JPWO2018012602A1 - マグネシウム合金 - Google Patents

マグネシウム合金 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018012602A1
JPWO2018012602A1 JP2018502198A JP2018502198A JPWO2018012602A1 JP WO2018012602 A1 JPWO2018012602 A1 JP WO2018012602A1 JP 2018502198 A JP2018502198 A JP 2018502198A JP 2018502198 A JP2018502198 A JP 2018502198A JP WO2018012602 A1 JPWO2018012602 A1 JP WO2018012602A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
compound
less
content
magnesium alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018502198A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6329714B1 (ja
Inventor
水谷 学
学 水谷
克仁 吉田
克仁 吉田
河部 望
望 河部
清二 才川
清二 才川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyama University
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Toyama University
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyama University, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Toyama University
Application granted granted Critical
Publication of JP6329714B1 publication Critical patent/JP6329714B1/ja
Publication of JPWO2018012602A1 publication Critical patent/JPWO2018012602A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C23/00Alloys based on magnesium
    • C22C23/02Alloys based on magnesium with aluminium as the next major constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C23/00Alloys based on magnesium

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

Alを5.0質量%以上15.0質量%以下、Srを2.5質量%以上7.0質量%以下、Caを0.05質量%以上3.0質量%未満、Mnを0.1質量%以上0.6質量%以下含み、残部がMg及び不可避不純物であるマグネシウム合金。

