JPWO2018016559A1 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、チューニング作業もなく、インバータのデッドタイムを補償し、電流波形の歪み改善と電流制御の応答性の向上を図り、音や振動、リップルを抑制した電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換して後にDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、3相モータ端子電圧若しくはそれに理想デッドタイム補償モデルを付加した形態に基づいて3相検出電圧を推定し、Duty指令値から算出した3相指令電圧と3相検出電圧の差分からインバータのデッドタイムによる損失電圧を推定し、損失電圧を補償したデッドタイム補償値を3相電圧指令値にフィードバックしてインバータのデッドタイム補償を行う。【選択図】図18

Description

本発明は、3相ブラシレスモータの駆動をdq軸回転座標系でベクトル制御すると共に、モータ端子電圧若しくはそれに理想デッドタイム補償モデルを付加した形態に基づくデッドタイム補償値を、3相電圧指令値にフィードバックすることによりインバータのデッドタイムを補償して滑らかで、操舵音のないアシスト制御を可能とした電動パワーステアリング装置に関に関する。
車両のステアリング機構にモータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与する電動パワーステアリング装置(EPS)は、アクチュエータとしてのモータの駆動力を、減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のDutyの調整で行っている。
電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の舵角θを検出する舵角センサ14と、ハンドル1の操舵トルクThを検出するトルクセンサ10とが設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。電動パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット(ECU)30には、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Vsとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、演算された電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによってモータ20に供給する電流を制御する。舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、モータ20に連結されたレゾルバ等の回転センサから舵角(モータ回転角)θを得ることもできる。
コントロールユニット30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)40が接続されており、車速VsはCAN40から受信することも可能である。また、コントロールユニット30には、CAN40以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN41も接続可能である。
このような電動パワーステアリング装置において、コントロールユニット30は主としてCPU(Central Processing Unit)(MPU(Micro Processor Unit)やMCU(Micro Controller Unit)等を含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと、例えば図2に示されるような構成となっている。
図2を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10からの操舵トルクTh及び車速センサ12からの車速Vsは電流指令値演算部31に入力され、電流指令値演算部31は操舵トルクTh及び車速Vsに基づいてアシストマップ等を用いて電流指令値Iref1を演算する。演算された電流指令値Iref1は加算部32Aで、特性を改善するための補償部34からの補償信号CMと加算され、加算された電流指令値Iref2が電流制限部33で最大値を制限され、最大値を制限された電流指令値Irefmが減算部32Bに入力され、モータ電流検出値Imと減算される。
減算部32Bでの減算結果である偏差ΔI(=Irefm−Im)はPI(Proportional-Integral)制御部35でPI等の電流制御をされ、電流制御された電圧制御指令値Vrefが変調信号(三角波キャリア)CFと共にPWM制御部36に入力されてDuty指令値を演算され、Duty指令値を演算されたPWM信号でインバータ37を介してモータ20をPWM駆動する。モータ20のモータ電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算部32Bに入力されてフィードバックされる。
補償部34は、検出若しくは推定されたセルフアライニングトルク(SAT)を加算部344で慣性補償値342と加算し、その加算結果に更に加算部345で収れん性制御値341を加算し、その加算結果を補償信号CMとして加算部32Aに入力し、特性改善を実施する。
近年、電動パワーステアリング装置のアクチュエータは3相ブラシレスモータが主流となっていると共に、電動パワーステアリング装置は車載製品であるため、稼動温度範囲が広く、フェールセーフの観点からモータを駆動するインバータは家電製品を代表とする一般産業用と比較して、デッドタイムを大きく(産業用機器<EPS)する必要がある。一般にスイッチング素子(例えばFET(Field-Effect Transistor))にはOFFの際に遅れ時間があるため、上下アームのスイッチング素子のOFF/ON切り換えを同時に行うと、直流リンクを短絡する状況になり、これを防ぐため、上下アーム両方のスイッチング素子がOFFになる時間(デッドタイム)を設けている。
その結果、電流波形が歪み、電流制御の応答性や操舵感が悪化する。例えばハンドルがオンセンター付近にある状態でゆっくり操舵すると、トルクリップル等による不連続な操舵感などが生じる。また、中・高速操舵時におけるモータの逆起電圧や、巻線間の干渉電圧が電流制御に対して外乱として作用するため、転追性や切り返し操舵時の操舵感を悪化させている。
3相ブラシレスモータのロータの座標軸であるトルクを制御するq軸と、磁界の強さを制御するd軸とを独立に設定し、dq軸が90°の関係にあることから、そのベクトルで各軸に相当する電流(d軸電流指令値及びq軸電流指令値)を制御するベクトル制御方式が知られている。
