JPWO2017119342A1 - 研磨材 - Google Patents

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Abstract

本発明は、研磨レートに優れると共に、比較的長期間に渡り研磨レートが低下し難い研磨材を提供することを目的とする。本発明は、基材シートと、この基材シートの表面側に積層され、砥粒及びそのバインダーを含む研磨層とを備える研磨材であって、上記バインダーの主成分が無機物であり、上記研磨層が、その表面に溝により区分された複数の凸状部を有し、上記凸状部の平均面積が1mm2以上300mm2以下であり、上記複数の凸状部の上記研磨層全体に対する合計面積占有率が4%以上15%以下であることを特徴とする。当該研磨材は、上記溝に充填され、樹脂又は無機物を主成分とし、かつ砥粒を実質的に含まない充填部をさらに備えるとよい。上記充填部の平均厚さの研磨層の平均厚さに対する比としては、0.1以上1以下が好ましい。上記砥粒がダイヤモンド砥粒であるとよい。上記無機物がケイ酸塩であるとよい。

Description

本発明は、研磨材に関する。
近年、ハードディスク等の電子機器の精密化が進んでいる。このような電子機器の基板材料としては、小型化や薄型化に対応できる剛性、耐衝撃性及び耐熱性を考慮し、ガラスが用いられることが多い。このガラス基板は脆性材料であり、表面の傷により著しく機械的強度が損なわれる。このため、このような基板の研磨には、研磨レートと共に、傷の少ない平坦化精度が要求される。
一般に仕上がりの平坦化精度を向上しようとすると加工時間は長くなる傾向にあり、研磨レートと平坦化精度とはトレードオフの関係となる。このため研磨レートと平坦化精度とを両立することが難しい。これに対し、研磨レートと平坦化精度との両立のため、研磨粒子と充填剤とを分散した研磨部を有する研磨材が提案されている(特表2002−542057号公報参照)。
しかし、このような従来の研磨材は一定時間の研磨を実施すると、砥粒の目つぶれや研磨層表面の目詰まりにより研磨レートが低下する。この低下した研磨レートを再生するためには、研磨材の表面を削り落とし新たな面を表面に出す、いわゆるドレスを行う必要がある。このドレス前後には研磨材の清掃も必要であり、このドレスは時間を要する作業である。ドレスの間、被削体であるガラス基板の研磨は中断されるため、従来の研磨材はドレスを行うことによる研磨効率の低下が大きい。
特表2002−542057号公報
本発明はこのような不都合に鑑みてなされたものであり、研磨レートに優れると共に、比較的長期間に渡り研磨レートが低下し難い研磨材を提供することを目的とする。
本発明者らが、砥粒の目つぶれや研磨層表面の目詰まりによる研磨レートの低下について鋭意検討を行った結果、研磨層のバインダーを無機物とすると共に、研磨層の表面に溝により区分された複数の凸状部を設け、この凸状部の平均面積及び複数の凸状部の研磨層全体に対する合計面積占有率を制御することで、研磨レートの低下を抑止できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、基材シートと、この基材シートの表面側に積層され、砥粒及びそのバインダーを含む研磨層とを備える研磨材であって、上記バインダーの主成分が無機物であり、上記研磨層が、その表面に溝により区分された複数の凸状部を有し、上記凸状部の平均面積が1mm以上300mm以下であり、上記複数の凸状部の上記研磨層全体に対する合計面積占有率が4%以上15%以下であることを特徴とする。
当該研磨材は、バインダーの主成分が無機物であるので、砥粒の保持力が高く、目つぶれする前の研磨力が高い砥粒が研磨層から目こぼれすることを抑止できる。その結果、当該研磨材は研磨レートに優れる。また、当該研磨材は、上記複数の凸状部の上記研磨層全体に対する合計面積占有率を上記範囲内とすることで、目つぶれが進行した砥粒がバインダーの摩耗により目こぼれし、新たな砥粒が露出するように研磨層の摩耗量が制御される。その結果、当該研磨材は、研磨層表面の砥粒に対する目つぶれする前の研磨力が高い砥粒の割合が高まり、砥粒の目つぶれによる研磨レートの低下を抑止できる。さらに、当該研磨材は、凸状部の平均面積を上記下限以上とするので、凸状部の剥離を抑止できる。また、当該研磨材は、凸状部の平均面積を上記上限以下とするので、溝が適度な間隔で位置し、研磨層表面に発生する研削屑が研磨層表面に滞留せず、溝を介して除去され易い。その結果、当該研磨材は、研磨層表面の目詰まりを生じ難い。従って、当該研磨材は、研磨レートに優れると共に、比較的長期間に渡り研磨レートが低下し難い。
当該研磨材は、上記溝に充填され、樹脂又は無機物を主成分とし、かつ砥粒を実質的に含まない充填部をさらに備えるとよい。このように当該研磨材が充填部をさらに備えることにより、凸状部が剥離し難くなると共に、研磨時に被削体が溝に落ち込むことを抑止できる。また、当該研磨材を両面研磨装置の上研磨パッド及び下研磨パッドに用いる場合、研磨時に一方の研磨パッドの凸状部が他方の研磨パッドの溝部分に嵌まり込む、いわゆる噛み込みの発生を抑止できる。このため、噛み込みによる研磨層の剥離や研磨材の破壊の発生が抑止される。
