JPWO2018008719A1 - 化粧シート用基材及び化粧シート - Google Patents

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Abstract

化粧シート用基材及び化粧シートにおいて高い不燃性及び耐久性を実現する。化粧シートを、非結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化度が10%以下である表面層及び結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化度が40%以上80%未満である表面層とは異なる層を備える積層延伸フィルムからなる化粧シート用基材と、化粧シート用基材の表面層側の面に形成されたポリオレフィン系樹脂を含む一層又は複数層の透明樹脂層と、により形成する。表面層及び前記表面層とは異なる層の少なくとも一方は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、特にポリオレフィン系樹脂がポリプロピレンであることが好ましい。また、表面層は、ポリオレフィン系樹脂として、メソペンタッド分率が30%以上50%未満であるポリプロピレンを含むことが好ましい。

Description

本発明は、建築内装材、建具の表面材、家電製品の表面材などに用いられる化粧シート用基材及び化粧シートに関するものである。
建築内装材や建具の表面などに用いられる化粧シート、特に、公共用用途に用いられる化粧シートについては、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号に記載の不燃材料の技術的基準を満たすことが求められている。従来は、このような不燃材料の技術的基準を満たす化粧シートとして、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂を用いたものが用いられてきた。しかしながら、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートは、廃棄後の焼却処理時に有毒ガス等が発生することなどが問題であった。
このため、ポリ塩化ビニル系樹脂に替わり、ポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートが提案されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂を用いた場合には、燃焼時の有毒ガス等の発生は抑制されるものの、ポリオレフィン系樹脂が燃焼性に優れた性質を有しているために、不燃材料の技術的基準を満たすことが困難であった。
上述した法令に記載された不燃材料の技術的基準を満たすポリオレフィン系樹脂を用いた化粧シートが、以下に示す特許文献1、2に開示されている。特許文献1、2には、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを配合したポリオレフィン系樹脂層を用いた構造体が開示されている。
特開2013−010931号公報 特開2011−122293号公報
上述したような、不燃材料の技術的基準を満たすポリオレフィン系樹脂からなる化粧シートを得る方法として、例えば、化粧シートの基材を薄膜化する方法が挙げられる。また、化粧シートに意匠性を出すためには、基材表面に印刷層を設けることが必須である。ここで、基材を印刷機に投入する際には、印刷位置のズレの発生を抑制するために、基材に十分な機械的強度が要求される。
以上のことから、化粧シート用の基材に1軸延伸又は2軸延伸を施すことによって、基材を薄膜化して不燃性を高めると同時に、基材の機械的強度を高める処理を施すことも行われている。
しかしながら、基材に延伸を施すことにより、基材を構成する樹脂の結晶化が進行し、結晶部と非晶部との密度の差によって、ボイドやクレーズ、クラックの発生が促進される。特に、基材にクラックが存在すると、基材が損傷し易くなる。このようなことは、耐久性の高い化粧シートを得る上で課題である。
本発明は、上述のような点に着目してなされたもので、高い不燃性及び耐久性を有する化粧シート用基材及び化粧シートを得ることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る化粧シート用基材は、非結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化度が10%以下である表面層と、結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化度が40%以上80%未満である表面層とは異なる層と、を備える積層延伸フィルムからなることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る他の化粧シート用基材は、非結晶性の熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の結晶化温度が40℃以上90℃以下である表面層と、結晶性の熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の結晶化温度が100℃以上170℃以下である、前記表面層とは異なる層と、を備える積層延伸フィルムからなることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る化粧シートは、上述した化粧シート用基材と、化粧シート用基材の表面層側の面に形成されたポリオレフィン系樹脂を含む一層又は複数層の透明樹脂層と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、高い不燃性及び耐久性を有する化粧シート用基材及び化粧シートを得ることができる。
本発明の実施形態に係る化粧シートの一構成例を示す断面図である。
次に、本発明に基づく実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、以下の図1に示す構成は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
「第1の実施形態」
まず、本発明に基づく第1の実施形態について説明する。
(構成)
図1は、本実施形態に係る化粧シート1の構成を示す断面図である。化粧シート1は、熱可塑性樹脂を含む化粧シート用基材6(以下、基材6とも記載する)と、基材6の一方の面上に設けられた印刷層5、接着剤層4、透明樹脂層3及び表面保護層2と、を備えている。また、化粧シート1は、基材6の他方の面上に設けられた隠蔽層7及びプライマー層8を備えている。
ここで、基材6は、少なくとも第一の基材層(以下、表面層と記載する)6−1と、表面層6−1とは異なる第二の基材層6−2から第nの基材層6−nのうちの少なくとも一層とを備えている。すなわち、基材6は、表面層6−1と、第二の基材層6−2から第nの基材層6−n(nは任意の数)までのn個の層で形成されている。
上述した印刷層5、接着剤層4、透明樹脂層3及び表面保護層2は、基材6の一方の面である表面層6−1上にこの順に設けられている。また、上述した隠蔽層7及びプライマー層8は、基材6の他方の面(基材6の表面層6−1と逆側の表面)上にこの順に設けられている。すなわち、基材6が表面層6−1及び第二の基材層6−2からなる場合には、第二の基材層6−2が基材6の他方の面となる。
なお、隠蔽層7は、基材6と印刷層5との間に形成しても良いし、省略しても構わない。特に本実施形態では、後述するように基材6に無機顔料を混合するため、隠蔽層7は省略しても意匠上問題はない。基材6に混合する顔料を抑える場合には、必要に応じて隠蔽層7を設けることが好ましい。
化粧シート1の厚さは、例えば49μm以上360μm以下の範囲内とすることが好ましい。化粧シート1の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上するとともに、製造コストを抑制することができる。
このような化粧シート1は、プライマー層8側の面が例えば木質基材等の基材板(図示せず)に貼り付けられることで、化粧板を構成する。
