JPWO2018079674A1 - 脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法及び選別用試薬 - Google Patents

脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法及び選別用試薬 Download PDF

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Abstract

脂質異常症治療が必要な被検者を効率的に選別するための方法、及び、試薬を提供する。被検者より採取した検体中の酸化高密度リポ蛋白の濃度を測定することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法;酸化高密度リポ蛋白測定試薬を含有することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬。本発明の選別方法及び選別用試薬は、臨床診断において有用である。

Description

本発明は、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法及び選別用試薬に関する。
本願は、2016年10月31日に、日本に出願された特願2016−213872号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
脂質異常症は、血清脂質値が異常値を示す病気であり、異常値を示す脂質の種類によって「高低密度リポ蛋白コレステロール血症(高LDLコレステロール血症)」、「低高密度リポ蛋白コレステロール血症(低HDLコレステロール血症)」、及び、「高トリグリセライド血症」に分類される。
近年、脂質異常症の病態として、高密度リポ蛋白(以下、HDLと記す)機能の変化が報告されており、高HDLコレステロール血症を呈する家族性CETP(コレステロールエステル転送蛋白)欠損患者におけるHDLの機能異常が報告されている(非特許文献1参照)。
HDLは、比重1.063〜1.21のリポ蛋白質であり、コレステロール逆転送系により、末梢組織に蓄積した余剰なコレステロールを取り去り、肝臓に運び処理する働きを持つリポ蛋白である。多くの疫学調査から、HDL中のコレステロール(以下、HDL-Cと記す)は動脈硬化の負の危険因子であることが判明し、HDL-Cは善玉コレステロールと呼ばれる様になり、HDL-C濃度が高いことが身体には望ましい、と単純に考えられていた。
ところが、CETPの阻害剤の様なHDL-C濃度を高める薬が動脈硬化に有効ではない、との知見が得られたことから、HDL-C濃度というHDLの量的要因だけでは動脈硬化等の心血管系疾患をうまく説明できないことが明らかとなり、HDLによるコレステロールの引き抜き能というHDLの質的要因が動脈硬化等の心血管系疾患に関与していることが報告されている(非特許文献2参照)。
脂質異常症の治療薬として、スタチンやプロブコール等が、臨床の現場で使用されている。スタチンは、HDL-C濃度を軽度に上昇させる作用があることが知られており、また、HDL機能にも好影響を与えることが報告されている。しかしながら、スタチンの投与にもかかわらず、脂質異常症が改善されない場合も知られている。コレステロール異化促進剤であるプロブコールは、強い抗酸化作用とLDLコレステロール低下作用を有する。家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者において、プロブコール投与群では非投与群と比較して、心血管イベントの発症率が有意に低いことが報告されている(非特許文献3参照)。
近年、酸化高密度リポ蛋白質(以下、酸化HDLという)や酸化低密度リポ蛋白質等の酸化リポ蛋白質と粥状硬化病巣の進展との関連性が指摘されており(非特許文献4参照)、酸化リポ蛋白質の免疫学的測定法が報告されている(特許文献1参照)。
国際公開第2003/006989号
The Lipid, Vol.25(3), p.36-50 (2014). New England J Medicine, Vol.367, p.2089-2099 (2012). J AtherosclerThromb, Vol.15(3), p.292-303(2008). New England J Medicine, Vol.320, p.915-924(1989).
本発明の目的は、脂質異常症治療が必要な被検者を効率的に選別するための方法及び試薬を提供することにある。
本発明者らは、被検者より採取した検体中の酸化HDLを測定することにより、脂質異常症の治療が必要な被検者を効率的に選択できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[17]に関する。
[1]被検者より採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法。
[2]以下(1)〜(3)の工程を含む、[1]記載の方法。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定する工程;
(3)工程(2)で測定した酸化HDLの濃度が、健常人における酸化HDL濃度よりも高い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度よりも低い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程
[3]前記酸化HDLの濃度の測定が、免疫学的測定法により行われる[1]又は[2]記載の方法。
[4]前記免疫学的測定法が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを用いて行われる方法である[3]記載の方法。
[5]前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である[4]記載の方法。
[6]前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である[6]記載の方法。
[8]前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである[7]記載の方法。
[9]前記検体が、血液である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10]酸化HDL測定試薬を含有することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬。
[11]前記酸化HDL測定試薬が、免疫学的測定試薬である[10]記載の試薬。
[12]前記免疫学的測定試薬が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを含む試薬である[11]記載の試薬。
[13]前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である[12]記載の試薬。
[14]前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である[10]〜[13]のいずれか1つに記載の試薬。
[15]前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である[14]記載の試薬。
[16]前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである[15]記載の試薬。
[17]前記酸化HDL測定試薬が、血液中の酸化HDLを測定するための試薬である、[10]〜[16]のいずれか1つに記載の試薬。
本発明により、脂質異常症治療が必要な被検者を効率的に選別するための方法及び試薬が提供される。
