JPWO2017090089A1 - ロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置 - Google Patents

ロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2017090089A1
JPWO2017090089A1 JP2016544890A JP2016544890A JPWO2017090089A1 JP WO2017090089 A1 JPWO2017090089 A1 JP WO2017090089A1 JP 2016544890 A JP2016544890 A JP 2016544890A JP 2016544890 A JP2016544890 A JP 2016544890A JP WO2017090089 A1 JPWO2017090089 A1 JP WO2017090089A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
rotary compressor
compression
permanent magnet
force
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016544890A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6289646B2 (ja
Inventor
哲英 横山
哲英 横山
将吾 諸江
将吾 諸江
久範 鳥居
久範 鳥居
高橋 真一
真一 高橋
幹一朗 杉浦
幹一朗 杉浦
聡経 新井
聡経 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Publication of JPWO2017090089A1 publication Critical patent/JPWO2017090089A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6289646B2 publication Critical patent/JP6289646B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/30Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids having the characteristics covered by two or more of groups F04C18/02, F04C18/08, F04C18/22, F04C18/24, F04C18/48, or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members
    • F04C18/34Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids having the characteristics covered by two or more of groups F04C18/02, F04C18/08, F04C18/22, F04C18/24, F04C18/48, or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members having the movement defined in group F04C18/08 or F04C18/22 and relative reciprocation between the co-operating members
    • F04C18/356Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids having the characteristics covered by two or more of groups F04C18/02, F04C18/08, F04C18/22, F04C18/24, F04C18/48, or having the characteristics covered by one of these groups together with some other type of movement between co-operating members having the movement defined in group F04C18/08 or F04C18/22 and relative reciprocation between the co-operating members with vanes reciprocating with respect to the outer member

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

第1圧縮部(10)及び第2圧縮部(20)を有するロータリ式圧縮機(1)は、第2圧縮部(20)に、第2ベーン(24)が第2ピストン(23)の外周面に当接した圧縮運転状態と、第2ピストン(23)の外周面から離間した第2ベーン(24)を永久磁石(32)で吸着固定した非圧縮運転状態とを切替える切替え機構(31)を備えている。さらに、ロータリ式圧縮機(1)の第2圧縮部(20)は、第2ベーン(24)が最も前方に移動する下死点位置において、第2ベーン(24)を前方へ吸引する第3力が作用するように、第2ベーン(24)の背面部(24c)よりも前方側に配置された第2ヨーク(43)を備えている。

Description

本発明は、複数気筒の運転モードの切り替えにより能力変更が可能なロータリ式圧縮機と、このロータリ式圧縮機を搭載したヒートポンプ装置に関するものである。
地球温暖化防止の観点から、1997年京都議定書に温室効果ガスの排出規制が盛り込まれ、2005年国際法として発効された。二酸化炭素排出量の削減と省エネルギー化を図るため、空調冷熱分野では、従来の給湯暖房器に代わってヒートポンプ機器の普及促進と、ヒートポンプ機器の一層の高効率化が進められている。このような中で、従来から空調機や給湯機等のヒートポンプ機器では、冷媒圧縮機を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルが一般的である。
空調機器の省エネ規制強化が促進されているが、特に、最新の新規格では、従来規格より実負荷に近い運転条件で省エネ性能を評価する特徴がある。日本国内の省エネ性能の表示は、従来は、定格条件で冷暖平均COPでの効率評価表示であったが、2011年より中間条件を加えた冷暖4条件のCOPから算出するAPF(通年エネルギー消費効率)表示に変更となった。さらに、欧州では2012年から、低負荷条件に加えた冷房4条件、暖房4条件より、それぞれ、冷房SEER、暖房SCOPを評価算出する新規格で省エネ性能を表示する方法が採用されている。
ここで、低負荷条件とは、外気温と室内温度との温度差が小さくて、室内温度一定に保つために必要な熱量が小さい条件である。蒸気圧縮機式冷凍サイクルの高圧(Pd)と低圧(Ps)との差異が小さい状態で、かつ、定常状態で必要な熱量も小さい状態(例えば、定格能力の25%以下)である。運転開始時を除けば、定常運転時に必要な能力は定格条件の10%から50%程度であり、定格運転する時間よりも、低負荷条件から中間条件で運転する時間が長い。このため、通年の省エネ性能を実質的に評価するには、従来規格で評価対象外であった低負荷条件について、COPを改善することが新たな課題となっている。
また、近年空調機は、立ち上げ時間の短縮や、低外気温環境での高暖房能力化が要求されるようになってきており、一定以上の定格能力が必要になっている。その一方で、住宅の高気密高断熱化が進んできたことにより定常運転時に必要な能力は小さくなり、必要な運転能力範囲が広がっている。そのため、より広い運転範囲、回転数範囲で高効率を維持することが要求されるようになり、従来のインバータによる回転数制御のみでは、低速の低負荷能力で高効率に維持することは難しくなっている。
そこで、機械的に排除容積を可変する手段(機械式容量制御)を用いた冷媒圧縮機が再び注目されている。
例えば、特許文献1には、二気筒ロータリ式圧縮機において、低負荷時に一方の圧縮部を非圧縮状態として冷媒循環流量を半減する構成が開示されている。この構成では、電動機の回転数を落とさずに運転できるので、圧縮機効率を向上させることができる。
その具体的な手段として、ブレード(ベーンと同義)背室の一方に常時圧縮作用をなすシリンダ室で圧縮された高圧ガスの一部を導入してブレード(ベーンと同義)の後端部(背面部)に高圧を付与し、ベーン先端部を偏心ローラ周壁に当接させる圧縮運転と、ブレード背室に低圧ガスを導いてブレード先端部を偏心ローラ周壁から離間させ永久磁石に保持させる非圧縮運転とに切り替える、圧力切換え手段を備えた二気筒ロータリ式圧縮機(休筒切替式圧縮機)が開示されている。ここで、背面部とは、ベーンの先端側、側面側、上下面側を除く、背面側全体をさす。後端部は、背面部の最も後端の位置をさす。背面部が並行平面であれば後端部と同義であるが凹凸や曲面形状のある場合は異なる位置である。
