JPWO2018037440A1 - 飛行時間型質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

加速電圧発生部(7)は、高電圧電源部(75)で生成された直流高電圧をスイッチ部(74)でオン/オフ駆動し、押出電極(11)に印加する高電圧パルスを生成する。スイッチ部(74)には、制御部(6)から一次側ドライブ部(71)、トランス(72)、二次側ドライブ部(73)を経て駆動用パルス信号が供給される。一次電圧制御部(61)は、加速電圧発生部(7)の周囲温度の計測結果を温度センサ(77)から受け、その温度に応じて一次側電圧を変更するように一次側電源部(76)を制御する。これにより、トランス(72)の一次巻線両端への印加電圧が調整される。周囲温度が変化するとスイッチ部(74)のMOSFET等の特性が変化して高電圧パルスの立上り/立下りのタイミングがズレるが、上記一次側電圧の調整により、MOSFETのゲート電圧の立上りのスロープの傾斜を変化させ、高電圧パルスの立上り/立下りのタイミングのズレを補正することができる。その結果、周囲温度に拘わらず高い質量精度を実現できる。

Description

本発明は飛行時間型質量分析装置に関し、さらに詳しくは、飛行時間型質量分析装置のイオン射出部においてイオンを飛行させるための加速エネルギをイオンに付与するべく所定の電極に高電圧を印加する高電圧電源装置に関する。
飛行時間型質量分析装置(TOFMS)では、イオン射出部から試料由来の各種イオンを射出し、該イオンが一定の飛行距離を飛行するのに要する飛行時間を計測する。飛行するイオンはその質量電荷比m/zに応じた速度を有するため、上記飛行時間はそのイオンの質量電荷比に応じたものとなり、飛行時間から質量電荷比を求めることができる。
図13は、一般的な直交加速方式TOFMS(以下、適宜「OA−TOFMS」と略す)の概略構成図である。
図13において、図示しないイオン源で試料から生成されたイオンは図中に矢印で示すようにZ軸方向にイオン射出部1に導入される。イオン射出部1は、対向して配置されている平板状の押出電極11とグリッド状の引出電極12とを含む。制御部6からの制御信号に基づいて加速電圧発生部7は、所定のタイミングで押出電極11若しくは引出電極12又はその両電極にそれぞれ所定の高電圧パルスを印加する。これにより、押出電極11と引出電極12との間を通過するイオンはX軸方向に加速エネルギを付与され、イオン射出部1から射出されて飛行空間2に送り込まれる。イオンは無電場である飛行空間2中を飛行したあとリフレクタ3に入射する。
リフレクタ3は円環状である複数の反射電極31とバックプレート32を含み、該反射電極31及びバックプレート32にはそれぞれ反射電圧発生部8から所定の直流電圧が印加される。これにより、反射電極31で囲まれる空間には反射電場が形成され、この電場によってイオンは反射されて飛行空間2中を再び飛行して検出器4に到達する。検出器4は到達したイオンの量に応じたイオン強度信号を生成しデータ処理部5に入力する。データ処理部5は、イオン射出部1からイオンが射出された時点を飛行時間ゼロとして飛行時間とイオン強度信号との関係を示す飛行時間スペクトルを作成し、予め求めておいた質量校正情報に基づいて飛行時間を質量電荷比に換算することでマススペクトルを算出する。
上記OA−TOFMSのイオン射出部1では、イオンを射出する際に、短い時間幅で且つkVオーダーである高電圧のパルスを押出電極11や引出電極12に印加する必要がある。こうした高電圧パルスを生成するために、特許文献1に開示されているような電源回路(該文献ではパルサー電源と呼ばれている)が従来用いられている。
該電源回路は、高電圧パルスが発生するタイミングを制御するための低電圧パルス信号を生成するパルス発生部と、低電圧で動作する制御系回路と高電圧で動作する電力系回路との間を電気的に絶縁しつつ上記パルス信号を制御系回路から電力系回路へと伝送するパルストランスと、該トランスの二次巻線に接続されたドライブ回路と、直流高電圧を生成する高電圧回路と、上記ドライブ回路を通して与えられる制御電圧に応じて上記高電圧回路による直流電圧をオン/オフしてパルス化するMOSFETによるスイッチング素子と、を含んで構成される。なお、こうした回路は、TOFMSに限らず高電圧パルスを生成するために一般的に利用されているものである(特許文献2等参照)。
