JPWO2018087842A1 - 防護柵及び防護柵の施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
支柱の立設構造については、支柱下部を地中やコンクリート基礎に建て込む埋設タイプと(特許文献1,2)、斜面に固定したベースプレート上に支柱を立設する非埋設タイプに大別され、後者の非埋設タイプは支柱下部がヒンジタイプ(特許文献3,4)と、非ヒンジタイプ(特許文献5)に分けられる。
防護ネットの上下辺を支柱に取り付けた防護柵においては、鉛直線に対して支柱を谷側へ向けて傾倒させている。
斜面に対する支柱の立設角度は防護ネットによる柵高(捕捉高さ)に影響を及ぼすことから、何れのタイプにあっても落石等の跳躍を想定し最も柵高が高くなるように現場斜面の勾配程度や凹凸等を考慮して好適な角度を選択している。
<1>各支柱の立設角度は一定ではなく現場の状況に応じて異なる。鉛直に対する隣り合う各支柱の傾倒角度差が大きくなると、四つ角が90度の方形を呈する防護ネットでは対応できないために、スパン毎に現場測量を行い、この測量に基づき変形した略台形状の防護ネットを個別に製作しなければならず、コストが高くつくだけでなく工期も長くかかる。
<2>殊に隆起した尾根斜面の横断方向に沿って支柱を立設する場合は、平らな斜面に立設する場合と比べて鉛直線に対する隣り合う支柱の傾倒角度差が大きくなり易くなって防護柵の施工が難しくなる。
<3>スパン毎に個別形状の防護ネットを使用する場合には、多種類の防護ネットの管理と使い分けが必要となり、防護ネットの取り扱いが面倒となる。
<4>ヒンジタイプの支柱を具備した防護柵において、山側控えロープに積雪荷重等が作用すると支柱が山側に引っ張られて傾倒する。
山側へ支柱が傾倒すると、柵高が低く変化するだけでなく、最悪の場合は防護柵全体が山側へ転倒してしまう。
<5>山側へ向けた支柱の傾倒防止手段として、谷側アンカーと支柱頭部との間に谷側控えロープを追加設置する方法がある。
一般に作業環境の悪い山岳地帯でアンカー工を行うには多くの時間と労力とコストを要することから、山側アンカー及び谷側アンカーのアンカー工に要する工期及び工費が倍増する。
<1>斜面の勾配変化や起伏変化の影響を受けずに、簡単な作業で以て複数の支柱を同一の傾倒角度に揃えて立設すること。
<2>防護ネットのコストを削減すること。
<3>経済的に効率よく防護柵を施工できること。
本発明の他の形態において、前記角度調整脚は支柱の山側側面に当接するスライド板と、前記スライド板の裏面に山側斜面へ向けて斜めに突設した斜材と、前記スライド板を支柱の任意の高さに取り付け可能な固定手段とを具備する。
本発明の他の形態において、前記固定手段がボルト止め手段である。
本発明の他の形態において、前記斜材の下端に接地板を有する。
本発明の他の形態において、前記複数の支柱の傾倒角度が鉛直線に対して20°〜0°である。
本発明は、斜面に傾倒可能に立設された複数の支柱と、隣り合う支柱の上下間に横架された方形を呈する複数のネットパネルからなる防護ネットと、山側アンカーと支柱の頭部との間に接続された山側控えロープと、前記支柱の側面に山側斜面へ向けて斜めに突設され、支柱と山側斜面との間に介装される角度調整脚とを用いて施工する防護柵の施工法であって、前記山側控えロープの張出長さを調整することで、谷側へ向けて傾倒する複数の支柱を同一の傾倒角度に調整する作業と、山側斜面に反力を得て山側へ向けた複数の支柱の傾倒を規制し得るように、現場で支柱の山側側面に取付けた前記角度調整脚の取付け高さを調整して固定する作業とを含む。
<1>角度調整脚の取付け高さを調整するだけの簡単な操作で、斜面の勾配変化や起伏変化の影響を受けずに、複数の支柱の傾倒角度を同一に揃えて立設することができる。
<2>隣り合う支柱を平行に立設できるので、共通したネットパネルを使用できる。
そのため、複数のネットパネルからなる防護ネットの大幅なコスト削減が可能となる。
<3>スパン毎の測量作業が不要になるだけでなく、ネットパネルの煩雑な個別管理や使い分けも一切不要となって、経済的に効率よく施工できる。
<4>角度調整脚が山側斜面へ向けた支柱の傾倒を規制し、山側控えロープが谷側へ向けた支柱の傾倒を規制するので、支柱に対して山側又は谷側へ向けた転倒モーメントが作用しても支柱の安定姿勢を保持できる。
