JPWO2018092780A1 - 1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Abstract

1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを含む組成物から、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物を効率よく除去して、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを効率的に製造する1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法の提供。1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよび3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1つの化合物と、を含む組成物を、固体吸着剤と接触させて、前記組成物に含まれる前記化合物を除去する1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。

Description

本発明は、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよび3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物中の、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン以外の不純物を除去する1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法に関する。
ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は、オゾン層に悪影響を及ぼすことから、その生産の規制が予定されている。HCFCは、例えば、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225ca)や1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225cb)等であるが、HCFCの規制に伴い、上記HCFCに代わる化合物の開発が望まれている。
HCFCに代わる化合物の一例は、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HClC=CF−CHF2、HCFO−1233yd)である。1233ydは、地球温暖化係数(GWP)が小さく、洗浄剤、溶剤、冷媒、発泡剤およびエアゾールの用途に有用な化合物である。
ここで、特許文献1には、3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン(HCFC−244ca)を、水酸化クロムを触媒として窒素気流下、気相でフッ化水素と反応させて、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−245ca)を製造する方法が開示されている。この方法では、1233ydが副生する。そのため、上記反応で得られる組成物を回収し、その組成物中に含まれる1233ydを分離することで、1233ydを含む組成物を得ることができる。このようにして得られた1233ydを含む組成物を、洗浄剤、溶剤、冷媒、発泡剤またはエアゾールの用途に使用することができる。
ところで、上記製造方法によって得られる1233ydを含む組成物には、未反応原料であるHCFC−244ca、その製造工程において副生した1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、水、空気中の酸素によって1233ydが酸化されて生成したオキサイドなどが含まれることがある。
この1233ydを含む組成物を洗浄剤、溶剤、冷媒、発泡剤またはエアゾールとして使用する際に、1233ydを含む組成物に高濃度の水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、HCFC−244caなどが含まれると、信頼性および性能上の種々の問題を引き起こすことがある。そのような好ましくない影響を少なくするために、1233ydを含む組成物中に含まれる水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、HCFC−244caなどの量をできるだけ少なくすることが好ましい。
また、1233ydを含む組成物を洗浄剤、溶剤、冷媒、発泡剤またはエアゾールとして使用する際に、1233ydを含む組成物にオキサイドが高濃度で含まれると、安定性の低下と酸性化物質の生成などの問題を引き起こすことがある。そのような好ましくない影響を抑えるために、1233ydを含む組成物に混入するオキサイドの量をできるだけ少なくすることが好ましい。
しかしながら、1233ydを含む組成物から効率的に水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンおよびオキサイドを除去する方法は、特許文献1に記載されていない。
国際公開第1994/014737号
本発明は、上記観点からなされたものであり、1233ydと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物から、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物を効率よく除去できる1233ydの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd、以下単に、「1233yd」ともいう。)の製造方法は、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよび3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1つの化合物と、を含む組成物を、固体吸着剤と接触させて、前記組成物に含まれる前記化合物を除去することを特徴とする。
本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法において、前記固体吸着剤が活性炭、ゼオライト、シリカおよびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、前記組成物が水を含み、前記固体吸着剤がゼオライト、シリカおよびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記水を除去することが好ましい。
また、本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、前記組成物がオキサイドを含み、前記固体吸着剤が活性炭およびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記オキサイドを除去することが好ましい。
