JPWO2017086272A1 - 眼鏡レンズ - Google Patents

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Abstract

本発明は、自己修復性に優れる樹脂膜を有し、かつ、レンズ基材と樹脂膜との密着性に優れる眼鏡レンズを提供する。眼鏡レンズは、レンズ基材と、レンズ基材上に配置された樹脂膜と、を有し、樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である組成物を用いて形成された膜を含む。

Description

本発明は、眼鏡レンズに関する。
従来、表面の傷付きを防ぐ観点から、携帯電話、パソコンなどのタッチパネル画面や筐体、眼鏡レンズなど様々な分野において、自己修復性の樹脂膜を各種部材の表面に設けることが行われている(例えば、特許文献1)。
特許4724503号明細書
本開示は、レンズ基材と、レンズ基材上に配置された樹脂膜と、を有し、樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である組成物を用いて形成された膜を含む、眼鏡レンズに関する。
眼鏡レンズの第1実施形態の構成を示す概略断面図である。 眼鏡レンズの第2実施形態の構成を示す概略断面図である。
近年、レンズ基材上に樹脂膜を設けてなる眼鏡レンズにおいては、上述した自己修復性のより一層の向上のみならず、他の性能も強く求められている。例えば、眼鏡レンズは拭き取り操作が頻繁に実施されるため、レンズ基材と樹脂膜との密着性のより一層の向上が求められている。
特許文献1に記載の樹脂膜では、上記特性を満足することはできず、更なる改良が求められていた。
そこで、本実施形態では、上記実情を鑑みて、自己修復性に優れる樹脂膜を有し、レンズ基材と樹脂膜との密着性に優れる眼鏡レンズを提供する。
以下に、眼鏡レンズの好適態様について詳述する。
本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書中において、“(メタ)アクリロイル基”は、アクリロイル基およびメタクリロイル(メタアクリロイル)基のいずれか一方または双方の意味で使用される。
本明細書において、自己修復性は樹脂膜の表面において応力によってできた歪(傷)を応力の除荷時に復元する性質を意味し、耐擦傷性は樹脂膜の表面を摺ったときの表面の曇り度を意味する。
なお、自己修復性があるとは、本明細書においては、真鍮ブラシ(アズワン株式会社製、スタンダード型4行B-3014)を用い、200gの荷重をかけながら60mm/secの速度で樹脂膜を10回擦り、擦った直後のキズの存在を目視により確認したとき、20〜25℃の環境下で、傷をつけてから1分以内に傷が回復しているものを意図する。
<第1実施形態>
図1は眼鏡レンズの第1実施形態の概略断面図である。
図1に示す眼鏡レンズ10は、レンズ基材12と、レンズ基材12上に配置された樹脂膜14とを備える。後段で詳述するように、樹脂膜14の表面14a(レンズ基材12側とは反対側の表面)は、所定の水の接触角を示し、かつ、所定の擦り処理を実施した際の接触角の低減幅が小さい。
なお、図1においては、レンズ基材12と樹脂膜14とが直接接触するように配置されているが、この形態には限定されず、レンズ基材12と樹脂膜14との間に他の層(例えば、接着層)が配置されていてもよい。つまり、樹脂膜14はレンズ基材12上に直接、または、他の層を介して間接的に配置されていてもよい。
以下、眼鏡レンズ10に含まれる各部材について詳述する。
(レンズ基材)
レンズ基材は、後述する樹脂膜を支持する部材である。
レンズ基材の種類は特に制限されず、プラスチック、無機ガラス等の通常のレンズ基材を用いることができ、なかでも取扱い性に優れる点で、プラスチックレンズ基材が好ましい。
プラスチックレンズ基材の材料は特に制限されないが、例えば、アクリル系樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエ−テルサルホン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1系樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ハロゲン含有共重合体、またはイオウ含有共重合体などが挙げられる。
レンズ基材としては、両面が所望の光学面を有する完成品(眼鏡用レンズ)、凸面が所望する形状に仕上がっている半製品(セミフィニッシュレンズ)、研削加工および研磨加工などのレンズ加工が施されていないレンズブランクスであってもよい。
レンズ基材の厚さは特に制限されず、取扱い性の点から、1〜30mm程度の場合が多い。
また、レンズ基材は透光性を有していれば透明でなくてもよく、着色されていてもよい。
さらに、図1においてはレンズ基材12の表面形状は平面であるが、その表面形状は限定されず、凸面、凹面等の任意の形状から選択される。
<樹脂膜>
樹脂膜は、レンズ基材上に配置される膜であり、自己修復性に優れ、さらにレンズ基材との密着性にも優れる膜である。また、後述するように、本実施形態においては、樹脂膜を形成する際に撥水撥油成分(C)を用いているため、得られる樹脂膜は、撥水撥油性も示す。なお、撥水撥油成分(C)は、任意の成分である。
樹脂膜の表面(レンズ基材側とは反対側の表面)の初期の水の接触角は特に制限されないが、100°以上であることが好ましく、なかでも、眼鏡レンズの耐擦傷性がより優れる点で、103°以上がより好ましく、105°以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、150°以下の場合が多い。
上記水の接触角の測定方法としては、乾燥状態(20〜25℃、30〜70%RH)下で、全自動接触角計(協和界面化学(株)DM500型)を用いて、水平に配置した樹脂膜表面上に、マイクロシリンジから水(純水)を滴下して水の液滴を形成し、樹脂膜表面と水の液滴とが接触する点における水の液滴表面に対する接線と樹脂膜表面とがなす水の液滴を含む側の角度を、測定する。
樹脂膜の表面にメガネクロスを200gの荷重にて押しつけながら1000回往復した(以後、このメガネクロスによる処理を単に「擦り処理」とも称する)後の樹脂膜表面の上記水の接触角の減少率は10%未満であることが好ましく、なかでも、眼鏡レンズの耐擦傷性がより優れる点で、5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0%が挙げられる。
上記水の接触角の減少率の測定方法としては、まず、メガネクロスによる上記擦り処理の実施前の樹脂膜表面の水の接触角を上述した方法により測定し、擦り処理前の樹脂膜表面の水の接触角θ0を得る。次に、樹脂膜表面にメガネクロス(カネボウ ドットクリーン(パール社製))を200g/2.25cmの荷重にて押しつけながら1000回往復させる擦り処理を実施する。その後、擦り処理が施された樹脂膜表面の水の接触角を上述した方法により測定し、擦り処理後の樹脂膜表面の水の接触角θ1を得る。得られた接触角θ0およびθ1を用いて、以下の式(1)により接触角の減少率D(%)を計算する。
式(1) 接触角の減少率D(%)={(θ0−θ1)/θ0}×100
樹脂膜は、耐擦傷性の劣化原因となる埃等の汚れの付着を防ぐ観点から、表面抵抗率が1013(Ω/□)未満であることが好ましい。表面抵抗率を下げる方法としては、後述するように、組成物にイオン性化合物、導電性高分子、導電性微粒子を含ませる方法などが挙げられる。
樹脂膜は、反射防止性を有することが好ましい。樹脂膜の表面に反射防止性を付与する方法としては、中空シリカを樹脂膜に添加する方法や、フッ素化合物を樹脂膜に添加する方法などが挙げられる。
樹脂膜の平均厚みは、自己修復性および耐擦傷性がより優れる点で、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
上記平均厚みの測定方法としては、樹脂膜の任意の5点の厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