図3は、ベクトル制御方式で3相ブラシレスモータ100を駆動制御する場合の構成例を示しており、操舵トルクTh、車速Vs等に基づいて電流指令値演算部(図示せず)で演算された2軸のdq軸座標系のd軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *はそれぞれ減算部131d及び131qに入力され、減算部131d及び131qで求められた電流偏差Δid *及びΔiq *はそれぞれPI制御部120d及び120qに入力される。PI制御部120d及び120qでPI制御された電圧指令値vd及びvqは、それぞれ減算部141d及び141qに入力され、減算部141d及び加算部141qで求められた指令電圧Δvd及びΔvqはdq軸/3相交流変換部150に入力される。dq軸/3相交流変換部150で3相に変換された電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*はPWM制御部160に入力され、演算された3相のDuty指令値(Dutyu,Dutyv,Dutyw)に基づくPWM信号UPWM,VPWM,WPWMにより、図4に示すような上下アームのブリッジ構成で成るインバータ(インバータ印加電圧VR)161を介してモータ100が駆動される。上側アームはスイッチング素子としてのFETQ1,Q3,Q5で構成され、下側アームはFETQ2,Q4,Q6で構成されている。
モータ100の3相モータ電流iu,iv,iwは電流検出器162で検出され、検出された3相モータ電流iu,iv,iwは3相交流/dq軸変換部130に入力され、3相交流/dq軸変換部130で変換された2相のフィードバック電流id及びiqはそれぞれ減算部131d及び131qに減算入力されると共に、d−q非干渉制御部140に入力される。d−q非干渉制御部140からの2相の電圧vd1 *及びvq1 *はそれぞれ減算部141d及び加算部141qに入力され、減算部141d及び加算部141qで指令電圧Δvd及びΔvqが算出される。指令電圧Δvd及びΔvqがdq軸/3相交流変換部150に入力され、PWM制御部160及びインバータ161を介してモータ100が駆動される。
また、モータ100には回転センサ等が取り付けられており、センサ信号を処理する角度検出部110からモータ回転角θ及びモータ回転数(回転速度)ωが出力される。モータ回転角θはdq軸/3相交流換部150及び3相交流/dq軸変換部130に入力され、モータ回転数ωはd−q非干渉制御部140に入力される。
このようなベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置は、運転者の操舵をアシストする装置であると同時に、モータの音や振動、リップル等はハンドルを介して運転者へ力の感覚として伝達される。インバータを駆動するパワーデバイスは一般的にFETが用いられており、モータへ通電を行うが、3相モータの場合には、図4に示されるように各相毎に上下アームの直列接続されたFETが用いられている。上下アームのFETは交互にON/OFFを繰り返すが、FETは理想スイッチではなく、ゲート信号の指令通りに瞬時にON/OFFせず、ターンオン時間やターンオフ時間を要する。このため、上側アームFETへのON指令と下側アームのOFF指令が同時になされると、上側アームFETと下側アームFETが同時にONになって、上下アームが短絡する問題がある。FETのターンオン時間とターンオフ時間には差があり、同時にFETに指令を出した場合、上側FETにON指令を出してターンオン時間が短い場合(例えば100ns)、直ぐにFETがONになり、下側FETにOFF指令を出してもターンオフ時間が長い場合(例えば400ns)、直ぐにFETがOFFにならず、瞬間的に上側FETがON、下側FETがONになる状態(例えば、400ns−100ns間、ON−ON)が発生することがある。
そこで、上側アームFETと下側アームFETが同時にONすることの無い様に、ゲート駆動回路にデッドタイムという所定時間をおいてON信号を与えることが行われる。このデッドタイムは非線形であるため電流波形は歪み、制御の応答性能が悪化し、音や振動、リップルが発生する。コラム式電動パワーステアリング装置の場合、ハンドルと鋼製のコラム軸で接続されるギアボックスに直結されるモータの配置が、その構造上運転者に極めて近い位置となっているため、モータに起因する音、振動、リップル等には、下流アシスト方式の電動パワーステアリング装置に比べて、特に配慮する必要がある。
インバータのデッドタイムを補償する手法として、従来はデッドタイムが発生するタイミングを検出して補償値を足し込んだり、電流制御におけるdq軸上の外乱オブザーバによってデッドタイムを補償している。
インバータのデッドタイムを補償する電動パワーステアリング装置は、例えば特許第4681453号公報(特許文献1)、特開2015−171251号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献1では、モータ、インバータを含む電流制御ループのリファレンスモデル回路に電流指令値を入力して電流指令値を基にモデル電流を作成し、モデル電流を基にインバータのデッドタイムの影響を補償するデッドバンド補償回路を備えている。また、特許文献2では、Duty指令値に対してデッドタイム補償値に基づく補正を行うデッドタイム補償部を備え、電流指令値に基づいてデッドタイム補償値の基礎値である基本補償値を演算する基本補償値演算部と、基本補償値に対してLPFに対応するフィルタリング処理を施すフィルタ部とを有している。
特許第4681453号公報 特開2015−171251号公報
特許文献1の装置は、q軸電流指令値の大きさによるデッドタイム補償量の計算と3相電流リファレンスモデルとを使用して、補償符号を推定する方式である。補償回路の出力値が、所定の固定値以下ではモデル電流に比例する変化値であり、所定の固定値以上では、固定値とモデル電流に比例する変化値の加算値であり、電流指令から電圧指令へと出力されるが、所定の固定値を出力するヒステリシス特性を決めるためのチューニング作業が必要である。
また、特許文献2の装置は、デッドタイム補償値を決定する際、q軸電流指令値とそれをLPF処理した補償値とでデッドタイム補償を行っており、遅れが生じ、モータへの最終的な電圧指令に対して、デッドタイム補償値を操作するものではないという問題がある。
フィードフォワードタイプのデッドタイム補償(角度フィードフォワードタイプ、電流指令値モデルタイプ)は、モータ出力軸をロックして専用ソフトでモータに電流が流れるために、必要とされるデッドタイム補償量を実機にて測定する必要がある。また、モータ試験装置を用いてモータ単体で定負荷定回転で回転させ、位相合わせや電流指令値によって補償符号を決定するための閾値のチューニング作業が必要である。インバータ印加電圧やモータ回転数などを割り振り、複数回行う必要があり、チューニング作業の軽減化が要請されている。
