JPWO2017142021A1 - 不織布、フィルタ及び不織布の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の不織布は、平均繊維径が5μm以下であり、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在する熱可塑性樹脂繊維を含む不織布である。
また、本発明の不織布の製造方法は、熱可塑性樹脂を含み、200℃における溶融粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである熱可塑性樹脂組成物を溶融し、紡糸ノズルから10−9m3〜10−4m3の溶融樹脂塊として断続的に滴下させること、滴下させた溶融樹脂塊に気体を供給して熱可塑性樹脂繊維を形成すること、形成された熱可塑性樹脂繊維を集積すること、を含む不織布の製造方法である。

Description

本発明は、不織布、フィルタ及び不織布の製造方法に関する。
不織布、中でもスパンボンド不織布、メルトブロー不織布は、繊維の集積にバインダーを用いないため、不純物の混入の懸念がないこと、繊維の種類を選択することにより耐薬品性に優れること、等の利点を有するため種々の用途に使用される。
中でも、メルトブロー不織布(「メルトブローン不織布」とも呼ばれている)は、スパンボンド不織布に比べて、極細繊維によって形成できることから、柔軟性、均一性、及び緻密性に優れている。このため、メルトブロー不織布は、単独で、又は他の不織布等と積層して、フィルタ(液体用フィルタ、気体用フィルタ等)、衛生材、メディカル材、農業用被覆材、土木材、建材、油吸着材、自動車材、電子材料、セパレータ、衣料、包装材等に汎用されている。
メルトブロー不織布をフィルタに使用する場合、不織布の繊維が細いほど、微細な物質を分離する能力が高くなる。
このため、不織布を構成する繊維を細くし、細繊維のポリエチレン不織布を得る方法としては、ポリエチレンとポリエチレンワックスとを含む樹脂組成物をメルトブロー法で成形する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、細径繊維で形成された不織布をフィルタに使用した場合、フィルタが流体の圧力により圧縮され易く、圧縮された場合、ろ過流量が低下したり、開孔部の孔径が変化して設計値どおりの微細粒子阻止率の達成が困難となったりすることがある。
このため、例えば、ポリエチレンとポリエチレンワックスとを含む樹脂組成物をメルトブロー法で成形し、得られた成形物であるメルトブロー不織布を、ポリエステルとエチレン系重合体とから形成される複合繊維からなるスパンボンド不織布と積層してフィルタとして使用する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、繊維径の観点からは、フィルタ用の繊維として、同時一体的に形成された繊維径分布が広い、単一のメルトブロー不織布を得るための、特定形状のノズルピースを用いたメルトブロー不織布が提案されている(例えば、特許文献3参照)。当該ノズルピースを用いることで、繊維径が1μm〜10μmで、繊維径分散が広い微細繊維からなる不織布が得られると記載されている。
また、ろ過流量と微細粒子阻止率とのバランスに優れたフィルタとして、特定分子量のポリエチレンとポリエチレンワックスとを含む樹脂組成物をメルトブロー法で成形してなるポリエチレン不織布からなるフィルタが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献1:国際公開第2000/22219号
特許文献2:国際公開第2012/111724号
特許文献3:特開平11−131353号公報
特許文献4:国際公開第2015/93451号
前述の特許文献1では、特定のポリエチレンとポリエチレンワックスとを含む樹脂組成物をメルトブロー法で成形することにより、繊維径2.8μmのメルトブローポリエチレン不織布を得ることができることが開示されている(特許文献1の実施例2参照)。前述の特許文献2では、繊維径3.3μmのメルトブローポリエチレン不織布を得ることができることが開示されている。
また、前述の特許文献3に記載の不織布は、不織布を構成する繊維径の分散は広いが、実施例における繊維径の中央値は5.5μm〜7.0μmであり、いずれも微細な繊維による微細な空隙部を有する不織布は得難い。
前述の特許文献4に記載の不織布では、より細い繊維径が達成されるが、不織布を単独でフィルタとして使用した場合を考慮すると、微細粒子阻止率をより良好とすることが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の一実施形態の課題は、表面積が大きく、微細な空隙部を有する、フィルタ用途に好適に使用しうる不織布、及びこの不織布を含むフィルタを提供することにある。
本発明の別の実施形態の課題は、表面積が大きく、フィルタに使用した場合の微細粒子阻止率が良好な不織布の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は、以下の実施形態を含む。
<1> 平均繊維径が5μm以下であり、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在する熱可塑性樹脂繊維を含む不織布。
<2> 前記熱可塑性樹脂繊維は、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下である<1>に記載の不織布。
<3> 200℃で溶融させて測定した粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである<1>又は<2>に記載の不織布。
<4> 前記熱可塑性樹脂繊維がワックスを含有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の不織布。
<5> 前記熱可塑性樹脂繊維が、前記ワックスを、前記熱可塑性樹脂繊維の全量に対し10質量%〜60質量%含有する<4>に記載の不織布。
<6> 前記熱可塑性樹脂繊維のピーク繊維径が1μm以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の不織布。
<7> 前記熱可塑性樹脂繊維における熱可塑性樹脂がα−オレフィンの単独共重合体又は共重合体である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の不織布。
<8> 前記熱可塑性樹脂繊維における熱可塑性樹脂が、プロピレン由来の構造単位を含む重合体である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の不織布。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の不織布を含むフィルタ。
