JPWO2018047494A1 - 光電変換素子、色素増感太陽電池及びジピロメテン錯体化合物 - Google Patents

光電変換素子、色素増感太陽電池及びジピロメテン錯体化合物 Download PDF

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Abstract

優れた光電変換効率を示す光電変換素子及び色素増感太陽電池、並びに、これらに好適に用いられるジピロメテン錯体化合物を提供する。光電変換素子は、導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有し、感光体層が下記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物が担持された半導体微粒子を有する。式中、XはCR5又はNを示し、R5はアルキル基等の特定の基を示す。R1〜R4はアルキル基等の特定の基を示す。L1及びL2は単結合又は連結基を示す。Z1及びZ2は酸性基又はその塩を示し、m及びnは1以上の整数を示す。Y1及びY2はハロゲン原子等の特定の基を示す。

Description

本発明は、光電変換素子、色素増感太陽電池及びジピロメテン錯体化合物に関する。
光電変換素子は、各種の光センサー、複写機、太陽電池等の光電気化学電池等に用いられている。この光電変換素子には、金属を用いた方式、半導体を用いた方式、有機顔料若しくは色素を用いた方式、又は、これらを組み合わせた方式等の様々な方式が実用化されている。特に、非枯渇性の太陽エネルギーを利用した太陽電池は、燃料が不要であり、無尽蔵のクリーンエネルギーを利用するものとして、その本格的な実用化が大いに期待されている。そのなかでも、シリコン系太陽電池は古くから研究開発が進められ、各国の政策的な配慮もあって普及が進んでいる。しかし、シリコンは無機材料であり、スループット及びコスト等の改良には自ずと限界がある。
そこで、色素を用いた光電気化学電池(色素増感太陽電池ともいう)が研究されている。例えば、ルテニウム錯体からなる色素を用いた色素増感太陽電池が、スイス ローザンヌ工科大学のGraetzelらにより、報告されている。
また、ルテニウム錯体からなる色素以外の色素を用いた色素増感太陽電池も研究されている。例えば、特許文献1において、2−チエニル−5−カルボキシチアゾール骨格のホウ素錯体化合物を増感色素として用いた色素増感太陽電池が提案されている。更に、非特許文献1において、2つのピロール環をメチン基で結合してなるジピロメテン骨格にホウ素原子が結合したジピロメテン錯体化合物を増感色素として用いた色素増感太陽電池が提案されている。このジピロメテン錯体化合物は、具体的には、ジピロメテン骨格の3位及び5位(各ピロール環の環構成窒素原子に隣接する環構成炭素原子)にエテニレン基を介在させてトリアリールアミノ基を導入した錯体化合物である。
国際公開第2012/121397号
Dyes and Pigments,128(2016),p.296−303
特許文献1には、色素増感太陽電池の増感色素として上記ホウ素錯体化合物を用いることにより、光電変換効率の向上が期待できることが記載されている。また、非特許文献1には、色素増感太陽電池の増感色素として上記のジピロメテン錯体化合物を用いることにより、短絡電流密度(short circuit photocurrent density)及び変換効率(overall conversion efficiency)を改善できることが記載されている。
しかし、年々、光電変換素子及び色素増感太陽電池に求められる性能は高くなっており、ジピロメテン錯体化合物等の色素を用いた色素増感太陽電池においても光電変換効率の更なる向上が望まれている。
本発明は、優れた光電変換効率を示す光電変換素子及び色素増感太陽電池、並びに、これらに好適に用いられるジピロメテン錯体化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、ジピロメテン骨格の3位及び5位に酸性基を導入し、更に好ましくはその骨格の2位及び6位に置換基を導入したジピロメテン錯体化合物を増感色素として光電変換素子及び色素増感太陽電池に用いると、800nm以上の長波長領域においても高い外部量子収率(IPCE)を示し、優れた光電変換効率を発揮しうることを、見出した。本発明はこれらの知見に基づき、更に検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、感光体層が、下記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。

式中、XはCR又はNを示す。Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。
及びLは、それぞれ独立に、単結合又は連結基を示す。
及びZは、それぞれ独立に、酸性基又はその塩を示し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を示す。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はヘテロアリールチオ基を示す。
<2>L及びLが、いずれも、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基若しくは芳香族ヘテロ環基、又は、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基を示す<1>に記載の光電変換素子。
<3>L及びLが、いずれも、共役連結基である<1>又は<2>に記載の光電変換素子。
<4>L及びLが、いずれも、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<5>L及びLが、いずれも、アルケニレン基、アルキニレン基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<6>L及びLが、いずれも、下記式(L)で表される基である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
式(L) *−LL1−Ar−***
式中、LL1は下記式(L−1)〜(L−4)のいずれかで表される基を示す。Arは芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基を示す。*は式(1)中のピロール環との結合部を示し、***は式(1)中のZ又はZとの結合部を示す。

式中、R21〜R28は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を示し、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。*は式(1)中のピロール環との結合部を示し、**はArとの結合部を示す。
<7>L及びLが、いずれも、スチリル基である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<8>m及びnが、いずれも、1である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の光電変換素子。
<9>Z及びZが、いずれも、−COOH、−SOH、−PO(OH)、−OH及び−SHから選ばれる酸性基又はその塩である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の光電変換素子
<10>上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
<11>下記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物。

式中、XはCR又はNを示す。Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。
及びLは、それぞれ独立に、単結合又は連結基を示す。
及びZは、それぞれ独立に、酸性基又はその塩を示し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を示す。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はヘテロアリールチオ基を示す。
本明細書において、特段の断りがない限り、二重結合については、分子内にE型及びZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
特定の符号又は式で表示された置換基、連結基若しくは配位子等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成していてもよい。また、特段の断りがない限り、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環は、更に縮環して縮合環を形成していてもよい。
本明細書において、化合物(錯体及び色素を含む)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。更に、置換又は無置換を明記していない化合物については、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基、連結基及び配位子についても同様である。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物を担持することにより、優れた光電変換効率を示す。また、本発明のジピロメテン錯体化合物は、増感色素として用いることにより、光電変換素子及び色素増感太陽電池の光電変換効率を高めることができる。
図1は、本発明の第1態様の光電変換素子を、電池用途に応用したシステムにおいて、層中の円部分の拡大図も含めて、模式的に示した断面図である。 図2は、本発明の第2態様の光電変換素子からなる色素増感太陽電池を模式的に示した断面図である。 図3は、ジピロメテン錯体化合物D−1を用いた色素増感太陽電池(試料番号1)、及び、比較のための色素化合物C1を用いた色素増感太陽電池(試料番号c1)における作用スペクトルを示す図である。
[光電変換素子及び色素増感太陽電池]
本発明の光電変換素子は、導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極(対向電極)とを有する。感光体層と電荷移動体層と対極とがこの順で導電性支持体上に設けられている。
本発明の光電変換素子において、その感光体層を形成する半導体微粒子は、増感色素として後述する式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物(増感色素として用いる場合、ジピロメテン錯体色素ともいう。)を担持している。ここで、ジピロメテン錯体色素が半導体微粒子の表面に担持される態様は、半導体微粒子の表面に吸着している態様、半導体微粒子の表面に堆積している態様、及び、これらが混在した態様等を包含する。吸着は、化学吸着と物理吸着とを含み、化学吸着が好ましい。
