JPWO2017164335A1 - 多孔質膜形成用樹脂組成物及び多孔質膜 - Google Patents

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Abstract

熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を有する化合物又は重合体を含有する。

Description

本発明は、多孔質膜形成用樹脂組成物及び多孔質膜に関する。
ポリマー多孔質膜は、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜、集塵、精密濾過、膜分離など様々な用途に用いられている。特にポリイミド多孔質膜は、ポリイミド由来の優れた耐熱性、力学特性、耐薬品性を有するためその応用展開が期待されている。ポリイミド多孔質膜の製造法としては、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、蒸気誘起相分離法(VIPS)、熱誘起相分離法(TIPS)などの方法が知られている。
特許文献1には、非溶媒誘起相分離法によるポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。ここに開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、ビフェニルテトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルムに多孔質膜を積層した後、非溶媒に浸漬する操作を利用する方法である。
特許文献2には、蒸気誘起相分離法によるポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。ここに開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、ポリイミド前駆体0.3〜60重量%と溶媒99.7〜40重量%とからなる溶液をフィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物を蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させる操作を利用する方法である。
特許文献3には、凝固浴を用いずにポリイミド多孔質膜を製造する方法が開示されている。ここに開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、高沸点の非溶媒を予めポリアミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)に混合した後、成膜を行い、次いで加熱することで多孔質膜とするドライキャスト法である。さらに詳しく云うと、この文献には、ポリイミド前駆体とアミド系溶媒、そしてアミド系溶媒より15℃以上(好ましくは50℃以上)高い沸点を有するエーテル系溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液を基材上に流延してポリイミド前駆体膜を形成させ、次いで加熱乾燥・イミド化させる操作を利用するポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。この文献には、この方法では、互いの沸点が異なる溶媒を用いることにより、ポリイミド前駆体膜の加熱イミド化の際に発泡が起こり、気孔率の高いポリイミド多孔質膜が得られると説明されている。
特許文献4には、特許文献3に記載の方法により製造されたポリイミド多孔質膜に対して表面研磨処理あるいはレーザー照射などの表面処理を行うことにより気孔率がさらに向上したポリイミド多孔質膜が得られるとの開示がある。
特開平10−153480号公報 特開平11−265347号公報 特開2007−211136号公報(特許第4947989号公報) 特開2013−64122号公報
特許文献1と2に開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、凝固溶媒への浸漬もしくは接触という追加的な作業が必要となるため、ポリイミド多孔質膜(多孔質フィルム)の工業的な製造法としては不利となる。さらに、ポリイミド多孔質フィルムを工業的に製造する場合には、凝固浴等の厳密な管理も必要となることも有利とはいえない。
特許文献3に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法では、特許文献4の記載からも明らかなように、充分高い気孔率のポリイミド多孔質膜を得ることが難しいという問題がある。すなわち、特許文献3に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法を利用することにより膜厚が300μm以上の比較的厚い多孔質膜を得ることは出来るものの、膜厚が薄いと気孔率が顕著に低下し、このため膜厚が100μm以下で空孔率の高い多孔質膜を製造することは困難となる。これは、この文献に記載の方法では、ポリイミド前駆体溶液を支持体表面に流延し、加熱乾燥した際に、そのポリイミド前駆体溶液膜の大気接触面(A面)にポリイミド皮膜(スキン)層が形成されて、多孔質膜の両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られにくいためであると理解される。この理解は、特許文献4の記載からも裏付けられる。
従って、本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れ、空孔率(気孔率)が高いポリイミド多孔質膜を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の要旨を有するものである。
1.熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を有する化合物又は高分子化合物を含有することを特徴とする多孔質膜形成用樹脂組成物。
2.前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、前記高分子化合物を含有し、前記高分子化合物は、前記熱分解性官能基を有するモノマーを重合又は共重合させた重合体を含むものであることを特徴とする1に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
3.前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、テトラカルボン酸誘導体とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体及びそれをイミド化して得られるポリイミド、またはジイソシアネートとジアミン成分とを反応させて得られるポリウレアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合体又は共重合体を含み、前記少なくとも1種を含む重合体又は共重合体のうちの何れかは、前記熱分解性官能基を有するモノマーを重合又は共重合させたものであることを特徴とする1又は2に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
4.前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、テトラカルボン酸誘導体とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体及びそれをイミド化して得られるポリイミドを含み、前記熱分解性官能基を有するモノマーは、ジアミン化合物であることを特徴とする3に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
5.前記ジアミン成分として、前記熱分解性官能基を有するジアミンと、他のジアミン化合物とを含むことを特徴とする4に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
6.前記熱分解性官能基が、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)であることを特徴とする1〜5の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
7.前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、強酸を含有することを特徴とする1〜6の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
8.樹脂組成物1g中にt−ブトキシカルボニル基(Boc基)が0.5mmol以上含むことを特徴とする1〜7の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
9.樹脂組成物1g中に酸性官能基及び酸性化合物が合計で2mmol以上含むことを特徴とする1〜8の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
10.熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を有する化合物又は高分子化合物を含有することを特徴とする多孔質膜形成用樹脂組成物から得られた膜であって、前記熱分解性官能基を熱分解して発生したガス又は当該ガスと置換された空気を含む空隙を含むことを特徴とする多孔質膜。
