JPWO2017221681A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

基材と、表面に凹凸構造を有する凹凸層と、凹凸層上に形成されたバリア層と、バリア層上に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられた発光ユニットと、発光ユニット上に設けられた第2電極とを備え、バリア層の表面と第2電極の表面とが、凹凸層の凹凸構造を追従する形状を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を構成し、発光効率の向上と信頼性の向上とが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に係わる。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)においては、発光効率の向上が求められている。この要求に対し、有機EL素子の発光層から放出される光を有機EL素子の外部に取出すために、表面に凹凸形状が形成された凹凸層からなる光学部材を備える構成が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
また、内部光取り出し技術として、基板上に散乱微粒子を含む層を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2013−109932号公報 特開2013−157340号公報 特開平11−283751号公報 国際公開第2015/083660号
しかしながら、凹凸層を設けて発光効率を向上させた有機EL素子では、凹凸層から発生するアウトガスや、凹凸層による水分の吸着等によって、発光輝度の低下やダークスポット等が発生してしまう。このため、凹凸層を有することにより、有機EL素子の信頼性が低下してしまう。また、散乱微粒子を含む層を用いた場合においても、有機EL素子と基板との屈折率の関係から、材料の選択の幅が狭くなり、未だ有機EL素子の信頼性を十分に満たした構成は見出されていない。
上述した問題の解決のため、本発明においては、発光効率の向上と信頼性の向上とが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基材と、表面に凹凸構造を有し、平均厚さが100nm以上2500nm以下である凹凸層と、凹凸層上に形成されたバリア層と、バリア層上に設けられた第1電極と、第1電極上に設けられた発光ユニットと、発光ユニット上に設けられた第2電極とを備える。そして、バリア層の表面と第2電極の表面とが、凹凸層の凹凸構造を追従する形状を有する。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、基材上に凹凸層形成材料を含む塗布膜を形成する工程と、塗布膜に母型の凹凸構造を転写し、平均厚さが100nm以上2500nm以下の凹凸層を形成する工程と、凹凸層上にバリア層を形成する工程と、バリア層上に第1電極を形成する工程と、第1電極上に発光ユニットを形成する工程と、発光ユニット上に第2電極を形成する工程とを有を有し、バリア層から第2電極までを、凹凸層の凹凸構造を追従する形状に形成する。
本発明によれば、発光効率の向上と信頼性の向上とが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
有機EL素子の概略構成を示す図である。 凹凸層を形成するための工程図である。 凹凸層を形成するための工程図である。 凹凸層を形成するための工程図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態
2.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
〈1.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態〉
以下、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の具体的な実施の形態について説明する。
図1に有機EL素子の概略構成図(断面図)を示す。図1に示す有機EL素子10は、基材11に、下地層12、表面に凹凸構造を有する凹凸層13、バリア層14、第1電極15、発光ユニット16、第2電極17、粘着剤層18、及び、封止基材19を有する。なお、図1に示す有機EL素子10は、発光ユニット16から放出される光を、基材11側から取出すボトムエミッション型の素子である。
有機EL素子10において、凹凸層13は、下地層12に直に接するように形成されている。凹凸層13上に形成されるバリア層14は、凹凸層13の表面に形成された凹凸構造を追従するように、層の表面に凹凸層13と同様の凹凸構造が形成されている。同様に、バリア層14上に形成される第1電極15、発光ユニット16、及び、第2電極17は、凹凸層13の表面に形成された凹凸形状を追従するように、各層の表面に凹凸層13と同様の凹凸形状が形成されている。また、粘着剤層18は、第2電極17側の表面に凹凸層13と同様の凹凸形状が形成され、第2電極17と逆側の表面が平坦化されている。そして、この粘着剤層18上の平坦面に封止基材19が貼り合わされている。
有機EL素子10において、凹凸層13は、平均厚さが100nm以上2500nm以下である。ここで、凹凸層13の凸部の高さ、凸部における厚さ、及び、凹部における厚さ、並びに、凹凸層13の平均厚さについて、図1を用いて説明する。図1に示すように、凹凸層13において、底面から凹凸構造の凸部の最も高い位置までの厚さが、凹凸層13の凸部における厚さCである。また、凹凸層13の底面から凹部の最も低い位置までの厚さが、凹凸層13の凹部における厚さBである。また、凹凸層13の凸部における厚さCと凹部における厚さBとの差が、凸部の高さAである。さらに、凹凸層13の平均厚さは、凹部における厚さBと凸部における厚さCとの平均値である。
また、有機EL素子10は、凹凸層13の凹凸構造の表面に形成される凹凸形状を追従する形状に、バリア層14、第1電極15、発光ユニット16、及び、第2電極17が形成されている。ここで、追従する形状とは、バリア層14、第1電極15、発光ユニット16、及び、第2電極17の各層において、封止基材19側の表面(以降、表面)の凹凸形状の凸部の高さが、凹凸層13の凸部の高さAの±20%以内であることを意味する。すなわち、第2電極17の封止基材19側の表面の凹凸形状における凸部の高さEが、凹凸層13における凸部の高さAの±20%以内であることを意味する。これにより、基板モードの光だけでなく、導波モードの光を取り出すことができ、有機EL素子の発光効率が向上する。
さらに、図1に示す、バリア層14の表面の凹凸形状における凸部の高さDが、凹凸層13における凸部の高さAの±20%以内である。同様に、バリア層14と第2電極17との間に形成される各層の表面の凸部の高さが、凹凸層13における凸部の高さAの±20%以内である。また、バリア層14の表面の凹凸形状における凸部の高さDは、凹凸層13における凸部の高さAの±10%以内であることが好ましい。
有機EL素子10において、凹凸層13の凸部の高さAが10nm以上1000nm以下であることが好ましい。また、凹凸層13の凸部のピッチが100nm以上2000nm以下であることが好ましい。さらに、バリア層14から第2電極17までの各層の表面の凸部の高さが、バリア層14の凸部の高さDの±20%以内であることが好ましい。バリア層14から第2電極17までの各層の表面の凸部のピッチが、バリア層14の凸部のピッチの±20%以内であることが好ましい。
凹凸層13の凹凸形状をバリア層14から第2電極17まで維持することができれば、第2電極17と他の層との界面での散乱が促され、導波モードの光を取り出すことができる。一方、凹凸層13の凹凸形状が上記範囲を超え、特に凹凸形状が放出される光の波長より大きくなると、基板モードの光しか取り出すことができない。従って、有機EL素子10の凹凸層13から第2電極17までが上記形状を有することにより、有機EL素子10の発光効率が向上する。
なお、凹凸層13において、厚さ、凸部の高さA、凹部における厚さB、凸部における厚さCは、有機EL素子10における凹凸層13の断面を観察することで求められる。具体的には、凹凸層13を任意の位置で、厚さ方向にクロスセクションポリッシャー、ファインカッター、FIB(Focused Ion Beam)等を用いて切断する。次に、SEM(Scanning Electron Microscope)やTEM(Transmission Electron Microscope)を用いて凹凸層13の断面プロファイルを撮影する。撮影後、任意の位置の凸部の高さA、凹部における厚さB、凸部における厚さCを100点以上測定し、その平均値から高さA、厚さB、及び、厚さCが求められる。さらに、凹部における厚さBと凸部における厚さCとの平均値から、凹凸層13の平均厚さが求められる。
また、バリア層14、第1電極15、発光ユニット16、及び、第2電極17の厚さ、及び、表面における凸部の高さも、上述の凹凸層13と同様に、断面を観察し、100点以上測定した値の平均値から求められる。
凸部のピッチとは、凹凸層13の表面において隣り合う凸部同士の間隔を測定した場合の平均値をいう。また、このような凸部のピッチは、上述の解析条件で走査型プローブ顕微鏡(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の製品名「E−sweep」等)を用いて表面の凹凸を解析して凹凸解析画像を測定した後、かかる凹凸解析画像中における、任意の隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔を100点以上測定し、その平均を求めることにより算出できる値である。
