JPWO2017090721A1 - 検体中の検出対象を定量する方法 - Google Patents

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Abstract

検出対象を迅速にかつ高感度で定量することができる方法を提供すること。
検体中の検出対象を定量する方法は、刺激応答性物質及び検出対象に対する第1の親和性物質を担持する担体粒子と、検体とを混合し、混合物を調製する混合工程と、混合物を刺激応答性物質が凝集する条件下におき、混合物中の懸濁物の粒子径を測定する測定工程と、粒子径に基づき、検出対象の量を決定する決定工程と、を有する。

Description

本発明は、検体中の検出対象を定量する方法に関する。
臨床検査等の分野で、抗原抗体反応等を利用して、検体中の微量成分を検出することが行われている。検体としては、例えば血清、血漿、尿、リンパ液等の各種体液といった生体から得られる検体が挙げられる。
検体中の検出対象を検出する方法として、例えば、特許文献1には、刺激応答性物質及び検出対象に対する第1の親和性物質とが結合した第1の結合物と、(電荷を有する第2の物質と検出対象に対する第2の親和性物質とが結合した第2の結合物と、)検体とを混合し、刺激応答性物質の凝集条件下におき、混合物中の刺激応答性物質の分散の有無を、混合物の濁度によって判定し、検出対象の存否する検出する方法が提案されている。また、検出感度を上げるために、装置に磁石を設置することにより磁力で凝集した第1の結合物(磁性物質)を固液分離することが提案されている。
上記検出方法において、検出対象が存在する場合には、刺激応答性物質が凝集阻害されて分散する一方、検出対象が存在しない場合には刺激応答性物質が凝集することになる。このような凝集阻害の有無が混合物の濁度に反映される。例えば、図3に示すように、通常、検出対象の量が多いほど、刺激応答性物質が凝集阻害されて分散し濁度が低くなり、その後、検出対象の量と濁度との関係が反転し始め、時間の経過とともに濁度が初期値よりも低下する。これは、凝集した磁性物質が磁力により固液分離されるからであるが、最大値となる測定値とそれ以降の時点での測定値との差を利用することにより、より高い検出感度が得られている。
WO2008/001868号パンフレット
上述したように、混合物の濁度によって検出対象の存否を検出し定量する方法では、高い検出感度を得ようとすると、磁力による固液分離の工程が必要となり、検出時間が長くなる。
本発明は、以上の事情に鑑みなされたものであり、検出対象を迅速にかつ高感度で検出し定量することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、刺激応答性物質の分散の程度を、混合物中の懸濁物の粒子径によって判定することにより、検出対象を迅速にかつ高感度で検出し定量することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
(1)検体中の検出対象を定量する方法であって、
刺激応答性物質及び前記検出対象に対する第1の親和性物質を担持する担体粒子と、前記検体とを混合し、混合物を調製する混合工程と、
前記混合物を前記刺激応答性物質の凝集条件下におき、前記混合物中の懸濁物の粒子径を測定する測定工程と、
前記粒子径に基づき、前記検出対象の量を決定する決定工程と、を有する方法。
(2)懸濁物に含まれる担体粒子の凝集物を固液分離する工程を、前記決定工程の前に含まない(1)記載の方法。
(3)前記担体粒子は非磁性物質からなる(1)又は(2)記載の方法。
(4)前記測定は、動的光散乱法を用いて行われる(1)から(3)いずれか記載の方法。
(5)前記担体粒子は、平均屈折率1.3以上を有する(4)記載の方法。
(6)前記測定は、陰性対照の濁度が前記凝集条件下においた後に最大値になるのに要する時間より前に行う(1)から(5)いずれか記載の方法。
(7)前記混合工程において、前記担体粒子に加え、親水性物質と前記検出対象に対する第2の親和性物質との結合物をさらに混合する(1)から(6)いずれか記載の方法。
本発明によれば、検出対象を迅速かつ高感度で検出対象を定量することができる。
本発明の一実施形態に係る定量方法における、測定時間(凝集時間)と平均粒子径との相関性を示すグラフである。 本発明の実施例及び比較例に係る定量方法における、測定時間(凝集時間)と平均粒子径との相関性を示すグラフである。 従来の、濁度により検出対象の定量を行う定量方法における、測定時間(凝集時間)と吸光度との相関性を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、これらに本発明が限定されるものではない。
本発明の検体中の検出対象を定量する方法は、刺激応答性物質及び検出対象に対する第1の親和性物質を担持する担体粒子(以下、第1の結合物と称する場合がある)と、検体とを混合し、混合物を調製する混合工程と、混合物を刺激応答性物質の凝集条件下におき、混合物中の懸濁物の粒子径を測定する測定工程と、粒子径に基づき検出対象の量を決定する決定工程とを有する。
まず、検体、検出対象、第1の結合物の各構成について説明する。また、より高い検出感度を得るために、好ましく用いられる第2の結合物について説明する。
<検体>
検体としては、人又は動物の血清、血漿、尿、リンパ液等の各種体液及び糞便等の生物学的物質、飲食品、水道水、並びに河川等の環境から採取した試料等が挙げられる。
<検出対象>