本発明によれば、耐熱性、耐薬品性に優れ、空孔率(気孔率)が高いポリイミド多孔質膜を提供することが出来る。なおかつ、従来のポリイミド多孔質膜と比べてより簡便に製造が出来、部分的な多孔質膜化も可能であり、各種用途への展開が期待出来るものである。
実施例2の多孔質膜の断面のSEM観察写真である。 実施例3の多孔質膜の断面のSEM観察写真である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
<本発明の概要>
本発明は、熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を含む高分子塗布膜を形成する多孔質膜形成用樹脂組成物に関する。以下、それぞれの構成要件につき詳述する。
<多孔質膜形成用樹脂組成物>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物とは、熱分解性官能基を含む化合物又は高分子化合物及び溶媒を含有する組成物のことを表す。その中でも、多孔質膜の出来やすさ及び膜の安定性の観点から、熱分解性官能基を含む高分子化合物が用いられるのが好ましい。
すなわち、多孔質膜形成用樹脂組成物は、基本的には、高分子膜を形成するための少なくとも1種の前駆体又は重合体(以下、前駆体及び重合体をあわせて重合体ともいう)を含むが、これらの重合体のなかに、熱分解性官能基を含む重合体が含まれていればよい。この場合、重合体を製造する際に用いるモノマーとして、熱分解性官能基を有するモノマーが含まれており、かかるモノマーが反応、重合又は共重合して熱分解性官能基を含む重合体となる。
<熱分解性官能基>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられる、熱分解性官能基とは、加熱によりガスを発生させる官能基であれば、その構造は特に限定されないが、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、などを挙げることができる。脱ガスの温度及び効率の観点から、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)が特に好ましい。
<高分子化合物>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられる高分子化合物はポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等、その構造は、効率的に熱分解性官能基を導入出来る構造であれば特に限定はされず、上記構造を有する重合体の他、上記構造からから選択される二以上の構造を含む共重合体又は上記構造と他の構造を含む共重合体(重合体及び共重合体を単に重合体とも呼称することがある)であり、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミドおよびポリウアから選択される重合体、これらの中から選択される二以上の構造を含む共重合体、又はこれらの構造と他の構造を含む共重合体が、膜の機械的強度、安定性等の観点から好ましい。
<ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル>
ポリアミック酸及びポリアミック酸エステル(以下、ポリイミド前駆体とも称する)は、テトラカルボン酸誘導体とジアミン成分とを反応させて得られる。ポリイミド前駆体をイミド化すると、ポリイミドが得られる。
ポリイミド前駆体に熱分解性官能基を導入するためには、熱分解性官能基を導入したテトラカルボン酸誘導体及び/又は、熱分解性官能基を導入したジアミンを用いることが必要である。その中でも、原料合成及び重合の容易性の観点から、熱分解性官能基を導入したジアミンを用いることが好ましい。
<ポリイミド前駆体>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に含有されるポリイミド前駆体は、以下の式(1)で表す繰り返し単位を含有する。
Figure 2017164335
式中Xは、テトラカルボン酸誘導体由来の4価の有機基であり、Yはジアミン由来の2価の有機基であり、熱分解性官能基をその構造中に含有する。Rは、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキレンを表す。加熱時のイミド化反応の進行のしやすさの観点から、Rは水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。
及びAは、それぞれ独立して、水素原子又は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基である。液晶配向性の観点から、A及びAは水素原子、又はメチル基が好ましい。
<テトラカルボン酸誘導体>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に含有される、上記式(1)の構造単位を有する重合体を作製するためのテトラカルボン酸誘導体成分としては、テトラカルボン酸二無水物だけでなく、そのテトラカルボン酸誘導体であるテトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド化合物、テトラカルボン酸ジアルキルエステル化合物またはテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライド化合物を用いることもできる。
テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体としては、下記式(2)で示されるテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1つを用いることがより好ましい。
Figure 2017164335
は4価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではないが、多孔質膜化のしやすさの観点から、脂環式構造を有する4価の有機基であることが好ましい。具体例としては、下記式(X1−1)〜(X1−10)が挙げられる。
Figure 2017164335
式(X1−1)〜(X1−4)において、RからR23はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1〜6の1価の有機基、又はフェニル基であり、同一でも異なってもよい。液晶配向性の観点から、RからR23は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、水素原子、又はメチル基がより好ましい。式(X1−1)の具体的な構造としては、下記式(X1−11)〜(X1−16)で表される構造が挙げられる。多孔質膜の出来やすさ、及び膜の機械的強度の観点から(X1−11)が特に好ましい。
Figure 2017164335
のその他の具体例としては、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
<特定ジアミン1>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられるジアミン成分は、熱分解性官能基をその構造中に含有するジアミン(以下、特定ジアミン1とも称する)を含有する。上記式(1)の構造を持つ重合体の重合に用いられるジアミンは以下の式(3)で一般式化することが出来る。Yの構造を例示すると、以下の通りである。
Figure 2017164335
上記式(3)のA及びAは好ましい例も含めて、上記式(1)のA及びAと同様の定義である。
の構造中には、下記式(4)で表される構造を含有する。
Figure 2017164335
上記式(4)において、Dは熱分解性官能基であり、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などに代表されるカルバメート系の有機基が挙げられるが、熱による脱離の効率が良く、比較的低い温度で脱離し、脱離した際に無害な気体として排出されるという観点ではt−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。多孔質膜の出来やすさの観点から上記式(4)がベンゼン環に直結していることが好ましい。
上記式(4)で表される構造を含むYの具体例としては、以下のような構造が挙げられる。一分子内に複数のt−ブトキシカルボニル基を有する(Y−1)(Y−6)(Y−7)(Y−8)が特に好ましい。
Figure 2017164335
本発明で用いる多孔質膜形成用樹脂組成物においては、熱分解性官能基の濃度が重要である。高分子塗布膜(溶媒が蒸発したものとして)1g当たり、熱分解性官能基が0.5mmol以上、好ましくは1mmol以上含有されるのが望ましい。
<特定ジアミン2>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられるジアミン成分は、カルボン酸基をその構造中に含有するジアミン(以下、特定ジアミン2とも称する)を含有することが好ましい。カルボン酸基を含有することによって、多孔質膜化に必要な温度を下げることが出来る。
特定ジアミン2は、下記式で一般式化される。
Figure 2017164335
の構造中には、下記式(6)で表される構造を含有する。