上記充填部の平均厚さの研磨層の平均厚さに対する比としては、0.1以上1以下が好ましい。このように上記充填部の平均厚さの研磨層の平均厚さに対する比を上記範囲内とすることで、研磨時に被削体が溝に落ち込むことを抑止しつつ、溝を介して研削屑を除去できる。
上記砥粒がダイヤモンド砥粒であるとよい。ダイヤモンド砥粒は硬質である。従って、上記砥粒をダイヤモンド砥粒とすることで、砥粒が目つぶれし難くなるため、研磨層の摩耗量の制御が容易となり、当該研磨材の研磨レート及び研磨レートの維持性をさらに向上できる。
上記無機物がケイ酸塩であるとよい。このように上記無機物をケイ酸塩とすることで、バインダーの砥粒保持力をさらに向上できる。
上記バインダーが酸化物を主成分とする充填剤を含有するとよい。このように上記バインダーが酸化物を主成分とする充填剤を含有することで、上記バインダーの弾性率が向上し、研磨層の摩耗を制御し易い。従って、当該研磨材の研磨レートの維持性をさらに向上できる。
上記研磨層の平均厚さとしては、25μm以上4000μm以下が好ましい。上記研磨層の平均厚さを上記範囲内とすることで、製造コストを抑えつつ研磨層の耐久性を高めることができる。
なお、「研磨層全体の面積」は、研磨層の溝の面積も含む概念である。また、「研磨層の平均厚さ」とは、研磨層の凸状部部分のみの平均厚さを意味する。また、「充填部の平均厚さ」とは、基材の表面と充填部の表面との距離の平均を意味する。また、「砥粒を実質的に含まない充填部」とは、砥粒の含有量が0.001体積%未満、好ましくは0.0001体積%未満であることを意味する。
以上説明したように、本発明の研磨材は、研磨レートに優れると共に、比較的長期間に渡り研磨レートが低下し難い。
本発明の実施形態に係る研磨材を示す模式的平面図である。 図1AのA−A線での模式的端面図である。 図1Bとは異なる実施形態の研磨材を示す模式的端面図である。
以下、本発明の実施の形態を適宜図面を参照しつつ詳説する。
[研磨材]
図1A及び図1Bに示す研磨材1は、基材シート10と、この基材シート10の表面側に積層される研磨層20と、上記基材シート10の裏面側に積層される接着層30とを備える。また、当該研磨材1は、充填部25をさらに備える。
<基材シート>
基材シート10は、研磨層20を支持するための部材である。
基材シート10の材質としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド、アルミニウム、銅等が挙げられる。中でも研磨層20との接着性が良好なアルミニウムが好ましい。また、基材シート10の表面に化学処理、コロナ処理、プライマー処理等の接着性を高める処理が行われてもよい。
また、基材シート10は可撓性又は延性を有するとよい。このように基材シート10が可撓性又は延性を有することで、当該研磨材1が被削体の表面形状に追従し、研磨面と被削体との接触面積が大きくなるため、研磨レートがさらに高まる。このような可撓性を有する基材シート10の材質としては、例えばPETやPI等を挙げることができる。また、延性を有する基材シート10の材質としては、アルミニウムや銅等を挙げることができる。
上記基材シート10の形状及び大きさとしては、特に制限されないが、例えば一辺が140mm以上160mm以下の正方形状や外形200mm以上2022mm以下及び内径100mm以上658mm以下の円環状とすることができる。また、平面上に並置した複数の基材シート10が単一の支持体により支持される構成であってもよい。
上記基材シート10の平均厚さとしては、特に制限されないが、例えば75μm以上1mm以下とできる。上記基材シート10の平均厚さが上記下限未満である場合、当該研磨材1の強度や平坦性が不足するおそれがある。逆に、上記基材シート10の平均厚さが上記上限を超える場合、当該研磨材1が不要に厚くなり取扱いが困難になるおそれがある。
<研磨層>
研磨層20は、基材シート10の表面側に積層され、砥粒21及びそのバインダー22を含む。また、研磨層20は、バインダー22の主成分が無機物であり、その表面に溝23により区分された複数の凸状部24を有する。
上記研磨層20の平均厚さ(凸状部24部分のみの平均厚さ)の下限としては、25μmが好ましく、30μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。一方、上記研磨層20の平均厚さの上限としては、4000μmが好ましく、3000μmがより好ましく、2500μmがさらに好ましい。上記研磨層20の平均厚さが上記下限未満である場合、研磨層20の耐久性が不足するおそれがある。逆に、上記研磨層20の平均厚さが上記上限を超える場合、上記研磨層20の均質性が低下するため、安定した研磨能力の発揮が困難となるおそれがある。また、当該研磨材1が不要に厚くなり取扱いが困難になるおそれや製造コストが増大するおそれがある。
