JP3617182B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波による被加熱物の誘電加熱分布を変更する電磁波放射手段を備えた高周波加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
代表的な高周波加熱装置である電子レンジは、従来は図29〜図37に示すような構成であった。
【0003】
図29の電子レンジはターンテーブル15を用いた一般的な構成である。ここでは電磁波発生手段としてのマグネトロン9から出た電磁波は、導波管11を介して伝送され、加熱室1形状と電磁波が放射される開口部82の位置で決まる定在波となって加熱室1内に分布する。そして食品2の各部位に与えられる電磁波の電界成分と、各部位の誘電損失に応じて発熱する。食品の単位体積当たり吸収される電力P[W/m3]は、加えられる電界の強さE[V/m]、周波数f[Hz]、および食品2の比誘電率εr、誘電正接tanδにより(1)式として表される。この従来例では、食品2の加熱分布は概ね電磁波の定在波分布によって決まるため、加熱分布のむらを抑えるためにターンテーブル15を回転駆動して同心円上の加熱分布の均一化を図っている。
【0004】
P=(5/9)εr・tanδ・f・E2×10−10[W/m3] (1)
また、特開平7−198147号公報のように、複数の開口部を切り替えて加熱分布を変えるものがある。図30、図31は加熱室の底面外部に20個の導波管11をマトリクス状に配置し、それぞれの導波管11への給電を選択的に制御するものである。どの導波管へ給電するかは、加熱室1内の局所的な温度を検出する温度検出手段83により制御するもので、各々の開口部82の鉛直上方向に20個のミラー84を有し、5組の凹面ミラー85を介して5組の温度検出手段83に赤外線を導いている。また、図32、図33は、開口部86を回転軸87を中心に回転可動にして加熱点を移動する構成で、ターンテーブル15と組み合わせて局所的に加熱するものである。開口部86の位置を制御してターンテーブル15の半径方向の加熱点を任意に変化させ、ターンテーブル15の回転を制御して周方向の加熱点を任意に変化させている。
【0005】
さらに、特開平7−161469号公報のように、回転位置を検出しながら開口部を回転させるものがある。本従来例では図34〜図37のように、環状矩形導波管88、回転により位置の変化する開口部89、モータ90、91、回転軸92、93および回転角検出器(アブソリュート・ロータリー・エンコーダ)94を有し、回転角すなわち開口部89の回転位置が検出できる構成である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、導波管と加熱室を接続して電磁波を加熱室内に入れる場合、食品の材質や形状ごとに加熱分布を均一にする適切な開口部の位置が異なり、一つの開口部ですべての食品を均一に加熱することはできないという問題があった。
【0007】
例えば従来の電子レンジで平らな食品を加熱すると、縁のほうから加熱が進み中心は冷たいままという顕著な加熱むらが起こることが一般に知られている。一例として、図38のように平らで5×5ますに区切ったアクリル製の容器95に水を入れ、従来の電子レンジ(開口部の位置は後ろ)で加熱したときのそれぞれのますの温度上昇を示すと、図39(a)となる。容器95の形状は加熱室に丁度入る程度の大きさで回転できないため、ターンテーブルよりもわずかに高い位置に容器を固定して加熱した。開口部の位置が後ろなので、後ろ側のますでの温度上昇が高くなることがわかる。また図39(b)は、図39(a)のデータを加工したもので、中央のますを中心として対象位置(中心から等距離)にあるますの温度上昇を平均化しており、ターンテーブルの回転による平均化を想定したものである。この結果から、前述の通り、縁のほうから加熱が進み中心は冷たい加熱むらが生じることがわかる。
【0008】
また開口部の位置による特徴として、加熱室底面の中央付近に開口部を設ける場合、食品の底面が加熱され、対流のある液体状の食品ならば均一に加熱できるが、対流のない固体状の食品は底面ばかり温度が上がるという問題があった。この時ターンテーブルを用いると、同心円上の加熱分布の均一化は図れるが、いくらターンテーブルを回転させたとしても、回転中心から見た半径方向の分布や上下方向の分布は改善されない。
【0009】
一方、図30、図31のように、定在波よりも放射に重点を置き、食品に近い下方からの電磁波の放射位置を制御するものは、放射位置により食品の任意の位置を局所的に加熱することができる。しかしながら多くの導波管11が必要で、それぞれの導波管11への給電を切り替える構成が複雑になるという問題があった。
【0010】
また隣接する2つの開口部の間や、4つの開口部82の間を加熱することができないという問題があった。
【0011】
さらに、図32〜図37のように、環状矩形導波管88や環状の導波管96により開口部86、89の位置を変える場合は、連続的に励振位置を変えることができる。しかしながら環状矩形導波管88や環状の導波管96が大きなスペースを有し、構成が複雑になるという問題があった。図33によると加熱室内のうちターンテーブル15の占める割合が少ないので、食品を置けるスペースが限定されるという問題があった。さらに環状の導波管96が邪魔になるので底面ヒータなどの他部品を構成できないという問題があった。
【0012】
また図30〜図34では、食品の汁や水などを加熱室内でこぼした場合、導波管11や環状矩形導波管88や環状の導波管96内に入り込んで電界の集中を引き起こしたり、駆動部分を詰まらせて駆動停止しかねないという問題があった。
【0013】