Description

本発明は、マグネシウム合金に関する。
本出願は、2016年7月15日付の日本国出願の特願2016−140004に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
マグネシウム合金は、実用金属で最も比重が小さく、比強度、比剛性に優れるので、軽量素材として注目されている。そのマグネシウム合金は、各種の添加元素を含有することで、各種の特性を有する(例えば、特許文献1や特許文献2)。
特開2012−136727号公報 特開2010−242146号公報
本開示に係るマグネシウム合金は、
Alを5.0質量%以上15.0質量%以下、
Srを2.5質量%以上7.0質量%以下、
Caを0.05質量%以上3.0質量%未満、
Mnを0.1質量%以上0.6質量%以下含み、残部がMg及び不可避不純物である。
試験例1で作製した試料No.1−17のダイカスト材の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した顕微鏡写真である。
[本開示が解決しようとする課題]
耐熱性に優れる上に、難燃性に優れるマグネシウム合金の開発が望まれている。
自動車部品や航空機部品などの部品は、使用環境温度が常温よりも高い場合がある。例えば、エンジンルームの近くに配置される部品は、使用環境温度が100℃〜180℃程度である場合があり、耐熱性に優れることが望まれる。特に、これらの部品は、他の部品や設置対象にボルトなどによって締結される場合、経時的な変形によって締結状態が緩む虞があり、締結力(残留軸力)が低下し難いこと、即ち高温耐クリープ性に優れることが望まれる。
これらの部品は、代表的には鋳造部材で構成されている。この鋳造部材を製造する際、マグネシウム合金の溶湯の発火を抑制するために、一般的に、防燃ガスが用いられている。この防燃ガスの使用は、部品コストが高くなる上にその扱いが煩雑になり易い。そのため、マグネシウム合金は難燃性に優れることが望まれる。
そこで、耐熱性に優れる上に、難燃性に優れるマグネシウム合金を提供することを目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示のマグネシウム合金は、耐熱性に優れる上に、難燃性に優れる。
《本発明の実施形態の説明》
本発明者らは、耐熱性に優れる上に、難燃性に優れるマグネシウム合金を製造するべく、添加元素の種類及び含有量を鋭意検討した。その結果、アルミニウム(Al)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、及びマンガン(Mn)を添加元素とし、Caの量を比較的少なくすると共にSrの量を比較的多くすることで、耐熱性に優れる上に、難燃性に優れるマグネシウム合金が得られるとの知見を得た。本発明は、上記知見に基づくものである。最初に本発明の実施態様の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るマグネシウム合金は、
Alを5.0質量%以上15.0質量%以下、
Srを2.5質量%以上7.0質量%以下、
Caを0.05質量%以上3.0質量%未満、
Mnを0.1質量%以上0.6質量%以下含み、残部がMg及び不可避不純物である。
上記の構成によれば、耐熱性に優れる上に、難燃性に優れる。これは、詳しくは後述するが、Caの量を比較的少なくすると共にSrの量を比較的多くしたためであると考えられる。耐熱性に優れることで、マグネシウム合金からなる各種の素材に好適に利用できる。難燃性に優れることで、大気中で溶解しても溶湯の発火を抑制できるため、防燃ガスを不要にできて製造作業性を向上できる。溶湯が発火しないとは、マグネシウム合金の代表的な溶湯温度で静置した状態において発火しないこと言う。各添加元素の詳細は、後述する。
(2)上記マグネシウム合金の一形態として、断面におけるMgとAlとを含む化合物の面積割合が5%以下である組織を備えることが挙げられる。
MgとAlとを含む化合物は比較的低融点であるため、その化合物の面積割合を5%以下とすれば、耐熱性の低下を抑制し易い。
(3)上記マグネシウム合金の一形態として、希土類元素を0.5質量%以上3.0質量%以下含むことが挙げられる。
希土類元素の含有量を0.5質量%以上とすれば、アルミニウムと希土類元素とを含む化合物を合金組織中に存在させられて、高温耐クリープ性を向上させ易い。希土類元素の含有量を3.0質量%以下とすれば、アルミニウムと希土類元素とを含む化合物が過度に多くなり過ぎることを抑制して、熱間割れを抑制し易い。
(4)上記マグネシウム合金の一形態として、SrとCaの合計含有量が6.0質量%以下であることが挙げられる。
