JPWO2018003925A1 - 鏡視下医療を支援可能なマニピュレータ、それを備えた医療用具、およびマニピュレータの作業性評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、硬質の外装部材および湾曲自在な軟質の導中管からなり、腹腔内に挿入される挿入部と、外装部材を伸縮させるインナーケーブルとを備えた手術用具を開示する。
この手術用具によれば、挿入部の先端に取り付けられるカメラや鉗子等の手術器具の用途に応じて外装部材を伸縮させることで、外装部材により覆われる導中管の範囲が変わるので、挿入部を真っ直ぐにさせたり、先端側を屈曲させたりすることができる。
別々の孔に鉗子やスコープを挿入する多孔式手術に比べて低侵襲であることから、同一の孔に鉗子やスコープ挿入する単孔式手術が注目されている。
ここで、屈曲、伸縮、回転等に関して多数の自由度を持つ手術支援ロボットは、スコープや鉗子等を所望の位置や向きに操作することができるが、非常に高価である。また、患部を鉗子により把持したり触ったりするときの感触(力覚)を得ることができないという欠点がある。
鉗子とスコープとの「干渉」は、鉗子とスコープとが物理的に接触するという意味に加えて、鉗子が患部の手前でスコープの視野に写り込むという意味をも含む。
特許文献1の手術用具でも、挿入部の先端に取り付けられたカメラの視野を変えようとして外装部材を伸縮させると、トロッカーの内側で外装部材が動くため、同じトロッカーに挿入された鉗子に接触して鉗子が動いてしまう。
つまり、上記のような場合にも、単孔式手術と同様の課題が存在する。
従来技術は、鉗子やスコープ等の器具同士の干渉を避けるという視点を欠いている。
〔概要〕
図1に示す医療用具10は、スコープ(内視鏡)1と、スコープ1に装着され、屈曲および伸縮が可能なマニピュレータ2とを備えている。医療用具10は、体腔内に位置する患部(術部)を鏡視下で処置する鏡視下手術や、鏡視下で所定の部位を観察する鏡視下検査等の医療行為に用いられる。
「体腔」は、例えば、腹腔や胸腔である。
以下では、医療用具10が腹腔内に挿入される場合を例にとり、説明する。
身体への侵襲を低く抑えるため、小さな孔8Aがあけられることが好ましい。トロッカー7の管路7Aの内径は、例えば、5〜10mm程度である。
スコープ1(図1)は、施術の対象範囲(術野)の画像を得る器具であり、マニピュレータ2により腹腔9内の患部付近にまで導かれる。
スコープ1は、多数の光ファイバーが束ねられたファイバースコープであってもよいし、対物レンズを介してCCD(Charge-Coupled Device)等の撮像素子により患部を撮像するビデオスコープであってもよい。スコープ1の先端1Aには、光ファイバーの先端あるいは対物レンズおよび撮像素子が臨む観察窓が設けられている。
スコープ1により得られた画像のデータは、図示しないモニタに送られる。モニタに映し出された患部の画像を見ながら、患部の処置や観察が行われる。
[全体構成]
マニピュレータ2は、図1および図2に示すように、先端2A側から腹腔9内に挿入され、屈曲および伸縮しながらスコープ1を腹腔9内の患部付近にまでガイドする。マニピュレータ2の基端2B側は腹壁8の外側に露出している。
本明細書では、先端2A側を「前方」、基端2B側を「後方」というものとする。
腹壁8の外側に露出した貫通筒201の上端側は、クランプ5(図9)等の固定装置によって台等に支持および固定することができる。このとき、クランプ5等の固定装置により、貫通筒201を軸線方向および軸周り方向のいずれにも動かないように固定することもできるし、軸線方向にだけは動かないように固定し、軸周り方向に動くのは許容されていてもよい。
貫通筒201および伸縮筒構造202は、例えばステンレス鋼等の金属材料から形成されている。
貫通筒201および外筒202Aは、第1屈曲部21を構成し、外筒202Aおよび内筒202Bは、伸縮部23を構成する。
先端筒203には、例えば、フッ素系の樹脂材料を用いることができる。
さらに、マニピュレータ2は、第1屈曲部21よりも基端2B側で軸周りに回転(1自由度)させることができる。したがって、マニピュレータ2は、合計で5自由度を有している。
マニピュレータ2には、第1屈曲部21よりも基端2B側(貫通筒201)を軸周りに回転させる回転操作部206(図2)を付加することができる。
図3(a)および(b)を参照し、第1屈曲部21について説明する。図3〜図5では、スコープ1の図示を省略している。
上述したように第1屈曲部21を構成する、貫通筒201と伸縮筒構造202の外筒202Aとは、蝶番211(ヒンジ)により支持され、図3(b)に示すように、相対的に屈曲するようになっている。貫通筒201と外筒202Aとの向かい合う端部は、屈曲したときの内周側がいずれも斜めにカットされており、屈曲したときの外周側が蝶番211により連結されている。
第1屈曲操作ワイヤ31は、外筒202Aの内周部に固定されており、外筒202Aへの固定端31Aから、外筒202Aと貫通筒201との間の間隙、および貫通筒201の内部を通り、後方へと引き出されている。第1屈曲操作ワイヤ31をガイドする適宜な部材が貫通筒201の内周部に設けられていることが好ましい。