<10> 熱可塑性樹脂を含み、200℃における溶融粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである熱可塑性樹脂組成物を溶融し、紡糸ノズルから10−9〜10−4の溶融樹脂塊として断続的に滴下させること、滴下させた溶融樹脂塊に気体を供給して熱可塑性樹脂繊維を形成すること、及び、形成された熱可塑性樹脂繊維を集積すること、を含む<1>〜<8>のいずれか1つに記載の不織布の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、表面積が大きく、微細な空隙部を有する、フィルタ用途に好適に使用しうる不織布、及びこの不織布を含むフィルタが提供される。また、本発明の別の実施形態によれば、表面積が大きく、フィルタに使用した場合の微細粒子阻止率が良好な不織布の製造方法が提供される。
実施例1〜3及び比較例1、2の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフである。 本発明の実施例にて用いたメルトブロー不織布製造装置のメルトブロー用ダイを下面側から見た概略斜視図である。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値それぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<不織布>
本実施形態の不織布は、平均繊維径が5μm以下であり、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在する熱可塑性樹脂繊維を含む。
本実施形態の不織布では、熱可塑性樹脂を含む繊維(熱可塑性樹脂繊維)は、平均繊維径が5μm以下であり、かつ、熱可塑性樹脂繊維の一部において繊維径が100nm〜200nmの部分が、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上の割合を満たして存在する。これにより、不織布として微細な繊維径を有する箇所が存在し、微細な繊維の存在に起因して、不織布中に微細な空隙部が生じ、不織布の表面積が大きくなる。したがって、本実施形態の不織布をフィルタに使用すると、微細な繊維の存在に起因して微細粒子阻止率が良好となる。
また、本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、さらに、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下であることが好ましい。本実施形態の好ましい態様によれば、不織布の繊維径分布において、繊維径分布が広くなり、極めて小さい径の繊維が存在し、さらに、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下であることにより、最頻値であるピーク繊維径が平均繊維径よりも小さいため、平均繊維径よりも繊維径が大きい繊維が存在することで、不織布の圧縮に対する抵抗性がより改良される。
本実施形態の好ましい態様である、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下である熱可塑性樹脂繊維を用いた不織布をフィルタに使用すると、微細な繊維径に起因して微細粒子阻止率が良好となり、かつ、より太い繊維径の部分に起因して圧縮に対する抵抗性が改良され、フィルタの性能がより長期間維持される。特に、本実施形態の好ましい態様である不織布は、一般にはフィルタが詰まりやすく、長期間の使用が困難なゲル粒子などの分離用フィルタに適用して高い性能を発現することが期待できる。
一般に熱可塑性樹脂を用いてメルトブロー不織布を形成する場合、繊維を形成するノズルから溶融した熱可塑性樹脂を連続的に供給し、ホットエアを吹きつけで繊維を形成する。この場合、形成される熱可塑性樹脂繊維の繊維径は、熱可塑性樹脂を吐出するノズルのノズル孔径と、溶融された熱可塑性樹脂の粘度に依存する。
しかし、従来技術では、微細繊維を形成する目的で、ノズル孔径をより小さくするには機械加工的な限界がある。
一方、繊維径を小さくするために、熱可塑性樹脂の溶融粘度を下げる手段をとる場合、加熱温度を上昇させると樹脂の変質が生じることがあったり、溶融粘度が低すぎることで、紡糸ノズルからの連続的、かつ、均一な吐出が困難となったりすることがある。
上記従来技術に対し、本実施形態の不織布は、熱可塑性樹脂繊維の繊維径が特定の条件の分布を有することで、繊維径の極めて細い繊維と、より太い繊維と、のバランスに優れ、その結果、表面積が大きい領域を有するにも拘らず、不織布全体としての圧縮に対する抵抗性が良好となる。
本実施形態の不織布の物性としては、不織布を200℃で溶融させて測定した粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s〜50.0Pa・sであることがより好ましく、0.5Pa・s〜10.5Pa・sであることがさらに好ましく、1.0Pa・s〜10Pa・sであることが特に好ましい。
不織布を200℃で溶融させて測定した粘度が既述の範囲であることで、本実施形態の不織布に適する繊維径分布を有する熱可塑性樹脂繊維を、より容易に得ることができる。
本実施形態の不織布を形成する熱可塑性樹脂繊維は、ワックスを含有することが好ましい。
熱可塑性樹脂繊維にワックスが含まれることで、熱可塑性樹脂繊維において、本実施形態に規定する微細な繊維径と特定の繊維径分布とを有する繊維形状をより容易に達成することができる。
熱可塑性樹脂繊維がワックスを含むことにより、繊維を形成する熱可塑性樹脂組成物がワックスを含むことが確認できる。
繊維を形成するために用いる熱可塑性樹脂組成物がワックスを含むことで、繊維形成時における溶融状態の熱可塑性樹脂組成物の粘度を既述の好ましい範囲に調整し易くなり、本実施形態で規定する繊維径分布を有する熱可塑性樹脂繊維を、効率よく得ることができる。
熱可塑性樹脂繊維が、ワックスを、熱可塑性樹脂繊維の全量に対し10質量%〜60質量%含有することが好ましい。
ワックスの含有量は、20質量%〜50質量%の範囲であることがより好ましく、30質量%〜40質量%の範囲であることがさらに好ましい。
本実施形態の不織布は、溶媒成分を含まないことが好ましい。溶媒成分を含まない不織布は、後述する本実施形態の好ましい不織布の製造方法に記載の如く、熱可塑性樹脂組成物を溶融し、紡糸ノズルから溶融樹脂塊として断続的に滴下することにより得ることができる。溶媒成分とは、繊維における樹脂を溶解可能な有機溶媒成分を意味する。溶媒成分としては、ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。本明細書において、不織布が溶媒成分を含まないとは、不織布をヘッドスペースガスクロマトグラフ法によって分析した際の溶媒成分の含有量が測定機器の検出限界以下であることを意味する。
次に、本実施形態の不織布の繊維形状について詳細に説明する。
本実施形態の不織布は、平均繊維径が5μm以下である熱可塑性樹脂繊維であって、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在する熱可塑性樹脂繊維を含む。
また、不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下であることが好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径及びピーク繊維径について説明する。本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維径は、以下の方法で測定される。