SrとCaの合計含有量を6.0質量%以下とすれば、鋳造金型への焼付きと熱間割れなどの欠陥とを抑制し易い。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。
〔マグネシウム合金〕
実施形態に係るマグネシウム合金は、添加元素としてAl、Sr、Ca、Mnをそれぞれ特定の量含有し、残部がMg及び不可避不純物である。このMg合金の特徴の一つは、Srの含有量が比較的多くてCaの含有量が比較的少ない点にある。以下、その詳細を説明する。
[アルミニウム(Al)]
Alは、高温耐クリープ性を向上する。加えて、Alは、耐食性、強度、耐塑性変形性といった機械的特性を向上する。Alは、Srを含む化合物(Al−Sr化合物)やCaを含む化合物(Al−Ca化合物)などを形成して合金組織中に存在する。各化合物の詳細は後述する。
Alの含有量は、5.0質量%以上15.0質量%以下が挙げられる。Alの含有量を5.0質量%以上とすることで、Al−Sr化合物やAl−Ca化合物を十分に形成し易く、高温耐クリープ性を向上し易い。Alの含有量を15.0質量%以下とすることで、適度な靭性を有することができる。また、Mgを含む化合物(Mg−Al化合物)が過度に形成(析出)されないため、高温耐クリープ性の低下を抑制し易い。Alの含有量は、更に6.0質量%以上12.0質量%以下が好ましい。Alの含有量を6.0質量%以上とすれば、マグネシウム合金の融点が低下することで湯流れ性が良くなるため鋳造性を向上し易い。Alの含有量を12.0質量%以下とすれば、Mg−Al化合物の形成を抑制し易く、耐熱性を更に向上し易い。Alの含有量は、特に8.0質量%以上10.0質量%以下が好ましい。Alの含有量を8.0質量%以上10.0質量%以下とすれば、鋳造性、耐食性、強度、靭性のバランスに優れる。
[ストロンチウム(Sr)]
Srは、高温耐クリープ性を向上すると共に、難燃性を向上する。難燃性の向上により、大気中で溶解しても溶湯の発火を抑制できる。溶湯の発火を抑制とは、マグネシウム合金の代表的な溶湯温度で静置した状態において発火を抑制できるこという。マグネシウム合金の代表的な溶湯温度とは、例えば、660℃以上750℃以下程度が挙げられる。そのため、防燃ガスを不要にできて製造作業性を向上できる。Srは、Al−Sr化合物を形成して合金組織中に存在する。このAl−Sr化合物の形成により、Mg−Al化合物の形成(析出)が抑制される。
Srの含有量は、2.5質量%以上7.0質量%以下が挙げられる。Srの含有量を2.5質量%以上とすることで、Al−Sr化合物を十分に形成してMg−Al化合物の形成を抑制し易いため、高温耐クリープ性を向上する。その上、難燃性を向上し易い。Srの含有量は、多いほどAl−Sr化合物が十分に形成されて、結晶粒界により多く存在して粒界すべりなどを抑制し易い上に難燃性を高め易い。Srの含有量を7.0質量%以下とすることで、鋳造金型への焼付きを抑制し易い。Srの含有量は、更に2.5質量%以上5.0質量%以下が好ましい。Srの含有量を5.0質量%以下とすれば、鋳造金型への焼付きを低減できる。Srの含有量は、特に2.5質量%以上4.0質量%以下が好ましい。Srの含有量を4.0質量%以下とすれば、耐熱性を低下させることなく鋳造金型への焼付きを更に低減できる。
[カルシウム(Ca)]
Caは、高温耐クリープ性を向上する。Caは、Al−Ca化合物を形成して合金組織中に存在する。このAl−Ca化合物の形成により、Mg−Al化合物の形成(析出)が抑制される。
Caの含有量は、0.05質量%以上3.0質量%未満が挙げられる。Caの含有量を0.05質量%以上とすることで、Al−Ca化合物を十分に形成してMg−Al化合物の形成を抑制し易いため、高温耐クリープ性を向上し易い。Caの含有量が多いほど、Srと同様、Al−Ca化合物が十分に形成されて、粒界により多く存在して粒界すべりなどを抑制し易い。Caの含有量を3.0質量%未満とすることで、Al−Ca化合物が過度に存在して熱間割れなどの欠陥の原因になることを抑制し易い上に、鋳造性を向上できる。Caの含有量は、更に0.5質量%以上2.0質量%以下が好ましい。Caの含有量を0.5質量%以上とすれば、Al−Ca化合物を形成して耐熱性を向上させる上に、溶湯の難燃性を向上し易い。Caの含有量は、特に0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましい。Caの含有量を1.5質量%以下とすれば、耐熱性及び溶湯の難燃性を損なうことなく熱間割れなどの欠陥の発生を抑制できる。
[マンガン(Mn)]
Mnは、高温耐クリープ性を向上する。その上、Mnは、マグネシウム合金中に不純物として存在し得るFeを低減して、耐食性の向上にも寄与する。Mnは、Alを含む化合物(Al−Mn化合物)を形成して、Mg−Al化合物の形成(析出)を抑制する。
