JPWO2017130832A1 - 固体電解質組成物、固体電解質含有シートおよび全固体二次電池、ならびに固体電解質含有シートおよび全固体二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質、正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べて高エネルギー密度化が可能となり、電気自動車および大型蓄電池等への応用が期待されている。
(1)周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物と、メタセシス触媒とを含有する固体電解質組成物。
(2)非芳香族性炭素−炭素不飽和結合が、末端ビニル基または末端エチニル基である(1)に記載の固体電解質組成物。
(3)非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、下記官能基群から選択される少なくとも1種の官能基を有する(1)または(2)に記載の固体電解質組成物。
<官能基群>
ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、シアノ基、イソシアネート基、酸無水物基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシ基、カルボニル基、3環以上の環構造を有する基、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、イミド結合、イソシアヌレート結合。
(4)非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、1分子中に2以上の非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する(1)〜(3)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(5)非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、スター型、ハイパーブランチ型およびデンドリマー型のうちのいずれかの構造を有する(1)〜(4)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(6)非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、下記一般式(1a)または(2a)で表される(1)に記載の固体電解質組成物。
(7)R31およびR34が下記官能基群のうちの少なくとも1種の官能基を有する、(6)に記載の固体電解質組成物。
<官能基群>
ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、シアノ基、イソシアネート基、酸無水物基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシ基、カルボニル基、3環以上の環構造を有する基、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、イミド結合、イソシアヌレート結合。
(8)非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物の質量平均分子量が10,000未満である(1)〜(7)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(9)メタセシス触媒がルテニウム触媒である(1)〜(8)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(10)メタセシス触媒が、ルテニウム原子に酸素原子および/または窒素原子が結合および/または配位してなる触媒である(1)〜(9)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(11)固体電解質組成物中の全固形分中のメタセシス触媒の含有量が0.001質量%〜1質量%である(1)〜(10)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(12)活物質を含有する(1)〜(11)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(13)無機固体電解質が硫化物系無機固体電解質である(1)〜(12)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(14)分散媒体を含有する(1)〜(13)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物。
(15) (1)〜(14)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を基材上に塗布して塗工シートを得る工程(1a)と、
塗工シートを50℃以上に加熱して、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物のメタセシス反応により架橋硬化させる工程(2a)と
を含む固体電解質含有シートの製造方法。
(16) (1)〜(14)のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を50℃以上に加熱して、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物のメタセシス反応開始条件下とする工程(1b)と、
工程(1b)で得られた組成物を基材上に塗布して、組成物を架橋硬化させる工程(2b)と
を含む固体電解質含有シートの製造方法。
(17)周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、下記一般式(3)で表される、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する構造単位を有してなる化合物と、Ru、Moおよび/またはW金属元素が10ppm以上のメタセシス触媒残留物とを含有する固体電解質含有シート。
(18)活物質を含有する(17)に記載の固体電解質含有シート。
(19)正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とをこの順で具備する全固体二次電池であって、
正極活物質層、負極活物質層及び固体電解質層の少なくとも1つの層が、(17)または(18)に記載の固体電解質含有シートからなる全固体二次電池。
(20) (15)または(16)に記載の固体電解質含有シートの製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本明細書において、単に「アクリル」又は「(メタ)アクリル」と記載するときは、メタアクリル及び/又はアクリルを意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基および連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。
また、本発明の製造方法によれば、本発明の、固体電解質含有シート及び全固体二次電池それぞれを好適に製造することができる。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(B)とメタセシス触媒(C)とを含有する。以下、その好ましい実施形態について説明する。
本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質を含有する。
無機固体電解質の固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導度材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、カチオン及びアニオンに解離又は遊離していない。この点で、電解液ならびにポリマー中でカチオン及びアニオンが解離又は遊離している無機電解質塩(LiPF6、LiBF4、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの伝導性を有するものであれば、特に限定されず、電子伝導性を有さないものが一般的である。本発明の全固体二次電池がリチウムイオン電池の場合、無機固体電解質は、リチウムイオンのイオン伝導度を有することが好ましい。
上記無機固体電解質は、全固体二次電池に通常使用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、活物質と無機固体電解質との間により良好な界面を形成することができる観点から、硫化物系無機固体電解質が好ましく用いられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオン伝導度を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、S及びPを含有し、リチウムイオン伝導度を有しているものが好ましいが、目的又は場合に応じて、Li、S及びP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導度無機固体電解質が挙げられ、好ましい。
Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。中でも、B、Sn、Si、Al又はGeが好ましく、Sn、Al又はGeがより好ましい。
Aは、I、Br、Cl又はFを示し、I又はBrが好ましく、Iが特に好ましい。
L、M及びAは、それぞれ、上記元素の1種又は2種以上とすることができる。
a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜1:1:2〜12:0〜5を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜4がより好ましい。b1は0〜0.5が好ましい。d1はさらに、3〜7が好ましく、3.25〜4.5がより好ましい。e1はさらに、0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。
硫化物系無機固体電解質は、[1]硫化リチウム(Li2S)と硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))、[2]硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄の少なくとも一方、又は[3]硫化リチウムと硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))と単体燐及び単体硫黄の少なくとも一方、の反応により製造することができる。
中でも、Li2S−P2S5、LGPS(Li10GeP2S12)、Li2S−P2S5−SiS2等が好ましい。
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオン伝導度を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
酸化物系無機固体電解質は、イオン伝導度として、1×10−6S/cm以上であることが好ましく、5×10−6S/cm以上であることがより好ましく、1×10−5S/cm以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、1×10−1S/cm以下であることが実際的である。
またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li3PO4); リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON; LiPOD1(D1は、好ましくは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt及びAuから選ばれる1種以上の元素である。)等が挙げられる。
さらに、LiA1ON(A1は、Si、B、Ge、Al、C及びGaから選ばれる1種以上の元素である。)等も好ましく用いることができる。
その中でも、LLT、LixbLaybZrzbMbb mbOnb(Mbb、xb、yb、zb、mb及びnb上記の通りである。)、LLZ、Li3BO3、Li3BO3−Li2SO4、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadPmdOnd(xd、yd、zd、ad、md及びndは上記の通りである。)が好ましく、LLZ、LLT、LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)又はLATP([Li1.4Ti2Si0.4P2.6O12]−AlPO4)がより好ましい。
ただし、正極活物質又は負極活物質を含有する場合、固体電解質組成物中の無機固体電解質の含有量は、正極活物質又は負極活物質と無機固体電解質との合計含有量が上記範囲であることが好ましい。
なお、本明細書において固形分とは、無機固体電解質(A)、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(B)およびメタセシス触媒(C)ならびに窒素雰囲気下170℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、後述の分散媒体以外の成分を指す。
無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(以下、単に化合物(B)とも称す。)は、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合(以下、単に非芳香族性不飽和結合とも称す。)を有する化合物であれば特に限定されない。非芳香族性とは、芳香族性を有さないことを意味する。
非芳香族性不飽和結合としては、例えば、芳香族性を有さない炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合が挙げられ、好ましい。
非芳香族性不飽和結合は、化合物(B)の分子内においていずれの位置に存在していてもよく、非芳香族性不飽和結合を有する基(以下、単に非芳香族性不飽和基とも称す。)としては、鎖状であっても分岐状であっても、さらに環を形成していてもよい。
化合物(B)がその分子末端に非芳香族性不飽和結合を有すると、後述するメタセシス反応の反応性がより高まり、低温での化合物(B)の架橋が可能になる。また、架橋効率がより高まることで、固体粒子間の結着性が向上する。これらの観点から、非芳香族性不飽和基は、末端ビニル基または末端エチニル基がより好ましい。
化合物(B)は、非芳香族性不飽和基を2つ以上有することが好ましく、3つ以上有することがより好ましい。
化合物(B)は下記官能基群から選択される少なくとも1種の官能基を有することが、化合物(B)と無機固体電解質との相互作用、または化合物(B)と無機固体電解質および活物質との相互作用を高め、結着性を高める観点から好ましい。
<官能基群>
ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、シアノ基、イソシアネート基、酸無水物基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシ基、カルボニル基(>C=O)、3環以上の環構造を有する基、アミド結合を有する基、ウレア結合を有する基、ウレタン結合を有する基、イミド結合を有する基、イソシアヌレート結合を有する基。
スルホン酸基はそのエステルや塩でもよい。エステルの場合、炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6が特に好ましい。
リン酸基はそのエステルや塩でもよい。エステルの場合、炭素数1〜24が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6が特に好ましい。
その他の官能基については、後述の置換基Zの好ましい記載を適用することができる。
なお、上記官能基は、置換基として存在しても、連結基として存在していてもよい。例えば、アミノ基は2価のイミノ基または3価の窒素原子として存在してもよい。
負極活物質および/または導電助剤に対する親和性の点からは非極性基が好ましく用いられる。具体的には3環以上の環構造を有する基が好ましく挙げられる。
下記一般式(A)で表される芳香族炭化水素、不飽和炭化水素または脂肪族炭化水素、および後述の一般式(B)で表される脂肪族炭化水素は、負極活物質である炭素質材料との親和性に優れる。そのため、これらの化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手「−」に置き換えた基を有する化合物(B)の、固体電解質組成物中での分散安定性をより向上させるとともに、固体電解質含有シートの結着性を向上させることができる。また、分散安定性の向上、結着性の向上に伴い、この固体電解質組成物を用いて作製した全固体二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
一般式(A−2)において、RAxは一般式(A)におけるRAxと同義であり、好ましい範囲も同じである。RA10は置換基を表し、nAxは0〜4の整数を表す。mA1は3以上の整数を表す。RAyは、水素原子または置換基を表す。ここで、RAxとRAyが結合してもかまわない。
mA1は、3〜10の整数が好ましく、3〜8の整数がより好ましく、3〜5の整数が特に好ましい。
ここで、A環は、飽和環、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環または芳香環であってもよく、B環およびC環は、二重結合を1もしくは2個有する不飽和環であってもよい。なお、aB、bB、cBまたはdBの各々において、2〜4の整数の場合、互いに隣接する置換基が結合して環を形成してもよい。
ここで、ステロイド骨格の炭素番号は、下記の通りである。
アルキル基は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基が挙げられる。アルキル基としては内部に二重結合または三重結合の不飽和炭素結合を含有することがさらに好ましい。
アルケニル基は、炭素数2〜12のアルケニル基が好ましく、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基が挙げられる。
RB1は、炭素番号3に置換するのが好ましく、RB2は、炭素番号6または7に置換するのが好ましく、RB3は炭素番号11または12に置換するのが好ましく、RB4は、炭素番号17に置換するのが好ましい。
