JP5686453B1 - 荷電粒子加速器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 静電4重極レンズ等の特別なイオンビーム収束機構を設けることなく、1000mAを超えるような大電流イオンビームを、数十MeVの加速エネルギーまで加速可能な荷電粒子加速器を提供する。【解決手段】正電荷の荷電粒子を発生する荷電粒子発生源2と、荷電粒子を加速する加速電圧を印加するための加速電源3A,3Bと、加速電源3A、3Bにスイッチ4A、4Bを介して接続され、荷電粒子を順次通過させて加速させるための一対の加速電圧印加用電極板5A、5Bと、一対の加速電圧印加用電極板5A,5B間に分圧回路を形成するように配列され接続された分圧用電極板6A,6Bと、荷電粒子を加速電圧印加用電極板及び分圧用電極板5A、6A、6B、5Bを順次通過させて加速させるように所定のタイミングでスイッチ4A,4Bをオンオフ制御する制御部7と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、荷電粒子を加速して高エネルギーの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を得る荷電粒子加速器に関する。
従来、この種の荷電粒子加速器として、図7に示すように、荷電粒子を発射する荷電粒子発生源(イオン源)と、荷電粒子発生源から発射された荷電粒子を通過させ、通過する荷電粒子を加速する加速電極管LA♯1〜LA♯28と、荷電粒子を加速するための電圧を加速電極管LA♯1〜LA♯28に印加する駆動回路と、荷電粒子が加速電極管LA♯1〜LA♯28内を移動している間に、加速電極管LA♯1〜LA♯28への電圧の印加を開始するように、駆動回路を制御する制御装置と、を備える荷電粒子加速器1が知られている(例えば特許文献1)。
この荷電粒子加速器1は、導電性材料で形成された複数の加速電極管LA♯1〜LA♯28を、ギャップを介して配列し、荷電粒子が加速電極管LA♯1〜LA♯28の内部に存在しているタイミングで加速電極管LA♯1〜LA♯28の電位を切り換えることで、荷電粒子がギャップを通過する際に常に加速電界を発生させて荷電粒子を加速する。図7において、S♯1〜S♯28は半導体スイッチを含むスイッチング回路である。この荷電粒子加速器は、安価な装置でイオンビームを数MeV程度の高エネルギーまで加速することができるという特徴を有している。
特許第4865934号明細書
しかしながら、上記従来の荷電粒子加速器は、イオンビーム集束効果のある加速電界がギャップにしか存在しない。すなわち、加速電極管は導電性材料で形成されており、その内部では電場が存在しないため、イオンビームには空間電荷効果による発散力のみが作用する。従って、数百mAを超えるような大電流のイオンビームをイオン源から引き出して加速する場合、イオンビームを加速電極管の壁に衝突させないようにするため、例えば静電4重極レンズ等のイオンビーム集束機構を加速電極管内に挿入する必要があった。
また、加速電極管の電位を数十ナノ秒の時間幅の間に切り換えることが技術的に困難である。すなわち、例えば長さが1mの加速電極管では20pF程度の浮遊容量が存在し、切り換え時の突入電流を抑えるために抵抗を挿入しなければならない。一方、電位の切り換え時間を数十ナノ秒で完了させるためには、時定数を10ナノ秒以下にしなければならない。従って、突入電流を抑えるための抵抗は500Ω以下とする必要がある。印加する加速電圧が例えば160kVであると、突入ピーク電流は、160kV/500Ω=320Aであるから、定格スイッチング電圧160kV、ピーク電流320Aの大電流・高電圧スイッチが必要となる。
そこで、本発明は、静電4重極レンズ等の特別なイオンビーム収束機構を設けることなく、1000mAを超えるような大電流イオンビームを、数十MeVの加速エネルギーまで加速可能な荷電粒子加速器を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、ピーク電流のより小さい安価な高電圧スイッチを用いることができる荷電粒子加速器を提供することを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る荷電粒子加速器は、正電荷の荷電粒子を発生する荷電粒子発生源と、荷電粒子を加速する加速電圧を印加するための加速電源と、前記加速電源に第1及び第2のスイッチを介して接続され一