JPWO2018042610A1 - 無人航空機 - Google Patents

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Abstract

水面上に機体を水平に維持することができ、また、スムーズな離着水が可能な無人航空機を提供する。
複数の回転翼を有する無人航空機であって、前記無人航空機はその機体中央部から複数のアームが放射状に延びており、前記各アームは、該アームから下方に延出した浮き部を有しており、前記各浮き部の内部には、中空の密閉空間である空気室が設けられていることを特徴とする無人航空機により解決する。

Description

本発明は、無人航空機の離着水技術に関する。
従来、産業用無人ヘリコプターに代表される小型の無人航空機は、機体が高価で入手困難なうえ、安定して飛行させるためには操作に熟練が必要とされるものであった。しかし近年、無人航空機の姿勢制御や自律飛行に用いられるセンサ類およびソフトウェアの改良が大きく進み、これにより無人航空機の操作性が著しく向上するとともに、高性能な機体を安価に入手できるようになった。こうした背景から現在、特に小型のマルチコプターについては、ヘリコプターに比べてそのローター構造が簡易であり、その設計およびメンテナンスが容易であることから、趣味目的だけでなく、広範な分野における種々のミッションへの応用が試行されている。そして、このようなマルチコプターの応用範囲をさらに広げるべく、離着水可能な構造を備えるマルチコプターの登場が望まれている。
特開平11−334698号公報
離着水可能なマルチコプターを実現するためには、機体自体の防水性能を高めることは当然であるが、例えば着水後に機体が傾いてローターの一部が水中に沈んでしまった場合、その後の離水が困難となる。そのため、マルチコプターの着水後に人手を介さずに離水するためには、水面に着水した機体の水平を維持する必要がある。
また、例えば特許文献1のような機体では、機体底面に取付けた浮力体が水面に張り付くため、スムーズに離水することが難しいという問題がある。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消しようとするものであり、水面上に機体を水平に維持することができ、また、スムーズな離着水が可能な無人航空機を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の無人航空機は、複数の回転翼を有し、その機体中央部から複数のアームが放射状に延びており、前記各アームは、該アームから下方に延出した浮き部を有しており、前記各浮き部の内部には、中空の密閉空間である空気室が設けられていることを特徴とする。
また、前記各浮き部は、該浮き部の下端に向かって外径寸法が次第に小さくなる先細形状とされていることが好ましい。
また、前記各浮き部は縦長形状に形成されており、前記各浮き部は、その上下方向における下側が前記先細形状に形成されている構成としても良い。
また、前記各浮き部は、該浮き部を有する前記アームの先端部に配置されており、前記各浮き部の上部には前記回転翼がそれぞれ配置されていることが好ましい。
また、前記各浮き部の前記空気室には空気弁が設けられており、前記空気弁は、前記空気室内の圧力が所定の閾値を超えて上昇したときには該空気室内の空気を逃がし、前記空気室内の圧力が所定の閾値を超えて降下したときには該空気室内に空気を取り込むことにより、前記空気室内の圧力を一定の範囲内に維持することが好ましい。
また、前記各浮き部にはさらに、その径方向中心に沿って上下方向に延びる空間である脚部収容室が形成されており、前記脚部収容室は前記空気室と隔てられ、前記浮き部を下方に貫通しており、前記脚部収容室には、弾性部材と、該弾性部材により下方に付勢された棒状部材と、が収容されており、前記棒状部材は、その下端部が前記脚部収容室から下方に露出している構成としても良い。
また、前記複数のアームは、前記機体中央部を中心として周方向等間隔に3本以上配置されていることが好ましい。
本発明の無人航空機によれば、水面上に機体を水平に維持することができ、また、スムーズな離着水を行うことが可能となる。
本実施形態にかかるマルチコプターの外観を示す斜視図である。 フロートの拡大図である。 図2のB−B断面図である。 マルチコプターの機能構成を示すブロック図である。 フロートの変形例を示す側面視断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、複数の回転翼を備える無人航空機の一種であるマルチコプターについての例である。なお、以下の説明、および本発明でいう「上」および「下」とは、図1に示される上下方向をいう。
〔構成概要〕
図1は本実施形態にかかるマルチコプター100の外観を示す斜視図である。図1に示すように、マルチコプター100は、その機体中央部10から水平に延びる6本のアーム21〜26(以下、これらを総称して「アーム20」という。)を有している。これらアーム20は、機体中央部10を中心として周方向等間隔に配置されており、機体中央部10から放射状に延出している。
これらアーム20の先端部には、アーム20から下方に延びた浮き部であるフロート41〜46(以下、これらを総称して「フロート40」という。)が設けられている。そして、これらフロート40の上部には回転翼であるローター31〜36(以下、これらを総称して「ローター30」という。)がそれぞれ配置されている。
〔フロートの構造〕
フロート40はその内部に、中空の密閉空間である空気室51(後述)を有している。フロート40はこの空気室51を備えていることにより、マルチコプター100を水面に浮かせるための浮き部材として作用する。フロート40は、ローター30を支持するアーム20に配置されており、これにより、マルチコプター100が着水したときに、アーム20上のローター30が水中に沈むことが防止されている。
図2はフロート40の拡大図であり、図3は図2のB−B断面図である。図1から図3に示すように、フロート40は縦長形状に形成されている。フロート40は、その上下方向における中程から上側は略円筒形状に形成されており、中程から下側が、その下端に向かって外径寸法が次第に小さくなる先細形状に形成されている。先細形状に形成されたフロート40は、水面に対して垂直に着水するときの抵抗が小さく、また、離水時にも水面が張り付きにくい。
本実施形態の機体中央部10は略円盤形状に形成されている。フロート40は、機体中央部10の底面よりも下方に突き出している。これによりフロート40は、マルチコプター100のスキッド(脚部)の役割も兼ねている。フロート40がスキッドを兼ねていることにより、マルチコプター100の機体構造が単純化されている。
マルチコプター100の着水時には、機体中央部10の底面は水面に接触しないことが望ましい。これは、機体中央部10に水面が張り付くことを防ぎ、マルチコプター100の離水時における抵抗を抑えるためである。フロート40は、機体中央部10の底面よりも下方に突き出していることから、その浮力や設置数、長さ等を適宜調節することにより、機体中央部10が水面に接触することを防ぐことができる。本実施形態のフロート40は、機体中央部10を着水させない構成とされており、マルチコプター100のスムーズな離着水が可能とされている。