蝶番211のバネの弾性力に抗して第1屈曲操作ワイヤ31を後方に向けて引っ張ると、貫通筒201がスコピストによる把持により保持されているため、図3(b)に示すように、蝶番211の部品が軸(屈曲軸21A)を中心に相対的に回動して、貫通筒201と外筒202Aとの間の間隔が縮まる。そうすると、自由端側である外筒202Aが、後方に向けて引き付けられるように貫通筒201に対して屈曲する。屈曲の角度は、第1屈曲操作ワイヤ31が引っ張られる力の大きさに応じて固定端31Aが後退する長さが変わることによって調整することができる。貫通筒201に対してほぼ直角の角度にまで伸縮筒構造202を屈曲させることが可能である。
そのまま第1屈曲操作ワイヤ31が引っ張られていると、第1屈曲操作ワイヤ31の張力により、貫通筒201に対して外筒202Aが屈曲した状態に維持される。
第1屈曲操作ワイヤ31を引く力を弱めるか、第1屈曲操作ワイヤ31を解放すると、伸縮筒構造202が元の位置に復帰し、貫通筒201と伸縮筒構造202とが直線的に真っ直ぐ延びている状態に復元する。
貫通筒201に伸縮筒構造202(外筒202A)が連結されており、これら貫通筒201および伸縮筒構造202が直線状に延びている姿勢と、貫通筒201に対して伸縮筒構造202が屈曲した姿勢とをとることのできる限りにおいて、第1屈曲部21の具体的な構造は、適宜に定めることができる。
例えば、蝶番211を用いる代わりに、貫通筒201と伸縮筒構造202とを柔軟な材料から形成された軟性部を介在させた状態で連結し、第1屈曲操作ワイヤ31を引っ張って軟性部を屈曲させることで、貫通筒201に対して伸縮筒構造202を屈曲させるようにしてもよい。
次に、図4(a)および(b)を参照し、伸縮部23について説明する。図4(b)に、外筒202Aを一点鎖線で示し、内筒202Bを二点鎖線で示している。
伸縮部23として機能する伸縮筒構造202は、伸縮操作ワイヤ33を引っ張り、外筒202Aに対して内筒202Bを進退させることにより、伸縮筒構造202全体の長さの伸縮が可能となっている。
伸縮操作ワイヤ33として、伸長用の操作ワイヤ331と、収縮用の操作ワイヤ332とが用意されている。
溝231およびピン232は、外筒202Aに対して内筒202Bが進退されるときのガイドとして機能するとともに、外筒202Aから内筒202Bが抜け出るのを防止する。外筒202Aに対して内筒202Bが進退されるストロークの長さは、溝231の長さと同等である。
また、内筒202Bに2つの溝231が平行に形成されており、ピン232の両端がそれぞれ溝231に挿入されていると、溝231およびピン232により内筒202Bおよび外筒202Aが安定してガイドされるので好ましい。
一方、図5(b)に示すように、伸長用操作ワイヤ332を後方に向けて引っ張ると(白抜き矢印)、固定端332Aとピン232とが近づき(破線矢印)、内筒202Bが前進する(実線矢印)。そのため、外筒202Aおよび内筒202Bの全体の長さが伸長する。
伸縮筒構造202は、貫通筒201に屈曲可能に連結される内筒と、内筒の外周に位置する外筒とから構成することもできる。
また、伸縮部23は、必ずしも、2つの部材を相対的にスライド(進退)させるものには限らず、例えば、蛇腹や螺旋等の構造により伸縮部23が伸縮可能に構成されることも許容される。
また、伸縮部23を操作する操作部の構造も、引っ張られる伸縮操作ワイヤ33には限らず、伸縮操作ワイヤ33に代えて、例えば、内筒202Bおよび外筒202Aの内側に設けられたガイドチューブに通されて押し引きされるワイヤを採用することもできる。
次に、図6(a)および(b)を参照し、第2屈曲部22について説明する。
第2屈曲部22として機能する先端筒203は、伸縮筒構造202の内筒202Bの前端部に支持部材204により支持されている。図6(a)および(b)では、内筒202Bの前端部の一部を破断し、支持部材204および第2屈曲操作ワイヤ32を示している。なお、図2等では、支持部材204の図示を省略している。
支持部材204は、円筒状に形成されており、内側に先端筒203の後端側を受け入れて保持する。支持部材204の内周部と先端筒203の外周部とは、適宜な方法で固定されている。
先端筒203には、先端筒203を屈曲させる第2屈曲操作ワイヤ32が設けられている。図6(a)に示すように、第2屈曲操作ワイヤ32が引っ張られていない自由状態では、先端筒203は、伸縮筒構造202の軸線の延長線上に、直線的に延びている。
ここで、「左右」方向は、屈曲軸21A(蝶番211の軸)の方向と一致し、この左右方向に対して「上下」方向は直交する。
右方操作ワイヤ32Rおよび下方操作ワイヤ32Dも、左方操作ワイヤ32Lと同様に、それぞれ先端筒203に固定されており、支持部材204の経路204B、支持部材204の内側、ガイドチューブ330を通り、後方へと引き出されている。
これらの操作ワイヤ32L,32R,32Dを含め、先端筒203および支持部材204は外装シース205(図1)に覆われている。
下方操作ワイヤ32Dを引く力を弱めるか、下方操作ワイヤ32Dを解放すると、先端筒203が元の真っ直ぐな状態に復元する。
下方操作ワイヤ32D、右方操作ワイヤ32R、左方操作ワイヤ32Lの1つ以上を適宜に操作することで、スコープ1の先端1Aを旋回させるようにして視野を変更することもできる。
以下、図7〜図9を参照し、医療用具10を用いて腹腔鏡手術を行う際の手順の一例を説明する。医療用具10は、後述するように単孔式手術に好適である。
腹腔9内に医療用具10のマニピュレータ2を挿入する際には、第1屈曲部21および第2屈曲部22は屈曲させずに、マニピュレータ2を直線状に延びた真っ直ぐな状態にしておく。また、マニピュレータ2の基端2Bから先端2Aまでの長さを短くしておくことが好ましい。上述したように、収縮用操作ワイヤ331を引っ張ることで(図5(a))、伸縮部23(伸縮筒構造202)を収縮させればよい。
