JPWO2018066019A1 - 原油タンカー用鋼材および原油タンカー - Google Patents

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Abstract

所定の成分組成にするとともに、Sn偏析度を18未満とすることにより、優れた耐全面腐食性および耐局部腐食性と、優れた耐ラメラテア性とを両立した原油タンカー用鋼材を提供する。

Description

本発明は、鋼材を溶接して形成される原油タンカーの原油タンク(油槽部)、特には全面腐食が発生する上甲板裏面(天井部)や側壁上部、および局部腐食(孔食)が発生する油槽部の底板のいずれにも好適に用いることができる、耐食性および耐ラメラテア性に優れる原油タンカー用鋼材に関するものである。
また、本発明は、上記の鋼材を用いてなる原油タンカーに関するものである。
原油タンカーの原油タンク内面、特に上甲板裏面および側壁上部に用いられる鋼材には、全面腐食が生じることが知られている。
この全面腐食が起こる原因としては、
(1)昼夜の温度差による鋼板表面への結露と乾燥(乾湿)の繰り返し、
(2)原油タンク内に防爆用に封入されるイナートガス(O2:約4vol%、CO2:約13vol%、SO2:約0.01vol%、残部N2を代表組成とするボイラあるいはエンジンの排ガス等)に含まれるO2,CO2,SO2の結露水への溶け込み、
(3)原油から揮発するH2S等の腐食性ガスの結露水への溶け込み、
(4)原油タンクの洗浄に使用された海水の残留
などが挙げられる。これらは、通常、2.5年毎に行われる実船のドック検査で、強酸性の結露水中に、硫酸イオンや塩化物イオンが検出されていることからも窺い知ることができる。
また、腐食によって生成した鉄錆を触媒としてH2Sが酸化されると、固体Sが鉄錆中に層状に生成する。かような固体Sが層状に生成した鉄錆は、容易に剥離して脱落し、原油タンクの底部に堆積する。そのため、原油タンカーのドック検査では、多大な費用をかけて、原油タンク上部の補修やタンク底部の堆積物の回収を行っているのが現状である。
一方、原油タンク底板などの鋼材では、従来、原油そのものの腐食抑制作用や原油タンク内面に形成される原油由来の保護性コート(オイルコート)の腐食抑制作用により、腐食は生じないものと考えられていた。
しかしながら、最近の研究によって、原油タンク底板の鋼材では、お椀型の局部腐食(孔食)が発生することが明らかになった。
かような局部腐食が起こる原因としては、
(1)塩化ナトリウムを代表とする塩類が高濃度に溶解した凝集水の存在、
(2)過剰な洗浄によるオイルコートの離脱、
(3)原油中に含まれる硫化物の高濃度化、
(4)結露水に溶け込んだ防爆用イナートガス中のO2、CO2、SO2等の高濃度化、
などが挙げられる。実際、実船のドック検査時に、原油タンク内に滞留した水を分析した結果では、高濃度の塩化物イオンと硫酸イオンが検出されている。
上記した原油タンク内面の全面腐食や局部腐食の防止には、鋼材表面に塗装を施し、鋼材を腐食環境から遮断することが有効である。
しかしながら、原油タンクの塗装作業は、その塗布面積が膨大であり、また塗膜の劣化により約10年に一度は塗り替えが必要となる。このため、原油タンクの塗装作業には、検査や塗装に膨大な費用が発生する。さらに、塗膜が損傷を受けると、かような損傷部では、原油タンクの腐食環境下でかえって腐食が助長されることが指摘されている。
そこで、塗装を施さなくとも、原油タンク内面の全面腐食や局部腐食を防止することのできる鋼材の開発が望まれている。
このような鋼材として、例えば特許文献1には、
「質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.02〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Ni:0.05〜3%、Mo:1%以下、Cu:1%以下、Cr:2%以下、W:1%以下、Ca:0.01%以下、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、B:0.05%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなるカーゴオイルタンク用鋼材。」
が開示されている。
また、特許文献2には、
「質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Ni:0.01〜1%、Cu:0.05〜2%、Sn:0.01〜0.2%、Cr:0.1%以下、Al:0.1%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなるカーゴオイルタンク用鋼材。」
