JPWO2017110463A1 - ガスバリアーフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明のガスバリアーフィルムは、基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層、及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有し、かつ、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とする。

Description

本発明は、ガスバリアーフィルム及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルム及びその製造方法に関する。
従来、食品、包装材料、医薬品などの分野で、水蒸気や酸素等のガスの透過を防ぐため、樹脂基材の表面に金属や金属酸化物の蒸着膜等の無機膜を設けた比較的簡易な構造を有するガスバリアー性フィルム(以下、本願ではガスバリアーフィルムという。)が用いられてきた。
近年、このような水蒸気や酸素等の透過を防ぐガスバリアーフィルムが、液晶表示素子(LCD)、太陽電池(PV)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)などの電子デバイスの分野にも利用されつつある。このような電子デバイスに、フレキシブル性と軽くて割れにくいという性質を付与するためには、硬くて割れ易いガラス基板ではなく、高いガスバリアー性を有するガスバリアーフィルムが必要となってくる。
電子デバイスに適用可能なガスバリアーフィルムを得るための方策としては、樹脂基材上にプラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長法又は化学蒸着法ともいう。)によってガスバリアー層を形成する方法や、ポリシラザンを主成分とする塗布液を基材上に塗布した後、表面処理(改質処理)を施してガスバリアー層を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、前記有機エレクトロルミネッセンス素子などの電子デバイス用途としては、さらに高いガスバリアー性を有するガスバリアーフィルムが求められており、特に高温高湿環境下でも高いガスバリアー性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるバリアー性のダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルムが求められている。
特開2009−255040号公報 特開2012−148416号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層、及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有し、かつ、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、特定の範囲内であるガスバリアーフィルムによって、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、
前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、
前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有し、かつ、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とするガスバリアーフィルム。
2.前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層との間に、少なくとも厚さ方向において、前記非遷移金属(M1)及び前記遷移金属(M2)を含有する領域であって、前記非遷移金属(M1)に対する前記遷移金属(M2)の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することを特徴とする第1項に記載のガスバリアーフィルム。
3.前記混合領域に、前記非遷移金属又は当該非遷移金属に由来する化合物と前記遷移金属又は当該遷移金属に由来する化合物の混合物又は複合酸化物の少なくとも一方が含有されていることを特徴とする第2項に記載のガスバリアーフィルム。
4.前記混合領域の組成に、さらに酸素が含有されていることを特徴とすることを特徴とする第2項又は第3項に記載のガスバリアーフィルム。
5.前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする第2項から第4項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
化学組成式(1): (M1)(M2)
関係式(2) : (2y+3z)/(a+bx)<1.0
(ただし式中、M1:非遷移金属、M2:遷移金属、O:酸素、N:窒素、x,y,z:化学量論係数、0.02≦x≦49、0<y、0≦z、a:M1の最大価数、b:M2の最大価数を表す。)
6.前記第2のガスバリアー層の層厚が、1〜30nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
7.前記第1のガスバリアー層の表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
8.前記非遷移金属が、ポリシラザン由来のケイ素(Si)であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
9.前記遷移金属が、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、及びバナジウム(V)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
10.第1項から第9項までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムを製造するガスバリアーフィルムの製造方法であって、
長尺状の基材フィルム上に前記第1のガスバリアー層を形成する工程、
前記長尺状の基材フィルムをロール状に巻取ってロール体を形成する工程、
前記ロール体から長尺状の基材フィルムを巻き出して、前記第1のガスバリアー層の表面をエッチング処理する工程、次いで、
前記第2のガスバリアー層を形成する工程、
を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
11.前記第1のガスバリアー層を形成する工程が、ポリシラザン含有塗布液を塗布し、改質処理する工程を含むことを特徴とする第10項に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
12.前記エッチング処理する工程及び前記第2のガスバリアー層を形成する工程を、真空成膜装置内で行うことを特徴とする第10項又は第11項に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルム及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者は、例えば、Si等の非遷移金属(M1)を含有する第1のガスバリアー層を形成し、さらに例えば、Nb等の遷移金属(M2)を含む層を積層することによって、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)の混合物又は複合酸化物を含有する領域(以下、本願では「混合領域」という。)が形成され、さらに、当該混合領域を酸素欠損組成とすると、ガスバリアーフィルム全体のガスバリアー性が著しく向上することを見出した。
これは、非遷移金属(M1)同士の結合や遷移金属(M2)同士の結合よりも、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との結合が生じやすいことに起因して、さらに前記混合領域を酸素欠損組成とすることで、金属化合物の高密度な構造が当該混合領域において形成されて高ガスバリアー性に寄与したためであると推察される。
本発明者はさらに検討を進めたところ、前記第1のガスバリアー層の表面を特定の範囲の粗さになるように粗面化処理すると全体のガスバリアー性がさらに向上し、高温高湿環境下でも当該ガスバリアー性の高い耐久性を有し、またロールtoロール製造においても、巻取りによるガスバリアー性のダメージに対して高い耐性を付与できることを見出した。
これは、第1のガスバリアー層の表面を適度に粗面化することで第2のガスバリアー層との接着面積が増加し、より強固な積層構造が形成された結果、前記混合領域の効果が増大した結果と推定される。
また、第2のガスバリアー層の層厚を特定の範囲内にすることで、第1のガスバリアー層の表面の粗面状態に沿って第2のガスバリアー層の表面が粗面化され、ロールtoロールで製造した際に搬送、巻き取りによるガスバリアー性へのダメージ耐性(傷やクラックなどへの耐性)が向上したものと推定している。
また、第2のガスバリアー層の表面を直接粗面化すると粗面化の過程においてダメージによってガスバリアー性を劣化させる場合があるが、本発明では主に第1のガスバリアー層の粗面化処理を行うため、ガスバリアーフィルム全体のガスバリアー性は劣化しないものと推察される。
本発明のガスバリアーフィルムの構成を示す断面図 ガスバリアー層の厚さ方向におけるケイ素及び遷移金属の組成分布をXPS法により分析したときの元素プロファイルと混合領域を説明するためのグラフ
本発明のガスバリアーフィルムは、基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有し、かつ、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とし、当該構成において、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルムが得られる。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層との間に、少なくとも厚さ方向において、前記非遷移金属(M1)及び前記遷移金属(M2)を含有する領域であって、前記非遷移金属(M1)に対する前記遷移金属(M2)の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することが、耐久性及び耐傷性に優れ、かつガスバリアー性を向上する観点から好ましい。
さらに、前記混合領域に、前記非遷移金属又は当該非遷移金属に由来する化合物と前記遷移金属又は当該遷移金属に由来する化合物の混合物又は複合酸化物の少なくとも一方が含有されていることが好ましく、さらに前記混合領域の組成に、さらに酸素が含有されていることが、好ましい。
前記混合領域の組成は、前記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が前記関係式(2)を満たすことが、耐久性及び耐傷性に優れ、かつガスバリアー性を向上する観点から好ましい。
また、前記第2のガスバリアー層の層厚が、1〜30nmの範囲内であることが、第1ガスバリアー層の表面粗さの状態をそのまま発現することから、好ましく、前記第1のガスバリアー層の表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることが、適度な粗面化をガスバリアーフィルム表面に付与でき、好ましい。
前記非遷移金属は、ポリシラザン由来のケイ素(Si)であり、前記遷移金属が、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、及びバナジウム(V)から選択される少なくとも1種であることが、ガスバリアー性を顕著に向上する観点から好ましい。
本発明のガスバリアーフィルムを製造するガスバリアーフィルムの製造方法は、長尺状の基材フィルム上に前記第1のガスバリアー層を形成する工程、前記長尺状の基材フィルムをロール状に巻取ってロール体を形成する工程、前記ロール体から長尺状の基材フィルムを巻き出して、前記第1のガスバリアー層の表面をエッチング処理する工程、次いで、前記第2のガスバリアー層を形成する工程、を有することを特徴とする。
前記第1のガスバリアー層を形成する工程が、ポリシラザン含有塗布液を塗布し、改質処理する工程を含むことが好ましく、前記エッチング処理する工程及び前記第2のガスバリアー層を形成する工程を、真空成膜装置内にて行うことが、生産性を向上する観点から、好ましい製造方法である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明のガスバリアーフィルムの概要≫
本発明のガスバリアーフィルムは、基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有し、かつ、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とする。