真っ直ぐな状態のマニピュレータ2を把持し、図7(a)に示すように、臍の近傍等、腹壁8の所定位置にあけられた孔8Aに挿入されているトロッカー7の管路7Aを通じて腹腔9内に挿入する(挿入ステップS1)。腹腔9内には、予め必要に応じてガスが導入される。
なお、貫通筒201の軸周りの向きは、後から直したり、変更したりすることもできる。
上記は、伸縮操作ワイヤ33および第2屈曲操作ワイヤ32についても同様である。
患部4の場所によっては、このままで、スコープ1の視野に患部4を捉えることができる。
スコープ1から送られた画像をモニタで確認しながら、マニピュレータ2の屈曲や伸縮の操作によりスコープ1の位置や向きの調整が可能である。
この時点で、まだマニピュレータ2の貫通筒201の上端側が固定されていなければ、クランプ5等で固定することができる。
次いで、鉗子6を腹腔9内に挿入し、患部4の処置を行うことができる(鉗子挿入ステップS5)。
腹腔9内で屈曲して腹壁8に沿っている伸縮部23の長さを調節することにより、トロッカー7の近くから、伸縮部23を最大に伸ばしたときにスコープ1の観察窓が到達する位置までの広範囲に亘り、鏡視下で処置可能となる。
さらに、必要に応じて、手動であるいは回転操作部206(図2)により貫通筒201を軸周りに回転させると、貫通筒201を軸にマニピュレータ2が旋回するので、より広範囲に亘り鏡視下の処置が可能となる。
本実施形態の医療用具10によれば、手術にあたりスコープ1のアクセスが必要な範囲(術野)を十分にカバーすることができる。
手術の間、必要に応じてマニピュレータ2の第1屈曲部21、伸縮部23、および第2屈曲部22を適宜に操作し、あるいは貫通筒201を軸周りに回転させることで、視野の変更を行うことができる。
マニピュレータ2は、主として複数の筒体201,202,203と、操作ワイヤ31,32,33とからなるという点でも単純な構造であり、安価に製造することができる。
さらに、操作ワイヤ31,32,33をそれぞれ引っ張る操作によりマニピュレータ2を駆動するため、例えばワイヤを押し引きする機構を採用する場合と比べて径が小さい操作ワイヤ31,32,33を用いることができる。操作ワイヤ31,32,33の径が小さい分、操作ワイヤ31,32,33が収められる筒内の空きスペースを大きくとれるので、マニピュレータ2の外径としてはトロッカー7に通すことのできるように細径に構成されていながら、径が大きくなりがちな高性能なスコープ1をマニピュレータ2の筒内に収めることができる。
スコープ1の視野を変えようとするときは、腹腔9内で腹壁8に沿っている伸縮筒構造202を伸長または収縮させたり、先端筒203の向きを変えたりすればよい。この操作によって鉗子6の位置が動いてしまうことはない。
なお、孔8Aへのトロッカー7の設置の形態には種々あり、図10(a)に示すように、マニピュレータ2が挿入される管路7Aと、鉗子6が挿入される管路7Bとが共に同一のトロッカー7に形成されていたり、図10(b)に示すように、マニピュレータ2が挿入される管路7Aと、鉗子6が挿入される管路7Bとが別々のトロッカー71,72に形成されていたりする。
スコープ1に装置されているマニピュレータ2の貫通筒201の位置が固定されていると、図11に示すように、トロッカー7が挿入される孔8Aおよびその近傍においてマニピュレータ2が占めている領域8A1(斜線で示す)以外の領域8A2を鉗子6等の他の医療用具に割り当てることができる。領域8A2において鉗子6等の可動域が広く確保されているので、鉗子6を動かしても、鉗子6とマニピュレータ2とが孔8Aの位置およびその近傍で接触(干渉)してスコープ1の視野が動いてしまうことがない。また、マニピュレータ2の第1屈曲部21や伸縮部23、第2屈曲部22を操作しても、貫通筒201が軸線方向や軸周りに動いてしまうこともない。そのため、適切に視野を設定しながら、鉗子6を自在に操作して適切な処置を容易に行うことができる。
例えば、複数(例として2つ)の孔をあけて鏡視下手術を行う場合であって、手術に使用する医療用具10のマニピュレータ2や鉗子6等の医療用具で腹腔9内やトロッカーが混雑していたとしても、医療用具同士の干渉を防ぐことができる。図10(c)のようにマニピュレータ2と鉗子6とが、近接する別の孔8A,8Aにそれぞれ挿入されており、スコープ1の軸と鉗子6の軸とが近接しているとしても、それらの干渉を防ぐことができる。
上述のように、トロッカー7(または71,72)におけるマニピュレータ2の位置が固定され、マニピュレータ2が占めている領域以外の領域が鉗子6に割り当てられることにより、マニピュレータ2を操作するスコピストの手と鉗子6を操作する術者の手とが交差する機会が減少する。
トロッカー7におけるマニピュレータ2の位置が固定されていると、マニピュレータ2を把持する必要がない。そのため、術者が自分自身でマニピュレータ2を操作してスコープ1の視野を設定し、その後に鉗子6を把持して処置を行う単孔式手術も可能である。
図12は、本発明の変形例に係る医療用具20を示している。
医療用具20は、スコープ1と、スコープ1に装着されるマニピュレータ3とを備えている。
マニピュレータ3は、第2屈曲部22を有していないことだけが、上述のマニピュレータ2と相違する。
図12に示すマニピュレータ2は、貫通筒201と、伸縮筒構造202(外筒202Aおよび内筒202B)と、伸縮筒構造202の前側に接続された先端部207とを備えている。先端部207は、伸縮筒構造202の軸線に沿って配置されており、伸縮筒構造202に対して屈曲はしない。