樹脂膜は、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)と、撥水撥油成分(C)とを含む組成物(「第3組成物」とも称する)を用いて形成される膜である。
後段で詳述するように、樹脂膜には、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)とが反応して得られるポリウレタンが含まれる。なお、ポリウレタン中においては、ポリオール成分(A)由来の繰り返し単位が含まれ、ポリオール成分(A)由来の繰り返し単位中においては後述するポリロタキサン由来の繰り返し単位が所定量含まれる。なお、撥水撥油成分(C)に後述する官能基Xが含まれる場合、ポリウレタン中に撥水撥油成分(C)由来の構造が含まれる。
以下、第3組成物に含まれる各種成分について詳述する。
(ポリオール成分(A))
ポリオール成分(A)は、一般的には1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である。本実施形態においては、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが所定量含まれる。つまり、水酸基を2個以上有するポリロタキサンと、上記ポリロタキサン以外のポリオールとが組み合わされて使用される。
以下では、まず、ポリオール成分(A)を構成する成分について詳述する。
ポリオール成分(A)として、水酸基を2個以上有するポリロタキサン(言い換えれば、ロタキサン構造を含むポリオール)が含まれる。なお、上記ポリロタキサンには1分子中に2個以上の水酸基が含まれるため、ポリオール成分(A)の1種として含まれる。
ポリロタキサンは、例えばシクロデキストリンなどの環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に貫かれ、複数の環状分子が直鎖状分子を包接してなる擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)に、環状分子が遊離しないようにブロック基を配置した分子複合体であり、シクロデキストリンなどの環状分子を修飾することにより、相溶性や溶解性が改良されたものも含まれる。
なお、本明細書において、ポリロタキサンとは、上記分子複合体に加えて、上記分子複合体同士が環状分子部分で架橋された架橋体、および、上記分子複合体と他のモノマーやポリマーとが重合した重合体を含む概念である。
ポリロタキサンには、2個以上の水酸基が含まれる。水酸基の個数は特に制限されないが、後述するポリイソシアネート成分(B)との反応性の点から、100個以上が好ましい。
ポリロタキサンに含まれる水酸基は、直鎖状分子中に含まれるもの、環状分子に直結しているもの(例えば、シクロデキストリン由来の水酸基)、および、化学修飾により環状分子の側鎖末端に導入されたものなどが含まれる。なかでも、ポリイソシアネートとの反応を考慮すれば、化学修飾により環状分子の側鎖末端に導入された水酸基があることが好ましい。
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子は、環状分子に包接され、環状分子と非共有結合的に一体化することができる分子または物質であって、直鎖状のものであれば、特に制限されない。
また、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、回転子である環状分子が回転可能、もしくは直鎖状分子上で環状分子が摺動移動可能であれば、直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また、「直鎖」の長さは、直鎖状分子上で環状分子が摺動または移動可能であれば、その長さに特に制限はない。
ポリロタキサンを構成する直鎖状分子としては、例えば、ポリカプロラクトン、スチレン−ブタジエン共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム(NR)、ポリエチレングリコール、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体などのポリアルキレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。
直鎖状分子の両端を封鎖する封鎖基としては、例えば、ジニトロフェニル基類、アダマンチル基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類等の1種または2種以上が挙げられる。
ポリロタキサンを構成する環状分子は、上記直鎖状分子を包接可能な環状分子であれば、いずれの環状分子であっても用いることができる。
上記環状分子として、例えば、種々のシクロデキストリン類(例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、ジメチルシクロデキストリンおよびグルコシルシクロデキストリン、これらの誘導体または変性体など)、クラウンエーテル類、ベンゾクラウン類、ジベンゾクラウン類、およびジシクロヘキサノクラウン類、並びにこれらの誘導体または変性体などを挙げることができる。
ポリロタキサンの重量平均分子量は特に制限されないが、10000〜1000000が好ましく、100000〜1000000がより好ましい。
ポリロタキサンの具体例としては、例えば、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社から市販されている「セルム(登録商標)スーパーポリマー」などが挙げられる。「セルム(登録商標)スーパーポリマー」は、環状分子を化学修飾することにより、様々な工業用途で使用できるよう、相溶性・溶解性が改良されたものである。具体的にはポリロタキサンを構成する環状分子であるシクロデキストリンの一部の水酸基を、ポリカプロラクトンで鎖延長し、末端に水酸基または(メタ)アクリル基を導入したものである。本実施形態においては、環状分子の側鎖末端に水酸基が導入されたポリロタキサンを使用するのが好ましい。
例えば、環状分子としてシクロデキストリンが用いられ、かつ、環状分子の側鎖末端を化学修飾により鎖延長した末端に水酸基が導入されたポリロタキサンの場合、分子中に存在する水酸基としては新たに導入された水酸基と、化学修飾されずにシクロデキストリンに直結している残存水酸基がある。なお、シクロデキストリンに直結している残存水酸基は立体障害のため、反応性が必ずしも高くなく、環状分子に導入された水酸基などのほうが優先的に反応すると推測される。
ポリロタキサンとしては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオール成分(A)中のポリロタキサンの割合は、ポリロタキサンの水酸基モル数(ポリロタキサンに含まれる水酸基のモル数)がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である。言い換えれば、ポリオール成分(A)中のポリロタキサンの割合は、水酸基のモル量換算で、10〜70%である。なかでも、樹脂膜の密着性がより優れる点、撥水撥油性がより優れる点、および、自己修復性がより優れる点の少なくとも一つが得られる点(以後、単に「効果がより優れる点」とも称する)で、50〜70%が好ましい。
ポリオール成分(A)中の、ポリロタキサンの割合が10%未満では樹脂膜の自己修復性が劣り、70%を超えるとレンズ基材と樹脂膜との密着性が劣る。
なお、上記ポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対する上記ポリロタキサンの水酸基モル数の割合は、後述する電位差滴定法により測定される水酸基価の値を用いて計算される。つまり、各成分を用いて、後述する電位差滴定法により水酸基価を算出して、その水酸基価を用いて、各成分の混合割合を決定する。なお、ポリロタキサンの水酸基モル数および上記ポリオール成分(A)の総水酸基モル数は、後述する電位差滴定法で使用されるアセチル化試薬と反応可能な水酸基のモル数に該当する。