Mnの含有量は、0.1質量%以上0.6質量%以下が挙げられる。Mnの含有量を0.1質量%以上とすることで、Al−Mn化合物を十分に形成し易くてMg−Al化合物の形成(析出)を抑制し易い。その上、耐食性を向上し易い。上記の効果は、Mnの含有量が0.6質量%程度で飽和する。Mnの含有量は、更に0.2質量%以上0.4質量%以下が好ましい。Mnの含有量を0.2質量%以上0.4質量%以下とすれば、耐食性を悪化させる不純物のFe量を低減できる。Mnの含有量は、特に0.2質量%以上0.3質量%以下が好ましい。Mnの含有量を0.2質量%以上0.3質量%以下とすれば、不純物のFe量の低減効果を損なうことなく粗大なAl−Mn化合物の発生を低減できるため、耐熱性や機械的特性に悪影響を及ぼさずに耐食性を向上できる。
[希土類元素(RE)]
REは、高温耐クリープ性を向上する。REは、Alを含む化合物(Al−RE化合物)を形成して合金組織中に存在する。このAl−RE化合物の形成により、Mg−Al化合物の形成(析出)が抑制される。REは、周期表3族の元素、即ちスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド、アクチノイドの中から選択される少なくとも1種の希土類元素であって、複数種の希土類元素を含む合金であるミッシュメタルも含む。
REの含有量は、0.5質量%以上3.0質量%以下が挙げられる。REの含有量を0.5質量%以上とすることで、Al−RE化合物が十分に形成されて、粒界により多く存在して粒界すべりなどを抑制し易い。REの含有量を3.0質量%以下とすることで、Al−RE化合物が過度に存在して熱間割れなどの欠陥の原因になることを抑制し易い。REの含有量は、更に0.5質量%以上2.0質量%以下が好ましい。REの含有量を2.0質量%以下とすれば、耐熱性を向上させた上で、熱間割れを低減できる。REの含有量は、特に0.5質量%以上1.5質量%以下が好ましい。REの含有量を1.5質量%以下とすれば、耐熱性を十分に向上できる。その上、高価な希土類元素の使用量を低減できて合金コストを低減できる。
[Sr+Ca]
SrとCaの合計含有量は、3.0質量%以上が好ましい。この合計含有量を3.0質量%以上とすれば、高温耐クリープ性の効果的に向上させ易い。SrとCaの合計含有量は、6.0質量%以下が好ましい。この合計含有量を6.0質量%以下とすれば、鋳造金型への焼付きや熱間割れなどの欠陥を効果的に抑制し易い。SrとCaの合計含有量は、更に3.0質量%以上5.0質量%以下が好ましく、特に3.5質量%以上4.5質量%以下が好ましい。Alの含有量が多いほど、SrとCaの合計含有量は、上記範囲内において多いことが好ましい。そうすれば、Alの含有量が多くても、Al−Sr化合物やAl−Ca化合物を形成してMg−Al化合物の形成を効果的に抑制し易い。
SrとCaの含有比は、例えば、2:1〜5:1が好ましい。そうすれば、高温耐クリープ性の向上効果と、鋳造金型への焼付きと熱間割れなどの欠陥の抑制効果とをバランス良く得易い。SrとCaの含有比は、特に3:1程度が好ましい。
[組織]
マグネシウム合金は、上述のAl−Sr化合物、及びAl−Ca化合物の少なくとも一方、代表的には両方が結晶粒界に分散した組織を有する。マグネシウム合金が添加元素としてREを含む場合、Al−RE化合物もAl−Sr化合物やAl−Ca化合物と同様、粒界に分散して存在する。このマグネシウム合金は、Mg−Al化合物が少ない又は実質的に存在しない組織を備える。
これらAl−Sr化合物、Al−Ca化合物、及びAl−RE化合物は、代表的には晶出物である。Al−Sr化合物、及びAl−Ca化合物の融点は1000℃以上であり、Al−RE化合物の融点は1100℃以上であり、Mg−Al化合物の融点(462℃)よりも十分に高い。これらAl−Sr化合物、Al−Ca化合物、及びAl−RE化合物のような高融点化合物が粒界に分散して存在し、Mg−Al化合物のような低融点化合物が少ないことで、高温に保持された場合でも粒界すべりなどを抑制し、クリープ変形し難くすることができると考えられる。
Al−Sr化合物の種類は、例えば、AlSr、AlSr、Mg13AlSr、Mg11AlSr、MgAlSrなどが挙げられる。Al−Ca化合物の種類は、例えば、AlCa、AlCa、(MgAl)Caなどが挙げられる。Al−RE化合物の種類は、例えば、AlRE、Al11REなどが挙げられる。Mg−Al化合物の種類は、例えば、Mg17Al12が挙げられる。これら化合物の組成は、例えば、エネルギー分散型X線分析法(EDX)や、オージェ電子分光法(AES)などによって成分分析を行うことで確認できる。