先端部207には、スコープ1の観察窓および照明窓が配置されている。これらの観察窓および照明窓は、マニピュレータ3が腹腔9内で腹壁8に沿うように延びているときの先端部207の下端に設けることが好ましい。そうすると、伸縮筒構造202に対して先端部207を下向きに屈曲させたときとほぼ同様の効果を得ることができる。
図12に示すマニピュレータ3によれば、トロッカー7から腹腔9内にマニピュレータ3を挿入し、腹腔9内で第1屈曲部21を屈曲させ、さらに伸縮部23を患部4の付近にまで伸長させることにより、下方に位置する患部4をスコープ1で上方から観察することができる。
また、スコープ1の観察窓および照明窓を先端部207の下端にではなく先端2Aに設け、第1屈曲操作ワイヤ31により、屈曲角度を調整することで、患部4に先端2Aが向くように伸縮筒構造202の姿勢を設定するようにしてもよい。
図13に示す医療用具が備えるマニピュレータ12は、ワイヤにより操作されるフレキシブルな鉗子16に装着される。マニピュレータ12の貫通筒201、伸縮筒構造202、および先端筒203には鉗子16の操作ワイヤ16Aが収容されており、マニピュレータ12の先端12Aよりも前方に、操作ワイヤが後方に引っ張られることで動作する鉗子16のジョー16Bが配置されている。
このマニピュレータ12をトロッカー7から腹腔9内に挿入し、第1屈曲部21を屈曲させてから伸縮部23を伸長させ、さらに、第2屈曲部22を必要に応じて屈曲させることにより、鉗子16のジョー16Bを所望の位置にガイドして処置を行うことができるから、広い術野をカバーすることができる。
マニピュレータ12において、第2屈曲部22を省略することもできる。
図3(a)に示すように、貫通筒201の延長線上に沿って、伸縮構造202が真っすぐに延びている状態を0°とすると、屈曲軸21Aを回動軸として、貫通筒201に対して伸縮筒構造202を90°まで屈曲させることができる(図3(b))。つまり、第1屈曲部21による屈曲動作の角度θ1(第1屈曲角度)は、0°〜90°である。
伸縮筒構造202(図4(a))の最小の長さは、120mmであり、最大の長さは210mmである。したがって、伸縮筒構造202の軸線方向への伸縮動作による伸縮範囲D(ストローク)は、90mmである。
使用を想定した位置および傾き(姿勢)に医療用具10をクランプ5等により固定し(図8(a))、伸縮筒構造202の長さおよび第1屈曲角度θ1をいずれも一定に保ったまま、先端筒203(図6(a)および(b))の2自由度の屈曲角度を照明光の出射角度により確認した。
それによると、下方に向けた屈曲角度θ2a(第2下方屈曲角度)は、伸縮筒構造202の軸線の延長線の位置を0°として、0〜120°である。
そして、左右方向に向けた屈曲角度θ2b(第2左右屈曲角度)は、伸縮筒構造202の軸線の延長線の位置を0°として−120〜120°である。
さて、第1試験について説明する。第1試験は、いずれも米国のSociety of American Gastrointestinal and Endoscopic Surgeons(SAGES)およびAmerican College of Surgeons(ACS)により承認されているFLS(Fundamentals of Laparoscopic Surgery)のTask oneに基づいて、腹腔鏡手術の作業性を評価可能な試験である。第1試験では、FLS Task oneに定められた作業手順や評価方法に準拠する。以下、第1試験に用いる部材や作業内容について簡単に説明する。
FLS Task oneでは、図14(a)に示すように複数の棒状のペグ41が固定されているペグボード40と、複数のラバー製のリング42と、一対の直線的な把持鉗子43とを用いる。第1試験でも、FLS Task oneに使用する部材と同様に構成された部材として、図14(a)に示されたペグボード40に相当するペグボードと、図14(a)に示された一対の把持鉗子43に相当する一対の把持鉗子と、図14(a)に示されたリング42と同一のリング42を使用する。
図14(a)に示す各部材と、それぞれに対応する第1試験の使用部材との構成は、リング42を除き、必ずしも同一でないものの、以下の説明では、第1試験で使用する部材のそれぞれを、図14(a)において相当する部材に付された符号と同一の符号により称するものとする。
また、FLS Task oneでは、ペグボード40を視野に収めるスコープから得られた画像データによりモニタの画面に表示された画像を見ながら、リング42を把持してペグ41間を移動させる作業を行うのに対し、第1試験では、医療用具10に備えられた対眼レンズからペグボード40を目視しながら、同様の作業を行う。これらの点を除いて、第1試験はFLS Task oneに準拠している。
第1試験には、上述の運動範囲を有するマニピュレータ2およびスコープ1を備えた医療用具10(図1)に加え、ペグボード40,リング42、および把持鉗子43と、人体の気腹状態の腹部を模擬した腹部モデル50(図15(a))とを用いる。
腹部モデル50の所定の挿入部510から、把持鉗子43および医療用具10を腹腔52へ挿入する。このとき、図15(b)に破線で示す挿入部510へ把持鉗子43を入れ、図15(b)に一点鎖線で示す挿入部510へ医療用具10を入れる。この状態の把持鉗子43および医療用具10の位置関係のことをアキシャルポジションと称する。