が開示されている。
特開2003-82435号公報 特開2007-270196号公報
ところで、原油タンカーの原油タンクは、通常、底板とホッパープレート、上甲板裏板とロンジ材等を溶接しており、その溶接継手では、板厚方向に引張応力を受ける。かような溶接継手では、ラメラテアが生じる危険性があることが最近明らかとなってきた。ここで、ラメラテアとは、十字継手、T継手、角継手などの板厚方向に引張応力を受ける溶接継手において、引張応力によって鋼板表面に平行な方向に、鋼材内部においてき裂が進展し、割れが発生する現象である。
このため、原油タンカー用鋼材には、上記した原油タンク内面の全面腐食や局部腐食に対する耐食性に加え、耐ラメラテア性にも優れていることが要求される。
この点、引用文献1の鋼材では、耐ラメラテア性などの機械的特性については何ら考慮されていない。また、引用文献2の鋼材でも、やはり耐ラメラテア性については何ら考慮されていない。
このように、引用文献1および2では、溶接継手においてラメラテアが発生するリスクを全く考慮しておらず、このため、引用文献1および2の鋼材を実際の原油タンカーの原油タンクに使用した場合には、溶接継手においてラメラテアが発生することが懸念される。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであって、原油タンカーの原油タンク内面の上甲板裏面や側壁上部における全面腐食、および底板における局部腐食に対する耐食性に優れ、かつ耐ラメラテア性にも優れる原油タンカー用鋼材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の原油タンカー用鋼材を用いてなる原油タンカーを提供することを目的とする。
さて、発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意研究を重ね、以下の知見を得た。
(1)原油タンカーの原油タンクの底板における局部腐食環境、すなわち孔食環境における耐食性(以下、耐局部腐食性ともいう)の向上には、Snの添加とSの低減が有効である。
(2)原油タンカーの原油タンクの上甲板裏面や側壁上部における全面腐食環境での耐食性(以下、耐全面腐食性ともいう)の向上には、Snとともに、Cu、Ni、Sb、W、MoおよびSiのうちから選んだ1種または2種以上を複合添加することが有効である。
(3)一方、耐ラメラテア性の観点からは、鋼中のS量を低減するとともに、Snを低減することが有効である。
このように、原油タンカーの原油タンク内面の腐食環境における耐食性(耐全面腐食性および耐局部腐食性)の向上の観点からはSnの添加が有効であるものの、耐ラメラテア性の観点からは、Snを低減することが有効である。そこで、発明者らは、上記の知見を基に、さらに耐食性と耐ラメラテア性とを両立すべく検討を重ねた。
その結果、
(4)Snの中心偏析を抑制して、Snを鋼材全体に極力拡散させてやれば、Snを所定量含有していても優れた耐ラメラテア性が得られる、すなわち、Sn量を適正に調整しつつ、Snの中心偏析を抑制して、Snを鋼材全体に拡散させてやれば、原油タンカーの原油タンク内面の腐食環境における耐食性と耐ラメラテア性とを両立することできる、
との知見を得た。
また、
(5)S量に応じてSn量を厳密に制御することで、一層、耐ラメラテア性が向上する、
との知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を重ねて完成させたものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、
C:0.03〜0.18%、
Mn:0.10〜2.00%、
P:0.030%以下、
S:0.0070%以下、
Al:0.001〜0.100%、
Sn:0.01〜0.20%および
N:0.0080%以下
を含有するとともに、
Cu:0.01〜0.50%、
Ni:0.01〜0.50%、
Sb:0.01〜0.30%、
W:0.01〜0.50%、
Mo:0.01〜0.50%および
Si:0.01〜1.50%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
Sn偏析度が18未満である、原油タンカー用鋼材。
ここで、Sn偏析度は、次式(1)により定義される。
[Sn偏析度]=[中心偏析部のSn濃度]/[平均のSn濃度]--- (1)
2.前記成分組成におけるS含有量とSn含有量とが、次式(2)の関係を満足する、前記1に記載の原油タンカー用鋼材。
10000×[%S]×[%Sn]2 ≦ 1.40 --- (2)
ここで、[%S]および[%Sn]はそれぞれ、成分組成におけるSおよびSnの含有量(質量%)である。
3.前記成分組成が、さらに質量%で、