また、本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、前記オキサイドが、3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシラン、2,2−ジフルオロアセチルフルオリド、ホルミルクロライド、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのE体、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのZ体、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペン、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのE体、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのZ体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、前記組成物が1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンを含み、前記固体吸着剤が活性炭、シリカおよびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンを除去することが好ましい。
また、本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、前記組成物が3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを含み、前記固体吸着剤が活性炭、アルミナ、ゼオライト4Aおよびゼオライト5Aから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを除去することが好ましい。
本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよび3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1つの化合物と、を含む組成物を製造する工程をさらに有することを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、1233ydと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物から、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物を効率よく除去できる。
また、本発明の製造方法によれば、純度の高い1233ydを効率的に製造できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態である1233ydの製造方法は、1233ydと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物を固体吸着剤と接触させて、上記水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物を除去する1233ydの製造方法である。以下「水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物」を「不純物(A)」ともいい、1233ydと不純物(A)とを含む組成物を「精製用組成物」ともいう。精製用組成物を固体吸着剤と接触させることで、精製用組成物から不純物(A)が除去されて、1233ydが精製され、純度の高い1233ydを製造することができる。ここで、不純物(A)の除去は、その一部が除去されてもよく、全部が除去されてもよい。
[精製用組成物]
本実施形態における精製用組成物は、1233ydと、不純物(A)を含む組成物であれば特に限定されない。また、精製用組成物は、1233ydおよび不純物(A)以外のその他の成分を含んでもよい。その他の成分は、1233ydの製造工程で生成する副生物などである。精製用組成物は、液体でも気体でもよい。
本実施形態における精製用組成物としては、例えば、1233ydを製造する目的で、各種原料成分を反応させて得られる、1233ydを含有する反応生成物を用いることができる。すなわち、後述するように、1233ydの製造工程で、反応生成物に1233ydと不純物(A)が含まれている場合、この反応生成物をそのまま精製用組成物として用いることができる。また、反応生成物を水洗浄やアルカリ洗浄して、反応生成物に含まれるフッ化水素、塩化水素等の酸性物質を除去した後の組成物を精製用組成物として用いることができる。
本実施形態の製造方法において、固体吸着剤と接触させる精製用組成物として具体的には、次の(I)または(II)の方法で得られる、1233ydを含有する反応生成物が挙げられる。
(I)HCFC−244caを、酸化クロムを触媒として窒素気流下、気相でフッ化水素と反応させる方法
(II)HCFC−244caを水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを反応剤として、40℃〜80℃の温度で脱フッ化水素反応する方法
(1233yd)
1233ydは、炭素原子−炭素原子間に二重結合を持つフルオロオレフィンであるため、大気中での寿命が短く、オゾン破壊係数や地球温暖化係数が小さい。
1233ydは二重結合上の置換基の位置により、幾何異性体であるZ体とE体が存在する。本明細書中では特に断らずに化合物名や化合物の略称を用いた場合には、Z体、E体およびZ体とE体との混合体のいずれかを示し、化合物名や化合物の略称の後ろに(E)または(Z)を付した場合には、それぞれの化合物のE体またはZ体であることを示す。例えば、1233yd(Z)はZ体を示し、1233yd(E)はE体を示す。
1233yd(Z)の沸点は約54℃、1233yd(E)の沸点は約48℃であり、ともに乾燥性に優れた化合物である。また、沸騰させて蒸気となっても、その蒸気の温度は、それぞれの沸点付近の温度であるので、熱による影響を受けやすい樹脂部品等に対しても悪影響を及ぼし難い。また、1233ydは引火点を持たず、表面張力や粘度も低く、常温でも容易に蒸発する等、洗浄溶剤や塗布溶剤として優れた性能を有している。
本実施形態における精製用組成物は1233ydを微量でも含んでいればよいが、1233ydの含有量は、精製用組成物の全量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。1233ydの含有量が前記下限値以上であれば、不純物(A)の除去効率がよい。本実施形態における精製用組成物中の1233ydおよび不純物(A)の含有量は特に限定されないが、不純物(A)の除去効率の点で、(不純物(A))/(1233yd)で表わされるモル比で1未満であることが好ましく、0.001〜0.7であることがより好ましく、0.1〜0.2であることがさらに好ましい。
(水)
本実施形態における精製用組成物には、例えば、1233ydの製造工程で生成する水や、1233ydの製造工程で得られた反応生成物を水やアルカリで洗浄した際に混入する水が含まれることがある。精製用組成物が水を含む場合、精製用組成物における水の含有量は、不純物(A)の除去効率の点から、精製用組成物の全量に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
(1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン)
精製用組成物には、1233ydの製造工程において副生した1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンが含まれることがある。1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンは下記式[1]に表される1233ydの脱フッ化水素反応が進行して生成する。
CHCl=CFCHF → CCl≡CCHF + HF ・・・[1]