特許文献2の実施の形態1には、シリンダと、該シリンダ内に偏心回転自在に収納された回転ピストンと、前記シリンダに設けられたベーン溝に往復移動可能に収納されたベーンと、を備えるロータリ式圧縮機において、前記ベーン溝内及び前記ベーンには磁石が設けられると共に、ベーン溝内の磁石と前記ベーンの磁石とは互いに反発するように配置する手段が開示されている。また、特許文献2の実施の形態2では、ベーンにおける回転ピストンに当接する近傍に磁石を配置し、当該磁石と回転ピストンとの間に発生する磁力によりベーンを回転ピストンに当接させる手段が開示されている。
特開2011−58482号公報 特開2007−64110号公報
従来のロータリ式圧縮機のベーンは、低負荷条件でベーン背面に作用する圧力が低下し回転ピストン側(前方)に押し付ける力が小さくなり、最も前方に移動した下死点位置で回転ピストンの動きに追随せず、回転ピストンから離間する不安定現象(ベーン離間)を発生しやすく、信頼性と効率の低下を招くことが課題であった。
また、特許文献1に記載の二気筒ロータリ式圧縮機(休筒切替式圧縮機)の場合は、ベーンを前方に押し付ける圧縮バネがなくなり、さらに、ベーン背面部の後方に配置した永久磁石の吸引力により、下死点位置で回転ピストンから離間する不安定現象がいっそう発生しやすいことが課題であった。
特許文献2の実施の形態1に記載の二気筒ロータリ式圧縮機では、ベーンの背面部に設けた磁石と、ベーン溝内の後方に取り付けた磁石との反発力は、ベーンが後方に移動した状態では大きいが、ベーンが最も前方に移動する下死点位置では小さいため、ベーン離間の問題を解決できなかった。また、特許文献1のような休筒切替式圧縮機の場合には、元々ベーン背面部の後方に吸引する磁石が配置されているので、反発する磁石を配置することは困難であった。
特許文献2の実施の形態2に記載の二気筒ロータリ式圧縮機では、磁性材料の回転ピストンに金属粉が付着し、回転ピストンと接触し摺動する箇所が摩耗しやすくなり、耐久性の低下を招くことが課題であった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、低負荷時でも圧縮バネなしで、ベーンを安定に動作させて信頼性と効率の低下を招くことなく、運転モードを適切に切替えることが可能となり、高効率なロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置を得ることを目的とする。
本発明に係るロータリ式圧縮機は、2つの圧縮部、電動機、及び、2つの前記圧縮部と前記電動機とを接続する駆動軸を備え、前記圧縮部のそれぞれが、吸入した冷媒を圧縮するシリンダ室、一方の端部が前記シリンダ室に連通したベーン溝、及び、前記ベーン溝の他方の端部に連通したベーン背室が形成されたシリンダと、前記駆動軸の回転によって前記シリンダ室内を偏心回転するリング形状のピストンと、前記シリンダ室の中心に向かう方向である前方と前記シリンダ室から遠ざかる方向である後方とに往復動自在に前記ベーン溝に挿入され、前記ピストンの外周面に先端部が当接した状態で前記シリンダ室を低圧と高圧に仕切り、背面部が前記ベーン背室に収容されたベーンと、を備えたロータリ式圧縮機であって、一方の前記圧縮部は、前記ベーンの前記背面部の後方に配置された第1永久磁石を有し、前記ベーンの前記先端部と前記背面部とに働く圧力の差により、前記ベーンに対して前方に作用する第1力と、前記第1永久磁石により前記ベーンを後方に吸引する第2力とによって、前記ベーンの前記先端部が前記ピストンの外周面に当接した圧縮運転状態と、前記ピストンの外周面から離間した前記ベーンを吸着固定した非圧縮運転状態とを切替える切替え機構を備え、さらに、前記ベーンが最も前方に移動する下死点位置において、前記ベーンを前方へ吸引する第3力が作用するように、前記ベーンの前記背面部よりも前方側に配置された第2永久磁石又はヨークを備えたものである。
本発明に係るロータリ式圧縮機によれば、低負荷時でも圧縮バネなしで、ベーンを安定に動作させて信頼性と効率の低下を招くことなく、運転モードを適切に切替えることが可能となり、高効率なロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置を得ることができる。
本発明の実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1の構造を示す概略縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20の圧縮運転状態(第2ピストン23が軸回転角180度の下死点位置)を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。 本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20の圧縮運転状態(第2ピストン23が軸回転角0度の上死点位置)を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。 本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20の非圧縮運転状態(第2ピストン23が吸着固定位置)を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。 本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係るヨーク33の平坦部33bと第2ベーン24の背面部24cとの距離(背面ギャップ)に対する第2ベーン24に作用する後方に吸引する磁力(第2力)との関係及び前方に吸引する磁力(第3力)との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ装置200の基本構成を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す横断面図である。 本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す横断面図である。 本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す横断面図である。 本発明の実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1の構造を示す概略縦断面図である。 本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す横断面図である。 本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す横断面図である。 本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す横断面図である。
以下、図面に基づいて、本発明に係るロータリ式圧縮機1、及びヒートポンプ装置200の一例について説明する。以下では、まず、ヒートポンプ装置200に備えられたロータリ式圧縮機1について説明する。なお、以下に示す図面では、各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下に示す断面図では、部品を指し示す引出線とハッチングとが重なり合い、引出線が指し示す部品が分かりづらくなることを防止するため、切断されて図示された部品にハッチングを施すことを省略している。したがって、以下の図においては、ハッチングが施されている部品は必ずしも切断されて図示された部品というわけではなく、部品形状を認識しづらい部品にハッチングが施されている。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1の構造を示す概略縦断面図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20の圧縮運転状態(第2ピストン23が軸回転角180度の下死点位置)を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20の圧縮運転状態(第2ピストン23が軸回転角0度の上死点位置)を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20の非圧縮運転状態(第2ピストン23が吸着固定位置)を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す縦断面図である。
図6は、本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す縦断面図である。
図7は、本発明の実施の形態1に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す縦断面図である。
図8は、本発明の実施の形態1に係るヨーク33の平坦部33bと第2ベーン24の背面部24cとの距離(背面ギャップ)に対する第2ベーン24に作用する後方に吸引する磁力(第2力)との関係及び前方に吸引する磁力(第3力)との関係を示す図である。
