JPWO2017199448A1 - インターコネクト構造及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
2以上のデバイスを導電接続するためのインターコネクト構造を、導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、を、相互に分離して備えるようにする。
Description
本明細書は、インターコネクト構造及び固体酸化物形燃料電池に関する。
600℃〜900℃程度の高温域で使用するデバイスにおいて、導電性と接着性との双方を実現する要素が必要なことがある。こうしたデバイスとして、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)がある。
固体酸化物形燃料電池においては、燃料極、固体電解質及び空気極の積層構造を有する単セルに対して、燃料ガス(一般には水素ガス)を燃料極に、酸化ガス(一般には空気)を空気極に供給して発電する。固体酸化物形燃料電池においては、2種のガスを1つのデバイスに供給するために、燃料ガス及び酸化ガスの流路を緻密な金属材料やセラミック材料を含むセパレータを用いて分離する。また、固体酸化物形燃料電池においては、両端にガスを遮断するセパレータを含む単セル又は単セルを積層したスタックから導通をとる必要がある。
固体酸化物形燃料電池において、セル及びスタック間の導通と密着を実現するための要素として、インターコネクタがある。
また、インターコネクタに求められる高温での導通と接着性を実現するための要素としては、金属材料、セラミックス材料、ガラス等が挙げられる。なかでも、固体酸化物形燃料電池の性能向上のためには、高い電子導電性と高温で安定的な密着性が必要であるため、融点が比較的低い金属、セラミック材料、銀や白金等の金属微粒子を分散させたガラス(以下、金属分散ガラスともいう。)やランタンストロンチウムマンガナイト((La, Sr)MnO3、LSM)などの導電性酸化物材料を分散させたガラス(以下、酸化物分散ガラスともいう。)が用いられている(例えば、特許文献1等)。
しかしながら、高温で高い導電性を示す金属分散ガラスであっても、大きな課題があった。すなわち、金属分散ガラスでは,金属とガラスとでは熱膨張率の差が大きいため、使用する際の熱処理や数回の昇降温で亀裂やはく離が生じることがあった。
また、酸化物分散ガラスにおいては、導電性を向上させるのが困難であるという問題があった。例えば、導電性が高く化学安定性に優れた酸化物材料の焼結には、一般に比較的高い温度が必要となる。したがって、ガラス中に分散させた酸化物粒子が焼結して高い導電性を示すためには、比較的高い温度での熱処理が必要となるが、ガラスの溶融に適した温度を考慮すると十分な高温の熱処理を確保しにくいためである。
以上のことから、これまでのところ、インターコネクタ及びセパレータとして機能することができる材料、すなわち、高導電性かつ優れた接着性を発揮できるほか、機械的強度、耐熱サイクル特性を十分に備えた信頼性の高い材料は知られていない。
本明細書は、導電性及び接着性に優れるインターコネクト構造を提供する。また、本明細書は、優れたインターコネクト構造を備える固体酸化物形燃料電池を提供する。
本発明者らは、固体酸化物形燃料電池等における従来のインターコネクタの構造を再検討し、導電機能のための部分(以下、導電部ともいう。)と接着機能のための部分(以下、シール部ともいう。)とを分離して、それぞれ、導電性及び接着性の双方を付与すべきデバイス要素における導電性及び接着性の要求に応じて配置することで、これらの機能を同時に効率的に実現できるという知見を得た。こうした知見に基づき、本明細書の開示は、以下の手段を提供する。
(1)2以上のデバイスを導電接続するためのインターコネクト構造であって、
導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、
前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、
を、相互に分離して備える、インターコネクト構造。
(2)前記2以上の第1の接合部を、マトリックス状に備える、(1)に記載のインターコネクト構造。
(3)前記1つの第2の接合部が、前記1又は2以上の第1の接合部を包囲するパターンを有するセグメントを少なくとも1つ備える、(1)又は(2)に記載のインターコネクト構造。
(4)前記セグメントを複数備える、(3)に記載のインターコネクト構造。
(5)前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、2以上のデバイスのうちの1つのデバイスの表面において、共通する高さを有してそのデバイス表面において前記高さを有する層を構成する、(1)〜(4)いずれかに記載のインターコネクト構造。
(6)前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、金属材料を含有しない、(1)〜(5)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(7)前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、いずれもガラス材料を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(8)前記1又は2以上の第1の接合部は、導電性セラミックス材料と第1の粘性のガラス材料とを含み、前記1又は2以上の第2の接合部は、前記第1の粘性よりも低い第2の粘性のガラス材料を含む、(7)に記載のインターコネクト構造。