さらに、図35、図37では、回転角検出器94により開口部89の回転位置が検出でき、精度よく開口部89位置を制御できる。しかし側方の開口部89から励振するので、電磁波が食品2に到達するまでには距離があり、電磁波が拡散してしまうのである。この拡散の度合いは、食品2の置き方による開口部89から食品2までの距離の変化によっても大きく変化し、加熱される部分が特定できないので、狙ったところだけを加熱するという事はできない。よって回転角検出器94で精度よく開口部89位置を制御しても効果が少ないという問題があった。その上、電磁波が拡散すると、食品以外のいろいろな部分(加熱室壁面など加熱すべきでない部分)と衝突して損失が生じるため、加熱効率を悪くするという問題もあった。その他にも、異種の複数の食品を入れると、いずれかのみを選択して加熱することはできず全てのものに電磁波が衝突し、軽いものや密度の小さいものや誘電損(比誘電率と誘電正接の積)の大きなものが先に温度上昇してしまうという問題があった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、加熱室内にマグネトロンにより電磁波を放射して被加熱物を加熱し、かつ、電界を集中させる集中部を一部に有する放射アンテナと、前記被加熱物の名称を入力する設定手段と、前記設定手段に入力した前記被加熱物の名称に基づいて、前記被加熱物が液体である場合には、前記被加熱物の底面を集中加熱するように前記放射アンテナの位置を制御する制御手段で放射アンテナの位置を制御するものである。
【0015】
上記発明によれば、放射アンテナを所望の位置に制御できるので、簡単な構成で被加熱物を所望の仕上がり状態にすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0017】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の高周波加熱装置のブロック図である。
【0018】
図1において、加熱室1内の被加熱物2を所望の仕上がり状態に加熱するために、加熱室1内に電磁波3を放射する放射アンテナ4と、放射アンテナ4の位置を所望の加熱分布にとって適切な位置に制御する制御手段5を有している。
【0019】
ここで放射アンテナとは、導体に電界をのせることで電磁波を放射するものとし、閉空間内に閉じこめた電磁波を開口(または励振口、給電口)より放出するもの(導波管)とは異なるものと定義する。
【0020】
(実施例2)
図2は、本発明の実施例2の高周波加熱装置のブロック図である。
【0021】
図2において、放射アンテナ4を駆動する駆動手段6と、駆動手段6と放射アンテナ4を結合する結合部7を有し、制御手段5は、駆動手段6を制御することで、放射アンテナ4の位置を制御している。
【0022】
(実施例3)
図3〜図8は、本発明の実施例3の代表的な高周波加熱装置である電子レンジの断面構成図である。
【0023】
図3において、電磁波放射手段8は、代表的な電磁波発生手段であるマグネトロン9から出た電磁波が、代表的な導波手段10を構成する導波管11および導波管11と同軸結合する結合部7を介して、代表的な放射手段である放射アンテナ4により加熱室1内に放射され、代表的な被加熱物である食品2を加熱するものである。また結合部7を導波管11との間で保持する保持部12や、結合部7と勘合して結合部7および放射アンテナ4を回転駆動させる代表的な駆動手段であるステッピングモータ13を構成している。
【0024】
加熱室1内部には、食品2を載せて加熱中に回転させるために、電磁波が透過するガラスやセラミック製の皿14と、ターンテーブル15を有し、また放射アンテナ4を使用しないときに格納するために壁面の一部を加熱室1の外側に突出させて構成した突出部16を構成している。
【0025】
加熱室1外部には、ターンテーブル15を回転させるターンテーブルモータ17、食品2の重量を判定するための重量検出手段18、オーブン調理やグリル調理の際に食品2を輻射加熱するヒータ19、食品2の温度分布を検出する温度分布検出手段20、使用者が設定入力する設定手段21および制御手段5を構成している。ここで設定手段21は、使用者が、食品2の名称に関する情報(たとえば”牛乳”、”酒”など)、食品2の種類に関する情報(たとえば”根菜”、”葉菜”など)、加熱前の状態に関する情報(たとえば初期温度や保存状態など)、加熱方法(たとえば”強”、”弱”など)または加熱仕上がり状態(たとえば”解凍”、”あたため”など)を入力するか選択するかにより設定するものである。また制御手段5は、マグネトロン9からの電磁波出力を制御する出力制御手段22、ステッピングモータ13を制御して放射アンテナ4の回転や停止を制御するアンテナ制御手段23、ターンテーブルモータ17を制御してターンテーブル15の回転や停止を制御するテーブル制御手段24などを有し、重量検出手段18、温度分布検出手段20および設定手段21などにより、制御している。
【0026】
図4は図3のA−A’線断面を示す。図4において、マグネトロン9の放射位置25から放射された電磁波は導波管11内を管内波長λgで伝送し、放射位置25での電界が強く、λg/4ごとに電界が強弱(腹節)を繰り返す定在波となる。また結合部7により、導波管11内の電磁波を効率よく突出部16へ導くために、放射位置25から結合部7までの距離L1をm・λg/2(ただしmは0以上の整数)としている。さらに導波管11の端面26で電界を弱くするために、結合部7から端面26までの距離L2を(2n+1)・λg/4(ただしnは0以上の整数)としている。
【0027】
図5〜図7は図4のB−B’線断面を示す。
【0028】