ここで「第2のガスバリアー層表面」とは、一般的な「表面」という意味以外に、第2のガスバリアー層が他の層と接している場合は、他の層との境界面を含む意味である。
本発明に係る算術平均粗さRaとは、JIS B0601:2001で規定される表面粗さであり、例えば、非接触三次元微小表面形状測定システム(Veeco社製WYKO)を用いて測定できる値である。
本発明に係る第1のガスバリアー層と前記第2のガスバリアー層との間に、少なくとも厚さ方向において、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)を含有する領域であって、前記非遷移金属(M1)に対する前記遷移金属(M2)の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することが、高ガスバリアー性を発現する観点から、好ましい。
ここで、混合領域とは、ガスバリアーフィルムの少なくとも厚さ方向において構成成分の化学組成が相互に異なる複数の領域からなり、少なくとも前記複数の領域の一つには非遷移金属を含有する第1のガスバリアー層、及び当該第1のガスバリアー層に直接的若しくは間接的に対向する第2のガスバリアー層には遷移金属を含有する場合、前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層に含有される金属又は当該金属に由来する化合物を含有する領域をいう。
ここで、混合領域は、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の前記構成成分が相互に化学結合することなく混じり合っている状態を含むが、非遷移金属と遷移金属がお互いに化学結合している複合酸化物を形成していることが好ましい。
「複合酸化物」とは、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の前記構成成分が相互に化学結合をして形成された化合物(酸化物)をいう。例えば、非遷移金属と遷移金属が直接的に又は酸素原子を介して化学結合を形成している化学構造を有する化合物をいう。
また、この混合領域では、非遷移金属と遷移金属、及び酸素が含有されていることが好ましい。さらに、この混合領域は、遷移金属の酸化物と非遷移金属の酸化物との混合物、又は、遷移金属と非遷移金属との複合酸化物の少なくとも一方が含有されていることが好ましい形態であり、遷移金属と非遷移金属との複合酸化物が含有されていることがより好ましい形態である。
なお、本願においては、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の前記構成成分が相互に分子間相互作用などにより物理的結合をして形成された複合体も本発明に係る「複合酸化物」に含まれるものとする。
加えて、上記混合領域の組成を前記化学組成式(1)で表したとき、混合領域の少なくとも一部が、前記関係式(2)で規定する条件を満たすことが好ましい。
本発明のガスバリアーフィルムのガスバリアー性は、基材上に前記ガスバリアー層を形成させた積層体で算出した際、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、25±0.5℃、90±2%RHの環境下の水蒸気透過度が0.01g/m・24h以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−2006に準拠した方法で測定された、85℃・85%RH環境下での酸素透過度が、1×10−3mL/m・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下の高ガスバリアー性であることが好ましい。
<本発明のガスバリアーフィルムの構成>
図1は本発明のガスバリアーフィルムの構成を示す断面図である。
本発明のガスバリアーフィルム10は、基材1上に第1のガスバリアー層2及び第2のガスバリアー層3が積層されており、その間に混合領域4が形成される。
また、基材1と第1のガスバリアー層2の間にはアンダーコート層(本発明ではアンカー層ともいう。)、ハードコート層等の機能性層が形成されていてもよく、第2のガスバリアー層3上には、他の機能性層(例えば量子ドット樹脂層など)との密着性を向上する密着層が形成されていてもよい。さらに、基材のガスバリアー層が配置されている側と反対側の面にバックコート層等が形成されていてもよい。
以下、図1の構成に沿って各要素を詳細に説明する。
〔1〕基材
本発明に係る基材としては、具体的には、ガラス又は樹脂フィルムの適用が好ましく、フレキシブル性を要求される場合は、樹脂フィルムであることが好ましい。
好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂を含む基材が挙げられる。該樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の基材が使用される。該基材は、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。すなわち、これらの用途に本発明に係るガスバリアー層を用いる場合、基材は、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、基材の線膨張係数が100ppm/Kを超えると、前記のような温度の工程に流す際に基板寸法が安定せず、熱膨張及び収縮に伴い、遮断性性能が劣化する不都合や、又は熱工程に耐えられないという不具合が生じやすくなる。15ppm/K未満では、フィルムがガラスのように割れてしまいフレキシビリティが劣化する場合がある。
基材のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。基材として用いることができる熱可塑性樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:70℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報に記載の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標):260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報に記載の化合物:300℃以上)等が挙げられる(括弧内はTgを示す)。
本発明のガスバリアーフィルムは、有機EL素子等の電子デバイスに好適であることから、基材は透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率及び散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
また、上記に挙げた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。当該基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。これらの基材の製造方法については、国際公開第2013/002026号の段落「0051」〜「0055」の記載された事項を適宜採用することができる。
基材の表面は、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、又はプラズマ処理等を行っていてもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行っていてもよい。また、基材には易接着処理を行ってもよい。
該基材は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該基材が2層以上の積層構造である場合、各基材は同じ種類であってもよいし異なる種類であってもよい。
本発明に係る基材の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。
〔2〕ガスバリアー層
〔2.1〕ガスバリアー層の概要及び混合領域
本発明のガスバリアーフィルムは、基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層、及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有することを特徴とする。
前記非遷移金属とは、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される非遷移金属(M1)をいい、これは「非遷移金属の化合物」を含み、例えば酸化物、窒化物、酸窒化物、及び酸炭化物をいい、特に酸化物であることが好ましい。
前記遷移金属(M2)とは、長周期型周期表の第3族元素から第11族元素から選択される金属をいい、これは「遷移金属の化合物」を含み、例えば酸化物、窒化物、酸窒化物、及び酸炭化物をいい、特に酸化物であることが好ましい。
前記長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される非遷移金属(M1)としては特に制限されず、第12族〜第14族の任意の金属が単独で又は組み合わせて用いられうるが、例えば、Si、Al、Zn、In及びSnなどが挙げられる。中でも、M1はSi、Sn又はZnを含むことが好ましく、Siを含むことがより好ましく、Si単独であることが特に好ましい。
前記長周期型周期表の第3族元素から第11族元素から選択される遷移金属(M2)としては特に制限されず、任意の遷移金属が単独で又は組み合わせて用いられうる。遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAuなどが挙げられる。
中でも、良好なガスバリアー性が得られる遷移金属(M2)としては、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられる。これらの中でも、種々の検討結果から、特に第5族元素であるNb、Ta、及びVが、ガスバリアー層に含有される非遷移金属(M1)に対する結合が生じやすいと考えられるため、好ましく用いることができる。
特に遷移金属(M2)が第5族元素(例えば、Nb)であって、上述した非遷移金属(M1)がSiであると、著しいガスバリアー性の向上効果が得られる。これは、Siと第5族元素(例えば、Nb)との結合が特に生じやすいためであると考えられる。さらに、光学特性の観点から、遷移金属(M2)は、透明性が良好な化合物が得られるNb、Taが特に好ましい。
ガスバリアー層の層厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであることが好ましい。このような範囲であれば、高いガスバリアー性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れる。また、ガスバリアー層は隣接する2層以上から構成されてもよい。
〈混合領域〉
本発明に係る「混合領域」とは、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される非遷移金属(M1)及び第3族〜第11族の金属から選択される遷移金属(M2)が含有されている領域であって、前記非遷移金属(M1)に対する遷移金属(M2)の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有する領域である。
ここで、混合領域とは、(1)ガスバリアー層の少なくとも厚さ方向において構成成分の化学組成が相互に異なる複数の領域からなり、前記複数の領域の一つには非遷移金属又はその化合物が含有されており、当該一つの領域に直接的若しくは間接的に対向する他の領域には遷移金属が含有されているケースの場合、前記第1のガスバリアー層の主成分a及び前記第2のガスバリアー層の主成分bに由来する化合物を含有する領域をいう。
(酸素欠損組成)
本発明においては、混合領域の少なくとも一部の組成が、酸素が欠損した非化学量論的組成であることが好ましい。
本発明においては、酸素欠損組成とは、当該混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、当該混合領域の少なくとも一部の組成が、下記関係式(2)で規定する条件を満たすことと定義する。また、当該混合領域における酸素欠損程度を表す酸素欠損度指標としては、当該ある混合領域における(2y+3z)/(a+bx)を算出して得られる値の最小値を用いるものとする。
化学組成式(1): (M1)(M2)
関係式(2) : (2y+3z)/(a+bx)<1.0
(ただし式中、M1:非遷移金属、M2:遷移金属、O:酸素、N:窒素、x,y,z:化学量論係数、0.02≦x≦49、0<y、0≦z、a:M1の最大価数、b:M2の最大価数を表す。)
上記関係式(2)は、ガスバリアー層の混合領域が、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との酸素欠損組成を含んでいることを表している。