対の環状の加速電圧印加用電極板と、前記一対の加速電圧印加用電極板間に分圧回路を形成するように配列され分圧抵抗を介して接続された少なくとも一枚の環状の分圧用電極板と、前記荷電粒子を、前記一対の加速電圧印加用電極板及び前記分圧用電極板を配列順に通過させて加速させるように所定のタイミングで前記第1及び第2のスイッチをオンオフ制御する制御部と、を備え、前記加速電源が正電位の直流高圧電源と負電位の直流高圧電源とを含み、前記一対の加速電圧印加用電極板のうちの荷電粒子発生源側に正電位の前記直流高圧電源が前記第1のスイッチを介して接続され、前記一対の加速電圧印加用電極板の他方側に負電位の前記直流高圧電源が前記第2のスイッチを介して接続され、前記制御部は、前記第2のスイッチをオンにするとともに前記第1のスイッチをオフにして前記荷電粒子のイオンビームを前記一対の加速電圧印加用電極板のうちの荷電粒子発生源側へ引き込んだ後、引き込んだイオンビームの先端部が前記一対の加速電圧印加用電極板の他方側に到達したときに前記第2のスイッチをオフにするとともに前記第1のスイッチをオンにするように前記第1及び第2のスイッチを制御し、前記分圧用電極板の分圧回路により、前記一対の加速電圧印加用電極板間を前記イオンビームが通過する間に加速勾配により常にイオンビームを加速するとともに、該イオンビームが前記一対の加速電圧印加用電極板及び該分圧用電極板に衝突しないような集束電界を形成するように構成されていることを特徴とする。
前記一対の加速電圧印加用電極板がギャップを介して荷電粒子進行経路上に2対以上配列され、各対の加速電圧印加用電極板間に前記分圧用電極板が配列され接続されていることが好ましい。
前記分圧回路が、互いに直列接続された分圧抵抗と定電圧ダイオードとを含むことが好ましい。
隣り合う前記分圧用電極板の間に、アース電位の接地電極板が配設されていることが好ましい。
前記加速電源が、三相全波整流回路を含むことが好ましい。
前記制御部は、前記加速電源の出力電圧の変動に応じて、該出力電圧の変動による荷電粒子ビームの到達位置の変動を考慮したタイミングで前記スイッチをオンオフする調節を行う機能を有することが好ましい。
前記加速電圧印加用電極板及び前記分圧用電極板の列を並列に複数列配置するとともに、隣り合う列の前記加速電圧印加用電極板を互いに導電接続することにより、共通の前記スイッチのスイッチ操作により、各列の前記加速電圧印加用電極板に加速電圧を印加するように構成することが好ましい。
本発明に係る荷電粒子加速器によれば、分圧回路を形成する分圧用電極板を設けたことにより、一対の加速電圧印加用電極板及びそれらの間の分圧用電極板を順次通過している間にもイオンビームが加速勾配により常に加速されるとともにイオンビームを維持するための集束電場が形成され、イオンビームの発散を抑えることができるため、1000mAを超えるような大電流のイオンビームをイオン源から引き出した場合でも、従来のような電極管の内壁にイオンビームを衝突させることなく、加速させることができる。
本発明に係る荷電粒子加速器の第1実施形態を示す概略構成図である。 本発明の構成要素である電極板の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。 図1の荷電粒子加速器の制御シーケンスを説明するための説明図である。 本発明の構成要素である各電極板と各ギャップの距離の例を配置図とともに示す図表である。 本発明に係る荷電粒子加速器の第2実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る荷電粒子加速器の第3実施形態を示す概略構成図である。 従来の荷電粒子加速器を示す概略構成図である。
本発明に係る荷電粒子加速器の一実施形態について、以下に図1〜図6を参照して説明する。なお、全図を通して同一又は類似の構成要素には同符号を付している。
図1は、本発明に係る荷電粒子加速器の第一実施形態を示す概略構成図である。図1に示すように、荷電粒子加速器1は、荷電粒子を発生する荷電粒子発生源2と、荷電粒子を加速する加速電圧を印加するための加速電源3A、3Bと、加速電源3A、3Bにスイッチ4A、4Bを介して接続され、荷電粒子を順次通過させて加速させるための一対の加速電圧印加用電極板5A、5Bと、一対の加速電圧印加用電極板5A、5Bの間に分圧回路による加速勾配を形成するように配列され接続された分圧用電極板6A、6Bと、荷電粒子を加速電圧印加用電極板5A、5B及び分圧用電極板6A、6Bを順次通過させて加速させるように所定のタイミングでスイッチ4A、4Bをオンオフ制御する制御部7と、を備えている。