(9)前記2以上のデバイスは、それぞれ緻密質無機材料表面を有し、これらの表面の間に導入するための、(1)〜(8)いずれかに記載のインターコネクト構造。
(10)前記2以上のデバイスは、600℃以上900℃以下の高温域で使用するデバイスである、(1)〜(8)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(11)前記2以上のデバイスは、固体酸化物形燃料電池のスタック又はガスを遮断するセパレータ構造を備えたセルである、(1)〜(9)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(12)(1)〜(9)のいずれかに記載のインターコネクト構造を備える、固体酸化物形燃料電池。
(13)前記固体酸化物形燃料電池は、燃料極材料、空気極材料と、固体電解質と、ガスを遮断するセパレータ構造と、を備えるセルの一括焼成体を含む、(12)に記載の固体酸化物形燃料電池。
(14)前記固体酸化物形燃料電池は、前記セルの少なくとも一方に、前記インターコネクト構造を有する層を備える、(13)固体酸化物形燃料電池。
(15)前記固体酸化物形燃料電池は、平板型である、(12)〜(14)のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
(16)2以上のデバイスの接合体の製造方法であって、
前記2以上のデバイスが備える少なくとも1つの表面上の導電接続要求部位と接着要求部位とに、それぞれ、導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、を分離して配置する工程と、
前記1又は2以上の第1の接合部と前記1又は2以上の第2の接合部とを、同時に熱処理して、前記2以上のデバイスを接合する工程と、
を備える、方法。
導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、
前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、
を、相互に分離して備える、インターコネクト構造。
(2)前記2以上の第1の接合部を、マトリックス状に備える、(1)に記載のインターコネクト構造。
(3)前記1つの第2の接合部が、前記1又は2以上の第1の接合部を包囲するパターンを有するセグメントを少なくとも1つ備える、(1)又は(2)に記載のインターコネクト構造。
(4)前記セグメントを複数備える、(3)に記載のインターコネクト構造。
(5)前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、2以上のデバイスのうちの1つのデバイスの表面において、共通する高さを有してそのデバイス表面において前記高さを有する層を構成する、(1)〜(4)いずれかに記載のインターコネクト構造。
(6)前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、金属材料を含有しない、(1)〜(5)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(7)前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、いずれもガラス材料を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(8)前記1又は2以上の第1の接合部は、導電性セラミックス材料と第1の粘性のガラス材料とを含み、前記1又は2以上の第2の接合部は、前記第1の粘性よりも低い第2の粘性のガラス材料を含む、(7)に記載のインターコネクト構造。
(9)前記2以上のデバイスは、それぞれ緻密質無機材料表面を有し、これらの表面の間に導入するための、(1)〜(8)いずれかに記載のインターコネクト構造。
(10)前記2以上のデバイスは、600℃以上900℃以下の高温域で使用するデバイスである、(1)〜(8)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(11)前記2以上のデバイスは、固体酸化物形燃料電池のスタック又はガスを遮断するセパレータ構造を備えたセルである、(1)〜(9)のいずれかに記載のインターコネクト構造。
(12)(1)〜(9)のいずれかに記載のインターコネクト構造を備える、固体酸化物形燃料電池。
(13)前記固体酸化物形燃料電池は、燃料極材料、空気極材料と、固体電解質と、ガスを遮断するセパレータ構造と、を備えるセルの一括焼成体を含む、(12)に記載の固体酸化物形燃料電池。
(14)前記固体酸化物形燃料電池は、前記セルの少なくとも一方に、前記インターコネクト構造を有する層を備える、(13)固体酸化物形燃料電池。
(15)前記固体酸化物形燃料電池は、平板型である、(12)〜(14)のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
(16)2以上のデバイスの接合体の製造方法であって、
前記2以上のデバイスが備える少なくとも1つの表面上の導電接続要求部位と接着要求部位とに、それぞれ、導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、を分離して配置する工程と、
前記1又は2以上の第1の接合部と前記1又は2以上の第2の接合部とを、同時に熱処理して、前記2以上のデバイスを接合する工程と、
を備える、方法。