Cr:0.01〜0.50%および
Co:0.01〜0.50%
のうちから選んだ1種または2種を含有する、前記1または2に記載の原油タンカー用鋼材。
4.前記成分組成が、さらに質量%で、
Ti:0.001〜0.100%、
Zr:0.001〜0.100%、
Nb:0.001〜0.100%および
V:0.001〜0.100%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する、前記1〜3のいずれかに記載の原油タンカー用鋼材。
5.前記成分組成が、さらに質量%で、
Ca:0.0001〜0.0100%、
Mg:0.0001〜0.0200%および
REM:0.0002〜0.2000%
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する、前記1〜4のいずれかに記載の原油タンカー用鋼材。
6.前記成分組成が、さらに質量%で、
B:0.0001〜0.0300%
を含有する、前記1〜5のいずれかに記載の原油タンカー用鋼材。
7.前記1〜6のいずれかに記載の原油タンク用鋼材を用いてなる原油タンカー。
本発明によれば、原油タンカーの原油タンク内面の腐食環境における耐食性、すなわち耐全面腐食性および耐局部腐食性のいずれにも優れ、かつ耐ラメラテア性にも優れる原油タンカー用鋼材が得られる。
そして、本発明の原油タンカー用鋼材を原油タンカーの原油タンクに用いることで、高い安全性を確保しながら、原油タンクの検査や塗装にかかる費用を低減することが可能となる。
全面腐食試験(結露試験)に用いた試験装置の概略図である。 局部腐食試験(耐酸試験)に用いた試験装置の概略図である。
以下、本発明を具体的に説明する。まず、本発明において鋼の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、鋼の成分組成における元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り単に「%」で示す。
C:0.03〜0.18%
Cは、鋼の強度確保に必要な元素である。このような効果を得るため、C量は0.03%以上とする。しかし、C量が0.18%を超えると、溶接性および溶接熱影響部の靭性が低下する。従って、C量は0.03〜0.18%の範囲とする。好ましくは0.04%以上、0.16%以下である。
Mn:0.10〜2.00%
Mnは、鋼の強度を高める元素である。このような効果を得るため、Mn量は0.10%以上とする。しかし、Mn量が2.00%を超えると、鋼の靭性および溶接性が低下する。また、Mnの中心偏析によって、耐ラメラテア性も低下する。従って、Mn量は0.10〜2.00%の範囲とする。好ましくは0.60%以上、1.80%以下である。より好ましくは、0.80%以上、1.60%以下である。
P:0.030%以下
Pは、靭性及び溶接性を劣化させる。このため、P量は0.030%以下とする。好ましくは0.025%以下である。より好ましくは0.015%以下である。なお、下限については特に限定されないが、0.003%とすることが好ましい。
S:0.0070%以下
Sは、耐局部腐食性と耐ラメラテア性に関与する重要な元素である。すなわち、Sは、非金属介在物であるMnSを形成して局部腐食の起点となり、耐局部腐食性を低下させる有害な元素である。よって、Sは極力低減させることが望ましい。特に、S量が0.0080%を超えると、耐局部腐食性の顕著な低下を招く。また、粗大なMnSは、ラメラテアの起点となる。特に、S量が0.0070%を超えると、耐ラメラテア性の大幅な低下を招く。従って、耐局部腐食性と耐ラメラテア性を両立する観点から、S量は0.0070%以下とする。好ましくは0.0060%以下である。より好ましくは0.0050%以下である。なお、下限については特に限定されないが、0.0003%とすることが好ましい。
Al:0.001〜0.10%
Alは、脱酸剤として添加される元素であり、Al量は0.001%以上とする。しかし、Al量が0.10%を超えると、鋼の靭性が低下する。このため、Al量は0.001〜0.10%の範囲とする。
Sn:0.01〜0.20%
Snは、耐局部腐食性と耐全面腐食性を向上させるために必要な元素であるとともに、耐ラメラテア性に関与する重要な元素、換言すれば、耐食性を向上させる一方で、耐ラメラテア性を低下させる元素である。