図5において、放射アンテナ4は結合部7から伝送された電磁波を加熱室1内に放射するものであるが、電磁波の放射方向は放射アンテナ4の長手方向に強い指向性を有している。また放射アンテナ4の位置は、実矢線27a、27bの範囲で変更可能で、ステッピングモータ13により位置決め駆動している。図5の放射アンテナ4の位置はターンテーブル15の回転軸28を向く位置であり、放射アンテナ4の駆動範囲の中で最も加熱室1底面の中央方向に強い指向性を有する状態である。このとき放射アンテナ4はターンテーブル15上の食品2と近接した位置にあり、食品2の底面中央を集中的に加熱することができる。
【0029】
図6において、放射アンテナ4の位置は加熱室1のコーナーを向く位置であり、放射アンテナ4の駆動範囲の中で最も加熱室1の周囲方向に強い指向性を有する状態である。このとき放射アンテナ4はターンテーブル15上の食品2と離れた位置にあり、電磁波を拡散させて周囲から食品2を加熱することができる。
【0030】
図7において、放射アンテナ4はステッピングモータ13により図5〜図7からみて時計回り(図5の実矢線27a方向)に駆動されているが、代表的な停止手段であるストッパー29に当たることでこれ以上駆動できないため、この位置(基準位置)に保持されている。このときアンテナ制御手段23が、ステッピングモータ13により、放射アンテナ4を図5〜図7からみて時計回り(図5の実矢線27a方向)に駆動し、かつ放射アンテナ4の駆動範囲より十分大きな範囲を駆動するよう制御することで、いつでも放射アンテナ4を基準位置に停止させることができる。よってストッパー29は、停止手段であるとともに、放射アンテナ4が基準位置にあることを確認する位置確認手段といえる。
【0031】
さらに放射アンテナ4の位置により食品の加熱分布が大きく変化するため、放射アンテナ4の位置を正確に制御しなければならない。そこで本実施例では、放射アンテナ4をいったん基準位置まで駆動し、その後方向を反転(反時計回り)してねらった位置まで駆動して停止させることとしている。
【0032】
また放射アンテナ4を基準位置に停止させることで、放射アンテナ4全体を突出部16内に格納している。本実施例では、放射アンテナ4が加熱室1内に位置すると邪魔になる場合(たとえば、ヒータ19のみで加熱したい場合や、使用者が加熱室1内を掃除する場合)に、放射アンテナ4を突出部16内に格納し、邪魔にならないようにしている。
【0033】
図8は、図7のC−C’断面を示す。
【0034】
図8において、放射アンテナ4は、その一部に段部を設けて電界を集中させる集中部30を有するとともに、段部を設けることで集中部30から先端31にかけての部分は上方に位置する構成としている。よって集中部30から先端31に生じる電界は、上向きに伝わりやすくなり、指向性が増す効果がある。たとえば図5のような位置に放射アンテナ4が位置する場合は、集中部30から先端31の部分で被加熱物との鉛直距離が近くなるので、より被加熱物を集中的に加熱しやすい。
【0035】
また、放射アンテナ4の一端の結合部でステッピングモータ13と結合し、放射アンテナ4を細長い形状にすることによって長手方向に指向性を有することができるが、その反面長さが長いために、保持部12で保持するだけでは先端31の高さ方向の位置がふらついて変動しやすい。そこで、加熱室1の底面上で放射アンテナ4を保持するスペーサ32を構成し、放射アンテナ4が駆動するときにはスペーサ32上を滑らせながら高さ方向の位置を規制して、ふらつきを抑えている。
【0036】
なお、電界を集中させる集中部を設ける方法としては、先端を湾曲させたり、放射アンテナの一部に凸部や凹部或いは曲部を設ける等の方法がある。
【0037】
以下、制御手段5について説明を加える。
【0038】
本実施例では、テーブル制御手段24はターンテーブル15を一定回転させて、回転軸28を中心とした同心円上の加熱分布の均一化をはかっている。ターンテーブル15が一定回転する場合、放射アンテナ4の位置により電磁波の集中する部位がターンテーブル15の半径方向に変化するので、底面集中型の加熱から周囲分散型の加熱へと連続的に切り替えることができる。
【0039】
なお、食品2を局所的に加熱したり、複数の食品を同時に載置してその中で選択加熱したりする場合はこの限りではない。例えば幕の内弁当を加熱するような場合、ご飯のように加熱すべき食品と、生野菜や刺身や漬物のように低温で食べるべき食品が一つの容器に入っている。この場合、ご飯と生野菜や刺身や漬物を分けることなく一つの容器のまま加熱室に入れ、ご飯だけを加熱することが望ましい。そこでターンテーブル15の回転中に、局所的に加熱したい部分(たとえばご飯)が放射アンテナ4の真上にきた場合、ターンテーブル15を停止させるか、あるいは回転速度を減速させるなどの方法により、その部分だけを集中的に加熱することができる。この方法は、局所加熱や選択加熱ができるということと、無駄な加熱をしないのでエネルギーのロスを防ぐという効果がある。
【0040】
なお、出力制御手段22により、テーブル制御手段24でターンテーブル15を変速させるのと同様の効果を得る方法がある。ターンテーブル15は一定回転させたまま、局所的に加熱したい部分が放射アンテナ4から離れた位置にある時間帯にマグネトロン9の発振を停止させ電磁波を加熱室1内部に入れないようにしても良い。ただし、この場合は加熱終了までに長時間を要する。
【0041】
また温度分布検出手段20は、加熱室1の壁面の開口33から食品2の温度を検出し、加熱分布を検出しているが、温度分布検出手段20自身の構成について説明を加える。非接触で温度を検出する一般的な温度分布検出手段20としては、食品2から放射される赤外線量を電気信号に変換する赤外線センサがある。赤外線センサとしては、内部に熱接点と冷接点を有するサーモパイル型や、チョッパを有する焦電型などがあり、本発明ではどちらを採用しても良い。
【0042】
(実施例4)
図9〜図12において、本発明の実施例4の電子レンジの温度分布検出手段20と、温度分布検出手段20による制御手段5の動作について説明する。