上記バインダー22の主成分である無機物としては、ケイ酸塩、リン酸塩、多価金属アルコキシド等を挙げることができる。中でも砥粒保持力が高いケイ酸塩が好ましい。上記ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等を挙げることができる。
また、バインダー22は酸化物を主成分とする充填剤を含有するとよい。このようにバインダー22が充填剤を含有することで、上記バインダー22の弾性率が向上し、研磨層20の摩耗を制御し易い。
上記充填剤としては、例えばアルミナ、シリカ、酸化セリウム、酸化マグネシウム、ジルコニア、酸化チタン等の酸化物及びシリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア等の複合酸化物を挙げることができる。これらは単独で又は必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも高い研磨力が得られるアルミナが好ましい。
上記充填剤の平均粒子径は砥粒21の平均粒子径にも依存するが、上記充填剤の平均粒子径の下限としては、0.01μmが好ましく、2μmがより好ましい。一方、上記充填剤の平均粒子径の上限としては、20μmが好ましく、15μmがより好ましい。上記充填剤の平均粒子径が上記下限未満である場合、上記充填剤によるバインダー22の弾性率向上効果が十分に得られないおそれがある。一方、上記充填剤の平均粒子径が上記上限を超える場合、充填剤が砥粒21の研磨力を阻害するおそれがある。ここで、「平均粒子径」とは、レーザー回折法等により測定された体積基準の累積粒度分布曲線の50%値(50%粒子径、D50)をいう。
また、上記充填剤の平均粒子径は砥粒21の平均粒子径よりも小さいとよい。砥粒21の平均粒子径に対する上記充填剤の平均粒子径の比の下限としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましい。一方、砥粒21の平均粒子径に対する上記充填剤の平均粒子径の比の上限としては、0.8が好ましく、0.6がより好ましい。砥粒21の平均粒子径に対する上記充填剤の平均粒子径の比が上記下限未満である場合、上記充填剤によるバインダー22の弾性率向上効果が低下し、研磨層20の摩耗の制御が不十分となるおそれがある。逆に、砥粒21の平均粒子径に対する上記充填剤の平均粒子径の比が上記上限を超える場合、充填剤が砥粒21の研磨力を阻害するおそれがある。
上記充填剤の研磨層20に対する含有量は、砥粒21の含有量にも依存するが、上記充填剤の研磨層20に対する含有量の下限としては、15体積%が好ましく、30体積%がより好ましい。一方、上記充填剤の研磨層20に対する含有量の上限としては、75体積%が好ましく、60体積%がより好ましい。上記充填剤の研磨層20に対する含有量が上記下限未満である場合、上記充填剤によるバインダー22の弾性率向上効果が十分に得られないおそれがある。逆に、上記充填剤の研磨層20に対する含有量が上記上限を超える場合、充填剤が砥粒21の研磨力を阻害するおそれがある。
さらにバインダー22には、分散剤、カップリング剤、界面活性剤、潤滑剤、消泡剤、着色剤等の各種助剤、添加剤などを目的に応じて適宜含有させてもよい。
(砥粒)
砥粒21としては、ダイヤモンド、アルミナ、シリカ、セリア、炭化ケイ素等の砥粒が挙げられる。中でも硬質であるダイヤモンド砥粒が好ましい。砥粒21をダイヤモンド砥粒とすることで、砥粒21が目つぶれし難くなるため、研磨層20の摩耗量の制御が容易となり、当該研磨材1の研磨レート及び研磨レートの維持性を向上できる。このダイヤモンド砥粒としては、単結晶でも多結晶でもよく、またNiコーティング、Cuコーティング等の処理がされたダイヤモンドであってもよい。
砥粒21の平均粒子径は、研磨速度と研磨後の被削体の表面粗さとの観点から適宜選択される。砥粒21の平均粒子径の下限としては、2μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。一方、砥粒21の平均粒子径の上限としては、50μmが好ましく、45μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。砥粒21の平均粒子径が上記下限未満である場合、当該研磨材1の研磨力が不足し、研磨効率が低下するおそれがある。逆に、砥粒21の平均粒子径が上記上限を超える場合、研磨精度が低下するおそれがある。
砥粒21の研磨層20に対する含有量の下限としては、3体積%が好ましく、4体積%がより好ましく、8体積%がさらに好ましい。一方、砥粒21の研磨層20に対する含有量の上限としては、55体積%が好ましく、45体積%がより好ましく、35体積%がさらに好ましい。砥粒21の研磨層20に対する含有量が上記下限未満である場合、研磨層20の研磨力が不足するおそれがある。逆に、砥粒21の研磨層20に対する含有量が上記上限を超える場合、研磨層20が砥粒21を保持できないおそれがある。
(凸状部)
