JP6721191B2 - 回転翼航空機 - Google Patents

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Description

本発明は、回転翼航空機の操舵安定性に関する。
下記特許文献1には、ヘリコプターのメインロータが故障したときに、別途備えた補助ロータでこれを軟着陸させようとする構想が開示されている。
特開平4−274995号
ピッチ角が固定されたプロペラ(固定ピッチプロペラ)を使用する回転翼航空機は、通常、各プロペラの回転数(本願では回転速度と同義。以下同じ。)を制御することでこれらプロペラの揚力を調節する。このような回転翼航空機は、飛行中に上昇気流で機体が押し上げられたときには、プロペラの回転数を下げることでその高度を維持する。当然、強い上昇気流に煽られたときには、相応に回転数を下げる必要がある。一方、プロペラがその本来の機能を発揮するためには、十分な揚力やジャイロ効果が得られる回転数が必要である。プロペラの回転数がその下限を超えて下げられたときには、プロペラは機体の制御機能を失い、回転翼航空機は操舵不能に陥る。
上記問題に鑑み、本発明は、上昇気流などの外乱に対する回転翼航空機の操舵安定性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の回転翼航空機は、複数の水平回転翼を備え、前記複数の水平回転翼は、直径が異なるプロペラである大径プロペラおよび小径プロペラ、または、ピッチ角が異なるプロペラである大ピッチプロペラおよび小ピッチプロペラを含んでおり、前記大径プロペラおよび前記大ピッチプロペラを大揚力プロペラと呼び、前記小径プロペラおよび前記小ピッチプロペラを小揚力プロペラと呼ぶ場合に、前記大揚力プロペラおよび前記小揚力プロペラは、回転数を制御することで揚力が調節される固定ピッチプロペラであり、前記小揚力プロペラは、前記大揚力プロペラの回転数が所定の閾値を下回ったときに駆動されることを特徴とする。
直径の小さなプロペラ(小径プロペラ)を使って、これよりも直径の大きなプロペラ(大径プロペラ)と同等の揚力を得ようとする場合、小径プロペラは大径プロペラよりも高速に回転させる必要がある。つまり、ある揚力を得ようとするときに、大径プロペラだとそのジャイロ効果や揚力が失われる回転数に陥る場合でも、小径プロペラであれば十分な回転数が得られる場合がある。この意味で、小径プロペラは、大径プロペラよりも上昇気流などの外乱に強いといえる。一方で、小径プロペラを高速で回転させるよりも、大径プロペラを低速で回転させた方が、プロペラ効率やエネルギー効率の点では優れている。この関係は、ピッチ角の小さなプロペラ(小ピッチプロペラ)と、これよりもピッチ角の大きなプロペラ(大ピッチプロペラ)との間にも成り立つ。これら大径プロペラや大ピッチプロペラ(大揚力プロペラ)と、小径プロペラや小ピッチプロペラ(小揚力プロペラ)の両方を備えることにより、外乱への耐性と効率とのバランスを柔軟に調節することが可能となる。また、大揚力プロペラの回転数が所定の閾値を下回ったときに小揚力プロペラを駆動することにより、外乱への耐性とエネルギー効率とをより理想的に両立させることが可能となる。
また、上記課題を解決するため、本発明の回転翼航空機は、複数の水平回転翼を備える回転翼航空機であって、前記複数の水平回転翼は、直径が異なるプロペラである大径プロペラおよび小径プロペラ、または、ピッチ角が異なるプロペラである大ピッチプロペラおよび小ピッチプロペラを含んでおり、前記大径プロペラおよび前記大ピッチプロペラを大揚力プロペラと呼び、前記小径プロペラおよび前記小ピッチプロペラを小揚力プロペラと呼ぶ場合に、前記大揚力プロペラおよび前記小揚力プロペラは、回転数を制御することで揚力が調節される固定ピッチプロペラであり、飛行中に前記大揚力プロペラの回転数をそのジャイロ効果または揚力が失われる回転数以下に下げることが可能であることを特徴とする。
通常、回転翼航空機のプロペラは、機体の制御能力を失わない程度に回転数を維持する必要がある。本発明では、大揚力プロペラの回転数をそのジャイロ効果や揚力が失われるレベルまであえて引き下げ可能とし、小揚力プロペラのみでの飛行を可能とすることにより、回転翼航空機の揚力の下限を大きく下げることが可能となる。
また、本発明の回転翼航空機は、複数の前記小揚力プロペラを有し、前記複数の小揚力プロペラは、これら小揚力プロペラのみでも機体の水平を維持可能な位置に配置されていることが好ましい。
