JP7201961B2 - 試料中のエクソソームの破壊方法及び破壊用試薬 - Google Patents
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Description
[1]試料に、ポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を添加することを特徴とする、試料中のエクソソームの破壊方法。
[2]試料が、血清又は血漿である、[1]記載の方法。
[3]ポリエーテルアルキルアミン;POE-POPアルキルエーテル;及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含有することを特徴とする、試料中のエクソソーム破壊用試薬。
[4]試料が、血清又は血漿である、[3]記載の試薬。
本発明の試料中のエクソソームの破壊方法は、試料中のエクソソームを、ポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を用いて破壊する方法である。ここで「エクソソームを破壊する」とは、エクソソーム特有の脂質二重膜構造の小胞粒子の形状を消失させて、エクソソームの内部に含まれる物質がエクソソームの外部に溶出する程度まで破壊することを意味する。本明細書において、エクソソームの破壊は、エクソソーム膜の破壊、エクソソームの溶解、エクソソーム膜の溶解と表現されることもある。
測定シグナルが発色(吸光度)の場合、例えば、標識であるペルオキシダーゼと、その基質である過酸化水素および酸化発色型色原体の組み合わせとを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計やマルチウェルプレートリーダー等で測定する方法や、標識であるβ-D-ガラクトシダーゼとその基質とを反応させ、反応液の吸光度を分光光度計やマルチウェルプレートリーダー等で測定する方法等が挙げられる。酸化発色型色原体としては、例えばロイコ型色原体、酸化カップリング発色型色原体等が挙げられる。
ロイコ型色原体は、過酸化水素およびペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質の存在下、単独で色素へ変換される物質である。具体的には、テトラメチルベンジジン、O-フェニレンジアミン、10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン(CCAP)、10-N-メチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジン(MCDP)、N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム塩(DA-64)、10-N-カルボキシメチルカルバモイル-3,7-ビス(ジメチルアミノ)-10H-フェノチアジンナトリウム塩(DA-67)、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス[3-ビス(4-クロロフェニル)メチル-4-ジメチルアミノフェニル]アミン(BCMA)等が挙げられる。
カプラーとしては、例えば4-アミノアンチピリン(4-AA)、3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラジン等が挙げられる。
アニリン類としては、N-(3-スルホプロピル)アニリン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン(MAOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(DAOS)、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン(TOPS)、N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン(HDAOS)、N,N-ジメチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)アニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン、N-(3-スルホプロピル)-3,5-ジメトキシアニリン、N-エチル-N-(3-スルホプロピル)-3,5-ジメチルアニリン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)アニリン、N-エチル-N-(3-メチルフェニル)-N’サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N-エチル-N-(3-メチルフェニル)-N’アセチルエチレンジアミン、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-4-フルオロ-3,5-ジメトキシアニリン(F-DAOS)等が挙げられる。
フェノール類としては、フェノール、4-クロロフェノール、3-メチルフェノール、3-ヒドロキシ-2,4,6-トリヨード安息香酸(HTIB)等が挙げられる。
<エクソソームの破壊を確認する方法(1)>
(1A)試料に、ポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種以上の界面活性剤を添加する工程;
(2A)前記工程(1A)で得られたサンプルを、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片、及び、エクソソームがその表面に有する第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体若しくは該抗体断片と、水性媒体中で反応させ、該第1抗体若しくは該抗体断片と、エクソソームと、該第2抗体若しくは該抗体断片と、からなる免疫複合体1を生成させる工程;
(3A)前記工程(2A)で生成した免疫複合体を測定する工程;
(4A)前記工程(1A)において、試料に、ポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルのいずれの界面活性剤も添加しないことを除いては、前記工程(1A)~(3A)と同じ工程により生成した免疫複合体を測定する工程;及び、
(5A)前記工程(3A)で得られた測定シグナルと、前記工程(4A)で得られた測定シグナルとを比較し、前記工程(3A)で得られた測定シグナルが、前記工程(4A)で得られた測定シグナルに比較して減少した場合には、エクソソームが破壊された、と判断する工程。