分子量は特に制限されないが、分子量または質量平均分子量(Mw)が10000未満であることが好ましく、1000未満であることがより好ましい。下限も特に制限はないが、20以上であることが好ましい。化合物名では、二重結合の場合にはエチレン、三重結合の場合はアセチレンである。なお、化合物(B)が下記スター型、ハイパーブランチ型およびデンドリマー型のうちのいずれかの構造を有する場合、上記分子量は、コア部の分子量を意味する。
化合物(B)はスター型、ハイパーブランチ型およびデンドリマー型のうちのいずれかの構造を有することが、メタセシス反応により形成される化合物(B2)の架橋密度を高めることができる点で好ましい。
このコア部は、分子量200以上の原子群であることが好ましく、分子量300以上の原子群であることがより好ましい。上限は、5,000以下であることが好ましく、4,000以下であることがより好ましく、3,000以下であることが特に好ましい。このコアは四価の炭素原子のみでないことが好ましい。上記コア部は、下記一般式(1a)または(2a)における有機基Xが好ましい。
アーム部の分子量は、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましい。上限としては、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましい。
アーム部を形成することができるモノマーとして、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page1〜483に記載のものなどを用いることができる。
ここで、デンドリマーとは、対称性良く、規則正しい枝分かれ構造がコア部から3次元的に広がっているポリマーを示す。デンドリマーは、枝分かれと枝分かれの間が、デンドロンと呼ばれる、ある決まった化学結合の繰り返しになっている。枝分かれが規則正しく明確な構造であり、分子量分布が無い、すなわち単一な分子量であるという点で、ハイパーブランチポリマーや、他のポリマーとは異なるものである。
ハイパーブランチポリマーとは、アーム部に相当する繰り返し単位が、コア部から枝分かれして伸びた構造をしている。繰り返し単位の枝分かれは、ランダムにおこり、分子量分布がある。
アルキル基は炭素数1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、具体的には、メチル、エチルまたはオクチルが好ましい。
アルケニル基は炭素数2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、具体的には、エテニル、2−オクテニル、2,5−ヘプタジエニル、2,5−オクタジエニルまたは9−デセニルが好ましい。
アルキニル基は炭素数2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、具体的には、エチニルが好ましい。
アリール基は炭素数6〜18が好ましく、具体的には、フェニルが好ましい。
R31およびR34は、前述の官能基群から選択される官能基(以下、特定官能基とも称す。)を有することも好ましい。
L31は、上記一般式(1a)におけるR31とX、および上記一般式(2a)におけるR34とXを連結する基であり、非芳香族性不飽和基とメタセシス触媒との反応に影響を与えない限りどのような基であってもよい。
すなわち、L11、L21およびL31は、非芳香族性不飽和結合を有さない連結基である。
L11、L21およびL31は、単結合、アルキレン基、−C(=O)−O−、−C(=O)−アルキレン、−O−アルキレン、−C(=O)−O−アルキレンまたは−O−C(=O)−アルキレンがより好ましい。
L11、L21およびL31は、特定官能基を有することも好ましい。
lは、1〜10の整数が好ましく、2〜5の整数がより好ましい。
n+mは、2〜40の整数が好ましく、3〜8の整数がより好ましい。
Xは2〜60価の有機基が好ましく、3〜12価の有機基がより好ましい。
Xがシルセスキオキサン残基である場合は、化合物(B)は、上記一般式(1a)または(2a)で表される化合物と非芳香族性不飽和結合を有するトリアルコキシシランのゾルゲル体との混合物であってもよい。この場合、混合物である化合物(B)中の上記一般式(1a)または(2a)で表される化合物の含有量は、10〜99質量%が好ましく、50〜95質量%がより好ましい。
なお、下記一般式(Q−1)〜(Q−36)および(H−1)〜(H−3)におけるYならびに下記一般式(P−1)〜(P〜8)におけるRは、任意の連結基であり、L11、L21またはL31との結合部位示す。
任意の連結基とは、例えば、単結合、アルキレン基(炭素数は1〜18が好ましく、1〜10がより好ましい。)、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、−S−および−NR−(Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、水素原子が好ましい。)が挙げられ、単結合、アルキレン基、−O−、−S−または−NR−が好ましい。なお、いずれの側でXと結合してもよい。
下記一般式中におけるa〜fは繰り返し数を表し、2〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。
例えば、ヒドロキシ基とカルボキシ基の反応からエステル結合、アミノ基とカルボキシ基の反応からアミド結合、メルカプト基とカルボキシ基の反応からチオエステル結合を形成させることにより、化合物(B)が得られる。
ハロゲン原子(Cl、Br、I)、−OTsおよび−OMs等の脱離基に対しては、ヒドロキシ基、アミノ基およびメルカプト基を反応させることで、それぞれ、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合を形成させ、化合物(B)が得られる。
なお、例示化合物b−1〜24においては、XにおけるYまたはRを、結合するn、mまたはl付き括弧の構造の欄(例えば、( )nの構造)に記載した。L11およびL21は、下記に記載する左の結合手(例えば、b−1ではカルボニル結合)によりYまたはRと結合する。
また、例示化合物b−25〜52においては、( )又は[ ]における下付きの数はモル%を表す。ただし、[ ]内における( )下付きの数は繰り返し単位数を示す。
メタセシス触媒としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表、以下同じ)の原子が、遷移金属原子として使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、好ましい5族の原子はタンタルであり、好ましい6族の原子はモリブデン、タングステンであり、好ましい8族の原子はルテニウム、オスミウムである。メタセシス触媒は、ルテニウム触媒(すなわち、ルテニウム含有触媒)が好ましい。
例えば、特公昭41−20111号公報、特開昭46−14910号公報、特公昭57−17883号公報、特公昭57−61044号公報、特開昭54−86600号公報、特開昭58−127728号公報および特開平1−240517号公報等に記載された、リビング開環メタセシス触媒が挙げられる。具体的には、本質的に(a)遷移金属化合物触媒成分と(b)金属化合物助触媒成分からなる一般のメタセシス重合触媒である、シュロック型重合触媒(特開平7−179575号公報、Schrock et al.,J.Am.Chem.Soc.,1990年,第112巻,3875頁〜等)およびグラブス型重合触媒(Fu et al.,J.Am.Chem.Soc.,1993年,第115巻,9856頁〜;Nguyen et al.,J.Am.Chem.Soc.,1992年,第114巻,3974頁〜;Grubbs etal.,WO98/21214号パンフレット等)等が挙げられる。
代表的なものとしては、以下の触媒が挙げられる。
・第1世代グラブス触媒
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(II)
・第2世代グラブス触媒
ベンジリデン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)
・第1世代ホベイダ−グラブス触媒
(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロ(2−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)
・第2世代ホベイダ−グラブス触媒
[1,3−ビス(2、4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(2−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)
・ベンジリデン[1,3−ビス(2−メチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)
・ベンジリデン[1,3−ビス(2、4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(ビス(3−ブロモピリジン))ルテニウム(II)
・3−メチル−2−ブテニリデン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)