小揚力プロペラのみで機体の水平を維持可能とすることにより、大揚力プロペラのジャイロ効果や揚力が失われた場合でも、小揚力プロペラでその状況を脱出または機体を軟着陸させることが可能となる。なお、ここでいう「水平を維持可能」とは、機体の傾きを制御可能という意味であり、必ずしも機体の向き(方位)や、高度を維持可能である必要はない。
また、本発明の回転翼航空機は、前記大揚力プロペラと前記小揚力プロペラとが一対一の組み合わせで複数組備えられており、これら各組の大揚力プロペラおよび小揚力プロペラは同軸に配置されている構成としても良い。
各組の大揚力プロペラと小揚力プロペラとを同軸に配置することにより、例えばこれらを支持するアームの本数を抑えることができ、機体の部品効率や構造効率を高めることができる。
また、この場合、前記各組の大揚力プロペラおよび小揚力プロペラは同時に駆動可能であり、前記各小揚力プロペラは、その対となる前記大揚力プロペラの排気側に配置されていることが好ましい。
水平回転翼は、横風を受けたときにプロペラから気流が剥離して揚力が低下することがある。このときに、損なわれた揚力を補うべく回転数が上げられると気流の剥離は悪化する。この現象は機体の姿勢の乱れや騒音の原因となる。本構成の小揚力プロペラは大揚力プロペラの排気側に配置され、大揚力プロペラが駆動されることでそのダウンウォッシュに覆われることから横風の影響を受けにくい。そして、大揚力プロペラの揚力が低下したときには小揚力プロペラがこれを補うように駆動されるため、大揚力プロペラの気流の剥離が抑制される。これにより、回転翼航空機の外乱に対する耐性をより高めることができる。
また、本発明の回転翼航空機は、前記小揚力プロペラの最大揚力の合計が、前記回転翼航空機の重量よりも小さい構成としてもよい。
小揚力プロペラの揚力のみでは飛行高度が維持不能な場合でも、これら小揚力プロペラで機体の水平を維持可能とすれば、大揚力プロペラのジャイロ効果や揚力が失われた場合でも、小揚力プロペラのみで機体を軟着陸させることが可能となる。
また、本発明の回転翼航空機は、前記大揚力プロペラの最大揚力の合計が、前記小揚力プロペラの最大揚力の合計よりも大きいことが好ましい。
大揚力プロペラを補助的な推力源ではなく通常飛行時の主推力源として使用可能であることにより飛行中のエネルギー効率を高めることができる。
また、本発明の回転翼航空機は、無人航空機であってもよい。
複数の水平回転翼を備える無人航空機には軽量な機体が多く、有人機と比較してプロペラの回転数が下限に至りやすい傾向がある。このような無人航空機に本発明を適用することにより、その操舵安定性を顕著に改善することができる。
以上のように、本発明の回転翼航空機によれば、上昇気流などの外乱に対する操舵安定性とその飛行効率とを柔軟に調整することが可能となる。
第1実施形態にかかるマルチコプターの外観を示す斜視図である。 第1実施形態のマルチコプターの機能構成を示すブロック図である。 小径プロペラによる操舵安定性向上効果を説明する模式図である(通常環境下)。 小径プロペラによる操舵安定性向上効果を説明する模式図である(上昇気流発生時)。 第2実施形態にかかるマルチコプターの外観を示す斜視図である。 第2実施形態のマルチコプターの機能構成を示すブロック図である。 農薬散布前における、ホバリングに要する揚力を示す模式図である。 農薬散布後における、ホバリングに要する揚力を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、いずれも、複数の水平回転翼で飛行する無人回転翼航空機の例である。なお、本発明でいう「水平回転翼」とは、回転軸の軸線方向が鉛直に延び、回転面の面方向が水平となる回転翼をいう。
[第1実施形態]
(構成概要)
図1は、本実施形態(以下、「本例」ともいう。)にかかるマルチコプター10の外観を示す斜視図である。本例のマルチコプター10は、空撮を行うことをその目的とした機体である。
マルチコプター10は、主に、制御システムを収容するケース体であるシェル11、円筒状のパイプ材からなる6本のアーム12、大径プロペラ61を有するロータ60、小径プロペラ71を有するロータ70、および姿勢安定化装置に載置されたカメラ91と、を有している。大径プロペラ61は本発明の大揚力プロペラの一種であり、小径プロペラ71は、本発明の小揚力プロペラの一種である。
