JPWO2018042577A1 - 配管の補強構造及び配管の補強方法 - Google Patents

配管の補強構造及び配管の補強方法 Download PDF

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Abstract

高温高圧の蒸気を流すための配管を補強する補強構造であって、配管の外周面と対向して湾曲する第1湾曲板部と、第1湾曲板部の周方向の端部から配管の径方向の外側に突出する第1フランジ部とを有する第1補強部材と、配管の外周面と対向して湾曲し、第1湾曲板部と配管の周方向に隣り合って配置される第2湾曲板部と、第2湾曲板部の周方向の端部から配管の径方向の外側に突出し、第1フランジ部と対向する第2フランジ部とを有する第2補強部材と、第1補強部材と第2補強部材とが配管の外周面に配置された際に、対向する第1フランジ部と第2フランジ部とを固定するための固定部材と、第1補強部材と配管との間及び第2補強部材と配管との間に設けられ、第1フランジ部と第2フランジ部とが互いに固定される際に、配管の径方向に圧縮変形する発泡金属層と、を有する。

Description

本発明は、配管の補強構造及び配管の補強方法に関する。
蒸気タービン等の動力として使用される動力用蒸気は、高温高圧のものが用いられる。このような高温高圧の動力用蒸気を流すための配管は、クリープによる劣化が生じる可能性がある。下記特許文献1には、湾曲板部とフランジ部とを有する複数の金属製補強部材を備える補強用具が記載されている。特許文献1の補強用具において、金属製補強部材が配管を囲んで複数配置され、隣り合うフランジ部同士が互いに固定されて配管の強度が補強される。
特開2014−005862号公報
配管は、製造バラツキによる外径の誤差や、形状のバラツキが存在する。また、配管を溶接した溶接部では配管の外周に凹凸が存在する。配管の形状バラツキや凹凸の存在に起因して、配管と補強用具との間に隙間が生じて、配管の補強を行うことが困難となる場合がある。補強用具を取り付ける配管ごとに形状を計測して、それぞれの配管の形状に合わせた補強用具を作製する場合、製造コストが増大する可能性がある。
本発明は、上記課題を解決して、配管の形状バラツキや凹凸が存在する場合であっても配管の補強を行うことが可能な配管の補強構造及び配管の補強方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様による配管の補強構造は、高温高圧の蒸気を流すための配管を補強する補強構造であって、前記配管の外周面と対向して湾曲する第1湾曲板部と、前記第1湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出する第1フランジ部とを有する第1補強部材と、前記配管の外周面と対向して湾曲し、前記第1湾曲板部と前記配管の周方向に隣り合って配置される第2湾曲板部と、前記第2湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出し、前記第1フランジ部と対向する第2フランジ部とを有する第2補強部材と、前記第1補強部材と前記第2補強部材とが前記配管の外周面に配置された際に、対向する前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを固定するための固定部材と、前記第1補強部材と前記配管との間及び前記第2補強部材と前記配管との間に設けられ、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが互いに固定される際に、前記配管の径方向に圧縮変形する発泡金属層と、を有する。
これによれば、第1補強部材と配管との間、及び第2補強部材と配管との間に発泡金属層が設けられているので、発泡金属層が配管の形状に対応して圧縮変形して、各補強部材と配管との間に隙間が生じることを抑制できる。したがって、配管の形状バラツキや凹凸が存在する場合であっても各補強部材により配管の補強を行うことができる。
本発明の望ましい態様として、前記発泡金属層は、前記配管の周方向の全周に設けられる。これによれば、配管の周方向の全周において、配管の補強を行うことができる。
本発明の望ましい態様として、前記第1補強部材及び前記第2補強部材は、前記配管の軸方向に沿った方向に延びており、前記発泡金属層は、前記第1補強部材及び前記第2補強部材と重なって、前記配管の軸方向に沿った方向に設けられる。これによれば、配管の軸方向に沿った方向おいて、各補強部材と配管との間に隙間が生じることを抑制でき、効果的に配管の補強を行うことができる。
本発明の望ましい態様として、前記発泡金属層は、前記配管の外周面から径方向の外側に突出する溶接部を覆って設けられる。これによれば、溶接部の凹凸に対応して発泡金属層が圧縮変形するので、溶接部の近傍に隙間が発生することを抑制できる。
本発明の望ましい態様として、前記発泡金属層は、前記配管の外周面に複数重ねて設けられる。これによれば、各補強部材と配管との径方向の間隔の大きさに応じて、発泡金属層を厚く設けることが容易であり、確実に配管の補強を行うことができる。
本発明の望ましい態様として、前記発泡金属層は、前記配管の軸方向に沿って、前記配管の外周面にらせん状に巻き付けられる。これによれば、発泡金属層を配管の軸方向に沿った方向に容易に設けることができる。
本発明の望ましい態様として、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを当接させた際に前記第1湾曲板部と前記第2湾曲板部とで形成される環状部の内径が、前記配管の外径よりも大きい。これによれば、配管の外径が小さい場合であっても、第1湾曲板部及び第2湾曲板部と配管との間に発泡金属層が設けられるので、第1湾曲板部及び第2湾曲板部と配管との間に隙間が生じることを抑制できる。
本発明の望ましい態様として、前記第1湾曲板部及び前記第2湾曲板部の、前記配管の軸方向の長さが、それぞれ、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部の、前記配管の軸方向における長さよりも長い。これによれば、第1湾曲板部及び第2湾曲板部が第1フランジ部及び第2フランジ部よりも長く設けられているので、第1フランジ部と第2フランジ部とを固定することで、配管の軸方向において、各フランジ部よりも広い部分について配管の補強を行うことができる。
本発明の望ましい態様として、前記第1補強部材及び前記第2補強部材の、前記配管の軸方向における長さは、前記配管の外径の3倍以上である。これによれば、第1補強部材及び第2補強部材を固定したときの、配管の応力集中の発生を抑制することができる。
本発明の望ましい態様として、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部の、前記配管の周方向における厚さは、それぞれ、前記第1湾曲板部及び前記第2湾曲板部との接続箇所において、径方向の外側の部分よりも厚い。これによれば、第1フランジ部及び第2フランジ部のそれぞれの接続箇所における応力集中の発生を抑制することができる。