<5>支柱に対する角度調整脚の取付け高さを調整するだけで、斜面の勾配変化や起伏変化の影響を受けずに定形の角度調整脚を斜面に着地できる。
<6>角度調整脚は構造が簡易で低コストであり、支柱に後付けするので支柱の運搬や取扱いに悪影響を及ぼす心配もなく、支柱に対する開脚角度の調整や長さ調整も不要である。
図1,2を参照して説明すると、本発明に係る防護柵は、斜面Gに間隔を隔てて傾倒可能に立設した複数の支柱10(中間支柱10aと端末支柱10b)と、隣り合う支柱10,10の上下間に横架した矩形を呈するネットパネル20と、各支柱10の斜面山側に取り付けたスライド式の角度調整脚30と、山側アンカー43と支柱10の頭部との間に接続し、各支柱10の傾倒を支える山側控えロープ40等を具備している。
本発明は、角度調整脚30と山側控えロープ40との協働により複数の支柱10を同一の傾倒角度θ1に揃えて立設し、これにより各支柱10間に定形のネットパネル20を架設し得るようにしたものである。
支柱10の傾倒角度とは、鉛直線又は水平線に対する支柱10の立設角度を意味するものであり、斜面Gに対する支柱10の立設角度ではない。
本例では鉛直線に対する支柱10の立設角度として使用する。
以下に本発明で例示した防護柵について詳説する。
本発明が前提とする支柱10は、斜面Gに固定したベースプレート50上に立設する非埋設タイプであって、支柱10の下部をベースプレート50に支軸51を介して斜面Gの傾斜方向に向けて傾倒可能に枢支したヒンジタイプの支柱である。
支柱10は鋼管、H形鋼等の形鋼、鋼管内にコンクリートを充填した合成柱、又は内部に補強材を埋設した合成柱等の公知の支柱を含む。
図1,2で例示した支柱20について説明すると、支柱10の頭部側面には軸方向に間隔を隔てて複数の掛止杆11が横向きに突設されている。掛止杆11は支柱10の頭部に外装して係留した山側控えロープ40や側方控えロープ41等の位置決め機能を有する。
図4を参照して説明すると、支柱10の下部には枢支板12が延設してあり、枢支板12の一部にシャックル等の係留具13が取り付けてある。本例では係留具13がネットパネル20の取り付け機能を有する。
図2,3に例示した支柱10の枢支構造について説明すると、ベースプレート50は平板状の支圧板52を具備し、支圧板52はロックボルト等の複数のアンカー55により斜面Gに固定される。
支圧板52の中央には間隔を隔てて一対のブラケット53,53が突設されていて、支軸51が支柱10の枢支板12と一対のブラケット53,53の重合部を枢支している。
図1,2を参照して説明すると、支柱10の頭部には山側アンカー43に反力を得た山側控えロープ40が接続されていて、支柱10の谷側へ向けた傾倒を防止している。
山側アンカー43は支柱10毎に設置する場合の他に、隣り合う支柱10,10の中間位置に設置した山側アンカー43を、隣り合う両支柱10,10に接続した一対の山側控えロープ40に共有させるようにしてもよい。
防護ネットは複数のネットパネル20の連結体、又は連結せずに配置した複数のネットパネル20により構成される。
前者の防護ネットは各ネットパネル20の左右の側辺同士をロープ材や連結具等により一体に連結し、隣り合うネットパネル20,20相互間で荷重を伝達可能に構成した構造体を意味する。
ネットパネル20は隣り合う支柱10,10の間に取り付け可能な方形を呈するネット材であり、例えば、金属製又は樹脂製のロープネット、金網製ネットの何れか一方、又はこれらの重合体で構成される。
図1を参照して説明すると、本例のネットパネル20は金属製のロープ材で粗目に編成したロープネット21と、細目の金網25の重合体により構成されている。
ロープネット21は交差させた複数のロープ材の交差を摺動不能に固定して編成したネット材で、その周囲に縦横に向けて一対の縦枠ロープ22と一対の横枠ロープ23が配置してある。
各枠ロープ22,23の端部にはループ部22a,23aを形成している。
一対の縦枠ロープ22の両端は、ループ部22a,22aを介して各支柱10の頭部と支柱10の裾部との間に接続が可能である。
一対の横枠ロープ23の両端は、ループ部23a,23aを介してネットパネル20が隣り合う支柱10,10の頭部間と、隣り合う支柱10,10の裾部間に掛け渡しが可能である。
