JPWO2017164164A1 - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ラジカル重合開始剤、多官能のラジカル重合性化合物、およびゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクの液滴を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体の表面に着弾させる工程と、記録媒体に着弾させた前記液滴に活性光線を照射する工程と、を含む、画像形成方法に関する。上記インクジェットインクの、多官能のラジカル重合性化合物(B)の全質量に対するラジカル重合開始剤(A)の質量の割合((A)/(B))は、0.01以上0.07未満であり、上記活性光線の照射は、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で行われる。本発明の画像形成方法は、ゲルインクを用いてインクジェット方法で画像を形成する際に、ブルーミングが生じにくく、かつ、折り割れも生じにくい画像を形成することができる。

Description

本発明は、画像形成方法に関する。
インクジェット記録方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェットインクの一種として、活性光線を照射されることで硬化する光重合性化合物および光重合開始剤を含有するインク(以下、単に「活性光線硬化型インク」ともいう。)が知られている。活性光線硬化型インクの液滴を記録媒体の表面に着弾させ、着弾した液滴に活性光線を照射すると、インクが硬化してなる硬化膜が記録媒体の表面に形成される。この硬化膜を形成していくことで、所望の画像を形成することができる。活性光線硬化型インクによる画像形成方法は、記録媒体の吸水性にかかわらずに高い密着性を有する画像を形成できることから、注目されている。
活性光線硬化型インクの一種として、ゲル化剤を含有して、温度変化により可逆的にゾルゲル相転移するインク(以下、単に「ゲルインク」ともいう。)が開発されている。ゲルインクは、加温されてゾル状態になってインクジェットヘッドのノズルから吐出された後、記録媒体の表面に着弾すると、冷却されてゲル化するため、着弾後のピニング性が高いという特性を有する。記録媒体の表面でピニングしたゲルインクに、活性光線を照射することで、ゲルインクが硬化して画像が形成される。
さらに、記録媒体の表面に着弾したゲルインクの液滴に、インクの周囲に存在する酸素の量を制御しながら活性光線を照射して、画像を形成する方法が知られている。たとえば、特許文献1には、記録媒体の表面に着弾したゲルインクの液滴に、酸素濃度を調整した雰囲気で活性光線を照射することで、形成される画像の光沢を制御する方法が記載されている。
ゲルインク以外の活性光線硬化型インクを用いて、酸素濃度を調整した雰囲気で活性光線を照射する画像形成方法が、知られている。活性光線硬化型インクには、上記光重合性化合物として、ラジカル重合性の化合物およびカチオン重合性の化合物がよく用いられる。これらのうち、ラジカル重合性の光重合性化合物(以下、単に「ラジカル重合性化合物」ともいう。)は、酸素によって重合が阻害されやすいことが知られている。酸素によって重合が阻害されると、活性光線硬化型インクが硬化して形成される硬化膜の硬度が低下して、耐擦性が低下したり、ブロッキングが発生しやすくなったり、また、未反応のラジカル重合性化合物が揮発して臭気を発したりすることがある。これに対し、活性光線の照射時(インクの重合時)にインクの周囲に存在する酸素の量(酸素濃度または酸素分圧)を低減すれば、酸素による重合の阻害を抑制できると考えられている。
たとえば、特許文献2には、酸素分圧が1.5×10−2MPa以下の条件で、記録媒体の表面に着弾した活性光線硬化型インクの液滴に活性光線を照射することで、酸素による重合の阻害が抑制されると記載されている。特許文献2では、さらに、活性光線硬化型インクが含有するラジカル重合性化合物のうち80質量%以上を多官能の重合性化合物として、反応性の官能基を増やすことで、未反応のラジカル重合性化合物の残存または揮発が抑制できると記載されている。
また、特許文献3には、ラジカル重合開始剤の量とラジカル重合性化合物の量の比(ラジカル重合開始剤の量/ラジカル重合性化合物の量)が0.02以上0.16である活性光線硬化型インクの液滴に、酸素濃度が大気濃度未満の環境で活性光線を照射することで、未反応のラジカル重合性化合物または未反応のラジカル重合開始剤の残存または揮発を抑制できると記載されている。また、特許文献3には、2官能のラジカル重合性化合物は反応速度が速いため、未反応のラジカル重合性化合物または未反応のラジカル重合開始剤を残存させにくいと記載されている。
特開2010−17710号公報 特開2014−159114号公報 特開2015−80921号公報
特許文献1には、記録媒体の表面に着弾したゲルインクの液滴に、酸素の量を調整した雰囲気で活性光線を照射することで、形成される画像の光沢を制御できると記載されている。しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されているゲルインクを用いて形成した画像では、硬化膜の表面にゲル化剤が析出するブルーミングが生じやすく、画像の美観が失われやすかった。
これに対し、特許文献1の実施例では、多官能の光重合性化合物の割合を増やして硬化膜内に密な架橋構造を形成させ、光重合性化合物を十分に重合および架橋させたりすることで、硬化膜内でのゲル化剤の移動を制限して、ブルーミングを発生しにくくしていると考えられる。しかし、この方法では、画像形成後に記録媒体を折り曲げたとき、画像に割れ(以下、折り曲げによって発生する画像の割れを単に「折り割れ」ともいう。)が生じやすかった。このように、ブルーミングの抑制および折り割れの抑制を両立させることは難しかった。
本発明者の検討によれば、上記折り割れの発生は、特許文献2および特許文献3に記載の、酸素濃度を低減した雰囲気で多官能のラジカル重合性化合物を含有する活性光線硬化型インクを硬化させる方法でも顕著にみられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ゲルインクを用いてインクジェット方法で画像を形成する際に、ブルーミングが生じにくく、かつ、折り割れも生じにくい、画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は以下の手段により解決されるものである。
[1]ラジカル重合開始剤(A)、多官能のラジカル重合性化合物(B)、およびゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、多官能のラジカル重合性化合物(B)の全質量に対するラジカル重合開始剤(A)の全質量の割合((A)/(B))が0.01以上0.07未満であるインクジェットインクの液滴を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体の表面に着弾させる工程と、記録媒体に着弾させた前記液滴に、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射する工程と、を含む、画像形成方法。
[2]前記インクジェットインクは、前記多官能のラジカル重合性化合物に3官能以上のラジカル重合性化合物を含み、前記インクジェットインクの全質量に対する前記3官能以上のラジカル重合性化合物の質量の割合は、40質量%以上である、[1]に記載の画像形成方法。
[3]前記インクジェットインクは、前記ラジカル重合開始剤に分子量が350以上であるラジカル重合開始剤を含む、[1]または[2]に記載の画像形成方法。
[4]前記インクジェットインクは、前記ゲル化剤に12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の画像形成方法。
[5]前記記録媒体の厚みは0.6mm以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の画像形成方法。
[6]前記活性光線を照射する工程は、前記記録媒体の表面温度を20℃以上40℃以下に制御して行われる、[1]〜[5]のいずれかに記載の画像形成方法。
[7]前記着弾させる工程は、互いに組成が異なる複数種の前記インクジェットインクの液滴を、それぞれ記録媒体に着弾させる工程である、[1]〜[6]のいずれかに記載の画像形成方法。
本発明によれば、ゲルインクを用いてインクジェット方法で画像を形成する際に、ブルーミングが生じにくく、かつ、折り割れも生じにくい、画像形成方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置を示す側面図である。 図2は、本発明の別の実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置を示す側面図である。 図3は、本発明のさらに別の実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置を示す側面図である。