上述したように、TOFMSではイオンが射出される又はイオンが加速される時点を起点として各イオンの飛行時間を計測する。そのため、質量電荷比の測定精度を高めるには、飛行時間の計測開始時点と、実際にイオン射出のための高電圧パルスが押出電極等に印加されるタイミングと、ができるだけ一致していることが重要である。
上記電源回路では低電圧パルス信号から高電圧パルスを生成するために、CMOSロジックICやMOSFETなどの半導体部品やパルストランスが使用されている。これら部品や素子では、或る信号が入力された時点からそれに対する信号が出力されるまでに伝搬遅延が生じるし、また電圧波形(又は電流波形)が変化する際にはその立上りや立下りに或る程度の時間が掛かる。こうした伝搬遅延時間、立上り時間、立下り時間は常に一定というわけではなく、部品や素子の温度に応じて変化する。そのため、電源回路の周囲温度が相違すると、押出電極等への高電圧パルスの印加タイミングに時間的なズレが発生し、それがマススペクトルの質量ズレを少なからず引き起こす。
こうした問題に対し、特許文献3に記載のTOFMSでは、測定時に電気系回路の温度を計測し、測定により得られた飛行時間データを計測した温度に応じて補正することで質量ズレを解消するようにしている。即ち、この方法は、電源回路の周囲温度が例えば標準的な温度とは相違した場合に、飛行時間にズレが生じることを許容しつつ、そのズレをデータ処理によって解消するものである。こうした方法において高い精度で飛行時間ズレを補正するには、温度ズレと飛行時間ズレとの関係を示す補正情報を高い精度で求めておく必要があるが、一般に、飛行時間は様々な要因、例えば各部の温度のみならず、リフレクタや検出器等の部品の取付精度、リフレクトロンの汚れ等による反射電場の変動、などによって変動するため、或る条件の下で上記補正情報を求めてもその補正情報を利用して精度の高い補正ができるとは限らない。
また、測定実行後にデータに対し補正処理を行うとそれだけマススペクトルの作成に遅れが生じるため、例えば、通常の質量分析により得られたマススペクトルをリアルタイムで解析し引き続き実施するMS/MS分析のプリカーサイオンを決定する場合に、MS/MS分析の実施が遅れるおそれがある。
特開2001−283767号公報 特開平5−304451号公報 米国特許第6700118号明細書
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、イオン射出のための高電圧パルスを生成する電源回路の周囲温度に変化があったり或いはその周囲温度と標準的な温度とで大きな差異があったりする場合でも、データ処理による飛行時間等の補正を行うことなく、飛行時間の計測開始時点とイオン射出時点との時間ズレを軽減して高い質量精度を達成することができる飛行時間型質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンが飛行する飛行空間と、電極に印加される電圧によって形成される電場の作用により測定対象のイオンに加速エネルギを与えて前記飛行空間へ向けて射出するイオン射出部と、前記飛行空間を飛行して来たイオンを検出するイオン検出器と、を具備する飛行時間型質量分析装置であって、
a)前記イオン射出部の前記電極にイオン射出用の高電圧パルスを印加するものであって、直流高電圧を発生する直流電源部と、一次巻線と二次巻線を含むトランスと、イオンを射出するためのパルス信号が入力され、該パルス信号に応じて前記トランスの一次巻線に駆動電流を供給する一次側ドライブ回路部と、前記トランスの二次巻線に接続された二次側ドライブ回路部と、該二次側ドライブ回路部によりオン/オフ駆動され前記直流電源部による直流高電圧をパルス化するスイッチング素子と、前記一次側ドライブ回路部を通して前記トランスの一次巻線の両端に印加する電圧を生成する一次側電源部と、を含む高電圧パルス生成部と、
b)前記高電圧パルス生成部の周囲温度を計測する温度計測部と、
c)前記温度計測部により計測された温度に応じて前記高電圧パルス生成部における前記トランスの一次巻線の両端に印加する電圧を変化させるように前記一次側電源部を制御する制御部と、
を備えることを特徴としている。