図9は、本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ装置200の基本構成を示す図である。
なお、図2〜図4に示す台形の破線は、第2ヨーク43の取付位置を示している。
[ロータリ式圧縮機1の基本構成と基本動作]
実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、例えば空調機や給湯機等のヒートポンプ装置200(図9を参照)の主要構成要素の一つとして利用され、ガス冷媒を圧縮し高温高圧状態にして蒸気圧縮式冷凍サイクル内に冷媒を循環させる役割をするものである。
図1に示すようにロータリ式圧縮機1は、密閉シェル3の内部空間7に、第1圧縮部10及び第2圧縮部20で構成された圧縮機構99を備え、これら第1圧縮部10及び第2圧縮部20は駆動軸5を介して電動機8で駆動される。
密閉シェル3は、上端部及び下端部が閉塞された例えば円筒形状の密閉容器である。密閉シェル3の底部には、圧縮機構99を潤滑する潤滑油が貯蔵される潤滑油貯蔵部3aが設けられている。また、密閉シェル3の上部には、外部冷媒回路に導かれる圧縮機吐出管2が設けられている。
電動機8は、インバータ制御等によって例えば回転周波数が可変であり、回転子8aと固定子8bとを備えている。固定子8bは、略円筒形状に形成されており、外周部が密閉シェル3に例えば焼き嵌め等により固定されている。この固定子8bには、外部電源から電力供給されるコイルが巻回されている。回転子8aは、略円筒形状をしており、固定子8bの内周面と所定の間隔を介して、固定子8bの内周部に配置されている。この回転子8aには駆動軸5が固定されており、電動機8と圧縮機構99とは、駆動軸5を介して接続された構成となっている。つまり、電動機8が回転することにより、圧縮機構99には駆動軸5を介して回転動力が伝達されることとなる。
駆動軸5は、該駆動軸5の上部を構成する長軸部5aと、該駆動軸の下部を構成する短軸部5bと、これら長軸部5aと短軸部5bとの間に形成された偏心ピン軸部5c,5dと、中間軸部5eと、で構成されている。ここで、偏心ピン軸部5cは、その中心軸が長軸部5a及び短軸部5bの回転中心軸から所定距離だけ偏心した円筒形状をしており、後述する第1圧縮部10の第1シリンダ室12内に配置される。また、偏心ピン軸部5dは、その中心軸が長軸部5a及び短軸部5bの回転中心軸から所定距離だけ偏心した円筒形状をしており、後述する第2圧縮部20の第2シリンダ室22内に配置されるものである。
また、偏心ピン軸部5cと偏心ピン軸部5dとは、位相が180度ずれて設けられている。これら偏心ピン軸部5cと偏心ピン軸部5dは、中間軸部5eによって接続されている。なお、中間軸部5eは、後述する中間仕切板4の貫通孔内に配置される。このように構成された駆動軸5は、長軸部5aが第1支持部材60の軸受部60aで回転自在に支持され、短軸部5bが第2支持部材70の軸受部70aで回転自在に支持されている。
つまり、駆動軸5が回転した際に、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22内において、偏心ピン軸部5c,5dが偏心回転運動する構成となっている。
第1圧縮部10及び第2圧縮部20は、それぞれ、第1シリンダ11及び第2シリンダ21、第1ピストン13及び第2ピストン23、並びに、第1ベーン14及び第2ベーン24等で構成される。第1シリンダ11及び第2シリンダ21は、それぞれ駆動軸5(より詳しくは、長軸部5a及び短軸部5b)と略同心となる略円筒状の貫通孔が上下方向に貫通形成された平板部材である。第1シリンダ11の貫通孔は、一方の端部が第1支持部材60のフランジ部60bにより閉塞され、他方の端部が中間仕切板4によって閉塞され、第1シリンダ室12を形成している。また、第2シリンダ21の貫通孔は、一方の端部が第2支持部材70のフランジ部70bにより閉塞され、他方の端部が中間仕切板4によって閉塞され、第2シリンダ室22を形成している。
第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22内には、それぞれ、第1ピストン13及び第2ピストン23が設けられている。この第1ピストン13及び第2ピストン23は、それぞれリング状に形成されており、駆動軸5の偏心ピン軸部5c,5dに摺動自在に設けられている。また、第1シリンダ11及び第2シリンダ21には、一方の端部がそれぞれ第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22に連通し、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22の半径方向に延びる第1ベーン溝19及び第2ベーン溝29が形成されている。そして、第1ベーン溝19及び第2ベーン溝29には、それぞれ、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22の中心に向かう方向である前方と第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22から遠ざかる方向である後方とに往復動自在に、第1ベーン14及び第2ベーン24が設けられている。第1ベーン14及び第2ベーン24の先端部14a,24aがそれぞれ第1ピストン13及び第2ピストン23の外周部に当接することにより、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22は、それぞれ吸入室と圧縮室とに分割される。
また、第1シリンダ11及び第2シリンダ21には、それぞれ、第1ベーン溝19及び第2ベーン溝29の後端部と連通する位置、つまり第1ベーン14及び第2ベーン24の後端部14b,24bを収容する第1ベーン背室15及び第2ベーン背室25が形成されている。この第1ベーン背室15及び第2ベーン背室25は、第1シリンダ11及び第2シリンダ21を上下方向に貫通するように設けられている。また、第1ベーン背室15及び第2ベーン背室25は密閉シェル3の内部空間7に一部開放されており、潤滑油貯蔵部3aに貯留されている潤滑油が第1ベーン背室15及び第2ベーン背室25に流入できる構成となっている。第1ベーン背室15及び第2ベーン背室25に流入した潤滑油は、第1ベーン溝19及び第2ベーン溝29と第1ベーン14及び第2ベーン24の側面との間に流れ込み、両者の間の摺動抵抗を低減させる。後述のように、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、圧縮機構99で圧縮された冷媒が密閉シェル3の内部空間7に吐出される構成となっている。このため、第1ベーン背室15及び第2ベーン背室25は、密閉シェル3の内部空間7と同じ高圧雰囲気となる。
第1シリンダ11及び第2シリンダ21には、それぞれ、ガス冷媒を第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22に流入させるための吸入マフラ6が接続されている。吸入マフラ6は、容器6b、流入管6a、流出管6c,6dを備えている。容器6bは、冷凍サイクルを構成する蒸発器から流出した低圧の冷媒を貯留する。流入管6aは、蒸発器から容器6bに低圧冷媒を導き、流出管6c,6dは、それぞれ、容器6bに貯留された冷媒のうちのガス冷媒をシリンダ吸入流路17,27を経由して、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22に導く役割をする。
また、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22には、内部で圧縮されたガス冷媒を吐出する吐出口18,28が形成されている。この吐出口18,28は第1支持部材60及び第2支持部材70のフランジ部60b,70bに形成された貫通孔と連通しており、当該貫通孔には、第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22内が所定の圧力以上となった際に開く開閉弁18a,28aが設けられている。また、第1支持部材60及び第2支持部材70には、貫通孔を覆うように吐出マフラ63,73が取り付けられている。
[圧縮機構99の第2圧縮部20の切替え機構31の基本構成と動作]
上記のように、第1圧縮部10及び第2圧縮部20の基本的な圧縮機構の構成は同じであるが、第2圧縮部20には切替え機構31が設置されている点で異なっている。
実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、第2圧縮部20に切替え機構31を備えたことにより、第1圧縮部10と第2圧縮部20とを同時に圧縮運転する並列運転モードと、第1圧縮部10が圧縮運転を行い、第2圧縮部20が非圧縮運転となる単独運転モードとに切替え可能に構成される。