以上の検出方法で検出できる対象としては、例えば環境汚染物質、食品汚染物質及び臨床診断に利用される物質が挙げられる。このような物質としては、具体的には、ダイオキシン、環境ホルモン、農薬、PCB(polychlorbiphenyl)、有機水銀等、プリオンカビ毒、フグ毒、抗生物質、防カビ剤、体液、尿、喀痰、糞便中等に含まれるヒトイムノグロブリンG、ヒトイムノグロブリンM、ヒトイムノグロブリンA、ヒトイムノグロブリンE、ヒトアルブミン、ヒトフィブリノーゲン(フィブリン及びそれらの分解産物)、α−フェトプロテイン(AFP)、C反応性タンパク質(CRP)、ミオグロビン、ガン胎児性抗原、肝炎ウイルス抗原、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、ヒト胎盤性ラクトーゲン(HPL)、HIVウイルス抗原、アレルゲン、細菌毒素、細菌抗原、酵素、ホルモン(例えば、ヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH)、インスリン等)、及び薬剤等が挙げられる。
<第1の結合物>
[担体粒子]
担体粒子は、刺激応答性物質及び/又は第1の親和性物質が直接又は間接に結合可能な物質で、懸濁可能な物質であれば特に限定されない。担体粒子としては、シリカ、アクリル樹脂等の有機微粒子、金属からなる粒子等が挙げられ、シリカからなる粒子が好ましい。シリカは、二酸化ケイ素を主成分とする粒子であればよく、石英又は水晶からなる粒子を含み、シリカと通称されるものからなる粒子であってよい。シリカ粒子は、粒子表面にシラノール基(Si−OH)を有していることから、親水性が高いので、水中で反応させやすい点で好ましい。シリカ粒子は、また、毒性がないので、取扱いが容易であり、製造も容易である点でも好ましい。
なお、本発明は、後述するように、磁力により懸濁物に含まれる凝集物質を固液分離する必要がないことから、担体粒子は磁力により引き付けられる磁性物質である必要はなく、磁場に影響を及ぼさない非磁性物質であってよい。
担体粒子の平均屈折率は、1.3以上であることが好ましく、1.3以上4.0以下がより好ましく、1.4以上3.0以下であることがより好ましい。本発明では、測定光を散乱させる(光の回折、屈折、反射、吸収を含む)測定方法により粒子径を求めることが好ましいことから、担体粒子の平均屈折率は上記範囲が好ましい。なお、平均屈折率は、アッベ屈折率計(装置名アタゴ社製のDR−A1)と分光光源を用いて、波長589nm、温度37℃において測定した値である。
また、担体粒子の粒径は、大きすぎると、懸濁性を下げる傾向を有する一方、小さすぎると、粒子径等のパラメータに与える影響(つまり検出及び定量の感度)を下げる傾向を有する。この観点で担体粒子の平均粒子径は適宜選択されてよく、例えば、0.05〜1.0μmであってよく、0.3〜0.7μmであってよい。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した値である。
[刺激応答性物質]
刺激応答性物質は、外的な刺激に応答して構造変化を起こし、凝集及び分散を調整できる物質である。刺激としては、特に限定されないが、温度変化、光の照射、酸又は塩基の添加(pHの変化)、電場変化等が挙げられる。
特に、本発明では、刺激応答性物質として、温度変化によって凝集及び分散可能な温度応答性ポリマーが利用できる。なお、温度応答性ポリマーとしては、下限臨界溶液温度(以下、LCSTとも称する)を有するポリマーや上限臨界溶液温度(以下、UCSTとも称する)を有するポリマーが挙げられる。例えば、LCSTが37℃である下限臨界溶液温度を有するポリマーは、LCST未満の温度の水溶液中では完全に分散し、LCST以上に水温を上昇させると直ちに凝集させることができる。また、UCSTが5℃である上限臨界溶液温度を有するポリマーは、UCSTを超える温度の水溶液中では完全に分散し、UCST以下に水温を下降させると直ちに凝集させることができる。
本発明で用いられる下限臨界溶液温度を有するポリマーとしては、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリン等のN置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなるポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメチルエーテル、(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル誘導体;(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)(メタ)アクリレート類;及び(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(メタ)アクリレート類等のポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。さらに、これらのポリマー及びこれらの少なくとも2種のモノマーからなるコポリマーも利用できる。また、N−イソプロピルアクリルアミドとN−t−ブチルアクリルアミドのコポリマーも利用できる。(メタ)アクリルアミド誘導体を含むポリマーを使用する場合、このポリマーにその他の共重合可能なモノマーを、下限臨界溶液温度を有する範囲で共重合してもよい。本発明では、なかでも、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーからなるポリマー又はN−イソプロピルアクリルアミドとN−t−ブチルアクリルアミドのコポリマーが好ましく利用できる。また、Val−Pro−Gly−X−Gly(Xはプロリン以外のアミノ酸)に代表されるようなペンタポリペプチドの繰返し配列を持つエラスチン由来ポリペプチド等も利用できる。