非遷移金属(M1)同士の結合や遷移金属(M2)同士の結合よりも、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との結合が生じやすいことに起因して、さらに前記混合領域を酸素欠損組成とすることで、金属化合物の高密度な構造が当該混合領域において形成されて高ガスバリアー性に寄与するものと推察される。
以下、特別の区別が必要ない場合、上記化学組成式(1)で表す組成を、単に複合領域の組成という。
上述したように、本発明に係る非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)との複合領域での組成は、(M1)(M2)で示される。この組成からも明らかなように、上記複合領域の組成は、一部窒化物の構造を含んでいてもよく、窒化物の構造を含んでいる方がガスバリアー性の観点から好ましい。
ここでは、非遷移金属(M1)の最大価数をa、遷移金属(M2)の最大価数をb、Oの価数を2、Nの価数を3とする。そして、上記複合領域の組成(一部窒化物となっているものを含む)が化学量論的組成になっている場合は、(2y+3z)/(a+bx)=1.0となる。この式は、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の結合手の合計と、O、Nの結合手の合計とが同数であることを意味し、この場合、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)ともに、O、Nのいずれかと結合していることになる。なお、本発明において、非遷移金属(M1)として2種以上が併用される場合や、遷移金属(M2)として2種以上が併用される場合には、各元素の最大価数を各元素の存在比率によって加重平均することにより算出される複合価数を「最大価数」のa及びbの値として採用するものとする。
一方、本発明に係る混合領域のように、(2y+3z)/(a+bx)<1.0となる場合には、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の結合手の合計に対して、O、Nの結合手の合計が不足していることを意味し、この状態が上記複合領域の組成の「酸素欠損状態」である。当該酸素欠損状態においては、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の余った結合手は互いに結合する可能性を有しており、非遷移金属(M1)や遷移金属(M2)の金属同士が直接結合すると、金属の間にOやNを介して結合した場合よりも緻密で高密度な構造が形成され、その結果として、ガスバリアー性が向上すると考えられる。
また、本発明において、混合領域は、前記xの値が、0.02≦x≦49(0<y、0≦z)を満たす領域である。これは、先に、遷移金属(M2)/非遷移金属(M1)の原子数比率の値が、0.02〜49の範囲内にあり、厚さが5nm以上である領域と定義する、としたことと同一の定義である。この領域では、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の双方が金属同士の直接結合に関与することから、この条件を満たす混合領域が所定値以上(5nm)の厚さで存在することで、ガスバリアー性の向上に寄与すると考えられる。なお、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の存在比率が近いほどガスバリアー性の向上に寄与しうると考えられることから、混合領域は、0.1≦x≦10を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが好ましく、0.2≦x≦5を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことがより好ましく、0.3≦x≦4を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが更に好ましい。
ここで、上述したように、(2y+3z)/(a+bx)<1.0を満たす混合領域が存在すれば、ガスバリアー性の向上効果が発揮されることが確認されたが、混合領域は、(2y+3z)/(a+bx)≦0.9を満たすことが好ましく、(2y+3z)/(a+bx)≦0.85を満たすことがより好ましく、(2y+3z)/(a+bx)≦0.8を満たすことがさらに好ましい。ここで、混合領域における(2y+3z)/(a+bx)の値が小さくなるほど、ガスバリアー性の向上効果は高くなるものの可視光での吸収も大きくなる。したがって、透明性が望まれる用途に使用するガスバリアー層の場合には、0.2≦(2y+3z)/(a+bx)であることが好ましく、0.3≦(2y+3z)/(a+bx)であることがより好ましく、0.4≦(2y+3z)/(a+bx)であることがさらに好ましい。
なお、本発明において良好なガスバリアー性が得られる混合領域の厚さは、SiO換算のスパッタ厚さとして、5nm以上であり、この厚さは、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。混合領域の厚さは、ガスバリアー性の観点からは特に上限はないが、光学特性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
上述したような構成を有するガスバリアー層は、有機EL素子等の電子デバイス用のガスバリアー層として使用可能なレベルの非常に高いガスバリアー性を示す。
(XPSによる組成分析と混合領域の厚さの測定)
本発明に係るガスバリアー層の混合領域や第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層における組成分布や各領域の厚さ等については、以下に詳述するX線光電分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy、略称:XPS)により測定することにより求めることができる。
以下、XPS分析法による混合領域や第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の測定方法について説明する。
本発明に係るガスバリアー層の厚さ方向における元素濃度分布曲線(以下、「デプスプロファイル」という。)は、具体的には、非遷移金属(M1)(例えば、ケイ素)の元素濃度、遷移金属(M2)(例えば、ニオブ)の元素濃度、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)元素濃度等を、X線光電子分光法の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、ガスバリアー層の表面より内部を露出させつつ順次表面組成分析を行うことにより作成することができる。
このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:atom%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は層厚方向における前記ガスバリアー層の厚さ方向におけるガスバリアー層の表面からの距離におおむね相関することから、「ガスバリアー層の厚さ方向におけるガスバリアー層の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
以下に、本発明に係るガスバリアー層の組成分析に適用可能なXPS分析の具体的な条件の一例を示す。
・分析装置:アルバック・ファイ社製QUANTERA SXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを求める。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバック・ファイ社製のMultiPakを用いる。なお、分析した元素は、非遷移金属(M1)(例えば、ケイ素(Si))、遷移金属(M2)、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)である。
得られたデータから、組成比を計算し、非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)とが共存し、かつ、遷移金属(M2)/非遷移金属(M1)の原子数比率の値が、0.02〜49になる範囲を求め、これを混合領域と定義し、その厚さを求める。混合領域の厚さは、XPS分析におけるスパッタ深さをSiO換算で表したものである。
本発明において、混合領域の厚さは5nm以上であるときに「混合領域」と判定するとしたが、ガスバリアー性の観点からは、混合領域での厚さの上限はないが、光学特性の観点から、好ましくは5〜100nmの範囲内であり、より好ましくは8〜50nmの範囲内であり、さらに好ましくは、10〜30nmの範囲内である。
以下に、本発明に係るガスバリアー層における混合領域の具体例について、図を用いて説明する。
図2は、ガスバリアー層の厚さ方向における非遷移金属及び遷移金属の組成分布をXPS法により分析したときの元素プロファイルと混合領域を説明するためのグラフである。
図2において、ガスバリアー層の表面(グラフの左端部)より深さ方向に、非遷移金属(M1)、遷移金属(M2)、O、N、Cの元素分析を行い、横軸にスパッタの深さ(層厚:nm)を、縦軸に非遷移金属(M1)と遷移金属(M2)の含有率(atom%)を示したグラフである。
右側より、金属として非遷移金属(M1、例えばSi)を主成分とする元素組成である第1のガスバリアー層が示され、これに接して左側に金属として遷移金属(M2、例えば、ニオブ)を主成分とする元素組成である第2のガスバリアー層が示されている。混合領域は、遷移金属(M2)/非遷移金属(M1)の原子数比率の値が、0.02〜49の範囲内の元素組成で示される領域であり、第1のガスバリアー層の一部と第2のガスバリアー層の一部とに重なって示される領域であって、かつ、厚さ5nm以上の領域である。
(混合領域の形成方法)
混合領域形成方法としては、前述したように第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層を形成する際に、各々の形成条件を調整して、第1のガスバリアー層と第2のガスバリアー層との間に混合領域を形成する方法が好ましい。
第1のガスバリアー層を、例えば気相成膜法により形成する場合は、例えば、成膜原料における前記非遷移金属(M1)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、成膜時の磁力、及び、成膜時の電力からなる群から選択される1種又は2種以上の条件を調節することで混合領域を形成することができる。また、第1のガスバリアー層を塗布等による湿式法で作製する場合は、材料の選択や塗布液条件、塗布する際の条件等を適宜調整することで混合領域を形成することができる。
第2のガスバリアー層を気相成膜法により形成する場合は、例えば、成膜原料における前記非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、成膜時の磁力、及び、成膜時の電力からなる群から選択される1種又は2種以上の条件を調節することで混合領域を形成することができる。
なお、上記した方法によって、混合領域の厚さを制御するには、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層を形成する方法の形成条件を適宜調整して、制御することができる。例えば、第2のガスバリアー層を気相成膜法で形成する際には、成膜時間を制御することにより所望の厚さにすることができる。
また、これに加えて、非遷移金属と遷移金属の混合領域を直接形成する方法も好ましい。
混合領域を直接形成する方法としては、公知の共蒸着法を用いることが好ましい。このような共蒸着法として、好ましくは、共スパッタ法が挙げられる。本発明において採用される共スパッタ法は、例えば、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の双方を含む合金からなる複合ターゲットや、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の複合領域の組成からなる複合ターゲットをスパッタリングターゲットとして用いた1元スパッタでありうる。
また、本発明における共スパッタ法は、非遷移金属(M1)の単体又はその酸化物と、遷移金属(M2)の単体又はその酸化物とを含む複数のスパッタリングターゲットを用いた多元同時スパッタであってもよい。これらのスパッタリングターゲットを作製する方法や、これらのスパッタリングターゲットを用いて複合領域の組成からなる薄膜を作製する方法については、例えば、特開2000−160331号公報、特開2004−068109号公報、特開2013−047361号公報などの記載が適宜参照されうる。
