JPWO2017204295A1 - 消化器癌の判定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、フコースによる糖鎖修飾をフコシル化と呼ぶが、癌で増加する代表的な糖鎖変化の一つである。フコシル化糖鎖を持つタンパクの1つであるフコシル化ハプトグロビンは、膵癌や大腸癌等消化器癌のバイオマーカーとして、その測定方法やそれを用いた癌の判定方法が種々検討されている。しかし、消化器癌の検査方法として確立するためには、より確度の高い方法が求められている。
「(1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)複合体1又は2を測定し、
(3)その測定値に基づいて判定する、消化器癌の判定方法。」
「(1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体3を形成させ、
(3)複合体1又は2、及び複合体3を測定し、
(4)複合体1又は2の測定結果と複合体3の測定結果を比較することにより判定する、消化器癌の判定方法」
「(1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)複合体1又は2を測定することを特徴とする、消化器癌の判定のためのデータを得るための方法」
「(1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体3を形成させ、
(3)複合体1又は2、及び複合体3を測定することを特徴とする、消化器癌の判定のためのデータを得るための方法」
ヒトハプトグロビンは、α鎖及びβ鎖の2つのサブユニットから構成され、ハプトグロビン1−1型、2−1型及び2−2型の3つの型に分類される。また、ヒトハプトグロビンは、下記図のように、S-S結合を介してα鎖とβ鎖が連結されている。
本発明に係るS-S結合が切断されていないβ鎖を有するヒトハプトグロビン(以下、本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptと略記する場合がある)は、上記模式図で示すように、S-S結合が切断されていないβ鎖を有するヒトハプトグロビン、即ち、α鎖とβ鎖がS-S結合で連結されたヒトハプトグロビンであればいずれでもよい。
本発明に係る検体としては、ヒト由来の、膵臓組織、血漿、血清、膵液、唾液、リンパ液、髄液等の組織又は体液、或いはこれらから調製されたもの等が挙げられる。中でも、血清、血漿が好ましい。
本発明に係る消化器癌としては、具体的には食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵癌等が挙げられ、大腸癌、膵癌が好ましく、大腸癌がより好ましい。
0015 本発明に係るS-S結合β鎖含有Hpt を測定する方法は、具体的には例えばS-S結合が切断されていないβ鎖を有するヒトハプトグロビンに対して親和性を有する物質、より具体的には、ヒトハプトグロビンのβ鎖に対して親和性を有し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンに対しては親和性を有さない物質等を用いた方法が挙げられる。該親和性を有する物質としては、具体的には例えば抗体、レクチン、多糖類、DNA、酵素基質、タンパク質、各種受容体、各種リガンド等が挙げられ、抗体が特に好ましい。また、上記親和性を有する物質は適宜組みあわせて用いてもよい。当該親和性を有する物質を用いた方法としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、簡易イムノクロマトグラフィーによる測定法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、キャピラリーチップ電気泳動法、質量分析法、免疫比ろう法、免疫比濁法等の免疫凝集法に準じた測定法、イムノブロット法等が挙げられ、中でも酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、免疫比ろう法、免疫比濁法が好ましく、酵素免疫測定法(EIA)がより好ましい。これらの測定原理としては、例えばサンドイッチ法、競合法、二抗体法等が挙げられ、サンドイッチ法が好ましい。
上記本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptの測定方法における、サンドイッチ法を用いた方法としては、具体的には例えば検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗ヒトハプトグロビン抗体(以下、抗体1と略記する場合がある)と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、且つS-S結合が切断されたヒトハプトグロビンを認識しない抗ヒトハプトグロビン抗体(以下、抗体2と略記する場合がある)とを接触させ、抗体1−ヒトハプトグロビン−抗体2の複合体(以下、複合体1と略記する場合がある)を形成させ、当該複合体1を測定する方法が挙げられる。