以下、化粧シート1の各部について、詳細に説明する。
<基材>
基材6は、不燃性の観点から1軸延伸又は2軸延伸により薄膜化された積層延伸フィルムである。基材6の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。基材6の厚さが20μm以上60μm以下の範囲である場合、化粧シート1の不燃性と機械特性(強度)を両立することができる。また、基材6の厚さが20μm以上40μm以下の範囲である場合、不燃性がさらに向上するためより好ましい。
基材6は、樹脂材料により形成され、樹脂材料の主成分として熱可塑性樹脂を含んでいる。主成分とは、例えば、基材6を構成する樹脂材料を100質量部として、そのうちの70質量部以上100質量部以下、好ましくは90質量部以上100質量部以下含まれる樹脂材料をいう。
(基材の結晶化度)
基材6の表面層6−1は、非結晶性の熱可塑性樹脂を含んでいる。表面層6−1に含まれる非結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化度は、10%以下であり、5%以下であることが好ましい。表面層6−1に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が10%以下である場合、表面層6−1の前駆体である樹脂フィルムの延伸による熱可塑性樹脂の配向結晶化が進みすぎていないため、表面層6−1と第二の基材層6−2又は透明樹脂層3との層間密着性が好適となる。
一方、表面層6−1に含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が10%を越えると、熱可塑性樹脂の配向結晶化により表面層6−1にクラックが発生しやすくなるため、表面層6−1と第二の基材層又は透明樹脂層3との層間密着性が低下する。
表面層6−1とは異なる第二の基材層6−2から第nの基材層6−nは、結晶性の熱可塑性樹脂を含んでいる。第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化度は、40%以上80%未満である。第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が40%以上80%未満である場合、配向結晶化が進行していることで、基材6の強度が向上する。
一方、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が40%未満の場合、基材6の強度が十分に得られない。また、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が80%以上の場合、基材6の脆性が高くなり、十分な引き裂き強度が得られない。又は、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる熱可塑性樹脂の結晶化度が80%を超える場合、多くの樹脂において結晶化度が飽和結晶化度を超えるため、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nを形成することが困難となる。
(樹脂材料及び軟質材)
基材6を構成する少なくとも1層、すなわち表面層6−1及び表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)の少なくとも一つの層は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。特に、価格や加工適性の観点から、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレンのうちの少なくとも1つを選択して用いることが好ましい。また、基材6の引っ張り弾性率の向上を図る場合には、高結晶性のポリプロピレンを用いることが好ましい。
また、表面層6−1は、結晶性の低い樹脂材料を軟質材として含んでいてもよい。表面層6−1は、軟質材として、例えばメソペンタッド分率が30%以上50%未満であるポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、軟質材として、例えばメソペンタッド分率が30%以上50%未満である低結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが特に好ましい。
表面層6−1が軟質材を含む場合、表面層6−1は、表面層6−1を構成する主成分の樹脂(ベース樹脂)100質量部に対して軟質材が5質量部以上30質量部未満混合された混合樹脂により形成されることが好ましい。軟質材の混合量が5質量部未満の場合、軟質材の混合による軟質効果が現れにくい。また、軟質材の混合量が30質量部以上の場合、軟質材の混合による軟質効果は現れるが、基材6の延伸時における加熱処理により、表面層6−1のベタ付きが問題になる場合がある。
また、表面層6−1を形成する樹脂材料の均一性の観点から、軟質材は表面層6−1を形成する樹脂材料との相溶性が高い材料であることが好ましい。このような観点から、例えば、表面層6−1をポリプロピレン樹脂から構成する場合、混合する軟質材もポリプロピレン樹脂であることが望ましい。
(無機顔料)
基材6を構成する少なくとも1層、すなわち表面層6−1及び表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)の少なくとも一つの層は、無機顔料を含んでいることが好ましい。無機顔料を含有することにより、基材6の光透過率が低下して、基材板の模様を透過させないようにすることができる。
無機顔料の混合量は、表面層6−1及び第二の基材層6−2から第nの基材層6−nの各層において、樹脂材料に対してそれぞれ5vol%以上50vol%以下とすることが好ましい。無機顔料の混合量が5vol%以上50vol%以下である場合、無機顔料添加による不燃性向上効果が発現するとともに、無機顔料の添加量が多すぎることによる基材6の脆化も抑制することができるためである。
基材6を構成する少なくとも1層に含まれる無機顔料としては、特に限定されないが、例えば天然無機顔料、合成無機顔料が挙げられる。
天然無機顔料としては、例えば、土系顔料、焼成土、鉱物性顔料などが挙げられる。合成無機顔料としては、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料、炭素顔料などが挙げられる。また、天然無機顔料、合成無機顔料の中から、一種類もしくは二種類以上を混合した混合顔料を用いてもよい。
なお、顔料として有機顔料を用いることは好ましくない。基材6の不燃性が損なわれるためである。
基材6は、化粧シート1の意匠性の観点から要求される隠蔽性を得るために、光透過率が40%以下であることが好ましい。光透過率が40%を超える場合、化粧シート1の意匠性を出すのに十分な隠蔽性が得られない。十分な隠蔽性が得られないとは、例えば、化粧シート1のプライマー層8側の面が木質基材等の基材板に貼り付けられた化粧板において、木質基材等のプライマー層8対向面の模様が化粧シート1を介して表面保護層2側から視認可能であることをいう。この場合、印刷層5の図柄と木質基材等の基材板の模様とが重なって視認される場合がある。
<印刷層>
印刷層5は、意匠性を付与するための絵柄模様を形成した層である。印刷層5は、既知の印刷手法を用いて設けることができる。基材6を巻取りの状態で用意できる場合には、印刷層5の形成のための印刷をロールツーロールの印刷装置で行うことができる。印刷手法は特に限定するものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば、例えばグラビア印刷法を用いることができる。
絵柄模様は、床材や壁材などの使用箇所に応じた意匠性を考慮して任意の絵柄模様を採用すればよい。例えば木質系の絵柄模様の化粧シート1を得る場合、絵柄模様には各種木目模様が好んで用いられることが多く、また、木目模様以外にもコルク模様が用いられてもよい。また、大理石などの石材の床をイメージした化粧シート1を得る場合、絵柄模様には大理石の石目などが用いられる。また、天然材料の絵柄模様以外にも、それらをモチーフとした人工的絵柄模様や幾何学模様などの人工的絵柄模様が印刷層5の絵柄模様として用いられる。