複数の凸状部24は、溝23により区分されている。上記溝23は、研磨層20の表面に等間隔の格子状に配設される。すなわち上記複数の凸状部24の形状は、規則的に配列されたブロックパターン状である。
上記複数の凸状部24の上記研磨層20全体に対する合計面積占有率の下限としては、4%であり、4.4%がより好ましく、8%がさらに好ましい。一方、上記複数の凸状部24の合計面積占有率の上限としては、15%であり、14%がより好ましく、13%がさらに好ましい。上記複数の凸状部24の合計面積占有率を上記範囲内とすることで、砥粒21の摩耗とバインダー22の摩耗とが適度にバランスし、砥粒21の目つぶれによる研磨レートの低下を抑止できる。以下にその理由について説明する。
研磨材により研磨を行っている間、研磨に寄与している研磨層表面の砥粒自体が摩耗し、砥粒自体の研磨力が低下する目つぶれが発生する。また、研磨材により研磨を行っている間、研磨層のバインダーも徐々に削られ摩耗していく。バインダーの摩耗が進むとバインダーが砥粒を保持し切れなくなり、研磨層表面の砥粒の目こぼれが発生する。ここで複数の凸状部の上記研磨層全体に対する合計面積占有率が上記上限より大きい場合、研磨材が研磨時に加えられる研磨圧力を広い面積で受けることになるため、バインダーの摩耗が生じ難く、目つぶれした砥粒が目こぼれせず、研磨レートの低下が発生し易い。一方、複数の凸状部の上記研磨層全体に対する合計面積占有率が上記下限より小さい場合、研磨材が研磨時に加えられる研磨圧力を少ない面積で受けることになるため、砥粒及びバインダーはより摩耗し易くなるが、その摩耗量の研磨圧力依存性には差があり、砥粒がより摩耗し易い。この場合においても、砥粒の摩耗がバインダーの摩耗よりも先に生じるため、目つぶれした砥粒が目こぼれせず、研磨レートの低下が発生し易い。本発明者らは、凸状部の面積占有率を上記範囲内とすることで、砥粒及びバインダーの摩耗を制御し、砥粒の目つぶれとこの砥粒の目こぼれを比較的近いタイミングで発生させることができることを知得した。つまり、本発明者らは、砥粒の目つぶれとこの砥粒の目こぼれを比較的近いタイミングで発生させることで、目つぶれの発生した砥粒が目こぼれにより除去され、研磨層内から新たな砥粒が研磨層表面に露出することにより研磨レートの低下を抑止できることを見出した。
凸状部24の平均面積の下限としては、1mmであり、2mmがより好ましい。一方、凸状部24の平均面積の上限としては、300mmであり、150mmがより好ましく、130mmがさらに好ましく、30mmが特に好ましい。凸状部24の平均面積が上記下限未満である場合、凸状部24が基材シート10から剥離するおそれがある。逆に、凸状部24の平均面積が上記上限を超える場合、溝23の間隔が広過ぎるため、研磨層20表面に発生する研削屑が研磨層20表面に滞留し、目詰まりを生ずるおそれがある。
(溝)
上記溝23は、研磨層20の表面に等間隔の格子状に配設される。また、溝23の底面は、基材シート10の表面で構成される。
溝23の平均幅及び平均間隔は、凸状部24の平均面積及び面積占有率を満たすように適宜定められる。溝23の平均幅の下限としては、1.5mmが好ましく、3.5mmがより好ましい。一方、溝23の平均幅の上限としては、48mmが好ましく、10mmがより好ましい。溝23の平均幅が上記下限未満である場合、研磨により発生する研削屑が溝23に詰まるおそれがある。一方、溝23の平均幅が上記上限を超える場合、研磨時に被削体の端部が溝23を一方側から他方側へ横断する際、被削体の端部が下方に傾き易い。このため、被削体が溝23の他方側の側面上部に引っ掛かり、被削体に傷が生じるおそれがある。
溝23の平均間隔の下限としては、1mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。一方、溝23の平均間隔の上限としては、12mmが好ましく、5.4mmがより好ましい。溝23の平均間隔が上記下限未満である場合、凸状部24の面積占有率を所望の範囲とするためには、凸状部24の面積を小さくする必要があり、凸状部24が基材シート10から剥離するおそれがある。逆に、溝23の平均間隔が上記上限を超える場合、凸状部24の面積占有率を所望の範囲とするためには、溝23の平均幅を大きくする必要があり、研磨時に被削体が溝23の側面上部に引っ掛かり易くなる。このため、被削体に傷が生じるおそれがある。
<充填部>
充填部25は、上記溝23に充填され、樹脂又は無機物を主成分とし、かつ砥粒21を実質的に含まない。つまり、充填部25は、隣接する凸状部24間に配設されている。この充填部25により、当該研磨材1は、凸状部24が剥離し難くなると共に、研磨時に被削体が溝に落ち込むことを抑止できる。また、当該研磨材1を両面研磨装置の上研磨パッド及び下研磨パッドに用いる場合、噛み込みの発生を抑止できる。