Figure 2017164335
は炭素数6から30の芳香族環を有する有機基であり、nは1から4の整数である。
式(2)の好ましい構造としては、下記の式(7)から(11)の構造が挙げられる。
Figure 2017164335
式(7)中、m1は1から4の整数であり、式(8)中、Zは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−、又は−N(CH)CO−であり、m2、m3はそれぞれ0から4の整数を示し、かつm2+m3は1から4の整数を示し、式(9)中、m4、m5はそれぞれ1から5の整数であり、式(10)中、Zは炭素数1から5の直鎖又は分岐アルキル基であり、m6は1から5の整数であり、式(11)中、Zは単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−CF−、−C(CF−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−CON(CH)−、又は−N(CH)CO−であり、m7は1から4の整数である。
好ましくは、式(7)中、m1が1から2の整数である構造、式(8)中、Zが単結合、−CH−、−C−、−C(CH−、−O−、−CO−、−NH−、−N(CH)−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、又は−OCO−であり、m2及びm3は共に1の整数である構造、式(11)中、Zは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、又は−OCO−であり、m7は1から2の整数である構造である。なかでも、式(7)で表される構造が特に好ましい。
ジアミン化合物(B)の具体例としては、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2017164335
Figure 2017164335
式(Y-10)中、Xは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、又は−OCO−であり、式(Y-11)中、Xは単結合、−CH−、−O−、−CO−、−NH−、−CONH−、−NHCO−、−CHO−、−OCH−、−COO−、又は−OCO−である。
また、本発明で用いる多孔質膜形成用樹脂組成物においては、熱分解性官能基の濃度同様、上述したカルボン酸基の濃度も重要である。80℃5分乾燥膜の残溶媒を除く全固形物1g中に存在する熱分解性官能基の量とカルボン酸の量の積が、5.7×10−6mol以上であることが、多孔質化の効率上の観点から好ましい。80℃5分乾燥膜の残溶媒を除く全固形物1g中に存在する熱分解性官能基の量とカルボン酸の量の積が、4.1×10−6mol以上であることが、多孔質化の効率上の観点から好ましい。特に好ましくは5.7×10−6mol以上である。
<その他のジアミン>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられるジアミン成分には、上述した特定ジアミン1、2の他に、本発明の効果を奏し得る程度において、他のジアミンを含有していても良い。その他のジアミンの構造については、特に限定されないが、例えば以下のように一般式化される。
Figure 2017164335
の具体的な構造としては、以下の構造が列挙される。
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
Figure 2017164335
<ポリウレア>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられる高分子化合物がポリウレアである場合、その原料であるジイソシアネート成分としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。好ましいジイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートである。
ここで、芳香族ジイソシアネートとは、ジイソシアネート構造(O=C=N−R−N=C=O)のRの基が、芳香族環を含む構造を含むものをいう。また脂肪族ジイソシアネートとは、前記イソシアネート構造のRの基が、環状または非環状の脂肪族構造からなるものをいう。
芳香族ジイソシアネートの具体例としては、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p − フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート類(例えば、2,4−ジイソシアン酸トリレン)、1,4−ジイソシアン酸−2−メトキシベンゼン、2,5−ジイソシアン酸キシレン類、2,2’−ビス(4−ジイソシアン酸フェニル)プロパン、4,4’−ジイソシアン酸ジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアン酸ジフェニルエーテル、4,4’−ジイソシアン酸ジフェニルスルホン、3,3’−ジイソシアン酸ジフェニルスルホン、2,2’−ジイソシアン酸ベンゾフェノン等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、好ましくは、2,4−ジイソシアン酸トリレンが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルエチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、好ましくは、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。なかでも、イソホロンジイソシアネートと2,4−ジイソシアン酸トリレンが重合反応性、電圧保持率の観点から好ましく、さらに、イソホロンジイソシアネートが、入手性、重合反応性、電圧保持率の観点からより好ましい。
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いられる高分子化合物がポリウレアである場合、その原料であるジアミン成分の種類及び要件については、上述したジアミン化合物と同様である。
<ポリアミック酸エステルの製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、以下に示す(1)、(2)又は(3)の方法で合成することができる。
(1)ポリアミック酸から合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼン、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(2)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、モノマーおよびポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
(3)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンからポリアミック酸エステルを合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルが好ましい。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(1)又は上記(2)の合成法が特に好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
<ポリアミック酸の製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸は、以下に示す方法により合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間反応させることによって合成できる。
上記の反応に用いる有機溶媒は、モノマーおよびポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。ポリマーの濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
上記のようにして得られたポリアミック酸は、反応溶液をよく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させて回収することができる。また、析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥することで精製されたポリアミック酸の粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
<ポリイミドの製造方法>
本発明に用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたいポリアミック酸エステルを、有機溶媒中において塩基性触媒存在下で撹拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもトリエチルアミンは反応を進行させるのに充分な塩基性を持つので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸エステル基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。イミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