上記工程(2A)において、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片は不溶性担体に固定化されていなくても、固定化されていてもよいが、固定化されていることが好ましい。不溶性担体としては、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片を固定化し、本発明のエクソソームの破壊方法を可能とする不溶性担体であれば特に制限はなく、例えばマイクロタイタープレート等の合成樹脂製プレート、ガラス製または合成樹脂製の粒状物(ビーズ)、ガラス製または合成樹脂製の球状物(ボール)、ラテックス、磁性粒子、ニトロセルロース膜等の各種メンブレン、合成樹脂製の試験管等が挙げられる。合成樹脂製プレートとしては、例えばポリエチレンプレート、ポリプロピレンプレート、ポリスチレンプレート等が挙げられる。
エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片は、物理吸着及び/又は化学結合により直接、不溶性担体に固定化しても、間接的に不溶性担体に固定化してもよい。間接的な固定化方法としては、例えばビオチンとアビジン類(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン等)との特異的結合を介して、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片を不溶性担体に固定化する方法等が挙げられる。また、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片は、リンカーを介した共有結合により不溶性担体に固定化してもよい。
また、上記工程(2A)において、エクソソームがその表面に有する第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体若しくは該抗体断片は標識に結合しても、結合していなくてもよいが、結合していることが好ましい。標識としては、例えば前述の標識等が挙げられる。エクソソームがその表面に有する第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体若しくは該抗体断片が標識に結合している場合、上記工程(3A)における、生成した免疫複合体の測定は、生成した免疫複合体中の標識を測定することにより行うことができる。
該第2抗体若しくは該抗体断片に標識が結合していない場合には、該第2抗体若しくは該抗体断片に結合する第3抗体若しくは該抗体断片に標識が結合した標識化第3抗体若しくは該抗体断片を用いて、同様に、試料中のエクソソームの破壊を確認することができる。すなわち、標識化第3抗体若しくは該抗体断片を、免疫複合体1中の第2抗体若しくは該抗体断片と反応させて、第1抗体若しくは該抗体断片と、エクソソームと、第2抗体若しくは該抗体断片と、標識化第3抗体若しくは該抗体断片と、からなる免疫複合体2を形成させ、免疫複合体2中の標識を前述の方法により測定することにより、工程(2A)で生成した免疫複合体1の量を測定することができる。第3抗体としては、例えば第2抗体のFc領域に結合する抗体若しくは該抗体断片等が挙げられる。標識としては、前述の標識等が挙げられる。
本発明における、第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体の抗体断片としては、該第2のエクソソーム特有抗原に結合し、本発明のエクソソームの破壊方法を可能とする抗体断片であれば特に制限はなく、例えば、抗体をパパイン処理することにより得られるFab、抗体をペプシン処理することにより得られるF(ab’)2、抗体をペプシン処理-還元処理することにより得られるFab’等の、Fc部分が除去された抗体断片、遺伝子工学的手法によりFc部分が除去された抗体断片等が挙げられる。
本発明における、第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体としては、該第2のエクソソーム特有抗原に結合し、本発明のエクソソームの破壊方法を可能とする抗体であれば特に制限はなく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれも使用可能である。
(1B)試料に、ポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を添加する工程;
(2B)前記工程(1B)で得られたサンプルをゲルろ過クロマトグラフィに供し、エクソソームを含有する分画とそれ以外の分画とを分離する工程;
(3B)前記工程(2B)で得られたエクソソームを含有する分画を、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片、及び、エクソソームがその表面に有する第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体若しくは該抗体断片と、水性媒体中で反応させ、該第1抗体若しくは該抗体断片と、エクソソームと、該第2抗体若しくは該抗体断片と、からなる免疫複合体1を生成させる工程;
(4B)前記工程(3B)で生成した免疫複合体1を測定する工程;
(5B)前記工程(1B)において、ポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を添加しないことを除いては、前記工程(1B)~(4B)と同じ工程により生成した免疫複合体を測定する工程;及び、
(6B)前記工程(4B)で得られた測定シグナルと、前記工程(5B)で得られた測定シグナルとを比較し、前記工程(4B)で得られた測定シグナルが、前記工程(5B)で得られた測定シグナルに比較して減少した場合に、エクソソームが破壊された、と判断する工程。
上記工程(3B)において、エクソソームがその表面に有する第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体若しくは該抗体断片は不溶性担体に固定化されていなくても、固定化されていてもよいが、固定化されていることが好ましい。不溶性担体としては、例えば前述の不溶性担体等が挙げられる。