また、例えば検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体(以下、抗体2と略記する場合がある)から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、複合体2を測定する方法が挙げられる。ここで抗体2における2つの抗体は、認識部位が同じ抗体であっても、認識部位が異なる抗体であってもよい。具体的には、検体と2つの同じ抗体2を接触させ、抗体2−ヒトハプトグロビン−抗体2の複合体2を形成させ、当該複合体2を測定する方法や、抗体2と、この抗体2とは別のヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、且つS-S結合が切断されたヒトハプトグロビンを認識しない抗ヒトハプトグロビン抗体(抗体2’)を検体と接触させ、抗体2−ヒトハプトグロビン−抗体2’の複合体2を形成させ、当該複合体2を測定する方法等が挙げられる。
本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptの測定方法としては、上記の如く複合体1を形成し複合体1を測定する方法と複合体2を形成し複合体2を測定する方法が挙げられるが、複合体2を形成し複合体2を測定する方法は、Hpt濃度の感度が高いため好ましい。
本発明に係る抗体1又は抗体2を標識するために用いられる標識物質としては、例えば通常の免疫測定法等において用いられるペルオキシダーゼ,マイクロペルオキシダーゼ,アルカリホスファターゼ,β-ガラクトシダーゼ,グルコースオキシダーゼ,グルコース-6-リン酸脱水素酵素,アセチルコリンエステラーゼ,リンゴ酸脱水素酵素,ルシフェラーゼ等の酵素類、例えば放射免疫測定法(Radioimmunoassay、RIA)で用いられる99mTc,131I,125I,14C,3H、32P,35S等の放射性同位元素、例えば蛍光免疫測定法(Fluoroimmunoassay、FIA)で用いられるフルオレセイン,ダンシル,フルオレスカミン,クマリン,ナフチルアミン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ローダミンXイソチオシアネート、スルフォローダミン101、ルシファーイエロー、アクリジン、アクリジンイソチオシアネート、リボフラビンあるいはこれらの誘導体等の蛍光性物質、例えばルシフェリン,イソルミノール,ルミノール,ビス(2,4,6-トリフロロフェニル)オキザレート等の発光性物質、例えばフェノール,ナフトール,アントラセンあるいはこれらの誘導体等の紫外部に吸収を有する物質、例えば4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル,3-アミノ-2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル,2,6-ジ-t-ブチル-α-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキソ-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン)-p-トリルオキシル等のオキシル基を有する化合物に代表されるスピンラベル化剤としての性質を有する物質等の標識物質、例えばHiLyte Fluor 647、HiLyte Fluor 488、HiLyte
Fluor 555、HiLyte Fluor 680、HiLyte Fluor 750等のHiLyte系色素〔何れもハイライトバイオサイエンス社(HiLyte Bioscience, Inc.)商品名〕、例えばAlexa Fluor Dye 350、Alexa Fluor Dye 430、Alexa Fluor Dye 488、Alexa Fluor Dye 532、Alexa Fluor Dye
546、Alexa Fluor Dye 555、Alexa Fluor Dye 568、Alexa Fluor Dye 594、Alexa Fluor
Dye 633、Alexa Fluor Dye 647、Alexa Fluor Dye 660、Alexa Fluor Dye 680、Alexa Fluor Dye 700、Alexa Fluor Dye 750等のAlexa系色素〔何れもモレキュラープローブス社(Molecular Probes)商品名〕、例えばCy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7等のCyDye系色素〔何れもアマシャムバイオサイエンス社(Amersham Biosciences)商品名〕、例えばクーマシーブリリアントブルーR250,メチルオレンジ等の色素等、通常この分野で用いられている標識物質が全て挙げられ、中でも、ペルオキシダーゼ,マイクロペルオキシダーゼ,アルカリホスファターゼ,β-ガラクトシダーゼ,グルコースオキシダーゼ,グルコース-6-リン酸脱水素酵素,アセチルコリンエステラーゼ,リンゴ酸脱水素酵素,ルシフェラーゼ等の酵素類が好ましく、ペルオキシダーゼがより好ましい。
また、上記した如き標識物質を本発明に係る抗体1又は抗体2に結合させる(標識する)には、例えば自体公知のEIA、RIA、FIA等の免疫測定法等において一般に行われている自体公知の標識方法を適宜利用して行えばよい。