印刷層5を形成するために用いられる印刷インキは、特に限定されないが、印刷方式に対応したインキが適宜選択される。特に、基材6に対する密着性や印刷適性、また、化粧シート1の耐候性等を考慮して印刷インキが選択されることが好ましい。
印刷インキには、適宜、通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、バインダーを添加する。顔料としては、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。なお、バインダーは、水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでもよく、硬化方法についても1液タイプ、主剤と硬化剤とからなる2液タイプ、もしくは、紫外線や電子線などによって硬化するタイプなど特に限定するものではない。中でも最も一般的な方法は、2液タイプのもので、ウレタン系の主剤と、イソシアネートからなる硬化剤を用いる方法である。この他にも、各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すようにしてもよい。
印刷層5の厚さは、3μm以上20μm以下であることが好ましい。印刷層5の厚さがこの範囲である場合、印刷を明瞭にすることができるとともに、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
<接着剤層>
接着剤層4は、基材6および印刷層5と、透明樹脂層3との接着を強固にする目的で設けられる。基材6および印刷層5と、透明樹脂層3との接着が強固であることにより、化粧シート1に対して、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。接着剤層4は透明であることが好ましい。
接着剤層4は、例えばアクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などにより形成される。接着剤層4を構成する接着剤としては、通常、その凝集力から2液硬化タイプのものとして、特にイソシアネートを用いたポリオールとの反応で得られるウレタン系の材料を用いることが好ましい。なお、接着剤層4は、透明樹脂層3と印刷層5との接着強度が十分に得られる場合には、省略してもよい。
接着剤層4を介した基材6および印刷層5と、透明樹脂層3との接着方法としては、任意の方法が選定可能であり、例えば熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等による積層方法が挙げられる。
接着剤層4の厚さは、1μm以上20μm以下であることが好ましい。接着剤層4の厚さがこの範囲である場合、基材6および印刷層5と透明樹脂層3との間の接着強度を向上するとともに、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
<透明樹脂層>
透明樹脂層3は、例えば透明樹脂シートで構成されており、接着剤層4によって基材6および印刷層5に接着されている。図1に示す化粧シート1では、透明樹脂層3が一層の場合を図示しているが、複数層の透明樹脂層3が積層されて構成されていても良い。本実施形態の透明樹脂層3は、ポリオレフィン系樹脂を主成分して構成されることが好ましい。主成分とは、例えば、透明樹脂層3を構成する樹脂材料を100質量部として、そのうちの70質量部以上100質量部以下、好ましくは90質量部以上100質量部以下含まれる樹脂材料をいう。
透明樹脂層3を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。また、化粧シート1の表面強度の向上を図る場合には、高結晶性のポリプロピレンを用いることが好ましい。
透明樹脂層3の厚さは、20μm以上200μm以下であることが好ましい。透明樹脂層3の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1の強度が向上するとともに、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
<表面保護層>
表面保護層2は、化粧シート1の最表面に設けられており、表面の保護や艶の調整としての機能を有している。表面保護層2を構成する材料としては、ポリウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、尿素系樹脂などが挙げられる。樹脂材料の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても一液タイプ、二液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して行うことができる。
特に、表面保護層2の主成分となる樹脂材料としては、作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から、イソシアネートを用いたウレタン系樹脂が好適である。イソシアネートには、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などから適宜選択することができる。なかでも、イソシアネートとしては、耐候性の観点から直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が好適である。この他にも、表面硬度の向上を図る場合には、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂は相互に組み合わせて用いることが可能であり、例えば、熱硬化型と光硬化型とのハイブリッド型とすることにより、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および密着性の向上を図ることができる。
表面保護層2の厚さは、3μm以上20μm以下であることが好ましい。表面保護層2の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1の表面保護を行うと共に十分な艶を持たせることができ、また化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
<隠蔽層>
隠蔽層7は、化粧シート1のプライマー層8側の面が木質基材等の基材板に貼り付けられた化粧板において、基材板に対する隠蔽性を保たせることを目的として形成される。隠蔽層7は、例えば、印刷層5と同様にインキの印刷によって形成される。インキに含ませる顔料としては、不透明な顔料、酸化チタン、酸化鉄等を使用することが好ましい。また、隠蔽層7における化粧シート1が貼り付けられる木質基材等の基材板の模様の隠蔽性を向上させるために、金、銀、銅、アルミ等の金属をインキに添加することも可能であり、一般的にはフレーク状のアルミを添加することが好ましい。なお、隠蔽層7は、上述のように、基材6のいずれかの層(例えば表面層6−1又は第二の基材層6−2)が不透明で隠蔽性を有している場合には、省略することができる。
隠蔽層7の厚さは、2μm以上20μm以下であることが好ましい。隠蔽層7の厚さがこの範囲である場合、基材板に対する隠蔽性を保つとともに、化粧シート1製造時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
<プライマー層>
プライマー層8は、化粧シート1のプライマー層8側の面が基材板に貼り付けられた化粧板において、化粧シート1と基材板との密着性を向上させるために設けられる。
プライマー層8は、基本的には印刷層5と同様の材料(印刷インキ)を用いることができる。なかでも、化粧シート1の裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、印刷インキに対してシリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させることが好ましい。これにより、化粧シート1巻取り時のブロッキングの発生を避けて且つ接着剤との密着を高めることができる。
