JPWO2017141826A1 - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

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Abstract

加熱室(103)と、加熱室(103)を形成する壁面の少なくとも一部である上壁面(108)に、マイクロ波の反射角度を制御して加熱室(103)内の定在波分布を制御する反射角度制御装置(118)を有する構成としている。これにより、マイクロ波放射装置(104)から放射されたマイクロ波が、被加熱物(102)で直接吸収されずに壁面で反射する際に、反射角度制御装置(118)でマイクロ波の反射角度を制御するので、加熱室(103)内の定在波分布を通常とは異なる分布に制御することができ、局所加熱性能を向上することができる。

Description

本発明は、被加熱物にマイクロ波を放射して誘電加熱する電子レンジ等のマイクロ波加熱装置に関するものである。
代表的なマイクロ波加熱装置である電子レンジは、代表的なマイクロ波放射装置であるマグネトロンから放射されたマイクロ波を、金属で覆われた加熱室の内部に供給し、マイクロ波の電界成分で、加熱室内部に置かれた代表的な被加熱物である食品を誘電加熱するものである。
この時、安全のために、マイクロ波の外部への漏洩を抑えるべく、加熱室は金属で覆われている。よって、加熱室内のマイクロ波は閉じ込められて反射を繰り返すが、加熱室のサイズが、マイクロ波の波長(電子レンジでは約120mm)より充分大きいので、加熱室内には、何らかの定在波が生じる。
定在波が生じると、常に電界が強い位置(定在波の腹)と、常に電界が弱い位置(定在波の節)があり、食品がどこに置かれているかによって、加熱のされ方が変わる。電界が強い「腹」にあると良く加熱され、電界が弱い「節」にあるとあまり加熱されない。これこそが電子レンジの加熱むらの主たる要因で、食品の特定の部分は熱いのに、他の部分は冷たい、ということが起こり得る。
このような定在波による加熱むらを防ぐため、加熱室内に設けられ食品が載置されるテーブルを回転させて、加熱室内における食品の位置を動かす構成(いわゆる、ターンテーブル方式)や、食品は動かさずに、マイクロ波を放射するアンテナの方を回転させる構成(回転アンテナ方式)などが、開発されてきた。これらの方法は、定在波を無くすことはできないながらも、少しでも均一に食品を加熱しようとするものであった。
一方、均一加熱とは逆に、食品の特定の部分だけを加熱するという、局所加熱を極めようとする動きもある。例えば、マイクロ波放射指向性の高いアンテナの向きを制御して、食品の特定の部位に、できるだけマイクロ波の直接波を照射することで、食品の特定の部位を、局所的に加熱しようとするものである。この技術を利用すると、食品が一品の場合は、赤外線センサ等で食品の温度を検知しながら、温度の低い部位に、マイクロ波放射指向性の高いアンテナを向けてマイクロ波を放射して、均一加熱を行うことができる(例えば、特許文献1参照)。
また、食品が二品以上の場合は、特定の一品だけを集中的に加熱することも、期待できる。具体例としては、冷凍ごはんと冷蔵おかずの二品を、同時に加熱する場合がある。両者は、初期温度が全く異なる(例えば、−20℃と8℃)のに、同じくらいの温度(例えば、70℃)に仕上げたいので、加熱に必要なエネルギーがそれぞれ異なり、その比率は(70℃−(−20℃)):(70℃−8℃)≒1.5:1程度である。よって、よりエネルギーが必要な冷凍ごはんの方に、マイクロ波放射指向性の高いアンテナを向けて、マイクロ波の直接波を照射することにより、加熱室内において局所的に加熱し、その結果、二品の食品の調理を同時に終了することが、可能となっている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−59834号公報 特開2013−120005号公報
しかしながら、従来の電子レンジは、局所加熱の性能に限界があった。例えば、二品の食品のうちの一方の食品を局所加熱しようとすると、現在の電子レンジ用のアンテナで最も指向性が高いアンテナを使っても、それぞれの食品に集中できるエネルギー比率は、2:1程度が限界である。もちろん、それぞれの食品を加熱するエネルギー比率を2:1程度に集中する性能があれば、前述の冷凍ごはんと冷蔵おかずの二品の場合は、加熱に必要なエネルギー比率が1.5:1であり、この比率よりも集中できるエネルギー比率が大きいので、問題はない。
しかし、電子レンジであたためようとする食品には、ハンバーグと生野菜とが一皿に盛り付けられた食品がある。この場合は「ハンバーグだけを加熱して、生野菜を全く加熱しない」ということが本来望まれるが、それほどの局所加熱はできず、生野菜も多少は加熱されてしまう。
具体的には、ハンバーグと生野菜を載せた皿を食卓に置いていた場合、ハンバーグも生野菜も初期温は室温(例えば、20℃)になっており、ハンバーグを適温(例えば、70℃)まで加熱する時に、生野菜を食べて温過ぎない温度(例えば、体温37℃)以下に抑えようとすると、必要なエネルギーの比率は、(70℃−20℃):(37℃−20℃)≒3:1程度となる。これは、前述の冷凍ごはんと冷蔵おかずを加熱するのに必要なエネルギー比率1.5:1のさらに2倍のエネルギーを集中させる性能が必要ということになり、現在の電子レンジ用のアンテナで最もマイクロ波放射指向性が高いアンテナであっても、エネルギー比率2:1では不十分である。
なぜ現在の電子レンジのアンテナでの局所加熱の限界が、二品の食品に対する加熱エネルギーを集中させる比率が2:1程度になるのかについては、反射波や定在波の影響を考えなければならない。
そもそも、マイクロ波放射指向性の高いアンテナを食品に向けて、実際にマイクロ波の直接波が食品に照射されたとしても、すべてのマイクロ波が吸収されるわけではない。食品の表面で反射したり、食品を透過したりするマイクロ波が存在する。このように、マイクロ波の直接波の一回目の衝突で吸収されなかったマイクロ波は、すべて加熱室の壁面で反射して反射波となり、反射波の一部は生野菜に衝突してしまうし、壁面で反射を繰り返して定在波が生じると、定在波の腹に位置する生野菜は特に加熱されて、短時間で温度が上がってしまう。
ここで、定在波のメカニズムについて、調査および考察した。
加熱室内に食品が無い無負荷の場合は、加熱室を略直方体の空洞共振器と考えることができ、空洞共振器の定在波モードなら、(数1)で計算できる。
ここで、λはマイクロ波の自由空間波長、X,y,zは空洞共振器の各辺の長さ、m,n,PはX,y,zの方向に生じる定在波の腹節の数を示し、「モードmnp」などと呼ばれる。家庭用電子レンジ程度の大きさになると、X,y,zは200mmから500mm程度であり、自由空間波長(約120mm)よりも大きいために、上記の(数1)を満たすm,n,Pの組み合わせが多数存在し得る。
ここで、定在波分布の一例を、電磁界シミュレーションを用いて説明する。
図25は、電磁界シミュレーションのモデルとして用いた電子レンジ1の斜視図である。加熱室2を直方体とし、マグネトロンは図示しないが、マグネトロンにより励振されたマイクロ波を導波管3の給電点4に、2.45GHzの電界として定義している。導波管3は、加熱室2との境界に、開口5、開口6を設定し、個別に開閉可能に定義している。
図26、図27は、電磁界シミュレーションの結果を示しているが、図25の対称軸15(16)−15(16)で切断して奥側(+y側)の半分だけを示した図である。図26は、開口5だけが開放されている場合を示し、図16は、開口6だけが開放されている場合を示す。図26、図27とも、有限要素法で定常解析した電界分布を、等電界強度線図で示している。年輪状の模様の込み入ったところほど、電界が強い(定在波の腹)と考えればよい。