そして、共蒸着法を実施する際の成膜条件としては、成膜原料における前記遷移金属(M2)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、及び、成膜時の電力からなる群から選択される1種又は2種以上の条件が例示され、これらの成膜条件(好ましくは、酸素分圧)を調節することによって、酸素欠損組成を有する薄膜を形成することができる。すなわち、上述したような共蒸着法を用いてガスバリアー層を形成することで、形成されるガスバリアー層の厚さ方向のほとんどの領域を混合領域とすることができる。このため、かような手法によれば、混合領域の厚さを制御するという極めて簡便な操作により、所望のガスバリアー性を実現することができる。なお、混合領域の厚さを制御するには、例えば、共蒸着法を実施する際の成膜時間を調節すればよい。
〔2.2〕ガスバリアー層の形成方法
〔2.2.1〕第1のガスバリアー層:非遷移金属(M1)含有層の形成
本発明に係る非遷移金属(M1)を含有する層は、前述のようにSiを含むことがより好ましく、Si単独であることが特に好ましい。
本発明に係る第1のガスバリアー層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、気相成膜法は公知の方法で用いることができる。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。中でも、機能性素子へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、物理気相成長(PVD)法により形成することが好ましく、スパッタ法により、非遷移金属をターゲットとして用いて形成することができる。
また、前記非遷移金属(M1)を含有する層が、ポリシラザン又はポリシラザンの改質体を含有する層であることが好ましく、当該ポリシラザンの改質体を、ポリシラザンを含有する塗布液を本発明に係る基材上に塗布して、真空紫外光を照射することにより形成する層であることが、透過率等の光学特性に優れたガスバリアー性の高いガスバリアー層が得られることから、より好ましい。形成される層の数は特に限定はなく、少なくとも1層であればよく、複数の層でもよい。
改質処理は、好ましくは真空紫外光の照射処理である。真空紫外光の照射といった改質処理により、ガスバリアー層はガスバリアー性を発現するようになる。
ここではまず、ケイ素化合物がポリシラザンである場合を例に挙げて、非遷移金属(M1)を含有する層の形成方法の一例を説明する。
ポリシラザンを含む塗布液を公知の湿式塗布法により塗布して改質処理を行い、ガスバリアー層の一部となる層を形成することができる。
本発明に用いられる「ポリシラザン」とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーで、酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーであり、下記一般式(1)の構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2017110463
式中、R、R、及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンが特に好ましい。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20などが挙げられる。
その他、ポリシラザンの詳細については、従来公知である特開2013−255910号公報の段落「0024」〜「0040」、特開2013−188942号公報の段落「0037」〜「0043」、特開2013−151123号公報の段落「0014」〜「0021」、特開2013−052569号公報の段落「0033」〜「0045」、特開2013−129557号公報の段落「0062」〜「0075」、特開2013−226758号公報の段落「0037」〜「0064」等を参照して採用することができる。
ポリシラザンを含有する塗布液の塗布は、電子デバイスの酸素や水蒸気による劣化を抑制するために、例えば、グローブボックス内といった窒素雰囲気下で行われる。ポリシラザンを含有する塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。形成方法については、従来公知である特開2014−151571号公報の段落「0058」〜「0064」、特開2011−183773号公報の段落「0052」〜「0056」等を参照して採用することができる。
改質処理とは、ポリシラザンの酸化ケイ素又は酸化窒化ケイ素への転化反応をいう。改質処理も、同様に、グローブボックス内といった窒素雰囲気下や減圧下で行われる。
本発明における改質処理は、ポリシラザンの転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができる。本発明においては、低温で転化反応が可能なプラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。プラズマやオゾンは従来公知の方法を用いることができる。本発明においては、ポリシラザン含有液の塗膜を設け、波長200nm以下の真空紫外光(VUVともいう。)を照射して改質処理することにより、非遷移金属(M1)を含有する層を形成することが好ましい。
層厚は、1〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲である。当該非遷移金属含有層のうち、層全体が改質層であってもよいが、改質処理された改質層の厚さは、1〜50nmが好ましく、1〜10nmがさらに好ましい。
本発明における真空紫外光照射工程において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外光の照度は30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。真空紫外光の照度を30mW/cm以上とすることで、改質効率を十分に向上することができ、200mW/cm以下では、塗膜への損傷発生率を極めて抑え、また、基材への損傷も低減させることができるため、好ましい。
真空紫外光の照射を行う場合は、ポリシラザン層塗膜面における真空紫外光の照射エネルギー量は、0.01〜0.9J/cmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.5J/cmの範囲であることが、素子へのダメージを低減する観点からより好ましい。
なお、真空紫外光光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。真空紫外光は、酸素による吸収があるため真空紫外光照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外光の照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外光照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、さらに好ましくは80〜4500ppmの範囲、最も好ましくは100〜1000ppmの範囲である。
改質処理は、加熱処理を用いることもできる。加熱条件としては、好ましくは50〜300℃の範囲内、より好ましくは70〜200℃の範囲内の温度で、好ましくは0.005〜60分間、より好ましくは0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、改質体を形成することができる。
加熱処理としては、例えば、ヒートブロック等の発熱体に基材を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより雰囲気を加熱する方法、IRヒーターのような赤外領域の光を用いた方法等が挙げられるが、特に限定されない。また、ケイ素化合物を含有する塗膜の平滑性を維持できる方法を適宜選択してよい。
加熱処理時の塗膜の温度としては、50〜250℃の範囲内に適宜調整することが好ましく、50〜120℃の範囲内であることがより好ましい。
また、加熱時間としては、1秒〜10時間の範囲内が好ましく、10秒〜1時間の範囲内がより好ましい。
これらの改質処理においては、例えば、特開2012−086394号公報の段落「0055」〜「0091」、特開2012−006154号公報の段落「0049」〜「0085」、特開2011−251460号公報の段落「0046」〜「0074」等に記載の内容を参照することができる。
(ガスバリアー層が、ポリシラザン由来であることの判定)
本発明に係るガスバリアー層においては、前駆体としてポリシラザン、特に好ましくはパーヒドロポリシラザンを用いて形成することが好ましい態様であるが、最終完成物であるガスバリアー層が、ポリシラザンにより形成された層であることは、下記の方法により分析することにより実証することができる。
本発明においては、ポリシラザンとしてはパーヒドロポリシラザンを適用した例について説明する。
市販のパーヒドロポリシラザンの一般的な組成をSiNとしたときに、vは0.78〜0.80となる。パーヒドロポリシラザンから形成された前駆体層は、形成雰囲気の水分や酸素を取り込み、アンモニアや水素を放出して、下式(A)及び式(B)で示すように組成が変化していく。
Figure 2017110463
その過程において、窒素が1個放出されるのに対し、酸素が3個取り込まれるという法則におおよそ従う。これは、上述の種々の改質処理を行った場合にもあてはまるものである。したがって、パーヒドロポリシラザンから塗布形成されたガスバリアー層の組成をSiOで示した際に、xとyの関係は下式(C)に従う。
式(C)
y=0.8−x/3、x≧0、y≧0、
元の組成がSiN0.8の場合、パーヒドロポリシラザンから塗布形成された層の厚さ方向の組成分布をXPSにより分析した場合、厚さ方向の各測定点でのいずれの組成も上記式にあてはまることになる(数%の誤差は存在する)。
したがって、Siを含有する層の厚さ方向の組成分布を分析して、SiOで示した際に、その形成したガスバリアー層の厚さに対して、その80%以上となる測定点の組成が、yの値が(0.8−x/3)の±2%の範囲に入っていた場合、その層はパーヒドロポリシラザンから形成されたガスバリアー層であると推定することが可能となる。
(添加元素)
本発明において、非遷移金属(M1)を含有する層を形成するための塗布液には、添加元素(長周期型周期表の第1族〜第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素)を含有させることができる。添加元素の例としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、コバルト(Co)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、タリウム(Tl)、ゲルマニウム(Ge)等が挙げられる。
中でも、本発明に係る前記非遷移金属(M1)を含有する層を、特に、ポリシラザンとアルミニウム化合物、又はポリシラザンとホウ素化合物とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成することが好ましい。
本発明に適用可能なアルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイソポロポキシド、アルミニウム−sec−ブチレート、チタンイソプロポキシド、アルミニウムトリエチレート、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリtert−ブチレート、アルミニウムトリn−ブチレート、アルミニウムトリsec−ブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノアルミニウム−t−ブチレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムオキシドイソプロポキシドトリマー等を挙げることができる。
また、ホウ素化合物としては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリn−プロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリn−ブチル、ホウ酸トリtert−ブチル等を挙げることができる。
これらの中でも、アルミニウム化合物が好ましい。具体的な市販品としては、例えば、AMD(アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート)、ASBD(アルミニウムセカンダリーブチレート)、ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、ALCH−TR(アルミニウムトリスエチルアセトアセテート)、アルミキレートM(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、アルミキレートD(アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)、アルミキレートA(W)(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、プレンアクト(登録商標)AL−M(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインケミカル株式会社製)等を挙げることができる。