図1に示された実施形態では、更に2対の加速電圧印加用電極板5C、5D、および5E,5Fが、ギャップG2,G3を介して荷電粒子進行経路上に3対配列され、其々が、共通の電源バスB1,B2を通じて、加速電源3A、3Bとスイッチ4c、4d、及び4E、4Fを介して接続されている。
荷電粒子発生源2は、図示例では重陽子イオンのイオン源が用いられている。重陽子イオン源としては、例えば、引き出し電流1000〜2000mA、ビーム射出エネルギー1〜3keVのものを用いることができる。
一方の加速電源3は正電位を発生する直流高圧電源(例えば100kV〜1000kV)であり、他方の加速電源3は負電位を発生させる直流高圧電源(例えば−100kV〜−1000kV)である。図示例では、加速電源3が+160kVDCの直流高圧電源であり、加速電源3が−160kVDCの直流高圧電源である。正電位の直流高圧電源は、一対の加速電圧印加用電極板のうちの前方側(荷電粒子発生源に近い側)の加速電圧印加用電極板5A、5C、5Eに接続され、負電位の直流高圧電源は、一対の加速電圧印加用電極板のうちの後方側の加速電圧印加用電極板5B,5D,5Fに接続されている。直流高圧電源は、コッククロフト・ワトソン回路を備えることができる。
スイッチ4A〜4Fは、高電圧半導体スイッチを用いることができる。該高電圧半導体スイッチとしては、定格スイッチング電圧200〜2000kV、ピーク電流100〜1000Aのものを用いることができる。図示例では、320kVの直流電圧を数十ns程度の時間遅れでオンオフする機能を有し、ピーク電流は最大160A、オン時の線路インピーダンスが1Ω以下の半導体スイッチを用いている。スイッチ4A〜4Fには突入電流防止用抵抗器8が接続されており、その抵抗値は2kΩである。
加速電圧印加用電極板5A〜5Fは、図2に示すように、イオンビームが通る穴が形成された環状の導電性薄板とすることができ、荷電粒子発生源2からのイオンビーム引出電流の値にもよるが、例えば、厚さ0.5〜3mm、外径180〜300mm、穴径140〜260mmとすることができ、図示例では、イオンビーム引出電流は1700mAであり、外径Lが220mm、穴径Mが180mm、厚さ1mmのステンレス板で形成されている。
各対の加速電圧印加用電極板5Aと5B、5Cと5D、5Eと5Fの其々の間に分圧回路を形成するように接続された分圧用電極板6A〜6Fは、加速電圧印加用電極板5A〜5Fと同じ寸法、および同材料によって形成することができる。図1に示す例では、一対の加速電圧印加用電極板5Aと5B、5Cと5D、5Eと5Fの其々の間に、2枚の分圧用電極板6Aと6B、6Cと6D、6Eと6Fが其々、分圧抵抗9A〜9Iを介して接続されている。
分圧抵抗9A〜9Iは、500〜10kΩの抵抗器を多数直列接続することにより構成することができる。図示例の分圧抵抗9A〜9Iは、1kΩの抵抗器を67個直列接続することにより、67kΩの抵抗値を形成している。これは、例えば67kΩの抵抗器一つで分圧回路を構成した場合は抵抗器の浮遊容量により一時遅れ時間が大きくなり過ぎるため、1kΩレベルの抵抗器を多数直列接続して浮遊容量を小さく抑えるためである。
分圧抵抗9A〜9Iは、抵抗器に代えてアバランシェダイオード等の定電圧半導体素子を複数直列接続して構成することもできるし、あるいは、アバランシェダイオード等の定電圧半導体素子と抵抗器の組み合わせ回路により構成することもできる。アバランシェダイオード等の定電圧半導体素子を用いることで、部品点数を少なくするとともに、故障率を低減させることが可能となる。
3対の加速電圧印加用電極板5Aと5B、5Cと5D、5Eと5Fの各対間のギャップG2、G3には、接地された接地電極板10A、10Bが其々配置されている。接地電極板10A、10Bは、加速電圧印加用電極板5A〜5Fと同寸法及び同材料によって形成され得る。接地電極板10A、10Bと隣り合う加速電圧印加用電極板5B,5C及び5D、5Eとの間は、絶縁又は絶縁抵抗としておくことができ、例えばイオンビームHが5A〜5B間を通過中に集束電界を印加したい場合、抵抗9Aと9Bと9Cと11Aの分圧回路により電極板6A、6B、5Bが集束電界を形成するために適切な電位を有するように、抵抗9A、9B、9C及び11Aの各抵抗値を選択すればよい。