上記樹脂としては、ポリウレタン、ポリフェノール、エポキシ、ポリエステル、セルロース、エチレン共重合体、ポリビニルアセタール、ポリアクリル、アクリルエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド等を挙げることができる。中でも基材10への良好な密着性が確保し易いポリアクリル、エポキシ、ポリエステル及びポリウレタンが好ましい。また、上記樹脂は、少なくとも一部が架橋していてもよい。
上記無機物としては、ケイ酸塩、リン酸塩、多価金属アルコキシド等を挙げることができる。充填部25の主成分と無機物とする場合は、研磨層20との密着性の観点から、バインダー22の主成分と同じ無機物がよい。また、充填部25は、バインダー22と同様の酸化物を主成分とする充填剤を含有するとよい。
さらに充填部25には、分散剤、カップリング剤、界面活性剤、潤滑剤、消泡剤、着色剤等の各種助剤、添加剤などを目的に応じて適宜含有させてもよい。
上記充填部25の平均厚さの研磨層20の平均厚さに対する比の下限としては、0.1が好ましく、0.5がより好ましく、0.8がさらに好ましく、0.95が特に好ましい。一方、上記充填部25の平均厚さの比の上限としては、1が好ましく、0.98がより好ましい。上記充填部25の平均厚さの比が上記下限未満である場合、研磨時の被削体の溝への落ち込み抑止効果が不十分となるおそれがある。逆に、上記充填部25の平均厚さの比が上記上限を超える場合、研磨開始時に研磨層20が十分に被削体に接しないおそれや、研磨圧力が充填部25にも分散し、研磨層20に加わる研磨圧力が不十分となるおそれがある。
なお、本発明者らは充填部25の摩耗が研磨層20の凸状部24の摩耗よりも速いことを見出している。このため、充填部25の平均厚さの研磨層20の平均厚さに対する比が1である場合や、研磨層20の摩耗により充填部25の平均厚さと研磨層20の平均厚さとの差異が微小となった場合であっても、当該研磨材1の使用時には充填部25が先に摩耗するため、研磨開始から比較的短い時間で、研磨層20の凸状部24の表面と充填部25との間に段差が生じ、研削屑を除去できる凹部(溝)が出現することを本発明者らは知得している。
<接着層>
接着層30は、当該研磨材1を支持し研磨装置に装着するための支持体に当該研磨材1を固定する層である。
この接着層30に用いられる接着剤としては、特に限定されないが、例えば反応型接着剤、瞬間接着剤、ホットメルト接着剤、貼り替え可能な接着剤である粘着剤等が挙げられる。
この接着層30に用いられる接着剤としては、粘着剤が好ましい。接着層30に用いられる接着剤として粘着剤を用いることで、支持体から当該研磨材1を剥がして貼り替えることができるため当該研磨材1及び支持体の再利用が容易になる。このような粘着剤としては、特に限定されないが、例えばアクリル系粘着剤、アクリル−ゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、ブチルゴム系等の合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤等が挙げられる。
接着層30の平均厚さの下限としては、0.05mmが好ましく、0.1mmがより好ましい。また、接着層30の平均厚さの上限としては、0.3mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。接着層30の平均厚さが上記下限未満である場合、接着力が不足し、研磨材1が支持体から剥離するおそれがある。一方、接着層30の平均厚さが上記上限を超える場合、例えば接着層30の厚みのため当該研磨材1を所望する形状に切る際に支障をきたすなど、作業性が低下するおそれがある。
<研磨材の製造方法>
当該研磨材1は、研磨層用組成物を準備する工程と、充填部用組成物を準備する工程と、上記研磨層20を研磨層用組成物の印刷により塗工する工程と、上記充填部25を充填部用組成物の印刷により塗工する工程と、印刷した塗工液を加熱硬化させる工程とにより製造できる。
まず、研磨層用組成物準備工程において、無機物を主成分とするバインダー22の形成材料、充填剤及び砥粒21を含む研磨層用組成物を塗工液として準備する。
また、塗工液の粘度や流動性を制御するために、水、アルコール等の希釈剤等を添加する。この希釈により、凸状部24に含まれる砥粒21の一部をバインダー22の表面から突出させることができる。この時、希釈量を多くすることで、上記研磨層用組成物を次工程で乾燥させたときにバインダー22の厚さが減少し、上記砥粒21の突出量を増やすことができる。
次に、充填部用組成物準備工程において、樹脂又は無機物を主成分とする充填部25の形成材料を含む充填部用組成物を塗工液として準備する。また、この塗工液の粘度や流動性を制御するために、水、アルコール等の希釈剤等を添加する。なお、この充填部用組成物準備工程は、研磨層用組成物準備工程の前、又は研磨層形成工程の後に行ってもよい。
次に、研磨層形成工程において、上記研磨層用組成物準備工程で準備した塗工液を用い、基材シート10表面に印刷法により溝23で区分された複数の凸状部24から構成される研磨層20を形成する。この溝23を形成するために、溝23の形状に対応する形状を有するマスクを用意し、このマスクを介して上記塗工液を印刷する。この印刷方式としては、例えばスクリーン印刷、メタルマスク印刷等を用いることができる。
