JPWO2018079674A1 - 脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法及び選別用試薬 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2016年10月31日に、日本に出願された特願2016−213872号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、脂質異常症の病態として、高密度リポ蛋白(以下、HDLと記す)機能の変化が報告されており、高HDLコレステロール血症を呈する家族性CETP(コレステロールエステル転送蛋白)欠損患者におけるHDLの機能異常が報告されている(非特許文献1参照)。
ところが、CETPの阻害剤の様なHDL-C濃度を高める薬が動脈硬化に有効ではない、との知見が得られたことから、HDL-C濃度というHDLの量的要因だけでは動脈硬化等の心血管系疾患をうまく説明できないことが明らかとなり、HDLによるコレステロールの引き抜き能というHDLの質的要因が動脈硬化等の心血管系疾患に関与していることが報告されている(非特許文献2参照)。
[1]被検者より採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法。
[2]以下(1)〜(3)の工程を含む、[1]記載の方法。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定する工程;
(3)工程(2)で測定した酸化HDLの濃度が、健常人における酸化HDL濃度よりも高い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度よりも低い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程
[4]前記免疫学的測定法が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを用いて行われる方法である[3]記載の方法。
[5]前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である[4]記載の方法。
[6]前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[8]前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである[7]記載の方法。
[9]前記検体が、血液である[1]〜[8]のいずれか1つに記載の方法。
[11]前記酸化HDL測定試薬が、免疫学的測定試薬である[10]記載の試薬。
[12]前記免疫学的測定試薬が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを含む試薬である[11]記載の試薬。
[13]前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である[12]記載の試薬。
[15]前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である[14]記載の試薬。
[16]前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである[15]記載の試薬。
[17]前記酸化HDL測定試薬が、血液中の酸化HDLを測定するための試薬である、[10]〜[16]のいずれか1つに記載の試薬。
本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法は、被検者より採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定することを特徴とする方法である。
本発明において、被検者より採取された検体としては、酸化HDLが測定され得る検体であれば特に制限はなく、例えば血液等が挙げられる。血液としては、例えば全血、血清、血漿等が挙げられる。
本発明において、被検者より採取した検体中の酸化HDLの測定とは、当該検体中の酸化HDL濃度の測定のみならず、当該検体における酸化HDL濃度の全HDL濃度に対する割合の測定をも包含する。全HDL濃度は、HDL中のアポA蛋白質濃度、HDL中のリン脂質(HDL-PL)濃度、HDL中のホスファチジルコリン (HDL-PC)濃度等のHDLに特異的な物質を測定することによって決定することができる。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLを測定し、測定値を得る工程;
(3)既知濃度の酸化HDLを検体として用いて、工程(2)と同様の方法により測定値を得て、酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線を作成する工程;
(4)工程(2)で得られた測定値と、工程(3)で作成した酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線とから、当該検体中の酸化HDL濃度を決定する工程;
(5)工程(4)で決定された酸化HDLの濃度を、当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でない、という基準と比較する工程;
(6)工程(5)での比較の結果、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程。
工程(1)において、被検者より採取された検体としては、前述の検体等が挙げられる。