・[1,3−ビス(2−メチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(2−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム(II)
・(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロ(2−イソプロポキシ−5−N,N−ジメチルアミノスルフォニルフェニルメチレン)ルテニウム(II)
・[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(2−イソプロポキシ−5−N,N−ジメチルアミノスルフォニルフェニルメチレン)ルテニウム(II)
・ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)[(トリシクロヘキシルホスホラニル)−メチリデン]ルテニウム(III)テトラフルオロボレート
・[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホラニル)メチリデンルテニウム(III)テトラフルオロボレート
置換基Zとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等、ただし本明細書においてアルキル基というときには通常シクロアルキル基を含む意味である。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜23のアラルキル基、例えば、ベンジル、フェネチル等、ただし本明細書においてアルキル基というときには通常アラルキル基を含む意味である。)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、環構成原子として酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択される少なくとも1つを有する5又は6員環のヘテロ環基が好ましく、例えば、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル、ピロリドン基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等、ただし本明細書においてアルコキシ基というときには通常アリーロイル基を含む意味である。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1−ナフチルオキシカルボニル、3−メチルフェノキシカルボニル、4−メトキシフェノキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルファモイル基、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等)、アリーロイル基(好ましくは炭素原子数7〜23のアリーロイル基、例えば、ベンゾイル等、ただし本明細書においてアシル基というときには通常アリーロイル基を含む意味である。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ等)、アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素原子数7〜23のアリーロイルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ等、ただし本明細書においてアシルオキシ基というときには通常アリーロイルオキシ基を含む意味である。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素原子数6〜22のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、アルキルシリル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキルシリル基、例えば、モノメチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、アリールシリル基(好ましくは炭素原子数6〜42のアリールシリル基、例えば、トリフェニルシリル等)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシシリル基、例えば、モノメトキシシリル、ジメトキシシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル等)、アリールオキシシリル基(好ましくは炭素原子数6〜42のアリールオキシシリル基、例えば、トリフェニルオキシシリル等)、ホスホリル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスホリル基、例えば、−OP(=O)(RP)2)、ホスホニル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスホニル基、例えば、−P(=O)(RP)2)、ホスフィニル基(好ましくは炭素原子数0〜20のホスフィニル基、例えば、−P(RP)2)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルイミノ基((メタ)アクリルアミド基)、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、これらの置換基Zで挙げた各基は、上記の置換基Zがさらに置換していてもよい。
化合物ないし置換基・連結基等がアルキル基・アルキレン基、アルケニル基・アルケニレン基、アルキニル基・アルキニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。
本発明の全固体二次電池用固体電解質組成物は、バインダーを含有することも好ましい。
本発明で使用するバインダーは、有機ポリマーであれば特に限定されない。
本発明に用いることができるバインダーは、通常、電池材料の正極または負極用結着剤として用いられるバインダーが好ましく、特に制限はなく、例えば、以下に述べる樹脂からなるバインダーが好ましい。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどが挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸イソブチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル、ポリ(メタ)アクリル酸ドデシル、ポリ(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリ(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル、ポリ(メタ)アクリル酸グリシジル、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、およびこれら樹脂を構成するモノマーの共重合体などが挙げられる。
またそのほかのビニル系モノマーとの共重合体も好適に用いられる。例えばポリ(メタ)アクリル酸メチルーポリスチレン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチルーアクリロニトリル共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルーアクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。
重縮合系ポリマーはハードセグメント部位とソフトセグメント部位を有することが好ましい。ハードセグメント部位は分子間水素結合を形成しうる部位を示し、ソフトセグメント部位は一般的にガラス転移温度(Tg)が室温(25±5℃)以下で分子量が400以上の柔軟な部位を示す。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
昇温速度:5℃/min
測定開始温度:−100℃
測定終了温度:200℃
試料パン:アルミニウム製パン
測定試料の質量:5mg
Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定する。
また、本発明に用いられるバインダーを構成するポリマーは、晶析させて乾燥させてもよい、ポリマー溶液をそのまま用いてもよい。金属系触媒(ウレタン化、ポリエステル化触媒=スズ、チタン、ビスマス)は少ない方が好ましい。重合時に少なくするか、晶析で触媒を除くことで、共重合体中の金属濃度を、100ppm(質量基準)以下とすることが好ましい。
本発明において、ポリマーの分子量は、特に断らない限り、質量平均分子量を意味する。
本発明では、バインダーの質量に対する、無機固体電解質と必要により含有させる電極活物質の合計質量(総量)の質量比[(無機固体電解質の質量+電極活物質の質量)/バインダーの質量]は、1,000〜1の範囲が好ましい。この比率はさらに500〜2がより好ましく、100〜10がさらに好ましい。
ここで、「ポリマー粒子」とは、後述の分散媒体に添加しても完全に溶解せず、粒子状のまま分散媒体に分散し、0.01μm超の平均粒子径を示すものを指す。
また、既存のポリマーを機械的に破砕する方法またはポリマー液を再沈殿によって微粒子状にする方法を用いてもよい。