本発明の一態様による配管の補強方法は、高温高圧の蒸気を流すための配管を補強する補強方法であって、前記配管の外周面に発泡金属シートを巻き付ける工程と、前記配管の外周面と対向して湾曲する第1湾曲板部と、前記第1湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出する第1フランジ部とを有する第1補強部材と、前記配管の外周面と対向して湾曲する第2湾曲板部と、前記第2湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出する第2フランジ部とを有する第2補強部材と、を用意して、前記第1補強部材と前記第2補強部材とを前記配管の外周面を囲んで配置し、対向する前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを固定することで、前記発泡金属シートを前記配管の径方向に圧縮変形させる工程と、を含む。
これによれば、第1補強部材と配管との間、及び第2補強部材と配管との間に発泡金属層が設けられているので、発泡金属層が配管の形状に対応して圧縮変形して、各補強部材と配管との間に隙間が生じることを抑制できる。したがって、配管の形状バラツキや外周面に凹凸が存在する場合であっても、各補強部材により配管の補強を行うことができる。
本発明の望ましい態様として、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを当接させた際に、前記第1湾曲板部と、前記第2湾曲板部とで形成される環状部の内径が、前記配管の外径よりも大きくなるように、前記第1補強部材と前記第2補強部材とを形成する工程を含む。これによれば、配管の外径が小さい場合であっても、第1湾曲板部及び第2湾曲板部と配管との間に発泡金属層が設けられるので、第1湾曲板部及び第2湾曲板部と配管との間に隙間が生じることを抑制できる。
本発明の配管の補強構造及び配管の補強方法によれば、配管の形状バラツキや凹凸が存在する場合であっても配管の補強を行うことが可能である。
図1は、第1の実施形態に係る配管の補強構造を説明するための正面図である。 図2は、図1のII−II’線に沿う断面図である。 図3は、図2に示す第1フランジ部及び第2フランジ部を拡大して示す断面図である。 図4は、図1のIV−IV’線に沿う断面図である。 図5は、図4に示す第1湾曲板部及び第2湾曲板部を拡大して示す断面図である。 図6は、発泡金属層の一例を模式的に示す斜視図である。 図7は、溶接部が設けられた配管を示す正面図である。 図8は、溶接部における配管の補強構造を説明するための縦断面図である。 図9は、第1の実施形態に係る配管の補強方法を説明するための第1補強部材及び第2補強部材の断面図である。 図10は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程を説明するための正面図である。 図11は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程の第1変形例を説明するための正面図である。 図12は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程の第1変形例を説明するための断面図である。 図13は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程の第2変形例を説明するための断面図である。 図14は、第1補強部材に発泡金属層を貼り付ける工程を説明するための断面図である。 図15は、第2補強部材に発泡金属層を貼り付ける工程を説明するための断面図である。 図16は、配管に第1補強部材及び第2補強部材を取り付ける工程を説明するための模式図である。 図17は、第2の実施形態に係る配管の補強構造を説明するための正面図である。 図18は、第2の実施形態に係る配管を示す正面図である。 図19は、第2の実施形態に係る配管に発泡金属層を巻き付けたときの正面図である。 図20は、第2の実施形態に係る配管に発泡金属層を巻き付けたとき他の例を示す正面図である。
以下、本発明に係る配管の補強構造及び配管の補強方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る配管の補強構造を説明するための正面図である。図2は、図1のII−II’線に沿う断面図である。図3は、図2に示す第1フランジ部及び第2フランジ部を拡大して示す断面図である。図4は、図1のIV−IV’線に沿う断面図である。図5は、図4に示す第1湾曲板部及び第2湾曲板部を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の配管の補強構造1は、補強用具20と、発泡金属層31とを含み、配管10の外周面10sを囲んだ状態で取り付けられる。配管10は、円筒状であり、内部空間に動力用蒸気を長期間に亘って流すためのものである。動力用蒸気は、例えば、蒸気温度が300℃以上、650℃以下程度であり、蒸気圧力が5MPa以上、8MPa以下程度である。高温高圧の動力用蒸気が流れることから、配管10は、クリープによる劣化が生じる可能性がある。配管10は、熱膨張率が低いフェライト系クロム鋼が用いられる。フェライト系クロム鋼は、例えばクロム(Cr)含有率が9wt%以上、12wt%以下程度のものが用いられる。
配管10の外径D1(図2参照)は、用途によって様々であるが、例えば100mm以上、1000mm以下の範囲に定められる。また、配管10の厚さtx(図2参照)は、例えば40mm以上、70mm以下の範囲に定められる。なお、配管10の外径D1や厚さtxは、動力用蒸気の温度、圧力、流量及び流速等の諸条件を加味して定められる。
本実施形態における補強対象部分は、配管10のほぼ直線状をなす直管部分である。配管10の直管部分には、配管10の強度を補強するための補強用具20が取り付けられている。補強用具20は、第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとを含む。第1補強部材21A及び第2補強部材21Bは、配管10の軸方向に沿って所定の長さを有しており、第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとで配管10の外周面10sを囲んで配置される。
第1補強部材21A及び第2補強部材21Bは、配管10の素材(フェライト系クロム鋼)よりもクリープ強度の大きい素材が用いられる。第1補強部材21A及び第2補強部材21Bは、例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金、コバルト合金、高クロム鋼が用いられる。第1補強部材21A及び第2補強部材21Bは、配管10よりもクリープ強度の大きい素材が用いられているので、配管10に対する補強強度を高めることができる。
図2に示すように、第1補強部材21Aは、第1湾曲板部22Aと、第1フランジ部23A、24Aとを有する。第1湾曲板部22Aは、配管10の外周面10sと対向して湾曲する板状の部材である。本実施形態では、第1湾曲板部22Aの内周面は、配管10の外周面10sと実質的に同じ曲率で湾曲する。第1フランジ部23Aは、第1湾曲板部22Aの周方向の一端側に設けられ、配管10の径方向の外側に突出する。第1フランジ部24Aは、第1湾曲板部22Aの周方向の他端側に設けられ、配管10の径方向の外側に突出する。