被験者は、スコープ1に備えられた対眼レンズから目視することにより、ペグボード40全体の画像を把握可能である。
被験者は、既往歴無しの右利きの10人の成人男性からなる。被験者はいずれも、図14(a)に示す部材を使用したFLSTask one訓練の習熟者であるものとする。
被験者は、ペグボード40の画像を確認しながら、腹部モデル50の内部に固定されたペグボード40のペグ41に通されたリング42を把持鉗子43によって他のペグ41へと移動させる。このとき、所定の手順により、各リング42を把持鉗子43によりペグ41間で移動させる。
被験者とは異なる計測者により、把持鉗子43が最初にリング42に接触した時から、所定の手順により各リング42を移動させる一連の作業を終えるまでに要する時間を計測する。
使用する比較対象90は、金属製の筒体の内側に軟性鏡を通して筒体と一体化したものである。軟性鏡自体が容易に変形するとしても、変形し難い硬質の材料から形成された筒体により軟性鏡が覆われているため、比較対象90は全体として変形し難い。
図18(a)に示すように、比較対象90は、腹腔52に挿入される範囲の全体に亘り、軸線に沿って直線的に構成されている。比較対象90は、医療用具10とは違い、屈曲したり伸縮したりする機能は備えていない。比較対象90は、医療用具10と同じ挿入部510から腹腔52へ挿入され、ペグボード40全体を視野に収めるように、クランプ5等により所定の位置および姿勢に固定される。この比較対象90とアキシャルポジションをなす一対の把持鉗子43により、各リング42をペグ41間で移動させる作業を行う。
図14(b)は、医療用具10を使用した場合と、比較対象90を使用した場合とのそれぞれについて、全被験者の作業所要平均時間を示す。
図14(b)における「Straight」は比較対象90を意味し、「Flexion」は、屈曲可能な本発明の医療用具10を意味している。これは、図21〜図23でも同様である。
図14(b)から、医療用具10を使用した場合の所要時間は、比較対象90を使用した場合の所要時間よりも短い。両者の所要時間の間に、有意な差異を認めることができる。
第2試験の計測結果(図21〜図22)についても、データ群間の有意差検定により有意確率pを算出しており、p<0.01である場合に、データ群間の計測値の差異が「有意」であることを記載している。
後述するように、医療用具10を使用した場合と比較対象90を使用した場合との視界の差異や、腹腔52内に挿入される鉗子と医療用具との接触回数が、第1試験の結果にも影響したことが推察される。
次に、図15〜図23を参照し、第2試験(パターンタッチ試験)について説明する。第2試験では、第1試験とは異なる作業を通じて、医療用具10の作業性を評価する。
第2試験で行う作業内容としては、腹腔52内において、図19(a)〜(c)に示すように一対の鉗子63(医療器具)の先端部63Aを、パターンP1〜P3にそれぞれ定められた接触パッドに接触させる。この作業過程において、鉗子63同士が交叉(交差)した状態となる。これは、術中において、鉗子同士が交叉した状態となることが多いとの想定に基づいている。
第2試験には、第1試験で使用したのと同様の腹部モデル50(図15および図16)と、医療用具10および直線的な鉗子63と、鉗子63の先端部63Aを接触させる接触パッド601〜606が備わる接触台60(図16(b))と、マニピュレータ2と鉗子63との接触(干渉)回数を電気的に計測するための機器71およびパーソナルコンピュータ76(図17)を使用する。
また、医療用具10と作業性を比較するため、第1試験で使用したものと同様の比較対象90を使用する。
パッド設置部61の上面側に、接触パッド601〜606が全体として円をなすように、パッド設置部61の平面中心に対して等角度で設置されている。各接触パッド601〜606の形状は問わないが、ここでは円形である。接触パッド601〜606は、鉄が用いられた母材と、真鍮により母材の表面に施されためっきとからなる。
パッド設置部61および台座62は、木材から構成されている。
マイクロコンピュータ711は、IC(Integrated Circuit)と、メモリと、入出力端子とを備えている。このマイクロコンピュータ711には、パーソナルコンピュータ76がUSB(Universal Serial Bus)ケーブルにより接続されている。マイクロコンピュータ711とパーソナルコンピュータ76との間でシリアル通信が可能である。
第2試験に用いられる鉗子63において、金属製の先端部63Aよりも基端側であって、腹腔52内に挿入される範囲は金属製の皮膜63Bで覆れている。
第2試験に用いられるマニピュレータ2において、金属製である伸縮筒構造202は外装シース205(図1)により覆われておらず、マニピュレータ2の表面に露出している。
そのため、鉗子63とマニピュレータ2とが例えば図17に示す状態に接触すると、機器71、皮膜63Bに腹腔52の外側で接続された電線72、鉗子63とマニピュレータ2との接点73、および伸縮筒構造202の基端側に接続された電線74、およびLED75を含んで形成される電気回路に通電することに基づいて、鉗子63とマニピュレータ2との接触を電気的に検知することができる。かかる電気回路に通電したことを示す電気信号がマイクロコンピュータ711からパーソナルコンピュータ76へと送信されると、パーソナルコンピュータ76の演算部は、その電気信号に基づいて、鉗子63とマニピュレータ2との接触回数をカウントする。