<溶媒>
以上説明したように製造される熱分解性官能基を含む高分子化合物は、適宜混合される溶媒と共に多孔質膜形成用樹脂組成物とされる。
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物に用いる溶媒は、本発明に記載のポリイミド前駆体及びポリイミドを溶解させる溶媒(良溶媒ともいう)であれば特に限定されない。下記に、良溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどを挙げることができる。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
更に、本発明に記載のポリイミド前駆体及びポリイミドの溶媒への溶解性が高い場合は、下記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒を用いることが好ましい。
Figure 2017164335
式[D−1]中、Dは炭素数1〜3のアルキル基を示し、式[D−2]中、Dは炭素数1〜3のアルキル基を示し、式[D−3]中、Dは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
液晶配向剤における良溶媒は、溶媒全体の20〜99質量%であることが好ましく、20〜90質量%がより好ましく、30〜80質量%が特に好ましい。
液晶配向剤は、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向剤を塗布した際の液晶配向膜の塗膜性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒ともいう)を含有することができる。これら貧溶媒は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の1〜80質量%が好ましい。なかでも、10〜80質量%が好ましい。より好ましいのは20〜70質量%である。
下記に、貧溶媒の具体例を挙げるが、これらの例に限定されるものではない。例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル又は前記式[D−1]〜式[D−3]で示される溶媒などを挙げることができる。
なかでも、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート又はジプロピレングリコールジメチルエーテルを用いることが好ましい。
本発明で用いる多孔質膜形成用樹脂組成物は、他の成分として、エポキシ基、イソシアネート基、オキセタン基又はシクロカーボネート基を有する架橋性化合物、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基及び低級アルコキシアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物、又は重合性不飽和結合を有する架橋性化合物を導入しても良い。
エポキシ基又はイソシアネート基を有する架橋性化合物としては、例えば、ビスフェノールアセトングリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルアミノジフェニレン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ビスフェノールヘキサフルオロアセトジグリシジルエーテル、1,3−ビス(1−(2,3−エポキシプロポキシ)−1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロメチル)ベンゼン、4,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)オクタフルオロビフェニル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、2−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−2−(4−(1,1−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)エチル)フェニル)プロパン又は1,3−ビス(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−(4−(1−(4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチル)フェノキシ)−2−プロパノールなどが挙げられる。
オキセタン基を有する架橋性化合物は、下記式[4A]で示されるオキセタン基を少なくとも2個有する化合物である。
Figure 2017164335
具体的には、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の58〜59頁に掲載される式[4a]〜式[4k]で示される架橋性化合物が挙げられる。
シクロカーボネート基を有する架橋性化合物としては、下記式[5A]で示されるシクロカーボネート基を少なくとも2個有する架橋性化合物である。
Figure 2017164335
具体的には、国際公開公報WO2012/014898号(2012.2.2公開)の76〜82頁に掲載される式[5−1]〜式[5−42]で示される架橋性化合物が挙げられる。
ヒドロキシル基及びアルコキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を有する架橋性化合物としては、例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するアミノ樹脂、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂又はエチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。具体的には、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基又はその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、又はグリコールウリルを用いることができる。このメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体は、2量体又は3量体として存在することも可能である。これらはトリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個以下有するものが好ましい。
上記のメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のトリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、三和ケミカル社製)やサイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(以上、三井サイアナミド社製)が挙げられる。また、グリコールウリルの例として、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリルなど、パウダーリンク1174のようなメトキシメチロール化グリコールウリル等が挙げられる。
ヒドロキシル基又はアルコキシル基を有するベンゼン又はフェノール性化合物としては、例えば、1,3,5−トリス(メトキシメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(イソプロポキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(sec−ブトキシメチル)ベンゼン又は2,6−ジヒドロキシメチル−p−tert−ブチルフェノールが挙げられる。
より具体的には、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の62〜66頁に掲載される、式[6−1]〜式[6−48]の架橋性化合物が挙げられる。
重合性不飽和結合を有する架橋性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン又はグリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に3個有する架橋性化合物、更に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドビスフェノール型ジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート又はヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を分子内に2個有する架橋性化合物、加えて、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルリン酸エステル又はN−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基を分子内に1個有する架橋性化合物等が挙げられる。