プロブコールを内服した群、及び、プロブコールを内服しなかった群における各被験者の酸化HDL濃度を示すドットプロットである。横軸の“probucol(-)”は、プロブコール非内服群を表し、“probucol(+)”は、プロブコール内服群を表す。縦軸は、酸化HDL濃度(単位:U/L)を表す。 プロブコールを内服した群、及び、プロブコールを内服しなかった群における各被験者の酸化HDL濃度を示す箱ひげ図である。横軸の“probucol(-)”は、プロブコール非内服群を表し、“probucol(+)”は、プロブコール内服群を表す。縦軸は、酸化HDL濃度(単位:U/L)を表す。箱部分は、第1四分位数から第3四分位数の範囲を表し、箱部分の太線は中央値を表し、ひげ部分の上側は、上位10パーセンタイルを、ひげ部分の下側は、下位10パーセンタイルを表す。 プロブコールを内服した群、及び、プロブコールを内服しなかった群における酸化HDL濃度の、HDL中のリン脂質(HDL-PL)濃度に対する比を表すドットプロットである。横軸の“probucol(-)”は、プロブコール非内服群を表し、“probucol(+)”は、プロブコール内服群を表す。縦軸は、酸化HDL濃度のHDL中のリン脂質(HDL-PL)濃度に対する比(単位:U・dL/mg・L)を表す。 プロブコールを内服した群、及び、プロブコールを内服しなかった群における酸化HDL濃度の、HDL中のリン脂質(HDL-PL)濃度に対する比を表す箱ひげ図である。横軸の“probucol(-)”は、プロブコール非内服群を表し、“probucol(+)”は、プロブコール内服群を表す。縦軸は、酸化HDL濃度のHDL中のリン脂質(HDL-PL)濃度に対する比(単位:U・dL/mg・L)を表す。箱部分は、第1四分位数から第3四分位数の範囲を表し、箱部分の太線は中央値を表し、ひげ部分の上側は、上位10パーセンタイルを、ひげ部分の下側は、下位10パーセンタイルを表す。
1.脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法
本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法は、被検者より採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定することを特徴とする方法である。
本発明において、被検者より採取された検体としては、酸化HDLが測定され得る検体であれば特に制限はなく、例えば血液等が挙げられる。血液としては、例えば全血、血清、血漿等が挙げられる。
本発明において、酸化HDLとは、HDLを構成するアポ蛋白質であるアポA蛋白質を有し、HDLを構成する脂質部分の酸化により機能不全を呈するHDLをいう。
本発明において、被検者より採取した検体中の酸化HDLの測定とは、当該検体中の酸化HDL濃度の測定のみならず、当該検体における酸化HDL濃度の全HDL濃度に対する割合の測定をも包含する。全HDL濃度は、HDL中のアポA蛋白質濃度、HDL中のリン脂質(HDL-PL)濃度、HDL中のホスファチジルコリン (HDL-PC)濃度等のHDLに特異的な物質を測定することによって決定することができる。
本発明において、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法は、以下の工程を含む方法により行うことができる。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLを測定し、測定値を得る工程;
(3)既知濃度の酸化HDLを検体として用いて、工程(2)と同様の方法により測定値を得て、酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線を作成する工程;
(4)工程(2)で得られた測定値と、工程(3)で作成した酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線とから、当該検体中の酸化HDL濃度を決定する工程;
(5)工程(4)で決定された酸化HDLの濃度を、当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でない、という基準と比較する工程;
(6)工程(5)での比較の結果、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程。
<工程(1)>
工程(1)において、被検者より採取された検体としては、前述の検体等が挙げられる。
<工程(2)>
工程(2)において、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLの測定は、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLを測定し得る方法であれば、如何なる方法を用いて行うことができ、例えば免疫学的測定法等の方法を用いて行うことができる。免疫学的測定法としては、任意の公知の免疫学的測定方法が挙げられ、例えば放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、間接蛍光抗体法(Indirect Fluorescence assay)、発光免疫測定法(Luminescent immunoassay)、物理化学的測定法[比濁免疫測定法(TIA)、ラテックス凝集法(LAPIA)、微粒子計数免疫凝集測定法(PCIA)]、ウェスタンブロッティング法等が挙げられ、ELISA法が好ましい。免疫学的測定法においては、サンドイッチ法、競合法等を用いることができ、また、ホモジアニス法、ヘテロジニアス法等も用いることができる。
免疫学的測定法を用いた、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLの測定方法の具体的態様を以下に示す。
・測定方法1
以下の工程を含有する、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLの測定方法。
(I)工程(1)で採取された検体と、酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体とを反応させて、第1抗体と酸化リポ蛋白質の免疫複合体を生成させる工程;
(II)工程(I)で生成した免疫複合体と、HDLに結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体とを反応させて、第1抗体、酸化リポ蛋白質及び標識化第2抗体の免疫複合体を生成させる工程;
(III)工程(II)で生成した免疫複合体中の標識量を測定する工程。
抗体(第1抗体、第2抗体)としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれも使用できるが、モノクローナル抗体が好ましい。また、抗体(第1抗体、第2抗体)としては、抗体をパパイン処理により得られるFab、ペプシン処理により得られるF(ab’)2、ペプシン処理−還元処理により得られるFab’等のFc部分を除去した抗体フラグメントも使用できる。
酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体としては、例えば酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、ホスホコリンに結合する抗体等が挙げられる。酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体としては例えば、マウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(FERM BP−7171)によって産生されるモノクローナル抗体(以下、DLH3抗体と記す)等が挙げられる。ホスホコリンに結合する抗体としては、例えばT−15抗体[J. Exp. Med., Vol. 132, p.737-751 (1970).]、ハイブリドーマKTM−285(FERM BP−7589)により生産されるモノクローナル抗体KTM−285、形質転換細胞KTM−2001(FERM BP−7549)により生産される遺伝子組換え抗体KTM−2001などが挙げられる。