本発明で用いられる上限臨界溶液温度を有するポリマーとしては、アクリロイルグリシンアミド、アクリロイルニペコタミド、アクリロイルアスパラギンアミド及びアクリロイルグルタミンアミド等からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーからなるポリマーが利用できる。また、これらの少なくとも2種のモノマーからなるコポリマーであってもよい。これらのポリマーには、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N’−メタクリロイルトリメチレンアミド、アクリロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクリロイルメチルウラシル等、その他の共重合可能なモノマーを、上限臨界溶液温度を有する範囲で共重合してもよい。
また、本発明では、刺激応答性物質として、pHの変化によって凝集及び分散可能なpH応答性ポリマー等の物質が利用できる。pH応答性物質が構造変化を起こすpHは、特に限定されないが、刺激付与時における担体粒子及び検体の変性等による検出・定量精度の低下を抑制できる点で、pH4〜10が好ましく、pH5〜9であることがさらに好ましい。
このようなpH応答性ポリマーとしては、カルボキシル、リン酸、スルホニル、アミノ等の基を官能基として含有するポリマーが例示できる。より具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ホスホリルエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の解離基を有するモノマーが重合されたものであってもよく、これら解離基を有するモノマーと、pH応答能が損なわれない程度において、他のビニルモノマー、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物、(メタ)アクリルアミド類等とが共重合されたものであってもよい。
また、刺激応答性物質は、上記の刺激応答性ポリマーに限らず、例えば、特許第3693979号、特許第3916330号公報、特開2002−85957号公報、特許第4071738号公報、特許第2869684号公報、特許第2927601号公報、特許第3845249号公報等に開示されるヒドロゲルであってもよい。
[第1の親和性物質]
第1の親和性物質は、検出対象に対して親和性を有する物質であれば、特に限定されない。ここで、「親和性」とは、ある物質が他の物質と特異的に結合する性質をいう。第1の親和性物質としては、例えば検出対象が抗原である場合は該抗原に対する抗体、検出対象が抗体である場合は該抗体に対する抗原である。例えば、検出対象がGSTタグ付きのタンパク質である場合はグルタチオン、検出対象がヒスチジンタグ付のタンパク質の場合は金属イオン配位したキレート剤、検出対象が核酸の場合は相補的な配列をもつ核酸が挙げられる。
前記抗体は、いかなるタイプの免疫グロブリン分子であってもよく、Fab等の抗原結合部位を有する免疫グロブリン分子断片であってもよい。また、抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってよい。
<第2の結合物>
第2の結合物は、より高い検出感度を得るために、後述する混合工程において、上記第1の結合物に加えて添加されるものである。この第2の結合物は、親水性物質と検出対象に対する第2の親和性物質とを結合したものである。
[親水性物質]
親水性物質は、後述する水性分散媒に対して親水性を有する物質であれば特に限定されない。ここで、「親水性」とはある物質が水性分散媒に対して親和力をもつ性質をいう。親水性物質としては、例えば、電荷を有する親水性の高分子化合物が挙げられ、ポリアニオン又はポリカチオンであることが好ましい。ポリアニオンとは複数のアニオン基を有する物質を意味し、ポリカチオンとは複数のカチオン基を有する物質を意味する。ポリアニオンの例として、DNA及びRNA等の核酸が挙げられる。これらの核酸は、核酸骨恪に沿って複数個のホスホジエステル基が存在することにより、ポリアニオンの性質を有する。また、ポリアニオンには、多数のカルボン酸官能基を含むポリペプチド(グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸からなるポリペプチド)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びアクリル酸やメタクリル酸を重合成分として含有するポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、及びヘパリン等の多糖等も含まれる。一方、ポリカチオンの例としては、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、ポリアルキルアミン、ポリエチレンイミンやポリプロピルエチレンイミン等が挙げられる。なお、ポリアニオン(カルボキシル基)やポリカチオン(アミノ基)の官能基数は、25個以上が好ましい。
[第2の親和性物質]
第2の親和性物質は、検出対象に対して、第1の親和性物質とは異なる部位にて非競合的に結合できる物質を用いる。例えば、検出対象が抗原である場合、第2の親和性物質は、該抗原において第1の親和性物質とは異なる抗原決定基を認識する検出対象の抗原決定機を認識するモノクロナール抗体又はポリクロナール抗体である。
以下、第1の結合物の作製方法について説明する。
[第1の結合物の作製方法]