一般に、上記高電圧パルス生成部においてトランスの一次巻線の両端に印加される電圧の電圧値は固定である。それに対し本発明に係る飛行時間型質量分析装置では、トランスの一次巻線の両端に印加される電圧が固定ではなく一次側電源部により調整可能となっている。そして、制御部は、温度計測部で計測された高電圧パルス生成部の周囲温度に応じて一次側電源部を制御し、トランスの一次巻線の両端電圧を変化させる。トランスの一次巻線の両端電圧を変化させると、スイッチング素子の制御端に印加されるパルス信号の波高値が変化する。すると、スイッチング素子の制御端の入力容量等を充電する電流が変化し、その制御端の実際の電圧の立上り及び立下りのスロープの傾きが変わる。それによって、その電圧スロープがスイッチング素子の閾値電圧を横切るタイミングが変化し、高電圧パルスの立上り/立下りのタイミングが変化する。
そこで、制御部は例えば周囲温度と予め定めた標準温度との差に応じてトランスの一次巻線の両端電圧を標準電圧よりも所定電圧だけ高い又は低い電圧に調整する。それにより、スイッチング素子の制御端の実際の電圧の立上りのスロープの傾きが変わり、該スロープが閾値電圧を横切るタイミングを周囲温度に依らずにほぼ一致させることができる。その結果、周囲温度が異なっても高電圧パルスの立上りの時間的変化を抑えることができ、常にほぼ同じタイミングでイオンを加速し、飛行空間に向けて射出させることが可能となる。
また本発明に係る飛行時間型質量分析装置の一態様として、前記制御部は、周囲温度の変化と出力される高電圧パルスの時間的変化との関係を示す情報、及び、前記トランスの一次巻線の両端電圧の変化と出力される高電圧パルスの時間的変化との関係を示す情報、をそれぞれ記憶した記憶部を備え、該記憶部に記憶された情報に基づいて前記一次側電源部を制御する構成とすることができる。
この構成によれば、予め記憶部に記憶された情報を参照して周囲温度に対応した印加電圧を直接的に求めることができるので、装置の構成が簡単になる。なお、通常、記憶部に記憶される情報は本装置の製造メーカが実験的に求めておくようにすることができる。
なお、本発明に係る飛行時間型質量分析装置は、高電圧パルスを電極に印加することで形成される電場によってイオンを加速して飛行空間へと送り出す構成の全ての飛行時間型質量分析装置に適用可能である。即ち、本発明は直交加速方式飛行時間型質量分析装置のみならず、イオントラップに保持したイオンを加速して飛行空間へと送り出すイオントラップ飛行時間型質量分析装置や、MALDIイオン源等により試料から生成されたイオンを加速して飛行空間へと送り出す飛行時間型質量分析装置にも適用可能である。
本発明に係る飛行時間型質量分析装置によれば、イオン射出のための高電圧パルスを生成する高電圧パルス生成部の周囲温度に変化があったり或いはその周囲温度と標準温度とで大きな差異があったりする場合でも、イオンを射出するための電極への高電圧パルスの印加のタイミングを常に同じに保つことができる。それにより、周囲温度の変化や相違に起因するマススペクトルの質量ズレを防止し、高い質量精度のマススペクトルを得ることができる。また、データ取得後のデータ処理による補正ではなく、測定時点で、さらにいえばイオンが射出される時点で周囲温度の相違の影響が補正されているので、飛行時間に変動をもたらすような様々な要因が生じた場合でも、そうした要因の影響を受けずに正確な補正が可能である。また、データ取得後の補正のためのデータ処理に要する時間も不要である。
本発明の一実施例であるOA−TOFMSの概略構成図。 本実施例のOA−TOFMSの加速電圧発生部における要部の波形図。 本実施例のOA−TOFMSにおける加速電圧発生部の概略回路構成図。 高電圧オン/オフ用のMOSFETにおける実測のゲート電圧波形を示す図。 実測の出力電圧波形(高電圧パルス波形)を示す図。 立上り時間補正を行わずに周囲温度を変化させた場合の実測の出力電圧波形を示す図。 図6中の一部拡大図。 トランスの一次側電圧を175V→177.5Vに変化させた場合の実測のゲート電圧波形を示す図。 図8中の一部拡大図。 図8中の電圧立ち上がりスロープの模式図。 トランスの一次側電圧を175V→177.5Vに変化させた場合の実測の出力電圧波形を示す図。 図11中の一部拡大図。 一般的なOA−TOFMSの概略構成図。
以下、本発明の一実施例であるOA−TOFMSについて、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のOA−TOFMSの概略構成図、図3は加速電圧発生部の概略回路構成図である。先に説明した図13と同じ構成要素には同じ符号を付して詳しい説明を省略する。また、図1では煩雑さを避けるために、図13では記載していたデータ処理部5を省略している。