Mg−Al化合物が少ない又は実質的に存在しない組織とは、定量的には、マグネシウム合金の断面におけるMg−Al化合物の面積割合が5%以下である組織とする。上記面積割合が少ないほど、高温耐クリープ性に優れる上に上記熱間割れなどの欠陥を抑制できる。上記面積割合は4%以下が好ましく、更に2%以下が好ましい。上記面積割合は0%、即ちMg−Al化合物が存在しないことが最も好ましい。
上記面積割合の測定方法は、次の通りである。マグネシウム合金の断面の顕微鏡写真を用いて、観察視野Sf(350μm×250μm)中に存在するMg−Al化合物(主としてMg17Al12)を抽出してその面積を求め、更にその合計面積Smを求める。そして、(Sm/Sf)×100%をその断面におけるMg−Al化合物の面積割合として求め、10個の観察視野における面積割合の平均を面積割合(%)とする。断面の採取は、市販のクロスセクションポリッシャ(CP)加工装置を用いて行える。Mg−Al化合物の断面積は、画像処理装置によって顕微鏡写真(SEM像)を二値化処理した二値化像などを利用すると容易に測定できる。二値化処理は、Mg−Al化合物と、母相及びそれ以外の化合物とを色調の違いで区別することで行える。このとき、EDXによる点分析を行うことで、母相及び各化合物の種類を確認できる。
[用途]
実施形態に係るマグネシウム合金は、各種鋳造部材の素材に好適に利用できる。
〔作用効果〕
実施形態に係るマグネシウム合金によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)耐熱性に優れる。そのため、マグネシウム合金の各種鋳造部材の素材に好適に利用できる。
(2)難燃性に優れる。そのため、大気中で溶解しても溶湯の発火を抑制できるので、防燃ガスを不要にできてマグネシウム合金の各種鋳造部材の製造作業性を向上できる。
(3)鋳造金型への焼付きが生じ難い。そのため、マグネシウム合金の各種鋳造部材の製造作業性を向上できる。
(4)熱間割れなどの欠陥が生じ難い。そのため、優れた外観を有するマグネシウム合金の各種鋳造部材の素材に好適に利用できる。
《試験例1》
マグネシウム合金を用いてダイカスト材を作製し、そのダイカスト材の耐熱性と割れと焼付き性とを評価した。本発明のマグネシウム合金は、その製造条件が以下のダイカスト材の製造条件に限定されるわけではない。
マグネシウム合金の溶湯を作製した。まず、純度99.9質量%のマグネシウムの塊を50kg用意し、Ar雰囲気の溶解炉を用いて690℃で溶解し純マグネシウムの溶湯を作製した。続いて、完全に溶解した純マグネシウムの溶湯中に、以下の1〜5の添加元素の塊を添加して、表1〜表4に示す組成のマグネシウム合金の溶湯を作製した。表1〜表4中の「−」は、添加元素を含有していないことを示す。添加元素の添加及び溶解は、湯温は690℃に保持した状態で棒状の治具によって10分間撹拌して行った。
1.純度99.9質量%の純アルミニウム塊
2.純度99質量%のSr塊
3.純度99.5質量%のCa塊
4.アルミニウム母合金(Al−10質量%Mn)
5.純度99質量%のミッシュメタル塊
ミッシュメタルの含有元素及びその含有量は、Laが28質量%、Ceが51質量%、Ndが16質量%、Prが質量5%である。
作製した各試料のマグネシウム合金溶湯を用いて、ダイカスト材を作製した。ダイカスト材の作製には、コールドチャンバーダイカストマシン(宇部興産機械株式会社製、型番UB530iS2)を用いた。ここでは、鋳造条件は、溶湯温度を690℃、射出速度を2.5m/s、鋳造圧力を60MPaに設定して鋳造した。ダイカスト材の形状は、リング状とした。
〔断面観察〕
作製した各試料のダイカスト材の断面におけるMg−Al化合物(主としてMg17Al12)の面積割合を求めた。断面の採取は、市販のクロスセクションポリッシャ(CP)加工装置を用いて行った。断面の観察は、SEMを用いた。Mg−Al化合物の面積割合は、次のようにして求めた。SEM写真を用いて、観察視野Sf(350μm×250μm)中に存在するMg−Al化合物(主としてMg17Al12)を抽出し、その合計面積Smを求める。そして、(Sm/Sf)×100%をその断面におけるMg−Al化合物の面積割合とする。観察視野数は10個とし、その10個の観察視野における面積割合の平均を各試料におけるMg−Al化合物の面積割合(%)とした。その結果を表1〜表4に示す。Mg−Al化合物の断面積は、画像処理装置によって顕微鏡写真(SEM像)を二値化処理した二値化像などを利用すると容易に測定できる。
一例として、試料No.1−17の顕微鏡写真を図1に示す。図1では、濃い灰色で示される部分はマグネシウム合金の母相、薄い灰色で示される部分はAl−Ca化合物、白色で示される部分はAl−Sr化合物である。図1に示すように、Al,Sr,Ca,Mnを特定の範囲で含む試料No.1−17は、Al−Sr化合物及びAl−Ca化合物が結晶粒界に分散して存在することが分かる。また、試料No.1−17は、Mg−Al化合物が確認できず、実質的に存在しない。