本明細書は、2以上のデバイスを導電接続するためのインターコネクト構造及びその利用に関する。本明細書に開示されるインターコネクト構造(以下、単に、本インターコネクト構造ともいう。)は、導電性材料を含み導電性を有する第1の接合部と、第1の接合部よりも低導電性の第2の接合部とを、相互に分離して備えることができる。本インターコネクト構造によれば、こうした構成を採ることで、主として導電性接合を担う部分と、主として接合を担う部分とを相互に分離して、それぞれに適した材料を適所に配置することができる。これにより、従来、金属分散材料や酸化物分散材料などの導電性ガラス材料では実現できなかった導電性と接合性との双方を両立できる。この結果、ガスシール性及び機械的強度も確保することができる。
本インターコネクト構造においては、第1の接合部の材料やその配置を、導電性機能の観点から選択することができる。また、第2の接合部の材料やその配置を、接合性機能の観点から選択することができる。特に、第1の接合部及び第2の接合部を、いずれも金属材料非含有の酸化物系材料を用いることで、熱膨張係数が大きく異なる金属材料を含まないインターコネクト構造を構築することができる。
なお、以下、本インターコネクト構造及び本インターコネクト構造を用いたデバイスについて説明する。
本明細書において、デバイスとは、特に限定するものではないが、導電接続が好適若しくは要請されるデバイスであることが好ましい。こうしたデバイスとしては、熱電変換素子及びモジュール、NAS電池等昇温作動型蓄電池、積層コンデンサ等が挙げられる。
デバイスとしては、500℃以上1400℃以下の高温域で製造され及び/又は使用されるデバイスであることが好ましい。好ましくは、下限温度は、550℃以上であり、より好ましくは600℃以上であり、さらに好ましくは700℃以上であり、なお好ましくは800℃以上であり、一層好ましくは900℃以上である。また、上限温度は、好ましくは1350℃以下であり、より好ましくは1300℃以下であり、さらに好ましくは1250℃以下であり、なお好ましくは1200℃以下であり、一層好ましくは1100℃以下である。特に限定するものではないが、使用温度としての高温域としては、好ましくは550℃以上であり、より好ましくは600℃以上であり、さらに好ましくは650℃以上である。また、好ましくは900℃以下であり、より好ましくは800℃以下であり、さらに好ましくは750℃以下であり、より好ましくは700℃以下である。
一般に、高温域で使用等されるデバイスに適用されるインターコネクト構造も高温に曝される。インターコネクト構造においては、材料の熱膨張率の相違が接合部の亀裂や剥離を引き起こしたりするが、本インターコネクト構造のように、接合部を分散して備えることで、材料の熱膨張率の相違による応力を緩和することができる。また、本インターコネクト構造によれば、金属材料非含有構成とすることができるため、高温域でのインターコネクト構造中の金属疲労や腐食を抑制することができる。
本インターコネクト構造で導電接続される2以上のデバイスは、同種であってもよいし、異種で、あってもよい。例えば、デバイスが団体酸化物形燃料電池のとき、本インターコネクト構造は、ガスを遮断するセパレータ構造を備えた単セルと単セルの導電接続のほか、単セルが複数積層されたスタックとスタックとの導電接続に好適で、ある。なお、後段にて、本インターコネクト構造 を備える固体酸化物形燃料電池について詳述する。
また、本明細書において、デバイスは、導電接続部位として、金属材料、緻密質導電性セラミックス材料などの、導電性緻密質材料であってもよいし、多孔質材料でもよい。こうした導電性接続部位を構成するデバイス表面は、例えば、固体酸化物形燃料電池などのセパレータ材料などの導電性材料を備えることができる。
(本インターコネクト構造)
本インターコネクト構造は、例えば、図1に示すように、1又は2以上の第1の接合部を備えている。第1の接合部は、導電性材料を含んで導電性を有している。第1の接合部の導電性材料としては、特に限定するものではないが導電性セラミックス材料とガラス材料との混合物を用いることができる。
本インターコネクト構造は、例えば、図1に示すように、1又は2以上の第1の接合部を備えている。第1の接合部は、導電性材料を含んで導電性を有している。第1の接合部の導電性材料としては、特に限定するものではないが導電性セラミックス材料とガラス材料との混合物を用いることができる。
第1の接合部の導電性セラミックス材料としては、特に限定しないで公知の固体酸化物形燃料電池において空気極材料やセラミックセパレータ材料として用いられているものを用いることができる。例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo、Fe、Ni、Cr又はMnなどからなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO3,(La,Sr)MnO3,(La,Sr)CoO3,(La,Sr)CrO3,(La,Sr)(Fe,Co)O3,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)O3などの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)CoO3、(La,Sr)MnO3である。上述したセラミックス材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