本発明に係る抗体1又は抗体2を固定化する不溶性担体としては、例えば通常の免疫学的測定法等で用いられるものであれば何れも使用可能である。具体的には例えばポリスチレン,ポリプロピレン,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸,ポリアクリルアミド,ポリグリシジルメタクリレート,ポリ塩化ビニール,ポリエチレン,ポリクロロカーボネート,シリコーン樹脂,シリコーンラバー等の合成高分子化合物、例えば多孔性ガラス,スリガラス,セラミックス,アルミナ,シリカゲル,活性炭,金属酸化物等の無機物質等が挙げられる。また、これら不溶性担体は、マイクロタイタープレート、ビーズ、チューブ、多数のチューブが一体成形された専用のトレイ、ディスク状片、微粒子(ラテックス粒子)、等多種多様の形態で使用し得る。なかでもマイクロプレートやビーズは、洗浄の容易さおよび多数の検体(試料)を同時処理する際の操作性等の点から好ましい。本発明に係る抗体1又は抗体2を不溶性担体に固定化させる方法は、通常この分野で利用される方法に準じてなされればよい。
また、上述の如く、本発明に係る抗体1又は2を固定化した不溶性担体は、自体公知の免疫比濁法や免疫比ろう法にも用いることができる。
253−258 (1992)、Anal.Chem. 64 1926−1932 (1992)、WO2007/027495等に記載の方法に準じて行えばよい。また、自動免疫分析装置として例えばLiBASysを用いる場合、生物試料分析22巻4号303-308(1999)に記載されている方法に準じて行えばよい。
上記発色試薬としては、例えばテトラメチルベンジジン(TMB)、o-フェニレンジアミン、o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシド、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)、N-エチル-N-スルホプロピル-m-アニシジン(ADPS)、p-ニトロフェニルリン酸等、通常この分野で用いられる発色試薬が挙げられる。また、これらの使用濃度は、通常この分野で用いられる濃度範囲から適宜設定すればよい。
本発明の消化器癌の判定法1おける消化器癌の判定方法は、検体中の本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptを上記測定方法により測定し、その測定結果に基づいて判定される。
本発明の消化器癌の判定方法2においては、(1)検体中の本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptを測定し、(2)同検体中のα鎖を有するヒトハプトグロビン(以下、本発明に係るα鎖含有Hptと略記する場合がある)を測定し、(3)(1)と(2)で得られた測定結果を比較し、その比較結果を判定することによって癌の判定を行えばよい。また、本発明の方法は、このように、検体中の本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptを測定し、同検体中の本発明に係るα鎖含有Hptを測定することを特徴とする、消化器癌の判定のためのデータを得るための方法も含む。
本発明の消化器癌の判定方法2において測定される、本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptは、上記本発明の消化器癌の判定方法1の項で記載したものと同じである。
本発明の消化器癌の判定方法2において測定される、本発明に係るα鎖含有Hptは、α鎖を有するヒトハプトグロビンであればいずれでもよく、S-S結合が切断されているもの及び切断されていないもの全てを含む。
上記本発明の消化器癌の判定方法1の項で記載したものと同じものが挙げられる。
上記本発明の消化器癌の判定方法1の項で記載したものと同じものが挙げられる。
上記本発明の消化器癌の判定方法1の項で記載したものと同じ方法により、本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptは測定される。
本発明に係るα鎖含有Hptを測定する方法は、例えば、α鎖含有Hptに対して親和性を有する物質、ヒトハプトグロビンのα鎖に対して親和性を有する物質ヒトハプトグロビンに対して親和性を有する物質等を用いた方法が挙げられ、該親和性を有する物質としては、具体的には例えば抗体、レクチン、多糖類、DNA、酵素基質、タンパク質、各種受容体、各種リガンド等が挙げられ、抗体が特に好ましい。また、上記親和性を有する物質は適宜2〜3種を組みあわせて用いてもよい。当該親和性を有する物質を用いた方法としては、上記本発明の消化器癌の判定方法1の[本発明に係るS-S結合が切断されていないβ鎖を有するハプトグロビンの測定方法]の項で記載した方法と同じものが全て挙げられ、好ましい方法も同じである。