ループ部22a,23aは予めループ状に形成した蛇口と、ワイヤクリップ等の固定具でロープの重合部を固定して現場でループ状に形成する二つのタイプを含む。
図1,2,5,6を参照して説明する。角度調整脚30は山側控えロープ40と協働して、各支柱10の傾倒角度θ1を一定に保持するための角度調整材である。
支柱10と別体の角度調整脚30は、支柱10の側面に対する取付け位置が自由に変更可能であり、立設済みの支柱10に現場で後付けされる。
支柱10に対する角度調整脚30の取付け位置を選択することで、山側へ向けた支柱10の回動規制位置、すなわち支柱10の傾倒角度θ1を任意に調整することができる。
本例ではネットパネル20の定形性を維持するための支柱10の最適な傾倒角度θ1を10°に設定した形態について説明するが、実際の施工では管理基準角度(10°)に対してプラス、マイナス10°の施工誤差を見込むことから、最終的な支柱10の傾倒角度θ1は20°〜0°の範囲となる。
谷側へ向けた傾倒角度θ1が20°を超えると、ネットパネル20の定形性を維持することが難しくなり、傾倒角度θ1が0°を下回ると支柱10が山側に傾倒してしまうといった問題が生じる。
斜材31は支柱10の全長より短い長さを有する圧縮強度に優れた剛性材であり、例えば断面形状が角形、円形等の鋼管を使用できる。
支柱10の設置現場の斜面Gの勾配の大小に拘わらず、斜材31の全長は適宜選択する。現場での取付け作業性を考慮すれば、構台等を用いずに作業員が取付けできる程度の長さが望ましい。
スライド板32は支柱20の山側側面に当接する板体であり、その板面には複数のボルト孔32aが開設してある。本例ではスライド板32が平板である形態を示すが、支柱20の湾曲した側面に対応した湾曲板でもよい。
スライド板32と斜材31との接合部は複数の補強リブ34で補強してある。
斜材31はスライド板32の裏面に所定の斜交角度θ2で斜交している。
斜面Gの勾配変化に対応するため、斜交角度θ2は45°〜70°の範囲が好適である。例えば支柱10の傾倒角度θ1を10°に設定する場合、斜交角度θ2は約60°が好適である。
接地板33は斜材31の断面より大形の板体であり、斜面Gの勾配変化に対応するため半筒状又は半球状に湾曲している。
接地板33は必須ではなく、斜材31の下面を斜面Gに直接着地させてもよい。
本例では固定手段が複数のUボルト35とナット36の組み合せの場合について説明する。固定手段である谷側から支柱10にUボルト35を挟み込み、スライド板32に貫通させたてUボルト35のネジ部にナット36を締め付けることで、スライド板32を支柱10に固定できる。
Uボルト35を用いない他の固定手段としては、スライド板32と同形の当板を支柱10の谷側に配置し、スライド板32と当板の間に挟んだ支柱10を複数のボルト等で挟持して固定してもよい。
ボルト止め以外の固定手段としては、現場溶接によりスライド板32を支柱10の任意の高さに固定してもよい。
角度調整脚30と山側控えロープ40とにより支柱10の傾倒角度θ1の保持手段を構成する。
防護柵が支柱10の傾倒角度θ1の保持手段を有することで、斜面Gに勾配変化や起伏変化(凹凸変化)があっても、複数の支柱10を同一の傾倒角度θ1に保持して立設しつつ、各支柱10間に方形を呈する定形のネットパネル20を架設することができる。
山側控えロープ40は、支柱10の傾倒角度θ1を任意の角度に調整する機能と、谷側へ向けた複数の支柱10の傾倒を一定に規制して支柱10の傾倒角度θ1を保持する機能と、角度調整脚30の下端と斜面Gとの接地状態を保持する機能を有する。
角度調整脚30と山側控えロープ40は共に支柱10の傾倒角度θ1の調整機能を有していて、両部材は互いが補完し合うことで設定した支柱10の傾倒角度θ1を保持できる関係にある。
角度調整脚30の機能を明確にするため、いくつかの対比支持機構について説明する。
支柱10の山側へ向けた傾倒を一定角度に規制するには、支承材70を用いた複数の支持機構a〜cを適用することも考えられるが、何れの機構も以下のような課題を内包している。
(支持機構a)
図7(A)は、支柱10の側面に定寸の支承材70の上端を溶接等で回動不能及びスライド不能に固着し、支承材70の下面を山側斜面に着地させる支持機構を示している。
(支持機構aの課題)
支持機構aは斜面Gの勾配に応じて支柱10の傾倒角度が不揃いになってしまい、複数の支柱10の傾倒角度を同一に揃えることが難しい。
