JP2016211925A - がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性を評価する方法、がんの悪性化を評価する方法、及びそれら方法に用いられるキット - Google Patents
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Abstract
【課題】 がんにおいてタキサン系抗がん剤であるドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性や悪性化を評価するための新たな指標を提供すること。【解決手段】 ITGB4又はVCLの存在量を指標として、がんにおけるドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性や悪性化を評価しうることを見出した。【選択図】 なし
Description
本発明は、がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性や悪性化を評価する方法であって、エクソソーム中のインテグリンβ4(ITGB4)又はヴィンキュリン(VCL)の存在量を指標とする方法に関する。また、本発明は、それら方法に用いられるキットに関する。
前立腺がんにおいて、内科的去勢術としてのホルモン療法により血中の前立腺特異的抗原(PSA)のレベルが劇的に低下するが、最終的には再上昇し、去勢抵抗性前立腺がん(castration-resistant prostate cancer; CRPC)となることが多い。CRPCになった場合、これまでドセタキセル等のタキサン系抗がん剤(微小管脱重合阻害薬)による化学療法が選択されてきた。しかしながら、その場合にも、最終的には抵抗性を獲得してしまうことが多い。
ドセタキセル抵抗性CRPCに有効な新規タキサン系抗がん剤としては、カバジタキセル(cabazitaxel)が開発されている。また、CRPCに対する新規薬剤として、既存のアンドロゲン受容体阻害剤より受容体に対する親和性が高いエンザルタミド(enzalutamide)やアンドロゲン合成酵素阻害剤(CYP17阻害剤)であるアビラテロン(abiraterone)が開発された。これら作用機序の異なる3種類の新規薬剤の患者への投与は最近始まったばかりである。今後これらの新規薬剤の臨床導入に伴い、前立腺がんの治療法は様変わりする可能性があるが、どのような患者にどの時期にどの薬剤を使うかについての投与プロトコールはなく、臨床研究の成果が待たれる。
ところで、従来、前立腺がんにおいては、血中PSAレベルのモニタリングを行い、その再上昇により、薬剤抵抗性の出現や悪性度を推認し、治療法を選択してきた。しかしながら、がんにおける薬剤抵抗性の獲得や悪性化とPSAレベルの再上昇との間にはタイムラグがあるため、早期に治療を切り替えることが難しい。さらに、新規薬剤の登場により、多岐にわたる前立腺がんの治療方針の策定に際してPSAレベルを指標とするだけでは情報不足となっていた。
Ruiz C, et al., J Pathol 223: 543-552, 2011
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本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、がんにおいてタキサン系抗がん剤であるドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性や悪性化を評価するための新たな指標を提供することを課題とする。
体液中に存在する細胞外小胞(Extracellular vesicles:Kosaka N, et al., Cancer Sci 101: 2087-2092, 2010参照)、特に、エクソソームは、細胞から放出される40-150nm程度の脂質2重層からなる小胞であり、その膜表面にユニバーサルマーカーとして知られているCD9、CD63、CD81といった4回膜貫通蛋白質(tetraspanin)を多く発現していることが報告されている。また、エクソソームの膜表面蛋白質は、放出元となる細胞や組織の膜表面構成を反映しているとされ、その膜表面構成比をプロファイリングすることで組織や疾患特異性を同定することが可能である。
そこで、本発明者は、まず、去勢抵抗性前立腺がんPC3細胞とこの細胞から樹立したパクリタキセル耐性PC3細胞(PC3PR細胞)の培養上清から、超遠心法によりエクソソームを単離し、質量分析により網羅的な蛋白質存在量の比較解析を実施した。その結果、PC3PR細胞由来のエクソソームで存在量が亢進する分子としてITGB4及びVCLを同定した。
これまでの外部知見により、ITGB4やVCLは前立腺がんを含む様々ながん種において重要な役割を果たしていることが報告されているが、前立腺がんのタキサン系薬剤に対する耐性獲得にかかわる機能的役割は報告されていない(非特許文献1〜8)。
PC3PR細胞においてITGB4及びVCLがパクリタキセルに対する耐性獲得の直接的な原因分子であるか調べるために、siRNAによるノックダウン解析を実施したところ、ITGB4及びVCLが、PC3PR細胞の増殖能やパクリタキセルに対する耐性獲得に影響することは示されなかった。その一方で、PC3PR細胞のITGB4をsiRNAでノックダウンすると細胞の遊走能及び浸潤能の低下が認められ、VCLをsiRNAでノックダウンすると細胞の浸潤能の低下が認められた。
以上から、ITGB4及びVCLの存在量が、がんにおいてタキサン系抗がん剤であるパクリタキセルなどに対する耐性獲得と相関関係があること、並びに、耐性獲得に伴う悪性化と因果関係があることが明らかとなった。
本知見に基づき、がん患者の血清中のエクソソームをプロファイリングするための、CD9抗体及びITGB4抗体を用いた免疫アッセイ系の構築を試みた。検出システムとしては、より高感度な検出システムとなるCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)を選択した。また、測定系の開発に際し、CD9陽性/ITGB4陽性エクソソームを分泌する細胞株を選択する目的で、各種前立腺がん細胞株における両分子の膜表面存在量をフローサイトメトリー(FCM)で解析した。その結果、CD9の存在量はどの細胞株でも一様に高い値を示したが、ITGB4に関しては細胞間における存在量に顕著な差が認められた。この結果に基づき、CD9陽性/ITGB4陽性の細胞株として、高いITGB4の存在量を示したPC3細胞を選択するとともに、培養液上清から超遠心により回収したエクソソームを免疫アッセイ系の標準物質として使用することとした。そして、CD9抗体をエクソソームの捕捉目的で固相化し、ITGB4抗体にアルカリフォスファターゼ(ALP)を直接標識したものを検出材料として用いることで、CD9陽性/ITGB4陽性エクソソームを特異的に検出可能な測定システムの開発に成功した。これに並行して、エクソソーム膜表面上のCD9を指標にITGB4陽性エクソソーム検出値を標準化(補正)する目的で、捕捉用の固相化したCD9抗体と検出用のビオチン化CD9抗体を用いた検出システムも構築した。
構築した測定システムを用いて前立腺がん患者血清に対して測定を行った結果、パクリタキセルと同様のタキサン系抗がん剤であるドセタキセルに耐性の患者において、CD9陽性/ITGB4陽性エクソソーム中のITGB4存在量の増加が確認された。また、測定に用いた前立腺がん患者血清中のPSAレベルに注目してITGB4レベルとの関係を検討したところ、PSAレベルが高い検体において、ITGB4レベルも高くなる傾向があった。さらに、ドキタセル耐性患者において、PSAレベルは低いが、ITGB4レベルは高い患者も見出された。従って、PSAに加えてITGB4をも指標とすることにより、ドキタセル耐性患者をより高い精度で診断しうることが判明した。
すなわち、本発明は、エクソソーム中のITGB4又はVCLの存在量を指標として、がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性又は悪性化を評価する方法、及び、それら方法に用いられるキットに関し、より詳しくは以下の発明を提供するものである。
[1] がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性を評価する方法であって、該方法は、がん患者から分離された生物学的サンプル中のITGB4又はVCLの存在量を検出する工程を含んでなり、検出されたITGB4又はVCLの存在量が対照におけるITGB4又はVCLの存在量より高い場合、前記がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価される方法。
[2] がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程、
(ii)固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程、及び
(iii)前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程
を含んでなり、検出されたITGB4の存在量が対照におけるITGB4の存在量より高い場合、前記がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価される方法。
(i)固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程、
(ii)固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程、及び
(iii)前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程
を含んでなり、検出されたITGB4の存在量が対照におけるITGB4の存在量より高い場合、前記がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価される方法。
[3] ITGB4の存在量が、前記生物学的サンプル中のCD9の存在量で補正された相対量である、[2]に記載の方法。
[4] がんの悪性化を評価する方法であって、該方法は、がん患者から分離された生物学的サンプル中のITGB4又はVCLの存在量を検出する工程を含んでなり、検出されたITGB4又はVCLの存在量が対照におけるITGB4又はVCLの存在量より高い場合、前記がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価される方法。