すなわち、Snは、原油タンクの底板などの強酸性の局部腐食環境において、鋼の表面に難溶性被膜を形成して、腐食を促進させるCl-(塩化物イオン)の拡散を抑制し、これにより、耐食性を高める効果がある。また、Snは、原油タンクの上甲板裏面などの弱酸性の全面腐食環境において、鋼の表面の錆中に取り込まれ、腐食を促進させるSO4 2-等のアニオン種の拡散を抑制し、これにより、耐食性を高める効果がある。これらの効果はSn量を0.01%以上とすることで発現する。また、特に、上甲板裏面などの全面腐食環境においては、Snの添加効果が大きく、Sn量を0.05%以上とすることにより、後述するCu、Ni、Sb、W、MoおよびSiのうち、Cu、Ni、Sb、W、およびMoを添加しなくとも、良好な耐食性を発現させることが可能となる。
一方で、Snは鋼材中心部に偏析し易く、かような偏析部では、硬度が著しく増大するために、耐ラメラテア性が劣化する。特に、Sn量が0.20%を超えると、耐ラメラテア性が大きく劣化する。従って、耐ラメラテア性の確保の観点から、Sn量は0.20%以下とする。好ましくは0.15%以下である。より好ましくは0.10%以下である。
N:0.0080%以下
Nは、靭性を低下させる有害な元素であるので、極力低減させることが望ましい。特に、N量が0.0080%を超えると、靭性の低下が大きくなる。従って、N量は0.0080%以下とする。好ましくは0.0070%である。なお、下限については特に限定されないが、0.0005%とすることが好ましい。
Cu:0.01〜0.50%、Ni:0.01〜0.50%、Sb:0.01〜0.30%、W:0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%およびSi:0.01〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上
Cu、Ni、Sb、W、MoおよびSiは、原油タンカーの原油タンクの上甲板などの全面腐食環境での耐食性を向上させる元素である。
上述したように、Snは耐食性の向上に有効な元素であるものの、耐ラメラテア性の観点から多量には含有させることができない。そのため、原油タンカーの原油タンクの上甲板などの全面腐食環境での優れた耐食性を得るためには、Cu:0.01〜0.50%、Ni:0.01〜0.50%、Sb:0.01〜0.30%、W:0.01〜0.50%、Mo:0.01〜0.50%およびSi:0.01〜1.50%のうちから選んだ1種または2種以上を含有させることが必要である。
ここで、Cu、NiおよびSbはそれぞれ、腐食の進行に伴い、鋼材表面からCu2+、Ni2+およびSb3+として遊離し、腐食因子であるS2-と結びつき、CuS、NiS、Sb2S3を形成する。その結果、鋼界面へのS2-の透過を抑制する。また、W、MoおよびSiはそれぞれ、WO4 2-、MoO4 2-およびSiO4 4-として遊離し、錆中に取り込まれ、錆にカチオン選択透過性を付与し、鋼界面へのSO4 2-やS2-等の腐食性アニオンの透過を電気的に抑制する。
これらの効果は、上述のSnの防食作用が共存した場合において顕在化し、Cu、Ni、Sb、W、MoおよびSi量がそれぞれ0.01%以上で発現する。しかし、いずれの元素も多く含有させると、溶接性や靱性を劣化させ、コストの観点からも不利になる。
従って、Cu量は0.01〜0.50%の範囲、Ni量は0.01〜0.50%の範囲、Sb量は0.01〜0.30%の範囲、W量は0.01〜0.50%の範囲、Mo量は0.01〜0.50%の範囲、Si量は0.01〜1.50%の範囲とする。
好ましくは、Cu量は0.02%以上、0.40%以下、Ni量は0.02%以上、0.40%以下、Sb量は0.02%以上、0.25%以下、W量は0.02%以上、0.40%以下、Mo量は0.02%以上、0.40%以下、Si量は0.01%以上、1.00%以下である。
また、上述したように、Snによる耐ラメラテア性の低下機構は、Sによる耐ラメラテア性の低下機構とは異なっている。しかし、SとSnによる耐ラメラテア性の低下は互いに相乗して作用する。このため、耐ラメラテア性を一層向上させる観点からは、SおよびSnの含有量について、次式(2)の関係を満足させることが好適である。
10000×[%S]×[%Sn]2 ≦ 1.40 --- (2)
ここで、[%S]および[%Sn]はそれぞれ、成分組成におけるSおよびSnの含有量(質量%)である。
上掲(2)式は、耐ラメラテア性に対するSn量の影響がS量の影響に比べて非常に大きいことを意味している。すなわち、Snを厳密に管理することが、耐ラメラテア性を確保するうえで特に重要であることを意味している。
ここで、10000×[%S]×[%Sn]2は、1.20以下とすることがより好ましい。10000×[%S]×[%Sn]2の下限については特に限定されるものではないが、0.001とすることが好ましい。
なお、ラメラテアを抑制するにあたっては、S量とSn量をともに上記した範囲に限定することが前提となることは言うまでもない。