第1の結合物は、担体粒子に刺激応答性物質と第1の親和性物質とを直接又は間接に結合することによって作製する。この結合方法は、特に限定されないが、例えば、担体粒子と刺激応答性物質とを直接的に結合する場合は、反応性官能基を介して結合する方法が挙げられ当技術分野で周知の方法で行ってよい。
また、例えば、刺激応答性物質と第1の親和性物質(例えば、第1の抗体)との結合は、刺激応答性物質と第1の親和性物質の双方に、互いに親和性の物質(例えば、アビジン及びビオチン、グルタチオン及びグルタチオンSトランスフェラーゼ)を結合させ、これら物質を介して刺激応答性物質と第1の親和性物質を結合させる。
具体的には、刺激応答性物質へのビオチンの結合は、国際公開WO01/009141に記載されているように、ビオチン等をメタクリルやアクリル等の重合性官能基と結合させて付加重合性モノマーとし、他のモノマーと共重合することにより行うことができる。また、第1の親和性物質へのアビジン等の結合は常法に従って行うことができる。次に、ビオチン結合刺激応答性物質及びアビジン結合第1の親和性物質を混合すると、アビジンとビオチンとの結合を介して、刺激応答性物質と第1の親和性物質とが結合する。
別法として、ポリマー等の物質の製造時にカルボキシル、アミノ又はエポキシ等の官能基を持つモノマーを他のモノマーと共重合させ、この官能基を介し、当技術分野で周知の方法に従って抗体親和性物質(例えば、メロンゲル、プロテインA、プロテインG)をポリマーに結合させる方法が利用できる。このようにして得られた抗体親和性物質に第1の抗体を結合させることにより、刺激応答性物質と、検出対象の抗原に対する第1の抗体との結合物が作製される。
あるいは、ポリマーの製造時にカルボキシル、アミノ又はエポキシ等の官能基を有するモノマーを他のモノマーと共重合させ、これらの官能基に検出対象の抗原に対する第1の抗体を常法に従って直接結合させてもよい。
あるいは、微粒子状の磁性物質に第1の親和性物質及び刺激応答性ポリマーを結合させてもよい。
第1の親和性物質を刺激応答性ポリマーが凝集する条件においた後、遠心分離によって分離することで、第1の結合物を精製してもよい。第1の結合物の精製は、刺激応答性ポリマーに微粒子状の磁性物質を結合させ、さらに第1の親和性物質を結合させた後、磁力を付加して磁性物質を回収する方法によって行ってもよい。
微粒子状の磁性物質と刺激応答性ポリマーとの結合は、反応性官能基を介して結合する方法や、磁性物質中の多価アルコール上の活性水素又は多価アルコールに重合性不飽和結合を導入してグラフト重合する方法等の当技術分野で周知の方法で行ってよい(例えば、ADV.Polym.Sci.、Vol.4、p111、1965やJ.Polymer Sci.、Part−A、3、p1031、1965参照)。
[第2の結合物の作製]
第2の結合物は、親水性物質と第2の親和性物質とを直接又は間接に結合することによって作製する。特に限定されないが、例えば、親水性物質側及び第2の親和性物質(例えば、第2の抗体)側の双方に、互いに親和性の物質(例えば、アビジン及びビオチン、グルタチオン及びグルタチオンSトランスフェラーゼ)を結合させ、これら物質を介して親水性物質及び第2の親和性物質を間接的に結合させる。
親水性物質と第2の親和性物質とを直接的に結合させる場合、官能基を介して結合させてもよく、例えば、官能基を用いる場合、ゴッシュらの方法(Ghosh et al:Bioconjugate Chem.、 1、 71−76、1990)のマレイミド−チオールカップリングに従って結合できる。具体的には、以下の2つの方法が挙げられる。
第1の方法では、まず、核酸の5’末端にメルカプト基(別名、スルフヒドリル基)を導入する一方、抗体に6−マレイミドヘキサノイックアシッドスクシンイミドエステル(例えば、「EMCS(商品名)」(同仁化学社製))を反応させてマレイミド基を導入する。次に、これら2種の物質をメルカプト基及びマレイミド基を介して結合させる。
第2の方法では、まず、第1の方法と同様にして核酸の5’末端にメルカプト基を導入し、このメルカプト基にさらにホモ二官能性試薬であるN,N−1,2−フェニレンジマレイミドと反応させることによって核酸の5’末端にマレイミド基を導入する一方、抗体にメルカプト基を導入する。次に、これら2種の物質をメルカプト基及びマレイミド基を介して結合させる。
この他に、核酸をタンパク質に導入する方法としては、例えば、Nucleic Acids Research 第15巻5275頁(1987年)及びNucleic Acids Research 第16巻3671頁(1988年)に記載された方法が知られている。これらの技術は核酸と抗体の結合に応用できる。
Nucleic Acids Research 第16巻3671頁(1988年)によると、まず、オリゴヌクレオチドを、シスタミン、カルボジイミド及び1−メチルイミダゾールと反応させることによって、オリゴヌクレオチドの5’末端の水酸基にメルカプト基を導入する。メルカプト基を導入したオリゴヌクレオチドを精製した後、ジチオトレイトールを用いて還元し、この後に2、2’−ジピリジルジスルフィドを加えることによってオリゴヌクレオチドの5’末端にジスルフィド結合を介してピリジル基を導入する。一方、タンパク質に対しては、イミノチアレンを反応させてメルカプト基を導入しておく。これらピリジルジスルフィド基を導入したオリゴヌクレオチドとメルカプト基を導入したタンパク質を混合し、ピリジル基とメルカプト基を特異的に反応させてタンパク質とオリゴヌクレオチドを結合させる。