ポリマー粒子を任意の溶媒(全固体二次電池用固体電解質組成物の調製に用いる分散媒体。例えば、ヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた体積平均粒子径を平均粒子径とする。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製して測定し、その平均値を採用する。
なお、作製された全固体二次電池からの測定は、例えば、電池を分解し電極を剥がした後、その電極材料について上記ポリマー粒子の平均粒子径の測定方法に準じてその測定を行い、あらかじめ測定していたポリマー粒子以外の粒子の平均粒子径の測定値を排除することにより行うことができる。
本発明の固体電解質組成物は、分散媒体を含有することも好ましい。
分散媒体は、上記の各成分を分散させるものであればよく、例えば、各種の有機溶媒が挙げられ、メタセシス触媒(C)を溶解するものが好ましい。
分散媒体の具体例としては下記のものが挙げられる。
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールが挙げられる。
エーテル化合物溶媒としては、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等)、アルキルアリールエーテル(アニソール等)、環状エーテル(テトラヒドロフラン、ジオキサン(1,2−、1,3−及び1,4−の各異性体を含む)等)が挙げられる。
アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
アミノ化合物溶媒としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。
ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。
芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどが挙げられる。
ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピロニトリル、イソブチロニトリルなどが挙げられる。
エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酪酸ブチル、ペンタン酸ブチルなどが挙げられる。
非水系分散媒体としては、上記芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒等が挙げられる。
上記分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物は、周期律表第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの挿入放出が可能な活物質を含有してもよい。活物質としては、以下に説明するが、正極活物質及び負極活物質が挙げられ、正極活物質である遷移金属酸化物、又は、負極活物質である金属酸化物が好ましい。
本発明において、活物質(正極活物質、負極活物質)を含有する固体電解質組成物を、電極層用組成物(正極層用組成物、負極層用組成物)ということがある。
本発明の固体電解質組成物が含有してもよい正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物、および、硫黄などのLiと複合化できる元素などでもよい。
中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素Maの量(100mol%)に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiCoMnO4、Li2FeMn3O8、Li2CuMn3O8、Li2CrMn3O8、Li2NiMn3O8が挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP2O7等のピロリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、Li3V2(PO4)3(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、Li2FePO4F等のフッ化リン酸鉄塩、Li2MnPO4F等のフッ化リン酸マンガン塩、Li2CoPO4F等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、Li2CoSiO4等が挙げられる。
本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO又はNMCがより好ましい。
正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm2)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
本発明の固体電解質組成物が含有してもよい負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫および酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体およびリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金ならびにSn、SiおよびIn等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm2)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に限定されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができる。
本発明の固体電解質組成物は、活物質の電子導電性を向上させる等のために用いられる導電助剤を適宜必要に応じて含有してもよい。導電助剤としては、一般的な導電助剤を用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維およびカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェンおよびフラーレンなどの炭素質材料であってもよいし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体などの導電性高分子を用いてもよい。またこれらの内1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物が導電助剤を含む場合、固体電解質組成物中の導電助剤の含有量は、0〜10質量%が好ましい。
本発明の固体電解質組成物は、リチウム塩(支持電解質)を含有することも好ましい。
リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はなく、例えば、上記バインダー粒子で説明したリチウム塩が挙げられる。
このリチウム塩は、上記バインダー粒子(バインダー粒子を形成する上記ポリマー)に内包されていない(固体電解質層組成物中に例えば単独で存在している)点で、バインダー粒子に内包されているリチウム塩とは異なる。
リチウム塩の含有量は、固体電解質100質量部に対して、0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
本発明の固体電解質組成物は、分散剤を含有してもよい。分散剤を添加することで電極活物質及び無機固体電解質のいずれかの濃度が高い場合においてもその凝集を抑制し、均一な活物質層及び固体電解質層を形成することができる。
分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。例えば、分子量200以上3000未満の低分子又はオリゴマーからなり、官能基群(I)で示される官能基と、炭素数8以上のアルキル基又は炭素数10以上のアリール基を同一分子内に含有するものが好ましい。
官能基群(I):酸性基、塩基性窒素原子を有する基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、シアノ基、メルカプト基及びヒドロキシ基(酸性基、塩基性窒素原子を有する基、アルコキシシリル基、シアノ基、メルカプト基及びヒドロキシ基が好ましく、カルボキシ基、スルホン酸基、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基がより好ましい。)
本発明の全固体二次電池において、分散剤を含む層がある場合、層中の分散剤の含有量は、0.2〜10質量%が好ましい。
本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質(A)、化合物(B)及びメタセシス触媒(C)と、必要により活物質及び分散媒体等の他の成分とを、混合又は添加することにより、調製できる。例えば、各種の混合機を用いて上記成分を混合することにより、製造できる。混合条件としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダー、ディスクミルが挙げられる。
固体電解質組成物の製造方法においては、メタセシス触媒を投入するタイミングは、混合(例えばボールミル)を行う前でもよいし、混合(例えばボールミル)実施後のスラリー調製時でもよい。
非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(B)は、メタセシス触媒(C)存在下でメタセシス反応が進行することによりポリマー化される。