なお、これらの化合物を用いる場合は、ポリシラザンを含む塗布液と不活性ガス雰囲気下で混合することが好ましい。これらの化合物が大気中の水分や酸素と反応し、激しく酸化が進むことを抑制するためである。また、これらの化合物とポリシラザンとを混合する場合は、30〜100℃に昇温し、撹拌しながら1分〜24時間保持することが好ましい。
非遷移金属(M1)を含有する層における上記添加元素の含有量は、ケイ素(Si)の含有量100mol%に対して、上記添加元素の含有量が0.1〜20mol%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10mol%である。
〔2.2.2〕第1のガスバリアー層の粗面化処理
本発明のガスバリアーフィルムを製造するガスバリアーフィルムの製造方法は、長尺状の基材フィルム上に前記第1のガスバリアー層を形成する工程、前記長尺状の基材フィルムをロール状に巻取ってロール体を形成する工程、前記ロール体から長尺状の基材フィルムを巻き出して、前記第1のガスバリアー層の表面をエッチング処理する工程、次いで、前記第2のガスバリアー層を形成する工程、を有することを特徴とする。
前記第1のガスバリアー層を形成する工程は、前述のとおり、ポリシラザン含有塗布液を塗布し、改質処理する工程を含むことが好ましい。
また、前記エッチング処理する工程及び前記第2のガスバリアー層を形成する工程を、真空成膜装置内にて行うことが、生産性を向上する観点から、好ましい。
本発明のガスバリアーフィルムは、前記第2のガスバリアー層が、遷移金属酸化物を含有し、かつ、当該ガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることが特徴であるが、前述のとおり、第1ガスバリアー層の表面を適度に粗面化することで第2ガスバリアー層との接着面積が増加し、より強固な積層構造が形成され、かつ第2のガスバリアー層への粗面化処理時のダメージ(剥がれやクラックなど)を回避できることから、本発明では第1のガスバリアー層を形成後、その表面を粗面化処理することが好ましい。
粗面化処理する方法については、特に限定されるものではなく、例えば、サンドブラスト法、マット剤を含む樹脂により形成する方法、複数種の樹脂前駆体又は樹脂の相分離により形成する方法、物理エッチング法、化学エッチング法、モールド転写法等が挙げられるが、物理エッチング法を採用することが、前記第2のガスバリアー層を形成する工程とともに、真空成膜装置内にて行うことができることから、好ましい。
中でも、プレーナプラズマエッチング(PPE)やリアクティブイオンエッチング(RIE)などのドライエッチング技術を用いることが微細な加工を行うことができる観点から好ましく、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いることが好ましい。
リアクティブイオンエッチング(RIE)とは、原理としては、反応室内でエッチングガスに電磁波などを与えプラズマ化し、同時に試料を置く陰極に高周波電圧を印加すると、試料とプラズマの間に自己バイアス電位が生じ、プラズマ中のイオン種やラジカル種が試料方向に加速されて衝突し、その際、イオンによるスパッタリングと、エッチングガスの化学反応が同時に起こり、微細加工に適した高い精度でのエッチングが行えるものである。また、通常のドライエッチングと違い、異方性エッチングもできることが特徴である。
RIEによる粗面化処理を行うためのガス種としては、アルゴン、酸素、窒素、水素を使用することができる。これらのガスは単独で用いても、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。また、2基の処理器を用いて、連続して処理を行ってもよい。
加工速度、エネルギーレベルなどで示される処理条件は、ガスバリアー層の種類、粗面化状態、放電装置特性などに応じ、適宜設定することができ、プラズマの自己バイアス値は200〜2000Vの範囲、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100〜10000V・s・m−2の範囲にすることが好ましく、これより若干低い値でも、ある程度の密着性に影響する表面凹凸を発現するが、未処理品に比べて優位性がやや低い。また、高い値であると、強い処理がかかりすぎてガスバリアー層表面が劣化し、密着性が下がる原因になる。プラズマ用の気体及びその混合比などに関してはポンプ性能や取り付け位置などによって、導入分と実効分とでは流量が異なるので、用途、基材、装置特性に応じて適宜設定するべきである。
本発明に係る第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaを、例えば、5.0nmにするには、真空成膜装置内に、処理ガスとしてアルゴン/酸素=3/1の混合ガスを用いて、周波数13.56HMzの高周波電源から電極に電力を供給して低温プラズマを発生させ、自己バイアス値が800Vで、Ed値が450V・s/mの処理条件下で第1のガスバリアー層表面を、リアクティブイオンエッチング処理によって形成することで可能となる。
〔2.2.3〕第2のガスバリアー層:遷移金属(M2)含有層の形成
本発明に係る遷移金属(M2)は、長周期型周期表の第3族〜第11族の元素であり、前述のとおり良好なガスバリアー性が得られる観点から、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられ、これらの中でも、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、ガスバリアー層に含有される非遷移金属(M1)に対する結合が生じやすいと考えられるため、好ましく用いることができる。
本発明に係る遷移金属(M2)を含有する層の形成は、特に限定されず、例えば、既存の薄膜堆積技術を利用した従来公知の気相成膜法を用いることが、混合領域を効率的に形成する観点から好ましい。
これらの気相成膜法は公知の方法で用いることができる。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。中でも、機能性素子へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、物理気相成長(PVD)法により形成することが好ましく、スパッタ法により形成することがより好ましい。
スパッタ法による成膜は、2極スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、中間的な周波数領域を用いたデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)、イオンビームスパッタリング、ECRスパッタリングなどを単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、ターゲットの印加方式はターゲット種に応じて適宜選択され、DC(直流)スパッタリング、及びRF(高周波)スパッタリングのいずれを用いてもよい。
また、金属モードと、酸化物モードとの中間である遷移モードを利用した反応性スパッタ法も用いることができる。遷移領域となるようにスパッタ現象を制御することにより、高い成膜スピードで金属酸化物を成膜することが可能となるため好ましい。プロセスガスに用いられる不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等を用いることができ、Arを用いることが好ましい。さらに、プロセスガス中に酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を導入することで、非遷移金属(M1)及び遷移金属(M2)の複合酸化物、窒酸化物、酸炭化物等の薄膜を作ることができる。スパッタ法における成膜条件としては、印加電力、放電電流、放電電圧、時間等が挙げられるが、これらは、スパッタ装置や、膜の材料、層厚等に応じて適宜選択することができる。
スパッタ法は、遷移金属(M2)の単体又はその酸化物とを含む複数のスパッタリングターゲットを用いた多元同時スパッタであってもよい。これらのスパッタリングターゲットを作製する方法や、これらのスパッタリングターゲットを用いて複合酸化物からなる薄膜を作製する方法については、例えば、特開2000−160331号公報、特開2004−068109号公報、特開2013−047361号公報などの記載が適宜参照されうる。そして、共蒸着法を実施する際の成膜条件としては、成膜原料における前記遷移金属(M2)と酸素との比率、成膜時の不活性ガスと反応性ガスとの比率、成膜時のガスの供給量、成膜時の真空度、及び、成膜時の電力からなる群から選択される1種又は2種以上の条件が例示され、これらの成膜条件(好ましくは、酸素分圧)を調節することによって、酸素欠損組成を有する複合酸化物からなる薄膜を形成することができる。すなわち、上述したような共蒸着法を用いてガスバリアー層を形成することで、形成されるガスバリアー層の厚さ方向のほとんどの領域を混合領域とすることができる。このため、かような手法によれば、混合領域の厚さを制御するという極めて簡便な操作により、所望のガスバリアー性を実現することができる。なお、混合領域の厚さを制御するには、例えば、共蒸着法を実施する際の成膜時間を調節すればよい。
第2のガスバリアー層の層厚は、前記第1のガスバリアー層表面の算術平均粗さを第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さに反映して、第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaを、1.0〜20.0nmの範囲内とするために、1〜30nmの範囲内とすることが好ましい。層厚が1〜30nmの範囲であれば、本発明に係る混合領域を形成することが可能であり、かつ、前記算術平均粗さの範囲を実現できる。30nmを超えると粗面化の効果が小さくなるために、上限は30nmであることが好ましい。
〔3〕その他の機能性層
本発明に好ましいその他の機能性層として、下記アンカー層及び密着層を説明する。
〔3.1〕アンカー層
本発明においては、基材上に少なくとも1層のアンカー層と、前記第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層の積層体とが積層されていることが、基材とガスバリアー層との密着性を向上し、使用環境変動におけるガスバリアー層への機械的又は熱的ストレスによる層の損傷や欠陥を防ぎ、ガスバリアー性の劣化を抑制する観点から、好ましい態様である。
本発明に用いられるアンカー層は樹脂を含有する有機ポリマー層であることが好ましく、用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂、及びアルキルチタネート等を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
好ましくは、下記重合性化合物とシランカップリング剤と重合開始剤を含む重合性組成物を層状にした後硬化して形成することもできる。
重合性組成物を層状にする方法としては、本発明では基材上に重合性組成物を塗布して形成することができる。塗布組成物を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。形成方法については、従来公知である特開2014−151571号公報の段落「0058」〜「0064」、特開2011−183773号公報の段落「0052」〜「0056」等を参照して採用することができる。
上記塗布法の中では、電子デバイスは水分や親水性溶媒によって劣化する懸念があるため、一般的な溶媒塗布は好ましくなく、窒素雰囲気下、無溶媒、若しくは、親水性溶媒の含有量が少ない塗布組成物を用いたインクジェット方式を好ましく適用することができる。当該インクジェット方式は、例えば、国際公開第2014/176365号、国際公開第2015/100375号、国際公開第2015/112454号等に記載の技術内容を参照して採用することができる。具体的には、KATEEVA社製のYIELDjet(登録商標)Platformを用いてアンカー層を形成することも好ましい実施態様である。
また、重合性組成物を層状にする別の方法としては、公知のフラッシュ蒸着法といった気相成膜法を用いることができる。
例えば、重合性化合物とシランカップリング剤と重合開始剤を含む重合性組成物を、減圧雰囲気下において、加熱によって揮発させて基材、電極層又は有機機能層上に蒸着膜として形成することが好ましい。
当該蒸着膜を形成する方法は、特開2008−142941号公報、特開2004−314626号公報等に記載されているような公知の方法を用いることができる。