また、上記工程(3B)において、エクソソームがその表面に有する第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体若しくは該抗体断片は標識に結合しても、結合していなくてもよいが、結合していることが好ましい。標識としては、例えば前述の標識等が挙げられる。エクソソームがその表面に有する第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体若しくは該抗体断片が標識に結合している場合、上記工程(4B)における、生成した免疫複合体1の測定は、生成した免疫複合体1中の標識を測定することにより行うことができる。
該第2抗体若しくは該抗体断片に標識が結合していない場合には、該第2抗体若しくは該抗体断片に結合する第3抗体若しくは該抗体断片に標識が結合した標識化第3抗体若しくは該抗体断片を用いて、同様に、試料中のエクソソームの破壊を確認することができる。すなわち、標識化第3抗体若しくは該抗体断片を、免疫複合体1中の第2抗体若しくは該抗体断片と反応させて、第1抗体若しくは該抗体断片と、エクソソームと、第2抗体若しくは該抗体断片と、標識化第3抗体若しくは該抗体断片と、からなる免疫複合体2を形成させ、免疫複合体2中の標識を前述の方法により測定することにより、工程(3B)で生成した免疫複合体1の量を測定することができる。第3抗体としては、例えば第2抗体のFc領域に結合する抗体若しくは該抗体断片等が挙げられる。標識としては、前述の標識等が挙げられる。
第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体と、第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体との組み合わせとしては、例えば前述の組み合わせ等が挙げられる。
第1のエクソソーム特有抗原に結合する第1抗体、第2のエクソソーム特有抗原に結合する第2抗体のいずれの抗体も、市販の抗体を使用することができる。市販の抗体としては、例えば前述の抗体等が挙げられる。
ポリエーテルアルキルアミンにおけるアルキルとしては、例えば、炭素数8~24のアルキルが挙げられ、炭素数10~20のアルキルが好ましい。炭素数8~24のアルキルとしては、例えば、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、ノナデシル、イコシル、ヘネイコシル、ドコシル(ベヘニル)、トリコシル、テトラコシル等が挙げられる。炭素数10~20のアルキルとしては、例えばデシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、オレイル、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。
HLB値が13以下のポリエーテルアルキルアミンの市販品として、例えば、POEアルキルアミンとしては、ナイミーンL-201[オキシエチレンドデシルアミン;HLB値3.8]、ナイミーンL-202[POEドデシルアミン;HLB値6.4]、ナイミーンL-207[POEドデシルアミン;HLB値12.5]、ナイミーンS-204[POEステアリルアミン;HLB値8.0]、ナイミーンT2-210[POEアルキル(牛脂)アミン;HLB値12.5]、ナイミーンF-202[POEアルキル(ヤシ)アミン;HLB値6.1](以上、日油社製)、ブラウノンL-205[POEドデシルアミン;HLB値10.4](青木油脂工業社製)等が挙げられる。HLB値が13以下のPOEアルキルプロピレンジアミンの市販品としては、例えば、ナイミーンDT-203[POEアルキルプロピレンジアミン;HLB値6.0]、ナイミーンDT-208[POEアルキルプロピレンジアミン;HLB値10.7](以上、日油社製)、ブラウノンDT-03[POEアルキル(牛脂)プロピレンジアミン;HLB値5.9](以上、青木油脂工業社製)等が挙げられる。
POE-POPアルキルエーテルにおけるアルキルとしては、例えば、炭素数8~24のアルキルが挙げられ、炭素数10~20のアルキルが好ましい。炭素数8~24のアルキルとしては、例えば、前述の炭素数8~24のアルキル等が挙げられる。炭素数10~20のアルキルとしては、例えば、前述の炭素数10~20のアルキル等が挙げられる。
また、HLB値が13以下のPOE-POPアルキルエーテルの市販品としては、例えば、ノニオンHT-505[POE-POPアルキルエーテル;HLB値5]、ノニオンHT-510[POE-POPアルキルエーテル;HLB値10]、ノニオンHT-512[POE-POPアルキルエーテル;HLB値12](以上、日油社製)、ワンダサーフID-50[POE-POPイソデシルエーテル;HLB値10.5]、ワンダサーフID-70[POE-POPイソデシルエーテル;HLB値12.1](以上、青木油脂工業社製)、ノイゲンTDS-30[POE-POPトリデシルエーテル;HLB値8]、ノイゲンTDS-50[POE-POPトリデシルエーテル;HLB値10.5]、ノイゲンTDS-70[POE-POPトリデシルエーテル;HLB値12.1](以上、第一工業製薬社製)等が挙げられる。
HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルにおけるアルキルとしては、例えば、炭素数8~9のアルキルが挙げられる。炭素数8~9のアルキルとしては、例えばオクチル、ノニル等が挙げられる。
水性媒体としては、本発明のエクソソームの破壊方法を可能とする水性媒体であれば特に制限はなく、例えば、脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液が好ましい。水性媒体のpHとしては、例えば4~10である。水性媒体として緩衝液を用いる場合には、設定するpHに適した緩衝液を用いることが好ましい。緩衝液の調製に使用される緩衝剤としては、緩衝能を有するものならば特に限定はなく、例えば、乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グッド緩衝剤等が挙げられる。
水性媒体には、塩類、金属イオン、糖類、防腐剤、蛋白質等が含有されてもよい。塩類としては、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム等が挙げられる。金属イオンとしては、例えばマグネシウムイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン等が挙げられる。糖類としては、例えばマンニトール、ソルビトール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質(ストレプトマイシン、ペニシリン、ゲンタマイシン等)、バイオエース、プロクリン300、プロキセル(Proxel)GXL等が挙げられる。蛋白質としては、例えばウシ血清アルブミン等が挙げられる。