また、フィードフォワードタイプのデッドタイム補償では、適切な補償量と適切なタイミングで符号を切り換えないと、ゼロクロス付近や低負荷・低速操舵時にチャタリングが発生する。補償量が合わないデッドタイム補償やタイミングが合わないデッドタイム補償を入れることによって、制御自身でチャタリングを引き起こしてしまう場合がある。フィードフォワードタイプではかかるチャタリングを抑制するため、種々工夫したり、厳密に補償符号を切り換えるなど、かなり緻密なチューニング作業が必要となっている。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、ベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、チューニング作業もなく、インバータのデッドタイムを補償し、電流波形の歪み改善と電流制御の応答性の向上を図り、音や振動、リップルを抑制した電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換して後にDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、3相モータ端子電圧に基づいて3相検出電圧を推定し、前記Duty指令値から算出した3相指令電圧と前記3相検出電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる損失電圧を推定し、前記損失電圧を補償したデッドタイム補償値を前記3相電圧指令値にフィードバックして前記インバータのデッドタイム補償を行うことにより達成される。
また、本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換して後にDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、前記dq軸電流指令値を空間ベクトル変調して前記3相電圧指令値とする空間ベクトル変調部と、3相モータ端子電圧、モータ回転角、モータ回転数及びインバータ印加電圧に基づいて中点電圧を推定する中点電圧推定部と、前記中点電圧及び前記3相モータ端子電圧から3相検出電圧を算出する3相検出電圧算出部と、前記Duty指令値及び前記インバータ印加電圧に基づいて3相指令電圧を演算する3相指令電圧演算部と、前記3相検出電圧と前記3相指令電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる損失電圧を推定する3相損失電圧演算部と、前記3相損失電圧演算部で演算された3相損失電圧を前記インバータ印加電圧に感応して前記デッドタイム補償値を制限する補償値制限部とを具備し、前記制限された前記デッドタイム補償値を前記3相電圧指令値に加算して前記インバータのデッドタイム補償を行うことにより達成される。
更に、本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相のDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、3相モータ端子電圧に基づいて3相検出電圧を推定し、前記Duty指令値から算出した3相印加電圧と前記3相検出電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる損失電圧を推定し、算出された損出電圧を基本的な補償量とすると共に、足りない補償量を理想デッドタイム補償値と前記損失電圧の電圧差を補正し、補正された各相の値をデッドタイム補償値として3相の電圧指令値にフィードバックして、前記インバータのデッドタイム補償を行うことにより達成される。
本発明は、少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたd軸電流指令値及びq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換し、3相Dutyを演算されたPWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置に関し、本発明の上記目的は、3相モータ端子電圧、モータ回転角、モータ回転数及びインバータ印加電圧に基づいて中点電圧を推定する中点電圧推定部と、前記中点電圧及び前記3相モータ端子電圧から3相検出電圧を算出する検出電圧算出部と、前記Duty指令値及び前記インバータ印加電圧に基づいて3相印加電圧を演算する印加電圧演算部と、前記3相検出電圧と前記3相印加電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる3相損失電圧を推定する損失電圧演算部と、前記モータ回転角、前記モータ回転数及び前記インバータ印加電圧に基づいて3相理想デッドタイム補償値を求める理想デッドタイム補償モデルと、前記3相損失電圧及び前記3相理想デッドタイム補償値の電圧差を前記q軸電流指令値に基づいて補正する補正部と、前記補正部からの補償値を前記インバータ印加電圧に基づいて処理して3相デッドタイム補償値を出力する出力部とで構成され、前記3相デッドタイム補償値を前記3相電圧指令値にフィードバックして前記インバータのデッドタイム補償を行うことにより達成される。
本発明の電動パワーステアリング装置によれば、3相端子電圧から3相電圧を推定し、3相Duty指令値とインバータ印加電圧から3相印加電圧を演算して差分をとることにより、デッドタイムにより損失した損失電圧を算出する。算出された損出電圧を補償量とし、補償量の中点補正、逆起電圧やノイズなどによって過渡的な差分電圧が発生した場合、補償量を制限する処理を行い、或いは足りない補償量を理想的なデッドタイム補償値と損失電圧の差について補償量を制限する処理を行い、デッドタイム補償値として、空間ベクトル変調後の3相電圧指令値にフィードバックで補償している。端子電圧フィードバックタイプのデッドタイム補償は計算によって、ある程度の補償量と適切な補償符号を算出するため、チューニング作業が殆ど必要なく、また、低速操舵領域では理想に近い補償が可能であり、インバータのデッドタイムを補償し、電流波形の歪み改善と電流制御の応答性の向上を図ることができる。
また、補償符号及び補償量が自動計算されるため、ハンドルのオンセンター付近の低負荷、低速操舵領域においてもチャタリングの発生がなく、デッドタイムを補償することが可能である。3相の補償波形が矩形波でない場合においても、自動計算されるため補償が可能である。
本発明の端子電圧フィードバックタイプでは、殆どチューニング作業なしに理想に近い補償量と最適な補償符号が特定の操舵領域では計算によって入るため、チャタリングの発生を抑える工夫がフィードフォワードタイプに比べて少ないが、ゼロクロス付近や低負荷・低速操舵領域ではリスク(制御自身で発生させているチャタリング)を抑えて効果的にデッドタイム補償を入れることができる。
なお、端子電圧フィードバックタイプのデッドタイム補償では、オンセンター付近の低負荷・低速操舵領域において推定印加電圧と検出電圧の差から専用ソフトで測定した補償量の92〜95%が算出される。また、補償符号についても、電圧の差から適切な方向が計算される。フィードフォワードタイプでは事前に専用ソフトで測定したり、モータ試験装置などでチューニングの必要性があるのに対し、フィードバックタイプでは試験用のソフトに書き換えたり、試験装置でチューニングせずに、ある程度補償量と補償符号が計算によって自動的に求められている。