精製用組成物が1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンを含む場合、精製用組成物における1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンの含有量は、不純物(A)の除去効率の点で、精製用組成物の全量に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
(オキサイド)
本実施形態における精製用組成物にはオキサイドが含まれることがある。
オキサイドとは、1233ydが酸素と反応することにより生成する酸化物のことである。具体的には、3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシラン(化学式(A))、2,2−ジフルオロアセチルフルオリド(化学式(B)、ホルミルクロライド(化学式(C))、(E,Z)−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−ハイドロパーオキシ−1−プロペン(化学式(D))、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペン(化学式(E))、(E,Z)−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペン(化学式(F))等が挙げられる。
Figure 2018092780
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3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシラン、2,2−ジフルオロアセチルフルオリド、ホルミルクロライドは、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行うことにより定量できる。 (E,Z)−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−ハイドロパーオキシ−1−プロペン、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペン、(E,Z)−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのような−O-O-H構造を有するハイドロパーオキサイドの定量は下記反応式[2]、[3]に表されるようにヨウ化ナトリウムによる滴定とチオ硫酸ナトリウムによる逆滴定によって行う。ROOHは任意のハイドロパーオキサイドを表す。
ROOH + 2NaI + HO → I + 2NaOH + ROH
・・・[2]
+ 2Na → Na + 2NaI・・・[3]
上記滴定と逆滴定は、具体的には次のように行う。ハイドロパーオキサイド(ROOH)を含むサンプル溶液約50mLにヨウ化ナトリウム(NaI)の2.5質量%と、アセトン溶液の約40mLとを混合し、さらに冷水約50mLを追加で混合し、前記反応式[2]に表されるように発生したヨウ素(I)によって混合液を黄色に着色させる。この際に着色が発生しない場合はハイドロパーオキサイドが検出下限以下と判定される。着色した場合は、0.01mol/L(0.01N)のチオ硫酸ナトリウム(Na)水溶液で着色が消えるまで混合液の逆滴定を行う。ハイドロパーオキサイドの定量値は前記滴定の実験値を用いて下記計算式で求める。
ハイドロパーオキサイド[質量ppm]
={Na水溶液消費量[mL]×Naモル濃度[mol/mL]×(1/2)×ROOHの分子量}/サンプル溶液重量[g]×10
精製用組成物がオキサイドを含む場合、精製用組成物におけるオキサイドの含有量は、不純物(A)の除去効率の点で、精製用組成物に対して0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。
(HCFC−244ca)
HCFC−244caは、例えば、1233ydの製造原料として使用される。この場合、HCFC−244caは未反応原料として精製用組成物に含有される。精製用組成物がHCFC−244caを含む場合、精製用組成物におけるHCFC−244caの含有量は、不純物(A)の除去効率の点で、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
[固体吸着剤]
本実施形態における固体吸着剤は、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物を吸着するものである。固体吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。固体吸着剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
固体吸着剤は、精製用組成物と接触させる前に、予め100℃〜400℃の乾燥ガスにより加熱処理されたもの、または減圧下で加熱処理されたものであることが好ましい。これにより、不純物(A)の吸着性能を向上させることができる。
(活性炭)
本実施形態に用いられる活性炭は、たとえば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ製造時の副産物、バカス、廃糖蜜、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、コールタールなどの植物系原料や化石系原料、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂などの各種合成樹脂、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレンなどの合成ゴム、その他合成木材、合成パルプなどの活性炭原料の炭化、賦活によって得られる活性炭が挙げられる。これらの活性炭原料の中では、不純物(A)に対して、高い吸着性能を有するため、ヤシ殻が好適に使用される。
本実施形態に用いられる活性炭としては、不純物(A)の吸着性能に優れる点で、−196℃での窒素吸着法により測定した(Micromeritics製 ASAP2405等を使用)。細孔特性として、比表面積が、600m/g〜2500m/gであることが好ましく、1000m/g〜1600m/gであることがより好ましく、平均細孔直径は、1.6nm〜3.5nmであることが好ましく、1.7nm〜2.0nmであることがより好ましい。細孔容積は0.25mL/g〜1.5mL/gであることが好ましく、0.3mL/g〜1.0mL/gであることがより好ましい。
また、同様に、本実施形態に用いられる活性炭は、不純物(A)の吸着性能に優れる点で、JIS K1474試験法により測定した一般物性値として、乾燥減量が5.0質量分率%以下であり、0質量%を超え〜5.0質量%であることが好ましく、強熱残分は5.0質量分率%以下であることが好ましい。充てん密度は、0.25g/mL〜0.85g/mLであることが好ましく、0.35g/mL〜0.60g/mLがより好ましい。pHは、4.0〜12.0であることが好ましく、5.0〜11.0がより好ましい。アセトン吸着性能は、14.0質量分率%〜41.0質量分率%であることが好ましく、25.0質量分率%〜39.0質量分率%がより好ましい。ヨウ素吸着性能が600mg/g〜2600mg/gであることが好ましく、900mg/g〜1600mg/gがより好ましい。硬さは90.0質量分率%〜100.0質量分率%であることが好ましい。
本実施形態に用いられる活性炭の形状としては、長さ2mm〜10mm程度の成形炭、4メッシュ〜50メッシュ程度の破砕炭、粒状炭等が挙げられ、活性の点から、4メッシュ〜50メッシュの破砕炭、または長さ2mm〜5mmの成形炭が好ましい。なかでも、経済的に有利な点で、破砕状の活性炭が好ましく、破砕状のヤシ殻活性炭が特に好ましい。活性炭は市販品を用いてもよく、また、公知の方法で製造した活性炭を用いてもよい。さらに、活性炭としては、酸処理、熱処理、水蒸気処理などの前処理を施したものも使用できる。