第2補強部材21Bは、第2湾曲板部22Bと、第2フランジ部23B、24Bとを有する。第2湾曲板部22Bは、配管10の外周面10sと対向して湾曲する板状の部材である。本実施形態では、第2湾曲板部22Bの内周面は、配管10の外周面10sと実質的に同じ曲率で湾曲する。第2フランジ部23Bは、第2湾曲板部22Bの周方向の一端側に設けられ、配管10の径方向の外側に突出する。第2フランジ部24Bは、第2湾曲板部22Bの周方向の他端側に設けられ、配管10の径方向の外側に突出する。
図1に示すように、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの、配管10の軸方向における長さが、それぞれ、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの長さよりも長くなっている。第1補強部材21Aにおいて、第1フランジ部23Aが設けられていない部分を第1部分21Aa、第3部分21Acとし、第1フランジ部23Aが設けられている部分を第2部分21Abとする。配管10の軸方向において、第1補強部材21Aは、第1部分21Aa、第2部分21Ab、第3部分21Acの順に連続して配置される。同様に、第2補強部材21Bは、配管10の軸方向において、第1部分21Ba、第2部分21Bb、第3部分21Bcの順に連続して配置される。つまり、図2及び図3では、第1補強部材21Aの第2部分21Ab、及び第2補強部材21Bの第2部分21Bbにおける断面図を示す。
図2及び図3に示すように、第2補強部材21Bは、配管10の周方向において第1補強部材21Aと隣り合って配置される。具体的には、第1湾曲板部22Aは、配管10の中心軸Cに対して第2湾曲板部22Bの反対側に配置され、第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとで配管10の外周面10sが囲まれている。第1フランジ部23Aは第2フランジ部23Bと対向して配置され、第1フランジ部24Aは第2フランジ部24Bと対向して配置される。
対向する第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとは固定部材41によって固定される。また、対向する第1フランジ部24Aと第2フランジ部24Bとは固定部材41によって固定される。固定部材41は、周方向に隣り合う第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを固定し、また、第1フランジ部24Aと第2フランジ部24Bとを固定するための部材であり、ボルト41aとナット41bとを含む。
発泡金属層31は、配管10と第1補強部材21Aとの間及び配管10と第2補強部材21Bとの間に設けられる。発泡金属層31は、図2に示すように、配管10の周方向の全周に設けられる。また、図1に示すように、発泡金属層31は、配管10の軸方向に沿った方向に延びて設けられ、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bの長さと実質的に同じ長さを有しており、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bと重なって配置される。
図6は、発泡金属層の一例を模式的に示す斜視図である。発泡金属層31は、シート状の金属層34に多数の気孔35が設けられている。金属層34は、例えば、ステンレス鋼、鉄ベース材、ニッケルベース材などの材料が用いられる。気孔35の配置及び大きさはランダムに形成される。発泡金属層31の気孔率、すなわち、所定の体積の発泡金属層31において気孔35が占める体積の割合は、例えば、10%以上、90%以下である。また、気孔35の平均径は1μm以上、1000μm以下である。発泡金属層31の1層の厚さは、例えば、1mm以上、100mm以下である。ただし、後述するように、シート状の発泡金属層31を複数層重ねて設けることで、配管10の外周面10sに配置される発泡金属層31の厚さを適宜変更することができる。
発泡金属層31は、多数の気孔35を含んでいるため、外部から応力が加えられると気孔35が潰れるようにして容易に圧縮変形可能となっている。本実施形態において、配管10の周囲に第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとが互いに固定される際に、発泡金属層31は、配管10の径方向、すなわち、発泡金属層31の厚さ方向に圧縮変形可能となっている。
図3に示すように、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの板厚taは、配管10の厚さtxよりも薄くなっている。例えば、配管10が、40mmの厚さtxを有する9クロム鋼を用いて作製され、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bがオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304)で作製されている場合、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの板厚taは、5mm以上、15mm以下の範囲に定められる。すなわち、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの板厚taは、配管10の厚さtxの1/8以上、3/8以下程度に設定される。
第1フランジ部23A、24Aは、第1湾曲板部22Aと同じ材料が用いられ、第1湾曲板部22Aと一体に設けられる。第2フランジ部23B、24Bは、第2湾曲板部22Bと同じ材料が用いられ、第2湾曲板部22Bと一体に設けられる。なお、図3では、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bを示しており、第1フランジ部24A及び第2フランジ部24Bは省略して示す。第1フランジ部24A及び第2フランジ部24Bについても、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bと同様の構成である。
図3に示すように、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bは、配管10の径方向に突出する板状の部材であり、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの板厚tbは、それぞれ、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの板厚taよりも厚くなっている。これにより、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの強度が高められ、固定部材41により締め付け力が加えられたときに、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの変形が抑制される。固定部材41の締め付け力により第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとが互いに近づく方向に移動すると、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとに連動して、第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとは、周方向に互いに近づく方向に移動する。第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの板厚tbは、それぞれ第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの板厚taの2倍の厚さとなっているが、この比率に限定されず、例えば2倍よりも大きく、3倍以下の比率に設定することができる。