ここで、図1は、並列運転モード時、すなわち第1圧縮部10及び第2圧縮部20が圧縮運転状態の縦断面図を示している。また、図2と図3は、並列運転モードで、第2圧縮部20が圧縮運転状態の第2ベーン24の状態を示し、それぞれ、軸回転角180度の下死点位置と軸回転角0度の上死点位置を示す概略横断面図(図1のA−A断面)である。図4は、第2圧縮部20が非圧縮運転状態の第2ベーン24の状態を示している。
以下、切替え機構31の詳細な構成について説明する。
[切替え機構31の基本構成]
切替え機構31は、第2ベーン背室25の後方に設けられた第2シリンダ21の収納室37内に配置されている。そして、第2ベーン背室25の後方側に永久磁石32が配置され、永久磁石32の前方側に第2ベーン24に磁束密度を集中させるためのヨーク33が取り付けられて主に構成されている。ヨーク33は凹型形状の磁性材料で作製されており、凹型形状の底部分である平坦部33bとこれに直立して前方側に突出する両腕部33aとで構成されている。
ここで、永久磁石32が、本発明の第1永久磁石に相当する。
ヨーク33の平坦部33bの背面(後面)には直方体の永久磁石32が張り付けられている。また、第2シリンダ21が通常の圧縮動作時には、第2ピストン23の上死点位置(図3の第2ピストン23の位置、第2ピストン23の軸回転角0度)で上記第2ベーン24の後端部24bが、ヨーク33の凹型形状の両腕部33aの先端側内角付近に接近するようにヨーク33が配置されている。なお、平坦部33bの前面(第2ベーン24の後端部24bと対向する面)に、非磁性の薄い長方形平板で構成されたスペーサを取り付けてもよい。このようなスペーサを備えることにより、第2ベーン24の後端部24bが磁気吸引により吸着固定したときに、後端部24bとヨーク33の平坦部33bとの距離(背面ギャップ)を一定に保って、吸引磁力のばらつきを小さくすることができる。
そして、第2ベーン24に磁束を集中的に通過させるため、永久磁石32とヨーク33の周囲を非磁性材料である保持具36で覆い、永久磁石32とヨーク33とを固定する。
また、永久磁石32の背面側は磁性材料である第2シリンダ21の外縁で囲まれている。もし、永久磁石32と第2シリンダ21の外縁との間に隙間が発生するならば、その隙間に磁性材料のシム38を差し込んで調整する。
[第2ベーン24に作用する押付け力Fp(以下、本発明の第1力に相当)と吸引磁力Fm(以下、本発明の第2力に相当)]
第1ベーン14及び第2ベーン24には、先端部14a,24a側に吸入圧Ps(第1シリンダ室12及び第2シリンダ室22に吸入された低圧冷媒の圧力)が作用し、後端部14b,24bを含む背面部14c,24cには吐出圧Pd(密閉シェル3の内部空間7の圧力、つまり、圧縮機構99で圧縮された高圧冷媒の圧力)が作用する。
ここで、背面部とは、ベーンの先端側、側面側及び上下面側を除く背面側全体をさす。後端部は、背面部の最も後端の位置をさす。背面部が並行平面であれば後端部と同義であるが凹凸や曲面形状のある場合は異なる位置である。
このため、第1ベーン14及び第2ベーン24の双方には、先端部14a,24a及び背面部14c,24cに作用する圧力の差(Pd−Ps)に応じて、第1ベーン14及び第2ベーン24を第1ピストン13及び第2ピストン23側へ押付ける押付け力Fpが作用する。さらに、第1ベーン背室15の後方には圧縮バネ40が取り付けられており、差圧の押付け力に加えて、圧縮バネ40の押付け力が第1ベーン14に働くこととなる。例えば、起動時にはこの差圧(Pd−Ps)が小さいので圧縮バネ40の押付け力により第1ベーン14が第1ピストン13に当接して圧縮動作をする。
一方、第2ベーン背室25の後方に圧縮バネ40が取り付けられていないため、差圧による押付け力のみが第2ベーン24を第2ピストン23に押付け力Fpとして働く。
圧縮運転過程では第1シリンダ11及び第2シリンダ21の内圧が変動し、押付け力Fpの最大値Fpmaxは、第2ピストン23の軸回転角が0度付近(図3の状態で、第2ピストン23が第2ベーン溝29の中心軸に最接近した状態)のときに生じる。
このときの押付け力Fpの最大値Fpmaxは、
Fpmax=Pd(0度)×ベーン背面部面積−Ps(0度)×ベーン先端部面積となる。
第2ベーン24に作用する吸引磁力Fmは、
Fm=Bg×S/(2×μ)[N]
Bg:吸着面の磁束密度[T]
S:吸着面の面積[m
μ:真空中の透磁率
で表され、磁束密度は永久磁石32からの距離にほぼ反比例して減少する。
まず、第2圧縮部20が圧縮運転を行っている時における第2ピストン23の軸回転角が0度のときの吸引磁力Fmを第1吸引磁力Fm1とする。
このとき、押付け力Fpmax>第1吸引磁力Fm1の関係が成り立っている。すると、第2ベーン24は上死点位置(図3、第2ピストン23の軸回転角0度)から下死点位置(図2、第2ピストン23の軸回転角180度)まで、第2ピストン23の周面に当接しながら往復動し、圧縮運転状態が維持される。
一方、第2ベーン24に作用する吸引磁力Fmは、第2ピストン23の軸回転角が0度付近のときに、第2ベーン24の背面部24cがヨーク33の両腕部33aの前端部に最も接近(最短距離)するので最大となる。このときの吸引磁力Fmが上記の第1吸引磁力Fm1となるように、永久磁石32とヨーク33、第2ベーン背室25のまわりの切替え機構31を設計する。
次に、第2ベーン24の上死点位置(軸回転角0度)で第1吸引磁力Fm1が働いて、差圧の押付け力Fpmax<第1吸引磁力Fm1の関係が成り立つと、第2ベーン24の先端部24aが第2ピストン23の外周面から離間する。さらに、第2ベーン24は磁気吸引力により吸着位置まで後方側に移動する(図4に示した第2ベーン24の状態)。ヨーク33が直方体形状の場合には、第2ベーン24の後端部24b(ここでは背面部24cと同義)とヨーク33の平坦部33bとの距離(背面ギャップ)が小さくなるほど、吸引磁力Fmが急激に増加する。すなわち、第2ベーン24の移動距離に対する吸引磁力Fmの変化する割合(吸引磁力Fmの勾配)は急激に大きくなる。そして、第2ベーン24の後端部24bがヨーク33の平坦部33bに着座し、永久磁石32の磁気により吸着位置に固定される。このとき、ヨーク33の平坦部33bと、第2ベーン24の後端部24bとの距離は最短となる。
一方、ヨーク33が凹型形状の場合において、第2ベーン24の先端部24aが離間状態(磁石吸引途中)で働く第2吸引磁力Fm2は、第2ベーン24の側面部がヨーク33の凹型形状の両腕部33aの内壁に沿ってほぼ平行に移動するため、第2ベーン24の移動距離に対して吸引磁力Fmが変化する割合(吸引磁力Fmの勾配)は、この区間でほぼ一定の値に保たれ、吸引磁力Fmの勾配が非常に小さい区間(吸引磁力一定区間)が存在することが特徴である。
[第2ベーン24の前方への吸引磁力発生部の基本構成と動作]
図5、図6、図7は、第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態示す縦断面図で、ぞれぞれ、軸回転角0度の上死点位置、第2力と第3力の切替え位置、軸回転角180度の下死点位置を示す。
本実施の形態1に係る第2圧縮部20は、第2ベーン24が最も前方(第2シリンダ室22の中心側)に移動する下死点位置において、第2ベーン24の背面部24cよりも前方となる位置に配置された第2ヨーク43を備えている。この第2ヨーク43は、第2シリンダ21の下側、つまり、駆動軸5の軸方向において第2シリンダ室22とは異なる位置(高さ)に設けられている。換言すると、第2ヨーク43は、駆動軸5の軸方向において第2シリンダ21とは異なる位置(高さ)に設けられている。この第2ヨーク43は、磁性材料のボルト44で非磁性の保持具36に取り付けてある。第2ヨーク43は、第2ベーン24の下面部と対向する先端部43aを備える。
図3及び図5の軸回転角0度の上死点位置では、第2ベーン24の背面部24cの位置が、ボルト44よりもヨーク33の両腕部33aに接近する。このため、永久磁石32からヨーク33を通って、第2ベーン24の背面部24cに向かって磁束が流れ、第2シリンダ21内を通過して、永久磁石32に磁束が戻る(第2力)。
特に、第2ベーン24の背面部24cに、透磁率の高い例えば円筒形状の金属材料(磁性材料)が圧入されており、ここがベーン吸引箇所41として磁束を集中させる機能をする。つまり、ベーン吸引箇所41に、後述の第3力等が集中的に作用する。ベーン吸引箇所41を設ける場合、第2ベーン24のベーン吸引箇所以外の部分は、ベーン吸引箇所41よりも透磁率の低い材料で形成することができる。本実施の形態1では、第2ベーン24のベーン吸引箇所以外の箇所を非磁性材料で形成している。ここで、第2ベーン24は、圧縮運転時、軸回転角0度の上死点位置と軸回転角180度の下死点位置とを往復運動する。この際、第2ベーン24の側面部は第2ベーン溝29の壁面と摺動し、第2ベーン24の上面部は中間仕切板4の下面部と摺動し、第2ベーン24の下面部は、第2支持部材70のフランジ部70bの上面部と摺動する。本実施の形態1では、第2ベーン24が最も前方に移動している軸回転角180度の下死点位置において、第2ベーン溝29、中間仕切板4及びフランジ部70bよりも外側(後方)となる位置に、ベーン吸引箇所41を配置している。つまり、ベーン吸引箇所41は、周囲の部材と摺動しない位置に配置されている。なお、ベーン吸引箇所41を設ける場合、図2及び図7の軸回転角180度の下死点位置において、第2ヨーク43の先端部43aの横方向位置を、ベーン吸引箇所41と同位置あるいはベーン吸引箇所41よりも前方(第2シリンダ室の中心より)に配置する。