(1)平均繊維径の測定
不織布を、株式会社日立製作所製電子顕微鏡「S−3500N」を用いて倍率5000倍の写真を撮影し、無作為に繊維の幅(直径:μm)を1000点測定し、数平均で平均を取って平均繊維径(μm)を算出した。
不織布における繊維の測定箇所を無作為とするため、撮影した写真の左上隅から右下隅に対角線を引き、対角線と繊維が交差した箇所の繊維の幅(直径)を測定した。測定点が1000点となるまで新規に写真を撮影し測定を行った。
(2)ピーク繊維径(最頻繊維径)
既述の「(1)平均繊維径の測定方法」で測定された1000点の繊維径(μm)のデータに基づき、対数度数分布を作成した。
対数度数分布は、x軸を繊維径(μm)を、10を底とする対数スケール上にプロットし、y軸は頻度の百分率とした。x軸上において、繊維径0.1(=10−1)μmから、繊維径50.1(=101.7)μmまでを、対数スケール上で均等に27に分割し、頻度の最も大きい分割区間におけるx軸の最小値と最大値との相乗平均の値を、ピーク繊維径(最頻繊維径、後述の第一ピーク繊維径)とした。
本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維において、平均繊維径は5μm以下であれば特に限定されず、例えば、1μm〜5μmであることが好ましく、1.5μm〜4.0μmであることがより好ましく、2.0μm〜3.5μmであることがさらに好ましい。
本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維において、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率は0.5以下であることが好ましい。即ち、得られた平均繊維径を1としたとき、ピーク繊維径が0.5以下であり、ピーク繊維径が平均繊維径よりも細いことで、本実施形態の不織布は表面積が大きくなり、したがって、不織布をフィルタに使用すると微細粒子阻止率が良好なフィルタとなる。さらに、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率は、0.45以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましく、0.05〜0.3であることが特に好ましく、0.05〜0.2であることが一層好ましい。
熱可塑性樹脂繊維のピーク繊維径は、平均繊維径よりも細いことが好ましく、より具体的には、1μm以下であることが好ましく、0.05μm〜0.6μmの範囲であることがより好ましく、0.05μm〜0.4μmの範囲であることがさらに好ましい。
ピーク繊維径が1μm以下であることで、得られた不織布の表面積がより広くなり、不織布をフィルタに使用した場合の微細粒子阻止率がより高くなる。
(3)100nm〜200nmの繊維径積算頻度
既述の「(1)平均繊維径の測定方法」で測定された1000点の繊維径(μm)のデータにおいて、測定した全繊維径の数に対し、繊維径が100nm〜200nmである箇所の数を測定し、繊維径積算頻度を百分率にて算出した。
本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維の繊維径において、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在する。100nm〜200nmの繊維径積算頻度は、3.0%〜50%であることが好ましく、4.0%〜40%であることがより好ましく、5.0%〜40%であることがさらに好ましく、10.0%〜30%であることが最も好ましい。
100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上であることで、微細な繊維の存在割合が有効な量となり、得られる不織布の表面積が十分に大きくなり、不織布をフィルタに使用した場合、微細粒子阻止率が良好となる。
熱可塑性樹脂繊維の形状について、より詳細に説明する。
既述のように本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、平均繊維径が5μm以下であること、及び100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在することの条件を満たす。
これらの条件は、不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径が細いことを示す。また、極めて微細な200nm以下の繊維径の部分を有することを示す。
また、熱可塑性樹脂繊維は、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下であることが好ましい条件である。ピーク繊維径の比率が0.5以下であることで、さらに、本実施形態の好ましい態様である不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、平均繊維径よりも繊維径の大きい範囲にも、ある程度の繊維径分布を有することを示す。
好ましい繊維径分布としては、繊維径のデータに基づいて対数度数分布を作成した場合、平均繊維径の0.5以下のピーク繊維径(以下、第一ピーク繊維径とも称する)を有し、かつ、平均繊維径よりも大きな繊維径の領域に第二ピーク繊維径を有することが好ましい。平均繊維径よりも大きな繊維径の領域に第二ピーク繊維径を有するとは、平均繊維径よりも太い繊維径を有する繊維がある程度の頻度で存在することを示し、不織布中に平均繊維径よりも太い繊維をある程度の頻度で有することで、不織布の圧縮に対する抵抗性がより良好となる。
なお、第二ピーク繊維径とは、繊維径のデータに基づいて作成した対数度数分布に第一ピーク繊維径が存在する場合に、平均繊維径よりも大きな繊維径の領域における最頻繊維径をいう。
以下、本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維の材料について説明する。
(熱可塑性樹脂)
本実施形態の不織布の製造に用いる熱可塑性樹脂は、メルトブロー不織布の製造に適用可能な熱可塑性樹脂であれば、特に限定はされず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
本実施形態に適用可能な熱可塑性樹脂としては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
α−オレフィンの単独重合体又は共重合体としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/1−ブテンランダム共重合体等のエチレンの単独重合体あるいはエチレン/α−オレフィン共重合体等のエチレン含有共重合体;プロピレンの単独重合体(ポリプロピレン:PP)、プロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/エチレン/1−ブテンランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体、プロピレン/1−ブテンランダム共重合体等のプロピレン含有重合体;1−ブテン単独重合体、1−ブテン/エチレン共重合体、1−ブテン/プロピレン共重合体等の1−ブテン含有共重合体;4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン/α−オレフィン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン含有共重合体;などのα−オレフィン含有重合体が挙げられる。