【0043】
図9は、電子レンジの要部断面構成図を示している。加熱室1の壁面に開口33を設け、2種の板金34aと34bで電磁波を妨げるチョーク構造を構成している。34aは光路を形成するもので壁面に広がりを持った筒状の金属部品で壁面に密接している。34bは小孔35を持った箱状の金属部品で壁面に密接している。このチョーク構造34a、34bにより加熱室1内から赤外線は小孔35より外部に出るが、加熱室1内の電磁波は遮断され外部にはほとんど漏れない。図9において寸法Lを電磁波の波長をλとしてλ/4に設計する、即ち周波数が2.45GHzであれば約30mmにすることで、小孔35でのインピーダンスが無限大となり電磁波の遮断効果は最も大きい。
【0044】
図9において、36は焦電型の赤外線検出素子で、入光する赤外線量、即ち視野となる加熱室1内の位置の温度に相関を持った出力をするものである。赤外線検出素子36は固定部材37内部に固定し、固定部材37に取り付けたレンズ38を通して視野を絞って狭い範囲の温度を検出している。レンズ38はフレネルレンズで赤外線の透過する材料で構成している。39はステッピングモータであり、40を第1の回転軸として小歯車41とチョッパ42を回転する。
【0045】
チョッパ42はスリットを形成していて赤外線検出素子36に至る光路を開閉しながら回転する。小歯車41は大歯車43と接し大歯車43には第2の回転軸44を取り付け、第2の回転軸44は受け部45により回転自在に取り付けている。また、第2の回転軸44にはプリント基板46を取り付け、プリント基板46には赤外線検出素子36の他、増幅回路等の電子回路(図示せず)を取り付けている。これらは赤外線の光路となる位置に小孔47を持った金属ケース48に収納され金属蓋49で覆い金属蓋49でチョーク構造34bに固定している。
【0046】
この構成でステッピングモータ39は赤外線検出素子36を図9の手前から奥に首振りし、同時にチョッパ42による光路の開閉の両方を行っている。この赤外線検出素子36の首振りの周期はモータ39の回転周期の整数分の1に設定、即ちモータ39の回転周期を赤外線検出素子36の回転周期の整数倍としていて、モータ39の回転ごとに同じ位置の温度を検出できる構成としている。
【0047】
図10に赤外線検出素子36の検出位置を示す。赤外線検出素子36の検出視野を小円で示し、検出中心の軌跡を破線で示している。この例では赤外線検出素子36の首振り片道で温度検出位置を5箇所変更している。この首振りとモータ39の回転の組み合わせで、検出位置は皿14の全体を覆い2次元的に温度分布を検出できるものである。また、赤外線検出素子36の首振りの整数倍の周期でモータ39は回転するので、ターンテーブルの1周前の温度との温度差や初期からの温度変化を各検出位置ごとに検出できるものである。
【0048】
次に制御手段5の制御動作について図11により説明する。制御手段5は、温度分布検出手段20で検出した温度分布により駆動手段13を制御することで、放射アンテナ4を制御するのであるが、まず検出した温度が食品2の温度なのか、または皿14や加熱室1の壁面の温度であるのかを各検出位置ごとに区別するのが被加熱物抽出手段50である。加熱初期には食品2がどのような大きさのものであるか、どの位置に置かれているかなどわからないので、まず均一加熱制御手段51で駆動手段13により放射アンテナ4を制御する。均一加熱制御手段51はモータ39の回転周期に比べて十分早い周期でステッピングモータ13により放射アンテナ4を往復させる、あるいはランダムに駆動するなど連続的に制御して、加熱室1内に下方からの電磁波を撹拌しおおよそ均一に分布させる。また、この均一加熱制御手段51で駆動手段13により放射アンテナ4を制御している間に各検出位置ごとの温度上昇により食品2であるかそうでないかを区別する。
【0049】
図12に均一加熱制御手段51でステッピングモータ13により放射アンテナ4を制御しているときの食品2の表面温度変化と皿14など食品2ではない部分の温度変化を示す。横軸は加熱開始からの経過時間、縦軸は加熱開始からの温度変化であり、斜線で示したDの領域が皿14など食品2でない部分の温度変化を示し、Eの領域が食品2の温度変化を示している。このように皿14は食品2に比べて誘電損失が小さいので電磁波が吸収されにくくほとんど温度上昇しないので明確に区別ができる。温度変化演算手段52は例えばモータ39の加熱開始から1周目の各検出位置に対応した温度を記憶しておき、それからt1時間経過後の各検出位置に対応した温度から1周目の温度との温度差ΔTを演算する。温度変化比較手段53は温度変化演算手段52の演算結果である温度差ΔTが予め定めた判定曲線Fの所定値ΔT1より大きければ食品2、小さければ皿14として区別するのである。
【0050】
被加熱物抽出手段50で各検出位置が食品2であるか、皿14であるかの区別ができれば加熱モード切替手段54により放射アンテナ4の制御を均一加熱制御手段51から局所加熱制御手段55に切り替える。局所加熱制御手段55は放射アンテナ4を適当な位置で止めながら電磁波の集中する箇所を制御するものである。56は低温部分抽出手段であり、被加熱物抽出手段50で食品2と判定した検出位置の中から温度の低い箇所を抽出する。局所加熱制御手段55は低温部分抽出手段56で抽出された温度の低い箇所に電磁波が放射されるように放射アンテナ4の位置を制御するのである。また、局所加熱制御手段55で食品2の低温部分に電磁波を放射することで食品2から低温部分がなくなり全体が均一温度になれば再度均一加熱制御手段51で放射アンテナ4を制御しても良い。
【0051】