ポリオール成分(A)として、水酸基価がx(mgKOH/g)のポリロタキサンXをm(g)と、水酸基価がy(mgKOH/g)のポリロタキサン以外のポリオールYをn(g)使用した場合、ポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対するポリロタキサンの水酸基モル数の割合は、xm/(xm+yn)×100(%)で計算される。
水酸基価の値としては、JIS−K0070(1992)に規定する電位差滴定法により測定される値を採用することができる。具体的な測定方法は以下に示すとおりである。
[水酸基価の測定方法]
(1.試薬)
1)アセチル化試薬としては、無水酢酸約12.5g(約11.8ml)を取り、これにピリジンを加えて全量を50mlにし、充分に攪拌したものを使用する。または、無水酢酸約25g(約23.5ml)を取り、これにピリジンを加えて全量を100mLにし、充分に攪拌したものを使用する。
2)測定試薬としては、0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液を使用する。
3)その他、トルエン、ピリジン、エタノールおよび蒸留水を準備する。
(2.操作)
1)平底フラスコに試料約2gを精秤採取し、アセチル化試薬5mlおよびピリジン10mlを加え、空気冷却管を装着する。
2)上記フラスコを100℃の浴中で70分間加熱した後、放冷し、冷却管の上部から溶剤としてトルエン35mlを加えて攪拌した後、蒸留水1mlを加えて攪拌することにより無水酢酸を分解する。分解を完全にするため再度浴中で10分間加熱し、放冷する。
3)エタノール5mlで冷却管を洗い、取り外す。次いで、溶剤としてピリジン50mlを加えて攪拌する。
4)0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液を、ホールピペットを用いて25mL加える。
5)0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行う。得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
6)空試験は、試料を入れないで上記1)〜5)を行う。
(3.計算)
以下の式により水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=[(b−c)×f×28.05]/s+d
ここで、
b:空試験に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、
c:試料に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、
f:0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター(力価)、
s:試料の質量(g)、
d:酸価、
28.05:水酸化カリウムの分子量56.11の1/2
ポリオール成分(A)には、上記ポリロタキサン以外のポリオール(以後、「ロタキサン構造を含まないポリオール」とも称する)が含まれる。
このようなポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの比較的低分子量の多価アルコール、あるいは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリウレタンポリオールなどの比較的高分子量のポリオール、さらにこれらのポリオールを変性したポリカーボネート変性ポリオール、ポリエン変性ポリオール、カプロラクトン変性ポリオール、ビスフェノール変性ポリオールなどを挙げることができる。
ポリロタキサン以外のポリオールの分子量および水酸基の数には特に制限はないが、樹脂膜とレンズ基材との密着性、樹脂膜の硬度および自己修復性、並びに、樹脂膜形成用組成物としての粘度、安定性などの観点から適宜最適な値が選択される。
ポリロタキサン以外のポリオールの好適態様の一つとしては、比較的Tgが低く、レンズ基材との密着性が得られやすい(メタ)アクリルポリオールや、比較的Tgが高く、樹脂膜の硬度が高くなりやすいポリカーボネート変性ポリエステルポリオールなどが挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。
(ポリイソシアネート成分(B))
ポリイソシアネート成分(B)は、上述したポリオール成分(A)と反応する化合物である。ポリイソシアネート成分(B)とポリオール成分(A)とが反応することによりポリウレタンが製造される。
ポリイソシアネート成分(B)の種類は特に制限されず、上述した特性を示す樹脂膜が得られるものであればよい。例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。なかでも、無黄変タイプと呼ばれる脂肪族または脂環族ポリイソシアネートを用いるのがより好ましい。
ポリイソシアネート成分(B)は単独で使用してもよいし、2種以上併用てもよい。
なお、組成物としての保存安定性を持たせるため、ポリイソシアネート成分(B)としては、イソシアネート基をブロック剤でマスク(封止)したブロックポリイソシアネートを使用するのが好ましい。
ブロック剤の種類は特に制限されず、上述した特性を示す樹脂膜が得られるものであればよい。たとえば、MEKオキシム、アミン類、活性メチレンなどを用いることができる。
(撥水撥油成分(C))
撥水撥油成分(C)は、樹脂膜表面の撥水撥油性を付与する成分であり、上述したように任意の成分である。眼鏡レンズの汚れの拭き取りやすさの点から、樹脂膜が撥水撥油性を示すことも求められている。
撥水撥油成分(C)の種類は特に制限されず、上述した特性を示す樹脂膜が得られるものであればよい。例えば、フッ素含有化合物、シリコーン化合物、長鎖アルキル基を有する化合物が挙げられ、効果がより優れる点で、フッ素含有化合物、シリコーン化合物が好ましい。
フッ素含有化合物やシリコーン化合物は、効果がより優れる点で、上述したポリオール成分(A)および/またはポリイソシアネート成分(B)と反応する官能基Xを有することが好ましい。このような官能基Xとしては、例えば、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられ、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、水酸基が好ましい。
フッ素含有化合物およびシリコーン化合物には、アルコキシシリル基が含まれていてもよい。
アルコキシシリル基は、ケイ素原子にアルコキシ基が1個以上3個以下結合している基であれば特に制限されない。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられる。ケイ素原子に結合しているアルコキシ基が1または2個である場合、ケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基としては、非加水分解性基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基が挙げられる。アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基が挙げられる。
フッ素含有化合物とは、フッ素原子を含む化合物である。フッ素含有化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、パーフルオロポリエーテル基含有化合物が挙げられる。
パーフルオロアルキル基の構造は、特に限定されない。すなわち、パーフルオロアルキル基は、直鎖構造(例えば−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えば、パーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またこれらで置換されたアルキル基等)であってもよい。