[5] がんの悪性化を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程、
(ii)固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程、及び
(iii)前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程
を含んでなり、検出されたITGB4の存在量が対照におけるITGB4の存在量より高い場合、前記がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価される方法。
(i)固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程、
(ii)固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程、及び
(iii)前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程
を含んでなり、検出されたITGB4の存在量が対照におけるITGB4の存在量より高い場合、前記がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価される方法。
[6] ITGB4の存在量が、前記生物学的サンプル中のCD9の存在量で補正された相対量である、[5]に記載の方法。
[7] がんの悪性化が、がんの遊走能又は浸潤能の増加である、[4]から[6]のいずれか1項に記載の方法。
[8] がんが前立腺がんである、[1]から[7]のいずれか1項に記載の方法。
[9] ITGB4抗体又はVCL抗体を含む、[1]から[8]のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
[10] さらに、CD9抗体を含む、[9]に記載のキット。
本発明により、ITGB4又はVCLの存在量を指標として、がんにおけるドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性や悪性化を評価する方法が提供された。本発明の評価方法は、簡便かつ効率的であり、かつ、体液サンプルが利用できるため患者に対して低侵襲性である。本発明によれば、ドセタキセル又はパクリタキセルによる治療中又は治療開始前に、がん患者のこれら薬剤に対する耐性やがんの悪性化を評価することができる。これにより効果的ながんの治療方針を策定し、がん治療の奏効率を向上させることができる。
本発明は、がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性を評価する方法を提供する。また、本発明は、がんの悪性化を評価する方法を提供する。
本発明の評価方法は、ITGB4又はVCLの存在量を指標とするものであり、具体的には、がん患者から分離された生物学的サンプル中のITGB4又はVCLの存在量を検出する工程を含む。
本発明においては、腫瘍、悪性腫瘍、がん、悪性新生物、がん腫、肉腫等を総称して、「がん」又は「腫瘍」と表現する。
本発明において「がん患者」とは、がんに罹患しているヒトのみならず、がんに罹患している疑いのあるヒトであってもよい。本発明の評価方法において、ITGB4又はVCLの存在量を検出する対象となるがん患者としては、ドセタキセル又はパクリタキセルによる治療の対象となりうるがん患者であれば特に制限はない。本発明の方法を適用する対象となるがんとしては、例えば、前立腺がん、乳がん、非小細胞肺がん、胃がん、頭頸部がん、卵巣がん、食道がん、子宮体がん、血管肉腫、子宮頸がん、胚細胞腫瘍が挙げられるが、前立腺がんが特に好ましい。
本発明において「生物学的サンプル」とは、ITGB4又はVCLの存在量の検出に用いる生体由来の体液(血液、尿など)、細胞、組織等のサンプルを意味する。生物学的サンプルとしては、採取の際にがん患者への侵襲性が低いことから体液が好ましく、血液(血清、血漿)が特に好ましい。本発明における生物学的サンプルは、上記体液、細胞、組織等から単離された構成成分、例えば、マイクロベシクル、エクソソーム、アポトーシス小体などを含む細胞外小胞(Kosaka N, et al., Cancer Sci 101: 2087-2092, 2010参照)であってもよい。細胞外小胞は、体液中に存在し、細胞から放出された10nm-2μmの膜小胞である。本発明の評価方法に用いる細胞外小胞としては、特にエクソソームが好ましい。エクソソームは、細胞から放出される10-150nm(一般的には40-100nm程度)の脂質2重層からなる細胞外小胞の一種である。エクソソームは、例えば、がん患者から分離されたがん細胞の培養上清やがん患者から分離された体液に対して、超遠心や免疫沈降(例えば、エクソソームマーカー分子に対する抗体を結合したビーズを利用)を行うことにより単離することができる。
がん患者から「分離された」とは、ヒトの生体から体液、細胞、組織等を摘出することによって、当該体液、細胞、組織等が、その由来する生体と完全に隔離されている状態をいう。
本発明における「ITGB4」は、典型的には、Accession No. NP_000204.3で特定されるアミノ配列からなる蛋白質(配列番号:1)であり、「VCL」は、典型的には、Accession No. NP_054706.1で特定されるアミノ配列からなる蛋白質(配列番号:2)である。蛋白質は、このような典型的なアミノ酸配列を有するもの以外に、天然においてアミノ酸が変異したものも存在しうる。従って、本発明において検出の対象となる「ITGB4」及び「VCL」には、このような天然の変異体が含まれる。天然の変異体は、通常、上記典型的なアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなる。アミノ酸配列の置換、欠失、挿入若しくは付加は、一般的には、10アミノ酸以内(例えば、5アミノ酸以内、3アミノ酸以内、1アミノ酸)である。
本発明においてITGB4又はVCLの存在量を検出する方法としては、例えば、CLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)、ELISA法(酵素免疫測定法)、ウェスタンブロッティング法、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降法等のITGB4抗体又はVCL抗体を利用した免疫学的手法が挙げられる。ITGB4又はVCLの存在量を検出する免疫学的手法以外の方法としては、質量分析法(MS)が挙げられる。質量分析法としては、鋭敏な検出ができることから、液体クロマトグラフィーと連結した質量分析計による解析法(LC/MS)が好ましい。
免疫学的手法において使用する抗体の種類や由来などは特に制限はないが、抗体は、好ましくはモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法や組換えDNA法など公知の方法によって作製したものを用いてもよく、また、市販品を用いてもよい。なお、VCL存在量を検出する場合には、VCLがエクソソーム内に存在するため、事前にエクソソーム膜を溶解するための前処理を行うことが望ましい。エクソソーム膜を溶解する方法は公知であるが、一般的には界面活性剤を含有するバッファー(Laemmli'sサンプルバッファー、もしくは0.05% Triton X-100含有バッファー)などの溶液で処理する方法を用いることができる。
ハイブリドーマ法としては、代表的には、コーラー及びミルスタインの方法(Kohler&Milstein,Nature,256:495(1975))が挙げられる。この方法における細胞融合工程に使用される抗体産生細胞は、抗原(標的蛋白質、その部分ペプチド、又はこれらを発現する細胞など)で免疫された動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、サル、ヤギ)の脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球などである。免疫されていない動物から予め単離された上記の細胞又はリンパ球などに対して、抗原を培地中で作用させることによって得られた抗体産生細胞も使用することが可能である。ミエローマ細胞としては公知の種々の細胞株を使用することが可能である。抗体産生細胞及びミエローマ細胞は、それらが融合可能であれば、異なる動物種起源のものでもよいが、好ましくは、同一の動物種起源のものである。ハイブリドーマは、例えば、抗原で免疫されたマウスから得られた脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞との間の細胞融合により産生され、その後のスクリーニングにより、標的蛋白質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ることができる。標的蛋白質に対するモノクローナル抗体は、ハイブリドーマを培養することにより、また、ハイブリドーマを投与した哺乳動物の腹水から、取得することができる。
組換えDNA法は、上記抗体をコードするDNAをハイブリドーマやB細胞等からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主細胞(例えば哺乳類細胞株、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞など)に導入し、組換え抗体として産生させる手法である(例えば、P.J.Delves,Antibody Production:Essential Techniques,1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean Monoclonal Antibodies,2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS、Vandamme A.M. et al.,Eur.J.Biochem.192:767-775(1990))。抗体をコードするDNAの発現においては、重鎖又は軽鎖をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換してもよく、重鎖及び軽鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換してもよい(WO94/11523号公報参照)。組換え抗体は、上記宿主細胞を培養し、宿主細胞内又は培養液から分離・精製し、実質的に純粋で均一な形態で取得することができる。抗体の分離・精製は、通常のポリペプチドの精製で使用されている方法を使用することができる。トランスジェニック動物作製技術を用いて、抗体遺伝子が組み込まれたトランスジェニック動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ又はブタなど)を作製すれば、そのトランスジェニック動物のミルクから、抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得することも可能である。