低温部分抽出手段56は赤外線検出素子36の首振り1往復の間で被加熱物抽出手段50が食品2と判定した検出位置の中で最も検出温度の低い検出位置を加熱位置として記憶しておく。モータ39の1回転の間に赤外線検出素子36の首振りの往復は繰り返されるが、それぞれの首振り1往復における加熱位置を記憶する。モータ39の回転で放射アンテナ4の上部にある半径方向での記憶している加熱位置に向けて局所加熱制御手段55が放射アンテナ4の角度を調節し、加熱位置、即ち食品2の中での低温部分を加熱するのである。この制御を繰り返すことで食品2から低温部分がなくなり全体に均一に加熱されることになるのである。
【0052】
また、放射アンテナ4を駆動する駆動手段13の駆動回数を減らす簡易的な方法としては、赤外線検出素子36の検出位置は同心円上に並ぶものであり、各同心円の円周単位で食品2か皿14かを区別し、食品と判定できる円周についてはその円周の中での最高温度を抽出し、その最高温度が最も低い円周を低温部分抽出手段56が抽出して、その円周に電磁波が集中するように放射アンテナ4の角度を調節しても良い。この場合には放射アンテナ4の耐久性能を向上させる効果がある。
【0053】
尚、均一加熱制御手段51の均一という意味は、局所加熱に対して広域加熱を表現しているものであり、完全に万遍にムラなく加熱することを条件とするものではない。
【0054】
また、上記実施例の説明では温度分布検出手段20を物理量検出手段として用いていたが、本発明はこれに限定するものではない。例えば食品の形状や色を認識できるCCDイメージセンサと呼ばれる固体撮像素子を使っても可能である。この場合には加熱の進行に従って変化する色とその分布を基に制御手段が電磁波放射手段を制御すればよく、例えば肉であれば赤から薄茶を経て白っぽく変化する色に合わせ全体が薄茶の色に仕上がるように電磁波放射手段を制御する。また形状の変化を基に制御手段が放射アンテナを制御してもよく、例えば餅であれば柔らかくなり膨らむ変化があるので全体が同じように膨らみかけるように放射アンテナを制御する。複数の発光素子と受光素子を使って光路の遮断パターンから形状認識しても同様の効果が得られる。また形状に合わせて最適な放射アンテナの制御パターンを予め記憶しておけば、固体撮像素子や複数の発光素子と受光素子で認識できる初期の形状認識で制御手段が放射アンテナを制御することも可能である。またメニューと重量に合わせて最適な放射アンテナの制御パターンを予め記憶しておけば重量検出手段により制御することも可能である。
【0055】
(実施例5)
本実施例では、設定手段21により、制御手段5が駆動手段を介して放射アンテナ4の位置制御を行う構成について説明する。
【0056】
図3を用いれば、制御手段5は、設定手段21の入力に応じてアンテナ制御手段23がステッピングモータ(駆動手段)13を駆動し放射アンテナ4を適切な位置に制御する。また、出力制御手段22がマグネトロン9を制御して電磁波の放射を開始する。その後加熱が進むと、設定手段21の入力内容を元に、必要であれば何度かステッピングモータ13を駆動して加熱むらをなくすように制御したり、マグネトロン9の出力を変化させる制御を行い、加熱終了まで加熱する。
【0057】
たとえば設定手段21に、食品2の名称に関する情報を入力する代表的な手段として”牛乳”というキーがあったとする。牛乳のような液体は加熱により対流が生じて上下方向に加熱むらが起こりやすい(上部が高温かつ下部が低温になりやすい)ため、加熱むらを無くすには底面を集中的に加熱するのがよい。よって設定手段21で”牛乳”を選択したときは、アンテナ制御手段23がステッピングモータ13を駆動し、加熱の開始から終了まで放射アンテナ4を底面集中加熱に適した位置(たとえば図5の位置)に固定する。
【0058】
また設定手段21に、加熱仕上がり状態を入力する代表的な手段として”解凍”というキーがあったとする。冷凍状態にある食品は対流が生じない固体であり、加熱むらを無くすには各部を均等に加熱しなければならない。よって設定手段21で”解凍”を選択したときは、アンテナ制御手段23がステッピングモータ13を駆動し、物理量検出手段(たとえば実施例4で述べた温度分布検出手段や重量検出手段、あるいはその他の検出手段)により検出した食品2の物理量に応じて放射アンテナ4の位置を変更する。
【0059】
(実施例6)
図13〜図21は、本発明の実施例6の高周波加熱装置の構成図と特性図である。
【0060】
図13は、加熱室1内を上からみた断面図で、加熱室1の底面下にある導波管11(波線内の領域)から放射アンテナ4に電磁波を伝送している。放射アンテナ4の位置は、放射アンテナ4がストッパー29に当たって停止している位置を0度として角度θ(実矢線)で表現する。図13には、角度0度の場合と、角度90度の場合の2つの状態を図示している。本実施例では、駆動範囲以上の駆動信号を駆動手段に与えて放射アンテナ4を反時計回りに回転駆動し、ストッパー29に当てて停止させ、これを0度の位置として確認する。そしてその位置を基準として目標の角度に対応する駆動信号を与えて時計回りに回転駆動する事により放射アンテナ4の位置を制御している。
【0061】
図14は、放射アンテナ4を正面から見た構成図である。放射アンテナ4を加熱室底面上で一定の高さに保持するスペーサ57は、テフロンなど高周波損失の少ない材料からなり、放射アンテナ4と接続されて一緒に駆動するもので、駆動するときには加熱室底面に接触しながら滑らせることで高さ方向の位置を規制している。またスペーサ57は、摩擦を抑えるために下に凸の曲部58を構成している。
【0062】