〔耐熱性の評価〕
作製した各試料のダイカスト材の耐熱性を評価した。この評価は、各試料のダイカスト材とアルミニウム製のブロック材とを鉄製のボルトで締結した試験部材に熱処理を施し、熱処理前後のボルトの歪量から残留軸力(%)を求めることで行った。試験部材は、上記ブロック材の適宜な位置に各試料のダイカスト材の孔と同等径のボルト孔を設け、そのボルト孔と各試料のダイカスト材の孔とを合わせて、鉄製のボルトを締め付けることで作製した。熱処理の条件は、温度を150℃とし、保持時間を170時間とした。歪量は、ボルトに配置した市販の歪ゲージで求めた。残留軸力は、締結直後であって150℃に加熱する前のボルトの歪量をSo、150℃×170時間の熱履歴を与えた後のボルトの歪量をStとし、[(St−So)/So]×100(%)により算出した。加熱する前の歪量Soは、初期締付軸力を9Nとして締め付けた際の歪量とした。残留軸力の結果とその評価A〜Cを表1〜表4に示す。評価Aは残留軸力が50%以上、評価Bは残留軸力が40%以上50%未満、評価Cは残留軸力が40%未満とした。表4に示す「※」は、割れが生じたため測定できなかったことを示す。
〔割れの評価〕
作製した各試料のダイカスト材の割れの状態を評価した。この割れの状態の評価は、各試料のダイカスト材の表面を目視確認して亀裂発生頻度を調べることで行った。亀裂発生頻度は、各試料について10個のダイカスト材を用意し、10個のダイカスト材における亀裂数の平均とした。亀裂発生頻度(個)の結果とその評価A〜Cを表1〜表4に示す。評価Aは亀裂発生頻度が0個、評価Bは亀裂発生頻度が0個超5個以下、評価Cは亀裂発生頻度が5個超とした。
〔焼付き性の評価〕
作製した各試料のダイカスト材の焼付き性を評価した。この焼付き性の評価は、割れの評価と同様、各試料のダイカスト材の表面を目視確認して焼付き箇所の数を調べることで行った。焼付き箇所の数は、各試料について10個のダイカスト材を用意し、10個のダイカスト材における焼付き箇所の数の平均とした。焼付き箇所(箇所)の結果とその評価A〜Cを表1〜表4に示す。評価Aは焼付き箇所が0箇所、評価Bは焼付き箇所が0箇所超5箇所以下、評価Cは焼付き箇所が5箇所超とした。
〔総合評価〕
耐熱性、割れ、焼付き性の3つの評価の総合評価の結果を表1に示す。総合評価Aは、耐熱性、割れ、焼付き性の3つの評価が全てAの場合であり、総合評価Bは、3つの評価のうち1つでもBがあって、かつCが1つもない場合であり、総合評価Cは、3つの評価のうち1つでもCがあった場合とした。
表1〜表3に示すように、Al:5以上15質量%以下,Sr:2.5質量%以上7質量%以下,Ca:0.05質量以上3.0質量%未満,Mn:0.1質量%以上0.6質量%以下含む試料No.1−1〜試料No.1−43は、残留軸力が高く、割れが少なく、焼付きも少ないことが分かる。この試料No.1−1〜試料No.1−43は、Mg−Al化合物の面積率が低く、5%以下であることが分かる。特に、表1,表2に示すように、Al:6以上10質量%以下,Sr:2.5質量%以上5質量%以下,Ca:0.5質量以上2.0質量%以下,Mn:0.1質量%以上0.6質量%以下含む試料No.1−1〜試料No.1−34は、残留軸力が50%以上、割れが0個、焼付きが0箇所であり、耐熱性、割れ、焼付き性の全てにおいて優れていることが分かる。一方、表4に示すように、上述の特定の組成を有していない試料No.1−101〜試料No.1−117は、残留軸力が低かったり、割れが多かったり、焼付きが多かったりしており、耐熱性、割れ、及び焼付き性のいずれか1つ又は2つが、試料No.1−1〜試料No.1−43に比べて劣ることが分かる。また、これらの試料から、Srの含有量が多いほど、焼付きが生じ易いこと、Caの含有量が多いほど、割れが生じやすいことが分かる。
《試験例2》
マグネシウム合金の難燃性を評価した。難燃性の評価は、マグネシウム合金の溶湯の発火状態を確認することで行った。まず、試験例1の試料No.1−13(表1)と試料No.1−105(表4)と同じ組成のマグネシウム合金の溶湯を試験例1と同様にして作製した。続いて、大気中で、溶湯を撹拌することなく湯温を700℃にした状態を1時間保持して、溶湯の発火状態を確認した。
試料No.1−13のマグネシウム合金の溶湯は発火しなかったのに対して、試料No.1−105のマグネシウム合金の溶湯は発火した。この結果から、Al,Sr,Ca,Mnを特定の範囲で含むマグネシウム合金は、難燃性に優れることが分かった。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (4)