本発明の評価方法に用いる抗体としては、標識物質を結合させた抗体を使用することができる。当該標識を検出することにより、標的蛋白質に結合した抗体量を直接測定することが可能である。標識物質としては、抗体に結合することができ、化学的又は光学的方法に検出できるものであれば特に制限されることはなく、例えば、アルカリホスファターゼ(ALP)、ビオチン、ペルオキシダーゼ、β-D−ガラクトシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(RITC)、及び放射性物質などが挙げられる。
さらに、標識物質を結合させた抗体を用いて標的蛋白質に結合した抗体量を直接測定する方法以外に、標識物質を結合させた二次抗体を利用する方法や二次抗体と標識物質を結合させたポリマーを利用する方法などの間接的検出方法を利用することもできる。ここで「二次抗体」とは、標的蛋白質に対する抗体に特異的な結合性を示す抗体である。例えば、標的蛋白質に対する抗体をウサギ抗体として調製した場合には、二次抗体として抗ウサギIgG抗体を使用することができる。ウサギ、ヤギ、マウスなどの様々な生物種に由来する抗体に対して、使用可能な標識二次抗体が市販されており、本発明の抗体の由来する生物種に応じて、適切な二次抗体を選択し、本発明において使用することができる。二次抗体に代えて、標識物質を結合させたプロテインGやプロテインAなどを用いることも可能である。
本発明に用いる免疫学的手法としては、ITGB4抗体をCD9抗体との組み合わせで用いることにより高感度な検出システムを構築することができるサンドイッチCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)やサンドイッチELISA法が好適である。これらサンドイッチ法の好ましい態様は、固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程(工程(i))、固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程(工程(ii))、及び前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程(工程(iii))を含む方法である。
これらサンドイッチ法において検出されたITGB4の存在量は、生物学的サンプル中のCD9の存在量で補正することが好ましい。本発明における「CD9」は、典型的には、Accession No. NP_001760.1で特定されるアミノ配列からなる蛋白質(配列番号:3)である。蛋白質は、このような典型的なアミノ酸配列を有するもの以外に、天然においてアミノ酸が変異したものも存在しうる。従って、本発明において検出の対象となる「CD9」には、このような天然の変異体が含まれる。天然の変異体は、通常、上記典型的なアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなる。アミノ酸配列の置換、欠失、挿入若しくは付加は、一般的には、10アミノ酸以内(例えば、5アミノ酸以内、3アミノ酸以内、1アミノ酸)である。
生物学的サンプル中のCD9の存在量は、例えば、次の方法で測定することができる。まず、固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる。次いで、固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたCD9抗体を接触させる。そして、前記構成成分中のCD9の存在量をCD9抗体に結合した標識により検出する。
上記の方法によりITGB4又はVCLの存在量を検出した結果、対照におけるITGB4又はVCLの存在量より高い場合、がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価され、また、がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価される。
ここで「対照におけるITGB4又はVCLの存在量」としては、例えば、複数のがん患者の統計的データを基に抽出された値を用いることができる。対照値としては、例えば、ドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性のがん患者における平均値や、これら薬剤に対して耐性が判定されていないがん患者における「平均値+2SD」や「平均値+3SD」を採用することができる(図9Cを参照のこと)。より高い存在量を対照値とすれば、偽陽性は減少するが偽陰性は増加する傾向にあり、逆に、より低い存在量を対照値とすれば、偽陰性は減少するが偽陽性は増加する傾向にある。当業者であれば、目的に応じて、適切な対照値を選択することができる。
がんにおけるドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性の評価においては、当該耐性がある場合や耐性が生じるおそれがある場合における、その程度の評価(例えば、耐性が高度である、耐性が中程度である等の評価)を含めてもよい。同様に、がんにおける悪性化の評価においては、悪性化している場合や悪性化するおそれがある場合における、その程度の評価(例えば、悪性度が高い、悪性度が中程度である等の評価)を含めてもよい。なお、本発明における「がんの悪性化」には、がんの遊走能又は浸潤能の増加が含まれる。
本発明における評価においては、さらにPSAレベル(存在量)を指標に加えることができ、ITGB4又はVCLとPSAの双方の存在量を指標として考慮することで、評価の精度を高めることができる(図10Cを参照のこと)。PSAの存在量の検出の原理は、上記のITGB4又はVCLと同様である。
本発明において、がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価されたがん患者や、がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価されたがん患者に対しては、治療方針の変更を検討することができる。すなわち、ドセタキセル又はパクリタキセルに代えて、あるいはドセタキセル又はパクリタキセルとの併用で、他の薬剤を投与したり、他の治療法を選択したりすることができる。これによりドセタキセル又はパクリタキセルによる治療中あるいは治療開始前に、効果的な治療方針を策定し、治療による奏効率を向上させることができる。
例えば、前立腺がんにおいてドセタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価された場合、患者に対しては、ドセタキセル耐性患者を対象に開発されたカバジタキセル、タキサン系抗がん剤と作用機序の異なるエンザルタミド(enzalutamide)、あるいはアンドロゲン合成酵素阻害剤(CYP17阻害剤)であるアビラテロン(abiraterone)への早期切り替えや、タキサン系抗がん剤ドセタキセル又はカバジタキセルと、これら作用機序の異なる薬剤との併用へと治療方針を変更することができる。これにより効果が期待できない薬剤の投与により惹起される副作用を回避又は減少させることができる。
従って、本発明は、生物学的サンプル中のITGB4又はVCLの存在量を指標として、ドセタキセル又はパクリタキセルによる治療を行うべきがん患者(レスポンダー)とそうでないがん患者(ノンレスポンダー)とを選別することを含む、がん患者の選別方法をも提供するものである。また、こうして選別されたレスポンダーに対して、ドセタキセル又はパクリタキセルによる治療を行うことを含む、がん患者の治療方法をも提供するものである。さらに、こうして選別されたノンレスポンダーに対して、ドセタキセル又はパクリタキセルによる治療以外の治療(他の薬剤との併用も含む)を行うことを含む、がん患者の治療方法をも提供するものである。
また、本発明は、上記本発明の評価方法を実施するためのキットを提供する。本発明のキットは、少なくともITGB4抗体又はVCL抗体を含む。ITGB4抗体又はVCL抗体の標品において、抗体は、上記の通り、標識したものであってもよい。本発明のキットにおいては、ITGB4抗体又はVCL抗体の標品に加えて、さらに、CD9抗体の標品を含むことができる。CD9抗体の標品においても、上記のとおり、標識したものであっても良い。これら抗体標品においては、抗体成分の他、必要に応じて、滅菌水、生理食塩水、緩衝剤、保存剤など、試薬として許容される他の成分を含むことができる。
本発明のキットにおいては、さらに、標識の検出に必要な基質、陽性対照や陰性対照、あるいは試料の希釈や洗浄に用いる緩衝液等を組み合わせることができる。また、標識されていない抗体を抗体標品とした場合には、当該抗体に結合する物質(例えば、二次抗体、プロテインG、プロテインAなど)を標識化したものをキットに含めることができる。本発明のキットには、さらに、当該キットの使用説明書を含めることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 前立腺がん細胞PC3及びパクリタキセル耐性細胞PC3PRからの超遠心エクソソームの調製
PC3細胞はAmerican Type Cell Collection(Manassas,VA,USA)より購入し、RPMI1640基本メディウムに10% fetal bovine serum(FBS)を加えて37℃,5% CO2の湿室インキュベーターにて培養した。タキサン耐性PC3細胞(PC3PR)は、パクリタキセル(Sigma-Aldrich)及びドセタキセルに耐性を示す細胞株で、その樹立は、文献(Kojima K, et al., Prostate 70: 1501-1512, 2010)に従って実施した。本発明では、20nM及び70nMのパクリタキセル濃度下で生存可能なPC3PR細胞を使用した(それぞれ「PC3PR20」及び「PC3PR70」と称する。単に「PC3PR」と表記されているタキサン耐性PC3細胞は「PC3PR20」を意味する)。