図6の第2力と第3力の切替え位置では、第2ベーン24の背面部24cからボルト44までの距離と、第2ベーン24の背面部24cからヨーク33の両腕部33aまでの距離とが、ほぼ同等になる。このため、永久磁石32からヨーク33を通って、第2ベーン24の背面部24cに向かう磁束と、永久磁石32からボルト44に向かう磁束とに分かれる。ボルト44を通る磁束が第2ヨーク43を通って再び第2ベーン24に接近するように、第2ヨーク43の先端部43aの形状を楔形の形状としてある。
図2及び図7の軸回転角180度の下死点位置では、第2ベーン24の背面部24cの位置がボルト44よりもヨーク33の両腕部33aから遠ざかる。一方で、第2ヨーク43の先端部43aがベーン吸引箇所41に接近するので、ボルト44を通る磁束が流れやすくなり、第2ベーン24を前方に吸引する磁力(第3力)が発生する。
図8は、本発明の実施の形態1に係るヨーク33の平坦部33bと第2ベーン24の背面部24cとの距離(背面ギャップ)に対する第2ベーン24に作用する後方に吸引する磁力(第2力)との関係及び前方に吸引する磁力(第3力)との関係を示す図である。
図5のベーン上死点位置(背面ギャップがX1)では、第2力により、第2ベーン24に対して後方への強い吸引磁力(約7N)を発生する。図6の第2力と第3力の切替え位置(背面ギャップがX2)では、後方への吸引磁力(第2力)と前方への吸引磁力(第3力)がともに弱くなる。図7のベーン上死点位置(背面ギャップがX3)では、第3力により、前方への吸引磁力が(約3N)を発生する。
このため、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1においては、第2圧縮部20が低負荷条件で圧縮運転を行う際、第2ベーン24には、最も前方に移動した下死点位置において該第2ベーン24を前方へ吸引する第3力が作用する。したがって、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1においては、第2圧縮部20が低負荷条件で圧縮運転を行う際、下死点位置において第2ベーン24が第2ピストン23から離間することを防止でき、ロータリ式圧縮機1の信頼性及び効率が低下することを防止できる。
[ヒートポンプ装置200の基本構成]
図9は、本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ装置200の基本構成を示す図である。
ヒートポンプ装置200は、図1と同様のロータリ式圧縮機1、四方弁201、室内側熱交換器202、減圧機構203及び室外側熱交換器204を有し、これらを冷媒回路配管207で接続して蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成している。以下では、ヒートポンプ装置200の一例として空調機用のヒートポンプ装置200について説明する。
室内機Bには室内側熱交換器202が配置され、室外機Aにはロータリ式圧縮機1、四方弁201、減圧機構203及び室外側熱交換器204が配置されている。
ヒートポンプ装置200は、四方弁201により暖房運転及び冷房運転を切り替え可能となっている。暖房運転する場合には、四方弁201を図9の実線で示す暖房運転時経路201a側に接続する。これにより、ロータリ式圧縮機1で高温高圧状態に圧縮した冷媒ガスが室内側熱交換器202に流入し、室内側熱交換器202が放熱側熱交換器(凝縮器)として動作する。冷房運転する場合には、四方弁201を点線で示す冷房運転時経路201b側に接続する。これにより、ロータリ式圧縮機1の吸入側が室内側熱交換器202に接続されて、室内側熱交換器202が吸熱側熱交換器(蒸発器)として動作する。
ロータリ式圧縮機1は、上述したように電動機8及び2つの圧縮部(第1圧縮部10及び第2圧縮部20)を有し、一方の圧縮部を非圧縮運転状態とする単独運転モードと、両方の圧縮部を圧縮運転状態とする通常の並列運転モードとが、ロータリ式圧縮機1の運転条件により受動的に切り替わる構造を有している。具体的には、上述したようにロータリ式圧縮機1の運転開始直後や、あるいは、ロータリ式圧縮機1が低負荷(室内と室外の温度差が小さい)で吸入圧と吐出圧の差圧が小さい状態では単独運転モードで運転を行う。あるいは、起動後しばらく経過し、定格負荷まで吐出圧が上昇して吸入圧との差圧が大きくなると、第2ベーン24に作用する押付け力Fp(第1力)が大きくなって、並列運転モードに切り替わる。
次に、ヒートポンプ装置200に備えられたセンサ類について説明する。室内機Bには、室内温度を検出する温度センサ171と、室内側熱交換器202を通過する室内気流の噴出し口に温度センサ172が備えてある。温度センサ171,172で検知した信号は、後述のヒートポンプ能力制御装置160に入力されるようになっている。
なお、ヒートポンプ装置200の制御に用いられるセンサは、図9に示したものに限定されず、室内側熱交換器202及び室外側熱交換器204の気流側または冷媒側に設けられた温度センサ、ロータリ式圧縮機1の吸入側及び吐出側に設けられた温度センサ及び圧力センサ等を必要に応じて適宜採用することができる。
次に、ヒートポンプ装置200に備えられた制御回路について説明する。室外機Aは、交流電源140からの電源によりロータリ式圧縮機1の電動機8を駆動する電力を供給するインバータ駆動制御装置150と、この装置から取得したインバータ波形に基づいて運転モードを判別する検知判別手段145と、ヒートポンプ能力制御装置160とを備えている。インバータ駆動制御装置150、検知判別手段145、ヒートポンプ能力制御装置160には、各種制御を行うプログラムを記憶した記憶部や演算を行うCPU等の回路が内蔵されている。
運転モードが、並列運転モードから単独運転モードに切り替わった瞬間は、電動機8の回転周波数が急激に増加(オーバシュート)するが、検知判別手段145により運転モードを検知判別すると、温度センサ172で検知した温度が、目標室温に近づくように電動機8の運転周波数を再度決定し、決定した運転周波数で電動機8が動作するようにインバータ駆動制御装置150を制御する。温度センサ172で検知した温度が、目標の室温(乾球)の変動幅が許容範囲(±1℃程度)に入るように調整する。
以上のように、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、第2圧縮部20に切替え機構31を備えたことにより、第1圧縮部10と第2圧縮部20とを同時に圧縮運転する並列運転モードと、第1圧縮部10が圧縮運転を行い、第2圧縮部20が非圧縮運転となる単独運転モードとを行うことができる。また、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1においては、第2圧縮部20が低負荷条件で圧縮運転を行う際、下死点位置において第2ベーン24が第2ピストン23から離間することを防止でき、ロータリ式圧縮機1の信頼性及び効率が低下することを防止できる。すなわち、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、低負荷時に複数のシリンダ室の運転モードを切替えて能力範囲を拡大した運転制御が、低負荷時にも安定に動作可能となる。したがって、ロータリ式圧縮機1の効率化と信頼性の向上を実現することができる。そして、このようなロータリ式圧縮機1を備えたヒートポンプ装置200においても、効率化と信頼性の向上を実現することができる。
また、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、第2圧縮部20に、第2ベーン24が第2ピストン23から離れた状態になったときに、第2ベーン24を保持する凹型形状のヨーク33を備えている。このため、本実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1は、第2ベーン24が第2ピストン23の外周壁から離間した際に、第2ベーン24の位置を安定に保つこともできる。
なお、上記では、休筒状態(非圧縮運転状態)となる第2圧縮部20を第1圧縮部10の下方に配置した例を説明したが、休筒状態(非圧縮運転状態)となる第2圧縮部20を第1圧縮部10の上方に配置してもよい。
また、本実施の形態1では、密閉形高圧シェル形式(第1圧縮部10及び第2圧縮部20と電動機8とを同じ吐出圧の密閉シェル内に配置したもの)のロータリ式圧縮機を用いたヒートポンプ装置について説明したが、その他のシェル形式においても同様の構成を採用することができる。例えば、半密閉式のシェル形式の場合や、中間圧シェル形式及び低圧シェル形式の場合にも、ベーンを差圧によりピストンに押し付けて圧縮運転を行う形式の場合には、同様の効果を奏することができる。
実施の形態2.