大径プロペラ61と小径プロペラ71は、互いに直径が異なるプロペラである。本例では、小径プロペラ71には、大径プロペラ61の半分程度の直径を有するプロペラが採用されている。また、これら大径プロペラ61および小径プロペラ71は、回転数を制御することで揚力が調節される固定ピッチプロペラである。なお、本例のマルチコプター10は、大径プロペラ61のみ、または小径プロペラ71のみでも全ての飛行動作を行うことができる。
マルチコプター10のアーム12は、シェル11から水平方向に放射状に延びており、これらはシェル11を中心としてその周方向に沿って等間隔に配置されている。大径プロペラ61(ロータ60)および小径プロペラ71(ロータ70)は各アーム12の先端に配置されている。大径プロペラ61と小径プロペラ71とは一対一に組み合わされており、これら各組の大径プロペラ61および小径プロペラ71は同軸に配置されている。また、本例では、各小径プロペラ71は、その対となる大径プロペラ61の排気側に配置されている。本例では、一本のアーム12につき大径プロペラ61(ロータ60)と小径プロペラ71(ロータ70)の二つのプロペラが支持されていることで、これらを支持するアーム12の本数が抑えられており、機体の部品効率や構造効率が高められている。
(機能構成)
図2は本例のマルチコプター10の機能構成を示すブロック図である。マルチコプター10の機能は、主に、制御部であるフライトコントローラFC、大径プロペラ61を駆動するロータ60、小径プロペラ71を駆動するロータ70、これらロータ60,70が備えるブラシレスモータ(図示せず)の駆動回路であるESC50(Electric Speed Controller)、操縦者(送信機41)からの操縦信号を受信する受信器42、外部装置であるカメラ91、および、これらに電力を供給するバッテリー80により構成されている。
フライトコントローラFCは、マイクロコントローラである制御装置20を備えている。制御装置20は、中央処理装置であるCPU21、RAMやROM・フラッシュメモリなどの記憶装置からなるメモリ22、および、ESC50を介して各ロータ60,70の回転数を制御するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)コントローラ23を有している。
フライトコントローラFCはさらに、IMU31(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)、GPS受信器32、高度センサ33、および電子コンパス34を含む飛行制御センサ群Sを有しており、これらは制御装置20に接続されている。
IMU31はマルチコプター10の機体の傾きを検出するセンサであり、主に3軸加速度センサおよび3軸角速度センサにより構成されている。本例の高度センサ32には気圧センサが用いられている。高度センサ32は、検出した気圧高度からマルチコプター10の海抜高度(標高)を算出する。高度センサ33の態様としてはこの他にも、例えばレーザや赤外線、超音波などを利用した測距センサを地表に向けて、対地高度を取得することが考えられる。本例の電子コンパス33には3軸地磁気センサが用いられている。電子コンパス33はマルチコプター10の機首の方位角を検出する。GPS受信器34は、正確には航法衛星システム(NSS:Navigation Satellite System)の受信器である。GPS受信器34は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)または地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigational Satellite System)から現在の経緯度値および時刻情報を取得する。フライトコンローラFCは、これら飛行制御センサ群Sにより、機体の傾きや回転のほか、飛行中の経緯度、高度、および機首の方位角を含む自機の位置情報を取得することが可能とされている。
なお、本例の飛行制御センサ群Sは屋外用の構成とされているが、マルチコプター10は屋内を飛行するものであってもよい。例えば、無線信号を送出するビーコンを施設内に所定間隔で配置し、これらビーコンから受信した信号の電波強度からマルチコプター10と各ビーコンとの相対的な距離を計測し、その施設内におけるマルチコプター10の位置を特定することが考えられる。または、マルチコプター10に別途カメラを搭載し、カメラで撮影した周囲の映像から画像認識により施設内の特徴箇所を検出し、これに基づいて施設内における位置を特定することも可能である。同様に、レーザや赤外線、超音波などを利用した測距センサを別途搭載し、施設内の床面(または天井面)や壁面とマルチコプター10との距離を計測して、その施設内におけるマルチコプター10の位置を特定することも可能である。