工程(2)において、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLの測定は、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLを測定し得る方法であれば、如何なる方法を用いて行うことができ、例えば免疫学的測定法等の方法を用いて行うことができる。免疫学的測定法としては、任意の公知の免疫学的測定方法が挙げられ、例えば放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、間接蛍光抗体法(Indirect Fluorescence assay)、発光免疫測定法(Luminescent immunoassay)、物理化学的測定法[比濁免疫測定法(TIA)、ラテックス凝集法(LAPIA)、微粒子計数免疫凝集測定法(PCIA)]、ウェスタンブロッティング法等が挙げられ、ELISA法が好ましい。免疫学的測定法においては、サンドイッチ法、競合法等を用いることができ、また、ホモジアニス法、ヘテロジニアス法等も用いることができる。
・測定方法1
以下の工程を含有する、工程(1)で採取された検体中の酸化HDLの測定方法。
(I)工程(1)で採取された検体と、酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体とを反応させて、第1抗体と酸化リポ蛋白質の免疫複合体を生成させる工程;
(II)工程(I)で生成した免疫複合体と、HDLに結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体とを反応させて、第1抗体、酸化リポ蛋白質及び標識化第2抗体の免疫複合体を生成させる工程;
(III)工程(II)で生成した免疫複合体中の標識量を測定する工程。
工程(I)及び工程(II)における反応温度としては、酸化HDLの測定を可能とする反応温度であれば特に制限はなく、例えば0〜50℃が挙げられ、4℃〜40℃が好ましい。工程(I)及び工程(II)における反応時間としては、酸化HDLの測定を可能とする反応時間であれば特に制限はなく、例えば1分間〜72時間であり、5分間〜20時間が好ましい。
工程(I)と工程(II)とは同時に行うこともできる。工程(I)と工程(II)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。また、工程(II)と工程(III)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。第1抗体は不溶性担体に固定化されていなくても、固定化されていてもよいが、固定化されていることが好ましい。第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(I)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(I)で生成した第1抗体と測定対象成分の免疫複合体を、未反応成分(検体由来の成分、過剰の第1抗体等)から分離することができる。同様に、第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(II)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(II)で生成した第1抗体、酸化HDL及び標識化第2抗体の免疫複合体を、未反応成分(過剰の標識化第2抗体等)から分離することができる。洗浄液としては、リン酸緩衝化生理食塩水[0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/L リン酸緩衝液、pH7.2(以下、PBSと記す)]、界面活性剤を含有するPBS、前述の水性媒体等をあげることができる。当該界面活性剤としては、例えばツイーン(Tween)20等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
第1抗体は、直接、不溶性担体に固定化してもよいし、間接的に不溶性担体に固定化してもよい。間接的な固定化方法としては、例えばアビジンを固定化した不溶性担体に、ビオチン化した第1抗体の溶液を添加し、ビオチンとアビジンとの特異的結合を介して、第1抗体を不溶性担体に固定化する方法、Fcを固定化した不溶性担体に、第1抗体の溶液を添加し、Fcと第1抗体との相互作用により、第1抗体を不溶性担体に固定化する方法が挙げられる。さらに、第1抗体は、リンカーを介した共有結合により不溶性担体に固定化してもよい。リンカーとしては、例えば、第1抗体の官能基と不溶性担体がその表面に保持している官能基の両者と共有結合できる分子等が挙げられ、第1抗体の官能基と反応することができる第1の反応活性基と、不溶性担体がその表面に保持している官能基と反応することができる第2の反応活性基とを同一分子内に持つ分子が好ましく、その中でも、第1の反応活性基と第2の反応活性基が異なる基である分子が特に好ましい。第1抗体の官能基および不溶性担体がその表面に保持している官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、グリシジル基、スルフヒドリル基、水酸基、アミド基、イミノ基、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基、マレイミド基等が挙げられる。リンカーにおける反応活性基としては、アリールアジド、カルボジイミド、ヒドラジド、アルデヒド、ヒドロキシメチルホスフィン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、ペンタフルオロフェニル(PFP)エステル、ソラレン、ピリジルジスルフィド、ビニルスルホン等の基が挙げられる。