第1の接合部に用いるガラス材料としては、特に限定しないで種々のガラス材料から選択することができるが、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ボロシリケートガラス、シリカガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等から適宜選択して用いることができる。ガラス材料は、第1の接合部でデバイスを接合した際に好適な導電性を得られるように選択することができる。本発明者らによれば、用いる導電性セラミックス材料の焼結温度を考慮して選択することができる。具体的には、ガラス材料が導電性セラミックス材料の焼結温度において導電性セラミックス材料の焼結を阻害しないように選択する。本発明者らによれば、ガラス材料の選択は、導電性セラミックス材料の焼結温度におけるガラス材料の粘性(例えば、軟化温度(ガラスが自重で軟化変形し始める温度で、粘度が107.6dPa・sの粘度に相当する温度(例えば、JIS R3103−1、2001に規定される方法により測定できる。)や粘度が104dPa・sとなる温度でもよい。)等や、後述するように、導電性セラミックス材料候補の焼結温度近傍での熱処理でのガラスペレットの変形や軟化を評価して決定することができる。
例えば、導電性セラミックス材料候補に、その導電性セラミック材料候補の焼結温度において異なる粘性を示す2以上のガラス材料を組み合わせて、導電率を評価することで、好ましいガラス材料を選択することができる。
例えば、導電性セラミックス材料として、LSCを用いる場合には、粘度が104dPa・sとなる温度が900〜1000℃又は軟化点温度が850℃以上900℃以下程度である中粘性ガラス材料(例えば、G018−381、ショット製)等を用いることができる。また、導電性セラミックス材料として、LSMを用いる場合には、上記軟化点が900℃超1100℃など1000℃近傍にある高粘性ガラス材料(例えば、HHR1010、旭硝子製)等を用いることができる。
好適なガラス材料は、例えば、導電性セラミックス材料候補の焼結温度近傍で所定時間(例えば、1時間程度)、ガラス材料候補の一軸加圧成形等によるペレットを熱処理して、焼結温度近傍におけるガラス材料候補の粘性を評価して、選択することができる。
第1の接合部における導電性セラミックス材料とガラス材料との配合比率は、特に限定するものではなく、好適な導電率が得られるように設定することができる。当業者であれば、導電性セラミックス材料候補とガラス材料候補を種々の配合比で組み合わせて導電率を評価することで、好適な配合比率を決定することができる。例えば、導電性セラミックス材料に対してガラス材料10質量%以上30質量%以下とすることができ、また、10質量%以上20質量%以下とすることもできる。概して、ガラス材料の配合比率の増大は、導電性の低下をもたらし、同比率の低下は、デバイスとの界面における導電性の低下や接合性や機械的強度の低下をもたらす傾向がある。
本インターコネクト構造は、1又は2以上の第2の接合部を備えることができる。第2の接合部は、第1の接合部よりも低導電性とすることができる。第2の接合部は、第1の接合部に比して、より接合を意図した接合部とすることができる。したがって、第2の接合部は、接合に好適なガラス材料を含むことが好ましい。
第2の接合部のガラス材料も、第1の接合部と同様、特に限定しないで種々のガラス材料から選択することができるが、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ボロシリケートガラス、シリカガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等から適宜選択して用いることができる。第2の接合部のガラス材料は、本インターコネクト構造の接合温度、すなわち、第1の接合部に用いる導電性セラミックス材料の焼結温度近傍において、十分な接合性(融着性)を呈するものであればよい。したがって、第2の接合部に用いるガラス材料は、第1の接合部に用いるガラス材料よりも低粘性のものを選択することができる。特に、第1の接合部に用いる導電性セラミックス材料の焼結温度近傍において、第1の接合部に用いるガラス材料よりも低粘性を呈するものを用いることができる。こうすることで、第1の接合部のみでは不十分な接合性や機械的強度、接着性を本インターコネクト構造に付与することができる。
第2の接合部のガラス材料は、例えば、第1の接合部がLSMと軟化点温度が900℃超〜1100℃付近の高粘性ガラス材料を用いる場合には、軟化点温度が850℃以上900℃以下の中粘性ガラス材料を用いることができる。
以上説明したように、第1の接合部及び第2の接合部は、いずれも金属材料を非含有とすることができる。こうすることで、金属材料による特に高温での不都合を排除することができる。
(第1の接合部及び第2の接合部の配置パターン)
例えば、図1に示すように、第1の接合部と第2の接合部とは、それぞれ任意の個数及び配置でデバイス間において互いに離間して備えることができる。相互に離間させることで、それぞれの機能を最も好適な部位で実現させることができる。また、接合部が分散することで、種々の応力緩和も期待できる。
例えば、図1に示すように、第1の接合部と第2の接合部とは、それぞれ任意の個数及び配置でデバイス間において互いに離間して備えることができる。相互に離間させることで、それぞれの機能を最も好適な部位で実現させることができる。また、接合部が分散することで、種々の応力緩和も期待できる。
ここで、第1の接合部と第2の接合部とを相互に離間するとは、第1の接合部と第2の接合部とは、互いに接触することなく、直接的にも間接的にも接合されることなく、ギャップを置いて配置されることを意味している。第1の接合部と第2の接合部のギャップは、全て同一でなくてもよい。ギャップは、デバイス間の接合のための面積、導電性、機械的強度等に応じて適宜設定される。
第1の接合部と第2の接合部の配置パターンは特に限定するものではないが、第1の接合部は、デバイス間の導電性接続が好適な領域に、導電性接続のために好適な接合面を得られるように配置することができる。必要な導電接続が得られる第1の接合部の個数及びパターンは任意であるが、例えば、図1A〜図1Cに示すように、1個であってもよいし、複数個であってもよい。また、所定の配列(アレイ)又はマトリックス状に配置することもできる。また、図示はしないが、これらの逆のパターン、すなわち、グリッド(格子)状に設けることもできる。