図26、図27は、すなわち、加熱室形状が同じで開口の位置が異なる場合における、定在波の違いを示す図である。図26は、開口5だけが開放されているが、定在波の腹の数は、加熱室2内のx方向に4つ、y方向に3つ、z方向に1つ生じており、「モード431」である。図27は、開口6だけが開放されているが、定在波の腹の数は、加熱室2内のx方向に5つ、y方向に1つ、z方向に1つ生じており、「モード511」である。
以上のように、加熱室形状が同じでも、開口の位置が異なるだけで、定在波が異なり、食品が加熱され易い位置が変わってしまうことがわかる。ただし、いずれの定在波モードも、X、y、zすべての方向に対して、加熱室2中心から見ると対称な分布になっている。
このように、加熱室2内に食品が無い場合はまだ簡単であるが、同じ構成でも食品(誘電率εの誘電体)が有ると、厄介である。誘電体の内部では、伝播する波長が圧縮される(実効波長λ=λ0/√ε)ことが知られている。よって、食品が有ると、その分、加熱室2がやや広くなったかのように作用するので、食品があることで、さらに別の(どちらかというと、次数の高い)定在波が生じる可能性がある。また、食品には、いろいろな種類や形状があるので、どんな定在波が起こるかを推定するのは、難しくなる。
また、電子レンジ1で使用可能な周波数範囲は、かなり広い範囲(2.4〜2.5GHz)で許容されており、特に、マイクロ波放射装置がマグネトロンの場合は、発振周波数を制御してはおらず、固体ばらつきがある。それに加えて、一つのマグネトロンでも、マグネトロン自体の温度や負荷側との整合状態(反射率)の違いなどにより、容易に発振周波数がばらついてしまう。周波数は波長と反比例し、λ=c/f(cは光速で一定)なので、周波数fが変わると波長λが変化し、その結果、(数1)のλが変化して定在波が変化する。
また、加熱室2の形状は、厳密には直方体ではない。例えば、加熱室2の壁面には、オーブン調理用の金属皿を載せるためのレールを、壁面を形成する金属板を絞り加工で成形している。また、壁面が庫内温度によってわずかに変形したり変形で音が発生したりしないように、段押し加工をしていたりする。また、食品を輻射加熱するための管ヒータやシーズヒータが庫内に露出して配置されていたりする。さらに、通常は加熱室2の正面に開閉可能なドアを取り付けているが、ドアの建てつけによって、ドアと加熱室2の間の隙間に大小が生じたりもする。これらの条件は、(数1)のX、y、zに影響するので、定在波が変わることになる。
一台の電子レンジ1において、実際に生じている定在波を特定することは、スペクトラムアナライザで、正確に発振周波数を計測し、食品の誘電率を予め計測して、加熱室2内部の構造を詳細にモデル化すれば、近年の優れた電磁界シミュレーションソフトを用いて解析することにより、ある程度は推定できる。しかし、前述の様々なばらつき要素を踏まえると、定在波を特定することは難しく、さらに、任意の定在波に制御するなどということは不可能と思われる。
また、もし仮に、任意の定在波に制御できたとして、前述のハンバーグと生野菜とが一皿に盛り付けられた場合に、定在波の腹にハンバーグを置き、定在波の節に生野菜を置けば、必要なエネルギー比率3:1は達成できそうである。しかし、エネルギー比率は、ハンバーグ全体に入るエネルギーと生野菜全体に入るエネルギーとの比率であり、生野菜に入るエネルギーが均一ではなく、分布むらがあって生野菜の一部に集中すると、その一部の温度が高くなることが想定される。
一方、定在波の腹節のピッチは、加熱室2の一辺の長さとその方向のモード数で決まる(図26では、x方向のピッチとy方向のピッチが近く、同程度に見えるが、図27では、x方向のピッチが狭くy方向のピッチが広い)が、平均すると半波長(約60mm)程度になると思われる。加えて、腹と節の間の変化は、方形波の波形のように、デジタル的に切り替わるのでなく、正弦波の波形のように徐々に増減するため、本当に電界が弱いのは、節周辺のせいぜい四分の一波長から八分の一波長(15〜30mm)の範囲ではないかと考えられる。
この時、節に置く生野菜のサイズが重要になってくるが、電界が弱い所に置くために、生野菜の一辺を15mm以下ないし30mm以下に限定する、というのは民生用の調理機器としては現実的ではない。一般的な生野菜の長さは、一波長(120mm)か、あるいは、最低でも半波長(60mm)以上ではないかと考えられる。
そこで、定在波の制御の別の考え方として、所望の定在波を選択するのではなく、定在波を偏らせる、例えば、加熱室2内の半分に定在波の腹を集める、というようなことができれば、局所加熱性能を向上できる、という考えもある。しかし、電磁界シミュレーションを活用して、様々な定在波を分析すると、いずれの定在波も、壁面の凹凸などで外形が非対称であったとしても、壁面のごく近傍を除く内部では、ほぼ対称で、均等に腹節が繰り返される定在波となり、非対称に偏らせることはできなかった。
本発明は、加熱室内の定在波分布を制御できるマイクロ波加熱装置を提供する。
本発明のマイクロ波加熱装置は、加熱室と、加熱室内にマイクロ波を放射して被加熱物を加熱するマイクロ波放射装置とを有し、加熱室を形成する壁面の少なくとも一部には、マイクロ波の反射角度を制御して加熱室内の定在波分布を制御する反射角度制御装置を有する構成としている。
この構成により、マイクロ波放射装置から放射されたマイクロ波が、被加熱物で直接吸収されずに壁面で反射する際に、反射角度制御装置でマイクロ波の反射角度を制御するので、加熱室内の定在波分布を通常とは異なる分布に制御することができ、局所加熱性能を向上することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置のドアを開いた状態を示す斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の概略構成図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションモデルの断面図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションモデルの斜視図である。 図5は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の反射角度制御装置の作用を説明する図である。 図6は、反射角度制御装置の原理を説明する図である。 図7は、反射位相を任意に決定する方法を説明する斜視図である。 図8は、導電性パッチの寸法による反射位相の特性図である。 図9は、導電性パッチを徐々に大きくして一列に並べた斜視図である。 図10は、反射波角度の特性図である。 図11Aは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションの反射角度制御装置が無い場合における電界強度分布を示すコンター図である。 図11Bは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションの反射角度制御装置の反射角度20度の場合における電界強度分布を示すコンター図である。 図11Cは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションの反射角度制御装置の反射角度50度の場合における電界強度分布を示すコンター図である。 図12Aは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の牛肉を下に配置した場合の電磁界シミュレーションの電界強度分布を示すコンター図である。 図12Bは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の牛肉を上に配置した場合の電磁界シミュレーションの電界強度分布を示すコンター図である。 図12Cは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の牛肉の高さ位置による吸収電力量の特性図である。 図13Aは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の水を下に配置した場合の電磁界シミュレーションの電界強度分布を示すコンター図である。 