一般的な電動パワーステアリング装置の概要を示す構成図である。 電動パワーステアリング装置の制御系の構成例を示すブロック図である。 ベクトル制御方式の構成例を示すブロック図である。 一般的なインバータの構成例を示す結線図である。 本発明の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 第1実施形態に係るデッドタイム補償部の構成例を詳細に示すブロック図である。 中点電圧推定部の構成例を示すブロック図である。 補正タイミング判定部及び補正値保持部の詳細例を示すブロック図である。 補償量制限部の構成例を示すブロック図である。 補償量上限値の一例を示す特性図である。 空間ベクトル変調部の構成例を示すブロック図である。 空間ベクトル変調部の動作例を示す線図である。 空間ベクトル変調部の動作例を示す線図である。 空間ベクトル変調部の動作例を示すタイミングチャートである。 空間ベクトル変調の効果を示す波形図である。 本発明(第1実施形態)の効果を示す波形図である。 本発明(第1実施形態)の効果を示す波形図である。 本発明の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。 第2実施形態に係るデッドタイム補償部の構成例を詳細に示すブロック図である。 本発明(第2実施形態)の効果を示す波形図である。 本発明(第2実施形態)の効果を示す波形図である。 本発明の構成例(第3実施形態)を示すブロック図である。 理想デッドタイム補償値モデルの構成例を示すブロック図である。 インバータ印加電圧感応ゲイン部の構成例を示すブロック図である。 インバータ印加電圧感応ゲイン部の特性例を示す特性図である。 位相調整部の特性例を示す特性図である。 3相角度−デッドタイム補償値関数部の動作例を示す線図である。 第3実施形態の効果を示す各部波形図である。
本発明は、ECUのデッドタイムの影響により電流歪みが発生し、トルクリップルの発生や操舵音の悪化などの問題を解消するために、3相端子電圧から3相電圧を推定し、3相Duty指令値とインバータ印加電圧から3相指令電圧を演算し、遅れモデルを経由して差分をとることにより、デッドタイムにより損失した損失電圧を算出する。算出された3相損出電圧を補償量として適切に処理し、或いは足りない補償量を理想的なデッドタイム補償値と損失電圧の差に基づいて適切に処理し、デッドタイム補償値として空間ベクトル変調後の3相電圧指令値にフィードバックで補償する構成となっている。
本発明は、検出した損失電圧から上限値を超える補償量が検出された場合、モータ逆起電圧などによる外乱と判断し、補償値を制限してデッドタイムによる損失を算出する。また、演算された損失電圧を3相電圧指令値にデッドタイム補償値として直接フィードバックすることにより、3相信号上においてもデッドタイム補償することを可能としている。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図5は本発明(第1実施形態)の全体構成を図3に対応させて示しており、dq軸上のデッドタイム補償値vd *及びvq *を演算するデッドタイム補償部200が設けられている。デッドタイム補償部200には、モータ回転角θ及びモータ回転数ωが入力されると共に、PWM制御部160内のDuty指令値演算部160Aで演算された各相Duty指令値Dutyu,Dutyv,Dutyw及びモータ100の3相モータ端子電圧Vu,Vv,Vwが入力されている。3相端子電圧Vu,Vv,Vwは、それぞれ高周波ノイズ除去用のLPF(Low Pass Filter)163U,163V,163Wを経てデッドタイム補償部200に入力される。また、インバータ161には、PWM制御部160内のPWM制御回路160BからPWM信号(UPWM,VPWM,WPWM)が入力され、インバータ161に印加されているインバータ印加電圧VRが、デッドタイム補償部200に入力されている。
電流指令値演算部(図示せず)で演算されたd軸電流指令値id *及びq軸電流指令値iq *はそれぞれ減算部131d及び131qに入力され、減算部131d及び131qでフィードバック電流id及びiqとの電流偏差Δid *及びΔi *が演算される。演算された電流偏差Δid *はPI制御部120dに入力され、演算された電流偏差Δi *はPI制御部120qに入力される。PI制御されたd軸電圧指令値vd及びq軸電圧指令値vqはそれぞれ加算部121d及び121qに入力され、後述するデッドタイム補償部200からのデッドタイム補償値vd *及びvq *を加算されてデッドタイム補償され、その各補償された電圧値が減算部141d及び加算部141qに入力される。減算部141dにはd−q非干渉制御部140からの電圧vd1 *が入力され、その差である電圧指令値vd **が得られ、加算部141qにはd−q非干渉制御部140からの電圧vq1 *が入力され、その加算結果で電圧指令値vq **が得られる。デッドタイムを補償された電圧指令値vd **及びvq **は、dq軸の2相からU相,V相,W相の3相 に変換し、3次高調波を重畳する空間ベクトル変調部300に入力される。空間ベクトル変調部300でベクトル変調された3相の電圧指令値Vur *,Vvr *,Vwr *はPWM制御部160に入力され、モータ100は前述と同様にPWM制御部160及びインバータ161を介して駆動制御される。
次に、デッドタイム補償部200について説明する。
デッドタイム補償部200は、減算部201(201U、201V、201W)及び202、中点電圧推定部210、3相指令電圧演算部220、電圧検出遅れモデル230、ゲイン部240、補償量制限部250及び3相交流/dq軸変換部260で構成されている。
その詳細構成は図6であり、モータ回転角θは中点電圧推定部210及び3相交流/dq軸変換部260に入力され、モータ回転数ωは中点電圧推定部210に入力される。モータ端子電圧Vu,Vv,VwはLPF163U〜163Wを経て中点電圧推定部210及び減算部201(201U,201V,201W)に入力されている。また、PWM制御部160内のDuyt指令値演算部160Aからの3相Duty指令値Dutyu,Dutyv,Dutywは3相指令電圧演算部220に入力され、インバータ印加電圧VRは中点電圧推定部210、3相指令電圧演算部220及び補償量制限部250に入力されている。
中点電圧推定部210は、中点電圧の基準電圧をインバータ印加電圧VRにより算出する。詳細は図7の構成であり、ハードの構成、検出誤差などの影響により中点電圧はズレを生じるため、インバータ印加電圧VRと3相モータ端子電圧Vu〜Vwの差分から補正する。補正するタイミングは、特定のモータ回転角θ及び特定のモータ回転数ωの条件で補正する。
即ち、インバータ印加電圧VRは半減部211で半減(VR/2)され、半減値(VR/2)が減算部217及び218に加算入力される。端子電圧Vu〜Vwは加算部216に入力されて加算され、加算結果(Vu+Vv+Vw)が除算部(1/3)212で1/3倍され、1/3倍された電圧“(Vu+Vv+Vw)/3”が減算部217に減算入力される。減算部217は半減値VR/2から電圧“(Vu+Vv+Vw)/3”を減算し、減算結果VRnaを補正値保持部214に入力する。補正タイミング判定部213は、モータ回転角θ及びモータ回転数ωに基づいて補正タイミングを判定し、補正信号CTを補正値保持部214に入力する。補正値保持部214で保持された電圧VRnbに基づき、補正量制限部215は補正量ΔVmを算出する。