図15は、ターンテーブル15を下から見た構成図である。ターンテーブル15は、回転軸28と、皿を介して食品を保持する保持部59からなり、保持部59は、図3と同様、放射アンテナ4の上部に位置している。保持部59は、回転軸28上から反対向きの2方向に延びた直線状導体60、2つの直線状導体60をつなぐ環状導体61、環状導体61から3方向に延びた直線状導体62、3つの直線状導体62をつなぐ環状導体63からなる。直線状導体60の両側には、直線状導体60と環状導体61により電磁波が透過可能な2つの透過部64を形成し、同様に、環状導体61、直線状導体62、環状導体63により3つの透過部65を形成している。ここで透過部の面積が大きいほど電磁波が透過しやすいが、導体の幅が小さくなると保持部59全体の強度が弱くなるので適当な寸法を選んでいる。特に透過部64は食品の底面を集中的に加熱するために不可欠であり、電磁波の波長をλとすると、直線状導体60の幅Hをλ/4以下、かつ長さIをλ/4以上で選ぶべきである。ちなみに電子レンジでよく用いられる電磁波の波長λは122mmであり、このとき、λ/4は30.5mmとなる。また本実施例の場合、より食品の底面を集中的に加熱できるように、H=15mm、I=50mmとしている。
【0063】
図16〜図19は本実施例の特性図であり、図13〜図15の構成で放射アンテナ4の角度θを変え、図38と同じ容器の水を加熱した時の温度上昇を示したものである。
【0064】
図16は角度θが30度の場合で、図16(a)は実測データで右後方の温度上昇が大きい。また図16(b)は、図16(a)のデータを加工したもので、ターンテーブルの回転を想定したものである。この結果から、図39の従来の電子レンジの加熱分布とほぼ同等であり、縁のほうから加熱が進み中心は冷たくなることがわかる。
【0065】
図17は角度θが60度の場合で、図17(a)は実測データで右後方のピークが下がっている。また図17(b)は、図17(a)のデータを加工したもので、ターンテーブルの回転を想定したものである。この結果から、図16(b)と比べるとかなり中央が温度上昇することがわかる。
【0066】
図18は角度θが90度の場合で、図18(a)は実測データで中央に向かって温度上昇が大きい。また図18(b)は、図18(a)のデータを加工したもので、ターンテーブルの回転を想定したものである。この結果から、中央が集中的に温度上昇することがわかる。
【0067】
また図19は、図16〜図18の結果から、放射アンテナ4の角度θを横軸に、全体の温度上昇の総和に対する個々のますの温度上昇の割合を縦軸にして示したものである。Jは中央のますの特性、Kは4すみのますの平均値の特性である。角度θが大きくなるにつれて、Jは増加し、Kは減少している。すなわち、0≦θ≦90の範囲では、角度θが大きくなると電磁波が中央に集中する割合が増えることがわかる。また角度θにより加熱分布が大きく変化するので、ストッパー29で電磁波放射手段の位置を確認しながら制御することで、精度よく任意の加熱分布をつくることができる。
【0068】
たとえば本実施例の電子レンジで300gの牛のスライス肉を解凍する場合、放射アンテナ4の角度θを一カ所に停止させた状態で加熱分布の評価を行っていくと、図20のように放射アンテナ4の角度θが86.25度の位置で最もよい出来映え(温度むらの少ない状態)となった。
【0069】
図21は、300gの牛のスライス肉の解凍加熱終了時の温度むらを示す特性図である。縦軸に実測温度をとり、最高温度と最低温度を実線で結んでいる。電子レンジの現行品の特性はL(最高温度50.2℃、最低温度−1.3℃、温度差51.5)、本実施例の放射アンテナ4の角度θが86.25度での特性はM(最高温度36.1℃、最低温度−1.1℃、温度差37.2)であり、本実施例の方が温度むらが縮小している。ただし、双方とも、加熱条件は、出力制御手段によりマグネトロンからの約300wの高周波出力をON/OFFさせて見かけ上170wの出力で8分間加熱した。
【0070】
なお、本発明の場合、加熱の進み具合を見ながら、加熱の遅い部分を集中的に加熱できるように途中で角度θを変えると、より出来映えが良くなる。
【0071】
(実施例7)
図22は、本発明の実施例7の電子レンジの要部断面構成図である。
【0072】
図22において、電磁波放射手段として、導波管11内の電磁波を結合部7、放射アンテナ4により加熱室1内に放射し、制御手段5は、ステッピングモータ13により結合部7を回転駆動することで放射アンテナ4の角度を制御している。ここでステッピングモータ13の回転軸67は導波管11よりも下部の加熱室1外でカム68と接続され、放射アンテナ4が基準位置に到達したときにスイッチ69を押す構成である。制御手段5は、代表的な基準位置検出手段であるカム68とスイッチ69により放射アンテナ4が基準位置にあることを確認し、その後、所望の位置に放射アンテナ4を制御する。ステッピングモータを使う場合、スイッチ69を押してからの駆動パルス数により正確に位置決め制御をすることができる。
【0073】
実施例6と実施例7に共通の構成として、集中部30よりも結合部7側にスペーサ57を構成しており、スペーサ57が放射アンテナ4から抜けることのないようにしている。また、集中部30よりも結合部7側なので、スペーサ57の高さ方向の大きさが大きくならなくて済む効果がある。さらにスペーサ57を集中部30に近い位置に構成しているので、より一層、電界を集中させることができる。これは、スペーサ57の材質によって決まる誘電率εによりスペーサ57内を伝わる電磁波の波長が波長圧縮を受けて1/√ε倍(<1)となるので、狭い領域に電磁波が集中したように見えるためである。
【0074】
なお、他の駆動手段として、ステッピングモータ以外にも様々なモータで実現可能である。たとえば、モータの種類に関わらず、放射アンテナを停止させたい位置の数だけスイッチを設け、押されたスイッチにより位置を決定する方法がある。この場合、モータをステッピングモータにしなくても低価格の汎用品で実現できる効果がある。
【0075】