Nulcleic Acids Reseach 第15巻5275頁(1987年)によると、まず、オリゴヌクレオチドの3’末端にアミノ基を導入しておき、ホモ二官能性試薬であるジチオ−ビス−プロピオニックアシッド−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(略称:ジチオ−ビス−プロピオニル−NHS)を反応させる。反応後、ジチオトレイトールを添加することによりジチオ−ビス−プロピオニル−NHS分子中のジスルフィド結合を還元して、オリゴヌクレオチドの3’末端にメルカプト基を導入する。タンパク質の処理については、特開平5−48100号公報に示すようなヘテロ二官能性架橋剤が用いられる。まず、タンパク質中の官能基(例えば、アミノ基)と反応しうる第1の反応性基(スクシンイミド基)、及びメルカプト基と反応しうる第2の反応性基(例えば、マレイミド基等)を有するヘテロ二官能性架橋剤と、タンパク質を反応させることにより、タンパク質に第2の反応性基を導入し、予め活性化されたタンパク試薬とする。このようにして得られたタンパク試薬をチオール化ポリヌクレオチドのメルカプト基へ共有結合させる。
以下、上述した第1の結合物を用いて、検体中の検出対象を定量する方法について説明する。
<定量方法>
本発明の検出対象を定量する方法は、刺激応答性物質及び検出対象に対する第1の親和性物質を担持する担体粒子(第1の結合物)と、検体とを混合し、混合物を調製する混合工程と、混合物を刺激応答性物質の凝集条件下におき、混合物中の懸濁物の粒子径を測定する測定工程と、粒子径に基づき、検出対象の量を決定する決定工程とを有する。
[混合工程]
まず、第1の結合物と検体とを容器内で混合し、混合物を調製する。また、より高い検出感度が必要な場合には、第2の結合物も併せて混合することが好ましい。混合物を調製する際には必要に応じて水性分散媒に分散させるとよい。水性分散媒には、後述する動的光散乱法を用いた装置で使用するレーザーの波長に対して吸収を認めず、第1の結合物に対して溶解、膨潤等の影響を与えず、第1の結合物及び第2の結合物と異なった屈折率を有しているものであればよい。例えば、分散媒としては、トリス塩酸バッファー、リン酸バッファー、ホウ酸バッファー等が挙げられる。
[測定工程]
上記混合物を刺激応答性物質が凝集する凝集条件下におく。検出対象が存在する場合には、刺激応答性物質が検出対象の電荷部分又は親水性部分によって凝集阻害されて分散する。一方、検出対象が存在しない場合には刺激応答性物質が凝集阻害されず凝集することになる。
例えば、刺激応答性物質として温度応答性ポリマーを用いた場合には、混合物の入った容器を温度応答性ポリマーの凝集する温度の恒温槽に移せばよい。温度応答性ポリマーには、上限臨界溶液温度(以下「UCST」と略すことがある。)を有するポリマーと、下限臨界溶液温度(以下「LCST」と略すことがある。)を有するポリマーの2種類がある。例えば、LCSTが37℃である下限臨界溶液温度を有するポリマーを用いた場合には、混合液の入った容器を37℃以上の恒温槽に移すことで、温度応答性ポリマーを凝集させることができる。また、UCSTが5℃である上限臨界溶液温度を有するポリマーを用いた場合には、混合液の入った容器を5℃未満の恒温槽に移すことで、温度応答性ポリマーを凝集させることができる。
なお、温度応答性ポリマーの凝集は、第1の結合物及び検出対象の結合前に行ってもよいし、同時並行的に行ってもよいが、処理時間を短縮できる点で後者が好ましい。
ここで、下限臨界溶液温度及び上限臨界溶液温度は例えば以下のように決定することができる。まず、試料を吸光光度計のセルに入れ、1℃/分の速度で試料を昇温する。この間、550nmにおける透過率変化を記録する。ここで、ポリマーが透明に溶解しているときの透過率を100%、完全に凝集したときの透過率を0%としたとき、透過率が50%になるときの温度をLCSTとして求める。
また、刺激応答性物質としてpH応答性ポリマーを用いた場合には、混合物の入った容器に酸溶液又はアルカリ溶液を加えればよい。具体的には、pH応答性ポリマーが構造変化を起こすpH範囲の外にある混合物の入った容器に、酸溶液又はアルカリ溶液を加え、容器内をpH応答性ポリマーが構造変化を起こすpH範囲に変更すればよい。例えば、pH5以下で凝集、pH5超で分散するpH応答性ポリマーを用いた場合、pH5超で分散している混合物の入った容器に、pHが5以下になるように酸溶液を加えればよい。また、pH10以上で凝集、pH10未満で分散するpH応答性ポリマーを用いた場合、pH10未満で分散している混合物の入った容器に、pHが10以上になるようにアルカリ溶液を加えればよい。pH応答性ポリマーが構造変化を起こすpHは、特に限定されないが、pH4〜10が好ましく、pH5〜9であることがさらに好ましい。
また、光応答性ポリマーを用いた場合には、混合液の入った容器に光応答性ポリマーを凝集できる波長の光を照射すればよい。凝集させるための好ましい光は、光応答性ポリマーに含まれる光応答性官能基の種類及び構造により異なるが、一般に波長190〜800nmの紫外光又は可視光が好適に使用できる。このとき、強度は0.1〜1000mW/cmが好ましい。なお、光応答性ポリマーは、測定精度を向上できる点で、粒子径の測定に用いられる光が照射された際、分散を生じにくいもの、換言すれば凝集するものであることが好ましい。光応答性ポリマーとして、粒子径の測定に用いられる光が照射された際に分散を生じるものを用いる場合、照射時間を短縮することで測定精度を向上できる。
混合物中の懸濁物の粒子径を測定は、市販の粒度分布測定装置等で計測することができる。粒度分布測定法としては、動的光散乱法、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られている。