補正タイミング判定部213及び補正値保持部214の詳細は図8に示す構成であり、補正タイミング判定部213は角度判定部213−1、有効回転数判定部213−2及びAND回路213−3で構成され、補正値保持部214は切換部214−1及び保持ユニット(Z−1)214−2で構成されている。
即ち、モータ回転角θは角度判定部213−1に入力され、下記数1の判定が行われる。数1が成立するとき、角度判定部213−1は判定信号JD1を出力する。
(数1)
179[deg]<θ<180[deg]

中点補正値の演算において上記数1のタイミングを補正条件とした場合、ゼロクロスポイントの電圧値を正確にサンプリングできる。このポイント以外では、モータ端子電圧に3次高調波が重畳されており、より正確な値が検出できない。例えば数1の条件で検出された各端子電圧をVu=6.83[V]、Vv=7.55[V]、Vw=5.94[V]、モータ印加電圧を13.52[V]とすると、(Vu+Vv+Vw)/3=6.77[V]、VR/2=6.76[V]となり、VR/2≒(Vu+Vv+Vw)/3となり、中点電圧に近い値となる。また、モータ回転数ωが大きい場合、モータ逆起電圧の影響が大きくなるのとサンプリングの精度が悪化するため、正確な補正演算ができなくなる。このため、有効回転数判定部213−2はモータ回転数ωが補正演算可能な有効回転数ω以下であるかを判定し、モータ回転数ωが補正演算可能な有効回転数ω以下の時に、判定信号JD2を出力する。
(数2)
ω≦ω

判定信号JD1及びJD2はAND回路213−3に入力され、判定信号JD1及びJD2が入力されたAND条件で補正信号CTが出力される。補正信号CTは補正値保持部214内の切換部214−1に切換信号として入力され、接点a,bを切り換える。接点aには減算結果VRnaが入力され、接点bには出力電圧VRnbが保持ユニット(Z−1)214−2を経て入力されている。補正値保持部214は次のタイミングまで安定した補正値を出力するため、値を保持する。また、補正量制限部215は、ノイズや逆起電圧、補正タイミング誤判定などにより、補正量が通常よりも明らかに大きい場合、当該補正量が正しくないと判断して最大補正量に制限する。最大補正量に制限された電圧補正値ΔVmは減算部218に入力され、減算部218で下記数3に基づいて演算された中点電圧推定値Vmが出力される。中点電圧推定値Vmは、減算部201U,201V,201Wにそれぞれ減算入力される。
Figure 2018016559

また、3相指令電圧演算部220には3相Duty指令値Dutyu,Dutyv,Dutyw及びインバータ印加電圧VRが入力されており、3相指令電圧演算部220は、3相Duty指令値Dutyu,Dutyv,Dutyw及びインバータ印加電圧VRにより、下記数4を用いて3相指令電圧Vinを算出する。3相印加電圧Vinは、電圧検出遅れモデル230に入力される。なお、数4中のDutyrefは、Dutyu,Dutyv,Dutywを示している。
Figure 2018016559

中点電圧推定値Vmは減算部201(201U,201V,201W)に減算入力され、減算部201(201U,201V,201W)にはLPF163U,163V,163Wを経た3相端子電圧Vu,Vv,Vwが減算入力されている。減算部201U,201V,201Wは3相端子電圧Vu,Vv,Vwから中点電圧推定値Vmを減算部201u,201v,201wで、数5に従って減算する。これにより、3相検出電圧Vdn(Vdu,Vdv,Vdw)を演算する。3相検出電圧Vdn(Vdu,Vdv,Vdw)は、3相損失電圧演算部としての減算部202に入力される。
Figure 2018016559

3相端子電圧Vu〜Vwの検出は、ECUのノイズフィルタ等により遅れが生じる。このため、直接3相指令電圧Vinと3相検出電圧Vdnの差分をとって損失電圧を算出した場合、位相差により誤差が生じる。この問題を解決するため、本実施形態では、フィルタ回路等のハードウェアの検出遅れを1次のフィルタモデルとして近似し、位相差を改善する。本実施形態の電圧検出遅れモデル230は、Tをフィルタ時定数として、数6の1次フィルタとしている。電圧検出遅れモデル230は、2次以上のフィルタをモデルとした構成でもよい。
Figure 2018016559

減算部202には3相指令電圧Vinが加算入力され、3相検出電圧Vdnが減算入力されており、3相指令電圧Vinから3相検出電圧Vdnを減算することにより3相損失電圧PLA(Vloss_n)が算出される。即ち、減算部202で下記数7が演算される。
Figure 2018016559

3相損失電圧PLA(Vloss_n)はゲイン部240でゲインPG(例えば0.8)を乗算され、ゲインPGを乗算された3相損失電圧PLBは補償量制限部250に入力される。ゲインPGは基本的に調整する必要はないが、他の補償器との整合や実車チューニング、ECUの部品が変わったときなど、出力調整を必要とする場合には変更する。
補償量制限部250はインバータ印加電圧VRに感応しており、その詳細構成は図9のようになっている。即ち、インバータ印加電圧VRは、補償量制限部250内の補償量上下限値演算部251に入力され、図10に示すような特性で補償量制限値DTCaが演算される。補償量制限値DTCaは、所定電圧VR1まで一定制限値DTCa1であり、所定電圧VR1から所定電圧VR2(>VR1)まで線形(若しくは非線形)に増加し、所定電圧VR2以上で一定制限値DTCa2を保持する特性である。補償量制限値DTCaは切換部252の接点a1及び比較部255に入力されると共に、反転部254に入力される。また、3相損失電圧PLB(Vloss_u,Vloss_v,Vloss_w)は比較部255及び256に入力されると共に、切換部252の接点b1に入力されている。そして、反転部254の出力−DTCaは切換部253の接点a2に入力されている。切換部252の接点a1及びb1は、比較部255の比較結果CP1に基づいて切り換えられ、切換部253の接点a2及びb2は、比較部256の比較結果CP2に基づいて切り換えられる。
比較部255は補償量制限値DTCaと3相損失電圧PLBとを比較し、下記数8に従って切換部252の接点a1及びb1を切り換える。また、比較部256は補償量制限値−DTCaと3相損失電圧PLBとを比較し、下記数9に従って切換部253の接点a2及びb2を切り換える。
(数8)
3相損失電圧PLB≧補償量上限値:(DTCa)のとき、切換部252の接点a1がON(切換部252の接点b2=DTCa)
3相損失電圧PLB<補償量上限値:(DTCa)のとき、切換部252の接点b1がON(切換部253の接点b2=3相損失電圧PLB)
(数9)
3相損失電圧PLB≦補償量下限値:(−DTCa)のとき、切換部253の接点a2がON(デッドタイム補償値DTC=−DTCa)
3相損失電圧PLB>補償量下限値:(−DTCa)のとき、切換部253の接点b2がON(デッドタイム補償値DTC=切換部252の出力)