α−オレフィン含有重合体以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン/酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー及びこれらの混合物等を例示することができる。
これら熱可塑性樹脂の中でも、成形時の紡糸安定性、不織布の加工性及び通気性、柔軟性、軽量性並びに耐熱性の観点から、α−オレフィン含有重合体が好ましい。α−オレフィン含有重合体の中でも、耐熱性、軽量性の観点から、プロピレン由来の構造単位を含む重合体(以下、プロピレン系重合体と称することがある)が好ましい。即ち、熱可塑性樹脂繊維における熱可塑性樹脂としては、プロピレン由来の構造単位を含む重合体であることが好ましい。なお、プロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等がより好ましい。
・プロピレン系重合体
本実施形態において、熱可塑性樹脂として好適なプロピレン系重合体としては、通常、融点(Tm)が125℃以上、好ましくは130〜165℃の範囲にあるプロピレンの単独重合体、又は、プロピレンと、極少量のエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等から選ばれる炭素数2若しくは炭素数4以上のα−オレフィンの1種若しくは2種以上と、の共重合体を挙げることができる。プロピレン由来の構造単位を含む共重合体としては、プロピレンと、炭素数2又は炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれるα−オレフィンの1種又は2種以上と、の共重合体がより好ましい。溶融粘度を満たすプロピレン系重合体であれば、その種類は特に限定されない。
プロピレン系重合体は、溶融紡糸が可能な限り、メルトフローレート(MFR:ASTM D1238、230℃、荷重2.16kg)は特に限定はされない。紡糸容易性の観点からは、MFRは10g/10分〜4000g/10分であることが好ましく、50g/10分〜3000g/10分であることがより好ましく、100g/10分〜2000g/10分の範囲であることがさらに好ましい。
なお、本明細書におけるMFRは、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値を用いている。
(熱可塑性樹脂組成物)
本実施形態の不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維は、前述の熱可塑性樹脂のみから形成されてもよいが、熱可塑性樹脂に加え、本実施形態の効果を損なわない範囲において、公知の熱可塑性樹脂以外の添加剤をさらに含む熱可塑性樹脂組成物から形成されてもよい。
熱可塑性樹脂組成物が含みうる添加剤としては、ワックス、結晶核剤、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤、充填材、帯電防止剤、親水剤、撥水剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料などの着色剤、天然油、合成油等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物はその他の添加剤を1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
(ワックス)
熱可塑性樹脂組成物は、既述のようにワックスを含むことが好ましい。
ワックスとしては、繊維改質に使用しうるワックスであれば、特に制限なく使用することができる。中でも、熱可塑性樹脂との親和性を有するワックスが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン系重合体を用いる場合には、プロピレン系ワックスを含むことが好ましい。熱可塑性樹脂組成物がプロピレン系重合体と、プロピレン系ワックスと、を含むことにより、得られる不織布の平均繊維径を小さくすることがより容易となり、均一な品質の不織布を得ることがより容易となる。
プロピレン系ワックスは、比較的分子量が低いプロピレン系重合体、すなわち、ワックス状のプロピレン系重合体である。プロピレン系ワックスの製造方法は特に制限されない。プロピレン系ワックスは、通常用いられる低分子量重合体又は単量体の重合により製造したものでもよく、分子量のより高いプロピレン系重合体を加熱減成し、分子量を低減させることにより得られたものでもよい。
本実施形態に使用しうるプロピレン系ワックスの重量平均分子量(Mw)は22,000以下であることが好ましい。プロピレン系重合体ワックス(b)のMwは、好ましくは400〜20,000であり、より好ましくは400〜15,000であり、さらに好ましくは2,000〜14,000であり、特に好ましくは6,000〜13,000である。
ワックスの分子量及び分子量分布の測定は、GPCを用いて行う。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行う。
装置:ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤:o−ジクロルベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソー株式会社製)×4
流速:1.0ml/分
試料:0.3%o−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
プロピレン系ワックスのMwが上記範囲にあることで、不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維をより細くし易くなる。また、Mwが上記範囲にあることで、ワックスの有機樹脂繊維からの経時的なブリードアウトをより確実に抑制できる。
プロピレン系ワックスは、JIS K2207(1996年)に従って測定した軟化点が90℃を超えることが好ましい。上記軟化点は、より好ましくは100℃以上である。
上記軟化点が90℃以上であると、熱処理時又は使用時における耐熱安定性をより向上させることができ、結果として不織布の耐熱性をより向上させることができる。
上記軟化点の上限は特に制限されないが、上限として、例えば168℃が挙げられる。
プロピレン系ワックスとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと炭素数2又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂組成物が、プロピレン系重合体とプロピレン系ワックスと、を含み、かつ、プロピレン系ワックスがプロピレンの単独重合体であることが、プロピレン系重合体とプロピレン系ワックスとの混練性により優れ、より均一な熱可塑性樹脂組成物が形成されるため好ましい。