本発明においては、粒子径範囲及び測定の容易さから、動的光散乱方式粒度分布測定装置(DLS)を用いることが好ましい。また、動的光散乱方式粒度分布測定装置(DLS)としては、ディスクリート方式であってもよいが、連続的かつ円滑に粒子径を測定する点からはディスクリート式測定装置でないことが好ましい。なお、「動的光散乱法による粒子径」とは、動的光散乱法により測定され、一次粒子だけでなく、一次粒子が凝集してなる二次粒子をも含めた概念であり、第1の結合物の刺激応答性物質が凝集した複合体の分散度を評価する指標である。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、動的光散乱方式粒度分布測定装置[装置名:ZETA SIZER Nano−ZS;Malvarn社製]等が挙げられる。
懸濁物の粒子径の測定時間(凝集時間)は、要求される迅速さ、感度の点から、適宜設定されればよい。迅速さが要求される場合には、検出対象物が存在しない溶液の濁度(吸光度)が凝集条件下においた後に最大値になるのに要する時間より前に行うとよい。粒子径の測定による検出対象の定量方法は、凝集条件下において、粒子径の変化が極めて早い段階から大きく現れる。そのため、本発明は、例えば、図3に示すように、検出対象物が存在しない(ゼロ)溶液の濁度(吸光度)が最大値となる600秒以前に高い検出感度で検出対象を検出することが可能である。一方、より高い感度が要求される場合には、上記時間(検出対象物が存在しない溶液の濁度(吸光度)が凝集条件下においた後に最大値になるのに要する時間)を超えて測定するとよい。
なお、検出対象が含まれると疑われる検体(血液等)には、多種類かつ多量の夾雑物が混在する場合が多いが、測定される粒子径は検出対象中の夾雑物に大きく影響されるものではない。このため、測定前に夾雑物を除去するといった予備手順を必ずしも行わなくてもよい。
[決定工程]
(相関式)
上記測定工程と同一の条件における、検出対象の量と懸濁物の粒子径との相関式を作成する。この相関式を構成する検出対象の量と懸濁物の粒子径との測定には、データが多いほどに信頼性の高い相関式が得られる。そこでデータは、2以上の検出対象の量に関するものであればよく、3点以上の検出対象の量に関するものであることが好ましい。
(算出)
上述した測定工程で得られた懸濁物の粒子径の測定値を、作成した相関式に代入することによって、検体中の検出対象の量を算出できる。例えば、刺激応答性物質として、LCSTが37℃である下限臨界溶液温度を有するポリマーを用いた場合には、混合液の入った容器を37℃以上の恒温槽に移すことで、検出対象の抗原濃度に応じて、図1に示すような粒子径の変化がみられる。なお、図1に示す結果は、ビオチン標識抗TSHベータ抗体の濃度が異なる以外は、後述する実施例1で説明する測定工程と同一の条件下で行われた測定である。
〔作用効果〕
第1の結合物と検出対象とを混合すると、検出対象が存在する場合、この検出対象に第1の親和性物質が結合し、検出対象の電荷部分又は親水性部分が、第1の親和性物質に結合した刺激応答性物質に接近する。これにより電荷部分又は親水性部分が刺激応答性物質の近傍に配置され、刺激に応答した刺激応答性物質の凝集が阻害される。一方、検出対象が存在しない場合、刺激応答性物質が凝集阻害されず凝集することになる。そのため、検出対象の量が少ないほど、混合物中の刺激応答性物質の凝集が経時で進み、懸濁物の粒子径が経時で大きくなる。図1及び図3の比較からわかるように、懸濁物の粒子径に基づき検出対象を定量する方法は、懸濁物の濁度に基づき検出対象を定量する場合に比べ、粒子径の変化が速い段階から現れるため、検出対象の濃度が小さい場合においても高い検出感度を得ることができる。また、懸濁物の濁度に基づき検出対象を定量する場合のように、決定工程の前に、担体粒子(第1の結合物)の凝集物を固液分離する工程が必ずしも必要ない。よって、測定時間の大幅な短縮が可能となる。
また、第1の結合物と第2の結合物と検出対象とを混合すると、検出対象が存在する場合、検出対象に第1の親和性物質と第2の親和性物質とが結合し、担体粒子又は第1の親和性物質に結合した刺激応答性物質に対して、検出対象の電荷部分又は親水性部分が接近する。若しくは、担体粒子又は第1の親和性物質に結合した刺激応答性物質に対して、第2の親和性物質に結合した電荷部分又は親水性部分が接近する。これにより、電荷部分又は親水性部分が刺激応答性物質の近傍に配置され、刺激に応答した刺激応答性物質の凝集が阻害される。一方、検出対象が存在しない場合、刺激応答性物質が凝集阻害されず凝集することになる。そのため、検出対象の量が少ないほど、混合物中の刺激応答性物質の凝集が経時で進み、懸濁物の粒子径が経時で大きくなる。このように、第2の結合物を併用した場合には、検出対象の量による変化の度合いは、第1の結合物と検出対象とを混合した場合に比べて大きくなる。よって、検出対象の量が極めて少なく、高い検出感度を得ることが要求される場合には、混合工程において、第1の結合物に加えて第2の結合物をさらに混合するとよい。
このように、懸濁物の粒子径に基づき検出対象を定量する方法は、懸濁物の濁度に基づき検出対象を検出する場合に比べ、迅速かつ高感度に定量することができる。
<実施例>
[第1の結合物の調製]
まず、検出対象としてのヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH)に対する第1の親和性物質としての抗体(クローン:195マウス、マウスIgG、Leinco Technology,Inc.製)を、従来周知のsulfo−NHS−Biotin法(旭テクノグラス社)によりビオチン化し、ビオチン標識抗TSHベータ抗体を調製した。