パーフルオロポリエーテル基は、エーテル結合を有するパーフルオロアルキル基であり、その構造は特に限定されない。すなわち、パーフルオロポリエーテル基としては、例えば、−CHOCHCFCF、−CHCHOCHH、−CHCHOCHCH17、−CHCHOCFCFOCFCFH、フッ素原子を5個以上有する炭素数4〜20のフルオロシクロアルキル基等が挙げられる。また、パーフルオロポリエーテル基としては、例えば、(CFO(CFCFO)、[CF(CF)CFO]―[CF(CF)]、(CFCFCFO)、(CFCFO)などが挙げられる。ここで、x、yは任意の自然数である。
なお、フッ素含有化合物には、効果がより優れる点で、上述した官能基Xまたはアルコキシシリル基が含まれることが好ましい。
シリコーン化合物としては、下記式(X)で表される繰り返し単位を有する化合物(オルガノポリシロキサン)が挙げられる。
式(X) −(Si(R)(R)O)
式中、R、Rは、各々独立に、水素原子または炭化水素基(好ましくは、アルキル基、フェニル基)を表し、nは繰り返し単位数を表し、好ましくは10〜10000の整数である。
また、シリコーン化合物には、上述した官能基Xおよび/またはアルコキシシリル基が含まれていてもよい。
シリコーン化合物に上述した官能基Xまたはアルコキシシリル基が導入される場合は、末端または側鎖に導入されていればよい。なお、側鎖に導入される場合は、例えば、上述した式(X)中のRおよびRの代わりに、上記官能基Xを有する基またはアルコキシシリル基が含まれる。
撥水撥油成分(C)(例えば、上記フッ素含有化合物、シリコーン化合物)の分子量は特に制限されないが、撥水撥油性に優れると共に、効果がより優れる点で、1000以上が好ましく、3000以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、取り扱い性の点で、100000以下の場合が多い。
(アミン化合物(D)および金属酸化物(E))
第3組成物には、上述したポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)、および、撥水撥油成分(C)が含まれるが、撥水撥油成分(C)としてアルコキシシリル基を含む化合物(フッ素含有化合物またはシリコーン化合物)が使用される場合は、アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方が第3組成物中に含まれることが好ましい。
アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方が使用されることにより、アルコキシシリル基の加水分解反応、縮合反応が促進され、樹脂膜の密着性や撥水撥油性がより優れたものとなる。
アミン化合物(D)とは、アミノ基の有する化合物である。なお、上述した撥水撥油成分(C)とは別の化合物である。
アミン化合物(D)としては、効果がより優れる点で、アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤は、加水分解性基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;クロロ基等のハロゲン基;など)、および、アミノ基の少なくとも2種類の異なる反応性基を有するシラン化合物である。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
金属酸化物(E)としては、例えば、Al、Sn、Sb、Ta、Ce、La、Fe、Zn、W、Zr、In、および、Tiから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物が好適に挙げられる。なかでも、効果がより優れる点で、Tiを含む酸化物の粒子(酸化チタン粒子)が好ましい。
なお、金属酸化物(E)には、上記に例示した1種の金属(金属原子)のみが含まれていてもよいし、2種以上の金属(金属原子)が含まれていてもよい。
金属酸化物(E)の平均粒径は特に制限されないが、100nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。
なお、上記平均粒径は、透過型顕微鏡にて100個以上の金属酸化物の直径を測定して、それらを算術平均して求める。なお、金属酸化物が真円状でない場合、長径を直径とする。
(その他成分)
第3組成物には、上記以外に、溶媒、イオン性化合物、導電性高分子、導電性微粒子、界面活性剤、脱ブロック触媒、硬化触媒、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、染料などの種々の添加剤が含まれていてもよい。
なお、溶媒としては、水であっても、有機溶媒であってもよい。
有機溶媒の種類は特に制限されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸ブチル、安息香酸ベンジル、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、カプロラクトン等のエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(N−メチル−2−ピロリドン)等のアミドまたは環状アミド系溶媒類、ジメチルスルホン等のスルホン系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等が例示できる。
イオン性化合物(イオン性液体)とは、常温付近でも液体状態で存在する「塩」である。イオン性化合物は、一般に、−30℃〜+300℃の温度範囲でも液体状態を維持し、蒸気圧は極めて低い。また、イオン性液体は、一般に不揮発性であり、粘度が低い。
イオン性化合物の陽イオンとしては、イミダゾリウム塩類、ピリジニウム塩類等のアンモニウム系イオン、ホスホニウム系イオン、Liイオン等が挙げられる。また、陰イオンの例としては、トリフラート(SOCF )などのハロゲン系イオン、ヘキサフルオロホスフェート(PF )などのリン系イオン、テトラフェニルボレートなどのホウ素系イオン等が挙げられる。
導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。
導電性微粒子としては、導電性酸化物微粒子(ITO、ATO、SnO)等が挙げられる。
(第3組成物中での各成分の含有量)
第3組成物中におけるポリオール成分(A)の含有量は特に制限されないが、第3組成物全質量に対して、20〜75質量%が好ましく、30〜60質量%がより好ましい。
第3組成物中におけるポリイソシアネート成分(B)の含有量は特に制限されないが、第3組成物全質量に対して、20〜75質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましい。
第3組成物中における撥水撥油成分(C)の含有量は特に制限されないが、第3組成物全質量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜2質量%がより好ましい。
第3組成物中におけるアミン化合物(D)の含有量は、第3組成物全質量に対して、10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量%以上の場合が多い。
第3組成物中における金属酸化物(E)の含有量は、第3組成物全質量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、50質量%以下の場合が多い。
<眼鏡レンズの製造方法>
上述した眼鏡レンズの製造方法は特に制限されず、公知の方法が採用できる。なかでも、生産性に優れる点で、上述した第3組成物をレンズ基材上に塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施し、レンズ基材上に樹脂膜を形成する方法が挙げられる。
第3組成物をレンズ基材上に塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、スクリーン印刷法、ディップコーティング法(ディッピング法)、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、パット印刷法など)を採用できる。