本発明の試料中のエクソソームの破壊用試薬は、本発明の試料中のエクソソームの破壊方法に用いられる試薬であり、試料中エクソソーム破壊剤、試料中エクソソーム破壊用組成物、試料中エクソソーム溶解用試薬、試料中エクソソーム溶解剤、試料中エクソソーム溶解用組成物とも表現されうる。本発明の破壊用試薬を用いて破壊するエクソソームを含有する試料としては、例えば前述の試料等が挙げられる。
本発明のエクソソームの破壊用試薬におけるポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルとは、例えば、前述のポリエーテルアルキルアミン、POE-POPアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルがそれぞれ挙げられる。
<材料>
Superdex200HR 10/30(GEヘルスケア社製)、リン酸水素二ナトリウム(リン酸緩衝液;関東化学社製)、リン酸二水素ナトリウム(リン酸緩衝液;関東化学社製)、塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)、アジ化ナトリウム(和光純薬工業社製)、BCAタンパク質アッセイキット(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、MES(同仁化学研究所社製)、牛血清アルブミン(BSA;オリエンタル酵母工業社製)、ストレプトアビジン結合磁性粒子(Dynabeads MyOne Streptavidin C1;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、Biotin Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所社製)、抗CD9モノクローナル抗体(クローンA100-4;医学生物学研究所社製)、MES(同仁化学研究所社製)、Alkaline Phosphatase Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所社製)、MOPS(同仁化学研究所社製)、塩化マグネシウム6水和物(和光純薬工業社製)、Tween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;和光純薬工業社製同仁化学研究所社製)、9-[(4-クロロフェニルチオ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム塩(LumigenTM APS-5;オリエンタル酵母工業社製)、ナイミーンL-202[POEラウリルアミン(ポリエーテルアルキルアミン);日油社製]、ナイミーンDT-203[POEアルキルプロピレンジアミン(ポリエーテルアルキルアミン);日油社製]、ワンダサーフID-50[POE-POPイソデシルエーテル(POE-POPアルキルエーテル);青木油脂工業社製]、ノニオンNS-204.5[POEノニルフェニルエーテル(HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテル);日油社製]、ノニオンHS-204.5[POEオクチルフェニルエーテル(HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテル);日油社製]、トリトンX-100[POEオクチルフェニルエーテル(HLB値13.5);シグマアルドリッチ社製]、ノニデットP-40[POEノニルフェニルエーテル(HLB値13.1);シグマアルドリッチ社製]。
<血清をゲルろ過クロマトグラフィに供した際に得られる、エクソソームを含有する分画の同定>
(1)血清の調製
協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、2,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、血清を調製した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィによる血清成分の分離操作
ゲルろ過クロマトグラフィ用カラムであるSuperdex200HR 10/30に、上記(1)で調製した血清(500μL)をアプライし、次いで、溶出液として、アジ化ナトリウム0.2g/Lを添加したPBS[リン酸緩衝化生理食塩水(0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.2)]を流速0.5mL/minで流し、その溶出分画として分画No.1~80(各0.5mL)を得た。
(3)上記(2)で得られた各分画の、BCAタンパク質アッセイキットによる測定
上記(2)で得られた分画No.1~80の各分画について、蛋白質量の測定用キットであるBCAタンパク質アッセイキットを用いて、該キットの使用説明書に従って反応を行い、吸光度(560nm)を測定した。その結果を図1に示す。
ストレプトアビジン結合磁性粒子溶液、ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液、及び、ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗CD9モノクローナル抗体溶液を調製した。
・ストレプトアビジン結合磁性粒子溶液
市販のストレプトアビジン結合磁性粒子(Dynabeads MyOne Streptavidin C1)を用いて、以下の組成からなるストレプトアビジン結合磁性粒子溶液を調製した。
MES(pH6.5) 0.05mol/L
BSA 0.1%(w/v)
塩化ナトリウム 0.1mol/L
ストレプトアビジン結合磁性粒子 0.225mg/mL
・ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液
Biotin Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所社製)を用いて、該キットの使用説明書に従い、抗CD9モノクローナル抗体(クローンA100-4;医学生物学研究所社製)をビオチンで標識し、ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体を調製した。得られたビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体を用いて、以下の組成からなるビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液を調製した。