本発明者は、鋭意研究の結果、ラジカル重合開始剤(成分A)、多官能のラジカル重合性化合物(成分B)、およびゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、多官能のラジカル重合性化合物(B)の全質量に対するラジカル重合開始剤(A)の全質量の割合(以下、単に「(A)/(B)」ともいう。)が0.01以上0.07未満であるインクジェットインク(以下、単に「成分調整ゲルインク」ともいう。)を用いて、記録媒体の表面に着弾した上記成分調整ゲルインクに、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射して画像を形成することで、ブルーミングの発生および折り割れの発生を抑制できることを見出し、もって本発明を完成させた。
上記方法でブルーミングの発生および折り割れの発生が抑制される作用機序について、本発明者は以下のように推測している。
ブルーミングを抑制する観点からは、多官能のラジカル重合性化合物の割合を増やして硬化膜内に密な架橋構造を形成させたり、酸素濃度を低減してラジカル重合性化合物を十分に重合および架橋させたりする方法は有効である。この方法によれば、ラジカル重合性化合物が架橋して生じる網目状の密な炭化水素鎖が硬化膜の内部に形成されやすい。この網目状の炭化水素鎖は、結晶化したゲル化剤の硬化膜内部での移動を阻害するため、ゲル化剤を硬化膜の表面に移動しにくくして、ブルーミングを生じにくくすると考えられる。しかし、これらの方法では、密に形成された炭化水素鎖によって硬化膜の硬度が高くなるため、折り割れが発生しやすくなるという問題がある。
一方で、単官能のラジカル重合性化合物の量を多くし、かつ、ラジカル重合開始剤の量を少なくして、硬化膜の硬度を低くすれば、折り曲げは生じにくくなると考えられる。しかし、単官能のラジカル重合性化合物の量を多くすると、上記網目状の密な炭化水素鎖が形成されにくいため、結晶化したゲル化剤が硬化膜内部で移動しやすくなる。また、ラジカル重合開始剤の量を少なくすると、硬化膜の表面の硬度を十分に高くすることができない。このようなインクにゲル化剤を含有させてインクのピニング性を高めようとすると、結晶化したゲル化剤が硬化膜の表面から析出してしまい、ブルーミングが生じやすくなる。
これに対し、本発明者は、硬化膜の内部に存在するゲル化剤が、硬化膜に適度な柔軟性を付与して、折り割れを発生しにくくすることを見出した。本発明者は、さらに研究を進めて、多官能の光重合化合物を含有し、かつ、ラジカル重合開始剤の量を少なくして、架橋構造の密度を適度に調整したインクにおいて、さらに上記ゲル化剤の作用を発揮させることで、適度な柔軟性を有する硬化膜を形成させる方法を開発した。これにより、形成された画像の折り割れが生じにくくなると考えられる。
しかし、画像の折り割れが生じにくい程度にラジカル重合性化合物の重合および架橋の度合いを調整すると、硬化膜の表面の硬度が不十分となるため、逆にブルーミングが生じやすくなる。これに対し、本発明者は、インクの液滴に活性光線を照射してラジカル重合性化合物を重合および架橋させる際に、雰囲気の酸素濃度を適度に低下させることで、硬化膜の表面近傍ではより架橋構造の密度をより高めて、硬化膜の表面の硬度を高め、ブルーミングを抑制させることができることを見出した。また、酸素濃度を適度に低下させることで、インクの液滴と記録媒体との接触面でも光重合性化合物が十分に重合および架橋して硬化性が高まるため、記録媒体との密着性も高まると考えられる。
つまり、本発明の方法では、ラジカル重合開始剤(成分A)と多官能のラジカル重合性化合物(成分B)との質量比((A)/(B))を0.01以上0.07未満としたゲルインク(成分調整ゲルインク)を用いることで、硬化膜の内部で形成される架橋構造の密度が適度に調整され、さらにはゲル化剤によって柔軟性が付与されて、硬化膜の硬度が適度に調整されるため、折り割れの発生が抑制されると考えられる。
上記架橋構造は、結晶化したゲル化剤の移動をある程度抑制する。これに加えて、本発明の方法では、記録媒体に着弾した成分調整ゲルインクの液滴に、酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とした雰囲気で活性光線を照射して画像を形成することで、おそらくはインクの周縁部に十分な量のラジカルが拡散できるため、硬化膜の表面近傍を十分に硬化させる。本発明の方法では、架橋構造によるゲル化剤の移動の抑制と、硬化膜の表面近傍を十分に硬化させることによる析出の抑制と、によってブルーミングを生じにくくできると考えられる。なお、上記酸素濃度の調整は、硬化膜の内部の架橋密度を不要に高めないため、硬化膜の柔軟性は損なわれないと考えられる。
上記、硬化膜の内部に適度な架橋構造を形成して硬化膜の柔軟性を確保し、同時に、硬化膜の内部にはゲル化剤によって柔軟性を付与して折り割れを抑制しつつ、一方では硬化膜の表面の硬度を高めてブルーミングを抑制できる効果は、(A)/(B)の調整および酸素濃度の調整が揃ってはじめて奏されると考えられる。たとえば、(A)/(B)が上記範囲に調整されていない特許文献1に記載されているゲルインクでは、ブルーミングを抑制するために酸素濃度を低くして画像を形成すると、硬化膜の内部の架橋構造が密になりすぎて硬化膜の硬度が高くなりやすいため、特に厚みが大きい記録媒体に形成した画像では、折り割れが発生しやすいと考えられる。
なお、上記効果は、厚みが大きい記録媒体に画像を形成するときに特に有効だと考えられる。本発明者の知見によると、厚みが大きい記録媒体に画像を形成するときは、特にブルーミングが生じやすい。この理由は必ずしも定かではないが、厚みが大きい記録媒体は熱容量が大きく熱を逃がしにくいため、記録媒体の表面の温度が高くなりやすく、そのため、着弾したインクの液滴中で後述するカードハウス構造が形成されにかったり、ゲル化剤の運動エネルギー量が大きくなったりするためだと考えられる。つまり、記録媒体の表面の温度が高いと、着弾したインクの冷却速度が遅くなり、ゲル化剤がゆっくりと結晶化するため、ゲル化剤の結晶のサイズが大きくなる。また、記録媒体の表面の温度が高いと、結晶化したゲル化剤が再溶解しやすい。これらの要因は、カードハウス構造を形成されにくくする。カードハウス構造が形成されにくいと、結晶化したゲル化剤が移動しやすいため、ブルーミングが生じやすい。また、ゲル化剤の運動エネルギー量が大きいと、ゲル化剤が移動しやすいため、やはりブルーミングが生じやすい。しかし、本発明の方法によれば、上記作用により、厚みが大きい記録媒体に画像を形成するときでもブルーミングを十分に低減させることができる。
なお、ゲル化剤を含有しない特許文献2および特許文献3に記載の活性光線硬化型インクは、ゲル化剤による適度な柔軟性の付与の効果が奏されないため、折り割れが発生しやすいと考えられる。
1.インクジェット記録方法
本発明の一の実施形態は、成分調整ゲルインクの液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体の表面に着弾させる工程(以下、単に「着弾させる工程」ともいう。)と、記録媒体に着弾させた液滴に、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射する工程(以下、単に「照射する工程」ともいう。)と、を含むインクジェット記録方法に係る。
1−1.成分調整ゲルインク
成分調整ゲルインクは、ラジカル重合開始剤(成分A)、多官能のラジカル重合性化合物(成分B)、およびゲル化剤を含有する。成分調整ゲルインクの、成分Bの全質量に対する成分Aの全質量の割合((A)/(B))は、0.01以上0.07未満である。また、成分調整ゲルインクは、ゲル化剤を含有することで、温度変化により可逆的にゾルゲル相転移する。
1−1−1.ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤(成分A)は、光の照射によりラジカルを発生して、ラジカル重合性化合物の重合を開始させることができる化合物であればよい。ラジカル重合開始剤は、成分調整ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
ラジカル重合開始剤の含有量は、(A)/(B)が0.01以上0.07未満となり、かつ、インクが十分に硬化できる範囲であればよく、たとえば、成分調整ゲルインクの全質量に対して0.3質量%以上10質量%以下とすることができ、1.0質量%以上5.0質量%以下とすることが好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下とすることがさらに好ましい。
また、後述する多官能のラジカル重合性化合物(B)の全質量に対するラジカル重合開始剤(A)の質量の割合(A/B)は、0.01以上0.07未満である。(A/B)が0.01以上であると、ラジカル重合開始剤によってラジカル重合性化合物が十分に重合および架橋するため、形成された画像の硬化性および記録媒体への密着性がより高まる。(A/B)が0.07以上であると、ラジカル重合性化合物が架橋しすぎないため、形成された画像の折り割れが発生しにくくなる。折り割れの発生およびブルーミングの発生の効果をいずれも高める観点からは、(A/B)は0.02以上0.04以下であることが好ましい。なお、成分調整ゲルインクが顔料を含有するとき、活性光線の照射波長における顔料の吸光度を基に、色ごとに、(A/B)を適宜調整してもよい。
ラジカル重合開始剤には、開裂型のラジカル重合開始剤および水素引き抜き型のラジカル重合開始剤が含まれる。
開裂型ラジカル重合開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンおよびカンファーキノンが含まれる。