鉗子63とマニピュレータ2とが接触したことは、上記の電気回路への通電時にLED75が点灯することで報知されるため、回路が正常に動作していることをLED75の点灯により確認しながら試験を進めることができる。
なお、位置Aは、肝臓の左葉外側区域に相当し、位置Bは、肝臓の右葉前上区域に相当し、位置Cは、肝臓の右葉後下区域に相当する。
パッド設置部61の板状の部分は、腹部モデル50に取り付けられて台座62の設置される板623の接地面と平行である0°のとき、ほぼ水平方向に延在している。台座62に軸支されているパッド設置部61を、臍側に向けて回動させてパッド設置部61の傾斜角度を固定できるようになっている。
第2試験の被験者は、第1試験と同様、既往歴無しの10人の成人男性からなり、いずれも、図14(a)に示す部材を使用したFLS Task one訓練の習熟者であるものとする。
被験者は、スコープ1から得られた画像データにより液晶モニタに表示された画像を確認することによって、接触パッド601〜606の全体の画像を把握可能である。スコープ1は、ディジタルビデオカメラに該当する。
第2試験では、鉗子63が接触する接触対象の位置、鉗子63が接触するパッド設置部61の角度、鉗子63および医療用具10(または比較対象90)の挿入位置、および医療用具10のスコープ1(または比較対象90)による観察位置のそれぞれの観点から作業性を評価するため、次の試験条件を設定する。
腹部モデル50の内部における位置A〜C(図16(a))のいずれかにパッド設置部61が配置されるように、接触台60が腹部モデル50の内部に固定される。図16(b)は、パッド設置部61が位置Aに配置された例を示している。A〜Cは、生体器官の複数の所定部位のそれぞれにおける代表位置に相当する。
図18(b)に示すように、パッド設置部61の台座62に対する傾斜角度を複数の角度(45°,30°,0°)に設定可能である。
図15(a)に示す位置関係において、スコープ1を含む医療用具10と、一対の鉗子63とは、相互に近接した挿入部510から腹腔52にそれぞれ挿入される。この位置関係のことを、腹壁に形成した単一の孔に内視鏡および鉗子等を挿入して行う単孔式腹腔鏡下手術の「単孔」に関して「擬似単孔」と称し、「Single」と表記するものとする。
擬似単孔の場合、具体的には、医療用具10が挿入される挿入部510の位置(臍の位置に相当し、一点鎖線で示す)を中心として、その位置の右隣の挿入部510(510R)と左隣の挿入部510(510L)とにそれぞれ鉗子63が挿入される。
上記の擬似単孔およびアキシャルポジションは、比較対象90(図18(a))を用いる比較試験にも適用する。
腹部モデル50の内部に設置された接触台60のパッド設置部61に向けて、図18(b)に示すように、医療用具10がクランプ5等により所定の位置および姿勢に固定される。このとき、貫通筒201に対して第1屈曲部21を腹腔52内で腹壁51に近づくように適宜な角度に屈曲させるとともに、第2屈曲部22も伸縮部23に対して適宜な角度および向きに屈曲させた状態で、観察窓が位置するスコープ1の先端からパッド設置部61の表面の中心まで所定の距離x(55mm)だけ離し、スコープ1の視野に接触パッド601〜606の全体を収める。第2屈曲部22は、少なくとも下方に向けて屈曲させるものとする。また、伸縮部23の長さも適宜に調整する。
比較対象90は、屈曲しないため、腹腔52内で直線的に延びている。そして、上記と同様に、比較対象90の先端からパッド設置部61の表面の中心まで、距離xだけ離し、比較対象90の視野に接触パッド601〜606の全体を収める。
第2試験で行う作業の内容として、本発明者が創出したパターンタッチについて説明する。
被験者は、腹部モデル50の挿入部510Rから腹腔52内に挿入された右方の鉗子63Rを右手で持ち、腹部モデル50の挿入部510Lから腹腔52内に挿入された左方の鉗子63Lを左手で持つ。そして、被験者により、接触パッド601〜606の画像を確認しながら、図19(a)〜(c)にそれぞれ示すパターンに定められた一対の接触パッドに順次接触するように、鉗子63R,63Lを移動させていく一連のパターンタッチ作業を行う。図19(a)〜(c)のいずれにおいても、接触パッド601〜606のうち180°の角度をなす一対の接触パッドが選ばれている。
さらに、図19(b)に矢印で示す向きへと鉗子63R,63Lを反時計周りに移動させることで、図19(c)に示すパターンに定められた一対の接触パッド603,606へと鉗子63R,63Lの先端部63Aを移動させる。
図19(a)に示すように、鉗子63R,63Lの先端部63Aが接触パッド603,606に置かれたとき、パターンタッチの作業が終了する。
被験者ではない、一人の試験監督者によりストップウォッチを使用して、被験者が一対の鉗子63を腹腔52内へと挿入してから、上記のパターンタッチ作業を完了して一対の鉗子63を腹腔52の外側へと抜き去るまでの時間(図21〜図22)を計測した。
それに加え、被験者が一対の鉗子63を腹腔52内へと挿入してから、上記のパターンタッチ作業を完了して一対の鉗子63を腹腔52の外側へと抜き去るまでの間、上述した計測系70(図17)により、鉗子63と医療用具10とが接触した合計の回数も計測した(図23)。
また、パッド設置部61の角度毎に、パッド設置部61を含む視界の画像を取得した(図20)。
図20は、医療用具10を用いる場合(Flexion)と、比較対象90を用いる場合(Straight)との視界の差異をパッド設置部61の角度毎(45°,30°,0°)に示している。各画像に、鉗子63の輪郭を示す黒い線と、接触パッド601の輪郭を示す白い線とを付加している。