次に、充填部形成工程において、上記充填部用組成物準備工程で準備した塗工液を用い、印刷法により溝23を充填する充填部25を形成する。この印刷方式としては、例えばスキージ印刷、バーコーター印刷、アプリケーター印刷等を用いることができる。
最後に、加熱硬化工程において、印刷した塗工液を加熱脱水及び加熱硬化させることで研磨層20及び充填部25を形成する。具体的には、塗工液を室温(25℃)で乾燥させ、70℃以上90℃以下の温度で加熱脱水させた後、140℃以上300℃以下の熱で2時間以上4時間以下の範囲で硬化させ、バインダー22及び充填部25を形成する。上述のように研磨層20を印刷法で形成することで、研磨層20の形成時に砥粒21が研磨層20表面に露出し易いため、当該研磨材1が、被削体の研磨への使用開始時から研磨レートに優れる。
<利点>
当該研磨材1は、バインダー22の主成分が無機物であるので、砥粒21の保持力が高く、目つぶれする前の研磨力が高い砥粒21が研磨層20から目こぼれすることを抑止できる。その結果、当該研磨材1は研磨レートに優れる。また、当該研磨材1は、上記複数の凸状部24の上記研磨層20全体に対する合計面積占有率を上記範囲内とすることで、目つぶれが進行した砥粒21がバインダー22の摩耗により目こぼれし、新たな砥粒21が露出するように研磨層20の摩耗量が制御される。その結果、当該研磨材1は、研磨層20表面の砥粒21に対する目つぶれする前の研磨力が高い砥粒21の割合が高まり、砥粒21の目つぶれによる研磨レートの低下を抑止できる。さらに、当該研磨材1は、凸状部24の平均面積を上記下限以上とするので、凸状部24の剥離を抑止できる。また、当該研磨材1は、凸状部24の平均面積を上記上限以下とするので、溝23が適度な間隔で位置し、研磨層20表面に発生する研削屑が研磨層20表面に滞留せず、溝23を介して除去され易い。その結果、当該研磨材1は、研磨層20表面の目詰まりを生じ難い。従って、当該研磨材1は、研磨レートに優れると共に、比較的長期間に渡り研磨レートが低下し難い。
[その他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。上記実施形態では、溝を等間隔の格子状に構成したが、格子の間隔は、等間隔でなくともよく、例えば縦方向と横方向とで間隔を変えてもよい。ただし、溝の間隔が異なる場合、研磨に異方性が生じるおそれがあるため、等間隔が好ましい。
また、溝の平面形状は格子状でなくともよく、例えば四角形以外の多角形が繰り返される形状、円形状、平行な線を複数有する形状等であってもよいし、同心円状であってもよい。また、溝の平面形状は一方向のみに配設された縞状であってもよい。
上記実施形態において、溝の形成方法としてマスクを用いる方法を示したが、基材表面の全面に研磨層用組成物を印刷した後、エッチング加工やレーザー加工等により溝を形成してもよい。
また、上記実施形態において、溝に充填される充填部を備える場合を示したが、充填部は必須の構成要件ではなく、溝は組成物が充填されない空間であってもよい。
さらに、図2に示すように当該研磨材2は裏面側の接着層30を介して積層される支持体40及びその支持体40の裏面側に積層される第二接着層31を備えてもよい。当該研磨材2が支持体40を備えることにより、当該研磨材2の取扱いが容易となる。
上記支持体40の材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性を有する樹脂やポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックを挙げることができる。上記支持体40にこのような材質を用いることにより上記支持体40が可撓性を有し、当該研磨材2が被削体の表面形状に追従し、研磨面と被削体とが接触し易くなるため研磨レートがさらに向上する。
上記支持体40の平均厚さとしては、例えば0.5mm以上3mm以下とすることができる。上記支持体40の平均厚さが上記下限未満である場合、当該研磨材2の強度が不足するおそれがある。一方、上記支持体40の平均厚さが上記上限を超える場合、上記支持体40を研磨装置に取り付け難くなるおそれや上記支持体40の可撓性が不足するおそれがある。
上記第二接着層31は、接着層30と同様の接着剤を用いることができる。また、第二接着層31は、接着層30と同様の平均厚さとできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ダイヤモンド砥粒を用意し、日機装株式会社の「MicrotracMT3300EXII」を用いて平均粒子径を計測した。このダイヤモンド砥粒の平均粒子径は44μmであった。なお、このダイヤモンド砥粒の種類は、単結晶ダイヤモンドを55質量%ニッケルコーティングした処理ダイヤモンドである。