プライマー層8は、基材板が木質基材の場合には、例えば、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等の樹脂材料により形成されることが好ましい。これらの樹脂材料は、単独ないし混合して接着組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて形成することができる。この場合、プライマー層8を構成する樹脂材料としては、ウレタン−アクリレート系樹脂を用いることが好ましい。すなわち、アクリル系樹脂とウレタン系樹脂との共重合体とイソシアネートとからなる樹脂で形成するのが特に好ましい。
プライマー層8の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。プライマー層8の厚さがこの範囲である場合、化粧シート1と基材板との間の密着性を向上させるとともに、化粧シート1を製造する時の印刷作業性が向上し、かつ製造コストを抑制することができる。
(作用その他)
化粧シート用の基材に1軸延伸又は2軸延伸を施すことによって、基材を薄膜化して不燃性を高めることが可能である。そして、本実施形態に係る化粧シート1は、樹脂膜を延伸して薄膜化して形成した基材6を用いることにより不燃性を向上させている。この不燃性は、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足するように構成することが好ましい。本実施形態にあっては、後述の実施例の通り、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足するように構成することが可能である。
また、従来にあっては、基材に延伸を施すことにより、基材を構成する樹脂の結晶化が進行し、結晶部と非晶部との密度の差によって、ボイドやクレーズ、クラックの発生が促進されるおそれがあった。特に、基材にクラックが存在すると、基材上に印刷層を介して形成した透明樹脂層と基材との層間密着試験において、基材が損傷し易くなる。こうした層間密着試験力の向上は、耐久性の高い化粧シートを得る上で課題であった。
これに対し、本実施形態に係る化粧シート1は、樹脂膜を延伸する際に、基材の表面層の配向結晶化が抑制されるため、結晶部と非晶部との密度差の発生および、それに伴うボイド、クレーズ、クラックの発生が抑制される。このため、基材と透明樹脂層との層間密着性が向上し、化粧シートの機械的強度を向上させることができる。
このように、本実施形態では、基材を薄膜化して不燃性を高めることができると共に、耐久性を有する化粧シート用の基材6及び化粧シート1を提供することができる。
「第2の実施形態」
次に、第2の実施形態について図面を参照して説明する。
第2の実施形態において、第1の実施形態と同様な構成部分については同一の符号を付して説明する。
(構成)
第2の実施形態の化粧シートの積層構成も、図1に示すように、第1の実施形態と同じ積層構成の場合で説明する。本実施形態の化粧シート1は、熱可塑性樹脂を含む化粧シート用基材(以下、基材と記載する)6と、基材6の一方の面上に設けられた印刷層5、接着剤層4、透明樹脂層3及び表面保護層2と、を備えている。また、化粧シート1は、基材6の他方の面上に設けられた隠蔽層7及びプライマー層8を備えている。
基材6は、少なくとも第一の基材層(以下、表面層と記載する)6−1と、表面層6−1とは異なる第二の基材層6−2から第nの基材層6−nのうちの少なくとも一層とを備えている。すなわち、基材6は、表面層6−1と、第二の基材層6−2から第nの基材層6−n(nは任意の数)までのn個の層で形成されている。
第2の実施形態の基本構成は、第1の実施形態と同様である。但し、表面層6−1及び表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)の構成、すなわち基材6の構成が、第1の実施形態と異なる。
このため、以下の説明では、第1の実施形態と異なる基材6の構成、すなわち表面層6−1及び表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)の構成について説明し、第1の実施形態と同じ他の構成については説明を省略する。
<基材>
基材6は、不燃性の観点から1軸延伸又は2軸延伸により薄膜化された積層延伸フィルムである。基材6の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。基材6の厚さが20μm以上60μm以下の範囲である場合、化粧シート1の不燃性と機械特性(強度)を両立することができる。また、基材6の厚さが20μm以上40μm以下の範囲である場合、不燃性がさらに向上するためより好ましい。
また、基材6を構成する表面層6−1並びに第二の基材層6−2から第nの基材層6−nの各層の厚さは、25μm以下である。
基材6は、樹脂材料により形成され、樹脂材料の主成分として熱可塑性樹脂を含んでいる。主成分とは、例えば、基材6を構成する樹脂材料を100質量部として、そのうちの70質量部以上100質量部以下、好ましくは90質量部以上100質量部以下含まれる樹脂材料をいう。
(基材の結晶化温度)
基材6の表面層6−1は、非結晶性の熱可塑性樹脂を含んでいる。表面層6−1に含まれる非結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度は、40℃以上90℃以下である。また、表面層6−1を構成する非結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度は、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度と異なることが好ましく、20℃以上の温度差を有することがより好ましい。これにより、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nの配向結晶化を進行させる温度にて延伸した場合に、表面層6−1の配向結晶化の進行を抑制することができる。このため、基材6におけるクラックの発生及び引き裂き強度の低下を抑制することができる。
表面層6−1とは異なる第二の基材層6−2から第nの基材層6−nは、結晶性の熱可塑性樹脂を含んでいる。第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度は、100℃以上170℃以下である。上述したように、第二の基材層6−2から第nの基材層6−nに含まれる結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度は、表面層6−1を構成する非結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度と異なることが好ましく、20℃以上の温度差を有することがより好ましい。
ここで、「結晶化温度」とは、樹脂層の延伸工程において配向結晶化が最も進行する温度をいう。樹脂層延伸時の温度が配向結晶化温度と異なると、配向結晶化は抑制される。結晶化温度は、X線回折(XRD:X‐Ray Diffraction)やラマン分光測定などによって、延伸時の温度を変更しながら加工した延伸フィルムの配向性や結晶性を評価することによって確認することができる。結晶化温度は、結晶分散温度と同様の値となる。
(樹脂材料及び軟質材)
基材6を構成する少なくとも1層、すなわち表面層6−1及び表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)の少なくとも一つの層は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどの他に、αオレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなど)を単独重合あるいは2種類以上共重合させたものや、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・エチルメタクリレート共重合体、エチレン・ブチルメタクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などのように、エチレンまたはαオレフィンとそれ以外のモノマーとを共重合させたものが挙げられる。特に、価格や加工適性の観点から、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレンのうちの少なくとも1つを選択して用いることが好ましい。また、基材6の引っ張り弾性率の向上を図る場合には、高結晶性のポリプロピレンを用いることが好ましい。