ラジカル重合開始剤の分子量は、折り割れの発生およびブルーミングの発生を抑制する効果が奏される限り、特に限定されない。硬化膜の表面近傍における多官能のラジカル重合性化合物の架橋密度をより高めて、ブルーミングをより生じにくくする観点からは、ラジカル重合開始剤の分子量は350以上であることが好ましい。成分調整ゲルインクが2種類以上のラジカル重合開始剤を含有するときは、ラジカル重合開始剤の全質量に対する分子量が350以上であるラジカル重合開始剤の割合は40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。上記効果をより好適に奏させる観点からは、成分調整ゲルインクは分子量が350未満のラジカル重合開始剤を実質的に含有しないことが好ましい。
1−1−2.ラジカル重合性化合物
ラジカル重合性化合物は、ラジカルとの反応により重合反応を生じて重合または架橋し、インクを硬化させる作用を有する化合物であればよい。ラジカル重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。成分調整ゲルインクは、ラジカル重合性化合物として、多官能のラジカル重合性化合物(成分B)を含有する。成分Bは、成分調整ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
多官能のラジカル重合性化合物の含有量は、たとえば、成分調整ゲルインクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下とすることができる。
ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
(メタ)アクリレートである多官能のラジカル重合性化合物の例には、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA構造を有するジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを含む2官能の(メタ)アクリレート、ならびに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートを含む3官能以上の(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、ならびにこれらの変性物が含まれる。上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)アクリレート、およびプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)アクリレートが含まれる。
これらのうち、ラジカル重合性化合物が硬化膜の硬度に寄与する割合を高めて、他の成分の種類や量による硬化膜の硬度の差を少なくする観点からは、ラジカル重合性化合物は3官能以上のラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。上記ラジカル重合性化合物が寄与する割合を高めることで、色材などの他の成分の種類や量の違いによる、複数種のインク間での表面硬化性の差を生じにくくすることができる。上記観点からは、3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量は、成分調整ゲルインクの全質量に対して40質量%以上であることが好ましい。一方で、硬化膜の硬度を高くしすぎず、折り割れを生じにくくする観点からは、上記3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量は、60質量%以下であることが好ましく、特に厚みが大きい記録媒体(たとえば、厚みが0.6mm以上の記録媒体)に画像を形成するときは、50質量%以下であることが好ましい。
なお、多官能のラジカル重合性化合物(成分B)は、加熱時のインクの粘度を適度に高めて、後述する適度な範囲に制御しやすくする。
成分調整ゲルインクは、折り割れの発生およびブルーミングの発生を抑制する効果が奏される限りにおいて、単官能のラジカル重合性化合物を含有してもよい。ただし、よりブルーミングを発生しにくくする観点からは、成分調整ゲルインクは、単官能のラジカル重合性化合物を実質的に含有しないことが好ましい。
(メタ)アクリレートである単官能のラジカル重合性化合物の例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸およびt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが含まれる。
1−1−3.ゲル化剤
ゲル化剤は、常温では固体であるが、加熱すると液体となる有機物である。ゾル化したインクの吐出および記録媒体に着弾したインクのピニング性を制御しやすくする観点からは、ゲル化剤の融点は、30℃以上150℃未満であることが好ましい。
ゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。ゲル化剤の含有量を1.0質量%以上とすることで、インクのピニング性を十分に高め、より高精細な画像を形成することができる。ゲル化剤の含有量を10.0質量%以下とすることで、形成した画像の表面にゲル化剤が析出しにくくなり、画像の光沢を他のインクによる画像の光沢により近づけることができ、かつ、インクジェットヘッドからのインク吐出性をより高めることができる。上記観点からは、成分調整ゲルインク中のゲル化剤の含有量は、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、以下の観点から、ゲル化剤は、インクのゲル化温度以下の温度で、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間にラジカル重合性化合物が内包される構造(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)を形成しうるものであることが好ましい。記録媒体に着弾した直後のインクの液滴内で、ゲル化剤によるカードハウス構造が形成されると、液体であるラジカル重合性化合物が前記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
カードハウス構造を形成するには、インク中でラジカル重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。これに対して、インク中で溶解しているラジカル重合性化合物とゲル化剤とが相分離していると、カードハウス構造を形成しにくい場合がある。また、ラジカル重合性化合物とゲル化剤とが相溶していると、ゲル化剤が硬化膜のより内部で結晶化するため、ゲル化剤が硬化膜の表面近傍で結晶化することによるブルーミングの発生が生じにくくなる。
結晶化によるカードハウス構造の形成に好適なゲル化剤の例には、ケトンワックス、エステルワックス、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N−置換脂肪酸アミドおよび特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸ならびにダイマージオールが含まれる。
上記ケトンワックスの例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトンおよびパルミチルステアリルケトンが含まれる。
上記エステルワックスの例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸パルミチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、セロチン酸ミリシル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸オレイル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン脂肪酸エステルが含まれる。
上記エステルワックスの市販品の例には、日本エマルジョン社製、EMALEXシリーズ(「EMALEX」は同社の登録商標)、ならびに理研ビタミン社製、リケマールシリーズおよびポエムシリーズ(「リケマール」および「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
上記石油系ワックスの例には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびペトロラクタムを含む石油系ワックスが含まれる。
上記植物系ワックスの例には、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウおよびホホバエステルが含まれる。
上記動物系ワックスの例には、ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウが含まれる。
上記鉱物系ワックスの例には、モンタンワックスおよび水素化ワックスが含まれる。
上記変性ワックスの例には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体およびポリエチレンワックス誘導体が含まれる。
上記高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸が含まれる。
上記脂肪族アルコールの例には、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールが含まれる。
上記ヒドロキシステアリン酸の例には、12−ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