レンズ基材上に形成される塗膜の厚みは特に制限されず、上述した樹脂膜の厚みとなるような厚みが適宜選択される。
なお、必要に応じて、第3組成物をレンズ基材へ塗布した後に乾燥処理を行い、溶媒を除去してもよい。残存する溶媒を除去することにより、後述する硬化処理において、樹脂膜中において、溶媒の気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができ、好ましい。
乾燥処理の方法としては温風乾燥機などを用いることができ、温度としては、30〜70℃で加熱処理しても構わない。
硬化処理の方法は特に制限されないが、通常、加熱処理または光照射処理(例えば、UV処理)が実施される。
加熱処理の条件は特に制限されず、使用される材料に応じて適宜最適な条件が選択されるが、タックフリー性および生産性の点から、低温で短時間が好ましい。さらに硬化過程を複数回(予備硬化と本硬化)に分けることが好ましい。予備硬化は100℃以下で1時間以内(好ましくは90℃以下で40分以内)、本硬化は150℃以下で4時間以内(好ましくは130℃以下で2時間以内)で実施することが好ましい。
<<第2実施形態>>
以下に、眼鏡レンズの第2実施形態について図面を参照して説明する。
眼鏡レンズ100は、レンズ基材12と、レンズ基材12上に配置された樹脂膜114とを備え、樹脂膜114は下層膜16と上層膜18とを備える。
図2に示す眼鏡レンズ100は、樹脂膜114が二層構造になっている点を除いて、図1に示す眼鏡レンズ10と同様の層を有するものであるので、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略し、以下では樹脂膜114の構成について詳述する。
樹脂膜114は、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である第1組成物を用いて形成された下層膜16と、下層膜16上に配置され、撥水撥油成分(C)を含む第2組成物を用いて形成された上層膜18とを有する。
下層膜には、ポリオール成分(A)と、ポリイソシアネート成分(B)とが反応して得られるポリウレタンが含まれる。なお、ポリウレタン中においては、ポリオール成分(A)由来の繰り返し単位が含まれ、ポリオール成分(A)由来の繰り返し単位中においてはポリロタキサン由来の繰り返し単位が所定量含まれる。また、上層膜には撥水撥油成分(C)が含まれるが、撥水撥油成分(C)に後述する官能基Xが含まれる場合、下層膜中のポリウレタンと上層膜中の撥水撥油成分(C)とが結合していてもよい。
樹脂膜114の表面114a(レンズ基材12側とは反対側の表面)は、樹脂膜14と同じように、所定の水の接触角を示し、かつ、所定の擦り処理を実施した際の水の接触角の低減幅が小さい。より具体的には、樹脂膜114の表面114a(基材側とは反対側の表面)の水の接触角は100°以上であり、かつ、樹脂膜114の表面114aにメガネクロスを200gの荷重にて押しつけながら1000回往復した後の樹脂膜114の表面114aの上記水の接触角の減少率は、10%未満である。なお、接触角および接触角の減少率の評価方法および好適範囲は、第1実施形態で説明した評価方法および好適範囲と同じである。
また、樹脂膜114は、第1実施形態の樹脂膜14と同じように、所定の表面抵抗率を示すことが好ましい。
また、樹脂膜114は、第1実施形態の樹脂膜14と同じように、反射防止性を示すことが好ましい。
下層膜は、上述したように、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である第1組成物を用いて形成された膜である。
ポリオール成分(A)、ポリイソシアネート成分(B)、ポリロタキサンの定義は、上述の通りである。
また、第1組成物中での各成分の含有量(例えば、ポリオール成分(A)の含有量、ポリイソシアネート成分(B)の含有量、ポリオール成分(A)中のポリロタキサンの含有量)の範囲は、第1実施形態で述べた第3組成物中での各成分の含有量の範囲と同義である。
第1組成物を用いた下層膜の製造方法は特に制限されず、例えば、レンズ基材上に第1組成物を塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施す方法が挙げられる。塗布方法や硬化処理は、上述した第3組成物を用いた場合の塗布方法や硬化処理が適宜実施される。
下層膜の膜厚は、効果がより優れる点で、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。上記範囲であれば、樹脂膜の自己修復性に優れると共に、樹脂膜の膜厚の均一性にも優れる。
上記平均厚みの測定方法としては、下層膜の任意の5点の厚みを測定し、それらを算術平均して求める。
上層膜は、上述したように、撥水撥油成分(C)を含む第2組成物を用いて形成された膜である。撥水撥油成分(C)の定義は、上述の通りである。
また、撥水撥油成分(C)の第2組成物中での含有量の範囲は特に制限されないが、第2組成物に溶媒が含まれる場合、第2組成物全質量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
第2組成物を用いた上層膜の製造方法は特に制限されず、例えば、下層膜上に第2組成物を塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施す方法が挙げられる。塗布方法や硬化処理は、上述した第3組成物を用いた場合の塗布方法や硬化処理が適宜実施される。
上層膜の平均厚みは特に制限されないが、効果がより優れる点で、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0μm超である。
なお、第1組成物にはポリオール成分(A)およびポリイソシアネート成分(B)が含まれ、第2組成物には撥水撥油成分(C)が含まれるが、撥水撥油成分(C)としてアルコキシシリル基を含む化合物(フッ素含有化合物またはシリコーン化合物)が使用される場合は、第1組成物および第2組成物のいずれか一方に、アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方が含まれることが好ましい。
なかでも、効果がより優れる点で、第1組成物には、上述したアミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方が含まれることが好ましい。
また、第1組成物中におけるアミン化合物(D)の含有量は、第1組成物全質量に対して、10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量%以上の場合が多い。
また、第1組成物中における金属酸化物(E)の含有量は、第1組成物全質量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、50質量%以下の場合が多い。
また、第1組成物および第2組成物には、必要に応じて、第3組成物に含まれていてもよい任意成分(上記(その他成分)に記載の成分に該当。例えば、溶媒など)が含まれていてもよい。
以下、実施例により、本実施形態についてさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社製、セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P、水酸基価62)(5.8質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(住化バイエルウレタン株式会社製、ポリカーボネート変性ポリエステルポリオール、デスモフェン C1100、水酸基価112)(10.8質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(住化バイエルウレタン株式会社製、アクリルポリオール、デスモフェン A870BA、水酸基価98)(21.6質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(住化バイエルウレタン株式会社製ブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート(ブロック剤はピラゾール誘導体)、デスモジュールBL3575/1)(27.3質量部)と、酢酸ブチル(33.1質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚12μmの下層膜を形成した。