本発明に係るα鎖含有Hptを測定する方法は、サンドイッチ法の測定原理を用いた方法が好ましい。該サンドイッチ法の具体的な方法としては、例えば検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体(抗体1)から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体3を形成させ、当該複合体3を測定する方法が挙げられる。ここで用いられる2つの抗体は、認識部位が同じ抗体であっても異なる抗体であってもよいが、認識部位が異なる抗体が好ましい。具体的には、検体と2つの同じ抗体1を接触させ、抗体1−ヒトハプトグロビン−抗体1の複合体3を形成させ、当該複合体3を測定する方法や、抗体1と、この抗体1とは別のヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗ヒトハプトグロビン抗体(抗体1’)を検体と接触させ、抗体1−ヒトハプトグロビン−抗体1’の複合体2を形成させ、当該複合体3を測定する方法等が挙げられ、後者の方法が好ましい方法として挙げられる。
すなわち、検体を、本発明に係る抗体1を固定化した不溶性担体(本発明に係る抗体1を0.1ng〜0.1mg含有)と接触させ、4〜40℃で3分〜20時間反応させて不溶性担体上に抗体1と本発明に係るα鎖含有Hptの複合体を生成させる。次に、PODで標識した本発明に係る抗体1を含有する溶液50〜100μL(本発明に係る抗体1を0.1ng〜0.1mg含有)と4〜40℃で3分〜16時間反応させる。尚、POD標識する抗体1は、不溶性担体に固定化した抗体1とは異なるものであることが好ましい。反応により、固定化抗体1−本発明に係るα鎖含有Hpt−標識抗体1の複合物を不溶性担体上に生成させる。続いて、例えば適当な濃度のTMB溶液を添加した後、一定時間反応させ、1Mリン酸等の反応停止液を加えて、反応を停止させる。450nmの吸光度を測定する。一方、濃度既知の本発明に係るα鎖含有Hptについて上記と同じ試薬を用い同様の操作を行って測定値と濃度の検量線を作成する。上記測定で得られた測定値を、当該検量線にあてはめることにより、本発明に係るα鎖含有Hpt量を求める。
尚、本発明は、用手法に限らず、自動分析装置を用いた測定系にも十分利用可能であり、容易にかつ迅速に測定を行う事が出来る。なお、用手法又は自動分析装置を用いて測定を行う場合の試薬類等の組み合わせ等については、特に制約はなく、適用する自動分析装置の環境、機種に合わせて、或いは、他の要因を考慮にいれて最も良いと思われる試薬類等の組み合わせを適宜選択して用いれば良い。
本発明の消化器癌の判定方法2おける判定方法は、検体中の本発明に係るS-S結合β鎖含有Hptを上記測定方法により測定し、また、検体中の本発明に係るα鎖含有Hptを上記測定方法により測定し、それらの測定値の比率に基づいて判定される。
本発明は、本発明に係る抗体1(ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体)と、本発明に係る抗体2(ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体)とを含む試薬、或いは、本発明に係る抗体2から選ばれる2つの抗体を含む試薬、を含む消化器癌を判定するためのキット(本発明のキット1)を含む。
50 mMりん酸緩衝液を用い、Haptoglobin,Phenotype 1-1 (Hpt1-1、シグマアルドリッチ社製)及びHaptoglobin,Phenotype 2-2 (Hpt2-2、シグマアルドリッチ社製)をそれぞれ100
μg/mLになるように調整し、試料用緩衝液1 ( 0.25 M Tris-HCl pH 6.8, 8 % SDS, 40% グリセロール, 0.02 % BPB, 20 % 2-メルカプトエタノール)と3:1で混合し試料とした。
抗ヒトハプトグロビンポリクロナール抗体(ウサギ)[抗ヒトHpt抗体(Poly)、Immunology Consultants Laboratory社製]を、ブロックエース4 %を含むりん酸緩衝液で500倍希釈した溶液に当該膜を浸漬し室温で1時間反応させた。次いで、反応後の当該膜を0.05 %ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート (Tween20)を含むりん酸緩衝液で3回洗浄した。
更に、ペルオキシダーゼ(POD)標識抗ウサギIg抗体(ヤギ)(Dako社製)を、ブロックエース4 %を含むりん酸緩衝液で500倍希釈した液に当該膜を浸漬し室温で1時間反応させた。次いで、0.05 % Tween20を含むりん酸緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、当該膜を3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸塩 (DAB) 発色剤(和光純薬工業(株)製) 10 mg及び30 %過酸化水素水10 μLを溶解したトリス緩衝液(50 mM Tris-HCl pH 7.6)50 mLに10〜30 分浸漬して発色させた。尚、発色後、精製水で当該膜を洗浄して反応を停止させた。
図1より、Hpt1-1のα1鎖(10KDa近辺のバンド)及びHpt2-2のα2鎖(18KDa近辺Hpt1-1及びHpt2-2のβ鎖(39kDa近辺のバンド)が認められた。その結果、抗ヒトHpt抗体(Poly)はα鎖(α1鎖、α2鎖)及びβ鎖に反応性を有する抗体であることが分かった。