荷電粒子発生源2は接地されており、荷電粒子発生源2とその直近にある先頭の加速電圧印加用電極板5Aとの間も絶縁又は絶縁抵抗とされ、図示例では1.4MΩの抵抗11Eが接続されている。最後尾の加速電圧印加用電極板5Fの後方に、接地されたダミー電極板13が配置されており、ダミー電極板13も加速電圧印加用電極板5A〜5Fと同寸法及び同材料で形成され得る。最後尾の加速電圧印加用電極板5Fとダミー電極板13との間も絶縁又は絶縁抵抗とされ、図示例では、1.4MΩの抵抗11Fを介して加速電圧印加用電極板5Fと接続されている。
絶縁抵抗を形成するための抵抗11A〜11Fは500〜10kΩの抵抗器を多数直列接続することにより1MΩ以上の抵抗値を得るようにすることができる。図示例では、1kΩの抵抗器を1400個直列接続することにより、1.4MΩの抵抗値を得ている。抵抗器に代えてアバランシェダイオードを複数直列接続することもできる。
図3は、荷電粒子加速器1の制御シーケンス例を示している。図1及び図3を参照しつつ、制御シーケンスについて説明する。
先ず、スイッチ4A、4C、4Eをオフにしておいてスイッチ4B、4D、4Fをオンにすると、加速電圧印加用電極板5B、5D、5Fに−160kVDCの直流電圧が印加され、図3(1)に示すように、正電荷を帯びた荷電粒子である重陽子イオンが荷電粒子発生源2から引き出され、イオンビームHとなってギャップG1で加速される。
このとき加速電圧印加用電極板5Aは、分圧回路によって−140kVDCの電位を有している。更に分圧用電極板6Aは−146.7kV、分圧用電極板6Bは−153.4kVの電位を有しており、電極板5A〜6A間、6A〜6B間、6B〜5B間には、各電極板の電位差により加速電界が形成されることで各電極板間において常にイオンビームHは加速され、これら電極板間に集束電界が発生する。従って、イオンビームHは、集束力を受けながら電極板5A〜5B間を通過する。
イオンビームHがギャップG1を通過し、図3(2)に示すようにイオンビームHの先端部が加速電圧印加用電極板5Bに到達したら、スイッチ4B(図1)をオフにするとともにスイッチ4A(図1)をオンにして、加速電圧印加用電極板5Aに+160kVDCの電圧を印加する。このとき、分圧用電極板6Aは+153.4kV、分圧用電極板6Bは+146.7kV、加速電圧印加用電極板5Bは+140kVとなっており、スイッチ4A及び4Bの切替後も電極板5A〜6A間、6A〜6B間、6B〜5B間の集束電界は維持される。また電極板5Bが+140kVの電位となるため、図3(3)に示すように、イオンビームHがギャップG2で加速される。
図3(4)に示すようにイオンビームHの終端部が次段の一対の加速電圧印加用電極板5C、5Dの前方側(荷電粒発生源側)の加速電圧印加用電極板5Cに到達したら、スイッチ4D(図1)をオフにするとともにスイッチ4C(図1)をオンにして、加速電圧印加用電極板5Cに+160kVDCの直流電圧を印加する。この場合も、分圧抵抗回路により電極板5C〜6C間、6C〜6D間、6D〜5D間には集束電界が形成される。
スイッチ4Dをオフにしてスイッチ4Cをオンにする切り換えは、図3(5)に示すように、イオンビームHが一対の加速電圧印加用電極板5Cと加速電圧印加用電極板5Dの間にある間に完了する必要がある。そうすることで、図3(6)に示すように、ギャップG3でイオンビームHが更に加速される。この場合も、分圧抵抗回路により電極板5C〜6C間、6C〜6D間、6D〜5D間には集束電界が形成される。
イオンビームHがギャップG3を通過し、図3(7)に示すように、イオンビームHの終端部が次々段の一対の加速電圧印加用電極板5E、5Fの前方側の加速電圧印加用電極板5Eに到達したら、スイッチ4E(図1)をオフにするとともにスイッチ4F(図1)をオンにして、加速電圧印加用電極板4Fに+160kVDCの直流電圧を印加するとともに、図3(8)に示すように、スイッチ4A(図1)をオフにするとともにスイッチ4B(図1)をオンに戻して、加速電圧印加用電極板5Aに−160kVDCの直流電圧を印加し、次に加速するイオンビームを引き出す。上記図3(1)〜(8)のスイッチ操作を繰返して、順次イオンビームを作り出す。分圧回路により、各電極板の間には常に集束電界が形成されている。
上記のようなスイッチ切換タイミングは制御プログラムにより適切なタイミングにプログラムすることができ、制御部7は制御プログラムに従って各スイッチ4A〜4Fをオンオフ制御することができる。