また、有機EL素子10は、凹凸層13上にバリア層14を有する。即ち、凹凸層13と発光ユニット16との間に、バリア層14が介在する構成である。このため、凹凸層13から発生するアウトガスを、バリア層14で遮断することができ、凹凸層13からのアウトガスによる発光ユニット16への悪影響を抑制することができる。さらに、凹凸層13が吸着する水分に対しても、バリア層14が遮断することができるため、発光ユニット16への水分による悪影響を抑制することができる。従って、凹凸層13と発光ユニット16との間に、バリア層14を有することにより、有機EL素子10の信頼性が向上する。
バリア層14は、凹凸層13の直上に形成され、凹凸層13とバリア層14とは直に接するように形成されている。なお、凹凸層13とバリア層14との間に他の層が設けられていてもよいが、この層も凹凸層13の凹凸構造を追従する形状に形成される。
以下、有機EL素子10の各構成について説明する。なお、以下の説明は、実施形態の有機EL素子を構成する一例であり、有機EL素子による作用効果を得ることができれば、他の構成を適用することも可能である。
また、図1に示す有機EL素子10は、発光ユニット16から放出される光を、基材11側から取出すボトムエミッション型の素子である。このため、第1電極15、凹凸層13、下地層12、及び、基材11が透明材料で構成され、第2電極17が反射率の高い金属膜等からなる導電層で構成されている。また、有機EL素子としては、上記ボトムエミッション型の有機EL素子以外にも、トップエミッション型の有機EL素子や両面発光型の有機EL素子とすることもできる。トップエミッション型の有機EL素子の場合には、図1に示す有機EL素子10において、封止基材19、粘着剤層18、及び、第2電極17が透明材料で構成され、第1電極15が反射率の高い金属膜等からなる導電層で構成される。また、両面発光型の有機EL素子の場合には、各層が透明材料で構成される。
有機EL素子10がトップエミッション型の場合においても、バリア層14から第2電極17までの各層が、凹凸層13の表面に形成される凹凸形状を追従する形状に形成されているため、封止基材19側から取出される光の取り出し効率も向上する。同様に、有機EL素子10が両面発光型であっても、光の取り出し効率が向上する。従って、トップエミッション型の有機EL素子10や両面発光型の有機EL素子10においても、凹凸層13を有することにより、発光効率が向上する。
[基材]
基材11を構成する基板材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂基板を挙げることができる。特に好ましい基材11としては、有機EL素子10にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂基板である。樹脂基板は、必要に応じてバリア層を有する構成であってもよい。
基材11として使用できる樹脂としては特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。また、基材11は、未延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよい。
基材11は透明性が高いと、有機EL素子10側からの光取り出し効率が向上しやすいため好ましい。透明とは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、80%以上であるとより好ましい。
[凹凸層]
凹凸層13は、基材11上に形成されている。また、図1に示すように、凹凸層13と基材11との間に下地層12を備え、下地層12上に直接凹凸層13が形成されていてもよい。凹凸層13は、表面にナノメートルオーダーの凹凸構造が形成された層であり、この凹凸構造が回折格子となって、光取り出し効率の向上させる機能を有する。また、凹凸層13がナノメートルオーダーの凹凸構造を有することにより、導波モードによる光取り出しが良好となる。
また、凹凸層13は、上述の凹凸構造の凹部における厚さBが、10nm以上2000nm以下である。また、凹凸層13は、凹部における厚さBが、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。さらに、凹凸層13の凸部の高さAが10nm以上1000nm以下であることが好ましく、凸部のピッチが100nm以上2000nm以下であることが好ましい。凹凸層13の凹凸構造が、上記範囲内であると、導波モードによる光取り出しが良好となる。
凹凸層13は、転写法、ポリマー膜のラビング、3Dプリンタを用いた直接射出成型等、どのように形成しても構わないが、ナノインプリント技術で形成されていることが好ましい。ナノインプリント技術を用いて凹凸層13の凹凸構造を形成するためには、凹凸層13を作製するための層に母型を押し当てて、母型の凹凸構造を転写する。このとき、上述の凹部における厚さBが小さすぎると、母型の形状を転写する際に、母型を押し当てる圧力分布等によっては、凸部に対して十分な量の材料が供給されず、凸部の形状が部分的に不均一になりやすい。この場合には、凹凸層13において凸部の形状の均一性が低下し、光学的な特性が悪化して光取り出し効率が低下してしまう。
また、上述の凹部における厚さBが無いと、母型が基材11側に当接してしまうため、基材11や下地層12等に傷、損傷、ダメージが発生する。この場合には、母型と基材11側とが当接することにより、母型自体にもダメージが入る。この場合には、母型の表面が損傷し、凹凸構造に変形等が発生する。この場合にも、母型の凹凸構造が転写された、凹凸層13の凹凸構造が設計からずれるため、光学的な特性が悪化し、光取り出し効率が低下してしまう。
さらに、ナノインプリント技術を用いる場合には、母型を転写する前の凹凸層13を形成するための層の膜厚の均一性を高めることが好ましい。母型を転写する前において、層の膜厚の均一性が高い方が、母型の転写によって形成する凸部の形状を均一化しやすい。膜厚の均一性を高めるためには、層にある程度の厚さを持たせる必要があり、層に十分な厚さを持たせることで凹凸層13の形状の均一性を達成しやすい。そして、形成前の層にある程度の厚さがあると、母型の凹凸構造を転写した後に、凹凸層13の凹部にも、ある程度の厚さが残存する。従って、凹凸層13の凹部における厚さBを、膜厚の均一性を高めることができる厚さに設計ですることで、凹凸層13の光学特性をより良好にし、光取り出し効率をさらに向上させることができる。
従って、ナノインプリント技術を用いて、光学的な特性が良好である凹凸層13を、生産性よく作製するためには、凹凸層13の凹部における厚さBに、ある程度の厚さがあることが好ましい。即ち、凹凸層13の凹部における厚さBが大きいほど、母型と基材11側との当接の可能性が低くなり、凹凸層13の凸部の形状安定性も高くなる。
しかし、凹凸層13において厚さBが大きくなると、凹凸層13の全体の厚さCが大きくなる。すなわち、凹凸層13を構成する材料の総量が増える。凹凸層13を構成する材料の総量が増えると、凹凸層13からのアウトガスの発生量が大きくなり、有機EL素子10上の信頼性に影響を与える可能性がある。このため、凹凸層13の体積が大きくなるほど、有機EL素子10上に形成する電子デバイスの信頼性が低下する可能性が高くなる。
このように、有機EL素子10上に形成する電子デバイスの信頼性を考慮すると、凹凸層13を構成する材料の総量を小さくする必要がある。ただし、凹凸層13において、凸部の高さAや凸部のピッチ等は、光学的な設計によって決められるため、設計自由度が低い。従って、凹凸層13を構成する材料の総量を小さくするために、光学特性に強い影響を与える凸部の形状を変更することは難しい。すなわち、凹凸層13から発生するアウトガスの量を減らすためには、光学的な影響が大きい凸部以外の部分の量を減らす必要がある。
上述のように、有機EL素子10上に形成する電子デバイスの信頼性の観点からは、凹凸層13の凹部における厚さBを可能な限り小さくすることが好ましい。凹部における厚さBが十分に小さく、又は、凹凸層13が厚さBを有さない場合には、凹凸層13からのアウトガスの発生量を十分に小さくすることができ、有機EL素子10上に形成する電子デバイスのアウトガスの影響による信頼性の低下を抑制することができる。
上述の観点から、ナノインプリント技術を用いて作製した凹凸層13を有する有機EL素子10においては、光取り出し効率を低下させることなく、アウトガスによる電子デバイスの信頼性の低下を抑制するために、凹凸層13の凹部の厚さBを最適化する必要がある。
有機EL素子10において、凹凸層13の形状安定性と生産性との低下を抑制するためには、凹部における厚さBを10nm以上とすることが好ましい。また、凹凸層13から発生するアウトガスの観点からは、凹凸層13の凹部における厚さBを2000nm以下とすることが好ましい。このように、凹凸層13の凹部における厚さBを、10nm以上2000nm以下とすることにより、凹凸層13の形状安定性と生産性、及び、有機EL素子10の信頼性の低下を十分に小さい範囲に抑えることができる。
また、凹凸層13は、凸部の高さAが10nm以上1000nm以下であることが好ましい。凹凸層13の凸部の高さは、主に光学的な設計から要求される値であるが、凸部の厚さAを上記の範囲内とすることにより、光学的な要求とアウトガスの発生量の抑制という課題との両立が可能となる。
また、凹凸層13の平均厚さは、2500nmを超えると、凹凸層13を構成する材料の総量が多くなりすぎるため、アウトガスによって有機EL素子10上に形成する電子デバイスの信頼性が低下する可能性がある。また、上述の通り、凹凸層13の凹部における厚さBを確保するためには、平均厚さが100nm以上である方が好ましい。このため、凹凸層13の平均厚さが、100nm以上2500nm以下であることが好ましい。
(材料)
凹凸層13を形成するための材料としては、ナノインプリント技術に適用可能な従来公知の材料を用いることができ、有機材料、無機材料、樹脂材料等のいずれも適用することができる。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型液晶樹脂等の樹脂材料等が挙げられる。また、透明無機層形成材料として、例えばゾルゲル法によって透明な無機層を形成する場合には、金属アルコキシド等の金属材料を含むゾル溶液が挙げられる。このように、凹凸層13は、上記樹脂材料が硬化された硬化樹脂層であっても、透明無機材料を利用して形成された無機層であってもよい。ナノインプリント技術による生産に好適なことから、樹脂材料を用いることが好ましい。