なお、図3に示すように、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bは、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bとの接続部分に肉厚部25A、25Bが設けられている。すなわち、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの、配管10の周方向における厚さは、径方向の内側の第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bとの接続部分おいて、径方向の外側の部分よりも厚くなっている。これにより、第1フランジ部23Aと第1湾曲板部22Aとの接続部分、及び第2フランジ部23Bと第2湾曲板部22Bとの接続部分における応力集中を抑制して、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの強度を高めることができる。肉厚部25A、25Bは、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bとそれぞれ一体に作製してもよく、例えば、接続部分に断面三角形状の金属を溶接して設けてもよい。
図3に示すように、第1フランジ部23Aには、板厚方向に貫通する貫通孔23Aaが設けられている。また、第2フランジ部23Bには、板厚方向に貫通する貫通孔23Baが設けられている。第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとを固定する際に、貫通孔23Aaは貫通孔23Baに対し、ほぼ同心上に配置される。固定部材41のボルト41aが貫通孔23Aa及び貫通孔23Baを貫通して、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとが、ボルト41aとナット41bとで固定される。なお、図3には図示しない第1フランジ部24A及び第2フランジ部24Bにも同様に貫通孔が設けられており、第1フランジ部24Aと第2フランジ部24Bとが固定部材41によって固定される。
図1に示す例では、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとは、8個の固定部材41によって固定される。つまり、貫通孔23Aa、貫通孔23Baも配管10の軸方向に沿って、それぞれ第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bにそれぞれ8か所ずつ設けられている。なお、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとの固定箇所は、9か所以上でもよく、7か所以下であってもよい。
ここで、図3に示すように、第1補強部材21Aの第1湾曲板部22A及び第2補強部材21Bの第2湾曲板部22Bが、配管10を囲んで固定された際に、周方向に隣り合う第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとの間には、所定の隙間SPが設けられる。すなわち、固定部材41で第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを近接させて固定することにより、隙間SPの分だけ第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとが周方向に近づく方向に引っ張られる。これにより、第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとで形成される環状部22の内径D2(図2参照)が小さくなり、発泡金属層31が径方向に圧縮変形するとともに、配管10は、径方向の内側に向かって締め付ける応力が加えられる。これにより、配管10の膨張に対抗することができ、配管10の強度が補強される。
本実施形態では、配管10の外周面10sを囲んで発泡金属層31が設けられているので、配管10の製造バラツキに起因して配管10の外径D1(図2参照)が、環状部22の内径D2よりも小さい場合であっても、配管10と第1湾曲板部22Aとの間、及び配管10と第2湾曲板部22Bとの間に隙間が生じることを抑制できる。このため、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを周方向に近接させて固定した際に、発泡金属層31を介して、配管10に対して径方向の内側に向かって締め付ける応力が加えられ配管10の強度の補強を行うことができる。したがって、本実施形態の配管の補強構造1によれば、配管10ごとに形状バラツキが存在する場合であっても、配管10ごとの形状に合わせて第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを作製する必要がなく、発泡金属層31の厚さを調整することで、容易に配管10の補強を行うことが可能である。
また、発泡金属層31は、配管10の周方向の全周に設けられているので、配管10の断面形状の微小な変形や偏心等により生じる応力の集中を抑制して、配管10の周方向の全周において補強を行うことができる。
図3に示す例では、発泡金属層31は3層積層されているが、これに限定されない。例えば、発泡金属層31は1層又は2層であってもよく、或いは、4層以上積層されていてもよい。配管10ごとに外径D1のバラツキが存在する場合であっても、容易に発泡金属層31の積層数を適宜変更することが可能である。発泡金属層31の厚さtcは、配管10の外径D1と環状部22の内径D2との差分に基づいて設定することができ、tc>(D2−D1)/2を満たす厚さとすることができる。
上述したように、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの、配管10の軸方向における長さが、それぞれ、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの長さよりも長くなっている。図4及び図5に示すように、第1補強部材21Aの第3部分21Ac及び第2補強部材21Bの第3部分21Bcにおいて、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられていない。
図4に示すように、第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bは、配管10の外周面10sを環状に囲んでいる。第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられていない第3部分21Ac及び第3部分21Bcにおいても、第1湾曲板部22Aと配管10の間、及び第2湾曲板部22Bと配管10の間に発泡金属層31が設けられている。