実施の形態2に係るロータリ式圧縮機1は、実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1、圧縮機構99及び第2圧縮部20の基本構成及び基本動作と全く同様であるが、実施の形態1に係る圧縮機構99のうちで、第2ベーン24の前方への吸引磁力発生部の構成と動作について異なる点がある。
したがって、本実施の形態2では、実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図10は、本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す縦断面図である。
図11は、本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す横断面図である。
図12は、本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す縦断面図である。
図13は、本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す横断面図である。
図14は、本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す縦断面図である。
図15は、本発明の実施の形態2に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す横断面図である。
なお、図11、図13及び図15に示す台形の破線は、第2ヨーク43の取付位置を示している。
[第2ベーン24の前方への吸引磁力発生部の基本構成と動作]
本実施の形態2に係る第2ベーン24は、底面部に凹形の切欠き部45(非吸引部)が形成されている。そして、ベーン吸引箇所41である透磁率の高い例えば円筒形状の金属材料(磁性材料)は、第2ベーン24の背面部24c、より詳しくは切欠き部45の後端部に設けられている。この位置は、ベーン吸引箇所41と周囲の部材とが摺動しない位置である。
図10及び図11の軸回転角0度の上死点位置では、第2ベーン24の背面部24cの位置が、ボルト44よりもヨーク33の両腕部33aに接近する。このため、永久磁石32からヨーク33を通って、第2ベーン24の背面部24cに向かって磁束が流れ、第2シリンダ21内を通過して、永久磁石32に磁束が戻る(第2力)。
図12及び図13の第2力と第3力の切替え位置では、第2ベーン24の背面部24cからボルト44までの距離と、第2ベーン24の背面部24cからヨーク33の両腕部33aまでの距離とが、ほぼ同等になる。このため、永久磁石32からヨーク33を通って、ベーンの背面部24cに向かう磁束と、ボルト44に向かう磁束とに分かれる。ボルト44を通る磁束は、第2ヨーク43を通って、再び第2ベーン24に接近しようとするが、第2ベーン24の底面部の切欠き部45のため、大きな吸引磁力を発揮できない。
図14及び図15の軸回転角180度の下死点位置では、第2ベーン24の背面部24cの位置がボルト44よりもヨーク33の両腕部33aから遠ざかる。一方で、第2ヨーク43の先端部43aが、切欠き部45でなくベーン吸引箇所41に接近するので、ボルト44を通る磁束が流れやすくなり、第2ベーン24を前方に吸引する磁力(第3力)が発生する。
以上のように、本実施の形態2に係るロータリ式圧縮機1においても、実施の形態1と同様、第2圧縮部20に切替え機構31を備えたことにより、第1圧縮部10と第2圧縮部20とを同時に圧縮運転する並列運転モードと、第1圧縮部10が圧縮運転を行い、第2圧縮部20が非圧縮運転となる単独運転モードとを行うことができる。また、本実施の形態2に係るロータリ式圧縮機1においても、実施の形態1と同様、第2圧縮部20が低負荷条件で圧縮運転を行う際、下死点位置において第2ベーン24が第2ピストン23から離間することを防止でき、ロータリ式圧縮機1の信頼性及び効率が低下することを防止できる。すなわち、本実施の形態2に係るロータリ式圧縮機1においても、実施の形態1と同様、低負荷時に複数のシリンダ室の運転モードを切替えて能力範囲を拡大した運転制御が、低負荷時にも安定に動作可能となる。したがって、ロータリ式圧縮機1の効率化と信頼性の向上を実現することができる。そして、このようなロータリ式圧縮機1を備えたヒートポンプ装置200においても、効率化と信頼性の向上を実現することができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1は、実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1、圧縮機構99及び第2圧縮部20の基本構成及び基本動作と全く同様であるが、実施の形態1に係る圧縮機構99のうちで、第2ベーン24の前方への吸引磁力発生部の構成と動作について異なる点がある。
したがって、本実施の形態3では、実施の形態1に係るロータリ式圧縮機1と異なる部分についてのみ説明する。なお、本実施の形態3において、実施の形態1と同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図16は、本発明の実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1の構造を示す概略縦断面図である。
図17は、本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す縦断面図である。
図18は、本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角0度の上死点位置)を示す横断面図である。
図19は、本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す縦断面図である。
図20は、本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(第2力と第3力の切替え位置)を示す横断面図である。
図21は、本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す縦断面図である。
図22は、本発明の実施の形態3に係る第2圧縮部20が圧縮運転状態時の第2ベーン24の状態(軸回転角180度の下死点位置)を示す横断面図である。
[第2ベーン24の前方への吸引磁力発生部の基本構成と動作]
本実施の形態3に係る第2ベーン24は、第2ベーン24の背面部24cに、透磁率の高い金属材料(磁性材料)のベーン吸引箇所41が設けられている。また、第2ベーン24は、第2ベーン24の底面部から下方へ向かって突設された突状ベーン吸引箇所41aを備えている。この突状ベーン吸引箇所41aは、後述のように第3力が働くベーン吸引箇所である。突状ベーン吸引箇所41aは、駆動軸5の軸方向において第2シリンダ室22とは異なる位置(より詳しくは、第2シリンダ室22よりも第2支持部材70のフランジ部70b側であり、下死点位置において該フランジ部70bよりも外側となる位置)に配置されている。換言すると、突状ベーン吸引箇所41aは、駆動軸5の軸方向において第2シリンダ21とは異なる位置に配置されている。また、突状ベーン吸引箇所41aの当該位置は、突状ベーン吸引箇所41aと周囲の部材とが摺動しない位置である。
また、本実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1には、永久磁石32とは別に、第2ベーン24に対して第3力を発生させる第2永久磁石42が設けられている。この第2永久磁石42は、第2ベーン24が最も前方に移動している軸回転角180度の下死点位置において、ベーン吸引箇所41と対向する位置に設けられている。つまり、第2永久磁石42は、第2ベーン24が最も前方に移動する下死点位置において、第2ベーン24の背面部24cよりも前方となる位置に配置されている。また、第2永久磁石42は、駆動軸5の軸方向において第2シリンダ室22とは異なる位置(高さ)、より詳しくは第2支持部材70のフランジ部70b側に配置されている。換言すると、第2永久磁石42は、駆動軸5の軸方向において第2シリンダ21とは異なる位置(高さ)に配置されている。さらに、本実施の形態3では、第2永久磁石42は、フランジ部70bよりも外側に配置されている。また、本実施の形態3では、第2永久磁石42は、永久磁石32と反発しあう向きに磁界を発生させる。
このような第2永久磁石42は、第2支持部材70のフランジ部70bに固定されている。本実施の形態3では、第2ベーン24に磁束を集中的に通過させるため、第2永久磁石42の周囲を非磁性材料である第2保持具46で覆っている。このため、第2永久磁石42は、第2保持具46を介して、第2支持部材70のフランジ部70bに固定されている。また、本実施の形態3では、第2ベーン24に磁束密度を集中させるため、第2永久磁石42の後面部(突状ベーン吸引箇所41aと対向する箇所)、上面部及び底面部を除く位置が、第2ヨーク43(磁性材料)で覆われている。