なお、凹凸層13は、ストライプ状の凹凸が一様に配置された一次元格子、錐形状や柱形状の凹凸が配置された2次元格子、及び、その他の凹凸構造を有する形状であれば、特に限定されない。例えば、凹凸層の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。凹凸層13としては、光取り出し効率の向上が可能な凹凸構造を有する構成であれば、有機EL素子10への適用が可能である。例えば、一般的な回折格子の構造を適用することができる。
凹凸層13は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層から放出される光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元凹凸層では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率が向上しにくい。一方、屈折率分布を二次元的な分布とすることにより、あらゆる方向に進む光が凹凸層13によって回折や散乱等の効果を受けるため、光の取り出し効率が向上しやすい。
[バリア層]
バリア層14は、凹凸層13と第1電極15との間に形成されている。バリア層14は、凹凸層13の表面の凹凸形状を追従するように形成されている。このため、バリア層14は、表面及び裏面(基材11側の面)に、それぞれ凹凸形状を有する。そして、バリア層14は、表面の凹凸形状における凸部の高さDが、凹凸層13における凸部の高さAの±20%以内である。また、より高い追従性を有することが光取り出し効率の観点から好ましいため、バリア層14は、表面の凹凸形状における凸部の高さDが、凹凸層13における凸部の高さAの±10%以内であることが好ましい。
また、バリア層14は、ドライプロセスにより形成された層であることが好ましい。ウェットプロセスを用いた場合には、塗布液によって凹凸層13の表面の凹凸形状が平坦化され、バリア層14の追従性が低下しやすいためである。さらに、ウェットプロセスに比べ、ドライプロセスにより形成された膜の方がアウトガスの発生が少なく、有機EL素子10の信頼性を低下させにくい。
バリア層14の厚さは特に制限されず、例えば、バリア性を考慮すると100nm以上とすることが好ましく、200nm以上とすることがさらに好ましい。また、凹凸形状の追従性や成膜性の観点から、厚さの上限としては1000nm以下とすることが好ましい。
また、バリア層14は、水蒸気透過度が0.1g/(m・24h)未満であることが好ましい。バリア層14の水蒸気透過度とは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された値である。バリア層14は、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.1g/(m・24h)未満であり、0.01g/(m・24h)以下であることが好ましく、0.001g/(m・24h)以下であることがより好ましい。
バリア層14は、ドライプロセスにより形成された、ケイ素化合物を主成分することが好ましい。バリア層14をドライプロセスにより形成されたケイ素化合物を主成分とすることにより、凹凸層13から放出されるアウトガスや水分等の透過を効率よく防止することができる。
バリア層14を構成するケイ素化合物としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化炭化ケイ素等が挙げられる。特に、バリア性の観点から、バリア層14は、ケイ素の窒化物を主成分とすることが好ましい。
バリア層14は、水蒸気透過度が小さく、低膜応力で緻密な膜を形成することができるドライプロセスであれば、いずれも好適に使用できる。例えば、ケイ素を原料とする真空蒸着法(抵抗加熱、EB法等)、ケイ素を含むターゲットを用いたマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法の他、有機ケイ素化合物や二酸化ケイ素等を原料とするプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いることができる。
また、バリア層14は、ドライプロセスの多段階成膜により、同じ組成又は異なる組成のケイ素化合物を主成分とする膜を組み合わせた、複合膜や積層膜が形成されていてもよい。このような複合膜、積層膜の場合は、その全体でバリア層14としての機能を発現すればよい。
[第1電極・第2電極]
有機EL素子10において第1電極15と第2電極17とは、いずれか一方が有機EL素子10の陽極となり、他方が陰極となる。また、図1に示す有機EL素子10では、第1電極15が透明導電材料により構成され、第2電極17が高反射導電材料により構成されている。なお、有機EL素子10がトップエミッション型の場合や両面発光型の場合には、第1電極15と第2電極17とが、それぞれ高反射材料又は透明導電材料により構成される。
第1電極15及び第2電極17は、体積抵抗率が10−5Ωcm以上1×10−3Ω・cm以下の導電材料を用いて形成される。体積抵抗率は、JIS K 7194−1994の導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法に準拠して測定されたシート抵抗と、膜厚を測定して求めることができる。膜厚は接触式表面形状測定器(例えばDECTAK)や光干渉表面形状測定器(例えばWYKO)を用いて測定できる。
第1電極15及び第2電極17を透明導電材料で形成する場合には、金や銀、アルミニウム等の金属薄膜や、光透過性を有する金属酸化物を用いて形成することができる。第1電極15及び第2電極17の形成方法としては、蒸着法やスパッタ法等のドライプロセス法を用いることができる。
上記透明導電材料として使用できる金属酸化物としては、導電性に優れる材料であれば、特に限定されない。第1電極15に使用できる金属酸化物としては、例えば、ATO(SbドープSnO)、AZO(AlドープZnO)、CeO、Ga、GZO(GaドープZnO)、ICO(インジウムセリウムオキサイド)、IGZO(インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物)、ITO(酸化インジウムスズ)、IWZO(酸化インジウム・酸化スズ)、IZO(酸化インジウム・酸化亜鉛)、LaTi、Nb、SnO、Ta、Ti、Ti、Ti、TiO、TiO、ZnO、ZnS、ZrO、及び、ZTO(亜鉛錫複合酸化物)等が挙げられる。透明導電材料としては、IZO、IGO、IWZOが好ましく、特に、IZOが好ましい。
また、透明導電材料として金属薄膜を用いる場合には、銀又は銀を主成分とする合金を用いることが好ましい。なお、主成分とは、構成する成分のうち構成比率が最も高い成分である。具体的には、透明導電材料を構成する全原子に対して、銀が60原子%(原子%)以上含まれることが好ましい。また、導電性の観点から銀が90原子%以上含まれることがより好ましく、97原子%以上含まれることがさらに好ましい。
第1電極15及び第2電極17を高反射導電材料で形成する場合には、反射率の高い材料を用いることが好ましく、Ag又はAgを主成分として含む合金を用いることが好ましい。また、例えば、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等を用いることもできる。
[発光ユニット]
発光ユニット16は、少なくとも有機化合物を含む発光層を有して構成される発光体である。また、発光ユニット16は、発光層とともに、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される。発光ユニット16は、第1電極15と第2電極17とからなる一対の電極の間に挟持され、各電極から供給される正孔(ホール)と電子とが発光層内で再結合することで発光する。なお、有機EL素子は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい。
有機EL素子10において、発光ユニット16の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、第1電極15がアノード(陽極)として機能し、第2電極17がカソード(陰極)として機能する場合、発光ユニット16は、第1電極15側から順に[正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層]が積層された構成が例示される。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット16のうち、例えば、電子注入層は無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニット16は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである第2電極17も、必要に応じた積層構造であってもよい。また、有機EL素子10は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット16が複数積層された、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
[下地層]
有機EL素子10において、下地層12は必要に応じて設けられる。下地層12は、基材11と凹凸層13との間に配置され、凹凸層13が下地層12上に直に接して設けられている。ナノインプリント技術を用いて上述の凹凸層13の凹凸構造を作製するためには、凹凸構造を形成する層の膜厚を極力均一であることが好ましい。また、凹凸層13からのアウトガスの発生量を極力少なくするためには、凹凸層13を形成するための層を薄くすることが好ましい。このため、凹凸層13を形成するための層を薄く形成しても膜厚の均一性を高めることが可能となるように、凹凸層13を形成する材料と親和性の高い下地層12を設けることが好ましい。