第2の接合部は、第1の接合部による接合強度を補足し、本インターコネクト構造に機械的強度、ガスシール性、耐熱サイクルを付与することができる。このため、こうした機能を発揮する領域に配置することができる。例えば、機械的強度やガスシール性を意図する場合等には、第1の接合部の周囲の少なくとも一部に、あるいはその周囲を包囲するパターンを好ましく用いることができる。すなわち、1又は2以上の第1の接合部の周囲を連続する第2の接合部が任意の外周形態で包囲するパターンを有するセグメントを構成するようにすることが好ましい。
例えば、図1Aに例示するパターンは、一つの第1の接合部を連続する第2の接合部が包囲する単一のセグメントを有する形態であり、図1Cに例示するパターンは、一つの第1の接合部を連続する第2の接合部が包囲するセグメントを複数個マトリックス状に備える形態であり、図1Dに例示すパターンは、複数個一列に配列された第1の接合部のアレイの周囲を第2の接合部が包囲するセグメントを複数個配列して備える形態である。また、図1Bに示すパターンは、第1の接合部の周囲の少なくとも一部、ここでは、1つの第1の接合部を挟んで対向状に2つの第2の接合部を備える形態である。
なお、本インターコネクト構造において求められる導電性及び融着性等に応じて、任意のパターンを採ることができる。図示はしないが、これらの逆のパターン、すなわち、マトリック状等に設けた第2の接合部の周囲を包囲するように第1の接合部を設けることもできる。
第1の接合部及び第2の接合部の、本インターコネクト構造の高さ方向(すなわち、デバイスとデバイスとの距離に沿う方向)における態様は、デバイス間の導電接続が可能であればよく特に限定するものではない。第1の接合部及び第2の接合部は、接続される一方のデバイスの表面において、共通する高さを有してそのデバイス表面において前記高さを有する層を構成することが好ましい。こうすることで、デバイスとデバイスとを積層して、優れた全体形状及び一体性の複数のデバイスの積層体を容易に得ることができる。
なお、第1の接合部と第2の接合部とは、分離して形成されているために、例えば、曲面を有したり屈曲したりしているデバイス表面であっても、曲面等への追従性に制限されることを回避又は抑制して、容易にインターコネクト構造を構成することができる。
(2以上のデバイスの接合体の製造方法)
本明細書に開示される、2以上のデバイスの接合体の製造方法は、デバイスが備える少なくとも1つの表面上の導電接続要求部位と接着要求部位とに、それぞれ、導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、を分離して配置する工程と、前記1又は2以上の第1の接合部と前記1又は2以上の第2の接合部とを、同時に熱処理して、前記2以上のデバイスを接合する工程と、を備えることができる。本製造方法によれば、2つ以上のデバイスを機械的強度や接着性を確保しつつ容易に導電接続することができる。
本明細書に開示される、2以上のデバイスの接合体の製造方法は、デバイスが備える少なくとも1つの表面上の導電接続要求部位と接着要求部位とに、それぞれ、導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、を分離して配置する工程と、前記1又は2以上の第1の接合部と前記1又は2以上の第2の接合部とを、同時に熱処理して、前記2以上のデバイスを接合する工程と、を備えることができる。本製造方法によれば、2つ以上のデバイスを機械的強度や接着性を確保しつつ容易に導電接続することができる。
本製造方法における、第1の接合部、第2の接合部、その配置等については、既に、本インターコネクト構造において説明したこれらの態様を適用することができる。
第1の接合部及び第2の接合部の配置工程は、従来公知の導電性セラミックス材料やガラス材料の付与工程に基づいて実施することができる。特に限定するものではないが、第1の接合部の原料組成物及び第2の接合部の原料組成物を、それぞれ、スプレー描画、テープキャスティング、スクリーン印刷等公知の適用方法にてデバイスの一方の表面に所定の配置パターンで供給して、これらの原料組成物層を形成することができる。
次いで、これら原料組成物層を形成したデバイスともう一方のデバイスを接合すべき形態で積層し、第1の接合部のための導電性セラミックス材料が焼結して導電性を発揮可能な温度で所定時間熱処理する。熱処理条件は、当業者であれば、導電性セラミックス材料の焼結温度等を考慮して設定することができる。
以上の工程により、2つのデバイスを機械的強度や接着性を確保して導電接続することができる。すなわち、第1の接合部のための原料組成物層が、熱処理により第1の接合部として主として導電接続を確保するとともに、第2の接合部のための原料組成物層が、熱処理により第2の接合部として主として機械的強度、接着性を確保することができる。
(固体酸化物形燃料電池)
本インターコネクト構造は、高温域で製造され、及び/又は高温域で作動するデバイスに好適であることから、固体酸化物形燃料電池のインターコネクト構造に好適である。本インターコネクト構造は、固体酸化物形燃料電池の単セル、固体電解質を挟んで燃料極と気極とをそれぞれ備え、さらに最外層に緻密質な導電性セパレータを備える単セル間を導電接続するのに好適である。また、本インターコネクト構造は、こうした単セルが複数個積層されてなる固体酸化物形燃料電池スタックをさらに導電接続するためのインターコネクト構造として好適である。すなわち、こうした固体酸化物形燃料電池のセル又はスタックの積層方向の少なくとも1つのガスを遮断するセパレータに対して本インターコネクト構造を備えることができる。