制御装置20は、マルチコプター10の飛行時における姿勢や基本的な飛行動作を制御するプログラムである飛行制御プログラムFSを有している。飛行制御プログラムFSは、飛行制御センサ群Sから取得した情報を基に個々のロータ60,70の回転数を調節し、機体の姿勢や位置の乱れを補正しながらマルチコプター10の飛行動作を制御する。
制御装置20はさらに、マルチコプター10を自律飛行させるプログラムである自律飛行プログラムAPを有している。そして、制御装置20のメモリ22には、マルチコプター10の目的地や経由地の経緯度、飛行中の高度や速度などが指定されたパラメータである飛行計画FPが登録されている。自律飛行プログラムAPは、送信機41からの指示や所定の時刻などを開始条件として、飛行計画FPに従ってマルチコプター10を自律的に飛行させることができる。本例ではこのような自律飛行機能を「オートパイロット」という。
このように、本例のマルチコプター10は高度な飛行制御機能を備えた無人航空機である。ただし、本発明の回転翼航空機はマルチコプター10の形態には限定されず、例えば飛行制御センサ群Sから一部のセンサが省略された機体や、オートパイロット機能を備えず手動操縦のみにより飛行可能な機体を用いることもできる。また、本発明の回転翼航空機には、離着陸のみを水平回転翼により行うVTOL機(Vertical Take-Off and Landing:垂直離着陸機)も含まれる。さらに、本発明の回転翼航空機は無人機にも限られず、搭乗したパイロットが手動操縦する有人機であってもよい。
(プロペラ構成)
上でも述べたように、マルチコプター10は、その水平回転翼として大径プロペラ61および小径プロペラ71の両方を有している。
小径プロペラ71により大径プロペラ61と同等の揚力を得ようとする場合、小径プロペラ71は大径プロペラ61よりも高速に回転させる必要がある。つまり、ある揚力を得ようとするときに、大径プロペラ61だとそのジャイロ効果や揚力が失われる回転数に陥る場合でも、小径プロペラ71であれば操舵に必要な回転数が得られる場合がある。一方、小径プロペラ71を高速で回転させるよりも、大径プロペラ61を低速で回転させた方が、プロペラ効率やエネルギー効率の点では優れている。マルチコプター10は、これら大径プロペラ61と小径プロペラ71の両方を備えることにより、外乱への耐性と効率とのバランスを調節することが可能とされている。
ここで、大径プロペラ61と小径プロペラ71の直径の比は具体的には限定されない。本発明の大径プロペラおよび小径プロペラは、小径プロペラの直径が大径プロペラの直径よりも小さく、かつ、大径プロペラによる機体の制御が可能な回転数の下限における揚力よりも小さな揚力を、小径プロペラが機体の制御機能を維持しつつ(必要な回転数を確保しつつ)供給可能な関係にあればよい。通常、直径の異なる2つのプロペラ間ではこの関係が成り立つ。これら大径プロペラおよび小径プロペラの直径の比を左右する要素としては、例えば、飛行環境が屋内か野外か、屋内であってもそれは無風環境か、それともトンネルなどの特殊な気流が生じる環境か、野外であってもそれは開けた場所か、それとも壁面や山肌に沿った場所か、さらには、要求されるエネルギー効率や、機体の姿勢制御に要求される最低揚力などが考えられる。
大径プロペラと小径プロペラの両方を備えることは、つまり、安定して得られる揚力の幅が拡張されるということである。大径プロペラと小径プロペラの直径の差が小さくなれば、当然、拡張される揚力の幅も小さくなり、直径の差が大きくなれば拡張される揚力の幅も大きくなる。大径プロペラと小径プロペラの直径の比は、上昇気流などの外乱への耐性と効率とのバランスを考慮して、飛行環境に応じた最適な比を設定すればよい。
本例の飛行制御プログラムFSは、基本的には大径プロペラ61(ロータ60)のみでマルチコプター10を飛行させる。そして、飛行制御プログラムFSは、大径プロペラ61のジャイロ効果や揚力が失われるおそれがある回転数に対して、安全確保のための余裕を加味した回転数を閾値として、大径プロペラ61の回転数がこの閾値を下回ったときに小径プロペラ71を駆動する。つまり、そのときどきに要求される揚力の大きさに応じて、大径プロペラ61と小径プロペラ71とを使い分ける。これにより、外乱への耐性と効率とがより理想的に両立されている。
