JPWO2017217201A1 - 透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

粒子としてアスペクト比が2以下の球状粒子を80%以上含み、光散乱層の厚さが粒子の平均粒子径よりも大きく、光散乱層の厚さ方向の中心より樹脂基材側の領域の粒子の粒子存在率が、厚さ方向の中心より透明導電膜側の領域の粒子の粒子存在率よりも大きい光散乱層を備える有機EL素子を構成し、発光効率と信頼性との向上が可能な有機EL素子を提供する。

Description

本発明は、光散乱層を備える透明導電部材、及び、この透明導電部材を備える有機エレクトロルミネッセンス素子に係わる。
樹脂フィルム上に導電性物質を用いて形成された導電層を備える透明導電部材は、ディスプレイや照明パネル等に用いられる有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)素子、太陽電池、電子ペーパー等の薄型の電子デバイスの透明電極として広く用いられている。特に、大面積の電子デバイス、例えば照明用の有機EL素子や発電用の太陽電池等は、高い発光効率又は発電効率が求められるため、低抵抗の透明導電部材が望まれている。
低抵抗の透明導電部材としては、例えば、インクジェット法に適用するための金属粒子と溶媒とを含む金属インク組成物を用いて細線パターンを印刷した後、この細線パターンを焼成して作製した金属細線を備える構成が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
また、透明導電部材を適用した有機EL素子等の発光効率を高めるために、基材と導電層との間に、光散乱粒子とバインダとからなる光散乱層を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この構成では、光散乱層を有することにより、導電層と基板との界面での反射が低減し、光取り出し効率が向上する。
特開2007−332347号公報 特開2010−198935号公報 特開2009−76452号公報
しかしながら、光散乱粒子とバインダとからなる光散乱層上に、上述の金属インク組成物を用いて金属インク組成物のパターンを形成し、この金属インク組成物のパターンを焼成して金属細線を形成すると、焼成の際に急激に加熱された溶媒の蒸発による飛散とともに、パターン中の金属粒子も飛散し、金属細線の表面に凹凸、断線、消失(アブレーション)の欠陥が生じる。従って、従来の光散乱層上に金属細線を形成する場合には、金属細線のパターン不良が発生するため、透明導電部材や有機EL素子において、十分な信頼性が得られない。
上述した問題の解決のため、本発明においては、光取り出し効率と信頼性との向上が可能な透明導電部材、及び、発光効率と信頼性との向上が可能な有機EL素子を提供する。
本発明の透明導電部材は、樹脂基材と、樹脂基材上に形成された粒子とバインダとを含む光散乱層と、光散乱層上に形成された金属細線と、金属細線を覆って形成された透明導電膜とを備える。そして、光散乱層は、粒子としてアスペクト比が2以下の球状粒子を80%以上含み、光散乱層の厚さが粒子の平均粒子径よりも大きく、光散乱層において、厚さ方向の中心より樹脂基材側の領域の粒子存在率が、厚さ方向の中心より透明導電膜側の領域の粒子存在率よりも大きい。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記透明導電部材上に、発光ユニットと第2電極とを備える。
本発明によれば、光取り出し効率と信頼性との向上が可能な透明導電部材、及び、発光効率と信頼性との向上が可能な有機EL素子を提供することができる。
透明導電部材の概略構成を示す図である。 透明導電部材の変形例の概略構成を示す図である。 有機EL素子の概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明導電部材
2.透明導電部材の変形例
3.透明導電部材の製造方法
4.有機エレクトロルミネッセンス素子
5.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
〈1.透明導電部材〉
以下、透明導電部材の実施の形態について説明する。
図1に、本実施の形態の透明導電部材の概略構成を示す。図1に示す透明導電部材10は、樹脂基材11と、樹脂基材11上に設けられた光散乱層15と、光散乱層15上に設けられた導電層12とを備える。光散乱層15は、粒子16とバインダ17とを含んで構成されている。導電層12は、光散乱層15上に形成された金属細線13と、この金属細線13上を覆って設けられた透明導電膜14とから構成されている。
透明導電部材10は、全光線透過率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。全光線透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。全光線透過率が低いと光が素子の外に出にくくなり、輝度が低下することになる。また、透明導電部材10の導電層の電気抵抗値としては、大面積の有機電子デバイスに用いるためには、表面比抵抗は100Ω/sq.以下であることが好ましく、10Ω/sq.以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257等に準拠して測定することができ、市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
[光散乱層]
透明導電部材10において、光散乱層15に含まれる粒子16には、アスペクト比が2以下の球状粒子が80%以上含まれる。そして、光散乱層15の厚さは、粒子16の粒子径よりも大きい。このように、粒子16としてアスペクト比2以下の球状粒子を80%以上含み、光散乱層15の厚さが粒子16の粒子径よりも大きいことにより、光散乱層15において粒子16が光散乱層15の樹脂基材11側の領域に偏在されやすくなる。粒子16を樹脂基材11側の領域に偏在させる方法としては、例えば、液濃度を通常の塗布濃度より希釈し、希釈分だけ厚く塗布する手段を用いることができる。そうすることにより、塗布直後から塗膜の乾燥が終了するまでの時間を調節することができ、粒子16が樹脂基材11側に沈み込みやすくなるため、粒子16の樹脂基材11側の粒子16の存在率(偏在率)を調整することができる。
このように、球状の粒子16を樹脂基材11側の領域に偏在させることにより、図1に示すように、光散乱層15において粒子16が、バインダ17の導電層12側の表面よりも上(導電層12側)に突出しないように、光散乱層15を構成しやすい。従って、粒子16の突出による光散乱層15の表面の凹凸の発生を抑制し、光散乱層15の表面の平坦性を高めることができる。光散乱層15は、表面粗さはRaが小さいほどよく、好ましい表面粗さとしては、算術平均粗さRaが10nm以下であり、より好ましくはRaが5nm以下である。
光散乱層15の表面の平坦性を高めることにより、光散乱層15の直上に金属細線が形成されている場合にも、金属インク組成物のパターンを焼成して金属細線を形成する際のアブレーションを防止することができる。従って、光散乱層15上に平坦化層等の他の構成を設ける必要がなく、金属細線のパターン不良の発生による、透明導電部材10の信頼性の低下を抑制することができる。
なお、光散乱層15にける粒子16の偏在とは、光散乱層15のバインダが形成されている厚さにおいて、この厚さ方向の中心から光散乱層15を透明導電膜14側と樹脂基材11側との両側に分けたとき、透明導電膜14側と樹脂基材11側で、粒子16の体積比率が異なっている状態とする。透明導電部材10は、光散乱層15において、厚さ方向の中心より樹脂基材11側の領域の粒子16の粒子存在率が、厚さ方向の中心より透明導電膜14側の領域の粒子16の粒子存在率よりも大きい。樹脂基材11側の粒子存在率の算出法は、光散乱層15の断面を作製し、厚さ方向の中心より樹脂基材11側の領域と透明導電膜14側の領域との各々の領域において、任意の5カ所を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影し、光散乱層15の厚さと粒子の断面積から算出することができる。
光散乱層15の樹脂基材11側の粒子存在率は、50%を超えることが好ましい。さらに、光散乱層15の樹脂基材11側の粒子存在率は、65%以上であることが好ましく、70%以上であることが好ましい。光散乱層15の樹脂基材11側の粒子存在率が高くなるほど、光取り出しが向上しやすく、アブレーションも起こりにくくなる。
以下、バインダ、粒子の屈折率は、633nmの波長での測定値である。
バインダ17は、波長633nmの光における屈折率nbが1.50以上2.00未満であることが好ましい。バインダ17の屈折率nbとは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層15中の粒子16の役割として、導波光の散乱機能が挙げられる。導波光の散乱機能の向上には、粒子16による散乱性を向上させる必要がある。散乱性を向上させるためには、粒子16とバインダ17との屈折率差を大きくする、層厚を厚くする、及び、粒子密度を大きくする等の方法が考えられる。この中で最も他の性能への悪影響が小さい方法が、粒子16とバインダ17との屈折率差を大きくすることである。
バインダ17の屈折率nbと、含有される粒子16の屈折率npとの屈折率差|nb−np|は、0.2以上1.0以下であることが好ましい。特に好ましくは0.3以上である。バインダ17と粒子16との屈折率差|nb−np|が0.2以上であれば、バインダ17と粒子16との界面で散乱効果が発生する。屈折率差|nb−np|が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上する。
屈折率差|nb−np|を発生させるためには、粒子16の屈折率npをバインダ17の屈折率nbよりも小さくするか、又は、粒子16の屈折率npをバインダ17の屈折率nbよりも大きくする。なお、粒子16の屈折率npとは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも小さい場合には、粒子16として、屈折率npが1.5未満の低屈折率粒子を用いることが好ましい。そして、バインダ17として、屈折率nbが1.6以上の高屈折率バインダを用いることが好ましい。また、粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも大きい場合には、粒子16として、屈折率npが1.7以上3.0以下の高屈折率粒子を用いることが好ましい。そして、バインダ17として、屈折率nbが粒子16の屈折率npより0.2以上小さい屈折率のバインダを用いることが好ましい。
光散乱層15は、上記のように、バインダ17と粒子16との屈折率の差により光を拡散させる作用を有する。このため、粒子16は、他の層への悪影響が少なく、光を散乱する特性が高いことが求められる。
光散乱層15の層厚は、散乱を生じるための光路長を確保するためにある程度厚い必要があるが、一方で吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。このため、光散乱層15の厚さは、250nm以上1000nm以下であることが好ましい。
なお、光散乱層15における散乱とは、光散乱層15の単層でのヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が20%以上を示す状態を表す。光散乱層15の単層でのヘイズ値は、より好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上である。ヘイズ値が20%以上であれば、光散乱性(光取り出し効率)を向上させることができる。
[粒子]
上述のように、光散乱層15には粒子16として、アスペクト比が2以下の球状粒子が80%以上含まれる。このアスペクト比が2以下の球状粒子は、平均粒子径が200〜500nmであることが好ましく、200〜450nmであることがより好ましく、250〜400nm未満であることがさらに好ましい。
ここでいうアスペクト比とは、粒子16の長軸長と短軸長の比のことである。例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)でランダムに粒子16を撮影して画像を得て、その画像から粒子16の長軸長と短軸長を求めて計算することができる。粒子を倍率10万倍で撮影し、その画像から粒子100個分のアスペクト比を確認し、比率を求める。
光散乱層15においては、例えば、粒子16の平均粒子径やアスペクト比を調整することにより、散乱性を向上させることができる。具体的には、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒子を用いることが好ましい。一方、粒子16を基材11側に偏在させ、光散乱層15の表面を平坦化するためには、平均粒子径を光散乱層15の厚さよりも小さくする必要がある。
粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。粒子を倍率10万倍で撮影し、その画像から粒子の長軸の長さを測定する。粒子100個分の平均をとったものを粒子の平均粒子径とする。
粒子16としては、特に制限はなく、上述の低屈折率粒子及び高屈折率粒子のいずれにおいても、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、低屈折率粒子、高屈折率粒子として、有機微粒子や、無機微粒子を用いることができる。
粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも小さい構成の光散乱層15においては、低屈折率粒子として、例えば、アクリル樹脂(1.49)、PTFE(1.35)、PFA(1.35)、SiO(1.46)、フッ化マグネシウム(1.38)、フッ化リチウム(1.392)、フッ化カルシウム(1.399)、シリコーンゴム(1.40)、フッ化ビニリデン(1.42)、シリコーン樹脂(1.43)、ポリプロピレン(1.48)、ウレタン(1.49)が挙げられる。なお、括弧内は各材料からなる粒子の代表的な屈折率を示している。
粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも大きい構成の光散乱層15においては、高屈折率粒子として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
また、高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、SiO、ZrSiO、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、ZnO、SnOが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため光散乱層15や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
粒子16は、光散乱層15に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施して用いるか、或いは、表面処理を施さずに用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。なお、表面処理を行った場合は、表面処理部分も粒子体積に含める。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量は、0.01〜99質量%であることが好ましい。当該範囲内とすることで、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができる。一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。
また、光散乱層15において、上述の粒子16とバインダ17との体積比率(以降PB比という)は、5vol%以上40vol%以下であることが好ましい。体積比率(PB比)は、光散乱層15の全体体積中におけるバインダ17の体積と粒子16の体積の比率[粒子の体積/(粒子の体積+バインダの体積)]である。PB比を5vol%以上とすることにより、光散乱層15における光取り出しが向上しやすい。より好ましくは10vol%以上、さらに好ましくは20vol%以上である。またPB比が40vol%以下だと、樹脂基材11側の粒子存在率を大きくしやすくなり、光散乱層15の表面の平坦性が向上しやすくなる。すなわち、粒子16の体積比率を上記範囲とすることにより、粒子16の過剰による光散乱層15の表面からの粒子16の突出を抑制することができるとともに、光散乱効率、光取り出し効率を高めることができる。
また、光散乱層15の厚さ方向の中心よりも樹脂基材11の領域における粒子16の粒子存在率は、50vol%以上であることが好ましく、60vol%以上であることがより好ましく、70vol%以上であることが特に好ましい。
これにより、バインダ17の導電層12側の表面よりも上(導電層12側)に突出しないように、光散乱層15を構成することができる。従って、粒子16の突出による光散乱層15の表面の凹凸の発生を抑制し、光散乱層15の表面の平坦性を高めることができる。さらに、光散乱層15において、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
[バインダ]
光散乱層15のバインダ17としては、粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも小さい構成、及び、粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも大きい構成のいずれにおいても、公知のバインダを特に制限なく使用できる。また、バインダは、複数種類を混合して使用することもできる。
光散乱層15において、粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも小さい構成に適用する高屈折率バインダとしては、屈折率nbが1.6以上のバインダを用いることが好ましい。例えば、リオデュラスTYZシリーズ、リオデュラスTYTシリーズ(東洋インキ社製)、ZrO微粒子入り樹脂塗料(Pixelligent Technologies社製)、URシリーズ(日産化学社製)、オルガチックスシリーズ(マツモトファインケミカル社製)、PIUVOシリーズ(ケーエスエム社製)、アクリル系樹脂シリーズ、エポキシ系樹脂シリーズ(NTTアドバンステクノロジ社製)、ヒタロイドシリーズ(日立化成社製)等を用いることができる。
また、粒子16の屈折率npがバインダ17の屈折率nbよりも大きい構成の光散乱層15においては、バインダとしては、屈折率nbが粒子16の屈折率npより0.2以上小さい屈折率のバインダとし、且つ出来るだけ高屈折率のバインダを用いるのが良く、前述の高屈折率バインダを用いることができる。
これは、低屈折バインダの場合、導電層12側から来た光が侵入角度によっては低屈折率バインダ内に進むことができず、反射されてしまうためである。
また、光散乱層15のバインダ17としては、無機材料、又は、金属の酸化物、窒化物若しくは酸化窒化物を、特定の雰囲気下で紫外線照射によって形成することが可能な化合物を用いることもできる。このような化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。
(ポリシロキサン)
光散乱層15で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としてのRSiO1/2、RSiO、RSiO3/2及びSiOを含む。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基例えば、メチル、エチル、プロピル等、アリール基例えば、フェニル等、及び不飽和アルキル基例えば、ビニル等からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例としては、PhSiO3/2、MeSiO3/2、HSiO3/2、MePhSiO、PhSiO、PhViSiO、ViSiO3/2、MeHSiO、MeViSiO、MeSiO、MeSiO1/2等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。なお、Viはビニル基を表す。
(ポリシルセスキオキサン)
光散乱層15においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、RSiO3/2で表される化合物であり、通常、RSiXで表され。Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基(アラルキル基ともいう)等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である。
ポリシルセスキオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造、籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠型構造のケイ素−酸素結合が一部切断された部分開裂構造体等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーとしては、HSi(OH)(OR)z/2で表されるヒドリドシロキサンポリマーが挙げられる。各々のRは、有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成する。x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ビニル基等)が挙げられる。これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2、あるいは部分的にのみ加水分解され(すなわち、一部のSi−ORを含む)及び/又は部分的に縮合される(すなわち、一部のSi−OHを含む)ことができる。
(ポリシラザン)
光散乱層15で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO(x=0.1〜1.9、y=0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
光散乱層15に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(1)で表されるポリシラザンを用いることができる。
Figure 2017217201
式中、R、R及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
得られる光散乱層15の膜としての緻密性の観点からは、一般式(1)のR、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20等が挙げられる。
バインダ17として、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることができるが、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射を用いることができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が使用できる。
(エキシマランプを有する真空紫外線照射装置)
紫外線照射装置としては、例えば、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電等によりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリア放電ランプが挙げられる。
誘電体バリア放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリア放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリア放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリア放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
[導電層]
透明導電部材10において、樹脂基材11の一方の面上において、金属を含む細線である金属細線13でパターンが形成されている。金属細線13は、樹脂基材11の一方の面上において開口部を有する所定のパターンに形成されている。樹脂基材11上で金属細線13が形成されていない部分が開口部(透光性窓部)となる。金属細線13の細線パターンの形状は特に制限はない。例えば、ストライプ状のパターンや、格子状のパターン、又は、ランダムな網目状等とすることができる。金属細線13は、光散乱層15に直に接するように形成されている。また、金属細線13と光散乱層15との間には他の層が形成されていてもよい。
そして、金属細線13上において、面方向に連続した層として透明導電膜14が形成されている。金属細線13上を被覆して透明導電膜14を形成することにより、低抵抗かつ均一な面抵抗を有する導電層12を形成することができる。透明導電膜14は、金属細線13の形成部分を除き、光散乱層15に直に接するように形成されている。また、透明導電膜14と光散乱層15との間には他の層が形成されていてもよい。
[導電層:金属細線]
導電層12を構成する金属細線13は、金属を主成分とし、導電性を得ることができる程度の金属の含有比率で形成されている。金属細線中の金属の比率は、好ましくは50質量%以上である。
また、透明な基板を用いる場合、開口部が占める割合、すなわち開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。例えば、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。
金属細線13の線幅は、好ましくは10〜200μmの範囲内であり、更に好ましくは10〜100μmの範囲内である。金属細線13の線幅が10μm以上で所望の導電性が得られ、また、200μm以下とすることで透明導電部材の透明性が向上する。
ストライプ状、格子状のパターンにおいて、金属細線の間隔は、0.5〜4mmの範囲内であることが好ましい。
金属細線13の高さ(厚さ)は、0.1〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。金属細線13の高さが0.1μm以上で所望の導電性が得られやすい。また、5.0μm以下とすることで、有機電子デバイスに用いる場合に、その凹凸差が機能層の層厚分布に与える影響を軽減できる。
(金属インク組成物)
金属細線13の形成は、金属又は金属の形成材料が配合された金属インク組成物を調製し、塗布した後、乾燥処理や焼成処理等の後処理を適宜選択して行うことが好ましい。
金属インク組成物に配合される金属(単体金属又は合金)としては、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤ状等)であることが好ましく、金属ナノ粒子であることがより好ましい。また、金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じる、金属の形成材料から形成されていることが好ましい。金属インク組成物中の金属及び金属の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