本インターコネクト構造は、高温域で製造され、及び/又は高温域で作動するデバイスに好適であることから、固体酸化物形燃料電池のインターコネクト構造に好適である。本インターコネクト構造は、固体酸化物形燃料電池の単セル、固体電解質を挟んで燃料極と気極とをそれぞれ備え、さらに最外層に緻密質な導電性セパレータを備える単セル間を導電接続するのに好適である。また、本インターコネクト構造は、こうした単セルが複数個積層されてなる固体酸化物形燃料電池スタックをさらに導電接続するためのインターコネクト構造として好適である。すなわち、こうした固体酸化物形燃料電池のセル又はスタックの積層方向の少なくとも1つのガスを遮断するセパレータに対して本インターコネクト構造を備えることができる。
本インターコネクト構造を備える固体酸化物形燃料電池は、従来公知の固体酸化物形燃料電池であれば、特に限定しないで適用することができる。また、平板型であっても円筒型等であってもよい。
特に限定するものではないが、本インターコネクト構造は、例えば、再表2009/119771号公報に開示される積層型固体酸化物形燃料電池やスタックの導電接続に好適である。本インターコネクト構造は、その高さ方向の積層高さが5μm以上200μm以下程度の層として確保することができるからである。また、本インターコネクト構造は、この種の積層型固体酸化物形燃料電池に好適な機械的強度を提供することができるからである。さらに、本インターコネクト構造は、導電性セラミックス材料の焼結温度での熱処理が可能であるため、固体酸化物形燃料電池セル又はスタックの熱処理とともに本インターコネクト構造も同時に熱処理して一体化することができるからである。こうした積層型固体酸化物形燃料電池のいては、ガスを遮断するセパレータ構造を備えるセルの一括焼成体を含み、少なくともかかるセパレータ構造のセパレータが本インターコネクト構造を備えることができる。
(インターコネクタ)
以上説明したことから、本インターコネクト構造は、デバイスの接合すべき導電性材料部位、例えば、固体酸化物形燃料電池のセパレータに対して第1の接合部と第2の接合部とを本インターコネクト構造の形態で予め備えたインターコネクタを構成することもできる。こうしたインターコネクタによれば、固体酸化物形燃料電池のセルやスタック間を導電接続することができる。
以上説明したことから、本インターコネクト構造は、デバイスの接合すべき導電性材料部位、例えば、固体酸化物形燃料電池のセパレータに対して第1の接合部と第2の接合部とを本インターコネクト構造の形態で予め備えたインターコネクタを構成することもできる。こうしたインターコネクタによれば、固体酸化物形燃料電池のセルやスタック間を導電接続することができる。
以下、本明細書の開示を以下の実施例を具体例を挙げて説明する。しかしながら、以下の実施例は、本明細書の開示を限定するものではない。
(ガラスの粘性と導電性との関係)
導電部で用いるガラスの粘性について検討を行った。導電性酸化物とガラスとを混合して導電部を構築する際には、熱処理によって導電性酸化物が焼結し、膜に垂直な方向の導電性を保持する必要がある。しかし、高温におけるガラスの状態によっては、ガラスが導電性酸化物の焼結を阻害する可能性がある。そこで、高温における粘性が異なる2種類のガラスを用いて、最適化を行った。用いたガラスは、低粘性ガラス(ショット製、G018−381)と中粘性ガラス(ショット製、G018−385)と高粘性ガラス(旭硝子製、HHR1010)とした。この低粘性ガラスは、104 dPasの粘度となる温度が962℃であるのに対して、中粘性ガラスは、1266℃である。
導電部で用いるガラスの粘性について検討を行った。導電性酸化物とガラスとを混合して導電部を構築する際には、熱処理によって導電性酸化物が焼結し、膜に垂直な方向の導電性を保持する必要がある。しかし、高温におけるガラスの状態によっては、ガラスが導電性酸化物の焼結を阻害する可能性がある。そこで、高温における粘性が異なる2種類のガラスを用いて、最適化を行った。用いたガラスは、低粘性ガラス(ショット製、G018−381)と中粘性ガラス(ショット製、G018−385)と高粘性ガラス(旭硝子製、HHR1010)とした。この低粘性ガラスは、104 dPasの粘度となる温度が962℃であるのに対して、中粘性ガラスは、1266℃である。
導電性酸化物としてLa0.2Sr0.8CoO3-δ(LSC)を用い、低粘性ガラスを用いたときと中粘性ガラスを用いたときの導電性の違いを検討した。LSCに対して、それぞれのガラスを30mass%添加した粉末を空気中900℃、1時間の融着処理を行った。この試料について導電率を計測した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、ガラスの粘性によって導電性材料の導電性が大きく異なることが分かった。その中でも、導電性セラミックス材料の焼結温度とガラスの軟化温度とをパラメータとして最適化することが重要であることが分かった。導電性セラミックス材料としては、焼結温度が比較的低いLSCについては、軟化点温度が850〜900℃にある低粘性ガラスの方が適していることがわかった。さらに、ほかの導電性酸化物についても検討した結果、焼結温度が高いLSMについては、軟化温度が1000℃付近にある高粘性ガラスの方が好ましいことがわかった。
(高温でのガラス成分の粘性評価)
導電性セラミックス材料の焼結温度、すなわち、融着温度付近におけるガラスの粘性をペレットからの変形により評価した。用いたガラスは、中粘性ガラス(ショット製、G018−385)と高粘性ガラス(旭硝子製、HHR1010)である。これらガラスの粉末を一軸加圧成形によりペレットを作製した後、空気中、1000℃で1時間熱処理を行った。その結果を図3に示す。