図17及び図18の軸回転角0度の上死点位置では、第2ベーン24の背面部24cとヨーク33の両腕部33aとの間の距離が、第2ベーン24の突状ベーン吸引箇所41aと第2永久磁石42(第2ヨーク43が設けられている場合には第2ヨーク43)との間の距離よりも小さい。このため、永久磁石32からヨーク33を通って、ベーンの背面部24cに向かって磁束が流れ、第2シリンダ21内を通過して、永久磁石32に磁束が戻る。つまり、第2ベーン24には、該第2ベーン24を後方へ吸引する第2力が働く。
図19及び図20の第2力と第3力の切替え位置では、第2ベーン24の背面部24cとヨーク33の両腕部33aとの間の距離と、第2ベーン24の突状ベーン吸引箇所41aと第2永久磁石42(第2ヨーク43が設けられている場合には第2ヨーク43)との間の距離とが、ほぼ同等になる。このため、永久磁石32からヨーク33を通って、ベーンの背面部24cに向かって磁束が流れ、第2シリンダ21内を通過して、永久磁石32に磁束が戻る(第2力)。これと同時に、第2永久磁石42から第2ヨーク43を通って、第2ベーン24の突状ベーン吸引箇所41aに向かう磁束が発生して、第2ベーン24を前方に吸引する磁力(第3力)も発生する。このため、図19及び図20の第2力と第3力の切替え位置では、第2ベーン24を後方へ吸引する第2力と第2ベーン24を前方へ吸引する第3力とが互いに打ち消し合う状態となる。
図21及び図22の軸回転角180度の下死点位置では、第2ベーン24の背面部24cの位置がヨーク33の両腕部33aから遠ざかる。一方で、第2ベーン24の突状ベーン吸引箇所41aが、第2永久磁石42(第2ヨーク43が設けられている場合には第2ヨーク43)に近づく。このため、第2永久磁石42から第2ヨーク43を通って、第2ベーン24の突状ベーン吸引箇所41aに向かう磁束が発生して、第2ベーン24を前方に吸引する磁力(第3力)が発生する。
以上のように、本実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1においても、実施の形態1と同様、第2圧縮部20に切替え機構31を備えたことにより、第1圧縮部10と第2圧縮部20とを同時に圧縮運転する並列運転モードと、第1圧縮部10が圧縮運転を行い、第2圧縮部20が非圧縮運転となる単独運転モードとを行うことができる。また、本実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1においても、実施の形態1と同様、第2圧縮部20が低負荷条件で圧縮運転を行う際、下死点位置において第2ベーン24が第2ピストン23から離間することを防止でき、ロータリ式圧縮機1の信頼性及び効率が低下することを防止できる。すなわち、本実施の形態3に係るロータリ式圧縮機1においても、実施の形態1と同様、低負荷時に複数のシリンダ室の運転モードを切替えて能力範囲を拡大した運転制御が、低負荷時にも安定に動作可能となる。したがって、ロータリ式圧縮機1の効率化と信頼性の向上を実現することができる。そして、このようなロータリ式圧縮機1を備えたヒートポンプ装置200においても、効率化と信頼性の向上を実現することができる。
1 ロータリ式圧縮機、2 圧縮機吐出管、3 密閉シェル、3a 潤滑油貯蔵部、4
中間仕切板、5 駆動軸、5a 長軸部、5b 短軸部、5c 偏心ピン軸部、5d 偏心ピン軸部、5e 中間軸部、6 吸入マフラ、6a 流入管、6b 容器、6c 流出管、6d 流出管、7 内部空間、8 電動機、8a 回転子、8b 固定子、10 第1圧縮部、11 第1シリンダ、12 第1シリンダ室、13 第1ピストン、14 第1ベーン、14a 先端部、14b 後端部、14c 背面部、15 第1ベーン背室、17 シリンダ吸入流路、18 吐出口、18a 開閉弁、19 第1ベーン溝、20
第2圧縮部、21 第2シリンダ、22 第2シリンダ室、23 第2ピストン、24
第2ベーン、24a 先端部、24b 後端部、24c 背面部、25 第2ベーン背室、27 シリンダ吸入流路、28 吐出口、28a 開閉弁、29 第2ベーン溝、31 切替え機構、32 永久磁石、33 ヨーク、33a 両腕部、33b 平坦部、36 保持具、37 収納室、38 シム、40 圧縮バネ、41 ベーン吸引箇所(磁性材料)、41a 突状ベーン吸引箇所(磁性材料)、42 第2永久磁石、43 第2ヨーク(磁性材料)、43a 先端部、44 ボルト(磁性材料)、45 切欠き部(非吸引部)、46 第2保持具、60 第1支持部材、60a 軸受部、60b フランジ部、63 吐出マフラ、70 第2支持部材、70a 軸受部、70b フランジ部、73
吐出マフラ、99 圧縮機構、140 交流電源、145 検知判別手段、150 インバータ駆動制御装置、160 ヒートポンプ能力制御装置、171 温度センサ、172 温度センサ、200 ヒートポンプ装置、201 四方弁、201a 暖房運転時経路、201b 冷房運転時経路、202 室内側熱交換器、203 減圧機構、204 室外側熱交換器、207 冷媒回路配管、A 室外機、B 室内機。
本発明に係るロータリ式圧縮機は、2つの圧縮部、電動機、及び、2つの前記圧縮部と前記電動機とを接続する駆動軸を備え、前記圧縮部のそれぞれが、吸入した冷媒を圧縮するシリンダ室、一方の端部が前記シリンダ室に連通したベーン溝、及び、前記ベーン溝の他方の端部に連通したベーン背室が形成されたシリンダと、前記駆動軸の回転によって前記シリンダ室内を偏心回転するリング形状のピストンと、前記シリンダ室の中心に向かう方向である前方と前記シリンダ室から遠ざかる方向である後方とに往復動自在に前記ベーン溝に挿入され、前記ピストンの外周面に先端部が当接した状態で前記シリンダ室を低圧と高圧に仕切り、背面部が前記ベーン背室に収容されたベーンと、を備えたロータリ式圧縮機であって、一方の前記圧縮部は、前記ベーンの前記背面部の後方に配置された第1永久磁石を有し、前記ベーンの前記先端部と前記背面部とに働く圧力の差により、前記ベーンに対して前方に作用する第1力と、前記第1永久磁石により前記ベーンを後方に吸引する第2力とによって、前記ベーンの前記先端部が前記ピストンの外周面に当接した圧縮運転状態と、前記ピストンの外周面から離間した前記ベーンを吸着固定した非圧縮運転状態とを切替える切替え機構を備え、さらに、前記ベーンが最も前方に移動する下死点位置において、前記ベーンを前方へ吸引する第3力が作用するように、前記ベーンの前記背面部よりも前方側に配置された第2永久磁石又はヨークを備え、前記ヨークは、前記駆動軸の軸方向において前記シリンダ室とは異なる位置に固定されているものである。
本発明に係るロータリ式圧縮機は、2つの圧縮部、電動機、及び、2つの前記圧縮部と前記電動機とを接続する駆動軸を備え、前記圧縮部のそれぞれが、吸入した冷媒を圧縮するシリンダ室、一方の端部が前記シリンダ室に連通したベーン溝、及び、前記ベーン溝の他方の端部に連通したベーン背室が形成されたシリンダと、前記駆動軸の回転によって前記シリンダ室内を偏心回転するリング形状のピストンと、前記シリンダ室の中心に向かう方向である前方と前記シリンダ室から遠ざかる方向である後方とに往復動自在に前記ベーン溝に挿入され、前記ピストンの外周面に先端部が当接した状態で前記シリンダ室を低圧と高圧に仕切り、背面部が前記ベーン背室に収容されたベーンと、を備えたロータリ式圧縮機であって、一方の前記圧縮部は、前記ベーンの前記背面部の後方に配置された第1永久磁石を有し、前記ベーンの前記先端部と前記背面部とに働く圧力の差により、前記ベーンに対して前方に作用する第1力と、前記第1永久磁石により前記ベーンを後方に吸引する第2力とによって、前記ベーンの前記先端部が前記ピストンの外周面に当接した圧縮運転状態と、前記ピストンの外周面から離間した前記ベーンを吸着固定した非圧縮運転状態とを切替える切替え機構を備え、さらに、前記ベーンが最も前方に移動する下死点位置において、前記ベーンを前方へ吸引する第3力が作用するように、前記ベーンの前記背面部よりも前方側に配置されたークを備え、前記ヨークは、前記駆動軸の軸方向において前記シリンダ室とは異なる位置に固定されているものである。

Claims (12)

  1. 2つの圧縮部、電動機、及び、2つの前記圧縮部と前記電動機とを接続する駆動軸を備え、
    前記圧縮部のそれぞれが、
    吸入した冷媒を圧縮するシリンダ室、一方の端部が前記シリンダ室に連通したベーン溝、及び、前記ベーン溝の他方の端部に連通したベーン背室が形成されたシリンダと、
    前記駆動軸の回転によって前記シリンダ室内を偏心回転するリング形状のピストンと、