以上、基本成分について説明したが、本発明の原油タンカー用鋼材では、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cr:0.01〜0.50%およびCo:0.01〜0.50%のうちから選んだ1種または2種
CrおよびCoは、腐食の進行に伴って錆層中に移行し、Cl-の錆層への侵入を遮断することで、錆層と地鉄の界面へのCl-の濃縮を抑制し、これによって耐食性の向上に寄与する。また、Zn含有プライマーを鋼材表面に塗布したときには、CrおよびCoは、Feを中心としてZnなどと複合酸化物を形成して、長期間にわたり鋼板表面にZnを存続させることを可能とし、これにより一層耐食性を向上させる。このような効果は、特に原油タンカーの原油タンクの底板のように、原油油分から分離された高濃度の塩分を含む液と接触する部分において特に顕著となる。すなわち、鋼材にZn含有プライマー処理を施して、この鋼材を、原油油分から分離された高濃度の塩分を含む液と接触する部分に使用する場合、CrやCoを含有した鋼材では、これらの元素を含有しない鋼材と比較して、耐食性が大きく向上する。
このような効果は、Cr量またはCo量が0.01%未満では十分には得られない。一方、Cr量またはCo量が0.50%を超えると、溶接部の靭性を劣化させる。また、Crについては、加水分解反応を生じる元素であり、腐食部でのpHを低下させる。すなわち、Crを過剰に添加すると、トータルでの耐食性を劣化させるおそれもある。
従って、CrおよびCoを含有させる場合、その量はいずれも0.01〜0.50%の範囲とする。好ましくは0.02%以上、0.30%以下である。より好ましくは0.03%以上、0.20%以下である。
Ti:0.001〜0.100%、Zr:0.001〜0.100%、Nb:0.001〜0.100%およびV:0.001〜0.100%のうちから選んだ1種または2種以上
Ti、Zr、NbおよびVは、所望とする強度を確保する観点から、単独または複合して添加することができる。しかし、いずれの元素も過剰に含有させると、靱性および溶接性を劣化させる。このため、Ti、Zr、NbおよびVを含有させる場合、その量はいずれも0.001〜0.100%の範囲とする。好ましくは0.005%以上、0.050%以下である。
Ca:0.0001〜0.0100%、Mg:0.0001〜0.0200%およびREM:0.0002〜0.2000%のうちから選んだ1種または2種以上
Ca、MgおよびREMは溶接部の靱性を向上させる観点から、単独または複合して添加することができる。しかし、いずれの元素も過剰に含有させると、却って溶接部の靱性劣化を招く。また、コストも増加する。従って、Ca、MgおよびREMを含有させる場合、Ca量は0.0001〜0.0100%、Mg量は0.0001〜0.0200%、REM量は0.0002〜0.2000%の範囲とする。
B:0.0001〜0.0300%
Bは、鋼材の焼入性を向上させる元素である。また、所望の強度を確保する観点から、Bを含有させることができる。このような観点からは、B量を0.0001%以上とすることが有効である。しかし、Bを過剰に含有させる、特にB量が0.0300%を超えると、靱性の大幅な劣化を招く。従って、Bを含有させる場合には、その量は0.0001〜0.0300%の範囲とする。
上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。
以上、本発明の原油タンカー用鋼材の成分組成について説明したが、本発明の原油タンカー用鋼材では、Sn偏析度を次のように制御することが極めて重要である。
Sn偏析度:18未満
Snの中心偏析によって、偏析部の硬度は大きく増加する。そして、このような偏析部がラメラテア発生の起点となる。すなわち、Snを含有する成分組成において優れた耐ラメラテア特性を確保するには、Snの中心偏析を抑制して偏析部の硬度増加を抑制することが重要である。このような観点から、Sn偏析度は18未満とする。好ましくは16未満である。より好ましくは15以下である。下限については特に限定されるものではないが、2とすることが好ましい。
なお、ここでいうSn偏析度とは、鋼材の圧延方向と平行に切断した断面(鋼材表面に垂直な断面)において、電子線マイクロアナライザ(以下、EPMAと示す)の線分析により得られる平均のSn濃度に対する中心偏析部のSn濃度の比である。
具体的には、鋼材の厚さをt(mm)、幅(鋼材の圧延方向および厚さ方向と直角の方向)をW(mm)としたとき、まず、鋼材の圧延方向と平行に切断した断面(鋼材表面に垂直な断面)の鋼材の厚さ方向:(0.5±0.1)×t、圧延方向:15mmの面領域(すなわち、鋼材の厚さ方向の中心位置を包含する面領域)において、ビーム径:20μm、ピッチ:20μmの条件で、SnのEPMA面分析を実施する。なお、SnのEPMA面分析は、1/4×W、1/2×Wおよび3/4×Wの位置の3つの断面視野にて実施する。