図13Bは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の水を上に配置した場合の電界強度分布を示すコンター図である。 図13Cは、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の水の高さ位置による吸収電力量の特性図である。 図14Aは、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導電性パッチの周辺部分を一つだけ切り出した構成を示す斜視図である。 図14Bは、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導電性パッチを取り除いて対向面であるグランドを見た正面図である。 図15Aは、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の要部概略断面図である。 図15Bは、可変容量205,206を実現するための可変容量ダイオードの等価回路図である。 図16は、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の周波数と反射位相の関係を示す特性図である。 図17Aは、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の斜視図である。 図17Bは、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置を正面からみた断面図である。 図18は、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションによる電界強度分布を示すコンター図である。 図19は、本発明の第3の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の断面斜視図である。 図20は、本発明の第3の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管長さと反射位相の関係を示す特性図である。 図21は、本発明の第3の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションによる電界強度分布を示すコンター図である。 図22Aは、本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管の斜視図である。 図22Bは、本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管の誘電体板が開放端と略平行なときの断面図である。 図22Cは、本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管の誘電体板が開放端と略垂直なときの断面図である。 図23Aは、本発明の第5の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の斜視図である。 図23Bは、本発明の第5の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置を正面から見た断面図である。 図24は、本発明の第5の実施の形態5におけるマイクロ波加熱装置の電磁界シミュレーションによる電界強度分布を示すコンター図である。 図25は、従来の定在波分布の一例を説明するための電磁界シミュレーションのモデルとして用いた電子レンジの斜視図である。 図26は、従来の定在波分布の一例を説明するための電磁界シミュレーションにおける等電界強度線図である。 図27は、従来の定在波分布の一例を説明するための電磁界シミュレーションにおける等電界強度線図である。
以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては、電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加熱装置を含むものである。また、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
(第1の実施の形態)
図1、図2は、本発明の第1の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置を示す。図1は全体構成を示す斜視図であり、図2は正面から見た断面図である。
代表的なマイクロ波加熱装置である電子レンジ101は、代表的な被加熱物である食品102の収納が可能な加熱室103と、マイクロ波を放射する代表的なマイクロ波放射装置であるマグネトロン104を備えている。また、マグネトロン104から放射されたマイクロ波を加熱室103に導く導波管105と、導波管105内のマイクロ波を加熱室103内に放射するマイクロ波放射部として導波管105の上方に設けたマイクロ波放射指向性の高いアンテナ106を備えている。さらに、アンテナ106の上方には食品102を載置する載置台107を備えている。
載置台107は、加熱室103の下部を塞いでアンテナ106が庫内に露出しないようにしている。加えて、載置台107によって食品102の載置面をフラットにすることで、使用者が食品102の出し入れをし易い構成としているとともに、食品がこぼれたり汚れがついたりした時に、ふき取り易い構成としている。載置台107は、アンテナ106からのマイクロ波を、加熱室103内に放射させるため、ガラスやセラミックスなど、マイクロ波が透過し易い材料で形成されている。
加熱室103は、略直方体をなす壁面(上壁面108、底壁面109、側壁面110)からなり、導電性のある板材で構成している。食品102は、ハンバーグ111と生野菜112とを、皿113に盛り付けたものである。また、側壁面110の右上部には、食品102の温度を検出する赤外線センサ114を設け、導波管105の下部には、アンテナ106を回転させるためのモータ115を設けている。また、電子レンジ101は、赤外線センサ114の信号を受けるとともに、マグネトロン104およびモータ115の動作を制御する制御部116を有するとともに、図1のように、手前側に開閉可能なドア117を有する。
ドア117を閉めることで、導波管105と加熱室103とドア117で閉空間を形成し、この閉空間に閉じ込められたマイクロ波は、通常であれば必ず何らかの定在波を生じるものと考えられる。しかし、加熱室103の上部には、加熱室103を形成する壁面の一部である上壁面108を利用して、反射角度制御装置118を構成している。反射角度制御装置118は、上壁面108と、上壁面108に接続された誘電体層119と、誘電体層119に接続された多数の導電性パッチ120を有し、上向きに向かってきたマイクロ波を反射させ、その反射角度を制御する。
以上の構成に基づき、その動作を説明する。
マグネトロン104から放射されたマイクロ波は、導波管105内を伝送されて、アンテナ106から、加熱室103内に、放射される。この時、一般的に行われる、一品の食品のあたためにおいては、均一に加熱することが望ましいので、マイクロ波放射指向性の高いアンテナ106を、モータ115で回転させながら、マイクロ波を加熱室103内で放射する。
一方、初期温度の異なる二品の食品、例えば、冷凍ごはんと冷蔵おかずとをあたためる調理のように、加熱に必要なエネルギー比率が1.5:1程度の局所加熱が必要な場合は、アンテナ106を冷凍ごはんの方向に向けて停止させた状態で、マイクロ波を放射する時間を設ける。この時、アンテナ106を冷凍ごはんに向けた時の集中できるエネルギー比率が、1.5:1以上の性能(例えば、現行商品の最高性能である2:1)があれば、アンテナ106を冷凍ごはんに向けて停止する時間と、それ以外の方向を向いている時間とを適当に配分すれば、最適なエネルギー比率1.5:1で加熱することが、可能となる。
より具体的には、使用者が、冷凍ごはんと冷蔵おかずとを加熱室103内に置き、操作部(図示せず)のあたためキーを押すなどして、70℃まで自動で加熱するように設定して、加熱をスタートさせたとする。