ジピロメテン錯体化合物は、後述する酸性基(吸着基ともいう。)を介して半導体微粒子に吸着されていることが好ましく、このとき、酸性基は、プロトンを放出して解離したアニオン若しくはその塩となっていてもよい。酸性基が塩となるときの対イオンについては後述するものと同義である。
ジピロメテン錯体化合物が酸性基を介して半導体微粒子に吸着している場合、この酸性基は1個でも2個以上でもよい。
本発明の光電変換素子は、本発明で規定する構成以外の構成は特に限定されず、光電変換素子に関する公知の構成を採用できる。本発明の光電変換素子を構成する上記各層は、目的に応じて設計され、例えば、単層に形成されても、複層に形成されてもよい。また、必要により上記各層以外の層を有してもよい。
本発明の色素増感太陽電池は、本発明の光電変換素子を用いてなる。
以下、本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池の好ましい実施形態について説明する。
図1に示されるシステム100は、本発明の第1態様の光電変換素子10を、外部回路6で動作手段M(例えば電動モーター)に仕事をさせる電池用途に応用したものである。
光電変換素子10は、導電性支持体1と、色素(ジピロメテン錯体色素)21を担持することにより増感された半導体微粒子22、及び、半導体微粒子22間に電解質を含む感光体層2と、正孔輸送層である電荷移動体層3と、対極4とからなる。
光電変換素子10において、感光体層2は、半導体微粒子22に式(1)で表されるジピロメテン錯体色素が吸着されており、酸化物半導体電極ともいう。また、受光電極5は、導電性支持体1及び感光体層2を有し、作用電極として機能する。
光電変換素子10を応用したシステム100において、感光体層2に入射した光は、ジピロメテン錯体色素21を励起する。励起されたジピロメテン錯体色素21はエネルギーの高い電子を有しており、この電子がジピロメテン錯体色素21から半導体微粒子22の伝導帯に渡され、更に拡散によって導電性支持体1に到達する。このときジピロメテン錯体色素21は酸化体(カチオン)となっている。導電性支持体1に到達した電子が外部回路6で仕事をしながら、対極4、電荷移動体層3を経由してジピロメテン錯体色素21の酸化体に到達し、この酸化体が還元される。このような、上記ジピロメテン錯体色素の励起及び電子移動のサイクルを繰り返すことにより、システム100が太陽電池として機能する。
図2に示される色素増感太陽電池20は、本発明の第2態様の光電変換素子により構成されている。
色素増感太陽電池20となる光電変換素子は、図1に示す光電変換素子に対して、導電性支持体41及び感光体層42の構成、及び、スペーサーSを有する点で異なるが、それらの点以外は図1に示す光電変換素子10と同様に構成されている。すなわち、導電性支持体41は、基板44と、基板44の表面に成膜された透明導電膜43とからなる2層構造を有している。また、感光体層42は、半導体層45と、半導体層45に隣接して成膜された光散乱層46とからなる2層構造を有している。この感光体層42は、少なくとも、感光体層42を形成する半導体微粒子に式(1)で表されるジピロメテン錯体色素が吸着されており、酸化物半導体電極ともいう。導電性支持体41と対極48との間にはスペーサーSが設けられている。色素増感太陽電池20において、40は受光電極であり、47は電荷移動体層である。
色素増感太陽電池20は、光電変換素子10を応用したシステム100と同様に、感光体層42に光が入射することにより、太陽電池として機能する。
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、後述するように、800nm以上の長波長領域においても外部量子収率が高く、優れた光電変換効率を示す。この優れた光電変換効率は、晴天時の太陽光照射下(高照度環境下ともいう)においても、また、晴天時の太陽光に比べて照度が低い低照度環境下においても、示される。
低照度環境とは、特に限定されず、例えば照度が1万ルクス以下の環境をいう。このような低照度環境としては、例えば、曇天若しくは雨天時等の低照度太陽光環境、又は、屋内環境若しくは蛍光灯等の照明下による低照度環境が挙げられる。
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、上記の好ましい態様に限定されず、各態様の構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各態様間で適宜組み合わせることができる。
本発明において、光電変換素子又は色素増感太陽電池に用いられる材料及び各部材は通常の方法により調製することができる。例えば、米国特許第4,927,721号明細書、米国特許第4,684,537号明細書、米国特許第5,084,365号明細書、米国特許第5,350,644号明細書、米国特許第5,463,057号明細書、米国特許第5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2001−185244号公報、特開2001−210390号公報、特開2003−217688号公報、特開2004−220974号公報、特開2008−135197号公報を参照することができる。
<式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物>
次に、本発明に用いるジピロメテン錯体化合物について、説明する。
ジピロメテン錯体化合物は下記式(1)で表される。このような構造を有するジピロメテン錯体化合物は、光電変換素子及び色素増感太陽電池に高い光電変換効率を付与する。
式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物が光電変換素子及び色素増感太陽電池に上記優れた性能を付与できる理由の詳細についてはまだ定かではないが次のように考えられる。
式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物は、ジピロメテン骨格の3位及び5位に酸性基(式(1)におけるZ及びZ)を有しており、更に好ましくは2位及び6位に置換基(式(1)におけるR及びR)を有している。これにより、半導体微粒子に強固に吸着して半導体微粒子から脱着しにくいため、吸着安定性が向上する。その結果、800nm以上の長波長領域の光の吸収能が高くなる。更には、2位及び6位に置換基を有しており、これに加えて酸性基が連結基を介してジピロメテン骨格に導入されていると、長波長領域の光をより効果的に吸収できる。そのため、短波長から長波長までの広い波長領域の光によりジピロメテン錯体化合物が励起され、生じた電子が半導体微粒子に注入される。その結果、光電変換効率が向上すると考えられる。
本発明において、式(1)で表されるジピロメテン錯体色素は、光学異性体、幾何異性体、結合異性体、イオン化異性体等の異性体が存在する場合、これらの異性体のいずれであってもよく、またこれらの異性体の混合物であってもよい。
式(1)で表される化合物は、光電変換素子中に組み込まれた状態において、周囲の材料との酸化還元反応により酸化された状態に変化することがある。
式(1)において、XはCR又はNを示し、CRが好ましい。
としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。Rとして採りうるこれらの基は、それぞれ、後述する置換基群Tの対応する基における好ましい範囲等が適用される。ただし、後述するように、Rとして採りうるアルキル基及びアルケニル基には、それぞれ、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基が包含される。
として採りうるアリール基としては、例えば、フェニル又はナフチル等が挙げられ、フェニルが好ましい。
として採りうるヘテロアリール基としては、例えば、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環又はトリアゾール環等の5員環の各基、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環又はテトラジン環の6員環の各基が挙げられる。
は、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニルが更に好ましい。
として採りうる上記各基は、更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、特に限定されず、後述する置換基群Tから選ばれる置換基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、ハロゲン原子が挙げられ、アルキル基又はハロゲン原子がさらに好ましく、含フッ素アルキル基(フッ化アルキル基)又はフッ素原子が特に好ましい。Rが更に置換基を有する場合、更に有する置換基の数は、1個以上であれば特に限定されず、例えば、1〜16個が好ましく、1〜12個がより好ましく、2〜8個が更に好ましい。
更に置換基を有する基として、例えば、(テトラ若しくはペンタ)フルオロフェニル、(モノ−、ジ−若しくはトリ−)(トリフルオロメチル)フェニル、アミノ若しくはアルコキシフェニル、(モノ−、ジ−若しくはトリ−)アルキルフェニル、(アルキル)フェニルエテニル、又は、フェニルエチニル等が挙げられる。
として採りうる上記各基は、後述する酸性基を有していないことが好ましい。
式(1)において、R〜Rは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。
〜Rとして採りうる上記各基又はハロゲン原子は、それぞれ、後述する置換基群Tの対応する基又はハロゲン原子における好ましい範囲等が適用される。ただし、後述するように、R〜Rとして採りうる、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基は、それぞれ、置換基群Tにおける、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルオキシ基及びシクロアルキルチオ基が包含される。
及びRは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基がより好ましい。
及びRは、それぞれ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
〜Rにおいて、R及びRが同一であり、R及びRが同一であることが好ましい。このとき、R及びRとR及びRとは異なっていてもよい。
〜Rとして採りうる上記各基は、更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、特に限定されず、後述する置換基群Tから選ばれる置換基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基又はアミノ基であり、更に好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はハロゲン原子である。R〜Rが更に置換基を有する場合、更に有する置換基の数は、1個以上であれば特に限定されず、例えば、1〜16個が好ましく、2〜12個が更に好ましい。