MES(pH6.5) 0.05mol/L
ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体 75ng/mL
BSA 0.1%(w/v)
塩化ナトリウム 0.1mol/L
・ALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液
Alkaline Phosphatase Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所社製)を用いて、該キットの取扱説明書に従い、抗CD9モノクローナル抗体(クローンA100-4;医学生物学研究所社製)をALPで標識し、ALP標識抗CD9モノクローナル抗体を調製した。得られたALP標識抗CD9モノクローナル抗体を用いて、以下の組成からなるALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液を調製した。
MES(pH6.5) 0.05mol/L
ALP標識抗CD9モノクローナル抗体 75ng/mL
BSA 0.1%(w/v)
塩化ナトリウム 0.1mol/L
上記(2)で得られた分画No.1~80について、各分画(10μL)に、上記(4)で調製したストレプトアビジン結合磁性粒子溶液(30μL)、上記(4)で調製したビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液(30μL)、及び、上記(4)で調製したALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液(30μL)を加えて撹拌し、37℃で10分間反応させた。次いで、磁性粒子を磁力で収集し、磁性粒子以外の反応溶液を除去するとともに、下記の洗浄液で該収集された磁性粒子を5回洗浄した。
・洗浄液
MOPS(pH7.3) 0.005mol/L
塩化ナトリウム 0.3mol/L
塩化マグネシウム6水和物 0.2mmol/L
Tween20 0.075%(w/v)
その後、該収集され洗浄された磁性粒子に、9-[(4-クロロフェニルチオ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム塩(LumigenTM APS-5)を主成分とする発光基質液100μLを添加して撹拌し、生じた発光量(RLU)を測定した。その結果を図1に示す。
上記(5)の結果を示した図1から明らかなように、分画No.18及びその前後の分画は、抗CD9モノクローナル抗体を用いたサンドイッチ法による測定により大きな測定シグナルが得られた。したがって、分画No.18及びその前後の分画には、CD9をその表面に有するエクソソームが含まれていることが判明した。
血清中には、CD9をその表面に有するエクソソームの他、単分子のCD9が存在する可能性がある。しかし、上記(5)のサンドイッチ法は、1次抗体としての抗CD9モノクローナル抗体と、標識化2次抗体としてのALP標識抗CD9モノクローナル抗体とを用いるサンドイッチ法、すなわち、1次抗体と2次抗体の両抗体に、同一のエプトープを認識する抗体を用いるサンドイッチ法であるため、単分子のCD9をサンドイッチすることはできない。したがって、図1においてサンドイッチ法によりシグナルが得られるということは、CD9をその表面に有するエクソソームのみを検出し、単分子のCD9自体は検出されていないことを意味する。
ここで、ゲルろ過クロマトグラフィにおいては、分子量が大きい分子ほど溶出が早い。しかしながら、図1から明らかなように、CD9(分子量約24kDa)に起因するシグナルを示す分画No.18付近の分画は、アルブミン(分子量約66kDa)及びガンマグロブリン(分子量約150kDa)と比較して溶出が早い。したがって、CD9に起因するシグナルを示す分画No.18付近の分画には、単分子のCD9ではなく、CD9をその表面に有するエクソソームが含まれていることが判明した。
〔実施例1〕
PBSへ、以下の表3に示した5つの界面活性剤の各界面活性剤を10%(w/v)となるように添加し、エクソソーム破壊用試薬A1~A5をそれぞれ調製した。
〔比較例1〕
PBSへ、以下の表3に示した2つの界面活性剤、すなわち、トリトンX-100とノニデットP-40の各界面活性剤を10%(w/v)となるように添加し、エクソソーム破壊用試薬B1及びB2をそれぞれ調製した。
〔比較例2〕
PBSを、対照用試薬B0とした。
<ポリエーテルアルキルアミンを含有するエクソソーム破壊用試薬を用いたエクソソームの破壊>
(1)血清の調製、及び、界面活性剤による血清の処理
参考例1における健常人とは異なる、協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、2,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、血清を調製した。
調製した血清(900μL)に、上記の実施例1で調製したエクソソーム破壊用試薬A1(100μL)を添加し、10分間静置した。同様に、調製した血清(900μL)に、上記の実施例1で調製したエクソソーム破壊用試薬A2(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィによる血清成分の分離操作
ゲルろ過クロマトグラフィ用カラムであるSuperdex200HR 10/30(GEヘルスケア社製)を使用し、上記(1)で調製及び界面活性剤処理をした血清の成分の分離操作を行った。まず、該カラムに該界面活性剤処理した血清500μLをアプライし、次いで、溶出液として、アジ化ナトリウム0.2g/Lを含有するPBS[リン酸緩衝化生理食塩水(0.15mol/L塩化ナトリウムを含有する10mmol/Lリン酸緩衝液、pH7.2)]を流速0.5mL/minで流し、溶出分画として分画No.1~80(各0.5mL)を得た。
上記の参考例1の(4)と同様の方法により、ストレプトアビジン結合磁性粒子溶液、ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液、及び、ALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液を調製した。