(I)工程(1)で採取された検体と、HDLに結合する第1抗体とを反応させて、第1抗体とHDLの免疫複合体を生成させる工程;
(II)工程(I)で生成した免疫複合体と、酸化リポ蛋白質に結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体とを反応させて、第1抗体、酸化リポ蛋白質及び標識化第2抗体の免疫複合体を生成させる工程;
(III)工程(II)で生成した免疫複合体中の標識量を測定する工程。
酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体としては例えば、マウス−マウスハイブリドーマセルラインFOH1a/DLH3(FERM BP−7171)によって産生されるモノクローナル抗体等が挙げられる。ホスホコリンに結合する抗体としては、例えばT−15抗体[J. Exp. Med., Vol. 132, p.737-751 (1970).]、ハイブリドーマKTM−285(FERM BP−7589)により生産されるモノクローナル抗体KTM−285、形質転換細胞KTM−2001(FERM BP−7549)により生産される遺伝子組換え抗体KTM−2001などが挙げられる。
工程(I)〜(III)は、水性媒体中で行うこともできる。水性媒体としては、酸化HDLの測定を可能とする水性媒体であれば特に制限はなく、例えば前述の水性媒体等が挙げられる。
工程(I)と工程(II)とは同時に行うこともできる。工程(I)と工程(II)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。また、工程(II)と工程(III)との間には、洗浄工程を設けても、設けなくてもよいが、洗浄工程を設けることが好ましい。第1抗体は不溶性担体に固定化されていなくても、固定化されていてもよいが、固定化されていることが好ましい。第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(I)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(I)で生成した第1抗体と測定対象成分の免疫複合体を、未反応成分(検体由来の成分、過剰の第1抗体等)から分離することができる。同様に、第1抗体が不溶性担体に固定化されている場合、工程(II)後の不溶性担体を洗浄することにより、工程(II)で生成した第1抗体、酸化HDL及び標識化第2抗体の免疫複合体を、未反応成分(過剰の標識化第2抗体等)から分離することができる。洗浄液としては、リン酸緩衝化生理食塩水[0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/L リン酸緩衝液、pH7.2(以下、PBSと記す)]、界面活性剤を含有するPBS、前述の水性媒体等をあげることができる。当該界面活性剤としては、例えばTween 20等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
第1抗体の不溶性担体への固定化方法としては、例えば前述の固定化方法等が挙げられる。
リンカーとしては、例えば、第2抗体の官能基と反応することができる反応活性基と、標識物質の官能基と反応することができる反応活性基の両方の反応活性基を分子内に有するものが挙げられ、第2抗体のアミノ酸残基と反応することができる第1の反応活性基と、標識物質の官能基と反応することができる第2の反応活性基とを同一分子内に有する分子が好ましく、その中でも、第1の反応活性基と第2の反応活性基とが異なる基である分子が特に好ましい。リンカーにおける反応活性基としては、例えば前述の反応活性基が挙げられる。
標識物質が酵素、アビジン、蛍光を発する蛋白質、フィコビリ蛋白質、タグ配列を含むポリペプチド等のポリペプチドである場合には、公知の遺伝子組換え技術(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001)に従って、標識物質と抗体の融合蛋白質をコードするDNAを含む発現ベクターを作製し、発現ベクターを適当な宿主に導入して、宿主を培養することにより製造することができる。融合蛋白質をコードするDNAは、抗体および標識物質をそれぞれコードするDNAをPCR等でクローニングし、それぞれのDNAをリガーゼ反応で連結することにより得ることができる。
発光法によるペルオキシダーゼ活性を測定する方法としては、例えばペルオキシダーゼとその基質である過酸化水素および発光物質の組み合わせとを反応させ、発光強度計や発光マルチウェルプレートリーダー等で生成した発光の強度を測定する方法等が挙げられる。当該発光物質としては、例えばルミノール化合物、ルシゲニン化合物等が挙げられる。
酸化HDLの測定方法において、抗原抗体反応、すなわち、測定方法1における工程(I)及び工程(II)、測定方法2における工程(I)及び工程(II)を、金属イオン、塩類、糖類、防腐剤、蛋白質、蛋白質安定化剤、界面活性剤等の共存下で行うことができる。金属イオンとしては、例えばマグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。塩類としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。糖類としては、例えばマンニトール、ソルビトール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質(ストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等)、バイオエース、プロクリン300、プロキセル(Proxel)GXL等が挙げられる。蛋白質としては、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、ウシ胎児血清(FBS)、カゼイン、ブロックエース(大日本製薬社製)等が挙げられる。蛋白質安定化剤としては、例えばペルオキシダーゼ安定化緩衝液[Peroxidase Stabilizing Buffer、ダコサイトメーション(DakoCytomation)社製]、ポリエチレングリコール (PEG) 等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