更に、下記式[7A]で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2017164335
(式[7A]中、Eはシクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環、ベンゼン環、ビフェニル環、ターフェニル環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環又はフェナントレン環からからなる群から選ばれる基を示し、Eは下記式[7a]又は式[7b]から選ばれる基を示し、nは1〜4の整数を示す)。
Figure 2017164335
上記は架橋性化合物の一例であり、これらに限定されるものではない。また、本発明の液晶配向剤に用いる架橋性化合物は、1種類でも、2種類以上組み合わせてもよい。
本発明の液晶配向剤における、架橋性化合物の含有量は、全ての重合体成分100質量部に対して、0.1〜150質量部が好ましい。なかでも、架橋反応が進行し目的の効果を発現させるためには、重合体成分100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましい。より好ましいのは、1〜50質量部である。
本発明の液晶配向剤は、本発明の効果を損なわない限り、液晶配向剤を塗布した際の液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物を用いることができる。
液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。
より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(以上、大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(以上、住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(以上、旭硝子社製)などが挙げられる。
界面活性剤の使用量は、液晶配向剤に含有される全ての重合体成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
更に、液晶配向剤には、液晶配向膜中の電荷移動を促進して素子の電荷抜けを促進させる化合物として、国際公開公報WO2011/132751号(2011.10.27公開)の69〜73頁に掲載される、式[M1]〜式[M156]で示される窒素含有複素環アミン化合物を添加することもできる。このアミン化合物は、液晶配向剤に直接添加しても構わないが、濃度0.1〜10質量%、好ましくは1〜7質量%の溶液にしてから添加することが好ましい。この溶媒は、特定重合体(A)を溶解させるならば特に限定されない。
本発明の液晶配向剤には、上記の貧溶媒、架橋性化合物、樹脂被膜又は液晶配向膜の膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物及び電荷抜けを促進させる化合物の他に、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、本発明に記載の重合体以外の重合体、配向膜と基板との密着性を向上させる目的のシランカップリング剤、さらには塗膜を焼成する際にポリイミド前駆体の加熱によるイミド化を効率よく進行させる目的のイミド化促進剤等を添加しても良い。
本発明で用いる多孔質膜形成用樹脂組成物においては、熱分解性官能基の濃度が重要である。例えば、80℃5分乾燥膜の残溶媒を除く全固形物とした高分子塗布膜1g当たり、熱分解性官能基が0.5mmol以上、好ましくは、1mmol以上含有されるのが望ましい。
また、上述したカルボン酸基の濃度も重要であり、80℃5分乾燥膜の残溶媒を除く全固形物とした高分子塗布膜1g当たり、2mmol以上、好ましくは、2.5mmol以上含有されるのが望ましい。
<膜形成工程>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物を用いることにより、多孔質膜を形成することができる。具体的な手順の一例は、以下の通りである。
まず、熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を含む高分子塗布膜を形成する膜形成工程を具備する。
膜形成工程は、熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を含む高分子塗布膜を形成するための多孔質膜形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する工程を必須とし、乾燥工程は含まなくてもよい。すなわち、多孔質膜形成用樹脂組成物を塗布後、すぐに高温加熱して多孔化工程を実施してもよい。
また、膜形成工程は、塗膜を乾燥する工程を含んでもよい。塗膜を乾燥する工程は、自然乾燥でも、塗膜を加温して乾燥してもよい。乾燥工程での加温は、後述する多孔化工程とは異なり、樹脂組成物に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去すればよく、完全に溶媒が除去されるまで加温してはならない。且つ熱分解性官能基の熱分解が生じない条件で行う必要があり、例えば、100℃未満の温度を付与することをいう。
塗布工程で用いる塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
多孔質膜形成用樹脂組成物を基板上に塗布した後の乾燥工程は、ホットプレートなどの加熱手段により40℃から150℃、好ましくは60℃から130℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、好ましくは0.5μmから500μm、より好ましくは5μmから100μmである。
<多孔化工程>
次いで、高分子塗布膜を加熱することにより、前記熱分解性官能基を分解し、多孔質膜とする多孔化工程とを具備する。
多孔化工程は、高分子塗布膜を加熱することより、高分子塗布膜中に含有される熱分解性官能基を熱分解する工程であり、熱分解性官能基が熱分解して脱離する(脱ガスする)ことにより(脱ガス工程)、気体となり、高分子塗布膜中に空隙を形成し、多孔膜とする工程である。この多孔化工程の詳細は後述するが、加熱温度は、熱分解性官能基が熱分解する温度であればよく、100℃以上、好ましくは、150℃以上である。
脱ガス工程は、この多孔化工程まで、例えば、上述した乾燥工程やその後において生じないことが重要であり、この多孔化工程で全ての脱ガス工程を完結するのが好ましい。
<多孔質膜>
以上のようにして製造された多孔質膜は、膜厚方向に長い柱状の空隙を有する多孔質構造を有する。多孔質構造の空隙の大きさは、膜厚によって異なるが、幅1〜10μm程度、高さ1〜30μm程度の大きさとなる。
上述した多孔化工程により、乾燥工程後の膜のヘーズ値が0%であるのに対し、ヘーズ値が10〜85%の白濁した膜となる。
<多孔質膜の用途>
本発明の多孔質膜形成用樹脂組成物を用いることにより製造された多孔質膜は、優れた耐熱性、力学特性、耐薬品性を有し、膜中に大量の空隙が存在するため誘電率が低く、Low−k材料としての応用が期待できる。また、空隙に存在する空気は容易に液体にも置換可能であり、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜への応用も期待できる。また、膜中にカルボン酸やスルホン酸などの酸性基を含有するため、プロトン輸送能が発現されるため燃料電池における固体電解質や正極、負極用バインダーへの応用も期待できる。また、フッ素基やアルキル側鎖といった撥水性を付与させる官能基の導入も可能であり、エレクトレットとして使用する際に高い性能と耐久性が期待できる。また、防音材や断熱材への応用も期待できる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本実施例及び比較例で使用した化合物の略号、及び各特性の測定方法は、以下のとおりである。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
DA−1:下記式(DA−1)参照
DA−2:4,4´−ジアミノジフェニルメタン
DA−3:下記式(DA−3)参照
DA−4:下記式(DA−4)参照
DA−5:下記式(DA−5)参照
DA−6:下記式(DA−6)参照
DA−7:3,5−ジアミノ安息香酸
DA−8:下記式(DA−8)参照
DA−9:下記式(DA−9)参照
DAH−1:シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
DAH−2:下記式(DAH−2)参照
DAH−3:ピロメリット酸二無水物
DAH−4:下記式(DAH−4)参照
DI−1:下記式(DI−1)参照


Figure 2017164335
実施例で使用した各特性の測定方法は、以下のとおりである。
[ヘーズ値の測定]
透明電極付きガラス基板上に塗布されたフィルムを、フィルムの塗布されていない透明電極付きガラス基板をリファレンスとして、分光ヘーズメーター(TC−1800H)((有)東京電色製)にてヘーズ値を測定した。
[膜厚の測定]
透明電極付きガラス基板上に塗布されたフィルムの一部をカッターの刃で基板面まで削り取って生じた段差を干渉顕微鏡(ContourGT−K)(ブルカーエイエックス株式会社製)にて測定することでフィルムの膜厚を測定した。
[誘電率の測定]