更に置換基を有する基として、例えば、(テトラ若しくはペンタ)フルオロフェニル、(モノ−、ジ−若しくはトリ−)(トリフルオロメチル)フェニル、(モノ−、ジ−若しくはトリ−)アルキルフェニル、(モノ−、ジ−若しくはトリ−)アルキルフェニルエテニル、(モノ−、ジ−若しくはトリ−)アルキルフェニルエチニル、又は、アルキルチエニル等が挙げられる。
〜Rとして採りうる上記各基は、後述する酸性基を有していないことが好ましい。
式(1)において、L及びLは、それぞれ、単結合又は連結基を示し、連結基が好ましい。
及びLとして採りうる連結基は、IPCE及び光電変換効率の点で、式(1)中のジピロメテン骨格(ピロール環)と共役する連結基(共役連結基)であることが好ましい。L及びLとして採りうる連結基としては、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基若しくは芳香族ヘテロ環基、又は、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基が好ましく、上記2個以上の基を組み合わせてなる連結基がより好ましい。
脂肪族不飽和炭化水素基としては、内部又は末端に炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1個有する基が挙げられ、エチレン系炭化水素基又はアセチレン系炭化水素基が好ましく挙げられる。脂肪族不飽和炭化水素基において、炭素−炭素不飽和結合は末端に有するものが好ましい。
エチレン系炭化水素基としては、基内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素基であり、−CR=CR−で表される基を含む基が挙げられ、−CR=CR−で表される基が好ましい。エチレン系炭化水素基の炭素数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12であり、更に好ましくは2である。Rは水素原子又は置換基を表し、水素原子が好ましい。このエチレン系炭化水素基は置換基を有していてもよい。エチレン系炭化水素基が有していてもよい置換基及びRとして採りうる置換基としては、特に限定されず、後述する置換基群Tから選ばれる置換基が挙げられる。この置換基は、更に置換基を有していてもよい。このエチレン系炭化水素基は3価以上の基である場合、基中の水素原子(水素原子を採るRを含む。)を所定数((価数−2)個)取り除いた基となる。例えば、後述するm又はnがそれぞれ2以上の整数である場合、エチレン系炭化水素基は基中の水素原子を(m−1)個又は(n−1)個以上取り除いた基となる。
エチレン系炭化水素基は、2価(m又はnが1である場合)の基(アルケニレン基)が好ましく、−CR=CR−基で表される基(エテニレン基)がより好ましい。
アセチレン系炭化水素基としては、基内に少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する炭化水素基であり、−C≡C−で表される基を含む基が挙げられ、−C≡C−で表される基が好ましい。アセチレン系炭化水素基の炭素数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12であり、更に好ましくは2である。アセチレン系炭化水素基は置換基を有していてもよい。アセチレン系炭化水素基が有していてもよい置換基としては、上記エチレン系炭化水素基が有していてもよい上記置換基と同義である。アセチレン系炭化水素基は3価以上の基である場合、基中の水素原子を所定数((価数−2)個)取り除いた基となる。例えば、後述するm又はnがそれぞれ2以上の整数である場合、アセチレン系炭化水素基は基中の水素原子を(m−1)個又は(n−1)個以上取り除いた基となる。
アセチレン系炭化水素基は、2価(例えば、m又はnが1である場合)の基(アルキニレン基)が好ましく、−C≡C−で表される基(エチニレン基)という。
芳香族炭化水素環基としては、下記置換基群Tのアリール基から水素原子を更にm個又はn個取り除いた基が挙げられる。芳香族炭化水素環基における好ましい範囲等は、下記置換基群Tのアリール基における好ましい範囲等が適用される。
また、芳香族ヘテロ環基としては、下記置換基群Tで説明されているヘテロ環基のうちの芳香族ヘテロ環基から水素原子を更にm個又はn個取り除いた基が挙げられる。芳香族ヘテロ環基における好ましい範囲等は、下記置換基群Tの芳香族ヘテロ環基における好ましい範囲等が適用される。
芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基は、2価の基(アリーレン基及びヘテロアリーレン基)が好ましく、例えば、上記Rとして採りうるアリーレン基及びヘテロアリーレン基で挙げた基が好ましく挙げられる。
脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基において、組み合わされる基は、上記群から選択される2個以上の基であれば、同一の基であってもよく、異種の基であってもよい。組み合わされる基の数は、特に限定されず、2〜6個が好ましく、2〜4個がより好ましく、2個又は3個が更に好ましい。
及びLとして採りうる連結基が、上述の2個以上の基を組み合わせてなる連結基である場合、アルケニレン基、アルキニレン基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基が好ましく、下記式(L)で表される基がより好ましい。
式(L) *−LL1−Ar−***
式(L)において、LL1は、下記式(L−1)〜(L−4)のいずれかで表される基を示す。Arは芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基を示し、アリーレン基又はヘテロアリーレン基が好ましい。*は上記式(1)中のピロール環との結合部を示し、***は上記式(1)中のZ又はZとの結合部を示す。

式(L−1)〜(L−4)において、*は上記式(1)中のピロール環との結合部を示し、**はArとの結合部を示す。
21〜R28は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を示し、いずれも、水素原子が好ましい。
21〜R28としてとして採りうる置換基は、特に限定されず、後述する置換基群Tから選ばれる置換基が挙げられる。なかでも、アルキル基又はアルコキシ基が好ましい。この置換基は更に置換基を有していてもよい。
式(L−4)において、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。
L1は、なかでも、式(L−1)、式(L−2)及び式(L−3)のいずれかで表される連結基が好ましく、式(L−1)又は式(L−2)で表される連結基がより好ましく、式(L−1)で表される連結基が更に好ましい。
Arは、芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基であり、芳香族炭化水素環基が好ましい。
Arとして採りうる芳香族炭化水素環基は、上述の、L及びLとして採りうる芳香族炭化水素環基と同義であり、単環及び縮合多環の基を含む。芳香族炭化水素環基の炭素数は6〜30が好ましく、6〜10がより好ましく、6が特に好ましい。具体的には、ベンゼン環基又はナフチル環基が挙げられる。芳香族炭化水素環基が2価の基(アリーレン基)である場合、好ましくはフェニレン又はナフチレンである。
Arとして採りうる芳香族ヘテロ環基は、上述の、L及びLとして採りうる芳香族ヘテロ環基と同義であり、単環及び縮合多環の基を含む。芳香族ヘテロ環基における好ましい範囲等は、下記置換基群Tの芳香族ヘテロ環基における好ましい範囲等が適用される。芳香族ヘテロ環基としては、例えば、上記Rとして採りうるヘテロアリーレン基で挙げた基が好ましく挙げられ、中でも、チオフェン環基又はフラン環基が好ましい。芳香族ヘテロ環基が2価の基(ヘテロアリーレン基)である場合、下記置換基群Tで説明されているヘテロ環基のうちの芳香族ヘテロ環基から水素原子を更に1個取り除いた基が挙げられる。
Arとして採りうる芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基は、それぞれ、後述する置換基群Tから選ばれる置換基を更に有していてもよいが、置換基を有していないことが好ましい。芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基が置換基を有する場合、その数は、1個以上であれば特に限定されず、例えば、1〜5個が好ましい。
上記式(L)で表される基としては、LL1が上記式(L−1)で表される基であり、Arが芳香族炭化水素環基である基(エテニレン基及び芳香族炭化水素環基を組み合わせてなる連結基)が好ましい。
及びLとして採りうる連結基は、いずれも、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基が好ましく、アルケニレン基、アルキニレン基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基がより好ましく、上記式(L)で表される基、又は、アルケニレン基、アルキニレン基及び芳香族炭化水素環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基が更に好ましく、エテニレン基(式(L−1)で表される基)と芳香族炭化水素環基とを組み合わせてなる連結基が特に好ましく、エテニレン基とフェニレン基とを組み合わせてなる連結基(スチリル基)が最も好ましい。
及びLは、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
及びLが上述の基を2個以上組み合わせてなる連結基である場合、その末端の基以外の基、例えば、式(1)のピロール環に結合する基は、後述する酸性基を有していないことが好ましい。
式(1)において、Z及びZは酸性基又はその塩を示す。
本発明において、酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、pKaが11以下の置換基である。酸性基のpKaは、J.Phys.Chem.A2011,115,p.6641−6645に記載の「SMD/M05−2X/6−31G」方法に従って求めることができる。酸性基としては、例えば、カルボキシ基(−COOH)、ホスホニル基(−PO(OH))、ホスホリル基(−O−PO(OH))、スルホ基(−SOH)、ホウ酸基、(フェノール性)水酸基、チオフェノール基又はスルホンアミド基等が挙げられる。
酸性基としては、好ましくは、−COOH、−SOH、−PO(OH)、−OH又は−SHであり、より好ましくはカルボキシ基である。