一方、ストレプトアビジンが結合された微粒子状の磁性物質であるマグナビート株式会社製のTherma−Max LSA Streptavidin(0.4質量%)250μLを1.5mLマイクロチューブにとり、このマイクロチューブを42℃に加熱することで、Therma−Max LSA Streptavidinを凝集させ、磁石で回収した後、上清を除去した。ここにTBSバッファー(20mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH7.5)250μLを加え、冷却することで凝集物を分散させた。この分散液に、PBSバッファー(0.01M リン酸バッファー、0.0027M 塩化カリウム、0.137M 塩化ナトリウム、pH7.4)に溶解したビオチン標識抗TSHβ抗体50μL(0.75mg/mL)を加え、室温で15分間転倒混和した。マイクロチューブを42℃に加熱してTherma−Max LSA Streptavidinを凝集させ、磁石で回収した後、上清部分を除去し、余分なビオチン標識抗TSHベータ抗体を分離した(B/F分離)。ここにTBSバッファー250μLを加え、冷却することで凝集物を分散させた。続いて、過剰量のビオチンを添加して、ストレプトアビジンのビオチン結合部位を被覆した後、余分なビオチンを分離した(B/F分離)。さらに0.5%(w/v)BSA(シグマ社製)、0.5%(w/v)Tween(登録商標)20、10mM EDTAを含有させたPBSバッファー(pH7.4)溶液に分散させることで、第1の結合物を調製した。
[第2の結合物の調製]
まず、検出対象としてのヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH)に対する第2の親和性物質としての抗体(クローン:176マウス、マウスIgG、Leinco Technology,Inc.製、1mg/mL)1mLに2−メルカプトエタノール6mgを加え、37℃で120分反応させた。反応後、Slide−A−Lyzer(商品名) 透析カセット、10K MWCO(Pierce)により、PBSバッファー500mLに対して透析し、過剰の2−メルカプトエタノールを除き、限界排除分子量10000の限外濾過膜(MILLIPORE社製[Amicon Ultra−4 Ultracel 100k])を用いて0.5mLに濃縮し、マウス抗TSHα抗体の還元抗体を得た。この還元抗体0.5mLと100μLマレイミド化ポリアクリル酸ナトリウム(33mgをPBSバッファー1mLに溶解したもの)とを4℃で1晩反応させ、続いてSuperdex−200 10/300GL(GEヘルスケア社製)を用いてゲル濾過することで、標識抗体を作成した。この標識抗体(この抗体は、ポリアクリル酸抗TSHα抗体結合物ともいう。)を0.5%(w/v)BSA(シグマ社製)、0.5%(w/v)Tween(登録商標)20/PBS(pH7.4)、10mM EDTAの水溶液でタンパク質濃度4μg/mLに希釈することで、第2の結合物を調製した。
なお、上記マレイミド化ポリアクリル酸ナトリウムは、次のように調製した。
まず、窒素ガス導入管、温度計、及び撹拌装置を付した100mLの三口フラスコ内で、アクリル酸(和光純薬工業社製)2g、2−アミノエタンチオール(和光純薬工業社製)0.021g、及びアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)0.023gをN,N−ジメチルホルムアミド50mLに溶解し、1時間窒素置換を行った。その後、70℃で7時間重合反応を行った。得られた反応液を、10mLまで減圧濃縮し、粘稠状の物が粉状になるまでジエチルエーテルで再沈殿を行った。白色沈殿をろ過し、さらに真空乾燥機で1晩乾燥することで、アミノ基末端ポリアクリル酸を得た(収量1.5g)。次にアミノ基末端ポリアクリル酸をマレイミド化した。窒素ガス導入管、及び撹拌装置を付した50mLのナスフラスコに、アミノ基末端ポリアクリル酸0.5g及びN,N−ジメチルホルムアミド10mLを入れ、溶解した。そこにEMCS(N−(6−マレイミドカプロイロキシ)スクシンイミド)(同仁化学研究所社製)3mgを加え、一晩反応した。得られた反応液を、1mLまで減圧濃縮し、粘稠な物が粉状になるまでジエチルエーテルで再沈殿を行った。白色沈殿をろ過し、さらに真空乾燥機で、1晩乾燥しマレイミド基末端ポリアクリル酸を得た。分子量は約130000(東ソー社製、TSKgel Super AW3000、6mm ID.×150mm、移動相0.1M 硝酸ナトリウム)であり、収量は0.4gであった。
[試料の調製]
ヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH;Aspen Bio Pharma,Inc.製、活性8.5IU/mg、WHO80/558)をPBSバッファー(pH7.4)に30μg/mLとなるように溶解した。この溶液をビトロスTSHキャリブレータ1(TSH:0mIU/L、オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社製)で1ng/mL、となるよう希釈したものを試料とした。
[混合]
第1の結合物150μL及び第2の結合物120μLをマイクロチューブ内に注ぎ、ボルテックスミキサで1秒間撹拌した。このマイクロチューブ内に上記試料750μLを添加し、再びボルテックスミキサで60秒間撹拌し、混合液を得た。同様に、陰性対照として、ヒト甲状腺刺激ホルモンが存在しない混合液も用意した。
[測定]
上記混合液を動的光散乱方式粒度分布測定装置(DLS)[Malvarn社製のZETA SIZER Nano−ZS]内に設置し、37度の凝集条件下で35分間に亘って粒子径の測定を行った。同様に、陰性対照となる混合液についても粒子径の測定を行った。その結果を図2に示す。装置の条件は下記の通りである。