また、表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)は、結晶性の低い樹脂材料を軟質材として含んでいてもよい。表面層6−1とは異なる層は、軟質材として、例えばメソペンタッド分率が30%以上50%未満であるポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、軟質材として、例えばメソペンタッド分率が30%以上50%未満である低結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが特に好ましい。
例えば第二の基材層6−2が軟質材を含む場合、第二の基材層6−2は、第二の基材層6−2を構成する主成分の樹脂(ベース樹脂)100質量部に対して軟質材が5質量部以上30質量部未満混合された混合樹脂により形成されることが好ましい。軟質材の混合量が5質量部未満の場合、軟質材の混合による軟質効果が現れにくい。また、軟質材の混合量が30質量部以上の場合、軟質材の混合による軟質効果は現れるが、基材6の延伸時における加熱処理により、表面層6−1のベタ付きが問題になる場合がある。他の表面層6−1とは異なる層についても同様である。
また、第二の基材層6−2を形成する樹脂材料の均一性の観点から、軟質材は第二の基材層6−2を形成する樹脂材料との相溶性が高い材料であることが好ましい。このような観点から、例えば、第二の基材層6−2をポリプロピレン樹脂から構成する場合、混合する軟質材もポリプロピレン樹脂であることが望ましい。他の表面層6−1とは異なる層についても同様である。
(無機顔料)
基材6を構成する少なくとも1層、すなわち表面層6−1及び表面層6−1とは異なる層(第二の基材層6−2から第nの基材層6−n)の少なくとも一つの層は、無機顔料を含んでいることが好ましい。無機顔料を含有することにより、基材6の光透過率が低下して、基材板の模様を透過させないようにすることができる。
無機顔料の混合量は、表面層6−1及び第二の基材層6−2から第nの基材層6−nの各層において、樹脂材料に対してそれぞれ5vol%以上50vol%以下とすることが好ましい。無機顔料の混合量が5vol%以上50vol%以下である場合、無機顔料添加による不燃性向上効果が発現するとともに、無機顔料の添加量が多すぎることによる基材6の脆化も抑制することができるためである。
基材6を構成する少なくとも1層に含まれる無機顔料としては、特に限定されないが、例えば天然無機顔料、合成無機顔料が挙げられる。
天然無機顔料としては、例えば、土系顔料、焼成土、鉱物性顔料などが挙げられる。合成無機顔料としては、酸化物顔料、水酸化物顔料、硫化物顔料、珪酸塩顔料、燐酸塩顔料、炭酸塩顔料、金属粉顔料、炭素顔料などが挙げられる。また、天然無機顔料、合成無機顔料の中から、一種類もしくは二種類以上を混合した混合顔料を用いてもよい。
なお、顔料として有機顔料を用いることは好ましくない。基材6の不燃性が損なわれるためである。
基材6は、化粧シート1の意匠性の観点から要求される隠蔽性を得るために、光透過率が40%以下であることが好ましい。光透過率が40%を超える場合、化粧シート1の意匠性を出すのに十分な隠蔽性が得られない。十分な隠蔽性が得られないとは、例えば、化粧シート1のプライマー層8側の面が木質基材等の基材板に貼り付けられた化粧板において、木質基材等のプライマー層8対向面の模様が化粧シート1を介して表面保護層2側から視認可能であることをいう。この場合、印刷層5の図柄と木質基材等の基材板の模様とが重なって視認される場合がある。
(作用その他)
化粧シート用の基材に1軸延伸又は2軸延伸を施すことによって、基材を薄膜化して不燃性を高めることが可能である。そして、本実施形態に係る化粧シート1は、樹脂膜を延伸して薄膜化して形成した基材を用いることにより不燃性を向上させている。この不燃性は、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足するように構成することが好ましい。本実施形態にあっては、後述の実施例の通り、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足するように構成することが可能である。
また、従来にあっては、ポリオレフィン系樹脂からなる基材に1軸延伸を施すことにより、配向結晶化が進行し、延伸された基材の強度は向上するものの、結晶部と非晶部との密度の差によって、ボイドやクレーズ、クラックの発生が促進されるおそれがあった。特に、基材にクラックが存在すると、延伸方向に沿って基材が引き裂けやすくなってしまう。このため、引き裂き強度の向上は、耐久性の高い化粧シートを得る上で課題であった。
これに対し、本実施形態に係る化粧シート1は、樹脂膜を延伸する際に、基材の表面層の配向結晶化が抑制されるため、結晶部と非晶部との密度差の発生および、それに伴うボイド、クレーズ、クラックの発生が抑制される。このため、基材6と透明樹脂層3との層間密着性が向上し、また引き裂き強度が向上することで、化粧シートの機械的強度を向上させることができる。
このように、本実施形態では、基材を薄膜化して不燃性を高めることができると共に、耐久性を有する化粧シート用の基材6及び化粧シート1を提供することができる。
以下、本発明に基づく化粧シートについて、実施例により具体的に説明する。
「第1の実施例」
まず、第1の実施例について説明する。
<サンプル1−1>
サンプル1−1の化粧シートを、以下に示す工程で形成した。
(透明樹脂層用樹脂シートの形成工程)
まず、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した樹脂材料を準備する。ここで、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3である材料を使用した。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)は、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して500PPM添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)は、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM添加した。ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)は、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM添加した。このような樹脂材料を、溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層として使用する厚さ80μmの高結晶性ポリプロピレン製の透明樹脂シートを製膜した。
続いて、得られた透明樹脂シートの両面にコロナ処理を施し、透明樹脂シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
(基材形成工程)
表面層及び第二の基材層の2層が積層された基材を、押出法によって製膜し延伸することにより形成した。
1層目の表面層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料A(低密度ポリエチレン)を用いて厚さ60μmで形成した。続いて、1層目の表面層の前駆体となる層上に、2層目の第二の基材層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料E(ホモポリプロピレン)を用いて厚さ60μmで形成した。これにより、2層の合計厚さが120μmの積層樹脂前駆体を形成した。