(ゼオライト)
本実施形態に用いられるゼオライトとは、以下の化学式[4]または[5]で示す化学組成を有する合成ゼオライトである。
Na[(AlO12(SiO12]・27HO …………[4]
(ここで、x+y=12であり、x:y=4:6〜8:2である。)
Na[(AlO86(SiO106]・276HO …………[5]
(ここで、x+y=86であり、x:y=4:6〜8:2である。)
本実施形態に用いられるゼオライトとしては、例えば、ゼオライト3A、4Aおよび5Aが挙げられる。ゼオライト3A、4Aおよび5Aとは、細孔径が0.25nm〜0.45nmを有する合成ゼオライトである。
本実施形態におけるゼオライト3Aとは、細孔径が0.28nm±0.03nmを有する合成ゼオライトをいう。ただし、通常の操作温度において空洞内に入ってくる分子の伸縮と運動エネルギーのために、この合成ゼオライト3Aは有効直径0.3nmまでの分子を通過させることができるものである。
本実施形態におけるゼオライト4Aとは、細孔径が0.35nm±0.03nmを有する合成ゼオライトをいう。
本実施形態におけるゼオライト5Aとは、細孔径が0.42nm±0.03nmを有する合成ゼオライトをいう。
このようなゼオライトとして、A型合成ゼオライトのうちで3A、4Aおよび5Aと表記されるものが挙げられる。市販品としては、モレキュラーシーブ3A、4A、5A(ユニオン昭和社の商品名)等がある。また、X型合成ゼオライトの市販品としては、モレキュラーシーブ13Xがある。また、ゼオライト3A、4Aまたは5Aに加えて、モレキュラーシーブ13Xを併用してもよい。なお、固体吸着剤の細孔径は、定容量式ガス吸着法により測定することができる。上記定容量式ガス吸着法に使用する吸着ガスとしては、N、CO、CH、H、Ar等が挙げられる。
(シリカ)
本実施形態において、シリカは、主としてSiOの化学組成を有する化合物である。シリカとしては、多孔質合成シリカゲル、メソポーラスシリカ、シリカアルミナ等が挙げられる。シリカは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
固体吸着剤として用いられるシリカの形状としては、粉末状、微粒子状、顆粒状、薄膜状等が挙げられる。シリカの形状は、反応方法に応じて適した形状を適宜選択することができる。シリカの形状は、不純物(A)の吸着性能の点で、粉末状または微粒子状が好ましい。なかでも、微粒子状のシリカは、液状の精製用組成物中に均一に分散されて分散液の状態になるため、取り扱い易い。また、微粒子状のシリカは、後述の吸着層を反応器内に形成し易い。
本実施形態において使用される多孔質合成シリカゲルは、細孔を有するシリカゲルである。多孔質合成シリカゲルの形状は、破砕した非球状であっても、球状であってもよいが、強度が高く、リサイクル使用しやすい点から、球状であることが好ましい。また、「球状」とは真球に限定されるものではなく、楕円球などやや変形した球形を含む。「球状」は好ましくは平均球形度0.5以上であり、より好ましくは0.85以上である。
また、球状の多孔質合成シリカゲルの平均粒径は0.1μm〜10000μmであることが好ましく、1μm〜5000μmがより好ましい。球状の多孔質合成シリカゲルの平均細孔径は0.5nm〜100nmであることが好ましく、2nm〜50nmがより好ましい。球状の多孔質合成シリカゲルの比表面積は10m/g〜10000m/gであることが好ましく、30m/g〜1000m/gがより好ましい。これらの範囲を外れる場合、有効粒子や細孔の含有率が低下し、反応速度の低下、副反応の進行などを招くおそれがある。
多孔質合成シリカゲルは、市販品として容易に入手可能であり、公知の方法により合成することもできる。さらに、この多孔質合成シリカゲルは、活性化処理などの前処理が施されていてもよい。例えば、多孔質合成シリカゲルの市販品としては、クロマトグラフの担体としてもよく用いられているシリカゲル40、シリカゲル60、和光純薬工業社製Wakosil C−200、Wakosil C−300、関東化学社製球状シリカゲル等が挙げられる。
なお、本明細書において、平均粒径は、JIS Z 8801に規定するふるい分け法で測定した重量基準50%平均粒径の値である。比表面積は、N、CO、CH、H、Ar等を用いて、ガス吸着法で測定することができる。
メソポーラスシリカとは、均一で規則的なメソ孔(直径2nm〜50nmの細孔)を持つ、主としてSiOの化学組成を有する無機物である。メソポーラスシリカの形状は、球状、粉末状、微粒子状、薄膜状等が挙げられる。なかでも、比表面積が大きく、強度が高く、リサイクル使用しやすく、簡便に工業生産できる面から、球状の微粒子がより好ましい。メソポーラスシリカの細孔径は2nm〜50nmであることが好ましく、2nm〜10nmがより好ましい。メソポーラスシリカの細孔径が2nmより小さくなると、メソポーラスシリカ中への精製用組成物の拡散速度が低く、吸着性能が低下するおそれがある。一方、メソポーラスシリカの細孔径が50nmより大きくなると、精製用組成物とメソポーラスシリカが十分に接触せず、高選択率、高収率が得られないおそれがある。
メソポーラスシリカのBET比表面積は10m/g〜3000m/gであることが好ましく、50m/g〜3000m/gがより好ましい。このようなBET比表面積のメソポーラスシリカは、容易に製造でき、また、精製用組成物に効率よく接触して不純物(A)を効果的に吸着することが可能である。
また、メソポーラスシリカの平均粒径は0.2μm〜10000μmであることが好ましく、1μm〜5000μmがより好ましい。
メソポーラスシリカの代表的な例として、MCM−41、MCM−48、MCM−50、SBA−1、SBA−11、SBA−15、SBA−16、FSM−16、KIT−5、KIT−6、HMS(六方晶)、MSU−F、MSU−H等が挙げられる。これらのメソポーラスシリカは市販されているものを入手して使用することができる。また、公知の方法によって合成することもできる。
シリカアルミナは、シリカ(SiO)とアルミナ(Al)を主成分とする複合酸化物であり、結晶性のものであっても、非晶質のものであってもよい。シリカアルミナ中におけるシリカおよびアルミナの含有率の合計は95質量%以上であり、かつシリカの含有率は50mol%以上であることが好ましい。
シリカアルミナの形状としては、球状、粉末状、微粒子状、薄膜状等が挙げられる。なかでも、比表面積が大きく、強度が高く、リサイクル使用しやすく、簡便に工業生産できる面から、球状の微粒子が好ましい。
球状微粒子のシリカアルミナの平均粒径は0.2μm〜20000μmであることが好ましく、1μm〜10000μmがより好ましい。球状微粒子のシリカアルミナの平均細孔径は1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。球状微粒子のシリカアルミナの比表面積は10m/g〜10000m/gであることが好ましく、30m/g〜1000m/gであることがより好ましい。上記平均粒径や比表面積の球状微粒子のシリカアルミナは、容易に製造できる。また上記平均粒径や比表面積であれば、精製用組成物の拡散速度が高く、不純物(A)の吸着性能に優れる。
シリカアルミナは、市販品として容易に入手可能であり、また、公知の方法により合成することができる。さらに、このシリカアルミナは、必要に応じて活性化処理等の前処理を施したものであってもよい。
シリカアルミナの市販品としては、例えば、富士シリシア化学社製シリカアルミナ308、日揮触媒化成社製N633HN、N631HN、N633L、N631L、シグマアルドリッチ社製Al−MCM−41、Al−MSU−F等が挙げられる。