次に、撥水撥油成分(C)(信越化学工業株式会社製、アミノ変性シリコーン化合物、KF−869)(0.3質量部)およびn−ヘキサン(99.7質量部)を混合した組成物(第2組成物に該当)を、下層膜上にディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、100℃で15分加熱して塗膜を硬化させ、上層膜を形成し、下層膜と上層膜との二層構造の樹脂膜を形成した。
<実施例2>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(16.7質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(8.1質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(16.2質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(28.5質量部)と、酢酸ブチル(29.0質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚13μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例3>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(27.0質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(5.6質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(11.2質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(29.7質量部)と、酢酸ブチル(25.0質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚14μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例4>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(36.7質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(3.3質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(6.6質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(30.8質量部)と、酢酸ブチル(21.3質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚15μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例5>
実施例1のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(27.3質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(住化バイエルウレタン株式会社製ブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート(ブロック剤メチルエチルケトオキシム、デスモジュール BL3175))(26.4質量部)を用いた以外は、実施例1と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例6>
実施例2のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(28.5質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3175)(27.5質量部)を用いた以外は、実施例2と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例7>
実施例3のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(29.7質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3175)(28.7質量部)を用いた以外は、実施例3と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例8>
実施例4のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(30.8質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3175)(29.7質量部)を用いた以外は、実施例4と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例9>
実施例3の酢酸ブチル(25.0質量部)の代わりに酢酸ブチル(62.0質量部)を用いた以外は、実施例3と同様の手順に従って塗膜を硬化させ、膜厚7.5μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<実施例10>
実施例3と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、撥水撥油成分(C)(信越化学工業株式会社製、メルカプト変性シリコーン化合物、KF−2001)(0.3質量部)およびn−ヘキサン(99.7質量部)を混合した組成物(第2組成物に該当)を、下層膜上にディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、100℃で15分加熱して塗膜を硬化させ、上層膜を形成し、下層膜と上層膜との二層構造の樹脂膜を形成した。
<実施例11>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(27.1質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(5.6質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(11.3質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(29.8質量部)と、撥水撥油成分(C)(信越化学工業株式会社製、KY−1203、アクリル変性フッ素化合物)(0.5質量部)と、酢酸ブチル(25.0質量部)とを混合した溶液に界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第3組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚12μmの単層膜を形成した。
<実施例12>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(26.6質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(5.5質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(11.1質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(29.2質量部)と、アミン化合物(D)(信越化学工業株式会社製、KBM−903、アミノ基含有シランカップリング剤)(2.4質量部)と、酢酸ブチル(25.0質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚14μmの下層膜を形成した。