そのため、傾倒角度の異なる支柱10の間に変形した略台形状のネットパネルを個別に製作しなければならずコスト高となる。
(支持機構b)
図7(B)は、支柱10の側面に定寸の支承材70の上端を回動可能に接続し、斜面Gの勾配に応じて支柱10に対する支承材70の開脚角度を調整して支持する機構を示している。
(支持機構bの課題)
支持機構bは斜面Gの勾配変化に対応できるものの、支承材70の開脚角度を保持するための別途の機構が必要となって構造が複雑となる。
(支持機構c)
図7(C)は、支柱10の側面に長さ調整可能な支承材70の上端を回動可能に接続し、斜面Gの勾配に応じて支承材70の長さを調整する支持機構を示している。
(支持機構cの課題)
支持機構cは斜面Gの勾配変化に対応できるものの、張り出た支承材70が邪魔になって支柱10の運搬、取扱いに不便なうえに、支承材70の長さ調整機構が複雑となってコストが嵩む。
図2,3を参照しながら防護柵の施工方法について説明する。
図3は支柱10の傾倒角度θ1が未調整状態にある防護柵を示していて、支柱10は山側控えロープ40に支持されて谷側へ向けた傾倒を阻止された状態でベースプレート50に枢支されて起立している。
以下の作業を行うことで支柱10を所定の傾倒角度θ1に立設する。
支柱10の山側側面に角度調整脚30のスライド板32を押し当て、Uボルト35とナット36を用いてスライド板32を支柱10に対してスライド可能に仮固定する。
図6を参照して説明すると、支柱10の傾倒角度θ1を調整しつつ、支柱10に仮固定した角度調整脚30を適宜の取付け高さに調整する。
以下のこれらの調整作業について詳しく説明する。
山側控えロープ40の張出長さを調整して支柱10の傾倒角度θ1を所望の角度に調整する。支柱10の傾倒角度θ1はレベル等の計測器で計測する。
支柱10の角度調整作業は、公知の荷役機具等を使用して簡単に行える。
支柱10の傾倒角度θ1が所定の角度(本例では10°)に達したら山側アンカー43に係留した山側控えロープ40の基端を摺動不能に固定する。
角度調整脚30を支柱10に沿ってスライドさせ、接地板33が斜面Gに着地する高さに調整し、ナット36を締め付けてスライド板32を支柱10にスライド不能に固定する。
角度調整脚30は山側斜面に反力を得て山側へ向けた支柱10の傾倒を規制し得るように、支柱10の傾倒角度θ1に合せた高さに取付けてあればよい。
支柱10に対する角度調整脚30の取付け高さを変えることで、支柱10の側面から斜面Gまでの距離を任意に変更できるので、斜面Gの勾配変化や起伏変化の影響を受けずに角度調整脚30の接地板33を斜面Gに着地させることができる。
以上は支柱10の傾倒角度θ1の調整作業を先行して行い、その後に角度調整脚30の取付け高さの調整作業を行う場合について説明したが、これら二種類の作業を並行して行ってもよい。
要は、支柱10が所定の傾倒角度θ1に調整されていることと、支柱10に固定した角度調整脚30がガタつかず斜面Gにしっかりと着地するように、支柱10と山側斜面との間に角度調整脚30が介装されていればよい。
既述した山側控えロープ40の長さ調整による支柱10の傾倒角度θ1の調整作業と、角度調整脚30の取付け高さの調整作業を各支柱10単位で行うことで、複数の支柱10の傾倒角度θ1を同一に揃えて保持することが可能となる。
ネットパネル20は、斜面Gに寝かせた状態で支柱10に取り付けるか、又は支柱10を立設した状態で取り付ける。
何れ場合であっても、立設した複数の支柱10の傾倒角度θ1が同一又はほぼ同一で、隣り合う支柱10が平行又はほぼ平行であるので、同一寸法で方形を呈する定形のネットパネル20を共通して使用できる。
そのため、ネットパネル20の大幅なコスト削減が可能となるだけでなく、ネットパネル20の煩雑な個別管理や使い分けが一切不要となって、経済的に効率よく施工することができる。
図2を参照しながら支柱10に対して山側又は谷側へ向けた転倒モーメントが作用したときの自立性について説明する。
<1>山側へ向けた支柱の傾倒防止
組立てを終えた防護柵において、山側控えロープ40に積雪荷重が作用する等して支柱10に山側へ向けた転倒モーメントが生じたときは、支柱10と山側斜面の間に斜めに介装した角度調整脚30が山側斜面へ向けた支柱10の傾倒を規制して安定姿勢を保持できる。