図5に示すように、第1湾曲板部22Aの周方向の端部と、第2湾曲板部22Bの周方向の端部とは、隙間SPを有して対向している。第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとの間の隙間SPは、図3に示す第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとの間の隙間SPと同じ大きさとなっている。
図1に示す第1補強部材21Aの第3部分21Ac及び第2補強部材21Bの第3部分21Bcにおいても、固定部材41で第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを近接させて固定することにより、隙間SPの分だけ第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとが周方向に近づく方向に移動する。これにより、第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとで形成される環状部22の内径D2(図2参照)が小さくなり、発泡金属層31が径方向に圧縮変形するとともに、配管10は、径方向の内側に向かって締め付ける応力が加えられる。これにより、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられていない第3部分21Ac及び第3部分21Bcにおいても、配管10の強度が補強される。
図5に示すように、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられていない部分においても発泡金属層31は厚さtcを有しており、発泡金属層31が径方向に圧縮変形する。このため、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられている部分と、設けられていない部分とで、配管10に加えられる応力の差を抑制することができ、配管10の軸方向に沿って効率的に配管10の強度を高めることができる。
なお、図1に示す第1補強部材21Aの第1部分21Aa及び第2補強部材21Bの第1部分21Baにおいても、固定部材41で第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを近接させて固定することにより、隙間SPの分だけ第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとが周方向に近づく方向に引っ張られる。これにより、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられていない部分においても、配管10は、径方向内側に向かって締め付ける応力が加えられ、配管10の強度が補強される。
以上のように、本実施形態において、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bは、配管10の軸方向に沿った方向に延びており、発泡金属層31は、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bと重なって、配管10の軸方向に沿った方向に設けられる。これにより、配管10の軸方向に沿った方向おいて、第1補強部材21Aと配管10との間及び第2補強部材21Bと配管10との間に隙間が生じることを抑制でき、効果的に配管10の補強を行うことができる。
また第1湾曲板部22A及び第2湾曲板部22Bの、配管10の軸方向における長さが、それぞれ、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bの、配管10の軸方向における長さよりも長くなっている。これにより、第1フランジ部23A及び第2フランジ部23Bが設けられていない第1補強部材21Aの第1部分21Aa、第3部分21Ac及び第2補強部材21Bの第1部分21Ba、第3部分21Bcにおいても、配管10に対して締め付け応力が加えられ、配管10の軸方向に沿って効率的に配管10の強度を高めることができる。
第1補強部材21A及び第2補強部材21Bの、配管10の軸方向における長さは、適宜変更することができるが、例えば、配管10の外径D1の3倍以上とすることが好ましい。こうすれば、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを固定したときの、配管10に加えられる応力が軸方向に沿って分散され、配管10の応力集中の発生を抑制することができる。
図7は、溶接部が設けられた配管を示す正面図である。図8は、溶接部における配管の補強構造を説明するための縦断面図である。図7に示すように、配管10は、所定の長さに形成された複数の配管部材10aを有し、配管部材10aと配管部材10aとは、長手方向における互いの端部が突き合わされた状態で溶接されている。配管部材10aと配管部材10aとの接続部分において、周方向に沿って溶接部11が形成される。図7では2本の配管部材10aについて示しているが、配管10の直管部分は、複数の配管部材10aが溶接により接続されて、数百メートルにも及ぶ長さを有している。
図8に示すように、溶接部11は、配管10の外周面10sから径方向の外側に向かって突出する。ここで、配管10の外周面10sから径方向の外側に向かう方向における溶接部11の高さを高さh1とする。なお、本実施形態では、溶接部11が外周面10sから突出する場合を示しているが、溶接部11の近傍で凹部が形成される場合もある。
配管10、第1補強部材21A及び第2補強部材21B(図8では省略して示す)は、いずれも剛性を有する材料が用いられるので、仮に、発泡金属層31を介さず、直接、配管10の外周面10sに第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを設けた場合、溶接部11の凹凸に起因して隙間が生じる。第1補強部材21A及び第2補強部材21Bの締め付け応力が溶接部11に集中して加えられ、溶接部11の近傍の配管10には、隙間が生じるため、十分な締め付け応力が加えられない場合がある。
本実施形態において、発泡金属層31は、上述したように、配管10の周方向の全周に設けられるとともに、配管10の軸方向に沿った方向において、第1補強部材21A及び第2補強部材21B(図8では省略して示す)と重なって設けられる。つまり、発泡金属層31は、溶接部11を覆って配管10の外周面10sに設けられている。
発泡金属層31の厚さtcは、少なくとも溶接部11の高さh1よりも厚く設けられている。ここで、発泡金属層31の厚さtcは、溶接部11が設けられていない部分の厚さであり、配管10の外周面10sと第1湾曲板部22Aとの間の径方向の間隔である。発泡金属層31は、溶接部11が設けられた部分において、溶接部11が設けられていない部分よりも大きく圧縮変形する。これにより、発泡金属層31が溶接部11及び溶接部11の近傍の外周面10sに接触して、溶接部11の凹凸に起因する配管10の外周面10sと第1湾曲板部22Aとの間の隙間の発生を抑制することができる。
第1補強部材21A及び第2補強部材21B(図8では省略して示す)により、配管10の径方向の内側に向かって締め付ける応力が加えられる際に、溶接部11が設けられた部分と、溶接部11の近傍の溶接部11が設けられていない部分とに、発泡金属層31を介して応力が加えられる。このため、溶接部11における応力集中が抑制され、配管10の軸方向に沿った方向において配管10の強度が補強される。