下地層12を構成する材料としては、凹凸層13を形成する材料と親和性の高い層を形成できれば、特に限定はない。例えば、凹凸層13を形成するための層を塗布法で作製する場合には、塗布液に対して親和性の高いケイ素含有化合物を含む組成の材料を用いることが好ましい。
下地層12に適用可能なケイ素含有化合物としては、組成や構造に制限はない。また、ケイ素含有化合物を用いた下地層12の形成方法にも、特に制限はない。例えば、シリカ等の無機化合物による層を真空蒸着やCVD法により形成する方法や、以下に示すケイ素含有ポリマー改質層を形成する方法が適用できる。特に、塗布液との親和性や生産性の観点から、ケイ素含有ポリマー改質層が好ましい。
(ケイ素含有ポリマー改質層)
下地層12に適用されるケイ素含有ポリマー改質層は、繰り返し構造中にケイ素と酸素(Si−O)、ケイ素と窒素(Si−N)等の結合を有するケイ素含有ポリマーの改質処理によって形成される。なお、ケイ素含有ポリマーは改質処理によってシリカ等に転化するが、ケイ素含有ポリマー改質層の全てのケイ素含有ポリマーが改質する必要はなく、少なくとも一部、例えば紫外線照射面側のケイ素含有ポリマーが改質されていればよい。
ケイ素含有ポリマー改質層の厚さは、目的に応じて適宜設定することができるが、一般的には、10nm〜10μmの範囲内とすることができる。
ケイ素含有ポリマーの具体例としては、繰り返し構造中に、Si−O結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N結合を有するポリシラザン、Si−O結合とSi−N結合の両方を含むポリシロキサザン等が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用することができる。また、異なる種類のケイ素含有ポリマーの層を積層することもできる。
ポリシロキサンは、繰り返し構造中に、[−RaSiO1/2−]、[−RbSiO−]、[−RcSiO3/2−]、[−SiO−]等を含む。Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立に、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基(例えばフェニル基、不飽和アルキル基)等の置換基を表す。
ポリシルセスキオキサンは、上記ポリシロキサンのなかでもシルセスキオキサンと同じ構造を繰り返し構造中に含む化合物である。シルセスキオキサンは、上記[−RcSiO3/2−]で表される構造を有する化合物である。
ポリシラザンの構造は、下記一般式(A)で表すことができる。
[−Si(R)(R)−N(R)−] ・・・一般式(A)
上記一般式(A)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
低温でセラミック化するポリシラザンの他の例としては、上記一般式(A)で表される単位からなる主骨格を有するポリシラザンに、ケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報参照)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報参照)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報参照)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報参照)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報参照)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報参照)等が挙げられる。
ケイ素含有ポリマー改質層は、上述したケイ素含有ポリマーを含有する塗布液を用いて塗膜を形成し、当該塗膜に改質処理を施すことにより形成することができる。
塗膜の形成方法としては、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、インクジェット法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布液としては、ポリシラザンを有機溶媒中に溶解させた市販品を使用することができる。使用できる市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のアクアミカNAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
形成した塗膜には、塗膜中の有機溶媒を除去する観点から、加熱による乾燥処理を施すことが好ましい。加熱時の温度は、50〜200℃の範囲内とすることが好ましい。加熱時間は、基材11の変形等を防ぐため、短時間に設定することが好ましい。例えば、ガラス転移温度が70℃のポリエチレンテレフタレートを基材11に用いる場合、乾燥処理時の温度は樹脂フィルムの変形を防止するため、150℃以下に設定することができる。
また、形成した塗膜に、塗膜中の水分を取り除く観点から、低湿度環境に維持して除湿する乾燥処理を施すこともできる。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により決定することができる。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−8℃(温度25℃/湿度10%)以下、さらに好ましい露点温度は−31℃(温度25℃/湿度1%)以下である。水分を取り除きやすくするため、減圧乾燥してもよい。減圧乾燥における圧力は常圧〜0.1MPaの範囲内で選ぶことができる。
塗膜の改質処理の方法としては、基材11へのダメージが少ない公知の方法を使用することができ、低温処理が可能なプラズマ処理、オゾン処理、紫外線又は真空紫外線の照射処理等を用いることができる。なかでも、真空紫外線の照射処理は、ケイ素含有ポリマー改質層の形成から遷移金属酸化物層の形成までに、環境に起因するバリア性の低下が発生しにくいため、好ましい。
なお、下地層12としては、ドライプロセスによるケイ素化合物を用いてもよい。ドライプロセスによるケイ素化合物としては、上述のバリア層14と同様の構成を用いることができる。ドライプロセスによるケイ素化合物においても、凹凸層13を形成する材料と親和性の高くなるように、厚さや組成を調整することが好ましい。
[粘着剤層]
粘着剤層18は、封止基材19を基材11や第2電極17に固定するとともに、発光ユニット16を封止するためのシール剤として用いられる。粘着剤層18としては、従来公知の有機EL素子の封止に用いられる樹脂を適用することができる。
粘着剤層18の塗布は、市販のディスペンサーを用いてスクリーン印刷のように封止基材19に印刷してもよい。なお、発光ユニット16を構成する有機化合物は、熱処理により劣化する場合がある。このため、粘着剤層18は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、粘着剤層18中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
[封止基材]
封止基材19は、有機EL素子10を封止するために、粘着剤層18の上面を覆う板状の部材であって、粘着剤層18によって基材11側に固定されている。また、封止基材19は、板状に限られずフィルム状等の形態であってもよい。
封止基材19としては、従来公知の有機EL素子の封止に用いられる基材を適用することができる。例えば、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられる。また、これらの材料を薄型化して、フィルム状の封止基材19を用いてもよい。特に、素子を薄膜化に有利なため、封止基材19としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にして使用することが好ましい。また、封止基材19を凹板状に加工して用いてもよい。この場合、上述した封止基材19の材料に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工を施し、封止基材19に凹状の構造を形成する。
さらに、封止基材19は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
〈2.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法〉
次に、上述の図1に示す有機EL素子10の製造方法について説明する。
有機EL素子10の製造方法は、基材11上に下地層12を形成する工程、下地層12上に凹凸層形成材料を含む塗布膜を形成する工程、及び、凹凸層形成材料を含む塗布膜に母型の凹凸構造を転写して凹凸層13を形成する工程を含む。また、凹凸層13上にバリア層14を形成する工程と、バリア層14上に第1電極15を形成する工程とを含む。さらに、第1電極15上に発光ユニット16を形成する工程、及び、発光ユニット16上に第2電極17を形成する工程を含む。ここで、バリア層14を形成する工程から第2電極17を形成する工程は、各層の表面が凹凸層13の凹凸構造を追従するように形成する。さらに、第2電極17上に粘着剤層18を介して封止基材19を貼り合せる封止工程を含んでいてもよい。以下、有機EL素子10を製造するための各工程について説明する。
[下地層を形成する工程]
まず、基材11上に、下地層12を形成する。下地層12として、例えば、ケイ素含有ポリマー改質層を基材11上に形成する。ケイ素含有ポリマー改質層は、例えば、下記の方法により、パーヒドロポリシラザンを含む液を塗布した後、パーヒドロポリシラザンを改質して下地層を形成する。
まず、ケイ素含有化合物として、パーヒドロポリシラザンを含む溶液を調製する。そして、調製した溶液を、ロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、インクジェット法、グラビア印刷法等を用いて、基材11上に塗布する。塗膜形成後、塗膜中の有機溶媒を除去するために、形成した塗膜を50〜200℃に加熱して乾燥処理を行なう。