酸性基は、式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物に組み込まれたときに、プロトンを放出して解離したアニオンとなっていてもよく、塩となっていてもよい。酸性基の塩としては金属塩でも非金属塩でもよい。酸性基が塩となるときの対イオンとしては、特に限定されず、下記の対イオンが挙げられる。
対イオンとしては、特に限定されず、例えば、無機若しくは有機のアンモニウムイオン(例えば、テトラアルキルアンモニウムイオン、アミジニウムイオン、グアニジニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオン(Liイオン、Naイオン、Kイオン等)、アルカリ土類金属イオン、又は、金属錯体イオン等が挙げられる。なかでも、無機若しくは有機のアンモニウムイオン又はアルカリ金属イオンが好ましく、有機のアンモニウムイオンとしてテトラアルキルアンモニウムイオン(テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、テトラオクチルアンモニウムイオン、テトラデシルアンモニウムイオン等)がより好ましい。
及びZは、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
式(1)において、m及びnは、それぞれ、1以上の整数である。上限は、(L及びLがそれぞれ有する水素原子数+1)個と同数である。m及びnは、それぞれ、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましく、いずれも1であることが更に好ましい。
式(1)において、Y及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はヘテロアリールチオ基を示す。
及びYとして採りうる上記各基のうち、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基及びアリールチオ基は、それぞれ、下記置換基群Tの対応する基における好ましい範囲等が適用される。ただし、後述するように、Y及びYとして採りうるアルコキシ基及びアルキルチオ基には、それぞれ、シクロアルキルオキシ基及びシクロアルキルチオ基が包含される。
及びYとして採りうるヘテロアリール基は、下記置換基群Tで説明されているヘテロ環基のうちの芳香族ヘテロ環基における好ましい範囲等が適用される。
及びYとして採りうるヘテロアリールオキシ基及びヘテロアリールチオ基におけるヘテロアリール基は、それぞれ、Y及びYとして採りうる上記ヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。
及びYとして採りうる上述の置換基は、更に置換基を有していてもよい。更に有していてもよい置換基としては、特に限定されず、後述する置換基群Tから選ばれる置換基が好ましい。
及びYは、それぞれ、酸性基を有さないものが好ましく、なかでも、ハロゲン原子、アルキニル基又はアルコキシ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子が更に好ましい。
及びYは、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
及びYは、それぞれ、後述するように、互いに連結して、又は、L及びLと連結して、環を形成していてもよい。
とYとが互いに連結して環を形成する態様には、Y及びYとして採る基からそれぞれ水素原子が取り除かれてなる基が互いに結合する第1の態様に加えて、Y又はYとして採る基の一部を共有して結合する第2の態様を包含する。この第2の態様においては、Y及びYの一方が上述の基であり、他方が上述の基の一部(−O−又は−S−等)とみることができる。上記第1の態様としては、例えば、Y及びYがいずれもアルコキシ基である場合、炭素数が2以上のアルキレンジオキシ基が挙げられる。第2の態様としては、例えば、Y及びYがいずれもフェニルオキシ基である場合、Y及びYはフェニルオキシ基のフェニレン構造(−C−)を共有してなるフェニレンジオキシ基が挙げられる。この場合、Yはフェニルオキシ基であり、Yは−O−とみることができる。
同様に、YとLとが連結して環を形成する態様には、Y及びLとして採る基からそれぞれ水素原子が取り除かれてなる基が互いに結合する第1の態様に加えて、Y又はLとして採る基の一部を共有して結合する第2の態様を包含する。この点は、YとLとが連結して環を形成する態様についても同じである。
式(1)において、X、R〜R、L、L、Y及びY、並びに、これらが更に有していてもよい置換基等は、それぞれ、他の置換基又は連結基等と結合して、環を形成していてもよい。例えば、RとR、RとR、RとL、RとL、LとY、LとYは、それぞれ、環を形成していてもよい。こうして形成される環の構造は特に限定されない。ただし、L及びLが互いに結合する場合、式(1)で表されるジピロメテン骨格を含んでポルフィリン環を形成しない。
上記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物は、例えば、特許文献1、非特許文献1、公知の方法、実施例における合成例、又は、これらに準じた方法で合成することができる。
式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物は、溶液における極大吸収波長が、好ましくは300〜1000nmの範囲であり、より好ましくは350〜950nmの範囲であり、特に好ましくは370〜900nmの範囲である。
<置換基群T>
本発明において、好ましい置換基としては、下記置換基群Tから選ばれる置換基が挙げられる。置換基群Tには上述の酸性基は含まれない。
また、本明細書において、単に置換基としてしか記載されていない場合は、この置換基群Tを参照するものであり、各々の基、例えば、アルキル基、が記載されているのみの場合は、この置換基群Tの対応する基における好ましい範囲が適用される。
更に、本明細書において、アルキル基を環状(シクロ)アルキル基と区別して記載している場合、アルキル基は、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基を包含する意味で用いる。一方、アルキル基を環状アルキル基と区別して記載していない場合(単に、アルキル基と記載されている場合)、及び、特段の断りがない場合、アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及びシクロアルキル基を包含する意味で用いる。このことは、環状構造を採りうる基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)を含む基(アルコキシ基、アルキルチオ基、アルケニルオキシ基等)、環状構造を採りうる基を含む化合物についても同様である。基が環状骨格を形成しうる場合、環状骨格を形成する基の原子数の下限は、この構造を採りうる基について下記に具体的に記載した原子数の下限にかかわらず、3以上であり、5以上が好ましい。
下記置換基群Tの説明においては、例えば、アルキル基とシクロアルキル基のように、直鎖又は分岐構造の基と環状構造の基とを明確にするため、これらを分けて記載していることもある。
置換基群Tに含まれる基としては、下記の基を含む。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは6〜10)、ヘテロ環基(環構成原子として少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を有し、好ましくは炭素数2〜20である。5員環又は6員環のヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環基は芳香族ヘテロ環基(ヘテロアリール基)及び脂肪族ヘテロ環基が包含される。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜20)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20で、(モノ−又はジ−)アルキルアミノ基、(モノ−又はジ−)アルケニルアミノ基、(モノ−又はジ−)アルキニルアミノ基、(モノ−又はジ−)シクロアルキルアミノ基、(モノ−又はジ−)シクロアルケニルアミノ基、(モノ−又はジ−)アリールアミノ基、(モノ−又はジ−)ヘテロ環アミノ基を含む。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルファモイル基が好ましい。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのカルバモイル基が好ましい。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールのスルホンアミド基が好ましい。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜20)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26)、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリル基が好ましい。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシ及びアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましい。)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、又は、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)が挙げられる。
置換基群Tから選ばれる置換基は、より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基である。
置換基群Tから選ばれる置換基は、特段の断りがない限り、上記の基を複数組み合わせてなる基をも含む。例えば、化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは置換されていても置換されていなくてもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。
式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらのジピロメテン錯体化合物に限定されない。下記具体例において、Meはメチル、Phはフェニルをそれぞれ表す。
次に、光電変換素子及び色素増感太陽電池の主たる部材の好ましい態様について説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体は、導電性を有し、感光体層2等を支持できるものであれば特に限定されない。導電性支持体は、導電性を有する材料、例えば後述する金属で形成された導電性支持体1、又は、ガラス若しくはプラスチックの基板44とこの基板44の表面に成膜された透明導電膜43とを有する導電性支持体41が好ましい。