続いて、積層樹脂前駆体を1軸延伸法によって4倍に延伸することで、厚さ30μmの基材(表面層の膜厚15μm、第二の基材層の膜厚15μm)を形成した。
このときの表面層及び第二の基材層の結晶化度を、XRD(X線回折:X‐Ray Diffraction)を用いて測定した。XRDでは、結晶部体積、結晶部面積及び非晶部体積を測定し、以下の式(1)に基づいて結晶化度を算出した。なお、ポリプロピレンの準安定状態部分は非晶部として扱った。
結晶化度[%]=結晶部体積/(結晶部面積+非晶部体積)×100 ・・・(1)
サンプル1−1の化粧シートの表面層における結晶化度は2%、第二の基材層における結晶化度は58%であった。
(印刷層及びプライマー層形成工程)
基材の表面層上に、グラビア印刷方式にて絵柄印刷を施して印刷層を形成した。印刷層は、2液型ウレタンインキ(V180;東洋インキ製造株式会社製)に、当該インキのバインダー樹脂分に対してヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944;BASF社製)を0.5質量%添加したインキを用いて形成した。
また、基材の第二の基材層の裏面にプライマー層を形成した。プライマー層は、グラビア印刷方式にて印刷層と同様の2液型ウレタンインキを印刷することにより形成した。
(透明樹脂層形成工程)
続いて、基材のおもて面(印刷層形成面)に、接着剤層としてドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学株式会社製;塗布量2g/m)を塗布した。この後、基材のおもて面に接着剤層を介して透明樹脂シートをドライラミネート法にて貼り合わせることにより、透明樹脂層を形成した。透明樹脂層の表面には、エンボス模様を施した。
(表面保護層形成工程)
エンボス模様を施した透明樹脂層の表面に、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス株式会社製)を塗布厚6g/mにて塗布し、乾燥させて表面保護層を形成した。
これにより、総厚120μmの化粧シートを得た。
<サンプル1−2>
表面層を、樹脂材料B(ランダムポリプロピレン)で形成した以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−2の化粧シートの表面層における結晶化度は7%、第二の基材層における結晶化度は64%であった。
<サンプル1−3>
表面層を、樹脂材料C(ランダムポリプロピレン100質量部と低結晶性ポリプロピレン(メソペンタッド分率30%)100質量部の混合樹脂)で形成した以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−3の化粧シートの表面層における結晶化度は5%、第二の基材層における結晶化度は63%であった。
<サンプル1−4>
表面層を、樹脂材料D(ランダムポリプロピレン100質量部と低結晶性ポリプロピレン(メソペンタッド分率30%)20質量部の混合樹脂)で形成した以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−4の化粧シートの表面層における結晶化度は3%、第二の基材層における結晶化度は59%であった。
<サンプル1−5>
表面層及び第二の基材層を、顔料を含ませることなく形成した以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−5の化粧シートの表面層における結晶化度は2%、第二の基材層における結晶化度は58%であった。
<サンプル1−6>
延伸後の表面層の厚さを30μmとし、第二の基材層を設けない基材を用いた以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−6の化粧シートの表面層における結晶化度は4%であった。
<サンプル1−7>
表面層を樹脂材料B(ランダムポリプロピレン)を用いて延伸後の厚さが30μmとなるように形成するとともに、第二の基材層を設けない基材を用いた以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−7の化粧シートの表面層における結晶化度は9%であった。
<サンプル1−8>
延伸後の第二の基材層の厚さを30μmとし、表面層を設けない基材を用いた以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−8の化粧シートの第二の基材層における結晶化度は57%であった。
<サンプル1−9>
第二の基材層を、延伸を行うことなく厚さ30μmで形成し、表面層を設けない基材を用いた以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−9の化粧シートの第二の基材層における結晶化度は61%であった。
<サンプル1−10>
第二の基材層を、延伸を行うことなく厚さ70μmで形成し、表面層を設けない基材を用いた以外は、サンプル1−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル1−10の化粧シートの第二の基材層における結晶化度は63%であった。
<化粧シートの性能評価>
各サンプルの化粧シートに対して、性能の評価を実施した。
[引っ張り弾性率]
各サンプルの化粧シートを、テンシロン万能材料試験機によって50mm/minで引っ張って、弾性率を測定した。
弾性率の評価については、次の通りである。
◎:非常に良好(弾性率800MPa以上)
○:良好(弾性率500MPa以上800MPa未満)
×:不良(弾性率500MPa未満)
[不燃性試験]
各サンプルの化粧シートを用いて、ISO5660−1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験を実施した。不燃性は、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足したか否かで判定した。
評価は次の通りである。
○:良好(規格内)
×:不良(規格外)
[層間密着試験]
層間密着試験は、透明樹脂層と基材との密着力を評価する試験である。層間密着試験は、各サンプルの化粧シートを用いて、JIS K 6854−2に従って実施した。
[透明性試験]
透明性試験は、化粧シートの意匠性を評価する試験である。透明性試験では、各サンプルの化粧シートの透過率を分光光度計によって測定して評価した。
以下の表1に、各評価の結果を示す。
Figure 2018008719
表1に示すように、結晶化度が10%以下の非結晶性熱可塑性樹脂を含む表面層と、結晶化度が40%以上80%未満である結晶性熱可塑性樹脂を含む第二の基材層とを有するサンプル1−1からサンプル1−5の化粧シートは、弾性率、不燃性及び層間密着力に優れていた。
また、表面層及び第二の基材層に顔料を含むサンプル1−1からサンプル1−4の化粧シートは、表面層及び第二の基材層に顔料を含まないサンプル1−5の化粧シートと比較して、光透過率が低く、隠蔽性に優れていた。
これに対して、基材が第二の基材層を有していないサンプル1−6及びサンプル1−7の化粧シートは、弾性率が十分でなかった。この結果から、化粧シートの強度を向上させるためには、結晶性の高い樹脂材料からなる第二の基材層が設けられた基材を有する必要があることが分かった。また、基材が表面層を有していないサンプル1−8の化粧シートは、層間密着力が十分でなかった。この結果から、化粧シートの層間密着性を向上させるためには、配向結晶化が進みすぎていない熱可塑性樹脂からなる表面層が設けられた基材を有する必要があることが分かった。
また、基材が表面層を有しておらず、かつ第二の基材層が延伸されていないサンプル1−9及びサンプル1−10の化粧シートは、延伸を行わないために層間密着力は十分であった。しかしながら、第二の基材層の膜厚が30μmのサンプル1−9の化粧シートは、弾性率が十分でなかった。また、第二の基材層の膜厚が70μmのサンプル1−10の化粧シートは、第二の基材層の膜厚がサンプル1−9の化粧シートよりも厚いため、弾性率は十分であったものの、不燃性が低下した。この結果から、延伸による層間密着性の低下を補うために延伸(薄膜化)を行わなかった場合、化粧シートの強度と不燃性とを両立することが困難であることが分かった。