金属ナノ粒子に使用される金属としては、例えば、金、銀、銅及び白金等の金属あるいは、これらを主成分とした合金等が挙げられる。これらの中でも、光の反射率に優れ、得られる有機電子デバイスの発光効率をより一層向上できる観点から、金及び銀が好ましい。これらの金属または合金は、いずれか1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
金属インク組成物としては、金属ナノ粒子の表面を保護剤で被覆し、溶媒に安定して独立分散させた構成の金属コロイドや金属ナノ粒子分散液であることが好ましい。
金属インク組成物における金属ナノ粒子の平均粒子径としては、原子スケールから1000nm以下のものが好ましく適用できる。特に、金属ナノ粒子は、平均粒子径が3〜300nmの範囲内であるものが好ましく、5〜100nmの範囲内であるものがより好ましく用いられる。特に、平均粒子径3〜100nmの範囲内の銀ナノ粒子が好ましい。また、金属ナノワイヤとは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである銀ワイヤが好ましい。
ここで、金属ナノ粒子及び金属コロイドの平均粒子径、金属細線の幅は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて、上記分散体中の金属ナノ粒子の粒子径、金属ナノワイヤの幅を測定して求めることができる。例えば、TEMの画像で観察される粒子のうち、重なっていない独立した300個の金属ナノ粒子の粒子径を計測して、平均粒子径を算出することができる。
金属コロイドにおいて、金属ナノ粒子の表面を被覆する保護剤を用いる場合は、有機π接合配位子が好ましい。金属ナノ粒子に有機π共役系配位子がπ接合することにより、金属コロイドに導電性が付与される。
上記有機π接合配位子としては、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体及びポルフィリン誘導体からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が好ましい。
また、上記有機π接合配位子としては、金属ナノ粒子への配位や、分散媒中での分散性を向上させるために、置換基としてアミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ホスフィン基、ホスフォン酸基、スルフォン酸基、ハロゲン基、セレノール基、スルフィド基、セレノエーテル基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、及び、これらの塩から選ばれる少なくとも1種の置換基を有することが好ましい。
また、有機π接合配位子として、国際公開第2011/114713号パンフレットに記載の有機π共役系配位子を用いることができる。
上記有機π接合配位子の具体的な化合物としては、下記のOTAN、OTAP、及び、OCANから選ばれる1種または2種以上が好ましい。
OTAN: 2,3,11,12,20,21,29,30−オクタキス[(2−N,N−ジメチルアミノエチル)チオ]ナフタロシアニン
OTAP: 2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス[(2−N,N−ジメチルアミノエチル)チオ]フタロシアニン
OCAN:2,3,11,12,20,21,29,30−ナフタロシアニンオクタカルボン酸
有機π接合配位子を含有する金属ナノ粒子分散液の調製方法としては、液相還元法があげられる。また、本実施形態の有機π接合配位子の製造及び有機π接合配位子を含有する金属ナノ粒子分散液の調製は、国際公開第2011/114713号の段落[0039]〜[0060]に記載の方法に準じて行なうことができる。
金属コロイドの平均粒子径は、通常は3nm以上500nm以下であり、好ましくは5nm以上50nm以下である。金属コロイドの平均粒子径が上記範囲内であると、粒子間の融着が起こり易くなり、得られる金属細線13の導電性を向上させることができる。
金属ナノ粒子分散液において、金属ナノ粒子の表面を被覆する保護剤を用いる場合は、200℃以下の低い温度にて配位子がはずれる保護剤を用いることが好ましい。これにより、低温又は低エネルギーにより、保護剤がはずれ、金属ナノ粒子の融着がおき、導電性を付与できる。
具体的には特開2013−142173公報、特開2012−162767号公報、特開2014−139343号公報、特許第5606439号などに記載の金属ナノ粒子分散液が例として挙げられる。
金属銀の形成材料としては、[AgX]で表される銀化合物と、アンモニウムカルバメート系化合物とを反応させて作製された有機銀錯体化合物を用いることが好ましい。[AgX]において、nは1〜4の整数であり、Xは酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフルオロボレート、アセチルアセトネート、及び、カルボキシレートで構成された群から選択される置換基である。
上記銀化合物としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、及び、シュウ酸銀透等を挙げることができる。銀化合物としては、酸化銀や炭酸銀を使用することが反応性や後処理面で好ましい。
アンモニウムカルバメート系化合物としては、例えば、アンモニウムカルバメート、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリウムモルホリンカルバメート、ピリジニュムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート等を挙げることができる。上記アンモニウムカルバメート系化合物のうち、1次アミン置換されたアルキルアンモニウムアルキルカルバメートは、反応性及び安定性面で2次または3次アミンより優れるため好ましい。
上記有機銀錯体化合物は、特開2011−48795号公報に記載の方法により作製することができる。例えば、上記銀化合物の1種以上と、上記アンモニウムカルバメート系化合物の1種以上とを、窒素雰囲気の常圧または加圧状態で、溶媒を使用せずに直接反応させることができる。また、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒等の溶媒を使用して反応させることができる。
有機銀錯体化合物の構造は[Ag(A)]で表すことができる。なお、[Ag(A)]において、Aは上記アンモニウムカルバメート系化合物であり、mは0.7〜2.5である。
上記有機銀錯体化合物は、メタノールのようなアルコール類、エチルアセテートのようなエステル類、テトラヒドロフランのようなエーテル類溶媒等、有機銀錯体化合物の製造に用いられる溶媒を含む多様な溶媒によく溶ける。このため、有機銀錯体化合物は、金属インク組成物として、塗布やプリンティング工程に容易に適用可能である。
また、金属銀の形成材料としては、式[−COOAg]で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。カルボン酸銀は、式[−COOAg]で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式[−COOAg]で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式[−COOAg]で表される基の位置も特に限定されない。
カルボン酸銀としては、特開2015−66695号公報に記載のβ−ケトカルボン酸銀、及び、カルボン酸銀(4)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。なお、金属銀の形成材料としては、β−ケトカルボン酸銀及びカルボン酸銀(4)だけではなく、これらを包括する、式[−COOAg]で表される基を有するカルボン酸銀を用いることができる。
また、金属インク組成物に金属の形成材料として上記カルボン酸銀を含む場合、カルボン酸銀と共に、炭素数25以下のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩、アンモニア、並びにアミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物が配合されていることが好ましい。
アミン化合物としては、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基[−NH]を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
[導電層:透明導電膜]
導電層12を構成する透明導電膜14は、金属細線13の表面を覆うように光散乱層15の面上に設けられている。透明導電膜14は、透明導電部材10において電気を導通させるための導電性材料を含む層である。透明導電膜14としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属薄膜や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO(インジウム・ガリウム酸化物)、IWZO(インジウム・タングステン・亜鉛酸化物)、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(Gaドープ酸化亜鉛)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、FTO(Fドープ酸化スズ)、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO等の導電性無機化合物層が挙げられる。これら化合物は結晶性でも非結晶性でもよい。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電部材10を作製可能な材料を用いてもよい。また、導電性ポリマーを使用してもよく、例えばポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられる。透明導電膜14には、これらの導電性材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
透明導電膜14の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が利用できる。この透明導電膜14の形成方法としては、例えば、ドライプロセスによるCVD法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等が利用できる。
透明導電膜14は、体積抵抗率が1×10Ω・cmより低い導電性の金属酸化物を用いて形成されていることが好ましい。体積抵抗率は、JIS K 7194−1994の導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法に準拠して測定されたシート抵抗と、膜厚を測定して求めることができる。膜厚は接触式表面形状測定器(例えばDECTAK)や光干渉表面形状測定器(例えばWYKO)を用いて測定できる。
透明導電膜14は、透明導電部材10の導電層12を構成する観点から、シート抵抗が10000Ω/sq.以下であることが好ましく、2000Ω/sq.以下であることがより好ましい。
透明導電膜14の厚さは、金属薄膜を用いる場合には、5nm〜15nm範囲内とすることが好ましい。また、金属酸化物や導電性無機化合物を用いる場合には、10〜500nmの範囲内にすることができる。導電性を高める観点からは、厚さが100〜500nmの範囲内であることが好ましい。表面の平滑性を高める観点からは、厚さが50nm以上であることが好ましい。
透明導電膜14において、厚さを大きくした場合にも、高い透明性を確保できる材料としては、上述の材料のなかでも金属酸化物を選択することが好ましい。また、透明導電膜14を150nm程度設けると、上述の金属及びITOでは透明性を確保することが困難である。このため、透明導電膜14には、IZO、AZO、GZO、ATO、ZnO、SnO、FTOを用いることが好ましい。
特に、透明導電膜14に使用できる金属酸化物としては、IZO、IGO、IWZOが好ましい。なかでも、IZOとしては、重量比In:ZnO=80〜95:5〜20で表される組成が好ましい。IGOとしては、重量比In:Ga=70〜95:5〜30で表される組成が好ましい。IWZOとしては、重量比In:WO:ZnO=95〜99.8:0.1〜2.5:0.1〜2.5で表される組成が好ましい。
透明導電膜14は、算術平均粗さRaが5nm以下であることが好ましい。さらに、Raが3nm以下であることが好ましい。なお、算術平均粗さRaは、例えば原子間力顕微鏡(Digital Instruments社製)を用いて測定する。
[樹脂基材]
樹脂基材11は、高い光透過性を有していれば、特に制限はない。例えば樹脂基板、樹脂フィルム等が好適に挙げられるが、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
樹脂基材11として使用できる樹脂としては特に制限はなく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
また、樹脂基材11は、未延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよい。