ついで、上記EPMA面分析から各断面視野においてSn濃度が最も高い位置を選択し、当該位置においてそれぞれ、鋼材の厚さ方向にビーム径:5μm、ピッチ:5μmの条件で、SnのEPMA線分析を実施する。なお、EPMA線分析の実施にあたっては、鋼材の表裏面からそれぞれ25μmまでの領域は除外する。
そして、測定ラインごとにSn濃度(質量濃度)の最大値を求め、これらの平均値を中心偏析部のSn濃度(質量濃度)とし、この中心偏析部のSn濃度を、測定ラインの全測定値の算術平均値である平均のSn濃度(質量濃度)で除した値を、Sn偏析度とする。
すなわち、
[Sn偏析度]=[中心偏析部のSn濃度]/[平均のSn濃度]
である。
上述したように、本発明の原油タンカー用鋼材は、優れた耐ラメラテア特性を確保する観点から、Snの中心偏析を抑制する、すなわち、Snの中心偏析の度合いを示すSn偏析度を所定値以下に制御することが極めて重要である。ここで、Sn偏析度は、成分組成が同じであっても、製造条件によって大きく変化する。このため、Snの中心偏析を抑制するには、鋼材の製造方法を適切に制御することが非常に重要である。
以下、本発明の原油タンカー用鋼材の好適製造方法について説明する。
すなわち、本発明の鋼材は、上記した成分組成に調整した鋼を、転炉や電気炉、真空脱ガス等、公知の精錬プロセスを用いて溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で鋼素材(スラブ)とし、ついでこの鋼素材を必要に応じて再加熱してから熱間圧延することにより、鋼板または形鋼等とすることで製造することができる。なお、鋼材の厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは2〜100mmである。より好ましくは3〜80mmである。さらに好ましくは4〜60mmである。
ここで、連続鋳造の場合、鋳造速度(引抜速度)を0.3〜2.8m/minとすることが好ましい。鋳造速度が0.3m/min未満では、操業効率が悪くなる。一方、鋳造速度が2.8m/minを超えると、表面温度ムラが生じ、また鋳片内部への溶鋼供給が不十分になって、Snの中心偏析が促される。Snの中心偏析を抑制する観点からは、より好ましくは0.4m/min以上、2.6m/min以下である。さらに好ましくは1.5m/min以下である。
また、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を、凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下総量及び圧下速度で、圧下ロール群によって徐々に圧下しながら鋳造する軽圧下法を行うことが好ましい。
次に、上記の鋼素材を所望の寸法形状に熱間圧延する際には、900℃〜1350℃の温度に加熱することが好ましい。加熱温度が900℃未満では変形抵抗が大きく、熱間圧延が難しくなる。一方、加熱温度が1350℃を超えると、表面痕が発生したり、スケールロスや燃料原単位が増加したりする。
また、特に、加熱温度が高いほど中心偏析部のSnの拡散が促されるため、耐ラメラテア性を確保する観点からは有利となる。このような観点から、加熱温度は1030℃以上とすることがより好ましい。
さらに、上記加熱温度における保持時間は、60min以上とすることが好ましい。これにより、中心偏析部におけるSnの拡散が十分に促される。より好ましくは150min以上である。なお、上限については特に限定されるものではないが、1000minとすることが好ましい。
なお、鋼素材の温度が、もともと1030〜1350℃の範囲の場合でかつ、その温度範囲に60min以上保持されていた場合には、加熱せずに、そのまま熱間圧延に供してもよい。また、熱間圧延後に得られた熱延板に、再加熱処理、酸性、冷間圧延を施し、所定板厚の冷延板としてもよい。
熱間圧延では、仕上圧延終了温度を650℃以上とすることが好ましい。仕上圧延終了温度が650℃未満では、変形抵抗の増大により圧延荷重が増加し、圧延の実施が困難となる。
熱間圧延後の冷却は、空冷、加速冷却のいずれの方法でもよいが、より高い強度を得たい場合には、加速冷却を行うことが好ましい。
ここで、加速冷却を行う場合には、冷却速度を2〜100℃/s、冷却停止温度を700〜400℃とするのが好ましい。すなわち、冷却速度が2℃/s未満、および/または冷却停止温度が700℃超では、加速冷却の効果が小さく、十分な高強度化が達成されない場合がある。一方、冷却速度が100℃/s超、および/または冷却停止温度が400℃未満では、鋼材の靭性が低下したり、鋼材の形状に歪が発生する場合がある。ただし、後工程において熱処理を施す場合はその限りではない。