このように本実施形態では、モータ端子電圧を検出して3相検出電圧を推定すると共に、3相Duty指令値から3相指令電圧を演算し、これらの差分からインバータのデッドタイムによる損失電圧を算出する。算出した損失電圧から、上限値を超える補償量が検出された場合、モータ逆起電圧などによる外乱と判断し、補償値を制限してデッドタイムによる損失を算出する。また、算出された損失電圧をdq軸上に変換し、デッドタイム補償値としてフィードバックすることによりdq軸上においてもデッドタイム補償することが可能である。
次に、空間ベクトル変調について説明する。空間ベクトル変調部300は図11に示すように、dq軸空間の2相電圧(vd **,vq **)を3相電圧(Vua,Vva,Vwa)に変換し、3相電圧(Vua,Vva,Vwa)に3次高調波を重畳する機能を有していれば良く、例えば本出願人による特開2017−70066、特願2015−239898等で提案している空間ベクトル変調の手法を用いても良い。
即ち、空間ベクトル変調は、dq軸空間の電圧指令値vd **及びvq **、モータ回転角θ及びセクター番号n(#1〜#6)に基づいて、以下に示すような座標変換を行い、ブリッジ構成のインバータのFET(上側アームQ1、Q3、Q5、下側アームQ2、Q4、Q6)のON/OFFを制御する、セクター#1〜#6に対応したスイッチングパターンS1〜S6をモータに供給することによって、モータの回転を制御する機能を有する。座標変換については、空間ベクトル変調において、電圧指令値vd **及びvq **は、数10に基づいて、α−β座標系における電圧ベクトルVα及びVβに座標変換が行われる。この座標変換に用いる座標軸及びモータ回転角θの関係については、図12に示す。
Figure 2018016559

そして、d−q座標系における目標電圧ベクトルとα−β座標系における目標電圧ベクトルとの間には、数11のような関係が存在し、目標電圧ベクトルVの絶対値は保存される。
Figure 2018016559

空間ベクトル制御におけるスイッチングパターンでは、インバータの出力電圧をFET(Q1〜Q6)のスイッチングパターンS1〜S6に応じて、図13の空間ベクトル図に示す8種類の離散的な基準電圧ベクトルV0〜V7(π/3[rad]ずつ位相の異なる非零電圧ベクトルV1〜V6と零電圧ベクトルV0,V7)で定義する。そして、それら基準出力電圧ベクトルV0〜V7の選択とその発生時間を制御するようにしている。また、隣接する基準出力電圧ベクトルによって挟まれた6つの領域を用いて、空間ベクトルを6つのセクター#1〜#6に分割することができ、目標電圧ベクトルVは、セクター#1〜#6のいずれか1つに属し、セクター番号を割り当てることができる。Vα及びVβの合成ベクトルである目標電圧ベクトルVが、α−β空間において正6角形に区切られた図13に示されたようなセクター内のいずれに存在するかは、目標電圧ベクトルVのα−β座標系における回転角γに基づいて求めることができる。また、回転角γはモータの回転角θとd−q座標系における電圧指令値vd **及びvq **の関係から得られる位相δの和として、γ=θ+δで決定される。
図14は、空間ベクトル制御におけるインバータのスイッチングパターンS1、S3,S5によるディジタル制御で、インバータから目標電圧ベクトルVを出力させるために、FETに対するON/OFF信号S1〜S6(スイッチングパターン)におけるスイッチングパルス幅とそのタイミングを決定する基本的なタイミングチャートを示す。空間ベクトル変調は、規定されたサンプリング期間Ts毎に演算などをサンプリング期間Ts内で行い、その演算結果を次のサンプリング期間Tsにて、スイッチングパターンS1〜S6における各スイッチングパルス幅とそのタイミングに変換して出力する。
空間ベクトル変調は、目標電圧ベクトルVに基づいて求められたセクター番号に応じたスイッチングパターンS1〜S6を生成する。図14には、セクター番号#1(n=1)の場合における、インバータのFETのスイッチングパターンS1〜S6の一例が示されている。信号S1、S3及びS5は、上側アームに対応するFETQ1、Q3、Q5のゲート信号を示している。横軸は時間を示しており、Tsはスイッチング周期に対応し、8期間に分割され、T0/4、T1/2、T2/2、T0/4、T0/4、T2/2、T1/2及びT0/4で構成される期間である。また、期間T1及びT2は、それぞれセクター番号n及び回転角γに依存する時間である。
空間ベクトル変調がない場合、本発明のデッドタイム補償をdq軸上に適用し、デッドタイム補償値のみdq軸/3相変換したデッドタイム補償値波形(U相波形)は、図15の破線のような3次成分が除去された波形となってしまう。V相及びW相についても同様である。dq軸/3相変換の代わりに空間ベクトル変調を適用することにより、3相信号に3次高調波を重畳させることが可能となり、3相変換によって欠損してしまう3次成分を補うことができ、図15の実線のような理想的なデッドタイム補償波形を生成することが可能となる。
図16及び図17は本実施形態の効果を示すステアリング実験装置による結果であり、図16はデッドタイムの補償がない場合のU相電流、d軸電流及びq軸電流を示している。本発明のデッドタイム補償を適用することにより、低速・低負荷でのステアリング操舵状態において、図17のように相電流及びdq軸電流の波形歪みの改善(dq軸電流波形にリップルが少な、正弦波に近い相電流波形)が確認でき、操舵時のトルクリップルの改善と操舵音の改善がみられた。なお、図16及び図17では、代表してU相電流を示している。
次に、本発明の第2実施形態を図18及び図19に示して説明する。
図18は図5に対応し、図19は図6に対応しており、本実施形態のデッドタイム補償部200Aでは第1実施形態の3相交流/dq軸変換部260が削除され、空間ベクトル変調部300からの3相電圧指令値Vur *,Vvr *,Vwr *の経路に加算部142(142u,142v,142w)が配設されている。他の構成は第1実施形態と全く同一であるので、説明は省略する。
本実施形態では、補償量制限部250から出力されるデッドタイム補償値DTC(DTCu,DTCv,DTCw)をdq軸に変換することなく、3相のままで加算部142u,142v,142wに入力している。デッドタイム補償値DTCu,DTCv,DTCwは、加算部142u,142v,142wにおいてそれぞれ3相電圧指令値Vur *,Vvr *,Vwr *と加算(デッドタイム補償)され、デッドタイム補償された3相電圧指令値Vuc,Vvc,VwcがPWM制御部160内のDuty指令値演算部160Aに入力されている。
図20及び図21は、U相について本実施形態の効果を示すステアリング実験装置による結果であり、図20はデッドタイムの補償がない場合のU相電流、d軸電流及びq軸電流を示している。本実施形態のデッドタイム補償を適用することにより、低速・低負荷でのステアリング操舵状態において、図21のように相電流及びdq軸電流の波形歪みの改善(dq軸電流波形にリップルが少な、正弦波に近い相電流波形)が確認でき、操舵時のトルクリップルの改善と操舵音の改善がみられた。