樹脂基材11は透明性が高いと、透明導電部材10を電子デバイスの透明電極として使用することができるため好ましい。透明性が高いとは、JIS K 7361−1:1997(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、80%以上であるとより好ましい。
樹脂基材11は、樹脂基材11上に形成される光散乱層15との密着性を高めるため、表面活性化処理が施されていてもよい。また、耐衝撃性を高めるため、ハードコート層が設けられていてもよい。表面活性化処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等が挙げられる。ハードコート層の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等が挙げられ、なかでも紫外線硬化型樹脂を好ましく使用できる。光散乱層15は単層でもよいが、多層構造であると密着性がより向上する。
〈2.透明導電部材の変形例〉
次に、上述の実施形態において説明した透明導電部材の変形例について説明する。
図2に透明導電部材の変形例の概略構成を示す。図2に示す透明導電部材10Aは、樹脂基材11と、樹脂基材11上に設けられた光散乱層15と、光散乱層15上に設けられたアブレーション防止層18と、アブレーション防止層18上に設けられた導電層12とを備える。この構成の透明導電部材10Aは、アブレーション防止層18を有することのみが上述の実施形態の透明導電部材と異なり、他の構成については上述の実施形態の透明導電部材と同様の構成である。従って、以下の説明では、アブレーション防止層18に係わる構成のみを説明し、他の構成は説明を省略する。
図2に示す透明導電部材10Aでは、光散乱層15と導電層12との間に、アブレーション防止層18が設けられている。そして、アブレーション防止層18が光散乱層15と直に接するように設けられている。また、アブレーション防止層18の直上に金属細線13が形成され、アブレーション防止層18が金属細線13に直に接するように形成されている。また、透明導電膜14は、金属細線13の形成部分を除き、アブレーション防止層18に直に接するように形成されている。なお、光散乱層15とアブレーション防止層18との間、及び、アブレーション防止層18と導電層12との間には他の層が形成されていてもよい。
[アブレーション防止層]
アブレーション防止層18は、金属細線13を形成するための金属インク組成物を塗布及びパターニングする際に、金属インク組成物中の溶媒等の光散乱層15への浸透等を抑制するための層である。金属インク組成物中の溶媒等が光散乱層15へ浸透すると、金属細線形成時の加熱により、溶媒が気化し、金属細線のアブレーションを起こす。このため、アブレーション防止層18は、溶剤バリア性が高い層であれば、特に構成は限定されない。また、金属インク組成物中の溶媒が光散乱層15内に接触しないように、ピンホール等の破綻が無い、均一な膜であることが好ましい。また、アブレーション防止層18は、溶剤バリア性を備えていればよいため、平坦性やその他の機能を有している必要はない。このため、アブレーション防止層は、溶剤バリア性を実現するためだけの十分な厚さを有していればよく、例えば、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
また、一般的に、粒子が表面から突出した従来構成の光散乱層では、光散乱層の平坦性が低く、表面の凹凸が高いため、光散乱層上に10〜100nm程度の薄い膜を形成すると、膜を形成するための材料が凹部に集まりやすく、凸部上に膜を形成するための材料が配置されにくい。このため、凸部上に膜が形成されにくく、凸部上にピンホール等の破綻が発生し、均一な膜が形成できない。このような破綻部分を有する膜では、金属インク組成物の溶媒等が膜の破綻部分から光散乱層15に浸透し、焼成の際にアブレーションが発生してしまう。
これに対し、透明導電部材10Aでは、光散乱層15の平坦性が高いため、アブレーション防止層18の厚さが10nm程度と非常に薄い構成であっても、膜を形成するための材料が光散乱層15上に均一に配置され、破綻の無い膜が形成されやすい。従って、透明導電部材10Aでは、薄くても破綻のないアブレーション防止層18を形成することができる。
アブレーション防止層18には、溶剤バリア性を有する材料であれば、特に限定することなく適用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系樹脂、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリシロキサザン、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素化合物、窒化ケイ素化合物、五酸化ニオブ等を適用することができる。発光効率のため、特にケイ素化合物が好ましい。アブレーション防止層18の材料は、光散乱層の材料と屈折率の近い材料が好ましい。
〈3.透明導電部材の製造方法〉
次に、上述の構成の透明導電部材10の製造方法を説明する。
透明導電部材10の作製においては、まず樹脂基材11を準備する。樹脂基材11には、必要に応じて予めガスバリア層が形成されたガスバリア性フィルムを樹脂基材11として準備してもよい。さらに、必要に応じて、樹脂基材11上に粒子含有層を形成する、或いは、予め粒子含有層が形成された樹脂基材11を準備する。
[光散乱層の形成]
次に、準備した樹脂基材11上に、光散乱層15を形成する。光散乱層15の形成は、溶媒にバインダ17と、粒子16とを分散することで光散乱層形成用分散液を作製し、この分散液を樹脂基材上に塗布することで形成する。
分散液に用いる分散溶媒には特に制限はないが、バインダ17の析出と粒子16の凝集が起こらない溶媒を選択することが好ましい。分散性の観点からは、バインダ17と粒子16とを混合した液を、超音波処理やビーズミル処理といった方法で分散させた後、フィルター等でろ過する方法が好ましい。
光散乱層形成用分散液の塗布法としては、任意の適切な方法を選択することができ、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の各種印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等の各種塗布法を用いることができる。
光散乱層15を所定のパターンに形成する場合には、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を用いることが好ましい。
また、光散乱層15は、光散乱層形成用分散液を塗工した後、形成した塗膜を温風乾燥や赤外線乾燥等の公知の加熱乾燥法、又は、自然乾燥により乾燥させる。加熱乾燥を行なう場合の温度は、使用する樹脂基材11に応じて適宜選択することができる。加熱乾燥は、200℃以下の温度で行なうことが好ましい。また、使用するバインダ17の材料によっては、紫外線等の光エネルギーによる硬化や、樹脂基材11へのダメージの少ない熱硬化等の処理を行ってもよい。
また、光散乱層形成用分散液に用いる分散溶媒として、水等のヒドロキシ基を有する極性溶媒や、沸点が200℃以下の低沸点溶媒を選択する場合は、乾燥方法として光源のフィラメント温度が1600〜3000℃の範囲内にある赤外線ヒータを用いることが好ましい。ヒドロキシ基が赤外線ヒータから発せられる特定の波長に吸収を持つため、溶媒の乾燥が可能となる。一方、樹脂基材11としてポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)に対しては、赤外線ヒータから発せられる特定の波長の吸収が少ないため、樹脂基材11に対する熱ダメージが少ない。
ヒドロキシ基を有する極性溶媒としては、水(蒸留水、脱イオン水などの純水が好ましい)の他、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒、グリコール類、グリコールエーテル類、及び、水とアルコールの混合溶媒等が挙げられる。グリコールエーテル類系有機溶媒としては、例えば、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどが挙げられる。また、アルコール系有機溶媒としては、具体的には、例えば、上述のメタノール、エタノールの他、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ジアセトンアルコール、ブトキシエタノール等が挙げられる。
[アブレーション防止層の形成]
次に、光散乱層15上にアブレーション防止層18を形成する。なお、アブレーション防止層18は必要に応じて形成すればよい。アブレーション防止層18を形成する方法は、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂膜を形成する場合には、これらの樹脂を含む液状組成物を調製し、この液状組成物を光散乱層15上に塗布した後、乾燥してアブレーション防止層18を形成することができる。また、前駆体を含む液状組成物を調製した後に、この液状組成物を光散乱層15上に塗布し、加熱又はエネルギー線照射等によって反応させてアブレーション防止層18を形成することができる。
また、二酸化ケイ素や酸窒化ケイ素化合物等の無機膜を形成る場合には、真空蒸着法又はスパッタ法等を用いてアブレーション防止層18を形成することができる。適用可能な蒸着法としては、例えば、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が挙げられる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
[金属細線形成工程:パターン形成]
次に、光散乱層15上、又は、アブレーション防止層18上に金属細線13を形成する。金属細線13の形成方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が利用できる。この従来公知の金属細線13の形成方法としては、例えば、金属インク組成物を用いた、フォトリソ法、塗布法、印刷法を応用した方法等を利用できる。
金属インク組成物は、上述の金属ナノ粒子や金属コロイドと、溶媒とを含有し、分散剤、粘度調整剤、バインダ等の添加剤が含有されてもよい。金属ナノ粒子や金属コロイドを含有する組成物に含有される溶媒としては特に制限はないが、中赤外線照射により効率的に溶媒を揮発できる点で、OH基を有する化合物が好ましく、水、アルコール、グリコールエーテルが好ましい。
金属ナノ粒子や金属コロイドを含有する組成物に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ファルネソール、デデカジエノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、ヘプタジエノール、テトラデセノール、ヘキサデセネオール、フィトール、オレイルアルコール、デデセノール、デセノール、ウンデシレニルアルコール、ノネノール、シトロネロール、オクテノール、ヘプテノール、メチルシクロヘキサノール、メントール、ジメチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキセノール、テルピネオール、ジヒドロカルベオール、イソプレゴール、クレゾール、トリメチルシクロヘキセノール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘプタンジオール、プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
印刷法により金属ナノ粒子や金属コロイドを含有する組成物のパターンを形成する場合には、一般的に電極パターン形成に使われる方法が適用可能である。具体的な例として、グラビア印刷法については特開2009−295980号公報、特開2009−259826号公報、特開2009−96189号公報、特開2009−90662号公報記載の方法等が、フレキソ印刷法については特開2004−268319号公報、特開2003−168560号公報記載の方法等が、スクリーン印刷法については特開2010−34161号公報、特開2010−10245号公報、特開2009−302345号公報記載の方法等が、インクジェット印刷法については特開2011−180562号公報、特開2000−127410号公報、特開平8−238774号公報記載の方法等が例として挙げられる。
フォトリソ法により金属ナノ粒子や金属コロイドを含有する組成物のパターンを形成する場合には、具体的には、光散乱層15上の全面に、印刷又は塗布にて金属インク組成物を形成し、後述する乾燥処理及び焼成処理を行った後、公知のフォトリソ法を用いて、エッチングすることにより、所望のパターンに加工する。
[金属細線形成工程:乾燥]
次に、塗布された金属ナノ粒子や金属コロイドを含有する組成物の乾燥処理を行なう。乾燥処理は、公知の乾燥法を用いて行うことができる。乾燥法としては、例えば、空冷乾燥、温風等を用いた対流伝熱乾燥、赤外線等を用いた輻射電熱乾燥、ホットプレート等を用いた伝導伝熱乾燥、真空乾燥、マイクロ波を用いた内部発熱乾燥、IPA蒸気乾燥、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、凍結乾燥等を用いることができる。
加熱乾燥では、50〜200℃の温度範囲で、樹脂基材11の変形がない温度で行なうことが好ましい。樹脂基材11の表面温度が、50〜150℃となる条件で加熱することがより好ましい。基板にPET基板を用いる場合は、100℃以下の温度範囲で加熱することが特に好ましい。焼成時間は温度や使用する金属ナノ粒子の大きさにもよるが、10秒〜30分の範囲内であることが好ましく、生産性の観点から、10秒〜15分の範囲内であることがより好ましく、10秒〜5分の範囲内であることが特に好ましい。