HDLに結合する第2抗体としては、例えばアポA蛋白質に結合する抗体等が挙げられる。アポA蛋白質に結合する抗体としては、例えばアポAI蛋白質に結合する抗体、アポAII蛋白質に結合する抗体等が挙げられる。
工程(I)及び工程(II)における反応温度としては、酸化HDLの測定を可能とする反応温度であれば特に制限はなく、例えば0〜50℃が挙げられ、4℃〜40℃が好ましい。工程(I)及び工程(II)における反応時間としては、酸化HDLの測定を可能とする反応時間であれば特に制限はなく、例えば1分間〜72時間であり、5分間〜20時間が好ましい。
工程(I)〜(III)は、水性媒体中で行うこともできる。水性媒体としては、酸化HDLの測定を可能とする水性媒体であれば特に制限はなく、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液が好ましい。水性媒体のpHは、例えば4〜10であり、水性媒体として緩衝液を用いる場合には、設定するpHに適した緩衝剤を用いることが望ましい。緩衝液の調製に使用される緩衝剤としては、緩衝能を有するものならば特に限定されないが、例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、トリス緩衝剤、グッド緩衝剤等が挙げられる。
グッド緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝剤、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝剤、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)緩衝剤、2−[N−(2−アセトアミド)アミノ]エタンスルホン酸(ACES)緩衝剤、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)緩衝剤、2−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(BES)緩衝剤、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)緩衝剤、2−{N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−スルホエチル)ピペラジン(HEPES)緩衝剤、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)緩衝剤、2−ヒドロキシ−3−{[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸(TAPSO)緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパン−3−スルホン酸)(POPSO)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)ピペラジン(HEPPSO)緩衝剤、N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(3−スルホプロピル)ピペラジン(EPPS)緩衝剤、トリシン[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン]緩衝剤、ビシン[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン]緩衝剤、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノプロパンスルホン酸(TAPS)緩衝剤、2−(N−シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)緩衝剤、3−(N−シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)緩衝剤、3−(N−シクロヘキシルアミノ)プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝剤等が挙げられる。
緩衝液の濃度は測定に適した濃度であれば特に制限はされないが、0.001〜2.0mol/Lが好ましく、0.005〜1.0mol/Lがより好ましく、0.01〜0.1mol/Lが特に好ましい。
工程(I)と工程(II)とは同時に行うこともできる。工程(I)と工程(II)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。また、工程(II)と工程(III)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。第1抗体は不溶性担体に固定化されていなくても、固定化されていてもよいが、固定化されていることが好ましい。第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(I)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(I)で生成した第1抗体と測定対象成分の免疫複合体を、未反応成分(検体由来の成分、過剰の第1抗体等)から分離することができる。同様に、第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(II)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(II)で生成した第1抗体、酸化HDL及び標識化第2抗体の免疫複合体を、未反応成分(過剰の標識化第2抗体等)から分離することができる。洗浄液としては、リン酸緩衝化生理食塩水[0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/L リン酸緩衝液、pH7.2(以下、PBSと記す)]、界面活性剤を含有するPBS、前述の水性媒体等をあげることができる。当該界面活性剤としては、例えばツイーン(Tween)20等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
不溶性担体としては、酸化HDLの測定を可能とする不溶性担体であれば特に制限はない。不溶性担体の好ましい素材としてはポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ゼラチン、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等の高分子素材、ガラス、セラミックス、磁性粒子や金属等が挙げられる。不溶性担体の好ましい形状としてはチューブ、ビーズ、プレート、ラテックス等の微粒子、スティック等が挙げられ、96ウェル/枚のポリスチレン製マイクロタイタープレート等が好ましい。
第1抗体の不溶性担体への固定化方法としては、物理学的結合を利用した方法、化学的結合を利用した方法、及び、これらの併用等、公知の方法が用いられる。物理学的結合としては、例えば静電的結合、水素結合、疎水結合等が挙げられる。化学的結合としては、例えば共有結合、配位結合等が挙げられる。