透明電極付きガラス基板上に塗布されたフィルムに表面積4mmのアルミニウム電極を真空蒸着した後、LCRメーター(ZM2354)(株式会社エムエフ回路設計ブロック社製)を用い1V1KHzの条件にて誘電率を測定した。
(合成例1)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を13.05g(55mmol)取り、NMPを37g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を10.25g(52.25mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−1)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、4.32Pa・sであった。
(合成例2)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を7.12g(30mmol)、DA−2を6.01g(30mmol)取り、NMPを37g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を11.18g(57mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−2)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、5.16Pa・sであった。
(合成例3)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−2を12.01g(60mmol)取り、NMPを35g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を10.35g(52.8mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−3)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、4.55Pa・sであった。
(合成例4)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を11.87g(50mmol)取り、NMPを40g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−2を12.19g(48.75mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、60℃で48時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−4)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、4.13Pa・sであった。
(合成例5)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を12.58g(53mmol)取り、NMPを58g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−3を10.98g(50.35mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−5)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、9.66Pa・sであった。
(合成例6)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を10.68g(45mmol)取り、NMPを43g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−4を12.58g(42.75mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−6)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、7.88Pa・sであった。
(合成例7)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を6.53g(27.5mmol)、DA−3を6.58g(22.5mmol)取り、NMPを44g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を9.31g(47.5mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−7)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、4.18Pa・sであった。
(合成例8)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を6.80g(28.67mmol)、DA−4を7.52g(18.33mmol)取り、NMPを40g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を8.76g(44.65mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−8)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、4.36Pa・sであった。
(合成例9)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DAH−1を9.81g(50mmol)取り、NMPを46g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。この酸無視物溶液を撹拌しながらDA−1を6.64g(28mmol)、DA−5を7.25g(20mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−9)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、10.49Pa・sであった。
(合成例10)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を12.79g(53.9mmol)、DA−6を0.38g(1.1mmol)取り、NMPを40g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を10.25g(52.25mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−12)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、5.42Pa・sであった。
(合成例11)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−1を5.58g(23.5mmol)、DA−7を4.03g(26.5mmol)取り、NMPを45g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を9.41g(48mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−13)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、4.74Pa・sであった。
(合成例12)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−7を10.65g(70mmol)取り、NMPを56g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を13.04g(66.5mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−14)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、7.40Pa・sであった。
(合成例13)
撹拌子を入れた50mlサンプル管に合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を17.56g取り、合成例14で得られたポリアミック酸溶液(PAA−14)を15.89g入れ室温で24時間撹拌し混ぜ合わせ、ポリアミック酸溶液(PAA−15)を得た。
(合成例14)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−8を17.81g(32mmol)取り、NMPを41g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を5.90g(30.08mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−19)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、10.24Pa・sであった。