まず、赤外線センサ114で、食品102の温度を観測する。そして、制御部116は、赤外線センサ114の信号に基づいて、食品102の温度分布(冷凍ごはんの温度が低く、冷蔵おかずの温度が高い)を判定する。制御部116は、二品の食品のうち、温度が低いと判定した冷凍ごはんを狙うよう、モータ115を駆動して、アンテナ106のマイクロ波放射指向性の高い向きを、冷凍ごはんの方向に制御するとともに、マグネトロンの発振を開始する。
このまま加熱を進めると、冷凍ごはんと冷蔵おかずの両方とも温度が上昇するが、冷蔵おかずに吸収されるエネルギー量に対し、冷凍ごはんに吸収されるエネルギー量が2倍なので、冷蔵おかずよりも早く、冷凍ごはんは温度上昇する。従って、加熱時間の経過とともに、両者の温度差が減少し、いずれ同程度の温度になる。このまま加熱し続けると、両者の温度が逆転することになる。しかし、両者の温度差は、赤外線センサ114で観測することができるので、制御部116は、両者の温度差がある閾値以下になったと判定すると、冷凍ごはんに向けて停止していたアンテナ106を回転するよう、モータ115を駆動する。
そうすることにより、それまで2:1だった両者の放射エネルギー比率を1:1に変更して加熱することができ、この後両者は、温度変化において、同程度の傾きで温度上昇を続けることになる。その後、赤外線センサ114の観測した温度が目標温度70℃に到達したら、マグネトロンの発振を停止させ、加熱を終了する。初期温度が異なっていた二品の食品が、加熱終了時点では、使用者の設定通りに、両者とも70℃となり、二品の食品の同時あたため調理が実現できる。
次に、もっと局所加熱性能が求められる例について、説明する。図2に示すような、一つの皿113に盛り付けられた、ハンバーグ111と生野菜112の組み合わせでは、できるだけハンバーグ111だけを加熱し、生野菜112の加熱を抑えたい。しかし、アンテナ106のマイクロ波放射指向性の高い向きを、ハンバーグ111に向けて停止させるだけでは不十分である。このため、反射角度制御装置118により、上向きに向かってくるマイクロ波を、ハンバーグ111に向かう反射角度で反射させるように制御する。
例えば、図2において、紙面の上向き垂直に、マイクロ波が来た場合に、反射角度制御装置118によって、やや左下向きに反射させて、反射波をハンバーグに、向かわせる。この結果、アンテナ106からの直接波が、ハンバーグ111に向かうのに加えて、直接波のうちハンバーグ111で吸収されなかったマイクロ波が、反射角度制御装置118によって反射し、その反射波もハンバーグ111に向かう。このように、直接波と反射波の両方で局所加熱することになり、局所加熱性能を格段に向上させることができ、生野菜112の温度をほとんど上げずにハンバーグ111だけをあたためることができる。後述するように、この時、反射角度制御装置118によって、加熱室103内の定在波分布も、偏っている。このように、反射角度制御装置118は、今まで不可能と思われていた定在波分布の制御を行うことができる。
以下、図3から図13を用いて、反射角度制御装置118によって、加熱室103内の定在波分布を制御できることを説明する。
図3、図4は、図2のマイクロ波加熱装置を基に、電磁界シミュレーションができるように簡略化したモデルである。
図3は、図2と同様に、マイクロ波加熱装置を正面から見た断面図である。
図2とは異なり、図3に示す電子レンジ101では、加熱室103の下部にアンテナはなく、簡単な構造の導波管105の開口面105Aに、マイクロ波の入力ポートを、TE10モードにて設定している。これにより、導波管105から、加熱室103内に、マイクロ波を供給する。また、このモデルは、簡略化するために、ドアは無くし、側壁面110を四面に設定した。
図4は、図3に示す電子レンジ101を斜め上から見た斜視図である。
図4は、電子レンジ101の構造を分かり易くするために、上壁面108の下の誘電体層119、および誘電体層119の下に5行×6列に配列した導電性パッチ120を実線で描いている。加熱室103の形状は、一般的な電子レンジに近い寸法で、幅X=410mm、奥行きY=315mm、高さZ=225mmとした。導電性パッチ120は、加熱室103の幅X方向に6列、奥行きY方向に5行の計30個、配置した。導電性パッチ120は、それぞれ正方形状で、幅X方向には右から順に一辺w1から一辺w6に変化させて6個配置し、奥行きY方向には同一形状のものを5行配列する構成とした。また、誘電体層119は、厚み5mm、誘電率3.5、誘電正接0.004とし、導電性パッチ120の厚みは35μmとした。
図5は、反射角度制御装置118の作用を説明するイメージ図である。
通常、加熱室壁面は、導電性のある金属板からなるが、金属板にマイクロ波が入射する場合、スネルの法則により、入射角と反射角が等しくなる。よって、図5で示すように、入射波121が垂直下向きに当たると、反射角度θ122は0°となり、入射波121は垂直上向きに反射する。また、図示しないが、入射波121が左側から45°の傾きで入射すると、右側へ45°の傾きで反射する。
しかし、本実施の形態のように、反射角度制御装置118を設けると、反射角度θ122を特定の値に変更できて、例えば、図5のように、入射波121が垂直下向きであったとしても、反射波123のように、右上向きに反射させることができる。
図6は、反射角度制御装置118の原理を説明するイメージ図である。
マイクロ波が反射する反射面124上の二箇所の反射ポイント125、126、両者の間の距離を距離d127とする。それぞれの反射ポイント125、126に入射する入射波128、129を正弦波として、紙面の上から下向きに垂直に入射する場合は、水平方向(紙面の左右方向)には位相が同じとなり、波面がそろっている状態である。
一方、それぞれの入射波128、129が、反射ポイント125、126において、反射角度θ122で反射して、反射波130、131になるとする。これが互いに打ち消しあったりすることなく、総合的に合成波として、反射角度θ122の方向に伝送されるためには、反射角度θ122の方向に、反射波130、131の波面をそろえなければならない。そのためには、反射ポイント126の位相と、ポイント132の位相とが、一致する必要がある。なお、ポイント132は、反射ポイント126を通るとともに、反射波130と直交する線と、反射波130との交点となる点である。
しかし、入射波129が反射ポイント126に到達した時点では、入射波128はまだ反射ポイント125に位置しており、ポイント132まで到達するには、さらに時間を要する。反射ポイント125からポイント132までの距離(経路差)は、d・sinθ133であり、波面をそろえるために、反射ポイント126とポイント132の位相とを一致させるには、経路差d・sinθ133の分だけ、反射ポイント125での反射位相を、反射ポイント126での反射位相よりも進めればよい。
進めるべき反射位相をラジアンで表記すると、波数k=2π/λを用いて、k・d・sinθで表される。例えば、距離d127を30mm、反射角度θ122を20°、マイクロ波の波長λを正確に求めてλ=c/f=300/2.45≒122.45mmとすると、進めるべき反射位相は、k・d・sinθ=2π/λ・d・sinθ=2π/122.45×30×sin20°≒0.526ラジアン、即ち、0.526/(2π)×360≒30°となる。
よって、反射ポイント125での反射位相が、反射ポイント126での反射位相よりも、30°大きくなるように構成すれば、狙い通り反射角度θ122を20°で、右向きに反射させることができる。
以上のように、反射ポイント125、126それぞれの反射位相を、任意に決定できる方法があれば、両者の反射位相の差を適切に選択することにより、マイクロ波を任意の反射角度θ122で反射させることができる。
次に、図7、図8を用いて、反射位相を任意に決定する方法について説明する。
図7は、反射角度制御装置118の導電性パッチ120を一つだけ切り出した構成を示す。