したがって、設置当初の支柱10の傾倒角度θ1を保持できるので、大きな柵高変化を抑制できる。
落石等が衝突する等して、支柱10に谷側へ向けた転倒モーメントが生じたときは、山側アンカー43に反力を得て山側控えロープ40が谷側へ向けた支柱10の傾倒を規制して安定姿勢を保持できる。
尚、図外のアンカーピンを打設して角度調整脚30の接地板33を斜面Gに固定する場合もある。
接地板33を斜面Gに固定しておけば、角度調整脚30と山側控えロープ40が協働して谷側へ向けた支柱10の傾倒を規制するので、谷側へ向けた支柱10の傾倒防止効果が格段に高くなる。
以上は支柱10の単体に対して1組の角度調整脚30を取付ける形態について説明したが、支柱10の単体に対して全長の異なる複数組の角度調整脚30を取り付けてもよい。
角度調整脚30は現場の状況に応じて支柱10の任意の高さに取付けるものであるから、斜材31の全長の異なる複数組の角度調整脚30を支柱10の側面に取付け高さを変えて多段的に設置できる。
各角度調整脚30の取付け方法は既述したとおりである。
本例にあっては山側斜面へ向けた支柱10の傾倒を規制効果が格段向上する。
更に複数組の角度調整脚30で転倒荷重を分散して支持できるので、斜面Gの荷重負担を小さくできる。
本例では支柱10の全長が長い大型の防護柵や、斜面Gが軟弱地盤である場合に有効である。
10・・・・・支柱
11・・・・・掛止杆
12・・・・・枢支板
13・・・・・係留具
20・・・・・ネットパネル
21・・・・・ロープネット
22・・・・・縦枠ロープ
23・・・・・横枠ロープ
25・・・・・金網
30・・・・・角度調整脚
31・・・・・斜材
32・・・・・スライド板
33・・・・・接地板
34・・・・・補強リブ
35・・・・・Uボルト
36・・・・・ナット
40・・・・・山側控えロープ
41・・・・・側方控えロープ
43・・・・・山側アンカー
50・・・・・ベースプレート
51・・・・・支軸
52・・・・・支圧板
53・・・・・ブラケット
55・・・・・アンカー
Claims (6)
- 斜面に傾倒可能に立設された複数の支柱と、隣り合う支柱の上下間に横架された方形を呈する複数のネットパネルからなる防護ネットと、山側アンカーと支柱の頭部との間に接続された山側控えロープとを具備した防護柵であって、
前記支柱の側面に山側斜面へ向けて斜めに突設され、支柱と山側斜面との間に介装される角度調整脚を有し、
張出長さを調整された前記山側控えロープにより、谷側へ向けて傾倒する複数の支柱が同一の傾倒角度で支持され、
山側斜面に反力を得て山側へ向けた複数の支柱の傾倒を規制し得るように、現場で取付けられた前記角度調整脚が前記支柱の傾倒角度に合せた取付け高さで支柱に固定されていることを特徴とする、
防護柵。 - 前記角度調整脚は支柱の山側側面に当接するスライド板と、前記スライド板の裏面に山側斜面へ向けて斜めに突設した斜材と、前記スライド板を支柱の任意の高さに取り付け可能な固定手段とを具備することを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
- 前記固定手段がボルト止め手段であることを特徴とする、請求項2に記載の防護柵。
- 前記斜材の下端に接地板を有することを特徴とする、請求項2に記載の防護柵。
- 前記複数の支柱の傾倒角度が鉛直線に対して20°〜0°であることを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
- 斜面に傾倒可能に立設された複数の支柱と、隣り合う支柱の上下間に横架された方形を呈する複数のネットパネルからなる防護ネットと、山側アンカーと支柱の頭部との間に接続された山側控えロープとを用いて施工する防護柵の施工法であって、
前記支柱の側面に山側斜面へ向けて斜めに突設され、支柱と山側斜面との間に現場で介装される角度調整脚を使用し、
前記山側控えロープの張出長さを調整することで、谷側へ向けて傾倒する複数の支柱を同一の傾倒角度に調整する作業と、
山側斜面に反力を得て山側へ向けた複数の支柱の傾倒を規制し得るように、現場で支柱の山側側面に取付けた前記角度調整脚の取付け高さを調整して固定する作業とを含むことを特徴とする、
防護柵の施工方法。
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