上記脂肪酸アミドの例には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミドおよび12−ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
上記脂肪酸アミドの市販品の例には、日本化成社製、ニッカアマイドシリーズ(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、伊藤製油社製、ITOWAXシリーズ、および花王株式会社製、FATTYAMIDシリーズが含まれる。
上記N−置換脂肪酸アミドの例には、N−ステアリルステアリン酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。
上記特殊脂肪酸アミドの例には、N,N’−エチレンビスステアリルアミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリルアミドおよびN,N’−キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
上記高級アミンの例には、ドデシルアミン、テトラデシルアミンおよびオクタデシルアミンが含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの例には、ショ糖ステアリン酸およびショ糖パルミチン酸が含まれる。
上記ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、三菱化学フーズ社製、リョートーシュガーエステルシリーズ(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
上記合成ワックスの例には、ポリエチレンワックスおよびα−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスが含まれる。
上記合成ワックスの市販品の例には、Baker−Petrolite社製、UNILINシリーズ(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの例には、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトールが含まれる。
上記ジベンジリデンソルビトールの市販品の例には、新日本理化株式会社製、ゲルオールD(「ゲルオール」は同社の登録商標)が含まれる。
上記ダイマージオールの市販品の例には、CRODA社製、PRIPORシリーズ(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
これらのゲル化剤のうち、インクのピニング性をより高め、かつ、ブルーミングをより発生しにくくする観点からは、ゲル化剤は12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンであることが好ましい。なお、上記脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンは、ケトン基またはエステル基を挟む2本の炭素鎖の一方のみが12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基であればよいが、上記効果をより奏しやすくする観点からは、2本の炭素鎖の両方が上記炭素数の要件を満たす直鎖アルキル基であることが好ましい。上記炭素原子の数が12個以上であると、ゲル化剤の結晶性がより高まり、かつ、上記カードハウス構造においてより十分な空間が生じる。そのため、ラジカル重合性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなると考えられる。一方上記炭素原子の数が25個以下であると、ラジカル重合性化合物とゲル化剤と相溶しやすくなり、上記カードハウス構造が形成されやすいため、ブルーミングがより発生しにくくなると考えられる。上記脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンは、成分調整ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。また、上記脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンは、成分調整ゲルインク中にいずれか一方のみが含まれていてもよいし、双方が含まれていてもよい。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21−22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19−20)、ステアリン酸ベヘニル(炭素数:17−21)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17−18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17−16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17−12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15−16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15−18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13−14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13−16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13−20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17−18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21−18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17−18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18−22)およびリノール酸アラキジル(炭素数:17−20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルの市販品の例には、日油株式会社製、ユニスターM−2222SLおよびスパームアセチ(「ユニスター」は同社の登録商標)、花王株式会社製、エキセパールSSおよびエキセパールMY−M(「エキセパール」は同社の登録商標)、日本エマルジョン株式会社製、EMALEX CC−18およびEMALEX CC−10(「EMALEX」は同社の登録商標)ならびに高級アルコール工業株式会社製、アムレプスPC(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族ケトンの例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23−23)、ジベヘニルケトン(炭素数:21−21)、ジステアリルケトン(炭素数:17−17)、ジエイコシルケトン(炭素数:19−19)、ジパルミチルケトン(炭素数:15−15)、ジミリスチルケトン(炭素数:13−13)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11−14)、ラウリルパルミチルケトン(11−16)、ミリスチルパルミチルケトン(13−16)、ミリスチルステアリルケトン(13−18)、ミリスチルベヘニルケトン(13−22)、パルミチルステアリルケトン(15−18)、バルミチルベヘニルケトン(15−22)およびステアリルベヘニルケトン(17−22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
上記12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族ケトンの市販品の例には、Alfa Aeser社製、18−PentatriacontanonおよびHentriacontan−16−on、ならびに花王株式会社製、カオーワックスT1が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
なお、光重合性の官能基を有するゲル化剤を用いれば、ゲル化剤がラジカル重合性化合物と反応して、ラジカル重合性化合物が重合または架橋してなる炭化水素鎖にゲル化剤が取り込まれるため、ブルーミングは生じにくくなる。しかし、本発明者の知見によれば、光重合性の官能基を有するゲル化剤は、上述した硬化膜に柔軟性を付与する効果を十分に奏しないため、このようなゲル化剤を含有するインクによって形成した硬化膜は、硬度が高くなりすぎて、折り割れが生じやすくなる。そのため、折り割れの発生を抑制する観点から、成分調整ゲルインクが含有するゲル化剤は、光重合性の官能基を含まないことが好ましい。
1−1−4.その他の成分
成分調整ゲルインクは、上述した成分以外にも、折り割れの発生およびブルーミングの発生を抑制する効果が奏される限りにおいて、カチオン重合性化合物、光酸発生剤、色材、分散剤、光増感剤、重合禁止剤および界面活性剤などを含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、成分調整ゲルインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