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、デッドタイムによる損失電圧を検出して反映するまでの遅れなどにより、理想とされる補償量よりも若干少ない。そのため、以下に述べる第3実施形態では補償量を改善するため、足りない補償量を理想的なデッドタイム補償値と検出された損出電圧との差をとって電流指令値感応と乗算し、補正値として補正する機能を追加している。これにより、理想のデッドタイム補償波形に近い波形で補正され、操舵時のトルクリップルが低減される。デッドタイム補償3相理想モデルは、角度によるデッドタイム補償値を出力する関数を使用している。
図22に第3実施形態の構成例を図5及び図18に対応させて示しており、本実施形態では3相の理想デッドタイム補償値IDC(IDCu,IDCv,IDCw)を出力する理想デッドタイム補償モデル400が、デッドタイム補償部200B内に設けられている。理想デッドタイム補償モデル400には、モータ回転角θ、モータ回転数ω、インバータ印加電圧VR及び操舵補助指令値(q軸電流指令値)iqrefが入力されており、理想デッドタイム補償モデル400で求められた理想デッドタイム補償値IDCは減算部203に加算入力される。減算部203には、減算部202からの3相損失電圧PLAが減算入力されており、減算部203は理想デッドタイム補償値IDC(IDCu,IDCv,IDCw)から3相損失電圧PLAを減算し、減算結果である電圧差PLC1がゲイン部204に入力される。ゲイン部204はq軸電流指令値iqrefに応じて電流ゲインGiを可変し、電圧差PLC1に電流ゲインGiを乗算した電圧差PLC2を出力し、電圧差PLC2は加算部205に入力される。加算部205では電圧差PLC2と3相損失電圧PLAの加算を行い、加算結果を補償値PLC3として出力する。
電流ゲインGiの感応動作に関係している入力信号は操舵補助指令値iqref(若しくはその絶対値|iqref|)だけである。操舵補助指令値iqrefの符号が変わるゼロクロス付近の微小電流領域では、理想との差分をとった補正をしない方が、精度が高い(操舵補助指令値iqrefのチャタリングにより誤補正し易い)。このため、ある一定の電流値(例えば0.25[A])までは電流ゲインGiを“0”にし、一定値(0.25[A])を超えた電流値に対し電流量に応じて徐々に電流ゲインGiを上げ、上限電流(例えば3.0[A])以上になった場合は電流ゲインGiを一定(例えば0.75)にしている。
補償値PLC3は第1実施形態及び第2実施例と同様なゲイン部240に入力され、更に補償量制限部250を経て3相のデッドタイム補償値DTC(DTCu,DTCv,DTCw)が出力される。第1実施形態では、2相のdq軸補償値に変換してdq軸電圧指令値にフィードバックしているが、第3実施形態では、3相のデッドタイム補償値DTCをdq軸の2相に変換することなく、そのまま空間ベクトル変調後の3相電圧指令値にフィードバックしている。即ち、空間ベクトル変調部300の後段には加算部142(142u,142v,142w)が設けられており、空間ベクトル変調部300からの電圧指令値Vur *,Vvr *,Vwr *及びデッドタイム補償値DTCu,DTCv,DTCwは加算部142の加算部142u,142v,142wでそれぞれ加算される。加算されてデッドタイム補償された3相の電圧指令値VCur *,VCvr *,VCwr *がPWM制御部160に入力される。
理想デッドタイム補償モデル400の詳細は図23に示すようになっており、位相調整部410と、3相角度−デッドタイム補償値関数部430U〜430Wと、乗算部431U〜431W、補償符号判定部440、乗算部441U〜441Wとで構成されている。
最適なデッドタイム補償量はインバータ印加電圧VRに応じて変化するので、本実施形態ではインバータ印加電圧VRに応じたデッドタイム補償量を演算し、可変するようにしている。インバータ印加電圧VRを入力して電圧感応ゲインGvを出力するインバータ印加電圧感応ゲイン部420は図24に示す構成であり、インバータ印加電圧VRは入力制限部421で正負最大値を制限され、最大値を制限されたインバータ印加電圧VRはインバータ印加電圧/デッドタイム補償ゲイン変換テーブル422に入力される。インバータ印加電圧/デッドタイム補償ゲイン変換テーブル422の特性は、例えば図25のようになっている。変曲点のインバータ印加電圧9.0V及び15.0Vと、電圧感応ゲイン“0.7”及び“1.2”は一例であり、適宜変更可能である。電圧感応ゲインGvは乗算部431U,431V,431Wに入力される。
モータ回転数ωによりデッドタイム補償タイミングを早めたり、遅くしたい場合、モータ回転数ωに応じて調整角度を算出する機能のために位相調整部410を有している。位相調整部410は、進角制御の場合は図26に示すような特性であり、算出された位相調整角Δθは加算部421に入力され、検出されたモータ回転角θと加算される。加算部421の加算結果であるモータ回転角θ(=θ+Δθ)は、角度−デッドタイム補償値関数部430U,430V,430Wに入力される。
角度−デッドタイム補償値関数部430U,430V,430Wは図27に詳細を示すように、位相調整されたモータ回転角θに対して、電気角0〜359[deg]の範囲で120[deg]ずつ位相のずれた矩形波の3相の理想デッドタイム補償値Udt,Vdt,Wdtを出力する。デッドタイム補償値角度関数部430U,430V,430Wは、3相で必要とされるデッドタイム補償値を角度による関数とし、ECUの実時間上で計算し、理想デッドタイム補償値Udt,Vdt,Wdtを出力する。デッドタイム基準補償値の角度関数は、ECUのデッドタイムの特性により異なる。
操舵補助指令値qrefは補償符号判定部440に入力され、判定された操舵補助指令値qrefの正負符号PMSが乗算部441U,441V,441Wに入力される。
また、角度−デッドタイム補償値関数部430U,430V,430Wからの理想デッドタイム補償値Udt,Vdt,Wdtはそれぞれ乗算部431U,431V,431Wに入力され、電圧感応ゲインGvと乗算される。電圧感応ゲインGvを乗算された3相のデッドタイム補償値Udt a,Vdta,Wdtaは、それぞれ乗算部441U,441V,441Wに入力されて正負符号PMSを乗算される。正負符号PMSを乗算された理想デッドタイム補償値IDCu(=Gv・Udt),IDCv(=Gv・Vdt),IDCw(=Gv・Wdt)が、減算部203に入力される。
図28は第3実施形態の効果を示すステアリング実験装置による実験結果であり、図28(A)はU相の損失電圧PLAの波形であり、同図(B)はU相の理想デッドタイム補償値IDCの波形であり、同図(C)は減算部203の出力である電圧差PLC1の波形である。そして、図28(D)は加算部205の出力である補償値PLC3の波形であり、理想のデッドタイム補償波形に補正されていることが分かる。これにより、操舵時のトルクリップルが低減される。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 トルクセンサ
20、100 モータ