導電性セラミックス材料の焼結温度、すなわち、融着温度付近におけるガラスの粘性をペレットからの変形により評価した。用いたガラスは、中粘性ガラス(ショット製、G018−385)と高粘性ガラス(旭硝子製、HHR1010)である。これらガラスの粉末を一軸加圧成形によりペレットを作製した後、空気中、1000℃で1時間熱処理を行った。その結果を図3に示す。
図3に示すように、ガラスのペレットを用いて、熱処理による形状変化により、高温状態における粘性の高低を見積もることができることがわかった。ここで用いた高粘性ガラスについては、融着温度付近での粘性の詳細は必ずしも明らかではなかった。しかしながら、図3の結果により、中粘性ガラスと比較しても、融着温度付近での粘性は明らかに高いことが分かった。したがって、こうした熱処理試験を行うことで、ガラス材料の高温域での粘性特性を評価して、本インターコネクト構造の第1の接合部及び第2の接合部への使用可否を決定できることがわかった。
(導電性酸化物とガラス成分の混合割合最適化)
次に、導電性酸化物としてLSMを用いた際の、ガラスとLSMの混合割合について検討した。LSMを導電性酸化物として用いた際には、ガラスとしては高粘性ガラスを用いた方が導電部材としての導電性が高いことがこれまでの結果により明らかになっている。そこで、LSMに対して10〜50mass%の割合で、高粘性ガラス粉末を添加し、空気中1000℃で1時間、溶融処理した導電部材について、導電率の温度依存性を調べた。その結果を図4に示す。
次に、導電性酸化物としてLSMを用いた際の、ガラスとLSMの混合割合について検討した。LSMを導電性酸化物として用いた際には、ガラスとしては高粘性ガラスを用いた方が導電部材としての導電性が高いことがこれまでの結果により明らかになっている。そこで、LSMに対して10〜50mass%の割合で、高粘性ガラス粉末を添加し、空気中1000℃で1時間、溶融処理した導電部材について、導電率の温度依存性を調べた。その結果を図4に示す。
図4に示すように、10〜30mass%では導電性の変化は小さいが、50%とすることによって著しい導電性の低下がみられた。従って、導電性酸化物の焼結性に適応した高温での粘性を有するガラスを用いた時でも、その混合割合によって導電部材の特性が大きく異なる。混合割合としては、導電部材に対して10〜30mass%の範囲で、好ましくは10〜20mass%であることが分かった。ガラスの混合割合が少ないと、融着後の界面で、十分な密着性、緻密性、機械的強度を得ることができない。それに対して、ガラスの混合割合が多いと、導電性の著しい低下をもたらす。
(導電部材の熱処理条件最適化)
上記の導電性セラミックス材料とガラス材料の種類及び混合割合の最適化の後に、熱処理温度について検討を行った。それぞれ950℃から1100℃の間で1時間熱処理した。得られた導電部の微細構造を図5に示す。図5に示すように、950℃の熱処理では、導電性酸化物(LSM)の焼結が不十分であり、導電性についても機械的強度についても不十分であることが分かった。また、焼成温度を1100℃まで上昇させると、導電部材中で、ガラス成分と導電性酸化物の部分で分離している様子が見られた。この分離は、融着後の機械的強度の不均一性をもたらす。従って、本導電部材については、1000〜1050℃の範囲で熱処理することが好ましいことが分かった。
上記の導電性セラミックス材料とガラス材料の種類及び混合割合の最適化の後に、熱処理温度について検討を行った。それぞれ950℃から1100℃の間で1時間熱処理した。得られた導電部の微細構造を図5に示す。図5に示すように、950℃の熱処理では、導電性酸化物(LSM)の焼結が不十分であり、導電性についても機械的強度についても不十分であることが分かった。また、焼成温度を1100℃まで上昇させると、導電部材中で、ガラス成分と導電性酸化物の部分で分離している様子が見られた。この分離は、融着後の機械的強度の不均一性をもたらす。従って、本導電部材については、1000〜1050℃の範囲で熱処理することが好ましいことが分かった。
そこで、測定可能な機械的が得られた1000℃から1100℃の範囲で得られた第1の接合部に相当する導電性材料の導電性を評価した。図6に、空気中で10時間融着処理した試料についての結果を示す。図6に示すように、高温で熱処理した方が、LSMの焼結が進み、導電性が上昇することがわかった。
(導電部と融着部との分離)
以上の結果より、導電性材料については、比較的高温で熱処理した方が高い導電性が得られる一方、ガラス材料との分離によって、機械的な接着性に問題が生じることを見いだすことができた。また、導電性材料については、導電性セラミックス材料と高温でのガラスの粘性との最適化が重要であることが分かった。これらの結果より、高い導電性と十分な接着性を実現させるインターコネクタとしては、高い導電性を担う導電部(本インターコネクタにおける第1の接合部に相当)と高い機械的強度を担う融着部(本インターコネクト構造における第2の接合部に相当)を分離することが望ましいとの結論に至った。
以上の結果より、導電性材料については、比較的高温で熱処理した方が高い導電性が得られる一方、ガラス材料との分離によって、機械的な接着性に問題が生じることを見いだすことができた。また、導電性材料については、導電性セラミックス材料と高温でのガラスの粘性との最適化が重要であることが分かった。これらの結果より、高い導電性と十分な接着性を実現させるインターコネクタとしては、高い導電性を担う導電部(本インターコネクタにおける第1の接合部に相当)と高い機械的強度を担う融着部(本インターコネクト構造における第2の接合部に相当)を分離することが望ましいとの結論に至った。