この場合、各電極板に印加される電圧は既知であるので、荷電粒子発生源2からのビーム引出電源が分かればイオンビームの包絡線を、シミュレーションソフトを使って演算できる。シミュレーションソフトでは、イオンビームの包絡線が各電極板に衝突しないように各電極板の間隔をカット&トライで決定する。各電極板の間隔が決まれば、各電極板の電位と荷電粒子発生源2からの射出エネルギーから、イオンビームHの先端部に存在する重陽子イオンの加速エネルギーと速度とを求め、イオンビームHの先端部が電極板5Bに到達する時間を計算する。イオンビームHの先端部が電極板5Bに至った瞬間に図3(2)に示すように切り替えた場合の各電極板の電位から、イオンビームHの先端部が各電極板を通過する際の加速エネルギーと速度を求め、イオンビームHの先端部が電極板5Dに到達する時間を計算する。こうして電極板5B、5D、5FにイオンビームHの先端部分が到達する時間を計算することにより、各スイッチの切換タイミングを制御すれば、イオンビームを加速することができる。こうして得られるスイッチ切換タイミングは、あくまでも計算による予想値であるため、実際には実機加速器を動作させながら微妙なタイミングを調整し、最適値を得ることになる。
上記制御の説明から分かるように、イオンビームHは進行につれて加速されて速度が増すが、例えば図3(5)で説明したように、イオンビームHが一対の加速電圧印加用電極板5Cと加速電圧印加用電極板5Dの間にある間に、スイッチ4C、4Dの切り換えを完了する必要があるため、一対の加速電圧印加用電極板の間隔は、荷電粒子発生源2から遠ざかるにつれて長くなる。図4は、各電極板と各ギャップの距離の例を示している。なお、分圧用電極板6A〜6Fは、其々の対の加速電圧印加用電極板5Aと5B、5Cと5D、5Eと5Fの間で、等間隔で配置されている。
上記構成を有する荷電粒子加速器は、分圧回路を形成する分圧用電極板6A〜6Fを設けたことにより、一対の加速電圧印加用電極板5Aと5B、5Cと5D、5Eと5Fの其々の間を通過している間にもイオンビームHを維持するための集束電場が形成され、イオンビームHの発散を抑えることができるため、従来のような電極管の内壁にイオンビームを衝突させることなく、加速させることができる。例えば、荷電粒子発生源2からの引出電流が1000mAを超えてもイオンビームが周囲構造物に衝突しない荷電粒子加速器を製作することができる。
また、薄板で構成された加速電圧印加用電極板と分圧用電極板で構成されるため、一対の加速電圧印加用電極板の離間距離を容易に長くすることできるため、加速電圧印加用電極板の対の数を増やして加速段数を多くして、数十MeVの加速エネルギーを達成することができる。
また、上記実施形態では、ステンレス薄板製電極板の浮遊容量は5pF程度であり、10nsの時定数を実現するために必要な抵抗値は2kΩであるから、突入電流は320kV/2kΩ=160Aであるので、ピーク電流の小さい安価な高電圧スイッチを使用することができる。
上記第1実施形態では、3対の加速電圧印加用電極板を備える例について説明したが、加速電圧印加用電極板5A、5Bを一対のみ備えることもできるし、2対又は、4対以上備えることもできる。
図5は、本発明に係る荷電粒子加速器の第2実施形態を示す概略構成図である。第2実施形態では、第1実施形態の分圧用電極板6Eと分圧用電極板6Fとの間に、接地された接地電極板15を追加している。
このような接地電極板15を分圧用電極板間に設けることにより、前後の分圧用電極板との電位差によってアインツェルレンズが形成され、更なるビーム集束効果が得られる。
図6は、本発明の第3実施形態を示す概略構成図である。図3に示す実施形態は、上記第1実施形態の荷電粒子加速器を3列並列に配置するとともに、隣り合う列の加速電圧印加用電極板5A〜5Fを互いに導電接続することにより、共通のスイッチ4A〜4Fのスイッチ制御により、各列の加速電圧印加用電極板5A〜5Fに加速電圧を印加するように構成し、更に、加速電源として、高圧受電設備30から三相交流電圧を三相全波整流回路31、32で整流する高圧直流電源を採用した例を示している。
三相全波整流回路31,32による加速電源3A、3Bからの出力は、絶対値で最大出力に対して13%程度の変動が生じ得る。加速電源3A,3Bの出力変動が生じると、加速電界が変動し、イオンビームの速度が変動する。イオンビーム速度が変動すると、イオンビームの位置が変動する。そのため、加速電源3A,3Bの電圧値を検出するとともに検出した電圧値に対応して、イオンビーム到達位置の変動を考慮したタイミングでスイッチ4A〜4Fをオンオフする調節を行う。すなわち、加速電源3A、3Bの出力変動に応じて、スイッチ4A〜4Fのオン時間又はオフ時間を調節するようにプログラムすることで、イオンビームが同じタイミングで常に同じ位置を維持できるようになり、加速動作が悪影響を受けることがなくなる。