上でも述べたように、本実施形態のアーム20は、機体中央部10を中心として周方向等間隔に配置されており、フロート40はこれらアーム20の先端部に配置されている。すなわち、本実施形態のフロート40は、機体中央部10から最も遠い位置に配置されており、さらに、機体中央部10の重量を均等に分散可能な位置に配置されている。これによりマルチコプター100は、水面上で安定して機体を水平に維持することが可能とされている。
また、フロート40は、ローター30の下方に延出している。通常、ローター30は空中において機体のバランスを維持しやすい位置に配置されている。フロート40が、ローター30と同じ位置に配置されていることにより、マルチコプター100は、空中のみならず水面上においても機体の水平を好適に保つことが可能とされている。
図3に示すように、フロート40の内部には中空の密閉空間である空気室51が設けられている。さらに、フロート40の空気室51には空気弁52が設けられている。本実施形態の空気弁52は、空気室51の取付孔53に嵌めこまれたパッキン54と、パッキンの貫通孔55に差し込んで装着されるピン56とにより構成されている。なお、パッキン54およびピン56は、ゴム材料やプラスチック材料により形成されている。通常時の空気弁52は、パッキン54とピン56により封止されているため、マルチコプター100の着水により空気弁52から空気室51内に水が入り込むことはない。
空気弁52は、空気室51内の空気の膨張や収縮により、フロート40が破損することを防止する機構である。より具体的には、空気室51内の圧力が所定の閾値を超えて上昇したときには空気室51内の空気を逃がし、空気室51内の圧力が所定の閾値を超えて降下したときには空気室51内に空気を取り込むことにより、空気室51内の圧力を一定の範囲内に維持する。なお、上記各閾値は、パッキン54の材質やピン56の大きさ・形状等により変化する。これらを適宜変更することにより実施形態に即した最適な閾値に調節することができる。
〔フロートの変形例〕
図5はフロート40の変形例であるフロート40´の構造を示す側面視断面図である。フロート40´は、フロート40のスキッドとしての機能を拡張した構成である。なお、以下の説明では、フロート40と同一または同様の機能を有する構成については、フロート40と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
フロート40´は、その径方向中心に沿って上下方向に延びる空間である脚部収容室61を有している。脚部収容室61は空気室51と隔てられており、フローと40´を上下方向に貫通している。脚部収容室61には、弾性部材であるコイルバネ62と、コイルバネ62により下方に付勢された棒状部材である脚部63と、が収容されている。脚部63は、その下端部およびその近傍部が脚部収容室61から下方に露出している。脚部63はコイルバネ62の弾性力で支持されていることにより、脚部63の露出部は矢示Sの範囲内で出没可能とされている。
マルチコプター100がフロート40で直接地面に着地した場合、機体の重量や降下速度、地面の硬さによっては、フロート40が破損するおそれがある。本変形例では、コイルバネ62によりクッション性が付与された脚部63で着地することにより、着地によるフロート40´への衝撃が緩和され、フロート40´の破損を防ぐことが可能とされている。
〔その他の機体構成〕
フロート40を除くマルチコプター100の構成は、公知のマルチコプターと同様である。図4はマルチコプター100の機能構成を示すブロック図である。マルチコプター100の機体には、主に、フライトコントローラFC、6基のローター30、これらローター30の回転を制御するESC141(Electric Speed Controller)、及びこれらに電力を供給するバッテリー190が搭載されている。
各ローター30は、モータ142と、その出力軸に連結されたブレード143とにより構成されている。ESC141は、ローターRのモータ142に接続されており、フライトコントローラFCから指示された速度でモータ142を回転させる。
尚、マルチコプター100のローター数は特に限定されず、求められる飛行安定性や許容されるコスト等に応じて、ローターRが3基のトライコプターから、ローターRが8基のオクタコプター、さらには8基よりも多くのローターを備えるものまで適宜変更可能である。
フライトコントローラFCは、マイクロコントローラである制御装置120を備えている。制御装置120は、中央処理装置であるCPU121、ROMやRAMなどの記憶装置であるメモリ122、および、ESC141を介して各モータ142の回転数および回転速度を制御するPWM(Pulse Width Modulation)コントローラ123を有している。
フライトコントローラFCはさらに、飛行制御センサ群132およびGPS受信器133(以下、これらを総称して「センサ等」ともいう。)を備えており、これらは制御装置120に接続されている。本実施形態におけるマルチコプター100の飛行制御センサ群132には、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ、気圧センサ(高度センサ)、地磁気センサ(方位センサ)などが含まれている。
制御装置120は、これらセンサ等により、機体の傾きや回転のほか、飛行中の緯度経度、高度、および機首の方位角を含む自機の位置情報を取得可能とされている。
制御装置120のメモリ122には、マルチコプター100の飛行時における姿勢や基本的な飛行動作を制御するアルゴリズムが実装されたプログラムである飛行制御プログラムFCPが記憶されている。飛行制御プログラムFCPは、オペレータ(送信器110)からの指示に従い、センサ等から取得した情報を基に、個々のローターRの回転数を調節し、機体の姿勢や位置の乱れを補正しながらマルチコプター100を飛行させる。
マルチコプター100の操縦は、オペレータが送信器110を用いて手動で行うほか、マルチコプター100の飛行経路や速度、高度などのパラメータである飛行計画FPを自律飛行プログラムAPPに予め登録しておき、マルチコプター100を目的地へ自律的に飛行させることも可能である(以下、このような自律飛行のことを「オートパイロット」という。)。
このように、本実施形態におけるマルチコプター100は高度な飛行制御機能を備えている。しかし、本発明における無人航空機は、複数のローターRを備え、これら各ローターRの回転数を調節することにより機体の姿勢および飛行動作を制御する機体であればよく、例えばセンサ等から一部のセンサが省略された機体や、オートパイロット機能を備えず手動操縦のみにより飛行可能な機体であってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態のフロート40はアーム20の先端に配置されているが、本発明の浮き部はアームの先端以外の部分に設けられてもよく、また、ローター30も、フロート40の上部に配置されている必要はない。さらに、本発明の浮き部はアームから下方に延びていればよく、常に先細形状である必要もない。