尚、ヒトハプトグロビンをコードする遺伝子は16q22.3に存在し、2つのアレル(遺伝子座)Hpt1とHpt2が知られている。ヒトハプトグロビン遺伝子はα鎖(軽鎖)とβ鎖(重鎖)をコードしており、Hpt2ではα鎖の遺伝子内重複が生じている。このためHpt1とHpt2ではβ鎖が共通だが、Hpt2のα鎖はHpt1より長くなっている。遺伝子型としてはHpt1/Hpt1、Hpt1/Hpt2、Hpt2/Hpt2の3種類が存在する。これらに対応した3種類の蛋白Hpt1-1,Hpt2-1,Hpt2-2が産生され、血中に検出される。それぞれαβの二量体(αβ)2を形成し、β鎖は39kDa、Hpt1のα鎖(α1鎖)は10kDa、Hpt2のα鎖(α2鎖)は18kDaであるため、分子量は計算上98〜114kDaとなる。(文献:FEBS Journal 275 (2008) 5648−5656)。
(1)ハプトグロビンの作製
ヒト大腸癌細胞株 HCT116(ACTT)を、10 % fetal bovine serum (FBS; Biological Industries, Israel), 100 U/mL penicillin,及び100 μg/mL streptomycinを添加したRPMI
with L-glutamine and NaHCO3(シグマアルドリッチ社製)で37 ℃、5 % CO2条件下培養した。培養用プレートはIWAKI 培養用プレート10 cmおよび15 cm (IWAKI, Tokyo, Japan)
を用いた。得られた培養液を2つに分け、一方は、フコースを含有しないハプトグロビン(Hpt (-))を取得するために非フコース培養し、他方は、フコースを含有するハプトグロビン(Hpt (+))を取得するためにフコースを添加して培養した。即ち、一方は、培養上清回収する際にFBSを添加していないRPMIを用いて細胞を96時間培養した後、回収した。他方は、培養上清を回収する際にFBSを添加していないRPMIにさらに1mMのL−フコースを添加し、細胞を96時間培養した後、回収した。
上記それぞれの培養上清をPERISTA bio-mini-pump(ATTO, Japan, Tokyo)を用いてヒトハプトグロビン抗体カラムにアプライした(0.5 mL/min、4 ℃、一晩)。尚、ヒトハプトグロビン抗体カラムは、抗ヒトハプトグロビンポリクロナール抗体 (Dako社製) 7.5 mgをHi-Trap-NHS-activated HP (GEヘルスケア社製) にカップリングさせて作成した。次いで、Column Washing Buffer (50 mM Na2HPO4, 50 mM NaH2PO4, 0.5 M NaCl, pH 7.4)を1.0 mL/minで15分、抗体カラムにアプライし、非特異的なタンパクを除去した。更に、Elution buffer ( 0.1 M Glycine, pH 2.7)を0.5 mL/minで20分、抗体カラムにアプライし、Hpt(-)、又はHpt(+))を抗体カラムから溶出した。さらにNeutralization buffer (2M Tris-HCl, pH8.0)を1.0 mL加えて溶出液を中和した。溶出液をAmicon Column(Millipore, Massachusetts, U.S.A)を用いて約200倍に濃縮し、さらに脱塩を行い精製した。上記処理はすべて4 ℃で行った。
上記で作製したHpt(+) 200 μgをフロイント完全アジュバンドとともにBALB/cマウスに免疫し、2週間間隔でHpt(+) 50 μg 2回免疫し、最後にHpt(+) 100 μgを免疫した。その後、摘出した脾臓細胞とミエローマ細胞(SP2/0)とをポリエチレングリコールを用いる常法(特開平5-244983に記載)により融合させ、これをGIT培地(和光純薬工業(株)製)で培養した。
抗マウスIgG抗体(ウサギ)(シグマアルドリッチ社製)をマイクロプレート1ウェルあたり0.25 μg固相した。その後、牛血清アルブミン(BSA)やカゼイン等で、ブロッキングした。
次に、細胞培養液の上清あるいは培養液50 μLをウェルに加えて60分間静置した。その後、PBSに0.1 % Tween20を添加した洗浄液(PBS-Tween)でウェルを3回洗浄した。
更に、250 ng/mL となるようにPBSに溶解したHpt(+)あるいはHpt(-) 50 μLをウェルに加え、60分間静置した。その後、PBS-Tweenでウェルを3回洗浄した。
次に、POD標識抗ハプトグロビンポリクロナール抗体[ポリクローナル抗体はDAKO社より購入し、常法(石川栄治著、「酵素標識法」、学会出版センター,1991年、p.62の方法)によりPODで標識した]を加えて、30分間静置した。その後、PBS-Tweenでウェルを3回洗浄した。
更に、基質溶液(o-フェニレンジアミン(OPD)(和光純薬工業(株)製))50μLを加えて、30分間発色させ、1M 硫酸溶液100μLを添加し、反応停止させた。その後、吸光度計(492nm)を用いて得られた溶液の吸光度を測定した。この結果より、Hpt(+)で発光しHpt(-)で発光しなかった抗ヒトハプトグロビン抗体を選別した。