なかでも、基板44の表面に、金属酸化物の透明導電膜43を有する導電性支持体41が更に好ましい。このような導電性支持体41は、基板44の表面に導電性の金属酸化物を塗布して透明導電膜43を成膜することにより、得られる。プラスチックで形成された基板44としては、例えば、特開2001−291534号公報の段落番号0153に記載の透明ポリマーフィルムが挙げられる。また、基板44を形成する材料は、ガラス及びプラスチックの他にも、セラミック(特開2005−135902号公報)、導電性樹脂(特開2001−160425号公報)を用いることができる。金属酸化物としては、スズ酸化物(TO)が好ましく、インジウム−スズ酸化物(スズドープ酸化インジウム;ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等のフッ素ドープスズ酸化物が特に好ましい。このときの金属酸化物の塗布量は、基板44の表面積1m当たり0.1〜100gが好ましい。導電性支持体41を用いる場合、光は基板44側から入射させることが好ましい。
導電性支持体1及び41は、実質的に透明であることが好ましい。「実質的に透明である」とは、光(波長300〜1200nm)の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
導電性支持体1及び41の厚みは、特に限定されず、0.05μm〜10mmであることが好ましく、0.1μm〜5mmであることが更に好ましく、0.3μm〜4mmであることが特に好ましい。
透明導電膜43を有する場合、透明導電膜43の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.03〜25μmであることが更に好ましく、0.05〜20μmであることが特に好ましい。
導電性支持体1及び41は、その表面に、金属酸化物からなる金属酸化物被膜を有することが好ましい。金属酸化物としては、透明導電膜43を形成する上記金属酸化物、後述する半導体微粒子で挙げた金属酸化物を用いることができ、半導体微粒子で挙げた金属酸化物が好ましい。金属酸化物は、透明導電膜43を形成する上記金属酸化物又は半導電性微粒子で挙げた金属酸化物と同じ種類の金属酸化物であってもよく、異なる種類の金属酸化物であってもよい。この金属酸化物被膜は、通常、薄膜に形成され、例えば、0.01〜100nmの厚みが好ましい。金属酸化物被膜の形成方法は、特に限定されず、後述する半導体微粒子が形成する層の形成方法と同様の方法が挙げられる。例えば、金属酸化物又はその前駆体(例えば、ハロゲン化物、アルコキシド)を含む液を塗布、加熱(焼成)することにより、金属酸化物被膜を形成できる。
導電性支持体1及び41は、表面に光マネージメント機能を有してもよい。例えば、表面に、特開2003−123859号公報に記載の高屈折膜及び低屈折率の酸化物膜を交互に積層した反射防止膜を有してもよく、特開2002−260746号公報に記載のライトガイド機能を有してもよい。
<感光体層>
感光体層は、上記色素21が担持された半導体微粒子22及び電解質を有していれば、その他の構成は特に限定されない。好ましくは、上記感光体層2及び上記感光体層42が挙げられる。
− 半導体微粒子(半導体微粒子が形成する層) −
半導体微粒子22は、好ましくは金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)又はペロブスカイト型結晶構造を有する化合物の微粒子である。金属のカルコゲニドとしては、好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ若しくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイト型結晶構造を有する化合物としては、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち酸化チタン(チタニア)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
チタニアの結晶構造としては、アナターゼ型、ブルッカイト型、又はルチル型が挙げられ、アナターゼ型、ブルッカイト型が好ましい。チタニアナノチューブ、ナノワイヤー、ナノロッドは、単独で、又は、チタニア微粒子に混合して、用いることができる。
半導体微粒子22の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として0.001〜1μm、分散物の平均粒径として0.01〜100μmであることが好ましい。
半導体微粒子22は多くの色素21を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。例えば半導体微粒子22を導電性支持体1又は41上に塗設した状態で、その表面積が投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、100倍以上であることがより好ましい。この上限には特に制限はなく、通常5000倍程度である。一般に、半導体微粒子が形成する層(感光体層)の厚みが大きいほど単位面積当たりに担持できる色素21の量が増えるため光の吸収効率が高くなるが、発生した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。
半導体微粒子が形成する層の好ましい厚みは、光電変換素子の用途によって一義的なものではないが、典型的には0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜30μmが更に好ましい。
半導体微粒子22の層は、例えば、導電性支持体1又は41に半導体微粒子22を塗布した後に、100〜800℃の温度で10分〜10時間焼成して、形成できる。これにより、半導体微粒子同士を密着させることができ、好ましい。
半導体微粒子22を導電性支持体1又は41上に塗設する方法として、湿式法、乾式法、その他の方法が挙げられる。半導体微粒子22の、導電性支持体の表面積1m当たりの塗布量は0.5〜500g、更には5〜100gが好ましい。
成膜温度は、導電性支持体1又は基板44の材料としてガラスを用いる場合、60〜600℃が好ましい。
− 光散乱層 −
本発明において、感光体層は光散乱層を有していてもよい。この光散乱層は、入射光を散乱させる機能を有する点で、半導体層45と異なる。
色素増感太陽電池20において、光散乱層46は、好ましくは、棒状又は板状の金属酸化物微粒子を含有する。光散乱層46に用いられる金属酸化物としては、例えば、上記半導体微粒子を形成する化合物として説明した上記金属のカルコゲニド(酸化物)が挙げられる。光散乱層46を設ける場合、光散乱層の厚みは感光体層42の厚みの10〜50%とすることが好ましい。
光散乱層46は、特開2002−289274号公報に記載されている光散乱層が好ましく、特開2002−289274号公報の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
− 金属酸化物被膜 −
本発明において、感光体層を形成する半導体微粒子(半導体層45及び光散乱層46を形成するものを含む)は、その表面に金属酸化物被膜を有することが好ましい。金属酸化物被膜を形成する金属酸化物としては、上記半導体微粒子で挙げた金属酸化物を用いることができ、上記半導体微粒子と同じ種類の金属酸化物であっても異なる種類の金属酸化物であってもよい。この金属酸化物被膜は、通常、薄膜に形成され、例えば0.1〜100nmの厚みが好ましい。本発明において、半導体微粒子が金属酸化物被膜を有する場合、ジピロメテン錯体化合物は金属酸化物被膜を介して半導体微粒子に吸着される。金属酸化物被膜の形成方法は上記した通りである。
本発明において、導電性支持体及び半導体微粒子の表面それぞれに金属酸化物被膜を有することもできる。この場合、それぞれの金属酸化物被膜は同じ種類の金属酸化物で形成されていてもよく、異なる種類の金属酸化物で形成されていてもよい。
− 色素 −
光電変換素子10及び色素増感太陽電池20においては、増感色素として、上記式(1)で表されるジピロメテン錯体色素を担持している。式(1)で表されるジピロメテン錯体色素は上記の通りである。
半導体微粒子は、上述のジピロメテン錯体色素と併せて、他の色素を担持していてもよい。本発明において、ジピロメテン錯体色素と併用できる色素としては、特に限定されず、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、有機色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。併用できる色素としては、Ru錯体色素、スクアリリウムシアニン色素、又は有機色素が好ましい。
色素の使用量は、一概には決定できないが、導電性支持体1又は41の表面積1m当たり0.01〜100ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜50ミリモル、特に好ましくは1〜10ミリモルである。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は1gの半導体微粒子に対して0.001〜1ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5ミリモルである。このような色素量とすることによって、半導体微粒子における増感効果が十分に得られる。
式(1)で表されるジピロメテン錯体色素と他の色素を併用する場合、式(1)で表されるジピロメテン錯体色素の質量/他の色素の質量の比は、95/5〜10/90が好ましく、95/5〜50/50がより好ましく、95/5〜60/40が更に好ましく、95/5〜65/35が特に好ましく、95/5〜70/30が最も好ましい。
− 電解質 −
感光体層は電解質を含む。感光体層に含まれる電解質は、後述する電荷移動体層が有する電解質と同義であり、好ましいものも同じである。感光体層に含まれる電解質は、電荷移動体層が有する電解質と同種でも異種であってもよく、同種であることが好ましい。
− 共吸着剤 −
本発明において、半導体微粒子は、式(1)で表されるジピロメテン錯体色素又は必要により併用する色素とともに、共吸着剤を担持していることが好ましい。このような共吸着剤としては酸性基(好ましくは、カルボキシ基又はその塩)を1つ以上有する共吸着剤が好ましく、脂肪酸やステロイド骨格を有する化合物が挙げられる。
脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
ステロイド骨格を有する化合物として、コール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、ヒオコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、ウルソデオキシコール酸等が挙げられる。好ましくはコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸であり、更に好ましくはケノデオキシコール酸である。