30 コントロールユニット(ECU)
31 電流指令値演算部
35、203、204 PI制御部
36、160 PWM制御部
37,161 インバータ
130 3相交流/dq軸変換部
140 d−q非干渉制御部
200、200A、200B デッドタイム補償部
204,240 ゲイン部
210 中点電圧推定部
220 3相指令電圧演算部
230 電圧検出遅れモデル
250 補償量制限部
260 3相交流/dq軸変換部
300 空間ベクトル変調部
301 2相/3相変換部
302 3次高調波重畳部
400 理想デッドタイム補償モデル
410 位相調整部

Claims (11)

  1. 少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換して後にDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、
    3相モータ端子電圧に基づいて3相検出電圧を推定し、前記Duty指令値から算出した3相指令電圧と前記3相検出電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる損失電圧を推定し、前記損失電圧を補償したデッドタイム補償値を前記3相電圧指令値にフィードバックして前記インバータのデッドタイム補償を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. インバータ印加電圧により前記デッドタイム補償値の補償量の上限を制限し、モータ逆起電圧などの外乱から前記デッドタイムによる損失電圧を抽出する機能を有する請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換して後にDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、
    前記dq軸電流指令値を空間ベクトル変調して前記3相電圧指令値とする空間ベクトル変調部と、
    3相モータ端子電圧、モータ回転角、モータ回転数及びインバータ印加電圧に基づいて中点電圧を推定する中点電圧推定部と、
    前記中点電圧及び前記3相モータ端子電圧から3相検出電圧を算出する3相検出電圧算出部と、
    前記Duty指令値及び前記インバータ印加電圧に基づいて3相指令電圧を演算する3相指令電圧演算部と、
    前記3相検出電圧と前記3相指令電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる損失電圧を推定する3相損失電圧演算部と、
    前記3相損失電圧演算部で演算された3相損失電圧を前記インバータ印加電圧に感応して前記デッドタイム補償値を制限する補償値制限部と、
    を具備し、前記制限された前記デッドタイム補償値を前記3相電圧指令値に加算して前記インバータのデッドタイム補償を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 前記3相指令電圧演算部の後段に電圧検出遅れモデルが介挿され、前記3相モータ端子電圧に基づく前記デッドタイム補償値の補償量の上限を制限し、モータ逆起電圧などの外乱から前記デッドタイムによる損失電圧を算出する機能を有する請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記3相損失電圧演算部が減算部である請求項3又は4に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたdq軸電流指令値を3相のDuty指令値に変換し、PWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、
    3相モータ端子電圧に基づいて3相検出電圧を推定し、前記Duty指令値から算出した3相指令電圧と前記3相検出電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる損失電圧を推定し、算出された前記損出電圧を基本的な補償量とすると共に、足りない補償量を理想デッドタイム補償値と前記損失電圧の電圧差を補正し、補正された3相の値をデッドタイム補償値として3相電圧指令値にフィードバックして、前記インバータのデッドタイム補償を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  7. 前記理想デッドタイム補償値を、モータ回転角、モータ回転数及びインバータ印加電圧に基づいて算出するようになっている請求項6に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記補正を、q軸電流指令値に基づいて前記電圧差をゲイン倍し、前記ゲイン倍された電圧値及び前記電圧差の加算で行う請求項6又は7に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 少なくとも操舵トルクに基づいて演算されたd軸電流指令値及びq軸電流指令値を3相電圧指令値に変換し、3相Dutyを演算されたPWM制御のインバータにより3相ブラシレスモータを駆動制御し、車両の操舵機構にアシストトルクを付与するベクトル制御方式の電動パワーステアリング装置において、
    3相モータ端子電圧、モータ回転角、モータ回転数及びインバータ印加電圧に基づいて中点電圧を推定する中点電圧推定部と、
    前記中点電圧及び前記3相モータ端子電圧から3相検出電圧を算出する3相検出電圧算出部と、
    前記Duty指令値及び前記インバータ印加電圧に基づいて3相指令電圧を演算する3相指令電圧演算部と、
    前記3相検出電圧と前記3相指令電圧の差分から前記インバータのデッドタイムによる3相損失電圧を推定する損失電圧演算部と、
    前記モータ回転角、前記モータ回転数及び前記インバータ印加電圧に基づいて3相理想デッドタイム補償値を求める理想デッドタイム補償モデルと、
    前記3相損失電圧及び前記3相理想デッドタイム補償値の電圧差を前記q軸電流指令値に基づいて補正する補正部と、
    前記補正部からの補償値を前記インバータ印加電圧に基づいて処理して3相デッドタイム補償値を出力する出力部と、
    で構成され、前記3相デッドタイム補償値を前記3相電圧指令値にフィードバックして前記インバータのデッドタイム補償を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  10. 前記補正部が、
    前記電圧差を前記q軸電流指令値に基づいてゲイン倍する第1ゲイン部と、前記第1ゲイン部からの電圧値及び前記電圧差を加算する加算部とで構成されている請求項9に記載の電動パワーステアリング装置。
  11. 前記出力部が、
    前記加算部からの補償値をゲイン倍する第2ゲイン部と、前記第2ゲイン部からの補償量の最大値を前記インバータ印加電圧に基づいて制限する補償量制限部とで構成されている請求項9又は10に記載の電動パワーステアリング装置。
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