乾燥処理においては、赤外線照射による乾燥処理を行なうことが好ましい。特に、波長制御赤外線ヒータ等により特定の波長領域を選択的に照射することが好ましい。特定の波長領域を選択的に用いることにより、樹脂基材11の吸収領域のカットや、金属インク組成物の溶媒に有効な特定の波長を選択的に照射することができる。特に光源のフィラメント温度が1600〜3000℃の範囲内にある赤外線ヒータを用いることが好ましい。
[金属細線形成工程:焼成]
次に、乾燥させた金属インク組成物のパターンの焼成処理を行なう。なお、金属インク組成物に含まれる金属組成物の種類(例えば、上述のπ接合有機配位子を有する銀コロイド等)によっては、乾燥処理で十分導電性が発現するため、焼成工程を行わなくてもよい。
(フラッシュ光の照射による焼成)
金属インク組成物のパターンの焼成は、フラッシュランプを用いた光照射(フラッシュ焼成)により行なうことが、透明導電部材10の導電性の向上のため好ましい。フラッシュ焼成で用いられるフラッシュランプの放電管としては、キセノン、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の放電管を用いることができるが、キセノンランプを用いることが好ましい。
フラッシュランプの好ましいスペクトル帯域としては、240〜2000nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、フラッシュ焼成による樹脂基材11の熱変形等のダメージが少ない。
フラッシュランプの光照射条件は任意であるが、光照射エネルギーの総計が0.1〜50J/cmの範囲内であることが好ましく、0.5〜10J/cmの範囲内であることがより好ましい。光照射時間は、10μ秒〜100m秒の範囲内が好ましく、100μ秒〜10m秒の範囲内がより好ましい。また、光照射回数は1回でも複数回でも良く、1〜50回の範囲で行うのが好ましい。これらの好ましい条件範囲でフラッシュ光照射を行うことにより、樹脂基材11にダメージを与えることなく金属細線を形成できる。
樹脂基材11に対するフラッシュランプ照射は、樹脂基材11の金属インク組成物のパターンが形成されている側から行なうことが好ましい。樹脂基材11が透明な場合には、樹脂基材11側から照射してもよく、樹脂基材11の両面から照射してもよい。
また、フラッシュ焼成の際の樹脂基材11の表面温度は、樹脂基材11の耐熱温度や、金属インク組成物に含まれる溶媒の分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、金属インク組成物の分散性や酸化性等の熱的挙動などを考慮して決定すればよく、室温以上200℃以下で行うことが好ましい。
フラッシュランプの光照射装置は上記の照射エネルギー、照射時間を満足するものであればよい。また、フラッシュ焼成は大気中で行ってもよいが、必要に応じ、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。
[透明導電膜の形成工程]
次に、金属細線13を覆って、導電層12の形成領域の全面に透明導電膜14を形成する。透明導電膜14は、上述の金属酸化物のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法やイオンプレーティング法等によって形成することができる。
例えば、透明導電膜14は、成膜装置内の温度を200℃以下にする以外は、従来の金属酸化物層を製膜する場合と同様にして、各種のスパッタリング法やイオンプレーティング法等によって製膜することができる。成膜装置内の温度を200℃以下とすることにより、金属酸化物層に結晶相が発生せず、透明導電膜14を作製することができる。
特に、成膜時の基板温度を90℃以下、特に70℃以下とすることが好ましい。成膜時の基板温度を90℃以下、好ましくは70℃以下とすることにより、結晶相を発生させずに透明導電膜を作製できると共に、樹脂基材11の変形を防ぐことができる。成膜時の基板温度を70℃以下とするためには、成膜装置内の温度を例えば70℃以下に設定する。または、基板側に冷却機構をつけ、基板温度を70℃以下にする。
透明導電膜14を形成するスパッタリング法としては、例えば、DCスパッタリング、RFスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、RFマグネトロンスパッタリング、ECRプラズマスパッタリング、イオンビームスパッタリング等を用いることができる。
透明導電膜14は、例えば、スパッタリングの際のターゲット基板間距離を50〜100mmとし、スパッタリングガス圧を0.5〜1.5Paとして、直流マグネトロンスパッタリング法により成膜することができる。
ターゲット基板間距離については、ターゲット基板間距離が50mmよりも短くなると、堆積するスパッタ粒子の運動エネルギーが大きくなるため、樹脂基材11の受けるダメージが大きくなってしまう。また、膜厚も不均一となり膜厚分布が悪くなる。ターゲット基板間距離が100mmより長いと、膜厚分布はよくなるが、堆積するスパッタ粒子の運動エネルギーが低くなりすぎ、拡散による緻密化が起きにくく、透明導電膜14の密度が低くなるため好ましくない。
スパッタリングガス圧については、スパッタリングガス圧が0.5Paより低いと堆積するスパッタ粒子の運動エネルギーが大きくなるため、樹脂基材11の受けるダメージが大きくなってしまう。スパッタリングガス圧が1.5Paより高いと、成膜速度が遅くなるだけでなく、堆積するスパッタ粒子の運動エネルギーが低くなりすぎて、拡散による緻密化が起きず、透明導電膜14の密度が低くなるため好ましくない。
〈4.有機エレクトロルミネッセンス素子〉
次に、上述の透明導電部材を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施形態について説明する。本実施形態の有機EL素子は、上述の透明導電部材の導電層を第1電極(透明電極)とし、この第1電極上に、発光ユニットと第2電極(対向電極)とが設けられた構成である。このため、以下の有機EL素子の説明では、上述の透明導電部材と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
[有機EL素子の構成]
本実施形態の有機EL素子の構成を図3に示す。図3に示す有機EL素子20は、透明導電部材10Aの導電層12(第1電極)と、第2電極22とを備え、この電極間に有機機能層として発光ユニット21が設けられている。透明導電部材10Aは、上述の図2と同様の構成である。
ここで、「発光ユニット」とは、少なくとも、各種有機化合物を含有する、発光層、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。発光体は、陽極と陰極とからなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子とが当該発光体内で再結合することにより発光する。なお、有機EL素子は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい。
透明導電部材10Aの導電層12と第2電極22とで発光ユニット21が挟持されている部分のみが、有機EL素子20における発光領域となる。そして、有機EL素子20は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも透明導電部材10Aの樹脂基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。なお、透明(透光性)とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。主成分とは、構成全体の中で占める割合が最も高い成分である。
また、有機EL素子20において、透明導電部材10Aの導電層12及び第2電極22の端部には、図示しない取り出し電極が設けられている。透明導電部材10Aの導電層12及び第2電極22と外部電源(図示略)とは、取り出し電極を介して、電気的に接続される。
有機EL素子20の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、透明導電部材10Aの導電層12がアノード(すなわち陽極)として機能し、第2電極22がカソード(すなわち陰極)として機能する場合、発光ユニット21は、透明導電部材10Aの導電層12側から順に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層を積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層を有することが必須である。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット21のうち、例えば、電子注入層は無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニット21は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである第2電極22も、必要に応じた積層構造であってもよい。
また、有機EL素子20は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット21を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、以下の構成を挙げることができる。
[陽極/第1発光ユニット/中間コネクタ層/第2発光ユニット/中間コネクタ層/第3発光ユニット/陰極]
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット、及び、第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。複数の発光ユニット21は、直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
中間コネクタ層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。中間コネクタ層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、これらに限定されない。
発光ユニット21内の好ましい構成としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた構成から、陽極と陰極とを除いたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
[電極]
有機EL素子20は、透明導電部材10Aの導電層12からなる第1電極と第2電極22との一対の電極に挟持された、発光ユニット21を有する。透明導電部材10Aの導電層12(第1電極)と第2電極22とは、いずれか一方が有機EL素子20の陽極となり、他方が陰極となる。
また、図3に示す有機EL素子20では、透明導電部材10Aの導電層12が透明導電材料により構成され、第2電極22が高反射材料により構成されている。なお、有機EL素子20が両面発光型の場合には、第2電極22も透明導電材料により構成される。
[第2電極]
有機EL素子20において、第2電極22を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。陽極を構成可能な電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いは、パターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。陽極側から発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
また、有機EL素子20において、第2電極22を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が電極物質として用いられる。
陰極は、発光ユニット21に電子を供給する陰極(カソード)として機能する電極膜である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成することにより、作製することができる。
電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物やアルミニウム等が好適である。
陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。また、陰極として上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[取り出し電極]
取り出し電極は、透明導電部材10Aの導電層12と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
[封止部材]
有機EL素子20は、有機材料等を用いて構成された発光ユニット21の劣化を防止することを目的として、図示しない封止部材で封止されていてもよい。封止部材は、有機EL素子20の上面を覆う板状(フィルム状)の部材であって、接着部によって樹脂基材11側に固定される。また、封止部材は、封止膜であってもよい。このような封止部材は、有機EL素子20の電極端子部分を露出させ、少なくとも発光ユニット21を覆う状態で設けられている。また、封止部材に電極を設け、有機EL素子20の電極端子部分と、封止部材の電極とを導通させる構成でもよい。