PC3細胞はAmerican Type Cell Collection(Manassas,VA,USA)より購入し、RPMI1640基本メディウムに10% fetal bovine serum(FBS)を加えて37℃,5% CO2の湿室インキュベーターにて培養した。タキサン耐性PC3細胞(PC3PR)は、パクリタキセル(Sigma-Aldrich)及びドセタキセルに耐性を示す細胞株で、その樹立は、文献(Kojima K, et al., Prostate 70: 1501-1512, 2010)に従って実施した。本発明では、20nM及び70nMのパクリタキセル濃度下で生存可能なPC3PR細胞を使用した(それぞれ「PC3PR20」及び「PC3PR70」と称する。単に「PC3PR」と表記されているタキサン耐性PC3細胞は「PC3PR20」を意味する)。
PC3細胞及びPC3PR細胞の培養上清から超遠心にてエクソソームを調製した。具体的には、150mmの細胞培養用ディッシュあたりPC3細胞及びPC3PR細胞を1x106個播種し、コンディションメディウム中で72時間培養した。上清を回収後、2,000xgで10分遠心することで細胞画分と上清に分離し、上清をさらに12,000xgで30分遠心することで細胞の残骸等を取り除いた。最終的に、これらの段階を経た上清を110,000xgにて70分間超遠心することでエクソソーム画分を沈査とし、PBSで再懸濁後、使用するまで-80℃で保管した。超遠心エクソソームの性状解析は、全細胞溶解液との比較ウェスタンブロッティング解析、透過型電子顕微鏡(TEM)解析、及び粒度分布解析にて実施した(図1A,B及びCとして示す)。ウェスタンブロッティング解析では、5μgの全細胞溶解液及び10μgのエクソソームをSDS-PAGEにて分離後、CD9、Alix、TSG101、及びGAPDHに対する各種抗体を用いて代表的なエクソソーム構成因子の存在量を解析した(図1A)。TEM解析では、エクソソームサンプルを2.5% グルタルアルデヒドで固定後、2% 四酸化オスミウムで再固定を実施し、polymeric resin Quetol 812(Nisshin EM,Tokyo,Japan)に包埋した。包埋されたエクソソームサンプルをウルトラミクロトームで80nm切片厚に薄切し、銅グリッドに付着させた。薄切したエクソソームを含む切片は、酢酸ウラニルとクエン酸鉛で染色し、transmission electron microscope(H-7500,Hitachi,Tokyo,Japan)にて観察した(図1B)。超遠心で調製したエクソソームの粒度分布解析は、qNano system(Izon)で実施した。エクソソームサンプルをPBSで希釈後、NP100 nanopores(particle size analysis range;70-200nm)及びCPC100補正粒子を用いてエクソソーム粒度分布を計測し、Izon Control Suite 2.2ソフトウェアのマニュアルに従って解析を実施した(図1C)。
その結果、PC3細胞及びPC3PR細胞の培養上清から回収された超遠心エクソソーム間における構成因子の有意な存在量の差は認められなかった(図1A)。また、TEM解析結果でも、2つの細胞株由来の超遠心エクソソーム間において、粒子サイズや形状といった形態学視点における明確な相違点は認められず(図1B)、同様の粒度分布を示した(図1C)。以上より、2つの異なる細胞株からの超遠心エクソソームの調製は差がなかった。
[実施例2] 2種類の前立腺がん細胞由来超遠心エクソソームを用いてのパクリタキセル耐性獲得マーカーとなるエクソソーム構成因子の同定
PC3細胞及びPC3PR細胞の培養上清から超遠心にて調製したエクソソームをiTRAQ標識し、LC-MALDI-TOF/TOF解析を実施した。エクソソーム構成蛋白質のiTRAQ解析(質量分析による網羅的存在量解析)を目的としたサンプルの前処理は、iTRAQ multiplex kit(AB Sciex, Foster City, CA, USA)を用いて実施した。簡潔に記載すると、PC3細胞及びPC3PR細胞の培養上清(それぞれ独立した二重実験サンプルからなる合計4ロットの培養上清)から超遠心にて調製したエクソソーム各5μgをSDSで変性処理後、Tris(2-carboxyethyl)phosphine(TCEP)を加えて60℃で1時間還元処理し、システインブロッキング試薬methyl methanethiosulfonate(MMTS)で室温にて10分処理した。上記処理後のエクソソームを37℃で5時間トリプシン消化し、各iTRAQ試薬(iTRAQ reagent 114,115,116若しくは117)で室温にて1時間、標識反応を行った。PC3細胞由来のサンプルは、iTRAQ試薬114若しくは115で標識し、PC3PR細胞由来のサンプルは、iTRAQ試薬116若しくは117で標識した。標識処理した各エクソソームサンプルは、ICAT cation exchange column(AB Sciex)を用いて洗浄し、MonoSpin C18 column(GL Science, Tokyo, Japan)で脱塩処理を実施した。溶媒を蒸発させた後、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)で再懸濁し、LC-MALDI-TOF/TOF解析に用いた。
PC3細胞及びPC3PR細胞の培養上清から超遠心にて調製したエクソソームをiTRAQ標識し、LC-MALDI-TOF/TOF解析を実施した。エクソソーム構成蛋白質のiTRAQ解析(質量分析による網羅的存在量解析)を目的としたサンプルの前処理は、iTRAQ multiplex kit(AB Sciex, Foster City, CA, USA)を用いて実施した。簡潔に記載すると、PC3細胞及びPC3PR細胞の培養上清(それぞれ独立した二重実験サンプルからなる合計4ロットの培養上清)から超遠心にて調製したエクソソーム各5μgをSDSで変性処理後、Tris(2-carboxyethyl)phosphine(TCEP)を加えて60℃で1時間還元処理し、システインブロッキング試薬methyl methanethiosulfonate(MMTS)で室温にて10分処理した。上記処理後のエクソソームを37℃で5時間トリプシン消化し、各iTRAQ試薬(iTRAQ reagent 114,115,116若しくは117)で室温にて1時間、標識反応を行った。PC3細胞由来のサンプルは、iTRAQ試薬114若しくは115で標識し、PC3PR細胞由来のサンプルは、iTRAQ試薬116若しくは117で標識した。標識処理した各エクソソームサンプルは、ICAT cation exchange column(AB Sciex)を用いて洗浄し、MonoSpin C18 column(GL Science, Tokyo, Japan)で脱塩処理を実施した。溶媒を蒸発させた後、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)で再懸濁し、LC-MALDI-TOF/TOF解析に用いた。
iTRAQ手法に基づき調製されたペプチド断片は、direct nanoLC and MALDI fraction system DiNa-MaP(KYA Technologies, Tokyo, Japan)を用いて、逆相クロマトグラフィーによる分離及びマトリックス混合サンプルの自動スポッティングを実施した。詳細に説明すると、溶媒Aとして2%アセトニトリル(MeCN)/0.1% TFAを用い、溶媒Bとして70%アセトニトリル/0.1% TFAを用いた。マトリックス溶液は、終濃度4mg/mL α-cyano-4-hydroxycinnamic acid(CHCA)及び0.08mg/mL クエン酸アンモニウムとなるようにして70% MeCN/0.1% TFA溶液にて調製した。iTRAQ手法に基づき調製したペプチド断片を逆相カラム(HiQ sil C18W-3, 0.5×1mm, KYA Technologies)にロードし、機械のバルブをスイッチした後、解析用の逆相カラム(HiQ sil C18W-3, 0.1×50mm, KYA Technologies)にて流速毎分300nLの速度で分離した。液体クロマトグラフィーの溶媒グラジエントは以下の通りである:0-2分,0-5%溶媒B; 2-60分,5-45%溶媒B; 60-75分,45-100%溶媒B; 75-85分,100%溶媒B; 85-100分,0%溶媒B。
マトリックス溶液は、毎分1,400nLの流速にて供給するように設定した。カラムの溶出末端はスポッターニードルと直接接続することで、逆相クロマトグラフィーの溶出サンプルとマトリックス溶液が混和される仕組みである。マトリックスと混和された溶出サンプルは、システム稼働5-90分の間にMALDIプレート上に30秒間隔でスポッティングされ、合計171スポット形成されるように調整した。質量スペクトルは、TOF/TOF Series Explorer software version 4.1(AB Sciex)に基づいて、AB Sciex TOF/TOF 5800 systemにて取得した。質量スペクトルは、質量電荷比(m/z)800-4,000の間のポジティブイオンモードで取得し、800のレーザーショットをラスタースキャンした。
MS/MSスペクトル取得時のパラメーターと測定手法は、以下の通りである:collision energy, 1 kV; CID control, OFF; laser shots, 4000; minimum S/N filter, 50; min. mass, 800 Da; max. mass, 4000 Da; acquisition order/fraction, strongest precursors first; max. precursors/fraction, 100; precursor mass window, 200 resolution(FWHM); metastable suppression, ON.
LC-MALDI-TOF/TOF解析で得られた全てのMS/MSデータは、ProteinPilot software version 4.5(AB Sciex)にて解析した。解析時のパラメーター設定は、以下の通りである:sample type, iTRAQ 4plex(peptide labeled); Cys. alkylation, MMTS; digestion, trypsin; instrument, 5800; species, Homo sapiens; ID focus, biological modifications; database, uniprot_sprot_can+iso_20100622+Contams+.fasta(AB Sciex).