第1抗体は、直接、不溶性担体に固定化してもよいし、間接的に不溶性担体に固定化してもよい。間接的な固定化方法としては、例えばアビジンを固定化した不溶性担体に、ビオチン化した第1抗体の溶液を添加し、ビオチンとアビジンとの特異的結合を介して、第1抗体を不溶性担体に固定化する方法、Fcを固定化した不溶性担体に、第1抗体の溶液を添加し、Fcと第1抗体との相互作用により、第1抗体を不溶性担体に固定化する方法が挙げられる。さらに、第1抗体は、リンカーを介した共有結合により不溶性担体に固定化してもよい。リンカーとしては、例えば、第1抗体の官能基と不溶性担体がその表面に保持している官能基の両者と共有結合できる分子等が挙げられ、第1抗体の官能基と反応することができる第1の反応活性基と、不溶性担体がその表面に保持している官能基と反応することができる第2の反応活性基とを同一分子内に持つ分子が好ましく、その中でも、第1の反応活性基と第2の反応活性基が異なる基である分子が特に好ましい。第1抗体の官能基および不溶性担体がその表面に保持している官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、スルフヒドリル基、水酸基、アミド基、イミノ基、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基、マレイミド基等が挙げられる。リンカーにおける反応活性基としては、アリールアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、アルデヒド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、ペンタフルオロフェニル(PFP)エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルホン等の基が挙げられる。
・測定方法2
(I)工程(1)で採取された検体と、HDLに結合する第1抗体とを反応させて、第1抗体とHDLの免疫複合体を生成させる工程;
(II)工程(I)で生成した免疫複合体と、酸化リポ蛋白質に結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体とを反応させて、第1抗体、酸化リポ蛋白質及び標識化第2抗体の免疫複合体を生成させる工程;
(III)工程(II)で生成した免疫複合体中の標識量を測定する工程。
抗体(第1抗体、第2抗体)としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれも使用できるが、モノクローナル抗体が好ましい。また、抗体(第1抗体、第2抗体)としては、抗体をパパイン処理により得られるFab、ペプシン処理により得られるF(ab’)2、ペプシン処理−還元処理により得られるFab’等のFc部分を除去した抗体フラグメントも使用できる。
HDLに結合する第1抗体としては、例えばアポA蛋白質に結合する抗体等が挙げられる。アポA蛋白質に結合する抗体としては、例えばアポAI蛋白質に結合する抗体、アポAII蛋白質に結合する抗体等が挙げられる。酸化リポ蛋白質に結合する第2抗体としては、例えば酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、ホスホコリンに結合する抗体等が挙げられる。
酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体としては例えば、マウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(FERM BP−7171)によって産生されるモノクローナル抗体等が挙げられる。ホスホコリンに結合する抗体としては、例えばT−15抗体[J. Exp. Med., Vol. 132, p.737-751 (1970).]、ハイブリドーマKTM−285(FERM BP−7589)により生産されるモノクローナル抗体KTM−285、形質転換細胞KTM−2001(FERM BP−7549)により生産される遺伝子組換え抗体KTM−2001などが挙げられる。
工程(I)及び工程(II)における反応温度としては、酸化HDLの測定を可能とする反応温度であれば特に制限はなく、例えば0〜50℃が挙げられ、4℃〜40℃が好ましい。工程(I)及び工程(II)における反応時間としては、酸化HDLの測定を可能とする反応時間であれば特に制限はなく、例えば1分間〜72時間であり、5分間〜20時間が好ましい。
工程(I)〜(III)は、水性媒体中で行うこともできる。水性媒体としては、酸化HDLの測定を可能とする水性媒体であれば特に制限はなく、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。
工程(I)と工程(II)とは同時に行うこともできる。工程(I)と工程(II)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。また、工程(II)と工程(III)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。第1抗体は不溶性担体に固定化されていなくても、固定化されていてもよいが、固定化されていることが好ましい。第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(I)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(I)で生成した第1抗体と測定対象成分の免疫複合体を、未反応成分(検体由来の成分、過剰の第1抗体等)から分離することができる。同様に、第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(II)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(II)で生成した第1抗体、酸化HDL及び標識化第2抗体の免疫複合体を、未反応成分(過剰の標識化第2抗体等)から分離することができる。洗浄液としては、リン酸緩衝化生理食塩水[0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/L リン酸緩衝液、pH7.2(以下、PBSと記す)]、界面活性剤を含有するPBS、前述の水性媒体等をあげることができる。当該界面活性剤としては、例えばTween 20等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
不溶性担体としては、酸化HDLの測定を可能とする不溶性担体であれば特に制限はない。不溶性担体の好ましい素材としては、例えば前述の素材等が挙げられる。
第1抗体の不溶性担体への固定化方法としては、例えば前述の固定化方法等が挙げられる。
測定方法1及び測定方法2における第2抗体を標識する標識物質としては、例えば酵素、蛍光物質、発光物質、放射性同位元素、ビオチン、ジゴキシゲニン、タグ配列を含むポリペプチド、金属コロイド粒子、着色ラテックス粒子等が挙げられる。酵素としては、例えば、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ等が挙げられる。蛍光物質としては、例えば、FITC(フルオレッセイン イソチオシアネート)、RITC(ローダミンB−イソチオシアネート)等が挙げられる。その他の蛍光物質として、例えばquantumdot(Science, 281, 2016-2018, 1998)、フィコエリスリン等のフィコビリ蛋白質、GFP(Green fluorescent Protein)、RFP(Red fluorescent Protein)、YFP(Yellow fluorescent Protein)、BFP(Blue fluorescent Protein)等の蛍光を発する蛋白質が挙げられる。発光物質としては、例えば、アクリジニウムおよびその誘導体、ルテニウム錯体化合物、ロフィン等が挙げられる。またルテニウム錯体化合物としては、電子供与体と共に電気化学的に発光する、Clin. Chem. 37, 9, 1534-1539, 1991に示されたものが好ましい。放射性同位元素としては、例えば、3H、14C、35S、32P、125I、131I等が挙げられる。タグ配列を含むポリペプチドとしては、FLAGペプチド(FLAGタグ、Asp Tyr Lys Asp Asp Asp Asp Lys)、ポリヒスチジン(Hisタグ、His His His His His His)、mycエピトープペプチド(mycタグ、Glu Gln Lys Leu Ile Ser Glu Glu Asp Leu)、ヘマグルチニンエピトープペプチド(HAタグ、Tyr Pro Tyr Asp Val Pro Asp Tyr Ala)等が挙げられる。