特に、化合物(B)が1分子中に2以上の非芳香族性不飽和結合を有する場合には、クロスメタセシス反応が進行することにより、化合物(B)の非芳香族性不飽和結合間で、新たな非芳香族性不飽和結合が形成される。このため、本発明の固体電解質組成物は、クロスメタセシス反応(架橋)が進行することにより網目状のポリマーが形成されてゲル化し、クロスメタセシス反応(架橋)が完了することで硬化すると推定される。
また、上記一般式(3)におけるL1、L2およびL3、n、mおよびl、ならびに、Xは、前述の一般式(1a)におけるL11、L21およびL31、n、mおよびl、ならびに、Xと同義である。
化合物(B)のメタセシス触媒(C)を用いた反応条件は、メタセシス反応における常法が用いられるが、例えば、メタセシス反応を完了させる観点からは、反応温度は50℃〜180℃が好ましく、50℃〜120℃がより好ましく、反応時間は0.1時間〜2時間が好ましく、0.5時間〜1時間がより好ましい。
化合物(B2)中の非芳香族性炭素−炭素不飽和結合の数を、2重結合の場合は1、3重結合の場合は2とし、下記式(5)により不飽和結合率が算出される。
1%<不飽和結合率<90% 式(6)
本発明の固体電解質含有シート(全固体二次電池用固体電解質シート)は、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、前述の一般式(3)で表される、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する構造単位を有してなる化合物(B2)とメタセシス触媒(C)残留物としてRu、Moおよび/またはW金属10ppm以上(好ましくは、10,000ppm以下)とを含有する。
本発明の固体電解質含有シートは、全固体二次電池に好適に用いることができ、その用途に応じて種々の態様を含む。例えば、固体電解質層に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用固体電解質シートともいう)、電極又は電極と固体電解質層との積層体に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用電極シート)等が挙げられる。本発明において、これら各種のシートをまとめて全固体二次電池用シートということがある。
全固体二次電池用固体電解質シートとして、例えば、本発明の全固体二次電池の固体電解質層を形成するための、基材上に、固体電解質層と、必要により保護層とをこの順で有するシートが挙げられる。
基材としては、固体電解質層を支持できるものであれば特に限定されず、上記集電体で説明した材料、有機材料、無機材料等のシート体(板状体)等が挙げられる。有機材料としては、各種ポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース等が挙げられる。無機材料としては、例えば、ガラス、セラミック等が挙げられる。
このシートは、本発明の固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層を形成することにより、得られる。
ここで、本発明の固体電解質組成物は、上記の方法によって、調製できる。
電極シートを構成する各層の構成、層厚は、後述の、本発明の全固体二次電池において説明する各層の構成、層厚と同じである。
電極シートは、本発明の、活物質を含有する固体電解質組成物を金属箔上に製膜(塗布乾燥)して、金属箔上に活物質層を形成することにより、得られる。活物質を含有する固体電解質組成物を調製する方法は、活物質を用いること以外は、上記固体電解質組成物を調製する方法と同じである。
本発明の固体電解質組成物で形成された活物質層及び/又は固体電解質層は、好ましくは、含有する成分種及びその含有量比について、化合物(B)を化合物(B2)に読み替える以外は、固体電解質組成物の固形分におけるものと同じである。
本発明の全固体二次電池は、正極と、この正極に対向する負極と、正極及び負極の間の固体電解質層とを有する。正極は、正極集電体上に正極活物質層を有する。負極は、負極集電体上に負極活物質層を有する。
負極活物質層、正極活物質層及び固体電解質層の少なくとも1つの層は、本発明の固体電解質組成物で形成されることが好ましく、中でも、すべての層が本発明の固体電解質組成物で形成されることがより好ましい。
固体電解質組成物で形成された活物質層又は固体電解質層は、好ましくは、含有する成分種及びその含有量比について、上記全固体二次電池用シートにおけるものと同じである。
以下に、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
全固体二次電池10においては、正極活物質層、固体電解質層及び負極活物質層のいずれかが本発明の固体電解質組成物で形成されている。
すなわち、固体電解質層3が本発明の固体電解質組成物で形成されている場合、固体電解質層3は、無機固体電解質と、化合物(B2)と、メタセシス触媒残留物とを含む。固体電解質層は、通常、正極活物質及び/又は負極活物質を含まない。固体電解質層3は、無機固体電解質、隣接する活物質層中に含まれる活物質等の固体粒子の間に化合物(B2)が存在しており、これにより、固体粒子間の界面抵抗が低減され、結着性が高くなっている。
正極活物質層4及び/又は負極活物質層2が本発明の固体電解質組成物で形成されている場合、正極活物質層4及び負極活物質層2は、それぞれ、正極活物質又は負極活物質を含み、さらに、無機固体電解質と、化合物(B2)と、メタセシス触媒残留物とを含む。活物質層が無機固体電解質を含有するとイオン伝導度を向上させることができる。活物質層は、固体粒子間等に、化合物(B2)が存在しており、これにより、これらの界面抵抗が低減され、結着性が高くなっている。
正極活物質層4、固体電解質層3及び負極活物質層2が含有する無機固体電解質及び含有してもよい化合物(B2)とメタセシス触媒残留物は、それぞれ、互いに同種であっても異種であってもよい。
本発明において、正極活物質層及び負極活物質層のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、活物質層又は電極活物質層と称することがある。また、正極活物質及び負極活物質のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、活物質又は電極活物質と称することがある。
その作用、メカニズムは定かではないが、次のように、考えられる。
すなわち、上記化合物(B)とメタセシス触媒を無機固体電解質等の固体粒子が分散された状態で加熱硬化(メタセシス反応)させることにより、三次元に架橋された化合物(B)の重合体、すなわち化合物(B2)が形成される。化合物(B2)の三次元的な網目構造に、固体粒子が絡み取られるように存在するため、三次元架橋されたポリマーと固体粒子を分散させた場合や、線状のポリマーが形成される場合に比べて、固体粒子間の結着性が向上するものと考えられる。
また、充放電の繰返しに対しても、固体粒子が三次元に架橋された化合物(B2)中に存在するため、固体粒子間の接触が維持され、固体粒子間の界面抵抗の上昇が抑制されると考えられる。このため、全固体二次電池は優れたサイクル特性を示すと考えられる。特に、充放電により膨張収縮する活物質の粒子を含む場合に、固体粒子間の界面抵抗の上昇がより効果的に抑制され、全固体二次電池はより優れたサイクル特性を示すと考えられる。
正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、チタンなどの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル、チタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼がより好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金や、ステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
本発明においては、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(B)とメタセシス触媒(C)を含有する固体電解質組成物が塗布されたシートが、加熱されることで非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物がメタセシス反応し、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(B2)とメタセシス触媒残留物を含有する固体電解質含有シートが形成される。この化合物(B2)が形成する網目状の架橋体に固体電解質および活物質等の固体粒子が絡み取られた構造を形成し、最終的に硬化されることが好ましい。
i)第1の態様
本発明の固体電解質組成物を基材上に塗布して塗工シートを得る工程(1a)と、
塗工シートを50℃以上に加熱して、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物(B)のメタセシス反応により架橋硬化させる工程(2a)と
を含む固体電解質含有シートの製造方法。
ii)第2の態様
本発明の固体電解質組成物を50℃以上に加熱して、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物のメタセシス反応開始条件下とする工程(1b)と、