さらに、乾燥後の塗膜に対し、例えば、真空紫外線照射処理を行い、塗膜の改質処理を行なう。真空紫外線照射処理は、例えば、Xeエキシマランプを用いて、1mW/cm〜10W/cmの照度、0.1〜10.0J/cmの照射エネルギー量で、0.1秒〜10分間、真空紫外線の照射を行なう。
[母型の作製]
母型には、凸部の高さが10nm以上100nm以下となる表面形状(凹凸形状)を形成することが好ましい。また、母型には、凸部のピッチが100nm以上2000nm以下の表面形状を形成することが好ましい。微細凹凸構造を有する母型は、例えば、レジストに光描画(マスク露光、縮小投影露光、干渉露光等)、電子線描画、X線描画等の手法を用いて潜像を形成した後、現像により凹凸パターンを形成することで作製することができる。特に、大面積の凹凸構造を有する母型を生産性よく作製する方法としては、2光束干渉露光等の光描画手法が優れている。また、母型の凹凸構造は、レジストで形成した凹凸構造から電鋳技術で形成してもよく、レジストをマスクとして用いたエッチングにより、シリコン、石英ガラス、金属等に形状を転写して形成してもよい。また、母型には、離型剤が塗布されていてもよい。
(具体的な母型作製方法:レーザー干渉露光方式)
紫外線レーザー(波長266nm)を使用して、法線方向に対する傾き35度で液浸2光束干渉露光を行い、レジストに干渉縞を形成する。レーザー光源としては「コヒーレント社製MBD266」を用いることができる。レジスト材料としては、露光部分にレジストが残存するネガ型レジスト、例えば、「東京応化製TDUR−009P」を使用することができる。液浸露光光学系としては、ビーム直径80mm、露光エリア以外をマスクして未露光部とする。
次に、レジストを現像した後、ドライエッチングで石英ガラス(70mm角、厚み1.2mm)に描画サイズ50mm角の微細な凹凸構造を形成する。そして、1000mm角の樹脂基板(アクリル樹脂、厚み1mm)の全面に、ナノインプリント(熱インプリント)技術を用いて、石英ガラスの凹凸構造をステップ&リピートで転写する。樹脂基板をNi電鋳することで、母型(ニッケルモールド、1000mm角、厚み1mm)を作製することができる。
(フィルム状の母型)
また、母型として後述するロールツーロール方式による凹凸層13の製造に適用可能な、フィルム状の母型や、このフィルム状の母型がロールの外面に取付けられたインプリントロールを作製してもよい。
フィルム状の母型は、例えば、長尺で可撓性のあるシリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリアリレート等のフィルムを用いて、このフィルムの表面に凹凸構造を形成する。凹凸構造は、フィルムに直に接して形成してもよく、フィルム上に設けられた光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の被覆材料に形成してもよい。
具体的には、例えば、ロールに巻き付けられているフィルムを下流側に繰り出し、ダイコータ等を用いてフィルム上に被覆材料を塗布する。そして、フィルム上に塗布した被覆材料に、所定の凹凸構造が表面に形成された転写ロールの外周面を押し付け、転写ロールの外周面の凹凸パターンを塗膜に転写する。このとき、紫外線等のエネルギー線や、加熱等を行い、凹凸パターンが転写された被覆材料を硬化する。最後に、硬化した凹凸構造を有する被覆材料から転写ロールを引き離し、巻き取りロールでフィルムを巻き取ることにより、フィルム状の母型を作製する。また、必要に応じてフィルム状の母型の凹凸面にめっきを施してもよい。めっきとしては、無電解めっき法及び電解めっき法が適用できる。
[凹凸層形成材料を含む塗布膜を形成する工程]
凹凸層13を作製する方法は特に限定されず、例えば、国際公開2011/007878号、特開平11−283751号公報、特開2013−109932号公報、特開2013−157340号公報、特開2008−290330号公報、特開2013−219334号公報等に記載の方法を適用できる。特に、可撓性フィルムを用いた有機EL素子10の製造において、生産性が向上することから、特開2008−290330号公報、特開2013−219334号公報等に記載された、ロールツーロール方式による凹凸層13の製造方法を適用することが好ましい。
図2〜図4に、凹凸層13を形成するための工程図の一例を示す。凹凸層13の製造方法は、基材11上に凹凸層13を形成するための材料(凹凸層形成材料)を塗布する工程、凹凸層形成用の母型を押し付けつつ凹凸層形成材料を硬化させる工程、及び、母型を離型する工程を有する。
(液状組成物の調整)
まず、上述の凹凸層形成材料を、溶媒に溶解又は分散させて、凹凸層形成材料を含む液状組成物を調製する。凹凸層形成材料としては、上述の樹脂材料や透明無機材料を使用することができる。また、溶媒としては、炭素数1〜4程度の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類等を選択することができる。
(凹凸層形成材料の塗布)
次に、図2に示すように、基材11上に、凹凸層形成材料を含む液状組成物を塗布し、凹凸層形成材料を含む塗布膜13Aを形成する。このとき、凹凸層形成材料を含む塗布膜13Aは、少なくとも、作製した母型20の凸部の厚さ以上の厚さで形成する。より具体的には、母型の凹凸構造を考慮して、平均厚さが100nm以上2500nm以下となる厚さに塗布膜13Aを形成する。
液状組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、バーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法等の塗布方法を用いることができる。凹凸層形成材料の液状組成物は、凹凸寸法に応じて粘度、分子量、作製した母型20に対する濡れ性等の条件を適切に選ぶ必要がある。凹凸構造が微細な場合には、粘度が低く、分子量も低い方が母型20の凹凸構造に液が入りやすい。また、母型20との濡れ性がよい方が望ましい。
また、インクジェット方式を用いて母型20上に塗布する場合には、液状組成物をインクジェットヘッドに充填し、ノズルから吐出して母型20の表面の必要な部分に塗布する。インクジェット方式には、圧電体素子を用いたピエゾ型インクジェット方式、又は、気泡ジェット方式等を用いることができ、数mPa・s〜100mPa・s程度までの幅広い粘度の塗布液を吐出できるため、特にピエゾ型インクジェット方式を用いることが好ましい。
(母型との貼合)
次に、図3に示すように、塗布した凹凸層形成材料が硬化する前に、未硬化の状態の凹凸層形成材料を含む塗布膜13Aに、母型20を貼合押し当てる。そして、母型20と塗布膜13Aとが貼合された状態で凹凸層形成材料を硬化する。これにより、母型20の凹凸構造が転写された凹凸層13を基材11上に形成する。
凹凸層形成材料の硬化には、凹凸層形成材料の加熱、又は、凹凸層形成材料への紫外線や電子線等の活性線の照射を行なう。このとき、塗布液中の溶媒の揮発や乾燥処理等は室温で行ってもよい。また、乾燥及び硬化を加速する為に、ある一定温度の環境下で温風に曝してもよい。ただし、ある一定温度以上に昇温すると、基材11及び凹凸層形成材料を含む塗布膜13Aの変形や、乾燥過程での気泡の発生等の不都合が生じる。
(離型)
次に、図4に示すように、形成した凹凸層13から母型20を離型する。母型20の離型は、凹凸層形成材料が自らの形状を保てる程度に硬化した段階で行なう。離型が速すぎると離型時に成形した凹凸層形成材料の凹凸構造が崩れやすい。また、形状が崩れない程度の硬化状態になった後、速やかに離型することが好ましい。
(ロールツーロール方式)
上述のフィルム状の母型を用いて、ロールツーロール方式で凹凸層13を形成する場合には、上述の凹凸層形成材料の塗布、母型20との貼合、及び、離型を、一連のロールツーロール装置内で行なう。例えば、ロールから基材11を繰り出し、この基材11上又は下地層12上に、凹凸層形成材料を含む液状組成物を塗布して塗布膜13Aを形成する。液状組成物の塗布方法としては、上述の塗布法からロールツーロールに適用可能な方法を選択することができる。
そして、凹凸層形成材料を含む塗布膜13Aに、フィルム状の母型20、又は、母型20を有するインプリントロールを押し当てて、凹凸構造を転写する。例えば、押圧ロールと基材11との間に、フィルム状の母型20を送り込み、押圧ロールによって母型20を塗布膜13Aに押し当てた状態で、基材11とフィルム状の母型20とを同時に搬送する。或いは、塗布膜13Aにインプリントロールを押し当てた状態のまま、基材11をインプリントロールの表面に沿って一定の距離で搬送する。
さらに、塗布膜13Aに母型20を押し当てた状態で、エネルギー線の照射や加熱を行い、凹凸層形成材料を硬化する。熱硬化樹脂やゾルゲル法等の加熱によって凹凸層形成材料を硬化させる場合には、加熱ロールを用いて凹凸層形成材料を加熱してもよい。その後、基材11を搬送することで硬化した凹凸層形成材料から母型20を剥離し、凹凸層13を作製することができる。
なお、搬送速度は、0.05〜40m/分程度とすることが好ましく、1〜20m/分であることがより好ましい。移送速度が0.05m/分以上であれば、充分な生産性を確保できる。一方、移送速度が40m/分以下であれば、フィルム状の母型やインプリントロールによる転写時間を充分に確保でき、凹凸層形成材料の表面を充分に塑性変形できる。
[バリア層を形成する工程]
バリア層14は、上述のドライプロセスを用いてケイ素化合物を含む層を形成する。バリア層14を形成するドライプロセスの一例として、有機ケイ素化合物を用いたプラズマCVD法について説明する。プラズマCVD法によるバリア層14の形成では、有機ケイ素化合物の反応生成物からケイ素化合物を形成する。
(ドライプロセスによる成膜)
プラズマCVD法に用いる有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。中でも、成膜での取扱い及び得られるバリア層14のバリア性等の特性の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