ProteinPilotを使用する蛋白質の同定は、以下の選択基準に基づいた:95%信頼区間のイオンスコアで少なくとも2つのペプチド断片が検出される蛋白質、及び95%信頼区間におけるプロテインスコア(ProtScore)が1.3よりも大きい蛋白質である。PC3細胞とPC3PR細胞の間の存在量変動倍数の平均値は、4つの解析対象ペアの平均値より算出した(116/114,116/115,117/114及び117/115)。
LC-MALDI-TOF/TOF解析で得られた全てのMS/MSデータは、ProteinPilot software version 4.5(AB Sciex)にて解析した。解析時のパラメーター設定は、以下の通りである:sample type, iTRAQ 4plex(peptide labeled); Cys. alkylation, MMTS; digestion, trypsin; instrument, 5800; species, Homo sapiens; ID focus, biological modifications; database, uniprot_sprot_can+iso_20100622+Contams+.fasta(AB Sciex).
ProteinPilotを使用する蛋白質の同定は、以下の選択基準に基づいた:95%信頼区間のイオンスコアで少なくとも2つのペプチド断片が検出される蛋白質、及び95%信頼区間におけるプロテインスコア(ProtScore)が1.3よりも大きい蛋白質である。PC3細胞とPC3PR細胞の間の存在量変動倍数の平均値は、4つの解析対象ペアの平均値より算出した(116/114,116/115,117/114及び117/115)。
その結果、LC-MALDI-TOF/TOF解析及びProteinPilotでの解析により、110種類の蛋白質を検出することができた(データは示していない)。PC3エクソソームとPC3PRエクソソームの間で存在量が上昇若しくは低下を示す分子を解析したところ、カットオフラインをそれぞれ1.5倍及び0.67倍と設定した場合、パクリタキセル耐性獲得時に存在量が上昇若しくは低下する蛋白質として、それぞれ4種類の蛋白質が同定された(表1及び表2として示す)。
以降の実験においては、特に、タキサン系の薬剤(パクリタキセル)耐性獲得時にエクソソームにおける存在量の亢進が認められる分子、特にITGB4とVCLに注目した。ITGB4及びVCLは、局所的な細胞接着に関与するシグナルパスウェイ関連分子であることから、ITGB4陽性若しくはVCL陽性のエクソソームの存在量増加が、がんの悪性度/進行性/転移、特に、遊走・浸潤能と関係している可能性が高いと判断した。
[実施例3] LC-MALDI-TOF/TOF解析で同定したパクリタキセル耐性獲得マーカーとなるエクソソーム構成因子についての生化学的手法での存在量確認
2種類の超遠心エクソソームを用いた質量分析を経てパクリタキセル耐性獲得時に存在量が上昇する分子として同定されたITGB4及びVCLについて、元となる細胞や分泌されたエクソソームにおける高い存在量を確認するためにウェスタンブロッティング解析を実施した。ウェスタンブロッティング解析に供するエクソソームサンプルの調製手法としては、上述してきた超遠心による手法だけではなく、CD9抗体結合マグネティックビーズでの免疫沈降手法による検討も実施した。
2種類の超遠心エクソソームを用いた質量分析を経てパクリタキセル耐性獲得時に存在量が上昇する分子として同定されたITGB4及びVCLについて、元となる細胞や分泌されたエクソソームにおける高い存在量を確認するためにウェスタンブロッティング解析を実施した。ウェスタンブロッティング解析に供するエクソソームサンプルの調製手法としては、上述してきた超遠心による手法だけではなく、CD9抗体結合マグネティックビーズでの免疫沈降手法による検討も実施した。
まず、全細胞溶解液及び超遠心エクソソームサンプルの調製は、実施例1に記載した手順で実施した。免疫沈降に用いるCD9抗体のマグネティックビーズへの架橋は、メーカーのユーザーマニュアルに従い、Dynabeads M-270 epoxy magnetic beads(Life Technologies)にマウス抗CD9モノクローナル抗体(BioLegend, San Diego, CA)を共有結合させた。
免疫アッセイ(免疫沈降)での回収に使用する細胞の培養上清は、2,000xgで10分遠心することで細胞画分と上清に分離し、上清をさらに12,000xgで30分遠心することで細胞の残骸等のdebrisを取り除いた後、最終的に、0.20μm polyvinylidene difluoride(PVDF)フィルターでサイズ分画濾過を実施した。上記手法により調製した30mLの培養上清とマウス抗CD9抗体結合マグネティックビーズ1mgを4℃で90分間転倒混和した。反応後のマグネティックビーズを冷却PBSで3回洗浄後、プロテアーゼインヒビターを含むRIPA bufferで再懸濁後、使用まで-20℃で保管した。免疫沈降により回収されたエクソソーム全量をウェスタンブロッティング解析に供することで、ITGB4、VCL、及びCD9の存在量を確認した。
その結果、PC3PRエクソソーム中のITGB4及びVCLは、PC3エクソソームに比べて存在量の亢進が認められた(図2Aの上段データ)。同様に、エクソソーム産生の元となるPC3PR細胞においてもITGB4及びVCLの存在量の亢進も確認された(図2Aの下段データ)。パクリタキセル耐性獲得時のITGB4及びVCLの存在量亢進レベルは、分泌エクソソームサンプル間での比較よりも細胞内存在量を比較した方がより明確であった。
超遠心ではなく、マウス抗CD9抗体結合マグネティックビーズでの免疫沈降により回収したエクソソームを用いた解析では、2種類の細胞株由来の培養上清から回収されたエクソソーム中のCD9の存在量のレベルに大差は認められていないにもかかわらず、PC3PRエクソソーム中のITGB4及びVCLの存在量はPC3エクソソームに比べて明白に高かった。
パクリタキセル耐性獲得時のITGB4及びVCLの存在量亢進レベルが細胞及びエクソソームの両方で確認された点は、細胞レベルでの存在量変化がエクソソーム構成比にも反映されることを示唆している。即ち、細胞レベルでの存在量の解析結果に基づき、分泌されるエクソソーム構成タンパク比率を想定することは、ある意味確度が高いと言える。
また、超遠心で回収したエクソソームを用いた解析に比べて、イムノアフィニティー法で回収したエクソソームを用いた解析でPC3PRエクソソーム中のITGB4及びVCLの存在量が明白に高かったことは注目に値する。これらの結果は、PC3PR由来のCD9陽性エクソソームにおけるITGB4及びVCLの存在量がPC3由来のCD9陽性エクソソームに比して亢進している示唆している可能性が高く、単純に総エクソソーム中のITGB4及びVCLの存在量のレベルを解析するよりも、CD9陽性エクソソームというバイアスをかけた上で解析した方が精度の高い結果を得られることを強く示唆している。
[実施例4] ITGB4及びVCLのノックダウンがPC3PR細胞の増殖能及びパクリタキセル耐性能へ及ぼす影響の確認
PC3PR細胞中のITGB4及びVCLをsiRNAによりノックダウンし、細胞増殖能やパクリタキセル耐性能に変化が生じるかを確認した。ITGB4とVCLに対するsiRNAは、非標的siRNA対照であるsiGENOMEと同様、Thermo Fisher Scientific(Waltham, MA, USA)より購入した。細胞へのsiRNAのトランスフェクションは、文献(Fujita Y, et al., J Biol Chem 285: 19076-19084, 2010)に従って実施した。簡潔には、Lipofectamine 2000 transfection reagent(Thermo Fisher Scientific)を用いて2nMのsiRNAを細胞に導入し、48時間培養後、全細胞溶解液を調製した。5μgの全細胞溶解液をウェスタンブロッティング解析に供することで、ITGB4、VCL、及びβ-アクチンの存在量及びsiRNAによるノックダウン効果を確認した(図3A)。
PC3PR細胞中のITGB4及びVCLをsiRNAによりノックダウンし、細胞増殖能やパクリタキセル耐性能に変化が生じるかを確認した。ITGB4とVCLに対するsiRNAは、非標的siRNA対照であるsiGENOMEと同様、Thermo Fisher Scientific(Waltham, MA, USA)より購入した。細胞へのsiRNAのトランスフェクションは、文献(Fujita Y, et al., J Biol Chem 285: 19076-19084, 2010)に従って実施した。簡潔には、Lipofectamine 2000 transfection reagent(Thermo Fisher Scientific)を用いて2nMのsiRNAを細胞に導入し、48時間培養後、全細胞溶解液を調製した。5μgの全細胞溶解液をウェスタンブロッティング解析に供することで、ITGB4、VCL、及びβ-アクチンの存在量及びsiRNAによるノックダウン効果を確認した(図3A)。