工程(1b)で得られた組成物を基材上に塗布して、組成物を架橋硬化さる工程(2b)と
を含む固体電解質含有シートの製造方法。
ここで、メタセシス反応開始条件下とは、メタセシス反応の開始が可能な条件のことを言う。また、架橋硬化とは、メタセシス反応(架橋)が十分に進行することにより、ゲル状から硬化物へと硬化されることを言う。
第2の態様は、工程(1b)で本発明の固体電解質組成物がメタセシス反応開始条件下とされ、メタセシス反応の進行により組成物が増粘される。そのため、工程(1b)で得られた組成物を工程(2b)に適用する時間を調整することで、基材上への組成物の塗布工程を容易にすることも可能である。
また、工程(2b)では、基材上に塗布した後、加熱することにより反応を促進させ、硬化させることも好ましい。この際の加熱の条件は、温度は50℃〜180℃が好ましく、80℃〜160℃がより好ましく、加熱時間は0.1時間〜2時間が好ましく、0.5時間〜1時間がより好ましい。
全固体二次電池用電極シートの製造は、上記固体電解質含有シートの製造方法により行うことができる。
すなわち、本発明の固体電解質組成物が活物質を含有する場合には、上記工程(1a)及び工程(2b)においては、基材ではなく集電体上に塗布することが好ましい。この場合には、固体電解質層と活物質層を含有するシートである全固体二次電池用電極シートを作製することができる。
また、全固体二次電池の製造は、上記固体電解質含有シートの製造方法を含む以外は、常法によって行うことができる。具体的には、全固体二次電池及び全固体二次電池用電極シートは、本発明の固体電解質組成物等を用いて、上記の各層を形成することにより、製造できる。なお、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層のいずれかの層が、上記固体電解質含有シートの製造方法により作製されればよく、その他の層は、本発明でない固体電解質組成物を用いて、常法により作製されてもよい。以下詳述する。
例えば、正極集電体である金属箔上に、正極用材料(正極層用組成物)として、正極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して正極活物質層を形成し、全固体二次電池用正極シートを作製する。次いで、この正極活物質層の上に、固体電解質層を形成するための固体電解質組成物を塗布して、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、負極用材料(負極層用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して、負極活物質層を形成する。負極活物質層の上に、負極集電体(金属箔)を重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層の間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。
また別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートを作製する。また、これとは別に、固体電解質組成物を基材上に塗布して、固体電解質層からなる全固体二次電池用固体電解質シートを作製する。さらに、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートで、基材から剥がした固体電解質層を挟むように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
固体電解質組成物の塗布方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布、バーコート塗布が挙げられる。
このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒体を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性と、非加圧でも良好なイオン伝導度を得ることができる。
また、塗布した固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒体をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒体が残存している状態で行ってもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。さらに、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
無機固体電解質とは、上述した、ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−SやLLT、LLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」又は「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)が挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に固体電解質層等を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を指し、上記組成物を硬化して形成した電解質層等はこれに含まれないものとする。
アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g及び五硫化二リン(P2S5、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。Li2S及びP2S5の混合比は、モル比でLi2S:P2S5=75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記の硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名、フリッチュ社製)に容器をセットし、温度25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li/P/Sガラス、LPSと表記することがある。)6.20gを得た。
<固体電解質組成物の調製例>
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、無機固体電解質9.0g、化合物(B)0.9g、分散媒18gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数300rpmで2時間混合した。これに触媒0.18gを加え、さらに回転数150rpmで5分間混合を続け、各固体電解質組成物S−1〜S−10、T−1およびT−2を調製した。
なお、固体電解質組成物が活物質を含有する場合は、メタセシス触媒の投入と同じタイミングで活物質を投入して混合し、固体電解質組成物を調製した。
LLT:Li0.5La0.5TiO3(豊島製作所社製)
LPS:上記で合成したLi−P−S系ガラス
LLZ:Li7La3Zr2O12
B−1:ポリメタクリル酸アリル(Mw3200)
B−2:アリルトリエトキシシランのゾルゲル体(オクタアリルシルセスキオキサン50質量%含有)(Mw2100)
B−3:ジペンタエリスリトールのコハク酸とリノレン酸の3:3変性体(Mw3500)
B−4:ジペンタエリスリトールのデオキシコール酸とウンデセン酸の2:4変性体(Mw2890)
B−5:オクタメタクリロイル置換シルセスキオキサン(ハイブリッドプラスティクス(株)社製 製品番号MA0735、Mw2560)
シクロオレフィンポリマー:ゼオネックス330R(日本ゼオン社製、Mw50000、下記式(5)により算出される化合物中の不飽和結合率は1%未満)
C−1:Grubbs−2nd(アルドリッチ社製、製品番号569747)
C−2:Hoveyda−Grubbs−2nd(アルドリッチ社製、製品番号569755)
C−3:1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン−[2−(イソプロポキシ)−5−N,N−ジメチルアミノスルホニルフェニル]メチレンルテニウム(II)=ジクロリド(和光純薬社製、製品番号023−17481)
C−4:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(熱ラジカル重合開始剤、和光純薬社製、V−601)
LCO:LiCoO2 コバルト酸リチウム
NCA:LiNi0.85Co0.10Al0.05O2 ニッケルコバルトアルミニウムリチウム
AB:アセチレンブラック
上記で調製した固体電解質組成物を集電体であるステンレス鋼(SUS)箔上に塗工した。
表2に記載の温度および時間でメタセシス架橋(硬化処理)を行うことで組成物を硬化し、分散媒体を乾燥させ、各固体電解質含有シートNo.101〜110、c11およびc12を作製した。
硬化後の化合物中の非芳香族性炭素−炭素不飽和結合の数を、2重結合の場合は1、3重結合の場合は2とし、下記式(5)により不飽和結合率(%)を算出した。不飽和結合率を、下記表2にまとめて記載する。
得られた固体電解質含有シートについて180°ピール強度試験(JIS Z0237−2009)を行った。