表1に示す成分組成になる鋼(残部はFeおよび不可避的不純物である)を、転炉で溶製して、表2に示す条件の連続鋳造により鋼スラブとした。これらの鋼スラブを1150℃に再加熱後、表2に示す条件で保持し、仕上圧延終了温度:800℃の熱間圧延を施し、板厚:40mmの鋼板を得た。なお、熱間圧延後の冷却は、冷却速度:10℃/s、冷却停止温度:550℃の水冷(加速冷却)とした。
そして、上記した方法により、得られた鋼板におけるSn偏析度を求めた。結果を表2に併記する。
また、上記のようにして得られた鋼板について、以下の要領で、原油タンカーの原油タンクの上甲板裏面環境を模擬した全面腐食試験(結露試験)と底板環境を模擬した局部腐食試験(耐酸試験)をそれぞれ行った。
(1)全面腐食試験(結露試験)
原油タンカーの原油タンクの上甲板裏面における全面腐食に対する耐食性(耐全面腐食性)を評価するため、上記No.1〜58の鋼板それぞれについて、表面1mmの位置から、幅25mm×長さ60mm×厚さ5mmの矩形の小片を切り出し、その表面を600番手のエメリー紙で研磨した。ついで、裏面および端面は腐食しないようにテープでシールして試験片1を準備し、図1に示す腐食試験装置を用いて全面腐食試験を行った。この腐食試験装置は、腐食試験槽2と温度制御プレート3とから構成されている。腐食試験槽2には温度が30℃に保持された水6が注入されており、またその水6中には、導入ガス管4を介して、13vol%CO2、4vol%O2、0.01vol%SO2、0.05vol%H2S、残部N2からなる混合ガスを導入しており、これにより、腐食試験槽2内を過飽和の水蒸気で充満させて、原油タンクの上甲板裏の腐食環境を再現している。そして、この腐食試験槽2の上裏面に試験片1をセットし、この試験片1に対して、ヒーターと冷却装置を内蔵した温度制御プレート3を介して25℃×1.5時間+50℃×22.5時間を1サイクルとする温度変化を21、49、77および98日間繰り返して付与し、試験片1の表面に結露水を生じさせて、全面腐食が生じるようにした。なお、図1中、符号5は試験槽からの排出ガス管を示す。
上記の腐食試験後、各試験片表面の錆を除去し、試験前後の質量変化から腐食による質量減を求め、この値から1年当たりの板厚減少量(片面の腐食速度)に換算した。そして、4試験期間の値から25年後の予測損耗量を求め、腐食量が2.0mm以下の場合には耐全面腐食性が良好(○)、2.0mm超の場合には耐全面腐食性が不良(×)と評価した。
(2)局部腐食試験(耐酸試験)
原油タンカーの原油タンクの底板における局部腐食環境(孔食)における耐食性(耐局部腐食性)を評価するため、上記No.1〜58の鋼板についてそれぞれ、表面1mmの位置から、幅25mm×長さ60mm×厚さ5mmの矩形の小片を切り出し、その表面を600番手のエメリー紙で研磨し、試験片を準備した。
ついで、10質量%NaCl水溶液を、濃塩酸を用いてClイオン濃度:10質量%、pH:0.85に調製した試験溶液を作製し、試験片の上部に開けた3mmφの孔にテグスを通して吊るし、各試験片について2Lの試験溶液中に168時間浸漬する腐食試験を行った。なお、試験溶液は、予め30℃に加温・保持し、24時間毎に新しい試験溶液と交換した。
上記腐食試験に用いた装置を図2に示す。この腐食試験装置は、腐食試験槽8、恒温槽9の二重構造の装置で、腐食試験槽8には上記試験溶液10が入れられ、その中に試験片7がテグス11で吊るされて浸漬されている。試験溶液10の温度は、恒温槽9に入れた水12の温度を調整することで保持している。
上記の腐食試験後、試験片表面に生成した錆を除去した後、試験前後の質量差を求め、この差を全表面積で割り戻し、1年当たりの板厚減少量(両面の腐食速度)を求めた。その結果、腐食速度が1.0mm/y以下の場合を耐局部腐食性が良好(○)、腐食速度が1.0mm/y超の場合を耐局部腐食性が不良(×)と評価した。
さらに、以下の要領で、耐ラメラテア性の評価を行った。
(3)耐ラメラテア性の評価
ClassNK 鋼船規則・同検査要領(K編、第2章)に準拠して、上記のようにして得られたNo.1〜58の鋼板について、鋼板の板厚方向(Z方向)の引張試験を実施し、絞り値(RA)を算出た。そして、算出した絞り値(RA)に基づき、以下の基準で耐ラメラテア性を評価した。
◎(合格、特に優れる):70以上
○(合格):35以上70未満
△(不合格):25以上35未満
×(不合格):25未満
(1)〜(3)の評価結果を表2に併記する。なお、表2中の総合評価は、上記した(1)〜(3)の評価が全て「○」または「◎」の場合を「合格」、(1)〜(3)までの評価において1つでも「△」または「×」がある場合を「不合格」としている。