(3)で得られた数種類の抗ヒトハプトグロビンモノクロナール抗体を用いて、下記ウエスタンブロッティングを行い、その中からヒトハプトグロビンα鎖に反応性を有する抗体を選別した。
即ち、まず、50 mMりん酸緩衝液を用い、Hpt1-1及びHpt2-2をそれぞれ100μg/mLとなるように調整し、実験例1と同じ試料用緩衝液1と3:1で混合し試料とした。
次いで、当該試料4 μLを12.5 %ポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行った。得られた泳動ゲルを、Bio-Rad社のブロッティングシステムを用いて、セミドライでPVDF膜にプロトコールに従いブロッティングした。転写後のPVDF膜は、ブロックエース(DSファーマバイオメディカル株式会社製)4 %を含むりん酸緩衝液によりブロッキングした。POD標識した抗ヒトハプトグロビンモノクロナール抗体を、ブロックエース4 %を含むりん酸緩衝液で200倍希釈した液に該膜を浸漬し室温で1時間反応させた。反応後の当該膜を0.05 % Tween20を含むりん酸緩衝液で3回洗浄した。洗浄後、当該膜をDAB 発色剤 (和光純薬工業(株)製) 10 mg及び30 %過酸化水素水10 μLを溶解したトリス緩衝液(50 mM Tris-HCl pH 7.6)50 mLに10〜30 分浸漬して発色させた。尚、発色後、精製水で該膜を洗浄して反応を停止させた
実験例2(3) で得られた数種類の抗ヒトハプトグロビンモノクロナール抗体を用いて、下記ウエスタンブロッティングを行い、β鎖に反応性を有するがS-S結合が切断されたヒトハプトグロビンには反応しない抗体を選別した。
即ち、まず50 mMリン酸緩衝液を用い、Hpt1-1及びHpt2-2をそれぞれ100 μg/mLになるように調整し、試料用緩衝液2( 0.25 M Tris-HCl pH 6.8, 8 % SDS, 40 % グリセロール,
0.02 % BPB)と3:1で混合し試料とした。また、同様に、100 μg/mLになるように調整したHpt1-1及びHpt2-2を、実験例1と同じ試料用緩衝液1 と3:1で混合し試料とした。
その後、POD標識した抗ハプトグロビンモノクロナール抗体を、ブロックエース4 %を含むりん酸緩衝液で200倍希釈した液に当該膜を浸漬し室温で1時間反応させた。反応後の当該膜を0.05 %Tween20を含むりん酸緩衝液で3回洗浄した。
洗浄後、当該膜をDAB 発色剤10 mg及び30 %過酸化水素水10 μLを溶解したトリス緩衝液(50 mM Tris-HCl pH 7.6)50 mLに10〜30 分浸漬して発色させた。尚、発色後、精製水で該膜を洗浄して反応を停止させた。また、試料用緩衝液1で調製した試料4 μLと12.5 %ポリアクリルアミドゲルを用いて、同様に実験した。
図3及び図4より、3-1抗体及び3-5抗体を用いた場合は何れも、Hpt1-1で100KDa近辺にバンドが見られ、Hpt2-2で135KDa以上に複数のバンドが見られた。また。試料用緩衝液2では3-1抗体、3-5抗体でバンドが見られなかった。
試料用緩衝液2はS-S結合が切断されていないが、試料用緩衝液1は、還元剤(2-メルカプトエタノール)の作用によりS-S結合が切断されている。
従って、この結果より、S-S結合を有する構造を認識するが、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンを認識しない抗体として3-1抗体及び3-5抗体を選定した。
実験例3で得られた3-1抗体及び3-5抗体の認識部位を特定するため、3-1抗体または3-5抗体自身の競合評価を行った。対照としてα鎖を認識する10-7抗体自身の競合評価を行った。
3-1抗体0.6 μgをポリスチレンビーズ1個に固相した。その後、BSAやカゼインでブロッキングし、抗体ビーズとした。また、3-1抗体を用いPODで標識し、2 %BSAを含むMES 衝液で希釈し、酵素標識3-1抗体液(0.2 nmol/L)とした。5 mmol/Lルミノールを含む溶液を基質液とし、0.02 %過酸化水素を含む溶液を過酸化水素液とした。また、2 %BSAを含むMOPS緩衝液を用い、Hpt1-1、Hpt2-2をそれぞれ1 μg/mLに希釈し試料とした。また、2 %BSAを含むMOPS緩衝液はコントロールとして使用した。
測定には自動化学発光酵素免疫分析装置SphereLight Wakoを使用し、以下の如く測定した。即ち、抗体ビーズ1個入った反応槽に試料10 μLと2 %BSAを含むMOPS緩衝液130 μLを加え、37 ℃で約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄した。次に酵素標識3-1抗体液を140 μL加え37 ℃で約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄した。更に基質液70μLと過酸化水素液70 μLを加え、発光量を測定した。各試料を用いた時の結果を表1に示した。
3-5抗体0.6 μgをポリスチレンビーズ1個に固相した。その後、BSAやカゼインでブロッキングし、抗体ビーズとした。また、3-5抗体を用いPODで標識し、2%BSAを含むMES 衝液で希釈し、酵素標識3-5抗体液(2.4 nmol/L)とした。