例えば、プラズマCVD法を用いて、ヘキサメチルジシロキサンの反応生成物からなるバリア層14を成膜する場合、原料ガスとして、ヘキサメチルジシロキサンのモル量(流量)に対する反応ガスとしての酸素のモル量(流量)を、化学量論比である12倍量以下(より好ましくは、10倍以下)とすることが好ましい。このような比で、ヘキサメチルジシロキサンと酸素とを供給することにより、完全に酸化されないヘキサメチルジシロキサン中の炭素原子や水素原子がバリア層14中に取り込まれる。このため、得られるバリア層14に優れたバリア性や、耐屈曲性を持たせることができる。成膜ガス中の酸素のモル量の下限は、ヘキサメチルジシロキサンのモル量の0.1倍以上とすることが好ましく、0.5倍以上とすることがより好ましい。
また、ドライプロセスを用いた成膜においては、導入ガス以外の微量のガスが存在するため、量論どおりの成分になることは稀である。具体的には、Siが量論代表値であるが、実際の膜にはある程度の比率の幅が存在しており、これらを含めてSiNとして取り扱う。上記の原子数比は、従来公知の方法で求めることが可能であるが、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いた分析装置等で測定することできる。
[第1電極を形成する工程]
バリア層14上に第1電極15を形成する方法は、特に限定されない。例えば、上述の金属酸化物や、金属薄膜を形成する場合には、上述の材料を用いて真空蒸着法又はスパッタ法により形成することができる。真空蒸着法又はスパッタ法であれば、高温環境に基材11を曝すことなく、平面性の高い第1電極15を、極めて早く形成することができる。
適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が挙げられる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
スパッタ法には、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を用いることができる。
真空蒸着法又はスパッタ法であれば、平面性の高い第1電極15を極めて速い速度で形成することができる。また、凹凸層13上に第1電極15を成膜する際、金属酸化物を用いて第1電極15を形成する場合には、形成速度が0.3nm/秒以上であることが好ましい。第1電極15の形成速度は、0.5〜30nm/秒の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは1.0〜15nm/秒の範囲内である。また、成膜時の温度は、−25〜25℃の範囲内であることが好ましい。成膜開始前の到達真空度は、3×10−3Pa以下が好ましく、7×10−4Pa以下がより好ましい。
[発光ユニットを形成する工程]
次に、第1電極15上に、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に成膜し、発光ユニット16を形成する。これらの各層の成膜方法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが好ましい。
[第2電極を形成する工程]
次に、発光ユニット16上に第2電極17を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって形成する。この際、第2電極17は、発光ユニット16によって第1電極15に対して絶縁状態を保ちつつ、発光ユニット16の上方から基材11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。
[封止工程]
次に、基材11上において、第1電極15の取り出し電極及び第2電極17の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット16を覆うように、粘着剤層18及び封止基材19で封止する。まず、封止基材19の一方の面に、粘着剤層18を形成するための樹脂層を設け、樹脂付き封止基材19を準備する。そして、樹脂付き封止基材19の樹脂層側が基材11、第1電極15、発光ユニット16、及び、第2電極17の側面と上面とを覆うように、樹脂付き封止基材19を貼り合せる。貼り合せた後、加熱等によって樹脂層を硬化して粘着剤層18を形成する。
以上の工程により、粘着剤層18及び封止基材19で封止した有機EL素子10を作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈試料101の有機EL素子の作製〉
[基材]
基材として、両面にクリアハードコート層を有する透明の樹脂基材、きもと社製のクリアハードコート層(CHC)付ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルム(クリアハードコート層はアクリル樹脂を主成分としたUV硬化樹脂より構成され、PETの厚さが125μm)を準備した。
[第1電極の作製]
次に、上記基材上に、第1電極として非晶質ITO膜を、300nmの厚さで作製した。ITO膜は、市販のITOターゲットと、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置とを用い、Ar:20sccm、O:1sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:1000W、ターゲット−基板距離:86mmの条件で、RFスパッタにて作製した。さらに、スパッタ成膜中に基材を100℃に加熱して結晶質ITO膜を作製した。ITO膜の厚さは150nmであった。
[発光ユニットの作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、発光ユニットの各層の構成材料をそれぞれ有機EL素子の作製に最適の量で充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン、タングステン等の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
発光ユニットの各層の構成材料としては、下記化合物α−NPD、BD−1、GD−1、RD−1、H−1、H−2及びE−1を用いた。
Figure 2017221681
最初に、真空度1×10−4Paまで減圧し、化合物α−NPDが充填された蒸着用るつぼを通電して加熱し、0.1nm/秒の蒸着速度で第1電極上に蒸着し、層厚40nmの正孔注入輸送層を形成した。
同様にして、化合物BD−1及びH−1を、化合物BD−1の濃度が5%になるように0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着し、層厚15nmの青色を呈する蛍光発光層を形成した。
次に、化合物GD−1、RD−1及びH−2を、化合物GD−1の濃度が17%、化合物RD−1の濃度が0.8%になるように、0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着し、層厚15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。
[第2電極の作製]
さらに、フッ化リチウム(LiF)を層厚1.5nm、アルミニウムを層厚110nm蒸着して第2電極(陰極)を形成した。第2電極は、発光ユニットによって絶縁された状態で、基板の周縁に端子部分が引き出された形状に形成した。
なお、各層の形成には蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの基板のうち、中央に位置する4.5cm×4.5cmの領域を発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。
[封止]
(粘着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂としてオパノールB50(BASF製、Mw:34万)100質量部、ポリブテン樹脂として日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤としてTINUVIN765(チバ・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体としてEastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)50質量部をトルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の粘着剤組成物を調製した。
(封止用粘着シートの作製)
バリア層として、アルミニウム(Al)が蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム アルペット12/34(アジアアルミ社製)を用い、調製した上記粘着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される粘着剤層の層厚が20μmとなるようにアルミニウム側(バリア層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて粘着剤層を形成した。次に、形成した粘着剤層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼合して、封止用粘着シートを作製した。
(封止)
窒素雰囲気下において、上述の方法で作製した封止用粘着シートから剥離シートを除去し、120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥した後、室温(25℃)まで低下するのを確認してから、陰極を完全に覆う形で封止用粘着シートをラミネートし、90℃で10分加熱した。このようにして試料101の有機EL素子を作製した。
〈試料102の有機EL素子の作製〉
下記の方法を用いて第1電極を非晶質ITOで作製した以外は、上述の試料101の有機EL素子と同様の方法で、試料102の有機EL素子を作製した。
[第1電極の作製]