(4)上記(2)で得られた各分画の、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
上記(2)で得られた分画No.1~80のうち、分画No.15~25について、各分画10μLに、上記(3)で調製したストレプトアビジン結合磁性粒子溶液30μL、上記(3)で調製したビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液30μL、及び、上記(3)で調製したALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液30μLを加えて撹拌し、37℃で10分間反応させた。次いで、磁性粒子を磁力で収集し、磁性粒子以外の反応溶液を除去するとともに、上記の参考例1の(5)で使用した洗浄液で該収集された磁性粒子を5回洗浄した。その後、該収集され洗浄された磁性粒子に、9-[(4-クロロフェニルチオ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム塩(LumigenTM APS-5)を主成分とする発光基質液100μLを添加して撹拌し、生じた発光量(RLU)を測定した。その結果を図2に示す。
(1)血清の調製、及び、対照用試薬B0による血清の処理
上記の実施例2の(1)で調製した血清(900μL)に、上記の比較例2で調製した対照用試薬B0(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィ~抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
ゲルろ過クロマトグラフィ用のサンプルとして、上記(1)で得られた血清を用いる以外は、上記の実施例2の(2)~(4)と同様の方法により、ゲルろ過クロマトグラフィによる血清成分の分離操作、及び、該ゲルろ過クロマトグラフィにより溶出された分画No.15~25の、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定を行った。その結果を図2に示す。
上記の比較例3の(2)で得られた分画No.18に対する発光量を100としたときの、上記の実施例2の(4)において、エクソソーム破壊用試薬A1で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。同様に、上記の実施例2の(4)で得られた、エクソソーム破壊用試薬A2で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。その結果を表4に示す。
<POE-POPアルキルエーテルを含有するエクソソーム破壊用試薬を用いたエクソソームの破壊>
(1)血清の調製、及び、界面活性剤による血清の処理
参考例1及び実施例2における健常人とは異なる、協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、2,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、血清を調製した。
調製した血清(900μL)に、上記の実施例1で調製したエクソソーム破壊用試薬A3(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィ~抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
ゲルろ過クロマトグラフィ用のサンプルとして、上記(1)で得られた血清を用いる以外は、上記の実施例2の(2)~(4)と同様の方法により、ゲルろ過クロマトグラフィによるエクソソームとそれ以外の成分との分離、及び、該ゲルろ過クロマトグラフィにより得られた分画No.15~25中のエクソソームを、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法により測定した。その結果を図3に示す。
(1)血清の調製、及び、対照用試薬B0による血清の処理
上記の実施例4の(1)で調製した血清(900μL)に、上記の比較例2で調製した対照用試薬B0(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィ~抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
ゲルろ過クロマトグラフィ用のサンプルとして、上記(1)で得られた血清を用いる以外は、上記の実施例2の(2)~(4)と同様の方法により、ゲルろ過クロマトグラフィによるエクソソームとそれ以外の成分との分離、及び、該ゲルろ過クロマトグラフィにより得られた分画No.15~25中のエクソソームを、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法により測定した。その結果を図3に示す。
上記の比較例4の(2)で得られた分画No.18に対する発光量を100としたときの、上記の実施例4の(2)において、エクソソーム破壊用試薬A3で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。その結果を表5に示す。
<HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルを含有するエクソソーム破壊用試薬を用いたエクソソームの破壊>
(1)血清の調製、及び、界面活性剤による血清の処理
参考例1、実施例2及び実施例4における健常人とは異なる、協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、2,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、血清を調製した。
調製した血清(900μL)に、上記の実施例1で調製したエクソソーム破壊用試薬A4(100μL)を添加し、10分間静置した。同様に、調製した血清(900μL)に、上記の実施例1で調製したエクソソーム破壊用試薬A5(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィ~抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