上記の抗体ビーズと酵素標識3-5抗体液を用いた以外は、上記(1)記載の方法と同様にして発光量を測定した。各試料を用いた時の結果を、(1)の結果と合わせて表1に示した。
10-7抗体0.6 μgをポリスチレンビーズ1個に固相した。その後、BSAやカゼインでブロッキングし、抗体ビーズとした。また、10-7抗体を用いPODで標識し、2%BSAを含むMES 衝液で希釈し、酵素標識10-7抗体液(8.2 nmol/L)とした。
上記抗体ビーズと酵素標識10-7抗体液を用いた以外は、上記(1)記載の方法と同様にして発光量を測定した。各試料を用いた時の結果を、(1)(2)の結果と合わせて表1に示した。
尚、10-7抗体自身の競合反応において、Hpt1-1の濃度を5μg/mL、50μg/mLとした場合、発光量は3124、14944であり、Hpt2-2の濃度を5μg/mL、50μg/mLとした場合、発光量は121512、1522718であった。即ち、10-7抗体は競合により結合量は低下しているが、結合していることは確認された。
一方、3-1抗体、または3-5抗体自身の競合評価では、Hpt1-1、Hpt2-2ともに発光量が大きく上昇したため、α鎖を認識していないことが分かった。即ち、これら抗体はβ鎖を認識していると示唆された。
更に、3-1抗体、3-5抗体ともにHpt1-1よりもHpt2-2の発光量が大きかった。Hpt1-1は(αβ)2 で抗体は2つまでしか結合しないが(下記Hpt1-1モデル参照)、Hpt2-2は(αβ)nでβ鎖であれば抗体は複数個結合することができる(下記Hpt2-2モデル参照)。よって3-1抗体、3-5抗体ともにHpt1-1よりもHpt2-2の発光量が上昇することと一致する。
従って、実験例3と4の結果より、3-1抗体及び3-5抗体の認識部位は、S-S結合を有するβ鎖であると断定された。即ち、3-1抗体及び3-5抗体は、β鎖を認識、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗ヒトハプトグロビンモノクロナール抗体であると断定された。
実験例1で認識部位を特定した抗ヒトHpt抗体(Poly)、並びに実施例2-4で得られた抗ヒトハプトグロビンモノクロナール抗体3種類(10-7抗体、3-1抗体、3-5抗体)を用いて、各抗体を組み合わせることにより、癌の判定の可否を検討した。具体的には、下記抗体の組み合わせにより、大腸癌及び膵癌の判定を行った。
組み合わせ2:3-1抗体又は3-5抗体と、3-1抗体又は3-5抗体の組み合わせ
一方、3-1抗体及び3-5抗体はPOD標識し、2% BSAを含むMES 緩衝液で希釈し、酵素標識3-1抗体液(0.2 nmol/L)、酵素標識3-5抗体液(2.4 nmol/L)をそれぞれ得た。
次いで、5 mmol/Lルミノールを含む溶液を基質液とし、0.02% 過酸化水素を含む溶液を過酸化水素液とした。また、2% BSAを含むMOPS緩衝液を用い大腸癌患者、膵癌患者、健常者の血清を51〜1071倍に希釈して試料とした。
10-7抗体、抗ヒトHpt抗体(Poly)、3-1抗体いずれかの抗体ビーズ1個が入った反応槽に試料10 μLと2% BSAを含むMOPS緩衝液130 μLを加え、37 ℃約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄した。次に酵素標識3-1抗体液または酵素標識3-5抗体液を140 μL加え37℃で約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄した。更に、基質液70 μLと過酸化水素液70 μLを加え、発光量を測定した。
一方、Hpt2-2を用い2%BSAを含むMOPS緩衝液で0、0.05、0.1、0.5、1、5、10 μg/mLに希釈して、上記方法と同様に測定し検量線を作成した。当該検量線に上記測定結果を当てはめ複合体1のヒトハプトグロビン(Hpt)濃度を算出した。
実施例1:図7:Hpt濃度1の分布図:10-7抗体と3-1抗体
実施例2:図8:Hpt濃度2の分布図:10-7抗体と3-5抗体
実施例3:図9:Hpt濃度3の分布図:抗ヒトHpt抗体(Poly)と3-1抗体
実施例4:図10:Hpt濃度4の分布図:抗ヒトHpt抗体(Poly)と3-5抗体
実施例5:図11:Hpt濃度5の分布図:3-1抗体と3-1抗体
実施例6:図12:Hpt濃度6の分布図:3-1抗体と3-5抗体
抗ヒトHpt抗体(Poly)と10-7抗体を用いて複合体濃度(Hpt濃度7)を測定し、上記実施例1〜6で得たHpt濃度1〜6とHpt濃度7の比率を算出し、大腸癌及び膵癌の判定を行った。また、同様に、抗ヒトHpt抗体(Poly)と抗ヒトHpt抗体(Poly)を用いて複合体濃度(Hpt濃度8)を測定し、Hpt濃度1〜6とHpt濃度8の比率を算出し、大腸癌及び膵癌の判定を行った。具体的には以下の如く実験を行った。
抗ヒトHpt抗体(Poly)をポリスチレンビーズ1個に0.3μgを固相した後、BSAやカゼインでブロッキングし抗体ビーズを得た。
一方、10-7抗体及び抗ヒトHpt抗体(Poly)をPODで標識し、2% BSAを含むMES緩衝液で希釈し、酵素標識10-7抗体液(4.0 nmol/L)、酵素標識Hpt(Poly)抗体液(0.2 nmol/L)を得た。