カチオン重合性化合物の例には、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物およびオキセタン化合物などが含まれる。
光酸発生剤の例には、公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、およびトリアリールスルホニウム塩など、たとえば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、ヨードニウム(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、および3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどが含まれる。
色材には、染料および顔料が含まれる。耐候性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色等に応じて、たとえば、黄(イエロー)顔料、赤またはマゼンタ顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
分散剤の含有量は、たとえば、顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下とすることができる。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシムおよびシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF−351A、KF−352A、KF−642およびX−22−4272、信越化学工業製、BYK307、BYK345、BYK347およびBYK348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、ならびにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
界面活性剤の含有量は、プライマーの全質量に対して、0.001質量%以上1.0質量%未満であることが好ましい。
1−1−5.物性
インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、成分調整ゲルインクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点からは、成分調整ゲルインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
成分調整ゲルインクのゲル化温度は、40℃以上100℃未満であることが好ましい。インクのゲル化温度が40℃以上であると、記録媒体に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。インクのゲル化温度が100℃未満であると、加熱によりゲル化したインクをインクジェットヘッドから吐出できるため、より安定してインクを吐出することができる。より低温でインクを吐出可能にし、画像形成装置への負荷を低減させる観点からは、成分調整ゲルインクのゲル化温度は、40℃以上70℃未満であることがより好ましい。
成分調整ゲルインクの80℃における粘度、25℃における粘度およびゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。本発明において、これらの粘度およびゲル化温度は、以下の方法によって得られた値である。成分調整ゲルインクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、AntonPaar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度および25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、成分調整ゲルインクが顔料を含有するときの顔料粒子の平均粒子径は0.08μm以上0.5μm以下であり、最大粒子径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。本発明における顔料粒子の平均粒子径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、色材を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクを200倍で希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
1−2.着弾させる工程
本工程では、インクジェットヘッドのノズルから成分調整ゲルインクの液滴を吐出し、記録媒体に着弾させる。
互いに組成(たとえば、色材の種類または量)が異なる複数種のインクの液滴を吐出して着弾させて、多色の画像を形成するときは、上記複数種のインクジェットインクの少なくとも一種が成分調整ゲルインクである。なお、ブルーミングおよび折り割れをより生じにくくする観点からは、上記吐出するインクジェットインクのうち2以上のインクが成分調整ゲルインクであること(互いに組成が異なる複数種の成分調整ゲルインクの液滴が吐出されて記録媒体に着弾すること)が好ましい。上記観点からは、上記吐出するインクジェットインクのすべてが成分調整ゲルインクであることがより好ましい。
インクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型を含む電気−熱変換方式等が含まれる。
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
記録媒体は、インクジェット法で画像を形成できる媒体であればよく、たとえば、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙およびキャスト紙を含む塗工紙ならびに非塗工紙を含む吸収性の媒体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブタジエンテレフタレートを含むプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材)、ならびに金属類およびガラス等の非吸収性の無機記録媒体とすることができる。
記録媒体の厚みは特に限定されないが、本発明の方法によれば、厚みが大きい記録媒体(たとえば、厚みが0.6mm以上の記録媒体や厚みが0.9mm以上の記録媒体など)でも、折り割れおよびブルーミングを好適に抑制することができる。
1−3.照射する工程
本工程では、着弾した成分調整ゲルインクに、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射することで、インクを硬化させる。成分調整ゲルインクの硬化性を高める観点から、活性光線は、インク着弾後0.001秒以上2.0秒以下の間に照射されることが好ましく、より高精細な画像を形成する観点から、0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることがより好ましい。
本実施形態でインクに照射できる活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線が含まれる。これらのうち、取り扱いの容易さおよび人体への影響の少なさの観点から、紫外線を照射することが好ましい。光源の輻射熱によって成分調整ゲルインクが溶けることによるインクの硬化不良の発生を抑制する観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。成分調整ゲルインクを硬化させるための活性光線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製、Heraeus社製、京セラ社製、HOYA社製、およびIntegration Technology社製が含まれる。
酸素濃度は、0.1体積%以上10.0体積%以下である。ブルーミングをより生じにくくする観点からは、酸素濃度は0.5体積%以上8.0体積%以下であることがより好ましく、0.5体積%以上6.0体積%以下であることがさらに好ましい。
照射される活性光線の光量は、200mJ/cm以上1000mJ/cmであることが好ましい。上記光量が200mJ/cm以上だと、光重合性化合物を十分に重合および架橋させて、硬化膜の硬度を十分に高めることができる。上記光量が1000mJ/cm以下だと、照射される光の熱によるゲル化剤の再溶解によるピニング性の低下が生じにくくなり、かつ、架橋構造が密になりすぎないため折り割れが生じにくくなる。上記観点からは、照射される活性光線の光量は350mJ/cm以上800mJ/cm以下であることがより好ましく、450mJ/cm以上600mJ/cm以下であることがさらに好ましい。
ブルーミングをより生じにくくする観点からは、活性光線を照射される際の記録媒体の温度は、40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましく、25℃以下であることがさらに好ましい。記録媒体の表面温度が低いと、ゲル化剤の運動エネルギー量が小さくなるため、硬化膜の表面にゲル化剤が移動しにくくなると考えられる。また、記録媒体の表面温度が低いと、記録媒体に着弾したインクの液滴が速く冷却するため、ゲル化剤の結晶のサイズがより小さくなり、強固なカードハウス構造を形成できるため、ゲル化したインクの中での成分の移動が生じにくいと考えられる。なお、上記記録媒体の温度を低くすることによる効果は、厚みが大きい記録媒体(たとえば、厚みが0.6mm以上の記録媒体)で特に顕著にみられる。これは、上述したように、厚みが大きい記録媒体では、インクの液滴を重合させる際に発生する重合熱が記録媒体に蓄積しやすいため、特にブルーミングが生じやすいが、本発明の方法により、ブルーミングが十分に抑制されるためと考えられる。