(アルミナ)
アルミナは、主としてAlの化学組成を有する化合物である。アルミナとしては、活性アルミナが好ましい。活性アルミナは、無機多孔質体であり、水酸化アルミニウムから高温安定相であるα−アルミナへの転移過程における準安定相のアルミナである。比表面積が大きく吸着性能に優れることから、活性アルミナは非晶質ないしγ−アルミナであることが好ましい。
活性アルミナの形状は、球状、円柱状、角柱状、タブレット状、中空円筒状、ハニカム状などの成形体であることが好ましく、粒径が3mm〜8mmの粒状物であることが取り扱いの点で、また固−気接触時の圧力損失を可及的に少なくする点で好ましい。
活性アルミナに含有される細孔は、ミクロポア(細孔径20オングストローム以下)、マクロポア(細孔径500オングストローム以上)および両者の中間に位置するメソポアに分類される。これらの細孔のうち、不純物(A)を物理的吸着するのはミクロポアであり、メソポアおよびマクロポアは精製用組成物の拡散律速を緩和すると考えられる。ミクロポアの占める細孔容積は全細孔容積の10%〜50%の範囲内にあることが好ましい。活性アルミナ中のメソポアおよびマクロポアの細孔径や容積は、活性アルミナを製造する際の原料の種類や、成形条件を調節することにより、調節することができる。
活性アルミナは、不純物(A)の吸着性能に優れる点で、BET比表面積が50m/g〜350m/gであることが好ましく、100m/g〜350m/gがより好ましい。また、活性アルミナの、窒素吸着法で測定した平均細孔径は、5オングストローム〜200オングストロームが好ましく、10オングストローム〜150オングストロームがより好ましい。また、活性アルミナの細孔容積は、0.1mL/g〜0.8mL/gが好ましく、0.2mL/g〜0.5mL/gがより好ましい。
(固体吸着剤と精製用組成物の接触方法)
本実施形態の製造方法において、1233ydと不純物(A)を含む精製用組成物を、上記した固体吸着剤に接触させることにより、精製用組成物中の不純物(A)が固体吸着剤に吸着されて除去される。
固体吸着剤に接触させる際の精製用組成物は、気体(ガス状)でも液体(液状)でもよい。本実施形態の製造方法において、固体吸着剤のうち2種以上を併用する場合には、接触させる固体吸着剤の順序は特に限定されない。例えば、精製用組成物を、固体吸着剤の2種以上に、順番に接触させてもよく、固体吸着剤の2種以上を混合する等して、同時に接触させてもよい。順番に接触させる場合には、用いられる固体吸着剤のそれぞれについて、後述する接触方法によって精製用組成物と固体吸着材とを接触させればよい。
以下、ガス状の精製用組成物を用いる方法を例に説明する。この方法では、例えば、反応器内に、固体吸着剤を充填して吸着層を形成し、その吸着層に、1233ydを含むガス状の精製用組成物を流通させることで固体吸着剤と精製用組成物を接触させることができる。この方法による固体吸着剤と精製用組成物の接触は、回分式(バッチ式)でもよく、連続式でもよい。
吸着層における固体吸着剤の充填密度は、0.1g/cm以上が好ましく、0.25g/cm以上がより好ましい。固体吸着剤の充填密度が下限値以上であれば、単位容積あたりの固体吸着剤の充填量が多くなり、ガス状の精製用組成物の処理量を多くできるため1233yd以外の不純物(A)の除去効率が向上する。吸着層は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。吸着層が2つ以上の場合、それらの吸着層は並列であっても直列であってもよい。
接触時の吸着層の温度は、精製用組成物をガス状態で維持するために、1233ydの沸点以上である60℃〜100℃が好ましく、70℃〜90℃がより好ましい。吸着層の温度が下限値以上であれば、固体吸着剤による、不純物(A)の除去効率が向上する。吸着層の温度が上限値以下であれば、精製後の組成物の冷却に要するエネルギーがより少なくてすみ、設備等も簡便になる。
接触時の反応器内の圧力(ゲージ圧、以下同様。)は、10kPa〜500kPaが好ましく、90kPa〜300kPaがより好ましい。圧力が下限値以上であれば、不純物(A)の除去効率が向上する。圧力が上限値以下であれば、取り扱い性がよく、設備等が簡便ですむ。
吸着層に流通させるガス状の精製用組成物と吸着層との接触時間は、1秒〜1000秒が好ましく、3秒〜300秒がより好ましい。ガス状の精製用組成物と吸着層との接触時間が下限値以上であれば、不純物(A)の除去効率が向上する。ガス状の精製用組成物と吸着層との接触時間が上限値以下であれば、精製用組成物の精製に用いる吸着層が小さくて済むので、設備などが簡便になる。なお、吸着層に1233ydを含む精製用組成物を流通させる方法においては、接触時間は、精製用組成物の反応器内での滞留時間に相当し、精製用組成物の反応器への供給量(流量)を調節することで制御できる。後述の液状の精製用組成物を用いる場合も同様である。
また、除去効率の点から、吸着層に流通させるガス状の精製用組成物に含まれる不純物(A)の総量は、吸着層中の固体吸着剤の1質量部に対して、0.05質量部以下が好ましく、0.02質量部以下がより好ましい。つまり、ガス状の精製用組成物を用いる方法においては、固体吸着剤に接触させるガス状の精製用組成物の量を、不純物(A)の固体吸着剤に対する割合が上記上限値以下となるように調節して接触させることが好ましい。
精製用組成物ガスの固体吸着剤との接触に使用する反応器としては、固体吸着剤を充填して吸着層を形成できる反応器であればよい。反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする合金、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素樹脂等が挙げられる。
次に、液状の精製用組成物を用いる方法を説明する。この方法では、ガス状の精製用組成物を用いる方法と同様に、反応器内に吸着層を形成し、その吸着層に、1233ydを含む液状の精製用組成物を流通させる方法を用いることができる。また、固体吸着剤を収容した反器内で、精製用組成物に固体吸着剤を浸漬し、必要に応じて混合、撹拌する方法を用いることができる。これらの方法による固体吸着剤と精製用組成物の接触は、回分式(バッチ式)でもよく、連続式でもよい。
精製用組成物を液体の状態で固体吸着剤に接触させる際には、精製用組成物を常圧で沸点以下の温度に調節して液状とすることができる。また、精製用組成物を溶媒に溶解させて液状とすることができる。このとき使用される溶媒としては、1233ydと沸点の異なる溶媒を用いることで、蒸留等の方法で当該溶媒を精製後の組成物から容易に除去することができる。
固体吸着剤と精製用組成物の接触時の反応器内の温度は、−30℃〜70℃が好ましく、10℃〜40℃がより好ましい。反応器内の温度が下限値以上であれば、1233yd以外の不純物の除去速度が向上する。反応器内の温度が上限値以下であれば、精製後の組成物の冷却に要するエネルギーがより少なくてすみ、設備等も簡便になる。
固体吸着剤と精製用組成物の接触時の反応器内の圧力は、0kPa〜200kPaが好ましく、100kPa〜150kPaがより好ましい。圧力が下限値以上であれば、1233yd以外の不純物の除去速度が向上する。圧力が上限値以下であれば、取り扱い性がよく、設備等が簡便ですむ。
吸着層に1233ydを含む精製用組成物を流通させる方法においては、吸着層に流通させる液状の精製用組成物と吸着層との接触時間は、1秒〜1000秒が好ましく、3秒〜300秒がより好ましい。液状の精製用組成物と吸着層との接触時間が下限値以上であれば、不純物(A)の除去効率が向上する。液状の精製用組成物と吸着層との接触時間が上限値以下であれば、組成物の精製に用いる吸着層が小さくて済むので、設備などが簡便になる。