マイクロ波の入射面134を入力ポートとして設定し、入射面134から入力して、入射面134に戻る反射波として観測される反射位相を、解析で求める。なお、図7に示す切り出した形状は一辺30mmの正方形であり、誘電体層119の厚みは10mmとし、一辺30mmの外形は変えずに、導電性パッチ120の形状のみを変化させて、反射位相を変えようとするものであり、図7の構成はユニットセルと呼ぶ。最終的には、このユニットセルを、電子レンジの壁面に、配列することになる。また、シミュレーションでは、ユニットセルの外周の境界条件を、xy面及びzx面を周期境界とし、y方向とz方向に、無限に配列された無限周期構造を表現している。
図8は、図7の導電性パッチ120の一辺wをパラメータとして、解析で求まった反射位相をプロットした特性図である。横軸は周波数、縦軸は反射位相であり、周波数2.45GHzに着目すると、反射位相は、w=13.2mmで約90°、w=16.6mmで約60°、w=18.3mmで約30°、というように、導電性パッチ120の一辺wの長さにより、反射位相を自由に決定できることが分かる。
図9は、図8に示した一辺30mmのユニットセルを9個並べた構造を示し、xy面の境界条件を周期境界とし、yz面及びzx面を吸収境界とした。また、入力は、z軸方向を電界方向とする平面波を垂直に入射した。また、図9に示すモデルは導電性パッチ120のw寸法が小さい方から、w1、w2、・・・w9とサイズを徐々に大きくして、一列に並べたモデルである。こうすることで、導電性パッチ120の反射位相は徐々に小さくなり、隣り合う反射位相の差は、w1=13.2mm、w2=16.6mmとすると90°−60°=30°、w2=16.6mm、w3=18.3mmとすると60°−30°=30°、というように、隣り合うどの二つをとっても、反射位相の差を30°にできる。よって、前述の図6では、二つの反射ポイントを用いて反射角度θ122を20°にする方法を説明したが、図9では、面全体のどこでも、反射角度θ122を20°にすることが期待できる。
原理の説明は以上で終えるが、実際の電子レンジの壁面に、ユニットセルを配列するに当たり、図7から図9で説明したような一辺30mmのユニットセルでは、膨大な個数が必要と分かり、形状を変更した。具体的には、ユニットセルの一辺を60mm、誘電体層119の厚みを5mmとし、6列配列することにした。これを5行並べることで、概ね図4に示すように、上壁面108を丁度カバーできる程度の配置にできた。
ユニットセルの形状変更にともない、目標とする反射角度θ122が同じ20°でも、隣り合う導電性パッチ間に必要な位相差が60.4°となり、それにともなってw1からw6の寸法も変更した。w1=15.0mm、w2=27.6mm、w3=28.8mm、w4=29.5mm、w5=30.4mm、w6=32.7mmである。導電性パッチのサイズを徐々に大きくすることで、反射位相を徐々に小さくできる。
ちなみに、目標とする反射角度θ122をもっと大きくする場合は(例えば、50°)、w1=28.6mm、w2=30.4mm、w3=24.4mm、w4=29.2mm、w5=31.9mm、w6=27.7mmとすればよい。
図10は、反射角度θ122の特性図であり、レーダ反射断面積(RCS)と呼ばれる遠方界の評価方法である。横軸は観測する角度、縦軸はその角度への反射の強さを示す。パラメータは二種類で、前述の一辺60mmのユニットセルを用いた場合の、目標とする反射角度θ122を20°で設計したデータ135と、目標とする反射角度θ122を50°で設計したデータ136をプロットした。
図10からわかるように、目標とする反射角度θ122を20°で設計したデータ135では、ピークが20°にできており、目標とする反射角度θ122を50°で設計したデータ136では、ピークが50°にできている。このように、各導電性パッチの寸法wを適切に決定することで,遠方界において反射角度θ122が制御できることを、定量的に確認した。また、目標とする反射角度θ122が20°より大きい50°のデータ136の方が、不要なサイドローブが上昇する(目標とは異なる角度−25°などのピークが高い)傾向が得られた。
図11A〜図11Cは、ここまでの考え方を図3、図4の構成に適用したもので、電子レンジ全体を解析した電磁界シミュレーションの結果であり、定常状態の電界強度分布をコンター図で示す。また、いずれも加熱室103中央での断面であり、図3と同じ視点で表示している。図11Aは反射角度制御装置が無い場合を示す。図11Bは上壁面に反射角度制御装置137があり、かつ左に20°の反射角度で設計した場合を示す。図11Cは反射角度制御装置138があり、かつ左に50°の反射角度で設計した場合を示す。図11Aでは定在波分布が完全に左右対称であるが、図11Bではやや対称性が崩れて左が強く右が弱くなり、図11Cでは完全に対称性がなくなっている。図11Cを、特に図11Aと比較すると、右側には定在波の腹はほとんどなくなっていることがわかる。
以上により、反射角度制御装置137、138を有することで、所望の方向に電界の強い位置が変化し、特に反射角度θ122の大きい反射角度制御装置138の方が、より分布が大きく変化する。この時、従来はできないと思われていた加熱室103内の定在波分布を、通常とは異なる分布に制御することができた。
図12A〜図12C、図13A〜図13Cは、図11で示した中で最も効果が期待できそうな条件、即ち反射角度制御装置138があり、かつ左に50°の反射角度θ122で設計した構成で、加熱室103内に、食品を左右に二つ置いた場合の電磁界シミュレーションの結果を示す図である。
図12A〜図12Cは、食品として牛肉の誘電率で計算した結果を示す図である。被加熱物である左に置いた牛肉139と、被加熱物である右に置いた牛肉140は、いずれも誘電率が30.5、誘電正接が0.311であり、形状は体積が100mLとなる半径25mm、高さ51.3mmの円柱形状とした。図12Aは、食品を下方に配置した場合の電界強度分布で、定在波分布は左に偏っている。図12Bは、食品を上方に配置した場合の電界強度分布で、定在波分布が乱れているが、右側にも定在波の腹が残っている。図12Cは、図12A、図12Bを含め、食品を配置する高さdを横軸に、食品の吸収電力量を縦軸にプロットした特性図である。左の牛肉139の特性を特性141で示し、右の牛肉140の特性を特性142で示している。配置する高さdに関係なく、常に特性141の方が、吸収電力量が大きいが、特に高さdの位置が低い方が特性141と特性142の差は顕著であり、狙い通り、左の牛肉139に、マイクロ波が集中することが分かる。
図13A〜図13Cは、食品として水の誘電率で計算した結果を示す図である。被加熱物である左に置いた水143と、被加熱物である右に置いた水144は、いずれも誘電率が76.7であり、誘電正接が0.16であり、形状は体積が100mLとなる半径25mm、高さ51.3mmの円柱形状とした。図13Aは、食品を下方に配置した場合の電界強度分布で、定在波分布はやや左に偏っている。図13Bは、食品を上方に配置した場合の電界強度分布で、定在波分布が乱れているが右側にも定在波の腹がかなり残っている。図13Cは、図13A、図13Bを含め、食品を配置する高さdを横軸に、食品の吸収電力量を縦軸にプロットした特性図である。左の水143の特性を特性145で示し、右の水144の特性を特性146で示している。ここでも、概ね特性145で示す左の水143の方が、吸収電力量が大きいが、特に、高さdの位置が低い方が特性145と特性146の差は顕著であり、狙い通り、左の水143にマイクロ波が集中することが分かる。
図12Cと図13Cを比較すると、食品の誘電率によって少し効果に差はあるものの、高さ位置が低い場合は、いずれも反射角度θ122を制御できている。なぜ高さ位置が低い方が良くて、高い方が悪くなるかについて考察する。これは、食品と反射角度制御装置138の間の隙間の広さの問題であると考える。つまり、高さdの位置を高くすると、食品と反射角度制御装置138の間の隙間が狭くなるので、周囲のマイクロ波(例えば、側壁面110で反射したマイクロ波)が、その狭い隙間に入り込めずに食品に当たってしまい、結局は上壁面108に到達して反射するマイクロ波の絶対量が減る。そのため、せっかくの反射角度制御装置138の機能を活かせないものと考える。