2.画像形成装置
本発明の他の実施形態は、上記方法を実施可能なインクジェット用の画像形成装置に係る。図1、図2および図3は、本実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置100の概念を示す側面図である。
図1、図2および図3に示されるように、画像形成装置100は、インクジェットヘッド110、搬送部120、照射部130、および酸素濃度調整部140を有する。なお、図1、図2および図3において、矢印は記録媒体の搬送方向を示す。
2−1.インクジェットヘッド110
インクジェットヘッド110は、ノズル111の吐出口が設けられたノズル面113を、画像を形成する際に搬送部120に対向する面に有しており、搬送部120によって搬送される記録媒体200に対してインクを吐出する。本発明のインクをゾル化して吐出性を高める観点から、インクジェットヘッド110は、インクの温度を調整してインクを低粘度に調整するための温度調整手段を有してもよい。温度調整手段の例には、パネルヒーター、リボンヒーターおよび保温水による加熱手段が含まれる。
インクジェットヘッド110は、記録媒体の搬送方向に直行する方向の幅が記録媒体200よりも小さいスキャン式のインクジェットヘッドでもよく、記録媒体の搬送方向に直行する方向の幅が記録媒体200よりも大きいライン式のインクジェットヘッドでもよい。
ノズル111は、ノズル面113に吐出口を有する。ノズル111の数は、画像形成に使用するインクの数(例えば4つ)以上であればよい。インクジェットヘッド110が複数のノズル111を有する場合、装置の構成を単純化して制御を容易にする観点からは、複数のノズル111は、ほぼ等間隔となるように記録媒体の搬送方向に並んで設けられることが好ましい。
インクジェットヘッド110は、吐出されて記録媒体に着弾するインクの量を変更可能に構成される。たとえば、インクジェットヘッド110は、制御部に制御されて、圧電素子の振動幅を変更したり、一部のノズルからインクを吐出させなくしたりすることができるように構成される。
2−2.搬送部120
搬送部120は、画像を形成する際に、インクジェットヘッド110の鉛直方向直下において、インクジェットヘッド110に対向する記録媒体200が移動するように、記録媒体200を搬送する。たとえば、搬送部120は、駆動ローラ121および従動ローラ122、ならびに搬送ベルト123を有する。
駆動ローラ121および従動ローラ122は、記録媒体の搬送方向に所定の間隔をあけるとともに、記録媒体の搬送方向に直交する方向に延在した状態で配置される。駆動ローラ121は、不図示の駆動源によって回転する。
搬送ベルト123は、その上に乗せられた記録媒体200を搬送するためのベルトであり、駆動ローラ121および従動ローラ122に架け渡されている。搬送ベルト123は、たとえば、記録媒体200よりも幅広に形成された無端のベルトとすることができる。このとき、駆動源が駆動ローラ121を回転させると、駆動ローラ121に追従して搬送ベルト123が周回して、搬送ベルト123上の記録媒体200が搬送される。記録媒体200を吸着保持して記録媒体の脱離をより生じにくくする観点からは、搬送ベルト123のベルト面には、複数の吸引孔(不図示)が形成されていてもよい。
2−3.照射部130
照射部130は、光源を有し、搬送部120の上面(インクが着弾した面)に光源から活性光線を照射する。これにより、搬送される記録媒体200上に着弾したインクジェットインクの液滴に活性光線を照射して、液滴を硬化させることができる。照射部130は、インクジェットヘッド110よりも下流側で搬送部120の直上に配設することができる。光源の輻射熱によってインクジェットインクが溶けることによるインクの硬化不良の発生を抑制する観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。インクジェットインクを硬化させるための活性光線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製が含まれる。
2−4.酸素濃度調整部140
酸素濃度調整部140は、照射部130によって活性光線を照射されるときの、記録媒体のインクが着弾した表面を取り囲む雰囲気の酸素濃度を調整する。
酸素濃度調整部140の構成は、上記雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができれば、特に限定されない。
たとえば、図1に示されるように、酸素濃度調整部140は、外部の排気装置等に接続されて、記録媒体の表面近傍の気体を吸引し排気可能な排気管141と、窒素ガス発生装置などの酸素濃度が低いガスを発生する装置に接続されて、記録媒体の表面近傍に酸素濃度が低い気体を供給できる、排気管141の下流側に設けられた供給管142と、を備える構成とすることができる。このとき、排気管141からの排気量および供給管142からのガスの供給量を調整して、上記雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができる。なお、図1では、排気管141と供給管142とが連続している構成となっているが、上記酸素濃度への調整が可能な限りにおいて、両者は互いに離れた構成としてもよい。また、供給管142は照射部130の近傍にあることが好ましく、たとえば、照射部130と連続して設けてもよい。
なお、図2に示すように、酸素濃度調整部140は、上記雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができる限り、排気管141を有さず、供給管142のみを有する構成であってもよい。
また、図3に示されるように、酸素濃度調整部140は、照射部130と搬送部120とを取り囲む隔壁145を備える構成とすることができる。このとき、排気管141からの排気量および供給管142からのガスの供給量を調整して、隔壁145と搬送部120とによって区画された空間内の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができる。このとき、上記空間内(たとえば隔壁145上など)に酸素濃度測定器148を設けて、上記空間内の酸素濃度を測定しながら、上記排気量および供給量を調整してもよい。
2−5.その他の構成
画像形成装置100は、上記構成以外にも、吐出前のインクジェットインクを貯蔵するためのインクタンク(不図示)、インクタンクとインクジェットヘッド110とをインクが流通可能に連通するインク流路(不図示)、ならびに、インクジェットヘッド110、搬送部120、照射部130、および酸素濃度調整部140の動作を制御する制御部(不図示)を有していてもよい。
2−6.画像形成装置100を用いた画像形成
搬送部120は、駆動ローラ121によって搬送ベルト123を駆動して、搬送ベルト123上の記録媒体200を図中矢印方向に移動させる。
インクジェットヘッド110は、形成すべき画像に応じた色のインクジェットインクの液滴を吐出し、移動してきた記録媒体200の、画像を形成すべき部位に着弾させる。互いに組成(たとえば、色材の種類または量)が異なる複数種のインクジェットインクを吐出して着弾させるときは、上記複数種のインクジェットインクの少なくとも一種が成分調整ゲルインクである。なお、ブルーミングおよび折り割れをより生じにくくする観点からは、上記吐出されるインクジェットインクのうち2以上のインクが成分調整ゲルインクであることが好ましく、すべてが成分調整ゲルインクであることがより好ましい。
酸素濃度調整部140は、少なくとも搬送ベルト123と照射部130との間が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気となるように、酸素濃度を調整する。
インクジェットヘッド110から吐出されたインクジェットインクの液滴が着弾した記録媒体は、酸素濃度が上記範囲となった上記空間に移動され、照射部130から活性光線を照射される。このようにして、所望の画像が記録媒体に形成される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.インクの調製
1−1.顔料分散液の調製
9質量部の分散剤、および71質量部の多官能のラジカル重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解した。室温まで冷却した上記溶解液に20質量部の顔料を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓して、ペイントシェーカーで、所望の粒径になるまで分散処理した。分散処理後、ジルコニアビーズを除去して、シアン顔料分散体、マゼンタ顔料分散体、イエロー顔料分散体およびブラック顔料分散体をそれぞれ調製した。
顔料分散液の調製には、以下の材料を用いた。
(分散剤)
BASF社製、efka 7701(「efka」は同社の登録商標)
(多官能のラジカル重合性化合物)
トリプロピレングリコールジアクリレート(0.2%の重合禁止剤を含有)
(シアン顔料)