本実施例のOA−TOFMSにおいて、加速電圧発生部7は、一次側ドライブ部71、トランス72、二次側ドライブ部73、スイッチ部74、高電圧電源部75、一次側電源部76、及び温度センサ77、を含む。また、制御部6は一次側電圧制御部61、一次側電圧設定情報記憶部62を含む。制御部6は一般的には、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されるが、同様の機能をFPGAなどのハードウェア回路で実現できることは言うまでもない。
図3に示すように、加速電圧発生部7においてスイッチ部74は、正極側(図3中の電圧出力端79よりも上側)、負極側(図3中の電圧出力端79よりも下側)それぞれ、電力用MOSFET741を直列に多段(本例では六段)接続したものである。高電圧電源部75からスイッチ部74の両端に印加される電圧+V、−Vは測定対象であるイオンの極性によって変わり、イオンの極性が正であるときには例えば+V=2500V、−V=0Vである。トランス72はリングコア形のトランスであり、リングコアをスイッチ部74の各段のMOSFET741のゲート端子に対応して設け(つまり12個のリングコアを設ける)、各リングコアに巻回した二次巻線を二次側ドライブ部73のMOSFET731、732に接続し、リングコアに貫通させた1ターンのケーブル線を一次巻線とする。このケーブル線には高圧絶縁電線を使用し、これによって一次側と二次側とを電気的に絶縁する。なお、二次側の巻線数は任意で構わない。
一次側ドライブ部71は複数のMOSFET711、712、715〜718、複数のトランス713、714を含み、正極側パルス信号入力端781及び負極側パルス信号入力端782からパルス信号a、bがそれぞれ入力される。いま図2(a)、(b)に示すように時刻t0において、負極側パルス信号入力端782に入力されるパルス信号bの電圧がゼロに維持されている状態で、正極側パルス信号入力端781にハイレベルのパルス信号aが入力されると、MOSFET711はオンする。これにより、トランス713の一次巻線に電流が流れ、二次巻線の両端に所定の電圧が誘起される。これにより、MOSFET715、716は共にオンする。一方、MOSFET712はオフ状態であるからトランス713の一次巻線には電流が流れず、MOSFET717、718は共にオフ状態である。そのため、トランス72の一次巻線の両端にはおおよそVDDの電圧が印加され、該一次巻線には図3において下向きに電流が流れる。
これによってトランス72の各二次巻線の両端には所定の電圧が誘起される。このとき、二次側ドライブ部73に含まれるMOSFET731、732、抵抗733を介してスイッチ部74の各MOSFETのゲート端子に印加される電圧は、おおよそ次の式で表せる。
[ゲート電圧]≒{[トランス72の一次側電圧]/[スイッチ部74のMOSFET741の直列段数]}×[トランス72の二次巻線数] …(1)
例えば、トランス72の一次側電圧(VDD)を175V、スイッチ部74のMOSFET741の直列段数を12段、トランス72の二次巻線数を1ターンとすると、(175/12)×1=14V程度の電圧がスイッチ部74の各MOSFET741のゲート端子に印加される。
スイッチ部74の正極性側の六段のMOSFET741のゲート端子−ソース端子間には上記電圧が順方向に印加されるため、それらMOSFET741はオンする。一方、スイッチ部74の負極性側の六段のMOSFET741のゲート端子−ソース端子間には上記電圧が逆方向に印加されるため、それら7段のMOSFET741はオフする。その結果、高電圧電源部75からの電圧供給端と電圧出力端79とはほぼ直結し、該電圧出力端78に+V=+2500Vの電圧が出力される。
時刻t1において、正極側パルス信号入力端781に入力されるパルス信号aのレベルがローレベル(電圧ゼロ)に変化すると、トランス72の一次巻線の両端の電圧はゼロになるが、二次側ドライブ部73とMOSFET741のゲート入力容量Cによって、MOSFET741のゲート端子に印加される電圧は維持される。そのため、電圧出力端79からの出力電圧は+V=+2500Vに維持される。そのあと時刻t2において、負極側パルス信号入力端782に入力されるパルス信号bのレベルがハイレベルに変化すると、今度は、MOSFET712がオンし、それに伴いMOSFET717、718がオンして、トランス72の一次巻線の両端には先と逆方向に電圧が印加され、逆方向に電流が流れる。それにより、トランス72の二次巻線の両端にはそれぞれ、先と逆方向に電圧が誘起され、スイッチ部74の正極性側のMOSFET741はオフし、負極性側のMOSFET741はオンする。その結果、電圧出力端79から出力される電圧はゼロになる。