以上の結果から、結晶化度が10%以下の非結晶性熱可塑性樹脂を含む表面層と、結晶化度が40%以上80%未満である結晶性熱可塑性樹脂を含む第二の基材層とを有する化粧シートは、弾性率、不燃性及び層間密着力に優れていた。また、表面層及び第二の基材層が無機顔料を含むことにより、さらに、低い光透過性(高隠蔽性)が得られることが分かった。
「第2の実施例」
次に、第2の実施例について説明する。
<サンプル2−1>
サンプル2−1の化粧シートを、以下に示す工程で形成した。
(透明樹脂層用樹脂シートの形成工程)
まず、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系光安定化剤とを添加した樹脂材料を準備する。ここで、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3である材料を使用した。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:BASF社製)は、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して500PPM添加した。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン328:BASF社製)は、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM添加した。ヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944:BASF社製)は、高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に対して2000PPM添加した。このような樹脂材料を、溶融押出機を用いて押し出し、透明樹脂層として使用する厚さ80μmの高結晶性ポリプロピレン製の透明樹脂シートを製膜した。
続いて、得られた透明樹脂シートの両面にコロナ処理を施し、透明樹脂シート表面の濡れ張力を40dyn/cm以上とした。
(基材形成工程)
表面層、第二の基材層及び第三の基材層の3層が積層された基材を、押出法によって製膜し延伸することにより形成した。
1層目の表面層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料A(低密度ポリプロピレン、結晶化温度70℃)により厚さ40μmで形成した。続いて、1層目の表面層の前駆体となる層上に、2層目の第二の基材層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料D(ホモポリプロピレン、結晶化温度120℃)により厚さ40μmで形成した。さらに、2層目の第二の基材層の前駆体となる層上に、3層目の第三の基材層の前駆体となる層を、無機顔料を添加した樹脂材料D(ホモポリプロピレン、結晶化温度120℃)により厚さ40μmで形成した。これにより、3層の合計厚さが120μmの積層樹脂前駆体を形成した。なお、サンプル2−1の化粧シートの表面層の結晶化温度と第二及び第三の基材層の結晶化温度の差分は、50℃であった。
続いて、積層樹脂前駆体を1軸延伸法によって4倍に延伸することで、厚さ30μmの基材(表面層、第二の基材層及び第三の基材層の膜厚がそれぞれ10μm)を形成した。延伸温度は120℃として1軸延伸を行った。
(印刷層及びプライマー層形成工程)
基材の表面層上に、グラビア印刷方式にて絵柄印刷を施して印刷層を形成した。印刷層は、2液型ウレタンインキ(V180;東洋インキ製造株式会社製)に、当該インキのバインダー樹脂分に対してヒンダードアミン系光安定化剤(キマソーブ944;BASF社製)を0.5質量%添加したインキを用いて形成した。
また、基材の第三の基材層の裏面にプライマー層を形成した。プライマー層は、グラビア印刷方式にて印刷層と同様の2液型ウレタンインキを印刷することにより形成した。
(透明樹脂層形成工程)
続いて、基材のおもて面(印刷層形成面)に、接着剤層としてドライラミネート用接着剤(タケラックA540;三井化学株式会社製;塗布量2g/m)を塗布した。この後、基材のおもて面に接着剤層を介して透明樹脂シートをドライラミネート法にて貼り合わせることにより、透明樹脂層を形成した。透明樹脂層の表面には、エンボス模様を施した。
(表面保護層形成工程)
エンボス模様を施した透明樹脂層の表面に、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス株式会社製)を塗布厚6g/mにて塗布し、乾燥させて表面保護層を形成した。
これにより、総厚120μmの化粧シートを得た。
<サンプル2−2>
表面層を、樹脂材料B(ランダムポリプロピレン、結晶化温度80℃)で形成した以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル2−2の化粧シートの表面層の結晶化温度と第二及び第三の基材層の結晶化温度の差分は、40℃であった。
<サンプル2−3>
表面層を、樹脂材料C(ランダムポリプロピレン100質量部と低結晶性ポリプロピレン(メソペンタッド分率30%)20質量部の混合樹脂、結晶化温度90℃)で形成した以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル2−3の化粧シートの表面層の結晶化温度と第二及び第三の基材層の結晶化温度の差分は、30℃であった。
<サンプル2−4>
表面層、第二の基材層及び第三の基材層を、顔料を含ませることなく形成した以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。なお、サンプル2−4の化粧シートの表面層の結晶化温度と第二及び第三の基材層の結晶化温度の差分は、50℃であった。
<サンプル2−5>
延伸後の第二の基材層及び第三の基材層の厚さをそれぞれ30μmとし、表面層を設けない基材を用いた以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。
<サンプル2−6>
延伸後の表面層の厚さを30μmとし、第二の基材層及び第三の基材層を設けない基材を用いた以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。
<サンプル2−7>
表面層を、樹脂材料B(ランダムポリプロピレン)を用いて延伸後の厚さが30μmとなるように形成するとともに、第二の基材層及び第三の基材層を設けない基材を用いた以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。
<サンプル2−8>
第二の基材層及び第三の基材層を、延伸を行うことなく厚さ30μmで形成し、表面層を設けない基材を用いた以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。
<サンプル2−9>
表面層を、樹脂材料B(ランダムポリプロピレン)を用いて延伸を行うことなく厚さ70μmで形成し、第二の基材層及び第三の基材層を設けない基材を用いた以外は、サンプル2−1と同様にして化粧シートを形成した。
<化粧シートの性能評価>
各サンプルの化粧シートに対して、性能の評価を実施した。
[引っ張り弾性率]
各サンプルの化粧シートを、テンシロン万能材料試験機によって50mm/minで引っ張って、弾性率を測定した。
弾性率の評価については、次の通りである。
◎:非常に良好(弾性率800MPa以上)
○:良好(弾性率500MPa以上800MPa未満)
×:不良(弾性率500MPa未満)
[不燃性試験]
各サンプルの化粧シートを用いて、ISO5660−1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験を実施した。不燃性は、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号の規定を満足したか否かで判定した。