板状(フィルム状)の封止部材としては、具体的には、ガラス基板、ポリマー基板、金属基板等が挙げられ、これらの基板さらに薄型のフィルム状にして用いてもよい。ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属基板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブデン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
特に、素子を薄膜化できるということから、封止部材としてポリマー基板や金属基板を薄型のフィルム状にして使用することが好ましい。
また、基板材料は、凹板状に加工して封止部材として用いてもよい。この場合、上述した基板部材に対して、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等の加工が施され、凹状が形成される。
さらに、フィルム状としたポリマー基板は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。
また、封止部材を樹脂基材11側に固定する接着部は、有機EL素子20を封止するためのシール剤として用いられる。接着部としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。
また、接着部としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
封止部材と透明導電部材10Aとの接着部分への接着部の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
なお、有機EL素子を構成する有機材料は、熱処理により劣化する場合がある。このため、接着部は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着部中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
また、板状の封止部材と透明導電部材10Aと間に隙間が形成される場合、この間隙の気相又は液相には、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
一方、封止部材として封止膜を用いる場合、有機EL素子20における発光ユニット21を完全に覆い、かつ有機EL素子20の電極端子部分を露出させる状態で、透明導電部材10A上に封止膜が設けられる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成される。特に、水分や酸素等、有機EL素子20における発光ユニット21の劣化をもたらす物質の浸入を抑制する機能を有する材料で構成される。このような材料としては、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等の無機材料が用いられる。さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜とともに、有機材料からなる膜を用いて積層構造としてもよい。
これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
[保護部材]
また、有機EL素子20を機械的に保護するために、保護膜又は保護板等の保護部材(図示省略)を設けてもよい。保護部材は、有機EL素子20及び封止部材を、透明導電部材10Aとで挟む位置に配置される。特に封止部材が封止膜である場合には、有機EL素子20に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護部材を設けることが好ましい。
以上のような保護部材は、ガラス板、ポリマー板、これよりも薄型のポリマーフィルム、金属板、これよりも薄型の金属フィルム、又はポリマー材料膜や金属材料膜が適用される。このうち、特に、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
〈5.有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法〉
次に、図3に示す有機EL素子20の製造方法の一例を説明する。
まず、上述の製造方法により透明導電部材10Aを作製する。
次に、透明導電部材10A上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に成膜し、発光ユニット21を形成する。これらの各層の成膜方法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが好ましい。
発光ユニット21を形成した後、この上部に第2電極22を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって形成する。この際、第2電極22は、発光ユニット21によって透明導電部材10Aの導電層12に対して絶縁状態を保ちつつ、発光ユニット21の上方から樹脂基材11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子20が得られる。また、その後には、有機EL素子20における取り出し電極及び第2電極22の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット21を覆う封止部材を設ける。
以上により、透明導電部材10A上に所望の有機EL素子20が得られる。このような有機EL素子20の作製においては、1回の真空引きで一貫して発光ユニット21から第2電極22まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から樹脂基材11を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈試料100の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
[透明導電部材:樹脂基材]
(基材準備)
樹脂基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)を準備した。
(プライマー層の作製)
樹脂基材の易接着面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件:80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件:1.0J/cmで硬化を行い、プライマー層を作製した。
[透明導電部材:導電層(金属細線)の作製]
プライマー層を作製した樹脂基材上に、金属インク組成物として銀ナノ粒子分散液(FlowMetal SR6000、バンドー化学株式会社製)を、インクジェット印刷法を用いて、50μm幅、1mmピッチで格子状に塗布して金属インク組成物のパターンを形成した。金属インク組成物のパターンを形成するエリアは30mm×40mmとした。インクジェット印刷法としては、インク液滴の射出量が4plのインクジェットヘッドを使用し、塗布速度と射出周波数を調整して、パターンを印刷した。インクジェット印刷装置としては、インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製)を取り付けた卓上型ロボットShotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタ社製)にて制御した。
次に、赤外線照射装置(アルティメットヒーター/カーボン,明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流した波長制御赤外線ヒータを用いて、形成した金属インク組成物のパターンの乾燥処理を行った。
次に、250nm以下の短波長カットフィルターを装着したキセノンフラッシュランプ2400WS(COMET社製)を用いて、光照射エネルギーの総計が3.5J/cmのフラッシュ光を、照射時間2m秒で金属インク組成物のパターン側から1回照射した。これにより、乾燥後の金属インク組成物のパターンの焼成処理を行い、金属細線を作製した。
[透明導電部材:導電層(透明導電膜)の作製]
上記金属細線までを作製した樹脂基材(50mm×50mm)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、化合物(1−6)をタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。これら基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
Figure 2017217201
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、化合物(1−6)の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度が0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に、化合物(1−6)からなる下地層を作製した。下地層の層厚は50nmとした。
次に、下地層まで作製された基板を、真空状態下にて第2真空槽に移した。第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、下地層上に層厚8nmの銀からなる導電層を作製し、下地層と銀薄膜との積層構造からなる透明導電膜を作製した。
以上の方法で、試料100の透明導電部材を作製した。
[有機EL素子:発光ユニットの作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、発光ユニットの各層の構成材料をそれぞれ有機EL素子の作製に最適の量で充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン、タングステン等の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
発光ユニットの各層の構成材料としては、下記化合物α−NPD、BD−1、GD−1、RD−1、H−1、H−2及びE−1を用いた。
Figure 2017217201
最初に、真空度1×10−4Paまで減圧し、化合物α−NPDが充填された蒸着用るつぼを通電して加熱し、0.1nm/秒の蒸着速度で透明電極上に蒸着させ、層厚40nmの正孔注入輸送層を作製した。
同様にして、化合物BD−1及びH−1を、化合物BD−1の濃度が5%になるように0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの青色を呈する蛍光発光層を作製した。
次に、化合物GD−1、RD−1及びH−2を、化合物GD−1の濃度が17%、化合物RD−1の濃度が0.8%になるように、0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの黄色発光を呈するリン光発光層を作製した。
その後、化合物E−1を0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着させ、層厚30nmの電子輸送層を作製した。
[有機EL素子:第2電極の作製]
さらに、フッ化リチウム(LiF)を層厚1.5nmにて作製し、アルミニウム1nm、銀150nmを蒸着して第2電極(陰極)を作製した。第2電極は、正孔注入輸送層から電子輸送層までの有機機能層によって絶縁された状態で、基板の周縁に端子部分が引き出された形状で作製した。
なお、各層の作製には蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの基板のうち、中央に位置する4.5cm×4.5cmの領域を発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。
[有機EL素子:封止]
(粘着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂としてオパノールB50(BASF製、Mw:34万)100質量部、ポリブテン樹脂として日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤としてTINUVIN765(チバ・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体としてEastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)50質量部をトルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の粘着剤組成物を調製した。
(封止用粘着シートの作製)
ガスバリア層として、アルミニウム(Al)が蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム アルペット12/34(アジアアルミ(株)社製)を用い、調製した上記粘着剤組成物の溶液を乾燥後に作製される粘着剤層の層厚が20μmとなるようにアルミニウム側(ガスバリア層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて粘着剤層を作製した。次に、作製した粘着剤層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止用粘着シートを作製した。
(封止)
上述の方法で作製した封止用粘着シートを、窒素雰囲気下において、剥離シートを除去し、120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥した後、室温(25℃)まで低下するのを確認してから、陰極を完全に覆う形でラミネートし、90℃で10分加熱した。このようにして試料100の有機EL素子を作製した。