次いで、siRNAによるITGB4及びVCLのノックダウンがPC3PR細胞に及ぼす影響を検討すべく、細胞増殖アッセイを実施した(図3B)。PC3PR細胞に各siRNAをトランスフェクションし48時間培養後、5x104個の細胞を12ウェルプレートに移して再培養した。図の横軸は、再培養開始後の時間を示しており、タイムポイント毎にトリパンブルー染色を実施し、生細胞の数をカウントした。
さらに、siRNAによるノックダウン効果の影響を検討すべく、PC3PR細胞で細胞生存率アッセイを実施した(図3C)。具体的には、PC3PR細胞に各siRNAをトランスフェクションし48時間培養後、3,000個の細胞を96ウェルプレートに移して再培養した。再培養開始時に図の横軸に示す濃度のパクリタキセルを添加し、72時間培養後、WSTアッセイにより細胞の生存率を評価した。
その結果、PC3PR細胞へのsiRNAトランスフェクションにより、ITGB4及びVCLが効率よくノックダウンされていることが確認された(図3A)。siRNAによるノックダウン時のPC3PR細胞の増殖能を評価したところ、ITGB4及びVCLが効率的にノックダウンされているにもかかわらず、対照siRNAに対する細胞増殖能の変化は確認できなかった(図3B)。また、タキサン系薬剤パクリタキセルに対する耐性能の変化も評価したが、siRNAによるノックダウンの影響は確認できなかった(図3C)。
PC3PR細胞におけるITGB4及びVCLのsiRNAノックダウン検討により、パクリタキセル耐性株であるPC3PRにおいて存在量の亢進が認められていたITGB4及びVCLは、細胞増殖やタキサン系薬剤に対する耐性獲得に直接寄与しないという結果が示された。
以上より、ITGB4及びVCLと前立腺がんのタキサン系薬剤の耐性獲得との間には直接的な因果関係はなく、耐性獲得時の現象として存在量が亢進するという相関関係にとどまることが示された。
[実施例5] ITGB4及びVCLのノックダウンがPC3PR細胞の遊走能及び浸潤能へ及ぼす影響の確認
ITGB4及びVCLのsiRNAノックダウンが細胞増殖やタキサン系薬剤に対する耐性獲得に影響しないことは確認できたが、ITGB4やVCLの分子特性上、細胞接着に関連する部分の機能として遊走能や浸潤能への影響が生じることが考えられた。この点について確認するために、PC3PR細胞にITGB4及びVCLに対するsiRNAをトランスフェクションし、ノックダウンした際の影響を細胞遊走アッセイ及び細胞浸潤アッセイにて確認した。
ITGB4及びVCLのsiRNAノックダウンが細胞増殖やタキサン系薬剤に対する耐性獲得に影響しないことは確認できたが、ITGB4やVCLの分子特性上、細胞接着に関連する部分の機能として遊走能や浸潤能への影響が生じることが考えられた。この点について確認するために、PC3PR細胞にITGB4及びVCLに対するsiRNAをトランスフェクションし、ノックダウンした際の影響を細胞遊走アッセイ及び細胞浸潤アッセイにて確認した。
細胞の遊走能は、2nMのsiRNAをトランスフェクションしたPC3PR細胞を6ウェルプレートに播種し、コンフルエントになるまで培養した後、創傷癒合アッセイを実施しすることで評価した。具体的には、コンフルエント状態の細胞レイヤーを1mLチップでひっかき、24時間培養後、0時間と24時間の時点の細胞の剥がれた状態のエリア面積をPhotoshop software(Adobe Systems, CA, USA)を用いて解析した(図4A)。
細胞の浸潤能は、トランスウェルを使用する評価系にて実施した。具体的には、2nMのsiRNAをトランスフェクションしたPC3PR細胞をMatrigel invasion chamber(Corning, NY, USA)に1x105個播種し、24時間培養した。その後、トランスウェルを抜けて下に敷いてあるリザーバープレートウェルに到達した細胞を100%メタノールで固定し、クリスタルバイオレットで染色後、チャンバーウェルから底のプレートウェルに浸潤した細胞数をカウントした。浸潤率は、対照siRNAをトランスフェクションした細胞に対するパーセンテージで示した(図4B)。
A及びBのデータは、各3重測定で実施され、スチューデントのt検定に基づき有意性を評価した(*p<0.05及び**p<0.01)。
その結果、細胞の遊走能に関しては、対照siRNAをトランスフェクションした細胞と比較して、ITGB4をノックダウンした細胞において有意な低下が認められた(図4Aの右)。一方で、VCLをノックダウンした細胞における遊走能の変化は認められなかった(図4Aの左)。対照的に、細胞の浸潤能に関しては、ITGB4及びVCLをsiRNAでノックダウンした細胞で顕著な抑制効果が確認された(図4B)。
[実施例6] FCMでの各種細胞株における膜表面蛋白質(CD9、ITGB4、及びPSMA)の存在量解析
各種細胞株における膜表面蛋白質(CD9,ITGB4及びPSMA)の存在量をフローサイトメトリーで解析した(図5A,図5B,図6A及び図6B)。各種培養細胞をEDTA処理により剥がし、PBSで洗浄後にPBSにて再懸濁し、1x105個/ウェルとなるようにノントリートメントの96ウェルプレートに分注した。800xgで2分間遠心して細胞を沈殿させ、上清を廃棄後、PBSで5μg/mLの濃度に調製した各種1次抗体(アイソタイプ対照抗体,CD9抗体,ITGB4抗体及びPSMA抗体)を50μL加えて懸濁し、室温で60分間反応させた。150μLのフローサイトメトリーバッファー(0.5% BSA及び2mM EDTA含有PBS)で3度の遠心洗浄後、フローサイトメトリーバッファーで180倍希釈した蛍光標識2次抗体Goat F(ab')2 anti-mouse IgG(H+L)-PE(Beckman Coulter, Inc., USA)を50μL/ウェルの容量で加え、室温で30分間反応させた。150μLのフローサイトメトリーバッファーで3度の遠心洗浄後、400μLのフローサイトメトリーバッファーに懸濁してハイエンドフローサイトメーターであるGalliosTM(Beckman Coulter, Inc., USA)にて解析した。各抗体で反応させた際のMean Fluorescence Intensity(MFI)を数値化し、存在量データを取得した。相対的なMFI値(rMFI, relative MFI)は、1次抗体を反応させず蛍光標識2次抗体だけを反応させた対照データのMFI値で標準化した値として算出した。
各種細胞株における膜表面蛋白質(CD9,ITGB4及びPSMA)の存在量をフローサイトメトリーで解析した(図5A,図5B,図6A及び図6B)。各種培養細胞をEDTA処理により剥がし、PBSで洗浄後にPBSにて再懸濁し、1x105個/ウェルとなるようにノントリートメントの96ウェルプレートに分注した。800xgで2分間遠心して細胞を沈殿させ、上清を廃棄後、PBSで5μg/mLの濃度に調製した各種1次抗体(アイソタイプ対照抗体,CD9抗体,ITGB4抗体及びPSMA抗体)を50μL加えて懸濁し、室温で60分間反応させた。150μLのフローサイトメトリーバッファー(0.5% BSA及び2mM EDTA含有PBS)で3度の遠心洗浄後、フローサイトメトリーバッファーで180倍希釈した蛍光標識2次抗体Goat F(ab')2 anti-mouse IgG(H+L)-PE(Beckman Coulter, Inc., USA)を50μL/ウェルの容量で加え、室温で30分間反応させた。150μLのフローサイトメトリーバッファーで3度の遠心洗浄後、400μLのフローサイトメトリーバッファーに懸濁してハイエンドフローサイトメーターであるGalliosTM(Beckman Coulter, Inc., USA)にて解析した。各抗体で反応させた際のMean Fluorescence Intensity(MFI)を数値化し、存在量データを取得した。相対的なMFI値(rMFI, relative MFI)は、1次抗体を反応させず蛍光標識2次抗体だけを反応させた対照データのMFI値で標準化した値として算出した。
その結果、各種がん細胞の膜表面におけるCD9の存在量が最も高かったのはSW620(大腸がん細胞)であった。また、ITGB4の存在量の多い細胞としてはPC3とSW620が、PSMAの存在量の多い細胞株としてはLNCaPが確認された(図5A)。前立腺がん細胞株に限定すると、CD9の存在量のレベルは3つの細胞株間で大きな差は認められないが、ITGB4はLNCaPのようなアンドロゲン感受性細胞で存在量が低いのに対しPC3細胞で高い存在量が確認され、一方でPSMAはLNCaPでしか存在が確認できなかった(図5B)。