好ましい共吸着剤として、特開2014−82187号公報の段落番号0125〜0129に記載の式(CA)で表される化合物が挙げられ、特開2014−82187号公報の段落番号0125〜0129の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
上記共吸着剤は、半導体微粒子に吸着させることにより、ジピロメテン錯体色素の非効率な会合を抑制する効果及び半導体微粒子表面から電解質中のレドックス系への逆電子移動を防止する効果がある。共吸着剤の使用量は、特に限定されず、上記の作用を効果的に発現させる観点から、上記ジピロメテン錯体色素1モルに対して、好ましくは0.1〜200モル、更に好ましくは1〜100モル、特に好ましくは2〜50モルである。
− アミン化合物 −
色素を半導体微粒子に担持させた後に、アミン化合物を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン化合物としてピリジン化合物(例えば4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン)等が挙げられる。これらは液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
<電荷移動体層>
電荷移動体層3及び47は、色素21の酸化体に電子を補充する機能を有する層であり、受光電極5又は40と、対極4又は48との間に設けられる。
電荷移動体層3及び47は電解質を含む。ここで、「電荷移動体層が電解質を含む」とは、電荷移動体層が電解質のみからなる態様、及び、電解質と電解質以外の物質を含有する態様の、両態様を含む意味である。
電荷移動体層3及び47は、固体状、液体状、ゲル状又はこれら混合状態のいずれであってもよい。
− 電解質 −
電解質の例としては、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体電解質、酸化還元対を含有する溶融塩及び酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質等が挙げられる。なかでも、液体電解質が光電変換効率の点で好ましい。
酸化還元対として、例えばヨウ素とヨウ化物(ヨウ化物塩、ヨウ化イオン性液体が好ましく、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化メチルプロピルイミダゾリウムが好ましい)との組み合わせ、アルキルビオローゲン(例えばメチルビオローゲンクロリド、ヘキシルビオローゲンブロミド、ベンジルビオローゲンテトラフルオロボレート)とその還元体との組み合わせ、ポリヒドロキシベンゼン(例えばハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等)とその酸化体との組み合わせ、2価と3価の鉄錯体の組み合わせ(例えば赤血塩と黄血塩の組み合わせ)、2価と3価のコバルト錯体の組み合わせ等が挙げられる。これらのうち、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせ、又は2価と3価のコバルト錯体の組み合わせが好ましく、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせが特に好ましい。
上記コバルト錯体は、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156に記載の式(CC)で表される錯体が好ましく、特開2014−82189号公報の段落番号0144〜0156の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質として、ヨウ素とヨウ化物との組み合わせを用いる場合、5員環又は6員環の含窒素芳香族カチオンのヨウ素塩を更に併用するのが好ましい。
液体電解質及びゲル電解質に用いる有機溶媒としては、特に限定されず、非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、3−メチルオキサゾリジノン等)が好ましい。
特に、液体電解質に用いる有機溶媒としては、ニトリル化合物、エーテル化合物、エステル化合物等が好ましく、ニトリル化合物がより好ましく、アセトニトリル、メトキシプロピオニトリルが特に好ましい。
溶融塩やゲル電解質としては、特開2014−139931号公報の段落番号0205及び段落番号0208〜0213に記載のものが好ましく、特開2014−139931号公報の段落番号0205及び段落番号0208〜0213の記載が、そのまま本明細書に好ましく取り込まれる。
電解質は、添加物として、4−t−ブチルピリジン等のピリジン化合物のほか、アミノピリジン化合物、ベンズイミダゾール化合物、アミノトリアゾール化合物及びアミノチアゾール化合物、イミダゾール化合物、アミノトリアジン化合物、尿素化合物、アミド化合物、ピリミジン化合物又は窒素を含まない複素環を含有していてもよい。
また、光電変換効率を向上させるために、電解液の水分を制御する方法をとってもよい。水分を制御する好ましい方法としては、濃度を制御する方法や脱水剤を共存させる方法を挙げることができる。電解液の水分含有量(含有率)を0〜0.1質量%に調整することが好ましい。
ヨウ素は、ヨウ素とシクロデキストリンとの包接化合物として使用することもできる。また環状アミジンを用いてもよく、酸化防止剤、加水分解防止剤、分解防止剤、ヨウ化亜鉛を加えてもよい。
上述の液体電解質及び擬固体電解質の代わりに、p型半導体又はホール輸送材料等の固体電荷輸送材料、例えば、CuI若しくはCuNCS等を用いることができる。また、Nature,vol.486,p.487(2012)等に記載の電解質を用いてもよい。固体電荷輸送材料として有機ホール輸送材料を用いてもよい。有機ホール輸送材料は、溶液塗布可能で固体状になる正孔輸送材料が好ましい。
正孔輸送材料としては、低分子化合物又は高分子化合物が挙げられ、トリアリールアミン化合物、ポリチオフェン化合物(例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT))、ポリフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリピロール化合物、又は、これらの共重合体が挙げられる。
トリアリールアミン化合物は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
トリアリールアミン化合物としては、下記式(HT−1)で表される化合物が挙げられる。
式(HT−1)中、RA1〜RA15は、それぞれ、水素原子又は置換基を表す。
A1〜RA15として採りうる置換基としては、上記置換基群Tから選ばれる置換基が挙げられ、隣り合う置換基同士が単結合又は連結基を介して結合して環を形成してもよい。耐熱性及び耐久性の観点から、RA1〜RA5の少なくとも一つがアリール基であることが好ましく、RA1〜RA5の少なくとも一つとRA6〜RA10の少なくとも一つがアリール基であることがより好ましい。
トリアリールアミン化合物においては、光電変換素子の製造バラツキを抑制する観点から、分子量が400以上1200以下であることが好ましく、550以上1100以下であることがより好ましく、600以上1000以下であることが更に好ましく、600以上900以下であることが特に好ましい。
上記式(HT−1)で表される化合物の具体例としては、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−OMeTAD)、下記(HTL−1)〜(HTL−14)で表される化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
上記有機ホール輸送材料としては、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9−スピロビフルオレン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)、4−(ジエチルアミノ)ベンゾアルデヒド ジフェニルヒドラゾン、又は、ポリエチレンジオキシチオフェン等が好ましい。
酸化還元対は、電子のキャリアになるので、ある程度の濃度で含有するのが好ましい。好ましい濃度としては合計で0.01モル/L以上であり、より好ましくは0.1モル/L以上であり、特に好ましくは0.3モル/L以上である。この場合の上限は特に制限はなく、通常5モル/L程度である。
<対極>
対極4及び48は、色素増感太陽電池の正極として働くものであることが好ましい。対極4及び48は、通常、上記導電性支持体1又は41と同じ構成とすることもできるが、強度が十分に保たれるような構成では基板44は必ずしも必要でない。
対極を形成する金属としては、例えば、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、オスニウム(Os)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。
対極4及び48の構造としては、集電効果が高い構造が好ましい。感光体層2及び42に光が到達するためには、上記導電性支持体1又は41と対極4又は48との少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の色素増感太陽電池においては、導電性支持体1又は41が透明であって、太陽光を導電性支持体1又は41側から入射させるのが好ましい。この場合、対極4及び48は光を反射する性質を有することが更に好ましい。色素増感太陽電池の対極4及び48としては、金属若しくは導電性の酸化物を蒸着したガラス又はプラスチックが好ましく、白金を蒸着したガラスが特に好ましい。
対極の膜厚は、特に限定されず、0.01〜100μmが好ましく、0.01〜10μmが更に好ましく、0.01〜1μmが特に好ましい。
<その他の構成>
導電性支持体1又は41と感光体層2又は42との間には、感光体層2又は42が含む電解質と導電性支持体1又は41が直接接触することによる逆電流を防止するため、短絡防止層を形成することが好ましい。
また、受光電極5又は40と対極4又は48の接触を防ぐために、スペーサーS(図2参照)及び/又はセパレータを用いることが好ましい。
更に、光電変換素子又は色素増感太陽電池において、構成物の蒸散等を防止するために、光電変換素子又は色素増感太陽電池の側面をポリマーや接着剤等で密封することが好ましい。
本発明の色素増感太陽電池は、上述の光電変換素子を用いて構成される。例えば、図1に示されるように、光電変換素子の導電性支持体と対極とを外部回路6で接続して色素増感太陽電池とすることができる。外部回路6は、公知のものを特に制限されることなく、用いることができる。
光電変換素子及び色素増感太陽電池は、上記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物を担持している。これにより、高い光電変換効率を示す。