〈試料101の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
試料100と同様にプライマー層を作製した樹脂基材上に、下記の方法で、屈折率2.3、アスペクト比2以下の粒子割合が65%、粒子径350nmの棒状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率40%、PB比45%の光散乱層を350nmの厚さで作製した。そして、この光散乱層上に、試料100と同様の方法で透明導電膜の作製から封止までを行い、試料101の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
[光散乱層の作製]
酸化チタン粒子(チタニックスJR―808、テイカ社製)と、バインダ(PCPM−47−BPA、Pixelligent Technologies社製)とのPB比45%、2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が、20質量%/40質量%/40質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように調製した。
上記の固形分(有効質量成分)に対し、0.4質量%の添加剤(ビックケミージャパン株式会社製 Disperbyk−2096)を加え、10ml量の比率で処方設計して光散乱層形成用分散液を調製した。
具体的には、上記TiO粒子と溶媒及び添加剤を、TiO粒子に対し10%の質量比で混合し、常温(25℃)で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次に、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した後、疎水性PVDF0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層形成用分散液を得た。
上記分散液をインクジェット塗布法にて、樹脂基材上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、更に、後述する波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:8J/cm
〈試料102の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の光散乱層形成用分散液の固形分濃度が10質量%となるように調製した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料102の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料103の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をMP−6035(綜研化学社製)に変更し、屈折率1.48、アスペクト比2以下の粒子割合が100%、粒子径450nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率40%、PB比45%の光散乱層を400nmの厚さで作製した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料103の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料104の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をSG−TO100(Sukgyung AT社製)に変更し、屈折率2.3、アスペクト比2以下の粒子割合が100%、粒子径100nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率75%、PB比45%の光散乱層を300nmの厚さで作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料104の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料105の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をSG−TO100(Sukgyung AT社製)に変更し、屈折率2.3、アスペクト比2以下の粒子割合が100%、粒子径100nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率75%、PB比4%の光散乱層を300nmの厚さで作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料105の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料106の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をB−30(堺化学工業社製)に変更し、屈折率2.0、アスペクト比2以下の粒子割合が15%、粒子径300nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率60%、PB比20%の光散乱層を500nmの厚さで作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料106の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料107の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、樹脂基材側の粒子存在率80%、PB比30%の光散乱層を260nmの厚さで作製した以外は、上述の試料104と同様の方法で、試料107の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料108の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をSG−TO200(Sukgyung AT社製)に変更し、屈折率2.3、アスペクト比2以下の粒子割合が100%、粒子径210nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率55%、PB比30%の光散乱層を230nmの厚さで作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料108の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料109の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をSG−TO200(Sukgyung AT社製)に変更し、屈折率2.3、アスペクト比2以下の粒子割合が100%、粒子径210nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率60%、PB比30%の光散乱層を300nmの厚さで作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料109の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料110の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をR−42(堺化学工業社製)に変更し、屈折率2.3、アスペクト比2以下の粒子割合が85%、粒子径290nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率65%、PB比20%の光散乱層を500nmの厚さで作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料110の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料111の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、調製する溶液粒子と樹脂との固形分比率を20体積%(粒子)/80体積%(樹脂)とし、樹脂基材側の粒子存在率65%、PB比20の光散乱層を500nmの厚さで作製し、下記の方法でITOからなる透明導電膜を作製した以外は、上述の試料110と同様の方法で、試料111の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
[透明導電膜の作製(ITO)]
金属細線までを作製した基材を、ITOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で、膜厚150nmのITOの透明導電膜を作製した。
〈試料112の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、調製する溶液粒子と樹脂との固形分比率を5体積%(粒子)/95体積%(樹脂)とし、樹脂基材側の粒子存在率70%、PB比5%の光散乱層を500nmの厚さで作製し、下記の方法でIZOからなる透明導電膜を作製した以外は、上述の試料107と同様の方法で、試料112の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
[透明導電膜の作製(IZO)]
金属細線までを作製した基材を、IZOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で、膜厚250nmのIZOの透明導電膜を作製した。
〈試料113の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、樹脂基材側の粒子存在率65%、PB比10%の光散乱層を500nmの厚さで作製した以外は、上述の試料112と同様の方法で、試料113の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料114の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、樹脂基材側の粒子存在率70%、PB比20%の光散乱層を600nmの厚さで作製した以外は、上述の試料112と同様の方法で、試料114の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料115の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、樹脂基材側の粒子存在率85%、PB比20%の光散乱層を800nmの厚さで作製した以外は、上述の試料114と同様の方法で、試料115の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料116透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、樹脂基材側の粒子存在率95%、PB比20%の光散乱層を1200nmの厚さで作製した以外は、上述の試料114と同様の方法で、試料116の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料117の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をBT−HPS500(東亜合成社製)に変更し、屈折率2.42、アスペクト比2以下の粒子割合が90%、粒子径400nmの球状粒子と、屈折率が1.807のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率60%、PB比20%の光散乱層を700nmの厚さで作製した以外は、上述の試料114と同様の方法で、試料117の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料118の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用するバインダを230La(屈折率1.5、有機無機ハイブリッド樹脂、ラサ工業社製)に変更した以外は、上述の試料117と同様の方法で、試料118の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料119の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製において、樹脂基材側の粒子存在率65%、PB比20の光散乱層を500nmの厚さで作製し、さらに、この光散乱層上に下記の方法でアブレーション防止層を作製し、アブレーション防止層上に導電層を作製した以外は、上述の試料114と同様の方法で、試料119の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
[アブレーション防止層の作製]
アブレーション防止層を作製するための塗布液として、旭化成(株)社製、サランレジンR204(塩化ビニリデン;PVDC)を、THF(テトラヒドロフラン)/TOL(トルエン)に溶解し、固形分濃度が5質量%になるように調整した。
調製した溶液を、光散乱層上に乾燥膜厚が5nmとなる厚さで、インクジェット塗布法にて塗布した後、簡易乾燥(70℃、3分)し、更に乾燥機を用いて50℃48時間の条件で乾燥処理を行った。
〈試料120の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