図8に示すように、発泡金属層31は、配管10の外周面10sに複数重ねて設けられるので、発泡金属層31の1層の厚さが溶接部11の高さh1よりも薄い場合であっても、溶接部11の高さh1に応じて、発泡金属層31の層数を、適宜変更することが容易である。よって、発泡金属層31の全体の厚さtcを溶接部11の高さh1よりも厚くして、確実に配管10の強度を補強することができる。
(配管の補強方法)
次に、第1の実施形態に係る配管10の補強方法について説明する。図9は、第1の実施形態に係る配管の補強方法を説明するための第1補強部材及び第2補強部材の断面図である。本実施形態では、配管10の設計寸法に基づいて配管10の補強用具20を作製することができる。具体的には、環状部22の内径D3が、配管10の外径D1(図2参照)の設計寸法よりも大きくなるように、第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとを作製する。ここで、環状部22の内径D3は、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを当接させ、かつ、第1フランジ部24Aと第2フランジ部24Bとを当接させたときの、第1湾曲板部22Aと第2湾曲板部22Bとで形成される環状の断面形状の内径を示す。
上述したように、本実施形態では、配管10と第1補強部材21Aとの間、及び配管10と第2補強部材21Bとの間に発泡金属層31が設けられているので、環状部22の内径D3を、配管10の外径D1よりも大きくした場合であっても、第1補強部材21Aと配管10との間の隙間及び第2補強部材21Bと配管10との間の隙間の発生を抑制することができる。また、発泡金属層31が設けられるので、配管10の実際の寸法を計測して、配管10ごとの形状に合わせて第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを作製する必要がない。このため、配管10の設計寸法に基づいて第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを作製することができ、補強用具20の製造コストを低減できる。
図10は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程を説明するための正面図である。図10に示す工程では、配管10の外周に発泡金属層31を巻き付ける。この際、配管10の実際の形状を測定して、測定された配管10の外径D1(図2参照)と、環状部22の内径D3(図9参照)の設計寸法との差を充填できるように発泡金属層31の厚さtdを決定する。なお、配管10に発泡金属層31を巻き付けた状態の厚さtdは、図3等に示す、第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとを固定したときの発泡金属層31の厚さtcよりも厚くなっている。発泡金属層31を巻き付けた状態の厚さtdは、配管10の外径D1の大きさや、締め付け応力の大きさ、発泡金属層31の気孔率等に応じて適宜変更可能である。
図10に示す例では、発泡金属層31として長尺のシート状のものが用いられ、発泡金属層31は、配管10の軸方向に沿って、配管10の外周面10sにらせん状に巻き付けられる。こうすることで、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bと重なる部分の配管10に、軸方向に沿って発泡金属層31を容易に設けることができる。また、らせん状の発泡金属層31を複数層、重ねて配管10に巻き付けてもよい。
また、図10に示すように、発泡金属層31の、配管10の軸方向の端部同士が重なり合うように巻き付けることが好ましい。発泡金属層31の端部同士が重なり合う重畳部31aは、配管10の軸方向に沿ってらせん状に設けられる。こうすることで、発泡金属層31同士の間に隙間が生じることを抑制して、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bと、配管10との間の隙間の発生を抑制することができる。
発泡金属層31を巻き付ける方法は特に限定されるものではない。図11は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程の第1変形例を説明するための正面図である。図12は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程の第1変形例を説明するための断面図である。図13は、配管に発泡金属層を巻き付ける工程の第2変形例を説明するための断面図である。
図11に示すように、本変形例では、配管10の軸方向に沿って発泡金属層31が複数配列されている。発泡金属層31は、それぞれ配管10の周方向に巻き付けられる。図11に示す例では、発泡金属層31が、配管10の軸方向に隣り合って6つ配列されているが、発泡金属層31の幅、及び配管10の軸方向に配列される発泡金属層31の数は適宜変更してもよい。また、幅方向の端部同士が互いに重なるように複数の発泡金属層31を配列してもよい。
図12に示すように、発泡金属層31は、それぞれ配管10の外周の1周分の長さを有しており、配管10の周方向に1周ごとに巻き付けられる。発泡金属層31は、配管10の径方向において複数層重ねられる。これに限定されず、図13に示すように、長尺の発泡金属層31を用い、連続して複数の発泡金属層31を巻き付けてもよい。
図11から図13に示す例では、配管10の軸方向に沿って、各ブロックごとに発泡金属層31の厚さや積層数を変更できるという利点がある。例えば上述した溶接部11が設けられた箇所において、発泡金属層31の厚さを薄くして、溶接部11が設けられていない箇所において、発泡金属層31の厚さを厚くすることができる。このように、配管10の実際の寸法に対応して発泡金属層31の厚さを調整することが容易であり、確実に配管10における応力の集中を抑制することができる。
また、図10から図13に示す例では、配管10に発泡金属層31を巻き付ける例を示したが、これに限定されない。図14は、第1補強部材に発泡金属層を貼り付ける工程を説明するための断面図である。図15は、第2補強部材に発泡金属層を貼り付ける工程を説明するための断面図である。図14及び図15に示すように、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bにそれぞれ発泡金属層31A、31Bを設けてもよい。
図14に示すように、第1補強部材21Aの第1湾曲板部22Aに発泡金属層31Aが貼り付けられる。発泡金属層31Aは、第1湾曲板部22Aの内周面22Aaに沿って、第1フランジ部23Aと重なる位置から、第1フランジ部24Aと重なる位置まで貼り付けられる。図14では、発泡金属層31Aは複数、積層されており、発泡金属層31Aと第1湾曲板部22Aとの間、及び発泡金属層31Aの各層間は、図示しない接着層を介して貼り合わされる。
また、図15に示すように、第2補強部材21Bの第2湾曲板部22Bに発泡金属層31Bが貼り付けられる。発泡金属層31Bは、第2湾曲板部22Bの内周面22Baに沿って、第2フランジ部23Bと重なる位置から、第2フランジ部24Bと重なる位置まで貼り付けられる。図15では、図14に示す発泡金属層31Aの合計の厚さと同じ厚さになるように、発泡金属層31Bが複数、積層される。発泡金属層31Bと第2湾曲板部22B、及び各層の発泡金属層31B同士は、図示しない接着層を介して貼り合わされる。