一方、上でも述べたように、本例の大径プロペラ61と小径プロペラ71とは一対一に組み合わされており、これら各組の大径プロペラ61および小径プロペラ71は同軸に配置されている。そして、各小径プロペラ71は、その対となる大径プロペラ61の排気側に配置されている。
水平回転翼は、横風を受けたときにプロペラから気流が剥離して揚力が低下することがある。このときに、損なわれた揚力を補うべく回転数が上げられると気流の剥離は悪化する。この現象は機体の姿勢の乱れや騒音の原因となる。本例の小径プロペラ71は、大径プロペラ61の排気側に配置されおり、常に大径プロペラ61のダウンウォッシュで覆われている。そのため小径プロペラ71は横風の影響を受けにくい。
すなわち、マルチコプター10の構成を、小径プロペラ71および大径プロペラ61の両方を常に駆動するように変更すれば、大径プロペラ61から気流が剥離したときに、その損なわれた揚力を小径プロペラ71で直ちに補うことが可能となる。これにより大径プロペラ61の気流の剥離が抑制され、マルチコプター10の外乱に対する耐性をより高めることができる。
図3および図4は、小径プロペラ71によりマルチコプター10の操舵安定性が向上する原理を説明する模式図である。以下、これらの図を参照して説明する。なお、図3および図4は、説明の便宜上、要点のみを強調して細部を簡略化した概要図であり、実態と厳密に一致するものではない。
図3および図4の縦軸は揚力の大きさを0から9の段階で示している。なお、以下の説明においてプロペラの機能の喪失とは、プロペラの回転数が下がることでそのプロペラのジャイロ効果や揚力が失われること、つまりそのプロペラによる機体の制御機能が失われることを意味している。揚力0は揚力が発生していない状態であり、揚力9は最も大きな揚力が発生している状態である。この例では、大径プロペラ61により得られる揚力の幅は3から8である。小径プロペラ71により得られる揚力の幅は1から6である。大径プロペラ61により得られる揚力の下限は3であり、これよりも揚力を下げると、つまりこれよりも回転数を下げると、大径プロペラ61は機能を喪失し、機体は墜落する。小径プロペラ71により得られる揚力の下限は1であり、これよりも回転数を下げると、小径プロペラ71は機能を喪失し、機体は墜落する。
そして、図3では、揚力5のときにマルチコプター10はホバリング状態となり、そのときの高度が維持される。ここでマルチコプター10が、例えば突発的な上昇気流に煽られ、ホバリングに要する揚力が2まで低下したとする(図4)。このときに、例えばマルチコプター10が大径プロペラ61しか備えていなかったとして、マルチコプター10の高度を維持するために大径プロペラ61の回転数を下げていくと、大径プロペラ61の揚力が3を下回ったときに、大径プロペラ61は機能を喪失し、マルチコプター10は墜落する。
一方、本例のマルチコプター10は、大径プロペラ61に加え、小径プロペラ71も備えている。マルチコプター10は、大径プロペラ61の回転数の下限である揚力3に、安全確保のための余裕として揚力1を加味した揚力4を、小径プロペラ71を駆動させる閾値としている。マルチコプター10は、大径プロペラ61の揚力が4を下回ったときには、小径プロペラ71の駆動を開始する。そして、大径プロペラ61がその機能を喪失した後も、小径プロペラ71を揚力2で駆動させ、機体の高度を維持する。
このように、本例のマルチコプター10は小径プロペラ71を備えることにより、揚力1から3の範囲について、マルチコプター10の操舵可能範囲が拡張されている。つまり、マルチコプター10の操舵安定性が高められている。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明においては、先の実施形態と同一または同様の構成については、先の実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
(構成概要)
図5は、本実施形態(以下、「本例」ともいう。)にかかるマルチコプター10aの外観を示す斜視図である。本例のマルチコプター10aは、農薬の散布を行うことを目的とした機体である。このような農薬散布機は、農薬の散布前後において総重量が大きく変化するという性質を有している。