加速電圧発生部7は上述した動作によって、正極側パルス信号入力端781及び負極側パルス信号入力端782に入力されるパルス信号a、bに応じたタイミングで高電圧パルスを生成する。図4はMOSFET741のゲート電圧が負電圧から正電圧へ変化する際の実測のゲート電圧波形、図5はこのときの電圧出力端79からの出力電圧Voutの波形である。横軸はいずれも5[nsec/div]である。
上記加速電圧発生部7において、電圧出力端79から出力される正極性及び負極性の高電圧パルスの立上り/立下りのタイミングは、スイッチ部74のMOSFET741がオン/オフするタイミング、つまり、それらMOSFET741のゲート電圧の立上り/立下りのタイミングで決まる。例えば、図2に示した波形の例では、(e)で示す高電圧パルスが−Vから+Vに変化するタイミングは、正極性側のMOSFET741のゲート電圧(図2(c)参照)が負電圧から正電圧に変化するタイミングと、負極側MOSFET741のゲート電圧(図2(d)参照)が正電圧から負電圧に変化するタイミングとの両方で決まる。一般にMOSFETではゲート電圧の閾値は数V(本例では約3V)であり、ゲート電圧の立上りのスロープがこの閾値電圧を横切るときにMOSFET741はオフからオンに転じる。
加速電圧発生部7の周囲温度を変化させた場合における実測の出力電圧Voutの波形を図6に示す。また図7は図6中の一部拡大図である。ここでは、周囲温度は15℃と35℃である。これら図から分かるように、周囲温度を15℃から35℃に変化させると、高電圧パルスの立上りのタイミングは200[ps]程度遅くなる。これはスイッチ部74のMOSFET741や一次側ドライブ部71のMOSFET711、712、715〜718などの半導体素子、さらには、正極側パルス信号入力端781や負極側パルス信号入力端782に供給するパルス信号を生成する図示しないロジックICなどの立上り/立下り特性・信号伝搬特性の温度依存性などに起因するものであると推定できる。本実施例の装置の場合、200[ps]の高電圧パルスの立上りのタイミングの遅延はm/z=1000のイオンにおいて数ppm程度の質量ズレをもたらす。精密な質量測定では質量ズレを1ppm以下にすることが求められるが、上記の温度変化に伴う質量ズレはこれを大きく超えてしまう。
そこで本実施例のOA−TOFMSでは、以下のようにして温度変化に伴う出力電圧波形の時間ズレを解消し質量精度を高める。
図8はトランス72の一次側電圧を175Vから177.5Vに増加させた場合の実測のMOSFET741のゲート電圧波形を示す図であり、図9はその一部拡大図である。また、図10は図8中の電圧立ち上がりスロープの模式図である。図8、図9から分かるように、トランス72の一次側電圧を175Vから177.5Vに増加させると、ゲート電圧が閾値電圧に到達するまでの時間は約200[ps]速くなる。上記一次側電圧の増加により、二次側ドライブ部73から各MOSFET741のゲート端子に印加される電圧は14Vから約14.8Vに増加する。このようにゲート端子への印加電圧が増加したことにより、MOSFET741のゲート入力容量Cを充電するための充電電流が増加し、それによって図10に示したように立上りが速くなったものと推測できる。
図11はこのときの実測の電圧出力波形を示す図、図12はその一部拡大図である。トランス72の一次側電圧を175Vから177.5Vに増加させると、高電圧パルスの立上りのタイミングも約200[ps]速くなっている。
本実施例のOA−TOFMSでは、上述したようにトランス72の一次側電圧を増加させると高電圧パルスの立上りが速くなることを利用して、加速電圧発生部7の周囲温度が変化したときの高電圧パルスの立上り/立下りの時間ズレを補正する。
具体的には、周囲温度の変化と高電圧パルスの立上り/立下りの時間変化との関係、及び、トランス72の一次側電圧の変化と高電圧パルスの立上り/立下りの時間変化との関係を予め求めておき、それらの関係を示す情報を一次側電圧設定情報記憶部62に格納しておく。上記関係は加速電圧発生部7に使用される部品、素子等に依存するから、本装置の製造メーカが予め実験的に求めて記憶部62に記憶しておくようにすることができる。例えば周囲温度の変化と高電圧パルスの立上り/立下りの時間変化との関係は+10[ps/℃]、トランス72の一次側電圧の変化と高電圧パルスの立上り/立下りの時間変化との関係は−80[ps/V] といった変化量(例えば周囲温度:15℃、トランス72の一次側電圧:175V、等の標準的な状態に対する変化量)で表すことができるが、関係が非線形である場合には、対応関係を示す式やテーブルなどの形式とすればよい。