図14及び図15に示すように、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bにそれぞれ発泡金属層31A、31Bを貼り付ける方法では、発泡金属層31A、31Bを貼り付ける作業を行う場所が配管10の設置場所に限定されないので、配管10の周囲に十分なスペースが確保できない場合であっても、容易に発泡金属層31A、31Bを貼り付けることができる。また、発泡金属層31Aと発泡金属層31Bとは、互いに異なる厚さになるように設けてもよい。これにより、配管10の断面形状に偏心等の歪みが発生している場合であっても、配管10の周方向において良好に補強することができる。
図16は、配管に第1補強部材及び第2補強部材を取り付ける工程を説明するための模式図である。図16に示すように配管10を配管支持部101、102により支持する。上述のように、配管10に発泡金属層31を巻き付けた後に、若しくは、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bにそれぞれ発泡金属層31A、31Bを貼り付ける。その後に、配管10を囲むように第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを配置して、補強用具支持部103、104により、第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとを仮固定する。このとき、第1フランジ部23Aと第2フランジ部23Bとを対向させて、貫通孔23Aaと貫通孔23Ba(図3参照)とが連続するように第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとの位置の微調整を行う。
そして、固定部材41を所定のトルクで締め付けることで、第1補強部材21A及び第2補強部材21Bから、発泡金属層31(図16では図示しない)を介して、配管10に対して径方向に締め付ける応力が加えられる。以上のような補強方法により、配管10の強度が補強される。なお、図16に示す第1補強部材21A及び第2補強部材21Bを取り付ける方法は、あくまで一例であって、配管支持部101、102、補強用具支持部103、104等の構成は、適宜変更してもよい。
(第2の実施形態)
図17は、第2の実施形態に係る配管の補強構造を説明するための正面図である。図18は、第2の実施形態に係る配管を示す正面図である。図17及び図18に示すように、本実施形態の配管12は、湾曲部12aと、直管部12bと、直管部12cとを有する。直管部12bは、水平方向において直線状に延びる配管である。直管部12cは、直管部12bの延出方向に対して直交する方向に直線状に延びる配管である。湾曲部12aは、略90°(L字状)に湾曲し、直管部12bと直管部12cとを接続する。本実施形態の配管の補強構造1Aにおける補強対象部分は、配管12の湾曲部12a、いわゆるエルボー部分である。湾曲部12aは、略90°(L字状)に湾曲する構成に限定されず、例えば、略45°に湾曲するものであってもよいし、略180°(U字状)に湾曲する構成であってもよい。
図18に示すように、配管12において、湾曲部12aと直管部12bとの接続部分において、周方向に沿って溶接部11Aが形成される。また、湾曲部12aと直管部12cとの接続部分において、周方向に沿って溶接部11Bが形成される。さらに、湾曲部12aの内側湾曲部に沿って溶接部11Cが設けられている。配管12において、これらの溶接部11A、11B、11Cの近傍に凹凸が設けられる。
図17に示すように、配管12の湾曲部12aに、補強用具20A、20B、20C、20D、20Eが取り付けられている。補強用具20A、20B、20C、20D、20Eは、湾曲部12aの軸方向に沿った方向に並んで配置される。補強用具20A、20B、20C、20D、20Eは、それぞれ、第1補強部材21Cと第2補強部材21Dとを含む。第1補強部材21C及び第2補強部材21Dは、配管12の軸方向に沿って所定の長さを有しており、第1補強部材21Cと第2補強部材21Dとで湾曲部12aの外周面12asを囲んで配置される。
補強用具20A、20B、20C、20D、20Eは、湾曲部12aに配置されることから、湾曲部12aの外側湾曲部に対応する部分と、湾曲部12aの内側湾曲部に対応する部分とで長さが異なっている。すなわち、湾曲部12aの軸方向において、第2補強部材21Dの、湾曲部12aの内側湾曲部に対向する部分の長さL1は、第1補強部材21Cの、湾曲部12aの外側湾曲部に対向する部分の長さL2よりも短くなっている。
第1の実施形態と同様に、第1補強部材21Cは、第1湾曲板部22Cと、第1フランジ部23Cとを有する。第2補強部材21Dは、第2湾曲板部22Dと、第2フランジ部23Dとを有する。なお、図17では図示を省略するが、第1湾曲板部22Cの、第1フランジ部23Cに対し反対側の端部において、第1フランジ部23Cと同様の第1フランジ部が設けられている。また、第2湾曲板部22Dの、第2フランジ部23Dに対し反対側の端部において、第2フランジ部23Dと同様の第2フランジ部が設けられている。
本実施形態において、第1補強部材21Cと湾曲部12aとの間及び第2補強部材21Dと湾曲部12aとの間に発泡金属層32が設けられている。第1フランジ部23Cと第2フランジ部23Dとを固定部材41で締め付けて固定することにより、第1湾曲板部22Cと第2湾曲板部22Dとが、周方向に互いに近づく方向に引っ張られる。これにより、第1補強部材21C及び第2補強部材21Dから、湾曲部12aに対し、径方向の内側に向かう締め付け応力が加えられ、湾曲部12aの強度が補強される。
本実施形態においても、第1補強部材21C及び第2補強部材21Dから加えられる締め付け応力によって、発泡金属層32は、湾曲部12aの径方向に圧縮変形する。これにより、第1補強部材21Cと湾曲部12aとの間及び第2補強部材21Dと湾曲部12aとの間に隙間が発生することを抑制して、応力の集中を抑制できる。湾曲部12aは、設計寸法に対して、外径形状や湾曲形状の実際の寸法の誤差が生じやすい箇所であるが、発泡金属層32を設けることで、寸法の誤差による隙間の発生を抑制できる。
図19は、第2の実施形態に係る配管に発泡金属層を巻き付けたときの正面図である。図20は、第2の実施形態に係る配管に発泡金属層を巻き付けたとき他の例を示す正面図である。本実施形態において、図19に示すように、発泡金属層32として長尺のシート状のものが用いられ、発泡金属層32は、湾曲部12aの軸方向に沿って、湾曲部12aの外周面12asにらせん状に巻き付けられる。これにより、湾曲部12aの湾曲した部分であっても容易に発泡金属層32を巻き付けることができる。発泡金属層32は、上述したように複数、積層してもよい。
この際、発泡金属層32は、溶接部11A、11B、11Cを覆って設けられる。これにより、溶接部11A、11B、11Cの近傍に生じる凹凸に対応して発泡金属層32が圧縮変形するので、溶接部11A、11B、11Cにおける応力の集中を抑制して、湾曲部12aの強度を補強することができる。