工程(3)において、酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線は、既知濃度の酸化HDL濃度を有する標準品を検体として用いて、前述の酸化HDLの測定方法により測定を行い、得られた測定値と酸化HDL濃度とから作成することができる。
工程(4)において、工程(1)で採取された検体中の酸化HDL濃度は、当該検体を用いて、前述の酸化HDLの測定方法により測定を行い、得られた測定値と上述の検量線とから決定することができる。
工程(5)において、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要でない、という基準と比較する。
工程(6)において、工程(5)での比較の結果、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する。
本発明における脂質異常症治療とは、被検者の酸化HDLを低下させる治療であれば特に制限はなく、例えば脂質異常症治療薬による治療等が挙げられる。脂質異常症治療薬としては、被検者の酸化HDLを低下させる治療薬であれば特に制限はなく、例えばコレステロール異化促進薬等が挙げられる。コレステロール異化促進薬としては、例えばプロブコール等が挙げられる。
本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬は、酸化HDL測定試薬を含有することを特徴とする試薬である。本発明の脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬は、本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法に用いることができる。また、本発明の、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬には、さらに、被検者より採取された検体中の酸化HDL濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要ではない、という基準が記載された基準表が含まれていてもよい。
免疫学的測定法に基づいた、酸化HDL測定試薬の具体的態様を以下に示す。
酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体、及び、HDLに結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体を含む酸化HDL測定試薬。
・測定試薬2
HDLに結合する第1抗体、及び、酸化リポ蛋白質に結合する第2抗体に標識が結合した標識化第2抗体を含む酸化HDL測定試薬。
測定試薬1において、酸化リポ蛋白質に結合する第1抗体は不溶性担体に固定化されていても、固定化されていなくてもよいが、固定化されていることが好ましい。不溶性担体としては、例えば前述の不溶性担体等が挙げられる。測定試薬2において、HDLに結合する第1抗体は不溶性担体に固定化されていても、固定化されていなくてもよいが、固定化されていることが好ましい。不溶性担体としては、例えば前述の不溶性担体等が挙げられる。
酸化HDL測定試薬には、前述の水性媒体、金属イオン、塩類、糖類、防腐剤、蛋白質、蛋白質安定化剤、界面活性剤等が含まれていてもよい。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLを、酸化HDL測定試薬を用いて測定し、測定値を得る工程;
(3)既知濃度の酸化HDLを検体として用いて、工程(2)と同様の方法により測定値を得て、酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線を作成する工程;
(4)工程(2)で得られた測定値と、工程(3)で作成した酸化HDL濃度と測定値との間の関係を示す検量線とから、当該検体中の酸化HDL濃度を決定する工程;
(5)工程(4)で決定された酸化HDLの濃度が、当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要であり、健常人における酸化HDL濃度未満の場合には、当該患者は脂質異常症治療が必要でない、という基準と比較する工程;
(6)工程(5)での比較の結果、工程(4)で決定された当該検体中の酸化HDLの濃度が健常人における酸化HDL濃度以上の場合には、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度未満の場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程。
[実施例1]
被検者より採取された血清中の酸化HDL濃度の決定
(1)酸化HDL測定試薬
以下の、DLH3抗体固定化プレート、ペルオキシダーゼ標識化抗アポAI抗体溶液を含有する酸化HDL測定試薬を調製した。