次いで、撥水撥油成分(C)(信越化学工業株式会社製、アルコキシシリル基含有フッ素化合物、KY−130)(0.3質量部)およびn−ヘキサン(99.7質量部)を混合した組成物(第2組成物に該当)を、下層膜上にディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、100℃で15分加熱して塗膜を硬化させ、上層膜を形成し、下層膜と上層膜との二層構造の樹脂膜を形成した。
<実施例13>
水酸基を2個以上有するポリロタキサン(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(20.4質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(4.2質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(8.5質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(22.4質量部)と、金属酸化物(E)(日揮触媒化成株式会社製、OPTOLAKE6320Z、MIBK分散TiOゾル)(25.3質量部)と、酢酸ブチル(18.9質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.1質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.3質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.3質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材(レンズ基材に該当)上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚10μmの下層膜を形成した。
次に、実施例12と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<比較例1>
ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(12.2質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(24.4質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(26.7質量部)と、酢酸ブチル(35.4質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚12μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
比較例1においては、水酸基を2個以上有するポリロタキサンが使用されていない。
<比較例2>
ロタキサン構造を含むポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(45.8質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン C1100)(1.1質量部)と、ロタキサン構造を含まないポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(デスモフェン A870BA)(2.1質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(31.7質量部)と、酢酸ブチル(17.7質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚15μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<比較例3>
ロタキサン構造を含むポリオール(ポリオール成分(A)の1種)(セルム(登録商標)スーパーポリマー、SH3400P)(50.4質量部)と、ブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(32.3質量部)と、酢酸ブチル(15.9質量部)とを混合した溶液に、界面活性剤(3M社製、FC−4432)(0.2質量部)と、脱ブロック触媒(東京化成工業株式会社製、ジブチル錫ジラウレート)(0.2質量部)と、イオン性化合物(広栄化学工業株式会社製、IL−M22)(0.5質量部)とを混合して組成物(第1組成物に該当)を調製した。調製した組成物を、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)基材上に、ディッピング法で塗布して、塗膜を形成した。次いで、130℃で1時間加熱して塗膜を硬化させ、膜厚16μmの下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<比較例4>
比較例1のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(26.7質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3175)(25.7質量部)を用いた以外は、比較例1と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<比較例5>
比較例2のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(31.7質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3175)(30.8質量部)を用いた以外は、比較例2と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<比較例6>
比較例3のブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3575/1)(32.3質量部)の代わりにブロックポリイソシアネート(ポリイソシアネート成分(B)の1種)(デスモジュール BL3175)(31.3質量部)を用いた以外は、比較例3と同様の手順に従って、下層膜を形成した。
次に、実施例1と同様の手順に従って、上層膜を形成した。
<各種評価>
(密着性評価)
樹脂膜の密着性をクロスカット法(JIS K5400−8.5 参考)により評価し、升目に沿った剥離(内方0.1mm以下)が5/100升目以下のものを「〇」、升目に沿った剥離(内方0.1mm以下)が5/100升目より多いもの、または、内方0.1mmを超えるものを「×」と評価した。
なお、上記内方0.1mmとは、切り込み線の内側部分で、切り込み線から0.1mmの距離を意図する。
(自己修復性評価)
真鍮ブラシ(アズワン株式会社製、スタンダード型4行B−3014)を用い、樹脂膜に200gの荷重をかけながら60mm/secの速度で10回擦り、擦った直後のキズの存在を目視により確認したとき、20〜25℃の環境下で、傷をつけてからで1秒以内に傷が回復しているものを「◎」、1秒より長く30秒以内に傷が回復しているものを「〇」、30秒より長く1分以内に傷が回復しているものを「△」、1分以内に傷が回復しないものを「×」、と評価した。
(撥水撥油性評価(接触角評価))
水の接触角とは、樹脂膜表面と水の液滴とが接触する点における水の液滴表面に対する接線と樹脂膜表面とがなす水の液滴を含む側の角度であり、乾燥状態(20〜25℃、30〜70%RH)下で、全自動接触角計(協和界面化学(株)DM500型)を用いて、水平に配置した樹脂膜表面上に、マイクロシリンジから水(純水)を滴下して水の液滴を形成し、測定した。
(耐久試験後接触角試験)