吸着層における固体吸着剤の充填密度および吸着層の構成の好ましい態様はガス状の精製用組成物を用いる方法と同様である。
固体吸着剤を収容した反応器内で固体吸着剤を精製用組成物に浸漬する方法においては、反応器内における液状の精製用組成物と固体吸着剤との接触時間は、1時間〜100時間が好ましく、3時間〜60時間がより好ましい。液状の精製用組成物と固体吸着剤との接触時間が下限値以上であれば、不純物(A)の除去効率が向上する。液状の精製用組成物と固体吸着剤との接触時間が上限値以下であれば、精製用組成物の精製に用いる固体吸着剤の量が少なくて済むので、設備などが簡便になる。
固体吸着剤を、反応器内で精製用組成物に浸漬する方法では、精製用組成物の精製後に、沈降あるいはろ過によって、精製された組成物と固体吸着剤を分離することができる。
また、不純物(A)の除去効率が向上する点から、固体吸着剤に接触させる液状の精製用組成物に含まれる不純物(A)の総量は、固体吸着剤の1質量部に対して、0.05質量部以下が好ましく、0.02質量部以下がより好ましい。つまり、液状の精製用組成物を用いる方法においては、固体吸着剤に接触させる精製用組成物の液量を、上記不純物(A)の固体吸着剤に対する割合が上記上限値以下となるように調節して接触させることが好ましい。
液状の精製用組成物と固体吸着剤との接触に使用する反応器としては、例えば、固体吸着剤を収容できるものや、固体吸着剤からなる吸着層を形成できるものであればよい。反応器の材質としては、例えば、ガラス、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする合金、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素樹脂等が挙げられる。混合液を固体吸着剤と混合して接触させる反応器としては、所望の温度、圧力で、固体吸着剤に精製用組成物を液体状態で接触させることのできる反応器、例えばオートクレーブ等が挙げられる。
(精製後の組成物)
一般的に、固体吸着剤は、精製対象である組成物の組成や固体吸着剤の種類(物質組成や細孔の大きさ)によって、吸着し易い化合物が異なる。1233ydと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物を精製対象とする本実施形態において、例えば、水は、ゼオライト、好ましくはゼオライト3Aまたはゼオライト4Aに吸着されやすい。また、水は、アルミナ、シリカにも吸着され易い。そのため、本実施形態の精製においては、固体吸着剤としてアルミナ、シリカまたはゼオライト(特に、ゼオライト3Aまたは4A)を用い、1233ydと水を含む精製用組成物と接触させることで、組成物中の水を選択的に除去し、1233ydを精製することができる。
精製用組成物中のオキサイドは、活性炭、アルミナに吸着され易い。そのため、本実施形態の製造方法においては、固体吸着剤として活性炭またはアルミナを用い、1233ydとオキサイドを含む精製用組成物と接触させることで、オキサイドを選択的に除去し、1233ydを製造することができる。
また、精製用組成物中の1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンは、活性炭、シリカ、アルミナに吸着されやすい。そのため、固体吸着剤として活性炭、シリカまたはアルミナを用い、1233ydと1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンとを含む精製用組成物と接触させることで、精製用組成物から、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンを効率よく除去して、1233ydを製造することができる。
また、精製用組成物中のHCFC−244caは、活性炭、アルミナ、ゼオライト4A、5Aに吸着されやすい。そのため、固体吸着剤として活性炭、ゼオライト4A、またはゼオライト5Aを用い、1233ydとHCFC−244caとを含む精製用組成物と接触させることで、精製用組成物から、HCFC−244caを効率よく除去して、1233ydを製造することができる。
このように、固体吸着剤の1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることで、精製用組成物に含まれる不純物(A)のうち、所望の化合物を望まれる程度に除去することができる。
本実施形態の製造方法により、精製用組成物に含まれる不純物(A)を除去することにより、不純物(A)の含有量が低減された組成物を得ることができる。
また、本実施形態の製造方法により精製した後の組成物中の1233ydの含有量は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。精製後の組成物中の水の含有量は、0.005質量%以下であることが好ましく、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンの含有量は0.001質量%以下であることが好ましく、0.0005質量%以下であることがより好ましく、0.0003質量%以下であることがさらに好ましい。また、精製後の組成物中HCFC−244caの含有量は0.1質量%以下であることが好ましく、0.058質量%以下であることがより好ましい。各成分が前記上限値以下であれば、各用途における種々の性能を発揮することができる。精製後の組成物中のオキサイドの含有量は、5質量ppm以下であることが好ましい。オキサイドの含有量が前記上限値以下であれば、溶剤組成物の安定性の低下を充分に防止できる。また、オキサイドの含有量が前記上限値以下であれば、0質量ppmの極限まで低減しなくてもよい。精製後の組成物中のオキサイドの含有量は、1質量ppm以上が好ましく、2質量ppm以上がより好ましい。前記下限値以上であれば、1233ydの酸化が抑えられて、溶剤組成物の安定性に優れる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態である1233ydの製造方法は、1233ydを含む精製用組成物を製造する工程を有する。
本実施形態の製造方法においては、(I)または(II)に示す1233ydの製造工程で得られる反応生成物や、反応生成物から酸性物質等を除去した混合組成物を精製用組成物として用いることができる。このような、精製用組成物に対して上記第1の実施形態として示した精製を行うことで、1233ydと、不純物(A)とを含む組成物から、不純物(A)を効率的に除去できる。
(I)HCFC−244caを、酸化クロムを触媒として窒素気流下、気相でフッ化水素と反応させる方法
HCFC−244caとフッ化水素を含む原料組成物を、酸化クロム触媒が充填された触媒層を有する反応器内で、気相で反応させ、1233ydを含む組成物を生成する。
このようなHCFC−244caとフッ化水素の気相触媒反応においては、1233ydと塩化水素等の酸性物質とを含む反応生成物を得ることができる。そして、反応生成物に含まれる酸性物質をアルカリ洗浄等により除去して混合組成物を得ることができる。混合組成物に含有される1233yd以外の化合物としては、未反応原料であるHCFC−244caの他、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、HCFC−245ca、2,3,3−トリフルオロプロペン(HC=CF−CHF)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC=CF−CHF)、オキサイド等の化合物が挙げられる。