  1. Alを5.0質量%以上15.0質量%以下、
    Srを2.5質量%以上7.0質量%以下、
    Caを0.05質量%以上3.0質量%未満、
    Mnを0.1質量%以上0.6質量%以下含み、残部がMg及び不可避不純物であるマグネシウム合金。
  2. 断面におけるMgとAlとを含む化合物の面積割合が5%以下である組織を備える請求項1に記載のマグネシウム合金。
  3. 希土類元素を0.5質量%以上3.0質量%以下含む請求項1又は請求項2に記載のマグネシウム合金。
  4. SrとCaの合計含有量が6.0質量%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネシウム合金。
JP2018502198A 2016-07-15 2017-07-13 マグネシウム合金 Active JP6329714B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016140004 2016-07-15
JP2016140004 2016-07-15
PCT/JP2017/025598 WO2018012602A1 (ja) 2016-07-15 2017-07-13 マグネシウム合金

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6329714B1 JP6329714B1 (ja) 2018-05-23
JPWO2018012602A1 true JPWO2018012602A1 (ja) 2018-07-12

Family

ID=60953041

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018502198A Active JP6329714B1 (ja) 2016-07-15 2017-07-13 マグネシウム合金

Country Status (5)

Country Link
US (1) US10808302B2 (ja)
JP (1) JP6329714B1 (ja)
CN (1) CN108474067A (ja)
DE (1) DE112017001307T5 (ja)
WO (1) WO2018012602A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112018005870T5 (de) * 2017-11-17 2020-08-06 National University Corporation University Of Toyama Magnesium-Legierung und Magnesium-Legierungsteil
JP7362052B2 (ja) * 2018-02-28 2023-10-17 国立大学法人 熊本大学 難燃性マグネシウム合金及びその製造方法
AT522003B1 (de) * 2018-12-18 2021-10-15 Lkr Leichtmetallkompetenzzentrum Ranshofen Gmbh Magnesiumbasislegierung und Verfahren zur Herstellung derselben
CN109957693B (zh) * 2019-03-27 2020-07-14 东北大学 一种高锶高铝含量的铸造镁基复合材料及制备方法
CN114231782B (zh) 2021-12-20 2022-09-23 重庆大学 一种非晶颗粒改性镁合金表层梯度复合材料的制备方法