実際の測定に際して、温度センサ77は加速電圧発生部7の周囲温度を計測し、計測した温度の情報をほぼリアルタイムで制御部6に送る。上述したように、高電圧パルスの立上り/立下りの時間ズレに最も大きな影響を及ぼすのはスイッチ部74(MOSFET741)であるので、温度センサ77はスイッチ部74の近傍の温度を計測するように設置されていることが好ましい。制御部6において一次側電圧制御部61は、一次側電圧設定情報記憶部62から上記関係を示す情報を読み出し、現時点での温度に対する時間ズレを算出するとともにその時間ズレを補正するための一次側電圧の変化を算出し、一次側電圧を求める。
一次側電圧制御部61はこうして求めた一次側電圧を一次側電源部76に指示し、一次側電源部76は指示された直流電圧を生成してVDDとして一次側ドライブ部71に印加する。それによって、そのときの周囲温度に応じてトランス72の一次巻線に印加される電圧が調整され、時間ズレのない高電圧パルスを生成して押出電極11や引出電極12に印加することができる。その結果、加速電圧発生部7の周囲温度に依存することなく、常に高い質量精度を達成することができる。
なお、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
例えば上記実施例は本発明をOA−TOFMSに適用したものであるが、本発明はそれ以外のTOFMS、例えば三次元四重極型又はリニア型のイオントラップに保持したイオンを加速して飛行空間へと送り出すイオントラップ飛行時間型質量分析装置やMALDIイオン源等により試料から生成されたイオンを加速して飛行空間へと送り出す飛行時間型質量分析装置にも適用可能である。
1…イオン射出部
11…押出電極
12…引出電極
2…飛行空間
3…リフレクタ
31…反射電極
32…バックプレート
4…検出器
5…データ処理部
6…制御部
61…一次側電圧制御部
62…一次側電圧設定情報記憶部
7…加速電圧発生部
71…一次側ドライブ部
711、712、715〜718、731、732、741…MOSFET
72、713…トランス
73…二次側ドライブ部
733…抵抗
74…スイッチ部
75…高電圧電源部
76…一次側電源部
77…温度センサ
8…反射電圧発生部

Claims (2)

  1. イオンが飛行する飛行空間と、電極に印加される電圧によって形成される電場の作用により測定対象のイオンに加速エネルギを与えて前記飛行空間へ向けて射出するイオン射出部と、前記飛行空間を飛行して来たイオンを検出するイオン検出器と、を具備する飛行時間型質量分析装置であって、
    a)前記イオン射出部の前記電極にイオン射出用の高電圧パルスを印加するものであって、直流高電圧を発生する直流電源部と、一次巻線と二次巻線を含むトランスと、イオンを射出するためのパルス信号が入力され、該パルス信号に応じて前記トランスの一次巻線に駆動電流を供給する一次側ドライブ回路部と、前記トランスの二次巻線に接続された二次側ドライブ回路部と、該二次側ドライブ回路部によりオン/オフ駆動され前記直流電源部による直流高電圧をパルス化するスイッチング素子と、前記一次側ドライブ回路部を通して前記トランスの一次巻線の両端に印加する電圧を生成する一次側電源部と、を含む高電圧パルス生成部と、
    b)前記高電圧パルス生成部の周囲温度を計測する温度計測部と、
    c)前記温度計測部により計測された温度に応じて前記高電圧パルス生成部における前記トランスの一次巻線の両端に印加する電圧を変化させるように前記一次側電源部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置であって、
    前記制御部は、周囲温度の変化と出力される高電圧パルスの時間的変化との関係を示す情報、及び、前記トランスの一次巻線の両端電圧の変化と出力される高電圧パルスの時間的変化との関係を示す情報、をそれぞれ記憶した記憶部を備え、該記憶部に記憶された情報に基づいて前記一次側電源部を制御することを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
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