このようにして得られる反応生成物または混合組成物を精製用組成物として用い、上記第1の実施形態として示した精製を行うことで、精製用組成物中の、不純物(A)を効率的に除去できる。反応生成物または混合組成物に含まれ、かつ、精製後の組成物に含まれる1233yd以外のその他の成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。また、1233ydから固体吸着剤によって分離されたHCFC−244caは、固体吸着剤から放散させ、回収することにより、原料の一部としてリサイクルが可能である。
(II)HCFC−244caを、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを反応剤として、40℃〜80℃の温度で脱フッ化水素反応する方法
HCFC−244caを水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液中で、40℃〜80℃の温度で脱フッ化水素反応させることで、1233ydを含む組成物を生成する。上記反応においては、反応を促進する目的で、相間移動触媒の存在下で脱フッ化水素反応させることが好ましい。また、水酸化カリウム水溶液または水酸化ナトリウム水溶液中の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの量はHCFC−244caのモル数に対して1〜3倍モル量であることが好ましい。
このようなHCFC−244caを水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを反応剤として、40℃〜80℃の温度で脱フッ化水素反応する合成方法においては、1233ydを含む反応生成物を得ることができる。反応生成物が含有する1233yd以外の化合物としては、未反応原料であるHCFC−244caに加えて、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイド等の化合物が挙げられる。
このようにして得られる反応生成物を精製用組成物として用い、上記第1の実施形態として示した精製を行うことで、精製用組成物中の、不純物(A)を効率的に除去できる。反応生成物に含まれ、かつ、精製後の組成物に含まれる1233yd以外のその他の成分は、蒸留等の既知の手段により、望まれる程度に除去することができる。また、1233ydから固体吸着剤によって分離されたHCFC−244caは、固体吸着剤から放散させ、回収することにより、原料の一部としてリサイクルが可能である。
以下に、本発明について実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(分析方法)
分析対象組成物中の水とハイドロパーオキサイド以外の成分の含有量(含有比率)は、ガスクロマトグラフィーで分析する。カラムはDB−1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いる。水の含有量は、カールフィッシャー水分計で分析し、ハイドロパーオキサイドの含有量は、上記のハイドロパーオキサイド測定法によって分析する。
また、上記ガスクロマトグラフィー、カールフィッシャー水分計およびハイドロパーオキサイド測定法の分析結果を用いて、分析対象組成物の全体量に対する1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンの割合(質量%)、水の割合(質量%)、オキサイドの割合(質量ppm)およびHCFC−244caの割合(質量%)を求めた。
なお、オキサイドの含有量は、上記ガスクロマトグラフィーおよびハイドロパーオキサイド測定法による分析結果の総量とする。
(製造例:1233ydの製造)
2000gのHCFC−244caを原料にして、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドの19.9gを入れ、反応温度を50℃に保ち、40質量%水酸化カリウム水溶液の2792gを30分かけて滴下した。その後、52時間反応を続け、有機相と水相を二相分離し、有機相を回収した。回収した有機相を粗蒸留し、留分を回収することで1233yd、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンおよびオキサイドを含む組成物(精製用組成物)を得た。
(実施例1)
上記の製造例により得られた1233ydを含む精製用組成物のオキサイドの含有量を上記のガスクロマトグラフィーおよびハイドロパーオキサイド測定法で定量したところ、3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシランが20質量ppm、ハイドロパーオキサイドが19質量ppm、合計して39質量ppmのオキサイドが含まれていることが判明した。このため、上記オキサイドを含む精製用組成物に、精製用組成物中の1233ydの1kgに対して1質量%の活性炭(セラケム株式会社製、ヤシ殻系破砕状活性炭、製品名:富士炭素B−CW)を加えて室温で48時間静置した。48時間後、1233ydから活性炭を分離してオキサイドの含有量を測定したところ、3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシランが0質量ppm、ハイドロパーオキサイドが2.2質量ppm、合計して2.2質量ppmであった。
(実施例2)
上記39質量ppmのオキサイドが含まれている精製用組成物に、精製用組成物中の1233ydの1kgに対して1質量%の活性アルミナ(富士株式会社製、活性アルミナ、製品名PSG−D25)を加えて室温で48時間静置した。48時間後、1233ydから活性アルミナを分離してオキサイドの含有量を測定したところ、3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシランが0質量ppm、ハイドロパーオキサイドが3.2質量ppm、合計して3.2質量ppmであった。
実施例1、2より、1233ydを含む精製用組成物と、活性炭または活性アルミナを接触させることで、精製用組成物からオキサイドを効果的に除去できることが明らかになった。
(実施例3)
上記の製造例により得られる1233ydを含む精製用組成物中のオキサイド以外の組成を分析したところ、表1に示す組成で1233yd、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンおよびHCFC−244caが含まれる。表1に示す組成比の1233ydを1L蓋付きポリプロピレン製容器に入れ、精製用組成物に、精製用組成物中の1233ydの1kgに対して1質量%の活性炭(セラケム株式会社製、ヤシ殻系破砕状活性炭、製品名:富士炭素B−CW)を加えて室温で48時間静置する。48時間後、精製用組成物から活性炭を分離してオキサイド以外の組成を分析すると、表1に示す組成となる。
(実施例4)
活性炭の代わりに活性アルミナ(富士株式会社製、活性アルミナ、製品名PSG−D25)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で処理をする。処理後、精製用組成物から活性アルミナを分離してオキサイド以外の組成を分析すると、表1に示す組成となる。
(実施例5)
活性炭の代わりにゼオライト3A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ3A)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で処理をする。処理後、精製用組成物からゼオライト3Aを分離してオキサイド以外の組成を分析すると、表1に示す組成となる。
(実施例6)