ゲルろ過クロマトグラフィ用のサンプルとして、上記(1)で得られた血清を用いる以外は、上記の実施例2の(2)~(4)と同様の方法により、ゲルろ過クロマトグラフィによるエクソソームとそれ以外の成分との分離、及び、該ゲルろ過クロマトグラフィにより得られた分画No.15~25中のエクソソームを、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法により測定した。その結果を図4に示す。
<HLB値が13を超えたPOEアルキルフェニルエーテルを含有するエクソソーム破壊用試薬を用いたエクソソームの破壊>
(1)血清の調製、及び、界面活性剤による血清の処理
上記の実施例6の(1)で調製した血清(900μL)に、上記の比較例1で調製したエクソソームの破壊用試薬B1(100μL)を添加し、10分間静置した。同様に、上記の実施例6の(1)で調製した血清(900μL)に、上記の比較例1で調製したエクソソームの破壊用試薬B2(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィ~抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
ゲルろ過クロマトグラフィ用のサンプルとして、上記(1)で得られた血清を用いる以外は、上記の実施例2の(2)~(4)と同様の方法により、ゲルろ過クロマトグラフィによるエクソソームとそれ以外の成分との分離、及び、該ゲルろ過クロマトグラフィにより得られた分画No.15~25中のエクソソームを、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法により測定した。その結果を図4に示す。
(1)血清の調製、及び、対照用試薬B0による血清の処理
上記の実施例6の(1)で調製した血清(900μL)に、上記の比較例2で調製した対照用試薬B0(100μL)を添加し、10分間静置した。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィ~抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
ゲルろ過クロマトグラフィ用のサンプルとして、上記(1)で得られた血清を用いる以外は、上記の実施例2の(2)~(4)と同様の方法により、ゲルろ過クロマトグラフィによるエクソソームとそれ以外の成分との分離、及び、該ゲルろ過クロマトグラフィにより得られた分画No.15~25中のエクソソームを、抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法により測定した。その結果を図4に示す。
上記の比較例6の(2)で得られた分画No.18に対する発光量を100としたときの、上記の実施例6の(2)において、エクソソーム破壊用試薬A4で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。同様に、上記の実施例6の(2)で得られた、エクソソーム破壊用試薬A5で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。その結果を表6に示す。
また、上記の比較例6の(2)で得られた分画No.18に対する発光量を100とし、上記の比較例5の(2)で得られた、エクソソーム破壊用試薬B1で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。同様に、上記の比較例5の(2)で得られた、エクソソーム破壊用試薬B2で処理された血清より得られた分画No.18に対する相対的発光量を算出した。その結果を表6に示す。
また、図4及び表6から明らかなように、ノニオンNS-204.5又はノニオンHS-204.5を含有するエクソソーム破壊用試薬で10分間血清を処理した場合、エクソソームを含有する分画(分画No.18)に対する発光量は、HLB値が13を超えるPOEアルキルフェニルエーテルであるトリトンX-100又はノニデットP-40を含有するエクソソーム破壊用試薬により血清を処理した場合と比較しても、顕著に低かった。したがって、HLB値が13を超えるPOEアルキルフェニルエーテルであるトリトンX-100又はノニデットP-40の血清への添加に比較して、ノニオンNS-204.5又はノニオンHS-204.5の血清への添加により、顕著にエクソソームが破壊されることが判明した。したがって、HLB値が13以下のPOEアルキルフェニルエーテルの血清への添加により、血清中のエクソソームを単離することなく、簡便かつ迅速に、血清中のエクソソームを破壊できることが明らかとなった。
<試料差:血清及び血漿>
(1)血清の調製、及び、血清の処理
参考例1、実施例2、実施例4及び実施例6における健常人とは異なる、協和メデックス株式会社所属の健常人1より採取した全血を、2,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、血清1を調製した。
調製した血清1(900μL)に、上記の実施例1で調製したエクソソーム破壊用試薬A4(100μL)を添加して10分間静置し、血清1A4 を得た。
また、調製した血清1(900μL)に、上記の比較例2で調製した対照用試薬B0(100μL)を添加して10分間静置し、血清1B0 を得た。
(2)抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法に用いる測定試薬の調製
上記の参考例1の(4)と同様の方法により、ストレプトアビジン結合磁性粒子溶液、ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液、及び、ALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液を調製した。
(3)抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
上記(1)で調製した血清1A4 及び血清1B0 の各血清(10μL)に、上記(2)で調製したストレプトアビジン結合磁性粒子溶液(30μL)、上記(2)で調製したビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液(30μL)、及び、上記(2)で調製したALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液(30μL)を加えて撹拌し、37℃で10分間反応させた。次いで、磁性粒子を磁力で収集し、磁性粒子以外の反応溶液を除去するとともに、上記の参考例1の(5)で使用した洗浄液で該収集された磁性粒子を5回洗浄した。その後、該収集され洗浄された磁性粒子に、9-[(4-クロロフェニルチオ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム塩(LumigenTM APS-5)を主成分とする発光基質液100μLを添加して撹拌し、血清1A4 に対する発光量1A4 、及び、血清1B0 に対する発光量1B0 をそれぞれ測定した。