一例として、真空装置内に基材及びその上に形成された有機機能層を設置し、真空装置の中に設置された加熱ボートに前記重合性組成物を入れ、10Pa程度の減圧下、前記重合性組成物を200℃程度に加熱し、基材及び有機機能層を被覆しながら、所望の層厚になるように蒸着膜を形成することができる。
得られた蒸着膜に真空環境下で高圧水銀灯等を用いて紫外線を照射して、蒸着した重合性組成物を硬化させてアンカー層を形成する。
(重合性化合物)
本発明で用いられる重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を末端又は側鎖に有する化合物、又はエポキシ又はオキセタンを末端又は側鎖に有する化合物である。これらのうち、エチレン性不飽和結合を末端又は側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端又は側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物が好ましい。(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
(シランカップリング剤)
本発明で用いられるシランカップリング剤は、例えば、ハロゲン含有シランカップリング剤(2−クロロエチルトリメトキシシラン,2−クロロエチルトリエトキシシラン,3−クロロプロピルトリメトキシシラン,3−クロロプロピルトリエトキシシランなど)、エポキシ基含有シランカップリング剤[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなど]、アミノ基含有シランカップリング剤(2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピル メチルジメトキシシランなど)、メルカプト基含有シランカップリング剤(2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなど)、ビニル基含有シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど)、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤(2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど)などを挙げることができる。これらの中では、(メタ)アクリロイル基を含有するシランカップリング剤((メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤)が好ましく用いられる。
また、その他の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤としては、1,3−ビス(アクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ− アクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ− メタクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、アクリロイルオキシメチルメチルトリシラザン、メタクリロイルオキシメチルメチルトリシラザン、アクリロイルオキシメチルメチルテトラシラザン、メタクリロイルオキシメチルメチルテトラシラザン、アクリロイルオキシメチルメチルポリシラザン、メタクリロイルオキシメチルメチルポリシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルトリシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルトリシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルテトラシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルテトラシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルポリシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルポリシラザン、アクリロイルオキシメチルポリシラザン、メタクリロイルオキシメチルポリシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルポリシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルポリシラザンが好ましく、更に、化合物の合成・同定が容易であるといった観点から、1,3−ビス(アクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ− アクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ− メタクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンが特に好ましい。
本発明で用いられるシランカップリング剤は、下記に示される化合物が好ましく用いられるが、当該シランカップリング剤の合成方法は、特開2009−67778号公報を参照することができる。
Figure 2017110463
(式中、RはCH=CHCOOCHを表す。)
(重合開始剤)
本発明における重合性組成物は、通常、重合開始剤を含む。重合開始剤を用いる場合、その含有量は、重合に関与する化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはBASFジャパン社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
本発明では、シランカップリング剤と重合性化合物と重合開始剤を含む重合性組成物を、光(例えば、紫外線)、電子線、又は熱線にて、硬化させるが、光によって硬化させることが好ましい。特に、重合性組成物を25℃以上の温度(例えば、30〜130℃)をかけて加熱した後に、硬化させることが好ましい。このような構成とすることにより、シランカップリング剤の加水分解反応を進行させ、重合性組成物を効果的に硬化させかつ、基材や有機機能層等にダメージを与えずに成膜することができる。
照射する光は、通常、高圧水銀灯若しくは低圧水銀灯による紫外線である。照射エネルギーは0.1J/cm以上が好ましく、0.5J/cm以上がより好ましい。重合性化合物として、(メタ)アクリレート系化合物を採用する場合、空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度若しくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。また、100Pa以下の減圧条件下で0.5J/cm以上のエネルギーを照射して紫外線重合を行うのが特に好ましい
本発明に用いられるアンカー層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。アンカー層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として1nm未満であることが好ましく、0.5nm未満であることがより好ましい。モノマーの重合率は85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、92%以上であることが特に好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基及びメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
アンカー層の層厚については特に限定はないが、薄すぎると層厚の均一性を得ることが困難になるし、厚すぎると外力によりクラックを発生してガスバリアー性が低下する。かかる観点から、有機層の厚さは50〜2000nmが好ましく、200〜1500nmがより好ましい。
アンカー層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、アンカー層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
有機層の硬度は高いほうが好ましい。有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリアー能が向上する。有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。有機層の微小硬度は100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。
〔3.2〕密着層
本発明のガスバリアー性フィルムのガスバリアー層上には、後述するQDフィルムを構成するQD含有樹脂層との密着性を高めるための密着層を設けることが好ましい。
密着層としては、重合性基を有する有機ケイ素化合物を含有する密着層を形成することが好ましく、前記密着層の厚さが、5nm以下であることが好ましい。
重合性基を有する有機ケイ素化合物は、特に限定されるものではないが、シランカップリング剤であることが好ましく、例えば、ハロゲン含有シランカップリング剤(2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなど)、エポキシ基含有シランカップリング剤[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなど]、アミノ基含有シランカップリング剤(2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピル メチルジメトキシシランなど)、メルカプト基含有シランカップリング剤(2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなど)、ビニル基含有シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど)、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤(2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど)などを挙げることができる。
これらの中では、(メタ)アクリロイル基を含有するシランカップリング剤((メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤)が好ましい。
(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤としては、1,3−ビス(アクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ− アクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ− メタクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、アクリロイルオキシメチルメチルトリシラザン、メタクリロイルオキシメチルメチルトリシラザン、アクリロイルオキシメチルメチルテトラシラザン、メタクリロイルオキシメチルメチルテトラシラザン、アクリロイルオキシメチルメチルポリシラザン、メタクリロイルオキシメチルメチルポリシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルトリシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルトリシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルテトラシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルテトラシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルポリシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルポリシラザン、アクリロイルオキシメチルポリシラザン、メタクリロイルオキシメチルポリシラザン、3−アクリロイルオキシプロピルポリシラザン、3−メタクリロイルオキシプロピルポリシラザンが好ましく、更に、化合物の合成・同定が容易であるといった観点から、1,3−ビス(アクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ−アクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(γ−メタクリロイルオキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンが特に好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤の市販品としては、KBM−5103、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KR−513(信越化学工業社製)などが挙げられる。これらの(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明で用いられるシランカップリング剤は、前記〔化2〕に示される化合物が好ましく用いられる。