装置の条件:Refractive index=1.45、Absorption=0.010
<比較例>
[第1の結合物の調製]
まず、検出対象としてのヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH)に対する第1の親和性物質としての抗体(クローン:195マウス、マウスIgG、Leinco Technology,Inc.製)を、従来周知のsulfo−NHS−Biotin法(旭テクノグラス社)によりビオチン化し、ビオチン標識抗TSHベータ抗体を調製した。
一方、ストレプトアビジンが結合された微粒子状の磁性物質であるマグナビート株式会社製のTherma−Max LSA Streptavidin(0.4質量%)250μLを1.5mLマイクロチューブにとり、このマイクロチューブを42℃に加熱することで、Therma−Max LSA Streptavidinを凝集させ、磁石で回収した後、上清を除去した。ここにTBSバッファー(20mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH7.5)250μLを加え、冷却することで凝集物を分散させた。この分散液に、PBSバッファー(0.01M リン酸バッファー、0.0027M 塩化カリウム、0.137M 塩化ナトリウム、pH7.4)に溶解したビオチン標識抗TSHβ抗体50μL(0.75mg/mL)を加え、室温で15分間転倒混和した。マイクロチューブを42℃に加熱してTherma−Max LSA Streptavidinを凝集させ、磁石で回収した後、上清部分を除去し、余分なビオチン標識抗TSHベータ抗体を分離した(B/F分離)。ここにTBSバッファー250μLを加え、冷却することで凝集物を分散させた。続いて、過剰量のビオチンを添加して、ストレプトアビジンのビオチン結合部位を被覆した後、余分なビオチンを分離した(B/F分離)。さらに0.5%(w/v)BSA(シグマ社製)、0.5%(w/v)Tween(登録商標)20、10mM EDTAを含有させたPBSバッファー(pH7.4)溶液に分散させることで、第1の結合物を調製した。
[第2の結合物の調製]
第2の結合物の調製は、実施例1における第2の結合物の調製方法と同様である。
[試料の調製]
ヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH;Aspen Bio Pharma,Inc.製、活性8.5IU/mg、WHO80/558)をPBSバッファー(pH7.4)に30μg/mLとなるように溶解した。この溶液をビトロスTSHキャリブレータ1(TSH:0mIU/L、オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社製)で1ng/mL、となるよう希釈したものを試料とした。
[混合]
第1の結合物150μL及び第2の結合物120μLをマイクロチューブ内に注ぎ、ボルテックスミキサで1秒間撹拌した。このマイクロチューブ内に上記試料750μLを添加し、再びボルテックスミキサで60秒間撹拌し、混合液を得た。同様に、陰性対照として、ヒト甲状腺刺激ホルモンが存在しない混合液も用意した。
[測定]
汎用されている分光光度計用セミミクロセルの光路外に、寸法5mm×9mm×2mmのネオジム永久磁石(西興産業社製)を取り付けた。このセルを、セル温度制御機が設けられた可視紫外分光光度計「UV−3101PC」(島津製作所製)内に設置し、37℃のもと10分間以上保持した。
上記混合液をセル内に分注し、分光光度計に添付の使用説明書に従ってゼロ補正し、波長420nmの光を用いて、直にスリット幅10mmで35分間にわたって連続して濁度(吸光度Abs)を測定した。同様に、陰性対照となる混合液についても濁度(吸光度Abs)の測定を行った。その結果を実施例の結果と共に図2に示す。
[結果]
図2の結果から、粒子径に基づき定量を行う実施例では、初期段階(例えば、測定時間10分以内)においても、濁度(吸光度)に基づき定量を行う比較例に比べ、高い検出感度で定量が可能であることが確認された。また、粒子径に基づき定量を行う実施例では、比較例のように、磁石を設置する(固液分離をする)必要もなく、検出対象を高感度で検出できることが確認された。

Claims (7)

  1. 検体中の検出対象を定量する方法であって、
    刺激応答性物質及び前記検出対象に対する第1の親和性物質を担持する担体粒子と、前記検体とを混合し、混合物を調製する混合工程と、
    前記混合物を前記刺激応答性物質の凝集条件下におき、前記混合物中の懸濁物の粒子径を測定する測定工程と、
    前記粒子径に基づき、前記検出対象の量を決定する決定工程と、を有する方法。
  2. 懸濁物に含まれる担体粒子の凝集物を固液分離する工程を、前記決定工程の前に含まない請求項1記載の方法。
  3. 前記担体粒子は非磁性物質からなる請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記測定は、動的光散乱法を用いて行われる請求項1から3いずれか記載の方法。
  5. 前記担体粒子は、平均屈折率1.3以上を有する請求項4記載の方法。
  6. 前記測定は、陰性対照の濁度が前記凝集条件下においた後に最大値になるのに要する時間より前に行う請求項1から5いずれか記載の方法。
  7. 前記混合工程において、前記担体粒子に加え、親水性物質と前記検出対象に対する第2の親和性物質との結合物をさらに混合する請求項1から6いずれか記載の方法。
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