このジピロメテン錯体化合物は、通常、黄色〜青色を呈する。そのため、各層の材質にもよるが、導電性支持体又は対極が実質的に透明である場合、光電変換素子及び色素増感太陽電池は黄色〜青色を呈し、意匠性にも優れる。
[光電変換素子及び色素増感太陽電池の製造方法]
本発明の光電変換素子及び色素増感太陽電池は、上記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物及び溶媒を含有する色素溶液を用いて、製造することが好ましい。
このような色素溶液には、上記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物が溶媒に溶解されてなり、必要により他の成分を含んでもよい。
使用する溶媒としては、特開2001−291534号公報に記載の溶媒を挙げることができるが、特にこれに限定されない。本発明においては有機溶媒が好ましく、更にアルコール溶媒、アミド溶媒、ニトリル溶媒、ケトン溶媒、炭化水素溶媒、及び、これらの2種以上の混合溶媒がより好ましい。混合溶媒としては、アルコール溶媒と、アミド溶媒、ニトリル溶媒、ケトン溶媒及び炭化水素溶媒から選ばれる溶媒との混合溶媒が好ましい。更に好ましくは、アルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒、アルコール溶媒と炭化水素溶媒の混合溶媒、又は、アルコール溶媒とニトリル溶媒の混合溶媒であり、特に好ましくはアルコール溶媒とアミド溶媒の混合溶媒、アルコール溶媒とニトリル溶媒の混合溶媒である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール及びt−ブタノールの少なくとも1種と、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドの少なくとも1種との混合溶媒、又は、メタノール、エタノール、プロパノール及びt−ブタノールの少なくとも1種とアセトニトリルとの混合溶媒が好ましい。
色素溶液は共吸着剤を含有することが好ましく、共吸着剤としては、上記の共吸着剤が好ましい。
ここで、色素溶液は、光電変換素子又は色素増感太陽電池を製造する際に、この溶液をこのまま使用できるように、ジピロメテン錯体色素や共吸着剤の濃度が調整されている色素溶液が好ましい。色素溶液は、上記式(1)で表されるジピロメテン錯体色素を0.001〜0.1質量%含有することが好ましい。共吸着剤の使用量は上記した通りである。
色素溶液は、色素吸着の点で、水分の含有率が少ないことが好ましい。例えば、水分含有量は、少なくとも使用時に、0〜0.1質量%に調整することが好ましい。水分含有率は、少なくとも使用時に、通常の方法で調整することができる。
本発明においては、上記色素溶液を用いて、半導体微粒子表面に式(1)で表されるジピロメテン錯体色素又はこれを含む色素を担持させることにより、感光体層を作製することが好ましい。すなわち、感光体層は、導電性支持体上に設けた半導体微粒子に上記色素溶液を塗布(ディップ法を含む)し、乾燥又は硬化させて、形成することが好ましい。
このようにして作製した感光体層を備えた受光電極に、更に電荷移動体層や対極等を通常の方法により設けることで、本発明の光電変換素子を製造することができる。
更に、上記のようにして作製した光電変換素子の導電性支持体1及び対極4に外部回路6を接続して、色素増感太陽電池を製造することができる。
以下に実施例に基づき、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
本実施例で用いたジピロメテン錯体化合物D−1及びD−2を以下に示す。
以下に、上記ジピロメテン錯体化合物の合成方法を詳しく説明するが、出発物質、色素中間体及び合成ルートはこれらに限定されない。
本発明において、室温とは25℃を意味する。
合成例1:ジピロメテン錯体化合物D−1の合成
下記のスキームに基づき、Org.Biomol.Chem.,2010,8,p.4546に記載の方法に準じて、ジピロメテン錯体化合物D−1を合成した。
ジピロメテン錯体化合物D−1は、以下のデータから同定した。
ESI−MSにおいて、m/z:679 ([M+H]
更に、得られたジピロメテン錯体化合物D−1のNMRを測定したところ、Org.Biomol.Chem.,2010,8,p.4546に記載のNMRスペクトルと一致した。
合成例2:ジピロメテン錯体化合物D−2の合成
下記のスキームに従って、ジピロメテン錯体化合物D−2を合成した。
<化合物D−2−Aの合成>
1L三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド16.22g、及び、ジクロロメタン200mLを加え、室温で撹拌した。次いで、水冷しながら、得られた混合物に2,4−ジメチルピロール15.75gを滴下し、続いて、トリフルオロ酢酸を5滴加えた後、室温で更に30分間撹拌した。
次いで、水冷しながら、得られた混合物に、クロラニル19.45gを加え、室温で更に30分間撹拌した。その後、水冷しながらジイソプロピルエチルアミン80mLを滴下し、室温で更に30分間撹拌した。続いて、水冷しながら、得られた混合物に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体85mLを滴下し、室温で更に30分間撹拌した。
このようにして得られた反応物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液400mLを滴下した後、抽出及び分液して得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで予備乾燥した。次いで減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、エタノールで再結晶することにより、化合物D−2−Aを4.40g得た。
<化合物D−2−Bの合成>
300mL三ツ口フラスコに、化合物D−2−Aを3.05g、及び、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール60mLを加え、室温で撹拌した。
次いで、得られた混合物にN−ヨードスクシンイミド(NIS)3.60gを加え、室温で更に1時間半撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、濃縮残留物にチオ硫酸ナトリウム水溶液50mL(チオ硫酸ナトリウム10g溶解)及び塩化メチレン100mLを加え、この混合物を抽出及び分液して得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで予備乾燥した。次いで減圧濃縮し、得られた粗生成物をエタノールで再結晶することにより、化合物D−2−Bを3.90g得た。
<化合物D−2−Cの合成>
300mL三ツ口フラスコに、化合物D−2−Bを3.5g、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸2.5g、フッ化セシウム3.4g、及び、ジメトキシエタン(DME)100mLを加え、室温で撹拌しながら、減圧脱気した後、窒素ガスを流入して窒素雰囲気にした。得られた混合物に、酢酸パラジウム76mg、及び、SPhos(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル)411mgを加え、1時間加熱還流した。得られた反応物に飽和塩化アンモニウム水溶液100mL及び酢酸エチル100mLを加え、この混合物を抽出及び分液して得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで予備乾燥した。次いで減圧濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、エタノールで再結晶することにより、化合物D−2−Cを2.5g得た。
<化合物D−2−Dの合成>
100mL三ツ口フラスコに、化合物D−2−Cを2.1g、4−(メトキシカルボニル)ベンズアルデヒド1.5g、及び、脱水トルエン40mLを加え、室温で撹拌した。得られた混合物にピペリジン4mLを加え、65℃で更に1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した後、エタノールで再結晶することにより、化合物D−2−Dを2.4g得た。
<化合物D−2の合成>
100mL三ツ口フラスコに、化合物D−2−Dを1.0g、テトラヒドロフラン20mL、及び、メタノール5mLを加え、40℃で加熱しながら、更に、3N水酸化ナトリウム水溶液1mLを加えて2時間撹拌した。得られた混合物を室温に冷却した後、撹拌しながら、1Nトリフルオロメタンスルホン酸のメタノール溶液4mLを加えた。このようにして得た混合物に水25mLを加え、析出した固体を濾過により捕集して、ジピロメテン錯体化合物D−2を0.9g得た。
ジピロメテン錯体化合物D−2は、以下のデータから同定した。
ESI−MSにおいて、m/z:962 ([M+H]
実施例1:色素増感太陽電池の製造
各合成例で合成したジピロメテン錯体化合物又は下記比較色素化合物C1及びC2それぞれを用いて、以下に示す手順により、図2に示す色素増感太陽電池20(5mm×5mmのスケール)を製造し、下記性能を評価した。結果を表1に示す。
(受光電極前駆体の作製)
ガラス基板(基板44、厚み4mm)上にフッ素ドープされたSnO導電膜(透明導電膜43、膜厚:500nm)を形成して、導電性支持体41を作製した。そして、このSnO導電膜を形成させたガラス基板を、40mMの四塩化チタン水溶液に30分間浸漬して、超純水、エタノールで洗浄した後、450℃で焼成することにより、SnO導電膜上に酸化チタンの薄膜層(金属酸化物被膜、図2において図示しない。)を形成した。この薄膜層上に、チタニアペースト「18NR−T」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で乾燥させ、次いで、チタニアペースト「18NR−T」を再度スクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた。その後、乾燥させたチタニアペーストを500℃で焼成した。このようにして、半導体層45(膜厚:10μm)を成膜した。更に、この半導体層45上に、チタニアペースト「18NR−AO」(DyeSol社製)をスクリーン印刷し、120℃で1時間乾燥させた後に、乾燥させたチタニアペーストを500℃で焼成した。次いで、このガラス基板を20mMの四塩化チタン水溶液に浸漬して、超純水、次いでエタノールで洗浄し、ガラス基板ごと460℃で30分加熱した。これを放冷することで、半導体層45上に光散乱層46(膜厚:5μm)を成膜した。以上の操作により、SnO導電膜上に、感光体層42(受光面の面積:5mm×5mm、膜厚:15μm)を形成した。このようにして、ジピロメテン錯体化合物を担持していない受光電極前駆体を作製した。
(色素吸着方法)