医療用具10により得られる視界と、比較対象90により得られる視界との差異は、医療用具10が屈曲していることに基づいている。
パッド設置部61が接地面に対してなす角度が相対的に大きい場合(45°)には、図20(a)に示すように、比較対象90(Straight)により得られる視界と、医療用具10(Flexion)により得られる視界とがほぼ同様であると言えるが、図20(b)、(c)に示すように、パッド設置部61の傾斜角度が小さくなると、両者の視界の差異が大きくなる。
つまり、医療用具10を用いると、鉗子63が接触する処置対象の姿勢を問わず、安定した視界が確保される。
図21(a)は、処置対象における位置(A〜C)毎に、医療用具10を用いる場合と、比較対象90を用いる場合とのそれぞれの場合の所要時間を示している。図21(a)に示す位置AのStraightのデータ群は、比較対象90が用いられた位置Aの全計測データの集合である。同様に、位置AのFlexionのデータ群は、医療用具10が用いられた位置Aの全計測データの集合である。位置B、位置Cのデータ群や、図21(b)、図22、図23にそれぞれ示すデータ群も、同様に、条件に当てはまる全計測データの集合である。
医療用具10を用いる屈曲的アプローチは、特に、位置Aおよび位置Bに関し、比較対象90を用いる直線的なアプローチに比べ、作業時間が有意に短い。
図21(b)は、医療用具10または比較対象90に対する鉗子63のポジション(Single, Axial)別に、医療用具10を用いる場合と、比較対象90を用いる場合とのそれぞれの場合の所要時間を示している。
図21(b)より、鉗子63のポジションに関わらず、医療用具10を用いる場合(Flexion)の方が、比較対象90を用いる場合(Straight)と比べて作業時間が有意に短い。
図22は、パッド設置部61の角度(0°,30°,45°)毎に、医療用具10を用いる場合と、比較対象90を用いる場合とのそれぞれの場合の所要時間を示している。
図22より、角度0°,30°,45°のいずれに関しても、医療用具10を用いる場合(Flexion)の所要時間は、比較対象90を用いる場合(Straight)の所要時間と比べて短い。Straightの最も作業時間が短いデータ群(30°)と、Flexionの最も作業時間が長いデータ群(45°)とを比べても、医療用具10を用いる屈曲的アプローチの方が、比較対象90を用いる直線的なアプローチよりも作業時間が短い。その他のStraightのデータ群とFlexionのデータ群との組み合わせの対比において、医療用具10を用いる場合(Flexion)の所要時間は、比較対象90を用いる場合(Straight)の所要時間と比べて有意に短い。
図23は、処置対象における位置(A〜C)毎に、医療用具10を用いる場合と、比較対象90を用いる場合とのそれぞれの場合について、鉗子63との接触回数を示している。
図23より、医療用具10を用いる場合(Flexion)、鉗子63と医療用具10との間の接触回数は、0回である。つまり、接触(干渉)が発生しない。
一方、比較対象90を用いる場合(Straight)、位置A〜Cにより回数に差は見られるものの、少なくとも20回、位置A,Bに関しては30回を超える回数もの鉗子63と比較対象90との接触が計測された。
なお、図17に示す計測系70と同様の構成を使用して、一対の鉗子63同士が接触した回数を計測した結果も得ているが、その計測結果は省略する。その計測結果によれば、医療用具10を用いる場合と、比較対象90を用いる場合とのいずれにおいても、鉗子63同士の接触は発生する。
上記の良好な視界の確保、および接触の回避の主として2つの理由から、腹腔52内における作業効率が高いため、数十回もの接触が生じる直線的なアプローチと比べて、第1試験に係るFLS Task one、第2試験に係るパターンタッチのいずれについても所要時間が短い。処置対象の位置(A〜C)を選ばず(図21(a))、鉗子63の挿入位置も選ばす(図21(b))、処置対象の角度も選ばず(図22)、医療用具10の作業性は比較対象90と比べて優れていると言える。
第2試験に用いる部材や、試験条件、試験内容は、適宜に改変することができる。
例えば、上述したパターンタッチ作業におけるパターンに選定する接触パッドとして、180°以外(例えば120°)の角度をなす一対の接触パッドを選ぶこともできる。
さらには、必ずしも一対の鉗子63を用いる作業に限定されることなく、術中の処置を模擬した種々の作業を想定した手順に基づく所定の作業の所要時間を計測することができる。
模擬する作業に応じて、必要な鉗子63の種類や数も変わる。模擬する作業に応じて、腹腔52内に、スコープ1を装着した医療用具10と、一以上の鉗子63等の医療器具を挿入して試験を行うことができる。
本発明のマニピュレータは、少なくとも、孔の内側を貫通する貫通部と、貫通部に対して体腔内で屈曲可能な第1屈曲部と、第1屈曲部よりも先端側で伸縮可能な伸縮部と、第1屈曲部を操作する第1屈曲操作部と、伸縮部を操作する伸縮操作部とを備えている限りにおいて、構成要素の付加や、具体的な構造の改変が許容される。
例えば、本発明のマニピュレータが、第1屈曲部および第2屈曲部に加えて、第3の屈曲部や第4の屈曲部を備えていてもよい。一例を挙げると、第3の屈曲部を、第1屈曲部21と第2屈曲部22との間や、第2屈曲部22よりも先端側に配置することができる。そして、例えば、第3屈曲部と第2屈曲部との間にも、伸縮可能な伸縮部を配置することができる。