(合成例15)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−8を12.25g(22mmol)取り、DA−7を3.35g(22mmol)取り、NMPを38g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を8.24g(42.02mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−20)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、7.28Pa・sであった。
(合成例16)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−2を5.61g(28mmol)、DA−9を8.16g(28mmol)取り、NMPを37g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を9.88g(50.4mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−22)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業製)で確認したところ、5.76Pa・sであった。
(合成例17)
撹拌装置付き及び窒素導入管付きの100mL四つ口フラスコに、DA−8を17.26g(31mmol)取り、NMPを40g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながらDAH−1を3.34g(17.05mmol)、DI−1を2.85g(12.4mmol)添加し、更に固形分濃度が25質量%になるようにNMPを加え、60℃で24時間撹拌してポリアミック酸/ポリウレア共重合体溶液(PAA/PU−1)を得た。このポリアミック酸/ポリウレア共重合体溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業製)で確認したところ、2.19Pa・sであった。
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度250℃の熱風循環式オーブンで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が81%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例2)
合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度230℃の熱風循環式オーブンで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が73%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
この多孔質膜の比誘電率を測定したところ、3.85Pa・sであった。
この多孔質膜を下地の透明電極付きガラス基板ごとFIBにて断面資料を作成し、SEM観察を行った。その結果、膜内には直径10μm程度の多孔質構造(図1(a)参照)と、孔内の壁面に数100nmの細孔(図1(b)参照)の存在が確認された。
(実施例3)
合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度250℃の熱風循環式オーブンで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が81%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
この多孔質膜の比誘電率を測定したところ、2.10Pa・sであった。
この多孔質膜を下地の透明電極付きガラス基板ごとFIBにて断面資料を作成し、SEM観察を行った。その結果、膜内には幅10μm程度、高さ30μm程度の多孔質構造(図2(a)参照)と、孔内の壁面に数100nmの細孔(図2(b)参照)の存在が確認された。
(比較例1)
合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−3)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度250℃の熱風循環式オーブンで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が0%の透明な膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に空気孔が存在しなかった。
(比較例2)
撹拌子を入れた50mLサンプル管に合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA−3)を25.3g取り、DA−1を2.62g加え、室温で24時間撹拌し溶解させた。24時間前後の粘度変化がなかったことからDA−1はポリアミック酸と反応せずに溶媒中に溶解しただけだということが分かった。このDA−1が溶解したポリアミック酸溶液を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度250℃の熱風循環式オーブンで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が0%の透明な膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に空気孔が存在しなかった。
(実施例4)
合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度190℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が80%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例5)
合成例1で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上に実施例3と同様の条件でスピンコートし、温度190℃のホットプレート上で5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が80%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例6)
合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度190℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が79%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例7)
合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上に実施例5と同様の条件でスピンコートし、温度190℃のホットプレート上で5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が80%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例8)
合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−4)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度210℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が82%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例9)
合成例5で得られたポリアミック酸溶液(PAA−5)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度250℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が51%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例10)
合成例6で得られたポリアミック酸溶液(PAA−6)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度220℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が78%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例11)
合成例7で得られたポリアミック酸溶液(PAA−7)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度210℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が83%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例12)
合成例8で得られたポリアミック酸溶液(PAA−8)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度250℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が53%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例13)