活性炭の代わりにゼオライト4A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ4A)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で処理をする。処理後、精製用組成物からゼオライト4Aを分離してオキサイド以外の組成を分析すると、表2に示す組成となる。
(実施例7)
活性炭の代わりにゼオライト5A(ユニオン昭和製、商品名:モレキュラーシーブ5A)を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で処理をする。処理後、精製用組成物からゼオライト5Aを分離してオキサイド以外の組成を分析すると、表2に示す組成となる。
(実施例8)
活性炭の代わりにシリカゲル(関東化学株式会社、商品名:球状シリカゲル(粒子径63−210μm))を用いたこと以外は実施例3と同様の方法で処理をする。処理後、精製用組成物からシリカゲルを分離してオキサイド以外の組成を分析すると、表2に示す組成となる。
Figure 2018092780
Figure 2018092780
実施例3〜8より、1233ydを含む精製用組成物を、活性炭、アルミナ、ゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5Aおよびシリカゲルと接触させることで、精製用組成物から水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンおよびHCFC−244caを効果的に除去できることがわかる。特に、精製用組成物からの水の除去には、アルミナ、ゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5Aまたはシリカゲルを用いると効果が高く、精製用組成物からの1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンの除去には、活性炭、アルミナ、ゼオライト5Aまたはシリカゲルを用いると効果が高いことが分かる。さらに、HCFC−244caの除去には、活性炭、アルミナ、ゼオライト4A、ゼオライト5Aを用いると効果が高いことが分かる。
本発明の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法によれば、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物から、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caを効率的に除去することができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記した1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの精製を行うことで、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caから選ばれる1つ以上の化合物とを含む組成物から、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよびHCFC−244caを効率的に除去することができるため、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンを効率よく製造することができる。

Claims (8)

  1. 1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよび3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1つの化合物と、を含む組成物を、固体吸着剤と接触させて、前記組成物に含まれる前記化合物を除去することを特徴とする1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  2. 前記固体吸着剤が活性炭、ゼオライト、シリカおよびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  3. 前記組成物が水を含み、前記固体吸着剤がゼオライト、シリカおよびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記水を除去する、請求項1または2に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  4. 前記組成物がオキサイドを含み、前記固体吸着剤が活性炭およびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記オキサイドを除去する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  5. 前記オキサイドが、3−クロロ−2−(ジフルオロメチル)−2−フルオロオキシラン、2,2−ジフルオロアセチルフルオリド、ホルミルクロライド、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのE体、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのZ体、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペン、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのE体、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−3−ハイドロパーオキシ−1−プロペンのZ体から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  6. 前記組成物が1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンを含み、前記固体吸着剤が活性炭、シリカおよびアルミナから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピンを除去する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  7. 前記組成物が3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを含み、前記固体吸着剤が活性炭、アルミナ、ゼオライト4Aおよびゼオライト5Aから選ばれる少なくとも1種を含み、前記組成物から前記3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを除去する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  8. 3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンを脱フッ化水素反応させて、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンと、水、1−クロロ−3,3−ジフルオロ−1−プロピン、オキサイドおよび3−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパンから選ばれる少なくとも1つの化合物と、を含む組成物を製造する工程をさらに有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
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