評価は次の通りである。
○:良好(規格内)
×:不良(規格外)
[引き裂き強度試験]
引き裂き強度試験は、基材の引き裂き強度をエルメンドルフ法にて評価する試験である。引き裂き強度試験は、各サンプルの化粧シートを用いて、JIS K 7128−2に従って実施した。
評価は次の通りである。
○:良好
×:不良
[透明性試験]
透明性試験は、化粧シートの意匠性を評価する試験である。透明性試験では、各サンプルの化粧シートの透過率を分光光度計によって測定して評価した。
以下の表2に、各評価の結果を示す。
Figure 2018008719
表2に示すように、非結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化温度が40℃以上90℃以下である表面層と、結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化温度が100℃以上170℃以下である表面層とは異なる層とを有するサンプル2−1からサンプル2−4の化粧シートは、弾性率、不燃性及び引き裂き強度に優れていた。
また、表面層並びに第二の基材層及び第三の基材層に顔料を含むサンプル2−1からサンプル2−3の化粧シートは、表面層並びに第二の基材層及び第三の基材層に顔料を含まないサンプル2−4の化粧シートと比較して、光透過率が低く、隠蔽性に優れていた。
これに対して、基材が表面層を有していないサンプル2−5の化粧シートは、弾性率は十分であったものの引き裂き強度が不良であった。この結果から、化粧シートの引き裂き強度を向上させるためには、非結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化温度が40℃以上90℃以下である表面層が設けられた基材を有する必要があることが分かった。また、基材が第二の基材層及び第三の基材層を有していないサンプル2−6及びサンプル2−7の化粧シートは、樹脂材料を変更しても弾性率が十分でなかった。この結果から、化粧シートの弾性率を向上させるためには、結晶性の熱可塑性樹脂を含み熱可塑性樹脂の結晶化温度が100℃以上170℃以下である表面層とは異なる層が設けられた基材を有する必要があることが分かった。
また、基材が表面層を有しておらず、かつ第二の基材層及び第三の基材層が延伸されていないサンプル2−8の化粧シートは、延伸を行わないために弾性率が十分でなかった。この結果から、化粧シートの弾性率を向上させるためには、延伸を行った基材を有する必要があることが分かった。さらに、基材が第二の基材層及び第三の基材層を有しておらず、かつ表面層が延伸されていないサンプル2−9の化粧シートは、表面層の膜厚を70μmとしたために十分な弾性率は得られたものの、不燃性が低下した。この結果から、化粧シートの弾性率を向上させるためには、延伸を行った基材を有する必要があることが分かった。この結果から、延伸(薄膜化)を行わなかった場合、化粧シートの強度と不燃性とを両立することが困難であることが分かった。
以上の結果から、結晶化温度が40℃以上90℃以下の非結晶性の熱可塑性樹脂を含む表面層と、結晶化温度が100℃以上170℃以下である結晶性の熱可塑性樹脂を含む表面層とは異なる層とを有する化粧シートは、弾性率、不燃性及び引き裂き強度に優れていた。また、表面層、第二の基材層及び第三の基材層が無機顔料を含むことにより、さらに、低い光透過性(高隠蔽性)が得られることが分かった。
以上、各実施形態により本発明を説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組合せに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組合せによって画されうる。
また、本願が優先権を主張する、日本国特許出願2016−135084号(2016年7月7日出願)および日本国特許出願2016−135085号(2016年7月7日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。
1 化粧シート
2 表面保護層
3 透明樹脂層
4 接着剤層
5 印刷層
6 基材
7 隠蔽層
8 プライマー層

Claims (11)

  1. 非結晶性の熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の結晶化度が10%以下である表面層と、
    結晶性の熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の結晶化度が40%以上80%未満である前記表面層とは異なる層と、
    を備える積層延伸フィルムからなることを特徴とする化粧シート用基材。
  2. 非結晶性の熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の結晶化温度が40℃以上90℃以下である表面層と、
    結晶性の熱可塑性樹脂を含み、該熱可塑性樹脂の結晶化温度が100℃以上170℃以下である、前記表面層とは異なる層と、
    を備える積層延伸フィルムからなることを特徴とする化粧シート用基材。
  3. 前記表面層及び前記表面層とは異なる層の少なくとも一方は、ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧シート用基材。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレンであることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート用基材。
  5. 前記表面層はポリオレフィン系樹脂を含み、そのポリオレフィン系樹脂として、メソペンタッド分率が30%以上50%未満であるポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート用基材。
  6. 前記表面層は、ベース樹脂100質量部に対して、メソペンタッド分率が30%以上50%未満である前記ポリプロピレンが5質量部以上30質量部未満混合された混合樹脂により形成されている請求項5に記載の化粧シート用基材。
  7. 前記表面層を構成する前記非結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度は、前記表面層とは異なる層を構成する前記結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化温度と20℃以上の温度差を有することを特徴とする請求項2に記載の化粧シート用基材。
  8. 前記表面層とは異なる層はポリオレフィン系樹脂を含み、そのポリオレフィン系樹脂として、メソペンタッド分率が30%以上50%未満であるポリプロピレンを含む
    請求項7に記載の化粧シート用基材。
  9. 前記表面層及び前記表面層とは異なる層のうち少なくとも一方は無機顔料を含み、前記無機顔料は、当該無機顔料を含む層において、熱可塑性樹脂に対し5vol%以上50vol%以下含まれることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の化粧シート用基材。
  10. 前記化粧シート用基材を用いた化粧シートが、不燃性基材と貼り合わせた状態でISO5660−1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施行令第108条の2第1号および第2号に記載の要件を満たす不燃材料であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の化粧シート用基材。
  11. 前記請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の化粧シート用基材と、前記化粧シート用基材の表面層側の面に形成された、ポリオレフィン系樹脂を含む一層又は複数層の透明樹脂層と、を備える化粧シート。
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