タキサン系化学療法剤パクリタキセルに主眼を置いて、耐性濃度依存的な膜表面分子の存在量のレベルの変化が認められるのか確認したところ、PC3PR細胞及び超遠心エクソソームを用いたLC-MALDI-TOF/TOF解析にて同定された結果を反映して、ITGB4の存在量は細胞のパクリタキセル耐性濃度依存的に存在量のレベルの亢進が認められた(図6A及び図6B)。驚くべきことに、パクリタキセル耐性濃度依存的にCD9の存在量が低下していた。すなわち、CD9の存在量とITGB4の存在量は負の相関関係を示した。なお、PC3細胞にてほとんど存在が確認されなかったPSMAは、パクリタキセル耐性を示すPC3PR20及びPC3PR70においても存在が確認されなかった。
ITGB4の存在量レベルが高く、かつCD9の存在量レベルが保たれている細胞としては、PC3が相応しいと判断した。よって、以降のサンドイッチCLEIA構築検討の際の標品には、PC3細胞の培養上清由来の超遠心エクソソームを使用した。また、サンドイッチCLEIA検討の際にはITGB4陽性エクソソーム検出系の特異性を確認する必要があるが、その検討の際にITGB4の存在量の低いLNCaPを超遠心エクソソーム標品(対照サンプル)として使用できることを見出した。
なお、タキサン系薬剤パクリタキセルの耐性獲得濃度依存的にCD9の存在量に減少が認められる点は留意を要する。これはフローサイトメトリー解析を通じて初めて見出された現象であり、一般的にはエクソソームのユニバーサルマーカーとして考えられているCD9の存在量が減少するということは、細胞自体の蛋白質の存在量のプロファイルがエクソソームに反映されるデータが得られているため、タキサン系薬剤の投薬により血中エクソソームの総量そのものが減少しているか、若しくはエクソソーム膜表面上のCD9構成比が減少しているという2つの可能性が示唆される。従って、サンドイッチCLEIAの構築検討の際にエクソソームをCD9抗体で捕捉する場合、CD9での補正を考慮する必要がある。
[実施例7] サンドイッチCLEIA検出システムに基づくPC3エクソソームの測定
血清中のITGB4陽性エクソソームを検出することが可能な検出システムの開発に着手した(CD9xITGB4-ALP測定系)。また、ITGB4陽性エクソソーム量を正確に反映させる際にCD9陽性エクソソーム量での標準化が必要とされる可能性を見越して、CD9xCD9の検出システムの開発にも同時に着手した(CD9xCD9-ビオチン測定系)。
血清中のITGB4陽性エクソソームを検出することが可能な検出システムの開発に着手した(CD9xITGB4-ALP測定系)。また、ITGB4陽性エクソソーム量を正確に反映させる際にCD9陽性エクソソーム量での標準化が必要とされる可能性を見越して、CD9xCD9の検出システムの開発にも同時に着手した(CD9xCD9-ビオチン測定系)。
まず、サンドイッチCLEIAに使用したCD9抗体はCD9を発現した細胞の膜画分を免疫することによって得た。
ITGB4抗体は、Abnova社の抗体(Rat hITGB4 モノクローナル抗体、MAB10889)を購入した。ITGB4抗体にアルカリフォスファターゼを直接標識したITGB4-ALPの調製は、同人化学研究所のAlkaline Phosphatase Labeling Kit-SHを用い、購入したAbnova社の抗体にALPを直接標識した。具体的には、抗体の重鎖のヒンジ領域のジスルフィド結合を還元処理でSH基に変換し、生じた部位にマレイミド基を導入したALPを反応させる手法を採用した。
超遠心エクソソームの調製方法について下記に示す。150mmの細胞培養用ディッシュにPC3細胞及びLNCaP細胞を1x106個程度播種し、コンディションメディウム中で80%コンフルエントになるまで培養した。PBSで2回洗浄後、コンディションメディウムからFBSを抜いた培地で3〜5日間培養し、上清を回収した。ディッシュに残った細胞に再度FBS抜きのコンディションメディウムを添加し、さらに3〜5日間培養した上清を回収した。これらの回収した上清を300xgで10分間遠心することにより細胞を除き、上清を2,000xgで10分遠心することで死細胞と上清を丁寧に分離した後、上清をさらに12,000xgで30分遠心することで細胞の残骸等を取り除いた。段階的な遠心作業を経て調製した上清を、0.22μmの親水性フィルターで濾過した後に、131,000xgにて70分間超遠心することでエクソソーム画分を沈査とした。エクソソーム画分を含む沈渣をPBSで再懸濁し、さらに131,000xgにて70分間超遠心する洗浄工程を経て得られる沈渣を回収した後、PBSで再懸濁後にタンパク定量を実施し、使用するまで-80℃で保管した。
サンドイッチCLEIAは以下の手順に従い実施した。マキシソープ(NNルミヌンクF96プレートマキシソープ白)に、0.1M炭酸バッファー(pH9.6)で5μg/mLに希釈したCD9抗体を50μL感作し、4℃でオーバーナイト(8時間以上)感作した。抗体感作プレートをPBSで2回洗浄後、300μLの1% BSA含有PBSにて2時間室温でブロッキング処理した。ブロッキング反応後、各ウェルをTris-buffered saline(TBS)で3回洗浄した。その後、反応バッファーA(50mM Tris-HCl, pH7.6 ,1% BSA, 150mM NaCl, 0.1% NaN3, 50μg/mLのMAB33 IgG1/IgG1 Poly)で段階希釈した培養細胞由来超遠心エクソソームを調製し、50μL/ウェルとなるように加え、1時間室温で反応させた。TBSで各ウェルを5回洗浄後、反応バッファーB(50mM Tris-HCl, pH7.6, 1% BSA, 150mM NaCl ,0.1% NaN3)で希釈したITGB4-ALP若しくはビオチン化CD9抗体を加え、1時間室温で反応させた。ITGB4-ALPを反応させた場合、TBSで各ウェルを5回洗浄後、反応基質を加えてTECAN製のLuminometer(Infinite M200 PRO)若しくはTURNER BIOSYSTEMS社のLuminometer(GloRunnerTM)で発光量(RLU, Relative Luminescence Unit)をカウントした。ビオチン化CD9抗体を反応させた場合は、Tris-buffered saline(TBS)で各ウェルを5回洗浄後、反応バッファーBで3,750倍希釈したストレプトアビジン-ALPを加えて室温で30分反応後、Tris-buffered saline(TBS)で各ウェルを5回洗浄し、反応基質を加えてLuminometerで発光量をカウントした。
その結果、CD9及びITGB4の存在量が多いと判断したPC3エクソソームを標品としてCD9xITGB4-ALP測定系を検討したところ、良好な反応曲線を描くことができた(図7A)。CD9xCD9-ビオチンでの測定系も、発光値の絶対値は異なるが、CD9xITGB4-ALPと同様の反応曲線を描くことができた(図7B)。血清の測定に関しては、血清80倍希釈で、良好な反応曲線を描くことができた(図は示さず)。
構築した2つのサンドイッチCLEIA測定系(CD9xITGB4-ALP及びCD9xCD9-ビオチン)の反応特異性を確認する目的でPC3エクソソーム及びLNCaPエクソソームの2つの標品の測定を実施したところ、フローサイトメトリー解析で得られた細胞膜における存在量情報を反映するような反応曲線が示された(図8A及び図8B)。構築した2つのサンドイッチCLEIA測定系は共にPC3エクソソームに濃度依存的な反応曲線を示したことから、一定の定量性を担保した測定系が構築できたと判断した。
[実施例8] サンドイッチCLEIAでの前立腺がん検体中のCD9陽性ITGB4陽性エクソソーム及びCD9陽性エクソソームの測定
岐阜大学医学部付属病院泌尿器科にてインフォームドコンセントの得られている前立腺がん患者血清(岐阜大学医学部付属病院の倫理審査委員会「承認番号24−184」として臨床研究への利用が承認されている患者血清)を反応バッファーAで80倍希釈し、50μL反応系で測定した。血清検体の希釈倍数は、CD9xITGB4-ALP及びCD9xCD9-ビオチンでの検出系ともに80倍希釈に設定し、2重測定平均値を算出した。ユニットの換算値は、PC3細胞由来の超遠心エクソソームでの発光カウント値を元に算出した。前立腺がん患者血清中のCD9陽性/ITGB4陽性エクソソームをより正確に反映させるため、CD9陽性エクソソームの発光カウント値から算出したユニット値(CD9xCD9-ビオチンによる測定データ)にてCD9陽性/ITGB4陽性エクソソームのユニット数(CD9xITGB4-ALP測定データ)を補正し、相対的なITGB4存在量の値(ユニット比)として換算した。
岐阜大学医学部付属病院泌尿器科にてインフォームドコンセントの得られている前立腺がん患者血清(岐阜大学医学部付属病院の倫理審査委員会「承認番号24−184」として臨床研究への利用が承認されている患者血清)を反応バッファーAで80倍希釈し、50μL反応系で測定した。血清検体の希釈倍数は、CD9xITGB4-ALP及びCD9xCD9-ビオチンでの検出系ともに80倍希釈に設定し、2重測定平均値を算出した。ユニットの換算値は、PC3細胞由来の超遠心エクソソームでの発光カウント値を元に算出した。前立腺がん患者血清中のCD9陽性/ITGB4陽性エクソソームをより正確に反映させるため、CD9陽性エクソソームの発光カウント値から算出したユニット値(CD9xCD9-ビオチンによる測定データ)にてCD9陽性/ITGB4陽性エクソソームのユニット数(CD9xITGB4-ALP測定データ)を補正し、相対的なITGB4存在量の値(ユニット比)として換算した。