プロピレン系ワックスのJIS K6760(1995年)に従って測定した密度は特に限定されるものではないが、例えば0.890g/cm〜0.980g/cmであることが好ましく、0.890g/cm〜0.960g/cmであることがより好ましく、0.900g/cm〜0.960g/cmであることがさらに好ましく、0.900g/cm〜0.950g/cmであることが特に好ましい。
プロピレン系ワックス密度が上記範囲にあることで、プロピレン系ワックスとプロピレン系重合体との混練性により優れ、且つ、紡糸性及び経時での安定性がより優れたものとなる。
プロピレン系ワックスは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、三井化学株式会社製のハイワックス(登録商標)NPシリーズ等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物は、プロピレン系ワックスを一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂組成物の全量に対するプロピレン系ワックスの含有量は、10質量%〜60質量%の範囲であることが好ましく、15質量%〜55質量%の範囲がより好ましく、20質量%〜50質量%の範囲がさらに好ましく、30質量%〜40質量%の範囲が特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の全量に対するプロピレン系ワックスの含有量が上記範囲において、紡糸性がより良好となり、ピーク繊維径をより細くすることができる。
熱可塑性樹脂組成物中における、プロピレン系重合体とプロピレン系ワックスとの総含有量は、効果の観点から、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
(結晶核剤)
熱可塑性樹脂組成物は、結晶核剤を含むことができる。結晶核剤としては、熱可塑性樹脂が結晶化する際の核となりうるものを制限なく用いることができる。
本実施形態で用いられる結晶核剤は、熱可塑性樹脂の溶融状態から、冷却されることで固体状態へ変化する遷移状態において、熱可塑性樹脂が結晶化する際の核形成サイトを生成する添加剤を意味する。結晶核剤は単独で用いてもよく、二種以上を用いてもよい。
結晶核剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.03質量部〜3質量部がより好ましく、0.03質量部〜0.5質量部がさらに好ましい。
(安定剤)
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2’−オキザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、Irganox 1010(ヒンダードフェノール系酸化防止剤:商品名)等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;等が挙げられる。
(充填材)
充填材としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ペントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、カーボンナノチューブ(CNT)、セルロースナノファイバー等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物の調製方法には特に制限はない。熱可塑性樹脂組成物の調製方法としては、例えば、プロピレン系重合体に、所望により、好ましい添加剤であるプロピレン系ワックス、上記その他の添加剤と、を種々公知の方法を用いて混合する方法を挙げることができる。
(不織布の物性)
既述の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる不織布の、繊維径以外の好ましい物性について説明する。
(1.目付)
本実施形態の不織布の目付には、特に制限はなく、不織布の使用目的に応じて適宜設定することができる。
本実施形態の不織布をフィルタに使用する場合の目付は、好ましくは0.5g/m以上であり、より好ましくは0.5g/m〜50g/mであり、さらに好ましくは1g/m〜40g/mであり、特に好ましくは1g/m〜20g/mである。
不織布の目付が上記範囲において、不織布の強度がより向上し、細径の繊維がより得られやすい。さらに、上記目付けの不織布を積層することにより、使用時の不織布の目付けを調節することができる。
一方、衛生材料用途など、高いバリア性がさほど必要とされず、主に柔軟性、ヒートシール性、軽量性等が求められる用途に用いる場合、不織布の目付は、例えば、0.5g/m〜5g/mとすることが好ましく、より好ましくは0.5g/m〜3g/mの範囲である。
(2.最大孔径)
本実施形態の不織布は、目付60g/mで測定した最大孔径が、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下である。
(3.平均孔径)
本実施形態におけるポリエチレン不織布は、目付60g/mで測定した平均孔径が、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
平均孔径の下限には特に制限はないが、不織布をフィルタに使用した場合において、ろ過流量をより向上させる観点からは、平均孔径は、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは0.8μm以上である。
不織布の最大孔径及び平均孔径は、以下に記載の方法で測定することができる。
不織布を積層させることにより目付60g/mとなるように調整し、調整後の不織布積層体から試験片を採取する。
採取した試験片を、JIS Z8703(試験場所の標準状態)に規定する、温度20±2℃、湿度65±2%の恒温室内でフッ素系不活性液体(3M社製 商品名:フロリナート)に浸漬し、Porous materials,Inc社製のキャピラリー・フロー・ポロメーター(Capillary Flow Porometer)「モデル:CFP−1200AE」を用い、試験片の最大孔径(μm)及び平均孔径(μm)を測定する。
(4.通気度)
本実施形態の不織布は、目付60g/mで測定した通気度が、15cm/cm/秒以下であることが好ましい。通気度が15cm/cm/秒以下の不織布は、極細径の繊維が適切な量で含まれていることにより、平均孔径をより小さくすることができる。このため本実施形態の不織布をフィルタに用いた場合に、微細粒子阻止率が大きくなる傾向がある。
通気度は、0.1cm/cm/秒以上であることが好ましく、1cm/cm/秒以上であることがより好ましい。通気度が0.1cm/cm/秒以上の不織布は、フィルタに用いた場合に処理流量をより大きくすることができる。
<不織布の製造方法>
既述の本実施形態の不織布は、以下に記載の不織布の製造方法により効率よく製造することができる。