なお、他の駆動手段として、磁石などの磁力を利用して、放射アンテナを駆動する方法も考えられる。たとえば、電気的に磁界の強さや向きを制御して、放射アンテナを駆動することができる。
【0076】
なお、他の駆動手段として、バネやゴムなどの弾性を利用して放射アンテナを駆動する方法も考えられる。
【0077】
なお、他の駆動手段として、形状記憶合金に見られるような温度による変形を利用して放射アンテナを駆動する方法も考えられる。
【0078】
なお、以上の方法に限定することなく、放射アンテナを駆動できればいかなる駆動手段を用いても良い。
【0079】
なお、基準位置を検出する手段としても、カム68とスイッチ69の組み合わせ以外にも、エンコーダを利用する方法や、他にも様々な物理量を検出することで基準位置を確認することが考えられる。
【0080】
(実施例8)
図23〜図25は、本発明の実施例8の電子レンジの要部断面構成図である。
【0081】
図23は、加熱室1内を上からみた断面図で、加熱室1の底面下にある導波管11(波線内の領域を含む)から放射アンテナ4に電磁波を伝送している。放射アンテナ4の位置は、図13と同様、角度θ(実矢線)で表現する。図23には、角度0度の場合と、角度90度の場合の2つの状態を図示している。また図24は図23のN−N’線断面図、図25は図23のO−O’線断面図である。
【0082】
放射アンテナ4は、先端が湾曲した集中部70と、遮蔽部71を有している。
【0083】
集中部70は、先端が水平面内で湾曲しており、湾曲によって形成される半円内に電磁波を集中させることをねらったものである。前述の図5〜7、図13、図20などの例とは異なり、本実施例では、角度90度の場合、集中部70がターンテーブルの回転軸28を包み込むような位置関係となるので、回転軸28の真上の被加熱物を加熱しやすい効果がある。
【0084】
遮蔽部71は、結合部72から放射アンテナ4の集中部70近傍までを覆っており、結合部72からの加熱室内への電磁波の放射や、集中部70以外の放射アンテナ4からの加熱室内への電磁波の放射を抑えている。よって集中部70からの電磁波の放射の割合(指向性)が増し、より一層ねらったところを集中的に加熱することができる効果がある。
【0085】
図24のスペーサ73、74は、テフロンなど高周波損失の少ない材料からなり、遮蔽部71と接続され、遮蔽部71と加熱室底面との距離75を一定に保つものである。よって遮蔽部71と加熱室底面の間でのスパークを防ぎ、安全性を高める効果がある。また同時にスペーサ73は、放射アンテナ4を加熱室底面上で一定の高さに保持することも兼ねている。また、スペーサ73、74は、放射アンテナ4、遮蔽部71と接続されて一緒に駆動するもので、駆動するときには加熱室底面に接触しながら滑らせることで高さ方向の位置を規制している。またスペーサ73、74は、摩擦を抑えるために下に凸の曲部を構成している。
【0086】
(実施例9)
図26〜図28は、本発明の実施例9の電子レンジの要部断面構成図である。
【0087】
図26は、加熱室1内を上からみた断面図で、加熱室1の底面下にある導波管11(波線内の領域を含む)から放射アンテナ4に電磁波を伝送している。放射アンテナ4の位置は、図13と同様、角度θ(実矢線)で表現する。図23には、角度0度の場合と、角度約45度の場合の2つの状態を図示している。また図27は図26のP−P’線断面図、図28は図26のQ−Q’線断面図である。
【0088】
放射アンテナ4は、同軸線路よりなる伝送部76と、電磁波を放射する放射部77とを有している。伝送部76は、結合部78、内導体79および外導体80により、周囲に電磁波をまき散らすことなく放射部77まで伝送している。放射部77は、内導体79の先端を上下方向と、水平面内に2重に湾曲させた集中部81を有している。
【0089】
まず集中部81が上下方向の湾曲により上方に位置する構成としているため、集中部81から先端に生じる電界は上向きに伝わりやすくなり、指向性が増す効果がある。
【0090】
それに加えて、水平面内の湾曲によって半円状に構成しているので、半円内に電磁波を集中させる効果がある。たとえば角度約45度の場合、ターンテーブルの回転軸28を包み込むような位置関係となるので、回転軸28の真上の被加熱物を加熱しやすい効果がある。
【0091】
図27のスペーサ82は、テフロンなど高周波損失の少ない材料からなり、外導体80と接続され、外導体80と加熱室底面との距離を一定に保つものである。よって外導体80と加熱室底面の間でのスパークを防ぎ、安全性を高める効果があるなど、実施例8と同様の効果がある。
【0092】
本実施例では、同軸線路で伝送して無駄な電磁波の漏洩を防ぐことで指向性が高まり、集中部が2重の湾曲よりなることからさらに指向性が高まるので、極めて指向性が高い放射アンテナを実現できるものである。よって放射アンテナを制御することで、被加熱物を所望の加熱状態にすることができる。
【0093】
また、前述の実施例で、放射アンテナの長手方向の一端で結合部により駆動手段と結合しているが、この構成により放射アンテナの長手方向の他端を広範囲にわたって位置制御できる。被加熱物を所望の仕上がり状態にするためには、放射アンテナを所望の位置に制御できることが望ましく、同じ長さの放射アンテナで同じ駆動手段を用いる場合、本発明の構成は最も広範囲に放射アンテナを制御できるものである。
【0094】
なお、上記実施例では放射アンテナとして主として棒状アンテナを用いた場合につき述べたが、放射アンテナの形状としては、この他櫛葉状、円環状あるいはループ状等を目的に応じて種々の形状のものを選択することができる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の高周波加熱装置によれば以下の効果がある。
【0096】