次に、ジピロメテン錯体化合物を担持していない感光体層42に上記合成例で合成した各ジピロメテン錯体化合物を以下のようにして担持させた。先ず、t−ブタノールとアセトニトリルとの1:1(体積比)の混合溶媒に、上記ジピロメテン錯体化合物それぞれを濃度が2×10−4モル/Lとなるように溶解し、更にそこへ共吸着剤としてケノデオキシコール酸を上記ジピロメテン錯体化合物1モルに対して10モル加え、各色素溶液を調製した。次に、各色素溶液に受光電極前駆体を25℃で5時間浸漬し、色素溶液から引き上げた後に乾燥させた。こうして、受光電極前駆体に各ジピロメテン錯体色素を担持した受光電極40をそれぞれ作製した。
(色素増感太陽電池の組み立て)
対極48として、上記の導電性支持体41と同様の形状と大きさを有する白金電極(Pt薄膜の厚さ:100nm)を作製した。また、電解液として、ヨウ素0.001M(モル/L)、ヨウ化リチウム0.1M、4−t−ブチルピリジン0.5M及び1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド0.6Mをアセトニトリルに溶解して、液体電解質を調製した。更に、感光体層42の大きさに合わせた形状を有するデュポン社製のスペーサーS(商品名:「サーリン」)を準備した。
上記のようにして作製した受光電極40それぞれと対極48とを、上記スペーサーSを介して、対向させて熱圧着させた後に、感光体層42と対極48との間に電解液注入口から上記液体電解質を充填して電荷移動体層47を形成した。このようにして作製した電池の外周及び電解液注入口を、ナガセケムテック製レジンXNR−5516を用いて、封止、硬化し、各色素増感太陽電池(試料番号1及び2)を製造した。
上記色素増感太陽電池の製造において、ジピロメテン錯体化合物に代えて、比較のための下記色素化合物C1及びC2をそれぞれ用いた以外は、上記色素増感太陽電池の製造と同様にして、比較のための色素増感太陽電池(試料番号c1及びc2)を製造した。
色素化合物C1は、非特許文献1に記載のジピロメテン錯体色素「ZH−b」である。
色素化合物C2は、特許文献1に記載の化合物19である。下記式において、Hexylはヘキシル基、Mesはメシチル基(2,4,6−トリメチルフェニル基)を表す。
<光電変換効率の評価(低照度環境:屋内光)>
製造した色素増感太陽電池それぞれを用いて電池特性試験を行った。
電池特性試験は、東芝社製の白色LED(型番:LDA8N−G−K/D/60W)を用いて行った。照度調整(300μW/cm(1000ルクス))は、渋谷光学社製のNDフィルター(ND1〜ND80)を用いて行った。調節した照度の測定は、オーシャンフォトニクス社製の分光器USB4000を用いて確認した。I−Vテスターを用いて電流−電圧特性を測定し、光電変換効率(η)を求めた。
各試料番号の色素増感太陽電池(試料番号1、2及びc2)それぞれについて、求められた光電変換効率(η)を、比較のための色素増感太陽電池(試料番号c1)の光電変換効率(ηc1)に対して、以下の基準で評価した。
本評価において、評価A及びBが合格レベルであり、好ましくはAである。
光電変換効率(η)が光電変換効率(ηc1)に対して、
A:1.05倍より大きい
B:1.01倍より大きく、1.05倍以下
C:1倍より大きく、1.01倍以下
D:1倍以下
<作用スペクトルの測定>
製造した色素増感太陽電池それぞれについて、作用スペクトル(IPCEスペクトル)を測定した。
ペクセル・テクノジーズ社製の作用スペクトル(IPCEスペクトル)測定装置:PEC−S20(商品名)を用いて、照射条件(150Wキセノンランプ、AM1.5G、100mW/cm)で、擬似太陽光を照射して行った。
ジピロメテン錯体化合物D−1を用いた色素増感太陽電池(試料番号1)における作用スペクトル、及び、比較のための色素化合物C1を用いた色素増感太陽電池(試料番号c1)における作用スペクトルを、図3に示した。図3において、ジピロメテン錯体化合物D−1を「化合物D−1」、色素化合物C1を「化合物C1」と表記する。
表1及び図3の結果から、以下のことが分かった。
比較のための色素化合物C1を用いた色素増感太陽電池(試料番号c1)は、図3に示される外部量子効率が全体的に小さく、特に800nmにおける外部量子効率は3%以下であり、十分な光電変換効率を示さなかった。
これに対して、式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物が担持された半導体微粒子を有する色素増感太陽電池(試料番号1)は、800〜900nmの長波長領域までスペクトルの裾が広がり、波長800nmにおける外部量子収率が10%を超える高い値を示した。更には、300〜800nmの波長領域にわたっても高い外部量子収率を示した。また、試料番号c1の色素増感太陽電池に対して、優れた光電変換効率を示した。
1、41 導電性支持体
2、42 感光体層
21 色素
22 半導体微粒子
3、47 電荷移動体層
4、48 対極
5、40 受光電極
6 回路
10 光電変換素子
100 光電変換素子を電池用途に応用したシステム
M 動作手段(例えば電動モーター)
20 色素増感太陽電池
43 透明導電膜
44 基板
45 半導体層
46 光散乱層
S スペーサー
<11>下記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物。
式中、XはCR又はNを示す。Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。
及びLは、いずれも下記式(L)で表される基を示す。
及びZは、それぞれ独立に、−COOH又はその塩を示し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数である。
及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はヘテロアリールチオ基を示す。
式(L) *−L L1 −Ar −***
式中、L L1 は下記式(L−1)〜(L−4)のいずれかで表される基を示す。Ar は芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基を示す。*は式(1)中のピロール環との結合部を示し、***は式(1)中のZ 又はZ との結合部を示す。
式中、R 21 〜R 28 は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を示し、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。*は式(1)中のピロール環との結合部を示し、**はAr との結合部を示す。

Claims (11)

  1. 導電性支持体と、電解質を含む感光体層と、電解質を含む電荷移動体層と、対極とを有する光電変換素子であって、前記感光体層が、下記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物が担持された半導体微粒子を有する光電変換素子。

    式中、XはCR又はNを示す。Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
    〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。
    及びLは、それぞれ独立に、単結合又は連結基を示す。
    及びZは、それぞれ独立に、酸性基又はその塩を示し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を示す。
    及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はヘテロアリールチオ基を示す。
  2. 前記L及びLが、いずれも、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基若しくは芳香族ヘテロ環基、又は、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基を示す請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記L及びLが、いずれも、共役連結基である請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記L及びLが、いずれも、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記L及びLが、いずれも、アルケニレン基、アルキニレン基、芳香族炭化水素環基及び芳香族ヘテロ環基からなる群より選択される2個以上の基を組み合わせてなる連結基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記L及びLが、いずれも、下記式(L)で表される基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
    式(L) *−LL1−Ar−***
    式中、LL1は下記式(L−1)〜(L−4)のいずれかで表される基を示す。Arは芳香族炭化水素環基又は芳香族ヘテロ環基を示す。*は前記式(1)中のピロール環との結合部を示し、***は前記式(1)中のZ又はZとの結合部を示す。

    式中、R21〜R28は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を示し、Aは酸素原子又は硫黄原子を示す。*は前記式(1)中のピロール環との結合部を示し、**はArとの結合部を示す。
  7. 前記L及びLが、いずれも、スチリル基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記m及びnが、いずれも、1である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  9. 前記Z及びZが、いずれも、−COOH、−SOH、−PO(OH)、−OH及び−SHから選ばれる酸性基又はその塩である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を備えた色素増感太陽電池。
  11. 下記式(1)で表されるジピロメテン錯体化合物。

    式中、XはCR又はNを示す。Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。
    〜Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ヘテロアリール基、アミノ基又はハロゲン原子を示す。
    及びLは、それぞれ独立に、単結合又は連結基を示す。
    及びZは、それぞれ独立に、酸性基又はその塩を示し、m及びnは、それぞれ独立に、1以上の整数を示す。
    及びYは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基又はヘテロアリールチオ基を示す。
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