ケイ酸塩(3号ケイ酸ソーダ)、上記ダイヤモンド砥粒、及び充填剤としてのアルミナ(Al、平均粒子径12μm)を混合し、ダイヤモンド砥粒の研磨層に対する含有量が30体積%及び充填剤の研磨層に対する含有量が40体積%となるよう調整し、研磨層用組成物の塗工液を得た。
また、ケイ酸塩(3号ケイ酸ソーダ)、及び充填剤としてのアルミナ(Al、平均粒子径12μm)を混合し、充填剤の充填部に対する含有量が70体積%となるよう調整し、充填部用組成物の塗工液を得た。
基材として平均厚さ300μmのアルミニウム板を用意し、上記研磨層用組成物の塗工液を用いてこの基材の表面に印刷により等間隔の格子状の溝を有する研磨層を形成した。なお、印刷には、溝に対応するパターンを有するマスクを用いた。溝で区分された個々の凸状部を面積2.25mm(平面視で1辺1.5mmの正方形状)とし、研磨層の平均厚さを300μmとした。また、上記複数の凸状部は、規則的に配列したブロックパターン状であり、凸状部の研磨層全体に対する面積占有率は4.5%とした。
次に、充填部用組成物の塗工液を用いてスキージ印刷により上記溝を充填する充填部を形成した。充填部の平均厚さの研磨層の平均厚さに対する比は、1とした。
なお、研磨層用組成物の塗工液及び充填部用組成物の塗工液は、室温(25℃)で乾燥させ、60℃以上100℃以下の温度で加熱脱水させた後、150℃で2時間以上4時間以下の時間で硬化させた。
また、基材を支持し研磨装置に固定する支持体として平均厚さ1mmの硬質塩化ビニル樹脂板を用い、上記基材の裏面と上記支持体の表面とを平均厚さ130μmの粘着剤で貼り合わせた。上記粘着剤としては、両面テープを用いた。このようにして実施例1の研磨材を得た。
[実施例2〜6]
実施例1の凸状部の面積及び研磨層全体に対する面積占有率を表1のように変化させて、実施例2〜6の研磨材を得た。
[実施例7]
砥粒として、Cu表面処理ダイヤモンド砥粒(平均粒子径45μm)を用いた以外は、実施例3と同様にして実施例7の研磨材を得た。
[実施例8]
砥粒として、多結晶の表面未処理ダイヤモンド砥粒(平均粒子径12μm)を用い、充填剤として、アルミナ(Al、平均粒子径4μm)用いた以外は、実施例2と同様にして実施例8の研磨材を得た。
[実施例9]
凸状部を面積7.07mm(平面視で直径3mmの円形状)とし、研磨層の平均厚さを2400μmとした以外は、実施例1と同様にして実施例9の研磨材を得た。
[比較例1]
希釈溶剤(イソホロン)に、エポキシ樹脂、ダイヤモンド砥粒(平均粒子径44μm)、充填剤としてのアルミナ(Al、平均粒子径12μm)、硬化剤、及び適量の硬化触媒を加えて混合し、ダイヤモンド砥粒の研磨層に対する含有量が30体積%及び充填剤の研磨層に対する含有量が40体積%となるよう調整し、研磨層用組成物の塗工液を得た。
また、希釈溶剤(イソホロン)に、エポキシ樹脂、充填剤としてのアルミナ(Al、平均粒子径12μm)、硬化剤、及び適量の硬化触媒を加えて混合し、充填剤の充填部に対する含有量が70体積%となるよう調整し、充填部用組成物の塗工液を得た。
研磨層用組成物の塗工液及び充填部用組成物の塗工液として、上記塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の研磨材を得た。なお、塗工液は、120℃で3分間以上乾燥させた後、120℃で16時間以上20時間以下の時間で硬化させた。
[比較例2]
凸状部の研磨層全体に対する面積占有率を12%とした以外は、比較例1と同様にして比較例2の研磨材を得た。
[比較例3〜12]
実施例1の凸状部の面積及び研磨層全体に対する面積占有率並びに砥粒の種類を表1のように変化させて、比較例3〜12の研磨材を得た。
[研磨条件]
上記実施例1〜9及び比較例1〜12で得られた研磨材を用いて、ガラス基板の研磨を行った。上記ガラス基板には、直径5.08cm、比重2.4のソーダライムガラスを用いた。上記研磨には、市販の両面研磨機を用いた。両面研磨機のキャリアは、厚さ0.6mmのエポキシガラスである。研磨は、研磨圧力を200g/cmとし、上定盤回転数60rpm、下定盤回転数90rpm及びSUNギア回転数30rpmの条件で行った。その際、クーラントとして、出光興産株式会社の「ダフニーカットGS50K」を毎分120cc供給した。
[評価方法]
実施例1〜9及び比較例1〜12の研磨材を用いて研磨したガラス基板について、研磨レート及び研磨レート維持性の評価を行った。結果を表1に示す。
<研磨レート>
研磨レートについて、ガラス基板の研磨を15分間行い、研磨前後の基板の重量変化(g)を、基板の表面積(cm)、基板の比重(g/cm)及び研磨時間(分)で除し、算出した。
研磨レートについては、砥粒の平均粒子径の大きさにより実施例8及び比較例12を除く実施例及び比較例と、実施例8及び比較例12とに分けて、以下の判断基準にて3段階評価した。
(実施例8及び比較例12以外の研磨レートの判定基準)
A:100μm/分以上
B:50μm/分以上100μm/分未満
C:50μm/分未満
(実施例8及び比較例12の研磨レートの判定基準)
A:10μm/分以上
B:5μm/分以上10μm/分未満