合成例9で得られたポリアミック酸溶液(PAA−9)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度230℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が81%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例14)
合成例10で得られたポリアミック酸溶液(PAA−12)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度200℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が72%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例15)
合成例11で得られたポリアミック酸溶液(PAA−13)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度170℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が80%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例16)
撹拌子を入れた50mLサンプル管に合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を35.13g取り、パラトルエンスルホン酸一水和物を0.6811g入れ室温で24時間撹拌し混ぜ合わせた。
このポリアミック酸溶液を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度180℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が84%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例17)
合成例13で得られたポリアミック酸溶液(PAA−15)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度170℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が77%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例18)
合成例14で得られたポリアミック酸溶液(PAA−19)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度180℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が82%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例19)
合成例15で得られたポリアミック酸溶液(PAA−20)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度155℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が83%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例20)
合成例16で得られたポリアミック酸溶液(PAA−22)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレートで5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度170℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が84%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(実施例21)
合成例17で得られたポリアミック酸/ポリウレア共重合溶液(PAA/PU−1)を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上にスピンコートし、温度80℃のホットプレートで5分間乾燥させ、膜厚20μmの透明な膜を得た。その後、温度190℃のホットプレートで5分間焼成を行ったところ、ヘーズ値が83%の白濁した膜が得られた。この焼成膜を顕微鏡観察したところ、膜内に均一に空気孔を有する多孔質膜であった。
(試験例1)
撹拌子を入れた50mLサンプル管に合成例15で得られたポリアミック酸溶液(PAA−20)を12.67g取り、NMPを19.01g加え、室温で24時間撹拌してポリアミック酸溶液(PAA−21)を得た。このポリアミック酸溶液の温度25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製)で確認したところ、71.7mPa・sであった。
このPAA−21を、厚さ1.1mmの透明電極付きガラス基板上に種々の回転数でスピンコートし、温度80℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、膜厚440〜1220nmの透明な膜を得た。その後、温度300℃のホットプレートで5分間焼成を行った。この膜のヘーズ値測定と顕微鏡観察の結果を表1にまとめる。
この結果、粘度が71.7mPa・sである多孔質膜樹脂組成物に関しては、膜厚が550〜1220nmの高分子塗布膜とした場合に、多孔質膜が得られたが、440〜490nmの場合には、多孔質化しなかったことがわかった。なお、これは特定の粘度での試験にすぎず、多孔質化するのが550〜1220nmの高分子塗布膜だけであることを示すものではない。
Figure 2017164335

Claims (10)

  1. 熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を有する化合物又は高分子化合物を含有する
    ことを特徴とする多孔質膜形成用樹脂組成物。
  2. 前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、前記高分子化合物を含有し、前記高分子化合物は、前記熱分解性官能基を有するモノマーを重合又は共重合させた重合体を含むものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  3. 前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、テトラカルボン酸誘導体とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体及びそれをイミド化して得られるポリイミド、またはジイソシアネートとジアミン成分とを反応させて得られるポリウレアからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合体又は共重合体を含み、前記少なくとも1種を含む重合体又は共重合体のうちの何れかは、前記熱分解性官能基を有するモノマーを重合又は共重合させたものである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  4. 前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、テトラカルボン酸誘導体とジアミン成分とを反応させて得られるポリイミド前駆体及びそれをイミド化して得られるポリイミドを含み、
    前記熱分解性官能基を有するモノマーは、ジアミン化合物である
    ことを特徴とする請求項3に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  5. 前記ジアミン成分として、前記熱分解性官能基を有するジアミンと、他のジアミン化合物とを含む
    ことを特徴とする請求項4に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  6. 前記熱分解性官能基が、t−ブトキシカルボニル基(Boc基)である
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  7. 前記多孔質膜形成用樹脂組成物は、強酸を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  8. 樹脂組成物1g中にt−ブトキシカルボニル基(Boc基)が0.5mmol以上含む
    ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  9. 樹脂組成物1g中に酸性官能基及び酸性化合物が合計で2mmol以上含むことを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の多孔質膜形成用樹脂組成物。
  10. 熱により分解してガスを発生する熱分解性官能基を有する化合物又は高分子化合物を含有することを特徴とする多孔質膜形成用樹脂組成物から得られた膜であって、前記熱分解性官能基を熱分解して発生したガス又は当該ガスと置換された空気を含む空隙を含むことを特徴とする多孔質膜。
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