本実施形態の不織布の製造方法は、熱可塑性樹脂を含み、200℃における溶融粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである熱可塑性樹脂組成物を溶融し、紡糸ノズルから10−9〜10−4の溶融樹脂塊として断続的に滴下させること(以下、樹脂滴下工程と称することがある)、滴下させた溶融樹脂塊に気体を供給して熱可塑性樹脂繊維を形成すること(以下、繊維形成工程と称することがある)、及び、形成された熱可塑性樹脂繊維を集積すること(以下、繊維集積工程と称することがある)を含む。
本明細書における「溶融樹脂塊」とは、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が紡糸ノズルから断続的に液滴状態で滴下される際の、1つの溶融樹脂の液滴を指す。
また、本明細書において「溶融樹脂塊として断続的に滴下」とは、溶融樹脂の液滴が紡糸ノズルから一定又は不定の間隔で滴下されることを指す。
(製造装置)
本実施形態の不織布は、既述の熱可塑性樹脂組成物を用いて、公知のメルトブロー不織布の製造装置を用いて製造することができる。
メルトブロー不織布製造装置としては、具体的には、熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する押出機、溶融混練した樹脂組成物を滴下する紡糸ノズル、紡糸ノズルから滴下された樹脂組成物に、紡糸ノズルの周囲から高速かつ高温の気体を噴射して樹脂組成物を繊維状に成形する気体供給装置、及び得られた熱可塑性樹脂繊維を、捕集ベルト上に所定の厚さに堆積させる集積装置とを備える公知のメルトブロー不織布製造装置であれば、いずれも本実施形態の製造方法に適用することができる。
なお、公知のメルトブロー不織布製造装置に、本実施形態の製造方法により適するように改良を加えた不織布製造装置、例えば、以下に詳述する熱可塑性樹脂組成物の供給条件に適するように、熱可塑性樹脂組成物の粘度調整機能を備えた溶融混練装置を用いたり、紡糸ノズルの形状を変更したり、ノズル内側面を平滑化処理したりする、といった改良を加えた不織布装置を、本発明の製造方法に用いうることはいうまでもない。
(1.樹脂滴下工程)
本実施形態の製造方法では、まず、熱可塑性樹脂を含み、200℃における溶融粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである熱可塑性樹脂組成物を溶融し、紡糸ノズルから10−9〜10−4の溶融樹脂塊として断続的に滴下させる。このとき、熱可塑性樹脂組成物の熱可塑性樹脂の温度を200℃前後に維持しながら溶融樹脂塊を断続的に紡糸ノズルから滴下する。
熱可塑性樹脂組成物の200℃における粘度を0.1Pa・s〜100.0Pa・sに調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂、好ましくはプロピレン系重合体の分子量を選択する方法、熱可塑性樹脂組成物にワックス、滑剤などを含有させる方法、熱可塑性樹脂組成物を混練する溶融押出装置の温度及び剪断力を制御して、溶融押出装置内でプロピレン系重合体の分子量を低分子化する方法などが挙げられる。
なお、200℃における熱可塑性樹脂組成物の粘度は、JIS K7199(1999年)に準拠し、キャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1Dと管長15mm、管径0.5mmのキャピラリー)を用い、ピストン速度5mm/minとして測定することができる。
中でも、紡糸性をより向上されるという観点から、熱可塑性樹脂組成物の200℃における粘度の調製方法として、熱可塑性樹脂組成物にワックスを含有させる方法が好ましい。ワックスを用いる場合には、ワックスは、紡糸用に用いられる熱可塑性樹脂との親和性が良好で、均一に溶融混練し易いワックスを選択することが好ましい。
本実施形態の好適な態様としては、プロピレン系重合体とプロピレン系ワックスとの併用が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物におけるプロピレン系ワックスの含有量は、既述のとおり、熱可塑性樹脂組成物の全量に対して10質量%〜60質量%の範囲であることが好ましく、15質量%〜55質量%の範囲がより好ましく、20質量%〜50質量%の範囲がさらに好ましく、30質量%〜40質量%の範囲が特に好ましい。
溶融粘度を上記範囲に制御された熱可塑性樹脂組成物をメルトブロー不織布製造装置の紡糸ノズルから滴下させる。一般的には、溶融混練した熱可塑性樹脂組成物は、メルトブロー不織布製造装置の紡糸ノズルから連続的に滴下される。しかし、本工程では、紡糸ノズルから熱可塑性樹脂組成物を10−9〜10−4の溶融樹脂塊として断続的に滴下させる。熱可塑性樹脂組成物の200℃における溶融粘度を上記範囲とした上で、体積10−9〜10−4の溶融樹脂塊として紡糸ノズルから断続的に滴下させることにより、熱可塑性樹脂組成物が液滴状態で紡糸ノズルから滴下される。
溶融樹脂塊の体積は10−8〜5.0×10−5であることが好ましく、10 −8〜3.0×10−5であることがより好ましい。溶融樹脂塊の量の制御は、溶融押出装置から供給される溶融樹脂の粘度、単位時間当たりの供給量、紡糸ノズル孔径、紡糸ノズルの形状、紡糸ノズルの材質等を制御することで行うことができる。
溶融樹脂塊の体積(m)は、以下の方法により測定することができる。
紡糸中の紡糸ノズル周辺部を、高速度カメラ(Phantom V9.0、Vision Research,Inc.)を用いて、4000fps(frames per second=フレーム毎秒)で撮影し、溶融樹脂塊、即ち、溶融樹脂の液滴が紡糸ノズルから離れた際に、その液滴の半径を計測した。計測により得られた半径を用いて、溶融樹脂塊の体積を4/3π×(半径)の三乗として算出した。この操作を100液滴に対して行い、数平均で平均を取って溶融樹脂塊の体積とした。なお、フレームレートは、動画において単位時間あたりに処理させるフレーム数(静止画像数:コマ数)を表し、fpsとは、1秒当たりに撮影された静止画像数を示す。
溶融状態の熱可塑性樹脂組成物が紡糸ノズルから液滴状態で断続的に滴下されることで、熱可塑性樹脂組成物が連続吐出される場合に比較して、液滴の滴下時における変形の自由度がより高くなり、さらに、液滴状態で滴下されることで溶融樹脂塊が重力の影響を受け易くなるために、引き続き行われる繊維成形工程における気体の供給により、一つの溶融樹脂塊から形成される繊維は、繊維径が微細な箇所と、繊維径のより太い箇所とを、それぞれ有効な範囲で有する繊維となると考えられる。
本実施形態の不織布を製造する際に用いるメルトブロー用紡糸ノズルとしては、熱可塑性樹脂組成物を用いて公知のメルトブロー不織布を製造する際に用いるものから適宜選択して用いることができる。本実施形態の不織布は、平均繊維径が5.0μm以下である熱可塑性樹脂繊維を形成するため、紡糸ノズルの孔径としては、0.03mm〜0.30mmの範囲にあるノズルを用いることが好ましく、0.06mm〜0.15mmの範囲にあるノズルを用いることがより好ましい。なお、本実施形態の好ましい態様である平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下である熱可塑性樹脂繊維も、既述の孔径を有するノズルを用いて製造することができる。