上記基材上に、第1電極として非晶質ITO膜を、300nmの厚さで作製した。非晶質ITO膜は、市販のITOターゲットと、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置とを用い、Ar:20sccm、O:1sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:1000W、ターゲット−基板距離:86mmの条件で、RFスパッタにて作製した。
〈試料103の有機EL素子の作製〉
下記の方法を用いて第1電極をIZOで作製した以外は、上述の試料101の有機EL素子と同様の方法で、試料103の有機EL素子を作製した。
[第1電極の作製]
上記基材上に、第1電極としてIZO膜を、300nmの厚さで作製した。IZO膜は、市販のIZOターゲットと、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置とを用い、Ar:20sccm、O:1sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:1000W、ターゲット−基板距離:86mmの条件で、RFスパッタにて作製した。
〈試料104の有機EL素子の作製〉
下記の方法を用いて第1電極をAZOで作製した以外は、上述の試料101の有機EL素子と同様の方法で、試料104の有機EL素子を作製した。
[第1電極の作製]
上記基材上に、第1電極としてAZO(Al−ZnO)膜を、300nmの厚さで作製した。AZO膜は、市販のAZOターゲットと、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置とを用い、Ar:20sccm、O:1sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:1000W、ターゲット−基板距離:86mmの条件で、RFスパッタにて作製した。
〈試料105の有機EL素子の作製〉
基材上に下記の方法で下地層を作製した後、この下地層上に下記の方法で凹凸層を形成した。さらに、凹凸層上に下記の方法でバリア層を作製した後に、バリア層上に第1電極を形成した以外は、上述の試料103の有機EL素子と同様の方法で、試料105の有機EL素子を作製した。
[下地層]
パーヒドロポリシラザン(PHPS)(アクアミカ NN120−10、無触媒タイプ、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)の10質量%ジブチルエーテル溶液に、アミン触媒としてN,N−ジエチルエタノールアミンを添加して塗布液とした。N,N−ジエチルエタノールアミンの添加量は塗布液に対して1.0質量%とした。
上記塗布液を、ワイヤーバーにて、乾燥後の(平均)層厚が300nmとなるように基材上に塗布し、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下に1分間保持して乾燥させ、更に温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持する除湿処理を行い、ポリシラザン層を形成した。
次に、上記形成したポリシラザン層に対し、下記紫外線照射装置及び改質処理条件を用いて、大気圧下でシリカ転化処理を実施し、酸窒化ケイ素化合物膜を得た。
(紫外線照射装置)
装置:エム・ディ・コム社製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
稼動ステージ上に固定したポリシラザン層を形成した基板に対して、以下の条件で改質処理を行った。
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
[凹凸層]
下地層上に、フッ素系UV硬化性樹脂(旭硝子社製の商品名「NIF」)を所定の乾燥膜厚となるように塗布した。次に、フッ素系UV硬化性樹脂の塗膜の表面に、凹部の深さが50nmの凹凸構造を有する母型を押し付けながら、紫外線を600mJ/cmの条件で照射して、フッ素系UV硬化性樹脂を硬化させた。これにより、凸部の高さAが50nm、平均厚さ50nmの凹凸層を作製した。
[バリア層の作製]
マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製、SPF−730H)のチャンバー内に、凹凸層まで作製した基材を装着した。次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内を、油回転ポンプ及びクライオポンプにより、到達真空度3.0×10−4Paまで減圧した。ターゲットとしてSiを使用し、アルゴンガス7sccm、及び、窒素ガス26sccmを導入し、周波数13.56MHzの高周波電力(投入電力1.2kW)を印加し、ガス圧力0.4Paで、膜厚500nmのケイ素化合物(SiN)膜の成膜を行った。
〈試料106、試料107の有機EL素子の作製〉
凹凸層の作製において、フッ素系UV硬化性樹脂(旭硝子社製の商品名「NIF」)の塗布厚さを変えて、凸部の高さAを変えずに平均厚さを下記表1に示す厚さに変更した以外は、上述の試料105の有機EL素子と同様の方法で、試料116、試料107の有機EL素子を作製した。
〈試料108の有機EL素子の作製〉
下記の方法を用いてバリア層をZTO(亜鉛錫複合酸化物)で作製した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料108の有機EL素子を作製した。
[バリア層の作製]
凹凸層まで作製した基材上に、市販のZTOターゲットと、アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置とを用い、Ar:20sccm、O:1sccm、スパッタ圧:0.25Pa、室温下、ターゲット側電力:1000W、ターゲット−基板距離:86mmの条件で、ZTO膜を500nmの厚さで作製した。ZTO膜は、RFスパッタにて作製した。
〈試料109の有機EL素子の作製〉
上述の試料101と同様の方法を用いて第1電極を結晶質ITOで作製した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料109の有機EL素子を作製した。
〈試料110の有機EL素子の作製〉
上述の試料102と同様の方法を用いて第1電極を非晶質ITOで作製した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料110の有機EL素子を作製した。
〈試料111の有機EL素子の作製〉
上述の試料104と同様の方法を用いて第1電極をAZOで作製した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料111の有機EL素子を作製した。
〈試料112〜117の有機EL素子の作製〉
凹凸層の作製において、フッ素系UV硬化性樹脂(旭硝子社製の商品名「NIF」)の塗布厚さを変えて、凸部の高さAを変えずに平均厚さを下記表1に示す厚さに変更した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料112〜117の有機EL素子を作製した。
〈試料118の有機EL素子の作製〉
バリア層として、上述の下地層の作製と同様の方法を用いてパーヒドロポリシラザン(PHPS)から酸窒化ケイ素化合物膜を作製した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料118の有機EL素子を作製した。
〈試料119の有機EL素子の作製〉
下記の方法を用いてバリア層の替わりにα−NPDからなる有機層を作製した以外は、上述の試料107の有機EL素子と同様の方法で、試料119の有機EL素子を作製した。
[有機層の作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、α−NPDを充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン、タングステン等の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。装置内を真空度1×10−4Paまで減圧し、化合物α−NPDが充填された蒸着用るつぼを通電して加熱し、0.1nm/秒の蒸着速度で凹凸層上に蒸着し、層厚40nmのバリア層を形成した。
〈評価〉
作製した試料101〜119の有機EL素子に対して、下記の方法で評価を行った。
[厚さ、追従性]
凹凸層を作製した試料105〜119を、FIBを用いて切断し、TEMを用いて切断面の形状を観察し、凹凸層、バリア層、第1電極、発光ユニット、及び、第2電極の断面プロファイルを撮影した。撮影後、任意の位置において、凹凸層の凸部の高さA、凹部における厚さB、凸部における厚さCを100点以上測定し、その平均値から凹凸層の凸部の高さA、凹凸層の凹部における厚さB、凹凸層の凸部における厚さCを求めた。さらに、凹凸層の凹部における厚さBと、凹凸層の凸部における厚さCとの平均値から、凹凸層の平均厚さを求めた
また、凹凸層と同様に、バリア層の凹部における厚さと凸部における厚さとを任意の位置で100点以上測定し、その平均値からバリア層の平均厚さを求めた。
さらに、バリア層、及び、第2電極において、バリア層の凸部の高さDと第2電極の凸部の高さEとを任意の位置で100点以上測定し、その平均値からバリア層の凸部の高さDと第2電極の凸部の高さEを求めた。そして、上記の方法で求めたれた凹凸層の凸部の高さAと、バリア層の凸部の高さD、及び、第2電極の凸部の高さEとを比較し、バリア層、及び、第2電極の表面の追従性[(バリア層の凸部の高さD−凹凸層の凸部の高さA)/(凹凸層の凸部の高さA)]×100(%)、[(第2電極の凸部の高さE−凹凸層の凸部の高さA)/(凹凸層の凸部の高さA)]×100(%)を求めた。
[保存性:バリア層のCa法評価]
作製した試料105〜119のバリア層について、下記の方法でCa法評価試料(透過濃度により評価するタイプ)を作製した。そして、作製した各評価試料を25±0.5℃90±2%RH環境に保存して、一定時間ごとにCaの腐食率を観察した。1時間、5時間、10時間、20時間、それ以降は20時間毎に観察及び透過濃度測定(任意4点の平均)を行い、測定した透過濃度が透過濃度初期値の50%未満となった時点の観察時間を有機EL素子の保存性の指標とし、下記の基準で評価した。