アブレーション防止層を、ポリシラザンを用いて下記の方法で作製した以外は、上述の試料119と同様の方法で、試料120の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
[アブレーション防止層の作製]
アブレーション防止層を作製するための塗布液として、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)と、アミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)とを混合し、さらに、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、ジブチルエーテルでさらに希釈して、5質量%ジブチルエーテル溶液を調製した。
次に、光散乱層上に調製した溶液を、乾燥層厚が5nmとなる厚さで塗布した。さらに、塗膜に対し、乾燥温度80℃、乾燥時間300秒、乾燥雰囲気の露点5℃の条件で乾燥処理を行なった。
乾燥処理後、基材温度25℃まで冷却し、真空紫外線照射装置内で、塗膜に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、波長172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプを用いた。改質処理後、ガスバリア層を形成した基板を、上記と同じ乾燥条件で乾燥した。乾燥後、2回目の改質処理を行って、乾燥後の層厚が5nmのアブレーション防止層を形成した。なお、塗布、乾燥、改質処理の各工程においては、張力制御機構によって、基板には均一な張力を加えた。
〈試料121の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
アブレーション防止層を、下記の方法を用いて窒化ケイ素(SiN)で作製した以外は、上述の試料119と同様の方法で、試料121の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
[アブレーション防止層の作製]
マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ製、SPF−730H)のチャンバー内に、光散乱層層まで作製した基材を装着した。次に、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内を、油回転ポンプ及びクライオポンプにより、到達真空度3.0×10−4Paまで減圧した。ターゲットとしてSiを使用し、アルゴンガス7sccm、及び、窒素ガス26sccmを導入し、周波数13.56MHzの高周波電力(投入電力1.2kW)を印加し、成膜圧力0.4Paで、膜厚300nmの窒化ケイ素膜の成膜を行った。これにより、窒化ケイ素(SiN)からなるアブレーション防止層を5nmの膜厚で作製した。
〈試料122の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
光散乱層の作製に使用する粒子をMP−6035(綜研化学社製)に変更し、さらに、バインダをオルガチックスPC−250(マツモトファインケミカル社製)に変更し、屈折率1.48、アスペクト比2以下の粒子割合が100%、粒子径450nmの球状粒子と、屈折率が1.91のバインダとからなる、樹脂基材側の粒子存在率60%、PB比20の光散乱層を500nmの厚さで作製した以外は、上述の試料121と同様の方法で、試料122の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料123の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
アブレーション防止層を120nmとした以外は、上述の試料121と同様の方法で、試料123の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
〈試料124の透明導電部材、有機EL素子の作製〉
アブレーション防止層を50nmとした以外は、上述の試料121と同様の方法で、試料124の透明導電部材、及び、有機EL素子を作製した。
下記表1に、試料101〜124の透明導電部材の主要な構成を示す。
Figure 2017217201
〈評価方法〉
作製した試料100〜試料124の透明導電部材、及び、有機EL素子について、下記のように素子特性の評価を行った。
[アブレーション]
透明導電部材の作製において、金属細線のアブレーションを評価した。アブレーションの評価方法としては、光学顕微鏡を用いて目視観察を行い、金属細線がダメージを受けているかどうかを判断し、B以上を合格とした。
S:アブレーションが全く発生しない。
A:まれに金属細線のエッジ部分に僅かにアブレーションが発生する。実害なし。
B:金属細線のエッジ部分に僅かにアブレーションが発生するが実害なし。
C:アブレーションにより金属細線が断線している箇所あり。
D:アブレーションにより金属細線の多くが断線する。
[発光効率]
(全光束)
作製した各試料に対し、積分球を用いて一定電流における光束を測定した。具体的には、20A/mの定電流密度で全光束を測定した。各試料の発光効率は、試料100の発光効率を1.00とする相対値で求め、1.2倍以上を合格とした。
[電圧上昇]
85℃(dry)の恒温槽に各試料を投入し、24時間ごとに上記発光効率評価と同様の定電流密度における保存前と保存後との電圧上昇率を評価した。評価開始時より電圧上昇が1.0Vを超えた素子を不可とし、不可となるまでの期間(日数)を評価した。各試料の評価は、試料100に対しての相対値として求めた。そして、各試料の相対値を下記の基準で評価し、Aを合格とした。
A:相対値が試料100と同等以上
B:相対値が0.5倍以上、1.0倍未満
C:相対値が0.5倍未満
[異常発光]
85℃(dry)の恒温槽に各試料を投入し、0.5mm以上のダークスポットが発生した素子を不可とし、不可となるまでの期間(日数)を評価した。各試料の評価は、試料100に対しての相対値として求めた。そして、各試料の相対値を下記の基準で評価し、Aを合格とした。
A: 相対値が試料100と同等以上
B: 相対値が0.5倍以上、1.0倍未満
C: 相対値が0.5倍未満
表2に、試料100〜試料124の透明導電部材、及び、有機EL素子の各評価結果を示す。
Figure 2017217201
表2に示すように、光散乱層にアスペクト比2以下の粒子を65%しか含まない棒状粒子(アスペクト比2以下の粒子が65%)を使用した試料101の透明導電部材は、光散乱層を備えない試料100や、光散乱層にアスペクト比2以下の粒子を80%以上含む球状粒子を使用した試料104〜124に比べて、アブレーションの評価が悪い。さらに、試料101の有機EL素子は、上記試料100や、試料104〜124に比べて、電圧上昇が大きく、ダークスポットの発生も大きい。試料102の有機EL素子は、光拡散層の基材側への粒子の偏在度が55%であるが、アスペクト比が2以下の球状粒子が65%と少ないため、電圧上昇、異常発光が起こりやすくなっている。
試料101は、棒状粒子を使用しているため、光散乱層の表面の平坦性が悪い。また、棒状粒子を使用しているため、光拡散層の基材側に粒子が偏在せずに、光拡散層の導電層側にも粒子が多く配置されている。このように、光拡散層の基材側の粒子存在率が小さく、光散乱層の表面の平坦性が低いと、金属細線を焼成する際のアブレーションの発生、及び、平坦性の低さに起因する素子不良の発生が起こりやすくなる。
また、光散乱層に使用する粒子の粒子径が光散乱層の厚さよりも大きい試料103は、上記試料100や、試料104〜124に比べて、アブレーションの評価が悪い。さらに、試料103の有機EL素子は、上記試料100や、光散乱層に使用する粒子の粒子径が光散乱層の厚さよりも小さい試料104〜124に比べて、電圧上昇が大きく、ダークスポットの発生も大きい。
試料103は、粒子の粒子径が光散乱層の厚さよりも大きいため、光散乱層の表面に粒子が突出し、光散乱層の表面の平坦性が悪い。また、粒子の粒子径が光散乱層の厚さよりも大きいため、光拡散層の導電層側の粒子の体積比率が高くなり、光拡散層の樹脂基材側の粒子存在率が40%と小さくなる。このように、光散乱層において、樹脂基材側の粒子存在率が低く、表面の平坦性が低いと、金属細線を焼成する際のアブレーションの発生、及び、平坦性の低さに起因する素子不良の発生が起こりやすくなる。
従って、光散乱層において、光散乱層の厚さよりも粒子径が小さく、アスペクト比2以下の粒子を80%以上含む球状粒子を用いることにより、粒子を基材側に偏在させることができるため、光散乱層の表面の平坦性を高めることができ、アブレーションの発生を抑制することができる。また、光散乱層の表面の平坦性を高めることにより、平坦性の低さに起因する素子不良の発生が起こりにくくなる。
また、光散乱層の厚さを300nmとし、粒子径210nmの粒子を使用した試料109は、光散乱層の厚さを300nmとし、粒子径100nmの粒子を使用した試料104及び試料107よりも発光効率が向上している。従って、粒子径200nm以上の粒子を用いることにより、有機EL素子の発光効率が向上する。また、使用する粒子径200nm以上の粒子よりも光散乱層の厚さを大きくしなければ、光散乱層の表面の平坦性を確保できないため、光散乱層の厚さは250nm以上とすることが好ましい。
光散乱層の厚さ、偏在度、及び、PB比が異なるように設計した試料112〜116の評価では、PB比を5以上とすることにより有機EL素子の発光効率が向上しやすい傾向が得られた。さらに、光散乱層の厚さを大きくし、偏在度を高くすることにより、有機EL素子の発光効率が向上しやすい傾向が得られた。従って、光散乱層において、PB比5以上とし、厚さを大きくして粒子の偏在度を高くすることが好ましい。
アブレーション防止層を備える試料119〜124においても、アブレーション防止層を有していない試料104〜118と同様に、アブレーションの発生が無く、電圧上昇及びダークスポットの評価も良好である。さらに、発光効率も良好である。従って、アブレーション防止層のような5〜100nm程度の薄い膜を備えていても、信頼性や光取り出しを低下させることがなく、信頼性の高い透明導電部材や有機EL素子を構成することができる。
また、粒子の屈折率がバインダの屈折率よりも低い試料122は、試料119〜121と同様に、高い発光効率が得られている。このため、光散乱層は、粒子とバインダとの屈折率差が有れば粒子とバインダのいずれの屈折率が高くてもよく、高屈折率粒子と低屈折率バインダとの組み合わせだけでなく、低屈折率粒子と高屈折率バインダとを組み合わせることもできる。
屈折率差が0.613の試料117は、同じPB比20で屈折率差0.493の試料110に比べて、発光効率が向上している。このため、粒子とバインダとの屈折率差を大きくすることにより、有機EL素子の発光効率が向上しやすい。但し、屈折率差が0.92と大きい試料118は、屈折率差0.613の試料117よりも発光効率が低い。このため、粒子とバインダとの屈折率差の上限を1程度とすることが好ましい。また、バインダの屈折率を1.5以上とすることが好ましい。
また、試料104〜124の結果から、透明導電膜としては、金属や金属酸化物等の導電材料の種類は特に限定されず、種々の透光性の高い導電材料を使用することができる。また、透明導電部材の厚さも、透明導電膜の透明性が低下せず、有機EL素子の発光効率を低下させない範囲で有れば、特に限定する必要がない。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,10A・・・透明導電部材、11・・・樹脂基材、12・・・導電層、13・・・金属細線、14・・・透明導電膜、15・・・光散乱層、16・・・粒子、17・・・バインダ、18・・・アブレーション防止層、20・・・有機EL素子、21・・・発光ユニット、22・・・第2電極

Claims (8)

  1. 樹脂基材と、
    前記樹脂基材上に形成された、粒子とバインダとを含む光散乱層と、
    前記光散乱層上に形成された金属細線と、
    前記金属細線上に形成された透明導電膜と、を備え、
    前記光散乱層は、前記粒子としてアスペクト比が2以下の球状粒子を80%以上含み、
    前記光散乱層の厚さが、前記粒子の平均粒子径よりも大きく、
    前記光散乱層において、厚さ方向の中心より前記樹脂基材側の領域の前記粒子の粒子存在率が、厚さ方向の中心より前記透明導電膜側の領域の前記粒子の粒子存在率よりも大きい
    透明導電部材。
  2. 前記光散乱層における前記粒子の体積比率が、5vol%以上40vol%以下である請求項1に記載の透明導電部材。
  3. 前記粒子と前記バインダとの屈折率差が0.2以上1.0以下である請求項1に記載の透明導電部材。
  4. アスペクト比が2以下の前記粒子の平均粒子径が、200nm以上500nm以下である請求項1に記載の透明導電部材。
  5. 前記光散乱層の厚さが250nm以上1000nm以下である請求項1に記載の透明導電部材。
  6. 前記光散乱層上にアブレーション防止層を備え、前記アブレーション防止層の直上に前記金属細線が形成されている請求項1に記載の透明導電部材。
  7. 前記アブレーション防止層の厚さが、10nm以上100nm以下である請求項6に記載の透明導電部材。
  8. 請求項1に記載の透明導電部材を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
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