成し、その複数の補正波形を加算して相関波形を生成するために使用される。なお、図30には、図27に示した処理に使用されるテーブル3010と図28に示した処理に使用されるテーブル3020とを示す。
テーブル3010は、送信波形3011に対応付けて、図27の相関波形Eを生成するためのデータ3012と、相関波形Fを生成するためのデータ3013と、を記憶する。データ3012としては、相関波形Eを生成する非補正の送信波形を含む複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Eとが記憶される。データ3013としては、相関波形Fを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Fとが記憶される。なお、相関波形Eのデータ3012を、第2α補正波形、第4α補正波形、…で示し、相関波形Fのデータ3013を、第1α補正波形、第3α補正波形、…で示したが、相互曖昧度関数において周波数0およびマイナス周波数を除いて互いに間を埋めるように補正されていることを示している。
テーブル3020は、送信波形3021に対応付けて、図28の相関波形Eを生成するためのデータ3022と、相関波形Fを生成するためのデータ3023と、を記憶する。データ3022としては、相関波形Eを生成する非補正の送信波形を含む複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Eとが記憶される。データ3023としては、相関波形Fを生成する複数の補正波形と、複数の波形を加算した相関波形Fとが記憶される。なお、相関波形Eのデータ3022を、第2α補正波形、第4α補正波形、…で示し、相関波形Fのデータ3023を、第3α補正波形、第5α補正波形、…で示したが、相互曖昧度関数において周波数0およびその周囲の周波数を除いて互いに間を埋めるように補正されていることを示している。
また、複数の送信波形3011や3021が選択して使用される場合は、各送信波形3011や3021に対応する適切な補正波形と相関波形とを記憶する。複数の送信波形3021や3022としては、たとえば、図6に示した周波数変化の周期が異なるBM−SFM波形や、ASFM波形が含まれるが、これらに限定されない。
本実施形態によれば、相関処理部における相関波形生成部の補正波形生成部の選択を組み合わせることにより、それぞれの相互曖昧度関数における島を適切に配置する。これにより、所望の周波数領域に離間部を生成することで、所望の速度(静止を含む)を検出対象から外す、逆に所定速度範囲だけの移動物体を選別して検出することができる。
[他の実施形態]
なお、上記実施形態においては、送信波形として、BM−SFM波形やASFM波形が使用されたが、これら波形に限定されない。たとえば、白色ノイズが使用されてもよい。送信波形1101として白色ノイズを使用した場合、曖昧度関数は点になり広い移動速度に対応できないが、対象物体の検出精度が高くなる。なお、その他に、非特許文献1の位相変調信号が使用されてもよい。
また、図31は、本発明を利用可能な他の分野について示す図である。図31に示したように、以上に説明した電波による距離検出方法は、ロボット同士がぶつからずにすれ違うための技術3110や、車両の衝突回避技術3220に利用することができる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではなく、オフィスなどでの侵入者の監視や、体育館での人の動きの検出などにも用いることが可能である。電波ではなく、空中や水中の音波による距離検出方式にも利用できる。港湾など水中の監視におけるアクティブソーナー(Active Sonar)と呼ばれる音波を利用した、距離検出方式の原理に本発明を適用できる。したがって音波に適した中心周波数(キャリア周波数)、波形時間長、変調波周波数、周波数補正量などを適切に設定すれば、本発明の効果は同様に得られる。以上説明してきたように、距離検出において本発明を用いることにより、移動物体に対しても、距離測定における誤差が少ない検出が可能となる。
また、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する信号処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
[実施形態の他の表現]
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算手段と、
前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、周波数偏移方向に離間しないように合成する合成手段と、
合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出手段と、
を備える信号処理装置。
(付記2)
前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形に対して異なる周波数補正をした波形を加算した波形、または、前記送信信号の波形に対して時間軸で異なる伸縮をさせた波形を加算した波形を用いる、付記1に記載の信号処理装置。
(付記3)
前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数が離間し、かつ、前記合成手段で合成した場合の相互曖昧度関数が連続するような波形を用いる、付記1または2に記載の信号処理装置。
(付記4)
前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数が離間し、かつ、前記合成手段で合成した場合の相互曖昧度関数が、所定周波数範囲で離間し、その他周波数範囲で連続するような波形を用いる、付記1または2に記載の信号処理装置。
(付記5)
前記相互曖昧度関数は、前記異なる相関波形による前記相互相関関数が最大値の半分で重なることにより連続させる、付記3または4に記載の信号処理装置。
(付記6)
前記合成手段は、前記少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値を加算する、付記1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記7)
前記合成手段は、前記少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値の最大値を計算する、付記1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記8)
前記送信信号は、自己曖昧度関数の値が遅延時間ゼロおよび周波数偏移ゼロの周辺で大きくなる波形であって、SFM(Sinusoidal Frequency Modulation)波形の周波数変調の正弦波を変調した波形を含む、付記1乃至7に記載の信号処理装置。
(付記9)
前記送信信号は、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する波形を含む、付記1乃至7のいずれか1項に記載の信号処理装置。
(付記10)
前記送信信号は、周波数帯域幅を変調した波形である、付記9に記載の信号処理装置。
(付記11)
前記送信信号として周波数が変化する変調波を生成する生成手段と、
前記送信信号を前記対象物体に向けて送信する送信手段と、
をさらに備える付記1乃至10に記載の信号処理装置。
(付記12)
周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を合成する合成ステップと、
合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出ステップと、
を含む信号処理方法。
(付記13)
周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を合成する合成ステップと、
合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出ステップと、
をコンピュータに実行させる信号処理プログラム。
この出願は、2016年12月8日に出願された日本国特許出願 特願2016−238243号と、2017年3月30日に出願された日本国特許出願 特願2017−068244号とを基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (13)

  1. 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算手段と、
    前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を、周波数偏移方向に離間しないように合成する合成手段と、
    合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出手段と、
    を備える信号処理装置。
  2. 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形に対して異なる周波数補正をした波形を加算した波形、または、前記送信信号の波形に対して時間軸で異なる伸縮をさせた波形を加算した波形を用いる、請求項1に記載の信号処理装置。
  3. 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数が離間し、かつ、前記合成手段で合成した場合の相互曖昧度関数が連続するような波形を用いる、請求項1または2に記載の信号処理装置。
  4. 前記少なくとも2つの相互相関計算手段は、前記異なる相関波形として、前記送信信号の波形と周波数補正した波形との相互曖昧度関数が離間し、かつ、前記合成手段で合成した場合の相互曖昧度関数が、所定周波数範囲で離間し、その他周波数範囲で連続するような波形を用いる、請求項1または2に記載の信号処理装置。
  5. 前記相互曖昧度関数は、前記異なる相関波形による前記相互相関関数が最大値の半分で重なることにより連続させる、請求項3または4に記載の信号処理装置。
  6. 前記合成手段は、前記少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値を加算する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  7. 前記合成手段は、前記少なくとも2つの相互相関関数のそれぞれの絶対値の最大値を計算する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  8. 前記送信信号は、自己曖昧度関数の値が遅延時間ゼロおよび周波数偏移ゼロの周辺で大きくなる波形であって、SFM(Sinusoidal Frequency Modulation)波形の周波数変調の正弦波を変調した波形を含む、請求項1乃至7に記載の信号処理装置。
  9. 前記送信信号は、周波数が曲線状に増減し、周波数帯域幅が時間的に曲線状に増減する波形を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の信号処理装置。
  10. 前記送信信号は、周波数帯域幅を変調した波形である、請求項9に記載の信号処理装置。
  11. 前記送信信号として周波数が変化する変調波を生成する生成手段と、
    前記送信信号を前記対象物体に向けて送信する送信手段と、
    をさらに備える請求項1乃至10に記載の信号処理装置。
  12. 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
    前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を合成する合成ステップと、
    合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出ステップと、
    を含む信号処理方法。
  13. 周波数が変化する送信信号が対象物体で反射されたことにより得られる反射信号の波形と、前記送信信号の波形から生成した異なる相関波形との相互相関関数をそれぞれ計算する、少なくとも2つの相互相関計算ステップと、
    前記少なくとも2つの相互相関計算手段からの少なくとも2つの相互相関関数を合成する合成ステップと、
    合成結果の相互相関関数に基づいて、前記対象物体を検出する検出ステップと、
    をコンピュータに実行させる信号処理プログラム。
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