C:5μm/分未満
<研磨レート維持性>
研磨レート維持性について、実施例8及び比較例12を除く実施例及び比較例では、ガラス基板の研磨を50分間行い、最後の10分間(40分から50分の間)の研磨レートを最初の10分間(0分から10分の間)の研磨レートで除し、算出した。
砥粒の平均粒子径が他の実施例等よりも小さい実施例8及び比較例12については、1バッチ当たりの研磨量を約30μmとする研磨を連続して3バッチ実施し、3バッチ目の研磨レートを1バッチ目の研磨レートで除して算出した。
研磨レート維持性については、以下の判断基準にて3段階評価した。
(研磨レート維持性の判定基準)
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:80%未満
<総合評価>
総合評価については、研磨レート及び研磨レート維持性を総合的に判断し、下記の判断基準にて3段階で評価した。
(研磨性能の基準)
A:研磨レート及び研磨レート維持性共に優れ、良好に研磨可能である。
B:研磨レート又は研磨レート維持性のいずれかに劣るが、研磨可能である。
C:剥離等により研磨レートが発現せず、又は研磨レート維持性が著しく劣り、研磨不可である。
Figure 2017119342
表1中で「研磨不可」とは、凸状部の剥離又は被削体の溝の側面上部への引っ掛かりのため研磨を行うことができず、研磨レート及び研磨レート維持性が測定できなかったことを意味する。
表1の結果から、実施例1〜9の研磨材は、比較例1〜12の研磨材と比べ研磨レートが高く、かつ研磨レート維持性が80%を超える。これに対して、比較例1及び比較例2は、バインダーの主成分が無機物ではないため、砥粒が目こぼれし易く、研磨レートが低いと考えられる。また、比較例3、4、10、11は、凸状部の面積が小さ過ぎるため、凸状部が剥離し、研磨できないと考えられる。比較例5は、凸状部の面積が大き過ぎるため、所望の面積占有率とするためには溝の幅が大き過ぎ、被削体であるガラス基板が支えきれずに溝の側面上部への引っ掛かりが発生し、研磨できないと考えられる。比較例6及び8は凸状部の面積占有率が小さ過ぎるため、凸状部に加わる圧力が高く、砥粒の摩耗による目つぶれが発生し、研磨レート維持性が低いと考えられる。さらに、比較例7、9、12は凸状部の面積占有率が大き過ぎるため、バインダーの摩耗が生じ難くなり、砥粒の摩耗による目つぶれが発生し、研磨レート維持性が低いと考えられる。このことから、実施例1〜9の研磨材は、凸状部の面積及び面積占有率が所定範囲内であるので、研磨レート及び研磨レート維持性に優れることが分かる。
また、実施例3と実施例7との比較及び実施例8と比較例12との比較から、砥粒をCu表面処理ダイヤモンド砥粒又は多結晶の表面未処理ダイヤモンド砥粒としても実施例6及び実施例7の研磨材は、優れた研磨レート及び研磨レート維持性が得られる。このことから、砥粒の種類によらず、凸状部の面積及び面積占有率を所定範囲内とすることで、研磨レート及び研磨レート維持性に優れることが分かる。
本発明の研磨材は、研磨レートに優れると共に、比較的長期間に渡り研磨レートが低下し難い。従って、当該研磨材は、ガラス等の基板の平面研磨に好適に用いられる。
1、2 研磨材
10 基材シート
20 研磨層
21 砥粒
22 バインダー
23 溝
24 凸状部
25 充填部
30 接着層
31 第二接着層
40 支持体

Claims (7)

  1. 基材シートと、この基材シートの表面側に積層され、砥粒及びそのバインダーを含む研磨層とを備える研磨材であって、
    上記バインダーの主成分が無機物であり、
    上記研磨層が、その表面に溝により区分された複数の凸状部を有し、
    上記凸状部の平均面積が1mm以上300mm以下であり、
    上記複数の凸状部の上記研磨層全体に対する合計面積占有率が4%以上15%以下であることを特徴とする研磨材。
  2. 上記溝に充填され、樹脂又は無機物を主成分とし、かつ砥粒を実質的に含まない充填部をさらに備える請求項1に記載の研磨材。
  3. 上記充填部の平均厚さの研磨層の平均厚さに対する比が0.1以上1以下である請求項2に記載の研磨材。
  4. 上記砥粒がダイヤモンド砥粒である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の研磨材。
  5. 上記無機物がケイ酸塩である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の研磨材。
  6. 上記バインダーが酸化物を主成分とする充填剤を含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の研磨材。
  7. 上記研磨層の平均厚さが25μm以上4000μm以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の研磨材。

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