次いで、5mmol/Lルミノールを含む溶液を基質液とし、0.02 %過酸化水素を含む溶液を過酸化水素液とした。また、2%BSAを含むMOPS緩衝液を用い大腸癌患者、膵癌患者、健常者の血清を51〜1071倍に希釈して試料とした。
抗体ビーズ1個が入った反応槽に試料10 μLと2% BSAを含むMOPS緩衝液130 μLを加え、37 ℃で約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄した。次に、酵素標識10-7抗体液又は酵素標識Hpt(Poly)抗体液を140 μL加え37 ℃で約7分間反応させ、りん酸緩衝液で洗浄した。次に基質液70 μLと過酸化水素液70 μLを加え、発光量を測定した。
一方、Hpt2-2を用い、2% BSAを含むMOPS緩衝液で0、0.05、0.1、0.5、1、5、10 μg/mLに希釈して、上記方法と同様に測定し検量線を作成した。当該検量線に上記測定結果を当てはめHpt濃度を算出した。
ここで算出した抗ヒトHpt抗体(Poly)と10-7抗体を用いて得た複合体の濃度(Hpt濃度)をHpt濃度7とし、抗ヒトHpt抗体(Poly)と抗ヒトHpt抗体(Poly) を用いて得た複合体の濃度(Hpt濃度)をHpt濃度8とした。
Hpt濃度1〜6は、上記実施例1〜6で算出した濃度を用いた。
Hpt濃度1〜6を上記(1)で算出したHpt濃度7及びHpt濃度8で割り、それぞれの比率を算出した。
これらの結果をグラフにしたものを図13-24に示した。実施例と図の関係は下記表4の通りである。
実施例1〜6で得られたHpt濃度、及び実施例7〜18で得られたHpt濃度の比率のうち、健常者と膵癌患者の結果を用いて、ROC曲線によるAUC値、cutoff値、感度、特異度、及び診断効率を算出した。その結果を表7に示した。
また、実施例1〜6で得られたHpt濃度は、感度0.600〜0.640、特異度0.923〜1、診断効率81.3〜85.9%と特異度が高く、膵癌の判定に特に有用であることが分かった。
実施例1〜6で得られたHpt濃度、及び実施例7〜18で得られたHpt濃度の比率のうち、健常者と膵癌患者の結果癌を用いROC曲線によるAUC値、cutoff値、感度、特異度、診断効率を表8に示した。
これらの中でも、実施例7〜11で得られたHpt比率は、診断効率80%以上と良好であった。従って、大腸癌の判定においては、Hpt濃度だけで判定するよりも、Hpt濃度7(抗ヒトHpt抗体(Poly)と10-7抗体を用いて得たHpt濃度)を用いて比率を算出した結果の方が、診断効率が高いことが分かった。
さらにHpt比率で抗体の一方が3-1抗体であるHpt濃度1、3とHpt濃度7の組み合わせ(実施例7、9)や、抗体の一方が抗ヒトHpt抗体(Poly)であるHpt濃度3、4とHpt濃度7の組み合わせ(実施例9、10)は、特異度が良好なだけでなく(0.795〜0.821)、感度(0.878〜1)が特異度よりも高く、診断効率は85.0〜90.0%と特に良好であった。
特に、Hpt濃度3(抗ヒトHpt抗体(Poly)と3-1抗体)とHpt濃度7(抗ヒトHpt抗体(Poly)と10-7抗体)の組み合わせである実施例9の比率が最も良好で、診断効率は90.0%であった。
尚、上記実施例7、9、10における大腸癌のステージ別分布図を図25〜27に示した。その結果、大腸癌のステージに関わらず検出が可能であり、早期大腸癌の検出にも有用であることが分かった。
Claims (5)
- (1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)複合体1又は2を測定し、
(3)その測定値に基づいて判定する、消化器癌の判定方法。 - (1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体3を形成させ、
(3)複合体1又は2、及び複合体3を測定し、
(4)複合体1又は2の測定結果と複合体3の測定結果を比較することにより判定する、消化器癌の判定方法。 - (4)における判定が、複合体1の測定結果と複合体3の測定結果を比較することにより判定する、請求項2記載の判定方法。
- (1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)複合体1又は2を測定することを特徴とする、消化器癌の判定のためのデータを得るための方法。 - (1)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2とを接触させて複合体1を形成させ、或いは、
検体と、ヒトハプトグロビンのβ鎖を認識し、S-S結合が切断されたヒトハプトグロビンは認識しない抗体2から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体2を形成させ、
(2)検体と、ヒトハプトグロビンのα鎖を認識する抗体1から選ばれる2つの抗体とを接触させて複合体3を形成させ、
(3)複合体1又は2、及び複合体3を測定することを特徴とする、消化器癌の判定のためのデータを得るための方法。
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