マルチコプター10aは、主に、制御システムを収容するケース体であるシェル11、円筒状のパイプ材からなる8本のアーム12、大ピッチプロペラ62を有するロータ60、小ピッチプロペラ72を有するロータ70、および農薬を散布する外部装置であるポンプ装置92と、を有するオクタコプターである。大ピッチプロペラ62は本発明の大揚力プロペラの一種であり、小ピッチプロペラ72は、本発明の小揚力プロペラの一種である。
大ピッチプロペラ62および小ピッチプロペラ72は、互いにピッチ角が異なるプロペラである。小ピッチプロペラ72には、大ピッチプロペラ62よりも小さなピッチ角を有するプロペラが採用されており、これら大ピッチプロペラ62および小ピッチプロペラ72は、回転数を制御することで揚力が調節される固定ピッチプロペラである。なお、大ピッチプロペラ62と小ピッチプロペラ72のピッチ角の比は、第1実施形態の大径プロペラ61および小径プロペラ71の例と同様の理由により、具体的には限定されない。大ピッチプロペラと小ピッチプロペラのピッチ角の比は、上昇気流などの外乱への耐性と効率とのバランスを考慮して、飛行環境に応じた最適な比を設定すればよい。
マルチコプター10aのアーム12は、シェル11から水平方向に放射状に延びており、これらはシェル11を中心としてその周方向に沿って等間隔に配置されている。大ピッチプロペラ62(ロータ60)および小ピッチプロペラ72(ロータ70)は各アーム12の先端に配置されており、これら大ピッチプロペラ62および小ピッチプロペラ72は、シェル11の周方向に沿って交互に配置されている。
(機能構成)
図6は本例のマルチコプター10aの機能構成を示すブロック図である。第1実施形態のマルチコプター10と本例のマルチコプター10aとの機能構成上の違いとしては、大揚力プロペラが大ピッチプロペラ62であること、小揚力プロペラが小ピッチプロペラ72であること、搭載する外部装置の種類(カメラ91,ポンプ装置92)、および飛行制御プログラムFSによるロータ60,70の制御方法(後述)のみである。
(プロペラ構成)
本例の飛行制御プログラムFSは、大ピッチプロペラ62(ロータ60)と小ピッチプロペラ72(ロータ70)の両方を同時に駆動してマルチコプター10aを飛行させる。これら大ピッチプロペラ62および小ピッチプロペラ72を備えることでマルチコプター10aの操舵安定性が向上する原理は、第1実施形態の大径プロペラ61および小径プロペラ71の例と同様である。すなわち、大ピッチプロペラ62に加え、小ピッチプロペラ72を備えることで、マルチコプター10aの操舵可能範囲が拡張されるからである。
図7および図8は、農薬の散布前後における必要揚力の変化を示す模式図である。図7は農薬散布前、つまり農薬タンクに農薬が満充填されているときの状態を示している。図8は農薬散布後、つまり農薬タンクが空になったときの状態を示している。なお、図7および図8は、説明の便宜上、要点のみを強調して細部を簡略化した概要図であり、実態と厳密に一致するものではない。
図7に示すように、農薬散布前のマルチコプター10aは、小ピッチプロペラ72の最大揚力の合計が、マルチコプター10aの全備重量よりも小さくなるように構成されている。ここで、本例でいう「全備重量」とは、農薬タンクに農薬が満充填され、マルチコプター10aの総重量が最大となった状態の重量をいい、農薬散布後の総重量は含まれない。
一方、これら小ピッチプロペラ72は、シェル11に対してクアッドコプターの配置とされており、小ピッチプロペラ72のみでも機体の姿勢を制御可能な構成とされている。つまり、小ピッチプロペラ72のみではマルチコプター10aの高度を維持することはできないが、降下中の機体の水平を維持することは可能ということである。本例では、小ピッチプロペラ72のみで機体の水平を維持可能とすることにより、全ての大ピッチプロペラ62の機能が喪失した場合でも、小ピッチプロペラ72で機体を軟着陸させることが可能とされている。
そして図8に示すように、農薬散布後のマルチコプター10aは、機体が軽くなったことで、高度の維持に必要な揚力が4に低下している。つまり、マルチコプター10aが大ピッチプロペラ62しか備えていなかった場合、マルチコプター10aが揚力1に相当する上昇気流に煽られるだけで大ピッチプロペラ62はその機能を喪失するということである。マルチコプター10aは、大ピッチプロペラ62に加え小ピッチプロペラ72を備えていることにより、このような外乱により大ピッチプロペラ62がその機能を喪失した場合でも、小ピッチプロペラ72が機体を支持することで、機体の墜落を免れることができる。