本発明のマニピュレータは、少なくとも一つの屈曲部と、少なくとも一つの伸縮部とを備えていれば足り、屈曲部の数および伸縮部の数は限定されない。
1A 先端
2,3,12 マニピュレータ
2A 先端
2B 基端
4 患部(対象部位)
5 クランプ
6 鉗子(処置具)
7 トロッカー
7A 管路
8 腹壁
8A 孔
8A1 領域
8A2 領域
9 腹腔
10,20 医療用具
12A 先端
16 鉗子
16A 操作ワイヤ
16B ジョー
21 第1屈曲部
21A 屈曲軸
22 第2屈曲部
23 伸縮部
30 操作部
31 第1屈曲操作ワイヤ(第1屈曲操作部)
31A 固定端
32 第2屈曲操作ワイヤ(第2屈曲操作部)
32D 下方操作ワイヤ
32L 左方操作ワイヤ
32R 右方操作ワイヤ
33 伸縮操作ワイヤ(伸縮操作部)
40 ペグボード
41 ペグ
42 リング
43 把持鉗子
50 腹部モデル
51 腹壁
52 腹腔
60 接触台
61 パッド設置部
62 台座
63 鉗子
63A 先端部
70 計測系
71 機器
72,74 電線
73 接点
75 LED
76 パーソナルコンピュータ
90 比較対象
201 貫通筒(貫通部)
202 伸縮筒構造
202A 外筒
202B 内筒
203 先端筒(先端部)
204 支持部材
204A 突起
204B 経路
205 外装シース
206 回転操作部
207 先端部
211 蝶番
231 溝
232 ピン
330 ガイドチューブ
331 収縮用操作ワイヤ
331A 固定端
332 伸長用操作ワイヤ
332A 固定端
510 挿入部
511 開口
711 マイクロコンピュータ
712 ブレッドボード
P1〜P3パターン
S1 挿入ステップ
S2 第1屈曲ステップ
S3 伸長ステップ
S4 第2屈曲ステップ
S5 鉗子挿入ステップ
Claims (13)
- 医療用の器具に装着され、体腔内に通じる孔を通り前記体腔内に先端側から挿入されるマニピュレータであって、
前記孔の内側を貫通する貫通部と、
前記貫通部に対して前記体腔内で屈曲可能な第1屈曲部と、
前記第1屈曲部よりも先端側で伸縮可能な伸縮部と、
前記第1屈曲部を操作する第1屈曲操作部と、
前記伸縮部を操作する伸縮操作部と、を備える、
ことを特徴とするマニピュレータ。 - 前記伸縮部よりも先端側で屈曲可能な第2屈曲部と、
前記第2屈曲部を操作する第2屈曲操作部と、を備える、
請求項1に記載のマニピュレータ。 - 前記第1屈曲部は、1自由度で屈曲し、
前記第2屈曲部は、2自由度で屈曲する、
請求項2に記載のマニピュレータ。 - 前記貫通部を軸周りに回転させる回転操作部を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載のマニピュレータ。 - 前記器具は、医療の対象部位から受光可能または前記対象部位を撮像可能なスコープである、
請求項1から4のいずれか一項に記載のマニピュレータ。 - 前記スコープに装着されている前記マニピュレータと、前記対象部位を処置可能な処置具とが同一の前記孔に挿入された状態で行われる単孔式手術に用いられる、
請求項5に記載のマニピュレータ。 - 前記器具は、医療の対象部位を処置可能な処置具である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のマニピュレータ。 - 複数の筒体を備え、
前記器具は、前記筒体の内側に配置されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のマニピュレータ。 - 前記貫通部としての貫通筒と、
前記貫通筒に対して前記体腔内で屈曲可能であって前記第1屈曲部を構成するとともに、長さが伸縮可能な前記伸縮部としての伸縮筒構造と、を備える、
請求項8に記載のマニピュレータ。 - 前記伸縮部に接続される先端部を備え、
前記先端部は、
柔軟性を有する材料から形成されており、前記伸縮部よりも先端側で屈曲可能な第2屈曲部をなしている、
請求項2から9のいずれか一項に記載のマニピュレータ。 - 前記伸縮部よりも先端側で屈曲可能な第2屈曲部を操作する第2屈曲操作部を備え、
前記第1屈曲操作部、前記伸縮操作部、および前記第2屈曲操作部はいずれも、
引っ張られるワイヤを含んで構成されている、
請求項3から10のいずれか一項に記載のマニピュレータ。 - 請求項1から11のいずれか一項に記載のマニピュレータと、
前記マニピュレータが装着される器具と、を備える、
ことを特徴とする医療用具。 - 請求項2から11のいずれか一項に記載のマニピュレータであって、前記伸縮部よりも先端側で屈曲可能な第2屈曲部を備えた前記マニピュレータを使用し、模擬的な体腔が内在するモデルの内部における前記マニピュレータの作業性を評価する方法であって、
前記マニピュレータが装着されるスコープによる前記体腔内の処置対象の観察下、前記第1屈曲部および前記第2屈曲部が前記体腔内で屈曲された状態の前記マニピュレータと共に前記体腔内に挿入されている一以上の医療器具の先端部が、前記処置対象へ接触位置を変えながら接触するタッチ作業が行われた際に、前記マニピュレータと前記医療器具とが接触した回数を電気的に計測するにあたり、
前記医療器具に導電性が与えられた部位と、前記マニピュレータに導電性が与えられた部位との接触を電気的に検知する、
ことを特徴とするマニピュレータの作業性評価方法。
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