Figure 2018066019
Figure 2018066019
Figure 2018066019
表2に示したとおり、発明例はいずれも、優れた耐全面腐食性と耐局部腐食性、さらには優れた耐ラメラテア性を兼ね備えている。
これに対し、比較例では、耐全面腐食性、耐局部腐食性および耐ラメラテア性の少なくとも1つについて、十分な特性が得られていない。
すなわち、比較例No.42、48、52はS量が上限を超えているため、耐局部腐食性および耐ラメラテア性について、十分な特性が得られていない。
また、比較例No.43、47、50はSn量が上限を超えているため、耐ラメラテア性について、十分な特性が得られていない。
比較例No.44はS量が上限を超えており、また所定量のCu、Ni、Sb、W、MoおよびSiが含有されていないため、耐全面腐食性、耐局部腐食性および耐ラメラテア性について、十分な特性が得られていない。
比較例No.45はSn量が下限を下回っているため、耐全面腐食性と耐局部腐食性について、十分な特性が得られていない。
比較例No.46はS量およびSn量が上限を超えているため、耐局部腐食性および耐ラメラテア性について、十分な特性が得られていない。
比較例No.49は所定量のCu、Ni、Sb、W、MoおよびSiが含有されていないため、耐全面腐食性について、十分な特性が得られていない。
比較例No.51はS量が上限を超えており、またSn量が下限を下回っているため、耐全面腐食性、耐局部腐食性および耐ラメラテア性について、十分な特性が得られていない。
比較例No.53〜56はSn偏析度が上限を超えているため、耐ラメラテア性について、十分な特性が得られていない。
1,7 試験片
2,8 腐食試験槽
3 温度制御プレート
4 導入ガス管
5 排出ガス管
6,12 水
9 恒温槽
10 試験溶液
11 テグス

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.18%、
    Mn:0.10〜2.00%、
    P:0.030%以下、
    S:0.0070%以下、
    Al:0.001〜0.100%、
    Sn:0.01〜0.20%および
    N:0.0080%以下
    を含有するとともに、
    Cu:0.01〜0.50%、
    Ni:0.01〜0.50%、
    Sb:0.01〜0.30%、
    W:0.01〜0.50%、
    Mo:0.01〜0.50%および
    Si:0.01〜1.50%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    Sn偏析度が18未満である、原油タンカー用鋼材。
    ここで、Sn偏析度は、次式(1)により定義される。
    [Sn偏析度]=[中心偏析部のSn濃度]/[平均のSn濃度]--- (1)
  2. 前記成分組成におけるS含有量とSn含有量とが、次式(2)の関係を満足する、請求項1に記載の原油タンカー用鋼材。
    10000×[%S]×[%Sn]2 ≦ 1.40 --- (2)
    ここで、[%S]および[%Sn]はそれぞれ、成分組成におけるSおよびSnの含有量(質量%)である。
  3. 前記成分組成が、さらに質量%で、
    Cr:0.01〜0.50%および
    Co:0.01〜0.50%
    のうちから選んだ1種または2種を含有する、請求項1または2に記載の原油タンカー用鋼材。
  4. 前記成分組成が、さらに質量%で、
    Ti:0.001〜0.100%、
    Zr:0.001〜0.100%、
    Nb:0.001〜0.100%および
    V:0.001〜0.100%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の原油タンカー用鋼材。
  5. 前記成分組成が、さらに質量%で、
    Ca:0.0001〜0.0100%、
    Mg:0.0001〜0.0200%および
    REM:0.0002〜0.2000%
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の原油タンカー用鋼材。
  6. 前記成分組成が、さらに質量%で、
    B:0.0001〜0.0300%
    を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の原油タンカー用鋼材。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の原油タンク用鋼材を用いてなる原油タンカー。
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