通常、回転翼航空機のプロペラは、機体の制御能力を失わない程度に回転数を維持する必要がある。本例では、大ピッチプロペラ62の回転数のみをその機能が喪失するレベルまであえて引き下げ可能とし、小ピッチプロペラ72で機体の制御機能を維持することにより、マルチコプター10aの揚力の下限を大きく下げることが可能とされている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることができる。
10,10a マルチコプター(無人航空機(回転翼航空機))
FC フライトコントローラ
60 ロータ
61 大径プロペラ(大揚力プロペラ(水平回転翼))
62 大ピッチプロペラ(大揚力プロペラ(水平回転翼))
70 ロータ
71 小径プロペラ(小揚力プロペラ(水平回転翼))
72 小ピッチプロペラ(小揚力プロペラ(水平回転翼))

Claims (8)

  1. 複数の水平回転翼を備える回転翼航空機であって、
    前記複数の水平回転翼は、直径が異なるプロペラである大径プロペラおよび小径プロペラ、または、ピッチ角が異なるプロペラである大ピッチプロペラおよび小ピッチプロペラを含んでおり、
    前記大径プロペラおよび前記大ピッチプロペラを大揚力プロペラと呼び、前記小径プロペラおよび前記小ピッチプロペラを小揚力プロペラと呼ぶ場合に、
    前記大揚力プロペラおよび前記小揚力プロペラは、制御装置がその回転数を制御することで揚力が調節される固定ピッチプロペラであり、
    前記小揚力プロペラは、飛行に要する前記大揚力プロペラの回転数の低下により前記制御装置が前記大揚力プロペラの回転数を所定の閾値を超えて下げるときに駆動されることを特徴とする回転翼航空機。
  2. 複数の水平回転翼を備える回転翼航空機であって、
    前記複数の水平回転翼は、直径が異なるプロペラである大径プロペラおよび小径プロペラ、または、ピッチ角が異なるプロペラである大ピッチプロペラおよび小ピッチプロペラを含んでおり、
    前記大径プロペラおよび前記大ピッチプロペラを大揚力プロペラと呼び、前記小径プロペラおよび前記小ピッチプロペラを小揚力プロペラと呼ぶ場合に、
    前記大揚力プロペラおよび前記小揚力プロペラは、制御装置がその回転数を制御することで揚力が調節される固定ピッチプロペラであり、
    前記制御装置は、飛行に要する前記大揚力プロペラの回転数の低下に応じて前記大揚力プロペラの回転数をそのジャイロ効果または揚力が失われる回転数以下に下げることが可能であることを特徴とする回転翼航空機。
  3. 複数の前記小揚力プロペラを有し、
    前記複数の小揚力プロペラは、これら小揚力プロペラのみでも機体の水平を維持可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転翼航空機。
  4. 前記大揚力プロペラと前記小揚力プロペラとは一対一の組み合わせで複数組備えられており、これら各組の大揚力プロペラおよび小揚力プロペラは同軸に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転翼航空機。
  5. 前記各組の大揚力プロペラおよび小揚力プロペラは同時に駆動可能であり、
    前記各小揚力プロペラは、その対となる前記大揚力プロペラの排気側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の回転翼航空機。
  6. 前記小揚力プロペラの最大揚力の合計は、前記回転翼航空機の重量よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の回転翼航空機。
  7. 前記大揚力プロペラの最大揚力の合計は、前記小揚力プロペラの最大揚力の合計よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の回転翼航空機。
  8. 無人航空機であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の回転翼航空機。
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