密着層の形成は、重合性組成物を塗布して形成することができ、例えば、上記(メタ)アクリロイル基含有化合物を適当な溶媒に溶解させた溶液をガスバリアー層の表面に塗布し、乾燥させる方法が例示される。この際、上記溶液に適当な光重合開始剤を添加しておき、上記溶液を塗布し、乾燥させて得られた塗膜に、光照射処理を施して(メタ)アクリロイル基含有化合物の一部を重合させて重合性ポリマーとしてもよい。
塗布組成物を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
また、気相成膜法によって成膜することもでき、気相成膜法は公知の方法で用いることができる。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などの化学気相成長(CVD)法が挙げられる。中でも、プラズマCVD法が好ましい。
前記密着層の厚さは、密着効果を発現すればよく、薄膜化の観点からは5nm以下であることが好ましい。密着層の厚さは透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)によって測定することができる。
また、前記ガスバリアー層と前記密着層の間に、表面処理工程を加えることが好ましく、さらに前記表面処理工程が、前記ガスバリアー層を形成後、当該ガスバリアー層の形成に用いた装置で行われることが生産性の観点から、好ましい。
表面処理工程は、公知の方法を適用することができ、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理及びフレーム処理等を採用することができるが、中でも酸素プラズマ処理であると、樹脂基材やガスバリアー層へのダメージを小さくでき、かつ当該ガスバリアー層の形成に用いた装置で連続して行うことができるため、生産上も好ましい。
〔4〕電子デバイス
本発明のガスバリアーフィルムは各種電子デバイスに好適に用いられるが、電子デバイスとしては、液晶表示素子(LCD)、太陽電池(PV)、量子ドット含有樹脂層(量子ドットフィルム、量子ドットシートともいう。)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)などをいうが、これらに限定されるものではない。中でも本発明のガスバリアーフィルムは優れたガスバリアー性を有するため、量子ドット含有樹脂フィルム及び有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)に好適に用いることができる。
〔4.1〕量子ドット含有樹脂層
以下、量子ドット含有樹脂層の主要な構成要素である量子ドット(一般に、QDと略される。)及び樹脂等について説明する。
〈量子ドット〉
一般に、ナノメートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、「量子ドット」とも称されている。このような量子ドットは、半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。
したがって、量子ドットは、量子サイズ効果によりユニークな光学特性を有することが知られている。具体的には、(1)粒子のサイズを制御することにより、様々な波長、色を発光させることができる、(2)吸収帯が広く、単一波長の励起光で様々なサイズの微粒子を発光させることができる、(3)蛍光スペクトルが良好な対称形である、(4)有機色素に比べて耐久性、耐退色性に優れる、といった特徴を有する。
量子ドット含有樹脂層が含有する量子ドットは公知のものであってもよく、当業者に既知の任意の方法を使用して生成することができる。例えば、好適なQD及び好適なQDを形成するための方法には、米国特許第6225198号明細書、米国特許出願公開第2002/0066401号明細書、米国特許第6207229号明細書、同第6322901号明細書、同第6949206号明細書、同第7572393号明細書、同第7267865号明細書、同第7374807号明細書、米国特許出願第11/299299号、及び米国特許第6861155号明細書に記載のものが挙げられる。
量子ドットは、任意の好適な材料、好適には無機材料及びより好適には無機導体又は半導体材料から生成される。好適な半導体材料には、II−VI族、III−V族、IV−VI族及びIV族の半導体を含む、任意の種類の半導体が含まれる。
好適な半導体材料には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む。)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、及び二つ以上のこのような半導体の適切な組合せが含まれるが、これらに限定されない。
本発明においては、次のようなコア/シェル型の量子ドット、例えば、CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnS等も好ましく使用できる。
〈樹脂〉
量子ドット含有樹脂層には、量子ドットを保持するバインダーとして樹脂を用いることができる。例えば、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む。)系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、セロ−ファン系、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリビニルアルコール系、エチレンビニルアルコール系、シンジオタクティックポリスチレン系、ノルボルネン系、ポリメチルペンテン系、ポリエーテルケトン系、ポリエーテルケトンイミド系、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ナイロン系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等を挙げることができる。
量子ドット含有樹脂層は、厚さが50〜200μmの範囲内であることが好ましい。
なお、量子ドット含有樹脂層における量子ドットの含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、一般的には15〜60体積%の範囲内であることが好ましい。
〔4.2〕有機EL素子
本発明に係る有機EL素子は、例えば、本発明のガスバリアー層上に、陽極、第1有機機能層群、発光層、第2有機機能層群、陰極が積層されて構成されていることが好ましい。第1有機機能層群は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層等から構成され、第2有機機能層群は、例えば、正孔阻止層、電気輸送層、電子注入層等から構成されている。第1有機機能層群及び第2有機機能層群はそれぞれ1層のみで構成されていても良いし、第1有機機能層群及び第2有機機能層群はそれぞれ設けられていなくても良い。
以下に、有機EL素子の構成の代表例を示す。
(i)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔注入輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(v)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(vi)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
更に、有機EL素子は、非発光性の中間層を有していても良い。中間層は電荷発生層であっても良く、マルチフォトンユニット構成であっても良い。
本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157
634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
<ガスバリアーフィルム101の作製>
〔樹脂基材〕
樹脂基材としては、両面に易接着処理した厚さ100μm、長さ1000mのポリエチレンテレフタレートフィルムロール(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)(U48))を用いた。この樹脂基材のガスバリアー層を形成する面とは反対の面に、ロールtoロール方式により、厚さ0.5μmのアンチブロック機能を有するクリアハードコート層を形成した。すなわち、UV硬化型樹脂(アイカ工業株式会社製、品番:Z731L)を乾燥層厚が0.5μmになるように樹脂基材上に塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cmの条件で硬化を行った。
次に、樹脂基材のガスバリアー層を形成する側の面に厚さ2μmのクリアハードコート層を以下のようにして形成した。JSR株式会社製、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527を、乾燥層厚が2μmになるように樹脂基材に塗布した後、80℃で乾燥し、その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cmの条件で硬化を行った。このようにして、クリアハードコート層付樹脂基材ロールを得た。以降、本実施例及び比較例においては、便宜上、このクリアハードコート層付樹脂基材を単に基材とする。
〔第1のガスバリアー層の形成(塗布改質法)〕
第1のガスバリアー層の形成は、下記の手順にて行い、層厚250nmのパーヒドロポリシラザン(PHPS)由来の非遷移金属(M1):シリカ(Si)を含有する第1のガスバリアー層を形成した。
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらに乾燥層厚調整のためジブチルエーテルで適宜希釈し、塗布液を調製した。
前記樹脂基材のクリアハードコート層表面に、スピンコート法により上記塗布液を乾燥層厚が250nmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。次いで、乾燥した塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを有する真空紫外光照射装置を用い、照射エネルギー6J/cmの条件で真空紫外光照射処理を行った。この際、照射雰囲気は窒素で置換し、酸素濃度は0.1体積%とした。また、試料を設置するステージ温度を80℃とした。
〔第1のガスバリアー層の粗面化処理〕
第1のガスバリアー層を形成した樹脂基材をロール状に巻き取らずに、下記条件のリアクティブイオンエッチング処理(表1中、方法(1)と表記。)にて、当該第1のガスバリアー層表面をエッチングした。エッチングの条件は、第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さが1.0nmになるように、予備試験を行ってから適宜調整した。
〈リアクティブイオンエッチング処理〉
真空成膜装置内に、処理ガスとしてアルゴン/酸素=3/1の混合ガスを用いて、周波数13.56HMzの高周波電源から電極に電力を供給して低温プラズマを発生させ、自己バイアス値が800Vで、Ed値が200V・s/mの処理条件下でのリアクティブイオンエッチング処理を行った。
〔第2のガスバリアー層の形成〕
第2のガスバリアー層は、気相法・スパッタにより形成した。スパッタ装置としては、マグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ社製:型式EB1100)を用い、下記手順にて、ロールtoロール方式で、層厚5nmの遷移金属:ニオブ(Nb)を含有する第2のガスバリアー層を得た。第2のガスバリアー層を形成した後、樹脂基材はロール状に巻取り、ロール体を作製し、ガスバリアーフィルム101を作製した。
ターゲットとしては、下記のターゲットを用い、プロセスガスにはArとOとを用いて、マグネトロンスパッタ装置により、RF方式による成膜を行った。スパッタ電源パワーは5.0W/cmとし、成膜圧力は0.4Paとした。また、酸素分圧は20%に調整した。なお、事前にガラス基材を用いた成膜により、各成膜条件において、成膜時間に対する層厚変化のデータを取り、単位時間当たりに成膜される層厚を算出した後、設定層厚となるように成膜時間を設定した。
T1:市販の酸素欠損型酸化ニオブターゲットを用いた。組成はNb1229であった。
<ガスバリアーフィルム102の作製>
ガスバリアーフィルム101の作製において、第1のガスバリアー層を形成後、ロール状に巻取りロール体を作製した。次いで、上記ロール体から第1のガスバリアー層を形成した樹脂基材を巻き出し、その表面に上記エッチング処理した以外は同様にして、ガスバリアーフィルム102を作製した。