サンプルとして生理食塩水を用いる以外は、上記(3)と同様の測定により、ブランク発光量を測定した。
次いで、該ブランク発光量と、上記(3)で得られた発光量1A4 及び発光量1B0 とから、S/N比(シグナル/ノイズ比)を下記の式により算出した。
S/N比1A4 = 発光量1A4 /ブランク発光量
S/N比1B0 = 発光量1B0 /ブランク発光量
(5)S/N比残存率の算出
上記の(4)で得られたS/N比1B0 を100とし、上記の(4)で得られたS/N比1A4 の相対値を算出し、S/N比残存率1とした。その結果を表7に示す。
ここで、S/N比残存率が100に近ければ近いほど、エクソソームが破壊されていないことを意味する。すなわち、S/N比残存率が0に近ければ近いほど、エクソソームがより破壊されていることを意味する。
(6)血漿1、並びに、血清2及び血漿2におけるS/N比残存率の算出
サンプルとして上記(1)の健常人1から得られたEDTA血漿1を用いる以外は、上記(1)~(5)と同様の方法により、S/N比残存率1’を算出した。その結果を表7に示す。
また、サンプルとして上記(1)の健常人1とは別の健常人2から得られた血清2又はEDTA血漿2を用いる以外は、上記(1)~(5)と同様の方法により、S/N比残存率2及びS/N比残存率2’をそれぞれ算出した。その結果を表7に示す。
<エクソソーム破壊用試薬の調製>
PBSへ、以下の表8に示した濃度となるようノニオンNS-204.5を添加し、エクソソーム破壊用試薬A6~A8をそれぞれ調製した。
<エクソソーム破壊用試薬A6~A8による血清中のエクソソームの破壊>
(1)血清の調製、及び、血清の処理
参考例1、実施例2、実施例4、実施例6及び実施例8における健常人とは異なる、協和メデックス株式会社所属の健常人より採取した全血を、2,000rpm、25℃で20分間遠心分離し、血清を調製した。
調製した血清(900μL)に、上記の実施例9で調製したエクソソーム破壊用試薬A6~A8の各試薬(100μL)を添加して10分間静置し、血清A6 、血清A7 及び血清A8 をそれぞれ得た。
また、調製した血清(900μL)に、上記の比較例2で調製した対照用試薬B0(100μL)を添加して10分間静置し、血清B0 を得た。
(2)抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法に用いる測定試薬の調製
上記の参考例1の(4)と同様の方法により、ストレプトアビジン結合磁性粒子溶液、ビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液、及び、ALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液を調製した。
(3)抗原抗体反応を用いるサンドイッチ法による測定
上記(1)で調製した血清A6 、血清A7 、血清A8 及び血清B0 10μLに、上記(2)で調製したストレプトアビジン結合磁性粒子溶液(30μL)、上記(2)で調製したビオチン結合抗CD9モノクローナル抗体溶液(30μL)、及び、上記(2)で調製したALP標識抗CD9モノクローナル抗体溶液(30μL)を加えて撹拌し、37℃で10分間反応させた。次いで、磁性粒子を磁力で収集し、磁性粒子以外の反応溶液を除去するとともに、上記の参考例1の(5)で使用した洗浄液で該収集された磁性粒子を5回洗浄した。その後、該収集され洗浄された磁性粒子に、9-[(4-クロロフェニルチオ)(ホスホリルオキシ)メチリデン]-10-メチルアクリダン・二ナトリウム塩(LumigenTM APS-5)を主成分とする発光基質液(100μL)を添加して撹拌し、発光量A6 、発光量A7 、発光量A8 及び発光量B0 をそれぞれ測定した。
サンプルとして生理食塩水を用いる以外は、上記(3)と同様の測定により、ブランク発光量を測定した。
次いで、該ブランク発光量と、上記(3)で得られた発光量A6 、発光量A7 、発光量A8 及び発光量B0 の各発光量とから、S/N比を下記の式により算出した。
S/N比A6 = 発光量A6 /ブランク発光量
S/N比A7 = 発光量A7 /ブランク発光量
S/N比A8 = 発光量A8 /ブランク発光量
S/N比B0 = 発光量B0 /ブランク発光量
(5)S/N比残存率の算出
上記の(4)で得られたS/N比B0 を100としたときの、上記の(4)で得られたS/N比A6 、S/N比A7 及びS/N比A8 の相対値を算出し、それぞれS/N比残存率A6 、S/N比残存率A7 及びS/N比残存率A8 とした。その結果を表9に示す。ここで、S/N比残存率が100に近ければ近いほど、エクソソームが破壊されていないことを意味する。すなわち、S/N比残存率が0に近ければ近いほど、エクソソームがより破壊されていることを意味する。
Claims (2)
- 試料に、ポリエーテルアルキルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を添加することを特徴とする、試料中のエクソソームの破壊方法であって、試料が、血清又は血漿である、方法。
- ポリエーテルアルキルアミン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及び、HLB値が13以下のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤を含有することを特徴とする、試料中のエクソソーム破壊用試薬であって、試料が、血清又は血漿である、試薬。
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VELLA, L.J et al.,Packaging of prions into exosomes is associated with a novel pathway of PrP processing,The Journal of Pathology,2007年03月02日,Vol.211, Isuue 5,p.582-590 |
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