図19に示す、発泡金属層32の巻き付け方法はあくまで一例であって、他の方法であってもよい。例えば、図20に示すように、湾曲部12aの軸方向に沿って、発泡金属層32A、32B、32C、32D、32Eが配列されていてもよい。発泡金属層32A、32B、32C、32D、32Eは、補強用具20A、20B、20C、20D、20E(図17参照)にそれぞれ重なる位置に設けられる。
図20に示す例では、発泡金属層32A、32B、32C、32D、32Eごとに、形状や厚さ等を変更することができるので、例えば、溶接部11A、11Bに重なる発泡金属層32A、32Eを、他の部分と異なる厚さにする等、適宜調整を行うことができる。また、図14及び図15に示した例と同様に、発泡金属層32は、第1補強部材21C及び第2補強部材21Dに貼り付けてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、第1の実施形態に示す第1補強部材21Aと第2補強部材21Bとは、互いに線対称の正面形状及び断面形状であるが、互いに非対称な形状であってもよい。また、第1フランジ部23A、24Aと第2フランジ部23B、24Bは、それぞれ2つずつ設けられているが、第1湾曲板部22Aの一端側に第1フランジ部23Aを設け、第2湾曲板部22Bの一端側に第2フランジ部23Bを設け、第1湾曲板部22Aの他端側と第2湾曲板部22Bの他端側とは、例えば、ヒンジ構造により稼働可能に固定されていてもよい。
1、1A 配管の補強構造
10、12 配管
10a 配管部材
10s、12as 外周面
11、11A、11B、11C 溶接部
12a 湾曲部
12b、12c 直管部
20、20A、20B、20C、20D、20E 補強用具
21A、21C 第1補強部材
21B、21D 第2補強部材
22 環状部
22A、22C 第1湾曲板部
22B、22D 第2湾曲板部
22Aa、22Ba 内周面
23A、23C、24A 第1フランジ部
23B、23D、24B 第2フランジ部
23Aa、23Ba 貫通孔
25A、25B 肉厚部
31、31A、31B、32、32A、32B、32C、32D、32E 発泡金属層
35 気孔
41 固定部材
D1 外径
D2、D3 内径

Claims (12)

  1. 高温高圧の蒸気を流すための配管を補強する補強構造であって、
    前記配管の外周面と対向して湾曲する第1湾曲板部と、前記第1湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出する第1フランジ部とを有する第1補強部材と、
    前記配管の外周面と対向して湾曲し、前記第1湾曲板部と前記配管の周方向に隣り合って配置される第2湾曲板部と、前記第2湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出し、前記第1フランジ部と対向する第2フランジ部とを有する第2補強部材と、
    前記第1補強部材と前記第2補強部材とが前記配管の外周面に配置された際に、対向する前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを固定するための固定部材と、
    前記第1補強部材と前記配管との間及び前記第2補強部材と前記配管との間に設けられ、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とが互いに固定される際に、前記配管の径方向に圧縮変形する発泡金属層と、を有する配管の補強構造。
  2. 前記発泡金属層は、前記配管の周方向の全周に設けられる請求項1に記載の配管の補強構造。
  3. 前記第1補強部材及び前記第2補強部材は、前記配管の軸方向に沿った方向に延びており、
    前記発泡金属層は、前記第1補強部材及び前記第2補強部材と重なって、前記配管の軸方向に沿った方向に設けられる請求項1又は請求項2に記載の配管の補強構造。
  4. 前記発泡金属層は、前記配管の外周面から径方向の外側に突出する溶接部を覆って設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  5. 前記発泡金属層は、前記配管の外周面に複数重ねて設けられる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  6. 前記発泡金属層は、前記配管の軸方向に沿って、前記配管の外周面にらせん状に巻き付けられる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  7. 前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを当接させた際に前記第1湾曲板部と前記第2湾曲板部とで形成される環状部の内径が、前記配管の外径よりも大きい請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  8. 前記第1湾曲板部及び前記第2湾曲板部の、前記配管の軸方向における長さが、それぞれ、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部の、前記配管の軸方向における長さよりも長い請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  9. 前記第1補強部材及び前記第2補強部材の、前記配管の軸方向における長さは、前記配管の外径の3倍以上である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  10. 前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部の、前記配管の周方向における厚さは、それぞれ、前記第1湾曲板部及び前記第2湾曲板部との接続箇所において、径方向の外側の部分よりも厚い請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の配管の補強構造。
  11. 高温高圧の蒸気を流すための配管を補強する補強方法であって、
    前記配管の外周面に発泡金属シートを巻き付ける工程と、
    前記配管の外周面と対向して湾曲する第1湾曲板部と、前記第1湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出する第1フランジ部とを有する第1補強部材と、前記配管の外周面と対向して湾曲する第2湾曲板部と、前記第2湾曲板部の周方向の端部から前記配管の径方向の外側に突出する第2フランジ部とを有する第2補強部材と、を用意して、前記第1補強部材と前記第2補強部材とを前記配管の外周面を囲んで配置し、対向する前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを固定することで、前記発泡金属シートを前記配管の径方向に圧縮変形させる工程と、を含む配管の補強方法。
  12. 前記第1フランジ部と前記第2フランジ部とを当接させた際に、前記第1湾曲板部と、前記第2湾曲板部とで形成される環状部の内径が、前記配管の外径よりも大きくなるように、前記第1補強部材と前記第2補強部材とを形成する工程を含む請求項11に記載の配管の補強方法。
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