第2抗体の標識化は、第2抗体の官能基と標識物質の官能基との間で、リンカーを介してまたは介さず共有結合を生じる反応によって行うことができる。官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、スルフヒドリル基、水酸基、アミド基、イミノ基、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基等が挙げられる。この官能基同士の間で縮合反応を行わせることが可能である。
リンカーを介さない結合方法としては例えば、EDC等のカルボジイミド化合物を用いる方法等が挙げられる。この場合、NHSまたはその誘導体等の活性エステルを使用することも可能である。また、イソチオシアネート基とアミノ基の間の縮合反応は、他の試薬を必要とせず、中性〜弱アルカリ性の条件で混合するだけで進行するため、好ましい。
リンカーとしては、例えば、第2抗体の官能基と反応することができる反応活性基と、標識物質の官能基と反応することができる反応活性基の両方の反応活性基を分子内に有するものが挙げられ、第2抗体のアミノ酸残基と反応することができる第1の反応活性基と、標識物質の官能基と反応することができる第2の反応活性基とを同一分子内に有する分子が好ましく、その中でも、第1の反応活性基と第2の反応活性基とが異なる基である分子が特に好ましい。リンカーにおける反応活性基としては、例えば前述の反応活性基が挙げられる。
放射性同位元素を第2抗体に化学的に結合させる方法としては、例えば文献(Antibody Immunoconj. Radiopharm., 3, 60, 1990)記載の方法が挙げられる。
標識物質が酵素、アビジン、蛍光を発する蛋白質、フィコビリ蛋白質、タグ配列を含むポリペプチド等のポリペプチドである場合には、公知の遺伝子組換え技術(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)に従って、標識物質と抗体の融合蛋白質をコードするDNAを含む発現ベクターを作製し、発現ベクターを適当な宿主に導入して、宿主を培養することにより製造することができる。融合蛋白質をコードするDNAは、抗体および標識物質をそれぞれコードするDNAをPCR等でクローニングし、それぞれのDNAをリガーゼ反応で連結することにより得ることができる。
標識量の測定は、標識物質に応じて適切な方法を選択することができる。標識物質が発色物質、すなわち、ある波長の光を吸収する物質の場合には、分光光度計やマルチウェルプレートリーダー等を用いることができる。標識物質が蛍光物質の場合には、蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダー等を用いることができる。標識物質が発光物質の場合には、発光光度計や発光マルチウェルプレートリーダー等を用いることができる。標識物質が放射性同位元素である場合、放射性同位元素の量は、放射活性をシンチレーションカウンター、γ−ウェルカウンター等により測定することができる。
標識が酵素である場合、標識量の測定とは、酵素活性を測定することを意味する。酵素の基質を当該酵素と反応させ、生成した物質を測定することにより、標識量を測定することができる。酵素がペルオキシダーゼである場合には、例えば吸光度法、蛍光法、発光法等によりペルオキシダーゼ活性を測定することができる。吸光度法によりペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および酸化発色型色原体の組み合わせとを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計やマルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。酸化発色型色原体としては、例えばロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体等が挙げられる。
ロイコ型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、テトラメチルベンジジン、o−フェニレンジアミン、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(CCAP)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(MCDP)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(DA−64)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル〕アミン(BCMA)、10−N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン ナトリウム塩(DA−67)等が挙げられる。
酸化カップリング発色型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の存在下、2つの化合物が酸化的カップリングして色素を生成する物質である。2つの化合物の組み合わせとしては、カプラーとアニリン類(トリンダー試薬)との組み合わせ、カプラーとフェノール類との組み合わせ等が挙げられる。カプラーとしては、例えば4−アミノアンチピリン(4−AA)、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラジン等が挙げられる。アニリン類としては、N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(TOPS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N,N−ジメチル−3−メチルアニリン、N,N−ジ(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−4−フルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(F−DAOS)等が挙げられる。フェノール類としては、フェノール、4−クロロフェノール、3−メチルフェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)等が挙げられる。
蛍光法によりペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および蛍光物質の組み合わせとを反応させ、蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダー等で生成した蛍光の強度を測定する方法等が挙げられる。当該蛍光物質としては、例えば4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、クマリン等が挙げられる。
発光法によるペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および発光物質の組み合わせとを反応させ、発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダー等で生成した発光の強度を測定する方法等が挙げられる。当該発光物質としては、例えばルミノール化合物、ルシゲニン化合物等が挙げられる。