<ガスバリアーフィルム103の作製>
ガスバリアーフィルム102の作製において、エッチング処理を下記プラズマCVD法(表1中、方法(2)と表記。)によって行った以外は同様にして、ガスバリアーフィルム103を作製した。
市販のプラズマCVD成膜装置を用いて、下記プラズマCVD条件により、第1のガスバリアー層を形成した樹脂基材に、下記条件のプラズマCVD処理にて、当該第1のガスバリアー層表面をエッチングした。エッチングの条件は、第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さが1.0nmになるように、予備試験を行ってから適宜調整した。
〈プラズマCVD条件〉
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:0.8kW
プラズマ発生用電源の周波数:70kHz
樹脂基材の搬送速度:2m/min
<ガスバリアーフィルム104の作製>
ガスバリアーフィルム102の作製において、エッチング処理を下記スパッタ法(表1中、方法(3)と表記。)によって行った以外は同様にして、ガスバリアーフィルム104を作製した。
アネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置を用い、Ar 20sccm、O 0sccm、スパッタ圧0.25Pa、室温下、電力密度12W/cm、形成速度0.90nm/sで、第1のガスバリアー層表面をエッチングした。エッチングの条件は、第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さが1.0nmになるように、予備試験を行ってから適宜調整した。
<ガスバリアーフィルム105の作製>
ガスバリアーフィルム101の作製において、リアクティブイオンエッチング処理の条件を変えて、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが2.5nmになるようにエッチングした以外は、同様にしてガスバリアーフィルム105を作製した。
<ガスバリアーフィルム106〜112の作製>
ガスバリアーフィルム102の作製において、第1のガスバリアー層のエッチング条件を変化させて第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaを表1に記載のように調整し、かつ、第2のガスバリアー層の層厚の変化を表1に記載のように組み合わせて、ガスバリアーフィルム106〜112を作製した。
<ガスバリアーフィルム113及び114の作製>
ガスバリアーフィルム102の作製において、第2のガスバリアー層を形成するのに、以下のターゲットを用いた以外は同様にして、ガスバリアーフィルム113及び114を作製した。
T2:市販の金属タリウム(Ta)ターゲットを用いて、DC方式、及び酸素分圧を20%として成膜し、ガスバリアーフィルム113を作製した。
T3:市販の金属バナジウム(V)ターゲットを用いて、DC方式、及び酸素分圧を20%として成膜し、ガスバリアーフィルム114を作製した。
<ガスバリアーフィルム115及び116の作製>
ガスバリアーフィルム102の作製において、第1のガスバリアー層にエッチング処理を行わなかった以外は同様にして、ガスバリアーフィルム115及び116を作製した。
<ガスバリアーフィルム117の作製>
ガスバリアーフィルム101の作製において、第1のガスバリアー層を形成後、ロール状に巻き取らず、エッチング処理も行わなかった以外は同様にして、ガスバリアーフィルム117を作製した。
<ガスバリアーフィルム118の作製>
ガスバリアーフィルム111の作製において、第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが25.0nmになるように、第1ガスバリアー層のエッチング条件を変化させた以外は同様にして、ガスバリアーフィルム118を作製した。
以上作製したガスバリアーフィルムを用いて以下の評価を実施した。
≪評価≫
〔1〕第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaの測定
JIS B0601:2001で規定される表面粗さRaを、非接触三次元微小表面形状測定システム(Veeco社製WYKO)を用いて、それぞれ測定した。
〔2〕ガスバリアー層の厚さ方向の組成分布、混合領域の有無、酸素欠損指標の測定
〈ガスバリアー層の厚さ方向の組成分布の測定〉
XPS分析により、ガスバリアー層の厚さ方向の組成分布プロファイルを測定した。なお、XPS分析条件は以下のとおりである。
〈XPS分析条件〉
・装置:「PHI Quantera SXM」アルバック・ファイ株式会社製
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを得た。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバック・ファイ社製のMultiPakを用いた。なお、分析した元素は、Si、Nb、Ta、Al、O、N、Cである。
〈混合領域の有無〉
遷移金属がNbである場合を例に取ると、上記XPS組成分析から得られたデータから、ガスバリアー層の組成は、(Si)(Nb)で表すことができる。第1層及び第2層を積層した態様においては、第1層と第2層との界面領域で、非遷移金属であるSiと遷移金属であるNbとが共存し、かつ遷移金属Nb/Siの原子数比率の値xが、0.02≦x≦49の範囲内にあり、厚さ方向に連続して5nm以上ある領域を「混合領域」とし、当該領域の有無を表に記載した。
〈酸素欠損指標の測定〉
記XPS分析データを用いて、各測定点における(2y+3z)/(a+bx)の値を計算した。ここで、Siであるため、a=4、また、遷移金属はNb、Ta若しくはVであるため、a=5である。(2y+3z)/(a+bx)の値の最小値を求め、これを酸素欠損指標とした。表1に記載の本発明に係る試料101〜114は、いずれも(2y+3z)/(a+bx)<1.0となり、酸素欠損の状態であることが分かった。
〔3〕ガスバリアーフィルムの水蒸気透過性の評価
以下の測定方法に従って、各ガスバリアーフィルムの水蒸気透過性(WVTR)を評価した。
〈ガスバリアーフィルムのCa法評価〉
下記のようにして作製したCa法評価試料(透過濃度により評価するタイプ)を60℃90%RH環境に保存して一定時間ごとに、Caの腐食率を観察した。1時間、5時間、10時間、20時間、それ以降は20時間ごとに観察・透過濃度測定(任意4点の平均)し、測定した透過濃度が透過濃度初期値の50%未満となった時点の観察時間をガスバリアー性の指標とした。1000時間の保存で測定した透過濃度が透過濃度初期値の50%以上であった場合は1000時間以上とした。
5:1000時間以上
4:500時間以上1000時間未満
3:300時間以上500時間未満
2:100時間以上300時間未満
1:100時間未満
ランク4以上を合格とした。
〈Ca法評価試料の作製〉
ガスバリアーフィルムのガスバリアー層表面をUV洗浄した後、ガスバリアー層面に封止樹脂層として熱硬化型のシート状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ20μmで貼合した。これを50mm×50mmのサイズに打ち抜いた後、グローブボックス内に入れて、24時間乾燥処理を行った。
50mm×50mmサイズの無アルカリガラス板(厚さ0.7mm)の片面をUV洗浄した。株式会社エイエルエステクノロジー製の真空蒸着装置を用い、ガラス板の中央に、マスクを介して20mm×20mmのサイズでCaを蒸着した。Caの厚さは80nmとした。Ca蒸着済のガラス板をグローブボックス内に取り出し、封止樹脂層を貼合したガスバリアーフィルムの封止樹脂層面とガラス板のCa蒸着面とを接するように配置し、真空ラミネートにより接着した。この際、110℃の加熱を行った。さらに、接着した試料を110℃に設定したホットプレート上にガラス板を下にして置き、30分間硬化させて、評価用セルを作製した。
以上の評価結果を、下記表1に示した。
Figure 2017110463
表1の結果から、本発明の構成のガスバリアーフィルムは、比較例に対してガスバリアー性が顕著に改善されたガスバリアーフィルムであることが分った。
また、本発明の構成のガスバリアーフィルムは、ロール状に巻取りロール体を形成したり、そこから巻き出したりしても、ダメージによるガスバリアー性の劣化に対する耐性が高いことが分った。
本発明のガスバリアーフィルムは、高温高湿環境下でも高い耐久性を有し、ロールtoロール製造においても、巻取りによるダメージに対する耐性の高いガスバリアーフィルム、高いガスバリアー性が要求される有機エレクトロルミネッセンス素子に好適である。
1 基材
2 第1のガスバリアー層
3 第2のガスバリアー層
4 混合領域
10 ガスバリアーフィルム

Claims (12)

  1. 基材上に少なくとも、第1のガスバリアー層及び第2のガスバリアー層をこの順に有するガスバリアーフィルムであって、
    前記第1のガスバリアー層が、非遷移金属を含有し、
    前記第2のガスバリアー層が、遷移金属を含有し、かつ、当該第2のガスバリアー層表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とするガスバリアーフィルム。
  2. 前記第1のガスバリアー層及び前記第2のガスバリアー層との間に、少なくとも厚さ方向において、前記非遷移金属(M1)及び前記遷移金属(M2)を含有する領域であって、前記非遷移金属(M1)に対する前記遷移金属(M2)の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルム。
  3. 前記混合領域に、前記非遷移金属又は当該非遷移金属に由来する化合物と前記遷移金属又は当該遷移金属に由来する化合物の混合物又は複合酸化物の少なくとも一方が含有されていることを特徴とする請求項2に記載のガスバリアーフィルム。
  4. 前記混合領域の組成に、さらに酸素が含有されていることを特徴とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のガスバリアーフィルム。
  5. 前記混合領域の組成を、下記化学組成式(1)で表したとき、前記混合領域の少なくとも一部が下記関係式(2)を満たすことを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
    化学組成式(1): (M1)(M2)
    関係式(2) : (2y+3z)/(a+bx)<1.0
    (ただし式中、M1:非遷移金属、M2:遷移金属、O:酸素、N:窒素、x,y,z:化学量論係数、0.02≦x≦49、0<y、0≦z、a:M1の最大価数、b:M2の最大価数を表す。)
  6. 前記第2のガスバリアー層の層厚が、1〜30nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
  7. 前記第1のガスバリアー層の表面の算術平均粗さRaが、1.0〜20.0nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
  8. 前記非遷移金属が、ポリシラザン由来のケイ素(Si)であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
  9. 前記遷移金属が、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、及びバナジウム(V)から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルム。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のガスバリアーフィルムを製造するガスバリアーフィルムの製造方法であって、
    長尺状の基材フィルム上に前記第1のガスバリアー層を形成する工程、
    前記長尺状の基材フィルムをロール状に巻取ってロール体を形成する工程、
    前記ロール体から長尺状の基材フィルムを巻き出して、前記第1のガスバリアー層の表面をエッチング処理する工程、次いで、
    前記第2のガスバリアー層を形成する工程、
    を有することを特徴とするガスバリアーフィルムの製造方法。
  11. 前記第1のガスバリアー層を形成する工程が、ポリシラザン含有塗布液を塗布し、改質処理する工程を含むことを特徴とする請求項10に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
  12. 前記エッチング処理する工程及び前記第2のガスバリアー層を形成する工程を、真空成膜装置内で行うことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のガスバリアーフィルムの製造方法。
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