また、単一の孔径の紡糸ノズル群を具備した装置のみならず、2種以上の互いに異なる孔径のノズルを所望の比率で有するノズル群を具備した装置を用いてもよい。
2種の孔径のノズルを有する装置を用いて本実施形態の不織布を製造する場合、ノズル孔径が0.07mm〜0.3mmの範囲にあるノズル(小孔径ノズル)と、ノズル孔径が0.5〜1.2mmの範囲にあるノズル(大孔径ノズル)と、を有する装置を用いることができる。このようなノズル群を有する装置としては、例えば、小孔径ノズルと大孔径ノズルの孔径の比(大孔径ノズル/小孔径ノズル)が2を超え、及び、小孔径ノズルと大孔径ノズルの個数の比(小孔径ノズル/大孔径ノズル)が3〜20の範囲にあるような装置が挙げられる。
(2.繊維形成工程)
本工程では、前工程において滴下させた溶融樹脂塊に気体を供給して熱可塑性樹脂繊維を形成する。
溶融樹脂塊に供給される気体は、一般に使用されるメルトブロー不織布製造装置におけるのと同様の気体であればよく、既述の紡糸ノズルの周囲から噴射される高速かつ高温の空気流(ホットエアとも称される)が適用される。
供給される気体の温度は200℃〜400℃の範囲が好ましく、250℃〜350℃の範囲がより好ましい。気体の供給量としてはノズル1穴あたり、10Nm/m/時〜25Nm/m/時の範囲が好ましく、12.5Nm/m/時〜22.5Nm/m/時の範囲がより好ましい。
気体の流速は一定でもよく、上記範囲において変動してもよい。
紡糸ノズルから滴下された溶融樹脂塊は、気体の供給により繊維の形状に成形され、固化されて熱可塑性樹脂繊維が形成される。
(3.繊維集積工程)
本工程では、形成された熱可塑性樹脂繊維が集積され、熱可塑性樹脂繊維の集合体である不織布が形成される。
繊維集積工程では、形成された熱可塑性樹脂繊維を、捕集ベルト上に自己接着性のマイクロファイバーとして所定の厚さに堆積させてウェブ状の不織布が製造される。
ウェブ状の不織布を製造するに際して、必要に応じて、堆積したウェブを交絡処理することができる。
堆積したウェブを交絡処理する方法としては、例えば、エンボスロール、フラットロール(金属ロール、ゴムロール)等を用いて熱圧着処理する方法;超音波により融着する方法;ウォータージェットを用いて繊維を交絡させる方法;ホットエアースルーにより融着する方法;ニードルパンチを用いる方法;などの各種の方法が挙げられる。
中でも、不織布の均一性を向上する目的で、表面が均一なフラットロールを用いて熱圧着処理する方法、又はホットエアースルーにより融着する方法が好ましい。
本実施形態の不織布は単独で使用してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、不織布の使用目的に応じて、木綿、キュプラ、レーヨン、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維などから選ばれる繊維で形成された、短繊維不織布及び長繊維不織布の少なくとも一つと積層して使用してもよい。
例えば、強度を補強するために、本実施形態の不織布と、スパンボンド不織布と、を一体化して積層体を形成する方法をとることもできる。
他の不織布と積層する場合には、例えば、スパンボンド不織布上に、メルトブロー法によって既述の熱可塑性樹脂組成物から得られる繊維を直接堆積させることにより本実施形態の不織布を形成する方法、さらに、本実施形態の不織布を形成した後、スパンボンド不織布と本実施形態の不織布とを熱エンボスなどによって融着させて2層の積層体を製造する方法、予め作製されたスパンボンド不織布と別途製造した本実施形態の不織布とを重ね合わせ、加熱加圧等により融着させて積層体を製造する方法、等を採用することができるが、これら方法に限定されるものではない。
本実施形態の不織布は上記構成としたため、表面積が大きく、微細粒子阻止率が良好となり、本実施形態の好ましい態様では、さらに圧縮に対する抵抗性が良好となるため、種々の用途に好適に使用することができる。
<フィルタ>
本実施形態のフィルタは、前述の本実施形態の不織布を含む。本実施形態の不織布をフィルタに使用することで、微細粒子阻止率が良好なフィルタを得ることができ、好ましい態様においては、さらに流体への抵抗性が良好なフィルタを得ることができる。
本実施形態の不織布は単独でフィルタとして用いてもよく、また、既述のように他の不織布との積層体として用いてもよく、さらに、不織布以外の網状物などの補強材と積層して用いてもよい。
本実施形態の不織布は、繊維径が極めて細い領域とより太い繊維径を有する領域とを備えるため、液体用フィルタ、気体用フィルタとして広く適用可能である。中でも、ゲル粒子などの分離に用いた場合、他の不織布を用いた場合に比較して、微細粒子阻止率が高く、かつ、ゲル粒子の詰まりが生じ難く、より長寿命となるため、ゲル粒子の分離用途に使用してその効果が著しい。
本実施形態の不織布は、日本不織布協会社発行「不織布の基礎知識」に記載された用途に展開可能であるが、従来の不織布に比べ極めて細径の繊維を含むため、柔軟性に優れる。また、より太い繊維を有する領域を備える形態とすることで、さらに圧縮抵抗性が良好となる。したがって、本実施形態の不織布は紙おむつ、生理用ナプキン、マスク、医療用包帯などの各種衛生材料、衣料、保護衣に好適に使用できる。
さらに、本実施形態の不織布は、極めて細径の繊維を含むため、表面積が大きく、不織布内に空隙が十分に形成され、かつ、圧縮抵抗性が良好であることから、油吸着材、ワイパー、吸音材、断熱材、緩衝材、表面保護材等に好適に使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(熱可塑性樹脂組成物の調製)
プロピレン単独重合体〔MFR=1550g/10分(ASTM D1238に準拠し温度230℃、荷重2.16kgで測定)、以下、プロピレン単独重合体を「PP」と表記する〕60質量%に対して、ポリプロピレン系WAX(三井化学株式会社製 商品名:三井ハイワックス(登録商標)NP055、密度900kg/m、以下、ポリプロピレン系WAXを「WAX」と表記する)を40質量%添加し、熱可塑性樹脂組成物Aを得た。
(不織布の製造)
ノズル孔径0.12mmφであるノズルを有するメルトブロー用ダイを備えるメルトブロー不織布製造装置を用い、押し出し温度200℃、ノズル1孔あたりの溶融樹脂の滴下量0.009g/分で、得られた熱可塑性樹脂組成物Aを断続的に押出した。断続的に紡糸ノズルから滴下された熱可塑性樹脂組成物Aの溶融樹脂塊の体積を既述の方法により測定した。結果を下記表1に示す。
断続的に紡糸ノズルから滴下された溶融樹脂塊を、紡糸ノズルの両側から吹き出す加熱エアー(290℃、300Nm/m/時、すなわちノズル1孔あたり15Nm/m/時)により、繊維状に成形、固化して熱可塑性樹脂繊維を形成した。形成された熱可塑性樹脂繊維を紡糸ノズルからの距離10cmで捕集し実施例1の不織布を得た。
得られた不織布について、既述の方法にて繊維径を測定した。結果を表1に示す。また、実施例1の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフを図1に示す。得られた不織布の200℃における溶融粘度を、熱可塑性樹脂組成物Aの粘度測定方法と同様の方法で測定したところ、4.3Pa・sであった。