C.I.Pigment Blue 15:4(大日精化工業株式会社製、クロモファインブルー 6332JC(「クロモファイン」は同社の登録商標))
(マゼンタ顔料)
C.I.Pigment Violet 19とC.I.Pigment Red 202との混晶(BASF社製、CINQUASIA Magenta RT−355D(「CINQUASIA」は同社の登録商標))
(イエロー顔料)
C.I.Pigment Yellow 185(BASF社製、D1155)
(ブラック顔料)
C.I.Pigment Black 7(三菱化学株式会社製、#52)
なお、ペイントシェーカーによる分散処理に要した時間は、シアン顔料分散体を調製するときは4時間、マゼンタ顔料分散体を調製するときは6時間、イエロー顔料分散体を調製するときは6時間、ブラック顔料分散体を調製するときは4時間だった。
1−2.インクの調製
下記の表1〜表13に記載されたインクの組成にしたがって以下の各成分と前記顔料分散液とを混合して、80℃に加熱して攪拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、インクセット1〜インクセット13を構成するイエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクをそれぞれ調製した。
なお、表1〜表13において、「C」の欄に記載の数値はシアンインクの組成を、「M」の欄に記載の数値はマゼンタインクの組成を、「Y」の欄に記載の数値はイエローインクの組成を、「K」の欄に記載の数値はブラックインクの組成(単位はいずれも質量%)を、それぞれ表す。
また、表1〜表13において、「(A)/(B)」の欄に記載の数値は、成分Bの全質量に対する成分Aの質量の割合を表し、「3官能以上のラジカル重合性化合物の割合」の欄に記載の数値は、インクジェットインクの全質量に対する3官能以上のラジカル重合性化合物の質量の割合(単位は質量%)を表す。
(インクの材料)
顔料分散体Y:上記調製したイエロー顔料分散体
顔料分散体M:上記調製したマゼンタ顔料分散体
顔料分散体C:上記調製したシアン顔料分散体
顔料分散体K:上記調製したブラック顔料分散体
光重合開始剤1:アシルホスフィンオキシド系のラジカル重合開始剤(BASF社製、IRGACURE 819(「IRGACURE」は同社の登録商標)、分子量は418)
光重合開始剤2:アシルホスフィンオキシド系のラジカル重合開始剤(BASF社製、IRGACURE369、分子量は367)
光重合性化合物1:トリプロピレングリコールジアクリレート(2官能のラジカル重合性化合物)
光重合性化合物2:ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(2官能のラジカル重合性化合物)
光重合性化合物3:3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(3官能のラジカル重合性化合物)
光重合性化合物4:3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(3官能のラジカル重合性化合物)
光重合性化合物5:6EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(4官能のラジカル重合性化合物)
光重合性化合物6:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(4官能のラジカル重合性化合物)
光重合性化合物7:イソボルニルアクリレート(単官能のラジカル重合性化合物)
ゲル化剤1:12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する非重合性のゲル化剤(ジステアリルケトン:花王株式会社製、カオーワックスT1)
ゲル化剤2:12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する非重合性のゲル化剤(ステアリン酸ベヘニル:日油株式会社製、WE11)
ゲル化剤3:26個以上の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する非重合性のゲル化剤(炭素数30以上の脂肪族アルコール:ベーカー・ペトロライト社製、UNILIN 350(「UNILIN」はペトロライトコ―ポレ―ションの登録商標))
ゲル化剤4:ゲル化剤3とアクリル酸とを反応させて得た重合性のゲル化剤
ゲル化剤5:12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する重合性のゲル化剤(ベヘニルアクリレート:日油株式会社製、ブレンマーVA)
重合禁止剤:BASF社製、IRGASTAB UV10(「IRGASTAB」は同社の登録商標)
界面活性剤:シリコーン系の界面活性剤(信越化学工業株式会社、KF352)
Figure 2017164164
Figure 2017164164
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Figure 2017164164
Figure 2017164164
2.画像形成
KM1800i、コニカミノルタ社製(ノズル数:1776個)を備えたインクジェット用の画像形成装置にインクセット1を充填し、23℃、55%RHの環境下で、下記の記録媒体1の表面に設定した、長さ16cm×幅4cmの区画に、インク付量が9g/mとなるようにシアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよびブラックインクを連続して吐出し、LED光源ユニット(ヘレウス株式会社製)で、ピーク波長385nm、ピーク照度8W/cmの紫外線を照射して、それぞれのインクによる長さ4cm×幅4cmのベタ画像を形成して、16cm×4cmの区画に4色のベタ画像が並んだ画像1を得た。
酸素濃度は、排気管141を有さず、供給管142のみを有する構成(図2参照)によって調整した。インクジェットヘッドと光源との間にガス供給ノズルを設置して、窒素ガス発生装置(コフロック株式会社製、N2 IMPACT)を0.5MPa・sの圧力で接続し、窒素(N)ガスをフローさせた。
インクセット、酸素濃度、記録媒体の温度および紫外線の光量を表14に記載のように変更した以外は同様にして、画像2〜画像22を得た。なお、画像22は酸素濃度を調節せず、大気雰囲気下で形成した。酸素濃度は、酸素濃度計(タイテック株式会社製、Fibox3)のセンサーの先端をLED光源ユニットと記録媒体との間に配置して酸素濃度を測定しながら、窒素ガスの流量を制御して、調整した。記録媒体の温度は、記録媒体の印字面側から温度制御赤外ヒーターで加熱して、調整した。紫外線の光量は、光量計(浜松ホトニクス株式会社製、紫外線積算光量計 C9536)で光量を測定しながら、ピーク照度を制御して、調整した。
(記録媒体)
用紙A:厚み:0.195mmの紙(北越紀州製紙株式会社製、サンマット、坪量:186g/m
用紙B:厚み:0.680mmの紙(北越紀州製紙株式会社製、マリコート、坪量:550g/m
用紙C:厚み:1.200mmの紙(株式会社クラウン・パッケージ製、Fフルート)
画像1〜画像22の形成に用いたインクセットおよび画像形成条件を表14に示す。
Figure 2017164164
3.画像の評価
画像1〜画像22の表面硬化性、ブルーミング抑制性および耐折り割れ性を以下の基準で評価した。
3−1.表面硬化性
画像中の各色の区画に対してフォースゲージ(株式会社イマダ製、ZP−50N)を200gの荷重で押し当て、各色の区画の内部に設けた25mm×25mmの領域を一定速度で移動させて、各色の動摩擦係数を求めた。4色のベタ画像のそれぞれについて得られた動摩擦係数の差をもとに、以下の基準で画像を評価した。
◎: すべての色の動摩擦係数の差が0.1未満である
○: 動摩擦係数の差が0.1以上0.2未満となる色の組み合わせが存在するが、0.2以上となる組み合わせは存在しない
△: 動摩擦係数の差が0.2以上0.3未満となる色の組み合わせが存在するが、0.3以上となる組み合わせは存在しない
×: 動摩擦係数の差が0.3以上となる色の組み合わせが存在する
3−2.ブルーミング抑制性
画像を、温度40℃、相対湿度80%の環境に2週間静置した後、温度−25℃、相対湿度50%の環境に2週間静置して、1セットの試験とした。4セットの試験を行った後、画像表面に白い析出物が存在するか否かを目視観察して、60°光沢値を測定した。その結果をもとに、以下の基準で画像を評価した。
◎: 画像表面に白色の析出物は認められず光沢の低下がない
○: 画像表面に白色析出物が認められ光沢が5未満低下した
△: 画像表面に白色析出物が認められ光沢が10未満低下した
×: 画像表面に白色析出物が認められ光沢が20未満低下した
3−3.耐折り割れ性
画像を、温度25℃、相対湿度60%の環境に24時間静置した後、長さ方向に山折りにした。その後、折り目部分をまたぐように粘着テープ(3M社製、スコッチ超透明テープS)を各色の区画に貼って、ゆっくりと剥した。粘着テープを剥した後の各色の折り目部分に、塗膜が剥離した部分が見られるか否かを目視観察して、その結果をもとに、以下の基準で画像を評価した。
◎: すべての色の折り目部分で、塗膜の剥離は認められない
○: ブラックの区画の折り目部分で、塗膜のわずかな剥離が認められる
△: ブラックの区画の折り目部分で、塗膜の大きな剥離が認められる
×: ブラックおよびイエローの区画の折り目部分で、塗膜の剥離が認められる
画像1〜画像22の評価結果を表15に示す。