図6のように複数例の荷電粒子加速器1を並列動作させることにより、更に高出力のイオンビームを得ることができる。並列数を増やす場合には、更に大きな定格電流を有する半導体スイッチが用いられる。
1 荷電粒子加速器
2 荷電粒子発生源
3A、3B 加速電源
4A〜4F スイッチ
5A〜5F 加速電圧印加用電極板
6A〜6F 分圧用電極板
7 制御部
15 接地電極板
G1,G2,G3 ギャップ

Claims (7)

  1. 正電荷の荷電粒子を発生する荷電粒子発生源と、
    荷電粒子を加速する加速電圧を印加するための加速電源と、
    前記加速電源に第1及び第2のスイッチを介して接続され一対の環状の加速電圧印加用電極板と、
    前記一対の加速電圧印加用電極板間に分圧回路を形成するように配列され分圧抵抗を介して接続された少なくとも一枚の環状の分圧用電極板と、
    前記荷電粒子を、前記一対の加速電圧印加用電極板及び前記分圧用電極板を配列順に通過させて加速させるように所定のタイミングで前記第1及び第2のスイッチをオンオフ制御する制御部と、を備え
    前記加速電源が正電位の直流高圧電源と負電位の直流高圧電源とを含み、前記一対の加速電圧印加用電極板のうちの荷電粒子発生源側に正電位の前記直流高圧電源が前記第1のスイッチを介して接続され、前記一対の加速電圧印加用電極板の他方側に負電位の前記直流高圧電源が前記第2のスイッチを介して接続され、
    前記制御部は、前記第2のスイッチをオンにするとともに前記第1のスイッチをオフにして前記荷電粒子のイオンビームを前記一対の加速電圧印加用電極板のうちの荷電粒子発生源側へ引き込んだ後、引き込んだイオンビームの先端部が前記一対の加速電圧印加用電極板の他方側に到達したときに前記第2のスイッチをオフにするとともに前記第1のスイッチをオンにするように前記第1及び第2のスイッチを制御し、
    前記分圧用電極板の分圧回路により、前記一対の加速電圧印加用電極板間を前記イオンビームが通過する間に加速勾配により常にイオンビームを加速するとともに、該イオンビームが前記一対の加速電圧印加用電極板及び該分圧用電極板に衝突しないような集束電界を形成するように構成されていることを特徴とする荷電粒子加速器。
  2. 一対の加速電圧印加用電極板がギャップを介して荷電粒子進行経路上に2対以上配列され、各対の加速電圧印加用電極板間に前記分圧用電極板が配列され接続されていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子加速器。
  3. 前記分圧回路が、互いに直列接続された分圧抵抗と定電圧ダイオードとを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子加速器。
  4. 隣り合う前記分圧用電極板の間に、アース電位の接地電極板が配設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の荷電粒子加速器。
  5. 前記加速電源が、三相全波整流回路を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の荷電粒子加速器。
  6. 前記制御部は、前記加速電源の出力電圧の変動に応じて、該出力電圧の変動による荷電粒子ビームの到達位置の変動を考慮したタイミングで前記スイッチをオンオフする調節を行う機能を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の荷電粒子加速器。
  7. 前記加速電圧印加用電極板及び前記分圧用電極板の列を並列に複数列配置するとともに、隣り合う列の前記加速電圧印加用電極板を互いに導電接続することにより、共通の前記スイッチのスイッチ操作により、各列の前記加速電圧印加用電極板に加速電圧を印加するように構成したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の荷電粒子加速器。
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