    前記シリンダ室の中心に向かう方向である前方と前記シリンダ室から遠ざかる方向である後方とに往復動自在に前記ベーン溝に挿入され、前記ピストンの外周面に先端部が当接した状態で前記シリンダ室を低圧と高圧に仕切り、背面部が前記ベーン背室に収容されたベーンと、
    を備えたロータリ式圧縮機であって、
    一方の前記圧縮部は、
    前記ベーンの前記背面部の後方に配置された第1永久磁石を有し、前記ベーンの前記先端部と前記背面部とに働く圧力の差により、前記ベーンに対して前方に作用する第1力と、前記第1永久磁石により前記ベーンを後方に吸引する第2力とによって、前記ベーンの前記先端部が前記ピストンの外周面に当接した圧縮運転状態と、前記ピストンの外周面から離間した前記ベーンを吸着固定した非圧縮運転状態とを切替える切替え機構を備え、
    さらに、前記ベーンが最も前方に移動する下死点位置において、前記ベーンを前方へ吸引する第3力が作用するように、前記ベーンの前記背面部よりも前方側に配置された第2永久磁石又はヨークを備えたロータリ式圧縮機。
  2. 前記第1永久磁石は前記シリンダに固定されている請求項1に記載のロータリ式圧縮機。
  3. 前記ヨークは、前記駆動軸の軸方向において前記シリンダ室とは異なる位置に固定されている請求項1又は請求項2に記載のロータリ式圧縮機。
  4. 前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石は、別々の永久磁石である請求項1に記載のロータリ式圧縮機。
  5. 前記第2永久磁石は、前記駆動軸の軸方向において前記シリンダとは異なる位置に固定されている請求項4に記載のロータリ式圧縮機。
  6. 前記駆動軸を回転自在に支持する軸受部と、前記シリンダ室の端部を閉塞するフランジ部とを有する支持部材を備え、
    前記第2永久磁石は、前記支持部材に固定されている請求項4又は請求項5に記載のロータリ式圧縮機。
  7. 前記第2永久磁石は、前記駆動軸の軸方向において前記シリンダ室よりも前記支持部材側であり、前記支持部材より外側となる位置に配置されている請求項6に記載のロータリ式圧縮機。
  8. 前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石は、反発しあう向きに磁界を発生する請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載のロータリ式圧縮機。
  9. 前記第3力が働く前記ベーンは、磁性材料で形成されて前記第3力が働くベーン吸引箇所を備え、
    該ベーン吸引箇所は、前記ベーン溝と摺動しない位置に配置されている請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のロータリ式圧縮機。
  10. 前記第3力が働く前記ベーンは、磁性材料で形成されて前記第3力が働くベーン吸引箇所を備え、
    前記ベーン吸引箇所は、前記駆動軸の軸方向において前記シリンダ室よりも前記支持部材側で、前記下死点位置において前記支持部材より外側となる位置であり、周囲の部材と摺動しない位置に配置されている請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のロータリ式圧縮機。
  11. 前記第3力が働く前記ベーンは、前記ベーン吸引箇所以外が非磁性材料で形成されている請求項9又は請求項10に記載のロータリ式圧縮機。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のロータリ式圧縮機と、凝縮器と、減圧機構と、蒸発器とを備えたヒートポンプ装置。
JP2016544890A 2015-11-24 2015-11-24 ロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置 Expired - Fee Related JP6289646B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2015/082939 WO2017090089A1 (ja) 2015-11-24 2015-11-24 ロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2017090089A1 true JPWO2017090089A1 (ja) 2017-11-24
JP6289646B2 JP6289646B2 (ja) 2018-03-07

Family

ID=58764029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016544890A Expired - Fee Related JP6289646B2 (ja) 2015-11-24 2015-11-24 ロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6289646B2 (ja)
WO (1) WO2017090089A1 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56163693U (ja) * 1980-05-07 1981-12-04
WO2015163257A1 (ja) * 2014-04-25 2015-10-29 三菱電機株式会社 ロータリ式圧縮機、およびこれを搭載したヒートポンプ装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56163693U (ja) * 1980-05-07 1981-12-04
WO2015163257A1 (ja) * 2014-04-25 2015-10-29 三菱電機株式会社 ロータリ式圧縮機、およびこれを搭載したヒートポンプ装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2017090089A1 (ja) 2017-06-01
JP6289646B2 (ja) 2018-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6227124B2 (ja) ヒートポンプ装置
JP6000452B2 (ja) ヒートポンプ装置
JP5445550B2 (ja) ベーンロータリ圧縮機
US20140369878A1 (en) Gas compressor
CN102094821A (zh) 回转压缩机
KR20100023632A (ko) 용량가변형 로터리 압축기 및 이를 적용한 냉동기기 및 그 운전 방법
US9879676B2 (en) Multi-cylinder rotary compressor and vapor compression refrigeration cycle system including the multi-cylinder rotary compressor
JP6169261B2 (ja) ロータリ式圧縮機、およびこれを搭載したヒートポンプ装置
CN105805003A (zh) 多缸旋转式压缩机和旋转式压缩机
JP6289646B2 (ja) ロータリ式圧縮機、及びこれを搭載したヒートポンプ装置
KR20100010290A (ko) 용량 가변형 로터리 압축기
JP2007017040A (ja) 膨張機およびその膨張機を用いた冷凍サイクル装置
KR20090125645A (ko) 용량가변형 로터리 압축기
KR101741847B1 (ko) 압축기
JP2017096169A (ja) ロータリ圧縮機およびこれを搭載したヒートポンプ装置
JP6324624B2 (ja) 冷媒圧縮機及びそれを備えた蒸気圧縮式冷凍サイクル装置
JP2015140737A (ja) 密閉型圧縮機及びそれを用いた冷蔵庫
KR102013597B1 (ko) 스크롤 압축기의 배압 조절 장치
JP2010112173A (ja) ロータリ圧縮機
JP6556372B1 (ja) 密閉型圧縮機および冷凍サイクル装置
JP2005344683A (ja) 密閉型圧縮機
KR20160108708A (ko) 압축기의 오일 순환구조
KR20150104995A (ko) 가변 사판식 압축기의 오일 분리 장치
WO2021106198A1 (ja) 圧縮機および冷凍サイクル装置
JP6391816B2 (ja) ロータリ圧縮機および蒸気圧縮式冷凍サイクル装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170724

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6289646

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees