JPWO2018096868A1 - 水系エポキシ樹脂用硬化剤、水系エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、少なくとも1つの熱硬化性自己乳化型エポキシ樹脂組成物、少なくとも1つの熱硬化性非自己乳化型エポキシ樹脂組成物、水、及び少なくとも1つの硬化剤を含んでなる水性プライマー組成物が開示され、該硬化剤として、少なくとも2つのアミン官能基を有する窒素含有化合物が開示されている。また、好ましい窒素含有化合物の1つとして、キシリレンジアミンとエピクロロヒドリンとの反応により得られる化合物などが例示されている。
本発明が解決しようとする課題は、溶剤を含まず環境面や安全面においても好適であり、硬化性が良好で、耐水性や硬度、外観等の塗膜性能にも優れる水系エポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに当該水系エポキシ樹脂組成物に用いる水系エポキシ樹脂用硬化剤を提供することにある。
本発明は、下記[1]〜[14]に関する。
[1]スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)を含有する、水系エポキシ樹脂用硬化剤。
H2N−CH2−A−CH2−NH2 (1)
(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
[2]前記反応組成物(A)が下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含む、上記[1]に記載の硬化剤。
(式(2)中、Aは前記と同じである。)
[3]前記Aが1,3−フェニレン基である、上記[1]又は[2]に記載の硬化剤。
[4]前記硬化剤中の前記反応組成物(A)の含有量が30質量%以上である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[5]さらに、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物を含有する、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の硬化剤。
[6]前記反応組成物が、エピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)である、上記[5]に記載の硬化剤。
[7]前記反応組成物(B)が下記一般式(3)で示される化合物を主成分として含む、上記[6]に記載の硬化剤。
(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1〜12の数である。)
[8]前記反応組成物が、分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物(C)である、上記[5]に記載の硬化剤。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の硬化剤と、水系エポキシ樹脂とを含有する水系エポキシ樹脂組成物。
[10]前記水系エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂、乳化剤、及び水を含有するエポキシ樹脂エマルジョンである、上記[9]に記載の水系エポキシ樹脂組成物。
[11]前記乳化剤のグリフィン法で定義されるHLBが8.0〜20.0である、上記[10]に記載の水系エポキシ樹脂組成物。
[12]前記乳化剤がポリオキシアルキレンアリールエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上である、上記[10]又は[11]に記載の水系エポキシ樹脂組成物。
[13]上記[9]〜[12]のいずれか1項に記載の水系エポキシ樹脂組成物の硬化物。
[14]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の硬化剤と、乳化剤とを含有する水系エポキシ樹脂用硬化剤混合物。
本発明の硬化剤は水系エポキシ樹脂用硬化剤であり、スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)(以下、単に「反応組成物(A)」ともいう)を含有することを特徴とする。
H2N−CH2−A−CH2−NH2 (1)
(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。)
本明細書において「水系エポキシ樹脂」とは、水溶性エポキシ樹脂、又は、水分散液(エマルジョン)の状態で用いられるエポキシ樹脂をいう。
水系エポキシ樹脂については後述するが、本発明に用いられる水系エポキシ樹脂としてはエポキシ樹脂エマルジョンが好ましい。
以下、本発明の硬化剤を構成する各成分について説明する。
本発明の硬化剤は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)を含有する。当該反応組成物(A)を含有する硬化剤を用いた水系エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜は耐水性、硬度及び外観が良好になる。
前記式(1)中、Aは1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基であることが好ましく、1,3−フェニレン基であることがより好ましい。すなわち、前記一般式(1)で示されるアミン化合物は、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(メタキシリレンジアミン;MXDA)、及びp−キシリレンジアミン(パラキシリレンジアミン;PXDA)からなる群から選ばれる1種以上のキシリレンジアミンであり、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メタキシリレンジアミンがより好ましい。
中でも反応組成物(A)は、下記一般式(2)で示される化合物を10質量%以上含むことが好ましい。
(式(2)中、Aは前記と同じである。)
上記一般式(2)で示される化合物は、スチレンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物(以下「原料ジアミン」ともいう)との反応物のうち、スチレン1モルと原料ジアミン1モルとが付加した反応物(以下「1:1付加体」ともいう)である。
反応組成物(A)は、上記一般式(2)で示される化合物であるスチレンと原料ジアミンとの1:1付加体のほかに、スチレンと原料ジアミンとの2:1付加体、3:1付加体、4:1付加体などの多付加体を含有していてもよいが、上記付加体の中ではスチレンと原料ジアミンとの1:1付加体が最も活性水素当量が低い。活性水素当量(以下「AHEW」ともいう)とは、エポキシ樹脂組成物の主剤であるエポキシ樹脂と反応し得る活性水素1当量あたりの分子量である。そのため、上記一般式(2)で示される化合物を主成分として含む反応組成物(A)を用いた水系エポキシ樹脂用硬化剤は、水系エポキシ樹脂組成物への配合量が少なくても良好な硬化性能を発現できる。
反応組成物(A)中の上記一般式(2)で示される化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)分析により求めることができる。
反応組成物(A)のAHEWは、例えば滴定法により求めることができる。
スチレンと原料ジアミンとの付加反応は公知の方法で行うことができ、その方法は特に制限されないが、反応効率の観点から、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としては、例えばアルカリ金属、アルカリ金属アミド(一般式MNRR’で表され、Mはアルカリ金属、Nは窒素、R及びR’はそれぞれ独立に水素又はアルキル基である。)、アルキル化アルカリ金属等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属アミドである。中でも、塩基性触媒としてはリチウムアミド(LiNH2)が好ましい。
予備反応時間は、好ましくは20〜360分、より好ましくは30〜120分である。予備反応時間が20分以上であれば、原料ジアミンが十分に活性化され、その後の付加反応が効率よく進行する。また360分以下であれば、生産性の点で有利である。
スチレンの添加時、及び付加反応時の温度は、好ましくは50〜120℃、より好ましくは70〜100℃である。反応温度が50℃以上であれば、スチレンと原料ジアミンとの付加反応が効率よく進行する。また120℃以下であれば、副生成物であるスチレンの重合物の生成を抑制することができる。
また、付加反応時間には特に制限はなく、使用する触媒の種類や反応条件等に応じて適宜選択できる。例えば、付加反応中に反応液のサンプリングを行い、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等で未反応スチレンの定量を行い、未反応スチレンが1質量%以下になるまでの時間とすることができる。付加反応時間は、通常、スチレンの添加が終了してから、好ましくは10〜180分、より好ましくは20〜120分である。上記付加反応時間が10分以上であれば未反応原料の残存が少なく、180分以下であれば生産性の点で有利である。
塩基性触媒は、その種類に応じて、濾過、水洗、吸着等により除去することができる。例えば塩基性触媒がアルカリ金属アミドである場合は、塩酸、塩化水素ガス、酢酸などの酸、メタノール、エタノール等のアルコール、あるいは水等を加えてアルカリ金属アミドを除去容易な塩等に変えてから濾過することが可能である。例えば水を用いた場合には、アルカリ金属アミドが水酸化物となり、濾過が容易になる。
本発明の硬化剤は、さらに、上記反応組成物(A)以外の他の硬化剤成分を含有してもよい。当該「他の硬化剤成分」としては、ポリアミン化合物の変性体や、前記一般式(1)で示されるアミン化合物(原料ジアミン)以外のポリアミン化合物が好ましい成分として挙げられる。ポリアミン化合物とは、分子中に少なくとも2つのアミノ基を有する化合物をいう。
耐水性や硬度、外観等の塗膜性能に優れる水系エポキシ樹脂組成物を得る観点からは、当該「他の硬化剤成分」はポリアミン化合物の変性体又は当該変性体を含む反応組成物であることが好ましい。例えば、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物が挙げられる。中でも、エピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)(以下、単に「反応組成物(B)」ともいう)や、分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物(C)(以下、単に「反応組成物(C)」ともいう)が好ましい。
本発明の硬化剤は、前記反応組成物(A)以外の他の硬化剤成分として、さらに、エピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)を含有してもよい。当該反応組成物(B)をさらに含有する硬化剤を水系エポキシ樹脂用の硬化剤として用いると、水系エポキシ樹脂組成物の塗膜の指触乾燥速度や硬化速度が向上する。
反応組成物(B)における前記一般式(1)で示されるアミン化合物、及びその好ましい態様は前記反応組成物(A)に記載のものと同じである。
(式(3)中、Aは前記と同じである。nは1〜12の数である。)
反応組成物(B)中の上記一般式(3)で示される化合物の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上である。また、上限は100質量%である。
また、硬化剤としての良好な硬化性能を得る観点からは、上記一般式(3)で示される化合物の中でも、n=1の化合物が占める割合が高いことが好ましい。反応組成物(B)中の、上記一般式(3)で示されるn=1の化合物の含有量としては、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。
反応組成物(B)中の上記一般式(3)で示される化合物の含有量、及び上記一般式(3)で示される化合物の組成は、GC分析及びゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)分析により求めることができる。
エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応は公知の方法で行うことができ、その方法は特に制限されないが、反応効率の観点から、塩基性触媒の存在下で行われることが好ましい。塩基性触媒としてはアルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、水酸化ナトリウムがさらに好ましい。アルカリ金属水酸化物は固体状態で用いても、水溶液の状態で用いてもよいが、水溶液の状態で用いることがより好ましい。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度は、好ましくは30〜55質量%の範囲である。
エピクロロヒドリンの添加時の温度は、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。エピクロロヒドリンの添加終了後、反応効率向上のために反応温度を上げてもよく、付加反応時の温度は、好ましくは55〜120℃である。反応温度が55℃以上であれば、エピクロロヒドリンと原料ジアミンとの付加反応が効率よく進行する。
付加反応時間には特に制限はなく、通常、エピクロロヒドリンの添加が終了してから、好ましくは10分〜6時間、より好ましくは20分〜4時間である。上記付加反応時間が10分以上であれば未反応原料の残存が少なく、6時間以下であれば生産性の点で有利である。
塩基性触媒は、その種類に応じて、濾過、水洗、吸着等により除去することができる。上記付加反応により生成した水の除去は、例えば100℃以下の温度において減圧条件下で行うことができる。また、上記付加反応により生成した塩は濾過等により除去することができる。
本発明の硬化剤は、前記反応組成物(A)以外の他の硬化剤成分として、さらに、分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物(C)を含有してもよい。当該反応組成物(C)をさらに含有する硬化剤を水系エポキシ樹脂用の硬化剤として用いると、水系エポキシ樹脂組成物の塗膜の指触乾燥速度や耐水性が良好になる。
得られる水系エポキシ樹脂組成物の塗膜の指触乾燥速度や耐水性の点からは、原料エポキシ化合物としては分子中に芳香環又は脂環式構造を含む化合物がより好ましく、分子中に芳香環を含む化合物がさらに好ましく、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂がよりさらに好ましい。
上記の中でも、水系エポキシ樹脂組成物の塗膜の指触乾燥速度や耐水性を向上させる観点から、反応組成物(C)の製造に用いるポリアミン化合物としては1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、p−キシリレンジアミン(PXDA)、メンセンジアミン、及びイソホロンジアミン(IPDA)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、イソホロンジアミンがより好ましい。
但し、本発明の硬化剤中の硬化剤成分(反応組成物(A)、及び、反応組成物(B)、(C)等の他の硬化剤成分)の合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、上限は100質量%である。
また、水系エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や外観を良好にする観点から、本発明の硬化剤中の前記一般式(1)で示されるジアミンの含有量は少ない方が好ましい。当該含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明の水系エポキシ樹脂組成物は、前述した本発明の水系エポキシ樹脂用硬化剤と、水系エポキシ樹脂とを含有するものである。前述したように、水系エポキシ樹脂としてはエポキシ樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。
エポキシ樹脂エマルジョンは、例えば、エポキシ樹脂を水中に乳化分散したものが挙げられる。当該エポキシ樹脂としては、自己乳化型エポキシ樹脂、非自己乳化型エポキシ樹脂のいずれも用いることができる。
非自己乳化型エポキシ樹脂を用いる場合は、例えば、非自己乳化型エポキシ樹脂を乳化剤の存在下で水中に分散させてエポキシ樹脂エマルジョンを調製することができる。
エポキシ樹脂エマルジョンに用いられるエポキシ樹脂は、本発明の硬化剤の活性水素と反応するグリシジル基を有し、かつ水中に乳化分散することが可能なエポキシ樹脂であればいずれも使用することができる。水系エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や硬度の観点からは、分子内に芳香環又は脂環式構造を含むエポキシ樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂エマルジョンに用いられるエポキシ樹脂の具体例としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、及びレゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂を乳化剤の存在下で水中に分散させたエポキシ樹脂エマルジョンの場合、当該エマルジョンから分散媒を除いた成分(固形分)のエポキシ当量も上記範囲であることが好ましい。
エポキシ樹脂エマルジョンに用いるエポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここでHLB(親水性親油性バランス;Hydrophile−Lypophile Balance)は、乳化剤の水及び油への親和性を示す値であり、グリフィン法により次式から求めることができる。
HLB=20×[(乳化剤中に含まれる親水基の分子量)/(乳化剤の分子量)]
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリエーテル系化合物、エステル系化合物、アルカノールアミド系化合物等を挙げることができる。これらの中でもポリエーテル系化合物が好ましく、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン性化合物がより好ましい。
ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン性化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール又はポリアルキレングリコール共重合体;ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールFエーテル等のポリオキシアルキレンアリールエーテル;ポリオキシエチレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル;等が挙げられる。
上記の中でも、水中でエポキシ樹脂をエマルジョン化しやすく、かつ、得られる水系エポキシ樹脂組成物の硬化塗膜の耐水性や硬度、外観等の塗膜性能を良好にする観点から、ポリオキシアルキレンアリールエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテルがさらに好ましく、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルがよりさらに好ましい。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、両性乳化剤としては、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のアルキルベタイン系化合物等が挙げられる。
エポキシ基含有乳化剤としては、例えば、エポキシ基を有するアクリル系ポリマー、エポキシ基を有するアクリル−スチレン系ポリマー等のエポキシ基含有ポリマーが好ましいものとして挙げられる。
エポキシ基含有乳化剤のエポキシ当量は、好ましくは150〜4,000g/当量、より好ましくは300〜2,000g/当量、さらに好ましくは300〜1,500g/当量である。
エポキシ樹脂エマルジョンに用いることができる好ましいエポキシ基含有乳化剤として、日油(株)製のマープルーフシリーズ、アルファ化研(株)製のアルファレジンシリーズ「W−10」、「W−12」等の市販品を挙げることができる。
乳化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以上の乳化剤の中でも、グリフィン法で定義されるHLBが12.0〜20.0のポリオキシアルキレンアリールエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、HLBが12.0〜20.0のポリオキシエチレンアリールエーテル及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、HLBが12.0〜20.0のポリオキシエチレンアリールエーテルがさらに好ましく、HLBが12.0〜20.0のポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルがよりさらに好ましい。
本発明の水系エポキシ樹脂組成物の製造方法には特に制限はなく、前記硬化剤、水系エポキシ樹脂、及び必要に応じ他の成分を公知の方法及び装置を用いて混合し、製造することができる。
水系エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂、乳化剤、及び水を含有するエポキシ樹脂エマルジョンを用いる場合、まず、エポキシ樹脂エマルジョンの原料となるエポキシ樹脂及び乳化剤と前記硬化剤とを配合して混合し、次いで、水を分割添加して混合することにより水系エポキシ樹脂組成物を調製してもよい。この操作により、エポキシ樹脂を水中に乳化分散するのと同時に水系エポキシ樹脂組成物を調製することができ、エポキシ樹脂の分散状態が良好な組成物を得ることができる。
また、本発明の水系エポキシ樹脂組成物は有機溶剤を含まないことが好ましく、その含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明の水系エポキシ樹脂用硬化剤混合物(以下、単に「硬化剤混合物」ともいう)は、前述した本発明の水系エポキシ樹脂用硬化剤と、乳化剤とを含有するものである。当該硬化剤混合物と、エポキシ樹脂と、水とを配合して混合することにより、水中に乳化分散されたエポキシ樹脂と、水系エポキシ樹脂用硬化剤とを含有する水系エポキシ樹脂組成物を容易に調製することができる。
硬化剤混合物に用いる乳化剤としては、使用するエポキシ樹脂を水中に乳化分散できるものであれば特に制限なく用いられ、前述したエポキシ樹脂エマルジョンに用いられる乳化剤と同様のものを用いることができる。
硬化剤混合物中の水系エポキシ樹脂用硬化剤と乳化剤との質量比も特に制限されず、硬化剤のAHEW、乳化剤の種類等に応じて選択できるが、通常は水系エポキシ樹脂用硬化剤と乳化剤との質量比が5/95〜99.9/0.1、好ましくは10/90〜99/1の範囲である。
硬化剤混合物は本発明の水系エポキシ樹脂用硬化剤及び乳化剤以外の成分を含有していてもよいが、硬化剤及び乳化剤の合計含有量が好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、上限は100質量%である。
本発明の水系エポキシ樹脂組成物は優れた耐水性や硬度、外観等の塗膜性能を発現しうることから、コンクリート材への使用のほか、防食用塗料等の各種塗料、接着剤、床材、封止剤、ポリマーセメントモルタル、ガスバリアコーティング、プライマー、スクリード、トップコート、シーリング材、クラック補修材、道路の舗装材等に好適に用いられる。
本発明の水系エポキシ樹脂組成物の硬化物(以下、単に「本発明の硬化物」ともいう)は、上述した本発明の水系エポキシ樹脂組成物を公知の方法で硬化させたものである。水系エポキシ樹脂組成物の硬化条件は用途、形態に応じて適宜選択され、特に限定されない。
本発明の硬化物の形態も特に限定されず、用途に応じて選択することができる。例えば水系エポキシ樹脂組成物がコンクリート材のトップコートやプライマー、又は各種塗料用途である場合、当該水系エポキシ樹脂組成物の硬化物は通常、膜状の硬化物である。本発明の硬化物が膜状の硬化物であると、優れた塗膜性能を発揮できる点で好ましい。
各例の水系エポキシ樹脂用硬化剤のうち、2種の硬化剤成分(反応組成物)からなる硬化剤の活性水素当量(AHEW)は、以下に記載する計算式により算出した。
AHEWがXである反応組成物と、AHEWがYである反応組成物を質量比A:Bで混合して得られる硬化剤のAHEWをZとすると、
Z=[(A+B)XY]/(AY+BX)である。
水系エポキシ樹脂用硬化剤(又は硬化剤溶液)及びその構成成分中のメタキシリレンジアミン含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。
水系エポキシ樹脂用硬化剤(又は硬化剤溶液)の25℃における粘度は、E型粘度計「TVE−22H型粘度計 コーンプレートタイプ」(東機産業(株)製)を用いて測定した。
ガラス板(太佑機材(株)製 25×348×2.0mm)上に、23℃、50%R.H.条件下、各例の水系エポキシ樹脂組成物を76μmのアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。塗膜を形成したガラス板を塗料乾燥時間測定器(太佑機材(株)製)にセットし、測定器の針が塗膜表面を引っかいた際の条痕を観察して、各乾燥段階(Set to Touch、Dust Free、Dry Through)への到達時間を以下の基準で測定した。時間が短い方が、硬化速度が速いことを示す。
Set to Touch:ガラス板状に針の跡が残り始める時間
Dust Free:針が塗膜の中から塗膜表面上に浮き出てくる時間
Dry Through:塗膜上の針の跡が残らなくなる時間
下記の試験条件1及び2に従い、基材上に各例の水系エポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に指触により以下の基準で評価した。
Ex:優秀(50Nの力で親指を押し付けた際も塗膜のべたつきがなく、指紋の残存もなし)
G:良好(50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきはないが、指触後の指紋の残存あり)
F:可(50Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
P:不良(5Nの力で親指を押し付けた際に塗膜のべたつきあり)
[試験条件1]
基材:リン酸亜鉛処理鉄板(パルテック(株)製;SPCC−SD PB−N144 0.8×70×150mm)
塗布直後の塗膜厚み:200μm
[試験条件2]
基材:繊維強化セメント板(JIS A5430:2013)
塗布直後の塗膜厚み:100μm
なお、試験条件1は試験条件2よりも厳しい評価条件である。試験条件2は、試験条件1と比較して塗膜厚みが薄くかつ基材の水はけがよいので、塗膜中の水が揮発しやすいためである。
前記試験条件1及び2に従い、基材上に各例の水系エポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後に塗膜表面にスポイトで純水を2〜3滴滴下し、その箇所を50mLスクリュー管瓶で蓋をした。24時間経過後に水を拭き取り、外観を目視観察して、以下の基準で評価した。
Ex:優秀(全く変化なし)
G:良好(わずかに変化はあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白化あり)
P:不良(白化)
前記試験条件1及び2に従い、基材上に各例の水系エポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布して塗膜を形成した。この塗膜を23℃、50%R.H.条件下で保存し、1、2、7日経過後にJIS K5600−5−4:1999に準拠して鉛筆硬度を測定した。
前記試験条件1に従い、23℃、50%R.H.条件下、各例の水系エポキシ樹脂組成物をアプリケーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。塗装1週間後に得られた塗膜の外観を目視観察して、光沢性、透明性、及び平滑性を以下の基準で評価した。
<光沢性>
Ex:優秀(光沢あり)
G:良好(やや光沢が劣るが、使用上問題なし)
F:可(光沢が少ない)
P:不良(光沢なし)
<透明性>
Ex:優秀(濁りなし)
G:良好(わずかに濁りがあるが、使用上問題なし)
F:可(やや白濁あり)
P:不良(白濁)
<平滑性>
Ex:優秀(凹凸がない)
G:良好(わずかに凹凸があるが、使用上問題なし)
F:可(一部に凹凸がある)
P:不良(ハジキがある、又は全面に凹凸がある)
攪拌装置、温度計、窒素導入管、滴下漏斗及び冷却管を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、イソホロンジアミン(IPDA)1022g(6.0モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら80℃に昇温した。80℃に保ちながら、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能液状エポキシ樹脂(「jER828」、三菱化学(株)製)372g(1.0モル)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃に昇温して2時間反応を行い、前記エポキシ樹脂とイソホロンジアミンとの反応物を含む反応組成物を得た。この反応組成物に、当該反応組成物の濃度が56質量%となるようにベンジルアルコールを添加して希釈し、反応組成物溶液(C−1)を得た。反応組成物溶液(C−1)のAHEWは113であった。
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する液状エポキシ樹脂の水系エマルジョン(三菱化学(株)製「W2821R70」、エマルジョン状態でのエポキシ当量:334g/当量、エポキシ樹脂濃度:60質量%、水含有量:30質量%、その他の成分(乳化剤等)の含有量:10質量%、粘度(25℃):700mPa・s)を主剤として使用し、水系エポキシ樹脂用硬化剤としてスチレンとメタキシリレンジアミン(MXDA)との反応物を含む反応組成物である(A−1)Gaskamine 240(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:103)を使用した。主剤100質量部に対し、上記硬化剤を、該硬化剤中の活性水素数と、水系エポキシ樹脂中のエポキシ基の数が等モルとなるよう表1に示す割合で配合し、攪拌して、水系エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた水系エポキシ樹脂組成物を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
(A−1)Gaskamine 240と、エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B−1)Gaskamine 328(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:55)とを質量比80:20の割合で混合して水系エポキシ樹脂用硬化剤を調製した。この硬化剤を用いて実施例1と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、(B−1)に代えてエピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B−2)Gaskamine 328S(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:70)を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で水系エポキシ樹脂用硬化剤及び水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
(A−1)Gaskamine 240と、製造例1で得られた反応組成物溶液(C−1)とを質量比50:50((A−1)と、製造例1で得られた反応組成物((C)成分)との質量比は64:36)の割合で混合して水系エポキシ樹脂用硬化剤を調製した。この硬化剤を用いて、実施例1と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2において、水系エポキシ樹脂用硬化剤中の(A−1)と(B−1)との質量比を50:50に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で水系エポキシ樹脂用硬化剤及び水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、水系エポキシ樹脂用硬化剤中の(A−1)と(B−2)との質量比を50:50に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法で水系エポキシ樹脂用硬化剤及び水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、水系エポキシ樹脂用硬化剤として(A−1)に代えて(B−1)の80質量%水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、水系エポキシ樹脂用硬化剤として(A−1)に代えて(B−2)の80質量%水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、水系エポキシ樹脂用硬化剤として(A−1)に代えて市販のポリアミドアミン系水系エポキシ樹脂用硬化剤(三菱化学(株)製「WD11M60」、固形分濃度:60質量%(ブチルセロソルブ溶液)、AHEW:732)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3の水系エポキシ樹脂用硬化剤を含有する水系エポキシ樹脂組成物では硬化速度、指触乾燥、耐水スポット性、塗膜外観は良好であるが、塗膜の鉛筆硬度が低下した。また、比較例3の硬化剤は有機溶剤を含有するため、環境への影響や安全性が懸念されることがある。
実施例1において、主剤として、W2821R70に代えてビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する固体エポキシ樹脂の水系エマルジョン(三菱化学(株)製「W1155R55」、エマルジョン状態でのエポキシ当量:1020g/当量、エポキシ樹脂濃度:50質量%、水含有量:45質量%、その他の成分(乳化剤等)の含有量:5質量%、粘度(25℃):500mPa・s)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
(A−1)Gaskamine 240と、エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B−1)Gaskamine 328(三菱瓦斯化学(株)製)とを質量比80:20の割合で混合して水系エポキシ樹脂用硬化剤を調製した。この硬化剤を用いて実施例7と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
実施例8において、(B−1)に代えてエピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物である(B−2)Gaskamine 328S(三菱瓦斯化学(株)製)を用いたこと以外は、実施例8と同様の方法で水系エポキシ樹脂用硬化剤及び水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
(A−1)Gaskamine 240と、製造例1で得られた反応組成物溶液(C−1)とを質量比50:50((A−1)と、製造例1で得られた反応組成物((C)成分)との質量比は64:36)の割合で混合して水系エポキシ樹脂用硬化剤を調製した。この硬化剤を用いて、実施例7と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
実施例7において、水系エポキシ樹脂用硬化剤として(A−1)に代えて(B−1)の80質量%水溶液を用いたこと以外は実施例7と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
実施例7において、水系エポキシ樹脂用硬化剤として(A−1)に代えて(B−2)の80質量%水溶液を用いたこと以外は実施例7と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
実施例7において、水系エポキシ樹脂用硬化剤として(A−1)に代えて市販のポリアミドアミン系水系エポキシ樹脂用硬化剤(三菱化学(株)製「WD11M60」、固形分濃度:60質量%(ブチルセロソルブ溶液)、AHEW:732)を用いたこと以外は実施例7と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記評価を行った。結果を表2に示す。
<水系エポキシ樹脂>
W2821R70:
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する液状エポキシ樹脂の水系エマルジョン(三菱化学(株)製、エマルジョン状態でのエポキシ当量:334g/当量、エポキシ樹脂濃度:60質量%、水含有量:30質量%、その他の成分(乳化剤等)の含有量:10質量%、粘度(25℃):700mPa・s)
W1155R55:
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する固体エポキシ樹脂の水系エマルジョン(三菱化学(株)製、エマルジョン状態でのエポキシ当量:1020g/当量、エポキシ樹脂濃度:50質量%、水含有量:45質量%、その他の成分(乳化剤等)の含有量:5質量%、粘度(25℃):500mPa・s)
(A−1):
Gaskamine 240(スチレンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、スチレンとMXDAとの反応物含有量:>99質量%、MXDA含有量:<1質量%、下記式(2−1)で示される化合物の含有量:49質量%、AHEW:103)
Gaskamine 328(エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、MXDA含有量:26.7質量%、下記式(3−1)で示される化合物の含有量:73.3質量%(nは1〜12の数であり、n=1の化合物の含有量は(B−1)中の20.9質量%である)、AHEW:55)
Gaskamine 328S(エピクロロヒドリンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、MXDA含有量:0.9質量%、前記式(3−1)で示される化合物の含有量:99.1質量%(nは1〜12の数であり、n=1の化合物の含有量は(B−2)中の29.3質量%である)、AHEW:70)
製造例1で得られた、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能エポキシ樹脂とイソホロンジアミンとの反応物を含む反応組成物溶液(反応組成物濃度:56質量%、ベンジルアルコール溶液、反応組成物溶液のAHEW:113)
ポリアミドアミン系水系エポキシ樹脂用硬化剤(三菱化学(株)製、固形分濃度:60質量%(ブチルセロソルブ溶液)、AHEW:732)
エポキシ樹脂として、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能液状エポキシ樹脂「jER828」(三菱化学(株)製、エポキシ当量:186g/当量)、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル「ノイゲン EA−207D」(第一工業製薬(株)製、HLB:12.7)、及び、水系エポキシ樹脂用硬化剤として、スチレンとメタキシリレンジアミン(MXDA)との反応物を含む反応組成物である(A−1)Gaskamine 240(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:103)を使用した。
エポキシ樹脂jER828 28g、上記乳化剤2.8g、及び水系エポキシ樹脂用硬化剤(A−1)15.5gを配合し、ディスパー(プライミクス(株)製、ホモディスパー2.5型)で回転速度500rpmにて1分間攪拌した。ここに純水2gを添加してディスパーで回転速度500rpmにて1分間攪拌する操作を10回行い、純水を合計20g添加して、水系エポキシ樹脂組成物を得た。この水系エポキシ樹脂組成物を用いて、前記試験条件1における評価を行った。結果を表3に示す。
実施例11において、乳化剤として「ノイゲン EA−207D」に代えてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル「BLAUNON KTSP−16」(青木油脂工業(株)製、HLB:18.7)を用いたこと以外は、実施例11と同様の方法で水系エポキシ樹脂組成物を調製し、前記試験条件1における評価を行った。結果を表3に示す。
実施例11において、乳化剤として「ノイゲン EA−207D」に代えてエポキシ基及び親水性基を含有するポリマー乳化剤「マープルーフGP−013023(日油(株)製、エポキシ当量:535g/当量、HLB:10.9)を用いた。エポキシ樹脂jER828 28g、乳化剤2.8g、及び水系エポキシ樹脂用硬化剤(A−1)16.0gを配合し、ディスパーで回転速度500rpmにて1分間攪拌した。ここに純水2gを添加してディスパーで回転速度500rpmにて1分間攪拌する操作を10回行い、純水を合計20g添加して、水系エポキシ樹脂組成物を得た。この水系エポキシ樹脂組成物を用いて、前記試験条件1における評価を行った。結果を表3に示す。
(水系エポキシ樹脂用硬化剤混合物の製造)
乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル「ノイゲン EA−207D」(第一工業製薬(株)製、HLB:12.7)、水系エポキシ樹脂用硬化剤として、スチレンとメタキシリレンジアミン(MXDA)との反応物を含む反応組成物である(A−1)Gaskamine 240(三菱瓦斯化学(株)製、AHEW:103)を使用した。
上記乳化剤2.8g、及び水系エポキシ樹脂用硬化剤(A−1)15.5gを配合し、ディスパーで回転速度500rpmにて1分間攪拌して、水系エポキシ樹脂用硬化剤混合物を得た。
上記水系エポキシ樹脂用硬化剤混合物に対し、エポキシ樹脂「jER828」(液状エポキシ樹脂、三菱化学(株)製)28gを配合し、ディスパー(プライミクス(株)製、ホモディスパー2.5型)で回転速度500rpmにて1分間攪拌した。ここに純水2gを添加してディスパーで回転速度500rpmにて1分間攪拌する操作を10回行い、純水を合計20g添加して、水系エポキシ樹脂組成物を得た。この水系エポキシ樹脂組成物を用いて、前記試験条件1における評価を行った。結果を表3に示す。
<水系エポキシ樹脂成分>
〔エポキシ樹脂〕
jER828:
ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有する多官能液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、エポキシ当量:186g/当量)
〔乳化剤〕
ノイゲン EA−207D:
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(第一工業製薬(株)製、HLB:18.7)
BLAUNON KTSP−16:
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(青木油脂工業(株)製、HLB:12.7)
マープルーフGP−013023:
エポキシ基及び親水性基を含有するポリマー乳化剤(日油(株)製、エポキシ当量:535g/当量、HLB:10.9)
<水系エポキシ樹脂用硬化剤成分>
(A−1):
Gaskamine 240(スチレンとMXDAとの反応物を含む反応組成物、三菱瓦斯化学(株)製、スチレンとMXDAとの反応物含有量:>99質量%、MXDA含有量:<1質量%、前記式(2−1)で示される化合物の含有量:49質量%、AHEW:103)
Claims (14)
- スチレンと下記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(A)を含有する、水系エポキシ樹脂用硬化剤。
H2N−CH2−A−CH2−NH2 (1)
(式(1)中、Aは1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、又は1,4−フェニレン基である。) - 前記Aが1,3−フェニレン基である、請求項1又は2に記載の硬化剤。
- 前記硬化剤中の前記反応組成物(A)の含有量が30質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化剤。
- さらに、分子中に少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化剤。
- 前記反応組成物が、エピクロロヒドリンと前記一般式(1)で示されるアミン化合物との反応物を含む反応組成物(B)である、請求項5に記載の硬化剤。
- 前記反応組成物が、分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物とポリアミン化合物との反応物を含む反応組成物(C)である、請求項5に記載の硬化剤。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化剤と、水系エポキシ樹脂とを含有する水系エポキシ樹脂組成物。
- 前記水系エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂、乳化剤、及び水を含有するエポキシ樹脂エマルジョンである、請求項9に記載の水系エポキシ樹脂組成物。
- 前記乳化剤のグリフィン法で定義されるHLBが8.0〜20.0である、請求項10に記載の水系エポキシ樹脂組成物。
- 前記乳化剤がポリオキシアルキレンアリールエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルからなる群から選ばれる1種以上である、請求項10又は11に記載の水系エポキシ樹脂組成物。
- 請求項9〜12のいずれか1項に記載の水系エポキシ樹脂組成物の硬化物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化剤と、乳化剤とを含有する水系エポキシ樹脂用硬化剤混合物。
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