(第2の実施の形態)
図14A〜図18は、本発明の第2の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。本実施の形態では、右方向に反射させる例で説明する。
図14A、図14Bは電磁界シミュレーション用のモデルの構成で、反射角度制御装置を構成する導電性パッチ201の周辺部分を一つだけ切り出した構成(以下、ユニットセルと呼ぶ)である。図14Aは導電性パッチ201の周辺部分を一つだけ切り出した構成を示す斜視図であり、図14Bは導電性パッチ201を取り除いて対向面であるグランド202を見た正面図である。導電性パッチ201はグランド202との間に導電性を有するビア203を介して電気的に短絡され、かつ保持された構成である。そして、グランド202に空けた円形のスリット204に二つの可変容量205、206を装荷すると,その容量によって反射位相が変化することを見出した。
図15Aは導電性パッチ201の周辺部分を示す概略断面図であり、図15Bは可変容量205,206を実現するための可変容量ダイオードの等価回路である。具体的には、逆バイアス電圧の大きさが大きくなると容量値が低下することが知られているバラクタダイオードなどを使用すれば、逆バイアス電圧を制御して可変容量205、206の容量値を制御することが実現可能である。
図16は、横軸の周波数と縦軸の反射位相の関係を示す特性図で、パラメータは一対の可変容量の容量値である。容量値を0.45pF(データ207)、0.63pF(データ208),0.73pF(データ209)と変化させたときに、反射位相はそれぞれ162deg、−42deg,−89degとなり、容量値で反射位相をダイナミックに変化させることができる。よって所望の反射位相となるように、可変容量を制御すればよいことがわかる。
図17A、図17Bは、図14のユニットセルを電子レンジの庫内天面に複数配置して反射角度制御装置210として配置した構成で、図17Aは本実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の斜視図であり、図17Bは本実施の形態におけるマイクロ波加熱装置を正面から見た断面図である。ユニットセル(サイズの大きな導電性パッチのみ図示し、サイズの小さなスリットや可変容量は図示しない)は、正面から見て左右方向に3個、前後方向に4個配列した構成である。本実施の形態においては、左右方向には可変容量の容量値を変えることが可能(可変容量211は可変容量C1、可変容量212は可変容量C2、可変容量213は可変容量C3)であるが、前後方向には同じ容量値の可変容量を配置することとしている。
図18は、図17の構成をもとにシミュレーションした結果で、庫内の電界分布を示すコンター図である。表の左側は可変容量をすべて同じ値にした状態(可変容量C1=可変容量C2=可変容量C3=20pF)であり、表の右側は反射位相が徐々に小さくなるよう左から右に容量値を徐々に大きくした状態(可変容量C1=0.45pF、可変容量C2=0.63pF,可変容量C3=0.73pF)である。これによって、表の左側では、庫内の電界分布が左右対称で、左右の水214、215の吸収電力もほぼ同等で吸収電力比率は1:1となった。しかし、表の右側では、庫内の電界分布が左右非対称(左側が弱く右側が強い)で、左右の水214、215の吸収電力も右が大きく吸収電力比率は1:2.5となった。左から右へと可変容量を徐々に大きくして配置することで、反射位相を徐々に小さくし、配列方向(反射位相が小さい方向)に反射角度を偏らせることができた。
なお、スリット204を設けることにより、スリット204から外部へのマイクロ波の漏洩が懸念されるが、図18ではスリットの上方(即ち、反射角度制御装置210よりも上方)の漏洩電界も表示したが、ほとんど漏洩が見られないとわかった。ただしスリットからの漏洩が気になる場合は、スリットの周囲に、漏洩防止用のチョーク構造や、フェライトなどのマイクロ波吸収体を配置すれば、より安心である。
(第3の実施の形態)
図19〜図21は、本発明の第3の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。本実施の形態では、マイクロ波を右方向に反射させる例で説明する。
図19は、本発明の第3の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の断面斜視図であり、電子レンジの天面の位置によって反射位相を変更するために、終端を閉じた構造の導波管を6個配列した例を示している。図19に示すように、左から順に、長さL1の導波管301、長さL2の導波管302、長さL3の導波管303、長さL4の導波管304、長さL5の導波管305、長さL6の導波管306である。図19に示すマイクロ波加熱装置は、シミュレーション用のモデルであり、前後方向は対称形状のため、後方の半分のみを記載しており、左右の水307,308も中央でカットされた図となっている。
図20は、横軸の導波管長さと、縦軸の反射位相の関係を示す特性図である。導波管301〜306は、左から順に反射位相を30degずつ減らしていった構成である。導波管301は長さL1=105mmで反射位相0deg、導波管302は長さL2=133mmで反射位相−30deg、導波管303は長さL1=148mmで反射位相−60degである。そして、導波管304は長さL1=157mmで反射位相−90deg、導波管305は長さL1=164mmで反射位相−120deg、導波管306は長さL1=169mmで反射位相−150degである。
図21は、図20の構成をもとにシミュレーションした結果で、庫内の電界分布を示すコンター図を示す。ただし図21では上方の導波管部分は図示していない。これを見ると、庫内の右側に電界が強い部分が生じている。左から右へと導波管長を徐々に長くして配置することで、反射位相を徐々に小さくし、配列方向(反射位相が小さい方向)に反射角度を偏らせることができた。本実施の形態では、導波管301〜306とそれによって天面に生じる開口の構成を反射角度制御装置309(図19参照)と考えることが出来る。
(第4の実施の形態)
図22A、図22B、図22Cは、本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。本実施の形態は、前述の第3の実施の形態の導波管301〜306の構成を改良したもので、そのために特許第4164934号公報に示された構造を適用したものである。図22Aは本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管の斜視図である。図22Bは本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管の誘電体板が開放端と略平行なときの断面図である。図22Cは本発明の第4の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の導波管の誘電体板が開放端と略垂直なときの断面図である。導波管401は内部に回転制御可能な誘電体板402を備え、誘電体板402の角度によって開放端403の反射位相を制御できる。導波管401の形状と、誘電体板402の材質(比誘電率)および形状と、誘電体板402の導波管401に対する取付位置(回転中心の位置)等を適切に選択する。そのことで、図22Bのように誘電体板402の幅広面が開放端403と略平行なときに開放端403における反射位相を−180degとし、図22Cのように誘電体板402の幅広面が開放端403と略垂直なときに開放端403における反射位相を0degとすることが可能である。