酵素がアルカリホスファターゼである場合には、例えば発光法等によりアルカリホスファターゼ活性を測定することができる。発光法によりアルカリホスファターゼ活性を測定する方法としては、例えばアルカリホスファターゼとその基質とを反応させ、生成した発光の発光強度を発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。アルカリホスファターゼの基質としては、例えば3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’−ホスホリルオキシ)フェニル−1,2−ジオキセタン・二ナトリウム塩(AMPPD)、2−クロロ−5−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン]−4−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CDP−StarTM)、3−{4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン]−4’−イル}フェニルホスフェート・二ナトリウム塩(CSPDTM)、9-[(フェニルオキシ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム、9-[(4-クロロフェニルチオ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム(LumigenTM APS−5)等が挙げられる。
酵素がβ−D−ガラクトシダーゼである場合には、例えば吸光度法(比色法)、発光法または蛍光法等によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定することができる。吸光度法(比色法)によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法としては、β−D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計やマルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。吸光度法(比色法)によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法における、β−D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えばo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド等が挙げられる。発光法によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばβ−D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の発光度を発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。発光法によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法における、β−D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えばガラクトン−プラス[Galacton-Plus、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)社製]またはその類似化合物等が挙げられる。蛍光法によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばβ−D−ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の蛍光度を蛍光光度計や蛍光マルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。蛍光法によりβ−D−ガラクトシダーゼ活性を測定する方法における、β−D−ガラクトシダーゼの基質としては、例えば4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド等が挙げられる。
酵素がルシフェラーゼである場合には、例えば発光法等によりルシフェラーゼ活性を測定することができる。発光法によりルシフェラーゼ活性を測定する方法としては、例えばルシフェラーゼとその基質とを反応させ、反応液の発光度を発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。ルシフェラーゼの基質としては、例えばルシフェリン、セレンテラジン等が挙げられる。
酸化HDLの測定方法において、抗原抗体反応、すなわち、測定方法1における工程(I)及び工程(II)、測定方法2における工程(I)及び工程(II)を、金属イオン、塩類、糖類、防腐剤、蛋白質、蛋白質安定化剤、界面活性剤等の共存下で行うことができる。金属イオンとしては、例えばマグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。塩類としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。糖類としては、例えばマンニトール、ソルビトール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質(ストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等)、バイオエース、プロクリン300、プロキセル(Proxel)GXL等が挙げられる。蛋白質としては、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、ウシ胎児血清(FBS)、カゼイン、ブロックエース(大日本製薬社製)等が挙げられる。蛋白質安定化剤としては、例えばペルオキシダーゼ安定化緩衝液[Peroxidase Stabilizing Buffer、ダコサイトメーション(DakoCytomation)社製]、ポリエチレングリコール (PEG) 等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
<工程(3)>
工程(3)において、酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線は、既知濃度の酸化HDL濃度を有する標準品を検体として用いて、前述の酸化HDLの測定方法により測定を行い、得られた測定値と酸化HDL濃度とから作成することができる。
<工程(4)>
工程(4)において、工程(1)で採取された検体中の酸化HDL濃度は、当該検体を用いて、前述の酸化HDLの測定方法により測定を行い、得られた測定値と上述の検量線とから決定することができる。
<工程(5)>
工程(5)において、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要でない、という基準と比較する。
<工程(6)>
工程(6)において、工程(5)での比較の結果、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する。
本発明における健常人における酸化HDL濃度としては、例えば30 U/Lであり、酸化HDL濃度の全HDL-PL濃度に対する割合としては、例えば0.22 U・dL/mg・Lである。なお、ここでの単位“U/L”とは、1 mg/LのHDL-PLを銅酸化して得られる酸化HDLを1 U/L酸化HDLとして定義されるものである。
本発明における脂質異常症治療とは、被検者の酸化HDLを低下させる治療であれば特に制限はなく、例えば脂質異常症治療薬による治療等が挙げられる。脂質異常症治療薬としては、被検者の酸化HDLを低下させる治療薬であれば特に制限はなく、例えばコレステロール異化促進薬等が挙げられる。コレステロール異化促進薬としては、例えばプロブコール等が挙げられる。
2.脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬
本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬は、酸化HDL測定試薬を含有することを特徴とする試薬である。本発明の脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬は、本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法に用いることができる。また、本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬には、さらに、被検者より採取された検体中の酸化HDL濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要ではない、という基準が記載された基準表が含まれていてもよい。
本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬における酸化HDL測定試薬は、前述の酸化HDLの測定方法に使用される試薬である。酸化HDL測定試薬としては、検体中の酸化HDLを測定し得る試薬であれば特に制限はなく、例えば免疫学的測定試薬等が挙げられる。免疫学的測定試薬としては、例えば前述の免疫学的測定方法に基づく試薬等が挙げられる。
免疫学的測定法に基づいた、酸化HDL測定試薬の具体的態様を以下に示す。
・測定試薬1
酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体、及び、HDLに結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体を含む酸化HDL測定試薬。
・測定試薬2
HDLに結合する第1抗体、及び、酸化リポ蛋白質に結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体を含む酸化HDL測定試薬。
HDLに結合する抗体、酸化リポ蛋白質に結合する抗体、標識化抗体中の標識としては、例えば前述のHDLに結合する抗体、酸化リポ蛋白質に結合する抗体、標識化抗体中の標識等がそれぞれ挙げられる。
測定試薬1において、酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体は不溶性担体に固定化されていても、固定化されていなくてもよいが、固定化されていることが好ましい。不溶性担体としては、例えば前述の不溶性担体等が挙げられる。測定試薬2において、HDLに結合する第1抗体は不溶性担体に固定化されていても、固定化されていなくてもよいが、固定化されていることが好ましい。不溶性担体としては、例えば前述の不溶性担体等が挙げられる。
酸化HDL測定試薬には、前述の水性媒体、金属イオン、塩類、糖類、防腐剤、蛋白質、蛋白質安定化剤、界面活性剤等が含まれていてもよい。
本発明において、酸化HDL測定試薬を用いて、脂質異常症治療が必要な被検者を選別する方法としては、例えば以下の工程を含有する方法等が挙げられる。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLを、酸化HDL測定試薬を用いて測定し、測定値を得る工程;
(3)既知濃度の酸化HDLを検体として用いて、工程(2)と同様の方法により測定値を得て、酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線を作成する工程;
(4)工程(2)で得られた測定値と、工程(3)で作成した酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線とから、当該検体中の酸化HDL濃度を決定する工程;
(5)工程(4)で決定された酸化HDLの濃度が、当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要でない、という基準と比較する工程;
(6)工程(5)での比較の結果、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程。
検体としては、例えば前述の検体等が挙げられる。工程(1)で採取された検体中の酸化HDLの測定は、酸化HDL測定試薬を用いて行われる。酸化HDL測定試薬としては、例えば前述の酸化HDL測定試薬等が挙げられる。酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線は、前述の方法等により作成することができる。工程(1)で採取された検体中の酸化HDL濃度は、前述の方法等により決定することができる。決定された酸化HDL濃度と比較される健常人における酸化HDL濃度としては、前述の健常人における酸化HDL濃度等が挙げられる。決定された酸化HDL濃度と健常人における酸化HDL濃度との比較により、脂質異常症治療が必要な被検者を選別することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
被検者より採取された血清中の酸化HDL濃度の決定
(1)酸化HDL測定試薬
以下の、DLH3抗体固定化プレート、ペルオキシダーゼ標識化抗アポAI抗体溶液を含有する酸化HDL測定試薬を調製した。
<DLH3抗体固定化プレート>
96ウエルマイクロプレート(ヌンク社製)の各ウェルに、特開平7-238098に記載の方法で作製したDLH3抗体の10μg/mL Tris-HCl緩衝液(pH8.0)溶液を、100μL/ウェルとなるように加えて、4℃ で16時間インキュベートし、次いで、Tris-HCl緩衝液溶液を除去し、1%(w/v)BSAを含むTris-HCl緩衝液(pH8.0)を各ウェルに350μLを加えて25℃で2時間インキュベートすることによりブロッキングし、その後、0.05%(w/v)Tween20を含むPBS(pH7.4)で4回洗浄し、DLH3抗体が固定化されたプレートを調製した。
<ペルオキシダーゼ標識化抗アポAI抗体溶液>
Peroxidase Labeling Kit - NH2 (同仁化学研究所社製)を用いて、当該キットに添付されたプロトコールに従って、抗アポAIマウスモノクローナル抗体 (Abnova社製)をペルオキシダーゼで標識し、ペルオキシダーゼ標識化抗アポAI抗体を調製した。
(2)検量線の作成1〜酸化HDL濃度と測定値(吸光度)との間の関係を示す検量線
HDL-PLを、硫酸銅を用いて酸化して得られた2 mU/L、4 mU/L、8 mU/Lの各濃度の酸化HDLの反応緩衝液[0.1 g/L Tween 20、48 g/L PEG6000及び10 g/L BSAを含有するPBS(pH7.4)]溶液、並びに、反応緩衝液(酸化HDL濃度:0 U/L)を標準溶液として用いた。なお、ここで、1mU/Lの酸化HDLとは、1μg/LのHDL-PLを銅酸化して得られる酸化HDLを意味する。
上記(1)で調製したDLH3抗体固定化プレートの各ウェルに、各標準溶液100μLを添加し、37℃で2時間反応を行った(1次反応)。1次反応後のプレートの各ウェルを、0.05% Tween 20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBST)で洗浄した後、各ウェルに、上記(1)で調製したペルオキシダーゼ標識化抗アポAI抗体溶液100μLを添加し、37℃で1時間反応を行った(2次反応)。2次反応後のプレートの各ウェルをPBSTで洗浄した後、各ウェルに、TMB(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)水溶液を100μL添加し、37℃で20分間反応を行い、0.5 mol/L 硫酸50μLを添加し反応を停止した(発色反応)。発色反応で得られた反応液の450 nmでの吸光度を測定し、酸化HDL濃度と吸光度との間の関係を示す検量線を作成した。
(3)検量線の作成2〜リン脂質濃度と測定値(吸光度)との間の関係を示す検量線