前立腺疾患患者検体として、PSAレベル若しくはグリソンスコア(Gleason score)といった前立腺がんの悪性度を示す情報を有する40例を用いた。血清検体のグループ分けは、非前立腺がん(Non-PC)、異型小腺房増殖(ASAP)、前立腺がん、ドセタキセル耐性前立腺がん(ドセタキセル耐性PC)の4群とし、それぞれ9例、1例、22例、8例という内訳とした。なお、非前立腺がん検体とは、PSAレベルや直腸診にて前立腺がんの疑いがあると判断されたが前立腺生検による検査でがんとは認められなかった症例、すなわち過形成等の炎症性疾患の症例を指す。
その結果、図9Aで示されるように、ドセタキセル耐性前立腺がん患者では、「ドセタキセル耐性」とは判定されていない前立腺がん患者に比べ、血清中のITGB4陽性エクソソーム量が有意に増加していた。一方で、CD9陽性エクソソームの量は非前立腺がん患者に比してドセタキセル耐性前立腺がんへの進行と共に有意に低下することを予見するデータが示された(図9B)。このような相反する現象の影響を受けずに、エクソソーム膜上のITGB4に主眼をおいてより正確に定量する目的で、CD9量を指標としたユニット値(CD9量で補正したエクソソーム中のITGB4相対存在量比)への補正変換を実施した。これにより前立腺がん患者だけではなく非前立腺がんの患者に対して有意にITGB4陽性エクソソームの相対存在量が亢進していることが確認された(図9C)。
確度の高いドセタキセル耐性判定基準を設定すべく、「ドセタキセル耐性」とは判定されていない前立腺がん患者22例のユニット平均値及び標準偏差(SD, standard deviation)を元に「平均値+2SD(母集団データ信頼性95.5%)」若しくは「平均値+3SD(母集団データ信頼性99.7%)」を算出し、暫定的なカットオフ値を設定した。その結果、平均値+2SD以上のユニット値を示すドセタキセル耐性検体は8例中5例(62.5%)、平均値+3SD以上のユニット値を示すドセタキセル耐性検体は8例中4例(50%)であった。
また、PSAレベルとの関連を調べたところ、PSAレベルの高い患者血清(100ng/mL以上)においてITGB4陽性エクソソームが多いのに対し、PSAレベルが高い程CD9陽性エクソソーム量が低い傾向にあることが観察された(図10A及びB)。そのため、CD9量で補正したエクソソーム中のITGB4相対存在量とPSAレベルの関連性を確認した(図10C)。その結果、ITGB4陽性エクソソーム量が多い検体ほどPSAレベルが高値を示した。すなわち、悪性度の高い前立腺がんでITGB4の相対存在量が亢進している可能性が示唆された。特に、グレーゾーンと称される4〜10ng/mLよりも高値を示すPSA陽性検体に限れば、ITGB4陽性エクソソーム相対存在量(ユニット比)の暫定的なカットオフ値を「平均値+2SD」とした場合、両方陽性の条件に該当する検体は合計40例中6例であったが、6例中5例はドセタキセル耐性患者であった。すなわち、ドセタキセル耐性患者の62.5%(8例中5例)は、PSAレベルが高かったことを意味し、そのうち3例はPSAレベルが100ng/mLを超えていた。
CD9xITGB4-ALP単独及びその値をCD9xCD9-ビオチンによる値で相対値として補正したもののどちらでも、ITGB4存在量/相対存在量の亢進が、ドセタキセル耐性前立腺がんでみられた。また、存在量のほとんど変動しないユニバーサルエクソソームマーカーといわれているCD9にも増減があり、その値で補正した解析システムを採用することにより、より確度の高い情報が得られる結果となった。
また、本実施例における細胞レベルの検証実験において、ITGB4のsiRNAを用いた機能解析によりITGB4が悪性化に関与していることを確認しているが、さらに、ITGB4のスコアと前立腺がんマーカーとして広く利用されているPSAレベルとの関連性についても解析した。その結果、PSAレベルが高値な検体においてITGB4陽性エクソソームが増加傾向にあることが確認された。特に、ITGB4エクソソーム高値(グレーゾーン以上)の検体5例中3例(60%)については、前立腺がんおよび他臓器への転移が強く疑われる「PSAレベルが100ng/mL以上」の検体であった。一方、PSAレベルが100ng/mL以上を示す検体が9例のうち3例(33.3%)は、ITGB4陽性エクソソーム量が高値を示した検体であった。また、ITGB4陽性(最少値0.543以上、若しくは平均値+2SD=1.611以上)かつ、PSAレベルがいわゆるグレーゾーン(4〜10ng/mL)の範囲にある検体群(図10Cの左上領域の検体群)は、がん発見率28%程度である。本実施例により、PSA単独検査で判断の付きにくく、見落とされやすいがん患者を、ITGB4を指標に加えることで、高い確度で拾い上げることが可能となることが判明した。
以上説明したように、本発明によれば、ITGB4やVCLの存在量を指標として、がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性や悪性化を簡便かつ効率的に評価することができる。ITGB4抗体やVCL抗体は、このような評価のための優れた薬剤となる。本発明の方法においては、がん患者から分離した体液を検体として用いることができるため、生体の侵襲性が低い点でも有利である。本発明は、がんにおける治療方針の策定に大きく貢献できることから、医療分野、特にがん治療の分野における利用が期待される。
Claims (10)
- がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性を評価する方法であって、該方法は、がん患者から分離された生物学的サンプル中のITGB4又はVCLの存在量を検出する工程を含んでなり、検出されたITGB4又はVCLの存在量が対照におけるITGB4又はVCLの存在量より高い場合、前記がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価される方法。
- がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程、
(ii)固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程、及び
(iii)前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程
を含んでなり、検出されたITGB4の存在量が対照におけるITGB4の存在量より高い場合、前記がんにおいてドセタキセル又はパクリタキセルに対する耐性がある又は耐性が生じるおそれがあると評価される方法。 - ITGB4の存在量が、前記生物学的サンプル中のCD9の存在量で補正された相対量である、請求項2に記載の方法。
- がんの悪性化を評価する方法であって、該方法は、がん患者から分離された生物学的サンプル中のITGB4又はVCLの存在量を検出する工程を含んでなり、検出されたITGB4又はVCLの存在量が対照におけるITGB4又はVCLの存在量より高い場合、前記がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価される方法。
- がんの悪性化を評価する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)固相化されたCD9抗体に対して、がん患者から分離された生物学的サンプルを接触させる工程、
(ii)固相化されたCD9抗体に結合した生物学的サンプル中の構成成分に対して、標識されたITGB4抗体を接触させる工程、及び
(iii)前記構成成分中のITGB4の存在量をITGB4抗体に結合した標識により検出する工程
を含んでなり、検出されたITGB4の存在量が対照におけるITGB4の存在量より高い場合、前記がんが悪性化している又は悪性化するおそれがあると評価される方法。 - ITGB4の存在量が、前記生物学的サンプル中のCD9の存在量で補正された相対量である、請求項5に記載の方法。
- がんの悪性化が、がんの遊走能又は浸潤能の増加である、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
- がんが前立腺がんである、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- ITGB4抗体又はVCL抗体を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
- さらに、CD9抗体を含む、請求項9に記載のキット。
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