よって、本実施の形態によれば、導波管401の実際の長さを変えるのではなく同じ長さの導波管401を並べて誘電体402の角度のみを変えることで、前述の第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施の形態)
図23A、図23B、図24は、本発明の第5の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。本実施の形態では、マイクロ波が右方向に反射させる例で説明する。
図23A、図23Bは、凹凸を複数個周期的に配列したいわゆるコルゲート構造を、電子レンジの庫内天面に反射角度制御装置501として配置した構成を示し、図23Aは本発明の第5の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置の斜視図であり、図23Bは本発明の第5の実施の形態におけるマイクロ波加熱装置を正面から見た断面図である。コルゲート構造であれば周期構造をなすために個数が必要とはなるものの、前述の第3の実施の形態の導波管よりは長さを短くできる効果がある。
図24は、図23A、図23Bの構成をもとにシミュレーションした結果で、庫内の電界分布を示すコンター図である。ただし図24において、上方のコルゲート構造部分は図示していない。図24を見ると、庫内の電界は崩れてはいるものの偏っているかどうかがわかりにくいが、実際に左右の水502、503の吸収電力比率で比較すると1:10もの大きな差をつけることができている。このことは、図24では、庫内の電界だけを見るのではなく、左右の水502、503内の電界を見るほうがわかりやすい。左の水502内よりも、右の水503内のほうが明らかに明るい色となっており、電界が強くなっていることがわかる。以上により、左から右へとコルゲート構造を徐々に深くして配置することで、反射位相を徐々に小さくし、配列方向(反射位相が小さい方向)に反射角度を偏らせることができたものと考えられる。
以上により、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101は、加熱室103と、加熱室103内にマイクロ波を放射して被加熱物である食品102を加熱するマイクロ波放射装置104とを有する。加えて、加熱室103を形成する壁面の少なくとも一部の上壁面108には、マイクロ波の反射角度θ122を制御して加熱室103内の定在波分布を制御する反射角度制御装置118、137、138を有する構成としている。これにより、マイクロ波放射装置104から放射されたマイクロ波が、被加熱物である食品102で直接吸収されずに壁面で反射する際に、反射角度制御装置118、137,138でマイクロ波の反射角度を制御する。そのため、加熱室103内の定在波分布を通常(図11Aに示す分布)とは異なる分布(図11B、図11C、図12A、図12B、図13A、図13Bに示す分布)に制御することができ、局所加熱性能を向上することができる。
また、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101は、反射角度制御装置118、137、138を、複数個の導電性パッチ120を配置する構成とし、隣り合う導電性パッチ120の反射位相の差(例えば、30°)により、反射角度θ122を(例えば、20°に)制御する構成としている。これにより、隣り合う導電性パッチ120に当たる前のマイクロ波の波面が同じでも、反射したあとは反射位相の差の分だけ波面が傾くので、確実に反射角度θ122を(例えば、20°)傾斜させることができる。
また、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101は、反射角度制御装置118、137、138を、複数個の導電性パッチ120を配置する構成とし、隣り合う導電性パッチ120の反射位相を徐々に小さくして配置(例えば、図8に示すように、90°、60°、30°、0°、−30°、・・・)する構成としている。これにより、導電性パッチ120を並べた範囲のどこをとっても反射位相の差(例えば、30°)を確保することができ、広範囲にわたって(例えば、壁面全体で)反射角度θ122を傾斜させて(例えば、20°で)反射させることができる。
また、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101は、反射角度制御装置118、137、138を、複数個の導電性パッチ120を配置する構成とし、複数個の導電性パッチは、隣り合う導電性パッチの寸法を異なるように配置(例えば、図9のように、w1、w2、・・・)する構成としている。これにより、例えば、図8のように、導電性パッチの寸法によって反射位相が異なるので、容易に複数個の導電性パッチ間の反射位相に差(例えば、30°)をつけることができる。また、複数個の導電性パッチ120を、サイズを徐々に大きくして(例えば、正方形として一辺wを13.2、16.6、・・・、28.4mm)配置することで、反射位相を徐々にずらす(例えば、90°、60°、30°、・・・)構成としている。これにより、反射位相をランダムに配列することで互いに打ち消しあうようなことを防ぎ、反射後の波面を一定の方向にそろえることができるので、より確実に反射角度θ122を傾斜させる(例えば、20°)ことができる。
また、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101は、隣り合う導電性パッチ120の反射位相の差を略一定(例えば、30°)にする構成としている。これにより、反射後の波面を完全に一定の方向にそろえることができるので、最も確実に反射角度を傾斜させることができる。
ここで、電子レンジで特に局所加熱性能が求められる、ハンバーグと生野菜のような食品の組み合わせの場合について説明を加える。このような加熱の場合、ハンバーグを局所加熱して、生野菜を加熱しない、というのが理想である。
まず、本実施の形態のように、上壁面108に反射角度制御装置118を配置する場合は、加熱したいハンバーグ側に向けて反射させ、加熱したくない生野菜側に向けては反射させない構成が望ましい。よって生野菜側からハンバーグ側に向けて(図2の右側から左側に向けて)、徐々に反射位相を小さくしていくのがよく、そのためには導電性パッチ120を徐々に大きくしていくのが良い。ただし、通常何の指定も無い場合は、ハンバーグと生野菜のどちらを右に置くかわからない。よって置き位置を指定する方法と組み合わせるのが良い。例えば、載置台107上に、あらかじめ生野菜を置くべき位置(図2の右側)をマーキングしておく方法が考えられる。例えば、「生野菜」「cool」「非加熱部」などと文字を印刷しておく方法が容易に考えられる。この場合、使用者がマーキングを見て生野菜を置くことで、生野菜が加熱されることを防ぎ、ハンバーグへの局所加熱性能を向上させることができる。なお、ここでは生野菜を右に置く例を示したが、生野菜を左に置きたい場合は導電性パッチ120の配列も左右逆にすればよい。
次に、側壁面に反射角度制御装置を構成する場合、食品は加熱室の上下方向に関してはどちらかというと下寄りに位置するので、以下のように考えられる。ハンバーグ側の側壁面(図2の左側の側壁面)では下向きに反射させるほうが反射波が下寄りに位置するハンバーグに向かうので良さそうである。よって下向きに反射させるために、上から下に向けて徐々に反射位相を小さくしていくのがよく、そのためには導電性パッチ120を上から下に向けて徐々に大きくしていくのが良い。一方、生野菜側は全く逆で、生野菜側の側壁面(図2の右側の側壁面)では上向きに反射させるほうが反射波が下寄りに位置する生野菜に向かうのを避けられて良さそうである。よって上向きに反射させるために、下から上に向けて徐々に反射位相を小さくしていくのがよく、そのためには導電性パッチ120を下から上に向けて徐々に大きくしていくのが良い。よって左の側壁面と、右の側壁面とは上下逆に配置するのが良い。同じ考えを後ろの側壁面に適用すると、後ろの側壁面については左右に分離すべきと考えられる。後ろの側壁面の左半分は左の側壁面と同じ配列で、後ろの側壁面の右半分は右の側壁面と同じ配列にする方法が考えられる。なお、ここでも生野菜を右に置く例を示したが、生野菜を左に置きたい場合は導電性パッチ120の配列も左右逆にすればよい。