Figure 2017164164
ラジカル重合開始剤(成分A)、多官能のラジカル重合性化合物(成分B)、およびゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、多官能のラジカル重合性化合物の質量に対するラジカル重合開始剤の質量((A)/(B))が0.01以上0.07未満であるインクジェットインクを用いて、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射して形成した画像1〜画像17は、ブルーミングが生じにくく、かつ、折り割れも生じにくかった。
同じ条件で画像を形成した画像1〜10のうち、インクの全質量に対する3官能以上のラジカル重合性化合物の質量の割合が40質量%以上であるインクセット3、インクセット5〜インクセット10を用いて形成した画像3、画像5〜画像10は、色による表面硬化性の差が生じにくかった(特に、画像4と画像5との比較による)。これは、ラジカル重合性化合物が硬化膜の硬度に寄与する割合が高まり、色材などの他の成分の種類や量の違いによる、複数種のインク間での表面硬化性の差が生じにくくなったためと考えられる。
また、同じ条件で画像を形成した画像1〜10のうち、分子量が350未満であるラジカル重合開始剤を実質的に含まないインクセット4〜インクセット10を用いて形成した画像4〜画像10は、ブルーミングが生じにくかった(特に、画像2と画像4との比較による)。これは、ラジカル重合開始剤によって多官能のラジカル重合性化合物の重合および架橋の度合いがより高まったためと考えられる。
なお、同じ条件で画像を形成した画像5〜7のうち、A/Bが0.02以上0.04以下であるインクセット5を用いて形成した画像5では、よりブルーミングおよび折り割れが生じにくかった。
また、同じ条件で画像を形成した画像1〜9のうち、ゲル化剤が12個以上の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンであるインクセット1〜インクセット7を用いて形成した画像1〜画像7は、それ以外のゲル化剤を含有するインクセット8を用いて形成した画像8よりもブルーミングが生じにくかった。これは、ラジカル重合性化合物とゲル化剤と相溶しやすく、上記カードハウス構造が形成されやすかったためと考えられる。
なお、光重合性官能基を有するゲル化剤を含有するインクセット9およびインクセット10を用いて形成した画像9および画像10では、おそらくはゲル化剤がラジカル重合性化合物と重合して炭化水素鎖に取り込まれたため、画像8よりもブルーミングは生じにくくなった。しかし、光重合性官能基を有さないゲル化剤を含有するインクセットを用いて形成した画像1〜画像7は、画像9および画像10と比較して、折り割れが発生しにくくなっていた。これは、画像1〜画像7では、ゲル化剤が炭化水素鎖に取り込まれなかったため、硬化膜が硬くなりすぎず、柔軟性を有していたためと考えられる。
同じインクセットを用いて同じ条件で形成した画像5、画像11〜画像13のうち、酸素濃度が4.0体積%以下で形成した画像5、画像11では、よりブルーミングが生じにくかった。これは、硬化膜の表面近傍でより多くの架橋構造が生じ、硬化膜の表面の硬度が高まったためと考えられる。
また、同じインクセットを用いて、記録媒体の表面温度以外は同じ条件で形成した画像5、画像14〜16のうち、記録媒体の温度を35℃以下に制御して形成した画像5および画像15ではブルーミングが生じにくく、記録媒体の温度を25℃以下に制御して形成した画像14ではブルーミングがさらに生じにくかった。これは、記録媒体の表面温度を低くすることで、ゲル化剤の運動エネルギー量が低くなり、硬化膜の表面にゲル化剤が移動しにくくかったためと考えられる。
また、同じインクセットを用いて、照射される紫外線の光量以外は同じ条件で形成した画像5、画像17、画像18のうち、光量を350mJ/cm以上として形成した画像17で耐折り割れ性が高くなり、光量を450mJ/cm以上として形成した画像5で耐折り割れ性がさらに高くなった。これは、光量を多くすることでインクがより速く硬化したため、架橋しない光重合性官能基が増えてインクが硬くなりすぎなかったためと考えられる。
これに対し、(A)/(B)が0.01未満であるインクセット11を用いた画像19は、(A)/(B)が0.01以上0.07未満であるインクセットを使用した以外は同じ条件で形成した画像1〜10よりも、表面硬化性、ブルーミング抑制性および耐折り割れ性のいずれも顕著に低い評価となった。これは、多官能のラジカル重合性化合物に対するラジカル重合開始剤の量が少ないため、ラジカル重合性化合物が十分に重合および架橋せず、十分に硬化および記録媒体に密着できなかったためと考えられる。
また、(A)/(B)が0.07より大きいインクセット12を用いた画像20は、(A)/(B)が0.01以上0.07未満であるインクセットを使用した以外は同じ条件で形成した画像1〜10よりも、折り割れが顕著に生じやすかった。これは、多官能のラジカル重合性化合物に対するラジカル重合開始剤の量が多いため、ラジカル重合性化合物が架橋しすぎて、画像が硬くなりすぎたためと考えられる。
また、ゲル化剤を含有しないインクセット13を用いた画像21は、ゲル化剤を含有するインクセットを使用した以外は同じ条件で形成した画像1〜10よりも、色による表面硬化性の差が顕著に生じやすく、かつ、折り割れが顕著に生じやすかった。これは、硬化膜の内部にゲル化剤が存在しないため、硬化膜に柔軟性が付与されず、かつ、画像が不均一に硬くなったためと考えられる。
なお、大気雰囲気下で形成した画像22は、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射した以外は同じ条件で形成した画像5などよりも、表面硬化性、ブルーミング抑制性および耐折り割れ性のいずれも顕著に低い評価となった。これは、インクが含有するラジカル重合開始剤の量が少ないため、酸素濃度を低減しない雰囲気では、酸素による重合の阻害などが生じて、インクが十分に硬化および記録媒体に密着できなかったためと考えられる。また、画像22は、記録媒体の厚みが0.6mm以上であるときに、特にブルーミングが発生しやすかった。
本出願は、2016年3月22日出願の日本国出願番号2016−057025号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の明細書、特許請求の範囲および図面に記載された内容は本出願に援用される。
本発明の画像形成方法によれば、ブルーミングが生じにくく、かつ、折り割れも生じにくい画像をゲルインクで形成することができる。そのため、本発明は、インクジェット法によるゲルインクの適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
100 画像形成装置
110 インクジェットヘッド
111 ノズル
113 ノズル面
120 搬送部
121 駆動ローラ
122 従動ローラ
123 搬送ベルト
130 照射部
140 酸素濃度調整部
141 排気管
142 供給管
145 隔壁
148 酸素濃度測定器

Claims (7)

  1. ラジカル重合開始剤(A)、多官能のラジカル重合性化合物(B)、およびゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、多官能のラジカル重合性化合物(B)の全質量に対するラジカル重合開始剤(A)の全質量の割合((A)/(B))が0.01以上0.07未満であるインクジェットインクの液滴を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して記録媒体の表面に着弾させる工程と、
    記録媒体に着弾させた前記液滴に、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射する工程と、を含む、画像形成方法。
  2. 前記インクジェットインクは、前記多官能のラジカル重合性化合物に3官能以上のラジカル重合性化合物を含み、
    前記インクジェットインクの全質量に対する前記3官能以上のラジカル重合性化合物の質量の割合は、40質量%以上である、請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記インクジェットインクは、前記ラジカル重合開始剤に分子量が350以上であるラジカル重合開始剤を含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記インクジェットインクは、前記ゲル化剤に12個以上25個以下の炭素原子を含む直鎖アルキル基を有する脂肪族エステルまたは脂肪族ケトンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記記録媒体の厚みは0.6mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記活性光線を照射する工程は、前記記録媒体の表面温度を20℃以上40℃以下に制御して行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記着弾させる工程は、互いに組成が異なる複数種の前記インクジェットインクの液滴を、それぞれ記録媒体に着弾させる工程である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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