リン脂質測定用キット「デタミナーL PL」(協和メデックス社製)を用いて、当該キットの添付文書に記載の方法に従って、デタミナー標準血清脂質測定用(協和メデックス社製)を標準品として用いて測定を行い、リン脂質濃度と測定値(吸光度)との間の関係を示す検量線を作成した。
(4)被検者より採取した血清中の酸化HDLの測定〜プロブコール内服群とプロブコール非内服群との比較
大阪大学医学部附属病院通院中の患者で、脂質異常症の患者について、プロブコールを内服した群(39名)とプロブコールを内服しなかった群(138名)とに分けた。
上記(2)における標準溶液の代わりに、プロブコールを内服した群(39名)の各被検者より得られた血清を用いる以外は、上記(2)と同様の方法により測定を行い、各被検者より得られた血清に対する吸光度を測定した。測定した吸光度と上記(2)で作成した検量線とから、各被検者より採取した血清中の酸化HDL濃度を決定した。同様に、プロブコールを内服しなかった群(138名)の各被検者より採取した血清中の酸化HDL濃度を決定した。結果を図1に示す。
図1から明らかな様に、プロブコールを内服しなかった群の各被検者より得られた血清中の平均酸化HDL濃度は、30.0±8.1 U/Lであったのに対して、プロブコールを内服した群の各被検者より得られた血清中の平均酸化HDL濃度は、18.7±6.6 U/Lであり、プロブコールを内服しなかった群に比較して、プロブコールを内服した群の方が有意に、血清中の酸化HDL濃度が低かった(P<0.05)。この様に、プロブコール内服群と非内服群との間で、酸化HDL濃度が有意に異なっていたことから、コレステロール異化促進薬であるプロブコールが酸化HDL濃度を低減させる作用があることが明らかとなった。プロブコールは脂質異常症の治療薬の1つである。従って、酸化HDL濃度が高い被検者を選別し、当該被検者に対して、脂質異常症の治療薬を投与すれば、酸化HDLを低減でき、脂質異常症の治療効果が期待できる。
(5)被検者より採取した血清中の酸化HDL及びHDL-PLの測定〜プロブコール内服群とプロブコール非内服群との比較
上記(4)と同じプロブコールを内服した群(39名)について、DCM(Designated Comparison Method)に従って、各被検者より採取された血清からHDL分画を分離し、分離したHDL分画中のリン脂質を「デタミナーL PL」(協和メデックス社製)を用いて測定した。測定により得られた測定値(吸光度)と、上記(3)で作成した検量線とから、HDL-PL濃度を決定した。
上記(4)で決定した、プロブコールを内服した患者群(39名)の各患者より得られた血清中の酸化HDL濃度と、上記で決定した」HDL-PL濃度とから、同一患者由来の血清における酸化HDL濃度のHDL-PL濃度に対する比(酸化HDL/HDL-PL)を決定した。
同様に、上記(4)と同じプロブコールを内服した群の代わりに、上記(4)と同じプロブコールを内服しなかった群を用いて、プロブコールを内服しなかった群の同一被検者より採取した血清中酸化HDL濃度のHDL-PL濃度に対する比(酸化HDL/HDL-PL)を決定した。結果を図2に示す。
図2から明らかな様に、プロブコールを内服しなかった群の各被検者より得られた血清における酸化HDL/HDL-PLの平均値は、0.224±0.049 U・dL/mg・Lであったのに対して、プロブコールを内服した群の各被検者より得られた血清における酸化HDL/HDL-PLの平均値は、0.206±0.045 U・dL/mg・Lであり、プロブコールを内服しなかった群に比較して、プロブコールを内服した群の方が有意に、血清における酸化HDL/HDL-PLが低かった(P<0.05)。この様に、プロブコール内服群と非内服群との間で、酸化HDL/HDL-PLが有意に異なっていたことから、コレステロール異化促進薬であるプロブコールが酸化HDL濃度を低減させる作用があることが明らかとなった。プロブコールは脂質異常症の治療薬の1つである。従って、酸化HDL濃度が高い被検者を選別し、当該被検者に対して、脂質異常症の治療薬を投与すれば、酸化HDLを低減でき、脂質異常症の治療効果が期待できる。
本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法、及び、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬は、臨床診断において有用である。

Claims (17)

  1. 被検者より採取した検体中の酸化高密度リポ蛋白質(以下、酸化HDLという)の濃度を測定することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法。
  2. 以下(1)〜(3)の工程を含む、請求項1記載の方法。
    (1)被検者から検体を採取する工程;
    (2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定する工程;
    (3)工程(2)で測定した酸化HDLの濃度が、健常人における酸化HDL濃度よりも高い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度よりも低い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程
  3. 前記酸化HDLの濃度の測定が、免疫学的測定法により行われる請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記免疫学的測定法が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを用いて行われる方法である請求項3記載の方法。
  5. 前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である請求項4記載の方法。
  6. 前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である請求項6記載の方法。
  8. 前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである請求項7記載の方法。
  9. 前記検体が、血液である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 酸化高密度リポ蛋白質測定試薬(以下、酸化HDL測定試薬という)を含有することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬。
  11. 前記酸化HDL測定試薬が、免疫学的測定試薬である請求項10記載の試薬。
  12. 前記免疫学的測定試薬が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを含む試薬である請求項11記載の試薬。
  13. 前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である請求項12記載の試薬。
  14. 前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である請求項10〜13のいずれか1項に記載の試薬。
  15. 前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である請求項14記載の試薬。
  16. 前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである請求項15記載の試薬。
  17. 前記酸化HDL測定試薬が、血液中の酸化HDLを測定するための試薬である、請求項10〜16のいずれか1項に記載の試薬。
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