96ウエルマイクロプレート(ヌンク社製)の各ウェルに、特開平7-238098に記載の方法で作製したDLH3抗体の10μg/mL Tris-HCl緩衝液(pH8.0)溶液を、100μL/ウェルとなるように加えて、4℃ で16時間インキュベートし、次いで、Tris-HCl緩衝液溶液を除去し、1%(w/v)BSAを含むTris-HCl緩衝液(pH8.0)を各ウェルに350μLを加えて25℃で2時間インキュベートすることによりブロッキングし、その後、0.05%(w/v)Tween20を含むPBS(pH7.4)で4回洗浄し、DLH3抗体が固定化されたプレートを調製した。
Peroxidase Labeling Kit - NH2 (同仁化学研究所社製)を用いて、当該キットに添付されたプロトコールに従って、抗アポAIマウスモノクローナル抗体 (Abnova社製)をペルオキシダーゼで標識し、ペルオキシダーゼ標識化抗アポAI抗体を調製した。
HDL-PLを、硫酸銅を用いて酸化して得られた2 mU/L、4 mU/L、8 mU/Lの各濃度の酸化HDLの反応緩衝液[0.1 g/L Tween 20、48 g/L PEG6000及び10 g/L BSAを含有するPBS(pH7.4)]溶液、並びに、反応緩衝液(酸化HDL濃度:0 U/L)を標準溶液として用いた。なお、ここで、1mU/Lの酸化HDLとは、1μg/LのHDL-PLを銅酸化して得られる酸化HDLを意味する。
リン脂質測定用キット「デタミナーL PL」(協和メデックス社製)を用いて、当該キットの添付文書に記載の方法に従って、デタミナー標準血清脂質測定用(協和メデックス社製)を標準品として用いて測定を行い、リン脂質濃度と測定値(吸光度)との間の関係を示す検量線を作成した。
大阪大学医学部附属病院通院中の患者で、脂質異常症の患者について、プロブコールを内服した群(39名)とプロブコールを内服しなかった群(138名)とに分けた。
上記(2)における標準溶液の代わりに、プロブコールを内服した群(39名)の各被検者より得られた血清を用いる以外は、上記(2)と同様の方法により測定を行い、各被検者より得られた血清に対する吸光度を測定した。測定した吸光度と上記(2)で作成した検量線とから、各被検者より採取した血清中の酸化HDL濃度を決定した。同様に、プロブコールを内服しなかった群(138名)の各被検者より採取した血清中の酸化HDL濃度を決定した。結果を図1に示す。
上記(4)と同じプロブコールを内服した群(39名)について、DCM(Designated Comparison Method)に従って、各被検者より採取された血清からHDL分画を分離し、分離したHDL分画中のリン脂質を「デタミナーL PL」(協和メデックス社製)を用いて測定した。測定により得られた測定値(吸光度)と、上記(3)で作成した検量線とから、HDL-PL濃度を決定した。
同様に、上記(4)と同じプロブコールを内服した群の代わりに、上記(4)と同じプロブコールを内服しなかった群を用いて、プロブコールを内服しなかった群の同一被検者より採取した血清中酸化HDL濃度のHDL-PL濃度に対する比(酸化HDL/HDL-PL)を決定した。結果を図2に示す。
Claims (17)
- 被検者より採取した検体中の酸化高密度リポ蛋白質(以下、酸化HDLという)の濃度を測定することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別方法。
- 以下(1)〜(3)の工程を含む、請求項1記載の方法。
(1)被検者から検体を採取する工程;
(2)工程(1)で採取した検体中の酸化HDLの濃度を測定する工程;
(3)工程(2)で測定した酸化HDLの濃度が、健常人における酸化HDL濃度よりも高い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要であると判定し、健常人における酸化HDL濃度よりも低い場合は、当該被検者は脂質異常症治療が必要でないと判定する工程 - 前記酸化HDLの濃度の測定が、免疫学的測定法により行われる請求項1又は2記載の方法。
- 前記免疫学的測定法が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを用いて行われる方法である請求項3記載の方法。
- 前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である請求項4記載の方法。
- 前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である請求項6記載の方法。
- 前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである請求項7記載の方法。
- 前記検体が、血液である請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 酸化高密度リポ蛋白質測定試薬(以下、酸化HDL測定試薬という)を含有することを特徴とする、脂質異常症治療が必要な被検者の選別用試薬。
- 前記酸化HDL測定試薬が、免疫学的測定試薬である請求項10記載の試薬。
- 前記免疫学的測定試薬が、酸化ホスファチジルコリンに結合する抗体、又は、ホスホコリンに結合する抗体と、高密度リポ蛋白質に結合する抗体とを含む試薬である請求項11記載の試薬。
- 前記高密度リポ蛋白質に結合する抗体が、アポA蛋白質に結合する抗体である請求項12記載の試薬。
- 前記脂質異常症治療が、脂質異常症治療薬による治療である請求項10〜13のいずれか1項に記載の試薬。
- 前記脂質異常症治療薬が、コレステロール異化促進薬である請求項14記載の試薬。
- 前記コレステロール異化促進薬が、プロブコールである請求項15記載の試薬。
- 前記酸化HDL測定試薬が、血液中の酸化HDLを測定するための試薬である、請求項10〜16のいずれか1項に記載の試薬。
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