また、加熱室内に放射されるマイクロ波の向きと反射角度との関係は重要である。本実施の形態のようにマイクロ波が底壁面側から入射する場合に、上壁面に反射角度制御装置118、137、138を配置していたが、このように、入射する面の対向面に配置するのが最も効果的と考えられる。反射角度制御装置118で反射波を制御するのに加えて、さらにアンテナ等で入射波をも制御すれば、入射波の制御と反射波の制御の相乗効果が期待できる。図2では、指向性のあるアンテナ106の向きを制御し、アンテナ106から放射されるマイクロ波(入射波あるいは直接波と呼んでも良い)はハンバーグ111に向かい、生野菜112には向かわない状態、即ちハンバーグ111側(図2の左側)への指向性が強い状態になるように制御する。このとき、前述の通り反射波も、上壁面からハンバーグ111側に反射させるように制御するのがよく、つまりは、マイクロ波の入射の方向(左向き)と反射角度制御装置による反射の方向(左向き)を一致させるのがよいとも言える。
まとめると、加熱室へのマイクロ波の入射の方向に向けて(図2の右側から左側に向けて)、徐々に反射位相を小さくしていくのがよく、そのためには導電性パッチ120を徐々に大きくしていくのがよい。なお、アンテナを除く領域であれば底壁面の一部に反射角度制御装置を設けることも考えられる。この場合もマイクロ波の入射の方向(左向き)と反射角度制御装置による反射の方向(左向き)を一致させるのがよいと思われる。なお、ここでも生野菜を右に置く例を示したが、生野菜を左に置きたい場合は導電性パッチ120の配列も左右逆にすればよい。
なお、反射角度制御装置をどの壁面に配置するかは、目的に応じて自由に選択できる。
また、反射角度制御装置は、本実施の形態のように一面だけに構成しても良いし、二面あるいは三面以上の面に同時に構成しても良い。また、本実施の形態のように壁面全体をカバーしても良いし、壁面の一部だけに構成することもできる。
なお、反射角度制御装置は、本実施の形態では壁面をそのまま活用して誘電体層を接続する構成で説明したが、別の方法も考えられる。例えば、両面基板で作成する方法がある。両面基板の表側に導電性パッチをエッチングで構成し、裏面をベタのグランド面とし、このグランド面を利用して壁面に固定するという方法も考えられる。導電性パッチを基板のエッチングで形成すれば、寸法精度が良くなることが期待できる。
なお、電子レンジで加熱したくないのは、生野菜だけではない。冷製のデザートも一緒に盛られる場合があるし、幕の内弁当などには漬物や酢の物が一緒に入っている場合がある。局所加熱性能の向上により、このような食品の加熱を防ぐことも期待できる。
以上説明したように、本発明のマイクロ波加熱装置は、加熱室と、加熱室内にマイクロ波を放射して被加熱物を加熱するマイクロ波放射装置とを有し、加熱室を形成する壁面の少なくとも一部には、マイクロ波の反射角度を制御して加熱室内の定在波分布を制御する反射角度制御装置を有する。
この構成により、マイクロ波放射装置から放射されたマイクロ波が、被加熱物で直接吸収されずに壁面で反射する際に、反射角度制御装置でマイクロ波の反射角度を制御するので、加熱室内の定在波分布を通常とは異なる分布に制御することができ、局所加熱性能を向上することができる。
また、本発明は、反射角度制御装置を反射位置による反射位相の違いにより反射角度を制御する構成としてもよい。
この構成により、導電性パッチを並べた範囲のどこをとっても反射位相の差を確保することができ、広範囲にわたって反射角度を傾斜させることができる。
また、本発明は、反射角度制御装置を反射位相を徐々に小さくして配列することで、配列方向に反射角度を偏らせる構成としてもよい。
この構成により、導電性パッチを並べた範囲のどこをとっても反射位相の差を確保することができ、広範囲にわたって反射角度を傾斜させることができる。
また、本発明は、反射角度制御装置が複数の導電性パッチを有し、この導電性パッチのサイズを徐々に大きくして配置することで、反射位相を徐々に小さくする構成としてもよい。
この構成により、導電性パッチを並べた範囲のどこをとっても反射位相の差を確保することができ、広範囲にわたって反射角度を傾斜させることができる。
また、本発明は、反射角度制御装置が複数の導電性パッチとこの導電性パッチの対向面に配置した可変容量を有し、この可変容量を徐々に大きくして配置することで、反射位相を徐々に小さくする構成としてもよい。
この構成により、反射位相を徐々に小さくし、配列方向(反射位相が小さい方向)に反射角度を偏らせることができ、広範囲にわたって反射角度を傾斜させることができる。
また、本発明は、反射角度制御装置が複数の導波管を有し、この複数の導波管を徐々に長くして配置する構成としてもよい。
この構成により、反射位相を徐々に小さくし、配列方向(反射位相が小さい方向)に反射角度を偏らせることができ、広範囲にわたって反射角度を傾斜させることができる。
また、本発明は、反射角度制御装置が複数のコルゲート構造を有し、この複数のコルゲート構造を徐々に深くして配置する構成としてもよい。
この構成により、反射位相を徐々に小さくし、配列方向(反射位相が小さい方向)に反射角度を偏らせることができ、広範囲にわたって反射角度を傾斜させることができる。
以上のように、本発明のマイクロ波加熱装置は、加熱室内の定在波分布を通常とは異なる分布に制御することができ、局所加熱性能を向上することができ、食品の加熱加工や殺菌などを行うマイクロ波加熱装置などに、有効に利用することができる。
1,101 電子レンジ(マイクロ波加熱装置)
2,103 加熱室
3,105,301,302,303,304,305,306,401 導波管
102 食品(被加熱物)
104 マグネトロン(マイクロ波放射装置)
105a 開口部
108 上壁面(壁面)
111 ハンバーグ(被加熱物)
112 生野菜(被加熱物)
118,137,138,210,309,501 反射角度制御装置
120,201 導電性パッチ
122 反射角度θ
139,140 牛肉(被加熱物)
143,144,214,215,307,308,502,503 水(被加熱物)
202 グランド(対向面)
205,206,211,212,213 可変容量

Claims (7)

  1. 加熱室と、前記加熱室内にマイクロ波を放射して被加熱物を加熱するマイクロ波放射装置とを有し、前記加熱室を形成する壁面の少なくとも一部には、マイクロ波の反射角度を制御して前記加熱室内の定在波分布を制御する反射角度制御装置を有する構成としたマイクロ波加熱装置。
  2. 前記反射角度制御装置は、反射位置による反射位相の違いにより反射角度を制御する構成とした請求項1記載のマイクロ波加熱装置。
  3. 前記反射角度制御装置は、反射位相を徐々に小さくして配列することで、配列方向に反射角度を偏らせる構成とした請求項2記載のマイクロ波加熱装置。
  4. 前記反射角度制御装置は、複数の導電性パッチを有し、前記導電性パッチのサイズを徐々に大きくして配置することで、反射位相を徐々に小さくする構成とした請求項3記載のマイクロ波加熱装置。
  5. 前記反射角度制御装置は、複数の導電性パッチと、前記導電性パッチの対向面に可変容量を有し、
    前記可変容量を徐々に大きくして配置することで、反射位相を徐々に小さくする構成とした請求項3記載のマイクロ波加熱装置。
  6. 前記反射角度制御装置は、複数の導波管を有し、
    前記複数の導波管を徐々に長くして配置する構成とした請求項3記載のマイクロ波加熱装置。
  7. 前記反射角度制御装置は、複数のコルゲート構造を有し、
    前記複数のコルゲート構造を徐々に深くして配置する構成とした請求項3記載のマイクロ波加熱装置。
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