また、放射アンテナの長手方向の一端を湾曲させた電界の集中部を有するので、集中部近傍に局所的に電磁波を放射することができ、被加熱物を局所的に加熱できるので、所望の部位を加熱することができる。
【0097】
また、湾曲させることにより、電界の集中部と被加熱物の鉛直距離が近くなるので、集中部から被加熱物をより局所的に加熱できるので、より所望の部位を加熱することができる。
【0098】
また、被加熱物の温度分布に応じて、放射アンテナを所望の位置に制御できるので、被加熱物を適切な仕上がり状態にすることができる。
【0099】
さらに、使用者の設定に応じて、放射アンテナを所望の位置に制御できるので、被加熱物を所望の仕上がり状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の高周波加熱装置のブロック図
【図2】本発明の実施例2の高周波加熱装置のブロック図
【図3】本発明の実施例3の高周波加熱装置の断面構成図
【図4】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図5】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図6】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図7】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図8】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図9】本発明の実施例4の高周波加熱装置の温度分布検出手段の断面構成図
【図10】同高周波加熱装置の特性図
【図11】同高周波加熱装置の制御手段のブロック図
【図12】同高周波加熱装置の特性図
【図13】本発明の実施例6の高周波加熱装置の要部断面構成図
【図14】同高周波加熱装置の放射アンテナの構成図
【図15】同高周波加熱装置のターンテーブルの構成図
【図16】(a)同高周波加熱装置の特性図
(b)同特性図
【図17】(a)同高周波加熱装置の特性図
(b)同特性図
【図18】(a)同高周波加熱装置の特性図
(b)同特性図
【図19】同高周波加熱装置の特性図
【図20】同高周波加熱装置の要部構成図
【図21】同高周波加熱装置と従来の高周波加熱装置の特性図
【図22】本発明の実施例7の高周波加熱装置の要部断面構成図
【図23】本発明の実施例8の高周波加熱装置の要部断面構成図
【図24】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図25】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図26】本発明の実施例9の高周波加熱装置の要部断面構成図
【図27】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図28】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図29】従来の高周波加熱装置の断面構成図
【図30】従来の他の高周波加熱装置の構成図
【図31】同高周波加熱装置の断面構成図
【図32】従来の他の高周波加熱装置の要部構成図
【図33】同高周波加熱装置の要部構成図
【図34】従来の他の高周波加熱装置の断面構成図
【図35】従来の他の高周波加熱装置の断面構成図
【図36】同高周波加熱装置の要部構成図
【図37】同高周波加熱装置の要部断面構成図
【図38】容器の構成図
【図39】(a)従来の他の高周波加熱装置の特性図
(b)同特性図
【符号の説明】
1 加熱室
2 食品(被加熱物)
3 電磁波
4 放射アンテナ
5 制御手段
6 駆動手段
7、72、78 結合部
13 ステッピングモータ(駆動手段)
18 重量検出手段(物理量検出手段)
20 温度分布検出手段(物理量検出手段)
21 設定手段
30、70、81 集中部
32、57、73、74 スペーサ
71 遮蔽部
76 伝送部
77 放射部

Claims (4)

  1. 加熱室内にマグネトロンにより電磁波を放射して被加熱物を加熱し、かつ、電界を集中させる集中部を一部に有する放射アンテナと、前記被加熱物の名称を入力する設定手段と、前記設定手段に入力した前記被加熱物の名称に基づいて、前記被加熱物が液体である場合には、前記被加熱物の底面を集中加熱するように前記放射アンテナの位置制御する制御手段とを有する高周波加熱装置。
  2. 加熱室内にマグネトロンにより電磁波を放射して被加熱物を加熱し、かつ、電界を集中させる集中部を一部に有する放射アンテナと、前記被加熱物の名称を入力する設定手段と、前記設定手段に入力した前記被加熱物の名称が牛乳である場合には、前記被加熱物の底面を集中加熱するように前記放射アンテナの位置を制御する制御手段とを有する高周波加熱装置
  3. 加熱室内にマグネトロンにより電磁波を放射して被加熱物を加熱し、かつ、電界を集中させる集中部を一部に有する放射アンテナと、設定手段と、被加熱物の温度分布を検出する温度分布検出手段とを有し、前記設定手段に解凍と入力した場合には、前記温度分布検出手段が検出した検出位置の中で最も検出温度の低い検出位置を加熱するように前記放射アンテナを制御する制御手段とを有する高周波加熱装置。
  4. 加熱室内にマグネトロンにより電磁波を放射して被加熱物を加熱し、かつ、電界を集中させる集中部を一部に有する放射アンテナと、被加熱物の温度を検出する温度分布検出手段と、前記温度分布検出手段が検出した検出位置の中で最も検出温度の低い検出位置を加熱するように、前記放射アンテナの前記集中部と前記被加熱物との鉛直距離を近づける制御手段とを有する高周波加熱装置。
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