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2662707B1 (fr) * 1990-06-01 1992-07-31 Pechiney Electrometallurgie Alliage de magnesium a haute resistance mecanique contenant du strontrium et procede d'obtention par solidification rapide.
DE19915277A1 (de) 1999-04-03 2000-10-05 Volkswagen Ag Magnesiumlegierungen hoher Duktilität, Verfahren zu deren Herstellung und deren Verwendung
DE10221720A1 (de) 2002-05-16 2003-11-27 Bayerische Motoren Werke Ag Magnesiumlegierung
JP2005068550A (ja) * 2003-08-06 2005-03-17 Aisin Seiki Co Ltd 耐熱性、鋳造性に優れ、安価な鋳造用耐熱マグネシウム合金
WO2005108634A1 (en) 2004-05-10 2005-11-17 Norsk Hydro Technology B.V. Magnesium alloy having improved elevated temperature performance
IL181797A (en) * 2007-03-08 2011-10-31 Dead Sea Magnesium Ltd Creep-resistant magnesium alloy for casting
KR100955819B1 (ko) 2007-12-13 2010-05-06 한국기계연구원 고온 크리프 내성을 가지는 주조용 마그네슘합금
JP5327515B2 (ja) * 2008-11-14 2013-10-30 株式会社豊田自動織機 鋳造用マグネシウム合金およびマグネシウム合金鋳物
JP2010242146A (ja) * 2009-04-03 2010-10-28 Toyota Central R&D Labs Inc マグネシウム合金およびマグネシウム合金部材
JP5638222B2 (ja) * 2009-11-04 2014-12-10 株式会社アーレスティ 鋳造用耐熱マグネシウム合金および合金鋳物の製造方法
JP5648909B2 (ja) 2010-12-24 2015-01-07 住友電気工業株式会社 制振用マグネシウム合金及び制振材
JP5729081B2 (ja) 2011-03-29 2015-06-03 株式会社新技術研究所 マグネシウム合金
JP5880811B2 (ja) 2011-06-22 2016-03-09 住友電気工業株式会社 マグネシウム合金鋳造材、マグネシウム合金鋳造コイル材、マグネシウム合金展伸材、マグネシウム合金接合材、マグネシウム合金鋳造材の製造方法、マグネシウム合金展伸材の製造方法、及びマグネシウム合金部材の製造方法
CN102776427A (zh) 2012-08-17 2012-11-14 临江市东锋有色金属股份有限公司 一种含稀土耐热镁合金
CN103276264B (zh) * 2013-06-21 2014-11-26 中国兵器工业第五九研究所 一种低成本热强变形镁合金及其制备方法
JP5856699B1 (ja) 2015-01-29 2016-02-10 日本電信電話株式会社 階層型パス制御システム、パス制御方法およびプログラム、並びに、下位制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN108474067A (zh) 2018-08-31
US10808302B2 (en) 2020-10-20
WO2018012602A1 (ja) 2018-01-18
US20180371583A1 (en) 2018-12-27
DE112017001307T5 (de) 2018-11-29
JP6329714B1 (ja) 2018-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6329714B1 (ja) マグネシウム合金
JP4539572B2 (ja) 鋳造用マグネシウム合金および鋳物
JP2009013480A (ja) 鋳造用アルミニウム合金及び内燃機関用シリンダーヘッド
JP2011190493A (ja) アルミニウム合金及びアルミニウム合金製高強度ボルト
US20110220251A1 (en) Magnesium alloy and magnesium-alloy cast product
WO2012057329A1 (ja) マグネシウム合金部材、エアコン用圧縮機及びマグネシウム合金部材の製造方法
JP4852082B2 (ja) マグネシウム合金
JP2013142168A (ja) 耐クリープ特性に優れたアルミニウム合金
WO2015135253A1 (zh) 铝硅系合金及其生产方法
JP4433916B2 (ja) 塑性加工用マグネシウム合金およびマグネシウム合金部材
JP2004162090A (ja) 耐熱性マグネシウム合金
JP5969713B1 (ja) ダイカスト用アルミニウム合金およびこれを用いたアルミニウム合金ダイカスト
JP2007070685A (ja) 良加工性マグネシウム合金及びその製造方法
JP2004238676A (ja) マグネシウム合金
JP2017160495A (ja) マグネシウム合金、及び鋳造部材
JP5852039B2 (ja) 耐熱マグネシウム合金
JPWO2019098269A1 (ja) マグネシウム合金およびマグネシウム合金部材
WO2018116940A1 (ja) マグネシウム合金
JP5419061B2 (ja) マグネシウム合金
JP2005187895A (ja) 耐熱マグネシウム合金鋳造品
JP2006176873A (ja) マグネシウム合金及びマグネシウム合金部材の製造方法
JP2018062701A (ja) マグネシウム合金
JP2012197490A (ja) 高熱伝導性マグネシウム合金
JP2011117064A (ja) 疲労強度特性に優れた耐熱マグネシウム合金およびその耐熱マグネシウム合金の製造方法並びにエンジン用耐熱部品
JP4700488B2 (ja) 耐熱マグネシウム合金

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180219

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180219

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6329714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250