メガネクロスによる擦り処理の実施前の樹脂膜表面の水の接触角を上述した方法により測定し、擦り処理前の樹脂膜表面の水の接触角θ0を得た。次に、樹脂膜表面にメガネクロス(カネボウ ドットクリーン(パール社製))を200g/2.25cmの荷重にて押しつけながら1000回往復させる擦り処理を実施した。その後、擦り処理が施された樹脂膜表面の水の接触角を上述した方法により測定し、擦り処理後の樹脂膜表面の水の接触角θ1を得た。
(BAYER評価)
BAYERテストは、ISO規格のレンズであるリファレンスレンズ(コーティングされていないCR−39レンズ)とテストレンズ(樹脂膜を有するレンズ)との摩耗度の比較であり、試験レンズホルダーに、レンズの屈曲面がトレイの底部に上向きになるように設置し、Taber社製の砂をトレイに入れて毎分150サイクルで4分間、前後4インチの距離を往復動作させた。その後、リファレンスレンズとテストレンズをトレイから取り出しヘイズメーターによって測定された摩耗の程度であるヘイズの変化量によって評価した。ISOリファレンスレンズとテストレンズのヘイズの増加を比較する比率が、10以上のとき「◎」、5から10未満のとき「〇」、2から5未満のとき「△」、2未満のとき「×」、と評価した。
(表面抵抗率評価)
表面抵抗率は、三菱化学アナリテック社製「ハイレスタMCP HT450」URSプローブを用い、表面抵抗率モードにて測定し、樹脂膜の表面抵抗率が1013Ω/□未満のものを「〇」、樹脂膜の表面抵抗率が1013Ω/□以上のものを「×」、と評価した。
上記各種評価の結果を表1にまとめて示す。
表1に示すように、本実施例の眼鏡レンズは、優れた自己修復性、撥水撥油性、および、密着性を示すことが確認された。
一方、所定量のポリロタキサンを使用していない比較例1〜6においては、所望の効果が得られなかった。
上述したように、本発明者は、鋭意検討した結果、所定の成分を含む組成物から得られる樹脂膜を使用することにより、自己修復性に優れる樹脂膜を有し、レンズ基材と樹脂膜との密着性に優れる眼鏡レンズを提供することができることを見出した。
すなわち、以下の構成により上記特性を満足する眼鏡レンズを提供することができることを見出した。
(1) レンズ基材と、
レンズ基材上に配置された樹脂膜と、を有し、
樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である組成物を用いて形成された膜を含む、眼鏡レンズ。
(2) 樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である第1組成物を用いて形成された下層膜と、
下層膜上に配置され、撥水撥油成分(C)を含む第2組成物を用いて形成された上層膜とを有する、(1)に記載の眼鏡レンズ。
(3) 樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)と撥水撥油成分(C)とを含み、ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、ポリロタキサンの水酸基モル数がポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である組成物を用いて形成された樹脂膜である、(1)に記載の眼鏡レンズ。
(4) 下層膜の膜厚が5〜30μmである、(2)に記載の眼鏡レンズ。
(5) 樹脂膜の膜厚が5〜30μmである、(3)に記載の眼鏡レンズ。
(6) 撥水撥油成分(C)が、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、および、水酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、フッ素含有化合物またはシリコーン化合物を含む、(2)〜(5)のいずれかに記載の眼鏡レンズ。
(7) 第1組成物および第2組成物のいずれか一方が、さらに、アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方を含み、
撥水撥油成分(C)が、アルコキシシリル基含有フッ素化合物を含む、(2)または(4)に記載の眼鏡レンズ。
(8) 組成物が、さらに、アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方を含み、撥水撥油成分(C)がアルコキシシリル基含有フッ素化合物を含む、(3)または(5)に記載の眼鏡レンズ。
上記実施形態によれば、自己修復性に優れる樹脂膜を有し、かつ、レンズ基材と樹脂膜との密着性に優れる眼鏡レンズを提供することができる。
また、上記実施形態によれば、さらに、撥水撥油性を示す樹脂膜を有する眼鏡レンズを提供することができる。
10,100 眼鏡レンズ
12 レンズ基材
14,114 樹脂膜
16 下層膜
18 上層膜

Claims (8)

  1. レンズ基材と、
    前記レンズ基材上に配置された樹脂膜と、を有し、
    前記樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、前記ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、前記ポリロタキサンの水酸基モル数が前記ポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である組成物を用いて形成された膜を含む、眼鏡レンズ。
  2. 前記樹脂膜が、前記レンズ基材上に配置され、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含み、前記ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、前記ポリロタキサンの水酸基モル数が前記ポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である第1組成物を用いて形成された下層膜と、
    前記下層膜上に配置され、撥水撥油成分(C)を含む第2組成物を用いて形成された上層膜とを有する、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記樹脂膜が、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)と撥水撥油成分(C)とを含み、前記ポリオール成分(A)中に水酸基を2個以上有するポリロタキサンが含まれ、前記ポリロタキサンの水酸基モル数が前記ポリオール成分(A)の総水酸基モル数に対して10〜70%である組成物を用いて形成された樹脂膜である、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記下層膜の膜厚が5〜30μmである、請求項2に記載の眼鏡レンズ。
  5. 前記樹脂膜の膜厚が5〜30μmである、請求項3に記載の眼鏡レンズ。
  6. 前記撥水撥油成分(C)が、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、および、水酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する、フッ素含有化合物またはシリコーン化合物を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズ。
  7. 前記第1組成物および前記第2組成物のいずれか一方が、さらに、アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方を含み、
    前記撥水撥油成分(C)が、アルコキシシリル基含有フッ素化合物を含む、請求項2または4に記載の眼鏡レンズ。
  8. 前記組成物が、さらに、アミン化合物(D)および金属酸化物(E)の少なくとも一方を含み、前記撥水撥油成分(C)がアルコキシシリル基含有フッ素化合物を含む、請求項3または5に記載の眼鏡レンズ。
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