固体電解質含有シートの固体電解質組成物が硬化された面に粘着テープ(幅24mm、長さ300mm)(商品名:セロテープ(登録商標)CT−24、ニチバン社製)を貼り付けた。テープの端を把持して180°に折り返して固体電解質含有シートから25mmはがした後、下記試験機に設置した下側の治具にその粘着テープをはがした部分の固体電解質含有シートの片端を固定し、上側の治具に粘着テープを固定した。
300mm/分の負荷速度で試験を実施した。測定開始後25mm粘着テープを引き剥がした後、固体電解質含有シートから引きはがされた50mmの粘着テープについて、長さ0.05mmごとの粘着力測定値を平均し、引きはがし粘着力の値(平均ピール強度(N))とした。
平均ピール強度を下記評価基準により評価した。なお、平均ピール強度が高いほど結着力が高いことを示す。評価「B」以上が本試験の合格レベルである。
ピール強度は標準タイプデジタルフォースゲージZTS−5Nと、縦型電動計測スタンドMX2シリーズ(いずれも商品名、イマダ社製)を組み合わせて行った。
A:2.0N以上
B:1.0N以上2.0N未満
C:0.5N以上1.0N未満
D:0.5N未満
*1:シクロオレフィンポリマーを用いているため、硬化処理は行っていない。
*2:ラジカル重合による硬化処理の温度および時間
*3:不飽和結合率は1%未満である。
これに対して、シクロオレフィンポリマーを含有する比較のための固体電解質組成物T−1およびラジカル重合開始剤を含む比較のための固体電解質組成物T−2を用いて作製した固体電解質含有シートは、いずれも密着力が低く、結着性が十分ではなかった。
上記で作製した各固体電解質含有シートを直径14.5mmの円板状に切り出して電極とし、固体電解質として上記で合成したLi−P−S系ガラス、対極としてLiホイルを組み込み、160MPaで加圧した。得られた全固体二次電池用シートをスペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れて、各全固体二次電池No.201〜206、c21およびc22を作製した。
上記で作製した全固体二次電池のサイクル特性を、東洋システム社製の充放電評価装置「TOSCAT−3000(商品名)」により測定した。充電は電流密度0.1mA/cm2で電池電圧が3.6Vに達するまで行った。放電は電流密度0.1mA/cm2で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。上記条件で3サイクル充放電を繰り返すことで初期化を行った。
初期化後の各全固体二次電池について、電流密度0.2mA/cm2で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、次いで、電流密度0.2mA/cm2で電池電圧が2.5Vに達するまで放電した。この充放電を1サイクルとして、充放電を繰り返した。
この充放電サイクルにおいて、初期化後1サイクル目の放電容量を100としたときの、放電容量が80未満に達した際のサイクル数を、以下の基準で評価した。なお、評価「C」以上が本試験の合格レベルである。
A:30回以上
B:20回以上30回未満
C:10回以上20回未満
D:10回未満
これに対して、シクロオレフィンポリマーを含有する比較のための固体電解質組成物T−1およびラジカル重合開始剤を含む比較のための固体電解質組成物T−2を用いて電極層を形成した全固体二次電池は、いずれもサイクル特性が十分ではなかった。
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 コインケース
12 全固体二次電池用シート
13 サイクル特性測定用セル(コイン電池)
Claims (20)
- 周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物と、メタセシス触媒とを含有する固体電解質組成物。
- 前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合が、末端ビニル基または末端エチニル基である請求項1に記載の固体電解質組成物。
- 前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、下記官能基群から選択される少なくとも1種の官能基を有する請求項1または2に記載の固体電解質組成物。
<官能基群>
ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、シアノ基、イソシアネート基、酸無水物基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシ基、カルボニル基、3環以上の環構造を有する基、アミド結合を有する基、ウレア結合を有する基、ウレタン結合を有する基、イミド結合を有する基、イソシアヌレート結合を有する基。 - 前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、1分子中に2以上の該非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が、スター型、ハイパーブランチ型およびデンドリマー型のうちのいずれかの構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 前記R31およびR34が下記官能基群のうちの少なくとも1種の官能基を有する、請求項6に記載の固体電解質組成物。
<官能基群>
ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、シアノ基、イソシアネート基、酸無水物基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシ基、カルボニル基、3環以上の環構造を有する基、アミド結合を有する基、ウレア結合を有する基、ウレタン結合を有する基、イミド結合を有する基、イソシアヌレート結合を有する基。 - 前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物の質量平均分子量が10,000未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 前記メタセシス触媒がルテニウム触媒である請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 前記メタセシス触媒が、ルテニウム原子に酸素原子および/または窒素原子が結合および/または配位してなる触媒である請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 前記固体電解質組成物中の全固形分中の前記メタセシス触媒の含有量が0.001質量%〜5質量%である請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 活物質を含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 前記無機固体電解質が硫化物系無機固体電解質である請求項1〜12のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 分散媒体を含有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の固体電解質組成物。
- 請求項1〜14のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を基材上に塗布して塗工シートを得る工程(1a)と、
前記塗工シートを50℃以上に加熱して、前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物のメタセシス反応により架橋硬化させる工程(2a)と
を含む固体電解質含有シートの製造方法。 - 請求項1〜14のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を50℃以上に加熱して、前記非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物のメタセシス反応開始条件下とする工程(1b)と、
前記工程(1b)で得られた組成物を基材上に塗布して、該組成物を架橋硬化させる工程(2b)と
を含む固体電解質含有シートの製造方法。 - 周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質と、下記一般式(3)で表される、非芳香族性炭素−炭素不飽和結合を有する構造単位を有してなる化合物と、Ru、Moおよび/またはW金属元素が10ppm以上のメタセシス触媒残留物とを含有する固体電解質含有シート。
- 活物質を含有する請求項17に記載の固体電解質含有シート。
- 正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とをこの順で具備する全固体二次電池であって、
該正極活物質層、該負極活物質層及び該固体電解質層の少なくとも1つの層が、請求項17または18に記載の固体電解質含有シートからなる全固体二次電池。 - 請求項15または16に記載の固体電解質含有シートの製造方法を介して、全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
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