5:400時間以上
4:300時間以上400時間未満
3:200時間以上300時間未満
2:100時間以上200時間未満
1:100時間未満
(Ca法評価試料)
各試料105〜119の作製において、バリア層まで作製した状態の試料を準備した。そして、各試料のバリア層の表面をUV洗浄した後、バリア層面に封止樹脂層として熱硬化型のシート状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで貼合した。これを50mm×50mmのサイズに打ち抜いた後、グローブボックス内に入れて、24時間乾燥処理を行った。
次に、50mm×50mmサイズの無アルカリガラス板(厚さ0.7mm)の片面をUV洗浄した。そして、エイエルエステクノロジー社製の真空蒸着装置を用い、ガラス板の中央に、マスクを介して20mm×20mmのサイズでCaを蒸着した。Caの厚さは80nmとした。さらに、Ca蒸着済のガラス板をグローブボックス内に移し、バリア性フィルムの封止樹脂層面と、ガラス板のCa蒸着面とを接するように配置し、真空ラミネートにより接着した。この際、110℃の加熱を行った。さらに、接着した試料を110℃に設定したホットプレート上にガラス板を下にして置き、30分間硬化させて、Ca法評価用セルを作製した。
[発光効率]
作製した各試料101〜119の各試料に対し、室温(25℃)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて、各試料の発光輝度を測定し、当該電流値における発光効率(L)を求めた。
なお、発光効率は、試料101の有機EL素子の光取り出し効率を基準とし、試料101の発光効率を100とする相対値で表している。
[保存性]
(保存性試験)
各試料101〜119の有機EL素子を、曲率が6mmφのプラスチック製ローラーに、有機EL素子形成面が外側になるように巻き付けた状態で、85℃、85%RHの環境下で、500時間保存した。
(発光効率の変化)
その後、保存後の試料に対して上記と同じ方法で発光効率を求め、保存前と保存後での発光効率の差(ΔL)を求め、保存前を100%とする相対値で評価した。
(駆動電圧の変化)
さらに、保存前と保存後の各試料の有機EL素子において、樹脂基材側での正面輝度が1000cd/mとなるときの電圧を駆動電圧(V)をとして測定した。そして、保存前との駆動電圧の差(ΔV)を求めた。なお、輝度の測定には分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。
(ダークスポット)
保存後の各試料の有機EL素子に、1mA/cmの電流を印加して発光させた。次に、100倍の光学顕微鏡(モリテックス社製 MS−804、レンズMP−ZE25−200)で、有機EL素子の発光部の一部分を拡大して撮影した。次に、撮影画像を2mm四方に切り抜き、それぞれの画像について、ダークスポット発生の有無を観察した。観察結果より、発光面積に対するダークスポットの発生面積比率を求め、下記の基準に従って、ダークスポット耐性を評価した。
5:ダークスポットの発生は全く認められない
4:ダークスポットの発生面積が、0.1%以上、1.0%未満である
3:ダークスポットの発生面積が、1.0%以上、3.0%未満である
2:ダークスポットの発生面積が、3.0%以上、6.0%未満である
1:ダークスポットの発生面積が、6.0%以上である
表1に、各試料の有機EL素子について、凹凸層、バリア層、及び、第1電極の構成と、各試料の保存性、発光効率、及び、安定性の評価結果とを示す。
Figure 2017221681
表1に示すように、凹凸層を有する試料105〜119は試料118を除き、凹凸層を有していない試料101〜104よりも、発光効率が向上している。試料118は、凹凸層上に塗布法でバリア層が形成されているため、凹凸層による凹凸形状が平坦化されている。即ち、バリア層よりも上の層の表面は、凹凸層の表面の凹凸構造を追従する形状に形成されていない。従って、有機EL素子は、凹凸層を有し、さらに、凹凸層の表面の凹凸構造をバリア層よりも上の層が追従することにより、発光層から放出される光の取り出し効率が向上し、発光効率が向上する。
一方、上述の発光効率が向上している試料106〜117、試料119の有機EL素子において、α−NPDからなる有機層を形成した試料119は、バリア層を有する試料107〜117よりも保存性試験後の発光効率の低下が大きく、駆動電圧の上昇も大きく、ダークスポットの発生も大きい。これは、α−NPDのような有機層単独では、十分なバリア性能が得られず、有機EL素子に凹凸層からのアウトガスや水分等による損傷が発生することを示している。このため、試料107〜117のようにケイ素化合物を用いて凹凸層上にバリア層を形成することにより、凹凸層からのアウトガスや水分を遮断することができ、有機EL素子の信頼性が向上する。
第1電極を構成する材料のみが異なる試料107及び試料109〜111を比較すると、第1電極にIZOを用いた試料107の発光効率が最も高く、また、保存後の各評価も高い。従って、バリア層上の第1電極を、IZOを用いて形成することにより、有機EL素子の発光効率と信頼性とを、より向上させることができる。
また、凹凸層の平均厚さのみが異なる試料105〜107及び試料112〜117を比較すると、平均厚さが2000nmの試料107の発光効率が最も高く、平均厚さが1500nmの試料113の発光効率が次に高い。また、試料107及び試料113は、保存後の各評価も高い。また、凹凸層の平均厚さが50nmの試料105では、凹凸層の平均厚さが100nmの試料117よりも発光効率の評価が大幅に低下している。さらに、平均厚さが3000nmの試料106においても、平均厚さが2500nmの試料112よりも、発光効率や保存後の各評価が大きく低下している。
従って、凹凸層の平均厚さを、100nm以上2500nm以下とすることにより、有機EL素子の発光効率と信頼性とを両立させることができる。
なお、試料107と同様の構成の有機EL素子において、凹凸層の凸部の高さを10nm未満、又は、凹凸層の凸部の高さを100nmより大きくして作製した有機EL素子では、十分な効率向上が見込めなかった。また、凹凸層の凸部のピッチを100nm未満、又は、凹凸層の凸部のピッチを1000nmよりも大きくした有機EL素子においても、十分な効率向上が見込めなかった。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10・・・有機EL素子、11・・・基材、12・・・下地層、13・・・凹凸層、13A・・・塗布膜、14・・・バリア層、15・・・第1電極、16・・・発光ユニット、17・・・第2電極、18・・・粘着剤層、19・・・封止基材、20・・・母型

Claims (12)

  1. 基材と、
    表面に凹凸構造を有し、平均厚さが100nm以上2500nm以下である凹凸層と、
    前記凹凸層上に形成されたバリア層と、
    前記バリア層上に設けられた第1電極と、
    前記第1電極上に設けられた発光ユニットと、
    前記発光ユニット上に設けられた第2電極と、を備え、
    前記バリア層の表面と前記第2電極の表面とが、前記凹凸層の凹凸構造を追従する形状を有する
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記凹凸層の凸部の高さが10nm以上1000nm以下である請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記凹凸層の凸部のピッチが100nm以上2000nm以下である請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記凹凸層が、有機物で形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記基材と前記凹凸層との間に、前記凹凸層に接する下地層を有する請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記バリア層がケイ素化合物を含有する請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記バリア層は水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.001g/(m・24h)以下である請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記第1電極、及び、前記第2電極の少なくともいずれか一方が、IZOで形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記第1電極、及び、前記第2電極の少なくともいずれか一方が、銀を主成分として含む請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 基材上に、凹凸層形成材料を含む塗布膜を形成する工程と、
    前記塗布膜に、母型の凹凸構造を転写し、平均厚さが100nm以上2500nm以下の凹凸層を形成する工程と、
    前記凹凸層上に、バリア層を形成する工程と、
    前記バリア層上に、第1電極を形成する工程と、
    前記第1電極上に、発光ユニットを形成する工程と、
    前記発光ユニット上に、第2電極を形成する工程と、を有し、
    前記バリア層から前記第2電極までを、前記凹凸層の凹凸構造を追従する形状に形成する、
    有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記バリア層をドライプロセスで形成する請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  12. 基材上に、下地層を形成する工程と、前記下地層上に、前記凹凸層形成材料を含む塗布膜を形成する工程と、を有する請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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