Claims (7)

  1. 複数の回転翼を有する無人航空機であって、
    前記無人航空機はその機体中央部から複数のアームが放射状に延びており、
    前記各アームは、該アームから下方に延出した浮き部を有しており、
    前記各浮き部の内部には、中空の密閉空間である空気室が設けられていることを特徴とする無人航空機。
  2. 前記各浮き部は、該浮き部の下端に向かって外径寸法が次第に小さくなる先細形状とされていることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
  3. 前記各浮き部は縦長形状に形成されており、前記各浮き部は、その上下方向における下側が前記先細形状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の無人航空機。
  4. 前記各浮き部は、該浮き部を有する前記アームの先端部に配置されており、
    前記各浮き部の上部には前記回転翼がそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
  5. 前記各浮き部の前記空気室には空気弁が設けられており、
    前記空気弁は、前記空気室内の圧力が所定の閾値を超えて上昇したときには該空気室内の空気を逃がし、前記空気室内の圧力が所定の閾値を超えて降下したときには該空気室内に空気を取り込むことにより、前記空気室内の圧力を一定の範囲内に維持することを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
  6. 前記各浮き部にはさらに、その径方向中心に沿って上下方向に延びる空間である脚部収容室が形成されており、
    前記脚部収容室は前記空気室と隔てられ、前記浮き部を下方に貫通しており、
    前記脚部収容室には、弾性部材と、該弾性部材により下方に付勢された棒状部材と、が収容されており、
    前記棒状部材は、その下端部が前記脚部収容室から下方に露出していることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
  7. 前記複数のアームは、前記機体中央部を中心として周方向等間隔に3本以上配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無人航空機。
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