すなわち、導電部と融着部で高温での粘性が異なるガラスを用いることが重要であった。とくに、導電性セラミックス材料としてLSMを用いた際には、ガラス材料に高温での粘性が相対的に高い高粘性ガラスを用い、融着部のガラス材料に、高温での粘性がより低い中粘性ガラスを使用することが好適であることがわかった。また、これらの各部のガラス材料が高温で混合しないように、2mm以上のギャップを製造時に備えることが重要であることが分かった。融着時に両ガラスの混合が起こると、その導電率が著しく低下してしまったからである。
以上の知見をもとに、図1Aに示す囲い型の平板型インターコネクト構造を構築し、その導電性等を検討した。すなわち、導電部にLSMと10mass%の高粘性ガラス(既述の旭硝子製)、さらに融着部に中粘性ガラス(既述のショット製)を用いて、平板型インターコネクト構造を作製した。融着(熱処理)条件は、空気中、1000℃、1時間とした。得られた平板型インターコネクタを200℃と850℃の間で昇降温を繰り返し、そのときの各サイクルの850℃における界面抵抗(ASR)を調べた。その結果を、図7に示す。
図7に示すように、十分に低い界面抵抗と熱サイクルに対する耐久性を備えていることが分かった。このことは、作製したインターコネクト構造が好適な導電性を備えるとともに、良好なシール性(密着性)と機械的強度を有しており、しかも、金属材料を含まないために、熱膨張係数の相違もなく安定してインターコネクト構造が維持できたことによるものと考えられた。
Claims (16)
- 2以上のデバイスを導電接続するためのインターコネクト構造であって、
導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、
前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、
を、相互に分離して備える、インターコネクト構造。 - 前記2以上の第1の接合部を、マトリックス状に備える、請求項1に記載のインターコネクト構造。
- 前記1つの第2の接合部が、前記1又は2以上の第1の接合部を包囲するパターンを有するセグメントを少なくとも1つ備える、請求項1又は2に記載のインターコネクト構造。
- 前記セグメントを複数備える、請求項3に記載のインターコネクト構造。
- 前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、2以上のデバイスのうちの1つのデバイスの表面において、共通する高さを有してそのデバイス表面において前記高さを有する層を構成する、請求項1〜4のいずれかに記載のインターコネクト構造。
- 前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、金属材料を含有しない、請求項1〜5のいずれかに記載のインターコネクト構造。
- 前記1又は2以上の第1の接合部及び前記1又は2以上の第2の接合部は、いずれもガラス材料を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のインターコネクト構造。
- 前記1又は2以上の第1の接合部は、導電性セラミックス材料と第1の粘性のガラス材料とを含み、前記1又は2以上の第2の接合部は、前記第1の粘性よりも低い第2の粘性のガラス材料を含む、請求項7に記載のインターコネクト構造。
- 前記2以上のデバイスは、それぞれ緻密質無機材料表面を有し、これらの表面の間に導入するための、請求項1〜8のいずれかに記載のインターコネクト構造。
- 前記2以上のデバイスは、600℃以上900℃以下の高温域で使用するデバイスである、請求項1〜8のいずれかに記載のインターコネクト構造。
- 前記2以上のデバイスは、固体酸化物形燃料電池のスタック又はセルである、請求項1〜9のいずれかに記載のインターコネクト構造。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のインターコネクト構造を備える、固体酸化物形燃料電池。
- 前記固体酸化物形燃料電池は、燃料極材料、空気極材料と、固体電解質と、ガスを遮断するセパレータ構造と、を備えるセルの一括焼成体を含む、請求項12に記載の固体酸化物形燃料電池。
- 前記固体酸化物形燃料電池は、前記セルの少なくとも一方に、前記インターコネクト構造を有する層を備える、請求項13の固体酸化物形燃料電池。
- 前記固体酸化物形燃料電池は、平板型である、請求項12〜14のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
- 2以上のデバイスの接合体の製造方法であって、
前記2以上のデバイスが備える少なくとも1つの表面上の導電接続要求部位とガスシール要求部位とに、それぞれ、導電性材料を含む1又は2以上の導電性を有する第1の接合部と、前記第1の接合部よりも低導電性の1又は2以上の第2の接合部と、を分離して配置する工程と、
前記1又は2以上の第1の接合部と前記1又は2以上の第2の接合部とを、同時に熱処理して、前記2以上のデバイスを接合する工程と、
を備える、方法。
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PCT/JP2016/065101 WO2017199448A1 (ja) | 2016-05-20 | 2016-05-20 | インターコネクト構造及び固体酸化物形燃料電池 |
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JP2018518062A Pending JPWO2017199448A1 (ja) | 2016-05-20 | 2016-05-20 | インターコネクト構造及び固体酸化物形燃料電池 |
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