なお、不織布の製造に用いたメルトブロー不織布製造装置のメルトブロー用ダイの構成を図2に示す。図2に示すように、メルトブロー用ダイ4の下面側には、ダイノーズ12が配置され、複数の孔14が列状に配列されたノズル16が配置されている。そして、樹脂通路18内に供給されてきた溶融樹脂は、ノズル16の各孔14から下方に向かって押し出される。なお、図2では、押し出されてくる一本の繊維10のみを示している。一方、ノズル16の孔14の列を両側から挟むようにスリット31、31が形成され、これらのスリット31,31により空気通路20a、20bが構成されている。そして、空気通路20a、20bから送られてくる高温高圧空気が、溶融樹脂の押し出し時に、溶融樹脂と一緒に噴出される。
[実施例2]
ノズル1孔あたりの溶融樹脂の滴下量を0.018g/分に変更したこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法で実施例2の不織布を得た。
実施例1と同様にして紡糸ノズルから滴下された溶融樹脂塊の体積、得られた不織布の繊維径を測定した。測定結果を下記表1に示す。また、実施例2の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフを図1に示す。
[実施例3]
(熱可塑性樹脂組成物の調製)
実施例1における熱可塑性樹脂組成物Aに用いたPP70質量%に対して、WAXの添加量を30質量%に変更した以外は、熱可塑性樹脂組成物Aの調製と同様にして、熱可塑性樹脂組成物Bを得た。
組成物を熱可塑性樹脂組成物Bに変更したこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法で実施例3の不織布を得た。
実施例1と同様にして紡糸ノズルから滴下された溶融樹脂塊の体積、得られた不織布の繊維径を測定した。測定結果を下記表1に示す。また、実施例3の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフを図1に示す。
[比較例1]
ノズル1孔あたりの溶融樹脂の吐出量を0.030g/分に変更したこと以外は、加熱エアーの設定も含めて、実施例1に記載の方法と同様の方法で比較例1の不織布を得た。
紡糸中の紡糸ノズル周辺部を、溶融樹脂塊の体積を測定する際に用いた装置により、実施例1と同条件にて撮影して得られた画像を観察したところ、紡糸ノズルから吐出された熱可塑性樹脂組成物は、連続的に吐出され、熱可塑性樹脂組成物からなる溶融樹脂塊は観察されなかった。
得られた比較例1の不織布の繊維径を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。また、比較例1の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフを図1に示す。
[比較例2]
熱可塑性樹脂組成物としてWAXを含有しない組成物を使用した以外は、加熱エアーの設定も含めて、実施例1に記載の方法と同様の方法により比較例2の不織布を得た。
紡糸中の紡糸ノズル周辺部を、溶融樹脂塊の体積を測定する際に用いた装置により、実施例1と同条件にて撮影して得られた画像を観察したところ、紡糸ノズルから吐出された熱可塑性樹脂組成物は、連続的に吐出され、熱可塑性樹脂組成物からなる溶融樹脂塊は観察されなかった。
得られた比較例1の不織布の繊維径を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。また、比較例2の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフを図1に示す。
表1に示すように、実施例1〜実施例3の不織布は、100nm〜200nmという微細な繊維径の領域を有し、平均繊維径に比較してピーク繊維径が細く、かつ、第二ピーク繊維径が平均繊維径よりも大きいため、表面積が大きく、圧力に対する抵抗性が良好な不織布であることが期待できる。
一方、平均繊維径に対する第一ピーク繊維径が0.5を超える比較例1及び比較例2の不織布は、100nm〜200nmという微細な繊維径の領域が存在しなかった。
図1は、実施例1〜3及び比較例1、2の不織布における繊維径の対数度数分布を示すグラフである。図1のグラフから、実施例1〜実施例3の不織布では、平均繊維径よりも細い繊維径の側に高いピーク(最頻繊維径に対応する第一のピーク)と、平均繊維径よりも細い繊維径の側に、第一のピークよりも低いが明な第二のピークが認められ、実施例の不織布は独特の繊維径分布を示すことがわかる。
なお、実施例1〜実施例3と比較例1及び比較例2との対比より、熱可塑性樹脂組成物を紡糸ノズルから吐出する場合、断続的に溶融樹脂塊として滴下する製造方法により、本実施形態に規定する繊維径分布を有する実施例の不織布が既存のメルトブロー不織布製造装置を用いて容易に形成されることが分かる。
2016年2月16日に出願された日本国特許出願2016−026803の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1. 平均繊維径が5μm以下であり、100nm〜200nmの繊維径積算頻度が3.0%以上存在する熱可塑性樹脂繊維を含む不織布。
  2. 前記熱可塑性樹脂繊維は、平均繊維径に対するピーク繊維径の比率が0.5以下である請求項1に記載の不織布。
  3. 200℃で溶融させて測定した粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである請求項1又は請求項2に記載の不織布。
  4. 前記熱可塑性樹脂繊維がワックスを含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記熱可塑性樹脂繊維が、前記ワックスを、前記熱可塑性樹脂繊維の全量に対し10質量%〜60質量%含有する請求項4に記載の不織布。
  6. 前記熱可塑性樹脂繊維のピーク繊維径が1μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記熱可塑性樹脂繊維における熱可塑性樹脂がα−オレフィンの単独共重合体又は共重合体である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 前記熱可塑性樹脂繊維における熱可塑性樹脂がプロピレン由来の構造単位を含む重合体である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の不織布を含むフィルタ。
  10. 熱可塑性樹脂を含み、200℃における溶融粘度が0.1Pa・s〜100.0Pa・sである熱可塑性樹脂組成物を溶融し、紡糸ノズルから10−9〜10−4の溶融樹脂塊として断続的に滴下させること、
    滴下させた溶融樹脂塊に気体を供給して熱可塑性樹脂繊維を形成すること、
    形成された熱可塑性樹脂繊維を集積すること、を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の不織布の製造方法。
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